(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20250212BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20250212BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20250212BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 370
G03G21/14
G03G15/01 Y
B41J29/38 202
(21)【出願番号】P 2021027343
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内貴 繁喜
(72)【発明者】
【氏名】鶴 謙治
(72)【発明者】
【氏名】酒井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】豊福 克也
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-020969(JP,A)
【文献】特開2014-026181(JP,A)
【文献】特開2019-158910(JP,A)
【文献】特開2013-142809(JP,A)
【文献】特開2007-114593(JP,A)
【文献】特開2012-022208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/01
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成した前記トナー画像を記録媒体上に転写する画像プロセス部と、
前記画像プロセス部によって前記像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ
、主走査方向の異なる位置に配置された複数の第1の検出器と、
前記画像プロセス部によって前記記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる第2の検出器と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記濃度むら測定用画像の前記濃度プロファイルに基づいて、前記濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と前記
複数の第1の検出器の
それぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定し、
前記制御部は、前記複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において前記濃度プロファイルから抽出された複数の濃度値のうち、前記濃度の代表値に最も近い濃度値に対応する第1の検出器を選択し、
前記制御部は、前記濃度の代表値と
、前記
選択された第1の検出器の検出位置において前記濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、前記記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算し、
前記制御部は、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を
、前記選択された第1の検出器を用いて測定し、
前記測定された複数のトナーパッチの濃度を前記記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、前記画像形成条件と前記トナー付着量との対応関係を決定し、
前記制御部は、前記決定された対応関係に基づいて、前記補正量によって補正された前記目標のトナー付着量に対応する前記画像形成条件を決定する、画像形成装置。
【請求項2】
電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成した前記トナー画像を記録媒体上に転写する画像プロセス部と、
前記画像プロセス部によって前記像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ
、主走査方向の異なる位置に配置された複数の第1の検出器と、
前記画像プロセス部によって前記記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる第2の検出器と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記濃度むら測定用画像の前記濃度プロファイルに基づいて、前記濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と前記
複数の第1の検出器の
それぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定し、
前記制御部は、前記濃度の代表値と
、前記
複数の第1の検出器の各々の検出位置において前記濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、
前記複数の第1の検出器の各々に対して前記記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算し、
前記制御部は、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を
、前記複数の第1の検出器の各々を用いて測定し、
前記複数の第1の検出器の各々に対して測定された前記複数のトナーパッチの濃度を前記記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、
前記複数の第1の検出器の各々に対して前記画像形成条件と前記トナー付着量との対応関係を決定し、
前記制御部は、前記決定された対応関係に基づいて、
前記複数の第1の検出器の各々に対して前記補正量によって補正された前記目標のトナー付着量に対応する前記画像形成条件を決定
し、
前記制御部は、前記複数の第1の検出器に対してそれぞれ決定された前記画像形成条件を平均化することにより、最終的な画像形成条件を決定する、画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の検出器は、前記画像プロセス部の転写ローラーと定着器との間に設けられたラインイメージセンサーである、請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の検出器は、定着後の前記記録媒体に形成された画像を光学的に読み取るスキャナーに含まれる、請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記異なる画像形成条件は、露光器のビーム光量、帯電バイアス、現像バイアス、および現像ローラーと感光体との速度比のうちの1つ以上を変更したものである、請求項1
~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記濃度むら測定用画像の前記濃度プロファイルに基づいて、濃度むらを抑制するように前記画像プロセス部の露光器のビーム光量を調整し、
前記制御部は、前記露光器の前記ビーム光量を調整した後に測定された前記濃度むら測定用画像の前記濃度プロファイルに基づいて、前記濃度の代表値と前記
複数の第1の検出器の
それぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定し、前記濃度の代表値と前記抽出された濃度値とに基づいて、前記目標のトナー付着量を補正する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記濃度の代表値は、前記主走査方向の前記濃度プロファイルの平均値である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、
電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体上に転写する画像プロセス部と、
前記画像プロセス部によって前記像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ
、主走査方向の異なる位置に配置された複数の第1の検出器と、
前記画像プロセス部によって前記記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる第2の検出器と、
制御部とを含み、
前記制御方法は、
前記制御部が、前記濃度むら測定用画像の前記濃度プロファイルに基づいて、前記濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と前記
複数の第1の検出器の
それぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定するステップと、
前記制御部が、前記複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において前記濃度プロファイルから抽出された複数の濃度値のうち、前記濃度の代表値に最も近い濃度値に対応する第1の検出器を選択するステップと、
前記制御部が、前記濃度の代表値と
、前記
選択された第1の検出器の検出位置において前記濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、前記記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算するステップと、
