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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】充電ステーション及び充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250212BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250212BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20250212BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20250212BHJP
   G05D 1/661 20240101ALI20250212BHJP
   G05D 1/644 20240101ALI20250212BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20250212BHJP
   G05D 1/242 20240101ALI20250212BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/30
G05D1/661
G05D1/644
G05D1/43
G05D1/242
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021019122
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2021132524
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2020026733
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】阪梨 泰弘
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/130939(WO,A1)
【文献】特開2009-39836(JP,A)
【文献】特開2002-325707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0142964(US,A1)
【文献】特開2007-245332(JP,A)
【文献】特開2006-231448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
G05D 1/43
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/30
G05D 1/661
G05D 1/644
G05D 1/43
G05D 1/242
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を充電するための充電ステーションであって、
給電端子を有する充電部と、
自律充電時に前記移動体が乗り上げる硬質なプレート部と、を備え、
前記充電部は、前記プレート部上に、接続部によって、上下方向に取り外し可能であるが水平に相対変位不可に接続されており、
前記プレート部に、前記移動体が前記給電端子に接続されているときの前記移動体の外枠位置を示すマークをさらに備えている、充電ステーション。
【請求項2】
前記充電部の重量は10kg以下である、請求項1に記載の充電ステーション。
【請求項3】
前記充電部は筐体を含み、前記筐体の、前記給電端子が設けられている面に交差する水平方向の長さは、150mm以下である、請求項2に記載の充電ステーション。
【請求項4】
前記プレート部の裏面に設けられた摩擦部材をさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の充電ステーション。
【請求項5】
移動体と、前記移動体を充電するための充電ステーションとを備えた充電システムであって、
前記充電ステーションは、
給電端子を有する充電部と、
自律充電時に前記移動体が乗り上げる硬質なプレート部と、を備え、
前記充電部は、前記プレート部上に、接続部によって、上下方向に取り外し可能であるが水平に相対変位不可に接続されており、
前記充電部は、前記給電端子に電力を供給する充電回路と、前記充電回路をオンオフする充電回路スイッチと、をさらに有し、
前記移動体は、受電端子と、充電回路起動突起とを有し、
前記移動体が前記給電端子に接近して接触する際、前記給電端子と前記受電端子が接触し、その後に前記充電回路起動突起が前記充電回路スイッチをオンにする、充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ステーション及び充電システム、特に自律移動する移動体を充電する充電ステーション及び充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用又は商業用を問わずに、自律的に走行可能なロボットと、当該ロボットのバッテリを充電するための充電ステーションなどの目標物と、を備えた自律走行車システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。ロボットは、定期的に又は必要に応じて充電ステーションまで移動して、自動的に充電される。
