(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 84/80 20250101AFI20250212BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250212BHJP
H10D 8/60 20250101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L29/78 657D
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/86 301F
H01L29/86 301E
H01L29/86 301D
(21)【出願番号】P 2021091096
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】日吉 透
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/177914(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/189242(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/004802(WO,A1)
【文献】特開2009-159184(JP,A)
【文献】特開2005-094842(JP,A)
【文献】特開2010-212331(JP,A)
【文献】特開2007-287989(JP,A)
【文献】特開2011-035410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタと、
前記トランジスタに並列に接続されたショットキーバリアダイオードと、
を有し、
前記トランジスタは、
第1主面
と、前記第1主面とは反対の第2主面とを備えた第1半導体基板と、
複数のゲート電極と、
を有し、
前記第1半導体基板は、
第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上に設けられた第2導電型のボディ領域と、
前記ドリフト領域から隔てられるように前記ボディ領域の上に設けられた前記第1導電型のソース領域と、
前記ボディ領域と接続され、少なくとも一部が前記ドリフト領域に接する、複数の前記第2導電型の電界緩和領域と、
を有し、
前記第1主面に、前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通して前記ドリフト領域に至る側面と、前記側面と連なる底面とを備えた複数のゲートトレンチが形成され、
前記ゲート電極の少なくとも一部は前記ゲートトレンチの内部にあり、
前記電界緩和領域は、前記第1主面に垂直な上面視で、隣り合う前記ゲートトレンチの間にあり、
前記ゲート電極
および前記電界緩和領域は、前記第1半導体基板の<1-100>とのなす角度が第1角度の第1方向に延び、
前記電界緩和領域は、第1側端面と、前記第1側端面とは反対の第2側端面と、前記第1側端面および前記第2側端面と連なる第1下端面と、を有し、
前記第1側端面、前記第2側端面および前記第1下端面は前記ドリフト領域に接し、
前記ショットキーバリアダイオードは、
第
3主面を備えた第2半導体基板を有し、
前記第2半導体基板は、
前記第
3主面を構成する
前記第1導電型の第1半導体領域と、
前記第
3主面に形成された
前記第2導電型の第2半導体領域と、
を有し、
前記第2半導体領域は、前記第2半導体基板の<1-100>とのなす角度が第2角度の第2方向に延び、
前記第2半導体領域は、第3側端面と、前記第3側端面とは反対の第4側端面と、前記第3側端面および前記第4側端面と連なる第2下端面と、を有し、
前記第3側端面、前記第4側端面および前記第2下端面は前記第1半導体領域に接し、
前記第1角度と前記第2角度との差が10°以下である半導体装置。
【請求項2】
前記第1角度が10°以下であり、
前記第2角度が10°以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1角度が80°以上100°以下であり、
前記第2角度が80°以上100°以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トランジスタを複数有し、
前記トランジスタが前記ショットキーバリアダイオードに複数並列に接続されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ショットキーバリアダイオードを複数有し、
前記ショットキーバリアダイオードが前記トランジスタに複数並列に接続されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
上アームと、
前記上アームに直列に接続された下アームと、
を有し、
前記上アームは、前記トランジスタと前記ショットキーバリアダイオードとの第1組み合わせを含み、
前記下アームは、前記トランジスタと前記ショットキーバリアダイオードとの第2組み合わせを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ショットキーバリアダイオードは、前記第2半導体基板の結晶方位を特定する標識を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体基板及び前記第2半導体基板は炭化珪素基板である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記トランジスタは、前記第1方向を長手方向とする複数の第1単位セルを有し、
前記ショットキーバリアダイオードは、前記第2方向を長手方向とする複数の第2単位セルを有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トランジスタと前記ショットキーバリアダイオードとの間の絶縁破壊電圧の差が100V以下である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧が、前記トランジスタの絶縁破壊電圧よりも高い請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記トランジスタの絶縁破壊電圧及び前記ショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧は600V以上である請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記トランジスタ及び前記ショットキーバリアダイオードを収容する筐体を有する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記トランジスタ及び前記ショットキーバリアダイオードが実装された絶縁基板を有する請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
1又は2以上の前記トランジスタと、1又は2以上の前記ショットキーバリアダイオードとの間の最も短い距離は1.0cm以下である請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記電界緩和領域は、前記ボディ領域から前記第2主面に向けて延びる請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに並列に接続されたトランジスタ及びダイオードを含む半導体装置に関し、通電劣化を防止することを目的として、トランジスタに内蔵されるボディダイオードの特性を限定した半導体装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置では、温度が上昇したときに誘導負荷(L負荷)アバランシェ耐量が大きくばらつくことがある。
【0005】
本開示は、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、トランジスタと、前記トランジスタに並列に接続されたショットキーバリアダイオードと、を有し、前記トランジスタは、第1主面を備えた第1半導体基板と、前記第1主面に形成されたゲート電極と、を有し、前記ゲート電極は、前記第1半導体基板の<1-100>とのなす角度が第1角度の第1方向に延び、前記ショットキーバリアダイオードは、第2主面を備えた第2半導体基板を有し、前記第2半導体基板は、前記第2主面を構成する第1導電型の第1半導体領域と、前記第2主面に形成された第2導電型の第2半導体領域と、を有し、前記第2半導体領域は、前記第2半導体基板の<1-100>とのなす角度が第2角度の第2方向に延び、前記第1角度と前記第2角度との差が10°以下である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体モジュールを示す上面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体モジュールを示す回路図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における第1トランジスタの単位セルを示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における第1トランジスタを示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における第1ダイオードの単位セルを示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における第1ダイオードを示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態における第2トランジスタの単位セルを示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態における第2トランジスタを示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態における第2ダイオードの単位セルを示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態における第2ダイオードを示す断面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態における第1トランジスタの単位セルを示す図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における第1トランジスタを示す断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態における第1ダイオードの単位セルを示す図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態における第1ダイオードを示す断面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態における第2トランジスタの単位セルを示す図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態における第2トランジスタを示す断面図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態における第2ダイオードの単位セルを示す図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態における第2ダイオードを示す断面図である。
