IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図1
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図2
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図3
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図4
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図5
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図6
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図7
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図8
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図9
  • -記録装置、記録システム、及び制御方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】記録装置、記録システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20250212BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20250212BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20250212BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B41J29/38 701
B41J29/00 Z
G06F3/12 311
G06F3/12 329
H04N1/00 127A
H04N1/00 Z
B41J29/38 204
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021012164
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115531
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】奥苑 大成
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-054000(JP,A)
【文献】特開2018-058312(JP,A)
【文献】特開2004-147053(JP,A)
【文献】特開2007-300329(JP,A)
【文献】特開2004-090517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録動作を実行する記録部と、
コントローラと、
サーバと通信する通信インタフェースと、
を備える記録装置であって、
前記コントローラは、
前記記録部による記録動作が不可能な初期状態において、前記記録部による記録動作を実行させるための初期導入を実行する初期導入処理と、
前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する完了判断処理と、
前記完了判断処理により前記初期導入処理が正常に完了したと判断したことに基づいて、前記初期状態から、前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で前記記録部による記録動作を実行可能な状態へ、前記記録装置を移行させる移行処理と、
前記初期導入処理の結果を前記サーバに送信する第1送信処理と、
を実行し、
前記サーバは、
前記第1送信処理により受信した前記初期導入処理の結果に基づいて前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する結果判断処理と、
前記結果判断処理の判断結果を前記記録装置へ送信する第2送信処理と、
を実行し、
前記コントローラは、
前記完了判断処理において、前記第2送信処理により受信した判断結果に基づいて、前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する、記録装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記通信インタフェースに対する通信設定を受け付けたか否かを判断する通信設定判断処理を実行し、
前記通信設定判断処理により、通信設定を受け付けたと判断したことに基づいて、前記初期導入処理を実行する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録部は、
着色剤を用いて印刷媒体に印刷を実行する印刷部であり、
前記コントローラは、
前記初期導入処理として、前記着色剤を用いて前記印刷媒体に対する印刷を実行できる状態に前記印刷部を準備する、請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録許可量に係わる記録許可情報を記憶可能な記憶部を備え、
前記コントローラは、
前記移行処理において、前記記録許可情報を前記記憶部に記憶させ、
前記移行処理を実行した後、前記記憶部に記憶させた前記記録許可情報が示す前記記録許可量の範囲で、前記記録部による記録動作を実行する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
外部記憶媒体から情報を読み取り可能な読取部を備え、
前記コントローラは、
前記移行処理において、前記読取部に装着された前記外部記憶媒体から前記記録許可情報を読み取って、読み取った前記記録許可情報を前記記憶部に記憶させる、請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
記コントローラは、
前記移行処理において、前記サーバから取得した前記記録許可情報を、前記記憶部に記憶させる、請求項4に記載の記録装置。
【請求項7】
記録装置と、
前記記録装置と通信するサーバと、
を備える記録システムであって、
前記記録装置は、
記録媒体に記録動作を実行する記録部を備え、
前記記録部による記録動作が不可能な初期状態において、前記記録部による記録動作を実行させるための初期導入を実行する初期導入処理と、
前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する完了判断処理と、
前記完了判断処理により前記初期導入処理が正常に完了したと判断したことに基づいて、前記初期状態から、前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で前記記録部による記録動作を実行可能な状態へ、前記記録装置を移行させる移行処理と、
前記初期導入処理の結果を前記サーバに送信する第1送信処理と、
を実行し、
前記サーバは、
前記第1送信処理により受信した前記初期導入処理の結果に基づいて前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する結果判断処理と、
前記結果判断処理の判断結果を前記記録装置へ送信する第2送信処理と、
を実行し、
前記記録装置は、
前記完了判断処理において、前記第2送信処理により受信した判断結果に基づいて、前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する、記録システム。
【請求項8】
前記記録部は、
着色剤を用いて印刷媒体に印刷を実行する印刷部であり、
前記記録装置は、
印刷動作における前記印刷部の前記着色剤の消費量を検出する消費量センサを備え、
前記初期導入処理において前記印刷部を動作させた際に前記消費量センサで検出した前記消費量を、前記第1送信処理において前記サーバへ送信し、
前記サーバは、
前記結果判断処理において、前記記録装置から受信した前記消費量に基づいて、前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する、請求項7に記載の記録システム。
【請求項9】
前記記録部は、
着色剤を用いて印刷媒体に印刷を実行する印刷部であり、
前記記録装置は、
前記第1送信処理において、前記印刷部による印刷を実行した前記印刷媒体の画像を読み取った画像データを前記サーバへ送信し、
前記サーバは、
前記結果判断処理において、前記記録装置から受信した前記画像データに対する画像解析を実行し、画像解析の結果に基づいて前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する、請求項7又は請求項8に記載の記録システム。
【請求項10】
前記サーバは、
前記記録装置を識別可能な記録装置識別情報を複数記憶する識別情報データを有し、
前記記録装置は、
自装置の前記記録装置識別情報を前記サーバへ送信する第3送信処理を実行し、
前記サーバは、
前記第3送信処理により受信した前記記録装置識別情報が、前記識別情報データに記憶されているか否かを判断する登録判断処理と、
前記登録判断処理により、前記記録装置識別情報が前記識別情報データに記憶されていると判断したことに基づいて、登録されていることを示す判断結果を前記記録装置へ送信する第4送信処理と、
を実行し、
前記記録装置は、
前記第4送信処理により、登録されていることを示す判断結果を受信したことに基づいて、前記初期導入処理を開始する、請求項7から請求項9の何れか1項に記載の記録システム。
【請求項11】
記録装置と、
前記記録装置と通信するサーバと、
を備える記録システムであって、
前記記録装置は、
記録媒体に記録動作を実行する記録部を備え、
前記記録部による記録動作が不可能な初期状態において、前記記録部による記録動作を実行させるための初期導入を実行する初期導入処理と、
前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する完了判断処理と、
前記完了判断処理により前記初期導入処理が正常に完了したと判断したことに基づいて、前記初期状態から、前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で前記記録部による記録動作を実行可能な状態へ、前記記録装置を移行させる移行処理と、
を実行し、
前記サーバは、
前記記録装置を識別可能な記録装置識別情報を複数記憶する識別情報データを有し、
前記記録装置は、
自装置の前記記録装置識別情報を前記サーバへ送信する第3送信処理を実行し、
前記サーバは、
前記第3送信処理により受信した前記記録装置識別情報が、前記識別情報データに記憶されているか否かを判断する登録判断処理と、
前記登録判断処理により、前記記録装置識別情報が前記識別情報データに記憶されていると判断したことに基づいて、登録されていることを示す判断結果を前記記録装置へ送信する第4送信処理と、
を実行し、
前記記録装置は、
前記第4送信処理により、登録されていることを示す判断結果を受信したことに基づいて、前記初期導入処理を開始する、記録システム。
【請求項12】
前記記録装置は、
前記サーバと通信する通信インタフェースを備え、
