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特許7631846複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する方法、サーバ、および、端末装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する方法、サーバ、および、端末装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20250212BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20250212BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20250212BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20250212BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250212BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20250212BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250212BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20250212BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250212BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20250212BHJP
【FI】
G06Q10/00
G01C21/36
G08G1/005
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/12
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J13/00 301K
G16Y10/40
G16Y20/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021014780
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118341
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 仁志
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009357(JP,A)
【文献】特開2011-103048(JP,A)
【文献】国際公開第2020/179262(WO,A1)
【文献】特開2003-296897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G01C 21/36
G08G 1/005
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/12
H02J 7/00
H02J 13/00
G16Y 10/40
G16Y 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の車両と通信可能に構成されている所定の端末装置及びサーバを備えた支援システムを用いて、所定の車両保管エリアに駐車している複数の前記車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を行う作業者を支援する方法であって、
前記サーバと前記作業者によって携帯されている前記端末装置とが協働して、情報取得処理、サブエリア設定処理、対象抽出処理、第1表示処理、および、第2表示処理を実行するように構成されていて、
前記情報取得処理によって、前記車両の識別を可能にする車両識別情報、前記車両の位置の特定を可能にする車両位置情報、および、前記バッテリの電圧に関するバッテリ電圧情報、を含む車両情報を、前記車両の各々から取得し、
前記サブエリア設定処理によって、前記車両保管エリアの中に、複数のサブエリアを設定し、
前記対象抽出処理によって、前記バッテリ電圧情報に基づいて、前記複数の車両の中から充電が必要な要充電車両を抽出し、
前記第1表示処理によって、前記要充電車両に関する判断情報を前記サブエリアの各々に分けた状態で表示する第1表示を、前記端末装置に表示させ、
前記第1表示に基づいて前記端末装置で所定の操作が前記作業者によって行われたときに、前記第2表示処理によって、前記サブエリアの中から選択される管理サブエリアの前記要充電車両について前記車両識別情報および前記車両位置情報を表示する第2表示を、前記端末装置に表示させる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記判断情報が、同じ前記サブエリアに駐車している前記要充電車両の中で最も低い前記バッテリの電圧値である最低電圧値を含み、
前記最低電圧値を、前記第1表示における前記サブエリアの各々に表示させる、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記判断情報が、同じ前記サブエリアに駐車している前記要充電車両の車両数を含み、
前記要充電車両の車両数を、前記第1表示における前記サブエリアの各々に表示させる、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の方法において、
前記第2表示を前記端末装置に表示させるときに、前記管理サブエリアに駐車している前記車両の位置を、前記要充電車両の位置も含めて、前記端末装置にマップ状に図示させ、
前記要充電車両の前記車両識別情報と共に、当該要充電車両に隣接している前記車両の前記車両識別情報を表示させる、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の方法において、
前記第2表示を前記端末装置に表示させるときに、前記管理サブエリアに駐車している前記車両の位置を、前記要充電車両の位置も含めて、前記端末装置にマップ状に図示させ、
前記端末装置の位置の特定を可能にする端末位置情報を、前記端末装置から取得し、
前記端末装置で所定の操作が行われたときに、前記要充電車両の前記車両位置情報および前記端末位置情報に基づいて、前記端末装置から前記要充電車両までの経路を算出し、その経路を前記第2表示に表示させる、方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の方法において、
前記車両保管エリアに駐車している全ての前記車両の位置を、前記端末装置にマップ状に図示させ、
少なくともいずれか1つの前記サブエリアの設定が、当該図示に基づく前記端末装置の操作によって行われる、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の方法において、
前記車両保管エリアに駐車している全ての前記車両に対して、隣接している前記車両との間の間隔を算出し、
少なくともいずれか1つの前記複数のサブエリアの設定が、前記間隔が所定値以下となる近接した状態で停止している前記車両の一群の特定によって行われる、方法。
【請求項8】
所定の車両保管エリアに駐車している複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援するサーバであって、
前記複数の車両および携帯可能な所定の端末装置の各々と、ネットワークを介して、所定の車両情報の入出力を可能にするインターフェースと、
前記車両情報および所定の制御プログラムを記憶するメモリと、
前記制御プログラムの実行によって前記車両情報を処理するプロセッサと、
を備え、
前記車両情報は、前記車両保管エリアの位置の特定を可能にする車両保管エリア情報、前記車両の識別を可能にする車両識別情報、前記車両の位置の特定を可能にする車両位置情報、および、前記バッテリの電圧に関するバッテリ電圧情報を含み、
前記プロセッサが、
前記端末装置と協働して、
前記端末装置から入力されるコマンドに基づいて、前記車両識別情報、前記車両位置情報、および、前記バッテリ電圧情報の出力を、前記車両の各々に要求することによって、前記車両識別情報、前記車両位置情報、および、前記バッテリ電圧情報を取得する処理と、
前記車両保管エリア情報に基づいて、前記車両保管エリアの中に、複数のサブエリアを設定する処理と、
前記バッテリ電圧情報に基づいて、前記複数の車両の中から充電が必要な要充電車両を抽出する処理と、
前記要充電車両に関する判断情報を前記サブエリアの各々に分けた状態で表示する第1表示を、前記端末装置に表示させる処理と、
前記端末装置から所定のコマンドが入力されたときに、前記サブエリアの中から選択される管理サブエリアの前記要充電車両について前記車両識別情報および前記車両位置情報を表示する第2表示を、前記端末装置に表示させる処理と、
を実行する、サーバ。
【請求項9】
所定の車両保管エリアに駐車している複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する、携帯可能な端末装置であって、
所定のサーバと、ネットワークを介して、所定の車両情報の入出力を可能にするインターフェースと、
前記車両情報および所定の制御プログラムを記憶するメモリと、
前記制御プログラムの実行によって前記車両情報を処理するプロセッサと、