【
図20】
図20は、第1実施形態における第1トランジスタの変形例の単位セルを示す図である。
【
図21】
図21は、第1実施形態における第1ダイオードの変形例の単位セルを示す図である。
【
図22】
図22は、第2実施形態における第1トランジスタの変形例の単位セルを示す図である。
【
図23】
図23は、第2実施形態における第1ダイオードの変形例の単位セルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、"-"(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本明細書中では数字の前に負の符号を付している。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、トランジスタと、前記トランジスタに並列に接続されたショットキーバリアダイオードと、を有し、前記トランジスタは、第1主面を備えた第1半導体基板と、前記第1主面に形成されたゲート電極と、を有し、前記ゲート電極は、前記第1半導体基板の<1-100>とのなす角度が第1角度の第1方向に延び、前記ショットキーバリアダイオードは、第2主面を備えた第2半導体基板を有し、前記第2半導体基板は、前記第2主面を構成する第1導電型の第1半導体領域と、前記第2主面に形成された第2導電型の第2半導体領域と、を有し、前記第2半導体領域は、前記第2半導体基板の<1-100>とのなす角度が第2角度の第2方向に延び、前記第1角度と前記第2角度との差が10°以下である。
【0012】
本半導体装置では、温度上昇によりトランジスタ及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧が同様の傾向で変化する。このため、温度上昇によりトランジスタ及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧が変化しても、アバランシェ電流のトランジスタ又はダイオードへの集中を抑制し、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第1角度が10°以下であり、前記第2角度が10°以下であってもよい。この場合、トランジスタ及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧の温度特性が揃いやすく、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきをより抑制しやすい。
【0014】
〔3〕 〔1〕において、前記第1角度が80°以上100°以下であり、前記第2角度が80°以上100°以下であってもよい。この場合、トランジスタ及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧の温度特性が揃いやすく、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきをより抑制しやすい。
【0015】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記トランジスタを複数有し、前記トランジスタが前記ショットキーバリアダイオードに複数並列に接続されていてもよい。この場合、大きな電流を流しやすい。なお、前記トランジスタの数は、例えば、2個でもよく、4個でもよく、6個でもよく、12個でもよい。
【0016】
〔5〕 〔1〕~〔4〕において、前記ショットキーバリアダイオードを複数有し、前記ショットキーバリアダイオードが前記トランジスタに複数並列に接続されていてもよい。この場合、電流を還流させやすい。なお、前記ショットキーバリアダイオードの数は、例えば、2個でもよく、4個でもよく、6個でもよく、12個でもよい。前記トランジスタの数と前記ショットキーバリアダイオードの数とが同じでもよく、異なっていてもよい。
【0017】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、上アームと、前記上アームに直列に接続された下アームと、を有し、前記上アームは、前記トランジスタと前記ショットキーバリアダイオードとの第1組み合わせを含み、前記下アームは、前記トランジスタと前記ショットキーバリアダイオードとの第2組み合わせを含んでもよい。この場合、半導体装置を上アーム及び下アームを備えるパワーモジュールに用い、パワーモジュールの誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記ショットキーバリアダイオードは、前記第2半導体基板の結晶方位を特定する標識を有してもよい。この場合、第2半導体基板の結晶方位を考慮しながらショットキーバリアダイオードを絶縁基板等に実装しやすくできる。
【0019】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記第1半導体基板及び前記第2半導体基板は炭化珪素基板であってもよい。炭化珪素は絶縁破壊強度に異方性を有するが、基板の結晶方位に応じた構造とすることで、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御しやすい。
【0020】
〔9〕 〔1〕~〔8〕において、前記トランジスタは、前記第1方向を長手方向とする複数の第1単位セルを有し、前記ショットキーバリアダイオードは、前記第2方向を長手方向とする複数の第2単位セルを有してもよい。この場合、トランジスタでは、複数の第1単位セルのいずれかで絶縁破壊が生じ、ショットキーバリアダイオードでは、複数の第2単位セルのいずれかで絶縁破壊が生じ、トランジスタ及びショットキーバリアダイオードの両方にアバランシェ電流が流れる。
【0021】
〔10〕 〔1〕~〔9〕において、前記トランジスタと前記ショットキーバリアダイオードとの間の絶縁破壊電圧の差が100V以下であってもよい。この場合、特にトランジスタ及びショットキーバリアダイオードの両方にアバランシェ電流が流れやすくできる。
【0022】
〔11〕 〔1〕~〔10〕において、前記ショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧が、前記トランジスタの絶縁破壊電圧よりも高くてもよい。この場合、トランジスタの絶縁破壊電圧とダイオードの絶縁破壊電圧との差を小さくしやすい。
【0023】
〔12〕 〔1〕~〔11〕において、前記トランジスタの絶縁破壊電圧及び前記ショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧は600V以上であってもよい。この場合、耐圧の向上により、多くの用途に用いやすくできる。
【0024】
〔13〕 〔1〕~〔12〕において、前記トランジスタ及び前記ショットキーバリアダイオードを収容する筐体を有してもよい。トランジスタで発生した熱によりショットキーバリアダイオードの温度も上昇することによって、トランジスタ及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧が温度上昇により同様に変化し、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0025】
〔14〕 〔1〕~〔13〕において、前記トランジスタ及び前記ショットキーバリアダイオードが実装された絶縁基板を有してもよい。トランジスタで発生した熱によりショットキーバリアダイオードの温度も上昇することによって、トランジスタ及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧が温度上昇により同様に変化し、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0026】
〔15〕 〔1〕~〔14〕において、1又は2以上の前記トランジスタと、1又は2以上の前記ショットキーバリアダイオードとの間の最も短い距離は1.0cm以下であってもよい。トランジスタとショットキーバリアダイオードとの間の距離が短いほど、集積度を高められる一方で、トランジスタで発生した熱によりショットキーバリアダイオードの温度も同様に上昇しやすくなる。同様に温度上昇によりトランジスタ及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧が同様に変化することで、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。本明細書及び図面において、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面とし、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面とし、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面とする。便宜上、Z1方向を上方向、Z2方向を下方向とする。また、本開示において平面視とは、Z1側から対象物を視ることをいう。
【0028】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は、半導体モジュールに関する。
図1は、第1実施形態に係る半導体モジュールを示す上面図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体モジュールを示す回路図である。
