(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20250212BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250212BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 110
H02J13/00 301B
(21)【出願番号】P 2021010134
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-11-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発/研究開発項目[1]-2 慣性力等の低下に対応するための基盤技術の開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 良彦
(72)【発明者】
【氏名】大原 尚
(72)【発明者】
【氏名】里 悠太
(72)【発明者】
【氏名】保坂 直貴
(72)【発明者】
【氏名】草柳 儀隆
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-327079(JP,A)
【文献】井上 俊雄 谷口 治人 吉田 潔史 谷口 安幸,実験結果に基づく系統周波数特性の推定手法の開発,日本,電力中央研究所,1995年05月31日,4-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/38
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の発電機を含む交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数を示す周波数情報
を取得し、前記
電力の周波数を変化させるイベントが生じたと推定される推定期間
における各時刻を前記イベントが発生した時刻候補とし、前記時刻候補毎に、前記推定期間を含む対象期間
のうち前記推定期間よりも前の第1時刻から前記時刻候補までの第1対象期間における前記周波数情報と、前記対象期間のうち前記時刻候補から前記推定期間よりも後の第2時刻までの第2対象期間における前記周波数情報
とに基づいて、前記イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記時刻候補毎に、前記第1対象期間における前記周波数情報が示
す周波数の波形の直線近似と、前記第2対象期間における前記周波数情報が示
す周波数の波形の多項式近似とを行うことにより、前記イベント発生時刻を推定する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
最小二乗法に基づいて、前記直線近似及び前記多項式近似を前記時刻候補毎に行う、
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
受け付けた操作に応じて、前記推定期間、前記第1時刻、前記第2時刻のそれぞれを特定する、
請求項
1から
3のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定期間を推定し、推定した前記推定期間に応じて、前記第1時刻、前記第2時刻のそれぞれを特定する、
請求項
1から
3のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象期間における前記周波数情報が示す周波数と、前記交流連系系統内の予め決められた第2地点における時刻毎の
前記電力の周波数を示す第2周波数情報のうち前記対象期間における前記第2周波数情報が示す周波数とに基づいて、前記イベント発生時刻を推定する、
請求項1から
5のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記対象期間における前記周波数情報が示す周波数と、前記対象期間における前記第2周波数情報が示す周波数との加重平均の結果として得られる周波数に基づいて、前記イベント発生時刻を推定する、
請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記対象期間における前記周波数情報が示す周波数に応じた値に基づいて、前記イベント発生時刻を推定する、
請求項1から
5のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
1つ以上の発電機を含む交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数を示す周波数情報を取得し
、前記
電力の周波数を変化させるイベントが生じたと推定される推定期間
における各時刻を前記イベントが発生した時刻候補とし、前記時刻候補毎に、前記推定期間を含む対象期間
のうち前記推定期間よりも前の第1時刻から前記時刻候補までの第1対象期間における前記周波数情報と、前記対象期間のうち前記時刻候補から前記推定期間よりも後の第2時刻までの第2対象期間における前記周波数情報に基づいて、前記イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピューターに、
1つ以上の発電機を含む交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数を示す周波数情報を取得させ、
前記
電力の周波数を変化させるイベントが生じたと推定される推定期間
における各時刻を前記イベントが発生した時刻候補とし、前記時刻候補毎に、前記推定期間を含む対象期間
のうち前記推定期間よりも前の第1時刻から前記時刻候補までの第1対象期間における前記周波数情報と、前記対象期間のうち前記時刻候補から前記推定期間よりも後の第2時刻までの第2対象期間における前記周波数情報に基づいて、前記イベントが生じたイベント発生時刻を推定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交流連系系統の系統慣性を推定する技術についての研究、開発が行われている。交流連系系統は、1つ以上の発電機を含み、これら1つ以上の発電機による同期発電が行われる交流電力系統のことである。また、交流連系系統の系統慣性は、交流連系系統に含まれる1つ以上の発電機それぞれの回転体(すなわち、発電機の回転子、タービン等)の慣性モーメントの総和のことである。
【0003】
ここで、交流連系系統では、交流連系系統に含まれる1つ以上の発電機それぞれの回転体は、すべて同期回転し、系統周波数として1つの周波数を作る。このため、交流連系系統における発電機の脱落等によって交流連系系統の系統慣性が変化すると、系統周波数が動揺する。系統周波数の動揺は、交流連系系統による電力の供給品質、発電機同士の同期の安定性に影響を与えることがある。従って、交流連系系統の系統慣性は、交流連系系統による電力の安定供給の観点から、常に一定値以上であることが求められている。このような事情から、交流連系系統の系統慣性を精度よく推定することが望まれることも少なくない。
【0004】
交流連系系統の系統慣性を推定する方法として、RoCoF(Rate of Change of Frequency)法が知られている。RoCoF法は、系統周波数が動揺した場合における系統周波数についてのRoCoF(すなわち、系統周波数の変化率)を推定し、推定したRoCoFに基づいて、交流連系系統の系統慣性を推定する方法のことである。
【0005】
ここで、交流連系系統に含まれる1つ以上の発電機それぞれの回転体の運動エネルギーは、交流連系系統に含まれる1つ以上の発電機それぞれの回転体の慣性モーメントと見做すことができる。これは、交流連系系統に含まれる1つ以上の発電機それぞれの回転体の運動エネルギーが、回転体の慣性モーメントに、回転体の角速度の二乗(すなわち、回転体の周波数の二乗)を乗じることによって求められるからである。従って、交流連系系統では、交流連系系統の系統慣性を、交流連系系統に含まれる1つ以上の発電機それぞれの回転体の運動エネルギーの総和として算出することができる。そして、このような運動エネルギーの総和は、運動エネルギーの総和を示す数式を時間微分することにより得られる動揺方程式によって、系統周波数についてのRoCoFと関係付けることができる。RoCoF法は、この動揺方程式を用いて、当該RoCoFに基づいて、交流連系系統の系統慣性(より正確には、当該系統慣性と見做すことができる運動エネルギーの総和)を求める方法である。本明細書では、RoCoF法が既知であるため、RoCoF法についてこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0006】
なお、交流連系系統において、系統周波数は、通常、時間的に小さく動揺しながらも、常に一定の範囲内の値を保つように制御されている。このため、RoCoF法により交流連系系統の系統慣性を推定するために用いるRoCoFを得るためには、当該範囲から逸脱するほど系統周波数が大きく変化する必要がある。そこで、RoCoF法による交流連系系統の系統慣性の推定では、交流連系系統からの発電機の脱落、交流連系系統に接続される負荷の脱落等のイベントが生じた場合における系統周波数についてのRoCoFが用いられることが多い。何故なら、当該場合、交流連携系統における供給電力又は消費電力がステップ状(階段関数状)に大きく変化した結果として、系統周波数が大きく変化することが知られているからである。
【0007】
しかしながら、上記のようなイベントが交流連系系統において生じた場合におけるRoCoF法による交流連系系統の系統慣性の推定精度は、交流連系系統においてイベントが生じた時刻の推定精度に依存する。そして、当該時刻の推定精度は、当該時刻の推定を行う人の推定についての習熟度に依存してしまう。このため、RoCoF法においては、当該時刻の推定を行う人の推定についての習熟度に依らずに、当該時刻を客観的に決定する方法の確立が求められている。
【0008】