前記通信インタフェースに対する通信設定を受け付けたか否かを判断する通信設定判断処理を実行し、
前記通信設定判断処理により通信設定を受け付けたと判断したことに基づいて、前記第3送信処理を実行する、請求項10又は請求項11に記載の記録システム。
【請求項13】
前記記録装置は、
外部記憶媒体から情報を読み取り可能な読取部を備え、
電源を投入された後、前記読取部に前記外部記憶媒体が装着されていることに基づいて、前記通信設定判断処理を実行する、請求項12に記載の記録システム。
【請求項14】
前記外部記憶媒体は、
前記外部記憶媒体を識別可能な媒体識別情報を記憶し、
前記識別情報データは、
前記媒体識別情報を複数記憶し、
前記記録装置は、
前記第3送信処理において、自装置に装着された前記外部記憶媒体の前記媒体識別情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、
前記登録判断処理において、前記記録装置識別情報に加え、前記第3送信処理により受信した前記媒体識別情報が、前記識別情報データに記憶されているか否かを判断し、
前記登録判断処理により、前記記録装置識別情報及び前記媒体識別情報の両方が、前記識別情報データに記憶されていると判断したことに基づいて、前記第4送信処理において、登録されていることを示す判断結果を前記記録装置へ送信する、請求項13に記載の記録システム。
【請求項15】
前記記録装置は、
前記通信インタフェースを介して情報処理装置と通信可能であり、
前記通信設定判断処理により通信設定を受け付けたと判断したことに基づいて、前記通信インタフェースを介して自装置にアクセスするアクセス先を報知するアクセス先報知処理と、
前記アクセス先報知処理により報知した前記アクセス先に前記情報処理装置からアクセスされたか否かを判断するアクセス判断処理と、
を実行し、
前記アクセス判断処理により、前記情報処理装置から前記アクセス先にアクセスされたと判断したことに基づいて、前記第3送信処理を実行する、請求項12に記載の記録システム。
【請求項16】
記録装置と、
前記記録装置と通信するサーバと、
を備える記録システムにおける制御方法であって、
前記記録装置は、
記録媒体に記録動作を実行する記録部を備え、
前記制御方法は、
前記記録部による記録動作が不可能な初期状態において、前記記録部による記録動作を実行させるための初期導入を実行する初期導入ステップと、
前記初期導入ステップが正常に完了したか否かを判断する完了判断ステップと、
前記完了判断ステップにより前記初期導入ステップが正常に完了したと判断したことに基づいて、前記初期状態から、前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で前記記録部による記録動作を実行可能な状態へ、前記記録装置を移行させる移行ステップと、
前記初期導入ステップの結果を、前記記録装置から前記サーバに送信する第1送信ステップと、
前記サーバが、前記第1送信ステップにより受信した前記初期導入ステップの結果に基づいて前記初期導入ステップが正常に完了したか否かを判断する結果判断ステップと、
前記結果判断ステップの判断結果を前記サーバから前記記録装置へ送信する第2送信ステップと、
を含み、
前記記録装置が、前記完了判断ステップにおいて、前記第2送信ステップにより受信した判断結果に基づいて、前記初期導入ステップが正常に完了したか否かを判断する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録システム、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設定された記録許可量だけ記録動作を実行する記録装置が種々提案されている。例えば、下記の特許文献1には、メモリカードを装着可能なカードインターフェース手段を備えるプリンタが記載されている。特許文献1に記載されたプリンタは、メモリカードに書き込まれた印刷可能枚数だけ、ユーザによる印刷を許可している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-137501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した種類のプリンタを使用する場合、インクジェットヘッドへのインクの充填など、印刷動作を実行するための初期導入が実行される。このような初期導入が完了する前に、メモリカードの印刷可能枚数をプリンタで利用可能な状態にすると、初期導入が正常に終了しなかった場合に、メモリカードやメモリカードに記憶された印刷可能枚数の情報を、他のプリンタで使用等することが困難となる。結果として印刷サービスの利便性が低下する虞があった。
【0005】
そこで、本明細書は、ユーザにとって利便性の高い新規な記録サービスを実現する記録装置、記録システム、及び制御方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される記録装置は、記録媒体に記録動作を実行する記録部と、コントローラと、を備える記録装置であって、前記コントローラは、前記記録部による記録動作が不可能な初期状態において、前記記録部による記録動作を実行させるための初期導入を実行する初期導入処理と、前記初期導入処理が正常に完了したか否かを判断する完了判断処理と、前記完了判断処理により前記初期導入処理が正常に完了したと判断したことに基づいて、前記初期状態から、前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で前記記録部による記録動作を実行可能な状態へ、前記記録装置を移行させる移行処理と、を実行する。
【0007】
また、本明細書に開示の内容は、記録装置としての実施に限らず、例えば、記録装置、サーバを備える記録システムとして実施しても良く、記録システムにおける制御方法として実施しても有益である。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の記録装置、記録システム、制御方法によれば、ユーザにとって利便性の高い新規な記録サービスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る印刷システムの構成図である。
図2】カード情報の説明図である。
図3】管理DBの説明図である。
図4】第1実施形態に係る初回セットアップ処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】第1実施形態に係る初回セットアップ処理におけるプリンタの処理内容を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る初回セットアップ処理におけるプリンタの処理内容を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る印刷システムの構成図である。
図8】第2実施形態に係る初回セットアップ処理の流れを示すシーケンス図である。
図9】第2実施形態に係る初回セットアップ処理におけるプリンタの処理内容を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態に係る初回セットアップ処理におけるプリンタの処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(印刷システム1の構成)
以下、本願の記録システムを具体化した第1実施形態に係る印刷システムについて説明する。図1は、印刷システム1の構成図である。図1に示すように、印刷システム1は、携帯端末装置10、プリンタ20及びサーバ30を備えている。印刷システム1は、印刷サービスをユーザに提供するものである。ここでいう印刷サービスとは、例えば、プリンタ20の購入料金や、プリンタ20によって印刷可能な用紙の枚数である印刷可能枚数に対する料金をユーザが支払うことにより、ユーザが望む印刷枚数だけ印刷を可能とするサービスである。
【0011】
例えば、プリンタ20のベンダは、ユーザからプリンタ20の購入の申し込みを受け付けると、プリンタ20と後述するICカード41とをユーザに発送する。このICカード41には、印刷可能枚数が記憶される。ユーザは、プリンタ20にICカード41を装着させることでプリンタ20を使用することができる。ICカード41には、例えば、ベンダから送付された時点で、所定の印刷可能枚数(例えば2000枚)が記憶されていても良く、0(ゼロ)枚の情報が記憶されていても良い。プリンタ20は、ICカード41を装着された状態で起動した後、後述する初期導入を実行することで、ICカード41の印刷可能枚数を利用することができる。
【0012】
本実施形態のプリンタ20は、例えば、インクジェット方式によりカラー印刷を実行するインクジェットプリンタである。尚、プリンタ20は、モノクロ印刷を実行するインクジェットプリンタでも良い。また、プリンタ20は、本願の記録装置の一例である。本願における記録装置は、インクジェットプリンタに限らず、例えば、電子写真方式により印刷を実行するレーザプリンタや、熱転写方式により印刷を実行するサーマルプリンタでも良い。また、本願における記録装置は、印刷機能に加えて又は替えてFAX機能を備えても良い。この場合、記録装置は、ICカード41に記憶された許可枚数に応じてFAXの送信枚数や受信枚数を制限しても良い。
【0013】
ベンダからユーザに送付されるプリンタ20のインク収容部23A(図1参照)には、購入時に付与される所定の印刷可能枚数(例えば、2000枚)以上の印刷が可能なインク量(例えば、一万枚分のインク量)が充填されている。このため、本印刷サービスでは、ユーザは、プリンタ20を購入した後、ICカード41を装着することにより付与された印刷可能枚数の印刷を行うまでの間に、プリンタ20にインクを充填したり、インク収容部23Aを交換したりする手間が不要となる。これにより、本実施形態の印刷システム1では、プリンタ20へのインクの補充作業が不要となり、ユーザにとって利便性の高いサービスを提供することができる。
【0014】
また、ユーザは、プリンタ20の使用を続け、ICカード41の装着時に付与された所定の印刷可能枚数(例えば、2000枚)で不足した場合、追加料金を支払うことで、追加の印刷可能枚数を購入しICカード41に記憶された印刷可能枚数を増やすことができる。以下の説明では、印刷可能枚数を増加させることをチャージと言う場合がある。そして、追加の印刷可能枚数をチャージすることにより、ユーザは、プリンタ20を継続して利用することができる。
【0015】
また、ユーザは、追加の印刷可能枚数のチャージを繰り返し行った結果、プリンタ20のインク残量が少なくなった、あるいはなくなった場合、プリンタ20の交換を申請することができる。ベンダは、ユーザからの交換の申請に応じて交換用のプリンタ20を発送する。ユーザは、古いプリンタ20から新しいプリンタ20へICカード41を差し替えることで、印刷可能枚数を引き継ぎ、印刷サービスを継続して利用することができる。
【0016】
(ネットワークの構成)