【0029】
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体モジュール100は、主として、放熱板121と、筐体122と、P端子101と、N端子102と、O端子103と、第1導電パターン111と、第2導電パターン112と、第3導電パターン113とを有する。半導体モジュール100は、更に、第1トランジスタ200と、第2トランジスタ400と、第1ダイオード300と、第2ダイオード500とを有する。
【0030】
放熱板121は、例えば平面視で矩形状の厚さが一様の板状体である。放熱板121の材料は、熱伝導率の高い素材である金属、例えば銅(Cu)、銅合金、アルミニウム(Al)等である。放熱板121は、熱界面材料(thermal interface material:TIM)等を用いて冷却器等に固定される。
【0031】
筐体122は、例えば平面視において枠状に形成されており、筐体122の外形は放熱板121の外形と同等である。筐体122の材料は樹脂等の絶縁体である。筐体122は、互いに対向する一対の側壁部191及び192と、側壁部191及び192の両端をつなぐ一対の端壁部193及び194とを有する。側壁部191及び192はZX平面に平行に配置され、端壁部193及び194はYZ平面に平行に配置されている。側壁部191は側壁部192のY1側に配置され、端壁部193は端壁部194のX1側に配置されている。
【0032】
端壁部193の上面(Z1側の表面)にP端子101及びN端子102が配置され、端壁部194の上面(Z1側の表面)にO端子103が配置されている。例えば、N端子102がP端子101のY2側に配置されている。P端子101、N端子102及びO端子103は、それぞれ金属板から構成されている。
【0033】
筐体122の内側において、放熱板121のZ1側に、絶縁基板123が配置されている。第1導電パターン111、第2導電パターン112及び第3導電パターン113は、絶縁基板123のZ1側の面に設けられている。絶縁基板123のZ2側の面に導電層114(
図4、
図6、
図8及び
図10参照)が設けられている。導電層114が、はんだ等の接合材(図示せず)により放熱板121に接合されている。
【0034】
P端子101は第1導電パターン111に電気的に接続され、O端子103は第2導電パターン112に電気的に接続され、N端子102は第3導電パターン113に電気的に接続されている。
【0035】
第1トランジスタ200及び第1ダイオード300は第1導電パターン111の上に設けられている。第1トランジスタ200のドレイン電極233(
図4参照)がはんだ等の接合材116(
図4参照)を用いて第1導電パターン111に接合されている。第1ダイオード300のカソード電極333(
図6参照)がはんだ等の接合材117(
図6参照)を用いて第1導電パターン111に接合されている。第1トランジスタ200のソース電極232(
図4参照)が複数のボンディングワイヤ161により第2導電パターン112に接続されている。第1ダイオード300のアノード電極332(
図6参照)が複数のボンディングワイヤ171により第1トランジスタ200のソース電極232に接続されている。
【0036】
第2トランジスタ400及び第2ダイオード500は第2導電パターン112の上に設けられている。第2トランジスタ400のドレイン電極433(
図8参照)がはんだ等の接合材118(
図8参照)を用いて第2導電パターン112に接合されている。第2ダイオード500のカソード電極533(
図10参照)がはんだ等の接合材119(
図10参照)を用いて第2導電パターン112に接合されている。第2トランジスタ400のソース電極432(
図8参照)が複数のボンディングワイヤ162により第3導電パターン113に接続されている。第2ダイオード500のアノード電極532(
図10参照)が複数のボンディングワイヤ172により第2トランジスタ400のソース電極432に接続されている。
【0037】
図2に示すように、第1トランジスタ200と第2トランジスタ400とがP端子101とN端子102との間に直列に接続され、O端子103が第1トランジスタ200と第2トランジスタ400との間に接続されている。また、第1ダイオード300が第1トランジスタ200に並列に接続され、第2ダイオード500が第2トランジスタ400に並列に接続されている。第1トランジスタ200及び第1ダイオード300を含む上アーム181が構成され、第2トランジスタ400及び第2ダイオード500を含む下アーム182が構成されている。第1トランジスタ200と第1ダイオード300との組み合わせは、第1組み合わせの一例であり、第2トランジスタ400と第2ダイオード500との組み合わせは、第2組み合わせの一例である。
【0038】
〔第1トランジスタ200〕
次に、第1実施形態における第1トランジスタ200について詳細に説明する。
図3は、第1実施形態における第1トランジスタ200の単位セルを示す図であり、
図4は、第1実施形態における第1トランジスタ200を示す断面図である。
図4は、
図3中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。
【0039】
第1トランジスタ200は、主として、炭化珪素基板210と、ゲート電極231と、ソース電極232と、ドレイン電極233とを有する。
【0040】
炭化珪素基板210は、炭化珪素単結晶基板206と、炭化珪素単結晶基板206の上の炭化珪素エピタキシャル層207とを含む。炭化珪素基板210は、主面210Aと、主面210Aとは反対側の主面210Bとを有する。炭化珪素エピタキシャル層207が主面210Aを構成し、炭化珪素単結晶基板206が主面210Bを構成する。炭化珪素基板210の形状は、例えば直方体状である。主面210AはZ1-Z2方向に垂直な面である。<1-100>はY1-Y2方向に平行な方向である。炭化珪素単結晶基板206及び炭化珪素エピタキシャル層207は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板206は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含みn型を有する。炭化珪素基板210は第1半導体基板の一例であり、主面210Aは第1主面の一例である。
【0041】
主面210Aは、(0001)がオフ方向に傾斜した面である。例えば、オフ方向は[11-20]である。例えば、主面210Aは(0001)がオフ方向([11-20])に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。オフ角は、例えば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0042】
[11-20]は(0001)内の方位である。しかし、主面210Aが(0001)がオフ方向に傾斜した面であるため、[11-20]は主面210A内の方位ではない。X1方向は[11-20]を主面210Aに投影した方位に相当し、X2方向は[-1-120]を主面210Aに投影した方位に相当する。
【0043】
第1トランジスタ200は、活性領域201と、活性領域201の周囲に設けられた終端領域202とを有する。
【0044】
活性領域201において、炭化珪素エピタキシャル層207は、主として、ドリフト領域211と、ボディ領域212と、ソース領域213と、コンタクト領域214と、電界緩和領域215とを有する。
【0045】
ドリフト領域211は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ドリフト領域211は、主面210Bを構成する。ボディ領域212は、ドリフト領域211に接している。ボディ領域212は、例えばアルミニウム(Al)等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。ソース領域213は、ボディ領域212によってドリフト領域211から隔てられるようにボディ領域212上に設けられている。ソース領域213は、例えば窒素又はリン(P)等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ソース領域213は、主面210Aの一部を構成する。炭化珪素エピタキシャル層207がドリフト領域211の下にバッファ層を有してもよい。
【0046】
主面210Aに、複数のゲートトレンチ220が設けられている。複数のゲートトレンチ220は、Y1-Y2方向に平行に延び、X1-X2方向に並んで配置されている。ゲートトレンチ220は、側面221と、底面222とにより規定されている。底面222は、側面221に連なっている。側面221は、ソース領域213及びボディ領域212を貫通している。側面221は、ドリフト領域211に至っている。底面222は、ドリフト領域211に位置している。底面222は、主面210Aとほぼ平行である。側面221は、ソース領域213、ボディ領域212及びドリフト領域211により構成されている。底面222は、ドリフト領域211により構成されている。
【0047】
ゲートトレンチ220内に、側面221及び底面222に接するゲート絶縁膜217が形成されている。ゲート絶縁膜217は、底面222においてドリフト領域211に接している。ゲート絶縁膜217は、側面221においてソース領域213、ボディ領域212及びドリフト領域211に接している。
【0048】
ゲート電極231は、ゲート絶縁膜217上に設けられている。ゲート電極231は、例えば導電性不純物を含むポリシリコンから構成されている。ゲート電極231は、ゲートトレンチ220の内部に配置されている。ゲート電極231は、ソース領域213、ボディ領域212及びドリフト領域211に対面している。複数のゲート電極231は、Y1-Y2方向に平行に延び、X1-X2方向に並んで配置されている。Y1-Y2方向は第1方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板210の<1-100>と第1方向とのなす第1角度が0°である。
【0049】
コンタクト領域214は、X1-X2方向で隣り合うゲートトレンチ220の間に、各ゲートトレンチ220の側面221から離れて、ソース領域213を貫通し、ボディ領域212に接するように設けられている。コンタクト領域214は、主面210Aの一部を構成する。コンタクト領域214は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。
