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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20250212BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250212BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20250212BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250212BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20250212BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20250212BHJP
【FI】
B60K11/06
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/625
H01M10/6556
B60K1/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021070417
(22)【出願日】2021-04-19
(65)【公開番号】P2022165176
(43)【公開日】2022-10-31
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】三国 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】大路 潔
(72)【発明者】
【氏名】増田 渉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 敏貴
(72)【発明者】
【氏名】小池 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】種平 貴文
(72)【発明者】
【氏名】山口 寛一
(72)【発明者】
【氏名】谷中 克年
【審査官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-329818(JP,A)
【文献】特開2006-069423(JP,A)
【文献】特開2020-104578(JP,A)
【文献】特開2006-216398(JP,A)
【文献】特開平11-078544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00-16/00
H01M 10/613
H01M 10/6563
H01M 10/625
H01M 10/6556
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有するコンパートメントと、
前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する第2熱交換器と、
前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動するプロペラファンと、
前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載された電池と、を備え、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の下方に配置され、
前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、
前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは右回りに回転駆動するように構成されている、
車両の前部構造。
【請求項2】
車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有するコンパートメントと、
前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する第2熱交換器と、
前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動するプロペラファンと、
前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載された電池と、を備え、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の下方に配置され、
前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、
前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは左回りに回転駆動するように構成されている、
車両の前部構造。
【請求項3】
車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有するコンパートメントと、
前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する第2熱交換器と、
前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前
記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動するプロペラファンと、
前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載された電池と、を備え、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の上方に配置され、
前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、
前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは左回りに回転駆動するように構成されている、
車両の前部構造。
【請求項4】
車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有するコンパートメントと、
前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する第2熱交換器と、
前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動するプロペラファンと、
前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載された電池と、を備え、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の上方に配置され、
前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置され、
前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは右回りに回転駆動するように構成されている、
車両の前部構造。
【請求項5】
車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有するコンパートメントと、
前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する第2熱交換器と、
前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動するプロペラファンと、
前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載された電池と、を備え、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に対して車幅方向の左方に配置され、
前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置され、
前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは左回りに回転駆動するように構成されている、
車両の前部構造。
【請求項6】
車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有するコンパートメントと、
前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で