図1に示すように、携帯端末装置10とプリンタ20とは、ルータ2を介して相互に通信可能に接続されている。ユーザは、携帯端末装置10を操作することにより、プリンタ20への印刷指示などを行うことができる。尚、携帯端末装置10とプリンタ20とを接続する通信は、Wi-Fi(登録商標)などの通信規格に応じた無線通信でも良く、LANなどの有線通信でも良い。また、携帯端末装置10とプリンタ20とを、ルータ2を介さずに接続しても良い。例えば、携帯端末装置10とプリンタ20を、Bluetooth(登録商標)などの無線通信規格に準じた近距離無線通信で接続しても良く、USBケーブルを用いた有線通信で接続しても良い。また、携帯端末装置10やプリンタ20は、複数台でも良く、1つのプリンタ20に対して複数の携帯端末装置10を接続しても良い。即ち、印刷処理やチャージ処理を実行する携帯端末装置10は、複数台存在しても良く、印刷を実行するプリンタ20を、複数のプリンタ20から選択しても良い。
【0017】
また、携帯端末装置10とサーバ30とは、ルータ2及びインターネット3を介して相互に通信可能に接続されている。サーバ30は、例えば、プリンタ20のベンダが使用するサーバである。ユーザは、携帯端末装置10を操作することで、印刷可能枚数の購入やプリンタ20の交換をサーバ30へ申請することができる。
【0018】
(携帯端末装置10の構成)
携帯端末装置10は、ユーザによって操作される情報処理装置であり、例えば、スマートフォンである。尚、携帯端末装置10は、スマートフォンに限らず、タブレット端末、PCなどの他の情報処理装置でも良い。携帯端末装置10は、ユーザによる操作を受け付けて、用紙に対する画像の印刷をプリンタ20に指示することができる。携帯端末装置10は、端末CPU11、端末記憶部12、近距離通信部13、操作表示部14、カメラ16、及び、外部通信部17を備えている。これらの構成要素は、バス18を介して互いに通信可能とされている。
【0019】
端末記憶部12は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDDなどが組み合わされて構成されている。端末記憶部12には、端末プログラム12A、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという場合がある)12Bが記憶されている。端末プログラム12Aは、携帯端末装置10を統括的に制御するプログラムであり、アプリケーション12Bに基本的な機能やサービスを提供する。端末プログラム12Aは、例えば、Android(登録商標)OSやiOS(登録商標)である。アプリケーション12Bは、例えば、プリンタ20のベンダから提供されるプログラムであり、端末プログラム12Aの機能等を利用して、プリンタ20に対する設定処理や印刷命令、サーバ30に対する通知処理等の各種処理を実行するプログラムである。
【0020】
尚、以下の説明では、端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを実行する端末CPU11のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「携帯端末装置10は」という記載は、「端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを端末CPU11で実行する携帯端末装置10は」ということを意味する場合がある。また、後述するプリンタプログラム27AをプリンタCPU26で実行するプリンタ20や、サーバプログラム33AをサーバCPU32で実行するサーバ30についても同様である。
【0021】
また、端末記憶部12には、印刷データ12Cが記憶される。印刷データ12Cは、印刷処理の対象となる画像データである。近距離通信部13は、プリンタ20と近距離の無線通信をするものである。近距離通信部13は、例えば、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communicationの略)などの通信規格に準じた近距離無線通信を実行する。操作表示部14は、例えば、タッチパネルであり、液晶パネル、液晶パネルの背面側から光を照射するLED等の光源、液晶パネルの表面に貼り合わされた接触感知膜等を備えている。操作表示部14は、各種の情報の表示やユーザの操作入力の受け付けを実行する。尚、携帯端末装置10は、近距離通信部13を備えなくとも良い。また、携帯端末装置10が備えるユーザインタフェースは、タッチパネルに限らず、例えば、操作ボタン、スライドスイッチ、キーボード、マウス、LCD、有機ELディスプレイ等を組み合わせてもよい。
【0022】
カメラ16は、CCD(Charge Coupled Deviceの略)などの撮像素子を備え、操作表示部14に対する操作入力に応じて撮像を実行する。携帯端末装置10は、例えば、カメラ16で撮像した撮像画像を端末記憶部12に記憶し、印刷データ12Cとして処理する。尚、印刷データ12Cは、カメラ16で撮像した撮像画像に限らない。例えば、印刷データ12Cは、携帯端末装置10で作成したテキストデータでも良い。
【0023】
外部通信部17は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信により、ルータ2との間でデータを送受信する。携帯端末装置10は、外部通信部17を介してプリンタ20やサーバ30と通信を実行する。尚、携帯端末装置10は、近距離通信部13を介してプリンタ20と通信を実行しても良い。
【0024】
(プリンタ20の構成)
プリンタ20は、近距離通信部21、外部通信部22、印刷部23、プリンタ操作部24、プリンタCPU26、プリンタ記憶部27、及び装着部28を備えている。近距離通信部21は、例えば、Bluetooth(登録商標)の通信規格に準じた近距離無線通信により、携帯端末装置10の近距離通信部13との間でデータの送受信を実行する。外部通信部22は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信により、ルータ2との間でデータを送受信する。
【0025】
印刷部23は、インク収容部23A、インクジェットヘッド23C、インク残量検出部23E、吐出量検出部23F、メンテナンスユニット23G等を備え、インクジェット方式によりカラー印刷を実行する。インク収容部23Aは、例えば、複数の種類(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックなど)のインクを貯留する。インク収容部23Aは、インクの種類毎に複数設けられている。即ち、プリンタ20は、複数のインク収容部23Aを用いて4種類のインクそれぞれを独立させて貯留する。本実施形態のインク収容部23Aには、ベンダからユーザに送付される時点において、例えば、一万枚分の印刷が可能なインク量が充填されている。
【0026】
また、インク収容部23Aは、プリンタ20を使用するユーザによって交換やインクの充填ができない構造となっている。例えば、インク収容部23Aは、通常のユーザ操作では触れることができない位置に配置されている。また、インク収容部23Aは、ユーザがプリンタ20に着脱できないよう、プリンタ20に固定されている。尚、インク収容部23Aは、ユーザによって交換可能な構成でも良い。
【0027】
また、プリンタ20は、インク収容部23Aと、インクジェットヘッド23Cの間にバルブ23Hを備えている。バルブ23Hは、例えば、インクジェットヘッド23Cとインク収容部23Aとを接続しインクを供給するチューブに取り付けられている。バルブ23Hは、プリンタ20の工場出荷時において閉じられており、インク収容部23Aからインクジェットヘッド23Cへのインクの移動を規制する。また、バルブ23Hは、プリンタ20の制御に基づいて開くことで、インク収容部23Aからインクジェットヘッド23Cへのインクの移動を許容する。
【0028】
インク残量検出部23Eは、インク収容部23Aに貯留されたインクの残量であるインク残量を検出するものである。インク残量検出部23Eは、複数のインク収容部23Aのそれぞれに配置され、インクの液面の高さを検出することにより、インク残量を検出する光学センサである。インク残量検出部23Eは、複数のインク収容部23Aのそれぞれのインク残量を検出する。プリンタ20は、各色のインク収容部23Aのインク残量27Bをプリンタ記憶部27に記憶し、各色のインク残量27Bを個別に管理する。尚、プリンタ20は、インク収容部23Aの少なくとも1色のインク残量27Bだけ管理しても良い。
【0029】
インクジェットヘッド23Cは、用紙に対してインクを吐出する複数のノズルを備えている。印刷部23は、インク収容部23Aに貯留されたインクを、インクジェットヘッド23Cから用紙に吐出させて、用紙に印刷を実行する。吐出量検出部23Fは、インクジェットヘッド23Cのノズルから吐出されたインクの吐出量を検出するものである。吐出量を検出方法は特に限定されないが、例えば、熱電対を用いる方法でも良い。吐出量検出部23Fは、各ノズルの吐出口に対向する位置に熱電対を備えている。熱電対は、各吐出口から吐出されたインクが付着することで温度が変化する。プリンタ20は、吐出量検出部23Fの熱電対の温度変化(冷却効果)に基づいて、吐出量を検出しても良い。
【0030】
メンテナンスユニット23Gは、キャップ、吸引用のポンプ、廃液タンク等を備え、キャップをインクジェットヘッド23Cのノズル面に装着させた状態でポンプを駆動させることによって、インクジェットヘッド23Cからインクを廃液タンクに吸引する。プリンタ20は、例えば、ノズルの詰まりなどを回復させる際に、メンテナンスユニット23Gによってインクジェットヘッド23Cに詰まったインクを吸引する所謂吸引パージを実行する。尚、プリンタ20は、メンテナンスユニット23Gを備えない構成でも良い。あるいは、メンテナンスユニット23Gは、インクジェットヘッド23Cに正圧を加えて、インクジェットヘッド23Cからインクを排出させる構成でも良い。
【0031】
プリンタ操作部24は、プリンタ20に対するユーザの操作入力を受け付けるタッチパネルやスイッチである。尚、プリンタ操作部24は、タッチパネルなどの出力装置を備えず、スイッチやボタンなどの入力装置だけの構成でも良い。プリンタCPU26は、プリンタ20を統括制御するものである。プリンタ記憶部27は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDDなどが組み合わされて構成されている。プリンタ記憶部27には、プリンタプログラム27Aが記憶されている。プリンタCPU26は、プリンタプログラム27Aを実行することで、プリンタ20の各部を制御する。例えば、プリンタ20は、プリンタCPU26でプリンタプログラム27Aを実行することで、携帯端末装置10から取得した印刷データ12Cを印刷部23により印刷する。本願における取得とは、他の装置へ通知を行なって能動的に情報を取りに行く処理だけでなく、他の装置から通知を受信したことに基づいて情報を受け取る受動的な処理を含む概念である。
【0032】
また、プリンタ記憶部27には、プリンタ20を識別可能な装置識別情報27Cが記憶されている。装置識別情報27Cは、例えば、プリンタ20のベンダによって設定されたシリアル番号であり、任意のプリンタ20を他のプリンタ20と識別できる固有の情報である。尚、装置識別情報27Cは、シリアル番号に限らず、例えば、近距離通信部21や外部通信部22の有線のMACアドレス、無線のMACアドレスでも良い。
