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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】媒体鑑別装置および貨幣取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 5/00 20060101AFI20250212BHJP
   G07D 3/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G07D5/00
G07D3/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021005340
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109802
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 友則
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-206842(JP,A)
【文献】特開2018-160167(JP,A)
【文献】特開平10-124731(JP,A)
【文献】特開2020-064505(JP,A)
【文献】特開2009-015499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 5/10,
9/00-13/00
G07F 19/00
A63F 5/04, 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の媒体を撮像した画像を用いて鑑別を行う媒体鑑別装置であって、
前記媒体が搬送される搬送面と、
搬送される前記媒体を撮像する撮像部と、
前記媒体を前記搬送面に押し付ける押圧部材と、を備え、
前記押圧部材は、前記撮像部の撮像範囲内であって、前記撮像範囲を前記媒体の搬送方向と直交する方向に三等分した場合の真ん中の領域付近に配置されており、
前記押圧部材の大きさは、
前記撮像範囲内の前記真ん中の領域付近に前記媒体が位置する画像において、前記媒体の外周全体に対する、前記媒体の外周と前記押圧部材と重なりあっていない部分の割合が、前記媒体の識別を行うために必要な所定の割合以上となる大きさである、
ことを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項2】
前記搬送面に対向して設けられる上側ガイドを更に有し、
前記押圧部材は、前記上側ガイドから前記搬送面に向かう方向に、前記上側ガイドに取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項3】
前記媒体の前記搬送面における横幅方向の移動を規制する搬送ガイドを更に有し、
前記押圧部材は、前記搬送ガイドに取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項4】
前記押圧部材が配置される前記撮像範囲内の前記真ん中の領域付近よりも搬送方向における手前側の領域は、前記押圧部材が配置されていない、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の媒体鑑別装置。
【請求項5】
前記押圧部材が配置される前記撮像範囲内の前記真ん中の領域付近よりも搬送方向における奥側の領域は、前記押圧部材が配置されていない、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の媒体鑑別装置。
【請求項6】
前記撮像部は所定の周期で撮像を行うものであり、
前記押圧部材は、
前記撮像範囲における前記搬送方向に対する端部間の長さをL1、前記押圧部材の配置位置の搬送方向に対する最手前端から最奥端までの長さをL2、前記所定の周期の1周期で前記媒体が前記撮像範囲内を進む長さをL3としたときに、L1-L2≧L3を満たす位置に配置される、
ことを特徴とする請求項に記載の媒体鑑別装置。
【請求項7】
前記画像に写り込む物体を識別する制御部をさらに備え、
前記制御部は、搬送方向おいて前記押圧部材が配置される領域よりも手前側の領域に前記物体が位置する画像を用いて前記媒体の到来を監視する、
ことを特徴とする請求項4に記載の媒体鑑別装置。
【請求項8】
前記画像に写り込む物体を識別する制御部をさらに備え、
前記制御部は、搬送方向において前記押圧部材が配置される領域よりも奥側の領域に前記物体が位置する画像を用いて異物の到来を監視する、
ことを特徴とする請求項5記載の媒体鑑別装置。
【請求項9】
前記押圧部材は弾性体から成る、
ことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の媒体鑑別装置。
【請求項10】
前記搬送面は透光領域を有し、
前記撮像部は前記透光領域を介して前記媒体を撮像する、
ことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の媒体鑑別装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10の何れか一項に記載の媒体鑑別装置を備えることを特徴とする貨幣取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体鑑別装置および貨幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨自動入出金機、現金処理機などで使用される硬貨識別装置が存在する。この硬貨鑑別装置は、硬貨を搬送機構によって搬送し、撮像位置で硬貨の画像(硬貨画像)を取得する。硬貨画像の取得は、硬貨に光を照射し、反射した光をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを有するカメラを用いて撮像することにより行われるのが一般的である。硬貨識別装置は、例えば取得した硬貨画像に写る硬貨の大きさや模様などにより、硬貨の金種や真偽を識別する。
【0003】
ベルトを用いて硬貨を高速で搬送した場合、硬貨が搬送面に対して浮いてしまう場合がある。硬貨が浮いた状態では、カメラと硬貨との距離が、硬貨が搬送面に接している場合の基準となる距離から変化するため、浮いた硬貨を撮像した硬貨画像では、硬貨のサイズが本来のサイズよりも異なって見えるという問題がある。また、斜めに浮いた場合には、硬貨が搬送面に接している場合に比べ、硬貨の形状が変形して見えてしまうという問題や、浮くことで照明にむらが発生し硬貨画像の明るさが不均一になる等の問題もある。これらの問題は、総じて鑑別の精度に支障をきたすので改善するのが望ましく、カメラ以外の機器(例えば磁気センサ)を用いた鑑別においても同様のことがいえる。
【0004】
この問題に関連して、搬送される硬貨を搬送面に上から押さえつけるなどの試みがなされている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載される技術は、搬送路上を搬送される硬貨を磁気センサで鑑別する技術に関し、硬貨浮きを防止するための硬貨浮き防止部材を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-108735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載される硬貨浮き防止部材をカメラを用いた鑑別に適用した場合、硬貨浮き防止部材が硬貨とともに画像に写り込むという問題があった。つまり、CMOSなどにより瞬間的に画像全面を取り込む方式では、硬貨浮き防止部材が画像に写り込み、硬貨の外形を検出する場合に硬貨の端部と硬貨浮き防止部材との区別が困難であり、硬貨の外形を正しく検出できないという課題がある。その為、撮影画像に硬貨浮き防止部材が写り込んだ場合、硬貨の検出や鑑別に支障をきたしてしまう。なお、この課題は、硬貨に限らず遊技機で使用するコインなどの硬貨に類する媒体についても同様に発生する。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、媒体の検出や鑑別に影響を与えずに媒体が浮くのを抑制することができる媒体鑑別装置および貨幣取扱装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る媒体鑑別装置は、円盤状の媒体を撮像した画像を用いて鑑別を行う媒体鑑別装置であって、前記媒体が搬送される搬送面と、搬送される前記媒体を撮像する撮像部と、前記媒体を前記搬送面に押し付ける押圧部材と、を備え、前記押圧部材は、前記撮像部の撮像範囲内であって、前記撮像範囲を前記媒体の搬送方向と直交する方向に三等分した場合の真ん中の領域付近に配置されており、前記押圧部材の大きさは、前記撮像範囲内の前記真ん中の領域付近に前記媒体が位置する画像において、前記媒体の外周全体に対する、前記媒体の外周と前記押圧部材と重なりあっていない部分の割合が、前記媒体の識別を行うために必要な所定の割合以上となる大きさである、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る貨幣取扱装置は、上述した媒体鑑別装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体の検出や鑑別に影響を与えずに媒体が浮くのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る媒体鑑別装置が備える搬送路を上から見た概略平面図であり、搬送路の上方に配置される部材の一部を取り除いてある。
