IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

特許7631881処理装置、処理方法、プログラムおよびシステム
<>
  • 特許-処理装置、処理方法、プログラムおよびシステム 図1
  • 特許-処理装置、処理方法、プログラムおよびシステム 図2
  • 特許-処理装置、処理方法、プログラムおよびシステム 図3
  • 特許-処理装置、処理方法、プログラムおよびシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、プログラムおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/51 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
H04M3/51
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021027288
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128841
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】則松 陽一
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-4300(JP,A)
【文献】特開平3-220961(JP,A)
【文献】特表2004-500754(JP,A)
【文献】特開2020-76869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
H04M3/16-3/20
H04M3/38-3/58
H04M7/00-7/16
H04M11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客装置から音声による問合せの開始を示す情報を取得すると、前記顧客装置から第1の音信号を受信して、受信した当該第1の音信号を第1の処理部に送出するとともに、当該第1の音信号からプッシュボタン信号を検出する検出処理を行い、
前記検出処理において前記第1の音信号からプッシュボタン信号を検出すると、第2の処理部に検出した当該プッシュボタン信号を送出することと、前記第1の処理部に対して前記第1の音信号の送出を中止することを行う、第3の処理部を備え、
前記第1の処理部は、
音声認識された前記第1の音信号に基づく第1のガイダンスを、前記顧客装置に送出し、
前記第2の処理部は、
前記プッシュボタン信号に基づく第2のガイダンスを、前記顧客装置に送出する
ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記第3の処理部は、
前記顧客装置から前記音声による問合せの開始を示す情報を取得すると、音声スイッチ処理を実行する状態となり、
前記第1の音信号から前記プッシュボタン信号を検出すると、前記音声スイッチ処理を実行する状態が解除される、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第3の処理部は、前記第1のガイダンスを前記顧客装置で再生している最中の前記第1の音信号から前記プッシュボタン信号を検出する、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記プッシュボタン信号は、オペレータへの呼の転送を要求するものであり、
前記第3の処理部は、前記顧客装置との呼を前記オペレータが操作するオペレータ装置に転送する、
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項5】
第1の処理部、第2の処理部、第3の処理部を備える処理装置における処理方法であって、
前記第3の処理部が、
顧客装置から音声による問合せの開始を示す情報を取得すると、前記顧客装置から第1の音信号を受信して、受信した当該第1の音信号を第1の処理部に送出するとともに、当該第1の音信号からプッシュボタン信号を検出する検出処理を行い、
前記検出処理において前記第1の音信号からプッシュボタン信号を検出すると、第2の処理部に検出した当該プッシュボタン信号を送出することと、前記第1の処理部に対して前記第1の音信号の送出を中止することを行う、ステップを実行し、
前記第1の処理部が、
音声認識された前記第1の音信号に基づく第1のガイダンスを、前記顧客装置に送出するステップを実行し、
前記第2の処理部が、
前記プッシュボタン信号に基づく第2のガイダンスを、前記顧客装置に送出するステップを実行する、
ことを特徴とする処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