【0050】
電界緩和領域215は、X1-X2方向で隣り合うゲートトレンチ220の間に、各ゲートトレンチ220の側面221から離れて、ボディ領域212から主面210Bに向けて延びるように設けられている。電界緩和領域215は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。電界緩和領域215は、下端面215Cと、第1側端面215Aと、第2側端面215Bとを有する。下端面215Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面215A及び第2側端面215Bは、YZ平面にほぼ平行である。第1側端面215Aが第2側端面215BのX1側にある。下端面215C、第1側端面215A及び第2側端面215Bは、ドリフト領域211に接する。
【0051】
ゲートトレンチ220及びゲート電極231を覆うように層間絶縁膜235が設けられている。層間絶縁膜235に、ソース領域213の一部及びコンタクト領域214を露出するコンタクトホール236が形成されている。
【0052】
ソース電極232は、層間絶縁膜235の上に設けられており、コンタクトホール236を通じて主面210Aに接する。ソース電極232は、ソース領域213及びコンタクト領域214に電気的に接続されている。層間絶縁膜235は、ゲート電極231とソース電極232とを電気的に絶縁している。
【0053】
ドレイン電極233は、主面210Bに接する。ドレイン電極233は、ドリフト領域211に電気的に接続されている。
【0054】
第1トランジスタ200は、ゲートトレンチ220の周期パターンの単位となる複数の第1単位セル203を活性領域201内に含む。複数の第1単位セル203は、Y1-Y2方向を長手方向とし、X1-X2方向に並ぶ。
【0055】
終端領域202は、例えば平面形状が環状の領域であり、主面210Aの一部を構成する。終端領域202は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。
【0056】
第1トランジスタ200では、ソース電極232とドレイン電極233との間に電圧が印加されると、電界緩和領域215の、下端面215Cと第1側端面215Aとが交わる第1隅部216A及び下端面215Cと第2側端面215Bとが交わる第2隅部216Bに電界が集中しやすい。
【0057】
〔第1ダイオード300〕
次に、第1実施形態における第1ダイオード300について詳細に説明する。第1ダイオード300は、JBS(Junction Barrier Schottky)構造を有するショットキーバリアダイオードである。
図5は、第1実施形態における第1ダイオード300の単位セルを示す図であり、
図6は、第1実施形態における第1ダイオード300を示す断面図である。
図6は、
図5中のVI-VI線に沿った断面図に相当する。
【0058】
第1ダイオード300は、主として、炭化珪素基板310と、アノード電極332と、カソード電極333とを有する。
【0059】
炭化珪素基板310は、炭化珪素単結晶基板306と、炭化珪素単結晶基板306の上の炭化珪素エピタキシャル層307とを含む。炭化珪素基板310は、主面310Aと、主面310Aとは反対側の主面310Bとを有する。炭化珪素エピタキシャル層307が主面310Aを構成し、炭化珪素単結晶基板306が主面310Bを構成する。炭化珪素基板310の形状は、例えば直方体状である。主面310AはZ1-Z2方向に垂直な面である。<1-100>はY1-Y2方向に平行な方向である。炭化珪素単結晶基板306及び炭化珪素エピタキシャル層307は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板306は、例えば窒素等のn型不純物を含みn型を有する。炭化珪素基板310は第2半導体基板の一例であり、主面310Aは第2主面の一例である。
【0060】
主面310Aは、(0001)がオフ方向に傾斜した面である。例えば、オフ方向は[11-20]である。例えば、主面310Aは(0001)がオフ方向([11-20])に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。オフ角は、例えば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0061】
[11-20]は(0001)内の方位である。しかし、主面310Aが(0001)がオフ方向に傾斜した面であるため、[11-20]は主面310A内の方位ではない。X1方向は[11-20]を主面310Aに投影した方位に相当し、X2方向は[-1-120]を主面310Aに投影した方位に相当する。
【0062】
第1ダイオード300は、活性領域301と、活性領域301の周囲に設けられた終端領域302とを有する。
【0063】
活性領域301において、炭化珪素エピタキシャル層307は、主として、n型領域311と、複数のp型領域315とを有する。
【0064】
n型領域311は、例えば窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。n型領域311は、主面310Bを構成し、主面310Aの一部を構成する。n型領域311は第1半導体領域の一例である。
【0065】
複数のp型領域315は、主面310Aに設けられている。p型領域315は、主面310Aの一部を構成する。複数のp型領域315は、Y1-Y2方向に平行に延び、X1-X2方向に並んで配置されている。p型領域315は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。p型領域315は、下端面315Cと、第1側端面315Aと、第2側端面315Bとを有する。下端面315Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面315A及び第2側端面315Bは、YZ平面にほぼ平行である。第1側端面315Aが第2側端面315BのX1側にある。下端面315C、第1側端面315A及び第2側端面315Bは、n型領域311に接する。p型領域315は第2半導体領域の一例であり、Y1-Y2方向は第2方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板310の<1-100>と第2方向とのなす第2角度が0°である。
【0066】
アノード電極332は、主面310Aに接する。アノード電極332は、n型領域311及びp型領域315に電気的に接続されている。
【0067】
カソード電極333は、主面310Bに接する。カソード電極333は、n型領域311に電気的に接続されている。
【0068】
第1ダイオード300は、p型領域315の周期パターンの単位となる複数の第2単位セル303を活性領域301内に含む。複数の第2単位セル303は、Y1-Y2方向を長手方向とし、X1-X2方向に並ぶ。
【0069】
終端領域302は、例えば平面形状が環状の領域であり、主面310Aの一部を構成する。終端領域302は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。
【0070】
主面310Aのアノード電極332から露出した部分に、炭化珪素基板310の結晶方位を特定する標識319が設けられていてもよい。標識319は直接的に結晶方位を表示してもよい。例えば[11-20]がどの方向を向いているのかをミラー指数又は三角形等の図形を用いて表示してもよい。また、製品番号の向き等により炭化珪素基板310の結晶方位を間接的に表示してもよい。
【0071】
第1ダイオード300では、アノード電極332とカソード電極333との間に電圧が印加されると、p型領域315の、下端面315Cと第1側端面315Aとが交わる第1隅部316A及び下端面315Cと第2側端面315Bとが交わる第2隅部316Bに電界が集中しやすい。
【0072】
〔第2トランジスタ400〕
次に、第2トランジスタ400について詳細に説明する。
図7は、第1実施形態における第2トランジスタ400の単位セルを示す平面図であり、
図8は、第1実施形態における第2トランジスタ400を示す断面図である。
図8は、
図7中のVIII-VIII線に沿った断面図に相当する。
【0073】
第2トランジスタ400は、主として、炭化珪素基板410と、ゲート電極431と、ソース電極432と、ドレイン電極433とを有する。
【0074】
炭化珪素基板410は、炭化珪素単結晶基板406と、炭化珪素単結晶基板406の上の炭化珪素エピタキシャル層407とを含む。炭化珪素基板410は、主面410Aと、主面410Aとは反対側の主面410Bとを有する。炭化珪素エピタキシャル層407が主面410Aを構成し、炭化珪素単結晶基板406が主面410Bを構成する。炭化珪素基板410の形状は、例えば直方体状である。主面410AはZ1-Z2方向に垂直な面である。<1-100>はY1-Y2方向に平行な方向である。炭化珪素単結晶基板406及び炭化珪素エピタキシャル層407は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板406は、例えば窒素等のn型不純物を含みn型を有する。炭化珪素基板410は第1半導体基板の一例であり、主面410Aは第1主面の一例である。
【0075】
主面410Aは、(0001)がオフ方向に傾斜した面である。例えば、オフ方向は[11-20]である。例えば、主面410Aは(0001)がオフ方向([11-20])に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。オフ角は、例えば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0076】
[11-20]は(0001)内の方位である。しかし、主面410Aが(0001)がオフ方向に傾斜した面であるため、[11-20]は主面410A内の方位ではない。X1方向は[11-20]を主面410Aに投影した方位に相当し、X2方向は[-1-120]を主面410Aに投影した方位に相当する。
【0077】
第2トランジスタ400は、活性領域401と、活性領域401の周囲に設けられた終端領域402とを有する。
【0078】
