(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】繊維構造体製造装置
(51)【国際特許分類】
B08B 1/32 20240101AFI20250212BHJP
【FI】
B08B1/32
(21)【出願番号】P 2021059708
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】柳川 勇人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】川本 誠
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-117496(JP,A)
【文献】特開2003-245612(JP,A)
【文献】特開2004-027441(JP,A)
【文献】特開2004-148764(JP,A)
【文献】特開2001-315412(JP,A)
【文献】特開2018-127326(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00 - 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む材料を堆積させて堆積物を生成する堆積部と、
前記堆積物を加圧してシート状に成形する加圧
ローラーを有する成形部と、
前記加圧
ローラーを清掃するクリーニング装置と、を備え、
前記クリーニング装置は、
第1回転軸回りに回転することによって、紙粉が付着した前記加圧
ローラーを清掃し、
第1領域と、前記第1領域の前記第1回転軸方向に並んで位置し、前記紙粉の付着量が前
記第1領域よりも多い第2領域と、を有するクリーニングローラーと、
前記クリーニングローラーの長手方向における両端部のうち一端部および他端部に対し
てそれぞれ配置され、前記第1回転軸と異なる方向の第2回転軸回りに回転し、前記第2
領域の少なくとも一部に接触して、前記第2領域に付着した前記紙粉を除去する除去部材
と、
前記除去部材に直接接触して前記除去部材を清掃し、前記除去部材を両面側から挟む一
対の当接部材からなる清掃部材と、
を備えることを特徴とする繊維構造体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および繊維構造体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、水を極力利用しない乾式による繊維構造体製造装置が提案されている。この繊維構造体製造装置は、特許文献1に示すように、原料を解繊して解繊物を生成する解繊部と、解繊物を堆積させて堆積物を生成する堆積部と、堆積物を搬送する搬送部と、堆積物をシート状に成形する成形部と、を備える。
【0003】
また、特許文献1では、搬送ローラーに付着した紙粉を除去するために、ブラシが設けられている。このブラシが回転する搬送ローラーに当接することにより、ブラシが搬送ローラーを清掃することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、ブラシが固定された状態であるため、紙粉の除去が不十分である。さらに、従来では、ブラシが搬送ローラーの全体と接触しているため、紙粉が付着しやすい領域において、紙粉の除去が特に不十分になりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクリーニング装置は、第1回転軸回りに回転することによって、紙粉が付着する部材を清掃し、第1領域と、前記第1領域の前記第1回転軸方向に並んで位置し、前記紙粉の付着量が前記第1領域よりも多い第2領域と、を有するクリーニングローラーと、
前記第1回転軸と異なる方向の第2回転軸回りに回転し、前記第2領域の少なくとも一部に接触して、前記第2領域に付着した前記紙粉を除去する除去部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の繊維構造体製造装置は、繊維を含む材料を堆積させて堆積物を生成する堆積部と、
前記堆積物を加圧してシート状に成形する加圧部材を有する成形部と、
前記加圧部材を清掃するクリーニング装置と、を備え、
前記クリーニング装置は、第1回転軸回りに回転することによって、紙粉が付着した前記加圧部材を清掃し、第1領域と、前記第1領域の前記第1回転軸方向に並んで位置し、前記紙粉の付着量が前記第1領域よりも多い第2領域と、を有するクリーニングローラーと、
前記第1回転軸と異なる方向の第2回転軸回りに回転し、前記第2領域の少なくとも一部に接触して、前記第2領域に付着した前記紙粉を除去する除去部材と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る繊維構造体製造装置を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す繊維構造体製造装置が備えるクリーニング装置の模式図である。
【
図4】
図4は、除去部材の変形例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る繊維構造体製造装置が備えるクリーニング装置の振動付与部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す振動付与部が備える衝突部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のクリーニング装置および繊維構造体製造装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る繊維構造体製造装置を示す概略側面図である。
図2は、
図1に示す繊維構造体製造装置が備えるクリーニング装置の模式図である。
図3は、
図2中矢印A方向から見た図である。
図4は、除去部材の変形例を示す平面図である。
【0011】
なお、以下では、説明の便宜上、
図2~
図4に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、各軸の矢印が向いた方向を「+」、その反対方向を「-」と言う。
【0012】
なお、
