(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】パワーカード
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20250212BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20250212BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/46 Z
(21)【出願番号】P 2021066704
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄太
(72)【発明者】
【氏名】佐野 友久
(72)【発明者】
【氏名】大前 翔一朗
(72)【発明者】
【氏名】川島 崇功
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/188368(WO,A1)
【文献】特開2015-185834(JP,A)
【文献】特開2020-096009(JP,A)
【文献】特開2015-186438(JP,A)
【文献】特開2007-251076(JP,A)
【文献】特開2015-095963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01L25/00 -25/07
H01L25/10 -25/11
H01L25/16 -25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延長する内部空間に冷媒の流動する冷却部(730)に、前記横方向に直交する高さ方向で並ぶ態様で設けられるパワーカードであって、
第1電極(141a)、第2電極(141b)、および、前記第1電極と前記第2電極との間の通電状態を制御するための第1制御電極(141c)を有する
、2つの第1スイッチ(141)と、
第3電極(151a)、第4電極(151b)、および、前記第3電極と前記第4電極との間の通電状態を制御するための第2制御電極(151c)を有する
、2つの第2スイッチ(151)と、
2つの前記第1電極と接続される第1導電部(471)と、
2つの前記第3電極と接続される第3導電部(472)と、が第1内面(430e)に搭載される第1絶縁板(430)と、
2つの前記第2電極と接続される第2導電部(310,441)と
2つの前記第4電極と接続される第4導電部(320,442)それぞれの一部が第2内面(460e)に搭載される第2絶縁板(460)と、
前記第2導電部と前記第3導電部とを接続する
、1つの中継導電部(330)と、
2つの前記第1スイッチ、
2つの前記第2スイッチ、前記第1導電部、前記第2導電部、前記第3導電部、前記第4導電部、および、前記中継導電部を被覆する樹脂部(600)と、
2つの前記第1スイッチと
2つの前記第2スイッチそれぞれと電気的に接続され、一部が前記樹脂部から露出される複数の外部接続端子(500)と、を有し、
2つの前記第1スイッチは前記第1導電部と前記第2導電部とによって電気的に並列接続され、
2つの前記第2スイッチは前記第3導電部と前記第4導電部とによって電気的に並列接続され、
並列接続された2つの前記第1スイッチと、並列接続された2つの前記第2スイッチとが、1つの前記中継導電部によって電気的に直列接続され、
前記横方向で2つの前記第1スイッチが並び、
前記横方向で2つの前記第2スイッチが並び、
前記横方向と前記高さ方向それぞれに直交する縦方向で
2つの前記第1スイッチと
2つの前記第2スイッチとが並び、
1つの前記中継導電部は前記縦方向において2つの前記第1スイッチと2つの前記第2スイッチとの間に位置し、
1つの前記中継導電部は前記縦方向よりも前記横方向に延長し、
1つの前記中継導電部の全ての前記横方向の位置が、2つの前記第1スイッチの幾何学的中心の前記横方向の位置の間にあり、
1つの前記中継導電部の前記縦方向への投影領域が、2つの前記第1スイッチと前記第2導電部、および、2つの前記第2スイッチと前記第4導電部それぞれに位置しているパワーカード。
【請求項2】
前記樹脂部は、前記縦方向で離間する上面(600c)と下面(600d)を有し、
前記第1スイッチは、前記縦方向において前記上面側に位置し、
前記第2スイッチは、前記縦方向において前記下面側に位置し、
複数の前記外部接続端子の先端が前記上面と前記下面それぞれから突出している請求項
1に記載のパワーカード。
【請求項3】
複数の前記外部接続端子には、前記第1電極と電気的に接続される正極端子(510)と、前記第4電極と電気的に接続される負極端子(520)と、前記第2電極および前記第3電極それぞれと電気的に接続される中点端子(530)と、前記第1制御電極と電気的に接続される第1制御端子(541)と、前記第2制御電極と電気的に接続される第2制御端子(542)と、が含まれ、
前記正極端子、前記負極端子、および、前記第1制御端子それぞれの先端が前記上面から突出し、
前記中点端子、および、前記第2制御端子それぞれの先端が前記下面から突出している請求項
2に記載のパワーカード。
【請求項4】
前記正極端子と前記負極端子のうちの少なくとも一方の先端が複数に分岐し、
前記正極端子と前記負極端子のうちの少なくとも一方の分岐した複数の先端は、前記横方向に直交する基準面によって分けられる第1分配空間側と第2分配空間側に分配配置され、
前記第1制御端子は、前記横方向において、前記第1分配空間側に設けられた前記正極端子および前記負極端子のうちの少なくとも一方の先端と、前記第2分配空間側に設けられた前記正極端子および前記負極端子のうちの少なくとも一方の先端との間に位置している請求項
3に記載のパワーカード。
【請求項5】
前記正極端子と前記負極端子それぞれの先端が複数に分岐し、
前記正極端子の分岐した複数の先端は、前記第1分配空間側と前記第2分配空間側に分配配置され、
前記負極端子の分岐した複数の先端は、前記第1分配空間側と前記第2分配空間側に分配配置されている請求項
4に記載のパワーカード。
【請求項6】
複数の前記正極端子の先端と複数の前記負極端子の先端のうちの少なくとも一方は、前記第1分配空間側と前記第2分配空間側に均等に分配配置されている請求項
5に記載のパワーカード。
【請求項7】
前記正極端子と前記負極端子のうちの一方に含まれる複数の先端の全ては、前記横方向において、前記第1分配空間側に分配配置された前記正極端子と前記負極端子のうちの他方の先端と、前記第2分配空間側に分配配置された前記正極端子と前記負極端子のうちの他方の先端との間に位置している請求項
5または請求項6に記載のパワーカード。
【請求項8】
前記中点端子の先端が複数に分岐し、
前記第2制御端子は、前記横方向において、複数の前記中点端子の先端の間に位置している請求項
3~7のいずれか1項に記載のパワーカード。
【請求項9】
複数の前記中点端子の先端は、前記横方向において、前記第2制御端子を介して等分配されている請求項
8に記載のパワーカード。
【請求項10】
前記第1スイッチと前記第2スイッチの物理量を検出するセンサ(160)を有し、
前記センサのセンサ端子(550)の先端が前記下面から突出し、前記横方向において、複数の前記中点端子の先端の間に位置している請求項
8または請求項9に記載のパワーカード。
【請求項11】
前記第1スイッチを含み、第1主面(200b)に前記第1電極が形成され、前記第1主面の裏側の第2主面(200a)に前記第2電極が形成された第1半導体チップ(210)と、
前記第2スイッチを含み、第3主面(200b)に前記第3電極が形成され、前記第3主面の裏側の第4主面(200a)に前記第4電極が形成された第2半導体チップ(220)と、を有する請求項
1~10のいずれか1項に記載のパワーカード。
【請求項12】
前記第4導電部の前記高さ方向への投影領域に前記第1導電部の一部が位置している請求項
11に記載のパワーカード。
【請求項13】
前記第1絶縁板の前記第1内面の裏側の第1外面(430f)に搭載され、前記高さ方向で前記第1導電部および前記第3導電部それぞれと並ぶ第1放熱部(450)と、
前記第2絶縁板の前記第2内面の裏側の第2外面(460f)に搭載され、前記高さ方向で前記第2導電部および前記第4導電部それぞれと並ぶ第2放熱部(480)と、を有する請求項
11または請求項12に記載のパワーカード。
【請求項14】
複数の前記外部接続端子の一部が前記第1絶縁板と前記第2絶縁板との間に位置している請求項
13に記載のパワーカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、冷却器に設けられるパワーカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、2つのIGBTと、これらを被覆する封止樹脂体と、を有する半導体モジュールが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される構成では、2つのIGBT(スイッチ)で温度差が生じる虞がある。
【0005】
本開示の目的は、複数のスイッチで温度差が生じることの抑制されたパワーカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるパワーカードは、 横方向に延長する内部空間に冷媒の流動する冷却部(730)に、横方向に直交する高さ方向で並ぶ態様で設けられるパワーカードであって、
第1電極(141a)、第2電極(141b)、および、第1電極と第2電極との間の通電状態を制御するための第1制御電極(141c)を有する、2つの第1スイッチ(141)と、
第3電極(151a)、第4電極(151b)、および、第3電極と第4電極との間の通電状態を制御するための第2制御電極(151c)を有する、2つの第2スイッチ(151)と、
2つの第1電極と接続される第1導電部(471)と、2つの第3電極と接続される第3導電部(472)と、が第1内面(430e)に搭載される第1絶縁板(430)と、
2つの第2電極と接続される第2導電部(310,441)と、2つの第4電極と接続される第4導電部(320,442)それぞれの一部が第2内面(460e)に搭載される第2絶縁板(460)と、
第2導電部と第3導電部とを接続する、1つの中継導電部(330)と、
2つの第1スイッチ、2つの第2スイッチ、第1導電部、第2導電部、第3導電部、第4導電部、および、中継導電部を被覆する樹脂部(600)と、
2つの第1スイッチと2つの第2スイッチそれぞれと電気的に接続され、一部が樹脂部から露出される複数の外部接続端子(500)と、を有し、
2つの第1スイッチは第1導電部と第2導電部とによって電気的に並列接続され、
2つの第2スイッチは第3導電部と第4導電部とによって電気的に並列接続され、
並列接続された2つの第1スイッチと、並列接続された2つの第2スイッチとが、1つの中継導電部によって電気的に直列接続され、
横方向で2つの第1スイッチが並び、
横方向で2つの第2スイッチが並び、
横方向と高さ方向それぞれに直交する縦方向で2つの第1スイッチと2つの第2スイッチとが並び、
1つの中継導電部は縦方向において2つの第1スイッチと2つの第2スイッチとの間に位置し、
1つの中継導電部は縦方向よりも横方向に延長し、
1つの中継導電部の全ての横方向の位置が、2つの第1スイッチの幾何学的中心の横方向の位置の間にあり、
1つの中継導電部の縦方向への投影領域が、2つの第1スイッチと第2導電部、および、2つの第2スイッチと第4導電部それぞれに位置している。
【0007】