活性領域401において、炭化珪素エピタキシャル層207は、主として、ドリフト領域411と、ボディ領域412と、ソース領域413と、コンタクト領域414と、電界緩和領域415とを有する。
【0079】
ドリフト領域411は、例えば窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ドリフト領域411は、主面410Bを構成する。ボディ領域412は、ドリフト領域411に接している。ボディ領域412は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。ソース領域413は、ボディ領域412によってドリフト領域411から隔てられるようにボディ領域412上に設けられている。ソース領域413は、例えば窒素又はリン等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ソース領域413は、主面410Aの一部を構成する。炭化珪素エピタキシャル層407がドリフト領域411の下にバッファ層を有してもよい。
【0080】
主面410Aに、複数のゲートトレンチ420が設けられている。複数のゲートトレンチ420は、Y1-Y2方向に平行に延び、X1-X2方向に並んで配置されている。ゲートトレンチ420は、側面421と、底面422とにより規定されている。底面422は、側面421に連なっている。側面421は、ソース領域413及びボディ領域412を貫通している。側面421は、ドリフト領域411に至っている。底面422は、ドリフト領域411に位置している。底面422は、主面410Aとほぼ平行である。側面421は、ソース領域413、ボディ領域412及びドリフト領域411により構成されている。底面422は、ドリフト領域411により構成されている。
【0081】
ゲートトレンチ420内に、側面421及び底面422に接するゲート絶縁膜417が形成されている。ゲート絶縁膜417は、底面422においてドリフト領域411に接している。ゲート絶縁膜417は、側面421においてソース領域413、ボディ領域412及びドリフト領域411に接している。
【0082】
ゲート電極431は、ゲート絶縁膜417上に設けられている。ゲート電極431は、例えば導電性不純物を含むポリシリコンから構成されている。ゲート電極431は、ゲートトレンチ420の内部に配置されている。ゲート電極431は、ソース領域413、ボディ領域412及びドリフト領域411に対面している。複数のゲート電極431は、Y1-Y2方向に平行に延び、X1-X2方向に並んで配置されている。Y1-Y2方向は第1方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板410の<1-100>と第1方向とのなす第1角度が0°である。
【0083】
コンタクト領域414は、X1-X2方向で隣り合うゲートトレンチ420の間に、各ゲートトレンチ420の側面421から離れて、ソース領域413を貫通し、ボディ領域412に接するように設けられている。コンタクト領域414は、主面410Aの一部を構成する。コンタクト領域414は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。
【0084】
電界緩和領域415は、X1-X2方向で隣り合うゲートトレンチ420の間に、各ゲートトレンチ420の側面421から離れて、ボディ領域412から主面410Bに向けて延びるように設けられている。電界緩和領域415は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。電界緩和領域415は、下端面415Cと、第1側端面415Aと、第2側端面415Bとを有する。下端面415Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面415A及び第2側端面415Bは、YZ平面にほぼ平行である。第1側端面415Aが第2側端面415BのX1側にある。下端面415C、第1側端面415A及び第2側端面415Bは、ドリフト領域411に接する。
【0085】
ゲートトレンチ420及びゲート電極431を覆うように層間絶縁膜435が設けられている。層間絶縁膜435に、ソース領域413の一部及びコンタクト領域414を露出するコンタクトホール436が形成されている。
【0086】
ソース電極432は、層間絶縁膜435の上に設けられており、コンタクトホール436を通じて主面410Aに接する。ソース電極432は、ソース領域413及びコンタクト領域414に電気的に接続されている。層間絶縁膜435は、ゲート電極431とソース電極432とを電気的に絶縁している。
【0087】
ドレイン電極433は、主面410Bに接する。ドレイン電極433は、ドリフト領域411に電気的に接続されている。
【0088】
第2トランジスタ400は、ゲートトレンチ420の周期パターンの単位となる複数の第1単位セル403を活性領域401内に含む。複数の第1単位セル403は、Y1-Y2方向を長手方向とし、X1-X2方向に並ぶ。
【0089】
終端領域402は、例えば平面形状が環状の領域であり、主面410Aの一部を構成する。終端領域402は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。
【0090】
第2トランジスタ400では、ソース電極432とドレイン電極433との間に電圧が印加されると、電界緩和領域415の、下端面415Cと第1側端面415Aとが交わる第1隅部416A及び下端面415Cと第2側端面415Bとが交わる第2隅部416Bに電界が集中しやすい。
【0091】
〔第2ダイオード500〕
次に、第2ダイオード500について詳細に説明する。第2ダイオード500は、JBS構造を有するショットキーバリアダイオードである。
図9は、第1実施形態における第2ダイオード500の単位セルを示す図であり、
図10は、第1実施形態における第2ダイオード500を示す断面図である。
図10は、
図9中のX-X線に沿った断面図に相当する。
【0092】
第2ダイオード500は、主として、炭化珪素基板510と、アノード電極532と、カソード電極533とを有する。
【0093】
炭化珪素基板510は、炭化珪素単結晶基板506と、炭化珪素単結晶基板506の上の炭化珪素エピタキシャル層507とを含む。炭化珪素基板510は、主面510Aと、主面510Aとは反対側の主面510Bとを有する。炭化珪素エピタキシャル層507が主面510Aを構成し、炭化珪素単結晶基板506が主面510Bを構成する。炭化珪素基板510の形状は、例えば直方体状である。主面510AはZ1-Z2方向に垂直な面である。<1-100>はY1-Y2方向に平行な方向である。炭化珪素単結晶基板506及び炭化珪素エピタキシャル層507は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板506は、例えば窒素等のn型不純物を含みn型を有する。炭化珪素基板510は第2半導体基板の一例であり、主面510Aは第2主面の一例である。
【0094】
主面510Aは、(0001)がオフ方向に傾斜した面である。例えば、オフ方向は[11-20]である。例えば、主面510Aは(0001)がオフ方向([11-20])に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。オフ角は、例えば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0095】
[11-20]は(0001)内の方位である。しかし、主面510Aが(0001)がオフ方向に傾斜した面であるため、[11-20]は主面510A内の方位ではない。X1方向は[11-20]を主面510Aに投影した方位に相当し、X2方向は[-1-120]を主面510Aに投影した方位に相当する。
【0096】
第2ダイオード500は、活性領域501と、活性領域501の周囲に設けられた終端領域502とを有する。
【0097】
活性領域501において、炭化珪素エピタキシャル層507は、主として、n型領域511と、複数のp型領域515とを有する。
【0098】
n型領域511は、例えば窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。n型領域511は、主面510Bを構成し、主面510Aの一部を構成する。n型領域511は第1半導体領域の一例である。
【0099】
複数のp型領域515は、主面510Aに設けられている。p型領域515は、主面510Aの一部を構成する。複数のp型領域515は、Y1-Y2方向に平行に延び、X1-X2方向に並んで配置されている。p型領域515は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。p型領域515は、下端面515Cと、第1側端面515Aと、第2側端面515Bとを有する。下端面515Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面515A及び第2側端面515Bは、YZ平面にほぼ平行である。第1側端面515Aが第2側端面515BのX1側にある。下端面515C、第1側端面515A及び第2側端面515Bは、n型領域511に接する。p型領域515は第2導電型の半導体領域の一例である。Y1-Y2方向は第2方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板510の<1-100>と第2方向とのなす第2角度が0°である。
【0100】
アノード電極532は、主面510Aに接する。アノード電極532は、n型領域511及びp型領域515に電気的に接続されている。
【0101】
カソード電極533は、主面510Bに接する。カソード電極533は、n型領域511に電気的に接続されている。
【0102】
第2ダイオード500は、p型領域515の周期パターンの単位となる複数の第2単位セル503を活性領域501内に含む。複数の第2単位セル503は、Y1-Y2方向を長手方向とし、X1-X2方向に並ぶ。
【0103】
終端領域502は、例えば平面形状が環状の領域であり、主面510Aの一部を構成する。終端領域502は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。
【0104】
