(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】電線カバー及び配線部材
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20250212BHJP
H01R 13/56 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H01R13/56
H02G3/04 062
(21)【出願番号】P 2021118928
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕信
(72)【発明者】
【氏名】金 京佑
(72)【発明者】
【氏名】小林 利成
(72)【発明者】
【氏名】清水 盛行
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 元寿
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 浩行
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-168137(JP,A)
【文献】実開昭64-037317(JP,U)
【文献】特開2005-019069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01R 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の曲げ部を保持する電線カバーであって、
前記曲げ部を内周側から覆う内側カバー本体と、前記内側カバー本体の一端部に設けられた第1内側取付部と、前記内側カバー本体の他端部に設けられた第2内側取付部とを含む内側カバー部材と、
前記曲げ部を外周側から覆う外側カバー本体と、前記外側カバー本体の一端部に設けられた第1外側取付部と、前記外側カバー本体の他端部に設けられた第2外側取付部とを含む外側カバー部材と、
を備え、
前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材は、前記第1内側取付部と前記第1外側取付部との第1取付部が取付けられると共に、前記第2内側取付部と前記第2外側取付部との第2取付部が取付けられることによって固定されており、
前記内側カバー本体の前記一端部及び前記外側カバー本体の前記一端部は、第1方向に沿って前記電線を挟み、
前記内側カバー本体の前記他端部及び前記外側カバー本体の前記他端部は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記電線を挟み、
前記第1取付部及び前記第2取付部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面に対して交差する第3方向から観察されたときに、前記内側カバー本体のうち最も内側の面よりも外側又は前記外側カバー本体のうち最も外側の面よりも内側に位置し、
前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材が前記第1方向に沿って相対移動して、前記第1取付部及び前記第2取付部のそれぞれが取付けられ
、
前記第1取付部を含む前記一端部において、前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向のうちいずれの方向にも係止し、
前記第2取付部を含む前記他端部において、前記内側カバー部材と前記外側カバー部材とが、前記第2方向及び前記第3方向に重なりあって、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向のうち前記第2方向及び前記第3方向に係止しており、
前記第2取付部を含む前記他端部において、前記内側カバー部材と前記外側カバー部材とが、前記第2方向及び前記第3方向のそれぞれに沿って、3層以上重なっている、電線カバー。
【請求項2】
請求項
1に記載の電線カバーであって、
前記第2取付部を含む前記他端部において、前記内側カバー部材と前記外側カバー部材とが、前記第2方向及び前記第3方向のそれぞれに沿って、4層以上重なっている、電線カバー。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の電線カバーであって、
前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記一端部と前記他端部とのいずれか一方にコネクタ後端部に嵌る装着部が設けられている、電線カバー。
【請求項4】
請求項
1又は請求項2に記載の電線カバーであって、
前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記一端部にコネクタ後端部に嵌る装着部が設けられ、
前記装着部は、前記内側カバー本体の内面に形成された内側溝と、前記外側カバー本体の内面に形成された外側溝とを有し、
前記内側溝及び前記外側溝に前記コネクタ後端部のフランジ部が嵌る、電線カバー。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の電線カバーであって、
前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記他端部に筒状部材と重なる筒状部材取付部が設けられている、電線カバー。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の電線カバーであって、
