(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】無線中継装置、第1端末装置、第2端末装置、通信システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20250212BHJP
H04W 4/10 20090101ALI20250212BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20250212BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H04M3/42 B
H04W4/10
H04W88/18 130
H04M1/00 M
(21)【出願番号】P 2021105517
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】虻川 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】熊白 啓明
(72)【発明者】
【氏名】長濱 智範
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-060303(JP,A)
【文献】特開2019-149704(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068663(WO,A1)
【文献】特開2007-150901(JP,A)
【文献】特開2008-104082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24- 1/82
3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別子が付加された第1音声信号を第1端末装置から受信する第1通信部と、
前記第1通信部において受信した前記第1音声信号を第2音声信号として前記識別子とともに第2端末装置に送信する第2通信部と、
前記第1通信部において受信した前記第1音声信号と前記識別子とを記録する記録部と、
前記第2端末装置が時間的に最後に受信した前記識別子を最終識別子として前記第2通信部が前記第2端末装置から受信すると、前記最終識別子以降に前記記録部に記録された前記識別子のリストを前記第2通信部から前記第2端末装置に送信させ、前記リストに含まれた前記識別子を送信要求識別子として前記第2通信部が前記第2端末装置から受信すると、前記送信要求識別子に対応した前記第1音声信号を前記記録部から抽出し、抽出した前記第1音声信号を前記第2音声信号として前記第2通信部から前記第2端末装置に送信させる中継録音制御部と、
を備える無線中継装置。
【請求項2】
前記第1通信部が受信した前記第1音声信号の品質を評価し、評価値がしきい値よりも低い場合、前記第1音声信号の前記識別子を再送要求識別子として前記第1通信部から前記第1端末装置に送信し、前記第1通信部が前記再送要求識別子の付加された前記第1音声信号を再受信して前記評価値がしきい値以上に高い場合、前記記録部に記録された前記再送要求識別子に対応する前記第1音声信号を、前記再受信した第1音声信号で置きかえる音声品質評価部をさらに備えた請求項1に記載の無線中継装置。
【請求項3】
請求項2に記載の前記無線中継装置と通信する前記第1端末装置であって、
前記識別子が付加された前記第1音声信号を前記無線中継装置に送信する送信部と、
前記送信部から送信した前記第1音声信号と前記識別子とを記録する記録部と、
前記無線中継装置から前記再送要求識別子を受信する受信部と、
前記受信部が前記再送要求識別子を受信した場合、前記再送要求識別子に対応した前記第1音声信号を前記記録部から抽出し、抽出した前記第1音声信号を前記送信部に再送信させる再送制御部と、
を備える第1端末装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の前記無線中継装置と通信する前記第2端末装置であって、
前記識別子が付加された前記第2音声信号を前記無線中継装置から受信する受信部と、
前記受信部において受信した前記識別子を記録する識別子記録部と、
前記識別子記録部に最後に記録した前記識別子を前記最終識別子として前記無線中継装置に送信する送信部と、
前記最終識別子以降に前記無線中継装置に記録された前記識別子のリストを前記受信部が前記無線中継装置から受信すると、前記リストに含まれた前記識別子を送信要求識別子として前記送信部から前記無線中継装置に送信させる再送制御部とを備え、
前記受信部は、前記送信要求識別子が付加された前記第2音声信号を前記無線中継装置から再受信する第2端末装置。
【請求項5】
識別子が付加された第1音声信号を送信する第1端末装置と、
前記識別子が付加された前記第1音声信号を前記第1端末装置から受信すると、前記第1音声信号を第2音声信号として前記識別子とともに送信する無線中継装置と、
前記識別子が付加された前記第2音声信号を前記無線中継装置から受信する第2端末装置とを備え、
前記無線中継装置は、
受信した前記第1音声信号と前記識別子とを記録する記録部と、
受信した前記第1音声信号の品質を評価し、評価値がしきい値よりも低い場合、前記識別子を再送要求識別子として前記第1端末装置に送信し、前記再送要求識別子が付加された前記第1音声信号を前記第1端末装置から再受信して前記評価値がしきい値以上に高い場合、前記記録部に記録した前記第1音声信号を、再受信した前記第1音声信号で置きかえる音声品質評価部と、