熱交換させ、当該空気を加温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する第2熱交換器と、
前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動するプロペラファンと、
前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載された電池と、を備え、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に対して車幅方向の右方に配置され、
前記電池は、車幅方向の左方にオフセット配置され、
前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは右回りに回転駆動するように構成されている、
車両の前部構造。
【請求項7】
請求項1および請求項3および請求項5の何れかに記載の車両の前部構造において、
前記車両は、
前記コンパートメントの後方に、乗員が乗車する車室と、
前記車室における車幅方向の左側にオフセット配置されたステアリングホイールと、
を有する、
車両の前部構造。
【請求項8】
請求項2および請求項4および請求項6の何れかに記載の車両の前部構造において、
前記車両は、
前記コンパートメントの後方に、乗員が乗車する車室と、
前記車室における車幅方向の右側にオフセット配置されたステアリングホイールと、
を有する、
車両の前部構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の車両の前部構造において、
前記電池は、非水電解質電池である、
車両の前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部構造に関し、特に電池の冷却に係る構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、エンジンの始動や補器の駆動のために電池が搭載されている。電池は、従来から車両前部のコンパートメント内に搭載されている。電池は、電気化学反応により電力を生成するため、電池の温度が所定温度以上とならないように冷却することが重要となる。仮に電池の温度が所定温度以上となった場合には、性能の低下や寿命の劣化といった問題を生じることになる。
【0003】
電池の冷却手段としては、コンパートメント内における電池よりも前方に搭載されたラジエータファンが従来から採用されている(特許文献1)。ラジエータファンの駆動により、コンパートメント前方の開口部から取り込まれた外気は、ラジエータを通過してコンパートメント後方へと流れる。そして、コンパートメント内におけるラジエータファンよりも後方に配置された電池は、送られてきた空気により冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-179308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、ハイブリッド電気自動車が広く普及し、また、車両で電力を消費する機器が増加している。このため、車両においては電池への負荷が増大している。よって、車両においては、さらに効率的に電池を冷却するための手段が求められている。
【0006】
なお、車両に搭載される電池としては、従来から鉛電池が採用されてきたが、近年では、エネルギー効率が鉛電池に比べて高いリチウムイオン電池等の非水電解質電池への置き換えが検討されている。非水電解質電池は、エネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両全体の小型・軽量化や車両設計の自由度を高くすることができる。ただし、非水電解質電池では、性能および寿命の観点から、電池温度が所定温度以上とならないように温度管理することが鉛電池よりも重要となる。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、車両前部のコンパートメント内に搭載された電池を高効率に冷却することができる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る車両の前部構造は、コンパートメントと、第1熱交換器と、第2熱交換器と、プロペラファンと、電池と、を備える。前記コンパートメントは、車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有する。前記第1熱交換器は、前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する。前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する。前記プロペラファンは、前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動する。前記電池は、前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載されている。
【0009】
本態様に係る車両の前部構造では、前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の下方に配置され、前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置されている。また、本態様に係る車両の前部構造では、前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは右回りに回転駆動するように構成されている。
【0010】
上記態様に係る車両の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器が第1熱交換器の下方に配置され、プロペラファンが正面視で右回り(時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファンが右回りに回転駆動することにより、第2熱交換器の後方ではプロペラファンのプロペラが右向きに移動する。このため、第2熱交換器で加温された比較的低温の空気は、プロペラファンの回転駆動によりコンパートメント内後方における車幅方向右側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント後方において、右側にオフセット配置された電池に導かれる。よって、上記態様に係る車両の前部構造では、電池を高効率に冷却することができる。
【0011】
本発明の別の一態様に係る車両の前部構造は、コンパートメントと、第1熱交換器と、第2熱交換器と、プロペラファンと、電池と、を備える。前記コンパートメントは、車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有する。前記第1熱交換器は、前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する。前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する。前記プロペラファンは、前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動する。前記電池は、前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載されている。
【0012】
本態様に係る車両の前部構造では、前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の下方に配置され、前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置されている。また、本態様に係る車両の前部構造では、前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは左回りに回転駆動するように構成されている。
【0013】
上記態様に係る車両の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器が第1熱交換器の下方に配置され、プロペラファンが正面視で左回り(反時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファンが左回りに回転駆動することにより、第2熱交換器の後方では、プロペラファンのプロペラが左向きに移動する。このため、第2熱交換器で加温された比較的低温の空気は、プロペラファンの回転駆動によりコンパートメント内後方における車幅方向左側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント後方において、左側にオフセット配置された電池に導かれる。よって、上記態様に係る車両の前部構造では、電池を高効率に冷却することができる。