充電ステーションはロボットを使用するエリアに固定設置されることが多い。そして、充電ステーションは、ロボットや人の接触によって転倒や位置ずれが起こらないような大型又は大重量のものになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-049933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような大型又は大重量の充電ステーションの場合、ロボットが充電ステーション以外の場所でバッテリ切れを起こしたときに、充電ステーションをロボットまで運ぶのは困難である。
一方で、商業用に使用されている自律移動を行うロボット、例えば案内ロボットや搬送ロボットでは、家庭用ロボット掃除機などに比べ大型で重量も大きいため、ロボットを充電ステーションまで運ぶことも困難である。
そこで、持ち運び可能な予備充電器を新たに設けることが考えられるが、それは煩雑でありコストも上昇する。
【0005】
本発明の目的は、充電ステーションにおいて、通常時に移動体の転倒や位置ずれが生じないようにしつつ、異常時に移動体を手動充電可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る充電ステーションは、移動体を充電するためのものである。充電ステーションは、充電部と、プレート部とを備えている。
充電部は、給電端子を有する。
プレート部は、自律充電時に移動体が乗り上げるものであり、硬質である。
充電部は、プレート部上に、接続部によって、上下方向に取り外し可能であるが水平に相対変位不可に接続されている。
この充電ステーションでは、硬質のプレート部と充電部とが分離可能に接続されている。
プレート部が硬質であるので、移動体の自律充電時には移動体の転倒や位置ずれが生じにくい。
また、充電部がプレート部から分離可能であるので、移動体がプレート部から離れた場所で電池切れを起こしたときに、充電部を移動体まで運ぶことで、簡単に充電作業ができる。
【0008】
充電部の重量は10kg以下であってもよい。
この充電ステーションでは、充電部の持ち運びが容易である。
【0009】
充電部において、充電端子が設けられている面に交差する水平方向の長さは、150mm以下であってもよい。
この充電ステーションでは、充電部を壁の近傍に設置した場合に、人が壁沿いを歩いても、充電部に足を引っかけることがない。
【0010】
充電ステーションは、プレート部の裏面に設けられた摩擦部材をさらに備えていてもよい。
この充電ステーションでは、プレート部の位置ずれが防止される。なお、摩擦部材の材料は、特に限定されず、ゴムシート、スポンジ、コルクでもよい。また、摩擦部材は、プレート部の全面に対応していてもよいし、部分的に対応していてもよい。
充電ステーションは、マークをさらに備えていてもよい。マークは、プレート部に設けられ、移動体が給電端子に接続されているときの移動体の外枠位置を示してもよい。
この充電ステーションでは、充電ステーションのプレート部に移動体の外枠位置を示すマークが設けられているので、作業者が手動によって移動体を充電ステーションにドッキングするときに、作業者は、操作正面からは給電端子を目視できなかったとしても、移動体をマークに合わせることで容易にドッキングを達成できる。
【0011】
本発明の他の見地に係る充電システムは、上述の充電ステーションと、上述の移動体とを備えている。
充電部は、給電端子に電力を供給する充電回路と、充電回路をオンオフする充電回路スイッチと、をさらに有している。
移動体は、受電端子と、充電回路起動突起とを有している。
移動体が給電端子に近づいて接触する際、給電端子と受電端子が接触し、その後に充電回路起動突起が充電回路スイッチをオンにする。
この充電システムでは、移動体が充電ステーションに接近すると、最初に移動体の受電端子が給電端子に接触する。このとき、充電回路スイッチはオフである。さらに移動体が充電ステーションに接近すると、移動体の充電回路起動突起が、充電回路スイッチをオンにする。この結果、電力が、充電回路から給電端子を通じて移動体の受電端子に供給される。以上の場合、受電端子と給電端子が接触している状態で給電が開始されるので、アーク発生等の不具合が生じにくい。
このようにして、充電部を可搬型とした場合に、移動体側での充電制御が不要になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る充電ステーションでは、通常時に移動体の転倒や位置ずれが生じず、かつ、異常時に移動体を手動充電可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】自律走行車システムの構成を示す図。
図2】自律移動体の構成を示す図。
図3】自律移動体の制御部の構成を示す図。
図4】充電ステーションの斜視図。
図5】充電ステーションの部分斜視図。
図6】充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す模式図。
図7】充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す詳細模式図。
図8】自律移動体が充電ステーションにドッキングする動作を示す模式的平面図。
図9】自律移動体が充電ステーションにドッキングする動作を示す模式的平面図。
図10】自律移動体が充電ステーションにドッキングする動作を示す模式的平面図。
図11】自律移動体が充電ステーションにドッキングする動作を示す模式的平面図。
図12】充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す詳細模式図。
図13】充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す詳細模式図。
