(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】映像通信装置、および映像表示方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/15 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
H04N7/15 170
(21)【出願番号】P 2020195393
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角 智紀
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-100185(JP,A)
【文献】特開2010-093583(JP,A)
【文献】特開2010-239393(JP,A)
【文献】特開2002-077840(JP,A)
【文献】特開2012-181704(JP,A)
【文献】特開2003-244425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/10
H04N 7/14 - 7/173
H04N 7/20 - 7/56
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他端末から、前記他端末のカメラが撮影した映像および映像表示を制限する情報を受信する通信部と、
前記通信部が受信した
前記映像から人物を認識し、認識した人物の動
作を分析する分析部と、
前記分析部の分析結果
に応じてアイコンを生成するアイコン生成部と、
前記通信部が
前記映像を受信した
場合は前記映像を表示部に表示させ、前記通信部が
前記映像を受信しない場合は所定の第1のアイコンを前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備え
、
前記分析部が人物を認識し、かつ認識した人物の動作を検出した場合、前記アイコン生成部は、前記第1のアイコンを認識した人物の動作に合わせて傾けた第2のアイコンを生成し、
前記表示制御部は、生成された前記第2のアイコンを前記表示部に表示させる、
映像通信装置。
【請求項2】
他端末から、前記他端末のカメラが撮影した映像および映像表示を制限する情報を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記映像から人物を認識し、認識した人物の動作を分析する分析部と、
前記分析部の分析結果に応じてアイコンを生成するアイコン生成部と、
前記通信部が前記映像を受信した場合は前記映像を表示部に表示させ、前記通信部が前記映像を受信しない場合は所定の第1のアイコンを前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記分析部が人物を認識し、かつ認識した人物の動作を検出した場合、前記アイコン生成部は、前記第1のアイコンを認識した人物の動作に合わせて傾けた第2のアイコンを生成し、
前記通信部が前記映像表示を制限する情報を受信した場合、前記表示制御部は、生成された前記第2のアイコンまたは前記第1のアイコンを前記表示部に表示させる、
映像通信装置。
【請求項3】
前記アイコン生成部は、前記分析部
が前記人物の頷く動作を検出した場合、前後に傾けたアイコンを生成し、前記分析部が前記人物の左右に向く動作を検出した場合、左右に傾けたアイコンを生成する、
請求項1
または2に記載の映像通信装置。
【請求項4】
前記分析部が分析した人物の動作または表情がポジティブな動作または表情であるか否かを判断する判断部をさらに備え、
前記アイコン生成部は、前記判断部がポジティブな動作または表情と判断した場合の分析結果を反映したアイコンを生成する、
請求項1
から3のいずれか1項に記載の映像通信装置。
【請求項5】
他端末から、前記他端末のカメラが撮影した映像および映像表示を制限する情報を受信するステップと、
受信した
前記映像から人物を認識し、認識した人物の動
作を分析するステップと、
分析結果
に応じてアイコンを生成するステップと、
前記映像を
受信した場合は前記映像を表示部に表示させ、
前記映像を受信しない場合は所定の第1のアイコンを前記表示部に表示させるステップと、
を、映像通信装置が実行する映像表示方法
であって、
人物を認識し、かつ認識した人物の動作を検出した場合、前記第1のアイコンを認識した人物の動作に合わせて傾けた第2のアイコンを生成し、生成された前記第2のアイコンを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする、映像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像通信装置、および映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して、遠隔地の相手と会議等を行うことができるWEB会議装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
