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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】リレー回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20250212BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20250212BHJP
   H01H 47/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H01H9/54 A
H01H33/59 C
H01H47/00 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021043370
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022013655
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020115929
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝典
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-213842(JP,A)
【文献】特開2020-047556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
H01H 33/59
H01H 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレー制御信号に応じて導通状態と遮断状態とが切り替わる機械式接点をそれぞれ有する第1及び第2の機械式リレーと、前記第1及び第2の機械式リレーと直列に接続された半導体リレーと、前記第1及び第2の機械式リレーならびに前記半導体リレーを制御する制御部とを備え、前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点ならびに前記半導体リレーが全て導通状態となったときに負荷電流が流れ、前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点ならびに前記半導体リレーの少なくとも何れかが遮断状態となったときに負荷電流が遮断されるリレー回路装置であって、
前記制御部は、負荷電流を通電させるとき、前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点を前記半導体リレーよりも先に導通状態とし、負荷電流を遮断するとき、前記半導体リレーを前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点よりも先に遮断状態とする、
リレー回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリレーと、これらのリレーを制御する制御部とを有するリレー回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械等の設備を制御するプログラマブルコントローラには、制御対象である工作機械のアクチュエータを動作させるための負荷電流をオン(導通)及びオフ(遮断)するためのリレー回路装置が用いられている。このようなリレー回路装置には、負荷電流を遮断すべきときに確実に電流遮断がなされるように、リレーが二重化(冗長化)されたものがある。
【0003】
特許文献1には、コイルへの通電によって共通端子(COM)と常開端子(NO)とが電気的に接続され、コイルが非通電であるときに共通端子(COM)と常閉端子(NC)とが電気的に接続される二つの機械式リレーを直列に接続し、両機械式リレーの共通端子(COM)と常開端子(NO)とが共に導通状態となったときに負荷に電流が供給されるように構成されたリレー回路が記載されている。また、このリレー回路では、二つの機械式リレーのそれぞれに対応して、フォトカプラからなるリードバック回路が設けられており、それぞれの機械式リレーの動作状態を制御部においてモニタ(監視)できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-47556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機械式リレーは、固定接点部材と可動接点部材とを有し、電磁石に発生する磁力によって動作する鉄片に連動して可動接点部材が固定接点部材と接触したり離れたりすることにより、オン状態とオフ状態とが切り替わる。また、機械式リレーには、例えば1000万回の機械的寿命(電気的負荷をかけない状態で開閉させたときの寿命回数)や、例えば10万回の電気的寿命(定格負荷をかけた状態で開閉させたときの寿命回数)が規定されている。しかし、可動接点部材が固定接点部材と接触する際、あるいは可動接点部材が固定接点部材から離間する際に、接点部材間にアーク放電が発生すると、寿命回数よりも少ない回数でも、接点部材の電気特性の劣化や動作不良あるいは復帰不良が発生してしまう場合がある。