前記プロセッサで処理された情報を表示するディスプレイと、
前記プロセッサに所定の処理の実行を要求するためのコマンドの入力が可能なデバイスと、
を備え、
前記車両情報は、前記車両保管エリアの位置の特定を可能にする車両保管エリア情報、前記車両の識別を可能にする車両識別情報、前記車両の位置の特定を可能にする車両位置情報、および、前記バッテリの電圧に関するバッテリ電圧情報を含み、
前記プロセッサが、
前記サーバと協働して、
前記デバイスから入力されるコマンドに基づいて、前記車両識別情報、前記車両位置情報、および、前記バッテリ電圧情報の出力を、前記車両の各々に要求することによって、これら情報を取得する処理と、
前記車両保管エリア情報に基づいて、前記車両保管エリアの中に、複数のサブエリアを設定する処理と、
前記バッテリ電圧情報に基づいて、前記複数の車両の中から充電が必要な要充電車両を抽出する処理と、
前記要充電車両に関する判断情報を前記サブエリアの各々に分けた状態で表示する第1表示を、前記ディスプレイに表示させる処理と、
前記デバイスにより、前記第1表示に基づいて所定のコマンドが入力されたときに、前記サブエリアの中から選択される管理サブエリアの前記要充電車両について前記車両識別情報および前記車両位置情報を表示する第2表示を、前記ディスプレイに表示させる処理と、
を実行する、端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する方法、サーバ、および、端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開示する技術に関し、車両と、サーバと、携帯電話と、で構成された遠隔車両管理システムが開示されている(特許文献1)。この遠隔車両管理システムでは、車両の所有者が、携帯電話を操作してサーバに要求メールを送信する。それにより、所有者は、自身が所有する車両を遠隔から管理できる。具体的には、車両位置の確認、ドアの開閉操作、および、バッテリの充電が、遠隔操作で行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-334862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
輸送ポート、運送会社、ディーラーなどには、多数の車両(vehicle)を保管する場所がある。そのような場所では、車両の品質を維持するために、保管車両をメンテナンスする必要がある。
【0005】
例えば、車両に搭載されているバッテリは、放置しておくと電圧が低下する。バッテリの電圧が低下した状態が続くと、バッテリは不可逆的に劣化する。従って、バッテリは、定期的に充電を行い、所定値以上の電圧が維持されるように管理する必要がある。
【0006】
そのため、上述したような、多数の車両が保管されている場所では、それら保管車両の状態を確認する作業と併せて、保管車両に搭載されているバッテリの電圧を管理する作業も行われている。すなわち、多数の保管車両の中から、充電が必要な車両を選び出す。その後、管理作業を行う作業者は、その車両が駐車している場所に行き、対象とする車両を見つけ出す。そうして、車両の外観等、車両の状態を確認する。それと共に、作業者は、バッテリを充電する。
【0007】
例えば、輸送ポートでは、通常、数百台の車両が広大なスペースに保管されている。車両数が膨大であるため、これら車両の中から、充電が必要な車両を選び出すのは容易でない。また、スペースが広大であるため、充電が必要な車両が駐車している場所に作業者が行くにも、労力と時間を要する。同じような車両が多数駐車しているので、その中から、作業者が対象とする車両を見つけ出すことも難しい。
【0008】
更に、通常は、バッテリの充電には長い時間が必要である。例えば、エンジンの駆動によってバッテリを充電する場合、バッテリの電圧が適切な値になるまでには、数時間を要する。そのため、現状では、一人の作業者は、一日に数台程度しか、バッテリの電圧を管理することができない。
【0009】
特に、今後は、車両に搭載される電装品の増加が予測される。電装品が増加すれば、保管車両の電力消費量も増加する。バッテリの電圧も低下し易くなるので、その管理に対する作業負担も増加する可能性が高い。
【0010】
そこで、このような、複数車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援して、その作業負担を軽減できる技術が、要望されている。
【0011】
上述した遠隔車両管理システムを適用し、遠隔操作でバッテリを充電することも考えられる。しかし、上述した遠隔車両管理システムでは、自己が所有する1台の車両を対象としている。そのため、管理を行う所有者は、特定の車両およびバッテリだけを管理すればよい。管理を行う所有者はまた、車種、使用期間等、その車両およびバッテリの状態を熟知している。従って、その管理は容易である。
【0012】
それに対し、上述したような保管車両の場合は、対象とする車両は、多数である。しかも、管理を行う作業者は、状態を知らない不特定の車両を対象としなければならない。従って、その管理は難しい。
【0013】
更に、バッテリを充電するために、遠方から、遠隔操作によってエンジンを始動させる場合、トラブルが発生しても直ぐには対処できない。そのため、安全性の確保が難しい。それに対し、作業者が、直に車両を確認している状態でエンジンを始動するのであれば、トラブルが発生しても直ぐに対処できる。従って、安全性を確保できる。
【0014】
そこで、この明細書では、複数車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示する技術は、所定の車両保管エリアに駐車している複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する方法に関する。この方法は、次に示す複数の行為を含む。
【0016】
前記車両の識別を可能にする車両識別情報、前記車両の位置の特定を可能にする車両位置情報、および、前記バッテリの電圧に関するバッテリ電圧情報、を含む車両情報を、前記車両の各々から取得する。前記車両保管エリアの中に、複数のサブエリアを設定する。前記バッテリ電圧情報に基づいて、前記複数の車両の中から充電が必要な要充電車両を抽出する。前記要充電車両に関する判断情報を前記サブエリアの各々に分けた状態で表示する第1表示を、携帯可能な所定の端末装置に表示させる。前記第1表示に基づいて前記端末装置で所定の操作が行われたときに、前記サブエリアの中から選択される管理サブエリアの前記要充電車両について前記車両識別情報および前記車両位置情報を表示する第2表示を、前記端末装置に表示させる。
【0017】
すなわち、この方法は、所定の車両保管エリアに駐車している複数の車両を対象とし、これら車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する。これら車両の各々から、車両情報を取得する。それにより、各車両の位置、特徴、および、バッテリの電圧が特定される。そして、車両保管エリアの中に、更に、複数のサブエリアを設定する。それにより、車両保管エリアが細分化される。
【0018】
バッテリ電圧情報に基づいて、充電が必要な要充電車両を抽出する。それにより、バッテリの管理を必要とする車両が特定される。そして、その要充電車両に関する判断情報がサブエリアの各々に分けた状態で表示される第1表示を、携帯可能な端末装置に表示させる。それにより、任意の場所において、細分化されたエリアごとに、バッテリの管理を必要とする車両について判断できる。従って、管理すべきエリア(管理サブエリア)を、更に適切に絞り込むことができる。管理範囲が効果的に限定されるので、作業効率が向上する。
【0019】
そして、第1表示に基づいて端末装置で所定の操作が行われたときに、管理サブエリアの要充電車両について車両識別情報および車両位置情報を表示する第2表示を、端末装置に表示させる。それにより、例えば、現場の近くで第2表示を表示させることができる。そして、現場の近くで、第2表示により、バッテリの管理を必要とする車両を特定できる。従って、簡単かつ適切に、管理作業を行う車両を見つけ出すことができる。
【0020】
このように、この方法によれば、複数車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を、効果的に支援できる。作業効率が向上し、管理作業の負担を軽減できる。
【0021】
前記方法はまた、前記判断情報が、同じ前記サブエリアに駐車している前記要充電車両の中で最も低い前記バッテリの電圧値である最低電圧値を含み、前記最低電圧値を、前記第1表示における前記サブエリアの各々に表示させる、としてもよい。
【0022】
バッテリは、電圧値が低いほど、不可逆的な劣化が進み易い。従って、同じサブエリアの中の最低電圧値を第1表示の各サブエリアに表示させることで、バッテリの管理作業の優先順位が判断できる。管理サブエリアの選択が容易になる。
【0023】
前記方法はまた、前記判断情報が、同じ前記サブエリアに駐車している前記要充電車両の車両数を含み、前記要充電車両の車両数を、前記第1表示における前記サブエリアの各々に表示させる、としてもよい。
【0024】
同じサブエリアに駐車している要充電車両の車両数が分かれば、そのサブエリアで行う必要があるバッテリの管理作業の量を予測できる。従って、管理サブエリアの選択が容易になる。
【0025】