前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体の少なくとも一方に水抜き孔が形成されている、電線カバー。
【請求項7】
電線の曲げ部を保持する電線カバーであって、
前記曲げ部を内周側から覆う内側カバー本体と、前記内側カバー本体の一端部に設けられた第1内側取付部と、前記内側カバー本体の他端部に設けられた第2内側取付部とを含む内側カバー部材と、
前記曲げ部を外周側から覆う外側カバー本体と、前記外側カバー本体の一端部に設けられた第1外側取付部と、前記外側カバー本体の他端部に設けられた第2外側取付部とを含む外側カバー部材と、
を備え、
前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材は、前記第1内側取付部と前記第1外側取付部との第1取付部が取付けられると共に、前記第2内側取付部と前記第2外側取付部との第2取付部が取付けられることによって固定されており、
前記内側カバー本体の前記一端部及び前記外側カバー本体の前記一端部は、第1方向に沿って前記電線を挟み、
前記内側カバー本体の前記他端部及び前記外側カバー本体の前記他端部は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記電線を挟み、
前記第1取付部及び前記第2取付部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面に対して交差する第3方向から観察されたときに、前記内側カバー本体のうち最も内側の面よりも外側又は前記外側カバー本体のうち最も外側の面よりも内側に位置し、
前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材が前記第1方向に沿って相対移動して、前記第1取付部及び前記第2取付部のそれぞれが取付けられ、
前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記他端部に筒状部材と重なる筒状部材取付部が設けられており、
前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材はそれぞれ、金型による射出成形品であり、前記金型の上下抜き可能にアンダーカットのない形状に形成されている、電線カバー。
【請求項8】
請求項7に記載の電線カバーであって、
前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記一端部にコネクタ後端部に嵌る装着部が設けられている、電線カバー。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の電線カバーであって、
前記第1取付部及び前記第2取付部は、前記第3方向から観察されたときに、前記内側カバー本体のうち最も内側の面よりも外側、かつ、前記外側カバー本体のうち最も外側の面よりも内側に位置する、電線カバー。
【請求項10】
曲げ経路に沿って配設される曲げ部を有する電線と、
前記曲げ部に取付けられた請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の電線カバーと、
を備える、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電線カバー及び配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、横出しコネクタの電線接続側に連結するコネクタカバーを開示している。当該コネクタカバーにおいて、本体カバーと蓋カバーとの嵌合方向が、電線の曲がっている面に対して直交する。本体カバーと蓋カバーとは、本体カバーのロック部と蓋カバーの被ロック部とによってロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコネクタカバーにおいて、ロック部及び被ロック部を有するロック構造部が、電線の曲げ部に対して内周側の壁の外と外周側の壁の外とにそれぞれ位置する。電線の曲げ部の内側及び外側の少なくとも一方においてスペースを確保できることが望まれている。
【0005】
そこで、電線の曲げ部を保持する電線カバーにおいて、曲げ部の内側及び外側の少なくとも一方においてスペースを確保できるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電線カバーは、電線の曲げ部を保持する電線カバーであって、前記曲げ部を内周側から覆う内側カバー本体と、前記内側カバー本体の一端部に設けられた第1内側取付部と、前記内側カバー本体の他端部に設けられた第2内側取付部とを含む内側カバー部材と、前記曲げ部を外周側から覆う外側カバー本体と、前記外側カバー本体の一端部に設けられた第1外側取付部と、前記外側カバー本体の他端部に設けられた第2外側取付部とを含む外側カバー部材と、を備え、前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材は、前記第1内側取付部と前記第1外側取付部との第1取付部が取付けられると共に、前記第2内側取付部と前記第2外側取付部との第2取付部が取付けられることによって固定されており、前記内側カバー本体の前記一端部及び前記外側カバー本体の前記一端部は、第1方向に沿って前記電線を挟み、前記内側カバー本体の前記他端部及び前記外側カバー本体の前記他端部は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記電線を挟み、前記第1取付部及び前記第2取付部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面に対して交差する第3方向から観察されたときに、前