これによれば、1つの樹脂部(600)に被覆された第1スイッチ(141)と第2スイッチ(151)それぞれと冷媒との熱交換効率に差の生じることが抑制される。第1スイッチ(141)と第2スイッチ(151)で温度差の生じることが抑制される。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】
図5に示すVI-VI線に沿う断面図である。
【
図7】
図5に示すVII-VII線に沿う断面図である。
【
図10】第2導電プレートに半導体チップとはんだの設けられた状態を示す平面図である。
【
図11】第2導電プレートにターミナルブロックと接続端子の設けられた状態を示す平面図である。
【
図12】第2導電プレートに第1導電プレートの設けられた状態を示す平面図である。
【
図20】3つの半導体モジュールに相バスバ、Pバスバ、Nバスバの接続された状態を示す斜視図である。
【
図21】3つの半導体モジュールに相バスバ、Pバスバ、Nバスバの接続された状態を示す上面図である。
【
図22】半導体モジュールに相バスバ、Pバスバ、Nバスバの接続された状態を示す側面図である。
【
図23】半導体モジュールに相バスバ、Pバスバ、Nバスバの接続された状態を示す側面図である。
【
図24】第1導電プレートの変形例を示す外面図である。
【
図25】第2導電プレートの変形例を示す外面図である。
【
図26】パワーカードの変形例を示す断面図である。
【
図27】パワーカードの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせが可能である。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、組み合わせが可能であることを明示していなくても、実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
<車載システム>
先ず、
図1に基づいて車載システム10を説明する。この車載システム10は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム10は、バッテリ20、電力変換ユニット30、および、モータ40を有する。
【0013】
また車載システム10は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ20のSOCに応じたモータ40の力行と回生が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0014】
バッテリ20は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ20のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0015】
電力変換ユニット30の備える電力変換装置50はバッテリ20とモータ40との間の電力変換を行う。電力変換装置50はバッテリ20の直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置50はモータ40の発電(回生)によって生成された交流電力を直流電力に変換する。
【0016】
モータ40は図示しない電気自動車の車軸に連結されている。モータ40の回転エネルギーは車軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは車軸を介してモータ40に伝達される。図面においてモータ40をMGと表記している。
【0017】
モータ40は電力変換装置50から供給される交流電力によって力行する。これにより推進力が走行輪に付与される。また、モータ40は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生で発生した交流電力が電力変換装置50で直流電力に変換される。この直流電力がバッテリ20に供給される。この直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0018】
<電力変換装置>
次に電力変換装置50を説明する。電力変換装置50はインバータを含んでいる。インバータはバッテリ20の直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ40に供給される。またインバータはモータ40で生成された交流電力を直流電力に変換する。この直流電力がバッテリ20と各種電気負荷に供給される。
【0019】
図1に示すように電力変換装置50にはPバスバ101とNバスバ102が含まれている。これらPバスバ101とNバスバ102にバッテリ20が接続される。Pバスバ101はバッテリ20の正極に接続される。Nバスバ102はバッテリ20の負極に接続される。
【0020】
また、電力変換装置50にはU相バスバ103、V相バスバ104、および、W相バスバ105が含まれている。これら3つの相バスバにモータ40が接続される。
図1ではこれら各種バスバなどの導電部材の接続箇所を白丸で示している。これら接続箇所は例えばボルトや溶接などによって電気的に接続されている。
【0021】
電力変換装置50は平滑コンデンサ110、パワーカード120、および、制御基板130を有する。
【0022】
平滑コンデンサ110は2つの電極を有する。これら2つの電極のうちの一方にPバスバ101が接続されている。2つの電極のうちの他方にNバスバ102が接続されている。
【0023】
パワーカード120としてU相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123がある。U相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれはハイサイドスイッチ141とハイサイドダイオード142を有する。また、これら3つの半導体モジュールそれぞれはローサイドスイッチ151とローサイドダイオード152を有する。
【0024】
U相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123の構成は同等である。
図1ではこれら3つの半導体モジュールのうちU相半導体モジュール121だけを詳しく図示している。
【0025】
本実施形態では、ハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151としてnチャネル型のMOSFETを採用している。
【0026】
ハイサイドスイッチ141のドレイン141aにハイサイドダイオード142のカソードが接続されている。ハイサイドスイッチ141のソース141bにハイサイドダイオード142のアノードが接続されている。これによりハイサイドスイッチ141にハイサイドダイオード142が逆並列接続されている。ハイサイドスイッチ141のドレイン141aとソース141bが第1電極と第2電極に相当する。
【0027】
ローサイドスイッチ151のドレイン151aにローサイドダイオード152のカソードが接続されている。ローサイドスイッチ151のソース151bにローサイドダイオード152のアノードが接続されている。これによりローサイドスイッチ151にローサイドダイオード152が逆並列接続されている。ローサイドスイッチ151のドレイン151aとソース151bが第3電極と第4電極に相当する。
【0028】
本実施形態のU相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれはハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151を2つずつ有する。また、U相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれはハイサイドダイオード142とローサイドダイオード152を2つずつ有する。
【0029】
2つのハイサイドスイッチ141のドレイン141a同士が接続されるとともに、ソース141b同士が接続されている。これにより2つのハイサイドスイッチ141が並列接続されている。
【0030】
2つのローサイドスイッチ151のドレイン151a同士が接続されるとともに、ソース151b同士が接続されている。これにより2つのローサイドスイッチ151が並列接続されている。
【0031】
並列接続された2つのハイサイドスイッチ141のソース141bが、並列接続された2つのローサイドスイッチ151のドレイン151aに接続されている。これにより、並列接続された2つのハイサイドスイッチ141と並列接続された2つのローサイドスイッチ151が直列接続されている。
【0032】
図1に示すように、並列接続された2つのハイサイドスイッチ141のドレイン141aがPバスバ101に接続されている。並列接続された2つのローサイドスイッチ151のソース151bがNバスバ102に接続されている。これにより並列接続された2つのハイサイドスイッチ141と並列接続された2つのローサイドスイッチ151がPバスバ101からNバスバ102へ向かって順に直列接続されている。
【0033】
U相半導体モジュール121の備えるハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151との間の中点がU相バスバ103を介してモータ40のU相ステータコイルに接続されている。V相半導体モジュール122の備えるハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151との間の中点がV相バスバ104を介してV相ステータコイルに接続されている。W相半導体モジュール123の備えるハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151との間の中点がW相バスバ105を介してW相ステータコイルに接続されている。これによりバッテリ20とモータ40とが3相の半導体モジュールを介して接続されている。
【0034】
U相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれに含まれるハイサイドスイッチ141のゲート141cとローサイドスイッチ151のゲート151cが制御基板130に接続されている。これにより3相の半導体モジュールが制御基板130に接続されている。ハイサイドスイッチ141のゲート141cが第1制御電極に相当する。ローサイドスイッチ151のゲート151cが第2制御電極に相当する。
【0035】
また、U相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれは温度センサ160を有する。この温度センサ160も制御基板130に接続されている。
【0036】
制御基板130にはゲートドライバが含まれている。制御基板130若しくは他の基板に複数のECUのうちの1つが含まれている。図面において制御基板130をCBと表記している。
【0037】
ゲートドライバと電気的に接続されたECUは、ハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151を通電状態と遮断状態とに制御する制御信号を生成する。ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整している。このオンデューティ比と周波数は図示しない電流センサや回転角センサの出力、および、モータ40の目標トルクやバッテリ20のSOCなどに基づいて決定される。
【0038】
ECUで生成された制御信号はゲートドライバで増幅される。この増幅された制御信号がハイサイドスイッチ141のゲート141cとローサイドスイッチ151のゲート151cに入力される。
【0039】
モータ40を力行する場合、ECUは制御信号によって3相の半導体モジュールの備えるスイッチをPWM制御する。これにより電力変換装置50で3相交流が生成される。