図14】第2実施形態の充電ステーションの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
(1)自律走行車システムの全体構成
図1を用いて、第1実施形態に係る自律走行車システム100の全体構成を説明する。図1は、自律走行車システムの構成を示す図である。
自律走行車システム100は、充電ステーション1(充電ステーションの一例)を備える。充電ステーション1は、自律走行車システム100の自律移動体3(後述)が移動する移動平面MSを形成する1つの壁Wの近傍に配置されている。充電ステーション1は、自律移動体3に備わるバッテリ35(後述)を充電するための充電器として機能する。
【0015】
自律走行車システム100は、自律移動体3(移動体の一例)を有している。自律移動体3は、自身の周囲に存在する移動平面MS上の物体O(例えば、移動平面MSに設けられた柱、壁、商品などを載置する棚、移動平面MSを移動する他の移動物(他の移動体や、人間、動物など))の形状に関する情報を取得し、当該取得した物体Oの形状に関する情報に基づいて、移動平面MSを自律的に移動する。
【0016】
自律移動体3は、例えば、自律移動体3が通過すべき複数の移動平面MS上の位置に関する情報(通過目標点)を記憶したデータ(走行スケジュールと呼ぶ)に従って任意の走行経路を自律的に移動可能である。自律移動体3が任意の走行経路を自律的に移動する走行モードを「第1走行モード」と呼ぶことにする。走行スケジュールにおいて、走行経路の開始位置を特に「自律走行開始位置」と呼び、終了位置を特に「自律走行終了位置」と呼ぶ。
第1走行モードの実行時において、自律移動体3の走行制御部344(後述)が上記の走行スケジュールに記憶された移動平面MS上の各位置を通過するように走行部32(後述)を制御することによって、自律移動体3(本体部31)は、走行スケジュールに示された走行経路を自律的に再現走行できる。
【0017】
一方、自律移動体3のバッテリ35の充電を行う必要があると判断された場合、又は、上記の第1走行モードの実行後に、自律移動体3は充電ステーション1へと自律的に移動する。自律移動体3が充電ステーション1へと自律的に移動する走行モードを「第2走行モード」と呼ぶことにする。
上記の第2走行モードは、自律移動体3が充電ステーション1近傍の所定の位置(第2走行モード開始位置と呼ぶことにする)に到達したとき開始される。すなわち、第2走行モードは、自律移動体3が第2走行モード開始位置から充電ステーション1まで自律的に移動する走行モードである。
自律走行車システム100において、上記のように自律移動体3が第1走行モードと第2走行モードとを実行可能であることにより、自律移動体3は、移動平面MS上の任意の位置から充電ステーション1へと確実に自律的に移動できる。
【0018】
(2)自律移動体の構成
(2-1)全体構成
図2を用いて、自律移動体3の構成の詳細を説明する。図2は、自律移動体の構成を示す図である。
最初に、自律移動体3の全体構成を説明する。自律移動体3は、本体部31を有する。本体部31は、自律移動体3の本体を構成する筐体である。
自律移動体3は、走行部32を有する。図2に示すように、走行部32は、例えば、本体部31の内底面の略中央部に配置される。走行部32は、自律移動体3の本体部31を移動させる。具体的には、走行部32は、進行動作と回転動作により本体部31を移動させる。進行動作は、本体部31を前後方向(図2)へ進行させる動作である。回転動作は、姿勢角θ(後述)を変化させて本体部31の向き(姿勢)を変化させる動作である。
【0019】
自律移動体3は、レーザレンジセンサ33を有する。レーザレンジセンサ33は、例えば、レーザ発振器によりパルス発振されたレーザ光を物体Oに放射状に照射し、物体Oから反射した反射光をレーザ受信器により受信するレーザレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)である。
レーザレンジセンサ33は、本体部31の前後方向を定める軸である前後軸(図2)上において本体部31の前部分に配置されている。
レーザレンジセンサ33は、本体部31の前進方向(図2)に対して左右方向にレーザ光を放射状に発生する。本実施形態において、レーザレンジセンサ33は、レーザレンジセンサ33を中心とした、上記の前進方向に延びる半径20m程度の円内に含まれる物体Oから反射された反射光を受信する。
【0020】
自律移動体3は、制御部34を有する。制御部34は、本体部31に設置されている。制御部34は、CPU、記憶装置(例えば、RAM、ROM、ハードディスク、SSDなどのデータを記憶する装置)、無線及び/又は有線にて外部の端末などと通信するインターフェース、A/D及び/又はD/Aコンバータなどの各種インターフェース、を有するコンピュータシステムである。また、制御部34は、走行部32のモータ321a、321b(後述)を制御する駆動電力を供給するモータドライバである。
制御部34は、自律移動体3における各種情報処理及び走行部32の制御を実行する。具体的には、制御部34は、上記のレーザレンジセンサ33から反射光の受信信号を入力し、当該受信信号を情報処理する。また、制御部34は、バッテリ35(後述)から供給された電力(電圧及び/又は電流)を用いて、走行部32のモータ321a、321bに供給する駆動電力を発生する。これにより、制御部34は、モータ321a、321bの回転量やトルクなどを制御できる。
さらに、制御部34は、コントローラなどの入力装置による操作者の操作を、無線及び/又は有線にて受け付け、当該操作に基づいて駆動電力を制御してもよい。これにより、操作者により、自律移動体3を操作できる。
【0021】