図1は、概略構成図であり、繊維構造体製造装置100の各部の位置関係は、図示の位置関係とは異なる。また、
図1において、原料M1、粗砕片M2、解繊物M3、第1選別物M4-1、第2選別物M4-2、第1ウェブM5、細分体M6、混合物M7、第2ウェブM8、シートSが搬送される方向、すなわち、矢印で示す方向を搬送方向とも言う。また、矢印の先端側を搬送方向上流側、矢印の基端側を搬送方向下流側とも言う。
【0013】
図1に示すように、本発明の繊維構造体製造装置100は、原料M1を粗砕、解繊し、結合素材を混合して堆積させ、この堆積物を成形部20によって成形することで成形体を得る装置である。
【0014】
また、繊維構造体製造装置100により製造される成形体は、例えば、再生紙のようなシート状をなしていてもよく、ブロック状をなしていてもよい。また、成形体の密度も特に限定されず、シートのような繊維の密度が比較的高い成形体であってもよく、スポンジ体のような繊維の密度が比較的低い成形体であってもよく、これらの特性が混在する成形体であってもよい。
【0015】
以下では、原料M1は、使用済みまたは不要となった古紙とし、製造される成形体は、再生紙であるシートSとして説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の繊維構造体製造装置100は、原料供給部11と、粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、放出部18と、第2ウェブ形成部19と、成形部20と、切断部21と、ストック部22と、回収部27と、クリーニング装置10と、これらの作動を制御する制御部28と、を備えている。
【0017】
また、繊維構造体製造装置100では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、第2ウェブ形成工程と、シート形成工程と、切断工程と、がこの順に実行される。
【0018】
以下、各部の構成について説明する。
【0019】
原料供給部11は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程を行なう部分である。この原料M1としては、セルロース繊維を含む繊維含有物からなるシート状材料である。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロースを主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロースの他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。また、原料M1は、織布、不織布等、形態は問わない。また、原料M1は、例えば、古紙を解繊して再生、製造されたリサイクルペーパーや、合成紙のユポ紙(登録商標)であってもよいし、リサイクルペーパーでなくてもよい。本実施形態では、原料M1は、使用済みまたは不要となった古紙である。
【0020】
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を、大気中等の気中で粗砕して粗砕片M2を生成する粗砕工程を行なう部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121を有し、回転する粗砕刃121の間を原料M1が通過することにより、粗砕されて粗砕片M2を得ることができる。粗砕部12によって生成された粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
【0021】
解繊部13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行なう部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
【0022】
解繊部13は、例えば本実施形態では、高速回転する回転刃と、回転刃の外周に位置するライナーとを有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、回転刃とライナーとの間に挟まれて解繊される。
【0023】
また、解繊部13は、回転刃の回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。また、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
【0024】
管242の途中には、ブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
【0025】
選別部14は、解繊物M3を、繊維の長さの大小によって選別する選別工程を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後のシートSの製造に適した大きさのものとなっている。その平均長さは、1μm以上、30μm以下であるのが好ましい。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
【0026】
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
【0027】
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。
第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
【0028】
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち、上流側が管241に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
【0029】
また、ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行なう部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
【0030】
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