【0040】
モータ40が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これにより発電によって生成された交流電力が3相の半導体モジュールの備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
【0041】
<パワーカード>
次に、パワーカード120の構成を説明する。すなわち、U相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123の構成を説明する。
【0042】
以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。図面では「方向」の記載を省略して、単に、x、y、zと表記している。x方向が横方向に相当する。y方向が縦方向に相当する。z方向が高さ方向に相当する。
【0043】
図2に示すようにパワーカード120は、半導体チップ200、ターミナルブロック300、導電プレート400、および、接続端子500を有する。
図3~
図5に示すようにパワーカード120は被覆樹脂600を有する。
【0044】
半導体チップ200にはこれまでに説明したスイッチやダイオードなどの半導体素子が形成されている。ターミナルブロック300と導電プレート400は半導体素子を電気的に接続する機能を果たす。接続端子500は半導体素子と各種バスバおよび制御基板130それぞれとを電気的に接続する機能を果たす。被覆樹脂600は半導体チップ200、ターミナルブロック300、導電プレート400、および、接続端子500それぞれを被覆保護するとともに一体的に連結する機能を果たす。接続端子500が外部接続端子に相当する。被覆樹脂600が樹脂部に相当する。
【0045】
<半導体チップ>
半導体チップ200は第1半導体チップ210と第2半導体チップ220を有する。第1半導体チップ210と第2半導体チップ220はSiなどの半導体若しくはSiCなどのワイドギャップ半導体で形成されている。第1半導体チップ210と第2半導体チップ220の形成材料は同一でも不同でもよい。
【0046】
第1半導体チップ210にハイサイドスイッチ141とハイサイドダイオード142が形成されている。ハイサイドダイオード142はハイサイドスイッチ141の寄生ダイオードでもよいし、それとは別のダイオードでもよい。
【0047】
第2半導体チップ220にローサイドスイッチ151とローサイドダイオード152が形成されている。ローサイドダイオード152はローサイドスイッチ151の寄生ダイオードでもよいし、それとは別のダイオードでもよい。
【0048】
図6と
図7に示すように第1半導体チップ210と第2半導体チップ220はそれぞれz方向の厚さの薄い平板形状を成している。第1半導体チップ210と第2半導体チップ220はそれぞれz方向に並ぶ表面200aと裏面200bを有する。
図2に示すように、表面200aにソース電極201が形成されている。図示しないが、裏面200bにドレイン電極が形成されている。また、表面200aにゲート電極203とセンサ電極204が形成されている。
【0049】
第1半導体チップ210の裏面200bが第1主面に相当する。第1半導体チップ210の表面200aが第2主面に相当する。第2半導体チップ220の裏面200bが第3主面に相当する。第2半導体チップ220の表面200aが第4主面に相当する。
【0050】
なお、本実施形態では、センサ電極204は第1半導体チップ210と第2半導体チップ220のうち第2半導体チップ220のみに形成されている。温度センサ160は第2半導体チップ220に形成されている。
【0051】
ハイサイドスイッチ141とハイサイドダイオード142は、第1半導体チップ210のソース電極201とドレイン電極との間で電流の流れる縦型構造になっている。ローサイドスイッチ151とローサイドダイオード152は、第2半導体チップ220のソース電極201とドレイン電極との間で電流の流れる縦型構造になっている。
【0052】
半導体チップ200は第1半導体チップ210と第2半導体チップ220それぞれを2つ有している。これら2つの第1半導体チップ210と2つの第2半導体チップ220それぞれにターミナルブロック300と導電プレート400が電気的に接続される。
【0053】
<ターミナルブロック>
ターミナルブロック300は、第1ターミナルブロック310、第2ターミナルブロック320、および、第3ターミナルブロック330を有する。
【0054】
第1ターミナルブロック310、第2ターミナルブロック320、および、第3ターミナルブロック330それぞれは直方体形状を成している。これら3つのブロックのz方向に直交する平面の形状は矩形になっている。第1ターミナルブロック310と第2ターミナルブロック320はx方向とy方向の長さに極端な差のない形状になっている。第3ターミナルブロック330はy方向よりもx方向に延長する形状になっている。
【0055】
第1ターミナルブロック310、第2ターミナルブロック320、および、第3ターミナルブロック330それぞれはz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。
図6と
図7に示すようにこれら3つのブロックはz方向で並ぶ第1端面300aと第2端面300bを有する。
【0056】
ターミナルブロック300は第1ターミナルブロック310を2つ有する。2つの第1ターミナルブロック310の第2端面300b側が2つの第1半導体チップ210に個別に接続される。2つの第1ターミナルブロック310の第1端面300a側が後述の第1導電プレート410に接続される。
【0057】
ターミナルブロック300は第2ターミナルブロック320を2つ有する。2つの第2ターミナルブロック320の第2端面300b側が2つの第2半導体チップ220に個別に接続される。2つの第2ターミナルブロック320の第1端面300a側が第1導電プレート410に接続される。
【0058】
ターミナルブロック300は第3ターミナルブロック330を1つ有する。第3ターミナルブロック330の第2端面300b側が後述の第2導電プレート420に接続される。第3ターミナルブロック330の第1端面300a側が第1導電プレート410に接続される。
【0059】
<導電プレート>
導電プレート400は第1導電プレート410と第2導電プレート420を有する。
【0060】
第1導電プレート410と第2導電プレート420それぞれはz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。第1導電プレート410と第2導電プレート420はz方向で離間して配置される。これら2つのプレートの間に半導体チップ200とターミナルブロック300が設けられる。
【0061】
<第1導電プレート>
図6~
図8に示すように第1導電プレート410は、第1絶縁板430、第1通電部440、および、第1放熱部450を有する。第1絶縁板430の形成材料は樹脂やセラミックである。第1通電部440と第1放熱部450の形成材料は銅などの導電性を有する金属材料である。本実施形態では、第1通電部440と第1放熱部450の形成材料は同一である。なお、第1放熱部450の形成材料は導電性を備えていなくともよい。
【0062】
第1絶縁板430はz方向の厚さの薄い平板形状を成している。第1絶縁板430はx方向で並ぶ第1左側面430aと第1右側面430b、y方向で並ぶ第1上側面430cと第1下側面430d、および、z方向で並ぶ第1内面430eと第1外面430fを有する。
【0063】
第1内面430eに第1通電部440が設けられている。第1外面430fに第1放熱部450が設けられている。
【0064】
図8に示すように第1通電部440は第1上側通電部441と第1下側通電部442を有する。これら第1上側通電部441と第1下側通電部442のz方向に直交する平面の形状は異なっている。
【0065】
第1上側通電部441はy方向よりもx方向に長い矩形を成している。第1上側通電部441はy方向において第1上側面430c側に位置している。
【0066】
第1下側通電部442は、基部443と、第1折り返し部444と、第2折り返し部445と、を有する。基部443はy方向よりもx方向に長い矩形を成している。基部443は第1上側通電部441よりもy方向の長さが短くなっている。基部443はy方向において第1下側面430d側に位置している。基部443と第1上側通電部441はy方向で離間して並んでいる。
【0067】
第1折り返し部444は基部443の有するx方向で離間して並ぶ2つの端部のうちの第1左側面430a側の端部に一体的に連結されている。第1折り返し部444は基部443から第1上側面430c側に向かってy方向に延びている。
【0068】
第2折り返し部445は基部443の有するx方向で離間して並ぶ2つの端部のうちの第1右側面430b側の端部に一体的に連結されている。第2折り返し部445は基部443から第1上側面430c側に向かってy方向に延びている。
【0069】
第1折り返し部444と第2折り返し部445はx方向で離間して並んでいる。これら第1折り返し部444と第2折り返し部445の間に第1上側通電部441が位置している。
【0070】
第1放熱部450は第1通電部440とz方向で並んでいる。第1放熱部450は第1通電部440とz方向に直交する平面の形状が同一になっている。そのためにその説明を省略する。
【0071】
<第2導電プレート>
図6、
図7、および、
図9に示すように第2導電プレート420は、第2絶縁板460、第2通電部470、および、第2放熱部480を有する。第2絶縁板460の形成材料は樹脂やセラミックである。第2通電部470と第2放熱部480の形成材料は銅などの導電性を有する金属材料である。なお、第2放熱部480の形成材料は導電性を備えていなくともよい。
【0072】
本実施形態では、第1絶縁板430と第2絶縁板460の形成材料は同一である。第1通電部440と第2通電部470の形成材料は同一である。第1放熱部450と第2放熱部480の形成材料は同一である。
【0073】
第2絶縁板460はz方向の厚さの薄い平板形状を成している。第2絶縁板460はx方向で並ぶ第2左側面460aと第2右側面460b、y方向で並ぶ第2上側面460cと第2下側面460d、および、z方向で並ぶ第2内面460eと第2外面460fを有する。
【0074】
第2内面460eに第2通電部470が設けられている。第2外面460fに第2放熱部480が設けられている。
【0075】
図9に示すように第2通電部470は第2上側通電部471と第2下側通電部472を有する。これら第2上側通電部471と第2下側通電部472のz方向に直交する平面の形状は、y方向よりもx方向に長い矩形を成している。第2下側通電部472は第2上側通電部471よりもy方向の長さが長くなっている
【0076】
第2上側通電部471は第2上側面460c側に位置している。第2下側通電部472は第2下側面460d側に位置している。第2上側通電部471と第2下側通電部472はy方向で離間して並んでいる。
【0077】
第2放熱部480は第2通電部470とz方向で並んでいる。第2放熱部480は第2通電部470とz方向に直交する平面の形状が同一になっている。そのためにその説明を省略する。
【0078】
<接続端子>
図2に示すように接続端子500は、ドレイン端子510、ソース端子520、中点端子530、ゲート端子540、および、センサ端子550を有する。これら端子は銅などの導電性の金属材料をプレス加工することで製造される。ドレイン端子510が正極端子に相当する。ソース端子520が負極端子に相当する。
【0079】