記内側カバー本体のうち最も内側の面よりも外側、又は、前記外側カバー本体のうち最も外側の面よりも内側に位置し、前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材が前記第1方向に沿って相対移動して、前記第1取付部及び前記第2取付部のそれぞれが取付けられる、電線カバーである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線の曲げ部を保持する電線カバーにおいて、曲げ部の内側及び外側の少なくとも一方においてスペースを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる電線カバー及びこれを備える配線部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の電線カバーは、次の通りである。
【0011】
(1)電線の曲げ部を保持する電線カバーであって、前記曲げ部を内周側から覆う内側カバー本体と、前記内側カバー本体の一端部に設けられた第1内側取付部と、前記内側カバー本体の他端部に設けられた第2内側取付部とを含む内側カバー部材と、前記曲げ部を外周側から覆う外側カバー本体と、前記外側カバー本体の一端部に設けられた第1外側取付部と、前記外側カバー本体の他端部に設けられた第2外側取付部とを含む外側カバー部材と、を備え、前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材は、前記第1内側取付部と前記第1外側取付部との第1取付部が取付けられると共に、前記第2内側取付部と前記第2外側取付部との第2取付部が取付けられることによって固定されており、前記内側カバー本体の前記一端部及び前記外側カバー本体の前記一端部は、第1方向に沿って前記電線を挟み、前記内側カバー本体の前記他端部及び前記外側カバー本体の前記他端部は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記電線を挟み、前記第1取付部及び前記第2取付部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面に対して交差する第3方向から観察されたときに、前記内側カバー本体のうち最も内側の面よりも外側、又は、前記外側カバー本体のうち最も外側の面よりも内側に位置し、前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材が前記第1方向に沿って相対移動して、前記第1取付部及び前記第2取付部のそれぞれが取付けられる、電線カバーである。電線の曲げ部を保持する電線カバーにおいて、第1取付部及び第2取付部が曲げ部の内側及び外側を避けて設けられる。このため、曲げ部の内側及び外側の少なくとも一方において、スペースを確保できる。
【0012】
(2)(1)の電線カバーにおいて、前記第1取付部を含む前記一端部において、前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材は、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向のうちいずれの方向にも係止し、前記第2取付部を含む前記他端部において、前記内側カバー部材と前記外側カバー部材とが、前記第2方向及び前記第3方向に重なりあって、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向のうち前記第2方向及び前記第3方向に係止していてもよい。これにより、第1取付部及び第2取付部による内側カバー部材及び外側カバー部材の固定が容易となる。
【0013】
(3)(2)の電線カバーにおいて、前記第2取付部を含む前記他端部において、前記内側カバー部材と前記外側カバー部材とが、前記第2方向及び前記第3方向のそれぞれに沿って、3層以上重なっていてもよい。これにより、第2取付部が第2方向及び第3方向に開きにくくなる。
【0014】
(4)(3)の電線カバーにおいて、前記第2取付部を含む前記他端部において、前記内側カバー部材と前記外側カバー部材とが、前記第2方向及び前記第3方向のそれぞれに沿って、4層以上重なっていてもよい。これにより、第2取付部が第2方向及び第3方向により開きにくくなる。
【0015】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの電線カバーにおいて、前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記一端部と前記他端部とのいずれか一方にコネクタ後端部に嵌る装着部が設けられていてもよい。これにより、電線カバーが、コネクタに装着されてコネクタから延出する電線の曲げ部を保持することができる。
【0016】
(6)(2)から(4)のいずれか1つの電線カバーにおいて、前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記一端部にコネクタ後端部に嵌る装着部が設けられ、前記装着部は、前記内側カバー本体の内面に形成された内側溝と、前記外側カバー本体の内面に形成された外側溝とを有し、前記内側溝及び前記外側溝に前記コネクタ後端部のフランジ部が嵌ってもよい。これにより、内側溝及び外側溝にコネクタ後端部のフランジ部が嵌ると共にロック部のある一端部に装着部が設けられることができることによって、コネクタ後端部への装着状態が安定しやすい。