前記第2端末装置が時間的に最後に受信した前記識別子を最終識別子として前記第2端末装置から受信すると、前記最終識別子以降に前記記録部に記録された前記識別子のリストを前記第2端末装置に送信し、前記リストに含まれた前記識別子を送信要求識別子として前記第2端末装置から受信すると、前記送信要求識別子に対応した前記第1音声信号を前記記録部から抽出し、抽出した前記第1音声信号を前記第2音声信号として前記第2端末装置に送信する中継録音制御部と、
を備える通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に音声信号の通信を実行する無線中継装置、第1端末装置、第2端末装置、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信のような通信システムにおいて、端末装置に対する留守番電話システムが提供される。ネットワーク側の制御局は、端末装置の接続を確認し、端末装置が接続されている場合、伝言メッセージがあることを端末装置に知らせる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は個別通話を前提にしているので、制御局は、端末装置が接続しているか否かを確認でき、どの時点から端末装置が受信していないかを把握可能である。しかしながら、シンプレックス通信におけるグループコールでは、端末装置が接続しているか否かの確認が困難である。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、音声をはじめとする情報信号の通信を確実に行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線中継装置は、識別子が付加された第1音声信号を第1端末装置から受信する第1通信部と、第1通信部において受信した第1音声信号を第2音声信号として識別子とともに第2端末装置に送信する第2通信部と、第1通信部において受信した第1音声信号と識別子とを記録する記録部と、第2端末装置が時間的に最後に受信した識別子を最終識別子として第2通信部が第2端末装置から受信すると、最終識別子以降に記録部に記録された識別子のリストを第2通信部から第2端末装置に送信させ、リストに含まれた識別子を送信要求識別子として第2通信部が第2端末装置から受信すると、送信要求識別子に対応した第1音声信号を記録部から抽出し、抽出した第1音声信号を第2音声信号として第2通信部から第2端末装置に送信させる中継録音制御部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、通信システムである。この通信システムは、識別子が付加された第1音声信号を送信する第1端末装置と、識別子が付加された第1音声信号を第1端末装置から受信すると、第1音声信号を第2音声信号として識別子とともに送信する無線中継装置と、識別子が付加された第2音声信号を無線中継装置から受信する第2端末装置とを備える。無線中継装置は、受信した第1音声信号と識別子とを記録する記録部と、受信した第1音声信号の品質を評価し、評価値がしきい値よりも低い場合、識別子を再送要求識別子として第1端末装置に送信し、再送要求識別子が付加された第1音声信号を第1端末装置から再受信して評価値がしきい値以上に高い場合、記録部に記録した第1音声信号を、再受信した第1音声信号で置きかえる音声品質評価部と、第2端末装置が時間的に最後に受信した識別子を最終識別子として第2端末装置から受信すると、最終識別子以降に記録部に記録された識別子のリストを第2端末装置に送信し、リストに含まれた識別子を送信要求識別子として第2端末装置から受信すると、送信要求識別子に対応した第1音声信号を記録部から抽出し、抽出した第1音声信号を第2音声信号として第2端末装置に送信する中継録音制御部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音声信号の通信の正確性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の第1端末装置と無線中継装置とによる通信手順を示すシーケンス図である。
【
図3】
図3(a)-(b)は、
図1の無線中継装置において記憶されるデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図4】
図4(a)-(d)は、
図1の無線中継装置における処理の概要を示す図である。
【
図5】
図1の無線中継装置と第2端末装置とによる通信手順を示すシーケンス図である。
【
図6】
図1の無線中継装置において記憶される別のデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図8】
図7の第1端末装置による通信手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図7の第1端末装置による再送処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図1の無線中継装置の構成を示す図である。
【
図11】
図10の無線中継装置による通信手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図10の無線中継装置による別の通信手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図1の第2端末装置の構成を示す図である。
【
図14】
図13の第2端末装置による通信手順を示すフローチャートである。
【
図15】