ドレイン端子510、ソース端子520、および、中点端子530それぞれはy方向に延長している。ただし、本実施形態では、ソース端子520の一部が屈曲している。係る屈曲により、ソース端子520における延長方向の両端に位置する2つの端部のz方向の位置が異なっている。なお、これとは逆に、ドレイン端子510と中点端子530それぞれの一部が屈曲することで、これら端子の延長方向の両端に位置する2つの端部のz方向の位置が異なる構成を採用することもできる。
【0080】
ゲート端子540とセンサ端子550それぞれはy方向に延びるとともに、屈曲して、z方向に延長している。
【0081】
本実施形態では、接続端子500はドレイン端子510、ソース端子520、および、中点端子530それぞれを2つ有する。接続端子500はゲート端子540を4つ、センサ端子550を2つ有する。
【0082】
図2に示すように、以上に示した複数の各種端子はy方向において第2絶縁板460の第2上側面460c側と第2下側面460d側とに分けて配置されている。第2上側面460c側に2つのドレイン端子510、2つのソース端子520、および、2つのゲート端子540が配置されている。第2下側面460d側に2つの中点端子530、2つのゲート端子540、および、2つのセンサ端子550が配置されている。
【0083】
以下においては表記を簡便とするため、第2上側面460c側に配置されるゲート端子540を第1ゲート端子541と表記する。第2下側面460d側に配置されるゲート端子540を第2ゲート端子542と表記する。第1ゲート端子541が第1制御端子に相当する。第2ゲート端子542が第2制御端子に相当する。
【0084】
<分配配置>
図5と
図12に、半導体モジュールの中心を通り、なおかつx方向に対して直交する基準面BSを二点鎖線で示す。複数の各種端子は、この基準面BSを介して分けられる第1分配空間と第2分配空間とに均等に分配配置されている。そして複数の各種端子は基準面BSを介して対称配置されている。
【0085】
第2上側面460c側では、ドレイン端子510、ソース端子520、および、第1ゲート端子541それぞれが、1つずつ第1分配空間と第2分配空間に分配配置されている。これら6つの端子がx方向で離間して並んでいる。
【0086】
これらx方向で離間して並ぶ6つの端子の両端側それぞれにソース端子520が位置している。これら2つのソース端子520の間に2つのドレイン端子510と2つの第1ゲート端子541が位置している。2つのドレイン端子510の間に2つの第1ゲート端子541が位置している。
【0087】
第2下側面460d側では、中点端子530、第2ゲート端子542、および、センサ端子550それぞれが、1つずつ第1分配空間と第2分配空間に分配配置されている。これら6つの端子がx方向で離間して並んでいる。
【0088】
これらx方向で離間して並ぶ6つの端子の両端側それぞれに中点端子530が位置している。これら2つの中点端子530の間に2つのセンサ端子550と2つの第2ゲート端子542が位置している。2つのセンサ端子550の間に2つの第2ゲート端子542が位置している。
【0089】
なお、x方向で隣り合って並ぶ2つの第2ゲート端子542と、x方向で隣り合って並ぶ2つのセンサ端子550とが、x方向で隣り合って並ぶ構成を採用することもできる。第2ゲート端子542とセンサ端子550がx方向で交互に隣り合って並ぶ構成を採用することもできる。
【0090】
<連結形態>
図6と
図7に示すように第1内面430eと第2内面460eとがz方向で対向する態様で第1導電プレート410と第2導電プレート420がz方向で離れて配置される。第1内面430eに形成された第1通電部440と第2内面460eに形成された第2通電部470との間に、第1半導体チップ210と第2半導体チップ220が設けられる。それとともに、これら2つの導電部の間に第1ターミナルブロック310、第2ターミナルブロック320、および、第3ターミナルブロック330が設けられる。
【0091】
また、これら2つの導電部の間に、2つのドレイン端子510と2つのソース端子520それぞれの端部が設けられる。2つの第1ゲート端子541、2つの第2ゲート端子542、2つの中点端子530、および、2つのセンサ端子550それぞれは2つの導電部の間の外に設けられる。
【0092】
図10に示すように、第2導電プレート420の第2上側通電部471に第1半導体チップ210が2つ設けられる。これら2つの第1半導体チップ210はx方向で離間して並んでいる。ゲート電極203はy方向において第2上側面460c側に設けられる。
【0093】
第1半導体チップ210のドレイン電極は第2上側通電部471に
図2においてシート形状で図示するはんだ170を介して接続される。これにより2つの第1半導体チップ210のハイサイドスイッチ141のドレイン141a同士が接続される。第2上側通電部471が第1導電部に相当する。
【0094】
第2導電プレート420の第2下側通電部472に第2半導体チップ220が2つ設けられる。これら2つの第2半導体チップ220はx方向で離間して並んでいる。ゲート電極203とセンサ電極204はy方向において第2下側面460d側に設けられる。
【0095】
以上に示した配置により、第1半導体チップ210と第2半導体チップ220はy方向で離間して並んでいる。x方向において第2左側面460a側に位置する第2半導体チップ220と、第2左側面460a側に位置する第1半導体チップ210とがy方向で対向配置される。x方向において第2右側面460b側に位置する第2半導体チップ220と、第2右側面460b側に位置する第1半導体チップ210とがy方向で対向配置される。これらy方向で対向配置される第1半導体チップ210と第2半導体チップ220のx方向の位置は同等になっている。
【0096】
第2半導体チップ220のドレイン電極は第2下側通電部472に
図2においてシート形状で図示するはんだ170を介して接続される。これにより2つの第2半導体チップ220のローサイドスイッチ151のドレイン同士が接続されている。第2下側通電部472が第3導電部に相当する。
【0097】
図10に示すように、第2導電プレート420に搭載された第1半導体チップ210と第2半導体チップ220それぞれのソース電極201にはんだ170が設けられる。また、第2上側通電部471における第2上側面460c側のx方向で離間する2箇所にはんだ170が設けられる。第2下側通電部472における第2上側面460c側のx方向で離間する2箇所にはんだ170が設けられる。第2下側通電部472における第2下側面460d側の1箇所にはんだ170が設けられる。
【0098】
図11に示すように、2つの第1半導体チップ210のソース電極201に設けられたはんだ170それぞれに2つの第1ターミナルブロック310の第2端面300b側が個別に設けられる。これにより第1半導体チップ210と第1ターミナルブロック310が電気的に接続される。
【0099】
2つの第2半導体チップ220のソース電極201に設けられたはんだ170それぞれに2つの第2ターミナルブロック320の第2端面300b側が個別に設けられる。これにより第2半導体チップ220と第2ターミナルブロック320が電気的に接続される。
【0100】
そして、第2上側通電部471における第2上側面460c側に設けられた2つのはんだ170に2つのドレイン端子510の端部それぞれが個別に設けられる。これにより2つのドレイン端子510が第2上側通電部471と電気的に接続される。
【0101】
第2下側通電部472における第2上側面460c側に設けられたはんだ170に第3ターミナルブロック330の第2端面300b側が設けられる。これにより第3ターミナルブロック330が第2下側通電部472と電気的に接続される。
【0102】
第2下側通電部472における第2下側面460d側に設けられた2つのはんだ170に2つの中点端子530の端部それぞれが個別に設けられる。これにより2つの中点端子530が第2下側通電部472と電気的に接続される。
【0103】
図11に示すように、第2上側面460c側に2つの第1ゲート端子541が設けられる。これら2つの第1ゲート端子541の端部は図示しないワイヤを介して2つの第1半導体チップ210のゲート電極203に個別に接続される。
【0104】
第2下側面460d側に2つの第2ゲート端子542と2つのセンサ端子550が設けられる。これら2つの第2ゲート端子542の端部は図示しないワイヤを介して2つの第2半導体チップ220のゲート電極203に個別に接続される。2つのセンサ端子550の端部は図示しないワイヤを介して2つの第2半導体チップ220のセンサ電極204に個別に接続される。若しくは、2つのセンサ端子550の端部は図示しないワイヤを介して2つの第2半導体チップ220の一方のセンサ電極204に接続される。
【0105】
第1ターミナルブロック310、第2ターミナルブロック320、および、第3ターミナルブロック330それぞれの第1端面300aにはんだ170が設けられる。それとともに、
図11に示すようにソース端子520の端部にはんだ170が設けられる。
【0106】
図12に示すように、第2導電プレート420の上方に第1導電プレート410を設ける。こうすることで、第1導電プレート410の第1上側通電部441を第1ターミナルブロック310の第1端面300aに設けられたはんだ170に接続する。これにより2つの第1半導体チップ210のハイサイドスイッチ141のソース141b同士が接続される。第1ターミナルブロック310と第1上側通電部441が第2導電部に相当する。
【0107】
また、第1上側通電部441を第3ターミナルブロック330の第1端面300aに設けられたはんだ170に接続する。これにより第1上側通電部441と第2下側通電部472が第3ターミナルブロック330を介して電気的に接続される。第3ターミナルブロック330が中継導電部に相当する。
【0108】
さらに、第1下側通電部442の基部443を第2ターミナルブロック320の第1端面300aに設けられたはんだ170に接続する。それとともに、基部443から延長した第1折り返し部444と第2折り返し部445を2つのソース端子520の端部に設けられたはんだ170に接続する。これにより2つの第2半導体チップ220のローサイドスイッチ151のソース151b同士が接続される。それとともに、第2半導体チップ220のソース151bがソース端子520に電気的に接続される。第2ターミナルブロック320と第1下側通電部442が第4導電部に相当する。
【0109】
<通電経路>
以上に示した接続構成により、
図13~
図16に矢印で示す通電経路が形成される。ドレイン端子510と第3ターミナルブロック330が、第2上側通電部471、2つの第1半導体チップ210、および、第1上側通電部441を介して電気的に接続される。第3ターミナルブロック330とソース端子520が、第2下側通電部472、2つの第2半導体チップ220、第2ターミナルブロック320、および、第1下側通電部442を介して電気的に接続される。また、第3ターミナルブロック330と中点端子530が、第2下側通電部472を介して電気的に接続される。
【0110】
例えば、
図13に示すように、ドレイン端子510から中点端子530に向かって電流が流れるようにハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151の通電状態と遮断状態とが制御される。この場合、電流は、y方向において、第2上側通電部471、第1上側通電部441、および、第2下側通電部472を介して、ドレイン端子510から中点端子530に向かって流れる。
【0111】
また、