これに関し、交流連系系統においてイベントが生じた時刻として、RoCoFが0.4[Hz/s]を下回った時刻を用いて、RoCoF法により、交流連系系統の系統慣性を推定する方法が知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】「実測結果に基づく系統周波数特性の推定手法の開発」、電力中央研究所報告、研究報告:T94016、平成7年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、交流連系系統においてイベントが生じた時刻として、RoCoFが0.4[Hz/s]を下回った時刻を用いることを正当化する理由は、交流連系系統の系統慣性の推定精度が経験則上高くなるということ以外に存在しない。すなわち、上記の非特許文献1に記載されたような方法では、経験則という主観を排除することができず、交流連系系統においてイベントが生じた時刻の推定についての客観性が不十分であった。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、1つ以上の発電機を含む交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数を示す周波数情報を取得し、前記電力の周波数を変化させるイベントが生じたと推定される推定期間における各時刻を前記イベントが発生した時刻候補とし、前記時刻候補毎に、前記推定期間を含む対象期間のうち前記推定期間よりも前の第1時刻から前記時刻候補までの第1対象期間における前記周波数情報と、前記対象期間のうち前記時刻候補から前記推定期間よりも後の第2時刻までの第2対象期間における前記周波数情報とに基づいて、前記イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、情報処理装置である。
【0015】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置が、前記時刻候補毎に、前記第1対象期間における前記周波数情報が示す周波数の波形の直線近似と、前記第2対象期間における前記周波数情報が示す周波数の波形の多項式近似とを行うことにより、前記イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0019】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置が、前記対象期間における前記周波数情報が示す周波数と、前記交流連系系統内の予め決められた第2地点における時刻毎の前記電力の周波数を示す第2周波数情報のうち前記対象期間における前記第2周波数情報が示す周波数とに基づいて、前記イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0022】
また、本発明の他の態様は、1つ以上の発電機を含む交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数を示す周波数情報を取得し、前記電力の周波数を変化させるイベントが生じたと推定される推定期間における各時刻を前記イベントが発生した時刻候補とし、前記時刻候補毎に、前記推定期間を含む対象期間のうち前記推定期間よりも前の第1時刻から前記時刻候補までの第1対象期間における前記周波数情報と、前記対象期間のうち前記時刻候補から前記推定期間よりも後の第2時刻までの第2対象期間における前記周波数情報に基づいて、前記イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、情報処理方法である。
【0023】
また、本発明の他の態様は、コンピューターに、1つ以上の発電機を含む交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数を示す周波数情報を取得させ、前記電力の周波数を変化させるイベントが生じたと推定される推定期間における各時刻を前記イベントが発生した時刻候補とし、前記時刻候補毎に、前記推定期間を含む対象期間のうち前記推定期間よりも前の第1時刻から前記時刻候補までの第1対象期間における前記周波数情報と、前記対象期間のうち前記時刻候補から前記推定期間よりも後の第2時刻までの第2対象期間における前記周波数情報に基づいて、前記イベントが生じたイベント発生時刻を推定させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】イベン発生時刻の前後における代表地点の系統周波数の時間的な変化の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示したグラフ上にフィッティング関数を重畳させた図である。
【
図4】イベン発生時刻の前後における代表地点の電力の時間的な変化の一例を示す図である。
【
図5】
図4に示したグラフ上にフィッティング関数を重畳させた図である。
【
図6】情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】情報処理装置20の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】情報処理装置20がイベント発生時刻及び系統慣性を推定する処理の流れの一例を示す図である。
【
図9】ステップS130において記憶部22から読み出した周波数情報が示す系統周波数の波形と、ステップS140において導出された系統周波数についてのフィッティング関数とを重ねて表示したグラフの一例を示す図である。
【
図10】ステップS130において記憶部22から読み出した電力情報が示す電力の波形と、ステップS140において導出された電力についてのフィッティング関数とを重ねて表示したグラフの一例を示す図である。
【
図11】情報処理装置20が測定装置10から周波数情報と電力情報とを取得する処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、ある地点において測定された電力の周波数と称した場合、当該地点において測定された電圧の周波数、又は、当該地点において測定された電流の周波数のことを意味する。
【0027】
<情報処理システムの構成>
まず、実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。
図1は、情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0028】
情報処理システム1は、交流連系系統の系統慣性を推定する。
【0029】
ここで、交流連系系統は、1つ以上の発電機を含み、これら1つ以上の発電機による同期発電が行われる交流電力系統のことである。例えば、日本における中部、北陸、関西、中国、四国、九州から成る範囲の交流電力系統(中西系統と呼ばれることがある)は、交流連系系統の一例である。交流連系系統の系統慣性は、交流連系系統に含まれる1つ以上の発電機それぞれの回転体(すなわち、発電機の回転子、タービン等)の慣性モーメントの総和のことである。以下では、一例として、情報処理システム1が、
図1に示した交流連系系統Rの系統慣性を推定する場合について説明する。
【0030】
交流連系系統Rは、1つ以上の発電機として、発電機PP1~発電機PP4の4つの発電機を含む。交流連系系統Rでは、これら4つの発電機による同期発電が行われる。また、交流連系系統Rでは、これら4つの発電機それぞれの回転体は、すべて同期回転し、系統周波数として1つの周波数を作る。以下では、説明の便宜上、これら4つの発電機それぞれの回転体が作る系統周波数を、単に系統周波数と称して説明する。ここで、系統周波数は、回転体の回転についての周波数であるが、交流連系系統Rに含まれる地点のうち系統周波数が測定される地点において測定される電力の周波数と実用上等価であることが知られている。このため、系統周波数の測定は、当該電力の周波数を測定することによって行われる。すなわち、系統周波数は、交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数の一例である。なお、交流連系系統Rには、これら4つの発電機に加えて、変電所等の他の設備が含まれている。しかしながら、
図1では、図を簡略化するため、当該他の設備が省略されている。また、交流連系系統Rは、3つ以下の発電機を含む構成であってもよく、5つ以上の発電機を含む構成であってもよい。
【0031】
発電機PP1~発電機PP4のそれぞれは、例えば、火力発電、水力発電、原子力発電、太陽光発電、地熱発電、潮力発電等により電力の供給を行う発電機である。発電機PP1~発電機PP4のうちの一部又は全部は、互いに同じ種類の発電により電力の供給を行う発電機であってもよく、互いに異なる種類の発電により電力の供給を行う発電機であってもよい。
【0032】
また、情報処理システム1は、RoCoF(Rate of Change of Frequency)法により、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0033】
RoCoF法は、系統周波数が動揺した場合における系統周波数についてのRoCoF(すなわち、系統周波数の変化率)を推定し、推定したRoCoFに基づいて、交流連系系統の系統慣性を推定する方法のことである。一般的な交流連系系統において、系統周波数は、通常、時間的に小さく動揺しながらも、常に一定の範囲内の値を保つように制御されている。これは、交流連系系統Rについても同様である。このため、RoCoF法により交流連系系統Rの系統慣性を推定するために用いるRoCoFを得るためには、当該範囲から逸脱するほど系統周波数が大きく変化する必要がある。
【0034】
そこで、情報処理システム1は、RoCoF法による交流連系系統Rの系統慣性の推定において、交流連系系統Rからの発電機の脱落、交流連系系統Rに接続される負荷の脱落等のイベントが生じた場合における系統周波数についてのRoCoFを用いる。これは、当該場合、交流連携系統における供給電力又は消費電力がステップ状(階段関数状)に大きく変化した結果として、系統周波数が大きく変化することが知られているためである。以下では、説明の便宜上、交流連系系統Rからの発電機の脱落、交流連系系統Rに接続される負荷の脱落等のイベントを、単にイベントと称して説明する。なお、イベントが生じた場合、交流連系系統Rの各地点の電力に応じた値も、系統周波数とともに変化する。当該値は、例えば、交流連系系統Rの各地点における電圧、電流、及び電力そのもの、位相角等であるが、これらに限られるわけではない。
【0035】
情報処理システム1は、測定装置10と、情報処理装置20を備える。
【0036】
測定装置10は、交流連系系統R内の予め決められた代表地点に設けられる。代表地点は、交流連系系統Rに含まれる地点のうち、系統周波数を測定可能な地点であれば、如何なる地点であってもよい。ここで、系統周波数は、前述した通り、交流連系系統Rに含まれる地点のうち系統周波数が測定される地点において測定される電力の周波数として測定される。このため、代表地点は、交流連系系統Rにより供給される電力を測定可能な地点と換言することができる。例えば、代表地点は、交流連系系統R内に含まれる変電所等である。なお、以下では、説明の便宜上、代表地点において測定装置10により測定されたある物理量Xを、代表地点の物理量Xと称して説明する。物理量Xは、系統周波数、電力、電圧、電流、位相角等のことである。