WEB会議装置は、ユーザの顔の方向を撮影した映像を参加者が共有することができるが、必要に応じてカメラ機能をオフにして利用することがある。例えば、多人数でのWEB会議などでは、発話者以外のカメラ機能をオフにすることもある。このような場合、発話者は、他のユーザの表情などが確認できず、発話内容に対する反応が把握できないことから、コミュニケーションが円滑に行えない場合もある。
【0005】
本発明は、カメラ映像を表示せずとも、円滑なコミュニケーションを行うことができる映像通信装置、および映像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る映像通信装置は、他端末から、前記他端末のカメラが撮影した映像および映像表示を制限する情報を受信する通信部と、前記通信部が受信した映像から人物を認識し、認識した人物の動作または表情を分析する分析部と、前記分析部の分析結果を反映したアイコンを生成するアイコン生成部と、前記通信部が受信した映像を表示部に表示させ、前記通信部が映像表示を制限する情報を受信した場合、前記映像に代えて前記アイコン生成部が生成したアイコンを前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る映像表示方法は、他端末から、前記他端末のカメラが撮影した映像および映像表示を制限する情報を受信するステップと、受信した映像から人物を認識し、認識した人物の動作または表情を分析するステップと、認識した人物の動作または表情の分析結果を反映したアイコンを生成するステップと、前記他端末から受信した映像を表示部に表示させ、映像表示を制限する情報を受信した場合、前記映像に代えて認識した人物の動作または表情の分析結果を反映したアイコンを前記表示部に表示させるステップと、を、映像通信装置が実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カメラ映像を表示せずとも、円滑なコミュニケーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る映像通信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る表示映像の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係る映像通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、表示制御部が、表示部に表示させる映像を説明するための図である。
【
図5】
図5は、表示制御部が、表示部に表示させる通常のアイコンを説明するための図である。
【
図6】
図6は、第一実施形態に係るアイコン生成部が生成するアイコンの一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第一実施形態に係るアイコン生成部が生成するアイコンの一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第一実施形態に係るアイコン生成部が生成するアイコンの一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第一実施形態に係るアイコン生成部が生成するアイコンの一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第一実施形態に係る表示制御部がアイコンを表示させる方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第一実施形態に係る表示制御部がアイコンを表示させる方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第二実施形態に係る映像通信装置の構成を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第二実施形態に係る映像通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
図1を用いて、第一実施形態に係る映像通信装置について説明する。
図1は、第一実施形態に係る映像通信装置の構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、映像通信装置10は、カメラ12と、マイクロフォン14と、操作受付部16と、通信部18と、表示部20と、音声出力部22と、制御部(映像通信制御装置)24と、を備える。映像通信装置10は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末など、映像を表示する表示画面と、表示画面の近傍に表示画面と同じ方向を向いたカメラが備えられている装置である。映像通信装置10は、例えば、WEB会議などに用いられることで、WEB会議の参加者間で映像と音声を用いたコミュニケーションを行うことのできる装置である。