【0017】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの電線カバーにおいて、前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体において、前記他端部に筒状部材と重なる筒状部材取付部が設けられていてもよい。これにより、電線カバーにゴムホースなどの筒状部材が取付けられることができる。
【0018】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの電線カバーにおいて、前記内側カバー本体及び前記外側カバー本体の少なくとも一方に水抜き孔が形成されていてもよい。これにより、水抜き孔を通じて電線カバー内の水を電線カバーの外に逃がすことができる。
【0019】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの電線カバーにおいて、前記内側カバー部材及び前記外側カバー部材はそれぞれ、金型による射出成形品であり、前記金型の上下抜き可能にアンダーカットのない形状に形成されていてもよい。これにより、金型の形状が簡易となりコストアップを抑えることができる。
【0020】
(10)(1)から(9)のいずれか1つの電線カバーにおいて、前記第1取付部及び前記第2取付部は、前記第3方向から観察されたときに、前記内側カバー本体のうち最も内側の面よりも外側、かつ、前記外側カバー本体のうち最も外側の面よりも内側に位置してもよい。これにより、カバー本体の内側及び外側の両方にスペースを確保できる。
【0021】
(11)また、本開示の配線部材は、曲げ経路に沿って配設される曲げ部を有する電線と、前記曲げ部に取付けられた(1)から(10)のいずれか1つの電線カバーと、を備える配線部材である。これにより、電線の曲げ部が電線カバーに保持されつつ、曲げ部の内側及び外側の少なくとも一方においてスペースを確保できる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電線カバーの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる電線カバー及びこれを備える配線部材について説明する。
図1は実施形態1にかかる電線カバー50及びこれを備える配線部材10を示す斜視図である。
図2は配線部材10を示す側面図である。
図3は配線部材10を示す分解斜視図である。
図1には、互いに直交する3つの方向として、X方向、Y方向及びZ方向が示されている。
図2以降の各図におけるX方向、Y方向及びZ方向は、
図1のX方向、Y方向及びZ方向に相当する。
【0024】
<配線部材>
配線部材10は、電線20と電線カバー50とを備える。配線部材10は、車両等において曲った経路に沿って配設されることが想定されている。このため、電線20は、曲げ経路に沿って配設される曲げ部12を含む。曲げ部12に電線カバー50が取付けられている。曲げ部12は電線カバー50によって曲がった状態に保持されている。配線部材10がどのような形状で曲げられるかについては、配線部材10の端部の取付先となる部分の位置関係、配線部材10が配設される部分の干渉物のレイアウト等によって決定される。
【0025】
電線20は、少なくとも1本設けられる。例えば、電線20は、芯線と被覆層とを有する被覆電線である。例えば、芯線は、複数の素線が撚られたより線である。各素線は、銅又はアルミニウム等の金属製であってもよい。例えば、被覆層は、芯線の周囲に樹脂が押出被覆されて形成される。樹脂は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどであってもよい。電線20は、複数の電線がシースで覆われたケーブルであってもよい。
【0026】
車両において配線部材10の配置される位置は、いずれの位置であってもよい。例えば、配線部材10の一端部は、車両において足回りの位置に配置される機器に接続されてもよい。電線20の用途は、電源線であってもよいし、信号線であってもよい。例えば、電線20は、EPB(Electric Parking Brake:電動パーキングブレーキ)、或はEMB(Electro-Mechanical Brake:電子機械ブレーキシステム)に対して電力を供給する電源線であってもよい。また例えば、電線20は、ABS(Anti-Lock Brake System:アンチロックブレーキシステム)において、車輪の速度を検出するためのセンサからの信号を伝達する信号線などであってもよい。
【0027】
電線20の端部にはコネクタ30が設けられている。コネクタ30が、機器などに設けられた相手側コネクタと接続される。コネクタ30は、コネクタハウジングとコネクタ端子とを備える。電線20の芯線がコネクタ端子と接続される。電線20及び機器がコネクタ30を介して接続される。本例では、電線20のうちコネクタ30から延び出た部分に曲げ部12が設けられるものとして説明される。本例では、コネクタ30の後端部にフランジ部32が設けられている。フランジ部32はコネクタハウジングの本体部の周囲に突出する。
【0028】
電線20の中間部には筒状部材40が設けられている。ここでは筒状部材40は、電線20の延在方向に沿ってコネクタ30と離れた位置に設けられる。ここでは筒状部材40は、電線20のうち曲げ部12に対してコネクタ30側とは反対側に設けられている。ここでは筒状部材40は、コネクタ30から延び出た電線20が曲げ部12を介して曲がった後の部分に設けられている。電線20は筒状部材40を貫通している。筒状部材40の一端部が、電線カバー50に取付けられる。本例の筒状部材40は、軸方向に沿って同じ外径で連続する。かかる筒状部材40は、例えば、ゴムチューブである。筒状部材40は、コルゲートチューブなどのように、軸方向に沿って外径が交互に変化するように構成されていてもよい。