【0014】
本発明の別の一態様に係る車両の前部構造は、コンパートメントと、第1熱交換器と、第2熱交換器と、プロペラファンと、電池と、を備える。前記コンパートメントは、車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有する。前記第1熱交換器は、前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する。前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する。前記プロペラファンは、前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動する。前記電池は、前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載されている。
【0015】
本態様に係る車両の前部構造では、前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の上方に配置され、前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置されている。また、本態様に係る車両の前部構造では、前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは左回りに回転駆動するように構成されている。
【0016】
上記態様に係る車両の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器が第1熱交換器の上方に配置され、プロペラファンが正面視で左回り(反時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファンが左回りに回転駆動することにより、第2熱交換器の後方ではプロペラファンのプロペラが右向きに移動する。このため、第2熱交換器で加温された比較的低温の空気は、プロペラファンの回転駆動によりコンパートメント内後方における車幅方向右側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント後方において、右側にオフセット配置された電池に導かれる。よって、上記態様に係る車両の前部構造では、電池を高効率に冷却することができる。
【0017】
本発明の別の一態様に係る車両の前部構造は、コンパートメントと、第1熱交換器と、第2熱交換器と、プロペラファンと、電池と、を備える。前記コンパートメントは、車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有する。前記第1熱交換器は、前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する。前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する。前記プロペラファンは、前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動する。前記電池は、前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載されている。
【0018】
本態様に係る車両の前部構造では、前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の上方に配置され、前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置されている。また、本態様に係る車両の前部構造では、前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは右回りに回転駆動するように構成されている。
【0019】
上記態様に係る車両の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器が第1熱交換器の上方に配置され、プロペラファンが正面視で右回り(時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファンが右回りに回転駆動することにより、第2熱交換器の後方ではプロペラファンのプロペラが左向きに移動する。このため、第2熱交換器で加温された比較的低温の空気は、プロペラファンの回転駆動によりコンパートメント内後方における車幅方向左側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント後方において、左側にオフセット配置された電池に導かれる。よって、上記態様に係る車両の前部構造では、電池を高効率に冷却することができる。
【0020】
本発明の別の一態様に係る車両の前部構造は、コンパートメントと、第1熱交換器と、第2熱交換器と、プロペラファンと、電池と、を備える。前記コンパートメントは、車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有する。前記第1熱交換器は、前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する。前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する。前記プロペラファンは、前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動する。前記電池は、前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載されている。
【0021】
本態様に係る車両の前部構造では、前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の左方に配置され、前記電池は、車幅方向の右側にオフセット配置されている。また、本態様に係る車両の前部構造では、前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは左回りに回転駆動するように構成されている。
【0022】
上記態様に係る車両の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器が第1熱交換器の左方に配置され、プロペラファンが正面視で左回り(反時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファンが左回りに回転駆動することにより、第2熱交換器の後方上部ではプロペラファンのプロペラが右向きに移動する。このため、第2熱交換器で加温された比較的低温の空気は、プロペラファンの回転駆動によりコンパートメント内後方における車幅方向右側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント後方において、右側にオフセット配置された電池に導かれる。よって、上記態様に係る車両の前部構造では、電池を高効率に冷却することができる。
【0023】
本発明の別の一態様に係る車両の前部構造は、コンパートメントと、第1熱交換器と、第2熱交換器と、プロペラファンと、電池と、を備える。前記コンパートメントは、車両の前部に設けられ、前記車両の前方からの空気を取り入れる空気取入部を有する。前記第1熱交換器は、前記コンパートメント内の前部に搭載され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を加温する。前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器に隣接して配置され、内部を流通する熱媒体と前記空気との間で熱交換させ、当該空気を前記第1熱交換器で加温される前記空気よりも低い温度に加温する。前記プロペラファンは、前記コンパートメント内における前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の後方で前記第1熱交換器および前記第2熱交換器の双方に重なるように搭載され、前記空気取入部から取り入れられた前記空気を、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を通過して前記コンパートメント内の後方側へと導くように回転駆動する。前記電池は、前記コンパートメント内における前記プロペラファンよりも後方に搭載されている。
【0024】