【0031】
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
【0032】
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、後述する回収部27に回収されることとなる。
【0033】
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
【0034】
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
【0035】
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
【0036】
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、第1選別物M4-1を加湿することができ、よって、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0037】
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
【0038】
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行なう部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
【0039】
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、例えば、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0040】
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と結合剤P1とを混合する混合工程を行なう部分である。この混合部17は、結合剤供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
【0041】
管172は、細分部16のハウジング部162と、放出部18のハウジング部182とを接続しており、細分体M6と結合剤P1との混合物M7が通過する流路である。
【0042】
管172の途中には、結合剤供給部171が接続されている。結合剤供給部171は、スクリューフィーダー174を有している。このスクリューフィーダー174が回転駆動することにより、結合剤P1を粉体または粒子として管172に供給することができる。管172に供給された結合剤P1は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
【0043】
なお、結合剤P1は、後の工程で繊維同士を結着させるものであり、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、澱粉、デキストリン、グリコーゲン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、こんにゃく、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、天然ガム糊(エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム、アカシアアラビヤ系ガム)、繊維誘導糊(エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、海藻類(アルギン酸ソーダ、寒天)、動物性蛋白質(コラーゲン、ゼラチン、加水分解コラーゲン、セリシン)等を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66等のポリアミド(ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはこれを含むものを用いる。
【0044】
なお、結合剤供給部171から供給されるものとしては、結合剤P1の他に、例えば、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集や結合剤P1の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、シートSの紙力を増強するための紙力増強剤等が含まれていてもよい。または、予めそれらを結合剤P1に含ませて複合化したものを結合剤供給部171から供給してもよい。
【0045】
また、管172の途中には、結合剤供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と結合剤P1とが混合される。また、ブロアー173は、放出部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と結合剤P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と結合剤P1とが均一に分散した状態で、放出部18に流入することができる。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
【0046】
放出部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして放出する部分である。放出部18は、ドラム部181と、ドラム部181を収納するハウジング部182とを有する。
【0047】
ドラム部181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部181には、混合物M7が流入してくる。そして、ドラム部181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム部181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされて気中に放出される。
【0048】