【0006】
このような不良が発生した場合でも、上記のようにリレーが二重化されていれば、例えば設備を非常停止させるべきときにアクチュエータに電流が供給され続けてしまうというような事態が回避され得るものの、リレーの交換のために設備を停止させる必要が生じたり、リレー交換のための費用が発生してしまうといった問題がある。特に、各種のモジュールを組み合わせて構成されるプログラマブルコントローラの場合には、不良が発生したリレーを交換するために、当該リレーを含む複数のリレー回路を有する出力モジュールごと交換をする必要があるので、交換のための費用が嵩んでしまう。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械式リレーの接点部材間のアーク放電の発生を抑制し、交換頻度を低減することが可能なリレー回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、本発明は、上記の目的を達成するため、リレー制御信号に応じて導通状態と遮断状態とが切り替わる機械式接点をそれぞれ有する第1及び第2の機械式リレーと、前記第1及び第2の機械式リレーと直列に接続された半導体リレーと、前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式リレーならびに前記半導体リレーを制御する制御部とを備え、前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点ならびに前記半導体リレーが全て導通状態となったときに負荷電流が流れ、前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点ならびに前記半導体リレーの少なくとも何れかが遮断状態となったときに負荷電流が遮断されるリレー回路装置であって、前記制御部は、負荷電流を通電させるとき、前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点を前記半導体リレーよりも先に導通状態とし、負荷電流を遮断するとき、前記半導体リレーを前記第1及び第2の機械式リレーのそれぞれの前記機械式接点よりも先に遮断状態とする、リレー回路装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るリレー回路装置によれば、機械式リレーの接点部材間のアーク放電の発生を抑制することができ、交換頻度を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係るリレー回路装置の構成例を示す回路図である。
図2】入力側の機械式リレーの構成例を示す概略構成図であり、(a)は電磁石が非通電の状態を示し、(b)は電磁石に通電されている状態を示している。
図3】第1の半導体リレーの回路構成例を示す回路図である。
図4】リレー回路装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るリレー回路装置の回路構成例を示す回路図である。このリレー回路装置10は、工作機械等の設備を制御するプログラマブルコントローラの出力モジュール1において、第1及び第2の負荷61,62への負荷電流を通電及び遮断するために用いられる。出力モジュール1は、複数のリレー回路装置10を有しており、図1では、このうち一つのリレー回路装置10を示している。
【0014】
リレー回路装置10は、二つの機械式リレー2A,2Bと、二つの半導体リレー3A,3Bと、第1乃至第6のフォトカプラ41~46と、機械式リレー2A,2B及び半導体リレー3A,3Bを制御する制御部5とを有している。制御部5は、第1及び第2のリレー制御信号51,52を出力して機械式リレー2A,2Bを制御し、第3及び第4のリレー制御信号53,54を出力して半導体リレー3A,3Bを制御する。
【0015】
制御部5は、第1及び第2のリレー制御信号51,52を同時にアサート(活性化)し、また同時にネゲート(非活性化)するが、第1のリレー制御信号51及び第3のリレー制御信号53と、第2のリレー制御信号52及び第4のリレー制御信号54とは、制御部5内の異なる制御回路によってそれぞれ出力される。すなわち、制御部5では、これらの制御回路が二重化されており、少なくとも一方の制御回路が正常に動作していれば、第1及び第2の負荷61,62への負荷電流を遮断することができるように構成されている。