【0033】
装着部28は、ICカード41からのデータの読み取りや、ICカード41へのデータの書き込みが可能なインタフェースである。ICカード41は、例えば、接触式の読み取りや書き込みを行なうICカードである。ICカード41は、本願の外部記憶媒体の一例である。尚、本願の外部記憶媒体は、接触式のICカードに限らず、非接触式のICカード、SDカード等のメモリカード、USBメモリ等の外部ストレージでも良い。
【0034】
図2は、ICカード41に記憶されたカード情報41Aの一例を示している。図2に示すように、カード情報41Aには、カードID、印刷可能枚数、アクティベーション情報が含まれている。カードIDは、ICカード41を個別に識別可能な情報である。カードIDは、図2では一例として「CID1」の値が記憶されている。印刷可能枚数は、上記したように、プリンタ20による印刷を許可する用紙の枚数を示す情報である。印刷可能枚数は、図2では一例として「pr1」の値が記憶されている。プリンタ20は、印刷部23による印刷を実行するごとに印刷可能枚数を減算する。プリンタ20は、印刷可能枚数がゼロになると、印刷部23による印刷を禁止する。印刷可能枚数は、本願における記録許可量の一例である。
【0035】
アクティベーション情報は、印刷などの各機能の実行を許可されているか否かを示す情報である。アクティベーション情報は、例えば、オン状態に設定された場合に印刷部23の印刷動作が許容され、オフ状態に設定された場合に印刷部23の印刷動作が規制されることを示すものである。ICカード41は、例えば、ベンダからユーザに発送された時点や家電量販店等で購入した時点では、オフ状態のアクティベーション情報が記憶されている。アクティベーション情報がオフ状態である場合、仮に、印刷可能枚数が1枚以上あっても、印刷動作が禁止される。尚、印刷システム1は、例えば、1つのICカード41(カードID)に対して、アクティベーション情報がオン状態となるプリンタ20が1台となるように、アクティベーション情報を制御しても良い。この場合、1つのカードIDで同時に印刷できるプリンタ20が複数台存在しないように、排他的にアクティベーション情報が設定される。
【0036】
また、1つのカードIDで複数のプリンタ20を印刷可能な状態にしても良い。例えば、同一のカードIDのICカード41を複数枚発行し、印刷システム1は、各ICカード41を装着したプリンタ20のそれぞれで同時に印刷できるサービスを提供しても良い。また、図2に示す「〇」はオン状態に設定されていることを示し、「×」は、オフ状態に設定されていることを示している。また、図2に示すカード情報41Aは、一例である。例えば、ICカード41は、カード情報41Aとして、プリンタCPU26で検出したインク残量27Bを記憶しても良い。
【0037】
(サーバ30の構成)
次に、サーバ30の構成について説明する。図1に示すように、サーバ30は、外部通信部31、サーバCPU32、サーバ記憶部33を備えている。サーバ30は、例えば、プリンタ20のベンダによって管理されるサーバである。外部通信部31は、インターネット3を介してルータ2に接続され、ルータ2との間でデータを送受信する。サーバCPU32は、サーバ30を統括制御するものである。サーバ記憶部33は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDDなどが組み合わされて構成されている。サーバ記憶部33には、サーバプログラム33A、管理DB33B、識別情報データ33Cが記憶されている。サーバ30は、サーバCPU32でサーバ記憶部33のサーバプログラム33Aを実行することで、管理DB33Bの更新処理や、ルータ2を介した携帯端末装置10との通信処理等を実行する。
【0038】
また、管理DB33Bは、印刷サービスを利用するプリンタ20の情報等が記憶されている。図3に示すように、管理DB33Bには、装置識別情報27C、カードID、アクティベーション情報、インク残量27B、印刷可能枚数、ユーザ情報が関連付けられて記憶されている。装置識別情報27Cは、上記したプリンタ20の識別情報である。装置識別情報27Cは、図3では一例として「dv1、dv2、dv3、・・・」の値が記憶されている。カードIDは、装置識別情報27Cで特定されるプリンタ20に装着されているICカード41のカードIDである。カードIDは、図3では一例として「CID1、CID2、・・・」の値が記憶されている。同様に、アクティベーション情報、インク残量27Bは、装置識別情報27Cで特定されるプリンタ20のアクティベーション情報やインク残量27Bである。インク残量27Bは、図3では一例として「ink1、ink2、ink3、・・・」の値が記憶されている。また、印刷可能枚数は、プリンタ20に装着されているICカード41に記憶された印刷可能枚数である。印刷可能枚数は、図3では一例として「pr1、pr2、pr3、・・・」の値が記憶されている。ユーザ情報は、後述するように、プリンタ20の使用開始時などに登録されるプリンタ20の使用者の情報である。ユーザ情報は、図3では一例として「User1、User2、・・・」の値が記憶されている。
【0039】
また、識別情報データ33Cには、ベンダから販売しているICカード41のカードID、及びプリンタ20の装置識別情報27Cが登録されている。サーバ30は、後述するように、プリンタ20から取得したカードID及び装置識別情報27Cが識別情報データ33Cに登録されているか否かに基づいて、送信元のプリンタ20やICカード41が正規にベンダから販売しているものであるか否かを判断する。従って、識別情報データ33Cに登録されたカードID及び装置識別情報27Cは、例えば、ベンダから正規のルートで製造・販売されたICカード41やプリンタ20の情報である。尚、カードIDのデータベースと、装置識別情報27Cのデータベースとは、別々のデータベースでも良い。
【0040】
(初回セットアップ処理)
次に、プリンタ20をセットアップする初回セットアップ処理におけるユーザの作業、各装置の処理の内容について説明する。ユーザは、例えば、プリンタ20を初めて購入し、ベンダからプリンタ20が到着すると、図4に示すセットアップの作業を行う。プリンタ20、サーバ30の各装置は、ユーザの作業に応じて各処理を実行する。また、プリンタ20は、図4の初回セットアップ処理に応じて、図5図6に示す処理を実行する。尚、図4のシーケンス図では、ユーザ(人)による作業は、斜め左下向きの矢印で示している。また、図4以降に示す処理、作業の内容や順番は、一例である。また、以下の説明では、図4の(1)~(4)に場合分けして説明する。
【0041】
まず、図4のステップ(以下、単にSと記載する)11において、ユーザは、ベンダから送付されたプリンタ20の装着部28に、ICカード41を装着する。このICカード41は、プリンタ20とともにベンダから発送されたカードでも良く、家電量販店等で購入したカードでも良い。上記したように、ICカード41は、ベンダからユーザに発送された時点や家電量販店等で購入した時点では、オフ状態のアクティベーション情報が記憶されている。プリンタ20は、ICカード41のアクティベーション情報がオフ状態であるため、印刷動作を実行できない状態(以下、初期状態という場合がある)となる。
【0042】
ユーザは、ICカード41を装着した後、プリンタ操作部24の電源ボタンを操作して、プリンタ20の電源を投入する(S13)。一方、図5に示すように、プリンタ20は、電源を投入され電力を供給されると、プリンタCPU26でプリンタプログラム27Aを実行しシステムを起動する。プリンタ20は、システムを起動した後、装着部28にICカード41が装着されたか否かを判断する(S15)。プリンタ20は、例えば、装着部28の端子を介して通電される信号の内容に基づいて、ICカード41が装着部28に正しく装着されたか否かを判断する。ここでいう正しく装着されるとは、例えば、ICカード41が正しい向きで装着部28に装着され、ICカード41に対する読み込み及び書き込み処理が実行でき、且つICカード41に必要なカード情報41Aが書き込まれていることが確認された状態をいう。
【0043】
プリンタ20は、ICカード41が装着部28に正しく装着されていない場合(S15:NO)、S15の判断処理を繰り返し実行する。尚、プリンタ20は、例えば、起動後に一定時間が経過してもICカード41の装着を確認できない場合、ICカード41の挿入を促す警告等を、プリンタ操作部24に表示しても良い。
【0044】
プリンタ20は、ICカード41が装着部28に正しく装着された場合(S15:YES)、ネットワークの設定を要求する(S17)。例えば、プリンタ20は、「ネットワークの設定を行なって下さい」などのメッセージをプリンタ操作部24に表示する。プリンタ20は、メッセージを表示した後、プリンタ操作部24に対する所定の操作入力を受け付けると、SSID、暗号化キーを受け付ける設定画面、あるいはIPアドレスやデフォルトゲートウエイを受け付ける設定画面をプリンタ操作部24に表示し、外部通信部22の通信設定を受け付ける。
【0045】
また、プリンタ20は、S17でネットワークの設定画面を表示した後、ネットワークの設定を受け付けたか否かを判断する(S19)。ユーザは、プリンタ操作部24の表示を確認して、ルータ2のSSID等を入力し、ネットワークの設定を実行する(図4のS21)。ユーザは、例えば、ネットワークの設定を入力すると、プリンタ操作部24に表示された決定ボタンを押下する。プリンタ20は、決定ボタンの押下を検出すると、S19で肯定判断し(S19:YES)、ネットワーク接続を有効化する(S23)。尚、プリンタ20は、設定画面を表示した後、一定時間だけ経過してもネットワークの設定が入力されない場合(S19:NO)、エラーを報知しても良い。
【0046】
プリンタ20は、例えば、近距離通信部21や外部通信部22へ電力を供給し、プリンタ20を外部装置と通信可能な状態にする。また、プリンタ20は、ユーザから入力されたSSID及び暗号化キーを用いて、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に応じた無線通信でルータ2に外部通信部22を介してアクセスし、ルータ2と通信可能な状態となる(S23)。これにより、プリンタ20は、外部通信部22、ルータ2を介して携帯端末装置10及びサーバ30と通信可能な状態となる。
【0047】
次に、プリンタ20は、ICカード41の読み出しを実行する(S25)。プリンタ20は、装着部28に装着されたICカード41からカードIDを読み出す。プリンタ20は、読み出したカードIDと、自装置の装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する(S27)。例えば、プリンタ記憶部27には、ベンダのサーバ30のアクセス先の情報(URLやグローバルIPアドレス)が記憶されている。プリンタ20は、S27において、このプリンタ記憶部27に予め記憶されたアクセス先の情報に基づいてサーバ30へアクセスし、カードID等を送信する(S27)。尚、プリンタ20は、アクセス先の情報を、携帯端末装置10等に問い合わせても良い。
【0048】