ハウジング部182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、例えば気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング部182内を加湿することができ、よって、混合物M7がハウジング部182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0049】
また、ドラム部181でほぐされた混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7から第2ウェブM8を形成する第2ウェブ形成工程を行なう部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
【0050】
メッシュベルト191は、無端ベルトであり、混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。このようなメッシュベルト191は、第2ウェブM8を下流に搬送する搬送部の一部を構成する。
【0051】
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
【0052】
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
【0053】
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
【0054】
放出部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
【0055】
なお、加湿部231~加湿部236までに加えられる合計水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上、20質量部以下であるのが好ましい。
【0056】
第2ウェブ形成部19の下流側には、成形部20が配置されている。成形部20は、第2ウェブM8からシートSを形成するシート形成工程を行なう部分である。この成形部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
【0057】
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。カレンダーローラー203は、第2ウェブM8を下流に搬送する搬送部としての機能も有する。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0058】
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。加熱ローラー204は、第2ウェブM8を下流に搬送する搬送部としての機能も有する。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、結合剤P1が溶融して、この溶融した結合剤P1を介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0059】
成形部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、シートSを切断する切断工程を行なう部分である。この切断部21は、第1切断部211と、第2切断部212とを有する。
【0060】
第1切断部211は、シートSの搬送方向と交差する方向、特に直交する方向にシートSを切断するものである。
【0061】
第2切断部212は、回転する回転刃を有し、第1切断部211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。この切断は、シートSの両側端部の不要な部分を除去して、シートSの幅を整えるものであり、切断除去された部分は、いわゆる「みみ」と呼ばれる。このように、所望の形状、大きさのシートSは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
【0062】
以上説明した繊維構造体製造装置100が備える各部は、制御部28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御部28によって制御される。
【0063】
図1に示すように、制御部28は、CPU(Central Processing Unit)281と、記憶部282と、を有している。CPU281は、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。
【0064】
記憶部282は、例えば、シートSを製造するプログラム等の各種プログラム等が記憶されている。具体的には、記憶部282は、後述する第1モード、第2モードおよび第3モード等を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0065】
また、この制御部28は、繊維構造体製造装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。また、制御部28が外部機器に設けられている場合、制御部28と繊維構造体製造装置100とは、無線で接続されていてもよく、有線で接続されていてもよい。
【0066】
また、CPU281と、記憶部282とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよいし、CPU281が繊維構造体製造装置100に内蔵され、記憶部282が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよいし、記憶部282が繊維構造体製造装置100に内蔵され、CPU281が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0067】
このような制御部28は、クリーニング装置10に属しているととらえることもできるし、繊維構造体製造装置100に属しているととらえることもできる。
【0068】
次に、クリーニング装置10について説明する。
図1~
図3に示すように、クリーニング装置10は、第2ウェブM8やシートS等と接触する部材を清掃する機能を有する。第2ウェブM8やシートS等と接触する部材には、短繊維(以下、「紙粉」と言う)が付着することがあり、クリーニング装置10は、紙粉を除去するものである。クリーニング装置10は、第2ウェブM8やシートS等と接触する部材の全てに設けられていてもよく、これらのうちの1つまたは複数に設けられていてもよい。以下では、カレンダーローラー203に設置されている場合について説明する。