自律移動体3は、バッテリ35を有する。バッテリ35は、本体部31の受電端子36(後述)の取り付け位置の近傍に設置される。バッテリ35は、走行部32を駆動する。具体的には、バッテリ35は、電力を制御部34に供給する二次電池であり、例えばリチウムイオンバッテリである。
バッテリ35は、制御部34だけでなく、レーザレンジセンサ33など電力の必要な他の構成要素にも電力を供給してもよい。
【0022】
自律移動体3は、受電端子36を有する。受電端子36は、本体部31の後端に取り付けられている。受電端子36は、本体部31が充電ステーション1に到達した時に、充電ステーション1の給電端子15と電力伝達可能に接続される。
この実施形態は、給電端子15が一対の接点であり、受電端子36は、当該一対の接点に接触可能な一対の接点である。
なお、変形例として、充電ステーション1の給電端子が電気ソケットである場合、受電端子36は、当該電気ソケットに差し込める電気プラグである。また、給電側が非接触電力伝送可能なコイルなどである場合には、受電側は、変動電磁界を受信して電力を発生できるコイルなどである。
受電端子36は、電圧調整回路(図示せず)を介して、バッテリ35に接続されている。
【0023】
自律移動体3は、補助輪部37を有していてもよい。補助輪部37は、2つの補助車輪37a、37bを有する。2つの補助車輪37aと37bは、それぞれが独立に回転可能なように本体部31の後方底部に取り付けられている。
自律移動体3が上記の構成を有することにより、自律移動体3は、自身の周囲に存在する移動平面MS上の物体Oの形状に関する情報に基づいて、移動平面MSを自律的に移動できる。
【0024】
(2-2)走行部の構成
図2を用いて、自律移動体3の走行部32の構成を説明する。
走行部32は、一対のモータ321a、321bを有する。一対のモータ321a、321bは、本体部31の底部の中央付近に設置されている。一対のモータ321a、321bは、制御部34から入力した駆動電力に応じた回転数及び/又はトルクを出力回転軸に出力する、ブラシレスモータなどの電動モータである。
走行部32は、一対の車輪323a、323bを有する。一対の車輪323a、323bは、それぞれ、移動平面MSの走行面に接するように、モータ321a及びモータ321bを介して、本体部31の底部の中央付近に設置されている。具体的には、一対の車輪323a、323bは、それぞれ、モータ321aの出力回転軸及びモータ321bの出力回転軸に、当該出力回転軸の回転に応じて回転可能に接続されている。これにより、一対の車輪323a、323bのそれぞれは、独立に回転速度とトルクとが制御されて回転可能となっている。
【0025】
走行部32は、エンコーダ325a、325b(図3)を有する。エンコーダ325a、325bのそれぞれは、例えば、モータ321a及びモータ321bの出力回転軸に取り付けられているインクリメンタル型のエンコーダである。エンコーダ325a、325bは、モータ321a、321bの出力回転軸の回転量を、パルス信号のパルス数として制御部34に出力する。
上記構成により、走行部32は、制御部34から入力した駆動電力に基づいて、後述する進行動作と回転動作とを実行し、本体部31を移動できる。上記のような、独立に回転速度やトルクなどを制御可能な一対の車輪により構成されている走行部32を、「差動二輪型」の走行部と呼ぶ。
【0026】
(2-3)制御部の構成
図3を用いて、制御部34の構成を説明する。図3は、自律移動体の制御部の構成を示す図である。なお、以下に説明する制御部34の各構成要素の機能の一部は、制御部34を構成するコンピュータシステムにて動作可能なプログラムとして実現されていてもよい。または、制御部34の各構成要素の機能の一部は、カスタムICなどにより実現されていてもよい。
制御部34は、記憶部341を有する。記憶部341は、制御部34を構成するコンピュータシステムの記憶装置の記憶領域の一部である。記憶部341は、自律移動体3を制御するための各種データを記憶する。
【0027】
具体的には、記憶部341には上記の走行スケジュールが記憶されている。記憶部341には、環境地図が記憶されている。環境地図は、移動平面MS上に存在する物体Oの位置に関する情報(移動平面MS上の物体Oの座標値)の集合体である。すなわち、環境地図は、移動平面MS上の物体Oの位置(座標値)を示す地図情報である。後述するように、環境地図は、位置推定部343(後述)がローカルマップ(後述)を用いて本体部31の位置推定を行う際の基準として用いられる。
【0028】
記憶部341には、充電ステーション1に関する情報が記憶されている。具体的には、記憶部341には、充電ステーション1のランドマーク25(後述)の形状に関する情報が、目標物に関する情報として記憶されている。ランドマーク25の形状に関する情報は、例えば、移動平面MS上におけるランドマーク25の存在位置を示す座標値の集合体である。
記憶部341には、充電ステーション1のプレート部13(後述)上における第2走行モード開始領域に関する情報が記憶されている。
その他、記憶部341には、自律移動体3及び/又は充電ステーション1に関する各種設定値、及び、制御部34の各機能を実現するプログラム等が記憶されている。
【0029】
制御部34は、センサ制御部342を有する。センサ制御部342は、レーザレンジセンサ33を制御する。また、センサ制御部342は、物体Oの本体部31からの相対的な位置を算出する。具体的には、レーザレンジセンサ33からレーザ光を照射したタイミングと、反射光をレーザレンジセンサ33(レーザ受信器)にて受信したタイミングとの時間差から、レーザレンジセンサ33と物体Oとの距離を算出する。