サーバ30は、S27の情報をプリンタ20から受信すると、受信した情報に基づいて、ICカード41及びプリンタ20が正規品であるか否かを判断する(S29)。サーバ30は、S27で受信したカードID及び装置識別情報27Cの各々が、識別情報データ33Cに登録されていた場合、ICカード41及びプリンタ20が正規品であると判断する(S29:YES)。また、サーバ30は、S27で受信したカードID及び装置識別情報27Cのうち、一方の情報が、識別情報データ33Cに登録されていなかった場合、正規品でないと判断する(S29:NO)。サーバ30は、S29の正規品の判断処理を実行すると、正規品の判断結果、即ち、識別情報データ33Cに登録されているか否かの情報をプリンタ20へ通知する(S31)。
【0049】
尚、正規品であるか否かを判断する方法は、上記した識別情報データ33Cを用いる方法に限定されない。例えば、サーバ30は、1つのICカード41(カードID)に対して、関連付けられるプリンタ20が1台となるように、制御する。この場合、サーバ30は、S27で受信したカードIDが、管理DB33Bにおいて既に別のプリンタ20に関連付けられていた場合、正規品でないと判断しても良い。あるいは、サーバ30は、1つのICカード41に対して、アクティベーション情報がオン状態となるプリンタ20が1台となるように制御しても良い。サーバ30は、S27で受信したカードIDが、管理DB33Bにおいて既に別のプリンタ20に関連付けられており、且つ関連付けられたアクティベーション情報がオン状態である場合、正規品でないと判断しても良い。これにより、偽造されたICカード41の利用等を防ぐことが可能となる。
【0050】
また、例えば、サーバ30は、S27で受信した情報をベンダ等に送信して、登録の有無を問い合わせる処理を実行しても良く、受信した情報を印刷して印刷物を見たベンダの管理者による確認結果を受け付けても良い。また、プリンタ20とICカード41を予め関連付けて管理DB33Bなどに登録しても良い。ベンダは、装置識別情報27CとカードIDを関連付けたプリンタ20及びICカード41を同梱してユーザへ発送する。これにより、サーバ30は、S27で受信したカードID及び装置識別情報27Cが管理DB33Bに関連付けて登録されている場合、正規品であると判断しても良い(S29:YES)。あるいは、サーバ30は、カードID及び装置識別情報27Cの一方だけをプリンタ20から受信して正規品であるか否かを判断しても良い。
【0051】
また、正規品であるか否かの判断を、サーバ30以外の装置、例えば、プリンタ20が実行しても良い。例えば、プリンタ20に対して予め関連付けたICカード41のカードIDを、プリンタ記憶部27に記憶させる。プリンタ20は、図4のS33に示すように、図5のS25でICカード41のカードIDを読み出した後、読み出したカードIDと、プリンタ記憶部27に記憶されたカードID(予め関連付けられたID)が一致した場合に、正規のICカード41が挿入されたと判断し、後述するS37以降の処理を実行しても良い。
【0052】
(1)正規品と判断された場合
図5に示すように、プリンタ20は、S27の送信処理を実行すると、サーバ30から受信した判断結果が正規品と判断された結果を示しているか否かを、判断する(S35)。プリンタ20は、正規品の判断結果を受信すると(S35:YES)、初期導入を実行する(S37)。ここでいう、初期導入とは、例えば、印刷部23による印刷を実行するための準備処理である。本願の初期導入の一例としては、例えば、インク収容部23Aのインクをインクジェットヘッド23Cまで通液させる動作を採用できる。より具体的には、プリンタ20のバルブ23H(図1参照)は、ベンダから出荷され、初期導入の実行前の状態では、閉じられている。一方、インクジェットヘッド23C側には出荷液が充填されている。出荷液とは、例えば、工場から出荷される状態においてインクの流路に充填され、チューブ等の流路の状態を保つための液体である。プリンタ20は、S37の初期導入を開始すると、バルブ23Hを開き、インク収容部23Aからインクジェットヘッド23Cへインクを通液させる。インクをインクジェットヘッド23Cまで通液させる手段としては、インクジェットヘッド23Cを駆動させてインクジェットヘッド23Cの流路内に充填されている液体が出荷液からインクに置換されるまでして出荷液を吐出させることが挙げられる。尚、インクジェットヘッド23Cの流路内の液体を置換する手段としては、インクジェットヘッド23Cを駆動させることの他に、例えば、メンテナンスユニット23G(図1参照)を駆動させインクジェットヘッド23Cのノズル面側から出荷液を吸引することでインクジェットヘッド23Cのノズルから出荷液を排出させても良い。また、出荷液をインクジェットヘッド23Cから排出させる印刷動作(テスト印刷)を実行しても良い。
【0053】
あるいは、プリンタ20は、初期導入として、インクジェットヘッド23Cのノズルの詰まりをチェックする処理や、テスト印刷を実行しても良い。また、印刷部23が電子写真方式で印刷する構成である場合、プリンタ20は、初期導入として、例えば、トナー収容部内のトナー攪拌部材を一定時間回転させる動作、所謂、トナーカートリッジのガラ回しを実行してトナーを攪拌してトナーを現像ローラに供給する処理を実行しても良い。
【0054】
図5に示すように、プリンタ20は、例えば、S37の初期導入を開始すると、インク収容部23Aからインクジェットヘッド23Cへインクを充填し、インクジェットヘッド23Cからインク(出荷液を含む)を吐出する。プリンタ20は、吐出を開始した後、所定時間だけ吐出を実行したか否かを判断する(S39)。プリンタ20は、所定時間だけ経過するまでの間(S39:NO)、インクの吐出を継続する。プリンタ20は、所定時間だけ経過すると(S39:YES)、インクの吐出を終了、即ち、初期導入を終了する(S41)。
【0055】
プリンタ20は、S37、S39、S41の初期導入を完了させると、初期導入の結果をサーバ30へ送信する(S43)。例えば、プリンタ20は、S37以降のインクを吐出する初期導入において、インクの吐出量を吐出量検出部23Fによって検出し、検出した吐出量を初期導入の結果としてサーバ30へ送信する。プリンタ20は、例えば、吐出を開始した後、吐出量検出部23Fで検出する吐出量の増加量が低減し、変化量が安定した時点の吐出量を、初期導入の結果としてサーバ30へ送信する。あるいは、プリンタ20は、予め設定された時間、例えば、出荷液からインクまで置換するのに必要な作業時間が経過した後に、単位時間当たりの吐出量を検出し、サーバ30へ送信しても良い。また、プリンタ20は、初期導入を実行中において検出した吐出量の合計量を、初期導入の結果としてサーバ30へ送信しても良い。サーバ30は、後述するように、プリンタ20から受信した吐出量に基づいて初期導入が正常に終了したか否かを判断する。従って、S39で判断する所定時間は、初期導入における吐出量を検出可能な時間であり、例えば、初期導入を正常に実行できたか否かを判断できる程度まで、吐出量が安定するのに必要な時間である。
【0056】
プリンタ20は、S43において、初期導入の結果と併せて、カードID、装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する。尚、サーバ30は、装置識別情報又はカードIDの一方のみをサーバ30へ送信しても良い。サーバ30は、S43の情報を受信すると、送信元のプリンタ20について、初期導入の結果が正常であるか否かを判断する(S45)。サーバ30は、例えば、受信した吐出量が、所定の閾値の範囲内である場合、初期導入が正常に完了したと判断する(S45:YES)。S45の判断処理で用いる範囲を規定する下限値は、例えば、チューブやノズルの詰まりが発生して吐出量が低減した場合に、吐出量の低減を検出可能な下限の吐出量である。また、上限値としては、例えば、ノズルの破損等が発生し、インクジェットヘッド23Cから過剰に吐出された場合に、吐出量の増大を検出可能な上限の吐出量である。従って、閾値の範囲は、上記した異常が発生せずに、正常にインクジェットヘッド23Cから吐出した吐出量の範囲を設定できる。尚、サーバ30は、下限値又は上限値のみを用いて吐出量を判断しても良い。
【0057】
サーバ30は、S45で初期導入が正常に完了したと判断すると(S45:YES)、正常完了と判断した判断結果をプリンタ20へ通知する(S47)。また、サーバ30は、受信した吐出量が、所定の閾値の範囲外である場合、初期導入が正常に完了していないと判断し(S45:NO)、異常完了と判断した判断結果をプリンタ20へ通知する(S47)。
【0058】
尚、初期導入の処理内容や初期導入が正常に完了したか否かを判断する方法は、上記した方法に限らない。例えば、プリンタ20がスキャナ機能を備えている場合、プリンタ20は、インクジェットヘッド23Cに対するインクの充填を実行した後、テスト印刷を実行する。プリンタ20は、印刷したテストページのスキャンを要求するメッセージをプリンタ操作部24に表示する。ユーザは、メッセージを確認してプリンタ20のスキャナでテストページをスキャンする。プリンタ20は、スキャンしたテストページの画像データをサーバ30に送信する。あるいは、ユーザは、携帯端末装置10のカメラ16でテストページを撮像し、撮像した画像データをサーバ30へ送信しても良い。サーバ30は、プリンタ20又は携帯端末装置10から受信した画像データを画像解析することで、初期導入が正常に完了したか否かを判断する。サーバ30は、例えば、テストページに印刷されたテストパターンについて、ドット抜け、ドットのズレ等がなく所望のテストパターンが形成されていた場合、あるいは一定の割合以上でドットの形成に成功していた場合、初期導入が正常に完了したと判断しても良い。また、プリンタ20及びサーバ30は、上記したインクの吐出量を判断する方法と、画像データを解析する方法との両方を併用して、初期導入が正常に完了したか判断しても良い。
【0059】
あるいは、初期導入及びそれを確認する処理としては、例えば、プリンタ操作部24のタッチパネルが正常に表示されるか否かを確認する処理、時計情報などの設定情報を受け付けてタッチパネルに正常に表示できるか(設定を反映できるか)否かを確認する処理でも良い。また、初期導入及びそれを確認する処理としては、搬送ローラやインクジェットヘッド23Cなどの物理的な機構が正常に動作し用紙を搬送して印刷できるか否か確認する処理でも良い。
【0060】
また、初期導入の結果が正常であるか否かの判断を、サーバ30以外の装置、例えば、プリンタ20が実行しても良い。プリンタ20は、例えば、初期導入で検出した吐出量が閾値の範囲外であった場合、エラー等をユーザやサーバ30に通知しても良い。また、プリンタ20は、初期導入で検出した吐出量が閾値の範囲内であった場合、初期導入が正常に終了したことをサーバ30へ通知しても良い。そして、プリンタ20は、通知に対する応答をサーバ30から受信した場合に、後述するS53以降の処理(印刷可能枚数の書き込みなど)を実行しても良い。
【0061】
(2)正常完了と判断された場合