【0029】
<電線カバー>
電線カバー50について、
図4から
図9をさらに参照しつつ説明する。
図4及び
図5は電線カバー50を示す分解斜視図である。
図4及び
図5は互いに異なる視点から見た図である。
図6は電線カバー50を示す分解側面図である。
図7は電線カバー50を示す分解正面図である。
図8は電線カバー50を示す分解平面図である。
図9は電線カバー50を示す分解底面図である。
【0030】
電線カバー50は電線20の曲げ部12を保持する。電線カバー50には、カバー本体51と、第1取付部52と、第2取付部54とが設けられる。電線カバー50は、内側カバー部材60と外側カバー部材70とを備える。
【0031】
内側カバー部材60は、内側カバー本体61と第1内側取付部62と第2内側取付部64とを含む。内側カバー本体61は、曲げ部12を内周側から覆う。第1内側取付部62は内側カバー本体61の一端部に設けられている。第2内側取付部64は内側カバー本体61の他端部に設けられている。
【0032】
外側カバー部材70は、外側カバー本体71と第1外側取付部72と第2外側取付部74とを含む。外側カバー本体71は、曲げ部12を外周側から覆う。第1外側取付部72は、外側カバー本体71の一端部に設けられている。第2外側取付部74は、外側カバー本体71の他端部に設けられている。
【0033】
内側カバー本体61と外側カバー本体71とが、曲げ部12を覆うカバー本体51をなしている。第1内側取付部62と第1外側取付部72とが第1取付部52をなしている。第2内側取付部64と第2外側取付部74とが第2取付部54をなしている。内側カバー部材60及び外側カバー部材70は、第1取付部52が取付けられると共に、第2取付部54が取付けられることによって互いに固定されて、電線カバー50をなしている。
【0034】
<カバー本体>
カバー本体51について
図10をさらに参照しつつ説明する。
図10はカバー本体51を示す断面図である。
図10は
図2のX-X線の位置での断面図である。
【0035】
カバー本体51は、内側カバー本体61と外側カバー本体71とを有する。内側カバー本体61は、底壁61aと2つの側壁61bと支持部61cとを有する。外側カバー本体71は、蓋部71aと2つの側壁71bとを有する。
【0036】
2つの側壁61bは底壁61aの両側から突出する。底壁61aと2つの側壁61bとによって樋状の収容部が形成されている。蓋部71aは、底壁61a及び2つの側壁61bの上方を覆う。2つの側壁71bは、蓋部71aの両側から突出する。2つの側壁71bの間に、2つの側壁61bが位置する。これにより、内側カバー本体61と外側カバー本体71とが、Y方向にずれにくい。2つの側壁71bは支持部61cに支持される。これにより、内側カバー本体61と外側カバー本体71とがY方向一方側における接触部分を支点として、Y方向他方側が開くように傾くことが抑制される。内側カバー本体61と外側カバー本体71との口が開くことが抑制される。
【0037】
内側カバー本体61の一端部及び外側カバー本体71の一端部は、第1方向に沿って電線20を挟む。内側カバー本体61の他端部及び外側カバー本体71の他端部は、第1方向と交差する第2方向に沿って電線20を挟む。
【0038】
本例では、電線20は曲げ部12を介して90度曲がっている。このため、第1方向及び第2方向が互いに直交する。具体的には、電線20は曲げ部12の一方側でZ方向に延び、曲げ部12の他方側でX方向に延びる。内側カバー本体61の一端部及び外側カバー本体71の一端部は、X方向に沿って電線20を挟む。内側カバー本体61の他端部及び外側カバー本体71の他端部は、Z方向に沿って電線20を挟む。本例では、第1方向がX方向であり、第2方向がZ方向である。
【0039】
電線20は、曲げ部12を介して90度よりも小さい角度で曲がっていてもよいし、90度よりも大きい角度で曲がっていてもよい。例えば、電線20は曲げ部12の一方側でZ方向に延び、曲げ部12の他方側でX方向及びZ方向から傾いた方向に延びてもよい。
【0040】
<第1取付部>
第1取付部52について
図11をさらに参照しつつ説明する。
図11は第1取付部52を示す断面図である。
図11は
図2のXI-XI線に沿った断面図である。
【0041】
第1取付部52は、第1内側取付部62と、第1外側取付部72とを有する。第1内側取付部62はロック突起63を有する。第1外側取付部72はロック受部73を有する。
【0042】
ロック突起63は内側カバー本体61から両側に突出する。ロック突起63は2つの側壁61bの外面から外側に突出する。ロック突起63は、ガイド面63aと係止面63bとを有する。ロック突起63のうちX方向負の側を向く面がガイド面63aである。ロック突起63のうちX方向正の側を向く面が係止面63bである。
【0043】
ロック受部73は外側カバー本体71から両側に突出する。ロック受部73は蓋部71aの両端部から突出する。ロック受部73の位置において、外側カバー本体71には側壁71bがなくなっており、代わりにロック受部73が設けられている。ロック受部73は、延出片73aと、係止片73bとを有する。延出片73aは、蓋部71aの各端部から一対突出する。一対の延出片73aは、電線20の延在方向であるZ方向に互いに離れている。係止片73bは、一対の延出片73aの先端部同士をつないでいる。延出片73a及び係止片73bで囲まれる部分にロック凹部73cが形成されている。
【0044】