図2】本発明の実施形態に係る媒体鑑別装置が備える搬送路の概略断面図であり、搬送路の下に設置された画像取得用の撮像部の位置で搬送方向に直交する方向に切断した図である。
図3】本発明の実施形態に係る媒体鑑別装置が備える搬送路の概略斜視図であり、搬送路の下に設置された画像取得用の撮像部の部分を拡大した図である。なお、搬送路の上方に配置される部材の一部を取り除いてある。
図4】弾性部材を固定する他の方法を説明するための図である。
図5】弾性部材の配置に関する条件Aを説明するための図である。
図6】弾性部材の配置に関する条件Bを説明するための図である。
図7】本発明の実施形態に係る媒体鑑別装置の動作を示すフローチャートの例示である。
図8】搬送される硬貨と弾性部材との関係を示すイメージ図であり、(a)は撮像範囲に硬貨が到達していない状態を示し、(b)は撮像範囲に硬貨の先端が到達した状態を示し、(c)は硬貨が識別に最適な位置に到達した状態を示す。
図9】撮像部が撮像した画像の例示であり、(a)は撮像範囲に硬貨が到達していない状態を示し、(b)は撮像範囲に硬貨の先端が到達した状態を示し、(c)は硬貨が識別に最適な位置に到達した状態を示す。
図10】搬送される異物と弾性部材との関係を示すイメージ図であり、(a)は撮像範囲に異物が到達していない状態の例示であり、(b)は次の撮像周期の状態の例示であり、(c)はさらに次の撮像周期の状態の例示である。
図11】弾性部材の配置を説明するための図である。
図12】本発明の変形例に係る媒体鑑別装置の概略平面図である。
図13】本発明の変形例に係る媒体鑑別装置の概略平面図である。
図14】本発明の変形例に係る媒体鑑別装置の概略平面図である。
図15】本発明の変形例に係る媒体鑑別装置の概略平面図である。
図16】本発明の変形例に係る媒体鑑別装置の概略平面図である。
図17】本発明の変形例に係る媒体鑑別装置の概略平面図である。
図18】本発明の変形例に係る媒体鑑別装置の概略平面図である。
図19】現金自動預け払い機の概略外観図である。
図20】入出金管理装置の概略外観図である。
図21】釣銭機の概略外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張または矮小化して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
<実施形態に係る媒体鑑別装置の構成について>
図1ないし図3を参照して、実施形態に係る媒体鑑別装置1の構成を説明する。媒体鑑別装置1の説明における「上下」、「左右」、「前後」は、図1ないし図3の矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。なお、実施形態では、前から後に向かって媒体が走行する(つまり、搬送方向Pは前から後である)。
【0014】
図1ないし図3に示す媒体鑑別装置1は、媒体を撮像した画像を用いて鑑別を行う装置である。本実施形態では媒体として硬貨を想定し、媒体鑑別装置1は撮像した画像を用いて硬貨を鑑別する硬貨鑑別装置として説明する。しかしながら、媒体鑑別装置1の種類はここで説明するものに限定されず、例えば硬貨以外の媒体(例えば、硬貨に類するもの)を取扱う装置に適用することができる。硬貨に類するものは、例えば遊技機で使用するコインなどである。
【0015】
図2に示すように、媒体鑑別装置1は、搬送路機構10と、搬送手段20と、撮像機構30と、制御部40とを備える。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)および記憶部(ともに図示せず)で構成されており、プログラムを実行することによって硬貨Kを鑑別する鑑別機能(または硬貨Kを識別する識別機能)を実現する。
【0016】
搬送路機構10は、硬貨Kが搬送される空間を形成する機構である。搬送路機構10は、例えば下側ガイド11と、搬送ガイド12(左側ガイド12aおよび右側ガイド12b)と、上側ガイド13と、弾性部材14とを備える。なお、硬貨Kが搬送される空間を「搬送路R」と呼ぶ場合があり、搬送路Rを構成する内壁面の中で硬貨Kの下面が接触する面(つまり、下側ガイド11の上面)を「搬送面Ra」と称する。
【0017】
図3に示すように、下側ガイド11は、板状の部材であり、下方から硬貨Kを撮像できる構造になっている。本実施形態では、下側ガイド11が円形に切り抜かれており、そこにガラス板11aが嵌め込まれている。ガラス板11aの上部を硬貨Kが通過し、ガラス板11aの上面は搬送面Raとして機能する。ガラス板11aが設けられた領域は、撮像機構30の照明部32が照射する光を透過する領域(透光領域)である。ガラス板11aは、撮像部31の上方に設けられており、撮像部31は、ガラス板11a(透光領域)を介して硬貨Kを撮像する。