【0016】
第1及び第2の負荷61,62は、例えばマグネットスイッチや設備の可動部を動作させる電動アクチュエータである。第1の負荷61には、第1の直流電源71の正極が接続され、第2の負荷62には、第2の直流電源72の正極が接続されている。出力モジュール1は、第1の負荷61に接続された第1入力端子11と、第2の負荷62に接続された第2入力端子12と、第1の直流電源71の負極に接続された第1出力端子13と、第2の直流電源72の負極に接続された第2出力端子14とを有している。また、出力モジュール1は、機械式リレー2A,2Bを動作させるための制御電源8が接続されたP端子15及びN端子16を有している。制御電源8は、例えば24Vの直流電圧をP端子15とN端子16との間に発生させる。
【0017】
以下、二つの機械式リレー2A,2Bのうち、第1及び第2入力端子11,12側の機械式リレー2Aを入力側の機械式リレー2Aという場合があり、第1及び第2出力端子13,14側の機械式リレー2Bを出力側の機械式リレー2Bという場合がある。また、半導体リレー3A,3Bのうち、第1の負荷61の負荷電流を導通及び遮断するための半導体リレー3Aを第1の半導体リレー3Aという場合があり、第2の負荷62の負荷電流を導通及び遮断するための半導体リレー3Bを第2の半導体リレー3Bという場合がある。
【0018】
機械式リレー2A,2Bのそれぞれは、電磁石21と、一つの常閉接点22と、第1及び第2の常開接点23,24とを有する強制ガイド式リレーである。電磁石21が非通電であるときは、常閉接点22がオン(導通)状態であり、第1及び第2の常開接点23,24がオフ(遮断)状態である。また、電磁石21に通電されると、常閉接点22がオフ状態となり、第1及び第2の常開接点23,24がオン状態となる。常閉接点22ならびに第1及び第2の常開接点23,24は、それぞれが接点部材同士の機械的な接触/非接触によりオン状態とオフ状態とが切り替わる機械式接点である。
【0019】
図2は、入力側の機械式リレー2Aの構成例を示す概略構成図であり、(a)は電磁石21が非通電の状態を示し、(b)は電磁石21に通電されている状態を示している。常閉接点22は、固定板201に取り付けられた固定接点部材221と、可動板202に取り付けられた可動接点部材222とからなる。第1の常開接点23は、固定板203に取り付けられた固定接点部材231と、可動板204に取り付けられた可動接点部材232とからなる。第2の常開接点24は、固定板205に取り付けられた固定接点部材241と、可動板206に取り付けられた可動接点部材242とからなる。
【0020】
電磁石21、常閉接点22、ならびに第1及び第2の常開接点23,24は、電磁石21に対向配置された鉄片25、鉄片25を付勢するリターンスプリング26、及び鉄片25と連動するガイド板27と共に、樹脂製の筐体28に収容されている。電磁石21の通電状態と非通電状態とが切り替わると、鉄片25が支軸251を中心として回転揺動し、ガイド板27が進退移動する。鉄片25は、リターンスプリング26によって回転方向一側に付勢されている。ガイド板27は、鉄片25と可動板202,204,206とを連結しており、鉄片25の動きに連動して可動板202,204,206が固定板201,203,205に対してそれぞれ撓動する。
【0021】
電磁石21に通電されていないときには、常閉接点22の固定接点部材221と可動接点部材222とが接触し、第1及び第2の常開接点23,24の固定接点部材231,241と可動接点部材232,242とが非接触である。電磁石21に通電されると、常閉接点22の固定接点部材221と可動接点部材222とが離間し、第1及び第2の常開接点23,24の固定接点部材231,241と可動接点部材232,242とがそれぞれ接触する。なお、図示は省略しているが、出力側の機械式リレー2Bも同様に構成されている。
【0022】
図3は、第1の半導体リレー3Aの回路構成例を示す回路図である。第1の半導体リレー3Aは、ICチップが樹脂等からなる封止材に封止されたIC(Integrated Circuit)として構成されており、図3では、第1の半導体リレー3Aのピン番号(1~6)と共に、その回路構成を図示している。
【0023】