図14に示すように、中点端子530からソース端子520に向かって電流が流れるようにハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151の通電状態と遮断状態とが制御される。この場合、電流は、y方向において、第2下側通電部472と第1下側通電部442を介して、中点端子530からソース端子520に向かって流れる。
【0112】
図15と
図16に示すように、ドレイン端子510から中点端子530に向かって流れる電流の流動方向と、中点端子530からソース端子520に向かって流れる電流の流動方向とは、y方向において逆向きになっている。
【0113】
ドレイン端子510から中点端子530に向かって流れる電流は、第1上側通電部441を流れる。中点端子530からソース端子520に向かって流れる電流は、第1下側通電部442の第1折り返し部444と第2折り返し部445を流れる。上記したように、第1上側通電部441はx方向において第1折り返し部444と第2折り返し部445の間に位置している。
【0114】
このように、流動方向が逆向きの電流の流れる第1上側通電部441と第1折り返し部444がx方向で隣り合って並んでいる。流動方向が逆向きの電流の流れる第1上側通電部441と第2折り返し部445がx方向で隣り合って並んでいる。
【0115】
ドレイン端子510から中点端子530に向かって流れる電流は、x方向で並ぶ2つのドレイン端子510と2つの第1半導体チップ210それぞれを個別に流れる。これらy方向で同一方向に流れる2つの電流の通電経路がx方向で隣り合っている。
【0116】
ドレイン端子510から中点端子530に向かって流れる電流は、当然ながらにしてドレイン端子510を流れる。中点端子530からソース端子520に向かって流れる電流は、当然ながらにしてソース端子520を流れる。これら流動方向が逆向きの電流の流れるドレイン端子510とソース端子520がx方向で隣り合って並んでいる。
【0117】
そして、ドレイン端子510の連結される第2上側通電部471と、ソース端子520の連結される第1折り返し部444と第2折り返し部445それぞれとが、z方向で並んでいる。流動方向が逆向きの電流の流れる第2上側通電部471と第1折り返し部444がz方向で並んでいる。流動方向が逆向きの電流の流れる第2上側通電部471と第2折り返し部445がz方向で並んでいる。
【0118】
なお、
図13~
図16では、矢印で示す通電経路を明記するため、符号の表記を適宜省略している。
図13は
図6に示す断面図に対応している。
図14は
図7に示す断面図に対応している。
図15は
図12に示す上面図において、重なっている領域を破線で示している。
図15では第1放熱部450の図示を省略している。また
図15では第2導電プレート420側の通電経路を一点鎖線で示し、第1導電プレート410側の通電経路を実線で示している。
図16はパワーカード120の内部構造を透視して示している。
【0119】
<スイッチ制御>
同一相の電気的に直列接続された第1半導体チップ210と第2半導体チップ220との間を、ドレイン端子510からソース端子520に向かって電流が流れるようにスイッチ制御は行わない。同一相のハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151を同時に通電状態に制御しない。
【0120】
実際には、これらハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151のうちの少なくとも一方を遮断状態に制御する。係る制御を実施することで、上記したように、ドレイン端子510から中点端子530に向かって電流が流れる。中点端子530からソース端子520に向かって電流が流れる。
【0121】
ハイサイドスイッチ141が通電状態、ローサイドスイッチ151が遮断状態に制御された場合、ドレイン端子510と中点端子530との間で電流が流れる。モータ40で生じる起電力などのために、ソース端子520が中点端子530よりも高電位になった場合、ローサイドダイオード152を介して、ソース端子520から中点端子530に向かって電流が流れる。ソース端子520が中点端子530よりも低電位の場合、ソース端子520に電流は流れない。
【0122】
ハイサイドスイッチ141が遮断状態、ローサイドスイッチ151が通電状態に制御された場合、中点端子530とソース端子520との間で電流が流れる。モータ40で生じる起電力などのために、中点端子530がドレイン端子510よりも高電位になった場合、ハイサイドダイオード142を介して、中点端子530からドレイン端子510に向かって電流が流れる。中点端子530がドレイン端子510よりも高電位の場合、ドレイン端子510に電流は流れない。
【0123】
ハイサイドスイッチ141が遮断状態、ローサイドスイッチ151が遮断状態の場合、ハイサイドダイオード142とローサイドダイオード152のうちの少なくとも一方を介して電流が流れる。ハイサイドダイオード142を介す場合、中点端子530からドレイン端子510に向かって電流が流れる。ローサイドダイオード152を介す場合、ソース端子520から中点端子530に向かって電流が流れる。ハイサイドダイオード142とローサイドダイオード152の両方を介す場合、ソース端子520から中点端子530とドレイン端子510それぞれに向かって電流が流れる。
【0124】
<折り返し部の重なり>
第2上側通電部471は第1上側通電部441よりもx方向の長さが長くなっている。第2上側通電部471のx方向の両端側は第1上側通電部441とz方向で重ならなくなっている。この第2上側通電部471における第1上側通電部441との非重複領域は、第2上側通電部471におけるドレイン端子510と第1半導体チップ210の非接続領域でもある。
【0125】
上記したように第1上側通電部441はx方向において第1折り返し部444と第2折り返し部445の間に位置している。第2上側通電部471のx方向の両端のうちの第2左側面460a側の端部が第1折り返し部444の一部とz方向で重なっている。第2上側通電部471のx方向の両端のうちの第2右側面460b側の端部が第2折り返し部445の一部とz方向で重なっている。別の表現をすると、第1折り返し部444と第2折り返し部445それぞれのz方向への投影領域の一部が第2上側通電部471における第1上側通電部441との非重複領域に位置している。
図15においてこの投影領域と非重複領域のz方向で重なる領域を、重なり領域OAとして二点鎖線で囲むとともに斜線ハッチングで示している。この重なり領域OAにソース端子520の端部が位置している。ソース端子520の端部がz方向において第2導電プレート420と第1導電プレート410との間に位置している。
【0126】
<第3ターミナルブロックの延長>
上記したように第3ターミナルブロック330はx方向に延長した形状を成している。第3ターミナルブロック330のy方向への投影領域の一部が2つの第1半導体チップ210と2つの第1ターミナルブロック310それぞれに位置している。第3ターミナルブロック330のy方向への投影領域の一部が2つの第2半導体チップ220と2つの第2ターミナルブロック320それぞれに位置している。
【0127】
場所をより限定して言えば、第3ターミナルブロック330における第1上側通電部441との接続箇所のy方向への投影領域の一部が2つの第1ターミナルブロック310における第1上側通電部441との接続箇所それぞれに位置している。第3ターミナルブロック330における第2下側通電部472との接続箇所のy方向への投影領域の一部が2つの第2半導体チップ220のドレイン電極における第2下側通電部472との接続箇所それぞれに位置している。
【0128】
このため、第1上側通電部441における2つの第1ターミナルブロック310と1つの第3ターミナルブロック330との間の通電経路長の延長が抑制されている。第2下側通電部472における1つの第3ターミナルブロック330と2つの第2半導体チップ220との間の通電経路長の延長が抑制されている。
【0129】
<端子の屈曲>
これまでに説明したように、ドレイン端子510は第2導電プレート420の第2上側通電部471に接続される。中点端子530は第2導電プレート420の第2下側通電部472に接続される。中点端子530は第1導電プレート410の第1下側通電部442に接続される。
【0130】
このように接続される導電プレートが異なるため、ドレイン端子510および中点端子530それぞれの第2導電プレート420と接続される端部と、ソース端子520の第1導電プレート410と接続される端部のz方向の位置が異なっている。
【0131】
これに対して、上記したようにソース端子520の一部が屈曲している。これによりソース端子520の第1導電プレート410と接続される端部と、その先端側のz方向の位置が異なっている。
【0132】
図6と
図7に示すようにソース端子520の先端側はz方向において第2導電プレート420側に位置している。このソース端子520の先端側と第1導電プレート410とのz方向の離間距離は、第1導電プレート410と第2導電プレート420のz方向の離間距離と同等になっている。これにより、ドレイン端子510および中点端子530それぞれと、ソース端子520の先端側のz方向の位置が同等になっている。
【0133】
<被覆樹脂>
被覆樹脂600は例えばエポキシ系樹脂からなる。被覆樹脂600は例えばトランスファモールド法により成形されている。
【0134】
図3~
図5に示すように被覆樹脂600はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。被覆樹脂600は6面を有する直方体形状を成している。被覆樹脂600は、x方向で離間して並ぶ左面600aと右面600b、y方向で離間して並ぶ上面600cと下面600d、および、z方向で離間して並ぶ第1放熱面600eと第2放熱面600fを有する。
【0135】
上記したように被覆樹脂600は半導体チップ200、ターミナルブロック300、導電プレート400、および、接続端子500それぞれを被覆している。
【0136】
図6と
図7に示すように第1半導体チップ210と第1ターミナルブロック310はy方向において上面600c側に位置している。第2半導体チップ220と第2ターミナルブロック320はy方向において下面600d側に位置している。第3ターミナルブロック330はy方向においてこれらの間に位置している。ハイサイドスイッチ141が第1スイッチに相当する。ローサイドスイッチ151が第2スイッチに相当する。
【0137】
第1導電プレート410はz方向において第1放熱面600e側に位置している。第2導電プレート420はz方向において第2放熱面600f側に位置している。被覆樹脂600によって第1導電プレート410の第1内面430e側が被覆されている。被覆樹脂600によって第2導電プレート420の第2内面460e側が被覆されている。これら第1放熱面600eと第2放熱面600fとの間に設けられた第1半導体チップ210と第2半導体チップ220、および、第1ターミナルブロック310~第3ターミナルブロック330それぞれが被覆樹脂600によって被覆されている。
【0138】
被覆樹脂600によって第1導電プレート410の第1外面430f側も被覆されている。しかしながら、この第1外面430fに設けられた第1放熱部450の一部が被覆樹脂600から露出されている。第1放熱部450の被覆樹脂600から露出された面(第1露出面450a)は第1放熱面600eと面一になっている。なお、第1露出面450aは第1放熱面600eと面一でなくともよい。
【0139】