【0013】
カメラ12は、映像通信装置10の周辺を撮像する。カメラ12は、例えば、表示部20が向いている方向を撮像するように配置されている。カメラ12は、所定のフレームレートで、時系列で連続した映像、所謂動画像を撮像する。カメラ12は、撮像した映像を映像取得部30に出力する。カメラ12は、映像通信装置10に接続される外部カメラであってもよい。
【0014】
マイクロフォン14は、映像通信装置10の周辺の音声を収音する。マイクロフォン14は、マイクロフォン14に向かって発話している人物の音声を収音する。マイクロフォン14は、収音した音声を音声取得部32に出力する。マイクロフォン14は、映像通信装置10に接続される外部のマイクロフォンであってもよい。
【0015】
操作受付部16は、ユーザの操作によって映像通信装置10に対する各種操作を受け付ける。操作受付部16は、例えば、タッチパネル、スイッチ、ボタンなどを含み得る。操作受付部16は、ユーザなどから受け付けた操作に関する操作情報を操作制御部34に出力する。
【0016】
通信部18は、有線または無線で図示しないインターネット網などの通信網に接続されている。通信部18は、通信網を介して、他の外部装置と情報の送受信を行う。通信部18は、例えば、他の映像通信装置と情報の送受信を行う。通信部18は、例えば、カメラ12が撮影した映像およびマイクロフォン14が収音した音声を、他の映像通信装置に送信する。通信部18は、例えば、他の映像通信装置のカメラが撮影した映像およびマイクロフォンが収音した音声を受信する。通信部18は、例えば、他の映像通信装置から、他の映像通信装置のカメラが撮影した映像を制限する情報を受信する。以下の説明において、通信部18が、他の映像通信装置に映像等を送信すると記載された場合は、通信部18が、他の映像通信装置が接続され、通信部18が送信した映像等を他の映像通信装置が参照することができる外部のサーバなどに映像等を送信することも含む。また、通信部18が、他の映像通信装置から映像等を受信すると記載された場合は、通信部18が、他の映像通信装置が接続され、他の映像通信装置が送信した映像等を参照することができる外部のサーバなどから映像等を受信することも含む。
【0017】
表示部20は、各種情報を表示する。表示部20は、例えば、カメラ12がユーザを撮影した映像や、WEB会議に参加している他の映像通信装置が撮影した他のユーザの映像などを表示する。表示部20は、例えば、映像通信装置10の利用者を示す所定のアイコンや、WEB会議に参加している他の映像通信装置のユーザを示すアイコンを表示する。表示部20は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。
【0018】
音声出力部22は、スピーカやヘッドフォン等であり、映像通信装置10に備えられているものや、映像通信装置10に接続される外部のスピーカやヘッドフォン等である。音声出力部22は、各種音声を出力する。音声出力部22は、例えば、WEB会議に参加している他の映像通信装置から送信された他のユーザが発話した音声などを出力する。
【0019】
制御部24は、映像通信装置10の各部の動作を制御する、所謂、映像通信制御装置である。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより、各種機能が実現される。このため、制御部24は、実施形態に係る映像表示方法を実行させる。また、制御部24は、本発明に係るプログラムを動作させるコンピュータである。制御部24は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部24は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0020】
制御部24は、映像取得部30と、音声取得部32と、操作制御部34と、通信制御部36と、表示制御部38と、音声出力制御部40と、分析部42と、アイコン生成部44と、を備える。言い換えると、制御部24は、映像取得部30と、音声取得部32と、操作制御部34と、通信制御部36と、表示制御部38と、音声出力制御部40と、分析部42と、アイコン生成部44としての機能を実現する。
【0021】
映像取得部30は、カメラ12が出力した映像を取得する。映像取得部30は、例えば、カメラ12が撮影した、映像通信装置10のユーザの顔を含む範囲を撮影した映像を取得する。
【0022】
音声取得部32は、マイクロフォン14が出力した音声を取得する。音声取得部32は、例えば、マイクロフォン14が取得した、映像通信装置10のユーザの発話した音声を取得する。