図13の第2端末装置による選択再生処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。電話機のように双方向通信が可能な従来技術のシステムは、通話できないことを検知した場合、音声を録音して、通話可能となった時点において、録音した音声を自動送信することができる。一方、本発明の実施例は、シンプレックス(単方向)の通信システムに関する。例えば、送信側の端末装置は、音声信号(以下、「第1音声信号」という)を無線中継装置に送信し、無線中継装置は、受信した第1音声信号を第2音声信号として受信側の端末装置に送信する。グループコールがなされる場合、受信側の端末装置は複数含まれる。
【0012】
シンプレックス通信では、信号を送信している間に信号を受信することができないので、送信側の端末装置は、無線中継装置あるいは受信側の端末装置における信号の受信状況を認識できない。特に、シンプレックス通信のグループコールでは、無線中継装置からの電波を受信できない受信側の端末装置が存在しても、無線中継装置は、当該受信側の端末装置がどの時点から受信していないかを認識できない。さらに、複数の受信側の端末装置のそれぞれにおいて、受信していないタイミングは異なる。すなわち、様々な状態の受信側端末装置に対して効率よく通話を再送する技術が求められる。これに加えて、送信側の端末装置からの信号を無線中継装置が正常に受信できたかを送信側の端末装置は検知しない。そのため、無線中継装置には、送信側の端末装置からの信号を確実に受信できて、受信側の端末装置に中継する技術も求められる。
【0013】
本実施例における送信側の端末装置は、送信した第1音声信号を記録し、無線中継装置は、受信した第1音声信号を記録するとともに、第1音声信号および第2音声信号が識別子(以下、「通話ID」という)により管理される。無線中継装置は、受信した第1音声信号の品質が低い場合に、送信側の端末装置に再送を要求することによって、第1音声信号を確実に記録する。受信側の端末装置は、通信サービスエリア外から通信サービスエリア内に移動して無線中継装置と接続した場合に、以前に通信サービスエリア内に位置した時の時間的に最後に受信した第2音声信号の通話ID(以下、「最終通話ID」という)を無線中継装置に送信する。無線中継装置は、受信側の端末装置から最終通話IDを取得して、記録した第1音声信号から、未受信の第1音声信号を第2音声信号として受信側の端末装置に送信する。これにより、第1端末装置から無線中継装置への確実な送信と、無線中継装置から第2端末装置への確実な送信とが実現される。
【0014】
図1は、通信システム1000の構成を示す。通信システム1000は、端末装置100と総称される第1端末装置100aから第3端末装置100c、無線中継装置200を含む。通信システム1000に含まれる端末装置100の数は「3」に限定されず、無線中継装置200の数は「1」に限定されない。通信システム1000においてはシンプレックス通信がなされる。
【0015】
端末装置100は、例えば、PTT(Push to Talk)による音声通信を実行可能な無線装置である。PTTでは、端末装置100のPTTボタンが押し下げられている場合に、端末装置100は音声信号を送信可能である。一方、端末装置100のPTTボタンが押し下げられていない場合に、端末装置100は音声信号を受信可能である。ここでは、一例として、第1端末装置100aが前述の送信側の端末装置に対応し、第2端末装置100bと第3端末装置100cが前述の受信側の端末装置に対応する。
【0016】
無線中継装置200は、複数の端末装置100間の通信を中継する無線装置である。無線中継装置200の送信出力は、端末装置100の送信出力よりも大きく設定される場合が多い。無線中継装置200の周囲には第1通信サービスエリア10aが形成され、第1通信サービスエリア10aの周囲には第2通信サービスエリア10bが形成される。第1通信サービスエリア10aは、無線中継装置200から端末装置100への通信と、端末装置100から無線中継装置200への通信が可能な領域である。第2通信サービスエリア10bは、無線中継装置200から端末装置100への通信が可能であるが、端末装置100から無線中継装置200への通信が不可能な領域である。ただし、第1通信サービスエリア10aと第2通信サービスエリア10bとの境界は明確ではなく、第1通信サービスエリア10aの外へ移動するに連れて徐々に端末装置100から無線中継装置200への通信品質が悪化して通信が不可能となる。
【0017】
第1端末装置100aは、PTTボタンが押し下げられた場合に、通話IDが付加された第1音声信号を送信する。無線中継装置200は、通話IDが付加された第1音声信号を第1端末装置100aから受信すると、第1音声信号を第2音声信号として通話IDとともに送信する。第2端末装置100bと第3端末装置100cが第1通信サービスエリア10aあるいは第2通信サービスエリア10b内に存在する場合、第2端末装置100bと第3端末装置100cは、通話IDが付加された第2音声信号を無線中継装置200から受信する。このように第1端末装置100aと第2端末装置100bと第3端末装置100cによるグループコールが実行される。
【0018】
このような状況において、グループコールのミスコールをなくすことが好ましいが、ミスコールが発生しても音声信号を伝えることが望まれる。また、シンプレックス通信がなされている場合、第1端末装置100aのユーザにとっては、第2端末装置100bと第3端末装置100cのいずれにおいてミスコールが発生しているか分からない。以下では、これを解決するための処理を説明するが、第1端末装置100aと無線中継装置200との間の第1処理と、無線中継装置200と第2端末装置100bとの間の第2処理とに分ける。