本態様に係る車両の前部構造では、前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器の右方に配置され、前記電池は、車幅方向の左側にオフセット配置されている。また、本態様に係る車両の前部構造では、前記プロペラファンを前記車両の前方側から正面視するとき、当該プロペラファンは右回りに回転駆動するように構成されている。
【0025】
上記態様に係る車両の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器が第1熱交換器の右方に配置され、プロペラファンが正面視で右回り(時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファンが右回りに回転駆動することにより、第2熱交換器の後方上部ではプロペラファンのプロペラが左向きに移動する。このため、第2熱交換器で加温された比較的低温の空気は、プロペラファンの回転駆動によりコンパートメント内後方における車幅方向左側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント後方において、左側にオフセット配置された電池に導かれる。よって、上記態様に係る車両の前部構造では、電池を高効率に冷却することができる。
【0026】
上記態様に係る車両の前部構造において、前記車両は、前記コンパートメントの後方に、乗員が乗車する車室と、前記車室における車幅方向の左側にオフセット配置されたステアリングホイールと、を有する、とすることも可能である。
【0027】
上記態様に係る車両の前部構造では、車室における車幅方向の左側にオフセット配置されたステアリングホイールを有する。上記態様に係る車両の前部構造のように、ステアリングホイールが左側にある、所謂、左ハンドル車の前部構造では、コンパートメント内において、電池がステアリングホイールとは反対側の車幅方向右側にオフセット配置される。このような電池の配置形態の場合にも、上述のように、第2熱交換器を通過した相対的に温度が低い空気が電池に導かれるので、高効率に電池を冷却することができる。
【0028】
上記態様に係る車両の前部構造において、前記車両は、前記コンパートメントの後方に、乗員が乗車する車室と、前記車室における車幅方向の右側にオフセット配置されたステアリングホイールと、を有する、とすることも可能である。
【0029】
上記態様に係る車両の前部構造では、車室における車幅方向の右側にオフセット配置されたステアリングホイールを有する。上記態様に係る車両の前部構造のように、ステアリングホイールが右側にある、所謂、右ハンドル車の前部構造では、コンパートメント内において、電池がステアリングホイールとは反対側の車幅方向左側にオフセット配置される。このような電池の配置形態の場合にも、上述のように、第2熱交換器を通過した相対的に温度が低い空気が電池に導かれるので、高効率に電池を冷却することができる。
【0030】
上記態様に係る車両の前部構造において、前記電池は、非水電解質電池である、とすることも可能である。
【0031】
上記態様に係る車両の前部構造では、電池として非水電解質電池を採用する。非水電解質電池は、高温となった場合に性能の低下や寿命の劣化といった問題が生じ易いが、上記のように第2熱交換器を通過した相対的に温度が低い空気が電池に導かれるので、高効率に電池の冷却が可能であり、当該電池の性能の低下や寿命の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
上記の各態様に係る車両の前部構造では、車両前部のコンパートメント内に搭載された電池を高効率に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両の前部構造を示す平面図である。
図2】第1熱交換器、第2熱交換器、およびプロペラファンの配置形態を示す正面図である。
図3】第1熱交換器とエンジンとの接続形態、および第2熱交換器とモータとの接続形態を示す模式図である。
図4】プロペラファンの駆動により、第2熱交換器を通過した風の進行経路を示す平面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る車両の前部構造を示す平面図である。
図6】第1熱交換器、第2熱交換器、およびプロペラファンの配置形態を示す正面図である。
図7】プロペラファンの駆動により、第2熱交換器を通過した風の進行経路を示す平面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る車両の前部構造を示す平面図である。
図9】第1熱交換器、第2熱交換器、およびプロペラファンの配置形態を示す正面図である。
図10】プロペラファンの駆動により、第2熱交換器を通過した風の進行経路を示す平面図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る車両の前部構造を示す平面図である。
図12】第1熱交換器、第2熱交換器、およびプロペラファンの配置形態を示す正面図である。
図13】プロペラファンの駆動により、第2熱交換器を通過した風の進行経路を示す平面図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る車両の前部構造を示す平面図である。
図15】第1熱交換器、第2熱交換器、およびプロペラファンの配置形態を示す正面図である。
図16】プロペラファンの駆動により、第2熱交換器を通過した風の進行経路を示す平面図である。
図17】本発明の第6実施形態に係る車両の前部構造を示す平面図である。
図18】第1熱交換器、第2熱交換器、およびプロペラファンの配置形態を示す正面図である。
図19】プロペラファンの駆動により、第2熱交換器を通過した風の進行経路を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0035】
以下の説明で用いる図において、「Up」は車両上方、「Lo」は車両下方、「Fr」は車両前方、「Re」は車両後方、「Le」は車両左方、「Ri」は車両右方をそれぞれ示す。
【0036】
[第1実施形態]
1.車両1の前部構造の概略構成
本発明の第1実施形態に係る車両1の前部構造について、図1から図3を用いて説明する。なお、図1から図3は、車両1の前部構造を模式的に図示したものであって、各部のレイアウトやサイズなどについては実際とは異なる。
【0037】
図1に示すように、車両1は、前部にコンパートメント1aを有する。また、車両1は、コンパートメント1aに対してダッシュパネル1cを挟んだ後方に車室1bを有する。コンパートメント1aは、前部に空気取入部1dを有する。コンパートメント1aには、空気取入部1dを通して車両1の前方から空気が取り入れられる。車室1bには、左側にステアリングホイール16が配されている。即ち、車両1は、所謂、左ハンドル車である。
【0038】
コンパートメント1a内の空気取入部1dの後方には、第1熱交換器12が配されている。また、図2に示すように、第1熱交換器12の下方には、当該第1熱交換器12に隣接するように第2熱交換器13が配されている。
【0039】
図1に示すように、第1熱交換器12および第2熱交換器13(図2を参照。)の後方には、プロペラファン14が配されている。プロペラファン14は、回転軸Ax14周りに回転駆動できるように構成されている。プロペラファン14が回転すると、空気取入部1dから取り入れられた空気が第1熱交換器12および第2熱交換器13を通過してコンパートメント1aの後方へと送られる。図2に示すように、プロペラファン14は、車両1の前方からの正面視において、第1熱交換器12および第2熱交換器13の双方に重なるように構成されている。そして、本実施形態では、第1熱交換器12の高さサイズが第2熱交換器13の高さサイズよりも高く設定されているため、プロペラファン13の回転軸Ax14は、第1熱交換器12と重なる位置に配されている。
【0040】
ここで、図2に示すように、車両1では、プロペラファン14を車両1の前方から正面視した場合に、当該プロペラファン14は右回り(時計回り)Rotに回転するように構成されている。
【0041】
コンパートメント1a内には、プロペラファン14の後方に、エンジン10、モータ11、および電池15が配されている。エンジン10およびモータ11は、車両1が走行するための駆動力を発生する。即ち、車両1は、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。
【0042】