【0069】
図2に示すように、クリーニング装置10は、フェルトローラー3と、フェルトローラー3を回転駆動する駆動部30と、フェルトローラー3に付着した紙粉を除去するクリーニングローラー4と、クリーニングローラー4を回転駆動する駆動部40と、クリーニングローラー4に付着した紙粉を除去する除去部材5と、除去部材5を回転駆動する駆動部50と、除去部材5を清掃する清掃部材6と、を備える。
【0070】
フェルトローラー3は、Y軸方向に沿って延在する長尺状をなし、少なくとも表面がフェルト生地のローラーで構成される。これにより、紙粉の清掃はもちろん、結着剤P1の除去も良好に行うことができる。
【0071】
フェルトローラー3は、本実施形態では、一対のカレンダーローラー203のうち、-Z軸側に位置するカレンダーローラー203と接触し、このカレンダーローラー203を清掃する機能を有する。フェルトローラー3は、カレンダーローラー203の-Z軸方向に配置され、かつ、カレンダーローラー203の長手方向に沿って配置されている。
【0072】
フェルトローラー3がカレンダーローラー203と接触した状態で回転することにより、カレンダーローラー203の表面に付着した紙粉を掃き取る、すなわち、清掃することができる。
【0073】
なお、フェルトローラー3は、省略されていてもよい。すなわち。クリーニングローラー4がカレンダーローラー203や加熱ローラー204を直接清掃する構成であってもよい。
【0074】
駆動部30は、図示しないモーター、減速機等を有し、フェルトローラー3を回転駆動する。駆動部30のモーターは、
図1に示す制御部28と電気的に接続されており、その作動が制御される。
【0075】
クリーニングローラー4は、Y軸方向に沿って延在する長尺状をなし、ブラシローラーで構成される。クリーニングローラー4は、Y軸方向に沿った第1回転軸O1回りに回転する。クリーニングローラー4は、本実施形態では、フェルトローラー3と接触し、フェルトローラー3を清掃する機能を有する。クリーニングローラー4は、フェルトローラー3の-Z軸方向に配置され、かつ、カレンダーローラー203の長手方向に沿って配置されている。
【0076】
クリーニングローラー4がフェルトローラー3と接触した状態で回転することにより、クリーニングローラー4のブラシの毛がフェルト生地内の紙粉を掻き出す、すなわち、清掃することができる。
【0077】
クリーニングローラー4が、ブラシローラーであるため、紙粉が付着する部材を効率よく清掃することができる。
【0078】
駆動部40は、図示しないモーター、減速機等を有し、クリーニングローラー4を回転駆動する。駆動部40のモーターは、
図1に示す制御部28と電気的に接続されており、その作動が制御される。
【0079】
ここで、カレンダーローラー203の外周面のうち、第2ウェブM8の幅方向の両端部、すなわち、Y軸方向の両縁部と接触する領域、および、その周辺の領域B1は、各領域B1の間の領域A1と比べて紙粉が付着しやすい部分である。従って、フェルトローラー3の外周部のうち、カレンダーローラー203の領域B1に対応する領域B2は、各領域B2の間の領域A2と比べて紙粉が付着しやすい。さらには、クリーニングローラー4のうち、領域B2に対応する領域B3は、各領域B3の間の領域A3と比べて紙粉が付着しやすい。なお、領域A3が第1領域であり、領域B3が第2領域である。そこで、クリーニング装置10は、紙粉が付着しやすい領域B3の紙粉を選択的に除去する2つの除去部材5を有する。各除去部材5は、ほぼ同様の構成であるため、以下、一方の除去部材5について説明する。
【0080】
除去部材5は、第1回転軸O1と異なる方向、本実施形態では、第1回転軸O1と直交する方向の第2回転軸O2回りに回転し、領域B3の少なくとも一部に接触して、領域B3に付着した紙粉を除去するものである。すなわち、除去部材5は、X軸方向に沿った第2回転軸O2回りに回転する。そして、除去部材5は、回転することにより、クリーニングローラー4の毛の中に入り込んだ紙粉を掻き出して清掃する。
【0081】
図4に示すように、除去部材5は、板状をなす部材である。これにより、クリーニングローラー4の清掃を効果的に行うことができる。より詳細には、除去部材5がクリーニングローラー4の毛の間に入り込みやすくなり、クリーニングローラー4の清掃を効果的に行うことができる。なお、除去部材5は、枠状をなす部材であってもよい。
【0082】
また、
図2に示すように、除去部材5は、平面視で円形をなしている。これにより、クリーニングローラー4を安定的に清掃することができる。
【0083】
なお、
図4に示すように、除去部材5は、平面視で多角形をなしていてもよい。すなわち、除去部材5は、平面視で複数の角部51を有する形状をなしていてもよい。この場合、角部51がクリーニングローラー4の毛に良好に入り込むことができ、クリーニングローラー4をより確実に清掃することができる。図示の構成では、除去部材5は、12角形をなしているが、角部51の数は、これに限定されない。
【0084】
また、除去部材5の平面視形状における最大外径は、5cm以上30cm以下であるのが好ましく、10cm以上15cm以下であるのがより好ましい。これにより、装置の大型化を防止しつつ、クリーニングローラー4の清掃をより効果的に行うことができる。
【0085】
除去部材5の厚さは、特に限定されないが、0.01cm以上2.0cm以下であるのが好ましく、0.03cm以上1.00cm以下であるのがより好ましい。これにより、除去部材5がクリーニングローラー4に良好に入り込むことができ、クリーニングローラー4の清掃をより効果的に行うことができる。
【0086】
また、除去部材5は、クリーニングローラー4の毛の中に入り込んでいてもよく、入り込んでいなくてもよい。除去部材5がクリーニングローラー4の毛の中に入り込んでいる場合、その入り込み量は、0.1cm以上5cm以下であるのが好ましく、0.2cm以上3cm以下であるのがより好ましい。これにより、クリーニングローラー4の清掃をより効果的に行うことができる。