【0018】
図3に示すように、左側ガイド12aおよび右側ガイド12bは、断面形状が四角形の長尺な棒状を呈している。左側ガイド12aおよび右側ガイド12bは、硬貨Kの左右方向の移動を規制する。左側ガイド12aおよび右側ガイド12bは、所定の間隔をおいて並行に配置され、その間を硬貨Kが搬送方向Pに移動する。
【0019】
図2に示すように、上側ガイド13は、板状の部材であり、搬送手段20を構成する搬送ピン22が通過する隙間13aが形成されている。隙間13aの間隔は、左側ガイド12aと右側ガイド12bとが配置される間隔よりも狭くなっている。左側ガイド12aと右側ガイド12bとの間隔は、例えば搬送される硬貨Kの直径よりも大きく、隙間13aの間隔は、例えば搬送される硬貨Kの直径よりも小さくなっている。上側ガイド13は、下側ガイド11に対向して配置されており、下側ガイド11に対向した面に弾性部材14が設けられている。
【0020】
弾性部材14は、下側ガイド11(つまり、搬送面Ra)に押し付ける力を硬貨Kに対して与えるものである。弾性部材14は、搬送中の硬貨Kが浮き上がるのを抑制する役割を担う。弾性部材14は、例えばモヘアなど毛足状部材によって構成され、搬送される硬貨Kに接触するように設置されている。硬貨Kが弾性部材14の下を通過することに伴って弾性部材14が変形し、その変形により発生する弾性力で硬貨Kを下側ガイド11に押さえつける。硬貨Kを下側ガイド11(つまり、搬送面Ra)に押さえつける力を発生することができれば、弾性部材14の素材、形状、数、取付方法などは特に限定されない。弾性部材14は板バネ状、ブラシ状、或いはスポンジ状の部材として構成されてもよい。弾性部材14は、例えば、左側ガイド12a、右側ガイド12b、上側ガイド13などに接着剤で貼り付けて固定することができる。また、図4に示すように、弾性部材14が固定された基礎となる部材15(例えば、モヘアやブラシ等の毛足状部材が植え付けられた板材)を左側ガイド12a、右側ガイド12b、上側ガイド13に嵌め込んでもよい。左側ガイド12a、右側ガイド12b、上側ガイド13を構成する部材にモヘアやブラシ等の毛足状部材を直接に植え付けてもよい。図1に示すように、弾性部材14は、撮像部31の撮像範囲Q内であって、搬送方向Pに対して中央付近に配置されている。なお弾性部材14は「押圧部材」の一例である。弾性部材14の配置の詳細は後述する。
【0021】
図3に示す搬送手段20は、硬貨Kに対して移動する動力を与えるものである。本実施形態では、搬送手段20としてピンベルトを想定する。搬送手段20は、帯状の搬送ベルト21と、搬送ベルト21に設けられる搬送ピン22とを備える。なお、ピンベルトはあくまで例示であって、搬送手段20は、ピンベルトに限定されるものではない。
【0022】
搬送ベルト21は、下側ガイド11の上方であって、上側ガイド13の隙間13a(図2参照)に沿うように配置されている。搬送ベルト21は、環状を呈しており、図示しないプーリに張架されている。このプーリが回転することにより搬送ベルト21も回転し、搬送ピン22が搬送方向Pに移動する。
【0023】
搬送ピン22は、例えば棒状を呈しており、搬送ベルト21から下側ガイド11に向かって突出した状態で設けられている。搬送ピン22は、硬貨Kの側面に当接し、押し込むようにして硬貨Kを搬送方向Pに移動させる。搬送ピン22は、例えば等間隔に配置されており、一つの搬送ピン22で一つの硬貨Kを搬送する。なお、搬送ピン22は、硬貨Kを適切に搬送することができればよく、形状などは特に限定されない。
【0024】
図2に示すように、撮像機構30は、撮像部31と、照明部32と、遮光部33とを備える。撮像部31は、例えばCMOSセンサおよびレンズを備えるカメラである。撮像部31は、ガラス板11aの下方に設置されており、ガラス板11a(透光領域)を通過する硬貨Kを撮像する。具体的には、撮像部31は、硬貨Kに反射した反射光をレンズを介してCMOSセンサで撮像する。
【0025】
照明部32は、撮像対象である硬貨Kに光を照射する装置である。照明部32は、ガラス板11aを介して下方から硬貨Kを照らすように設置されている。照明部32は、複数個のLED照明32aを有し、これらのLED照明32aは上下方向(つまり、撮像部31の光軸)を中心軸として環状(リング状)に配置されている。照明部32は、例えば撮像部31の上方に設置されるガラス板11aを硬貨Kが通過する時に光を照射する。
【0026】