第1の半導体リレー3Aは、フォトダイオード31と、第1及び第2のフォトMOSFET32,33と、第1及び第2の整流ダイオード34,35とを有している。1番ピンから2番ピンに電流が流れてフォトダイオード31が発光すると、第1及び第2のフォトMOSFET32,33が活性化され、第1のフォトMOSFET32及び第2の整流ダイオード35によって6番ピンから4番ピンに、もしくは第2のフォトMOSFET33及び第1の整流ダイオード34によって4番ピンから6番ピンに、電流を流すことが可能となる。なお、図示は省略しているが、第2の半導体リレー3Bも同様に構成されている。
【0024】
第1の半導体リレー3Aの1番ピンには、制御部5から第3のリレー制御信号53が入力される。第3のリレー制御信号53がアサートされると、第1の半導体リレー3Aの6番ピンから4番ピンに電流が流れる。この6番ピンは、第1の半導体リレー3Aの電流入力端子であり、4番ピンは、第1の半導体リレー3Aの電流出力端子である。また、第2の半導体リレー3Bの1番ピンには、第4のリレー制御信号54が入力される。第4のリレー制御信号54がアサートされると、第2の半導体リレー3Bの6番ピンから4番ピンに電流が流れる。この6番ピンは、第2の半導体リレー3Bの電流入力端子であり、4番ピンは、第2の半導体リレー3Bの電流出力端子である。
【0025】
以下、第1の半導体リレー3Aにおいて6番ピンから4番ピンに電流を流すことが可能な状態を第1の半導体リレー3Aのオン状態といい、第1の半導体リレー3Aの6番ピンと4番ピンとの間で電流が遮断される状態を第1の半導体リレー3Aのオフ状態という。また、第2の半導体リレー3Bにおいて6番ピンから4番ピンに電流を流すことが可能な状態を第2の半導体リレー3Bのオン状態といい、第2の半導体リレー3Bの6番ピンと4番ピンとの間で電流が遮断される状態を第2の半導体リレー3Bのオフ状態という。
【0026】
第1の半導体リレー3Aは、入力側の機械式リレー2Aの第1の常開接点23と、出力側の機械式リレー2Bの第1の常開接点23との間に直列に接続されている。第2の半導体リレー3Bは、入力側の機械式リレー2Aの第2の常開接点24と、出力側の機械式リレー2Bの第2の常開接点24との間に直列に接続されている。
【0027】
第1の負荷61には、入力側の機械式リレー2Aの第1の常開接点23、第1の半導体リレー3A、及び出力側の機械式リレー2Bの第1の常開接点23が全てオン状態となったときに負荷電流Iが通電される。また、入力側の機械式リレー2Aの第1の常開接点23、第1の半導体リレー3A、及び出力側の機械式リレー2Bの第1の常開接点23の少なくとも何れかがオフ状態となったとき、負荷電流Iが遮断される。
【0028】
第2の負荷62には、入力側の機械式リレー2Aの第2の常開接点24、第2の半導体リレー3B、及び出力側の機械式リレー2Bの第2の常開接点24が全てオン状態となったときに負荷電流Iが通電される。また、入力側の機械式リレー2Aの第2の常開接点24、第2の半導体リレー3B、及び出力側の機械式リレー2Bの第2の常開接点24の少なくとも何れかがオフ状態となったとき、負荷電流Iが遮断される。
【0029】
制御部5が出力する第1のリレー制御信号51は、第1のフォトカプラ41のアノード端子に入力され、第2のリレー制御信号52は、第2のフォトカプラ42のアノード端子に入力される。第1及び第2のリレー制御信号51,52が共にアサートされると、第1及び第2のフォトカプラ41,42のフォトトランジスタが共にオン状態となり、制御電源8から供給される電流が機械式リレー2A,2Bのそれぞれの電磁石21を流れる。これにより、機械式リレー2A,2Bのそれぞれの常閉接点22がオフ状態となり、第1及び第2の常開接点23,24がオン状態となる。
【0030】
第3のフォトカプラ43のアノード端子には、入力側の機械式リレー2Aの常閉接点22を介して制御電源8からの電流が供給される。また、第4のフォトカプラ44のアノード端子には、出力側の機械式リレー2Bの常閉接点22を介して制御電源8からの電流が供給される。第3のフォトカプラ43のフォトトランジスタは、入力側の機械式リレー2Aの常閉接点22がオン状態であるときにオン状態となり、第4のフォトカプラ44のフォトトランジスタは、出力側の機械式リレー2Bの常閉接点22がオン状態であるときにオン状態となる。
【0031】
制御部5には、第3のフォトカプラ43の出力信号が第1のリードバック信号55として入力され、第4のフォトカプラ44の出力信号が第2のリードバック信号56として入力される。第1のリードバック信号55及び第2のリードバック信号56は、それぞれプルアップ抵抗91,92によってプルアップされている。制御部5は、第1のリードバック信号55によって入力側の機械式リレー2Aの動作状態を確認することができ、第2のリードバック信号56によって出力側の機械式リレー2Bの動作状態を確認することができる。
【0032】