前記制御部が、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を
、前記選択された第1の検出器を用いて測定し、
前記測定された複数のトナーパッチの濃度を前記記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、前記画像形成条件と前記トナー付着量との対応関係を決定するステップと、
前記制御部が、前記決定された対応関係に基づいて、前記補正量によって補正された前記目標のトナー付着量に対応する前記画像形成条件を決定するステップとを備える、画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、
電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体上に転写する画像プロセス部と、
前記画像プロセス部によって前記像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ
、主走査方向の異なる位置に配置された複数の第1の検出器と、
前記画像プロセス部によって前記記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる第2の検出器と、
制御部とを含み、
前記制御方法は、
前記制御部が、前記濃度むら測定用画像の前記濃度プロファイルに基づいて、前記濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と前記
複数の第1の検出器の
それぞれ検出位置において抽出された濃度値とを決定するステップと、
前記制御部が、前記濃度の代表値と
、前記
複数の第1の検出器の各々の検出位置において前記濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、
前記複数の第1の検出器の各々に対して前記記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算するステップと、
前記制御部が、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を
、前記複数の第1の検出器の各々を用いて測定し、
前記複数の第1の検出器の各々に対して測定された前記複数のトナーパッチの濃度を前記記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、
前記複数の第1の検出器の各々に対して前記画像形成条件と前記トナー付着量との対応関係を決定するステップと、
前記制御部が、前記決定された対応関係に基づいて、
前記複数の第1の検出器の各々に対して前記補正量によって補正された前記目標のトナー付着量に対応する前記画像形成条件を決定するステップと
、
前記制御部が、前記複数の第1の検出器に対してそれぞれ決定された前記画像形成条件を平均化することにより、最終的な画像形成条件を決定するステップとを備える、画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関し、より特定的には記録用紙上のトナー付着量の調整に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラー帯電方式を採用する画像形成装置では、その使用に伴って感光体の外側の膜が減耗される。この減耗は、トナーに含まれる滑材が感光体に転移することによって抑制される。しかしながら、感光体への滑材の転移量が主走査方向において一様でない場合、感光体の膜厚の減耗量が主走査方向において異なる。この感光体の膜厚の主走査方向における相違は、感光体上および中間転写ベルト上に形成されるトナー画像の主走査方向の濃度変化の原因となり、記録用紙上に形成される画像の主走査方向の濃度変化の原因となる。
【0003】
通常、トナー付着量の調整のために、画像形成装置にはIDC(Image Density Control)センサー(たとえば、反射型フォトセンサー)が主走査方向端部に設けられている。IDCセンサーによって感光体上または中間転写ベルト上に形成された調整用パターンの濃度を検出し、検出された濃度に基づいて、現像バイアスなどの画像形成条件が調整される。しかしながら、上記のように感光体上および中間転写ベルト上に形成されるトナー画像の濃度が主走査方向に変化していると、IDCセンサーの取り付け位置での検出濃度に基づいて調整された画像形成条件が適切でない場合があり得る。この結果、記録用紙上のトナー付着量が狙いの目標範囲に入らずに、記録用紙上のトナー濃度が濃すぎたり薄すぎたりする。
【0004】
特開2020-013039号公報(特許文献1)は、上記の主走査方向の濃度変化を現像器の露光ビームの光量変化によって補正する方法を開示する。具体的に、まず検査シートに濃度むら測定用のチャートを印画し、印画されたチャートをスキャナーで光学的に読み取ることにより、主走査方向の各位置とトナー濃度とを対応付けた濃度プロファイルが取得される。次に、取得した濃度プロファイルを打ち消すように、現像器の露光ビームの光量が調整される。この際、感光体ドラム上に定められた、IDCセンサーによる濃度検出位置に対応する基準位置では、ビーム光量は不変とされる。
【0005】
特開2019-158910号公報(特許文献2)に開示された画像形成装置は、主走査方向の手前側および奥側のそれぞれに形成されたトナーパターンの反射濃度を検出するための2つのIDCセンサーを備える。制御部は、2つのIDCセンサーの検出値の平均値を用いて画像形成条件を調整することにより、トナー付着量の調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-013039号公報
【文献】特開2019-158910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1(特開2020-013039号公報)の方法では、IDCセンサーの取り付け位置である基準位置に対応する濃度を不変として、他の位置の濃度をビーム光量によって補正している。したがって、基準位置における濃度が他の位置の濃度から大きくずれている場合には、ビーム光量によって濃度むらを補正しきれない場合がある。結果として、記録用紙上のトナー付着量が狙いの目標範囲に入らない場合があり得る。
【0008】
上記の特許文献2(特開2019-158910号公報)の画像形成装置では、主走査方向の手前側および奥側のそれぞれにIDCセンサーが設けられている。したがって、中間転写ベルト上のトナー濃度が主走査方向に一様に増加または減少している場合には、2つのIDCセンサーの平均値を用いることにより、適切にトナー付着量の調整ができる。しかしながら、トナー濃度プロファイルが一様増加または一様減少でない場合には、2つのIDCセンサーの平均値を用いることにより、適切にトナー付着量の調整を行えない。
【0009】
本開示は、上記の問題点を考慮してなされたものである。本開示のある局面における目的は、感光体上または中間転写ベルト上に濃度むらがある場合であっても、記録用紙上のトナー付着量を狙いの付着量の範囲内に調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態の画像形成装置は、画像プロセス部と、複数の第1の検出器と、第2の検出器と、制御部とを備える。画像プロセス部は、電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体上に転写する。複数の第1の検出器は、画像プロセス部によって像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ、主走査方向の異なる位置に配置される。第2の検出器は、画像プロセス部によって記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる。制御部は、濃度むら測定用画像の濃度プロファイルに基づいて、濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定する。制御部は、複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において濃度プロファイルから抽出された複数の濃度値のうち、濃度の代表値に最も近い濃度値に対応する第1の検出器を選択する。制御部は、濃度の代表値と、選択された第1の検出器の検出位置において濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算する。制御部は、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を、選択された第1の検出器を用いて測定し、測定された複数のトナーパッチの濃度を記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、画像形成条件とトナー付着量との対応関係を決定する。制御部は、決定された対応関係に基づいて、上記補正量によって補正された目標のトナー付着量に対応する画像形成条件を決定する。