【0037】
測定装置10は、代表地点の時刻毎の系統周波数と、代表地点の時刻毎の電力に応じた値(例えば、電圧、電流、位相角、及び電力そのもの等)とを測定する。測定装置10は、例えば、PMU(Phasor Measurement Unit)である。以下では、説明の便宜上、測定装置10が測定する値のうち系統周波数を除く測定値を、非周波数測定値と称して説明する。なお、測定装置10は、代表地点の時刻毎の系統周波数を測定し、代表地点の時刻毎の非周波数測定値を測定しない構成であってもよい。この場合、情報処理装置20は、測定装置10と異なる他の装置から、代表地点の時刻毎の非周波数測定値を示す非周波数測定値情報を取得する。また、測定装置10は、代表地点の時刻毎の系統周波数を測定せず、代表地点の時刻毎の非周波数測定値を測定する構成であってもよい。この場合、情報処理装置20は、測定装置10と異なる他の装置から、代表地点の時刻毎の系統周波数を示す周波数情報を取得する。
【0038】
測定装置10は、無線又は有線により、情報処理装置20と通信可能に接続される。
【0039】
情報処理装置20は、時刻毎に測定装置10により測定された系統周波数を示す周波数情報を、測定装置10から取得する。情報処理装置20は、取得した周波数情報を時刻毎に記憶する。また、情報処理装置20は、時刻毎に測定装置10により測定された非周波数測定値を示す非周波数測定値情報を、時刻毎に測定装置10から取得する。情報処理装置20は、取得した非周波数測定値情報を、時刻毎に記憶する。なお、情報処理装置20は、測定装置10が非周波数測定値を測定しない場合、非周波数測定値情報を測定装置10から取得しない。
【0040】
ここで、以下では、一例として、非周波数測定値が、電力である場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、非周波数測定値として電力を示す非周波数測定値情報を、電力情報と称して説明する。
【0041】
情報処理装置20は、例えば、交流連系系統Rの系統慣性の推定を行う動作モードとして、第1推定モード、第2推定モード、第3推定モードの3つの推定モードを有する。なお、情報処理装置20は、当該3つの推定モードのうちの一部又は全部に代えて、又は、当該3つの推定モードのうちの一部又は全部に加えて、他の推定モードを有する構成であってもよい。また、情報処理装置20は、当該3つの推定モードのうちの一部を有する構成であってもよい。
【0042】
第1推定モードは、交流連系系統Rの系統慣性の推定を行う動作モードのうち、測定装置10から取得した周波数情報に基づくイベント発生時刻の推定を伴う動作モードである。なお、イベント発生時刻は、イベントが発生した時刻のことである。
【0043】
第2推定モードは、交流連系系統Rの系統慣性の推定を行う動作モードのうち、測定装置10から取得した電力情報(非周波数測定値情報の一例)に基づくイベント発生時刻の推定を伴う動作モードである。
【0044】
第3推定モードは、交流連系系統Rの系統慣性の推定を行う動作モードのうち、測定装置10から取得した周波数情報と、測定装置10から取得した電力情報とに基づくイベント発生時刻の推定を伴う動作モードである。
【0045】
なお、情報処理装置20は、第2推定モード及び第3推定モードを有さない場合、電力情報を取得しない構成であってもよい。
【0046】
第1推定モードにおいて、情報処理装置20は、予め記憶した周波数情報のうち、受け付けた操作に応じた期間の周波数情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する。より具体的には、第1推定モードにおいて、情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する。そして、情報処理装置20は、代表地点における時刻毎の系統周波数を示す周波数情報のうち、特定した第1時刻から、特定した第2時刻までの対象期間における周波数情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する。これにより、情報処理装置20は、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる。ここで、推定期間は、イベントが生じたと推定される期間のことである。対象期間は、イベント発生時刻の推定を行う対象となる期間のことである。第1時刻は、推定期間よりも前の時刻のことであり、対象期間が始まる時刻のことである。第2時刻は、推定期間よりも後の時刻のことであり、対象期間が終わる時刻のことである。対象期間は、推定期間が含まれる期間であれば、如何なる期間であってもよい。例えば、第1時刻は、推定期間が始まる時刻よりも数秒前の時刻である。これは、イベントが生じる前の代表地点の系統周波数が、ほぼ一定に保たれているためである。また、例えば、第2時刻は、推定期間が始まる時刻よりも数秒後の時刻である。これは、イベントによる代表地点の系統周波数の動揺が、数秒以内に収まることが多いためである。
【0047】
また、第1推定モードにおいて、情報処理装置20は、イベント発生時刻を推定する際、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形(すなわち、系統周波数の時間的な変化)にフィットさせるフィッティング関数を、最適化問題を解くことにより導出する。そして、情報処理装置20は、導出したフィッティング関数に基づいて、推定期間における系統周波数についてのRoCoFを推定する。そして、情報処理装置20は、推定したRoCoFと、RoCoF法とに基づいて、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0048】
第2推定モードにおいて、情報処理装置20は、予め記憶した電力情報のうち、受け付けた操作に応じた期間の電力情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する。より具体的には、第2推定モードにおいても、情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する。そして、情報処理装置20は、代表地点における時刻毎の電力を示す電力情報のうち、特定した第1時刻から、特定した第2時刻までの対象期間における電力情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する。この場合も、情報処理装置20は、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる。
【0049】
また、第2推定モードにおいて、情報処理装置20は、推定したイベント発生時刻に基づいて、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形にフィットさせるフィッティング関数を、最適化問題を解くことにより導出する。そして、情報処理装置20は、導出したフィッティング関数に基づいて、RoCoFを推定する。そして、情報処理装置20は、推定したRoCoFと、RoCoF法とに基づいて、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0050】
第3推定モードにおいて、情報処理装置20は、予め記憶した周波数情報及び電力情報のうち、受け付けた操作に応じた期間の周波数情報及び電力情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する。より具体的には、第3推定モードにおいても、情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する。そして、情報処理装置20は、特定した第1時刻から、特定した第2時刻までの対象期間における周波数情報及び電力情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する。この場合、情報処理装置20は、イベント発生時刻の推定についての客観性を、より確実に向上させることができる。
【0051】
また、第3推定モードにおいて、情報処理装置20は、イベント発生時刻を推定する際、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形(すなわち、系統周波数の時間的な変化)にフィットさせるフィッティング関数を、最適化問題を解くことにより導出する。そして、情報処理装置20は、導出したフィッティング関数に基づいて、前述の推定期間における系統周波数についてのRoCoFを推定する。そして、情報処理装置20は、推定したRoCoFと、RoCoF法とに基づいて、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0052】
情報処理装置20は、動作モードとして第1推定モードが選択されている場合、取得した周波数情報に基づいて、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。また、情報処理装置20は、動作モードとして第2推定モード又は第3推定モードが選択されている場合、取得した周波数情報及び電力情報に基づいて、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0053】
情報処理装置20は、例えば、ワークステーション、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC等である。なお、情報処理装置20は、これらに代えて、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。
【0054】
<第1推定モードにおけるイベント発生時刻及び系統慣性の推定方法>
以下、
図2を参照し、第1推定モードにおけるイベント発生時刻及び系統慣性の推定方法について説明する。
図2は、イベン発生時刻の前後における代表地点の系統周波数の時間的な変化の一例を示す図である。
【0055】
図2に示したグラフの横軸は、時刻を示す。当該グラフの縦軸は、代表地点の系統周波数を示す。当該グラフにプロットされた曲線PL1は、測定装置10により時刻毎に測定された系統周波数を、時系列順に直線で繋いだ曲線の一例である。すなわち、曲線PL1は、代表地点の系統周波数の波形(すなわち、系統周波数の時間的な変化)の一例を示す。