被覆樹脂600によって第2導電プレート420の第2外面460f側も被覆されている。しかしながら、この第2外面460fに設けられた第2放熱部480の一部が被覆樹脂600から露出されている。第2放熱部480の被覆樹脂600から露出された面(第2露出面480a)は第2放熱面600fと面一になっている。なお、第2露出面480aは第2放熱面600fと面一でなくともよい。
【0140】
被覆樹脂600はドレイン端子510、ソース端子520、および、中点端子530それぞれの導電プレート400との接続部位を被覆している。被覆樹脂600はセンサ端子550、第1ゲート端子541、および、第2ゲート端子542それぞれの半導体チップ200との接続部位を被覆している。これら各種端子の先端側は被覆樹脂600から露出されている。
【0141】
ドレイン端子510、ソース端子520、および、第1ゲート端子541それぞれの先端側は上面600cから露出している。ドレイン端子510とソース端子520の先端側は、上面600cから離間する態様でy方向に延びている。第1ゲート端子541の先端側は、上面600cから離間する態様でy方向に延びるとともに、屈曲して、z方向において第2放熱面600fから第1放熱面600eに向かう方向に延長している。
図4に示すように、この第1ゲート端子541の屈曲箇所は、ドレイン端子510とソース端子520それぞれの最先端箇所よりもy方向において上面600c側に位置している。
【0142】
中点端子530、第2ゲート端子542、および、センサ端子550それぞれの先端側は下面600dから露出されている。中点端子530の先端側は、下面600dから離間する態様でy方向に延びている。第2ゲート端子542とセンサ端子550それぞれの先端側は、下面600dから離間する態様でy方向に延びるとともに、屈曲して、z方向において第2放熱面600fから第1放熱面600eに向かう方向に延長している。この第2ゲート端子542とセンサ端子550それぞれの屈曲箇所は、中点端子530とセンサ端子550それぞれの最先端箇所よりもy方向において下面600d側に位置している。
【0143】
<冷却器>
電力変換ユニット30は、電力変換装置50の他に、
図17~
図19に示す冷却器60を有する。冷却器60はこれまでに説明したU相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれを冷却する機能を果たす。
【0144】
図17に示すように冷却器60は供給管710、排出管720、および、冷却部730を有する。供給管710と排出管720は冷却部730を介して連結されている。供給管710に冷媒が供給される。この冷媒は冷却部730の内部空間を介して供給管710から排出管720へ流れる。
【0145】
供給管710と排出管720はそれぞれz方向に延びている。供給管710と排出管720はx方向で離間している。冷却部730はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。
【0146】
<冷却部>
細分化して説明すると、冷却部730は、対向部731と、第1腕部732と、第2腕部733と、を有する。対向部731に第1腕部732と第2腕部733それぞれが連結されている。これら3つの構成要素それぞれは冷媒の流動する中空(内部空間)を有する。これら3つの構成要素それぞれの中空が連通している。
【0147】
第1腕部732に供給管710が連結される。第2腕部733に排出管720が連結される。係る構成のため、供給管710から供給された冷媒は、第1腕部732を介して対向部731に流動する。対向部731に流動した冷媒は第2腕部733を介して排出管720に流動する。この冷媒の流動方向は
図17において実線矢印で示している。
【0148】
対向部731は、x方向で離間して並ぶ第1側面731aと第2側面731b、y方向で離間して並ぶ第3側面731cと第4側面731d、および、z方向で離間して並ぶ外面731eと内面731fを有する。
【0149】
第1腕部732と第2腕部733それぞれは対向部731の第4側面731dに連結されている。第1腕部732と第2腕部733はx方向で離間している。x方向において、第1腕部732は第2腕部733よりも第1側面731a側に位置している。第2腕部733は第1腕部732よりも第2側面731b側に位置している。
【0150】
第1腕部732と第2腕部733それぞれは第4側面731dから離間する態様でy方向に延びている。第1腕部732と第2腕部733それぞれはz方向で並ぶ上外面730aと下内面730bを有する。第1腕部732の先端側の下内面730bに供給管710が連結される。第2腕部733の先端側の下内面730bに排出管720が連結される。
【0151】
以下においては表記を簡便とするため、第1腕部732と第2腕部733それぞれの対向部731側を延長部734と示す。第1腕部732と第2腕部733それぞれの先端側を管連結部735と示す。
【0152】
<供給管と排出管のx方向の位置>
例えば
図18に示すように、延長部734のx方向の長さはL1で一定になっている。これに対して管連結部735のx方向の長さは不定になっている。管連結部735における供給管710や排出管720の連結される部位は、z方向に直交する平面において円形を成している。
図18では供給管710と排出管720を破線で示している。
【0153】
供給管710と排出管720それぞれの外径は延長部734のx方向の長さよりも長くなっている。そのために管連結部735のx方向の最長の長さL2は延長部734のx方向の最長の長さL1よりも長くなっている。
【0154】
係るx方向の長さの長短関係、および、延長部734と管連結部735それぞれの形状のため、管連結部735のy方向への投影領域の一部に延長部734の全てが位置している。そして本実施形態では、管連結部735のy方向への投影領域における延長部734と重ならない非重複領域NOAに、第4側面731dが位置している。
図18では非重複領域NOAにおける管連結部735と第4側面731dとの間の領域を二点鎖線で囲って示している。
【0155】
当然ながらにして、管連結部735の非重複領域NOAの位置する第4側面731dはx方向において第1側面731aと第2側面731bとの間に位置する。そして、管連結部735の連結される延長部734は第4側面731dからy方向に延びている。係る構成のため、第1腕部732と第2腕部733それぞれの管連結部735のx方向の位置は、第1側面731aと第2側面731bとの間になっている。
【0156】
<囲み領域>
以上に示した構成のため、
図18に示すように、冷却部730の備える対向部731、第1腕部732、および、第2腕部733によって囲み領域EAが区画されている。
【0157】
この囲み領域EAは、y方向において、第4側面731dと、第1腕部732の先端と第2腕部733の先端とを結ぶ仮想直線VSLと、によって区画されている。囲み領域EAは、x方向において、第1腕部732の第2腕部733側の内側面と、第2腕部733の第1腕部732側の内側面と、によって区画されている。
図18では囲み領域EAを斜線のハッチングで示している。仮想直線VSLを二点鎖線で示している。
【0158】
<パワーモジュール>
冷却器60は電力変換装置50とともに、例えばアルミダイカストで製造された筐体70に収納される。そして冷却部730の対向部731は、
図19に示すように、この筐体70の壁部810とz方向で離間しつつ対向配置される。
【0159】
対向部731の内面731fと壁部810の載置面810aとの間に空隙が構成(区画)されている。この空隙にU相半導体モジュール121、V相半導体モジュール122、および、W相半導体モジュール123が設けられる。これら複数の半導体モジュールの被覆樹脂600が対向部731と壁部810との間の空隙に設けられている。これら複数の半導体モジュールと冷却器60がパワーモジュール80に含まれている。
【0160】
U相半導体モジュール121、V相半導体モジュール122、および、W相半導体モジュール123はx方向において第1側面731a側から第2側面731b側に向かって順に並んでいる。
【0161】
冷却部730の対向部731には、
図19において白抜き矢印で示す付勢力が付与される。この付勢力によって、複数の半導体モジュールは対向部731と壁部810との間で挟持されている。
【0162】
図示しないが、対向部731の内面731fと半導体モジュールの第1露出面450aおよび第1放熱面600eとの間にグリースなどの伝熱部材が設けられている。同様にして、半導体モジュールの第2露出面480aおよび第2放熱面600fと壁部810の載置面810aとの間にグリースなどの伝熱部材が設けられている。係る構成により、半導体モジュールは冷却器60と壁部810とに積極的に熱伝導可能となっている。ただし、上記した伝熱部材は第1放熱面600eと第2放熱面600fに設けられなくともよい。また、そもそも伝熱部材はなくともよい。
【0163】
以上に示した連結構成のため、U相半導体モジュール121、V相半導体モジュール122、および、W相半導体モジュール123それぞれは主として対向部731の内部をx方向に流動する冷媒と熱交換を行う。
【0164】
なお、半導体モジュールの設けられる壁部810は筐体70の一部でなくともよい。半導体モジュールは筐体70とは別体の壁部810に設けられてもよい。壁部810の内部に冷媒の流動する流通経路が構成されてもよい。
【0165】
図17と
図18に示すように、被覆樹脂600の上面600c側と下面600d側それぞれが空隙の外に設けられている。これに伴い、上面600cから露出されたドレイン端子510、ソース端子520、および、第1ゲート端子541それぞれの先端側が空隙の外に設けられている。下面600dから露出された中点端子530、第2ゲート端子542、および、センサ端子550それぞれの先端側が空隙の外に設けられている。これら下面600dから突出した複数の端子の先端はz方向において上記した囲み領域EAと並んでいる。
【0166】
図18に示すように、第1ゲート端子541は上面600cから離間するようにy方向に延びた後、屈曲して、壁部810から離間するようにz方向に延びている。第2ゲート端子542とセンサ端子550は下面600dから離間するようにy方向に延びた後、屈曲して、壁部810から離間するようにz方向に延びている。第2ゲート端子542とセンサ端子550の先端の一部が囲み領域EAに設けられている。
【0167】
図示しないが、制御基板130はz方向において複数の半導体モジュールの上方に設けられる。制御基板130と複数の半導体モジュールとの間に冷却部730が位置する。制御基板130にはz方向に貫通する複数のスルーホールが形成されている。これら複数のスルーホールに第1ゲート端子541、第2ゲート端子542、および、センサ端子550それぞれが通される。そしてこれら端子がはんだなどによって制御基板130に接続される。
【0168】
<PバスバとNバスバ>
上記したようにドレイン端子510にPバスバ101が接続される。ソース端子520にNバスバ102が接続される。これらPバスバ101とNバスバ102は銅などの平板をプレス加工することで製造される。
図20~
図22に示すようにPバスバ101とNバスバ102はそれぞれ主板106と足部107を有する。
【0169】
主板106はx方向に偏って長い形状を成している。主板106はy方向に延長した後、屈曲して、z方向に延長している。主板106はx方向に直交する平面でL字状に屈曲している。主板106におけるy方向に延長する部位に平滑コンデンサ110の電極が接続される。主板106におけるz方向に延長する部位に複数の足部107が一体的に連結されている。
【0170】