【0023】
操作制御部34は、操作受付部16が受け付けた操作に関する操作情報を取得する。
【0024】
通信制御部36は、通信部18を制御する。通信制御部36は、通信部18を制御して、他の外部装置と各種の情報の送受信を行う。通信制御部36は、例えば、通信部18を制御して、他の映像通信装置との間で映像および音声の送受信を行う。
【0025】
表示制御部38は、表示部20に各種映像を表示させる。表示制御部38は、例えば、映像通信装置10のユーザおよびWEB会議に参加している他の映像通信装置のユーザの映像を表示させる。表示制御部38は、例えば、通信部18が映像表示を制限する情報を受信した場合には、他のユーザの映像に代えて、アイコン生成部44が生成したアイコンを表示部20に表示させる。
【0026】
音声出力制御部40は、音声出力部22に各種音声を出力させる。音声出力制御部40は、例えば、音声出力部22からWEB会議に参加している他のユーザの音声を出力させる。
【0027】
分析部42は、通信部18が受信した他の映像通信装置のカメラが撮影した映像を分析する。分析部42は、通信部18が受信した他の映像通信装置のマイクロフォンが収音した音声を分析する。分析部42は、例えば、他の映像通信装置のカメラが撮影した映像から人物を認識する。分析部42は、例えば、他の映像通信装置のカメラが撮影した映像から人物が認識できた場合に、認識した動作および表情の少なくとも1つを分析する。
【0028】
アイコン生成部44は、各種のアイコンを生成する。アイコン生成部44は、例えば、分析部42の分析結果に応じたアイコンを生成する。
【0029】
[表示映像]
図2を用いて、第一実施形態に係る表示映像について説明する。
図2は、第一実施形態に係る表示映像の一例を説明するための図である。
【0030】
図2に示すように、映像通信装置10の表示部20に表示される表示映像20aは、第一表示領域50と、第二表示領域52と、第三表示領域54と、第四表示領域56と、を含む。表示映像20aは、例えば、映像通信装置10のユーザU1を含む4人でWEB会議を行っている場合に表示される画面の一例である。映像通信装置10のユーザ以外の他の3人のユーザの映像通信装置にも表示映像20aと同様の映像が表示される。
【0031】
第一表示領域50は、例えば、4人のユーザのうちの、第一ユーザであるユーザU1に関する情報を表示する。第二表示領域52は、例えば、4人のユーザのうちの、第二ユーザに関する情報を表示する。第三表示領域54は、例えば、4人のユーザのうちの、第三ユーザに関する情報を表示する。第四表示領域56は、例えば、4人のユーザのうちの、第四ユーザに関する情報を表示する。
【0032】
映像通信装置10には、カメラ12が撮影している映像を他の映像通信装置に送信して表示させる「映像オンモード」がある。映像通信装置10には、カメラ12で撮影を行わずに映像を他の映像通信装置に送信しない「映像オフモード」がある。映像通信装置10には、カメラ12が撮影している映像を他の映像通信装置に送信するが、その映像を他の映像通信装置に表示させない「映像制限モード」がある。本実施形態では、WEB会議に参加する各ユーザは、「映像オンモード」、「映像オフモード」、および「映像制限モード」を任意に設定することができる。
【0033】
図2に示す例では、ユーザU1は、「映像オンモード」を選択し、第二ユーザ、第三ユーザ、および第四ユーザは、それぞれ、「映像オフモード」を選択しているものとする。
【0034】
第一表示領域50には、ユーザU1の映像と、アイコンI1とが、表示される。ユーザU1は、例えば、第一表示領域50の中央部に表示される。アイコンI1は、第一表示領域50の右上隅に表示される。アイコンI1は、ユーザU1の情報を示すアイコンである。アイコンI1は、例えば、「YS」などのようにユーザU1の名前のイニシャルが表示され得る。
【0035】
第二表示領域52には、中央部にアイコンI2が表示されている。アイコンI2は、第二ユーザの情報を示すアイコンである。アイコンI2は、例えば、「RS」などのように第二ユーザの名前のイニシャルが表示され得る。
【0036】
第三表示領域54には、中央部にアイコンI3が表示されている。アイコンI3は、第三ユーザの情報を示すアイコンである。アイコンI3は、例えば、「KT」などのように第三ユーザの名前のイニシャルが表示され得る。
【0037】
第四表示領域56には、中央部にアイコンI4が表示されている。アイコンI4は、第四ユーザの情報を示すアイコンである。アイコンI4は、例えば、「CJ」などのように第四ユーザの名前のイニシャルが表示され得る。
【0038】