【0019】
ここで、第2端末装置100bは
図1のように第2通信サービスエリア10b外から第1通信サービスエリア10a内に向かって移動しているので、第2端末装置100bにはミスコールの発生が想定される。一方、第3端末装置100cは
図1のように第1通信サービスエリア10a内に滞在しているので、第3端末装置100cにはミスコールが発生しないと想定される。そのため、以下では、受信側の端末装置として第2端末装置100bのみを説明の対象とする。
【0020】
第1処理を説明するために、
図2も使用する。
図2は、第1端末装置100aと無線中継装置200とによる通信手順を示すシーケンス図である。第1端末装置100aにおいてPTTボタンが押し下げられる(S10)。第1端末装置100aは、無線中継装置200にチャネル割当を要求するために送信要求を送信する(S12)。S12は無線中継装置200に電波が届かなかった場合を表現しており、例えば、あらかじめ設定された時間以内に無線中継装置200から応答がない場合には、第1端末装置100aは、無線中継装置200にチャネル割当を要求するために送信要求を再度送信する(S14)。無線中継装置200は、送信要求を受信すると、空きチャネルがあることを確認する(S16)。無線中継装置200は、空きチャネルに第1端末装置100aを割り当て、送信許可通知を第1端末装置100aに送信する(S18)。第1端末装置100aは音声やデータの送信と記録を開始し(S20)、無線中継装置200は音声やデータの受信と記録を開始する(S22)。
【0021】
第1端末装置100aは、第1音声信号を無線中継装置200に送信する(S24、S26)。第1端末装置100aは、送信すべき第1音声信号を記録し、無線中継装置200は、受信した第1音声信号を記録する。
図3(a)-(b)は、無線中継装置200において記憶されるデータベースのデータ構造を示す。
図3(a)は、無線中継装置200に記憶された第1音声信号に関する情報を示す。「Call ID」は通話IDを示し、「Receive Time」は無線中継装置200が受信した時刻を示し、「Source ID」は送信元の端末装置100のIDを示し、「Destination ID」は宛先の端末装置100のIDを示す。グループコールの場合は「Destination ID」は宛先のグループのIDである。
図3(b)は、無線中継装置200において測定された第1音声信号の品質に関する情報を示す。品質として、BER(Bit Error Rate)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、Broken Block Numerが測定される。これらの測定には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0022】
図4(a)-(d)は、無線中継装置200における処理の概要を示す。
図4(a)は、無線中継装置200に記憶された第1音声信号のアドレスの情報を示す。アドレスは、
図4(b)の「Audio Data」において第1音声信号が格納されている位置を示す。「Audio Data」は、記録部260において第1音声信号が記憶される領域である。
図4(c)-(d)は後述して、
図2に戻る。第1端末装置100aにおいてPTTボタンがオフされる(S28)。第1端末装置100aは送信終了通知を無線中継装置200に送信する(S30)。無線中継装置200は、送信終了通知を受信すると、記録した第1音声信号の品質を確認する(S32)。
図4(c)は、第1音声信号の品質の確認結果を示す。「Call ID」で示される1通話の音声信号は、複数のブロックに分割されて記録され、「Block Number」で示される連番のブロック番号で管理される。音声信号の品質はブロック毎に確認される。第1音声信号の品質に問題がなければ「Broken Flag」に「OK」が設定され、第1音声信号の品質が悪化していれば「Broken Flag」に「NG」が設定される。また、第1音声信号が取得できなければ「Broken Flag」に「Lost」が設定される。第1音声信号の品質が悪化している場合と、第1音声信号が取得できない場合とが、第1音声信号の品質に問題がある場合に相当する。
図4(d)は、
図4(c)から、第1音声信号の品質に問題があるブロックIDの情報を抽出した結果を示す。例えば、
図4(c)には004のブロック番号が存在しないことから、第1音声信号のブロック番号が004のブロックの音声信号が取得できなかったことを検出する。
図2に戻る。
【0023】
無線中継装置200は、品質に問題がある第1音声信号が存在する場合、通話状況不良通知を第1端末装置100aに送信する(S34)。第1端末装置100aは、通話状況不良通知を受信すると、再送確認要求を無線中継装置200に送信する(S36)。無線中継装置200は、再送確認要求を受信した場合、品質に問題がある第1音声信号のブロックが示された再送通知を第1端末装置100aに送信する(S38)。第1端末装置100aは、受信した再送通知に示されたブロックを含むように再送データを構築し(S40)、構築した再送データを第1音声信号として無線中継装置200に送信する(S42)。
【0024】
無線中継装置200は、第1音声信号を記録する(S44)。無線中継装置200は、第1音声信号の結果として「OK」あるいは「NG」の情報を第1端末装置100aに送信する(S46)。第1端末装置100aは、送信終了通知を無線中継装置200に送信し(S48)、無線中継装置200は、送信終了通知に対する「OK」の情報を第1端末装置100aに送信する。