また、例えば、反射光を受信した時のレーザ受信器の受光面の前後軸を基準とした場合の相対的な角度から、本体部31から見た物体Oが存在する方向を算出する。
センサ制御部342は、上記の物体Oが存在する相対的な距離と方向に関する情報を、移動平面MS上の座標値に変換する。物体Oの存在位置を移動平面MS上の座標値で表すことにより、物体Oの位置と形状とを、移動平面MSを表す座標平面上に投影できる。
【0030】
制御部34は、位置推定部343を有する。位置推定部343は、本体部31の移動平面MS上の位置を推定する。具体的には、位置推定部343は、レーザレンジセンサ33及びセンサ制御部342にて取得された本体部31の周囲に存在する物体Oに関する情報(ローカルマップと呼ぶ)と、エンコーダ325a、325bから取得したモータ321a、321bの回転量と、に基づいて、自律移動体3の位置を推定する。さらに具体的には、例えば、次のようにして、本体部31の位置を推定する。
まず、エンコーダ325a、325bから取得したモータ321a、321bの回転量から本体部31の移動距離と姿勢角変化とを算出する。次に、位置推定部343にて前回推定された推定位置に、当該算出した移動距離と姿勢角変化とを加算して、現在の位置を推定する(デッドレコニングによる位置推定)。このとき、車輪323a、323bと移動平面MSの走行面との滑り等を考慮して、複数の位置と姿勢角の「候補」を推定しておく。
なお、上記の複数の位置と推定角の「候補」のそれぞれには、本体部31が当該各「候補」の位置及び姿勢角のそれぞれに到達する確率を関連づけておいてもよい。
【0031】
次に、上記の複数の位置の「候補」のそれぞれに、当該位置の「候補」における姿勢角に対応する角度だけ傾けたローカルマップを配置する。その後、上記の位置の「候補」に配置されたローカルマップと環境地図とを、例えば、「尤度計算」を実行してマップマッチングし、環境地図と最もマッチしたローカルマップが配置された位置及び姿勢角の「候補」を、本体部31の最終的な位置及び姿勢角と推定する(マップマッチングによる位置推定)。
【0032】
制御部34は、走行制御部344を有する。走行制御部344は、レーザレンジセンサ33及びセンサ制御部342により取得された物体Oの形状に関する情報に基づいて推定された本体部31の移動平面MS上の位置及び/又は姿勢角に基づいて、走行部32を制御する。
例えば、走行制御部344は、走行部32のモータ321a、321bのそれぞれの制御量を算出し、当該制御量に基づいた駆動電力をモータ321a、321bのそれぞれに出力するモータドライバである。走行制御部344は、エンコーダ325a、325bから入力したモータ321a、321bの単位時間あたりの回転量(回転速度)が、所望の回転速度となるように、モータ321a、321bの制御量を算出している(フィードバック制御)。
【0033】
走行制御部344は、第1走行モードと第2走行モードとを実行可能となっている。第1走行モードの実行時においては、走行制御部344は、走行スケジュールに示された各通過位置と、位置推定部343において推定された現在の本体部31の位置との差に基づいて、モータ321a、321bのそれぞれの制御量を算出して、算出された制御量に基づいた駆動電力を、モータ321a、321bのそれぞれに出力する。
これにより、走行制御部344は、第1走行モードの実行時においては、本体部31を、上記の自律走行開始位置から第2走行モード開始領域内の所定の位置まで回転動作及び/又は進行動作によって移動できる。
一方、第2走行モードの実行時においては、走行制御部344は、第2走行モードにおいて通過すべき位置(例えば、充電ステーション1の配置位置)と、ランドマーク25の形状を十分に反映したローカルマップを用いて位置推定部343において推定された現在の本体部31の位置との差に基づいて、モータ321a、321bのそれぞれの制御量を算出する。走行制御部344は、算出された制御量に基づいた駆動電力を、モータ321a、321bのそれぞれに出力する。
【0034】
制御部34は、走行スケジュール作成部345を有している。走行スケジュール作成部345は、走行スケジュールを作成し、記憶部341に記憶する。
具体的には、走行スケジュール作成部345は、無線又は有線にて自律移動体3と通信可能なコントローラ又はコンピュータシステム、又は、自律移動体3に設けられた操作ハンドル(図示せず)などを用いた操作者の操作を受け付けて、当該操作者の操作を走行制御部344に出力する。これにより、自律移動体3は、操作者により操作可能となる。
【0035】
操作者がコントローラや操作ハンドルを用いて自律移動体3を操作中に、走行スケジュール作成部345は、所定の時間間隔毎に、位置推定部343において推定された本体部31の位置及び姿勢角を入力する。その後、走行スケジュール作成部345は、位置推定部343から入力した位置及び姿勢角と、当該位置及び姿勢角を推定した時刻とを関連づけて走行スケジュールを作成し、当該走行スケジュールを記憶部341に記憶する。
制御部34が上記の走行スケジュール作成部345を有することにより、操作者の操作を走行スケジュールとして記憶できる。
【0036】
(3)充電ステーションの構成
図4図6を用いて、充電ステーション1の構成を説明する。図4は、充電ステーションの斜視図である。図5は、充電ステーションの部分斜視図である。図6は、充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す模式図である。
充電ステーション1は、充電部11(充電部の一例)と、プレート部13(プレート部の一例)とを備えている。
【0037】
(3-1)充電部