前記方法はまた、前記第2表示を前記端末装置に表示させるときに、前記管理サブエリアに駐車している前記車両の位置を、前記要充電車両の位置も含めて、前記端末装置にマップ状に図示させ、前記要充電車両の前記車両識別情報と共に、当該要充電車両に隣接している前記車両の前記車両識別情報を表示させる、としてもよい。
【0026】
車両の位置を端末装置にマップ状に図示すれば、車両の位置を視覚的に認識できる。従って、要充電車両の識別が容易になる。しかし、管理サブエリアの中に要充電車両と同じ車両が有ると、要充電車両を識別できても、外観では判断できない。従って、遠方からは要充電車両を見つけ出せない。それに対し、要充電車両と共に、その要充電車両に隣接している車両も識別できれば、これら車両の組み合わせから判断できる。従って、遠方からでも要充電車両を見つけ出すことができる。
【0027】
前記方法はまた、前記第2表示を前記端末装置に表示させるときに、前記管理サブエリアに駐車している前記車両の位置を、前記要充電車両の位置も含めて、前記端末装置にマップ状に図示させ、前記端末装置の位置の特定を可能にする端末位置情報を、前記端末装置から取得し、前記端末装置で所定の操作が行われたときに、前記要充電車両の前記車両位置情報および前記端末位置情報に基づいて、前記端末装置から前記要充電車両までの経路を算出し、その経路を前記第2表示に表示させる、としてもよい。
【0028】
第2表示に端末装置から要充電車両までの経路を表示すれば、その経路に従うことで、要充電車両まで辿り着くことができる。従って、要充電車両を見つけ出すことが簡単にできる。
【0029】
前記方法はまた、前記車両保管エリアに駐車している全ての前記車両の位置を、前記端末装置にマップ状に図示させ、少なくともいずれか1つの前記サブエリアの設定が、当該図示に基づく前記端末装置の操作によって行われる、としてもよい。
【0030】
車両保管エリアに駐車している全ての車両の位置を、端末装置にマップ状に図示すれば、管理対象となり得る全ての車両を、視覚的に把握できる。従って、サブエリアの適切な設定を効果的に支援できる。
【0031】
前記方法はまた、前記車両保管エリアに駐車している全ての前記車両に対して、隣接している前記車両との間の間隔を算出し、少なくともいずれか1つの前記複数のサブエリアの設定が、前記間隔が所定値以下となる近接した状態で停止している前記車両の一群の特定によって行われる、としてもよい。
【0032】
車両保管エリアに駐車している車両は、複数箇所に密集した状態で分布しているのが一般的である。従って、隣接している車両との間の間隔が所定値以下となる、近接した状態で停止している車両の一群を特定すれば、サブエリアを適切に設定できる。しかも、サブエリアの設定を自動化できる。
【0033】
開示する技術はまた、所定の車両保管エリアに駐車している複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援するサーバに関する。
【0034】
前記サーバは、前記複数の車両および携帯可能な所定の端末装置の各々と、ネットワークを介して、所定の車両情報の入出力を可能にするインターフェースと、前記車両情報および所定の制御プログラムを記憶するメモリと、前記制御プログラムの実行によって前記車両情報を処理するプロセッサと、を備える。
【0035】
前記車両情報は、前記車両保管エリアの位置の特定を可能にする車両保管エリア情報、前記車両の識別を可能にする車両識別情報、前記車両の位置の特定を可能にする車両位置情報、および、前記バッテリの電圧に関するバッテリ電圧情報を含む。そして、前記プロセッサが、前記端末装置と協働して、次に示す複数の処理を実行する。
【0036】
前記端末装置から入力されるコマンドに基づいて、前記車両識別情報、前記車両位置情報、および、前記バッテリ電圧情報の出力を、前記車両の各々に要求することによって、これら情報を取得する処理、
前記車両保管エリア情報に基づいて、前記車両保管エリアの中に、複数のサブエリアを設定する処理、
前記バッテリ電圧情報に基づいて、前記複数の車両の中から充電が必要な要充電車両を抽出する処理、
前記要充電車両に関する判断情報を前記サブエリアの各々に分けた状態で表示する第1表示を、前記端末装置に表示させる処理、
および、前記端末装置から所定のコマンドが入力されたときに、前記サブエリアの中から選択される管理サブエリアの前記要充電車両について前記車両識別情報および前記車両位置情報を表示する第2表示を、前記端末装置に表示させる処理。
【0037】
すなわち、このサーバは、上述した支援方法において用いられる。サーバは、上述した処理を実行することにより、バッテリの一括管理を支援する。従って、上述した支援方法と同様に、このサーバによれば、複数車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を、効果的に支援できる。作業効率が向上し、管理作業の負担を軽減できる。
【0038】
開示する技術はまた、所定の車両保管エリアに駐車している複数の車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を支援する、携帯可能な端末装置に関する。
【0039】
前記端末装置は、所定のサーバと、ネットワークを介して、所定の車両情報の入出力を可能にするインターフェースと、前記車両情報および所定の制御プログラムを記憶するメモリと、前記制御プログラムの実行によって前記車両情報を処理するプロセッサと、前記プロセッサで処理された情報を表示するディスプレイと、前記プロセッサに所定の処理の実行を要求するためのコマンドの入力が可能なデバイスと、を備える。
【0040】
前記車両情報は、前記車両保管エリアの位置の特定を可能にする車両保管エリア情報、前記車両の識別を可能にする車両識別情報、前記車両の位置の特定を可能にする車両位置情報、および、前記バッテリの電圧に関するバッテリ電圧情報を含む。そして、前記プロセッサが、前記サーバと協働して、次に示す複数の処理を実行する。
【0041】
前記デバイスから入力されるコマンドに基づいて、前記車両識別情報、前記車両位置情報、および、前記バッテリ電圧情報の出力を、前記車両の各々に要求することによって、これら情報を取得する処理、
前記車両保管エリア情報に基づいて、前記車両保管エリアの中に、複数のサブエリアを設定する処理、
前記バッテリ電圧情報に基づいて、前記複数の車両の中から充電が必要な要充電車両を抽出する処理、
前記要充電車両に関する判断情報を前記サブエリアの各々に分けた状態で表示する第1表示を、前記ディスプレイに表示させる処理、
および、前記デバイスにより、前記第1表示に基づいて所定のコマンドが入力されたときに、前記サブエリアの中から選択される管理サブエリアの前記要充電車両について前記要充電車両の前記車両識別情報および前記車両位置情報を表示する第2表示を、前記ディスプレイに表示させる処理。
【0042】
すなわち、この端末装置は、上述した支援方法において用いられる。端末装置は、上述した処理を実行することにより、バッテリの一括管理を支援する。従って、上述した支援方法と同様に、この端末装置によれば、複数車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を、効果的に支援できる。作業効率が向上し、管理作業の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0043】
開示する技術によれば、複数車両の各々に搭載されているバッテリの一括管理を効果的に支援できる。従って、その管理作業の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、開示する技術に基づく支援システムの構成を示す概略図である。
図2図2は、サーバおよび端末装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、車両保管エリア情報のテーブルを例示する図である。
図4図4は、車両識別情報のテーブルを例示する図である。
図5図5は、支援方法の説明で用いる車両保管エリアを例示した図である。
図6図6は、支援方法における処理全体の流れを示すシーケンス図である。
図7図7は、全体表示の一例を示す図である。
図8図8は、サブエリアの設定方法を説明するための図である。
図9図9は、サブエリアの設定方法を説明するための図である。
図10図10は、サブエリアの設定方法を説明するための図である。
図11図11は、第1表示の一例を示す図である。
図12図12は、第2表示の一例を示す図である。
図13図13は、経路を図示した第2表示の一例を示す図である。
図14図14は、第3表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
開示する技術の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、開示する技術の一例である。
【0046】
<支援システム>
図1に、開示する技術に基づく、複数のバッテリ4aの一括管理を支援するシステム(以下、単に支援システムともいう)の構成を示す。この支援システムは、所定のサーバ1と、所定の端末装置2と、を備える。
【0047】
これらサーバ1および端末装置2は、ネットワーク3を介して、複数の車両4と通信可能に構成されている。これら複数の車両4が、支援システムにおける支援の対象である。すなわち、上述した複数のバッテリ4aは、これら複数の車両4の各々に搭載されているバッテリ4a(車載バッテリ)である。これら複数の車両4は、所定の車両保管エリア5に駐車している。
【0048】
車両保管エリア5は、多数の車両4が密集した状態で保管される場所である。車両保管エリア5の具体例は、例えば、輸送ポート、運送会社、ディーラーなどである。多数の車両4が、比較的長い期間、密集した状態で保管される場所であれば、車両保管エリア5になり得る。