【0025】
第2処理を説明するために、
図5も使用する。
図5は、無線中継装置200と第2端末装置100bとによる通信手順を示すシーケンス図である。第2端末装置100bは、前述のごとく、
図1のように第2通信サービスエリア10b外から第1通信サービスエリア10a内に向かって移動し、第2通信サービスエリア10bの圏内に進入する(S100)。無線中継装置200は、時間的に最後に送信した第2音声信号の通話IDが含まれた制御情報を定期的に送信する(S102)。
図6は、無線中継装置200において記憶される別のデータベースのデータ構造を示す。無線中継装置200から時間的に最後に送信された第2音声信号の通話IDがグループ毎に記憶される。以下では、1つのグループを説明の対象にする。
図5に戻る。
【0026】
第2端末装置100bは、制御情報に含まれた通話IDと最終通話IDとを照合する(S104)。第2端末装置100bは、通話IDと最終通話IDとが一致しない場合、リスト要求を無線中継装置200に送信する(S106)。第2端末装置100bは第2通信サービスエリア10bに存在するので、リスト要求は無線中継装置200に受信されない。第2端末装置100bが第1通信サービスエリア10a内に侵入すると、第2端末装置100bからのリスト要求は無線中継装置200に受信される(S108)。無線中継装置200は、リストを生成する(S110)。無線中継装置200は、リストを第2端末装置100bに送信する(S112、S114)。
【0027】
第2端末装置100bは、リストを受信する(S116)。第2端末装置100bは、リストに含まれた通話IDのうち、再生を要求する通話IDが示された再生要求を無線中継装置200に送信する(S118)。無線中継装置200は、再生要求に示された通話IDの第2音声信号を第2端末装置100bに送信する(S120、S122)。無線中継装置200は、第2音声信号の送信後、送信終了通知を第2端末装置100bに送信する(S124)。第2端末装置100bは、送信終了通知に対する「OK」の情報を無線中継装置200に送信する(S126)。第2端末装置100bは、最終通話IDを更新する(S128)。
【0028】
以下では、通信システム1000における第1端末装置100a、無線中継装置200、第2端末装置100bの構成を(1)第1処理、(2)第2処理の順に説明する。
(1)第1処理
図7は、第1端末装置100aの構成を示す。第1端末装置100aは、通信部110、操作部120、マイクロフォン130、スピーカ140、処理部150、記録部160を含む。通信部110は、送信部112、受信部114を含み、処理部150は、再送制御部152を含む。通信部110は、シンプレックスによる無線通信を実行する。そのため、送信部112が信号を送信している期間に、受信部114は信号を受信せず、受信部114が信号を受信している期間に、送信部112は信号を送信しない。つまり、送信部112と受信部114のいずれか一方が動作し、他方は停止する。
【0029】
操作部120は、ボタン、タッチパネル等によって構成されており、ユーザからの入力を受けつける。ここで、ボタンはPTTボタンに相当し、操作部120は、PTTボタンの押し下げによってPTTによる送話の指示を受けつける。一方、操作部120は、PTTボタンの解放によってPTTによる送話の終了を受けつける。操作部120は、受けつけた入力を処理部150へ出力する。
【0030】
マイクロフォン130は、PTTボタンが押し下げられている間にユーザからの音声を取得する。マイクロフォン130は、音声を電気信号に変換し、電気信号の音声(以下、これもまた「音声」という)を処理部150に出力する。スピーカ140は、処理部150において再生された音声を出力する。
【0031】
処理部150は、記録部160を使用しながら第1端末装置100aの動作を制御する。処理部150の処理を説明するために、ここでは
図8、
図9も使用する。
図8は、第1端末装置100aによる通信手順を示すフローチャートである。PTTのボタンが押し下げられる(S200)と、処理部150は、送信要求を送信部112に送信させる。送信部112は、処理部150からの指示により送信要求を無線中継装置200に送信する。無線中継装置200において空きチャネルに第1端末装置100aが割り当てられることによって、受信部114が送信許可通知を無線中継装置200から受信した場合(S202のY)、処理部150は、送信許可通知に含まれた通話IDを取得する(S204)。
【0032】
処理部150は、通話IDを記録部160に保存するとともに、マイクロフォン130からの音声をもとに第1音声信号を生成して、第1音声信号を送信部112から送信させる(S206)。送信部112は、通話IDが付加された第1音声信号を無線中継装置200に送信する。また、処理部150は、第1音声信号をブロック毎に記録部160に記録させる(S208)とともに、ブロック毎のチェックサムを記録部160に保管する(S210)。記録部160は、送信部112から送信した第1音声信号と通話IDとを記録するとともに、チェックサムと属性データを記録する。PTTがオフされなければ(S212のN)、ステップ208に戻る。一方、PTTがオフされる(S212のY)ことによって送信が終了すると、送信部112は、送信終了通知を無線中継装置200に送信する。
【0033】