顧客装置から音声による問合せの開始を示す情報を取得すると、前記顧客装置から第1の音信号を受信して、受信した当該第1の音信号を第1の処理部に送出するとともに、当該第1の音信号からプッシュボタン信号を検出する検出処理を行い、
前記検出処理において前記第1の音信号からプッシュボタン信号を検出すると、第2の処理部に検出した当該プッシュボタン信号を送出することと、前記第1の処理部に対して前記第1の音信号の送出を中止することを行う、第3の処理部として機能させ、
前記第1の処理部は、
音声認識された前記第1の音信号に基づく第1のガイダンスを、前記顧客装置に送出し、
前記第2の処理部は、
前記プッシュボタン信号に基づく第2のガイダンスを、前記顧客装置に送出する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の処理装置と、
前記顧客装置と、を備えるシステムであって、
前記処理装置と前記顧客装置とは、電話網またはIP(Internet Protocol)網を介して接続されている、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、プログラムおよびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンタクトセンタでの問い合わせにおいて、オペレータの負荷軽減や応対効率を上げるために、自動音声応答(IVR:Interactive Voice Response)が利用されている(特許文献1参照)。IVR装置では、顧客からの問い合わせに対して、プッシュボタン(PB:Push Button)信号の入力や、顧客発話の音声認識結果により、準備された音声による案内や、オペレータへの転送処理を実施している。なお、プッシュボタン信号(PB信号)は、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号などとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-076869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、IVR装置は、顧客に対して情報の入力を要求する際、顧客端末からの入力が、音声(顧客による発話の音声)であるか、ボタン入力操作(プッシュボタン信号)であるかについて、予め定めておく必要がある(例えば、特許文献1の段落0055~0061(特に「S304」~「S307」)、図3図5などを参照)。その為、顧客によっては手間に感じる場合があった。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも顧客の利便性を向上させた、処理装置、処理方法、プログラムおよびシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る処理装置は、顧客装置から音声による問合せの開始を示す情報を取得すると、前記顧客装置から第1の音信号を受信して、受信した当該第1の音信号を第1の処理部に送出するとともに、当該第1の音信号からプッシュボタン信号を検出する検出処理を行い、前記検出処理において前記第1の音信号からプッシュボタン信号を検出すると、第2の処理部に検出した当該プッシュボタン信号を送出することと、前記第1の処理部に対して前記第1の音信号の送出を中止することを行う、第3の処理部を備え、前記第1の処理部は、音声認識された前記第1の音信号に基づく第1のガイダンスを、前記顧客装置に送出し、前記第2の処理部は、前記プッシュボタン信号に基づく第2のガイダンスを、前記顧客装置に送出することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る処理方法は、第1の処理部、第2の処理部、第3の処理部を備える処理装置における処理方法であって、前記第3の処理部が、顧客装置から音声による問合せの開始を示す情報を取得すると、前記顧客装置から第1の音信号を受信して、受信した当該第1の音信号を第1の処理部に送出するとともに、当該第1の音信号からプッシュボタン信号を検出する検出処理を行い、前記検出処理において前記第1の音信号からプッシュボタン信号を検出すると、第2の処理部に検出した当該プッシュボタン信号を送出することと、前記第1の処理部に対して前記第1の音信号の送出を中止することを行う、ステップを実行し、前記第1の処理部が、音声認識された前記第1の音信号に基づく第1のガイダンスを、前記顧客装置に送出するステップを実行し、前記第2の処理部が、前記プッシュボタン信号に基づく第2のガイダンスを、前記顧客装置に送出するステップを実行する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、顧客装置から音声による問合せの開始を示す情報を取得すると、前記顧客装置から第1の音信号を受信して、受信した当該第1の音信号を第1の処理部に送出するとともに、当該第1の音信号からプッシュボタン信号を検出する検出処理を行い、前記検出処理において前記第1の音信号からプッシュボタン信号を検出すると、第2の処理部に検出した当該プッシュボタン信号を送出することと、前記第1の処理部に対して前記第1の音信号の送出を中止することを行う、第3の処理部として機能させ、前記第1の処理部は、音声認識された前記第1の音信号に基づく第1のガイダンスを、前記顧客装置に送出し、前記第2の処理部は、前記プッシュボタン信号に基づく第2のガイダンスを、前記顧客装置に送出する、ことを特徴とする