車両1では、電池15としてリチウムイオン電池等の非水電解質電池が採用されている。非水電解質電池は、鉛電池に比べてエネルギー密度が高く、小型・軽量化を図ることができる。電池15は、コンパートメント1a内において、右側にオフセット配置されている(車幅方向の中心に対して右側に偏った位置に配されている)。
【0043】
図3に示すように、第1熱交換器12は、エンジン10と循環路L1で接続されており、第2熱交換器13は、モータ11と循環路L2で接続されている。エンジン10の駆動時に発生する熱は、循環路L1を循環する冷却液を介して第1熱交換器12で空気と熱交換される。モータ11の駆動時に発生する熱は、循環路L2を循環する熱媒体を介して第2熱交換器13で空気と熱交換される。
【0044】
車両1では、第1熱交換器12で熱交換されてコンパートメント1aの後方へと送られる空気の温度は、第2熱交換器13で熱交換されてコンパートメント1aの後方へと送られる空気の温度よりも高い。換言すると、第2熱交換器13を通過して後方へと流れる空気の温度は、第1熱交換器12を通過して後方へと流れる空気の温度よりも低い。
【0045】
2.コンパートメント1a内での空気の流れ
コンパートメント1a内における空気の流れについて、図4を用いて説明する。なお、図4では、第1熱交換器12、エンジン10、およびモータ11などの図示を省略している。
【0046】
図4に示すように、プロペラファン14の駆動に伴い空気取入部1dから取り入れられた空気A1は、第2熱交換器13で熱媒体と熱交換の後、コンパートメント1aの後方へと送られる(矢印A2)。上述のように、第2熱交換器13での熱交換により加温される空気の温度は、第1熱交換器12での熱交換により加温される空気の温度よりも低い。このため、第2熱交換器13を通過した空気は、相対的に低い温度を有する。
【0047】
第2熱交換器13を通過した空気は、右回りに回転駆動するプロペラファン14の回転方向成分と回転軸Ax14に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント1a内における右後方向へと導かれる。そして、コンパートメント1aの右側には、電池15が配されており、第2熱交換器13を通過した比較的低温の空気は、電池15に導かれる。
【0048】
3.効果
本実施形態に係る車両1の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器13が第1熱交換器12の下方に配置され、プロペラファン14が正面視で右回り(時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファン14が右回りに回転駆動することにより、第2熱交換器13の後方ではプロペラファン14のプロペラが右向きに移動する。このため、第2熱交換器13で加温された比較的低温の空気は、プロペラファン14の回転駆動によりコンパートメント1a内後方における車幅方向右側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント1a後方において、右側にオフセット配置された電池15に導かれる。また、プロペラファン14の回転駆動により、第1熱交換器12で加温された比較的高温の空気は、コンパートメント1a内後方における電池15が配されたのとは反対側の車幅方向左側に向けて送風される。よって、本実施形態に係る車両1の前部構造では、電池15を高効率に冷却することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る車両1の前部構造では、コンパートメント1a内に非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)が搭載されている。非水電解質電池は、エネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両1の小型・軽量化や設計の自由度を高くすることができる。
【0050】
従って、本実施形態に係る車両1の前部構造では、車両前部のコンパートメント1a内に搭載された電池15を高効率に冷却することができる。
【0051】
[第2実施形態]
1.車両2の前部構造の概略構成
本発明の第2実施形態に係る車両2の前部構造について、図5および図6を用いて説明する。なお、図5および図6では、上記第1実施形態と同じ構成を採用する部分については同一の符号を付している。そして、以下では、上記第1実施形態との差異点を主に説明する。
【0052】
図5に示すように、車両2も、前部にコンパートメント2aを有し、コンパートメント2aの後方には、ダッシュパネル2cを挟んで車室2bを有する。コンパートメント2aは、前部に空気取入部2dを有する。車室2bには、右側にステアリングホイール26が配されている。即ち、車両2は、所謂、右ハンドル車である。
【0053】
図6に示すように、第1熱交換器12と第2熱交換器13とが、上記第1実施形態と同様の上下関係をもって配されている。図5および図6に示すように、第1熱交換器12および第2熱交換器13の後方には、プロペラファン24が配されている。プロペラファン24は、回転軸Ax24周りに回転駆動できるように構成されている。本実施形態において、プロペラファン24は、車両2の前方からの正面視において、第1熱交換器12および第2熱交換器13の双方に重なるように構成されているとともに、左回り(反時計回り)Rotに回転するように構成されている。
【0054】
図5に戻って、コンパートメント2a内には、プロペラファン24の後方に、エンジン10、モータ11、および電池25が配されている。エンジン10およびモータ11と、第1熱交換器12および第2熱交換器13との接続形態は、上記第1実施形態と同じである。なお、本実施形態に係る車両2も、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。
【0055】
また、車両2でも、電池25としてリチウムイオン電池等の非水電解質電池が採用されている。非水電解質電池は、鉛電池に比べてエネルギー密度が高く、小型・軽量化を図ることができる。電池25は、コンパートメント2a内において、左側にオフセット配置されている(車幅方向の中心に対して左側に偏った位置に配されている)。
【0056】
車両2でも、第1熱交換器12で熱交換されてコンパートメント2aの後方へと送られる空気の温度は、第2熱交換器13で熱交換されてコンパートメント2aの後方へと送られる空気の温度よりも高い。換言すると、第2熱交換器13を通過して後方へと流れる空気の温度は、第1熱交換器12を通過して後方へと流れる空気の温度よりも低い。
【0057】
2.コンパートメント2a内での空気の流れ
コンパートメント2a内における空気の流れについて、図7を用いて説明する。なお、図7においても、第1熱交換器12、エンジン10、およびモータ11などの図示を省略している。
【0058】
図7に示すように、プロペラファン24の駆動に伴い空気取入部2dから取り入れられた空気B1は、第2熱交換器13で熱媒体と熱交換の後、コンパートメント2aの後方へと送られる(矢印B2)。上述のように、本実施形態においても、第2熱交換器13での熱交換により加温される空気の温度は、第1熱交換器12での熱交換により加温される空気の温度よりも低い。このため、第2熱交換器13を通過した空気は、相対的に低い温度を有する。
【0059】
第2熱交換器13を通過した空気は、左回りに回転駆動するプロペラファン24の回転方向成分と回転軸Ax24に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント2a内における左後方向へと導かれる。そして、コンパートメント2aの左側には、電池25が配されており、第2熱交換器13で加温された比較的低温の空気は、電池25に導かれる。
【0060】
3.効果
本実施形態に係る車両2の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器13が第1熱交換器12の下方に配置され、プロペラファン24が正面視で左回り(反時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファン24が左回りに回転駆動することにより、第2熱交換器13の後方では、プロペラファン24のプロペラが左向きに移動する。このため、第2熱交換器13で加温された比較的低温の空気は、プロペラファン24の回転駆動によりコンパートメント2a内後方における車幅方向左側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント2a後方において、左側にオフセット配置された電池25に導かれる。また、プロペラファン24の回転駆動により、第1熱交換器12で加温された比較的高温の空気は、コンパートメント2a内後方における電池25が配されたのとは反対側の車幅方向右側に向けて送風される。よって、上記態様に係る車両2の前部構造では、電池25を高効率に冷却することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る車両2の前部構造では、コンパートメント2a内に非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)が搭載されている。非水電解質電池は、エネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両2の小型・軽量化や設計の自由度を高くすることができる。