【0049】
(車両)
車両4(vehicle)は、例えば、自動車、バイクなどである。特に、自動車は、この支援システムの支援の対象として好ましい。従って、本実施形態では、自動車が車両4であるものとして説明する。車両4には、主に電装品の電源として、バッテリ4aが搭載されている。
【0050】
そのバッテリ4aは、一般的には、12Vの電圧を出力する鉛蓄電池である。バッテリ4aは、放置しておくと、放電して電圧が低下する。そして、電圧が低下すると、不可逆的に劣化する(いわゆるサルフェーション)。そのため、バッテリ4aは、使用しなくても定期的に充電し、適切な電圧に維持する必要がある。
【0051】
例えば、電圧が12.6Vよりも低いバッテリ4aは、充電が必要と判断できる。充電が必要なバッテリ4aは、12.6V以上になるまで充電しなければならない。通常は、満充電(約13V)になるまで充電する。エンジン駆動などによる普通充電であれば、満充電になるまで数時間を要する。支援システムは、このような、多数のバッテリ4aの電圧に関する一括管理を支援する。
【0052】
本実施形態での車両4は、エンジンの駆動によって走行する。車両4は、モータの駆動によって走行する電気自動車、または、エンジンとモータの駆動を併用して走行するハイブリッド車であってもよい。車両4には、バッテリ4a以外にも、ヘッドライト、ハザードランプ、ホーン、エアコンなど、様々な電装品が搭載されている。
【0053】
車両4にはまた、エンジン(モータ)の運転を制御するコントローラも装備されている。すなわち、各車両4には、これら電装品およびコントローラなど、バッテリ4aを電源とした電子機器4bが、バッテリ4aと共に搭載されている。車両4は、車載ネットワーク(Controller Area Network:CAN)4cを有している。上述したバッテリ4aおよび電子機器4bは、この車載ネットワーク4cに接続されている。
【0054】
各車両4にはまた、支援システムを構成する車載装置4dが搭載されている。この車載装置4dもまた、車載ネットワーク4cに接続されている。車載装置4dは、車載ネットワーク4cを介して、バッテリ4aおよび電子機器4bと通信する。車載装置4dは、通信装置10、車載メモリ11、車載プロセッサ12、車両制御装置13、車両測位装置14などで構成されている。
【0055】
通信装置10は、外部のネットワーク3との接続を可能にする。すなわち、これら車両4の各々は、WAN(Wide Area Network)を介して、外部の装置との通信が可能である(いわゆるコネクティッドカー)。
【0056】
車載メモリ11は、車両4に関する車両情報、および、制御プログラムを記憶する。すなわち、車載メモリ11には、その車両4の識別を可能にする車両識別情報が、記憶されている。車両識別情報は、例えば、車両識別番号(Vehicle Identification Number:VIN)、車種名、車体のカラーなどである。制御プログラムは、ソフトウエアであり、車両4において支援を受けるために必要とされる制御命令を含む。
【0057】
車載プロセッサ12は、制御プログラムに従って、支援に関する様々な処理を実行する。例えば、車両制御装置13は、車載プロセッサ12からの要求に応じて、バッテリ4aおよび各電子機器4bを制御する。車両制御装置13はまた、車載プロセッサ12からの要求に応じて、バッテリ4aの電圧に関する情報(バッテリ電圧情報)を、車載ネットワーク4cを利用して、取得する。
【0058】
車両制御装置13は、取得したバッテリ電圧情報を車載プロセッサ12に出力する。このバッテリ電圧情報に基づいて、バッテリ4aの電圧値が特定される。バッテリ電圧情報は、バッテリ4aの電圧値それ自体であってもよい。
【0059】
車両測位装置14は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等、車両4の位置を高精度に測位できる装置である。車両測位装置14は、車載プロセッサ12の要求に応じて、車両4の位置を計測し、その計測値の情報(車両位置情報)を、車載プロセッサ12に出力する。車載プロセッサ12はまた、端末装置2またはサーバ1から入力されるコマンド(指示に関する情報)に従って、車両識別情報、車両位置情報、および、バッテリ電圧情報の各々を、端末装置2またはサーバ1に出力する。
【0060】
(サーバ)
サーバ1は、支援システムを構成する高性能で携帯不能なコンピュータである。サーバ1は、ハードウエアとして、サーバインターフェース20、サーバメモリ21、I/Oデバイス22、モニター23、サーバプロセッサ24などを有している。サーバ1は、サーバインターフェース20を介してネットワーク3に接続されている。それにより、サーバ1は、複数の車両4、および、端末装置2の各々との間で、情報の入出力が可能である。
【0061】
サーバ1はまた、ソフトウエアとして、支援システムの各処理を実行する制御プログラム、および、それに用いるデータを有している。これら制御プログラムおよびデータは、サーバメモリ21に記憶されている。データは、複数の車両4から取得される車両情報を含む。データは、サーバメモリ21に蓄積される。サーバメモリ21に蓄積されたデータは、必要に応じて、書き換えられ、または、消去される。
【0062】
I/Oデバイス22は、キーボード、マウス等、サーバ1への情報の入力を可能にする機器を含む。I/Oデバイス22はまた、プリンタ等、サーバ1からの情報の出力を可能にする機器を含む。コマンドの入力により、サーバプロセッサ24に所定の処理の実行を要求できる。モニター23は、I/Oデバイス22によって入力されるコマンドに応じて、サーバプロセッサ24で処理された情報を表示する。
【0063】
サーバプロセッサ24は、I/Oデバイス22によって入力されるコマンド、または、端末装置2から入力されるコマンドに従って、制御プログラムを実行する。サーバプロセッサ24は、制御プログラムの実行により、車両情報を含む様々な情報を処理する。
【0064】
(端末装置)
端末装置2は、支援システムを構成する携帯可能なコンピュータである。例えば、タブレット型のPC、スマートフォンなどが、端末装置2として利用できる。端末装置2は、ハードウエアとして、端末測位装置30、端末インターフェース31、端末メモリ32、入力デバイス33、ディスプレイ34、端末プロセッサ35などを有している。
【0065】
端末装置2は、端末インターフェース31を介してネットワーク3に接続されている。それにより、端末装置2は、複数の車両4およびサーバ1の各々との間で、情報の入出力が可能である。
【0066】
端末測位装置30は、GNSS等、端末装置2の位置を高精度に測位できる装置である。端末測位装置30は、端末プロセッサ35の要求に応じて、端末装置2の位置を計測し、その計測値の情報(端末位置情報)を端末プロセッサ35に出力する。
【0067】
端末装置2はまた、ソフトウエアとして、支援システムの各処理を実行する制御プログラム、および、それに用いるデータを有している。これら制御プログラムおよびデータは、端末メモリ32に記憶されている。データは、サーバ1を介して複数の車両4から取得される車両情報を含む。データは、端末メモリ32に蓄積される。端末メモリ32に蓄積されたデータは、必要に応じて、書き換えられ、または、消去される。
【0068】
入力デバイス33は、タッチペンなど、端末装置2への情報の入力を可能にする機器を含む。コマンドの入力により、端末プロセッサ35に処理の実行を要求できる。携帯性の観点から、入力デバイス33は、指先での操作が可能なタッチパネルが好ましい。その場合、ディスプレイ34は、タッチパネルとして機能し、タッチペン、指先などによって入力されるコマンドに応じて、プロセッサで処理された情報を表示する。タッチパネルとして機能するディスプレイ34は、入力デバイス33を構成する。
【0069】
端末プロセッサ35は、入力デバイス33によって入力されるコマンドに基づいて、制御プログラムを実行する。端末プロセッサ35は、制御プログラムの実行により、車両情報を含む様々な情報を処理する。
【0070】
この支援システムでは、端末装置2から入力されるコマンドは、サーバ1にも出力される。そして、そのコマンドに基づいて、サーバプロセッサ24は、その制御プログラムを実行する。すなわち、支援に関する様々な処理は、端末装置2で入力されるコマンドに基づいて、端末装置2およびサーバ1の各々において実行される。サーバ1および端末装置2は、互いに協働して、支援に関する様々な処理を行う。
【0071】
通常、メモリ、プロセッサなどのハードウエアの性能は、端末装置2よりもサーバ1の方が高い。メモリの記憶容量も、端末装置2よりもサーバ1の方が多い。従って、複雑な処理はサーバ1が行い、簡単な処理は端末装置2で行うのが好ましい。サーバ1および端末装置2は、各々の特徴を活かして互いに補完し合う。そうすることにより、効率的に、支援に関する様々な処理を行う。後述する一連の処理は、その一例である。
【0072】
(サーバおよび端末装置の機能的な構成)
図2に、サーバ1および端末装置2の機能的な構成を示す。サーバ1および端末装置2の各々は、機能的な構成を有している。これら機能的な構成は、プロセッサ等のハードウエアと、制御プログラム等のソフトウエアとの、組み合わせによって実現されている。
【0073】
サーバ1は、その機能的な構成として、サーバ通信部40、サーバ情報処理部41、および、サーバデータベース42を有している。端末装置2は、その機能的な構成として、端末通信部50、端末情報処理部51、および、端末データベース52を有している。