【0009】
また、本発明に係るシステムは、上記した本発明に係る処理装置と、前記顧客装置と、を備えるシステムであって、前記処理装置と前記顧客装置とは、電話網またはIP(Internet Protocol)網を介して接続されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るコンタクトセンタシステムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るコンタクトセンタサーバの機能構成図の例示である。
図3】本発明の実施形態に係るコンタクトセンタシステムの全体動作を示すシーケンス図の例示である。
図4】本発明の実施形態に係るコンタクトセンタシステムにおけるIVR処理フローの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、本実施形態では、本発明と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
<実施形態に係るコンタクトセンタシステムの構成>
図1を参照して、コンタクトセンタシステム1について説明する。図1は、実施形態に係るコンタクトセンタシステム1の概略構成図である。
コンタクトセンタシステム1は、顧客からの問合せを受け付け、問合せに対する応答を行うシステムである。コンタクトセンタシステム1で応答を行うのは、オペレータやIVR技術を備えた装置(仮想オペレータ)である。本実施形態では、金融業務に関するコンタクトセンタシステム1を想定するが、コンタクトセンタシステム1は様々な分野で用いることができる。その為、コンタクトセンタシステム1を適用する分野は、特に限定されない。
【0014】
コンタクトセンタシステム1は、コンタクトセンタ機能を提供するコンタクトセンタサーバ10と、応答業務を行うオペレータが操作するオペレータ装置20と、問合せを行う顧客が操作する顧客装置30とを主に備える。コンタクトセンタサーバ10は、LAN(Local Area Network)40を介してオペレータ装置20に接続されている。また、コンタクトセンタサーバ10は、公衆の電話網41やIP網42を介して顧客装置30に接続されている。
なお、コンタクトセンタシステム1は、「システム」の一例であり、「システム」の一例は、コンタクトセンタシステム1に限るものではない。
また、コンタクトセンタサーバ10は、「処理装置」の一例であり、「処理装置」の一例は、コンタクトセンタサーバ10に限るものではない。
【0015】
コンタクトセンタサーバ10は、例えば電話機とのインタフェース機能(GW(Gateway)機能)、ACD(Automatic Call Distribution)機能、音声認識機能などを有する装置である。詳細は後述する。
【0016】
オペレータ装置20は、オペレータが応答業務に用いる端末またはその集合体である。オペレータ装置20は、コンタクトセンタサーバ10を介して顧客装置30とデータ通信可能に接続される。本実施形態でのオペレータ装置20は、オペレータ用PC21と、オペレータ用電話機22とで構成される。
【0017】
オペレータ用PC21は、例えばコンタクトセンタ用のアプリケーションプログラムを備えたコンピュータであり、外線/内線への着信や発信などの呼制御をオペレータの操作により行う。
オペレータ用電話機22は、例えば公衆の電話網41を介して通話を行う電話機やIP網42を介して通話を行うIP電話機であり、オペレータ用PC21で呼制御を行っている呼の音声通話に使用される。また、オペレータ用電話機22は、顧客へ提供する音声応答データをコンタクトセンタサーバ10とやり取りする。
【0018】
顧客装置30は、コンタクトセンタシステム1に問合せを行う顧客が操作する端末またはその集合体である。顧客装置30は、例えば公衆の電話網41を介して通話を行う電話端末31やIP網42を介して通話を行うスマートフォン/PC32などであってよい。
【0019】
顧客の電話端末31とコンタクトセンタサーバ10との接続は、例えば電話網41、GW43およびLAN40を介して実現される。GW43は、電話網41とLAN40とを接続させるための処理を行うものであり、例えば電話網41におけるプロトコルとLAN40におけるプロトコルとの間の変換を行う。これによって、電話網41からLAN40への信号やLAN40から電話網41への信号が、送出先のネットワークに適合するようにする。