【0062】
従って、本実施形態に係る車両2の前部構造では、車両前部のコンパートメント2a内に搭載された電池25を高効率に冷却することができる。
【0063】
[第3実施形態]
1.車両3の前部構造の概略構成
本発明の第3実施形態に係る車両3の前部構造について、図8および図9を用いて説明する。なお、図8および図9でも、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じ構成を採用する部分については同一の符号を付している。そして、以下では、上記第1実施形態および上記第2実施形態との差異点を主に説明する。
【0064】
図8に示すように、車両3も、前部にコンパートメント3aを有し、コンパートメント3aの後方には、ダッシュパネル3cを挟んで車室3bを有する。コンパートメント3aは、前部に空気取入部3dを有する。車室3bには、左側にステアリングホイール16が配されている。即ち、車両3は上記第1実施形態と同様に、所謂、左ハンドル車である。
【0065】
図9に示すように、本実施形態では、第1熱交換器32に対して第2熱交換器33が、上方に隣接して配されている。即ち、本実施形態に係る第1熱交換器32と第2熱交換器33との配置関係は、上記第1実施形態および上記第2実施形態とは逆となっている。なお、第1熱交換器32は、エンジン10と循環路L1で接続され、第2熱交換器33は、モータ11と循環路L2で接続されている。このため、車両3でも、第1熱交換器32で熱交換されてコンパートメント3aの後方へと送られる空気の温度は、第2熱交換器33で熱交換されてコンパートメント3aの後方へと送られる空気の温度よりも高い。換言すると、第2熱交換器33を通過して後方へと流れる空気の温度は、第1熱交換器32を通過して後方へと流れる空気の温度よりも低い。
【0066】
図8および図9に示すように、第1熱交換器32および第2熱交換器33の後方には、プロペラファン24が配されている。プロペラファン24は、上記第2実施形態と同様に、車両3の前方からの正面視において、第1熱交換器32および第2熱交換器33の双方に重なるように構成されているとともに、左回り(反時計回り)Rotに回転駆動するように構成されている。
【0067】
図8に戻って、コンパートメント3a内には、プロペラファン24の後方に、エンジン10、モータ11、および電池15が配されている。これらの配置形態については、上記第1実施形態と同じである。なお、本実施形態に係る車両3も、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。
【0068】
2.コンパートメント3a内での空気の流れ
コンパートメント3a内における空気の流れについて、図10を用いて説明する。なお、図10においても、第1熱交換器32、エンジン10、およびモータ11などの図示を省略している。
【0069】
図10に示すように、プロペラファン24の駆動に伴い空気取入部3dから取り入れられた空気C1は、第2熱交換器33で熱媒体と熱交換の後、コンパートメント3aの後方へと送られる(矢印C2)。上述のように、本実施形態においても、第2熱交換器33での熱交換により加温される空気の温度は、第1熱交換器32での熱交換により加温される空気の温度よりも低い。このため、第2熱交換器33を通過した空気は、相対的に低い温度を有する。
【0070】
第1熱交換器32よりも上方に配された第2熱交換器33を通過した空気は、左回りに回転駆動するプロペラファン24の回転方向成分と回転軸Ax24に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント3a内における右後方向へと導かれる。そして、コンパートメント3aの右側には、電池15が配されており、第2熱交換器33で加温された比較的低温の空気は、電池15に導かれる。
【0071】
3.効果
本実施形態に係る車両3の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器33が第1熱交換器32の上方に配置され、プロペラファン24が正面視で左回り(反時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファン24が左回りに回転駆動することにより、第2熱交換器33の後方ではプロペラファン24のプロペラが右向きに移動する。このため、第2熱交換器33で加温された比較的低温の空気は、プロペラファン24の回転駆動によりコンパートメント3a内後方における車幅方向右側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント3a後方において、右側にオフセット配置された電池15に導かれる。また、プロペラファン24の回転駆動により、第1熱交換器32で加温された比較的高温の空気は、コンパートメント3a内後方における電池15が配されたのとは反対側の車幅方向左側に向けて送風される。よって、本実施形態に係る車両3の前部構造では、電池15を高効率に冷却することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る車両3の前部構造では、コンパートメント3a内に非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)が搭載されている。非水電解質電池は、エネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両3の小型・軽量化や設計の自由度を高くすることができる。
【0073】
従って、本実施形態に係る車両3の前部構造では、車両前部のコンパートメント3a内に搭載された電池15を高効率に冷却することができる。
【0074】
[第4実施形態]
1.車両4の前部構造の概略構成
本発明の第4実施形態に係る車両4の前部構造について、図11および図12を用いて説明する。なお、図11および図12では、上記第1実施形態から上記第3実施形態と同じ構成を採用する部分については同一の符号を付している。そして、以下では、上記第1実施形態から上記第3実施形態との差異点を主に説明する。
【0075】
図11に示すように、車両4も、前部にコンパートメント4aを有し、コンパートメント4aの後方には、ダッシュパネル4cを挟んで車室4bを有する。コンパートメント4aは、前部に空気取入部4dを有する。車室4bには、右側にステアリングホイール26が配されている。即ち、車両4は上記第2実施形態と同様に、所謂、右ハンドル車である。
【0076】
図12に示すように、本実施形態でも、上記第3実施形態と同様に、第1熱交換器32に対して第2熱交換器33が、上方に隣接して配されている。車両4でも、第1熱交換器32で熱交換されてコンパートメント4aの後方へと送られる空気の温度は、第2熱交換器33で熱交換されてコンパートメント4aの後方へと送られる空気の温度よりも高い。換言すると、第2熱交換器33を通過して後方へと流れる空気の温度は、第1熱交換器32を通過して後方へと流れる空気の温度よりも低い。
【0077】
図11および図12に示すように、第1熱交換器32および第2熱交換器33の後方には、プロペラファン14が配されている。プロペラファン14は、上記第1実施形態と同様に、車両4の前方からの正面視において、第1熱交換器32および第2熱交換器33の双方に重なるように構成されているとともに、右回り(時計回り)Rotに回転駆動するように構成されている。
【0078】
図11に戻って、コンパートメント4a内には、プロペラファン14の後方に、エンジン10、モータ11、および電池25が配されている。エンジン10およびモータ11の配置形態については、上記第1実施形態と同じである。また、電池25の配置形態については、上記第2実施形態と同じである。なお、本実施形態に係る車両4も、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。