【0056】
例えば、情報処理装置20のユーザーは、交流連系系統Rにおいてイベントが生じた後、
図2に示したようなグラフに基づいて、前述の推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを決める。このため、情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、
図2に示したようなグラフを表示する。この際、情報処理装置20は、イベント発生時刻を含む期間を示す情報を受け付ける。そして、情報処理装置20は、予め記憶している周波数情報の中から、受け付けた当該期間における代表地点の時刻毎の系統周波数を示す周波数情報を抽出する。情報処理装置20は、抽出した周波数情報に基づいて、
図2に示したようなグラフを生成し、生成したグラフを表示する。なお、情報処理装置20は、このようなグラフの表示を行わない構成であってもよい。この場合、
図2に示したようなグラフは、他の装置により生成される。なお、上記において説明したユーザーによる推定期間、第1時刻、第2時刻の決定は、機械学習等の機能によりユーザーの介在なしに自動的に、又は、ユーザーによる部分的な介在を伴い半自動的に、行われてもよい。
【0057】
次に、情報処理装置20のユーザーは、情報処理装置20に表示されたグラフに基づいて、推定期間を決める。より具体的には、当該ユーザーは、当該グラフに基づいて、イベント発生時刻が含まれていると推定される期間を、推定期間として決める。例えば、当該ユーザーは、代表地点の系統周波数が第1所定値以上に変化したと目視にて判定可能な期間を含む期間を、推定期間として決める。これは、イベント発生時刻の前後において、代表地点の系統周波数が第1所定値以上に変化するためである。第1所定値は、例えば、代表地点の系統周波数についての数秒移動平均(例えば、5秒移動平均線)の0.2%程度であるが、これに限られるわけではない。なお、推定期間の決め方は、これに代えて、イベント発生時刻を含む期間を推定期間として決定可能な決め方であれば、他の決め方であってもよい。なお、情報処理装置20は、抽出した周波数情報と、機械学習のモデル等とに基づいて、イベントが発生したと推定される期間を推定期間として特定する構成であってもよい。
図2に示した期間PD1は、当該グラフに基づいて当該ユーザーにより決められた推定期間の一例である。
【0058】
次に、情報処理装置20のユーザーは、決めた推定期間よりも前の時刻を、第1時刻として決める。例えば、当該ユーザーは、当該推定期間が始まる時刻よりも第1所定時間前の時刻を、第1時刻として決める。第1所定時間は、例えば、2秒である。
図2に示した時刻ts1は、当該推定期間に基づいて当該ユーザーにより決められた第1時刻の一例である。なお、第1所定時間は、2秒より短い時間であってもよく、2秒より長い時間であってもよい。また、第1時刻の決め方は、これに代えて、他の決め方であってもよい。また、情報処理装置20は、抽出した周波数情報と、機械学習のモデル等とに基づいて、イベントが発生したと推定される期間を推定期間とともに、第1時刻を特定する構成であってもよい。
【0059】
次に、情報処理装置20のユーザーは、決めた推定期間よりも後の時刻を、第2時刻として決める。例えば、当該ユーザーは、推定期間が終わる時刻よりも第2所定時間後の時刻を、第2時刻として決める。第2所定時間は、例えば、2秒である。
図2に示した時刻te1は、当該推定期間に基づいて当該ユーザーにより決められた第2時刻の一例である。なお、第2所定時間は、2秒より短い時間であってもよく、2秒より長い時間であってもよい。また、第2所定時間は、第1所定時間と同じ時間であってもよく、第1所定時間と異なる時間であってもよい。また、第2時刻の決め方は、これに代えて、他の決め方であってもよい。また、情報処理装置20は、抽出した周波数情報と、機械学習のモデル等とに基づいて、イベントが発生したと推定される期間を推定期間とともに、第2時刻を特定する構成であってもよい。
【0060】
ここで、第1時刻である時刻ts1から第2時刻である時刻te1までの期間をn-1等分し、時刻ts1を時刻t
1とし、時刻te1を時刻t
nとすることにより、対象区間の任意の時刻を、t
iによって表すことができる。ただし、nは、1以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。そして、iは、1以上n以下の閉区間に含まれる整数のうちのいずれかの整数を示す。なお、
図2に示した期間PD2は、時刻t
1から時刻t
nまでの期間(時刻ts1から時刻te1までの期間)、すなわち、前述の対象期間の一例である。
【0061】
情報処理装置20のユーザーは、このようにして決めた推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを、情報処理装置20に入力する。すなわち、情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する。情報処理装置20は、特定した第1時刻及び第2時刻に基づいて、対象期間を算出する。情報処理装置20は、予め記憶した周波数情報の中から、算出した対象期間における周波数情報を抽出する。情報処理装置20は、抽出した周波数情報に基づいて、対象期間における代表地点の系統周波数の波形にフィットさせるフィッティング関数を、目的関数を最小化する最適化問題を解くことにより推定する。以下では、一例として、第1推定モードにおいて、情報処理装置20が最小二乗法を用いて当該最適化問題を解くことによりフィッティング関数を推定する場合について説明する。
【0062】
ここで、情報処理装置20は、情報処理装置20がフィッティング関数を最小二乗法によって推定する際、フィッティング関数に含まれる1つ以上の実数係数とともに、イベント発生時刻を未知数(フィッティングパラメーター)として扱う。以下では、説明の便宜上、イベント発生時刻の候補を、時刻候補tmによって示す。mは、1以上n以下の閉区間に含まれる整数のうちのいずれかの整数を示す。ただし、時刻候補tmは、推定期間に含まれる時刻である。また、情報処理装置20は、例えば、フィッティング関数として、多項式を用いる。以下では、一例として、フィッティング関数が、5次の多項式である場合について説明する。この場合、情報処理装置20がフィッティング関数を最小二乗法によって推定する際の未知数は、5次の多項式であるフィッティング関数に含まれる6つの実数係数と、イベント発生時刻の候補である時刻候補tmとのそれぞれである。なお、フィッティング関数は、多項式に代えて、指数関数等の他の関数であってもよい。また、フィッティング関数は、4以下の次数の多項式であってもよく、5以上の次数の多項式であってもよい。
【0063】
例えば、推定期間に含まれるある時刻tx1を、時刻候補tmとして選択した場合、最小二乗法により最小化させる目的関数Jfは、以下の式(1)~式(3)のように定式化される。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
上記の式(1)の右辺括弧内第1項は、測定装置10が時刻tiに測定した系統周波数を示す。式(1)の右辺括弧内第2項は、フィッティング関数であり、時刻に応じて式(2)又は式(3)のように5次の多項式として表される。時刻t1から時刻tm-1までの期間では、フィッティング関数は、式(2)により表される。以下では、説明の便宜上、当該期間を、第1対象期間と称して説明する。第1対象期間は、換言すると、第1時刻から、推定期間に含まれる時刻のうち時刻候補tmとして選択された時刻までの期間のことである。式(2)及び式(3)におけるa0、a1、a2、a3、a4、a5のそれぞれは、フィッティング関数に含まれる実数係数(すなわち、フィッティングパラメータ)である。式(2)の右辺では、時刻が時刻候補tmとして選択された時刻に固定されている。すなわち、式(2)により表されるフィッティング関数は、直線となる。これは、第1対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形の直線近似を行うことに相当する。一方、式(3)の右辺は、時刻tiに依存している。そして、式(2)と式(3)とは、時刻候補tmとして選択された時刻において連続的に繋がっていなければならない。これらのことから、上記の式(1)~式(3)は、以下の式(4)及び式(5)のように書き換えることができる。
【0068】
【0069】
【0070】
そして、上記の式(4)に基づく最小化問題は、以下の式(6)のように表される。
【0071】
【0072】
また、上記の式(6)の解は、以下の式(7)のように表される。
【0073】
【0074】
なお、上記の式(7)の導出方法については、一般的な最小二乗法における方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0075】
ここで、上記の式(7)により得られるフィッティング関数は、イベント発生時刻が時刻tx1であると仮定した場合において、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形に最もフィットする関数である。しかしながら、時刻tx1は、推定期間に含まれる時刻のうちの1つに過ぎず、イベント発生時刻の時刻候補のうちの1つに過ぎない。そこで、上記の式(4)に基づく最小化問題は、上記の式(6)に代えて、以下の式(8)のように定義することにより、フィッティング関数に含まれる実数係数とともに時刻候補tmを未知数とした最小化問題として表すことができる。
【0076】
【0077】
ここで、区間[tm1,tm2]は、推定期間を示す。すなわち、時刻tm1は、推定期間が始まる時刻を示す。また、時刻tm2は、推定期間が終わる時刻を示す。そして、区間[tm1,tm2]に含まれる個々の時刻が、時刻候補tmとして選択される時刻である。
【0078】
上記の式(8)の最小化問題を解くことにより、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形に最もフィットするフィッティング関数を推定することができるとともに、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形にフィッティング関数が最もフィットする場合における時刻候補tmをイベント発生時刻として推定することができる。
【0079】