充電部11は、主に、筐体17と、充電用電源19から構成されている。筐体17は、四角い箱形であり、充電ステーション1の本体を構成する。
充電用電源19は、例えば、家庭等のコンセントに接続されている。なお、変形例として、充電ステーション1は、バッテリを搭載していてもよい。その場合、コンセントが近くに無くても自律移動体3を充電できる。
【0038】
筐体17は小型かつ薄型である。筐体17の厚み(前面17aに交差する水平方向の長さ)は、15cm以下である。したがって、充電部11を壁の近傍に設置した場合に、人が壁沿いを歩いても、充電部11に足を引っかけることがない。なお、充電部11は、一例として、高さが355mm、幅が250mm、厚み80mmである。
充電部11の重量は10kg以下である。したがって、充電部11の持ち運びが容易である。
【0039】
筐体17の前面17aには、ランドマーク25が設けられている。ランドマーク25は、レーザ光などを反射できる。ランドマーク25は、具体的には、3つの部材により構成されている。ランドマーク25は、例えば、白塗装の壁面に設けられた白プリズムである。壁面は黒等の他の色の塗装でもよいし、ランドマークは黒ビーズ等の他の構成でもよい。また、ランドマークは、金属やプラスチックなどの板状部材であってもよい。なお、ランドマーク25を構成する部材の数や形状は、上記の例に限られない。
上記のように充電ステーション1が特徴的な形状を有するランドマーク25を有することにより、筐体17が図4に示すように中空の直方体のような特徴的でない形状を有している場合にも、自律移動体3は、ランドマーク25の特徴的な形状に基づいて、自律移動体3の位置や向き(姿勢角θ)を推定できる。
【0040】
充電部11は、さらに、給電端子15(給電端子の一例)を有している。給電端子15は、筐体17の前面17aに設けられている。給電端子15は、充電用電源19からの電力を供給する端子である。給電端子15は、自律移動体3のバッテリ35を充電するための充電電力を出力する。従って、給電端子15は、筐体17の前面17aにおいて、自律移動体3の受電端子36(後述)と同じ高さに配置されている。
給電端子15は、受電端子36の一対の接点と接触可能な一対の接点である。なお、変形例として、給電端子は、電力を出力するソケットでもよい。その他、給電端子は、非接触電力伝送が可能な、時間的に変動する電流(交流電流)が流れるコイルでもよい。
【0041】
(3-2)プレート部
プレート部13は、自律充電時に自律移動体3が乗り上げるものであり、硬質である。具体的には、プレート部13は、スチール等の金属製である。
プレート部13は、平面視で円形である。なお、プレート部は、三角形、四角形、多角形等の形状でもよい。
プレート部13は、自律移動体3がその場で回転できるサイズである。具体的には、プレート部13は、自律移動体3の長軸を直径とする円より大きい。
充電部11は、プレート部13上に、取り外し機構21によって、上下方向に取り外し可能であるが水平に相対変位不可に接続されている(後述)。
【0042】
上述のようにプレート部13が硬質であるので、自律移動体3の自律充電時には自律移動体3の転倒や位置ずれが生じにくい。
また、充電部11がプレート部13から分離可能であるので、自律移動体3がプレート部13から離れた場所で電池切れを起こしたときに、充電部11を自律移動体3まで運ぶことで、簡単に充電作業ができる。
【0043】
充電ステーション1は、図4に示すように、プレート部13の裏面に設けられた摩擦部材23(摩擦部材の一例)をさらに有している。したがって、プレート部13の位置ずれが防止される。なお、摩擦部材の材料は、特に限定されず、ゴムシート、スポンジ、コルクでもよい。また、摩擦部材23は、プレート部13の全面に対応していてもよいし、部分的に対応していてもよい。なお、摩擦部材は必須ではなく、適宜省略されてもよい。
このようにプレート部13が床面に対して位置ずれしにくいので、自律移動体3の環境地図と現実との間で充電部11の位置のずれが生じにくい。
【0044】
(3-3)接続構造
図5を用いて、プレート部13と充電部11の接続構造を説明する。プレート部13は、円板部13Aと、充電部収納部13Bとを有している。充電部収納部13Bは、円板部13Aと一体に連続して形成されている。充電部収納部13Bは、底部と、その周囲の縁突起部とを有しており、それにより充電部11の下部を収納して、その状態で充電部11が水平方向に移動不能になるように支持している。
取り外し機構21は、充電部11がプレート部13に載置された状態で、ロック及びロック解除するための機構である。ロック状態では、充電部11は、プレート部13の充電部収納部13Bから上方に分離できない。ロック解除状態では、充電部11は、プレート部13の充電部収納部13Bから上方に分離できない。
なお、取り外し機構21は、公知の金属ベルトであり、その種類は特に限定されない。
【0045】
(4)充電構造
図6及び図7を用いて、充電ステーション1と自律移動体3の充電構造を説明する。図6は、充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す模式図である。図7は、充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す詳細模式図である。
図6に示すように、充電ステーション1は、充電用電源19(充電回路の一例)と、給電端子15と、マイクロスイッチ51(充電回路スイッチ)とを有している。マイクロスイッチ51は、充電用電源19をオンオフする。マイクロスイッチ51は、給電端子15に近接して筐体17の前面17aに設けられている。