第1端末装置100aではシンプレックス通信がなされるので、無線中継装置200において第1音声信号が正常に受信されているか否かをリアルタイムに認識できない。無線中継装置200において第1音声信号の品質に問題がある場合、無線中継装置200は、通話状況不良通知を第1端末装置100aに送信する。受信部114が通話状況不良通知を受信した場合(S214のY)、処理部150は再送処理を実行する(S216)。受信部114が通話状況不良通知を受信しない場合(S214のN)、処理は終了される。一方、受信部114が送信許可通知を無線中継装置200から受信しない場合(S202のN)、ステップ204からステップ216はスキップされる。
【0034】
図9は、第1端末装置100aによる再送処理手順を示すフローチャートである。これは、
図8のステップ216に相当する。再送制御部152は、受信部114において通話状況不良通知を受信すると、再送確認要求を送信部112から無線中継装置200に送信する(S250)。無線中継装置200は、再送確認要求を受信した場合、品質に問題がある第1音声信号の通話ID(再送要求識別子)とブロック番号が示された再送通知を第1端末装置100aに送信する。
【0035】
受信部114が再送通知を無線中継装置200から受信しなければ(S252のN)、待機する。受信部114が再送通知を無線中継装置200から受信した場合(S252のY)、再送制御部152は、再送通知から通話IDとブロック番号を取得する(S254)。再送制御部152は、取得した通話IDとブロック番号に対応した第1音声信号を記録部160から抽出し、抽出した第1音声信号により再送データを構築する(S256)。
【0036】
再送制御部152は、送信要求を送信部112に送信させる。送信部112は、再送制御部152からの指示により送信要求を無線中継装置200に送信する(S258)。受信部114が送信許可通知を無線中継装置200から受信した場合(S260のY)、再送制御部152は、再送データである第1音声信号を送信部112に再送信させる(S262)。送信部112は、再送制御部152からの指示により第1音声信号を無線中継装置200に再送信する。受信部114が送信許可通知を無線中継装置200から受信しない場合(S260のN)、処理は終了される。
【0037】
図10は、無線中継装置200の構成を示す。無線中継装置200は、通信部210、処理部250、記録部260を含む。通信部210は、第1通信部212、第2通信部214を含み、処理部250は、音声品質評価部252、中継録音制御部254を含む。通信部210は、シンプレックスによる無線通信を実行する。通信部210のうち、送信側の端末装置、例えば第1端末装置100aと通信する部分が第1通信部212であり、受信側の端末装置、例えば第2端末装置100b、第3端末装置100cと通信する部分が第2通信部214である。第1通信部212と第2通信部214は便宜的に別の構成とされているが、これらは一体的に構成されてもよい。
【0038】
処理部250は、記録部260を使用しながら無線中継装置200の動作を制御する。無線中継装置200の処理を説明するために、ここでは
図11も使用する。
図11は、無線中継装置200による通信手順を示すフローチャートである。第1通信部212は、送信要求を第1端末装置100aから受信する。処理部250は、送信要求を受けつけると、空きチャネルを確認する。空きチャネルがあることを確認した場合、処理部250は、空きチャネルに第1端末装置100aを割り当て、通話IDが含まれた送信許可通知を第1通信部212に送信させる。第1通信部212は、送信許可通知を第1端末装置100aに送信する。
【0039】
第1通信部212は、通話IDが付加された第1音声信号を第1端末装置100aから受信する(S300)。第2通信部214は、第1通信部212において受信した第1音声信号を第2音声信号として通話IDとともに第2端末装置100bに送信する。第1通信部212において受信した第1音声信号と通話IDとを記録部260に記録させる。記録部260は、第1音声信号と通話IDとを記録する。
【0040】
処理部250は、第1通信部212において受信した第1音声信号の品質を測定する。前述のごとく、第1音声信号の品質は、例えば、BER、RSSI、Broken Block Numerであり、これらの測定には公知の技術が使用される。このような処理の結果、記録部260は、
図3(a)-(b)、
図4(a)に示されるテーブルを記録する。
【0041】
第1通信部212は、送信終了信号を第1端末装置100aから受信する。音声品質評価部252は、送信終了通知を受けつけると、記録部260に記録した第1音声信号の品質を確認する。第1音声信号が破損している場合(S302のY)、処理部250は、該当するブロック番号を記録部260に記録させる(S304)。第1音声信号が破損しておらず(S302のN)、欠落している場合(S306のY)、処理部250は、該当するブロック番号を記録部260に記録させる(S308)。第1音声信号が欠落していない場合(S306のN)、ステップ308はスキップされる。
【0042】
図4(c)に示されるように、音声品質評価部252は、第1音声信号の品質に問題がなければ「Broken Flag」に「OK」を設定し、第1音声信号の品質が悪化していれば「Broken Flag」に「NG」を設定し、第1音声信号を取得できなければ「Broken Flag」に「Lost」を設定する。音声品質評価部252は、第1音声信号の品質が悪化している場合と、第1音声信号が取得できない場合とを、第1音声信号の品質に問題がある場合と判定する。第1音声信号の品質に問題がある場合、つまり通話状態が良好でない場合(S310のN)、音声品質評価部252は、通話状況不良通知を第1通信部212に送信させる(S312)。第1通信部212は通話状況不良通知を第1端末装置100aに送信する。