他の実施形態の画像形成装置は、画像プロセス部と、複数の第1の検出器と、第2の検出器と、制御部とを備える。画像プロセス部は、電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体上に転写する。複数の第1の検出器は、画像プロセス部によって像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ、主走査方向の異なる位置に配置される。第2の検出器は、画像プロセス部によって記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる。制御部は、濃度むら測定用画像の濃度プロファイルに基づいて、濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定する。制御部は、濃度の代表値と、複数の第1の検出器の各々の検出位置において濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、複数の第1の検出器の各々に対して記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算する。制御部は、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を、複数の第1の検出器の各々を用いて測定し、複数の第1の検出器の各々に対して測定された複数のトナーパッチの濃度を記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、複数の第1の検出器の各々に対して画像形成条件とトナー付着量との対応関係を決定する。制御部は、決定された対応関係に基づいて、複数の第1の検出器の各々に対して補正量によって補正された目標のトナー付着量に対応する画像形成条件を決定する。制御部は、複数の第1の検出器に対してそれぞれ決定された前記画像形成条件を平均化することにより、最終的な画像形成条件を決定する。
【0011】
一態様において、第2の検出器は、画像プロセス部の転写ローラーと定着器との間に設けられたラインイメージセンサーである。
【0012】
一態様において、第2の検出器は、定着後の記録媒体に形成された画像を光学的に読み取るスキャナーに含まれる。
【0013】
一態様において、上記の異なる画像形成条件は、露光器のビーム光量、帯電バイアス、現像バイアス、および現像ローラーと感光体との速度比のうちの1つ以上を変更したものである。
【0014】
一態様において、制御部は、濃度むら測定用画像の濃度プロファイルに基づいて、濃度むらを抑制するように画像プロセス部の露光器のビーム光量を調整する。制御部は、露光器のビーム光量を調整した後に測定された濃度むら測定用画像の濃度プロファイルに基づいて、濃度の代表値と複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定し、濃度の代表値と抽出された濃度値とに基づいて、目標のトナー付着量を補正する。
【0015】
一態様において、上記の濃度の代表値は、主走査方向の濃度プロファイルの平均値である。
【0019】
さらに他の実施形態において、画像形成装置の制御方法が提供される。画像形成装置は、電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体上に転写する画像プロセス部と、画像プロセス部によって像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ、主走査方向の異なる位置に配置された複数の第1の検出器と、画像プロセス部によって記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる第2の検出器と、制御部とを含む。制御方法は、制御部が、濃度むら測定用画像の濃度プロファイルに基づいて、濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と複数の第1の検出器のそれぞれ検出位置において抽出された濃度値とを決定するステップと、制御部が、複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において前記濃度プロファイルから抽出された複数の濃度値のうち、濃度の代表値に最も近い濃度値に対応する第1の検出器を選択するステップと、制御部が、濃度の代表値と、選択された第1の検出器の検出位置において濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算するステップと、制御部が、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を、選択された第1の検出器を用いて測定し、測定された複数のトナーパッチの濃度を記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、画像形成条件とトナー付着量との対応関係を決定するステップと、制御部が、決定された対応関係に基づいて、上記補正量によって補正された目標のトナー付着量に対応する画像形成条件を決定するステップとを備える。
さらに他の実施形態において、画像形成装置の制御方法が提供される。画像形成装置は、電子写真方式によって像担持体上にトナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体上に転写する画像プロセス部と、画像プロセス部によって像担持体上に形成された複数のトナーパッチの濃度を測定するために用いられ、主走査方向の異なる位置に配置された複数の第1の検出器と、画像プロセス部によって記録媒体上に形成された濃度むら測定用画像の主走査方向の濃度プロファイルを測定するために用いられる第2の検出器と、制御部とを含む。制御方法は、制御部が、濃度むら測定用画像の濃度プロファイルに基づいて、濃度プロファイルに応じた濃度の代表値と複数の第1の検出器のそれぞれの検出位置において抽出された濃度値とを決定するステップと、制御部が、濃度の代表値と、複数の第1の検出器の各々の検出位置において濃度プロファイルから抽出された濃度値との差分に基づいて、複数の第1の検出器の各々に対して記録媒体上での目標のトナー付着量の補正量を計算するステップと、制御部が、異なる画像形成条件でそれぞれ形成された複数のトナーパッチの濃度を、複数の第1の検出器の各々を用いて測定し、複数の第1の検出器の各々に対して測定された複数のトナーパッチの濃度を記録媒体上のトナー付着量にそれぞれ変換することにより、複数の第1の検出器の各々に対して画像形成条件とトナー付着量との対応関係を決定するステップと、制御部が、決定された対応関係に基づいて、複数の第1の検出器の各々に対して補正量によって補正された目標のトナー付着量に対応する画像形成条件を決定するステップと、制御部が、複数の第1の検出器に対してそれぞれ決定された画像形成条件を平均化することにより、最終的な画像形成条件を決定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0020】
上記の各実施形態によれば、感光体上または中間転写ベルト上に濃度むらがある場合であっても、記録用紙上のトナー付着量を狙いの付着量の範囲内に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】画像形成装置100の全体構成の一例を概念的に示す断面図である。
【
図2】
図1の画像形成装置100の制御部20の構成を示すブロック図である。
【
図3】濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出の手順を示すフローチャートである。
【
図4】記録用紙S上に形成された濃度プロファイルの測定用画像26Aの一例を示す図である。
【
図5】スキャナー32の原稿台32Aに載置された記録用紙Sを示す図である。
【
図6】ブラックの濃度プロファイル測定用画像26Aに対する濃度プロファイルの測定例を示す図である。
【
図7】
図6の数値例において、目標付着量の補正量の計算手順を説明するための図である。
【
図8】トナー付着量の調整手順を示すフローチャートである。
【
図9】中間転写ベルト16上に形成されたトナー付着量の調整用画像26Bの一例を示す図である。
【
図10】ブラックのトナーの付着量と現像バイアスとの対応関係を示す図である。
【
図11】実施の形態2の画像形成装置において、中間転写ベルト16上に形成されたトナー付着量の調整用画像26Bの一例を示す図である。
【
図12】実施の形態2の画像形成装置において、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出の第1の手順を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態2の画像形成装置において、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出の第2の手順を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態2の画像形成装置においてトナー付着量を調整する第2の手順を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態3の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】実施の形態3の画像形成装置において、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、各実施形態について図面を参照して詳しく説明する。以下に説明する構成要素、種類、組み合わせ、形状、構成要素の相対的な配置は、特定的な記載が無い限り、それに限定する主旨ではない。たとえば、以下では、スキャナー32を備えたカラープリンターである画像形成装置100を例にあげて説明するが、本開示の画像形成装置100は、カラープリンターに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンターであってもよい。また、画像形成装置100は、モノクロプリンター、カラープリンターおよびFAXを含む複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。なお、以下の説明において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない場合がある。