遮光部33は、撮像部31の撮像における余分な光を遮るものである。余分な光は、例えば照明部32からの直射光などである。遮光部33は、筒状部33aと、筒状部33aの内側に形成される円形の板状部33bとを主に備える。板状部33bの中央部には開口33cが形成されている。なお、遮光部33は、撮像部31の撮像における余分な光を遮ることができれば形状などは特に限定されない。
【0027】
制御部40は、例えば硬貨Kの到来検知においては、撮像部31を制御して一定の間隔で連続撮像させ、撮像した画像に基づいて硬貨Kの到来を検知する。また、制御部40は、硬貨Kの到来を検知した場合に、撮像範囲Q(図1参照)内に硬貨Kが収まるタイミングで撮像部31に画像を撮像させ撮像した画像に基づいて硬貨Kを鑑別(識別)する。さらに制御部40は、撮像した画像に基づいて異物の到来を検知する。つまり制御部40は、撮像した画像に写り込む物体を識別する。制御部40の動作の詳細は後述する。
【0028】
(弾性部材の配置について)
図1に示すように、弾性部材14は、撮像部31の撮像範囲Q内であって、搬送方向Pに対して中央付近に配置する。搬送方向Pに対して中央付近とは、撮像範囲Qにおける搬送方向Pの手前側および奥側に弾性部材14が配置されない領域があることを意図している。搬送方向Pに対して中央付近は、例えば撮像範囲Qを搬送方向Pと直交する方向に三等分した場合の中央の領域である。本実施形態では、搬送手段20の両側に搬送方向Pに沿って二個ずつ(合計で四個)並べて配置されている。
【0029】
図5および図6を参照して(適宜、図1ないし図3を参照)、弾性部材14の配置と大きさに関する条件の一例を説明する。撮像範囲Q内に弾性部材14を配置する場合の条件は、次に示す条件Aおよび条件Bを満たすことが望ましい。
【0030】
<条件Aについて>
条件Aは、硬貨外形(つまり輪郭)を識別するためのものである。条件Aは、硬貨Kを識別するための画像Fにおいて、硬貨の円周mcに対し、硬貨の円周のうち弾性部材14と重なり合っていない部分の和mの割合が、硬貨鑑別を行うために必要な割合R以上である(m/mc≧R)ことである。割合Rは、例えば硬貨Kの円周の半分(50%)から四分の三(75%)程度である。媒体鑑別装置1が取り扱う硬貨Kは種類(金種)ごと円周mcの長さが異なるので、特定の金種の硬貨Kに着目すると、条件Aは、硬貨Kを識別するための画像Fにおいて、弾性部材14と重なり合っていない硬貨円周の長さの和mが、硬貨識別を行うために必要な硬貨円周の長さの最低量M以上である、と換言できる。最低量Mは、硬貨Kの種類によって異なる値であるが、最低量Mは割合Rと同じく、例えば硬貨Kの円周の半分から四分の三程度である。媒体鑑別装置1が取り扱ういずれの種類(金種)の硬貨に対しても条件Aを満たすように、弾性部材14の大きさと撮像範囲Q内における弾性部材14の配置位置を決定するのが望ましい。
【0031】
弾性部材14と重なり合っていない硬貨円周の長さの和mは、図5の符号m1~m4で示す部分を加算した長さを円周mcから減算したものとなる(m=mc-(m1+m2+m3+m4))。図5の符号m1~m4で示す部分は、弾性部材14と硬貨とが重なり合っているので、硬貨Kの外周と背景(つまり、弾性部材14)とを区別し難く境界を検出するのが困難である。一方、図5の符号m1~m4で示す部分以外(上述のmに相当する部分)は、弾性部材14と硬貨とが重なり合っていないので、硬貨Kの外周と背景(つまり、上側ガイド13)とを区別し易く境界を検出するのが容易である。故に、特定の金種の硬貨Kに着目すると、弾性部材14と重なり合っていない硬貨円周の長さの和mが、硬貨識別を行うために必要な硬貨円周の長さの最低量M以上であれば、画像Fにおける弾性部材14と硬貨とが重なり合っていない部分(上述のmに相当する部分)を用いて、硬貨外形を識別することができる。これを硬貨の種類(金種)に依らず一般化すると、硬貨の円周mcに対し、硬貨の円周のうち弾性部材14と重なり合っていない部分の和mの割合が、硬貨鑑別を行うために必要な割合R以上であれば、硬貨外形を識別することができる。
【0032】
<条件Bについて>
条件Bは、弾性部材14が配置される前後の領域で異物を検知するためのものである。異物は、例えばクリップ、プラスチック片、ステープラの針、取扱い金種以外の硬貨(例えば外貨)などである。条件Bは、撮像範囲Qにおける搬送方向Pの端部間の長さをL1(図6(a)参照)、弾性部材14の搬送方向Pの最手前端の位置から最奥端までの位置の長さをL2(図6(a)参照)、連続して画像を取得する際に撮像の1周期で硬貨Kが撮像範囲Q内を進む長さをL3(図6(b)参照)としたときに、「L1-L2≧L3」を満たすことである。つまり、「L1-L2」は、撮像範囲Qの、搬送方向Pに沿った方向における弾性部材14を設けない領域の長さに相当し、この長さが撮像1周期で硬貨Kが進む長さL3以上であれば、異物が搬送された場合に弾性部材14を設けない領域(少なくとも搬送方向奥側の領域)で検知することが可能である。