【0074】
サーバ通信部40は、ネットワーク3を介して、複数の車両4、および、端末装置2の各々との間で、通信を行う。サーバ情報処理部41は、サーバ通信部40を通じて入力される様々な情報、および、サーバデータベース42に記憶されている情報を、処理する。そして、サーバ情報処理部41は、処理した情報を、サーバ通信部40を通じて、複数の車両4および端末装置2の各々に出力する。
【0075】
サーバデータベース42は、サーバ通信部40を通じて入力される様々な情報、および、これら情報に基づいてサーバ情報処理部41で処理されて得られる情報の各々を、記憶する。サーバデータベース42には、車両保管エリア情報、車両識別情報、車両位置情報、バッテリ電圧情報などの、車両情報が記憶される。
【0076】
車両保管エリア情報は、車両保管エリア5の位置の特定を可能にする情報である。車両保管エリア情報は、緯度、経度などにより、そのエリアを区画する範囲を特定した位置情報を含む。車両保管エリア情報は、例えば、GNSS等を利用して取得できる。
【0077】
車両保管エリア情報は、予め、支援の対象となり得る車両保管エリア5の各々に関連付けした状態で、サーバデータベース42に登録しておく必要がある。例えば、I/Oデバイス22を用いてその情報を入力し、サーバデータベース42にその情報を記憶させればよい。車両保管エリア情報は、サーバデータベース42の所定のテーブルに記憶される。
【0078】
図3に、車両保管エリア情報のテーブル60を例示する。このテーブル60には、A1~A7からなる、7つの車両保管エリア5が登録されている。そして、これらの各々の位置情報L1~L7が、車両保管エリア5の各々に関連付けした状態で記憶されている。なお、予めテーブル60に記憶しておく車両保管エリア情報は、1つ以上であればよい。
【0079】
サーバデータベース42に記憶される車両識別情報は、車両識別情報の集合体であり、車両保管エリア5に駐車している複数の車両4の車両識別情報で構成されている。各車両4の車載メモリ11には、個々の車両識別情報が記憶されている。これら車両識別情報が、ネットワーク3を介して、各車両4からサーバ1に取得される。それらの車両識別情報が、サーバデータベース42の所定のテーブルに、一時的に記憶される。
【0080】
図4に、車両識別情報のテーブル61を例示する。このテーブル61には、車両保管エリア5に駐車している全ての車両4の車両識別情報が記憶される。車両識別情報の各々は、車両識別番号、車種名、車体のカラーなどで構成されている。これらの情報は互いに関連付けされている。
【0081】
車両識別情報は、予め、テーブル61に登録しておくのが好ましい。少なくとも車両識別番号は、その車両4が車両保管エリア5で保管される期間中は、テーブル61に登録しておく必要がある。例えば、車両4の搬入時および搬出時の各々において、I/Oデバイス22を用いて車両識別情報を入力または消去する。そうすることにより、車両識別情報を一定期間、サーバデータベース42に記憶させればよい。
【0082】
サーバデータベース42に記憶される車両位置情報は、車両保管エリア5に駐車している複数の車両4の位置を示す情報の集合体である。各車両4は、サーバ1から入力されるコマンドに応じて、その車両4の車両位置情報をサーバ1に出力する。サーバデータベース42には、各車両4から取得されるこれら車両識別情報が、対応する車両4の車両識別情報に関連付けされた状態で、一時的に記憶される。
【0083】
サーバデータベース42に記憶されるバッテリ電圧情報は、バッテリ電圧情報の集合体であり、車両保管エリア5に駐車している複数の車両4の各々のバッテリ電圧情報で構成されている。各車両4は、サーバ1から入力されるコマンドに応じて、その車両4のバッテリ電圧情報をサーバ1に出力する。サーバデータベース42には、各車両4から取得されるこれらバッテリ電圧情報が、対応する車両4の車両識別情報に関連付けされた状態で、一時的に記憶される。
【0084】
端末通信部50は、ネットワーク3を介して、サーバ1との間で、通信を行う。端末情報処理部51は、端末通信部50を通じてサーバ1から入力される様々な情報、および、端末データベース52に記憶されている情報を処理する。そして、端末情報処理部51は、処理した情報を、端末通信部50を通じてサーバ1に出力する。端末データベース52は、端末通信部50を通じて入力される様々な情報、および、これら情報に基づいて端末情報処理部51で処理して得られる情報を記憶する。
【0085】
端末装置2は、管理作業を行う作業者によって携帯される。端末装置2の携帯性の観点から、この実施形態の支援システムでは、主な処理はサーバ1が行う。端末装置2は、必要に応じて、ネットワーク3を介して、サーバ1から必要最小限の車両情報を取得する。それにより、端末データベース52には、比較的少量の車両情報、つまり、車両保管エリア情報、車両識別情報、車両位置情報、バッテリ電圧情報などが、一時的に記憶される。
【0086】
端末装置2は、主に、作業者が、支援に関する処理のコマンドを入力するためのツールとして利用される。そのため、端末装置2は、状況判断を伴うコマンドの入力を容易にするために、タッチパネルとして機能するディスプレイ34の表示が工夫されている(詳細は後述)。
【0087】
<支援方法>
上述した支援システムを用いる支援方法について説明する。この支援方法は、所定の車両保管エリア5に駐車している複数の車両4を対象とする。そして、この支援方法は、これら車両4の各々に搭載されているバッテリ4aの一括管理を支援する。
【0088】
図5に、車両保管エリア5の一例を示す。図5は、輸送ポートの車両保管エリア5を表している。車両保管エリア5は、港の一画に設けられた広大なスペースに区画されている。図5では、5A,5B,5Cからなる3箇所の車両保管エリア5が区画されている。これら車両保管エリア5の各々には、例えば、数百台の規模で、複数の車両4が保管される。
【0089】
図5に拡大して示すように、各車両保管エリア5の中には、車両4を1台ずつ整列した状態で駐車できるように、複数の駐車エリア70が更に区画されている。各駐車エリア70の間には、車両4が通行可能な走路71が設けられている。これら駐車エリア70には、船で運ばれてきた様々な車種、カラーの車両4が、運送会社に引き渡されるまで保管される。
【0090】
その間、これら車両4は、品質を維持するために、メンテナンスする必要がある。例えば、各車両4に対し、外観のチェック、エンジンの動作など、所定の確認作業が、間隔を空けて行われる。その確認作業と共に、各車両4に搭載されているバッテリ4aの電圧を管理する作業も行われる。
【0091】
すなわち、保管されている車両4の中から、充電が必要な車両4を選び出す。その後、作業者は、その車両4が駐車している場所に行き、対象とする車両4を見つけ出す。そうして、車両4の確認作業と共に、バッテリ4aを充電する。
【0092】
しかし、車両保管エリア5には、膨大な数の車両4が保管されている。しかも、カラーおよび車種が同じ車両4、同じ車種でカラーのみが異なる車両4など、見分けが困難な車両4も多い。そのため、これら車両4の中から、充電が必要な車両4を見つけ出すのは容易でない。また、車両保管エリア5はスペースが広大であるため、充電が必要な車両4の所に作業者が行くにも、労力と時間を要する。
【0093】
更に、バッテリ4aの充電時間は長いのが一般的である。例えば、エンジンの駆動によってバッテリ4aを充電する場合、バッテリ4aの電圧が適切な値になるまでには数時間を要する。そのため、一人の作業者が充電できる車両数は一日に数台程度、というのが実情である。極めて非効率的であり、改善が望まれる。
【0094】
そこで、この支援方法では、このような作業が、簡単に、そして、効率的に行えるように、バッテリ4aの一括管理を支援する。すなわち、この支援方法は、上述した支援システムを用いて、情報取得処理、全体表示処理、サブエリア設定処理、対象抽出処理、第1表示処理、第2表示処理、および、誘導処理を実行するための行為を含む。これら行為により、バッテリ4aの一括管理を支援する。これら行為の詳細は後述する。
【0095】
ここで、情報取得処理は、車両識別情報、車両位置情報、および、バッテリ電圧情報を、車両4の各々から取得する処理である。全体表示処理は、車両保管エリア5に駐車している全ての車両4の位置を、端末装置2にマップ状に図示させる処理である。サブエリア設定処理は、車両保管エリア5の中に、複数のサブエリア80を設定する処理である。対象抽出処理は、バッテリ電圧情報に基づいて、複数の車両4の中から充電が必要な車両4(要充電車両4’)を抽出する処理である。
【0096】
第1表示処理は、要充電車両4’に関する判断情報を表示する第1表示D1を、サブエリア80の各々に分けた状態で、端末装置2に表示させる処理である。そして、第2表示処理は、第1表示D1に基づいて、サブエリア80の中から管理サブエリア80aを選択する操作が、端末装置2で行われたときに、管理サブエリア80aに駐車している要充電車両4’の車両識別情報および車両位置情報を表示する第2表示D2を、端末装置2に表示させる処理である。誘導処理は、要充電車両4’に誘導する処理である。
【0097】
図6に、これら処理の具体例を示す。図6は、シーケンス図であり、これら処理全体の流れを表している。図6において、左端のシーケンスは、車両4において実行される処理の流れを表している。なお、車両4は複数(通常は、数百台)であるが、ここでは、便宜上、充電が必要でない車両4、および、充電が必要な車両4(要充電車両4’)のみを表している。図6において、中央のシーケンスは、サーバ1において実行される処理の流れを表している。図6において、右端のシーケンスは、端末装置2において実行される処理の流れを表している。