【0087】
駆動部50は、図示しないモーター、減速機等を有し、除去部材5を回転駆動する。駆動部50のモーターは、
図1に示す制御部28と電気的に接続されており、その作動が制御される。また、駆動部50のモーターは、通電条件を制御されることにより、回転速度、回転方向が可変に構成される。
【0088】
このように、クリーニング装置10は、除去部材5を回転駆動する駆動部50と、駆動部50の作動を制御する制御部28と、を備える。これにより、手動で除去部材5を動かすことなく、クリーニングローラー4の清掃を行うことができる。なお、除去部材5を手動で回転させる構成であってもよい。
【0089】
また、制御部28は、除去部材5を間欠的に回転させる。すなわち、制御部28は、除去部材5が回転および停止を交互に行うよう駆動部50の作動を制御する。これにより、クリーニングローラー4の清掃を効果的に行うことができる。
【0090】
なお、回転している時間T1と、停止している時間T2との比T1/T2は、0.1以上、10以下であるのが好ましく、1.0以上、5.0以下であるのがより好ましい。
【0091】
なお、除去部材5が回転している際の回転速度は、可変であってもよい。また、除去部材5は、連続的に回転する構成であってもよい。
【0092】
このように、紙粉が付着する部材は、繊維を含むシート状物である第2ウェブM8を搬送する搬送部を構成するものであり、第2領域である領域B3は、第2ウェブM8の搬送方向であるX軸方向と交わる方向であるY軸方向の端部に対応する位置に位置している。これにより、クリーニングローラー4のうち、特に紙粉が付着しやすい部分を効率よく清掃することができる。
【0093】
また、クリーニングローラー4の長手方向の中央部に第1領域である領域A3が位置し、クリーニングローラー4の長手方向の一端部および他端部に第2領域である領域B3が位置している。そして、クリーニングローラー4の一端部および他端部に対応して、一対の除去部材5が設けられている。これにより、クリーニングローラー4のうち、紙粉が付着しやすい2か所の双方において、効率よく清掃することができる。
【0094】
また、
図2中左側の除去部材5の回転方向は、図中反時計回りであり、
図2中右側の除去部材5の回転方向は、図中時計回りである。これにより、除去部材5がクリーニングローラー4から掻き出した紙粉がクリーニングローラー4の中央部に向かって飛び散るのを防止することができる。
【0095】
なお、
図2中左側の除去部材5の回転方向は、図中時計回りであり、
図2中右側の除去部材5の回転方向は、図中反時計回りであってもよい。この場合、クリーニングローラー4の中央部付近に紙粉を回収する回収部を設けることにより、簡単な方法で紙粉を回収することができる。
【0096】
このように、各除去部材5は、互いに反対方向に回転する。これにより、クリーニングローラー4の中央部に向かって飛び散るのを防止することができるという利点や、紙粉の回収が容易といった利点を得ることができる。
【0097】
また、クリーニング装置10は、除去部材5を清掃する清掃部材6を備える。清掃部材6は、
図3に示すように、除去部材5を両面側から挟む一対の当接部材61を有する。当接部材61は、それぞれ、除去部材5の+X軸側と、除去部材5の-X軸側とに設けられている。各当接部材61は、除去部材5と接触する部分が、例えばフェルト生地で構成され、除去部材5が回転することにより、除去部材5に付着した紙粉が各当接部材61に拭き取られ、清掃される。
【0098】
このように、クリーニング装置10は、除去部材5を清掃する清掃部材6を備える。これにより、除去部材5に付着した紙粉を除去することができる。
【0099】
また、清掃部材6は、除去部材5に直接接触して除去部材5を清掃する当接部材61を有する。これにより、除去部材5に付着した紙粉をより効果的に除去することができる。
【0100】
以上説明したように、本発明のクリーニング装置10は、第1回転軸O1回りに回転することによって、紙粉が付着する部材であるフェルトローラー3を清掃し、第1領域である領域A3と、領域A3の第1回転軸O1方向に並んで位置し、紙粉の付着量が領域A3よりも多い第2領域である領域B3と、を有するクリーニングローラー4と、第1回転軸O1と異なる方向の第2回転軸O2回りに回転し、領域B3の少なくとも一部に接触して、領域B3に付着した紙粉を除去する除去部材5と、を備える。これにより、クリーニングローラー4に付着した紙粉を効果的に除去することができる。さらに、クリーニングローラー4のうち、紙粉が付着しやすい領域B3を効果的に清掃することができる。
【0101】
また、本発明の繊維構造体製造装置100は、繊維を含む材料を堆積させて堆積物である第2ウェブM8を生成する堆積部である第2ウェブ形成部19と、堆積物を加圧してシート状に成形する加圧部材であるカレンダーローラー203を有する成形部20と、カレンダーローラー203を清掃するクリーニング装置10と、を備える。また、クリーニング装置10は、第1回転軸O1回りに回転することによって、紙粉が付着したカレンダーローラー203を清掃し、第1領域である領域A3と、領域A3の第1回転軸O1方向に並んで位置し、紙粉の付着量が領域A3よりも多い第2領域である領域B3と、を有するクリーニングローラー4と、第1回転軸O1と異なる方向の第2回転軸O2回りに回転し、領域B3の少なくとも一部に接触して、領域B3に付着した紙粉を除去する除去部材5と、を備える。これにより、クリーニング装置10の利点を享受することができる。また、クリーニングローラー4がカレンダーローラー203を直接的または間接的に効果的に清掃することができる。よって、カレンダーローラー203に紙粉が付着していないまたは紙粉の付着量が少ない状態を維持することができる。その結果、第2ウェブM8の加圧を精度よく行うことができ、品質の高い繊維構造体を製造することができる。
【0102】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る繊維構造体製造装置が備えるクリーニング装置の振動付与部を示す斜視図である。
