(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】電力量計用バイパス工具のガイドカバー
(51)【国際特許分類】
G01R 11/00 20060101AFI20250212BHJP
G01R 11/04 20060101ALI20250212BHJP
G01R 1/04 20060101ALI20250212BHJP
G01R 22/06 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G01R11/00 H
G01R11/04 B
G01R1/04 A
G01R22/06 130H
(21)【出願番号】P 2021009974
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】遠山 優
(72)【発明者】
【氏名】神田 真誠
(72)【発明者】
【氏名】大山 貴弘
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特許第7253737(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 11/00
G01R 11/04
G01R 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力量計の計量器が着脱される端子ブロックの端子を短絡する電力量計用バイパス工具に装着される電力量計用バイパス工具のガイドカバーであって、
前記電力量計用バイパス工具に装着される装着部と、
前記電力量計用バイパス工具の上方に延長されていて前記計量器の側面をガイドする一対のガイド壁部と、
前記ガイド壁部に渡されていて前記計量器の前面をガイドする前ガイドとを備え
、
前記前ガイドは、当該ガイドカバーが装着された前記電力量計用バイパス工具を、建物の壁に取り付けられている前記端子ブロックに取り付けた状態において、前記端子ブロックより高い位置に配置され
ていて、
前記前ガイドは、前記計量器を前記端子ブロックに挿入する際、前記計量器が前記端子ブロックに対する奥行方向に回転した状態で挿入されることを規制することを特徴とする電力量計用バイパス工具のガイドカバー。
【請求項2】
前記装着部は、前記電力量計用バイパス工具の側面に係止する爪部を有することを特徴する請求項1に記載の電力量計用バイパス工具のガイドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計の計量器を端子ブロックに対して着脱する際にガイドする電力量計用バイパス工具のガイドカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力量計として、通信機能を具備した電子式電力量計いわゆるスマートメーターが普及している。スマートメーターに限らず、電力量計は検定有効期限(例えば10年)を超過する前に交換が必要となる。しかしながら、スマートメーターよりも従前の電力量計は、電力量計を完全に取り外して交換作業を行うため、一時的に停電が生じ、需要家への負担が生じていた。
【0003】
これに対し、スマートメーターは端子ブロックに対して計量器が着脱可能となっている。このため、端子ブロックから計量器を取り外して、計量器のみを交換することができる。そこで例えば特許文献1に開示されている電力量計用バイパス工具を用いることで、無停電でスマートメーターの計量器の交換作業を行うことが可能となっている。
【0004】
特許文献1に開示されているように、電力量計用バイパス工具は、電力量計の端子ブロックに設けられた二対の端子を短絡する二本のブスバを備えている。これにより、計量器を交換する際に端子ブロックを短絡させることで、無停電状態で計量器の交換を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に開示されている電力量計用バイパス工具を用いることにより、スマートメーターの計量器を無停電状態で交換することができる。しかしながら、新たな計量器を端子ブロックに挿入する際に正確に位置決めができないと、異相間短絡が発生し、事故につながるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、新たな計量器を端子ブロックに挿入する際の位置ずれを確実に防止することができ、位置ずれに起因する異相間短絡の発生を防ぐことが可能な電力量計用バイパス工具のガイドカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電力量計用バイパス工具のガイドカバーの代表的な構成は、電力量計の計量器が着脱される端子ブロックの端子を短絡する電力量計用バイパス工具に装着される電力量計用バイパス工具のガイドカバーであって、電力量計用バイパス工具に装着される装着部と、電力量計用バイパス工具の上方に延長されていて計量器の側面をガイドする一対のガイド壁部と、ガイド壁部に渡されていて前記計量器の前面をガイドする前ガイドとを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、一対のガイド壁部によって計量器の幅方向の位置を規制することができる。そして、前ガイドが設けられていることにより、計量器の奥行方向の位置を規制することができる。したがって、計量器の位置決めを正確に行うことができ、位置ずれに起因する異相間短絡を確実に防止することが可能となる。
【0010】