本実施形態に係る映像通信装置10は、第二ユーザ、第三ユーザ、および第四ユーザのいずれかが「映像制限モード」を設定している場合、「映像制限モード」を設定しているユーザの動作または表情に応じて、アイコンI2、アイコンI3、およびアイコンI4のうち、「映像制限モード」を設定しているユーザの情報を示すアイコンの表示形態を変更する。本実施形態に係る映像通信装置10は、「映像制限モード」を設定しているユーザのアイコンの表示形態を変更することで、カメラ映像を表示しない状態でも、WEB会議に参加している他のユーザの反応を適切に把握することができ、コミュニケーションを円滑にすることを可能にする。
【0039】
[映像通信装置の処理]
図3を用いて、第一実施形態に係る映像通信装置の処理について説明する。
図3は、第一実施形態に係る映像通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0040】
図3の処理は、例えばWEB会議が開始されることによって開始される。
図3の処理が開始され、WEB会議の他の参加者との通信部18による通信が開始されることで、制御部24は、他の映像通信装置から映像を取得したか否かを判定する(ステップS10)。具体的には、通信制御部36は、通信部18を介して、他の映像通信装置から映像を取得したか否かを判定する。他の映像通信装置から映像を取得したと判定された場合(ステップS10;Yes)、ステップS12に進む。他の映像通信装置から映像を取得したと判定されない場合(ステップS10;No)、ステップS16に進む。
【0041】
ステップS10でYesと判定された場合、制御部24は、取得した映像に表示制限があるか否かを判定する(ステップS12)。取得した映像に表示制限があることとは、他の映像通信装置において、「映像制限モード」が設定されている場合である。具体的には、通信制御部36は、通信部18を介して、他の映像通信装置から取得した映像に関する表示制限情報を取得したか否かを判定する。取得した映像に表示制限がないと判定された場合(ステップS12;No)、ステップS14に進む。取得した映像に表示制限があると判定された場合(ステップS12;Yes)、ステップS18に進む。
【0042】
ステップS12でNoと判定された場合、制御部24は、取得した映像を表示する(ステップS14)。具体的には、表示制御部38は、ステップS10で取得した映像を、表示部20に表示させる。
図4は、表示制御部38が、表示部20に表示させる映像を説明するための図である。
図3の処理では、第二ユーザの映像またはアイコンを表示する例について説明するが、第三ユーザおよび第四ユーザについても同様である。
図4に示す例においては、表示制御部38は、第二ユーザの映像通信装置から映像を取得した映像として、第二表示領域52に第二ユーザU2が映された映像を表示させ、第二表示領域52の右上隅に第二ユーザの名前のイニシャルを示すアイコンI2を表示させる。そして、ステップ26に進む。
【0043】
ステップS10でNoと判定された場合、制御部24は、通常のアイコンを表示する(ステップS16)。ステップS10でNoと判定されることは、他の映像通信装置において、「映像オフモード」が設定されている場合である。具体的には、表示制御部38は、他の映像通信装置を使用しているユーザの名前のイニシャルを示す通常のアイコンを表示部20に表示させる。
図5は、表示制御部38が、表示部20に表示させる通常のアイコンを説明するための図である。表示制御部38は、例えば、第二ユーザの映像通信装置から映像を取得しなかった場合には、第二表示領域52に第二ユーザに対応するアイコンI2を表示させる。そして、ステップS26に進む。
【0044】
ステップS12でYesと判定された場合、制御部24は、ステップS10で取得した映像から人物が検出されたか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、分析部42は、例えば、ステップS10で取得した映像に対して、図示しない人物を認識するための辞書データを用いて、人物認識処理を実行して、映像に人物が含まれているか否かを判定する。人物が検出されたと判定された場合(ステップS18;Yes)、ステップS20に進む。人物が検出されたと判定されない場合(ステップS18;No)、ステップS16に進む。
【0045】
ステップS18でYesと判定された場合、制御部24は、検出された人物の動作または表情を検出したか否かを判定する(ステップS20)。具体的には、分析部42は、例えば、検出された人物に対して、図示しない表情を認識するための辞書データを用いたAI機能を用いるなど、周知の動体検出処理を用いたりすることで、人物の動作および表情の少なくとも一方を検出する。人物の動作または表情を検出したと判定された場合(ステップS20;Yes)、ステップS22に進む。人物の動作または表情を検出したと判定されない場合(ステップS20;No)、ステップS16に進む。
【0046】
ステップS20で検出される人物の動作または表情とは、人物の動作または表情の変化を検出することと言い換えてもよい。例えば、検出されている人物の表情が笑顔に変化した場合や、頷く動作、顔を横に振るような動作などに変化した場合などを検出する。