一方、図6に示すように、プリンタ20は、S43で初期導入の結果等を送信すると、サーバ30から正常完了の判断結果を受信したか否かを判断する(S49)。プリンタ20は、正常完了の判断結果を受信すると(S49:YES)、ICカード41から印刷可能枚数を読み出す(S51)。上記したように、ICカード41には、例えば、ベンダから送付された時点で、所定の印刷可能枚数がチャージされている。プリンタ20は、S51で読み出した印刷可能枚数を、プリンタ記憶部27に書き込む(S53)。次に、プリンタ20は、カード情報41Aのアクティベーション情報をオン状態にする(S54)。
【0062】
これにより、プリンタ20は、印刷可能枚数の範囲で、印刷部23による印刷を実行することができる印刷実行可能状態となる。プリンタ20は、プリンタ記憶部27に記憶した印刷可能枚数を用いて印刷処理等を実行する。例えば、プリンタ20は、携帯端末装置10から受信した印刷命令に基づく印刷が完了すると、プリンタ記憶部27の印刷可能枚数から、印刷した用紙の枚数(以下、印刷枚数という場合がある)を減算する。また、プリンタ20は、減算した後の印刷可能枚数で、ICカード41の印刷可能枚数の情報を更新する。また、プリンタ20は、減算した後の印刷可能枚数の情報をサーバ30へ通知する。サーバ30は、プリンタ20から受信した印刷可能枚数に基づいて、管理DB33Bのうち、送信元のプリンタ20の装置識別情報27Cに関連付けられた印刷可能枚数を更新することで、印刷可能枚数の同期を実行する。
【0063】
尚、S53、S54は、本願の移行処理の一例である。また、プリンタ20は、アクティベーション情報を用いない構成でも良い。例えば、プリンタ20は、S53を実行し、印刷可能枚数をプリンタ記憶部27に書き込むだけで、印刷実行可能状態へ移行しても良い。即ち、プリンタ20は、S53を実行し印刷可能枚数の書き込みだけで、本願の移行処理を完了させても良い。この場合、プリンタ20は、S54を実行しない構成でも良い。また、サーバ30は、アクティベーション情報を管理しなくとも良い。また、プリンタ20は、印刷可能枚数をICカード41からプリンタ記憶部27に書き込まずに、ICカード41から適宜読み出しても良い。例えば、プリンタ20は、印刷処理を開始する前に、ICカード41から印刷可能枚数を読み出し、印刷を実行する。プリンタ20は、印刷を完了させると、ICカード41の印刷可能枚数から印刷枚数を減算し、減算した値でICカード41の印刷可能枚数を更新しても良い。
【0064】
また、ICカード41には、ベンダから送付された時点で、印刷可能枚数としてゼロ枚が設定されていても良い。この場合、プリンタ20は、ゼロ枚をプリンタ記憶部27に書き込んでも良い。あるいは、プリンタ20は、ICカード41に対するチャージを実行しても良い。プリンタ20は、S47において、正常完了の判断結果をサーバ30から受信した場合、所定の印刷可能枚数を、ICカード41に書き込んでも良い。
【0065】
プリンタ20は、S54を実行すると、印刷実行可能状態であることをユーザに報知する(S55)。例えば、プリンタ20は、「印刷を実行する準備が完了しました」などのメッセージをプリンタ操作部24に表示し、印刷実行可能状態となったことをユーザに報知しても良い。あるいは、プリンタ20は、特定の表示ランプを点灯又は消灯して、印刷実行可能状態となったことを報知しても良い。
【0066】
プリンタ20は、S55を実行すると、プリンタ情報をサーバ30へ送信する(S57)。プリンタ20は、例えば、プリンタ情報として、カードID、印刷可能枚数、アクティベーション情報、装置識別情報27C、インク残量検出部23Eで検出したインク残量の情報を、サーバ30へ送信する。この時点では、インク残量27Bは、ほぼ満タンの残量(例えば、1万枚の印刷可能な残量)となる。サーバ30は、プリンタ20から受信したカードID、等を、管理DB33Bに新規に登録する(S59)。これにより、初期導入が正常に完了したプリンタ20の情報が、管理DB33Bに登録される。
【0067】
尚、サーバ30は、管理DB33Bの登録をS59でまとめて実行せずに、適宜実行しても良い。例えば、サーバ30は、S29で正規品と判断した後、カードIDや装置識別情報27Cを管理DB33Bに登録し、S45で正常完了と判断した後、アクティベーション情報(オン状態)を管理DB33Bに登録しても良い。また、サーバ30は、ネットワーク障害等により初回セットアップ処理が途中で中断された場合、中断するまでの情報を保持して、次回以降のセットアップ処理時に、中断した時点から再開しても良く、最初から(S29の正規品の判断)から再開しても良い。
【0068】
また、サーバ30は、プリンタ20の情報に関連付けて、ユーザ情報を管理DB33Bに登録する処理を実行しても良い。例えば、プリンタ20は、図4図5図6のセットアップ処理中、あるいはセットアップ処理後に、携帯端末装置10からアクセスがあった場合、ユーザ登録を促すメッセージを携帯端末装置10に表示しても良い。携帯端末装置10は、ユーザ登録を要求する通知をプリンタ20から受信すると、操作表示部14を介してユーザ情報をユーザから受け付ける。このユーザ情報は、例えば、プリンタ20を使用するユーザに関する情報であり、ユーザの氏名、住所、年齢、性別、職業、連絡先のメールアドレス、料金の支払い方法等である。携帯端末装置10は、例えば、受け付けたユーザ情報と、プリンタ20の装置識別情報27C、カードIDをサーバ30へ通知する。これにより、サーバ30は、プリンタ20の装置識別情報27C等に関連付けてユーザ情報を管理DB33Bに登録することができる。
【0069】
(3)異常完了と判断された場合
また、プリンタ20は、S47において、異常完了と判断した判断結果を受信すると、図6のS49で否定判断し(S49:NO)、プリンタ20が故障している可能がある旨をユーザに報知する(S61)。例えば、プリンタ20は、「プリンタ本体が故障している可能性がある」旨のメッセージをプリンタ操作部24に表示する。尚、プリンタ20は、プリンタ20の故障の問い合わせ先や、交換の申請先をプリンタ操作部24に表示しても良い。
【0070】
(4)非正規品と判断された場合
また、プリンタ20は、S31において、正規品でない、即ち、非正規品と判断した判断結果をサーバ30から受信すると、図5のS35で否定判断し(S35:NO)、ICカード41やプリンタ20が非正規品であることをユーザに報知する(S63)。例えば、プリンタ20は、「ICカード41、プリンタ20が非正規品の可能性があります」、「ICカード41、プリンタ20に異常がある可能性があります」などのメッセージをプリンタ操作部24に表示する。また、カードID及び装置識別情報27Cのどちらが識別情報データ33Cに登録されていないのか、あるいは、どちらに異常があるのかをサーバ30から通知された場合、プリンタ20は、異常の通知を受けたもの(ICカード41又はプリンタ20)を特定して報知しても良い。例えば、プリンタ20は、「ICカード41の登録がベンダ側で確認できませんでした、ICカード41の交換をお問い合わせ下さい」などのメッセージをプリンタ操作部24に表示しても良い。
【0071】
因みに、上記第1実施形態において、プリンタ20は、記録装置の一例である。外部通信部22は、通信インタフェースの一例である。吐出量検出部23Fは、消費量センサの一例である。印刷部23は、記録部の一例である。プリンタCPU26は、コントローラの一例である。プリンタ記憶部27は、記憶部の一例である。装置識別情報27Cは、記録装置識別情報の一例である。印刷可能枚数は、記録許可量、記録許可情報の一例である。装着部28は、読取部の一例である。ICカード41は、外部記憶媒体の一例である。カードIDは、媒体識別情報の一例である。S37は、初期導入処理、初期導入ステップの一例である。S49は、完了判断処理、完了判断ステップの一例である。S53、S54は、移行処理、移行ステップの一例である。S43は、送信処理、第1送信処理の一例である。S17、S19は、通信設定判断処理の一例である。S45は、結果判断処理の一例である。S47は、第2送信処理の一例である。S27は、第3送信処理の一例である。S29は、登録判断処理の一例である。S31は、第4送信処理の一例である。
【0072】
(効果)以上、上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)第1実施形態のプリンタ20は、印刷部23による印刷動作が不可能な初期状態において、印刷部23による印刷動作を実行させるための初期導入を実行し(S37)、初期導入が正常に完了したか否かを判断する(S49)プリンタ20は、初期導入が正常に完了したと判断したことに基づいて(S49:YES)、初期状態から印刷実行可能状態へ移行する(S53、S54)。これによれば、初期導入が正常に完了した後に、印刷実行可能状態へ移行する。このため、初期導入に失敗した場合などに、印刷可能枚数のプリンタ記憶部27への書き込みや、アクティベーション情報27Eをオン状態に変更する処理を実行しない。初期導入に失敗した、即ち、交換等が必要なプリンタ20にICカード41が関連付けられてサーバ30に登録等されることを抑制できる。逆に、正常なプリンタ20が、交換の必要なICカード41に関連付けられることを抑制できる。関連付けられたために、ICカード41等について、ベンダの問い合わせ窓口等に問い合わせする必要がなく、ユーザは、プリンタ20又はICカード41の一方を交換して初期導入を再度実行することができる。ユーザにとって利便性の高い新規な印刷サービスを実現できる。
【0073】
また、本願のプリンタ20では、印刷動作を禁止しているものの、印刷可能枚数のチャージ処理を禁止していない。このため、ユーザは、初期導入の開始前や実行中に、印刷可能枚数のチャージをプリンタ20やサーバ30等に対して実行することができるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0074】
(2)また、プリンタ20は、初期導入の結果をサーバ30に送信し(S43)、S49において、S43で送信した情報に対するサーバ30の判断結果に基づいて、初期導入が正常に完了したか否かを判断する。これによれば、吐出量の判断や、画像データの画像解析など、初期導入の結果を判断する処理を、サーバ30側で実施することができる。初回セットアップ処理におけるプリンタ20の処理負荷を軽減できる。
【0075】
(3)また、プリンタ20は、外部通信部22に対する通信設定を受け付けたか否かを判断し(S19)、通信設定を受け付けた場合(S19:YES)、初期導入を実行する。これによれば、印刷に係わる初期導入だけでなく、通信の設定も確実に終わらせた上で、印刷可能枚数をプリンタ記憶部27に書き込む処理やアクティベーション情報をオン状態に変更する処理を実行できる。
【0076】
(4)また、プリンタ20は、S37の初期導入として、インクをインクジェットヘッド23Cに充填し印刷を実行できる状態に印刷部23を準備する。これによれば、印刷部23による印刷が実行可能であるか確認した上で、印刷可能枚数をプリンタ記憶部27に書き込む処理等を実行できる。
【0077】
(5)また、プリンタ20は、S53において、印刷可能枚数をプリンタ記憶部27に書き込む。その後、プリンタ20は、プリンタ記憶部27の印刷可能枚数の範囲で、印刷動作を実行する。これによれば、プリンタ20が備えるプリンタ記憶部27に記憶された印刷可能枚数を用いて印刷動作を実行することができる。ICカード41が抜かれた場合やサーバ30にアクセスできない場合でも、印刷可能枚数を管理して印刷することが可能となる。