なお、RoCoF法において用いるRoCoFは、このようにして得られたフィッティング関数を時間について1回微分することによって得られる導関数に、イベント発生時刻として推定された時刻候補tmを代入することで、以下の式(9)のように得られる。
【0080】
【0081】
すなわち、第1推定モードにおいて、情報処理装置20は、算出した対象期間における周波数情報を抽出した後、抽出した周波数情報と、特定した推定期間に含まれる各時刻と、上記の式(8)とに基づく最小二乗法により、当該周波数情報が示す系統周波数の波形に最もフィットするフィッティング関数の推定と、イベント発生時刻の推定とを行う。換言すると、第1推定モードにおいて、情報処理装置20は、推定期間における各時刻をイベントが発生した時刻候補とし、時刻候補毎に、第1時刻から時刻候補までの第1対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形の直線近似と、時刻候補から第2時刻までの第2対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形の多項式近似とを行うことにより、イベント発生時刻を推定する。このようなイベント発生時刻の推定では、情報処理装置20は、推定期間にイベント発生時刻が含まれており、且つ、対象期間に推定期間が含まれている限り、推定期間と対象期間との選択についてどのような選択を行ったとしても、ほぼ同様の推定結果を得ることができる(当然ながら、推定を行う毎にフィッティング関数の関数形を代えた場合は、この限りではない)。従って、情報処理装置20は、第1推定モードにおいて、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる。
【0082】
ここで、
図3は、
図2に示したグラフ上にフィッティング関数を重畳させた図である。
図3において、当該グラフ上に重畳された関数FF1は、第1推定モードにおいて情報処理装置20により推定されたフィッティング関数の一例を示す。
図3に示した時刻tv1は、当該フィッティング関数とともに情報処理装置20により推定されたイベント発生時刻の一例を示す。
図3を見ると、第1推定モードにおいて、イベント発生時刻よりも前の期間である第1対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形の直線近似を情報処理装置20が行っていることが分かる。また、
図3を見ると、第1推定モードにおいて、イベント発生時刻よりも後の期間である第2対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形の多項式近似を情報処理装置20が行っていることが分かる。
【0083】
また、第1推定モードにおいて、情報処理装置20は、上記の式(9)に基づいてRoCoFを算出し、算出したRoCoFに基づいて、RoCoF法により交流連系系統Rの系統慣性を推定する。なお、情報処理装置20が当該RoCoFに基づいてRoCoF法により当該系統慣性を推定する方法は、既知であるため、詳細な説明を省略する。
【0084】
<第2推定モードにおけるイベント発生時刻及び系統慣性の推定方法>
以下、
図4を参照し、第2推定モードにおけるイベント発生時刻及び系統慣性の推定方法について説明する。
図4は、イベン発生時刻の前後における代表地点の電力の時間的な変化の一例を示す図である。
【0085】
図4に示したグラフの横軸は、時刻を示す。当該グラフの縦軸は、代表地点の電力を示す。当該グラフにプロットされた曲線PL2は、測定装置10により時刻毎に測定された当該電力を、時系列順に直線で繋いだ曲線の一例である。すなわち、曲線PL2は、代表地点の電力の波形(すなわち、当該電力の時間的な変化)の一例を示す。
【0086】
例えば、情報処理装置20のユーザーは、交流連系系統Rにおいてイベントが生じた後、場合、
図4に示したようなグラフに基づいて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを決める。なお、第2推定モードにおける推定期間、第1時刻、第2時刻の決め方は、第1推定モードにおける推定期間、第1時刻、第2時刻の決め方と同様であってもよい。ここでは、第2推定モードにおける推定期間、第1時刻、第2時刻の決め方が、第1推定モードにおける推定期間、第1時刻、第2時刻の決め方と異なる場合について説明する。
【0087】
情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、
図4に示したようなグラフを表示する。この際、情報処理装置20は、イベント発生時刻を含む期間を示す情報を受け付ける。そして、情報処理装置20は、予め記憶している電力情報の中から、受け付けた当該期間における代表地点の時刻毎の電力(非周波数測定値の一例)を示す電力情報(非周波数測定値情報の一例)を抽出する。情報処理装置20は、抽出した電力情報に基づいて、
図4に示したようなグラフを生成し、生成したグラフを表示する。なお、情報処理装置20は、このようなグラフの表示を行わない構成であってもよい。この場合、
図4に示したようなグラフは、他の装置により生成される。
【0088】
ここで、交流連系系統Rにおいてイベントが生じた場合、代表地点の系統周波数の変化に伴い、代表地点の非周波数測定値も変化する。すなわち、当該場合、代表地点の電力も変化する。このため、情報処理装置20のユーザーは、情報処理装置20に表示されたグラフに基づいて、イベント発生時刻が含まれていると推定される期間を、推定期間として決めることができる。例えば、当該ユーザーは、代表地点の電力が第2所定値以上に変化したと目視にて判定可能な期間を含む期間を、推定期間として決める。これは、イベント発生時刻の前後において、代表地点の電力が第2所定値以上に変化するためである。第2所定値は、例えば、代表地点の電力についての数秒移動平均(例えば、5秒移動平均線)の5%程度であるが、これに限られるわけではない。なお、推定期間の決め方は、これに代えて、イベント発生時刻を含む期間を推定期間として決定可能な決め方であれば、他の決め方であってもよい。また、情報処理装置20は、抽出した電力情報と、機械学習のモデル等とに基づいて、イベントが発生したと推定される期間を推定期間として特定する構成であってもよい。
図4に示した期間PD3は、当該グラフに基づいて当該ユーザーにより決められた推定期間の一例である。
【0089】
次に、情報処理装置20のユーザーは、決めた推定期間に基づいて、第1時刻及び第2時刻を決める。当該推定期間を決めた後の第1時刻及び第2時刻の決め方は、第1推定モードにおける第1時刻及び第2時刻の決め方と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図4に示した時刻ts2は、当該推定期間に基づいて当該ユーザーにより決められた第1時刻の一例である。また、
図4に示した時刻te2は、当該推定期間に基づいて当該ユーザーにより決められた第2時刻の一例である。なお、情報処理装置20は、抽出した電力情報と、機械学習のモデル等とに基づいて、イベントが発生したと推定される期間を推定期間とともに、第1時刻及び第2時刻を特定する構成であってもよい。
【0090】
ここで、前述した通り、第1時刻である時刻ts2から第2時刻である時刻te2までの期間をn-1等分し、時刻ts2を時刻t
1とし、時刻te2を時刻t
nとすることにより、対象区間の任意の時刻を、t
iによって表すことができる。なお、
図4に示した期間PD4は、
図4における時刻t
1から時刻t
nまでの期間(時刻ts2から時刻te2までの期間)、すなわち、対象期間の一例である。
【0091】
情報処理装置20のユーザーは、このようにして決めた推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを、情報処理装置20に入力する。すなわち、情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する。情報処理装置20は、特定した第1時刻及び第2時刻に基づいて、対象期間を算出する。情報処理装置20は、予め記憶した電力情報の中から、算出した対象期間における電力情報を抽出する。情報処理装置20は、抽出した電力情報に基づいて、対象期間における代表地点の電力の波形にフィットさせるフィッティング関数を、目的関数を最小化する最適化問題を解くことにより推定する。以下では、一例として、第2推定モードにおいて、情報処理装置20が最小二乗法を用いて当該最適化問題を解くことによりフィッティング関数を推定する場合について説明する。
【0092】
ここで、交流連系系統Rにおいてイベントが生じた場合、代表地点では、電力がステップ関数的に変化することが知られている。より正確には、当該場合、代表地点だけではなく、交流連系系統R内の多くの地点では、電力がステップ関数的に変化することが知られている。そこで、情報処理装置20は、フィッティング関数を推定する際、イベント時刻の前後における当該電力の波形それぞれの直線近似を行う。すなわち、情報処理装置20は、フィッティング関数として、定数関数を用いる。このため、以下では、説明の便宜上、イベント発生時刻よりも前の当該電力をppre、イベント発生時刻よりも後の当該電力をppostによって示す。そして、情報処理装置20は、情報処理装置20がフィッティング関数を最小二乗法によって推定する際、第1対象期間におけるフィッティング関数に含まれる1つの実数係数(すなわち、ppre)、第2対象期間におけるフィッティング関数に含まれる1つの実数係数(すなわち、ppost)とともに、イベント発生時刻を未知数(フィッティングパラメーター)として扱う。なお、フィッティング関数は、定数関数に代えて、多項式、指数関数等の他の関数であってもよい。
【0093】
例えば、推定期間に含まれる各時刻を時刻候補tmとして選択する場合、最小二乗法により最小化させる目的関数Jpは、以下の式(10)~式(12)のように定式化される。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
上記の式(10)の右辺括弧内第1項は、測定装置10が時刻tiに測定した電力を示す。式(10)の右辺括弧内第2項は、フィッティング関数であり、時刻に応じて式(11)又は式(12)により表される。時刻t1から時刻tm-1までの第1対象期間では、フィッティング関数は、式(11)により表される。すなわち、式(11)により表されるフィッティング関数は、直線となる。一方、時刻tmから時刻tnまでの第2対象期間では、フィッティング関数は、式(12)により表される。このことから、上記の式(10)~式(12)を、以下の式(13)及び式(14)のように書き換えることができる。