【0023】
<実施の形態1>
[画像形成装置の全体構成]
図1は、画像形成装置100の全体構成の一例を概念的に示す断面図である。
図2は、
図1の画像形成装置100の制御部20の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1および
図2を参照して、画像形成装置100は、画像プロセス部10と、制御部20と、スキャナー32と、操作パネル28と、露光量調整部29と、帯電バイアス印加部30、および現像バイアス印加部31を含む。以下、これらの構成要素について説明する。
【0025】
画像プロセス部10は、電子写真方式を用いて、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーを用いた画像を記録用紙S上形成する。ここで、
図1に示す矢印の方向が記録用紙Sの搬送方向(副走査方向)であり、この搬送方向に垂直な方向(すなわち、紙面に垂直な方向)が主走査方向である。
【0026】
図1に示すように、画像プロセス部10は、帯電ローラー11Y,11M,11C,11Kと、感光体12Y,12M,12C,12Kと、露光器13Y,13M,13C,13Kと、現像ローラー14Y,14M,14C,14Kと、一次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kと、中間転写ベルト16と、二次転写ローラー17と、定着器18と、IDCセンサー19(たとえば、反射型フォトセンサー)とを備える。
【0027】
画像プロセス部10において、参照番号の後に“K”が付されている構成要素は、ブラックのトナー画像の生成に関係する。参照番号の後に“Y”が付されている構成要素は、イエローのトナー画像の生成に関係する。参照番号の後に“M”が付されている構成要素は、マゼンタのトナー画像の生成に関係する。参照番号の後に“C”が付されている構成要素は、シアンのトナー画像の生成に関係する。
【0028】
以下では、帯電ローラー11Y,11M,11C,11Kを総称して帯電ローラー11ともいう。感光体12Y,12M,12C,12Kを総称して感光体12ともいう。露光器13Y,13M,13C,13Kを総称して露光器13ともいう。現像ローラー14Y,14M,14C,14Kを総称して現像ローラー14ともいう。一次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kを総称して一次転写ローラー15ともいう。
【0029】
感光体12は、帯電ローラー11により、それぞれ一様に帯電される。その後、露光器13から、入力画像データに応じて光ビームが照射されることにより、感光体12の各表面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。光ビームは、主走査方向に走査される。
【0030】
現像ローラー14は、感光体12に対向して設けられている。現像ローラー14は、表面上に付着したトナーを感光体12に付着させ、静電潜像に応じたトナー画像を感光体12上に現像する。より具体的には、感光体12に形成された各静電潜像は、現像ローラー14により、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーの供給を受けて現像される。
【0031】
現像されたトナー画像は、一次転写ローラー15により、中間転写ベルト16上に順次転写される。中間転写ベルト16は、トナー画像を担持する像担持体として機能する。記録用紙Sは、二次転写ローラー17に搬送され、中間転写ベルト16に転写されたトナー画像が二次転写ローラー17で記録用紙Sに一括して転写される。その後、トナー画像は、定着器18により記録用紙Sに定着される。本開示において、記録用紙Sをより一般的に記録媒体と称する。
【0032】
第1の検出器としてのIDCセンサー19は、中間転写ベルト16上のトナー画像の反射濃度を検出する。反射濃度Dは、測定対象物への投射光量をI0とし、測定対象物からの反射光量をIとするとき、
D=-log(I/I0) …(1)
によって表される。後述するように、IDCセンサー19は、トナー付着量の調整のために用いられる。
【0033】
上記では、水平タンデム型の二次転写方式の場合の画像プロセス部10の構成例について説明した。しかし、感光体、帯電器、露光器、現像器、転写部、定着部などの各種要素の構成および配置は、
図1の場合に限定されず、他の構成および配置であってもよい。たとえば、画像プロセス部10は、直接転写方式であってもよい。
【0034】
スキャナー32は、原稿台32Aに載置された原稿の画像を光学的に読み取るフラットベッドスキャナーである。具体的に、スキャナー32は、光源とラインイメージセンサーと(いずれも不図示)を含み、光源から出射されて原稿の表面で反射された光を、第2の検出器としてのラインイメージセンサーによって検出する。ラインイメージセンサーをリニアイメージセンサーとも称する。ラインイメージセンサーを構成するセンサー素子として、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーなどを用いることができる。
【0035】
図2に示す操作パネル28は、ユーザーが各種の設定値を入力するためのユーザーインターフェースである。たとえば、操作パネル28は、複数の入力キーとタッチパネルとを含む。タッチパネルは、液晶パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)パネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置とを組み合わせた電子部品である。制御部20は、入力キーの入力またはタッチパネルのタッチ入力により、ユーザーまたはサービスマンからの指示を受け取る。また、制御部20は、タッチパネル上にユーザーへのメッセージを表示する。
【0036】
露光量調整部29は、制御部20からの指令に従って、露光器13のビーム光量を調整する。帯電バイアス印加部30は、制御部20からの指令に従って、帯電ローラー11に指定された電圧値の帯電バイアスを印加する。現像バイアス印加部31は、制御部20からの指令に従って、現像ローラー14に指定された電圧値の現像バイアスを印加する。
【0037】
[制御部の構成例]
図2に示すように、制御部20は、基本的な構成要素として、CPU(Central Processing Unit)21、通信インターフェース(I/F)部22、ROM(Read Only Memory)23、およびRAM(Random Access Memory)24を含む。
【0038】
CPU21は、ROM23に格納されたプログラムを読み出し、プログラムに含まれる命令を実行する。ROM23は、操作パネル28、露光量調整部29、帯電バイアス印加部30、現像バイアス印加部31などを制御するためのプログラムの他、後述するトナー付着量調整を実行するためのプログラムなどを格納する。RAM24は、プログラム実行時のCPU21のワークメモリとして用いられる。通信I/F部22は、LAN(Local Area Network)カード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
【0039】
制御部20は、追加の構成要素として、トナー付着量算出部25、画像データ記憶部26、テーブル記憶部27、濃度プロファイル記憶部33、濃度代表値算出部34、目標付着量の補正量決定部35、トナー付着量調整部36、画像形成条件決定部37、および目標付着量記憶部38を含む。
【0040】
上記の追加の構成要素のうち、各記憶部26,27,33,38は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリによって実現される。ROM23が、上記の各記憶部を実現するための書き換え可能な不揮発性メモリとして構成されていてもよい。その他の構成要素25,34~37は、CPUおよびメモリを含むマイクロコンピューターによって実現されてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって実現されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用の回路によって実現されてもよい。これらの機能をマイクロコンピューターによって実現する場合には、前述のCPU21によってプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0041】
以下、上記の追加の構成要素25~27,33~38の機能について簡単に説明する。より詳しくは、
図3~
図10を参照して後述する。
【0042】
トナー付着量算出部25は、IDCセンサー19から入力されたトナー画像の反射濃度に基づいて、その反射濃度に対応する中間転写ベルト16上のトナー付着量を算出する。さらに、トナー付着量算出部25は、二次転写の転写効率に基づいてトナー画像の反射濃度に対応する記録用紙S上のトナー付着量を算出してもよい。トナー付着量算出部25は、予め実験的に決定した反射濃度と中間転写ベルト16上または記録用紙S上のトナー付着量との関係を表す変換テーブルを参照することにより、中間転写ベルト16上または記録用紙S上のトナー付着量を決定してもよい。上記の変換テーブルは、テーブル記憶部27に格納され、トナー付着量算出部25によって読み出される。
【0043】