図6に示すように、自律移動体3は、バッテリ35と、受電端子36と、制御部34と、電圧検出回路55と、モータ321a、321bと、充電用電源起動突起53(充電回路起動突起の一例)とを有している。
【0046】
電圧検出回路55は、受電端子36における電圧を検出する。制御部34は、検出された電圧を参照して、モータ321a、321bを制御する。
充電用電源起動突起53は、マイクロスイッチ51をオンオフするための部材である。充電用電源起動突起53は、受電端子36に近接して本体部31の後端に設けられている。
図7は、図6を詳細に描いた図面であり、給電端子15と受電端子36がそれぞれ一対の端子であることを示している。なお、図7は自律移動体3が充電ステーション1にドッキングする前の状態を示しており、したがって給電端子15と受電端子36は離れている。また、マイクロスイッチ51と充電用電源起動突起53も離れており、したがって、マイクロスイッチ51はオフ状態であり、それに伴い充電用電源19もオフである。
【0047】
(5)充電動作
(5-1)自律移動体の動作
図8図11を用いて、自律移動体3が充電ステーション1にドッキングして充電を開始する動作を説明する。図8図11は、自律移動体が充電ステーションにドッキングする動作を示す模式的平面図である。
第2走行モードを開始すると、図8に示すように、自律移動体3は、プレート部13の上まで移動する。具体的には、第2走行モードにおいては、自律移動体3は、レーザレンジセンサ33により取得された充電ステーション1のランドマーク25の特徴的な形状に関する情報を用いて本体部31の位置を推定しながら、第2走行モード開始位置から充電ステーション1の手前まで移動する。そして、自律移動体3は、プレート部13の上で、本体部31の前部が充電ステーション1と正対した状態で停止する。
【0048】
続いて、図9に示すように、自律移動体3は、プレート部13の上で回転行う。詳細には、本体部31の中心点Cを中心として本体部31を回転させて、姿勢角θを変化させる。
その結果、図10に示すように、自律移動体3は、プレート部13の上で、本体部31の後部が充電ステーション1と正対する。その結果、受電端子36と充電ステーション1の給電端子15とが正対する。
【0049】
続いて、図11に示すように、自律移動体3は、本体部31の後部を充電ステーション1に向けた状態にて後進することで、充電ステーション1に接近する。
本体部31が充電ステーション1に到達すると、受電端子36と給電端子15とが接続される。その結果、給電端子15からバッテリ35を充電するための充電電力が受電端子36に出力される。この結果、バッテリ35が充電される。なお、自律移動体3は、充電完了までの間、その場で停止している。
【0050】
(5-2)給電構造の動作
図7図12及び図13を用いて、充電ステーション1と自律移動体3の給電構造の動作を説明する。図12及び図13は、図7と同じく、充電ステーションと自律移動体の充電構造を示す詳細模式図である。
図7の状態から自律移動体3が充電ステーション1に接近すると、図12に示すように、受電端子36が給電端子15に接触する。このとき、充電用電源起動突起53がマイクロスイッチ51をオンにしていないので、マイクロスイッチ51はオフである。
その後、さらに自律移動体3が充電ステーション1に接近すると、図13に示すように、充電用電源起動突起53がマイクロスイッチ51をオンにする。
この結果、充電用電源19がオンされて、電力が、充電用電源19から給電端子15を通じて自律移動体3の受電端子36に供給される。以上の場合、受電端子36と給電端子15が接触している状態で給電が開始されるので、アーク発生等の不具合が生じにくい。
以上に述べたように、この充電システムでは、充電部11を可搬型とした場合に、自律移動体3側での制御が不要になる。
なお、制御部34が電圧検出回路55を通じて給電開始を検知すれば、自律移動体3の移動(充電ステーション1への接近)を停止する。または、マイクロスイッチ51がオンになってから所定時間の経過又はモータステップ数が所定数に達すれば自律移動体3を停止してもよい。
なお、自律移動体3が充電ステーション1から離脱する動作は、上記ドッキング動作の逆の順番で行われる。
【0051】
(6)従来の問題点及び本実施形態による解決
(6-1)床が柔らかい素材の場合(その1)
従来では、床がカーペットなど柔らかい素材の場合、充電ステーションとロボットの床材への沈み込み量が異なるので、ロボット側の充電端子とステーション側の充電端子の高さがそろわないことがあった。また、充電ステーションの前でロボットが回転する際に、床材が柔らかいとロボットの回転精度が悪くっていた。以上の結果、ロボットと充電ステーションの充電端子のドッキング精度が悪くなっていた。
それに対して、本実施形態では、自律移動体3と充電ステーション1のドッキング精度が向上している。具体的には、充電ステーション1に、自律移動体3がドッキングする際に乗るための、金属製などの硬いプレート部13を設けることで、充電ステーション1と自律移動体3が同一平面に配置され、給電端子15と受電端子36との高さがそろう。さらに、支持面がプレート部13によって硬くなっているので、自律移動体3の回転精度が向上する。
【0052】
(6-2)床が柔らかい素材の場合(その2)
従来では床材が柔らかい場合、充電ステーションのフットやロボットの車輪など、継続して重量を受ける部分の床材が凹んでしまう。また、充電ステーション前の同じ場所でロボットが回転することになり、車輪痕が付いてしまう。