【0098】
上述したように、サーバ1(サーバデータベース42)には、予め、車両保管エリア情報および車両識別情報が記憶されている。そして、この説明では、図5に示す、3箇所の車両保管エリア5A,5B,5Cのうち、一箇所の車両保管エリア5Aが管理対象となっているものとする。管理対象とする車両保管エリア5は、一箇所に限らない。複数箇所でもよく、任意に設定できる。
【0099】
最初は、端末装置2が、管理作業を行う作業者によって携帯される。なお、ここでは、端末装置2をタブレット型PCとして説明する。そして、作業者は、その端末装置2、具体的にはディスプレイ34を操作し、支援を実行する所定のアプリケーションを起動させる(ステップST1)。それにより、端末装置2およびサーバ1では、端末情報処理部51およびサーバ情報処理部41により、支援に関する一連処理の実行が開始される。
【0100】
作業者は、ディスプレイ34を操作し、車両情報の送信を指示するコマンドを入力する(ステップST2)。それにより、端末装置2(詳細には端末情報処理部51、この説明において以下同様)は、車両情報(具体的には車両識別情報、車両位置情報、および、バッテリ電圧情報)の出力を、車両4の各々に要求するように、サーバ1(詳細にはサーバ情報処理部41、この説明において以下同様)にコマンドC1を出力する。
【0101】
サーバ1は、そのコマンドC1に基づいて、その車両情報の送信を指示するコマンドC2を、車両保管エリア5に駐車している全ての車両4に対して、一斉に送信する(ステップSS1)。なお、ステップST2およびステップSS1の処理は、アプリケーションの起動により、自動的に行うようにしてもよい。
【0102】
各車両4では、コマンドC2が入力されると、車載プロセッサ12が、車両識別情報、車両位置情報、バッテリ電圧情報の各々を含む車両情報D1をサーバ1に出力する(ステップSV1)。なお、事前に、サーバデータベース42に車両識別情報が登録されている場合には、車両識別情報のサーバ1への出力は、必須でない。
【0103】
端末装置2における各ステップST1,ST2、サーバ1におけるステップSS1、および、車両4におけるSV1は、上述した情報取得処理に相当する。
【0104】
サーバ1は、各車両4から車両情報D1が入力されると、全体表示DTを指示するコマンドC3を、端末装置2に出力する(ステップSS2)。端末装置2は、コマンドC3が入力されると、ディスプレイ34に、全体表示DTを表示する。ここで、全体表示DTとは、車両保管エリア5に駐車している全ての車両4の位置を、マップ状に図示する表示である。
【0105】
図7に、全体表示DTの一例を示す。全体表示DTでは、ディスプレイ34の画面に、対象とする車両保管エリア5の全体が、マップ状に図示される。そして、図示された車両保管エリア5には、そこに駐車している各車両4の分布が、車両保管エリア5の表示に対応して表示される。図7では、矩形で示すマークM1の各々が車両4を表している。なお、マークM1の形態は一例である。
【0106】
全体表示DTが行われるときには、例えば、車両保管エリア情報、および、各車両4の車両位置情報が、サーバ1から端末装置2に送信される。端末装置2は、これら情報に基づいて、ディスプレイ34に全体表示DTを図示する処理を実行する。
【0107】
ディスプレイ34に表示される全体表示DTは、拡大および縮小が可能である。例えば、ディスプレイ34に対してピンチ操作(二本の指で摘まむような操作)することで、全体表示DTを拡大したり縮小したり、できるようにすればよい。これは、スマートフォンのようにディスプレイ34が小さい場合、車両保管エリア5が大きい場合などに有効である。
【0108】
端末装置2におけるステップST3、サーバ1におけるステップSS2は、上述した全体表示処理に相当する。
【0109】
作業者は、図示される全体表示DTに基づいて端末装置2を操作し、サブエリア80の設定を行う。サブエリア80は、車両保管エリア5の中に複数設定されるエリアである。サブエリア80により、車両保管エリア5に駐車している複数の車両4は、より小さな集まりに細分化される。
【0110】
サブエリア80の設定により、車両保管エリア5に駐車している多数の車両4は、任意に細分化される。例えば、前日に管理対象とされたエリアなど、明らかに管理対象から外れるエリアが有れば、サブエリア80の設定により、これらエリアを事前に排除できる。サブエリア80の設定により、管理対象とする車両4の台数およびエリアを絞り込むことができる。作業効率が向上する。
【0111】
サブエリア80の設定は、様々な方法が考えられる。図8に、作業者による方法(手動による方法)の一例を示す。その1つは、矢印線Y1で示すように、指先またはタッチペンで、ディスプレイ34の画面にタッチして、サブエリア80を囲む方法である。他の一つは、細実線L1で示すように、ディスプレイ34の画面に矩形の枠を表示し、その枠でサブエリア80を囲む方法である。枠は、対角となる二箇所P1,P2を画面上で特定することで、任意の大きさおよび形状で、任意の位置に表示できる。なお、枠は円形であってもよい。
【0112】
事前にサブエリア80を設定してもよい。例えば、車両保管エリア情報の登録時に、サブエリア情報も併せて登録すればよい。具体的には、車両保管エリア情報と関連付けした状態で、サブエリア80の位置の特定を可能にするサブエリア情報を、サーバデータベース42に記憶させる。そうすれば、図8に破線で示すように、全体表示DTと共に、サブエリア80も自動的に表示させることができる。
【0113】
作業者がサブエリア80の個数を指定し、それによってサブエリア80が設定されるようにしてもよい。すなわち、端末装置2は、指定された個数に応じて車両保管エリア5を等分し、その等分された個々の区画をサブエリア80として、全体表示DTに表示する。
【0114】
図9に、9個のサブエリア80が指定されたときの全体表示DTを例示する。各サブエリア80の面積は同じである。車両保管エリア5は、緯度および経度に沿った直線(区画線L2)で、格子状に区画される。しかし、車両保管エリア5の形状は様々である。また、車両4の駐車位置も様々である。従って、単に面積で等分するだけでは、サブエリア80を適切に設定するのは難しい。
【0115】
そこで、区画線L2の位置は、作業者によって調整可能にするのが好ましい。例えば、作業者は、図9に矢印で示すように、全体表示DTを見て、サブエリア80が適切に設定されるように、区画線L2の端部を移動させる。それにより、区画線L2を上下左右に移動させたり、傾けたりして調整すればよい。
【0116】
車両4の密集状態から、サブエリア80が自動的に設定されるようにしてもよい。すなわち、車両保管エリア5では、上述した駐車エリア70のように、車両4は、ある程度集まった状態で駐車しているのが一般的である。従って、車両4の密集状態に基づけば、適切なサブエリア80を自動的に設定できる。
【0117】
図10に、その具体例を示す。図10は、図7の一部を拡大した図である。図5に示したように、車両保管エリア5では、複数の駐車エリア70が、走路71を介して隣接している。走路71の幅は、車両4が通行可能な大きさ(例えば、3m)に設定されている。対して、駐車エリア70では、車両4は密集した状態で駐車される。そのため、隣接している車両4との間の間隔は、狭い。
【0118】
そこで、サーバ1は、車両保管エリア5に駐車している全ての車両4に対して、隣接している車両4との間の間隔(車両間隔)を算出する処理を行う。ここで言う車両間隔は、マークM1の間隔ではなく、実際の車両4の間隔である。
【0119】
このとき、車両4の前後左右の方向のうち、いずれかの方向だけが車両4と隣接している場合、大きさの異なる車両間隔が複数ある場合などがある(例えば、図10のV1,V2,V3)。そのような場合、サーバ1は、最も大きさが小さい間隔(例えば、図10のG1,G2,G3)を、その車両4の車両間隔として採用する。
【0120】
そして、サーバ1は、車両間隔が所定値以下となる、近接した状態で停止している車両4の一群を特定する。例えば2mなどの、車両間隔G1,G2,G3および通路の幅G4を考慮した所定値を設定すれば、駐車エリア70をサブエリア80として自動的に設定できる。
【0121】
設定したサブエリア80は、リセットできる。例えば、ディスプレイ34の画面に表示されたサブエリア80の内側にタッチして、リセットできるようにするとよい。サブエリア80の設定は、上述した複数の方法のいずれか1つで行ってもよいし、これら方法を組み合わせて行ってもよい。上述した方法以外の方法で行ってもよい。なお、この実施形態では、A~Eからなる、5つのサブエリア80が設定されたものとする。
【0122】
作業者の操作によってサブエリア80が設定されると、端末装置2は、その設定に基づいて、サーバ1にコマンドC4を出力する(ステップST4)。サーバ1は、そのコマンドC4が入力されると、データとしての車両保管エリア5に、サブエリア80を設定する処理を実行する(ステップSS3)。
【0123】
端末装置2におけるステップST4、サーバ1におけるステップSS3は、上述したサブエリア設定処理に相当する。なお、サブエリア設定処理の全体が自動的に行われる場合、全体表示処理は、不要であり、省略できる。同様に、端末装置2におけるステップST4の処理も、省略できる。
【0124】