複数の足部107それぞれは主板106からz方向に延長した後、屈曲して、主板106から離間する態様でy方向に延長している。足部107はx方向に直交する平面でL字状に屈曲している。複数の足部107はx方向で離間して並んでいる。本実施形態では6個の足部107が主板106に一体的に連結されている。
【0171】
図20~
図22に示すように、Pバスバ101の主板106とNバスバ102の主板106とがz方向とy方向とで重ね合わさって配置される。これら2つの主板106の間には厚さの薄い絶縁性シートが介在される。Pバスバ101とNバスバ102それぞれはy方向でU相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123と並んでいる。
【0172】
このように2つの主板106が重なった状態で、Pバスバ101の足部107とNバスバ102の足部107がx方向で離間して並んでいる。Nバスバ102の2つの足部107の間にPバスバ101の2つの足部107が位置している。この態様の並びで組を成す4つの足部107が3つ構成されている。これら組を成す4つの足部107が3つx方向に並んでいる。
【0173】
図21に示すように、Pバスバ101の足部107におけるy方向に延長する部位はドレイン端子510とz方向で対向配置される。この対向配置状態でPバスバ101の足部107とドレイン端子510が接合されている。
【0174】
Nバスバ102の足部107におけるy方向に延長する部位はソース端子520とz方向で対向配置される。この対向配置状態でNバスバ102の足部107とソース端子520が接合されている。
【0175】
上記したように第1ゲート端子541は被覆樹脂600の上面600cからy方向に延長した後、屈曲して、z方向に延長している。第1ゲート端子541の屈曲箇所は、ドレイン端子510とソース端子520それぞれの最先端箇所よりもy方向において上面600c側に位置している。
【0176】
この第1ゲート端子541のz方向に延長する部位は、Pバスバ101とNバスバ102それぞれの主板106とy方向で離間しつつ並んでいる。これにより第1ゲート端子541と主板106との干渉が避けられている。第1ゲート端子541と主板106との離間距離は両者の絶縁性が確保するように定められる。
【0177】
なお、
図23に示すように、足部107は主板106からz方向に延長した後、屈曲して主板106から離間する態様でy方向に延長した後、再度屈曲してz方向に延長してもよい。そしてドレイン端子510とソース端子520は上面600cからy方向に延長した後、屈曲して、z方向に延長してもよい。足部107の再度屈曲から個所からz方向に延長する部位と、ドレイン端子510とソース端子520のz方向に延長する部位とがy方向で対向配置した状態で接合されてもよい。
【0178】
<相バスバ>
上記したようにU相半導体モジュール121、V相半導体モジュール122、および、W相半導体モジュール123それぞれの中点端子530にU相バスバ103、V相バスバ104、および、W相バスバ105が個別に接続される。これら3つの相バスバは銅などの平板をプレス加工することで製造される。
図20~
図22に示すようにU相バスバ103~W相バスバ105はそれぞれ長板108と接続端部109を有する。
【0179】
長板108はy方向に偏って長い形状を成している。長板108はy方向に延長した後、屈曲して、z方向に延長している。長板108はx方向に直交する平面でL字状に屈曲している。長板108におけるy方向に延長する部位にモータ40のステータコイルが接続される。長板108におけるz方向に延長する部位に複数の接続端部109が一体的に連結されている。
【0180】
複数の接続端部109それぞれは長板108からz方向に延長した後、屈曲して、長板108から離間する態様でy方向に延長している。接続端部109はx方向に直交する平面でL字状に屈曲している。複数の接続端部109はx方向で離間して並んでいる。本実施形態では2個の接続端部109が長板108に一体的に連結されている。
【0181】
図20~
図22に示すように、U相バスバ103~W相バスバ105それぞれの長板108がx方向で離間して並んで配置される。U相バスバ103はy方向でU相半導体モジュール121と並んでいる。V相バスバ104はy方向でV相半導体モジュール122と並んでいる。W相バスバ105はy方向でW相半導体モジュール123と並んでいる。
【0182】
3つの長板108に連結された2個の接続端部109もx方向で離間して並んでいる。計6個の接続端部109がx方向で離間して並んでいる。
【0183】
図21に示すように、長板108に連結された2個の接続端部109のうちの一方におけるy方向に延長する部位は、2個の中点端子530のうちの一方とz方向で対向配置される。長板108に連結された2個の接続端部109のうちの他方におけるy方向に延長する部位は、2個の中点端子530のうちの他方とz方向で対向配置される。この対向配置状態で2個の接続端部109と2個の中点端子530が個別に接合されている。
【0184】
このように接続端部109が中点端子530に接合された状態で、U相バスバ103~W相バスバ105それぞれの一部が上記した囲み領域EAに設けられる。
【0185】
上記したように第2ゲート端子542とセンサ端子550は被覆樹脂600の下面600dからy方向に延長した後、屈曲して、z方向に延長している。第2ゲート端子542とセンサ端子550それぞれの屈曲箇所は、中点端子530の最先端箇所よりもy方向において下面600d側に位置している。
【0186】
この第2ゲート端子542とセンサ端子550のz方向に延長する部位は、長板108とy方向で離間しつつ並んでいる。これにより第2ゲート端子542およびセンサ端子550それぞれと長板108との干渉が避けられている。第2ゲート端子542およびセンサ端子550それぞれと長板108との離間距離は両者の絶縁性が確保するように定められる。
【0187】
なお、
図23に示すように、接続端部109は長板108からz方向に延長した後、屈曲して長板108から離間する態様でy方向に延長した後、再度屈曲してz方向に延長してもよい。そして中点端子530は下面600dからy方向に延長した後、屈曲して、z方向に延長してもよい。接続端部109の再度屈曲した箇所からz方向に延長する部位と、中点端子530のz方向に延長する部位とがy方向で対向配置した状態で接合されてもよい。
【0188】
<作用効果>
これまでに説明してきたように、U相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれはy方向で離間して並ぶ第1半導体チップ210と第2半導体チップ220を有する。これらy方向で離間して並ぶ第1半導体チップ210と第2半導体チップ220は、主として対向部731の内部をx方向に流動する冷媒と熱交換を行う。
【0189】
このようにハイサイドスイッチ141の形成された第1半導体チップ210とローサイドスイッチ151の形成された第2半導体チップ220の並び方向は、これらを冷却する対向部731の内部を流動する冷媒の流動方向と交差している。電気的に接続されたハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151の並び方向と、これらを冷却する冷媒の流動方向とが交差している。
【0190】
そのため、ハイサイドスイッチ141と対向部731を流動する冷媒との熱交換量と、ローサイドスイッチ151と対向部731を流動する冷媒との熱交換量とに差の生じることが抑制される。y方向で離間して並ぶ態様で被覆樹脂600に被覆保護された第1半導体チップ210および第2半導体チップ220それぞれと、対向部731を流動する冷媒との熱交換量に差の生じることが抑制される。
【0191】
2つのドレイン端子510が第1分配空間と第2分配空間とに分配され、2つのソース端子520が第1分配空間と第2分配空間とに分配されている。第1ゲート端子541は、第1分配空間に設けられたドレイン端子510およびソース端子520と、第2分配空間に設けられたドレイン端子510およびソース端子520との間に位置している。
【0192】
これによれば、第1分配空間に配置されたドレイン端子510と第2分配空間に配置されたドレイン端子510それぞれから発せられた電磁ノイズが、両者の間でキャンセルされやすくなる。同様にして、第1分配空間に配置されたソース端子520と第2分配空間に配置されたソース端子520それぞれから発せられた電磁ノイズが、両者の間でキャンセルされやすくなる。そのため、第1分配空間に設けられた端子と、第2分配空間に設けられた端子との間に位置する第1ゲート端子541に、これら端子から発せられた電磁ノイズが作用することが抑制される。
【0193】
上記したように、2つのドレイン端子510が第1分配空間と第2分配空間に均等に分配配置されている。2つのソース端子520が第1分配空間と第2分配空間に均等に分配配置されている。
【0194】
これによれば、複数のドレイン端子510が第1分配空間と第2分配空間のいずれかに偏って分配配置された構成と比べて、ドレイン端子510から発せられた電磁ノイズが第1ゲート端子541に作用することが効果的に抑制される。複数のソース端子520が第1分配空間と第2分配空間のいずれかに偏って分配配置された構成と比べて、ソース端子520から発せられた電磁ノイズが第1ゲート端子541に作用することが効果的に抑制される。
【0195】
2つの中点端子530が第1分配空間と第2分配空間とに分配されている。第2ゲート端子542は、第1分配空間に設けられた中点端子530と、第2分配空間に設けられた中点端子530との間に位置している。
【0196】
これによれば、第1分配空間に配置された中点端子530と第2分配空間に配置された中点端子530それぞれから発せられた電磁ノイズが、両者の間でキャンセルされやすくなる。第1分配空間に設けられた中点端子530と第2分配空間に設けられた中点端子530との間に位置する第2ゲート端子542に、これら端子から発せられた電磁ノイズが作用することが抑制される。
【0197】
また、センサ端子550も第1分配空間に設けられた中点端子530と第2分配空間に設けられた中点端子530との間に位置している。これによれば、第1分配空間に設けられた中点端子530と第2分配空間に設けられた中点端子530から発せられた電磁ノイズがセンサ端子550に作用することが抑制される。
【0198】
上記したように、2つの中点端子530が第1分配空間と第2分配空間に均等に分配配置されている。これによれば、複数の中点端子530が第1分配空間と第2分配空間のいずれかに偏って分配配置された構成と比べて、中点端子530から発せられた電磁ノイズが第2ゲート端子542とセンサ端子550に作用することが効果的に抑制される。
【0199】
第1下側通電部442の第1折り返し部444と第2折り返し部445それぞれの一部が、
図15に示す重なり領域OAで第2上側通電部471とz方向で重なっている。第1折り返し部444と第2折り返し部445それぞれの一部が、被覆樹脂600を介して第2上側通電部471とz方向で並んでいる。
【0200】
これによれば、第1下側通電部442と第2上側通電部471との間の負の相互インダクタンスが増大する。これにより第1下側通電部442と第2上側通電部471のインダクタンスの増大が抑制される。
【0201】
電流の流れる第1通電部440と導電性を備える第1放熱部450が第1絶縁板430を介してz方向で並んでいる。これによれば渦電流が第1放熱部450に流れる。これにより第1通電部440のインダクタンスの増大が抑制される。
【0202】