【0047】
ステップS20でYesと判定された場合、制御部24は、分析結果に基づくアイコンを生成する(ステップS22)。具体的には、アイコン生成部44は、分析部42の検出された人物に対する動作または表示の分析結果に応じたアイコンを生成する。分析結果に応じたアイコンとは、例えば
図5に示すような通常のアイコンに対して、分析部42が検出した人物の動作や表情が表されるようにデフォルメしたアイコンである。分析結果に応じたアイコンとは、分析結果が表されるように、形状、構成、動きの少なくともいずれかが変更される。
【0048】
図6と、
図7と、
図8と、
図9とを用いて、第一実施形態に係るアイコン生成部44が生成するアイコンについて説明する。
図6から
図9は、第一実施形態に係るアイコン生成部44が生成するアイコンの一例を説明するための図である。
【0049】
図6に示すように、アイコン生成部44は、例えば、分析部42が第二ユーザの頷く動作を検出した場合には、
図5に示すアイコンI2を頷くように傾けたアイコンI2Aを生成する。
図7に示すように、アイコン生成部44は、例えば、分析部42が第二ユーザの右に向く動作を検出した場合には、
図5に示すアイコンI2を右に向くように傾けたアイコンI2Bを生成する。
図8に示すように、アイコン生成部44は、例えば、分析部42が第二ユーザの左に向く動作を検出した場合には、
図5に示すアイコンI2を左に向くように傾けたアイコンI2Cを生成する。すなわち、アイコン生成部44は、分析部42によるWEB会議の他の参加者の動作の分析結果に応じたアイコンを生成する。
【0050】
図9に示すように、アイコン生成部44は、例えば、分析部42が第二ユーザの笑顔を検出した場合、笑顔を示すアイコンI2Dを生成する。すなわち、アイコン生成部44は、分析部42によるWEB会議の他の参加者の表情の分析結果に応じたアイコンを生成し得る。
【0051】
図3に戻る。制御部24は、生成したアイコンを表示する(ステップS24)。具体的には、表示制御部38は、例えば、
図5から
図9に示したようなアイコンを表示部20に表示させる。
【0052】
図10と、
図11とを用いて、第一実施形態に係る表示制御部38がアイコンを表示させる方法について、説明する。
図10と、
図11とは、第一実施形態に係る表示制御部38がアイコンを表示させる方法を説明するための図である。
【0053】
図10は、頷き動作を反映させたアイコンを表示する方法を説明するための図である。この場合、まず、表示制御部38は、例えば、通常の第二ユーザのアイコンI2を第二表示領域52に表示させる(ステップS1)。次いで、表示制御部38は、例えば、第二ユーザが頷いていることを示すアイコンI2Aを第二表示領域52に表示させる(ステップS2)。表示制御部38は、例えば、ステップS1の状態と、ステップS2の状態とを1秒ごとに切り替えて表示させることで、アイコンに頷き動作を与えて、WEB会議の他の参加者の頷き動作を反映させる。つまり、表示制御部38は、WEB会議の他の参加者が頷き動作を行っているときは、頷き動作を行っている他の参加者のアイコンを
図10に示すような動作で表示させる。
【0054】
図11は、顔を左右の横方向に振る動作を反映させたアイコンを表示する方法を説明するための図である。まず、表示制御部38は、例えば、第二ユーザが右を向いていることを示すアイコンI2Bを第二表示領域52に表示させる(ステップS3)。次いで、表示制御部38は、例えば、第二ユーザが左を向いていることを示すアイコンI2Cを第二表示領域52に表示させる(ステップS4)。表示制御部38は、例えば、ステップS3の状態と、ステップS4の状態とを1秒ごとに切り替えて表示させることで、アイコンに首を左右に振っている動作を与えて、第二ユーザの顔を左右に振る動作を反映させる。つまり、表示制御部38は、WEB会議の他の参加者が顔を左右に振っている動作を行っているときは、顔を左右に振っている他の参加者のアイコンを
図11に示すような動作で表示させる。
【0055】
また、表示制御部38は、WEB会議の他の参加者の笑顔をアイコンに表示させる場合には、笑顔を検出している間は、
図9に示すアイコンI2Dを表示部20に表示させ続けることで、WEB会議の他の参加者の笑顔を反映させる。
【0056】
図3に戻る。制御部24は、生成したアイコンを表示させた後、ステップS26に進む。
【0057】
ステップS14、ステップS16、またはステップS24の後、制御部24は、
図3の処理を終了するか否かを判定する(ステップS26)。制御部24は、例えば、操作受付部16が
図3の処理を終了する操作および電源をオフする操作を受け付けた場合に、
図3の処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS26;Yes)、