上記装着部は、電力量計用バイパス工具の側面に係止する爪部を有するとよい。かかる構成によれば、ガイドカバーをバイパス工具に容易に取り付けることができる、したがって、作業工程を簡略化することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、新たな計量器を端子ブロックに挿入する際の位置ずれを確実に防止することができ、位置ずれに起因する異相間短絡の発生を防ぐことが可能な電力量計用バイパス工具のガイドカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の電力量計用バイパス工具のガイドカバーを説明する分解斜視図である。
【
図3】端子ブロックへの計量計の装着を説明する図である。
【
図4】計量器の幅方向での異相間短絡を説明する図である。
【
図5】計量器の奥行方向での異相間短絡を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態の電力量計用バイパス工具(以下、バイパス工具30と称する)のガイドカバー100(以下、ガイドカバー100と称する)を説明する分解斜視図である。
図2は、ガイドカバー100の全体斜視図である。
【0015】
図1に示す計量器10は、運用時は端子ブロック20に取り付けられて通電している。端子ブロック20には系統から引かれた電線と屋内配線(不図示)が3本ずつ端子22に接続されている。
図1に示す計量器10を交換する際には、まずバイパス工具30を端子ブロック20に取り付け、そして交換対象の計量器10を端子ブロック20から取り外す。バイパス工具30には、本実施形態の電力量計用バイパス工具のガイドカバーをあらかじめ取り付け、新たな計量器10を端子ブロック20に装着する際のガイドとする。
【0016】
バイパス工具30には、ブスバ32a・32bが内蔵されている。そして、ブスバ32a・32bそれぞれに接続されている二対の端子34a・34b、36a・36bが端子ブロック20の端子22に接続されることで、端子ブロック20を短絡させる。これにより、無停電状態で計量器10の交換を行うことができる。
【0017】
図1に示すガイドカバー100は、電力量計の計量器10が着脱される端子ブロック20の端子を短絡するバイパス工具30に装着される。
図1および
図2に示すように、本実施形態のガイドカバー100は、バイパス工具30に装着される装着部110を有する。
【0018】
図2に示すように、本実施形態では、装着部110は、バイパス工具30の側面に係止する爪部122を有する。これにより、ガイドカバー100をバイパス工具30に容易に一体化することができるため、作業工程を簡略化することが可能となる。
【0019】
図3は、端子ブロック20への計量器10の装着を説明する図である。本実施形態の100では、装着部110には、上方に向かって延長された一対のガイド壁部120が設けられている。そして本発明の特徴として、一対のガイド壁部120の間に渡されて計量器10の前面10bをガイドする前ガイド130を設ける。
【0020】
ガイド壁部120は、バイパス工具30の上方までに延長されていて計量器10の側面10aをガイドする。これにより、計量器10の幅方向の位置を規制することができる。
【0021】
図4は、計量計の幅方向での異相間短絡を説明する図である。
図4(a)に示すように、ガイドカバー100を用いない場合、幅方向における計量器10位置ずれが生じる。すると計量器10の端子が端子ブロック20の対応する端子の隣の端子に接触してしまい、
図4(b)に示すように異相間短絡が生じてしまう。これに対し、ガイド壁部120を設けることにより、幅方向の位置ずれを規制し、かかる位置ずれに起因する異相間短絡を好適に防ぐことができる。
【0022】
しかしながら、ガイド壁部120だけでは短絡を確実に防ぐことができない。
【0023】
図5は、計量器10の奥行方向での異相間短絡を説明する図である。
図5(a)に示すように仮にガイドカバー50がガイド壁部120のみを有する場合、幅方向での位置決めはできる。しかしながら、
図5(b)に示すように計量器10が端子ブロック20に対して奥行方向に回転してしまうと、ガイド壁部120を外れて幅方向にずれることができてしまうため、やはり短絡を生じてしまう。すなわち、ガイド壁部120のみを有する構成であると、奥行方向の計量器10の回転に起因する位置ずれを確実に規制することができない。
【0024】
そこで
図3に示すように、本実施形態では、ガイドカバー100に、一対のガイド壁部120の間に渡されて計量器10の前面10bをガイドする前ガイド130を設ける。これにより、計量器10が回転していると計量器10の前面10bが前ガイド130に衝突するため、端子ブロック20に近づけることができない。すなわち、計量器10の端子ブロック20に対する奥行方向の回転を規制することができる。したがって、計量器10の位置決めを正確に行うことができ、位置ずれに起因する異相間短絡を確実に防止することが可能となる。
【0025】
なお、前ガイド130の高さはガイド壁部120の上端よりも低い位置に配置されているとよい。端子ブロック20は通常は建物の壁に取り付けられている。ガイド壁部120の方が高いことにより、計量器10を端子ブロック20の前側から一対のガイド壁部120の間に水平方向奥側に入り込ませて、それから計量器10を下に降ろして端子ブロック20に接続することができる。
【0026】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、電力量計の計量器を端子ブロックに対して着脱する際にガイドする電力量計用バイパス工具のガイドカバーとして利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10…計量器、10a…側面、10b…前面、20…端子ブロック、22…端子、30…バイパス工具、32a・32b…ブスバ、50…ガイドカバー、100…ガイドカバー、110…装着部、120…ガイド壁部、122…爪部、130…前ガイド