サブエリア80が設定されると、サーバ1は、各サブエリア80における要充電車両4’を抽出する処理を実行する(ステップSS4)。
【0125】
具体的には、サーバ1は、取得した各車両4のバッテリ電圧情報に基づいて、設定された各サブエリア80に駐車している車両4のバッテリ4aの電圧値を特定する。そして、サーバ1は、これら電圧値から、バッテリ4aに充電が必要か否かを判断する。例えば、電圧が12.6Vよりも低いバッテリ4aは、充電が必要と判断する。
【0126】
サーバ1には、予め、このような、充電の必要性を判断するための基準値(電圧値、または、電圧値に相当する値)が設定されている。その基準値と比較することで、サーバ1は、充電が必要な車両4(要充電車両4’)を、サブエリア80の各々において抽出する。
【0127】
サーバ1におけるステップSS4は、上述した対象抽出処理に相当する。
【0128】
サーバ1および端末装置2は、対象抽出処理を行った後、第1表示処理を実行する。すなわち、サーバ1は、要充電車両4’に関する判断情報を表示する第1表示D1(詳細には、第1表示D1を表示するためのデータ)を生成する(ステップSS5)。そして、生成した第1表示D1のデータD2を、端末装置2に送信する。端末装置2は、サーバ1から第1表示D1のデータD2を受信すると、第1表示D1を、サブエリア80の各々に分けた状態で、端末装置2のディスプレイ34に表示させる(ステップST5)。
【0129】
図11に、第1表示D1の一例を示す。第1表示D1には、設定された5つのサブエリア80(A~E)が表示されている。第1表示D1では、視覚的に判断し易くするために、これら複数のサブエリア80が、互いの位置関係を維持した状態で、マップ状に図示される。第1表示D1ではまた、矩形の枠で示すなど、各サブエリア80の形状が簡略化して表示される。
【0130】
各サブエリア80の大きさは、各サブエリア80の実際の面積に比例するように表してもよい。そうすれば、各サブエリア80の大きさを視覚的に識別し易くなる。また、各サブエリア80の大きさは、各サブエリア80に駐車している車両4の台数に比例するように表してもよい。そうすれば、各サブエリア80の車両4の台数を視覚的に識別し易くなる。いずれの場合も、管理作業の対象とするサブエリア80の絞り込みを、容易にする。
【0131】
上述したサブエリア80の大きさ、または、駐車している車両4の台数を、各サブエリア80を着色し、その色の濃淡などで識別するようにしてもよい。この場合も、視覚的に識別し易くできる。なお、ディスプレイ34に表示される第1表示D1は、全体表示DTと同様に、拡大および縮小が可能である。
【0132】
管理作業の対象とするサブエリア80を絞り込むための情報として、要充電車両4’に関する判断情報が、第1表示D1に表示されているサブエリア80の各々に表示される。判断情報は、各サブエリア80における要充電車両4’の車両4の台数(車両数)、および、各サブエリア80における要充電車両4’のバッテリ4aの最低電圧値を含む。
【0133】
具体的には、各サブエリア80に、同じサブエリア80に駐車している要充電車両4’の車両4の台数が表示される。例えば、サブエリア80(A)では、要充電車両4’が無いため、車両数が「0」と表示されている。サブエリア80(D)では、要充電車両4’が5台であるため、車両数が「5」と表示されている。この表示により、管理作業に要する時間を、容易に予測することができる。
【0134】
更に、各サブエリア80に、同じサブエリア80に駐車している要充電車両4’の中で最も低いバッテリ4aの電圧値(最低電圧値)も表示される。例えば、サブエリア80(C)では、要充電車両4’が1台であるため、そのバッテリ4aの電圧値(12.0V)が表示されている。サブエリア80(D)では、5台の要充電車両4’の中で最も低いバッテリ4aの電圧値(10.8V)が表示されている。電圧値が低いほど、充電の必要性が高い。従って、この表示により、充電が必要なバッテリ4aの優先順位を判断することができる。
【0135】
このような第1表示D1により、作業者は、管理作業の対象とするサブエリア80の絞り込みを、容易かつ効率的に行える。すなわち、上述したように、車両保管エリア5は広大である。そのため、その全体を管理対象とすると、作業者は、長い距離を歩き回らなければならない。従って、作業者の肉体的負担は大きく、作業効率も悪い。
【0136】
それに対し、この支援方法では、車両保管エリア5の中に、予め、複数の小さいサブエリア80を設定する。そして更に、これらサブエリア80の中から、要充電車両4’に関する判断情報に基づいて、管理対象とするサブエリア80(管理サブエリア80a)を絞り込む。それにより、作業者は、長い距離を歩き回る必要がなくなる。管理作業も集約できる。従って、作業者の肉体的負担を軽減でき、作業効率も向上する。作業者が複数の場合には、それぞれの分担を容易に設定できるので、その点でも有利である。
【0137】
端末装置2のディスプレイ34に第1表示D1が表示されると、作業者は、その第1表示D1を見て、管理サブエリア80aを絞り込む。そして、作業者は、ディスプレイ34に表示されたその管理サブエリア80aにタッチする。つまり、作業者は、管理サブエリア80aを選択するコマンドを、ディスプレイ34を用いて端末装置2に入力する。そうすると、端末装置2は、絞り込まれた管理サブエリア80aを選択し、その管理サブエリア80aを特定するデータD3を、サーバ1に送信する(ステップST6)。
【0138】
ここでは、サブエリア80(E)が、管理サブエリア80aとして絞り込まれたものとする。サーバ1におけるステップSS5、および、端末装置2におけるステップST5,ST6は、上述した第1表示処理に相当する。
【0139】
サーバ1および端末装置2は、第1表示処理を行った後、第2表示処理を実行する。すなわち、サーバ1は、管理サブエリア80aに駐車している要充電車両4’の車両識別情報および車両位置情報を表示する第2表示D2(詳細には、第2表示D2を表示するためのデータ)を生成する(ステップSS6)。そして、生成した第2表示D2のデータD4を、端末装置2に送信する。端末装置2は、サーバ1から第2表示D2のデータD4を受信すると、第2表示D2を、端末装置2のディスプレイ34に表示させる(ステップST7)。
【0140】
図12に、第2表示D2の一例を示す。上述したように、第1表示D1において、サブエリア80(E)が管理サブエリア80aとして選択されたことにより、第2表示D2では、サブエリア80(E)に駐車している車両4の位置が、要充電車両4’の位置も含めて、ディスプレイ34にマップ状に図示される。なお、ディスプレイ34に表示される第2表示D2は、全体表示DTおよび第1表示D1と同様に、拡大および縮小が可能である。
【0141】
各車両4は、その前後および左右の向きも含めて、アイコンIに簡略化された状態で表示される。各車両4のアイコンIの位置関係は、車両位置情報に基づいて、実際の車両4と同様に表示される。そして、各車両4のアイコンIの中には、車両識別情報に基づいて、車種名が表示される。各車両4のアイコンIは、車両識別情報に基づいて着色される。つまり、各車両4のアイコンIは、実際の車両4の車体のカラーに対応したカラーで表示される。
【0142】
第2表示D2では、車両識別番号は表示しない。車両識別番号を識別するためには、車両4に直に接する必要がある。それに対し、車種および車体のカラーは、車両4に直に接しなくても識別できる。従って、車両4を遠方から判断できるので、作業者は、要充電車両4’を容易に見つけ出すことができる。
【0143】
要充電車両4’のアイコンIcは、更に、太線で描かれるなど、強調表示される。要充電車両4’のアイコンIcは、特に、吹き出しBが表示されるように設定されている。そして、その吹き出しBの中に、その要充電車両4’に関する車種名、車体のカラー、および、バッテリ4aの電圧値が表示される。
【0144】
車種名は、管理サブエリア80aに駐車している全ての車両4について表示させるのではなく、要充電車両4’の車種名と共に、その要充電車両4’に隣接している車両4の車種名を表示させてもよい。要充電車両4’の車種名および車体のカラーを特定しても、管理サブエリア80aの中に、それと同じ車種名および車体のカラーの車両4が有ると、遠方から要充電車両4’を見つけ出すことは難しい。
【0145】
それに対し、要充電車両4’の車種名および車体のカラーと共に、その要充電車両4’に隣接している車両4の車種名および車体のカラーを特定できれば、複数の車両4の組み合わせで特定できる。従って、遠方からでも、要充電車両4’を見つけ出すことができる。要充電車両4’に隣接し、かつ、車種名を表示させる車両4は、1台以上あればよい。管理サブエリア80aに駐車している全ての車両4について表示させる場合に比べて、表示量が減るので、情報の処理負担の軽減と共に、視認し易くなる利点がある。
【0146】
車種名はまた、第2表示D2が所定の大きさ以上に拡大されたときに表示されるようにしてもよい。管理サブエリア80aが広い場合、管理サブエリア80aに駐車している車両4の台数が多い場合など、ディスプレイ34で管理サブエリア80aの全体を表示すると、車種名の視認が困難になる場合がある。
【0147】
そのような場合、車種名の表示は機能しない。小さな車種名を多数表示すると、第2表示D2が見難くなるおそれがある。それに対し、第2表示D2を所定の大きさ以上に拡大したときに、車種名を表示するようにすれば、車種名の視認が可能になり、第2表示D2も見易くできる。
【0148】