【0079】
2.コンパートメント4a内での空気の流れ
コンパートメント4a内における空気の流れについて、図13を用いて説明する。なお、図13においても、第1熱交換器32、エンジン10、およびモータ11などの図示を省略している。
【0080】
図13に示すように、プロペラファン14の駆動に伴い空気取入部4dから取り入れられた空気D1は、第2熱交換器33で熱媒体と熱交換の後、コンパートメント4aの後方へと送られる(矢印D2)。上述のように、本実施形態においても、第2熱交換器33での熱交換により加温される空気の温度は、第1熱交換器32での熱交換により加温される空気の温度よりも低い。このため、第2熱交換器33を通過した空気は、相対的に低い温度を有する。
【0081】
第1熱交換器32よりも上方に配された第2熱交換器33を通過した空気は、右回りに回転駆動するプロペラファン14の回転方向成分と回転軸Ax14に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント4a内における左後方向へと導かれる。そして、コンパートメント4aの左側には、電池25が配されており、第2熱交換器33で加温された比較的低温の空気は、電池25に導かれる。
【0082】
3.効果
本実施形態に係る車両4の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器33が第1熱交換器32の上方に配置され、プロペラファン14が正面視で右回り(時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファン14が左回りに回転駆動することにより、第2熱交換器33の後方ではプロペラファン14のプロペラが左向きに移動する。このため、第2熱交換器33で加温された比較的低温の空気は、プロペラファン14の回転駆動によりコンパートメント4a内後方における車幅方向左側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント4a後方において、左側にオフセット配置された電池25に導かれる。また、プロペラファン14の回転駆動により、第1熱交換器32で加温された比較的高温の空気は、コンパートメント4a内後方における電池25が配されたのとは反対側の車幅方向右側に向けて送風される。よって、本実施形態に係る車両4の前部構造では、電池25を高効率に冷却することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る車両4の前部構造では、コンパートメント4a内に非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)が搭載されている。非水電解質電池は、エネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両4の小型・軽量化や設計の自由度を高くすることができる。
【0084】
従って、本実施形態に係る車両4の前部構造では、車両前部のコンパートメント4a内に搭載された電池25を高効率に冷却することができる。
【0085】
[第5実施形態]
1.車両5の前部構造の概略構成
本発明の第5実施形態に係る車両5の前部構造について、図14および図15を用いて説明する。なお、図14および図15でも、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じ構成を採用する部分については同一の符号を付している。そして、以下では、上記第1実施形態および上記第2実施形態との差異点を主に説明する。
【0086】
図14に示すように、車両5も、前部にコンパートメント5aを有し、コンパートメント5aの後方には、ダッシュパネル5cを挟んで車室5bを有する。コンパートメント5aは、前部に空気取入部5dを有する。車室5bには、左側にステアリングホイール16が配されている。即ち、車両5は上記第1実施形態と同様に、所謂、左ハンドル車である。
【0087】
図14および図15に示すように、本実施形態では、第1熱交換器52に対して第2熱交換器53が、左方に隣接して配されている。なお、第1熱交換器52は、エンジン10と循環路L1で接続され、第2熱交換器53は、モータ11と循環路L2で接続されている。このため、車両5でも、第1熱交換器52で熱交換されてコンパートメント5aの後方へと送られる空気の温度は、第2熱交換器53で熱交換されてコンパートメント5aの後方へと送られる空気の温度よりも高い。換言すると、第2熱交換器53を通過して後方へと流れる空気の温度は、第1熱交換器52を通過して後方へと流れる空気の温度よりも低い。
【0088】
図14および図15に示すように、第1熱交換器52および第2熱交換器53の後方には、プロペラファン24が配されている。プロペラファン24は、上記第2実施形態および上記第3実施形態と同様に、車両5の前方からの正面視において、第1熱交換器52および第2熱交換器53の双方に重なるように構成されているとともに、左回り(反時計回り)Rotに回転駆動するように構成されている。
【0089】
図14に戻って、コンパートメント5a内には、プロペラファン24の後方に、エンジン10、モータ11、および電池15が配されている。これらの配置形態については、上記第1実施形態および上記第3実施形態と同じである。なお、本実施形態に係る車両5も、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。
【0090】
2.コンパートメント5a内での空気の流れ
コンパートメント5a内における空気の流れについて、図16を用いて説明する。なお、図16においても、エンジン10およびモータ11などの図示を省略している。
【0091】
図16に示すように、プロペラファン24の駆動に伴い空気取入部5dから取り入れられた空気E1は、第2熱交換器53で熱媒体と熱交換の後、コンパートメント5aの後方へと送られる(矢印E2)。上述のように、本実施形態においても、第2熱交換器53での熱交換により加温される空気の温度は、第1熱交換器52での熱交換により加温される空気の温度よりも低い。このため、第2熱交換器53を通過した空気は、相対的に低い温度を有する。
【0092】
第1熱交換器52よりも左方に配された第2熱交換器53を通過した空気は、左回りに回転駆動するプロペラファン24の回転方向成分と回転軸Ax24に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント5a内における右後方向へと導かれる。そして、コンパートメント5aの右側には、電池15が配されており、第2熱交換器53で加温された比較的低温の空気は、電池15に導かれる。
【0093】
3.効果
本実施形態に係る車両5の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器53が第1熱交換器52の左方に配置され、プロペラファン24が正面視で左回り(反時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファン24が左回りに回転駆動することにより、第2熱交換器53の後方上部ではプロペラファン24のプロペラが右向きに移動する。このため、第2熱交換器53で加温された比較的低温の空気は、プロペラファン24の回転駆動によりコンパートメント5a内後方における車幅方向右側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント5a後方において、右側にオフセット配置された電池15に導かれる。また、プロペラファン24の回転駆動により、第1熱交換器52で加温された比較的高温の空気は、コンパートメント5a内後方における電池15が配されたのとは反対側の車幅方向左側に向けて送られる。よって、本実施形態に係る車両5の前部構造では、電池15を高効率に冷却することができる。
【0094】
また、本実施形態に係る車両5の前部構造では、コンパートメント5a内に非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)が搭載されている。非水電解質電池は、エネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両5の小型・軽量化や設計の自由度を高くすることができる。
【0095】
従って、本実施形態に係る車両5の前部構造では、車両前部のコンパートメント5a内に搭載された電池15を高効率に冷却することができる。