トナー付着量算出部25は、さらに、スキャナー32によって検出された記録用紙S上の画像濃度に基づいて、その画像濃度に対応する記録用紙S上のトナー付着量を算出する。このとき、トナー付着量算出部25は、二次転写の転写効率に基づいて画像濃度に対応する中間転写ベルト16上のトナー付着量を算出してもよい。もしくは、トナー付着量算出部25は、予め実験的に決定した画像濃度と記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量との関係を表す変換テーブルを参照することにより、記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量を決定してもよい。上記の変換テーブルも、テーブル記憶部27に格納され、トナー付着量算出部25によって読み出される。
【0044】
画像データ記憶部26は、濃度プロファイルの測定用画像26A(
図4参照)の画像データと、トナー付着量の調整用画像26B(
図9参照)の画像データとを、それぞれの画像形成条件とともに記憶する。本開示において、濃度プロファイルの測定用画像26Aを単に測定用画像26Aと記載したり、濃度むら測定用画像26Aと記載したりする場合がある。
【0045】
テーブル記憶部27は、上述した反射濃度とトナー付着量との関係および画像濃度とトナー付着量との関係を記憶する。テーブル記憶部27は、さらに、記録用紙S上での目標とするトナー付着量(以下、本明細書において「目標付着量」とも称する)を得るための画像形成条件を記憶する。
【0046】
具体的に、テーブル記憶部27は、画像形成条件として、露光器13のビーム光量、帯電ローラー11に印加される帯電バイアス、現像ローラー14に印加される現像バイアス、および現像器の現像ローラー14と感光体12との速度比θ(単に「現像θ」とも称する)などを、目標付着量に対応付けて記憶している。
【0047】
濃度プロファイル記憶部33は、所定の画像形成条件で一様な画像を記録用紙Sに形成したときの、主走査方向の実際の濃度プロファイルを、色ごとに記憶する。濃度プロファイルは、濃度プロファイル測定用の画像26Aが形成された記録用紙Sをスキャナー32によって読み取ることによって生成される。
【0048】
濃度代表値算出部34は、濃度プロファイル記憶部33に格納された濃度プロファイルに基づいて、主走査方向の画像濃度分布を代表する濃度の代表値を算出する。代表値として平均値、中央値、または最頻値などを用いることができる。たとえば、平均値を計算する場合には、画像の解像度(dpi:dots per inch)に主走査方向の幅(inch)を乗算することによって得られる総データ点数の濃度データが平均化される。
【0049】
目標付着量記憶部38は、紙質に応じた適切な濃淡になるように設定された、記録用紙S上の目標のトナー付着量(すなわち、目標付着量)を記憶する。目標付着量の補正量決定部35は、上記の目標付着量の補正量を決定する。具体的に、補正量決定部35は、濃度代表値から変換されたトナー付着量と、IDCセンサー19による検出位置の画像濃度から変換されたトナー付着量との差に基づいて、目標付着量の補正量を計算する。
【0050】
トナー付着量調整部36は、上記の補正量による補正後の目標トナー付着量が得られるように、画像形成条件決定部37を通じて画像形成条件を調整する。具体的には、画像形成条件決定部37は、種々の画像形成条件で画像プロセス部10にトナー付着量の調整用画像26Bを形成させ、IDCセンサー19によって中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像の反射濃度を検出する。画像形成条件決定部37は、検出された反射濃度に対応するトナー付着量と画像形成条件との関係に基づいて、補正後の目標付着量を得るための画像形成条件を決定する。
【0051】
[濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出]
図3は、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出の手順を示すフローチャートである。濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出は、
図9を参照して後述するトナー付着量の調整に先立って実行される。
【0052】
図3を参照して、ステップS101において、制御部20のCPU21は、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出を起動させる。
【0053】
次のステップS102において、CPU21は、画像データ記憶部26から濃度プロファイルの測定用画像26A(濃度むら測定用画像26A)の画像データと、指定された画像形成条件とを読み出す。CPU21は、当該画像形成条件下において、画像プロセス部10によって感光体12Y,12M,12C,12K上に測定用画像26Aをそれぞれ形成させる。測定用画像26Aの詳細については、
図4を参照して後述する。
【0054】
その次のステップS103において、CPU21は、画像プロセス部10を制御することにより、測定用画像26Aのトナー画像を各感光体12から中間転写ベルト16上に転写させる。さらに、その次のステップS104において、CPU21は、画像プロセス部10を制御することにより、測定用画像26Aのトナー画像を中間転写ベルト16から記録用紙S上に転写させて定着させる。
【0055】
図4は、記録用紙S上に形成された濃度プロファイルの測定用画像26Aの一例を示す図である。測定用画像26Aは、イエロー(Y0)、マゼンタ(M0)、シアン(C0)、ブラック(K0)の各色ごとに一様濃度となるように形成された帯状パターンである。帯状パターンの階調(濃淡レベル)は、完全なベタではなく、濃度プロファイルの検出に適した特定の値に設定される。各帯状パターンは、記録用紙Sの一方端の近傍から他方端の近傍まで主走査方向Aに延びる。これにより、主走査方向Aの濃度プロファイルと、IDCセンサー19の検出位置における画像濃度とを検出できる。
【0056】
図3に戻って、次のステップS105において、CPU21は、操作パネル28にメッセージを表示することにより、測定用画像26Aの形成された記録用紙Sを、ユーザーまたはサービスマンによってスキャナー32の原稿台32Aの所定位置にセットさせる。
【0057】
図5は、スキャナー32の原稿台32Aに載置された記録用紙Sを示す図である。
図5に示すように、測定用画像26Aの形成された表側の面が原稿台32Aに対向するように、記録用紙Sが原稿台32Aに載置される。
【0058】
図3に戻って、その次のステップS106において、CPU21は、記録用紙S上に形成された各色ごとの測定用画像26Aをスキャナー32によって読み取らせる。スキャナー32の出力値は、記録用紙S上の測定用画像26Aからの反射光の強弱に対応する。
【0059】
なお、スキャナー32に代えて、
図1の二次転写ローラー17と定着器18との間の記録用紙Sの搬送経路に、光源およびラインイメージセンサー(いずれも不図示)を設けてもよい。この場合、定着前の測定用画像26Aがラインイメージセンサーによって光学的に読み取られる。もしくは、定着器18と排紙トレーとの間の記録用紙Sの搬送経路に、光源およびラインイメージセンサーを設けてもよい。
【0060】
ステップS106以降、ステップS107からS110までの処理と、ステップS106AからステップS110Aまでの処理とが並行して実行される。
【0061】
まず、ステップS106Aにおいて、CPU21は、スキャナー32の出力値から、IDCセンサー19の検出位置における各色ごとのスキャナー出力値を抽出する。
【0062】
次のステップS107において、CPU21は、スキャナー32の出力値を画像濃度に変換することにより、主走査方向Aの各色ごとの濃度プロファイルを作成する。すなわち、反射光の強度に対応するスキャナー32の出力値は、画素ごとの光学濃度レベルを表す画素値に変換される。なお、スキャナー32の出力値と画像濃度との関係を表す変換テーブルを各色ごとに予め作成しておき、CPU21は、この変換テーブルに基づいてスキャナー32の出力値から画像濃度への変換処理を行ってもよい。この場合、変換テーブルは、テーブル記憶部27に予め格納される。
【0063】
ステップS107に併せて、ステップS107AにおいてCPU21は、IDCセンサー19の検出位置における各色ごとのスキャナー出力値を画像濃度に変換する。
【0064】
その次のステップS108において、CPU21は、主走査方向Aの各色ごとに測定された画像濃度プロファイルを濃度プロファイル記憶部33に記憶させる。併せてステップS108Aにおいて、CPU21は、IDCセンサー19の検出位置における各色ごとの画像濃度を濃度プロファイル記憶部33に記憶させる。
【0065】
その次のステップS109において、CPU21は、濃度代表値算出部34によって、濃度プロファイル記憶部33に記憶された各色ごとの濃度プロファイルから各色ごとの画像濃度の代表値を算出させる。画像濃度の代表値は、主走査方向の画像濃度分布を代表する値であって、平均値、中央値、または最頻値などを用いることができる。
【0066】
図6は、ブラックの濃度プロファイル測定用画像26Aに対する濃度プロファイルの測定例を示す図である。主走査方向の位置に対する画像濃度の分布が実線で示されている。
図6に示すように、画像濃度の代表値としての平均値は1.44である。また、主走査方向AにおけるIDCセンサー19の検出位置の画像濃度値は、1.50である。
【0067】
図3に戻って、次のステップS110において、CPU21は、トナー付着量算出部25に、算出した濃度分布の代表値を記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量に変換させる。トナー付着量算出部25は、テーブル記憶部27に予め記憶された、画像濃度と記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量との関係を示す変換テーブルを参照することによりこの変換処理を行ってもよい。