主面510Aのアノード電極532から露出した部分に、炭化珪素基板510の結晶方位を特定する標識519が設けられていてもよい。標識519は直接的に結晶方位を表示してもよい。例えば[11-20]がどの方向を向いているのかをミラー指数又は三角形等の図形を用いて表示してもよい。また、製品番号の向き等により炭化珪素基板510の結晶方位を間接的に表示してもよい。
【0105】
第2ダイオード500では、アノード電極532とカソード電極533との間に電圧が印加されると、p型領域515の、下端面515Cと第1側端面515Aとが交わる第1隅部516A及び下端面515Cと第2側端面515Bとが交わる第2隅部516Bに電界が集中しやすい。
【0106】
〔第1実施形態の作用効果〕
ここで、第1実施形態の作用効果について説明する。
【0107】
上アーム181では、絶縁基板123に第1トランジスタ200及び第1ダイオード300が実装され、第1トランジスタ200と第1ダイオード300とが、筐体122内で互いに並列に接続されている。このため、第1トランジスタ200の温度が動作により上昇すれば、第1ダイオード300の温度も上昇する。一般に、トランジスタの絶縁破壊電圧及びショットキーバリアダイオードの絶縁破壊電圧は温度依存性を有し、温度が高くなるに伴って絶縁破壊電圧が高くなる。絶縁破壊電圧の温度依存性は、炭化珪素の結晶方位に依存する。
【0108】
一般に、炭化珪素は絶縁破壊強度に異方性を有する。例えば、電界の強さが同等であれば、<11-20>に電界が印加された場合と、<1-100>に電界が印加された場合とを比較すると、前者において絶縁破壊が生じやすい。
【0109】
従って、第1トランジスタ200では、ドリフト領域211と電界緩和領域215の第1側端面215A及び第2側端面215Bとのpn接合界面において絶縁破壊が生じやすい。更に、第1トランジスタ200では、<11-20>が主面210Aに非平行であるため、ドリフト領域211と第2側端面215Bのpn接合界面において、ドリフト領域211と第1側端面215Aとのpn接合界面よりも絶縁破壊が生じやすい。
【0110】
また、第1ダイオード300では、n型領域311とp型領域の第1側端面315A及び第2側端面315Bとのpn接合界面において絶縁破壊が生じやすい。更に、第1ダイオード300では、<11-20>が主面310Aに非平行であるため、n型領域311と第2側端面315Bのpn接合界面において、n型領域311と第1側端面315Aとのpn接合界面よりも絶縁破壊が生じやすい。
【0111】
上述のように、第1トランジスタ200では、ソース電極232とドレイン電極233との間に電圧が印加されると、電界緩和領域215の第1隅部216A及び第2隅部216Bに電界が集中しやすい。また、ゲート電極231及び電界緩和領域215はY1-Y2方向(<1-100>)に平行に延びており、第1隅部216A及び第2隅部216BもY1-Y2方向(<1-100>)に平行に延びている。
【0112】
このように、第1トランジスタ200では、第1隅部216A及び第2隅部216Bは、電界集中が生じやすい部分であるとともに、絶縁破壊しやすい部分である。そして、第1隅部216A及び第2隅部216BがY1-Y2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第1トランジスタ200では、第1隅部216A及び第2隅部216BがX1-X2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じやすい。
【0113】
第1ダイオード300では、アノード電極332とカソード電極333との間に電圧が印加されると、p型領域315の第1隅部316A及び第2隅部316Bに電界が集中しやすい。また、p型領域315はY1-Y2方向(<1-100>)に平行に延びており、第1隅部316A及び第2隅部316BもY1-Y2方向(<1-100>)に平行に延びている。
【0114】
このように、第1ダイオード300では、第1隅部316A及び第2隅部316Bは、電界集中が生じやすい部分であるとともに、絶縁破壊しやすい部分である。そして、第1隅部316A及び第2隅部316BがY1-Y2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第1ダイオード300では、第1隅部316A及び第2隅部316BがX1-X2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じやすい。
【0115】
従って、温度上昇により第1トランジスタ200の絶縁破壊電圧が上昇するとき、第1ダイオード300の絶縁破壊電圧も温度上昇により、第1トランジスタ200と同様の傾向で上昇する。このため、温度上昇に伴う上アーム181の誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0116】
また、筐体122内に複数の上アーム181が設けられている場合には、複数の上アーム181の間での温度上昇に伴う誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0117】
下アーム182では、絶縁基板123に第2トランジスタ400及び第2ダイオード500が実装され、第2トランジスタ400と第2ダイオード500とが、筐体122内で互いに並列に接続されている。このため、第2トランジスタ400の温度が動作により上昇すれば、第2ダイオード500の温度も上昇する。
【0118】
また、第2トランジスタ400では、第1トランジスタ200と同様の理由で、第1隅部416A及び第2隅部416Bは、電界集中が生じやすい部分であるとともに、絶縁破壊しやすい部分である。そして、第1隅部416A及び第2隅部416BがY1-Y2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第2トランジスタ400では、第1隅部416A及び第2隅部416BがX1-X2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じやすい。
【0119】
また、第2ダイオード500では、第1ダイオード300と同様の理由で、第1隅部516A及び第2隅部516Bは、電界集中が生じやすい部分であるとともに、絶縁破壊しやすい部分である。そして、第1隅部516A及び第2隅部516BがY1-Y2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第2ダイオード500では、第1隅部516A及び第2隅部516BがX1-X2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じやすい。
【0120】
従って、温度上昇により第2トランジスタ400の絶縁破壊電圧が上昇するとき、第2ダイオード500の絶縁破壊電圧も温度上昇により、第2トランジスタ400と同様の傾向で上昇する。このため、温度上昇に伴う下アーム182の誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0121】
また、筐体122内に複数の下アーム182が設けられている場合には、複数の下アーム182の間での温度上昇に伴う誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0122】
上アーム181及び下アーム182のいずれにおいても誘導負荷アバランシェ耐量を向上できるため、半導体モジュール100をパワーモジュールとして使用し、パワーモジュールの誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0123】
炭化珪素基板210、310、410及び510が用いられているため、高い絶縁破壊電圧を得やすい。また、上述のように、炭化珪素は絶縁破壊強度に異方性を有するが、基板の結晶方位に応じた構造とすることで、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御しやすい。
【0124】
標識319、519が設けられている場合、炭化珪素基板310、510の結晶方位を考慮しながら第1ダイオード300、第2ダイオード500を絶縁基板123等に実装しやすくできる。なお、標識319、519は炭化珪素基板310、510ではなくアノード電極332、532に設けられていてもよい。
【0125】
第1実施形態において、第1角度は0°でなくてもよいが、好ましくは10°以下であり、より好ましくは5°以下である。第1角度の0°からのずれが大きくなると、ボディ領域212,412のチャネルとして機能する部分における電子のチャネル移動度が低下するおそれがあるためである。
【0126】
また、第2角度は0°でなくてもよいが、好ましくは10°以下であり、より好ましくは5°以下である。第2角度と第1角度との差が大きくなると、第1トランジスタ200及び第1ダイオード300の絶縁破壊電圧の温度特性が揃いにくくなったり、第2トランジスタ400及び第2ダイオード500の絶縁破壊電圧の温度特性が揃いにくくなったりし、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御しにくくなるおそれがあるためである。
【0127】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1トランジスタ、第1ダイオード、第2トランジスタ及び第2ダイオードの構成の点で第1実施形態と相違する。すなわち、第2実施形態に係る半導体装置は、第1トランジスタ200、第1ダイオード300、第2トランジスタ400及び第2ダイオード500に代えて、下記の第1トランジスタ600、第1ダイオード700、第2トランジスタ800及び第2ダイオード900を有する。
【0128】
〔第1トランジスタ600〕
まず、第2実施形態における第1トランジスタ600について詳細に説明する。
図11は、第2実施形態における第1トランジスタ600の単位セルを示す図であり、
図12は、第2実施形態における第1トランジスタ600を示す断面図である。
図12は、
図11中のXII-XII線に沿った断面図に相当する。
【0129】
第1トランジスタ600は、第1トランジスタ200と同様に、主として、炭化珪素基板210と、ゲート電極231と、ソース電極232と、ドレイン電極233とを有する。
【0130】
第2実施形態では、複数のゲートトレンチ220が、X1-X2方向に平行に延び、Y1-YX2方向に並んで配置されている。また、複数のゲート電極231が、X1-X2方向に平行に延び、Y1-Y2方向に並んで配置されている。X1-X2方向は第1方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板210の<1-100>と第1方向とのなす第1角度が90°である。