顧客のスマートフォン/PC32とコンタクトセンタサーバ10との接続は、例えばIP網42およびLAN40を介して実現される。
【0020】
図2を参照して、コンタクトセンタサーバ10の機能について説明する。図2は、コンタクトセンタサーバ10の機能構成図の例示である。
図2に示すように、コンタクトセンタサーバ10は、回線制御部11、IVRサービス処理部12、音声認識処理部13、IVRシナリオデータ部14およびACD処理部15を備えて構成される。なお、他の装置が、コンタクトセンタサーバ10が備える機能の一部を有する構成であってもよい。例えば、音声認識処理部13およびACD処理部15は、コンタクトセンタサーバ10とは別のサーバが備える構成でもよく、その場合、コンタクトセンタサーバ10は、当該別のサーバと必要に応じて通信する。なお、シナリオは、自動音声応答における流れ(筋書き)のことである。
【0021】
回線制御部11、IVRサービス処理部12、音声認識処理部13、IVRシナリオデータ部14およびACD処理部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や専用回路等により実現される。実行処理用のプログラムは、コンピュータによる読み取り可能な記録媒体(例:CD-ROMや外付けメモリ)に記憶して提供することができる。また、そのプログラムを、インターネットなどのネットワークを通して提供することもできる。
なお、回線制御部11は、「第3の処理部」の一例であり、「第3の処理部」の一例は、回線制御部11に限るものではない。
また、IVRサービス処理部12は、「第2の処理部」の一例であり、「第2の処理部」の一例は、IVRサービス処理部12に限るものではない。
また、音声認識処理部13は、「第1の処理部」の一例であり、「第1の処理部」の一例は、音声認識処理部13に限るものではない。
【0022】
回線制御部11は、コンタクトセンタサーバ10の受付窓口の役割を担い、一般的な呼制御処理によって顧客装置30とコンタクトセンタサーバ10とを通話可能に接続し、また、顧客装置30とオペレータ装置20とを通話可能に接続する。また、回線制御部11は、音声スイッチ処理を実行する。音声スイッチ処理は、顧客装置30から受信した音信号を送出する宛先を切り替える処理である。音声スイッチ処理の詳細は後述する。
【0023】
IVRサービス処理部12は、自動音声応答の全体制御を行う。例えば、IVRサービス処理部12は、顧客装置30から受信した音信号がプッシュボタン信号の情報である場合に、当該プッシュボタン信号に基づくガイダンスを顧客装置30に送出する。
【0024】
音声認識処理部13は、通話によって取得した顧客の音声の情報(音声データ)を解析して、音声の情報をテキストデータに変換する。また、音声認識処理部13は、テキストデータの内容を分析し、応答に用いるガイダンスを作成して顧客装置30に送出する。例えば、音声認識処理部13は、顧客装置30から受信した音信号が音声の情報(つまり、プッシュボタン信号の情報と異なる)場合に、音声認識された結果に基づくガイダンスを顧客装置30に送出する。
【0025】
IVRシナリオデータ部14には、自動音声応答に用いる各種の情報が格納されている。IVRシナリオデータ部14には、応答に用いる場面ごと(シナリオごと)のガイダンスが格納されている。IVRシナリオデータ部14は、必要に応じて格納する情報(ガイダンスも含む)を他の機能に渡す。
【0026】
ACD処理部15は、オペレータへの呼の分配処理を行う。例えば、オペレータへの呼の転送の要求を顧客から受け取った場合に、予め決められたロジックに基づいて対応するオペレータを決定する。
【0027】
<実施形態に係るコンタクトセンタシステムの動作>
図3を参照して(適宜、図1および図2を参照)、コンタクトセンタシステム1の全体動作について説明する。図3は、コンタクトセンタシステム1の全体動作を示すシーケンス図の例示である。
【0028】
最初に、顧客の電話端末31からの発信があり、コンタクトセンタサーバ10の回線制御部11は、当該発信を着信として受け付ける(S01)。回線制御部11は、受け付けた着信をIVRサービス処理部12に通知する(S02)。それに対して、IVRサービス処理部12は、回線制御部11に応答し(S03)、続けて、回線制御部11は、電話端末31に応答する(S04)。これにより、電話端末31とコンタクトセンタサーバ10との間で呼が接続され、通話が可能な状態になる。
【0029】