【0068】
併せてステップS110Aにおいて、CPU21は、トナー付着量算出部25に、IDCセンサー19の検出位置の画像濃度値を記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量に変換させる。この場合も、トナー付着量算出部25は、テーブル記憶部27に予め記憶された変換テーブルを参照することによりこの変換処理を行ってもよい。
【0069】
その次のステップS111において、CPU21は、目標付着量の補正量決定部35によって、濃度代表値から変換されたトナー付着量と、IDCセンサー19による検出位置における画像濃度値から変換されたトナー付着量との差に基づいて、各色ごとに目標付着量の補正量を計算させる。
【0070】
図7は、
図6の数値例において、目標付着量の補正量の計算手順を説明するための図である。
【0071】
図6を参照して説明したように、ブラックの濃度プロファイルにおいて、画像濃度の代表値としての平均値は1.44である。また、IDCセンサー19の検出位置の画像濃度値は1.50である。
図7に示すように、濃度代表値から変換されたトナー付着量αは、3.71[g/m
3]と求められ、IDCセンサー19の検出位置の画像濃度値から変換されたトナー付着量βは、4.01[g/m
3]と求められる。さらに、IDCセンサー19の検出位置におけるトナー付着量βからトナー付着量の代表値αを減算することにより、トナー付着量差は0.30[g/m
3]と求められる。濃度代表値から変換されたトナー付着量αが目標付着量に等しい場合には、算出されたトナー付着量差(β-α)は目標付着量の補正量に等しい。濃度代表値から変換されたトナー付着量αと目標付着量とが異なる場合には、算出されたトナー付着量差を目標付着量に応じた値に換算することによって目標付着量の補正量が求められる。
【0072】
[トナー付着量の調整]
次に、
図2のトナー付着量調整部36によるトナー付着量の調整手順について説明する。トナー付着量調整部36は、上記の手順で算出された補正量による補正後の目標トナー付着量が得られるように、画像形成条件決定部37を通じて画像形成条件を調整する。
【0073】
図8は、トナー付着量の調整手順を示すフローチャートである。ステップS201において、制御部20のCPU21は、画像形成装置100の動作状態に基づいて、または操作パネル28に入力されたユーザーもしくはサービスマンからの指示に基づいて、所定の起動条件が満たされるとトナー付着量調整部36を起動させる。
【0074】
次のステップS202において、トナー付着量調整部36は、画像データ記憶部26からトナー付着量の調整用画像26B(以下、単に「調整用画像26B」と記載する)とその画像形成条件とを読み出す。画像データ記憶部26には、複数の異なる濃度の画像が得られるように複数の画像形成条件が各色ごとに格納されている。画像形成条件決定部37は、各画像形成条件下において、画像プロセス部10によって感光体12Y,12M,12C,12K上に調整用画像26Bを形成させる。調整用画像26Bの詳細については、
図9を参照して後述する。
【0075】
その次のステップS203において、画像形成条件決定部37は、画像プロセス部10を制御することにより、調整用画像26Bのトナー画像を各感光体12から中間転写ベルト16上に転写させる。
【0076】
図9は、中間転写ベルト16上に形成されたトナー付着量の調整用画像26Bの一例を示す図である。
【0077】
図9に示すように、調整用画像26Bは、主走査方向Aの一方(手前側)の端部においてIDCセンサー19の検出位置に形成された複数の矩形状画像(「トナーパッチ」とも称する)を含む。具体的に、調整用画像26Bは、ブラックのトナーパッチK1~K4と、マゼンタのトナーパッチM1~M4と、シアンのトナーパッチC1~C4と、イエローのトナーパッチY1~Y4とを含む。ブラックのトナーパッチK1~K4の順に濃度が濃くなるように、画像形成条件が変更されている。他の色のトナーパッチについても同様である。これらのトナーパッチは、搬送方向Bに並ぶように形成される。
【0078】
図8に戻って、次のステップS204において、画像形成条件決定部37は、IDCセンサー19を用いることにより、中間転写ベルト16上に形成された調整用画像26B(すなわち、トナーパッチK1~K4,M1~M4,C1~C4,Y1~Y4の各々)の反射濃度を測定する。
【0079】
その次のステップS205において、トナー付着量算出部25は、測定された調整用画像26Bの反射濃度を、中間転写ベルト16上における調整用画像26B(すなわち、トナーパッチK1~K4,M1~M4,C1~C4,Y1~Y4の各々)のトナー付着量に変換する。さらに、トナー付着量算出部25は、二次転写の転写効率に基づいて、中間転写ベルト16上の調整用画像26Bのトナー付着量を記録用紙S上の調整用画像26Bのトナー付着量に変換してもよい。この変換作業において、トナー付着量算出部25は、テーブル記憶部27に予め格納された反射濃度と中間転写ベルト16上または記録用紙S上のトナー付着量との関係を表すテーブルを参照することにより、調整用画像26Bの反射濃度から中間転写ベルト16上または記録用紙S上のトナー付着量を決定してもよい。
【0080】
その次のステップS206において、画像形成条件決定部37は、
図3のステップS111で算出した記録用紙S上における目標付着量の補正量を用いることにより、測定した濃度プロファイルに応じた値になるように目標付着量を補正する。
【0081】
その次のステップS207において、画像形成条件決定部37は、ステップS205で得られた調整用画像26Bの画像形成条件とトナー付着量との対応関係を用いて、補正後の目標付着量となるように画像形成条件を決定する。画像形成条件決定部37は、決定した画像形成条件と対応する補正後のトナー付着量とを、目標付着量記憶部38に記憶する。以下、
図10を参照して、上記のステップS206,S207について、さらに具体的に説明する。
【0082】
図10は、ブラックのトナーの付着量と現像バイアスとの対応関係を示す図である。
図10では画像形成条件のうち現像バイアスを変更した場合の例が示されている。なお、以下では、目標付着量γおよびその補正量δならびにトナーパッチK1~K4のトナー付着量Ak1~Ak4は、記録用紙S上での値として説明する。これらのトナー付着量を、中間転写ベルト16上の値としてもよい。既に説明したように、記録用紙S上でのトナー付着量を中間転写ベルト16上でのトナー付着量に換算するには、二次転写効率で除算すればよい。
【0083】
画像形成条件決定部37は、
図3のステップS111で算出した補正量δによって目標付着量γを補正する(
図9のステップS206)。具体的に、IDCセンサー19の検出位置の画像濃度から換算したトナー付着量が、主走査方向の濃度代表値から換算したトナー付着量よりも大きい場合には、補正量δは正の値になる。この場合、目標付着量γは、補正量の絶対値|δ|を加算することによって、より大きい値に補正される。逆に、IDCセンサー19の検出位置の画像濃度から換算したトナー付着量が、主走査方向の濃度代表値から換算したトナー付着量よりも小さい場合には、補正量δは負の値になる。この場合、目標付着量γは、補正量の絶対値|δ|を減算することによって、より小さい値に補正される。
【0084】
画像形成条件決定部37は、トナー付着量の調整用画像26Bとして、ブラックのトナーパッチK1,K2,K3,K4をそれぞれ現像バイアスVdc1,Vdc2,Vdc3,Vdc4で生成する(
図9のステップS202,S203)。画像形成条件決定部37は、IDCセンサー19によって測定されたトナーパッチK1,K2,K3,K4の反射濃度を、記録用紙S上でのトナー付着量Ak1,Ak2,Ak3,Ak4にそれぞれ変換する(
図9のステップS205)。なお、IDCセンサー19によって画像形成条件に応じた反射濃度の違いを精度良く検出できるように、調整用画像26Bを形成する際の現像バイアスVdc1~Vdc4は、目標付着量γに対応する現像バイアスVdc0よりも小さい値に設定される。
【0085】
上記のように反射濃度をトナー付着量に変換することによって(
図9のステップS205)、画像形成条件(
図10の場合には、現像バイアス)と記録用紙S上(または中間転写ベルト16上)でのトナー付着量との対応関係が求められる。具体的には、画像形成条件決定部37は、トナー付着量と画像形成条件(現像バイアス)との関係を示す近似式を求めてもよい。
図10の場合には、トナー付着量と現像バイアスとの関係は近似曲線Gもしくは近似直線Gで与えられる。
【0086】
画像形成条件決定部37は、トナー付着量と画像形成条件との関係を表す近似式に基づいて、補正後の目標付着量に対応する画像形成条件を決定する。
図10の場合には、当初の目標付着量γに対応する現像バイアスはVdc0と求められる。補正後の目標付着量γ+|δ|またはγ-|δ|に対応する現像バイアスは、それぞれVdc0+またはVdc0-と求められる。
【0087】
[実施の形態1の変形例]
実施の形態1では、IDCセンサー19は、中間転写ベルト16上のトナー画像の反射濃度を検出する位置に配置されていたが、感光体12上のトナー画像の反射濃度を検出する位置に配置されていてもよい。本開示では、中間転写ベルト16および感光体12を総称してトナー画像を担持するための像担持体と称する場合がある。
【0088】