第1の半導体リレー3Aは、6番ピンが入力側の機械式リレー2Aの第1の常開接点23に接続され、4番ピンが出力側の機械式リレー2Bの第1の常開接点23に接続されている。また、第1の半導体リレー3Aの6番ピンは、抵抗器93を介して第5のフォトカプラ45のアノード端子に接続されている。第5のフォトカプラ45のカソード端子は、第1の半導体リレー3Aの4番ピンに接続されている。
【0033】
また、第2の半導体リレー3Bは、6番ピンが入力側の機械式リレー2Aの第2の常開接点24に接続され、4番ピンが出力側の機械式リレー2Bの第2の常開接点24に接続されている。また、第2の半導体リレー3Bの6番ピンは、抵抗器94を介して第6のフォトカプラ46のアノード端子に接続されている。第6のフォトカプラ46のカソード端子は、第2の半導体リレー3Bの4番ピンに接続されている。
【0034】
制御部5には、第5のフォトカプラ45の出力信号が第1の診断信号57として入力され、第6のフォトカプラ46の出力信号が第2の診断信号58として入力される。第1の診断信号57及び第2の診断信号58は、それぞれプルアップ抵抗95,96によってプルアップされている。第1の診断信号57は、第1の半導体リレー3Aの4番ピンと6番ピンとの間に所定値以上の電位差が発生したときにアサートされ、それ以外の場合にはネゲートされる。第2の診断信号58は、第2の半導体リレー3Bの4番ピンと6番ピンとの間に所定値以上の電位差が発生したときにアサートされ、それ以外の場合にはネゲートされる。
【0035】
第1出力端子13は、出力側の機械式リレー2Bの第1の常開接点23の可動接点部材232に接続され、第1出力端子13から負荷電流Iが出力される。第2出力端子14は、出力側の機械式リレー2Bの第2の常開接点24の可動接点部材242に接続され、第2出力端子14から負荷電流Iが出力される。
【0036】
図4は、リレー回路装置10の動作例を示すタイミングチャートである。図4では、各信号の電圧レベルをH(高)及びL(低)で示している。図4において、第1の外部出力信号は、第1入力端子11の電圧を示している。また、第2の外部出力信号は、第2入力端子12の電圧を示している。
【0037】
制御部5は、第1及び第2の負荷61,62に負荷電流I,Iをそれぞれ通電させるとき、第1及び第2のリレー制御信号51,52を同時にアサート(L→H)する。これにより、機械式リレー2A,2Bの電磁石21に電流が流れ、機械式リレー2A,2Bの常閉接点22がオフ状態となって第1及び第2のリードバック信号55,56の信号状態がLからHに変化する。また、この第1及び第2のリードバック信号55,56の変化と同時に、入力側の機械式リレー2Aの第1及び第2の常開接点23,24がオン状態となることにより、第1及び第2の診断信号57,58の信号状態がHからLに変化する。
【0038】
制御部5は、第1及び第2のリードバック信号55,56の信号状態の変化により、機械式リレー2A,2Bが動作したこと、すなわち常閉接点22がオフ状態となり、第1及び第2の常開接点23,24がオン状態となったことを検知することができる。また、制御部5は、第1の診断信号57の信号状態の変化により、入力側の機械式リレー2Aの第1の常開接点23がオン状態となったことを直接的に検知することができ、第2の診断信号58の信号状態の変化により、入力側の機械式リレー2Aの第2の常開接点24がオン状態となったことを直接的に検知することができる。
【0039】
制御部5は、第1のリードバック信号55及び第1の診断信号57の少なくとも何れかの入力信号によって入力側の機械式リレー2Aの第1の常開接点23がオン状態となったことを検知し、さらに第2のリードバック信号56によって出力側の機械式リレー2Bの第1の常開接点23がオン状態となったことを検知した後、第3のリレー制御信号53をアサートし、第1の半導体リレー3Aをオン状態とする。すなわち、制御部5は、第1の負荷61に負荷電流Iを通電させるとき、機械式リレー2A,2Bのそれぞれの第1の常開接点23を第1の半導体リレー3Aよりも先にオン状態とする。
【0040】
これにより、機械式リレー2A,2Bのそれぞれの第1の常開接点23がオン状態となる時点では、これらの第1の常開接点23に負荷電流Iが流れないので、第1の常開接点23においてアーク放電が発生することを抑制することができる。
【0041】
また、制御部5は、第1のリードバック信号55及び第2の診断信号58の少なくとも何れかの入力信号によって入力側の機械式リレー2Aの第2の常開接点24がオン状態となったことを検知し、さらに第2のリードバック信号56によって出力側の機械式リレー2Bの第2の常開接点24がオン状態となったことを検知した後、第4のリレー制御信号54をアサートし、第2の半導体リレー3Bをオン状態とする。すなわち、制御部5は、第2の負荷62に負荷電流Iを通電させるとき、機械式リレー2A,2Bのそれぞれの第2の常開接点24を第2の半導体リレー3Bよりも先にオン状態とする。