続いて、IVRサービス処理部12は、ガイダンス再生指示を回線制御部11に通知し(S05)、回線制御部11は、電話端末31に対してガイダンスを再生する(S06)。顧客は、ガイダンスの再生に従って電話端末31のボタンを押下し、電話端末31は、プッシュボタン信号(図3では「PB信号」と表記)を送出する(S07)。回線制御部11は、受信したPB信号をIVRサービス処理部12に通知し(S08)、IVRサービス処理部12は、受信したPB信号により音声認識処理に移行するか否かを判断する(S09)。音声認識処理への移行ではない場合、続けてS10の処理を行い、一方、音声認識処理への移行である場合、続けてS20の処理を行う。音声認識処理へ移行する場合とは、例えば予め決められた内容のPB信号を受信した場合である。
なお、この音声認識処理へ移行させるためのPB信号は、「音声による問合せの開始を示す情報」の例示である。
【0030】
(音声認識処理への移行ではない場合)
音声認識処理への移行ではない場合の処理を説明する。「S09」で音声認識処理への移行ではない場合、IVRサービス処理部12は、IVRのシナリオに従い、次のガイダンスの再生を回線制御部11に通知し(S10)、回線制御部11は、電話端末31に対してガイダンスを再生する(S11)。顧客は、ガイダンスの再生に従って電話端末31のボタンを押下し、電話端末31は、PB信号を送出する(S12)。回線制御部11は、受信したPB信号をIVRサービス処理部12に通知する(S13)。
【0031】
以降、IVRのシナリオに従い指定されたガイダンス再生し、PB信号を受け付ける処理を繰り返す(S14)。なお、PB信号によりオペレータへの転送指示となった場合には、ACD処理15(図2参照)を経由して、顧客からの電話(呼)をオペレータ装置20(図1参照)に転送する。
【0032】
(音声認識処理への移行である場合)
音声認識処理への移行である場合の処理を説明する。「S09」で音声認識処理に移行となった場合、IVRサービス処理部12は、音声認識処理部13に音声認識処理要求を通知し(S20)、また、回線制御部11に音声スイッチを指示する(S21)。電話端末31は、顧客の音声を送出し(S22)、回線制御部11は、PB信号の検出(図3では「PB検出」と表記)を開始するとともに(S23)、電話端末31からの音声を音声認識処理部13に送出することを開始する(S24)。
【0033】
音声認識処理部13は、電話端末31からの発話音声の問いに従って応答ガイダンスを作成する(S25)。音声認識処理部13は、作成したガイダンスを再生し(S26)、回線制御部11は、電話端末31に対してガイダンスを再生する(S27)。つまり、音声認識処理部13によって再生されたガイダンスは、回線制御部11を経由して、電話端末31に送出される。「S22」の音声送出から「S27」のガイダンス再生までの処理は、繰り返し実行される(S28)。
なお、「S27」で発話音声の問いに従って再生するガイダンスは、「第1のガイダンス」の例示である。
【0034】
ここで、「S22」の音声送出から「S27」のガイダンス再生までの処理を行っている最中でも、顧客は、電話端末31を操作してオペレータ呼び出しなどを実施することができる。具体的には、オペレータ呼び出し等を実施したい場合には、音声認識処理部13がガイダンスの再生途中でも、顧客が電話端末31のボタンを押下できる。ガイダンスの再生途中に顧客によって電話端末31の予め決められたボタンが押下された場合、電話端末31は、押下されたボタンに対応するPB信号を送出する(S31)。回線制御部11は、「S23」でPB信号の検出を開始しているので「S31」で送出されたPB信号を検出し、PB信号を検出したことをIVRサービス処理部12に通知する(S32)。PB信号は、例えば「0~9」までの数字と「*,♯,A,B,C,D」の記号の16種類の符号を、低群と高群の2つの周波数帯域の信号音で送信する方式であり、回線制御部11は、これらの周波数帯域の信号音を検出する。
【0035】
「S32」でPB信号の検出を通知されたIVRサービス処理部12は、音声認識処理を中断し(S33)、音声認識処理部13に音声認識処理終了を通知するとともに(S34)、回線制御部11に音声スイッチ解除を指示する(S35)。これにより、音声認識処理部13への音声の送出が停止する。その後、IVRサービス処理部12は、ガイダンスの再生、または、オペレータへの呼の転送をIVRのシナリオに従って実施する(S36)。
なお、「S36」でIVRのシナリオに従い再生するガイダンスは、「第2のガイダンス」の例示である。
【0036】
次に、図4を参照して(適宜、図1ないし図3を参照)、上述のIVR処理フローを説明する。図4は、コンタクトセンタシステム1におけるIVR処理フローの例示である。
【0037】
コンタクトセンタサーバ10のIVRサービス処理部12は、着信を受け付けると(T01)、回線制御部11に指示を出してIVRのシナリオに従ったガイダンスを再生する(T02)。顧客は、再生されたガイダンスに従って電話端末31のボタンを押下し、電話端末31はPB信号を送出する。