【0033】
<実施形態に係る媒体鑑別装置の動作について>
図7ないし図10を参照して(適宜、図1ないし図6を参照)、実施形態に係る媒体鑑別装置の動作を説明する。図7は、実施形態に係る媒体鑑別装置1の動作を示すフローチャートの例示である。図8は、搬送される硬貨Kと弾性部材14との関係を示すイメージ図であり、(a)は撮像範囲Qに硬貨Kが到達していない状態を示し、(b)は撮像範囲Qに硬貨Kの先端が到達した状態を示し、(c)は硬貨Kが識別に最適な位置に到達した状態を示す。なお図8は、硬貨Kが搬送される様子を媒体鑑別装置1の上方(下側ガイド111の上方)から見たイメージ図である。図9は、撮像部31が撮像した画像Fの例示であり、(a)は撮像範囲Qに硬貨Kが到達していない状態を示し、(b)は撮像範囲Qに硬貨Kの先端が到達した状態を示し、(c)は硬貨Kが識別に最適な位置に到達した状態を示す。図10は、搬送される異物Jと弾性部材14との関係を示すイメージ図であり、(a)は撮像範囲Qに異物Jが到達していない状態の例示であり、(b)は次の撮像周期の状態の例示であり、(c)はさらに次の撮像周期の状態の例示である。なお図10は、異物Jが搬送される様子を媒体鑑別装置1の上方(下側ガイド111の上方)から見たイメージ図である。
【0034】
図7に示すように、媒体鑑別装置1の制御部40は、照明部32を点灯し(S105)、搬送手段20の搬送ベルト21を走行させて硬貨Kの搬送を開始する(S110)。次に、制御部40は、予め定められた固定周期で撮像部31に撮像させ、搬送路Rを連続して撮像した画像Fを取得する(S115)。この画像Fの連続取得は、硬貨Kの到来を検出するために行う。次に、制御部40は、取得した各々の画像Fに対して硬貨Kの先端(硬貨Kの搬送方向Pに対する奥側の端部)が写り込んでいるか否かの判定を行い、当該判定に基づき硬貨到来を検知する(S120)。
【0035】
図8(a)は、撮像範囲Qに硬貨Kが到達していない状態の例示である。この場合、図9(a)に示すように、撮像部31が固定周期で撮像した画像Fには弾性部材14のみが写り込んでいる。
図8(b)は、図8(a)の次の撮像周期の状態の例示である。ここでは、硬貨Kが撮像範囲Qの搬送方向Pの1/2の位置に到達するタイミングで画像Fの連続取得を行う場合を想定している(つまり、画像Fを撮像する一周期で硬貨Kが撮像範囲Qの1/2の距離を進む)。この場合、図9(b)に示すように、硬貨Kの外形の多くの部分が弾性部材14に重ならない状態で写っている。制御部40は、図9(b)に示す画像Fにおける、弾性部材14に重ならない状態で写っている硬貨Kの外形(円周の一部)を用いて、硬貨Kの形状が円であることを考慮して硬貨Kの先端部分を求めることができる。制御部40は、例えば、弾性部材14に重ならない状態で写っている硬貨Kの外形(円周の一部)を延長して辿ることで硬貨Kの先端部分を特定してもよい。つまり、制御部40は、撮像範囲Qにおける搬送方向Pの手前側の弾性部材14が配置されない領域を用いて硬貨Kの到来を検知している。なお、硬貨Kの先端部分が弾性部材14に重ならない状態で写っている場合、硬貨Kの外形から先端部分を求めずに、単純に硬貨Kの先端部分と背景(つまり、上側ガイド13)とを区別して硬貨Kの先端部分を特定してもよい。
【0036】
S120で画像Fに硬貨Kの先端が写り込んでいると判定された場合、媒体鑑別装置1の制御部40は、撮像範囲Qに硬貨Kが到来したことを検知する。そして制御部40は、硬貨Kの到来を検出するための画像Fの撮像(取得)を停止し、硬貨Kの先端が写り込んだ当該画像Fを取得した時刻を硬貨到来の時刻T1とする(S125)。また、制御部40は、硬貨到来の時刻T1を基準として、硬貨Kが識別に最適な位置に到達する時刻T2を算出する。硬貨Kの識別に最適な位置とは、例えば硬貨全体が撮像範囲Qに収まる位置である。時刻T2を導出する方法は限定されないが、例えば撮像範囲Qの搬送方向Pに沿った方向の長さ、硬貨Kの大きさ(直径、半径)、および硬貨Kの搬送速度などから時刻T2が導出される。
【0037】
媒体鑑別装置1の制御部40は、算出した時刻T2のタイミングで撮像部31に撮像させ、識別に最も適した位置に硬貨Kがある画像Fを取得する(S130)。次に、制御部40は、時刻T2に取得した画像Fに対して硬貨識別に関する処理を行い、硬貨の金種や真偽を識別する(S135)。
【0038】