サーバ1および端末装置2は、第2表示処理を行った後、作業者の必要に応じて、誘導処理を実行する。すなわち、誘導処理は、支援方法において必須の処理ではない。作業者が、要充電車両4’への誘導を求め、そのためのコマンドが入力されたときに、誘導処理は実行される。
【0149】
具体的には、図12にマークM2で示すように、第2表示D2には、作業者の現在位置が表示される。作業者は端末装置2を携帯しているので、作業者の現在位置は、端末位置情報に基づいてリアルタイムで特定できる。端末装置2は、第2表示D2が表示されている間は、第2表示D2にマークM2を表示する。マークM2は、作業者の現在位置の変化に応じて移動する。
【0150】
誘導処理では、要充電車両4’の車両位置情報および端末位置情報に基づいて、端末装置2から要充電車両4’までの最適な経路(歩行ルート)を算出する。そして、その経路を第2表示D2に表示させる。
【0151】
図12に示すように、第2表示D2には、誘導処理を実行するためのボタンS1が表示されている。作業者がボタンS1にタッチする操作を行うと、端末装置2は、端末位置情報のデータD5と共に、経路の表示を指示するコマンドC5を、サーバ1に出力する(ステップST8)。
【0152】
サーバ1は、データD5およびコマンドC5が入力されると、管理サブエリア80aに駐車している各要充電車両4’の車両位置情報と、入力された端末位置情報とに基づいて、これら要充電車両4’の各々を巡ることができる最適な経路を算出する。そして、サーバ1は、経路を算出すると、その経路のデータD6を端末装置2に出力する(ステップSS7)。
【0153】
その経路は、例えば、バッテリ4aの電圧値の低い順に、要充電車両4’を巡る経路とすることができる。この経路であれば、不可逆的な劣化がし易いバッテリ4aから先に充電できる。従って、より適切なバッテリ4aの一括管理が行える。
【0154】
その経路はまた、最短距離で、要充電車両4’を巡る経路とすることができる。この経路であれば、作業者の歩行量を最小限にできる。従って、作業者の労力および移動時間を低減できる。
【0155】
これら経路は、作業者が選択できるようにしてもよい。例えば、作業者がボタンにタッチする操作を行った後に、バッテリ4aの電圧値の低い順に要充電車両4’を巡る経路、および、最短距離で要充電車両4’を巡る経路、のいずれか1つの経路を選択するための表示(経路選択表示)をディスプレイ34に表示する。そして、作業者が、その経路選択表示でいずれか1つの経路を選択すると、端末装置2は、端末位置情報D5およびコマンドC5と共に、その情報をサーバ1に出力する。
【0156】
端末装置2は、経路のデータD6が入力されると、そのデータD6に基づいて、ディスプレイ34に表示した第2表示D2に、その経路を図示する(ステップST9)。
【0157】
図13に、経路を図示した第2表示D2を例示する。図13では、バッテリ4aの電圧値の低い順に要充電車両4’を巡る経路が、太実線の矢印Y2で表示されている。要充電車両4’のアイコンIcには、巡る順番を示すマークM3が表示されている。例えば、図13に図示した管理サブエリア80aには、要充電車両4’が3台有る。その中では、最上列に位置する要充電車両4’が、最もバッテリ4aの電圧値が低い。従って、その要充電車両4’のアイコンIcには、「1番」のマークM3が表示されている。
【0158】
経路に沿った矢印Y2と、巡る順番を示すマークM3とにより、要充電車両4’を巡る経路が、第2表示D2に図示される。作業者は、視覚を通じて経路を容易に把握できる。従って、作業効率が向上する。
【0159】
図13に破線で示す矢印Y3は、最短距離で要充電車両4’を巡る経路の一例である。作業者が、最短距離で要充電車両4’を巡る経路を選択したときは、この破線の矢印Y3で示す経路が、太実線で表示される。巡る順番もそれに応じて変更される。
【0160】
端末装置2のディスプレイ34に第2表示D2が表示されているとき、作業者は、その第2表示D2に基づいて、管理対象とする要充電車両4’を選択する。例えば、図12または図13に示す第2表示D2において、作業者が、要充電車両4’のアイコンIc、または、それの吹き出しBにタッチする操作を行う。
【0161】
そうすると、端末装置2は、その要充電車両4’を選択し、その要充電車両4’の車両情報を表示する第3表示D3を、ディスプレイ34に表示する(ステップST10)。図14に、その第3表示D3を表示したディスプレイ34の画面を例示する。
【0162】
図14は、図12または図13において最上列に位置する要充電車両4’が選択されたときの第3表示D3を示している。第3表示D3には、その要充電車両4’の車両情報として、車両識別番号、車種名、車体のカラー、および、その要充電車両4’に搭載されているバッテリ4aの電圧値が表示される。
【0163】
第3表示D3が表示されている画面にタッチする操作が行われたとき、端末装置2は、元の第2表示D2の画面を表示する。従って、作業者は、必要に応じて、第2表示D2と第3表示D3との間で、表示の切り替えができる。作業者は、第3表示D3に基づいて、選択した要充電車両4’の車両情報を確認できる。要充電車両4’の特定が簡単になるので、作業効率が向上する。
【0164】
第3表示D3には、更に、ハザードランプを点灯するボタンS2が表示されている。このボタンS2にタッチする操作が行われたとき、端末装置2は、特定した要充電車両4’のハザードランプを点灯させるコマンドC6を、サーバ1に出力する(ステップST11)。サーバ1は、そのコマンドC6が入力されると、対応する要充電車両4’に、ハザードランプを点灯させるコマンドC7を出力する(ステップSS8)。
【0165】
要充電車両4’(車載装置4d)は、コマンドC7が入力されると、ハザードランプを点灯させる(ステップSV2)。ハザードランプの点灯により、作業者は、管理対象となる要充電車両4’を容易に見つけ出すことができる。
【0166】
ハザードランプの点灯と共に、または、ハザードランプの点灯に代えて、ホーン(クラクション)を作動させてもよい。これによっても、要充電車両4’を容易に見つけ出すことができる。なお、端末装置2は、サーバ1を経由するのではなく、ハザードランプを点灯させるコマンドを、直接、特定した要充電車両4’に出力してもよい。
【0167】
作業者は、管理対象となる要充電車両4’を見つけ出すと、その要充電車両4’に対して、確認作業と共に、バッテリ4aを充電する作業を行う。確認作業と、バッテリ4aの充電とが同時に行えるので、効率的である。
【0168】
バッテリ4aの充電は、エンジンの駆動による普通充電でもよいし、専用の充電器を用いた急速充電であってもよい。普通充電の場合、充電に長時間を要するが、急速充電であれば短時間で行える。
【0169】
エンジンの駆動による普通充電の場合、直接、その車両4を操作してエンジンを始動させてもよいが、遠隔操作でエンジンを始動させてもよい。例えば、作業者が、ディスプレイ34を操作して、端末装置2にエンジンの始動を要求する。その操作により、端末装置2は、サーバ1を介して、または、直接、要充電車両4’にエンジンの始動を指示する。その指示に基づいて、要充電車両4’がエンジンを始動する。
【0170】
作業者が、直接、車両4を確認しながらエンジンを始動するので、トラブルが発生しても直ぐに対処できる。また、要充電車両4’の状態、および、要充電車両4’の周囲の状態を確認できるので、エンジンの始動後にトラブルが発生する可能性についても確認できる。従って、バッテリ4aの充電時の安全性を確保できる。
【0171】
エンジンの安定した始動、および、その後の安全性が確認できれば、エンジンの停止は、遠隔操作で自動的に行うのが好ましい。例えば、エンジンの始動後、サーバ1は、定期的に、要充電車両4’からバッテリ電圧情報を取得する。そして、バッテリ4aの電圧値が所定値以上になったときに、サーバ1は、要充電車両4’にエンジンの停止を指示する。その指示に基づいて、要充電車両4’がエンジンを停止する。
【0172】
そうすれば、作業者は、バッテリ4aの充電作業の終了を待たずに、次の要充電車両4’の管理作業に取りかかることができる。一台当たりの作業時間を短縮できるので、作業効率が向上する。
【0173】
このように、本実施形態において開示する支援方法により、管理対象となる車両4が多数であっても、実際に対応が必要な車両4を効率的に絞り込むことができる。従って、バッテリ4aの一括管理における作業効率が向上し、その作業負担を軽減できる。
【0174】
車両4を直に確認しながら、バッテリ4aの充電が行える。従って、車両4の確認作業と同時にバッテリ4aを充電できるので、作業効率に優れる。バッテリ4aの充電作業の時間を短縮することも可能になる。安全性も確保できる。このように、開示する支援方向によれば、複数車両4の各々に搭載されているバッテリ4aの一括管理に対して、効果的な支援を実現できる。
【0175】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0176】
例えば、上述した実施形態では、端末装置2は、サーバ1を介して複数の車両4の各々と通信する場合を例示した。しかし、端末装置2は、サーバ1を介さないで、直接、複数の車両4の各々と通信してもよい。
【0177】
端末装置は、複数であってもよい。そうすれば、複数の作業者で、より効率的にバッテリの一括管理が行える。
【符号の説明】
【0178】
1 サーバ
2 端末装置
3 ネットワーク
4 車両
4’ 要充電車両
4a バッテリ
5 車両保管エリア
80 サブエリア
80a 管理サブエリア
D1 第1表示
D2 第2表示
D3 第3表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14