それに対して、本実施形態では、充電ステーション1と自律移動体3による床材へのダメージを軽減できる。具体的には、プレート部13によって、充電ステーション1と自律移動体3の重量が分散して床材にかかるので凹みが生じにくい。さらに、自律移動体3が回転動作をする場所はプレート部13なので、床材に車輪痕が残らない。
【0053】
(6-3)薄型の充電ステーションの場合
従来では、充電ステーションが邪魔にならないように薄くすると安定性が悪くなり、ロボットがドッキングしたり、人が接触した際に倒れやすかったりしていた。
それに対して、本実施形態では、充電部11がプレート部13と一体化するので、充電部は安定性が向上して倒れにくい。
【0054】
(6-4)ロボットのバッテリ切れ(異常発生の一例)の場合
従来では、充電ステーションから離れた場所でロボットのバッテリが切れた場合に、充電ステーションをロボットのところまで移動させるか、又は可搬型の充電器が必要になっていた。
それに対して、本実施形態では、充電部11を可搬型充電器として利用にすることができ、利便性を向上させている。具体的には、充電部11をプレート部13と分離可能にすることにより、充電部11を可搬型充電器として利用することができる。
【0055】
2.第2実施形態
図14を用いて、第2実施形態の充電ステーションを説明する。図14は、第2実施形態の充電ステーションの斜視図である。
充電ステーション1は、第1実施形態の充電ステーションと基本構成は同じである。
【0056】
充電ステーション1は、マーク14をさらに備えている。マーク14は、プレート部13の上面に形成されている。マーク14は、自律移動体3が給電端子15に接続されているときの自律移動体3の外枠位置を示す。マーク14は、具体的には、自律移動体3の外枠位置の全体に対応する複数の線からなる外形線であり、プレート部13にスリットとして形成されている。さらに具体的には、複数の線の数は、6本である。
したがって、作業者が手動によって自律移動体3を充電ステーション1にドッキングするときに、作業者は、操作正面からは給電端子15を目視できなかったとしても、自律移動体3をマーク14に合わせることで容易にドッキングを達成できる。特に、マーク14がスリットであるので、視認性が良い。
【0057】
マークは、1本の実線、破線、点線等の他の線種でもよい。
マークは、線ではなく、複数の点又は図形からなる印であってもよい。
マークは、プレート部に、印刷又は刻印によって形成されてもよい。さらに、マークは自律移動体の外形線が印刷されたシートであって、シートがプレート部に貼られていてもよい。
マークは、摩擦材に形成されていてもよい。
【0058】
3.実施形態の特徴
前記実施形態は下記のようにも説明できる。
充電ステーション1(充電ステーションの一例)は、自律移動体3(移動体の一例)を充電するためのものである。充電ステーション1は、充電部11と、プレート部13とを備えている。
充電部11(充電部の一例)は、給電端子15(給電端子の一例)を有する。
プレート部13(プレート部の一例)は、自律充電時に自律移動体3が乗り上げるものであり、硬質である。
充電部11は、プレート部13上に、取り外し機構21(接続部の一例)によって、上下方向に取り外し可能であるが水平に相対変位不可に接続されている。
この充電ステーション1では、硬質のプレート部13と充電部11とが分離可能に接続されている。
プレート部13が硬質であるので、自律移動体3の自律充電時には移動体の転倒や位置ずれが生じにくい。
また、充電部11がプレート部13から分離可能であるので、自律移動体3がプレート部13から離れた場所で電池切れを起こしたときに、充電部11を自律移動体3まで運ぶことで、簡単に充電作業ができる。
【0059】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
プレート部と充電部を平面方向において位置決めするガイドをさらに設けてもよい。例えば、充電部の足部に対応する凹部をプレート部の充電部収納部に設けてもよい。
自律移動体は、本体部31の後進方向に対して左右方向にレーザ光を放射状に発生する後進用レーザレンジセンサを有していてもよい。その場合は、自律移動体3が充電ステーションとドッキングする動作において、自律移動体3はプレート部13の上で回転する必要がない。
自律移動体は、特に限定されず、清掃ロボット、サイネージロボット、工場の物流システムにおいて使用される無人搬送車であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、自律移動する移動体を充電する充電ステーションに広く適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 :充電ステーション
3 :自律移動体
11 :充電部
13 :プレート部
13A :円板部
13B :充電部収納部
14 :マーク
15 :給電端子
17 :筐体
17a :前面
19 :充電用電源
21 :取り外し機構
23 :摩擦部材
25 :ランドマーク
31 :本体部
32 :走行部
33 :レーザレンジセンサ
34 :制御部
35 :バッテリ
36 :受電端子
37 :補助輪部
37a :補助車輪
37b :補助車輪
51 :マイクロスイッチ
53 :充電用電源起動突起
55 :電圧検出回路
100 :自律走行車システム
321 :モータ
321a :モータ
321b :モータ
323a :車輪
323b :車輪
325a :エンコーダ
325b :エンコーダ
341 :記憶部
342 :センサ制御部
343 :位置推定部
344 :走行制御部
345 :走行スケジュール作成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14