【0131】
電界緩和領域215は、Y1-Y2方向で隣り合うゲートトレンチ220の間に、各ゲートトレンチ220の側面221から離れて、ボディ領域212から主面210Bに向けて延びるように設けられている。下端面215Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面215A及び第2側端面215Bは、ZX平面にほぼ平行である。第1側端面215Aが第2側端面215BのY1側にある。
【0132】
第1トランジスタ600は、ゲートトレンチ220の周期パターンの単位となる複数の第1単位セル603を活性領域201内に含む。複数の第1単位セル603は、X1-X2方向を長手方向とし、Y1-Y2方向に並ぶ。
【0133】
他の構成は第1トランジスタ200と同様である。
【0134】
〔第1ダイオード700〕
次に、第2実施形態における第1ダイオード700について詳細に説明する。
図13は、第2実施形態における第1ダイオード700の単位セルを示す図であり、
図14は、第2実施形態における第1ダイオード700を示す断面図である。
図14は、
図13中のXIV-XIV線に沿った断面図に相当する。
【0135】
第1ダイオード700は、第1ダイオード300と同様に、主として、炭化珪素基板310と、アノード電極332と、カソード電極333とを有する。
【0136】
第2実施形態では、複数のp型領域315が、X1-X2方向に平行に延び、Y1-Y2方向に並んで配置されている。下端面315Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面315A及び第2側端面315Bは、ZX平面にほぼ平行である。第1側端面315Aが第2側端面315BのY1側にある。X1-X2方向は第2方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板310の<1-100>と第2方向とのなす第2角度が90°である。
【0137】
第1ダイオード700は、p型領域315の周期パターンの単位となる複数の第2単位セル703を活性領域301内に含む。複数の第2単位セル703は、X1-X2方向を長手方向とし、Y1-Y2方向に並ぶ。
【0138】
他の構成は第1ダイオード300と同様である。
【0139】
〔第2トランジスタ800〕
次に、第2実施形態における第2トランジスタ800について詳細に説明する。
図15は、第2実施形態における第2トランジスタ800の単位セルを示す図であり、
図16は、第2実施形態における第2トランジスタ800を示す断面図である。
図16は、
図15中のXVI-XVI線に沿った断面図に相当する。
【0140】
第2トランジスタ800は、第2トランジスタ400と同様に、主として、炭化珪素基板410と、ゲート電極431と、ソース電極432と、ドレイン電極433とを有する。
【0141】
第2実施形態では、複数のゲートトレンチ420が、X1-X2方向に平行に延び、Y1-YX2方向に並んで配置されている。また、複数のゲート電極431が、X1-X2方向に平行に延び、Y1-Y2方向に並んで配置されている。X1-X2方向は第1方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板410の<1-100>と第1方向とのなす第1角度が90°である。
【0142】
電界緩和領域415は、Y1-Y2方向で隣り合うゲートトレンチ420の間に、各ゲートトレンチ420の側面421から離れて、ボディ領域412から主面410Bに向けて延びるように設けられている。下端面415Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面415A及び第2側端面415Bは、ZX平面にほぼ平行である。第1側端面415Aが第2側端面415BのY1側にある。
【0143】
第2トランジスタ800は、ゲートトレンチ420の周期パターンの単位となる複数の第1単位セル803を活性領域401内に含む。複数の第1単位セル803は、X1-X2方向を長手方向とし、Y1-Y2方向に並ぶ。
【0144】
他の構成は第2トランジスタ400と同様である。
【0145】
〔第2ダイオード900〕
次に、第2実施形態における第2ダイオード900について詳細に説明する。
図17は、第2実施形態における第2ダイオード900の単位セルを示す図であり、
図18は、第2実施形態における第2ダイオード900を示す断面図である。
図18は、
図17中のXVIII-XVIII線に沿った断面図に相当する。
【0146】
第2ダイオード900は、第2ダイオード500と同様に、主として、炭化珪素基板510と、アノード電極532と、カソード電極533とを有する。
【0147】
第2実施形態では、複数のp型領域515が、X1-X2方向に平行に延び、Y1-Y2方向に並んで配置されている。下端面515Cは、XY平面にほぼ平行である。第1側端面515A及び第2側端面515Bは、ZX平面にほぼ平行である。第1側端面515Aが第2側端面515BのY1側にある。X1-X2方向は第2方向の一例である。本実施形態では、炭化珪素基板510の<1-100>と第2方向とのなす第2角度が90°である。
【0148】
第2ダイオード900は、p型領域515の周期パターンの単位となる複数の第2単位セル903を活性領域501内に含む。複数の第2単位セル903は、X1-X2方向を長手方向とし、Y1-Y2方向に並ぶ。
【0149】
他の構成は第2ダイオード500と同様である。
【0150】
〔第2実施形態の作用効果〕
ここで、第2実施形態の作用効果について説明する。
【0151】
上述のように、電界の強さが同等であれば、<11-20>に電界が印加された場合と、<1-100>に電界が印加された場合とを比較すると、前者において絶縁破壊が生じやすい。
【0152】
第1トランジスタ600では、第1隅部216A及び第2隅部216Bは、電界集中が生じやすい部分であるが、絶縁破壊しにくい部分である。そして、第1隅部216A及び第2隅部216BがX1-X2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第1トランジスタ200では、第1隅部216A及び第2隅部216BがY1-Y2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じにくい。
【0153】
また、第1ダイオード700では、第1隅部316A及び第2隅部316Bは、電界集中が生じやすい部分であるが、絶縁破壊しにくい部分である。そして、第1隅部316A及び第2隅部316BがX1-X2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第1ダイオード300では、第1隅部316A及び第2隅部316BがY1-Y2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じにくい。
【0154】
従って、温度上昇により第1トランジスタ600の絶縁破壊電圧が上昇するとき、第1ダイオード700の絶縁破壊電圧も温度上昇により、第1トランジスタ600と同様の傾向で上昇する。このため、温度上昇に伴う上アーム181の誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0155】
また、筐体122内に複数の上アーム181が設けられている場合には、複数の上アーム181の間での温度上昇に伴う誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0156】
また、第2トランジスタ800では、第1隅部416A及び第2隅部416Bは、電界集中が生じやすい部分であるが、絶縁破壊しにくい部分である。そして、第1隅部416A及び第2隅部416BがX1-X2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第2トランジスタ800では、第1隅部416A及び第2隅部416BがY1-Y2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じにくい。
【0157】
また、第2ダイオード900では、第1隅部516A及び第2隅部516Bは、電界集中が生じやすい部分であるが、絶縁破壊しにくい部分である。そして、第1隅部516A及び第2隅部516BがX1-X2方向の広範囲にわたって存在している。従って、第2ダイオード900では、第1隅部516A及び第2隅部516BがY1-Y2方向に平行に延びている場合と比較して、絶縁破壊が生じにくい。
【0158】
従って、温度上昇により第2トランジスタ800の絶縁破壊電圧が上昇するとき、第2ダイオード900の絶縁破壊電圧も温度上昇により、第2トランジスタ800と同様の傾向で上昇する。このため、温度上昇に伴う下アーム182の誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0159】
また、筐体122内に複数の下アーム182が設けられている場合には、複数の下アーム182の間での温度上昇に伴う誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。
【0160】
第2実施形態において、第1角度は90°でなくてもよいが、好ましくは80°以上100°以下であり、より好ましくは85°以上95°以下である。第1角度の90°からのずれが大きくなると、ボディ領域212,412のチャネルとして機能する部分における電子のチャネル移動度が低下するおそれがあるためである。
【0161】
また、第2角度は90°でなくてもよいが、好ましくは80°以上100°以下であり、より好ましくは85°以上95°以下である。第2角度と第1角度との差が大きくなると、第1トランジスタ600及び第1ダイオード700の絶縁破壊電圧の温度特性が揃いにくくなったり、第2トランジスタ800及び第2ダイオード900の絶縁破壊電圧の温度特性が揃いにくくなったりし、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御しにくくなるおそれがあるためである。
【0162】