図8(c)は、硬貨Kが識別に最適な位置に到達した状態の例示である。この場合、図9(c)に示すように、硬貨K全体が撮像されており硬貨Kと弾性部材14とが重なった部分を除いても硬貨Kの全体外形の多くの部分が弾性部材14に重ならない状態で写っており(上述の条件A)、硬貨Kの形状が円であることを考慮して、硬貨Kの外形を計測できる。また、計測された外形(円)の内部の画像、硬貨Kのサイズや模様から硬貨Kを識別可能である。
【0039】
S135の後、媒体鑑別装置1の制御部40は、全ての硬貨Kの搬送が終了したか否かを判定する(S140)。S140の判定で、全ての硬貨Kの搬送が終了していないと判定された場合(S140で“No”)に、処理をS115に戻して硬貨Kを検出するための画像Fの連続取得を再開する。一方、全ての硬貨Kの搬送が終了したと判定された場合(S140で“Yes”)に、制御部40は、照明部32を消灯し(S145)、搬送手段20の搬送ベルト21を停止させて硬貨の搬送を終了する(S150)。これにより、一連のルーチンの処理が終了する。
【0040】
次に、図10を参照して、異物Jが搬送された場合を想定して説明する。異物Jが搬送された場合、硬貨Kの先端部分が検知されず硬貨識別に処理が移行しないため(図7に示す動作においてS120からS125へ移行しないため)、原則として固定周期での画像取得が継続される。
図10(a)は、撮像範囲Qに異物Jが到達していない状態の例示である。この場合、図示は省略するが、硬貨Kの場合と同様に、撮像部31が固定周期で撮像した画像Fには弾性部材14のみが写り込んでいる。
【0041】
図10(b)は、図10(a)の次の撮像周期の状態の例示である。ここでは、硬貨Kが撮像範囲Qの搬送方向Pの1/2の位置に到達するタイミングで画像Fの連続取得を行う場合を想定している(つまり、画像Fを撮像する一周期で硬貨Kが撮像範囲Qの1/2の距離を進む)。この場合、画像Fにおいて異物Jが弾性部材14に重なってしまい、硬貨Kの場合(図9(b))とは異なり、制御部40は異物Jを検知することができない。
【0042】
図10(c)は、図10(b)の次の撮像周期の状態の例示である。この状態では、撮像範囲Qの奥側部分で異物Jを弾性部材14に重ならずに撮像可能であり、一つ前の撮像周期で到来を検知できなかった異物Jに対しても検知可能である。つまり、本実施形態では、撮像範囲Qにおける搬送方向Pの奥側に弾性部材14が配置されない領域があるので、この領域を用いて異物Jの到来を検知している。言い換えると、硬貨Kの搬送速度と到来検知の為に画像Fを連続撮像するタイミングとの関係を考慮し、ある時点のタイミングで画像Fにおいて異物Jと弾性部材14とが重なる場合でも、次の時点のタイミングでは画像Fにおいて異物Jと弾性部材14とが重ならないように弾性部材14を配置することで、異物Jの未検出を抑制することができる。その為、異物Jに対して返却するなどの対応が可能となる。なお、撮像範囲Qにおける搬送方向Pの手前側の弾性部材14が配置されない領域で異物Jが撮像された場合は、当該画像から異物Jの到来を検知してもよい。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る媒体鑑別装置1は、硬貨Kに対して搬送面Raに押し付ける力を与える弾性部材14を撮像範囲Q内に設置しているので、撮像時に硬貨Kが浮くことを抑制できる。その為、硬貨Kを撮像した画像Fでは、硬貨Kのサイズが本来のサイズよりも小さく見えたり、楕円等に変形して見えてしまうという問題が生じず、また、明るさが不均一にもならず、高い精度の鑑別を実現できる。
また、本実施形態に係る媒体鑑別装置1は、撮像部31の撮像範囲Q内であって搬送方向Pに対して中央付近に弾性部材14を配置している。その為、弾性部材14を配置しない領域を用いて、硬貨Kの到来検知や異物Jの検出を確実に行うことが可能である。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例は、例えば以下に示すものである。
【0045】
本実施形態では、図1に示すように、例えば撮像範囲Qを搬送方向Pと直交する方向に三等分した場合の中央の領域に弾性部材14を配置した。しかしながら、図11に示すように、撮像範囲Qを搬送方向Pと直交する方向に三等分した場合の中央の領域に対する、搬送方向Pの手前側の領域および奥側の領域の一部にまたがって弾性部材14が配置されていてもよい。本発明においては、図11のような弾性部材14の配置も、撮像部31の撮像範囲Q内であって、搬送方向Pに対して中央付近に弾性部材を配置する一例である。この場合、図11に示す領域97が搬送方向Pに対して中央付近の領域であり、領域98が撮像範囲Qにおける搬送方向Pの手前側の弾性部材14が配置されない領域であり、領域99が撮像範囲Qにおける搬送方向Pの奥側の弾性部材14が配置されない領域である。
【0046】