【0078】
(6)また、プリンタ20は、S53において、装着部28に装着されたICカード41から印刷可能枚数を読み取って、読み取った印刷可能枚数をプリンタ記憶部27に記憶させる。これによれば、プリンタ20は、プリンタ記憶部27に記憶した印刷可能枚数を用いて、印刷動作等を実行できる。印刷可能枚数を増減させる度に、ICカード41にアクセスする必要がなくなる。ICカード41に対する書き込み処理や読み取り処理の頻度を減らすことができる。
【0079】
(7)また、プリンタ20は、初期導入の結果をサーバ30に送信する(S43)。サーバ30は、S43で受信した初期導入の結果に基づいて初期導入が正常に完了したか否かを判断し(S45)、判断結果をプリンタ20へ送信する(S47)。プリンタ20は、S49において、S47で受信した判断結果に基づいて、初期導入が正常に完了したか否かを判断する。これによれば、吐出量の判断など、初期導入の結果を判断する処理を、サーバ30側で実施することができる。初回セットアップ処理におけるプリンタ20の処理負荷を軽減できる。
【0080】
(8)また、プリンタ20は、印刷動作における印刷部23のインクの吐出量を検出する吐出量検出部23Fを備え、初期導入において印刷部23を動作(テスト動作、ノズルチェック、テスト印刷など)させた際に吐出量検出部23Fで検出した吐出量をS43でサーバ30に送信する。サーバ30は、S45において、受信した吐出量が所定の閾値の範囲内であることに基づいて、初期導入が正常に完了したと判断する。これによれば、プリンタ20の印刷動作で実際に吐出されたインクの吐出量をサーバ30側で判断できる。ノズルの詰まりやノズルの破損等による吐出量の異常を検出することができる。
【0081】
(9)また、プリンタ20は、S43において、印刷部23による印刷を実行した用紙の画像を読み取った画像データをサーバへ送信しても良い。サーバ30は、S45において、受信した画像データに対する画像解析を実行し、画像解析の結果に基づいて初期導入が正常に完了したか否かを判断しても良い。これによれば、プリンタ20の印刷動作で実際に印刷した画像をサーバ30側で判断できる。ノズルの詰まりによるドット抜け等の印刷不良を検出することができる。
【0082】
(10)また、サーバ30は、プリンタ20を識別可能な装置識別情報27Cを複数記憶する識別情報データ33Cを有する。プリンタ20は、自装置の装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する(S27)。サーバ30は、受信した装置識別情報27Cが、識別情報データ33Cに記憶されているか判断し(S29)、記憶されている場合、正規品であることを示す判断結果をプリンタ20へ送信する(S31)。プリンタ20は、正規品である判断結果を受信したことに基づいて(S35:YES)、初期導入を開始する。これによれば、プリンタ20の装置識別情報27Cが、ベンダ側が登録されているか、即ち、正規なプリンタ20であるか否かを確認した上で、初期導入や印刷可能枚数に基づく印刷を許可できる。非正規品のプリンタ20の使用を抑制できる。
【0083】
(11)また、プリンタ20は、S19において、通信設定を受け付けた場合(S19:YES)、S27で装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する。これによれば、通信設定がなされサーバ30と通信可能となった状態で、装置識別情報27Cを送信する処理を開始できる。装置識別情報27Cの送信不良の発生を抑制できる。
【0084】
(12)また、プリンタ20は、電源を投入された後(S13)、装着部28にICカード41が装着されていることに基づいて(S15:YES)、S17、S19を実行する。これによれば、ICカード41が装着部28に装着され、ICカード41の情報が読み取り可能となった状態で、通信の設定を受け付ける。通信が可能となったものの、ICカード41が読み取れない、又は未装着であるような事態の発生を抑制できる。
【0085】
(13)また、識別情報データ33Cには、複数のカードIDが記憶されている。プリンタ20は、S27において、自装置に装着されたICカード41のカードIDを送信する。サーバ30は、S29において、装置識別情報27Cに加え、カードIDが、識別情報データ33Cに記憶されているか否かを判断する。サーバ30は、装置識別情報27C及びカードIDの両方が、識別情報データ33Cに記憶されている場合(S29:YES)、S31で正規品である判断結果を送信する。これによれば、プリンタ20だけでなく、ICカード41がベンダ側から正規に販売したものか、登録されたものであるかなどを確認することができる。不正なICカード41の利用を抑制することができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。上記した第1実施形態では、図1に示すように、プリンタ20は、ICカード41を読み取る装着部28を備え、ICカード41に記憶された印刷可能枚数を読み取って使用した。これに対し、第2実施形態のプリンタ20は、印刷可能枚数をサーバ30から取得して使用する。また、第1実施形態では、図4のS55の印刷実行可能状態の報知など、ユーザへの報知を、プリンタ操作部24を用いて実行した。これに対し、第2実施のプリンタ20は、携帯端末装置10を介してユーザへの報知を実行する。尚、以下の説明では、上記した第1実施形態と同様の内容については、その説明を適宜省略する。
【0087】
また、携帯端末装置10は、ルータ2を介してプリンタ20及びサーバ30と通信可能に設定されているものとする。例えば、携帯端末装置10は、電源を投入されると、端末プログラム12Aを実行してシステムを起動する。携帯端末装置10は、システムを起動した後、操作表示部14に対する操作入力に応じて、ルータ2のSSID等を入力され、ルータ2を介してプリンタ20等と通信可能な状態となる。
【0088】
図7に示すように、プリンタ記憶部27には、印刷可能枚数27Dと、アクティベーション情報27Eが記憶される。印刷可能枚数27Dは、後述するように、サーバ30から取得した印刷可能枚数である。プリンタ20は、例えば、ベンダから送付等された時点では、プリンタ記憶部27に印刷可能枚数を記憶していない、あるいは、「ゼロ」を示す印刷可能枚数が記憶されている。尚、プリンタ20は、ベンダから送付される時点で、所定の印刷可能枚数27Dがプリンタ記憶部27に記憶された状態でも良く、後述するセットアップ処理前にユーザによって印刷可能枚数27Dをチャージされても良い。
【0089】
また、プリンタ20は、例えば、ベンダから送付等された時点では、アクティベーション情報がオフ状態となっている。このため、プリンタ20は、印刷動作を実行できない初期状態となっている。また、サーバ30の識別情報データ33Cは、第1実施形態とは異なり、カードIDが登録されておらず、ベンダが販売した正規のプリンタ20の装置識別情報27Cのみが登録されている。
【0090】
(初回セットアップ処理)
次に、第2実施形態の初回セットアップ処理について説明する。まず、ユーザは、第1実施形態と同様に、例えば、プリンタ20を初めて購入し、ベンダからプリンタ20が到着すると、図8に示すセットアップの作業を行う。携帯端末装置10、プリンタ20、サーバ30の各装置は、ユーザの作業に応じて各処理を実行する。また、プリンタ20は、図8の初回セットアップ処理に応じて、図9図10に示す処理を実行する。
【0091】
まず、図8に示すように、ユーザは、プリンタ20の電源を投入し(S13)、ネットワークの設定を行なう(S21)。プリンタ20は、ネットワークの接続を有効化して携帯端末装置10やサーバ30と通信可能な状態となる(S17、S19、S23)。次に、プリンタ20は、自装置のWebサーバのアクセス先をプリンタ操作部24に表示する(S71)。プリンタ20は、例えば、EWS(Embedded Web Server)プログラムなどのWebサーバとして機能するプログラムをプリンタCPU26で実行し、Webサーバを立ち上げる。プリンタ20は、Webサーバで公開するWebページの特定のURLをプリンタ操作部24に表示する。プリンタ20は、URLを文字で表示しても良く、QRコード(登録商標)などの二次元コードでURLを表示しても良い。また、プリンタ20は、携帯端末装置10と通信可能であれば、携帯端末装置10のアプリケーション12BへURLを通知しても良い。
【0092】
ユーザは、例えば、携帯端末装置10を操作してカメラ16でプリンタ操作部24のQRコード(登録商標)を撮像して、Webサーバへアクセスする(S73)。携帯端末装置10は、操作表示部14に対する操作入力に基づいて、プリンタ20の利用を開始する利用開始登録の処理を実行する(S75)。例えば、プリンタ20は、S71で表示したURLにアクセスがあった場合、「プリンタの利用を開始しますか?」などのメッセージとともに、利用開始を指示する利用開始ボタン(図示略)を設けたWebページを携帯端末装置10に表示させる。
【0093】
プリンタ20は、Webページを表示した後、Webページの利用開始ボタンを押下された否かを判断する(S77)。プリンタ20は、利用開始ボタンが押下されるまでの間(S77:NO)、Webページを表示する。プリンタ20は、利用開始ボタンが押下されると(S77:YES)、装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する(S79)。従って、第2実施形態のプリンタ20は、第1実施形態とは異なり、ネットワークの接続を有効化した後(S23)、ユーザからの利用開始の指示があったことに基づいて、装置識別情報27Cの送信を実行する。尚、第2実施形態では、ICカード41を用いないため、S79でカードIDを送信しない。
【0094】
また、アクセス先にアクセスがあったか否かを確認する方法は、上記した利用開始ボタンを操作された否かを判断する方法に限らない。例えば、プリンタ操作部24に表示したURLにアクセスがあったことに基づいて、S77で肯定判断(S77:YES)してもよい。即ち、ブラウザ等によるURLのアクセスだけで、ユーザの利用意思があるとして、S79以降の処理を継続しても良い。
【0095】
サーバ30は、S79で受信した装置識別情報27Cが、識別情報データ33Cに登録されているか判断し(S81)、判断結果をプリンタ20に送信する(S31)。プリンタ20は、サーバ30により正規品と判断されると(図9のS35:YES)、初期導入を実行し(S37、S39、S41)、初期導入の結果と装置識別情報27Cをサーバ30へ送信する(図10のS83)。
【0096】
サーバ30は、第1実施形態と同様に、初期導入の結果を判断し(S45)、判断結果をプリンタ20へ送信する(S47)。また、サーバ30は、初期導入の結果に基づいて、初期導入が正常に完了したと判断した場合(S45:YES)、印刷可能枚数をプリンタ20へ通知する(S85)。例えば、プリンタ20は、購入時に初回チャージ分として所定の印刷可能枚数(例えば2000枚)が付与され、サーバ30に登録される。サーバ30は、S85において、この初回チャージ分の印刷可能枚数を送信する。あるいは、ユーザによって印刷可能枚数のチャージが既に行なわれていた場合、サーバ30は、チャージ後の印刷可能枚数をプリンタ20へ送信しても良い。例えば、プリンタ20は、S47で正常判断の結果を受信した場合に、チャージを行なう画面を携帯端末装置10に表示してチャージ指示を受け付けても良い。そして、サーバ30は、受け付けたチャージ後の印刷可能枚数をプリンタ20へ送信しても良い。また、サーバ30は、印刷可能枚数として「ゼロ」の値を送信しても良い。