複数の第1トランジスタ200,600が1個の第1ダイオード300,700に並列に接続されていてもよく、複数の第2トランジスタ400,800が1個の第2ダイオード500,900に並列に接続されていてもよい。これらの場合、それぞれ、上アーム181、下アーム182を流れる電流を増加させられる。
【0163】
複数の第1ダイオード300,700が1個の第1トランジスタ200,600に並列に接続されていてもよく、複数の第2ダイオード500,900が1個の第2トランジスタ400,800に並列に接続されていてもよい。これらの場合、それぞれ、上アーム181、下アーム182において、電流を還流させやすくなる。
【0164】
また、複数の第1トランジスタ200,600と複数の第1ダイオード300,700とが互いに並列に接続されていてもよく、複数の第2トランジスタ400,800と複数の第2ダイオード500,900とが互いに並列に接続されていてもよい。
【0165】
本開示において、半導体基板として窒化ガリウム基板又は酸化ガリウム基板等が用いられてもよい。
【0166】
第1トランジスタ200,600と第1ダイオード300,700との間の絶縁破壊電圧の差は、好ましくは100V以下であり、より好ましくは80V以下であり、更に好ましくは60V以下である。絶縁破壊電圧の差が小さいほど、第1トランジスタ200,600及び第1ダイオード300,700の両方にアバランシェ電流が流れやすいためである。
【0167】
同様に、第2トランジスタ400,800と第2ダイオード500,900との間の絶縁破壊電圧の差は、好ましくは100V以下であり、より好ましくは80V以下であり、更に好ましくは60V以下である。絶縁破壊電圧の差が小さいほど、第2トランジスタ400,800及び第2ダイオード500,900の両方にアバランシェ電流が流れやすいためである。
【0168】
第1ダイオード300,700の絶縁破壊電圧が第1トランジスタ200,600の絶縁破壊電圧よりも高いことが好ましく、第2ダイオード500,900の絶縁破壊電圧が第2トランジスタ400,800の絶縁破壊電圧よりも高いことが好ましい。この場合、第1トランジスタ200,600の絶縁破壊電圧と第1ダイオード300,700の絶縁破壊電圧との差を小さくしやすく、第2トランジスタ400,800の絶縁破壊電圧と第2ダイオード500,900の絶縁破壊電圧との差を小さくしやすい。
【0169】
第1トランジスタ200,600の絶縁破壊電圧、第1ダイオード300,700の絶縁破壊電圧、第2トランジスタ400,800の絶縁破壊電圧及び第2ダイオード500,900の絶縁破壊電圧は、好ましくは600V以上であり、より好ましくは700V以上であり、更に好ましくは800V以上である。耐圧の向上により、多くの用途に用いることができる。
【0170】
なお、本開示において、絶縁破壊電圧とは、電流密度が10mA/cm
2の電流が逆方向に流れるときの電圧をいう。
図19は、破壊特性を示す図である。
図19の横軸は逆方向電圧を示し、縦軸は逆方向電流の電流密度を示す。
図19に示すように、トランジスタ及びショットキーバリアダイオードでは、逆方向電圧の増加につれて逆方向電流が増加し、逆方向電圧がある値を超えると、逆方向電流が急激に増加する。10mA/cm
2の電流密度は、概ね、逆方向電流が急激に増加しているときの電圧に対応する。
【0171】
第1トランジスタ200,600と、第1ダイオード300,700との間の距離は、好ましくは1.0cm以下であり、より好ましくは0.8cm以下である。第1トランジスタ200,600と、第1ダイオード300,700との間の距離が短いほど、集積度を高められる。また、この距離が短いほど、第1トランジスタ200,600で発生した熱により第1ダイオード300,700の温度も上昇しやすくなるが、誘導負荷アバランシェ耐量のばらつきを制御できる。2以上の第1トランジスタ200,600が設けられていたり、2以上の第1ダイオード300,700が設けられていたりする場合には、第1トランジスタ200,600と、第1ダイオード300,700との間の最も短い距離が、好ましくは1.0cm以下であり、より好ましくは0.8cm以下である。
【0172】
同様に、第2トランジスタ400,800と、第2ダイオード500,900との間の距離は、好ましくは1.0cm以下であり、より好ましくは0.8cm以下である。2以上の第2トランジスタ400,800が設けられていたり、2以上の第2ダイオード500,900が設けられていたりする場合には、第2トランジスタ400,800と、第2ダイオード500,900との間の最も短い距離が、好ましくは1.0cm以下であり、より好ましくは0.8cm以下である。
【0173】
第1トランジスタ200において、Y1-Y2方向を長手方向とする第1単位セルが、Y1-Y2方向に複数並んでいてもよい。
図20は、第1実施形態における第1トランジスタ200の変形例の単位セルを示す図である。この変形例では、Y1-Y2方向を長手方向とする複数の第1単位セル204がY1-Y2方向に並んで配置されている。また、Y1-Y2方向に並ぶ複数の第1単位セル204から構成されるグループがX1-X2方向に複数並んで配置されている。
【0174】
第2トランジスタ400においても、同様に、Y1-Y2方向を長手方向とする第1単位セルが、Y1-Y2方向に複数並んでいてもよい。
【0175】
また、第1ダイオード300において、Y1-Y2方向を長手方向とする第2単位セルが、Y1-Y2方向に複数並んでいてもよい。
図21は、第1実施形態における第1ダイオード300の変形例の単位セルを示す図である。この変形例では、Y1-Y2方向を長手方向とする複数の第2単位セル304がY1-Y2方向に並んで配置されている。また、Y1-Y2方向に並ぶ複数の第2単位セル304から構成されるグループがX1-X2方向に複数並んで配置されている。
【0176】
第2ダイオード500においても、同様に、Y1-Y2方向を長手方向とする第2単位セルが、Y1-Y2方向に複数並んでいてもよい。
【0177】
第1トランジスタ600において、X1-X2方向を長手方向とする第1単位セルが、X1-X2方向に複数並んでいてもよい。
図22は、第2実施形態における第1トランジスタ600の変形例の単位セルを示す図である。この変形例では、X1-X2方向を長手方向とする複数の第1単位セル604がX1-X2方向に並んで配置されている。また、X1-X2方向に並ぶ複数の第1単位セル604から構成されるグループがY1-Y2方向に複数並んで配置されている。
【0178】
第2トランジスタ800においても、同様に、X1-X2方向を長手方向とする第1単位セルが、X1-X2方向に複数並んでいてもよい。
【0179】
また、第1ダイオード700において、X1-X2方向を長手方向とする第2単位セルが、X1-X2方向に複数並んでいてもよい。
図23は、第2実施形態における第1ダイオード700の変形例の単位セルを示す図である。この変形例では、X1-X2方向を長手方向とする複数の第2単位セル704がX1-X2方向に並んで配置されている。また、X1-X2方向に並ぶ複数の第2単位セル704から構成されるグループがY1-Y2方向に複数並んで配置されている。
【0180】
第2ダイオード900においても、同様に、X1-X2方向を長手方向とする第2単位セルが、X1-X2方向に複数並んでいてもよい。
【0181】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0182】
100:半導体モジュール
101:P端子
102:N端子
103:O端子
111:第1導電パターン
112:第2導電パターン
113:第3導電パターン
114:導電層
116、117、118、119:接合材
121:放熱板
122:筐体
123:絶縁基板
161、162、171、172:ボンディングワイヤ
181:上アーム
182:下アーム
191、192:側壁部
193、194:端壁部
200:第1トランジスタ
201:活性領域
202:終端領域
203、204:第1単位セル
206:炭化珪素単結晶基板
207:炭化珪素エピタキシャル層
210:炭化珪素基板(第1半導体基板)
210A:主面(第1主面)
210B:主面
211:ドリフト領域
212:ボディ領域
213:ソース領域
214:コンタクト領域
215:電界緩和領域
215A:第1側端面
215B:第2側端面
215C:下端面
216A:第1隅部
216B:第2隅部
217:ゲート絶縁膜
220:ゲートトレンチ
221:側面
222:底面
231:ゲート電極
232:ソース電極
233:ドレイン電極
235:層間絶縁膜
236:コンタクトホール
300:第1ダイオード
301:活性領域
302:終端領域
303、304:第2単位セル
306:炭化珪素単結晶基板
307:炭化珪素エピタキシャル層
310:炭化珪素基板(第2半導体基板)
310A:主面(第2主面)
310B:主面
311:n型領域(第1半導体領域)
315:p型領域(第2半導体領域)
315A:第1側端面
315B:第2側端面
315C:下端面
316A:第1隅部
316B:第2隅部
319:標識
332:アノード電極
333:カソード電極
400:第2トランジスタ
401:活性領域
402:終端領域
403:第1単位セル
406:炭化珪素単結晶基板
407:炭化珪素エピタキシャル層
410:炭化珪素基板(第1半導体領域))
410A:主面(第1主面)
410B:主面
411:ドリフト領域
412:ボディ領域
413:ソース領域
414:コンタクト領域
415:電界緩和領域
415A:第1側端面
415B:第2側端面
415C:下端面
416A:第1隅部
416B:第2隅部
417:ゲート絶縁膜
420:ゲートトレンチ
421:側面
422:底面
431:ゲート電極
432:ソース電極
433:ドレイン電極
435:層間絶縁膜
436:コンタクトホール
500:第2ダイオード
501:活性領域
502:終端領域
503:第2単位セル
506:炭化珪素単結晶基板
507:炭化珪素エピタキシャル層
510:炭化珪素基板(第2半導体基板)
510A:主面(第2主面)
510B:主面
511:n型領域(第1半導体領域)
515:p型領域(第2半導体領域)
515A:第1側端面
515B:第2側端面
515C:下端面
516A:第1隅部
516B:第2隅部
519:標識
532:アノード電極
533:カソード電極
600:第1トランジスタ
603、604:第1単位セル
700:第1ダイオード
703、704:第2単位セル
800:第2トランジスタ
803:第1単位セル
900:第2ダイオード
903:第2単位セル