【0098】
【0099】
【0100】
そして、上記の式(13)に基づく最小化問題は、以下の式(15)のように表される。
【0101】
【0102】
また、上記の式(15)の解は、以下の式(16)のように表される。
【0103】
【0104】
なお、上記の式(16)の導出方法については、一般的な最小二乗法における方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0105】
ここで、前述した通り、区間[tm1,tm2]は、推定期間を示す。すなわち、時刻tm1は、推定期間が始まる時刻を示す。また、時刻tm2は、推定期間が終わる時刻を示す。そして、区間[tm1,tm2]に含まれる個々の時刻が、時刻候補tmとして選択される時刻である。
【0106】
上記の式(15)の最小化問題を解くことにより、対象期間における電力情報が示す電力の波形に最もフィットするフィッティング関数を推定することができるとともに、対象期間における電力情報が示す電力の波形にフィッティング関数が最もフィットする場合における時刻候補tmをイベント発生時刻として推定することができる。
【0107】
なお、RoCoF法において用いるRoCoFは、このようにして推定されたイベント発生時刻を代入した式(6)の最小化問題を解くことにより得られる多項式を、時間について1回微分することによって得られる導関数に、イベント発生時刻を代入することで得られる。
【0108】
すなわち、第2推定モードにおいて、情報処理装置20は、算出した対象期間における電力情報を抽出した後、抽出した電力情報と、決定した推定期間に含まれる各時刻と、上記の式(15)とに基づく最小二乗法により、当該電力情報が示す電力の波形に最もフィットするフィッティング関数の推定と、イベント発生時刻の推定とを行う。換言すると、第2推定モードにおいて、情報処理装置20は、最小二乗法に基づいて、第1対象期間における電力情報が示す電力の波形の直線近似と、第2対象期間における電力情報が示す電力の波形の直線近似とを行うことにより、イベント発生時刻を推定する。このようなイベント発生時刻の推定でも、情報処理装置20は、推定期間にイベント発生時刻が含まれており、且つ、対象期間に推定期間が含まれている限り、推定期間と対象期間との選択についてどのような選択を行ったとしても、ほぼ同様の推定結果を得ることができる(当然ながら、推定を行う毎にフィッティング関数の関数形を代えた場合は、この限りではない)。従って、情報処理装置20は、第2推定モードにおいても、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる。
【0109】
ここで、
図5は、
図4に示したグラフ上にフィッティング関数を重畳させた図である。
図5において、当該グラフ上に重畳された関数FF2は、第2推定モードにおいて情報処理装置20により導出されたフィッティング関数の一例を示す。
図5に示した時刻tv2は、当該フィッティング関数とともに情報処理装置20により推定されたイベント発生時刻の一例を示す。
図5を見ると、第2推定モードにおいて、イベント発生時刻よりも前の期間である第1対象期間における電力情報が示す電力の波形の直線近似を情報処理装置20が行っていることが分かる。また、
図5を見ると、第2推定モードにおいて、イベント発生時刻よりも後の期間である第2対象期間における電力情報が示す電力の波形の多項式近似を情報処理装置20が行っていることが分かる。
【0110】
また、第2推定モードにおいても、情報処理装置20は、イベント発生時刻を推定した後、推定したイベント発生時刻に基づいて、上記の式(1)~式(7)に基づいて、RoCoFを推定する。そして、情報処理装置20は、推定したRoCoFに基づいて、RoCoF法により交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0111】
<第3推定モードにおけるイベント発生時刻及び系統慣性の推定方法>
以下、第3推定モードにおけるイベント発生時刻及び系統慣性の推定方法について説明する。
【0112】
第3推定モードにおけるイベント発生時刻の推定方法は、フィッティング関数の推定及びイベント発生時刻の推定を行う最適化問題において最小化させる目的関数として、上記の式(1)及び式(10)が線形結合された関数を用いる方法である。
【0113】
すなわち、第3推定モードにおいて、情報処理装置20は、以下の式(17)により表される最小化問題を解く。
【0114】
【0115】
すなわち、第3推定モードにおいて、情報処理装置20は、第1推定モードにおける系統周波数の波形にフィットさせるフィッティング関数の推定と、第2推定モードにおける電力の波形にフィットさせるフィッティング関数の推定と、イベント発生時刻の推定とを一緒に行う。ここで、上記の式(17)のwf、wpのそれぞれは、式(17)における目的関数の線形結合における重みである。wf、wpのそれぞれは、以下の式(18)により定義される。なお、以下では、説明の便宜上、第1推定モードにおける系統周波数の波形にフィットさせるフィッティング関数を、第1フィッティング関数と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2推定モードにおける電力の波形にフィットさせるフィッティング関数と称して説明する。
【0116】
【0117】
上記の式(18)のσfは、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の分散である。式(18)のσpは、対象期間における電力情報が示す電力の分散である。これら2つの分散のそれぞれを重みとして用いる理由としては、上記の式(18)により表される目的関数の右辺に含まれる2つの項のそれぞれが、誤差の二乗値であることが挙げられる。なお、このような重みとして、分散以外の他の量を用いる構成であってもよい。
【0118】
情報処理装置20のユーザーは、第1推定モード又は第2推定モードについての推定期間、第1時刻、第2時刻の決定方法と同じ方法により、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを決める。そして、情報処理装置20のユーザーは、決めた推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを、情報処理装置20に入力する。すなわち、情報処理装置20は、受け付けた操作に応じて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する。情報処理装置20は、特定した第1時刻及び第2時刻に基づいて、対象期間を算出する。情報処理装置20は、予め記憶した電力情報の中から、算出した対象期間における周波数情報及び電力情報を抽出する。情報処理装置20は、抽出した周波数情報及び電力情報と、上記の式(17)及び式(18)とに基づいて、式(18)により表される目的関数を最小化する最適化問題を解く。これにより、情報処理装置20は、第1フィッティング関数及び第2フィッティング関数とともに、対象期間における周波数情報が示す系統周波数の波形に第1フィッティング関数が最もフィットする場合、且つ、対象期間における電力情報が示す電力の波形に第2フィッティング関数が最もフィットする場合における時刻候補tmをイベント発生時刻として推定する。
【0119】
なお、RoCoF法において用いるRoCoFを得る方法は、第1推定モードにおける方法であってもよく、第2推定モードにおける方法であってもよい。
【0120】
また、第3推定モードにおいても、情報処理装置20は、上記の式(9)に基づいてRoCoFを算出し、算出したRoCoFに基づいて、RoCoF法により交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0121】
<情報処理装置のハードウェア構成>
以下、
図6を参照し、情報処理装置20のハードウェア構成について説明する。
図6は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0122】
情報処理装置20は、例えば、プロセッサー21と、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25を備える。これらの構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。また、情報処理装置20は、通信部24を介して測定装置10等と通信を行う。
【0123】
プロセッサー21は、情報処理装置20の全体を制御する。プロセッサー21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサー21は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーであってもよい。プロセッサー21は、記憶部22に格納された各種のプログラムを実行する。
【0124】
記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部22は、情報処理装置20に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部22は、情報処理装置20が処理する各種の情報、各種の画像、各種のプログラム等を格納する。
【0125】
入力受付部23は、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置である。なお、入力受付部23は、表示部25と一体に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0126】
通信部24は、例えば、アンテナ、USB等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0127】
表示部25は、例えば、液晶ディスプレイパネル、あるいは、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル等を含む表示装置である。
【0128】
<情報処理装置の機能構成>
以下、
図7を参照し、情報処理装置20の機能構成について説明する。
図7は、情報処理装置20の機能構成の一例を示す図である。
【0129】
情報処理装置20は、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25と、制御部26を備える。
【0130】