電流の流れる第2通電部470と導電性を備える第2放熱部480が第2絶縁板460を介してz方向で並んでいる。これによれば渦電流が第2放熱部480に流れる。これにより第2通電部470のインダクタンスの増大が抑制される。
【0203】
ドレイン端子510から第2半導体チップ220に向かってy方向において同一方向に流れる2つの電流の通電経路がx方向で隣り合っている。これによれば、これら2つの通電経路それぞれから発せられる電磁ノイズが、これら2つの通電経路の間でキャンセルされやすくなる。
【0204】
ソース端子520の端部が第1導電プレート410に接続されている。ソース端子520の一部がz方向において第2導電プレート420と第1導電プレート410との間に位置している。
【0205】
これによれば、例えば、ソース端子520が第2導電プレート420における第1導電プレート410とのz方向での非対向部位に連結される構成と比べて、パワーカード120の体格の増大が抑制される。
【0206】
なお、上記比較例の場合、第1導電プレート410とソース端子520とを電気的に接続するための中継部材が、2つの導電プレートの間と第1導電プレート410それぞれに必要になる。本実施形態では、この中継部材が不要になる。これにより部品点数の増大が抑制される。
【0207】
冷却部730の備える対向部731、第1腕部732、および、第2腕部733によって区画される囲み領域EAと被覆樹脂600の下面600dから突出した複数の端子の先端側とがz方向で並んでいる。
【0208】
これによれば囲み領域EAに位置する空気が冷却部730の備える3つの構成要素の中空を流動する冷媒によって降温されやすくなる。この空気によって下面600dから突出した複数の端子の先端側が降温されやすくなる。
【0209】
囲み領域EAに第2ゲート端子542とセンサ端子550の一部が位置している。また、囲み領域EAにU相バスバ103~W相バスバ105の一部が位置している。これによれば、囲み領域EAに位置する空気によって第2ゲート端子542、センサ端子550、および、U相バスバ103~W相バスバ105それぞれが降温されやすくなる。
【0210】
(第1の変形例)
本実施形態では第1放熱部450と第1通電部440のz方向に直交する平面の形状が同一である例を示した。しかしながら、第1放熱部450と第1通電部440のz方向に直交する平面の形状は不同でもよい。
【0211】
第1放熱部450は第1通電部440よりもz方向に直交する平面の面積が大きくともよい。第1放熱部450における第1通電部440側の面積が増大した構成を採用することができる。
【0212】
例えば
図24に示すように、第1放熱部450は第1絶縁板430の第1外面430fの全面にわたって形成された形状でもよい。第1放熱部450はベタパターンでもよい。これによれば第1放熱部450に渦電流が流れやすくなる。第1通電部440のインダクタンスの増大が効果的に抑制される。
【0213】
(第2の変形例)
本実施形態では第2放熱部480と第2通電部470のz方向に直交する平面の形状が同一である例を示した。しかしながら、第2放熱部480と第2通電部470のz方向に直交する平面の形状は不同でもよい。
【0214】
第2放熱部480は第2通電部470よりもz方向に直交する平面の面積が大きくともよい。第2放熱部480における第2通電部470側の面積が増大した構成を採用することができる。
【0215】
例えば
図25に示すように、第2放熱部480は第2絶縁板460の第2外面460fの全面にわたって形成された形状でもよい。第2放熱部480はベタパターンでもよい。これによれば第2放熱部480に渦電流が流れやすくなる。第2通電部470のインダクタンスの増大が効果的に抑制される。
【0216】
(第3の変形例)
本実施形態では第3ターミナルブロック330を介して第1導電プレート410の第1上側通電部441と第2導電プレート420の第2下側通電部472が電気的に接続される例を示した。しかしながら、例えば
図26と
図27に示す構成を採用することで、第3ターミナルブロック330を省略してもよい。
図26に示す断面図は、
図6に示すVI-VI線に沿う切断面に対応している。
図27に示す断面図は、
図6に示すVII-VII線に沿う切断面に対応している。
【0217】
図26と
図27に示す変形例では、第2導電プレート420が、第2上側通電部471と第2下側通電部472に代えて、これらが一体的に連結された共通通電部473を有する。この共通通電部473に第1半導体チップ210のソース電極201が第1ターミナルブロック310を介して接続される。第1上側通電部441に第1半導体チップ210のドレイン電極が接続される。
【0218】
係る構成を採用することで、第3ターミナルブロック330を介さずに第1半導体チップ210と第2半導体チップ220とを電気的に接続することができる。第3ターミナルブロック330を省略することができる。
【0219】
なお、第1上側通電部441は
図8に示す構成に比べて、y方向において第1上側面430c側に延長している。第1上側通電部441における第1折り返し部444と第2折り返し部445それぞれの第1上側面430c側の端部とx方向で並ぶ部位にドレイン端子510が接続される。
【0220】
この変形例では、第1下側通電部442の第1折り返し部444と第2折り返し部445それぞれのz方向の投影領域に、共通通電部473の一部が位置している。本実施形態と同様にして、第1放熱部450が第1通電部440とz方向で並び、第2放熱部480が第2通電部470とz方向で並んでいる。なお、当然ではあるが、
図26と
図27に示す構成を上下反転した構成を採用することもできる。
【0221】
第1上側通電部441が第1導電部に相当する。第1ターミナルブロック310と共通通電部473が第2導電部に相当する。第2ターミナルブロック320と第1下側通電部442が第3導電部に相当する。
【0222】
(第4の変形例)
本実施形態ではパワーカード120が第1半導体チップ210と第2半導体チップ220それぞれを2つ有する例を示した。しかしながらパワーカード120が第1半導体チップ210と第2半導体チップ220それぞれを有する数は限定されない。パワーカード120は第1半導体チップ210と第2半導体チップ220それぞれを1つ、若しくは、3つ以上有してもよい。1つのパワーカード120は同一種類若しくは異種類の、y方向に並ぶ複数の半導体チップを有すればよい。
【0223】
パワーカード120はハイサイドスイッチ141とローサイドスイッチ151を1つ、若しくは、3つ以上有してもよい。1つのパワーカード120は同一種類若しくは異種類の、y方向に並ぶ複数のスイッチを有すればよい。
【0224】
(第5の変形例)
本実施形態ではパワーカード120が温度センサ160を有する例を示した。しかしながらパワーカード120は温度センサ160を有さなくともよい。この変形例の場合、パワーカード120はセンサ端子550を有さなくなる。
【0225】
本実施形態では温度センサ160が第2半導体チップ220に形成された例を示した。しかしながら温度センサ160は第2半導体チップ220に形成されなくともよい。温度センサ160は第1半導体チップ210に形成されてもよい。温度センサ160は第1半導体チップ210と第2半導体チップ220それぞれとは別体で形成されてもよい。
【0226】
また、温度センサ160とは異なる物理量を検出する物理量センサをパワーカード120が有する構成を採用することもできる。異なる物理量としては、例えば、電流や電圧などがある。
【0227】
(第6の変形例)
本実施形態ではパワーカード120が中点端子530を2つ有する例を示した。しかしながらパワーカード120は中点端子530を1つ有してもよい。
【0228】
(第7の変形例)
本実施形態ではパワーカード120がソース端子520を2つ有する例を示した。しかしながらパワーカード120はソース端子520を1つ有してもよい。
【0229】
(第8の変形例)
本実施形態ではパワーカード120がドレイン端子510を2つ有する例を示した。しかしながらパワーカード120はドレイン端子510を1つ有してもよい。
【0230】
(第9の変形例)
本実施形態では2つのソース端子520の間に2つのドレイン端子510と2つの第1ゲート端子541が位置し、2つのドレイン端子510の間に2つの第1ゲート端子541が位置する例を示した。しかしながら、2つのドレイン端子510の間に2つのソース端子520と2つの第1ゲート端子541が位置し、2つのソース端子520の間に2つの第1ゲート端子541が位置する構成を採用することもできる。
【0231】
(その他の変形例)
本実施形態ではU相半導体モジュール121~W相半導体モジュール123それぞれの備えるスイッチとしてnチャネル型のMOSFETを採用した例を示した。しかしながらこれら3相の半導体モジュールそれぞれの備えるスイッチの種類としては特に限定されない。このスイッチとしては、例えばIGBTを採用することができる。そして、3相の半導体モジュールそれぞれの備えるスイッチの種類は同一でも不同でもよい。
【0232】
本実施形態では第1半導体チップ210にハイサイドスイッチ141とハイサイドダイオード142が形成されている例を示した。しかしながらハイサイドスイッチ141とハイサイドダイオード142は別の半導体チップに形成されてもよい。
【0233】
本実施形態では第2半導体チップ220にローサイドスイッチ151とローサイドダイオード152が形成されている例を示した。しかしながらローサイドスイッチ151とローサイドダイオード152それぞれは別の半導体チップに形成されてもよい。
【0234】
本実施形態では電力変換装置50にインバータが含まれる例を示した。しかしながら電力変換装置50にはインバータのほかにコンバータが含まれてもよい。
【0235】
本実施形態では電力変換ユニット30が電気自動車用の車載システム10に含まれる例を示した。しかしながら電力変換ユニット30の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータと内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換ユニット30が含まれる構成を採用することもできる。
【0236】
本実施形態では電力変換ユニット30に1つのモータ40が接続される例を示した。しかしながら電力変換ユニット30に複数のモータ40が接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換ユニット30はインバータを構成するための3相の半導体モジュールを複数有する。
【0237】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0238】
141…ハイサイドスイッチ、141a…ドレイン、141b…ソース、141c…ゲート、151…ローサイドスイッチ、151a…ドレイン、151b…ソース、151c…ゲート、160…温度センサ、200a…表面、200b…裏面、210…第1半導体チップ、220…第2半導体チップ、310…第1ターミナルブロック、320…第2ターミナルブロック、330…第3ターミナルブロック、430…第1絶縁板、430e…第1内面、430f…第1外面、441…第1上側通電部、442…第1下側通電部、450…第1放熱部、460…第2絶縁板、460e…第2内面、460f…第2外面、471…第2上側通電部、472…第2下側通電部、473…共通通電部、480…第2放熱部、500…接続端子、510…ドレイン端子、520…ソース端子、530…中点端子、541…第1ゲート端子、542…第2ゲート端子、550…センサ端子、600…被覆樹脂、600c…上面、600d…下面、730…冷却部、731…対向部、732…第1腕部、733…第2腕部