【0043】
第1通信部212が再送確認要求を第1端末装置100aから受信しない場合(S314のN)、待機する。第1通信部212が再送確認要求を第1端末装置100aから受信した場合(S314のY)、音声品質評価部252は、再送通知を第1通信部212に送信させる(S316)。再送通知には、
図4(d)のように、通話IDと、品質に問題がある第1音声信号のブロック番号とが含まれる。つまり、音声品質評価部252は、第1通信部212において受信した第1音声信号の品質がしきい値より低い場合に、再送通知を第1通信部212から送信させる。第1通信部212は、再送通知を第1端末装置100aに送信する。
【0044】
第1通信部212は、送信要求を第1端末装置100aから受信する(S318)。第1通信部212は、送信許可通知を第1端末装置100aに送信する(S320)。第1通信部212は、通話IDが付加された第1音声信号を第1端末装置100aから再受信する(S322)。音声品質評価部252は、再受信した第1音声信号が再送通知に含めた通話IDとブロック番号と一致し音声品質に問題がないかのデータ整合性がOKであれば(S324のY)、再受信した第1音声信号を記録部260に記録させる(S326)。これは、記録部260に既に記録した第1音声信号を第1通信部212が再受信した第1音声信号で置きかえることに相当する。第1通信部212は、第1音声信号の結果として「OK」を第1端末装置100aに送信する(S328)。音声品質評価部252において第1音声信号のデータ整合性がOKでなければ(S324のN)、第1通信部212は、第1音声信号の結果として「NG」を第1端末装置100aに送信する(S330)。一方、第1音声信号の品質に問題がない場合、つまり通話状態が良好である場合(S310のY)、ステップ312からステップ330の処理はスキップされる。
【0045】
(2)第2処理
図12は、無線中継装置200による別の通信手順を示すフローチャートである。中継録音制御部254は、時間的に最後に送信した第2音声信号の通話IDが含まれた制御情報を第2通信部214に出力する。制御情報は
図6のように示される。第2通信部214は、制御情報を定期的に送信して端末装置100に報知する。制御情報を受信した第2端末装置100bにおいて、制御情報に含まれた通話IDと最終通話IDとが一致しない場合、第2端末装置100bはリスト要求を無線中継装置200に送信する。リスト要求には、最終通話IDが含まれる。第2通信部214は、リスト要求を第2端末装置100bから受信する(S350)。第2通信部214は、リスト要求を処理部250に出力する。
【0046】
中継録音制御部254は、受けつけたリスト要求から最終通話IDを抽出する。最終通話IDは最終識別子とも呼ばれる。中継録音制御部254は、最終通話ID以降に記録部260に記録された通話IDのリストを生成する(S352)。中継録音制御部254は、リストを第2通信部214に出力する。第2通信部214は、リストを第2端末装置100bに送信する(S354)。
【0047】
第2通信部214は、リストを受信した第2端末装置100bからの再生要求を受信する(S356)。再生要求には、リストに含まれた通話IDのうち、第2端末装置100bが再生を要求する通話ID(送信要求識別子)が示される。中継録音制御部254は、受けつけた再生要求に示された通話IDに対応した第1音声信号を記録部260から抽出する。中継録音制御部254は、抽出した第1音声信号を第2音声信号として第2通信部214に出力する。第2通信部214は、第2音声信号を第2端末装置100bに送信する(S358)。
【0048】
図13は、第2端末装置100bの構成を示す。第2端末装置100bは、通信部110、操作部120、マイクロフォン130、スピーカ140、処理部150、識別子記録部170を含む。通信部110は、送信部112、受信部114を含み、処理部150は、エリア判定部154、再送制御部156を含む。ここでは、説明を明瞭にするために、第1端末装置100aと第2端末装置100bとを別の構成とするが、これらは端末装置100として共通の構成であってもよい。受信部114は、通話IDが付加された第2音声信号を無線中継装置200から受信する。処理部150は、第2音声信号をもとに音声を再生し、音声をスピーカ140から出力させる。処理部150は、受信部114において時間的に最後に受信した通話IDを最終通話IDとして識別子記録部170に記録させる。識別子記録部170は、最終通話IDを記録する。
【0049】
図14は、第2端末装置100bによる通信手順を示すフローチャートである。前述のごとく、第2端末装置100bは
図1のように第2通信サービスエリア10b外から第1通信サービスエリア10a内に向かって移動していることを想定する。エリア判定部154は、無線中継装置200の通信サービスエリア10内に位置するか否かを判定する。例えば、エリア判定部154は、無線中継装置200からの信号を第2通信部214が受信した場合に、通信サービスエリア10内に位置すると判定し、無線中継装置200からの信号を第2通信部214が受信しない場合に、通信サービスエリア10内に位置しないと判定する。第2通信サービスエリア10b外から第1通信サービスエリア10a内に向かった移動によって、エリア判定部154は、通信サービスエリア10の圏内への進入を認識する(S400)。ただし、第2端末装置100bは、後述する制御信号を無線中継装置200から受信することで通信サービスエリア10の圏内であることを認識することが可能であり、S400の処理は必ずしも必要ではないが、エリア判定部154により第1通信サービスエリア10aと第2通信サービスエリア10bの違いを認識することで、無線中継装置200と確実な送受信ができる位置にいることを知ることができる。