制御部26は、情報処理装置20の全体を制御する。制御部26は、例えば、取得部261と、推定部262と、表示制御部263と、記憶制御部264を備える。制御部26が備えるこれらの機能部は、例えば、プロセッサー21が、記憶部22に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0131】
取得部261は、各種の情報を取得する。例えば、取得部261は、測定装置10から周波数情報を取得する。また、例えば、取得部261は、測定装置10から非周波数測定値情報を取得する。
【0132】
推定部262は、各種の推定を行う。例えば、推定部262は、イベント発生時刻を推定する。また、例えば、推定部262は、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。
【0133】
表示制御部263は、各種の画像を生成する。表示制御部263は、生成した画像を、表示部25に表示させる。
【0134】
記憶制御部264は、取得部261により取得された各種の情報を、記憶部22に記憶させる。
【0135】
<情報処理装置がイベント発生時刻及び系統慣性を推定する処理>
以下、
図8を参照し、情報処理装置20がイベント発生時刻及び系統慣性を推定する処理について説明する。
図8は、情報処理装置20がイベント発生時刻及び系統慣性を推定する処理の流れの一例を示す図である。以下では、一例として、情報処理装置20が、
図8に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、第1推定モード~第3推定モードの3つの推定モードのうちのいずれか1つを動作モードとして選択する操作を受け付けている場合について説明する。また、以下では、一例として、情報処理装置20のユーザーが、当該タイミングにおいて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを決めている場合について説明する。
【0136】
推定部262は、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを入力する操作を受け付けるまで待機する(ステップS110)。
【0137】
推定部262は、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを入力する操作を受け付けたと判定した場合(ステップS110-YES)、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する(ステップS120)。
図8では、ステップS120の処理を、「期間及び時刻特定」として示している。
【0138】
次に、推定部262は、ステップS120において特定した第1時刻及び第2時刻に基づいて、対象期間を算出する。そして、推定部262は、情報処理装置20の動作モードに応じて、算出した対象期間における情報を記憶部22から抽出して読み出す(ステップS130)。例えば、情報処理装置20の動作モードが第1推定モードである場合、推定部262は、算出した対象期間における周波数情報を、記憶部22に記憶された周波数情報の中から抽出して読み出す。また、例えば、情報処理装置20の動作モードが第2推定モードである場合、推定部262は、算出した対象期間における電力情報を、記憶部22に記憶された電力情報の中から抽出して読み出す。また、例えば、情報処理装置20の動作モードが第3推定モードである場合、推定部262は、算出した対象期間における周波数情報及び電力情報を、記憶部22に記憶された周波数情報及び電力情報の中から抽出して読み出す。
図8では、ステップS130の処理を、「情報読出」として示している。
【0139】
次に、推定部262は、ステップS130において記憶部22から読み出した情報に基づいて、予め受け付けた操作に応じた動作モードの推定方法によってフィッティング関数の推定を行うことにより、イベント発生時刻の推定を行う(ステップS140)。なお、当該推定方法については、既に説明済であるため、説明を省略する。
【0140】
次に、推定部262は、ステップS140における推定結果に基づいて、RoCoFを推定する(ステップS150)。ステップS150の処理においてRoCoFを推定する推定方法については、既に説明済であるため、説明を省略する。
【0141】
次に、推定部262は、ステップS150において推定したRoCoFに基づいて、RoCoF法により、交流連系系統Rの系統慣性を推定する(ステップS160)。
【0142】
次に、表示制御部263は、ステップS160において推定部262が推定した系統慣性を示す情報を、表示部25に表示させ(ステップS170)、
図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0143】
<イベント推定時刻の推定の数値的検証>
以下、
図8に示したフローチャートの処理によって行われたイベント推定時刻の推定の数値的検証について説明する。以下では、第3推定モードによって情報処理装置20がイベント推定時刻の推定を行った場合を例に挙げて、当該数値的検証について説明する。
【0144】
図9は、ステップS130において記憶部22から読み出した周波数情報が示す系統周波数の波形と、ステップS140において推定された系統周波数についてのフィッティング関数とを重ねて表示したグラフの一例を示す図である。ただし、
図9に示した例では、情報処理装置20は、フィッティング関数として、5次の多項式ではなく、3次の多項式を用いてフィッティング関数を導出している。
【0145】
図9に示したグラフの横軸は、第1時刻からの経過時間を示す。当該グラフの縦軸は、ステップS130において記憶部22から読み出した周波数情報が示す系統周波数を示す。当該グラフ上にプロットされた曲線PL3は、対象期間における各時刻の系統周波数を、時系列順に直線で繋いだ曲線の一例を示す。当該グラフ上の関数FF3は、当該フィッティング関数の一例を示す。
図9では、関数FF3が、曲線PL3、すなわち、系統周波数の波形に精度よくフィットされていることが分かる。すなわち、
図9に示した例では、情報処理装置20は、イベント発生時刻を精度よく推定していることが分かる。なお、当該フィッティング関数は、第1推定モードにおいても、第3推定モードの場合と同様に、系統周波数の波形に精度よくフィットされる。このため、第1推定モードによって導出されたフィッティング関数については、図示を省略する。
【0146】
また、
図10は、ステップS130において記憶部22から読み出した電力情報が示す電力の波形と、ステップS140において推定された電力についてのフィッティング関数とを重ねて表示したグラフの一例を示す図である。
図10に示したグラフの横軸は、第1時刻からの経過時間を示す。当該グラフの縦軸は、当該電力を示す。当該グラフ上にプロットされた曲線PL4は、対象期間における各時刻の当該電力を、時系列順に直線で繋いだ曲線の一例を示す。当該グラフ上の関数FF4は、当該フィッティング関数の一例を示す。
図10では、関数FF4が、曲線PL4、すなわち、当該電力の波形に精度よくフィットされていることが分かる。すなわち、
図10に示した例では、情報処理装置20は、イベント発生時刻を精度よく推定していることが分かる。なお、当該フィッティング関数は、第2推定モードにおいても、第3推定モードの場合と同様に、当該電力の波形に精度よくフィットされる。このため、第2推定モードによって導出されたフィッティング関数については、図示を省略する。
【0147】
<情報処理装置が測定装置から情報を取得する処理>
以下、
図11を参照し、情報処理装置20が測定装置10から情報を取得する処理について説明する。以下では、一例として、情報処理装置20が測定装置10から周波数情報とともに電力情報を取得する場合について説明する。
図11は、情報処理装置20が測定装置10から周波数情報と電力情報とを取得する処理の流れの一例を示す図である。情報処理装置20は、例えば、測定装置10から情報を取得する処理を開始する操作を受け付けた場合、測定装置10から情報を取得する処理を終了する操作を受け付けるまでの間、所定のサンプリング周期が経過する毎に、
図11に示したフローチャートの処理を繰り返し行う。
【0148】
取得部261は、測定装置10から周波数情報及び電力情報を取得する(ステップS210)。
図11では、ステップS210の処理を、「情報取得」として示している。なお、取得部261は、周波数情報及び電力情報を取得する要求を測定装置10へ出力することにより、周波数情報及び電力情報を測定装置10から取得する構成であってもよい。また、取得部261は、測定装置10から出力された周波数情報及び電力情報を測定装置10から取得する構成であってもよい。
【0149】
次に、記憶制御部264は、ステップS210において取得部261により取得された周波数情報及び電力情報を、記憶部22に記憶させ(ステップS220)、処理を終了する。
【0150】
なお、情報処理装置20は、周波数情報と電力情報とのそれぞれを異なるタイミングで取得する構成であってもよい。また、情報処理装置20は、周波数情報と電力情報とのそれぞれを異なるタイミングで記憶部22に記憶させる構成であってもよい。
【0151】
<実施形態の変形例>
以下、実施形態の変形例について説明する。
【0152】
情報処理装置20は、第1推定モード~第3推定モードのそれぞれにおいて、推定期間が始まる時刻を第1時刻をとして用いる構成であってもよい。また、情報処理装置20は、第1推定モード~第3推定モードのそれぞれにおいて、推定期間が終わる時刻を第2時刻をとして用いる構成であってもよい。すなわち、情報処理装置20は、推定期間以前の第1時刻から推定期間以後の第2時刻までの期間を対象機間とし、対象期間における周波数情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成であってもよい。
【0153】
推定期間が始まる時刻を第1時刻をとして用いる場合、上記において説明したフィッティング関数の推定では、イベント発生時刻よりも前の期間における系統周波数の波形の直線近似が行われず、イベント発生時刻よりも後の期間における多項式近似が行われる。
【0154】
一方、推定期間が終わる時刻を第2時刻をとして用いる場合、上記において説明したフィッティング関数の推定では、推定期間が終わる時刻よりも後の時刻を第2時刻をとして用いる場合と比較して、イベント発生時刻よりも後の期間が短くなる。
【0155】