【0096】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係る車両4の前部構造について、図17および図18を用いて説明する。なお、図17および図18では、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じ構成を採用する部分については同一の符号を付している。そして、以下では、上記第1実施形態および上記第2実施形態との差異点を主に説明する。
【0097】
図17に示すように、車両6も、前部にコンパートメント6aを有し、コンパートメント6aの後方には、ダッシュパネル6cを挟んで車室6bを有する。コンパートメント6aは、前部に空気取入部6dを有する。車室6bには、右側にステアリングホイール26が配されている。即ち、車両6は上記第2実施形態および上記第4実施形態と同様に、所謂、右ハンドル車である。
【0098】
図17および図18に示すように、本実施形態では、第1熱交換器62に対して第2熱交換器63が、右方に隣接して配されている。車両6でも、第1熱交換器62で熱交換されてコンパートメント6aの後方へと送られる空気の温度は、第2熱交換器63で熱交換されてコンパートメント6aの後方へと送られる空気の温度よりも高い。換言すると、第2熱交換器63を通過して後方へと流れる空気の温度は、第1熱交換器62を通過して後方へと流れる空気の温度よりも低い。
【0099】
図17および図18に示すように、第1熱交換器62および第2熱交換器63の後方には、プロペラファン14が配されている。プロペラファン14は、上記第1実施形態および上記第4実施形態と同様に、車両6の前方からの正面視において、第1熱交換器62および第2熱交換器63の双方に重なるように構成されているとともに、右回り(時計回り)Rotに回転駆動するように構成されている。
【0100】
図17に戻って、コンパートメント6a内には、プロペラファン14の後方に、エンジン10、モータ11、および電池25が配されている。エンジン10およびモータ11の配置形態については、上記第1実施形態などと同じである。また、電池25の配置形態については、上記第2実施形態および上記第4実施形態と同じである。なお、本実施形態に係る車両6も、ハイブリッド電気自動車(HEV)である。
【0101】
2.コンパートメント6a内での空気の流れ
コンパートメント6a内における空気の流れについて、図19を用いて説明する。なお、図19においても、エンジン10およびモータ11などの図示を省略している。
【0102】
図19に示すように、プロペラファン14の駆動に伴い空気取入部6dから取り入れられた空気F1は、第2熱交換器63で熱媒体と熱交換の後、コンパートメント6aの後方へと送られる(矢印F2)。上述のように、本実施形態においても、第2熱交換器63での熱交換により加温される空気の温度は、第1熱交換器62での熱交換により加温される空気の温度よりも低い。このため、第2熱交換器63を通過した空気は、相対的に低い温度を有する。
【0103】
第1熱交換器62よりも右方に配された第2熱交換器63を通過した空気は、右回りに回転駆動するプロペラファン14の回転方向成分と回転軸Ax14に沿った方向成分とが合成された方向に進むため、コンパートメント6a内における左後方向へと導かれる。そして、コンパートメント6aの左側には、電池25が配されており、第2熱交換器63で加温された比較的低温の空気は、電池25に導かれる。
【0104】
3.効果
本実施形態に係る車両6の前部構造では、比較的低い温度に空気を加温する第2熱交換器63が第1熱交換器62の右方に配置され、プロペラファン14が正面視で右回り(時計回り)に回転駆動するように構成されている。このようにプロペラファン14が右回りに回転駆動することにより、第2熱交換器63の後方上部ではプロペラファン14のプロペラが左向きに移動する。このため、第2熱交換器63で加温された比較的低温の空気は、プロペラファン14の回転駆動によりコンパートメント6a内後方における車幅方向左側に向けて送風される。そして、後方に送られた比較的低い温度の空気は、コンパートメント6a後方において、左側にオフセット配置された電池25に導かれる。また、プロペラファン14の回転駆動により、第1熱交換器62で加温された比較的高温の空気は、コンパートメント6a内後方における電池25が配されたのとは反対側の車幅方向右側に向けて送られる。よって、本実施形態に係る車両6の前部構造では、電池25を高効率に冷却することができる。
【0105】
また、本実施形態に係る車両6の前部構造では、コンパートメント6a内に非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)が搭載されている。非水電解質電池は、エネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができ、車両6の小型・軽量化や設計の自由度を高くすることができる。
【0106】
従って、本実施形態に係る車両6の前部構造では、車両前部のコンパートメント6a内に搭載された電池25を高効率に冷却することができる。
【0107】
[変形例]
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、第1熱交換器12,32,52,62がエンジン10の冷却用として設けられ、第2熱交換器13,33,53,63がモータ11の冷却用として設けられた構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、第1熱交換器をエンジンまたはモータの冷却用として設け、第2熱交換器をその他の補器(例えば、エバポレータやインバータ)に接続された構成を採用することもできる。
【0108】
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、車両1~6の前部のコンパートメント1a,2a,3a,4a,5a,6aにエンジン10およびモータ11が搭載されている構造を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車両前部のコンパートメントにエンジンだけが搭載された構造やモータだけが搭載された構造、さらには、車両前部のコンパートメントにエンジンもモータも搭載されていない構造を採用することも可能である。
【0109】
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、電池15,25として非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、鉛電池や全固体二次電池などを採用することも可能である。
【0110】
本発明では、車両の駆動中にプロペラファンを継続的に回転駆動させることは必ずしも必要ではなく、エンジンやモータ、さらには車速や電池の温度やコンパートメント内の温度などを総合的に判断して適時に回転駆動させることとしてもよい。
【0111】
上記第1実施形態から上記第6実施形態では、コンパートメント1a,2a,3a,4a,5a,6aの後方に車室1b,2b,3b,4b,5b,6bが配された車両1~6を採用したが、本発明は、例えば、キャブオーバータイプの車両に適用することも可能である。
【0112】
上記第1実施形態、上記第3実施形態、および上記第5実施形態では、左ハンドル車を一例とし、電池15がコンパートメント1a,3a,5aの右方にオフセット配置された構造を採用したが、本発明は、ステアリングホイールの位置と電池の位置との関係について、これに限定を受けるものではない。同様に、上記第2実施形態、上記第4実施形態、および上記第6実施形態では、右ハンドル車を一例とし、電池25がコンパートメント2a,4a,6aの左方にオフセット配置された構造を採用したが、本発明は、ステアリングホイールの位置と電池の位置との関係について、これに限定を受けるものではない。例えば、左ハンドル車における車両前部のコンパートメントにおいて、電池を左方にオフセット配置してもよいし、右ハンドル車における車両前部のコンパートメントにおいて、電池を右方にオフセット配置してもよい。そして、この場合には、第2熱交換器と電池の位置関係を考慮してプロペラファンの回転方向を規定すれば、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0113】
1~6 車両
1a,2a,3a,4a,5a,6a コンパートメント
1d,2d,3d,4d,5d,6d 空気取入部
12,32,52,62 第1熱交換器
13,33,53,63 第2熱交換器
14,24 プロペラファン
15,25 電池
16,26 ステアリングホイール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19