本実施形態では、図1に示すように、搬送手段20の左右両側であって搬送方向Pに沿って二個ずつ(合計で四個)弾性部材14を並べて配置していた。しかしながら、撮像部31の撮像範囲Q内において搬送方向Pに対して中央付近に弾性部材14を配置するのであれば、他の配置にすることも可能である。例えば、図12および図13に示す配置にしてもよい。図12に示す媒体鑑別装置101では、搬送方向に長い弾性部材114を搬送手段20の左右両側に一つずつ配置している。また、図13に示す媒体鑑別装置201では、図12に示すものよりも幅の広い弾性部材214を搬送手段20の左右両側に一つずつ配置している。
【0047】
また、弾性部材を図14ないし図18に示す配置にしてもよい。図14に示す媒体鑑別装置301では、長方形状の弾性部材314を搬送手段20の左右両側に二つずつ配置している。各々の弾性部材314は、搬送方向に対して平行ではなく所定の角度をもって配置されており、搬送手段20の左側および右側で「ハの字」を呈している。
図15に示す媒体鑑別装置401では、長方形状の弾性部材414を搬送手段20の左右両側に一つずつ配置している。各々の弾性部材414は、搬送方向に対して平行ではなく所定の角度をもって配置されており、「ハの字」を呈している。
図16に示す媒体鑑別装置501では、搬送手段20が搬送路の中央よりも左右の何れかに偏った位置に配置されている(図16では右側に偏って配置されている)。この場合、弾性部材のサイズや配置を搬送手段20の配置に対応させるのがよい。例えば、図16に示すように、弾性部材514のサイズを搬送手段20の左右で異ならせてもよい。また、図17に示す媒体鑑別装置601のように、弾性部材614を搬送手段20の左右何れかにのみ配置してもよい。また、図18に示す媒体鑑別装置701のように、搬送手段20の左右何れかにのみ配置した弾性部材714を搬送方向に対して平行ではなく所定の角度をもって配置してもよい。
【0048】
本実施形態では、上述のように「押圧部材」の一例として弾性部材14を例示したが、硬貨Kを下側ガイド11(つまり、搬送面Ra)に押さえつける力を発生することができれば、他の手段を用いてもよい。例えば、上側ガイド13に押圧部材としての押さえローラや押さえアームを、搬送路の上下方向(図2の上下方向)に揺動が可能なように設け、これをばね等で上側ガイド13から下側ガイド11に向かう方向に付勢し、押圧部材の下方に硬貨Kが位置した際に硬貨Kを下側ガイド11(つまり、搬送面Ra)に押さえつけるようにしてもよい。
【0049】
また、実施形態および変形例で説明した媒体鑑別装置1,101,201,301,401,501,601,701は、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)、入出金管理装置、釣銭機などの貨幣取扱装置に適用可能である。
図19に、現金自動預け払い機の概略外観図を示す。図19に示す現金自動預け払い機1001は、顧客に対して金融サービスを提供するためのアクセスポイントとしての役割を果たすものである。現金自動預け払い機1001は、例えば銀行の支店、コンビニエンスストアなどに設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。
図20に、入出金管理装置の概略外観図を示す。図20に示す入出金管理装置1002は、流通市場(例えば、スーパーマーケットおよび小売店舗など)や、銀行などの金融機関などに設置され、釣銭準備金や売上金などを管理する。入出金管理装置1002は、例えば、釣銭出金取引、売上入金取引、計数取引、補充取引、抜き取り取引、精査集計取引、回収取引、精査取引などの取引機能を有している。
図21に、釣銭機の概略外観図を示す。図21に示す釣銭機1003は、購入商品の精算や、代金の入金処理及び釣銭の出金処理を行う。釣銭機1003は、例えば、スーパーマーケット、量販店、コンビニエンスストア等の小売店舗の精算所に設置され、POS(Point Of Sales)レジスタと共に使用される。
【符号の説明】
【0050】
1,101,201,301,401,501,601,701 媒体鑑別装置
10 搬送路機構
11 下側ガイド
11a ガラス板(透光領域)
12 搬送ガイド
13 上側ガイド
14,114,214,314,414,514,614,714 弾性部材(押圧部材)
20 搬送手段
21 搬送ベルト
22 搬送ピン
30 撮像機構
31 撮像部
32 照明部
33 遮光部
40 制御部
1001 現金自動預け払い機(貨幣取扱装置)
1002 入出金管理装置(貨幣取扱装置)
1003 釣銭機(貨幣取扱装置)
K 硬貨(媒体)
R 搬送路
Ra 搬送面
P 搬送方向
Q 撮像範囲
J 異物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21