また、情報処理装置20は、対象期間における周波数情報が示す系統周波数とともに、交流連系系統R内の予め決められた第2地点(前述の代表地点と異なる地点)における時刻毎の系統周波数を示す第2周波数情報のうち対象期間における第2周波数情報が示す系統周波数とに基づいて、イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、構成であってもよい。すなわち、情報処理装置20は、交流連系系統R内の予め決められた複数の地点毎に測定された時刻毎の系統周波数に基づいて、イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、構成であってもよい。
【0156】
例えば、情報処理装置20は、対象期間における周波数情報が示す系統周波数と、対象期間における第2周波数情報が示す系統周波数との加重平均の結果として得られる周波数に基づいて、イベントが生じたイベント発生時刻を推定する。この際、情報処理装置20は、前述のフィッティング関数として、対象期間内における当該周波数の波形にフィットするフィッティング関数の推定を行う。また、この場合、情報処理装置20は、当該周波数についてのRoCoFを用いて、RoCoF法により交流連系系統Rの系統慣性を推定する。なお、当該フィッティング関数の推定方法は、上記において説明した方法と同じ方法であるため、説明を省略する。
【0157】
ここで、情報処理装置20は、対象期間における周波数情報が示す系統周波数と、対象期間における第2周波数情報が示す系統周波数との加重平均の結果として得られる周波数に代えて、これら2つの系統周波数に基づく他の値に基づいて、イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。当該他の値としては、時刻毎の重みを用いない平均値等であるが、これに限られるわけではない。
【0158】
また、情報処理装置20は、対象期間における周波数情報が示す系統周波数に応じた値に基づいて、イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。当該値は、例えば、当該系統周波数の波形を平滑化した波形を示す関数の値である。この場合、情報処理装置20は、当該波形についてのRoCoFを用いて、RoCoF法により交流連系系統Rの系統慣性を推定する。この場合であっても、当該波形にフィットするフィッティング関数の推定方法は、上記において説明した方法と同じ方法である。また、当該値は、例えば、当該系統周波数と、その他の量とに基づいて算出される回転速度である。当該回転速度は、各発電機(例えば、発電機PP1~発電機PP4のそれぞれ)の回転体の回転速度のことである。当該その他の量は、例えば、送電線、変圧器等を通過する電力、代表地点近傍の電圧等であるが、これらに限られるわけではない。この場合、情報処理装置20は、回転速度の時間的な変化を表す波形に基づいて推定したイベント発生時刻と、当該系統周波数とに基づいて、当該系統周波数の波形にフィットするフィッティング関数を推定し、推定したフィッティング関数に基づいて、当該系統周波数についてのRoCoFを推定する。また、当該値は、例えば、複数の地点において測定された系統周波数の組み合わせに基づいて推定された回転速度である。当該回転速度も、各発電機(例えば、発電機PP1~発電機PP4のそれぞれ)の回転体の回転速度のことである。なお、当該値は、これらに代えて、当該系統周波数に応じた他の値であってもよい。
【0159】
また、情報処理装置20は、何らかの方法により推定された上記の回転速度に基づいて、イベントが生じたイベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。当該方法としては、如何なる方法が用いられてもよい。すなわち、当該方法としては、系統周波数とその他の量により算出する方法が採用されてもよく、他の方法が採用されてもよい。この場合、情報処理装置20は、回転速度の時間的な変化を表す波形に基づいて、イベント発生時刻を推定するとともに、交流連系系統Rの系統慣性を推定する。なお、回転速度の時間的な変化を表す波形に基づいて当該系統慣性を推定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0160】
以上のように、実施形態に係る情報処理装置(上記において説明した例では、情報処理装置20)は、1つ以上の発電機(上記において説明した例では、発電機PP1~発電機PP4)を含む交流連系系統(上記において説明した例では、交流連系系統R)内の予め決められた地点(上記において説明した例では、代表地点)における時刻毎の電力の周波数(上記において説明した例では、系統周波数)を示す周波数情報のうち、当該周波数を変化させるイベントが生じたと推定される推定期間を含む対象期間における周波数情報に基づいて、イベントが生じたイベント発生時刻を推定する。これにより、情報処理装置は、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる。
【0161】
また、情報処理装置は、推定期間以前の第1時刻から推定期間以後の第2時刻までの期間を対象期間とし、対象期間における周波数情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0162】
また、情報処理装置は、推定期間よりも前の第1時刻から推定期間よりも後の第2時刻までの期間を対象期間とし、対象期間における周波数情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0163】
また、情報処理装置は、推定期間における各時刻をイベントが発生した時刻候補とし、時刻候補毎に、第1時刻から時刻候補までの第1対象期間における周波数情報が示す周波数の波形の直線近似と、時刻候補から第2時刻までの第2対象期間における周波数情報が示す周波数の波形の多項式近似とを行うことにより、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0164】
また、情報処理装置は、最小二乗法に基づいて、直線近似及び多項式近似を時刻候補毎に行う、構成が用いられてもよい。
【0165】
また、情報処理装置は、対象期間における周波数情報が示す周波数と、交流連系系統内の予め決められた第2地点における時刻毎の電力の周波数を示す第2周波数情報のうち対象期間における第2周波数情報が示す周波数とに基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0166】
また、情報処理装置は、対象期間における周波数情報が示す周波数と、対象期間における第2周波数情報が示す周波数との加重平均の結果として得られる周波数に基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0167】
また、情報処理装置は、対象期間における周波数情報が示す周波数に応じた値に基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0168】
また、情報処理装置は、1つ以上の発電機を含む交流連系系統内の予め決められた地点における電力に応じた値のうち少なくとも周波数を除く測定値(上記において説明した例では、電力)を示す測定値情報(上記において説明した例では、電力情報)に基づいて、測定値に応じた電力の周波数を変化させるイベントが生じたイベント発生時刻を推定する。これにより、情報処理装置は、イベント発生時刻の推定についての客観性を向上させることができる。
【0169】
また、情報処理装置では、測定値情報は、時刻毎の測定値を示す情報であり、情報処理装置は、測定値情報のうち、イベントが生じたと推定される推定期間よりも前の第1時刻から、推定期間よりも後の第2時刻までの対象期間における測定値情報に基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0170】
また、情報処理装置は、対象期間における測定値情報と、交流連系系統内の予め決められた地点における時刻毎の電力の周波数を示す周波数情報のうち対象期間における周波数情報とに基づいて、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0171】
また、情報処理装置は、推定期間における各時刻をイベントが発生した時刻候補とし、時刻候補毎に、第1時刻から時刻候補までの第1対象期間における周波数情報が示す周波数の波形の直線近似と、第1対象期間における測定値情報が示す測定値の波形の直線近似と、時刻候補から第2時刻までの第2対象期間における周波数情報が示す周波数の波形の多項式近似と、第2対象期間における測定値情報が示す測定値の波形の直線近似とを行うことにより、イベント発生時刻を推定する、構成が用いられてもよい。
【0172】
また、情報処理装置は、最小二乗法に基づいて、第1対象期間における周波数情報が示す周波数の波形の直線近似と、第1対象期間における測定値情報が示す測定値の波形の直線近似と、第2対象期間における周波数情報が示す周波数の波形の多項式近似と、第2対象期間における測定値情報が示す測定値の波形の直線近似とを行う、構成が用いられてもよい。
【0173】
また、情報処理装置は、受け付けた操作に応じて、推定期間、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する、構成が用いられてもよい。
【0174】
また、情報処理装置は、推定期間を推定し、推定した推定期間に応じて、第1時刻、第2時刻のそれぞれを特定する、構成が用いられてもよい。
【0175】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0176】
また、以上に説明した装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここで、当該装置は、例えば、測定装置10、情報処理装置20等である。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0177】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル又は差分プログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0178】
1…情報処理システム、10…測定装置、20…情報処理装置、21…プロセッサー、22…記憶部、23…入力受付部、24…通信部、25…表示部、26…制御部、261…取得部、262…推定部、263…表示制御部、264…記憶制御部、PP1~PP4…発電機、R…交流連系系統