【0042】
これにより、機械式リレー2A,2Bのそれぞれの第2の常開接点24がオン状態となる時点では、これらの第2の常開接点24に負荷電流Iが流れないので、第2の常開接点24においてアーク放電が発生することを抑制することができる。
【0043】
一方、制御部5は、負荷電流I,Iを遮断するとき、第1及び第2のリレー制御信号51,52ならびに第3及び第4のリレー制御信号53,54を同時にネゲート(H→L)する。第1及び第2の半導体リレー3A,3Bは、機械式リレー2A,2Bよりも反応速度が速いので、第1乃至第4のリレー制御信号51~54を全て同時にネゲートすることにより、第1及び第2の半導体リレー3A,3Bが機械式リレー2A,2Bのそれぞれの第1及び第2の常開接点23,24よりも先にオフ状態となる。
【0044】
これにより、機械式リレー2A,2Bのそれぞれの第1及び第2の常開接点23,24がオフ状態となるよりも先に第1及び第2の半導体リレー3A,3Bによって負荷電流I,Iが遮断されるので、第1及び第2の常開接点23,24は、電流が流れていない状態で、可動接点部材232,242が固定接点部材231,241から離間する。このため、第1及び第2の常開接点23,24においてアーク放電が発生することを抑制することができる。
【0045】
なお、制御部5は、第1及び第2のリレー制御信号51,52をアサートしても、第1及び第2のリードバック信号55,56の一方又は両方の信号状態がLからHに変化しないとき、回路に異常が発生したと判断し、第1乃至第4のリレー制御信号51~54を全てネゲートする。また、制御部5は、第1及び第2のリードバック信号55,56の一方又は両方の信号状態がHのままであるときにも、回路に異常が発生したと判断し、第1乃至第4のリレー制御信号51~54を全てネゲートする。
【0046】
また、制御部5は、第1乃至第4のリレー制御信号51~54をアサートして負荷電流I,Iを通電させているとき、瞬間的に第3のリレー制御信号53をネゲートしてテストパルスを発生させ、このタイミングで第1の診断信号57の信号状態が変化するか否かを判定する。この判定で、第1の診断信号57の信号状態が変化しなければ、第1の半導体リレー3Aの6番ピンと4番ピンとが短絡状態にあると診断される。ただし、この場合でも、機械式リレー2A,2Bによって負荷電流I,Iを通電及び遮断することはできるので、アラームを発するに留め、動作を継続する。なお、制御部5は、第2の半導体リレー3Bに対しても同様にテストパルスを発生させ、第2の診断信号58の信号状態によって第2の半導体リレー3Bの動作状態を診断する。
【0047】
(実施の形態の効果)
以上説明した本発明の実施の形態によれば、負荷電流I,Iを通電及び遮断する際に機械式リレー2A,2Bの第1及び第2の常開接点23,24でアーク放電が発生することを抑制でき、出力モジュール1の交換頻度を低減することが可能となる。
【0048】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、この実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0049】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、一部の構成を省略し、あるいは構成を追加もしくは置換して、適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、第1及び第2の負荷61,62の負荷電流I,Iを通電及び遮断する場合について説明したが、第1及び第2の負荷61,62の一方を省略してもよい。また、上記の実施の形態では、半導体リレー3A,3Bを入力側の機械式リレー2Aと出力側の機械式リレー2Bとの間に直列に接続する場合について説明したが、入力側及び出力側の機械式リレー2A,2Bの一方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…リレー回路装置 21…電磁石
22…常閉接点 23,24…第1及び第2の常開接点
2A,2B…機械式リレー 3A,3B…半導体リレー
5…制御部 51…第1のリレー制御信号
52…第2のリレー制御信号 53…第3のリレー制御信号
54…第4のリレー制御信号 55…第1のリードバック信号
56…第2のリードバック信号 57…第1の診断信号
58…第2の診断信号 I,I…負荷電流
図1
図2
図3
図4