図10の説明では、画像形成条件のうち現像バイアスを変更した場合について説明したが、他の画像形成条件を変更してもよい。たとえば、露光器13の露光量、帯電ローラー11に印加される帯電バイアス、現像ローラー14に印加される現像バイアス、および現像器の現像ローラー14と感光体12との速度比θ(現像θ)のうち1つ以上を変更してもよい。
【0089】
実施の形態1では、画像プロセス部10が中間転写ベルト16を用いる二次転写方式の場合について説明した。これに対して、中間転写ベルト16を用いない直接転写方式の場合にも、実施の形態1で説明した濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出ならびにトナー付着量の調整を適用可能である。
【0090】
[実施の形態1の効果]
実施の形態1の画像形成装置100によれば、記録用紙S上に形成された濃度むら測定用画像26Aの濃度プロファイルの代表値と、IDCセンサー19の検出位置において濃度プロファイルから抽出された濃度値とに基づいて、目標となるトナー付着量の補正量が決定される。そして、補正後の目標トナー付着量が得られるように画像形成条件が決定される。したがって、トナー画像が主走査方向に一様でなく濃度むらがある場合であっても記録用紙上のトナー付着量を狙いの付着量の範囲内に調整できる。
【0091】
<実施の形態2>
実施の形態2では、IDCセンサー19を2個以上設けた場合について説明する。一例として、
図1の画像プロセス部10において、主走査方向の手前側に1個のIDCセンサー19fが設けられ、主走査方向の奥側に1個のIDCセンサー19rが設けられた場合について説明する。主走査方向の異なる位置にさらにIDCセンサーを設けてもよい。
【0092】
その他の画像形成装置の構成は実施の形態1の
図1および
図2などで説明したものと同様であるので、説明を繰り返さない。
【0093】
[トナー付着量の調整用画像の一例]
図11は、実施の形態2の画像形成装置において、中間転写ベルト16上に形成されたトナー付着量の調整用画像26Bの一例を示す図である。
【0094】
図11に示すように、調整用画像26Bは、主走査方向Aの一方(手前側)の端部に形成された複数の矩形状のトナーパッチと、主走査方向Aの他方(奥側)の端部に形成された複数の矩形状のトナーパッチとを含む。具体的に、手前側の調整用画像26Bは、ブラックのトナーパッチKf1~Kf4と、マゼンタのトナーパッチMf1~Mf4と、シアンのトナーパッチCf1~Cf4と、イエローのトナーパッチYf1~Yf4とを含む。ブラックのトナーパッチKf1~Kf4の順に濃度が濃くなるように、画像形成条件が変更されている。他の色のトナーパッチについても同様である。これらのトナーパッチは、搬送方向Bに並ぶように形成され、手前側のIDCセンサー19fによってその反射濃度が検出される。
【0095】
同様に、奥側の調整用画像26Bは、ブラックのトナーパッチKr1~Kr4と、マゼンタのトナーパッチMr1~Mr4と、シアンのトナーパッチCr1~Cr4と、イエローのトナーパッチYr1~Yr4とを含む。ブラックのトナーパッチKr1~Kr4の順に濃度が濃くなるように、画像形成条件が変更されている。他の色のトナーパッチについても同様である。これらのトナーパッチは、搬送方向Bに並ぶように形成され、奥側の19rによってその反射濃度が検出される。
【0096】
以下、濃度プロファイルの測定、濃度代表値の算出、およびトナー付着量の調整の具体的に手順について説明する。以下では、これらを実行する2つの方法について説明する。方法1では、IDCセンサー19の検出位置における画像濃度値が濃度代表値に最も近くなるようなIDCセンサー19を選択し、選択されたIDCセンサー19を用いてトナー付着量の調整を行う。方法2では、IDCセンサー19ごとにトナー付着量の調整を行い、IDCセンサー19ごとに決定された画像形成条件を平均化することにより最終的な画像形成条件を決定する。以下、図面を参照して説明する。
【0097】
[濃度プロファイルの測定、濃度代表値の算出(方法1)]
図12は、実施の形態2の画像形成装置において、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出の第1の手順を示すフローチャートである。
【0098】
図12のフローチャートは、
図3のフローチャートにおいてステップS106A~S108A,S110A,S111をステップS106B~S108B,S110B,S111Bにそれぞれ変更するとともに、ステップS108BとステップS110Bとの間にステップS109Bを追加したものである。
図12のその他のステップは
図3の場合と同様であるので、同一または相当するステップには同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0099】
図12を参照して、ステップS106Bにおいて、CPU21は、
図4の測定用画像26Aに対するスキャナー32の出力値から、それぞれのIDCセンサー19f、19rの検出位置における各色ごとのスキャナー出力値を抽出する。
【0100】
次のステップS107Bにおいて、CPU21は、それぞれIDCセンサー19f,19rにおける各色ごとのスキャナー出力値を画像濃度に変換する。その次のステップS108Bにおいて、CPU21は、それぞれのIDCセンサー19f,19rにおける各色ごとの画像濃度を濃度プロファイル記憶部33に記憶させる。
【0101】
その次のステップS109Bにおいて、CPU21は、ステップS109で算出された濃度代表値に最も近い画像濃度が得られる位置に設けられたIDCセンサー19を選択する。たとえば、それぞれIDCセンサー19f,19rの検出位置における画像濃度のうち、IDCセンサー19rの検出位置における画像濃度が濃度代表値に近い場合には、IDCセンサー19rが選択される。IDCセンサー19の選択は色ごとに実行されるので、色ごとに選択されるIDCセンサー19が異なる場合がある。
【0102】
その次のステップS110Bにおいて、CPU21は、トナー付着量算出部25に、各色ごとに選択されたIDCセンサー19の検出位置における画像濃度を記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量に変換させる。トナー付着量算出部25は、テーブル記憶部27に予め記憶された変換テーブルを参照することによりこの変換処理を行ってもよい。
【0103】
その次のステップS111Bにおいて、CPU21は、目標付着量の補正量決定部35によって、濃度代表値から変換されたトナー付着量と、選択されたIDCセンサー19による検出位置における画像濃度から変換されたトナー付着量との差に基づいて、各色ごとに目標付着量の補正量を計算させる。
【0104】
[目標付着量の補正(方法1)]
上記の手順に従って計算された目標付着量の補正量を用いて、
図8のフローチャートの手順に従って、目標付着量の調整が行われる。ただし、
図8のステップS204において、画像形成条件決定部37は、色ごとに選択されたIDCセンサー19を用いることにより、中間転写ベルト16上に形成された調整用画像26B(すなわち各色のトナーパッチ)の反射濃度を測定する。次のステップS205において、画像形成条件決定部37は、選択されたIDCセンサー19で測定された反射濃度をトナー付着量に変換する。
図8のその他のステップは、実施の形態1の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
【0105】
[濃度プロファイルの測定、濃度代表値の算出(方法2)]
図13は、実施の形態2の画像形成装置において、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出の第2の手順を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、
図3のフローチャートにおいて、ステップS106A~S108A,S110A,S111を、ステップS106C~S108C,S110C,S111Cにそれぞれ変更したものである。
図13のその他のステップは
図3の場合と同様であるので、同一または相当するステップには同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0106】
図13を参照して、ステップS106Cにおいて、CPU21は、
図4の測定用画像26Aに対するスキャナー32の出力値から、それぞれのIDCセンサー19f、19rの検出位置における各色ごとのスキャナー出力値を抽出する。
【0107】
次のステップS107Cにおいて、CPU21は、それぞれIDCセンサー19f,19rにおける各色ごとのスキャナー出力値を画像濃度に変換する。その次のステップS108Cにおいて、CPU21は、それぞれのIDCセンサー19f,19rにおける各色ごとの画像濃度を濃度プロファイル記憶部33に記憶させる。
【0108】
その次のステップS110Cにおいて、CPU21は、トナー付着量算出部25に、IDCセンサー19f,19rのそれぞれの検出位置における画像濃度を記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量に変換させる。トナー付着量算出部25は、テーブル記憶部27に予め記憶された変換テーブルを参照することによりこの変換処理を行ってもよい。
【0109】
その次のステップS111Cにおいて、CPU21は、目標付着量の補正量決定部35によって、IDCセンサー19f,19rの各々に対して、濃度代表値から変換されたトナー付着量と、IDCセンサー19による検出位置における画像濃度から変換されたトナー付着量との差に基づいて、各色ごとに目標付着量の補正量を計算させる。
【0110】
[目標付着量の補正(方法2)]
図14は、実施の形態2の画像形成装置においてトナー付着量を調整する第2の手順を示すフローチャートである。