【0038】
IVRサービス処理部12は、顧客からのPB信号を受信すると(T03)、PB信号の内容を判定する(T04)。ここでは、電話端末31のボタン「1」が押下された場合には音声認識処理へ移行しない対応を行い、電話端末31のボタン「2」が押下された場合に音声認識処理へ移行する対応を行うことを想定して説明する。なお、ここで示す電話端末31のボタンと音声認識処理との対応関係はあくまで例示であり、ここで示す対応関係に限定されない。
【0039】
IVRサービス処理部12は、「T04」でPB信号の内容が「1」であると判定した場合、例えばPB信号に従ったガイダンスを再生し(T05)、顧客から次のPB信号を受信する(T06)。そして、IVRサービス処理部12は、受信したPB信号の内容がオペレータへの転送かどうかを判断し(T07)、オペレータへの転送でない場合には(T07で“No”)、ガイダンスを再度再生してさらに次のPB信号の受信を促す。つまり、IVRサービス処理部12は、ガイダンスを再生して電話端末31のボタンの押下を顧客に促し、新たなPB信号を受信するたびにオペレータへの転送が必要か否かを判定する(T05~T07)。ここでのガイダンスは、シナリオ毎に異なる内容でも良い。IVRサービス処理部12は、受信したPB信号の内容がオペレータへの転送である場合には(T07で“Yes”)、ACD処理15(図2参照)を経由して、顧客からの電話(呼)をオペレータ装置20(図1参照)に転送する(T08)。
【0040】
IVRサービス処理部12は、「T04」でPB信号の内容が「2」であると判定した場合、音声認識処理に移行させる(T10)。それに伴って、音声認識処理部13は、発話音声を音声認識処理した結果から応答ガイダンスを作成し、作成した応答ガイダンスを顧客に送出する(T11)。この際、オペレータ呼び出し等を実施したい場合には、音声認識処理部13がガイダンスの再生途中でも、顧客が電話端末31のボタンを押下できる。回線制御部11は、ガイダンスの再生途中にPB信号の受信の検出を行い(T12)、音声認識処理部13は、PB信号を受信していない場合に処理をT12に進めて次の応答ガイダンスの作成および送出を行う。つまり、音声認識処理部13は、PB信号を受信するまでの間、音声受信ごとに応答ガイダンスを作成し、送出する(T13)。
【0041】
ガイダンスの再生途中にPB信号を受信した場合(T12で“Yes”)、IVRサービス処理部12に処理を移行させ(T14)、IVRサービス処理部12は、ガイダンスを再生させてIVRのシナリオに従った処理を進める(T15)。つまり、「T11」での応答ガイダンスの作成および送出を繰り返している最中に、顧客からのPB信号を受信した場合には、音声認識処理を中断させてガイダンスを再生させてIVRのシナリオに従った処理に戻す。
【0042】
以上のように、実施形態に係るコンタクトセンタサーバ10は、顧客へのガイダンス再生までの処理を行っている最中でもプッシュボタン信号(PB信号)の検出を行い、プッシュボタン信号を検出した場合にIVRサービス処理部12および音声認識処理部13に通知する。そして、音声認識処理を中断させてガイダンスを再生させてIVRのシナリオに従った処理に戻す。その為、顧客に対して情報の入力を要求する際、顧客装置30からの入力が、音声(顧客による発話の音声)であるか、ボタン入力操作(プッシュボタン(PB)信号[DTMF信号])であるかについて予め定めておく必要がなく、音声認識処理対話中であってもプッシュボタン信号を受信し、受信したプッシュボタン信号に従った対話処理を実行することができる。
【0043】
また、実施形態に係るコンタクトセンタサーバ10においては、IVR用のシナリオと、音声認識処理用のシナリオとを別々に作成することができる。つまり、IVRと音声認識処理とが混在したシナリオを作成しておく必要がない。その為、IVR用のシナリオまたは音声認識処理用のシナリオに変更や入替えが発生した場合に、他方のシナリオに影響を与えることがない(他方のシナリオを考慮することがない)。その結果、IVRと音声認識処理とが混在したシナリオを作成した場合に比べて、運用が容易である。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
例えば、実施形態の動作では電話端末31を例示して説明したが、プッシュボタン信号(PB信号)を送出する仕組みを有していれば、スマートフォンやPCにも適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 コンタクトセンタシステム
10 コンタクトセンタサーバ
11 回線制御部
12 IVRサービス処理部
13 音声認識処理部
14 IVRシナリオデータ部
15 ACD処理部
20 オペレータ装置
30 顧客装置
40 LAN
41 電話網
42 IP網
図1
図2
図3
図4