【0097】
図10に示すように、プリンタ20は、正常判断の判断結果を受信すると(S49:YES)、サーバ30から印刷可能枚数を受信したか否かを判断する(S87)。プリンタ20は、サーバ30から印刷可能枚数を受信するまでの間(S87:NO)、S87の判断処理を実行し、受信すると(S87:YES)、サーバ30から受信した印刷可能枚数を、印刷可能枚数27Dとしてプリンタ記憶部27に書き込む(S89)。次に、プリンタ20は、プリンタ記憶部27のアクティベーション情報27Eを、オフ状態からオン状態に変更する(S90)。これにより、プリンタ20は、印刷可能枚数27Dの範囲で、携帯端末装置10からの印刷命令等に基づく印刷を実行可能な印刷実行可能状態となる。
【0098】
プリンタ20は、S90を実行すると、印刷実行可能状態であることを携帯端末装置10へ通知する(S91)。プリンタ20は、例えば、S73、S75でWebページにアクセスされた際のセッションを携帯端末装置10との間で接続したままにし、S91の通知を実行しても良い。また、例えば、携帯端末装置10がアプリケーション12Bを実行している場合、アプリケーション12Bが、プリンタ20に対して定期的な通信を実行しても良い。そして、プリンタ20は、アプリケーション12Bからの通信に応答して、印刷実行可能状態であることを携帯端末装置10へ通知しても良い。携帯端末装置10は、例えば、アプリケーション12Bの表示画面において、プリンタ20のプリンタ名等を表示した部分に、「オンライン」、「印刷可能」などの文字を表示しても良く、「プリンタ名XXXが印刷可能な状態となりました」などのメッセージを表示しても良い。これにより、携帯端末装置10のユーザは、携帯端末装置10の表示を見ることで、プリンタ20が初期状態から印刷実行可能状態に移行したことを認識できる。ユーザは、アプリケーション12Bを操作して、プリンタ20へ印刷命令を送信し、プリンタ20に対して印刷を実行させることができる。
【0099】
尚、プリンタ20は、(3)異常完了と判断された場合、プリンタ20の故障の可能性がある旨の情報を、携帯端末装置10に通知し(図10のS49:NO、S93)、ユーザへの報知を実行する。また、プリンタ20は、(4)非正規品と判断された場合、プリンタ20が非正規品である旨の情報を携帯端末装置10に通知し(図9のS35:NO、S95)、ユーザへの報知を実行する。これにより、ユーザは、プリンタ20のプリンタ操作部24を直接見る必要がなく、携帯端末装置10で、プリンタ20に対する初回セットアップ処理の結果を知ることができる。
【0100】
因みに、上記第2実施形態において、携帯端末装置10は、情報処理装置の一例である。S89、S90は、移行処理の一例である。S71は、アクセス先報知処理の一例である。S77は、アクセス判断処理の一例である。S79は、第3送信処理の一例である。
【0101】
(効果)以上、上記した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下の効果を奏する。
(1)第2実施形態のプリンタ20は、S89において、サーバ30から取得した印刷可能枚数を、プリンタ記憶部27に記憶する。これによれば、プリンタ記憶部27に記憶した印刷可能枚数に基づいて印刷処理等を実行でき、印刷可能枚数を増減させる度に、サーバ30にアクセスする必要がなくなる。サーバ30との間の通信の頻度を減らすことができる。
【0102】
(2)また、プリンタ20は、S19で通信設定を受け付けた場合(S19:YES)、外部通信部22を介して自装置にアクセスするアクセス先を報知する(S71)。プリンタ20は、報知したアクセス先に携帯端末装置10からアクセスされたか否かを判断する(S77)。プリンタ20は、アクセスされた場合(S77:YES)、S79で装置識別情報27Cをプリンタ20へ送信する。これによれば、携帯端末装置10によってプリンタ20にアクセスがあるか否かで、ユーザの利用意思を確認できる。ユーザからアクセスがあり、利用する意思がある場合に、装置識別情報27Cを送信して、正規品の判断等の処理を進めることができる。
【0103】
(変形例)
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の各実施形態の変形例を以下に列挙する。
上記の各実施形態において、印刷可能枚数をICカード41やプリンタ記憶部27に記憶させ、その印刷可能枚数を印刷ごとに減算し、印刷の可否を決定した。これに対し、プリンタ20で印刷した印刷済枚数などの印刷により増加する量を用いて、印刷可能枚数を管理しても良い。
また、本願の情報処理端末として、スマートフォンである携帯端末装置10を採用したが、これに限らない。情報処理装置としては、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC等の端末を採用できる。
また、アクティベーション情報は、印刷動作の規制の有無を示す情報に限らず、例えば、印刷可能枚数をプリンタ記憶部27に書き込むことを許容するか否かを示す情報であっても良い。例えば、上記第1実施形態であれば、アクティベーション情報がオフである場合はICカード41からプリンタ記憶部27への印刷可能枚数の書き込みが規制される。また、例えば、第2実施形態であれば、アクティベーション情報がオフである場合はサーバ30から取得した印刷可能枚数をプリンタ記憶部27へ書き込む処理や、サーバ30から印刷可能枚数を取得する処理が規制される。そして、初期導入が完了した場合にアクティベーションがオン状態になり、プリンタ記憶部27への印刷可能枚数の書き込みが可能な状態に移行するようにしても良い。即ち、アクティベーション情報がオンになった後に印刷可能枚数がプリンタ記憶部27へ書き込まれるようにしても良い。
従って、上記各実施形態では、図4のS53、S54や図8のS89、S90(本願の移行処理)において、印刷可能枚数をプリンタ記憶部27に書き込んだ後に、アクティベーション情報をオン状態とした。しかしながら、本願の移行処理としては、先にアクティベーション情報をオン状態にする処理(S54又はS90)を実行した後、印刷可能枚数を書き込む処理(S53又はS89)を実行しても良い。
あるいは、本願の移行処理としては、S54、S90のアクティベーション情報をオン状態に変更する処理を実行しなくても良い。例えば、プリンタ20やサーバ30がアクティベーション情報を用いない構成で、プリンタ20が、プリンタ記憶部27に印刷可能枚数を書き込むだけで、印刷実行可能状態へ移行する構成でも良い。
【0104】
また、プリンタ20は、正規品の判断や初期導入の判断を自装置で実施する場合、初回セットアップ処理を全て処理し、管理DB33Bへの登録のみ(S57)をサーバ30と実行しても良い。即ち、S57以外において、プリンタ20は、サーバ30と通信しなくとも良い。また、印刷システム1が、管理DB33Bを用いないシステムである場合、印刷システム1は、サーバ30を備えなくとも良い。
また、1つのプリンタ20に対して、複数の携帯端末装置10から印刷命令や印刷可能枚数のチャージを実施しても良い。
また、プリンタ20は、ユーザがインクを補充可能(インク収容部23Aの各インクタンクを交換可能)な構成でも良い。また、インクなどの消耗品を補充するための手段としては、他にはインク収容部23Aに対してインクなどが入ったボトルから注入可能にする構成などが挙げられる。
また、本願の記録装置として、インクジェット方式のプリンタ20を採用したが、レーザープ方式やサーマル方式のプリンタでも良い。また、記録装置は、個人ユーザ向けのプリンタに限らず、商業用・産業用の印刷機でも良い。従って、記録装置は、印刷機能の他に、スキャン機能、コピー機能、FAX機能等を備える複合機でも良い。また、記録装置は、金属部材等に対して、レーザによりマーカを行うレーザマーカでも良い。従って、本願の記録媒体は、用紙に限らず、金属部材等でも良い。
また、本願における記録装置は、FAX装置でも良い。従って、印刷システム1は、ICカード41に記憶された許可枚数に応じてFAXの送信枚数や受信枚数を制限するFAXシステムでも良い。
また、プリンタ20は、ICカード41が初めて装着された場合に初期導入を実行したが、他のタイミング(所定起動回数ごとなど)に初期導入を実行しても良い。
また、プリンタ20は、ICカード41の装着時に初期導入を実行せず、初めて印刷指示を受け付けた場合に初期導入を実行しても良い。
また、本願における初期導入とは、画像形成の準備処理であり、例えば、FAX機能であれば、FAXの送信や受信を実施するための準備処理でも良い。
【0105】
また、プリンタ20は、印刷可能枚数27Dやアクティベーション情報27Eを、印刷部23のインクタンクに設けられたメモリ、レーザプリンタの場合であれば、トナーカートリッジのメモリ、感光体ドラムのメモリなど、プリンタプログラム27Aが記憶された記憶部以外のメモリ等に記憶して管理しても良い。
また、本願における記録許可情報が示す記録許可量は、印刷枚数に限らない。例えば、記録許可量は、インクやトナーの消費量でも良い。記録許可量は、何ドット(ピクセル)だけインクの吐出を許可する量、インクの使用を許可する量(何mlなど)でも良い。あるいは、記録許可量は、感光体ドラム等の印刷動作にともなって回転する部材の回転数で規定しても良い。
【0106】
上記の各実施形態において、サーバ30は、プリンタ20のインク残量を監視し、インク残量が所定量以下となった場合に、プリンタ20の交換を携帯端末装置10等に通知しても良い。
また、サーバ30は、携帯端末装置10から印刷可能枚数のチャージを受付け、プリンタ20の印刷可能枚数を増加させても良い。
また、サーバ30は、ユーザ情報の受け付けや、受け付けたユーザ情報の管理DB33Bへの登録等を実行しなくとも良い。
プリンタ20は、初回セットアップ処理が正常に完了した後、ICカード41を装着部28から抜かれた場合、印刷を禁止しても良く、プリンタ記憶部27に記憶した印刷可能枚数に基づいて印刷を実行しても良い。
プリンタ20を入手する方法は、特に限定されない。例えば、ユーザは、小売店等の実店舗や、インターネット3上に開設されたECサイト等の仮想店舗からプリンタ20を入手してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 印刷システム(記録システム)、10 携帯端末装置(情報処理装置)、20 プリンタ(記録装置)、22 外部通信部(通信インタフェース)、23F 吐出量検出部(消費量センサ)、23 印刷部(記録部)、26 プリンタCPU(コントローラ、)、27 プリンタ記憶部(記憶部)、27C 装置識別情報、28 装着部(読取部)、30 サーバ、33C 識別情報データ、41 ICカード(外部記憶媒体)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10