【0111】
ステップS201Cにおいて、制御部20のCPU21は、画像形成装置100の動作状態に基づいて、または操作パネル28からのユーザーもしくはサービスマンからの指示に基づいて、所定の起動条件が満たされるとトナー付着量調整部36を起動させる。
【0112】
次のステップS202Cにおいて、トナー付着量調整部36は、画像データ記憶部26からトナー付着量の調整用画像26Bとその画像形成条件とを読み出す。画像形成条件決定部37は、各画像形成条件下において、画像プロセス部10によって感光体12Y,12M,12C,12K上に調整用画像26Bを形成させる。調整用画像26Bの一例については、
図11を参照して既に説明した。
【0113】
その次のステップS203Cにおいて、画像形成条件決定部37は、画像プロセス部10を制御することにより、調整用画像26Bのトナー画像を各感光体12から中間転写ベルト16上に転写させる。
【0114】
次のステップS204Cにおいて、画像形成条件決定部37は、それぞれのIDCセンサー19f,19rを用いることにより、中間転写ベルト16上に形成された対応する調整用画像26Bの反射濃度を測定する。すなわち、
図11の手前側のIDCセンサー19fによって、トナーパッチKf1~Kf4,Mf1~Mf4,Cf1~Cf4,Yf1~Yf4の各々の反射濃度が測定される。
図11の奥側のIDCセンサー19rによって、トナーパッチKr1~Kr4,Mr1~Mr4,Cr1~Cr4,Yr1~Yr4の各々の反射濃度が測定される。
【0115】
その次のステップS205Cにおいて、トナー付着量算出部25は、IDCセンサー19ごとにおよび各色ごとに測定された調整用画像26Bの反射濃度を、中間転写ベルト16上または記録用紙S上のトナー付着量に変換する。この変換作業において、トナー付着量算出部25は、テーブル記憶部27に予め格納された反射濃度と中間転写ベルト16上または記録用紙S上のトナー付着量との関係を表すテーブルを参照することにより、調整用画像26Bの反射濃度から換算された中間転写ベルト16上または記録用紙S上のトナー付着量を決定してもよい。
【0116】
その次のステップS206Cにおいて、画像形成条件決定部37は、
図13のステップS111CでIDCセンサー19ごとにおよび各色ごとに算出した記録用紙S上における目標付着量の補正量を用いることにより、測定した濃度プロファイルに応じた値になるようにIDCセンサー19ごとにおよび各色ごとに目標付着量を補正する。
【0117】
その次のステップS207Cにおいて、画像形成条件決定部37は、調整用画像26Bの画像形成条件とトナー付着量との関係を用いて、補正された目標付着量となるようにIDCセンサー19ごとにおよび各色ごとに画像形成条件を決定する。
【0118】
その次のステップS208Cにおいて、IDCセンサー19ごとに決定された画像形成条件を平均化することにより、最終的な画像形成条件を各色ごとに決定して記憶する。
【0119】
[実施の形態2の効果]
実施の形態2の画像形成装置によれば、主走査方向の異なる位置に複数のIDCセンサー19を設けることによって、目標となるトナー付着量の補正量および補正後の目標付着量に対応する画像形成条件をより適切に決定できる。
【0120】
<実施の形態3>
実施の形態3では、主走査方向の濃度むらを抑制するように、露光器13から照射するビームの光量を主走査方向に変化させる。これによって、できるだけ主走査方向の濃度むらを抑制した状態で、実施の形態1で説明したトナー付着量の調整を行う。なお、実施の形態2を実施の形態3をさらに組み合わせてもよい。以下、図面を参照して詳しく説明する。
【0121】
[画像形成装置の構成]
図15は、実施の形態3の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図15では、画像形成装置の制御部20の機能構成が詳しく示されている。
【0122】
図15の制御部20は、濃度むら補正部39をさらに含む点で
図2の制御部20と異なる。濃度むら補正部39は、測定した主走査方向の各色ごとの濃度プロファイルに基づいて、各色ごとに画像濃度が相対的に高くなる主走査位置については光量を減少させ、画像濃度が相対的に低くなる主走査位置については光量を増加させる。これにより、濃度むら補正部39は、主走査方向の濃度むらを減少させる。露光器13は、実際の画像データを露光する際には、上記に従って増減した光量だけビーム光量をオフセットする。
【0123】
図15のその他の点は
図2の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0124】
[濃度プロファイルの測定、濃度代表値の算出]
図16は、実施の形態3の画像形成装置において、濃度プロファイルの測定および濃度代表値の算出手順を示すフローチャートである。
【0125】
図16のフローチャートは、ステップS301,S302を追加した点で
図3のフローチャートと異なる。
図16のフローチャートは、さらに、ステップS108,S108Aの後にステップS301を実行し、ステップS301でNOの場合にステップS109,S110A以降を実行するように実行順序を変更した点で、
図3のフローチャートと異なる。
【0126】
具体的に、
図16のステップS108において、CPU21は、主走査方向Aの各色ごとに測定された画像濃度プロファイルを濃度プロファイル記憶部33に記憶させる。併せてステップS108Aにおいて、CPU21は、IDCセンサー19の検出位置における各色ごとの画像濃度を濃度プロファイル記憶部33に記憶させる。その後、CPU21は、処理をステップS301に進める。
【0127】
ステップS301において、CPU21は、濃度むら補正部39による濃度むら補正を実行するか否かを判定する。たとえば、CPU21は、濃度プロファイルの変化量(たとえば、画像濃度の最大値と最小値との差)が所定の閾値を超えている場合に、濃度むら補正部39に濃度むら補正を実行させる。もしくは、CPU21は1回のみ濃度むら補正部39に濃度むら補正を実行させてもよい。
【0128】
CPU21が濃度むら補正を実行すると判定した場合(ステップS301でYES)、次のステップS302において濃度むら補正部39は、濃度むらを解消するように露光器13のビーム光量を調整する。その後、CPU21は、処理をステップS102に戻して、ビーム光量調整後の画像プロセス部10によって濃度プロファイルの測定用画像26Aを形成させる。
【0129】
一方、CPU21が濃度むら補正を実行しないと判定した場合(ステップS302でNO)、CPU21は、処理をステップS109以降およびS110Aに進める。
【0130】
具体的にステップS109において、CPU21は、濃度代表値算出部34によって、濃度プロファイル記憶部33に記憶された各色ごとの濃度プロファイルから各色ごとの画像濃度の代表値を算出させる。
【0131】
ステップS110において、CPU21は、トナー付着量算出部25に、算出した画像濃度の代表値を記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量に変換させる。併せてステップS110Aにおいて、CPU21は、トナー付着量算出部25に、IDCセンサー19の検出位置の画像濃度を記録用紙S上または中間転写ベルト16上のトナー付着量に変換させる。
【0132】
その次のステップS111において、CPU21は、目標付着量の補正量決定部35によって、濃度代表値から変換されたトナー付着量と、IDCセンサー19による検出位置における画像濃度から変換されたトナー付着量との差に基づいて、各色ごとに目標付着量の補正量を計算させる。
【0133】
図16のその他の点は
図3の場合と同様であるので、同一または相当するステップには同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0134】
[トナー付着量の調整]
上記の手順に従って計算された目標付着量の補正量および調整後の露光器13のビーム光量を用いて、
図8のフローチャートの手順に従って、目標付着量の調整が行われる。
【0135】
[実施の形態3の効果]
実施の形態3の画像形成装置によれば、主走査方向のトナー画像の濃度むらを抑制するように、露光器13のビーム光量を主走査方向に変化させる。この後に目標となるトナー付着量の補正量を決定するので、記録用紙上のトナー付着量を狙いの付着量の範囲内に調整できるとともに、トナー付着量の主走査方向の変動量を抑制できる。
【0136】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この出願の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0137】
10 画像プロセス部、11 帯電ローラー、12 感光体、13 露光器、14 現像ローラー、15 一次転写ローラー、16 中間転写ベルト、17 二次転写ローラー、18 定着器、19 IDCセンサー、20 制御部、21 CPU、22 通信I/F部、23 ROM、24 RAM、25 トナー付着量算出部、26 画像データ記憶部、26A 濃度プロファイルの測定用画像(濃度むら測定用画像)、26B トナー付着量の調整用画像、27 テーブル記憶部、28 操作パネル、29 露光量調整部、30 帯電バイアス印加部、31 現像バイアス印加部、32 スキャナー、33 濃度プロファイル記憶部、34 濃度代表値算出部、35 補正量決定部、36 トナー付着量調整部、37 画像形成条件決定部、38 目標付着量記憶部、39 濃度むら補正部、100 画像形成装置、A 主走査方向、B 搬送方向、C1~C4,K1~K4,M1~M4,Y1~Y4 トナーパッチ、S 記録用紙。