図6は、
図5に示す振動付与部が備える衝突部材の斜視図である。
図7は、
図5に示す振動付与部の縦断面図である。
【0103】
以下、これらの図を参照して本発明のクリーニング装置および繊維構造体製造装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0104】
図5に示すように、本実施形態では、清掃部材6は、除去部材5に振動を付与する振動付与部62を有する。振動付与部62は、除去部材5に接続されたシャフト63と、シャフト63に連結された衝突部材64と、シャフト63に連結されたワンウェイクラッチ65と、ワンウェイクラッチ66と、支持部材67と、を有する。シャフト63には、図中左から、ワンウェイクラッチ65、衝突部材64、支持部材67、ワンウェイクラッチ66および除去部材5の順でこれらが挿通または連結されている。
シャフト63は、支持部材67によって回転可能に支持されている。
【0105】
図6に示すように、衝突部材64は、シャフト63を挿通する挿通孔641を有する円板状をなしている。また、挿通孔641は、切り欠き643を有する。また、衝突部材64は、ワンウェイクラッチ65側に向かって突出した突出部642を有する。突出部642は、挿通孔641を介して一対設けられている。
【0106】
また、衝突部材64は、ばね644によってワンウェイクラッチ65側に向かって付勢されている。このような衝突部材64は、シャフト63に固定されており、シャフト63とともに回転する。
【0107】
ワンウェイクラッチ65は、ギアを内蔵している。ワンウェイクラッチ65は、シャフト63と係合してシャフト63および衝突部材64とともに回転する第1状態と、シャフト63に対して滑り、シャフト63および衝突部材64とともに回転しない第2状態と、をとり得る。
【0108】
また、
図7に示すように、ワンウェイクラッチ65は、衝突部材64側に突出した傾斜面651を有する。傾斜面651は、突出部642が当接する部分である。
【0109】
第2状態では、ワンウェイクラッチ65と衝突部材64とは、相対的に回転する。この際、衝突部材64の突出部642が傾斜面651を摺動すると、衝突部材64が、ばね644の付勢力に抗してワンウェイクラッチ65から離間する方向に移動する。そして、突出部642が傾斜面651の先の段差を乗り越える際、
図7に示すように、衝突部材64は、ばね644の付勢力によってワンウェイクラッチ65に打ち付けられる。この衝撃により振動が発生し、シャフト63を介して除去部材5に伝達される。これにより、除去部材5に付着した紙粉を振るい落とすことができる。
【0110】
なお、衝突部材64がワンウェイクラッチ65に対して接近、離間する際、衝突部材64の切り欠き643を、シャフト63に固定された図示しないキーが移動することにより、衝突部材64のワンウェイクラッチ65に対する接近、離間が安定的に行われる。
【0111】
このような第1状態および第2状態の切替回数は、クリーニングローラー4が1周回転する間に、5回以上20回以下であるのが好ましく、7回以上15回以下であるのがより好ましい。これにより、除去部材5に付着した紙粉をより確実に振るい落とすことができる。
【0112】
このように、清掃部材6は、除去部材5に振動を付与する振動付与部62を有する。これにより、振動を発生させるという簡単な方法によって、除去部材5の清掃を行うことができる。
【0113】
以上、本発明のクリーニング装置および繊維構造体製造装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、クリーニング装置および繊維構造体製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0114】
また、本発明のクリーニング装置および繊維構造体製造装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成や特徴を組み合わせたものであってもよい。
【0115】
なお、各除去部材の間に、第1領域を清掃する清掃ローラーを備えていてもよい。この場合、清掃ローラーは、第1軸と平行な第3軸回りに回転する構成であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0116】
3…フェルトローラー、4…クリーニングローラー、5…除去部材、6…清掃部材、10…クリーニング装置、11…原料供給部、12…粗砕部、13…解繊部、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…放出部、19…第2ウェブ形成部、20…成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御部、30…駆動部、40…駆動部、50…駆動部、51…角部、61…当接部材、62…振動付与部、63…シャフト、64…衝突部材、65…ワンウェイクラッチ、66…ワンウェイクラッチ、67…支持部材、100…繊維構造体製造装置、121…粗砕刃、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、171…結合剤供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム部、182…ハウジング部、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1切断部、212…第2切断部、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、241…管、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…CPU、282…記憶部、641…挿通孔、642…突出部、643…切り欠き、644…ばね、651…傾斜面、A…矢印、A1…領域、A2…領域、A3…領域、B1…領域、B2…領域、B3…領域、M1…原料、M2…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、O1…第1回転軸、O2…第2回転軸、P1…結合剤、S…シート