図3の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS26;No)、ステップS10に進む。ステップS26で判定する処理の終了とは、例えば、WEB会議の終了である。また、WEB会議が終了しなくとも、一部のユーザがWEB会議との接続を終了させた場合は、そのユーザに対しての
図3の処理を終了させる。
【0058】
上述のとおり、第一実施形態は、WEB会議などにおいて映像表示が制限されている場合に、映像表示を制限しているユーザのアイコンにユーザの動作または表情を反映させて表示する。これにより、第一実施形態は、WEB会議に参加している他のユーザがカメラ映像を表示しない状態でも、そのユーザの反応を適切に把握することができ、コミュニケーションを円滑にすることができる。
【0059】
[第二実施形態]
図12を用いて、第二実施形態に係る映像通信装置の構成を説明する。
図12は、第二実施形態に係る映像通信装置の構成を説明するための図である。
【0060】
図12に示すように、第二実施形態に係る映像通信装置10Aは、制御部24Aが判断部46を備える点で、
図1に示す映像通信装置10とは異なる。
【0061】
判断部46は、WEB会議に参加している他の映像通信装置のユーザの感情を判断する。判断部46は、分析部42の分析結果に含まれる他のユーザの動作または表情がポジティブな動作または表情であるか否かを判断する。ポジティブな動作または表情とは、例えば、ある発言などに対する肯定的な反応を意味し得る。具体的には、判断部46は、分析部42が、WEB会議に参加している他の映像通信装置のユーザが頷いていたり、笑顔になったりしたことを検出した場合に、ポジティブな動作または表情であると判断する。判断部46は、分析部42による映像の分析結果に加えて、分析部42による音声の分析結果を含めて、WEB会議に参加している他の映像通信装置のユーザがポジティブな動作または表情であるかの判断を行ってもよい。
【0062】
映像通信装置10Aは、ユーザの動作または表情がポジティブな動作または表情である場合に、その動作または表情を反映させてアイコンを生成して、表示部20に表示させる。
【0063】
図13を用いて、第二実施形態に係る映像通信装置の処理について説明する。
図13は、第二実施形態に係る映像通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS30からステップS40、およびステップS44からステップS48の処理は、それぞれ、ステップS10からステップS20、およびステップS22からステップS26の処理と同一の処理なので、説明を省略する。
【0065】
ステップS40でYesと判定された場合、制御部24は、検出された動作または表情がポジティブな動作または表情であるか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、判断部46は、予め定められたポジティブな動作または表情と、検出された動作または表情とが一致するか否かに基づいて、出された動作または表情がポジティブな動作または表情であるか否かを判定する。ポジティブな動作または表情であると判定された場合(ステップS42;Yes)、ステップS44に進む。ポジティブな動作または表情であると判定されなかった場合(ステップS42;No)、ステップS36に進む。
【0066】
上述のとおり、第二実施形態は、WEB会議などにおいて映像表示が制限されている場合に、WEB会議に参加している他のユーザの動作または表情がポジティブな場合に、映像表示を制限しているユーザのアイコンにユーザの動作または表情を反映させて表示する。これにより、第二実施形態は、WEB会議に参加している他のユーザがカメラ映像を表示しない状態でも、そのユーザのポジティブな反応を適切に把握することができ、コミュニケーションを円滑にすることができる。
【0067】
このため、WEB会議の参加者が多く、WEB会議の他の参加者の映像通信装置における表示画面にWEB会議に参加している他のユーザの顔を撮影した映像が多数表示されていると、発話者は、他のユーザの全体的な反応を把握することが困難である。このような場合、上述した各実施形態においては、発話者から見た他のユーザの反応またはポジティブな反応が、映像よりはシンプルなアイコンとして表示されるため、適切に全体的な反応を把握することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
10,10A 映像通信装置
12 カメラ
14 マイクロフォン
16 操作受付部
18 通信部
20 表示部
22 音声出力部
24,24A 制御部(映像通信制御装置)
30 映像取得部
32 音声取得部
34 操作制御部
36 通信制御部
38 表示制御部
40 音声出力制御部
42 分析部
44 アイコン生成部
46 判断部