【0050】
受信部114は、無線中継装置200から時間的に最後に送信された第2音声信号の通話IDを含む制御情報を無線中継装置200から受信する(S402)。再送制御部156は、受信部114において受信した制御情報に含まれる通話IDと、識別子記録部170に時間的に最後に記録した最終通話IDとを比較する。通話IDと最終通話IDとが一致しない場合(S404のN)、再送制御部156は、最終通話IDが含まれたリスト要求を送信部112に出力する。送信部112は、リスト要求を無線中継装置200に送信する(S406)。
【0051】
受信部114は、リストを無線中継装置200から受信する(S408)。前述のごとく、リストには、最終通話ID以降に無線中継装置200に記録された通話IDが示される。再送制御部156は、リストに含まれた通話IDを抽出する。複数の通話IDがリストに含まれない場合(S410のN)、再送制御部156は、リストに含まれた通話IDが示された再生要求を送信部112に出力する。送信部112は再生要求を無線中継装置200に送信する(S412)。受信部114は、通話IDが付加された第2音声信号を無線中継装置200から再受信する(S414)。処理部150は、第2音声信号をもとに音声を再生し(S416)、音声をスピーカ140から出力させる。複数の通話IDがリストに含まれる場合(S410のY)、処理部150は、選択再生処理を実行する(S418)。一方、再送制御部156は、通話IDと最終通話IDとが一致する場合(S404のY)、リスト要求を送信部112に送信させずに処理を終了する。
【0052】
図15は、第2端末装置100bによる選択再生処理手順を示すフローチャートである。これは、
図14のステップ418の処理に相当する。再送制御部156は、リストに含まれた複数の通話IDのうち、再生を要求する1以上の通話IDを選択する(S450)。選択は、例えば、操作部120がユーザから受けつけた選択の指示をもとになされる。また、再送制御部156が自動的に選択を実行してもよい。再送制御部156は、選択した通話IDに対する再生要求を送信部112に出力する。送信部112は再生要求を無線中継装置200に送信する(S452)。受信部114は、通話IDが付加された第2音声信号を無線中継装置200から再受信する(S454)。処理部150は、第2音声信号をもとに音声を再生し(S456)、音声をスピーカ140から出力させる。
【0053】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0054】
本実施例によれば、受信した第1音声信号の品質がしきい値より低い場合に識別子を第1端末装置に送信することによって、第1音声信号を第1端末装置から再受信すると、再受信した第1音声信号を記録するので、正確な第1音声信号を記録できる。また、正確な第1音声信号が記録されるので、音声信号の通信の正確性を向上できる。最終通話IDを受信すると、最終通話ID以降に記録された通話IDのリストを第2端末装置に送信するので、最終通話ID以降に記録された通話IDを第2端末装置に認識させることができる。また、リストに含まれた通話IDを受信すると、通話IDに対応した第2音声信号を第2端末装置に送信するので、音声信号の通信の正確性を向上できる。また、時間的に最後に送信した第2音声信号の通話IDを報知させるので、すべての通話IDを受信しているかを第2端末装置に確認させることができる。
【0055】
また、通話IDが付加された第1音声信号を無線中継装置に送信するとともに記録部に記録しており、無線中継装置から識別子を受信すると、識別子に対応した第1音声信号を記録部から抽出して無線中継装置に送信するので、音声信号の通信の正確性を向上できる。また、最終通話ID以降に無線中継装置に記録された通話IDのリストを受信すると、リストに含まれた通話IDを無線中継装置に送信するので、通話IDに対応した第2音声信号の再送を要求できる。また、通話IDに対応した第2音声信号の再送が要求されるので、音声信号の通信の正確性を向上できる。また、無線中継装置から時間的に最後に送信された第2音声信号の通話IDと、最終通話IDとが一致する場合に、最終通話IDを送信しないので、無駄な通信の発生を抑制できる。
【0056】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。実施例では、音声信号について説明したが、これに限定されずデータ信号などの情報信号であってもよい。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0057】
10 通信サービスエリア、 100 端末装置、 110 通信部、 112 送信部、 114 受信部、 120 操作部、 130 マイクロフォン、 140 スピーカ、 150 処理部、 152 再送制御部、 154 エリア判定部、 156 再送制御部、 160 記録部、 170 識別子記録部、 200 無線中継装置、 210 通信部、 212 第1通信部、 214 第2通信部、 250 処理部、 252 音声品質評価部、 254 中継録音制御部、 260 記録部、 1000 通信システム。