第1取付部52が取付けられる際、係止片73bはガイド面63aに沿って移動する。これにより、一対のロック突起63の間隔が狭まるように内側カバー部材60が弾性変形するか、一対のロック受部73の間隔が広がるように外側カバー部材70が弾性変形するか、又は両方が弾性変形して、係止片73bがロック突起63を乗り越える。これにより、ロック凹部73cにロック突起63が収まり、第1取付部52が取付状態とされる。
【0045】
第1方向(X方向)及び第2方向(Z方向)を含む平面に対して交差する方向を第3方向とする。第3方向は例えばY方向である。第3方向(Y方向)から観察されたときに、第1取付部52は、内側カバー本体61のうち最も内側の面よりも外側、又は、外側カバー本体71のうち最も外側の面よりも内側に位置する。ここでは、第3方向(Y方向)から観察されたときに、第1取付部52は、内側カバー本体61のうち最も内側の面よりも外側、かつ、外側カバー本体71のうち最も外側の面よりも内側に位置する。第3方向(Y方向)から観察されたときに、第1取付部52は内側カバー本体61及び外側カバー本体71と重なる。
【0046】
図2は、第3方向(Y方向)から観察された図である。
図2に示すように、第1取付部52は、内側カバー本体61のうち最も内側の面(X方向正の側の面)よりも外側(X方向負の側)、又は、外側カバー本体71のうち最も外側の面(X方向負の側の面)よりも内側(X方向正の側)に位置する。ここでは、第1取付部52は、内側カバー本体61のうち最も内側の面(X方向正の側の面)よりも外側(X方向負の側)、かつ、外側カバー本体71のうち最も外側の面(X方向負の側の面)よりも内側(X方向正の側)に位置する。第1取付部52は内側カバー本体61及び外側カバー本体71と重なる。
【0047】
本例の第1取付部52は、ロック部である。第1取付部52を含む一端部において、内側カバー部材60及び外側カバー部材70は、第1方向(X方向)、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のうちいずれの方向にも係止している。具体的には、X方向において、内側カバー部材60及び外側カバー部材70が互いに離れる向きには、係止面63bと係止片73bとが係止する。X方向において、内側カバー部材60及び外側カバー部材70が互いに接近する向きには、側壁61bと蓋部71aとが係止する。Y方向において、ロック受部73と側壁61bとが係止する。Z方向において、ロック受部73の延出片73aとロック突起63の側面とが係止する。
【0048】
<第2取付部>
第2取付部54について
図12をさらに参照しつつ説明する。
図12は第2取付部54を示す断面図である。
図12は
図2のXII-XII線に沿った断面図である。
【0049】
第2取付部54は、第2内側取付部64と、第2外側取付部74とを有する。第2取付部54を含む他端部において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)に重なりあって、第1方向(X方向)、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のうち第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)に係止している。ここでは第2取付部54を含む他端部において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のそれぞれに沿って、3層以上重なっている。ここでは第2取付部54を含む他端部において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のそれぞれに沿って、4層以上重なっている。
【0050】
具体的には、第2内側取付部64は、第1内向き凸部65と第2内向き凸部66と外向き凸部67とを有する。第2外側取付部74は、内向き凸部75と外向き凸部76とを有する。なお
図12において、カバー本体51が仮想線で示されている。第2内側取付部64における各凸部65、66、67は、内側カバー本体61から突出する部分である。第2外側取付部74における各凸部75、76は、外側カバー本体71から突出する部分である。
【0051】
第1内向き凸部65は、側壁61bの先端部において側壁61bの内面から内側に突出する。第2内向き凸部66は、側壁61bの基端部において側壁61bの内面から内側に突出する。第1内向き凸部65及び第2内向き凸部66は、第2方向(Z方向)において離れている。
【0052】
外向き凸部67は、支持部61cから外側に突出している。外向き凸部67は、側壁71bの外側を覆う。
図4に示すように、X方向において、第1内向き凸部65は第2内向き凸部66及び外向き凸部67よりも長い。X方向において、外向き凸部67は第2内向き凸部66よりも長い。
【0053】
内向き凸部75は、蓋部71aの内面から内側に突出する。外向き凸部76は、内向き凸部75の先端部の外面から外側に突出する。第1内向き凸部65及び第2内向き凸部66の間に、外向き凸部76が嵌っている。
図5に示すように、内向き凸部75及び外向き凸部76は、X方向において、外側カバー本体71の他端部から曲げ部の位置の内面まで達する。
【0054】
第2方向(Z方向)において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、交互に重なって4層となっている。第2方向(Z方向)において、正の側から負の側に向けて、蓋部71a、第1内向き凸部65、外向き凸部76、及び第2内向き凸部66の順に重なって4層となっている。これにより、第2方向(Z方向)において第2取付部54が外れにくく、口開きもしにくい。第2内向き凸部66は、第2方向(Z方向)において、底壁61aの連結部分まで達している。この点においても、第2方向(Z方向)において第2取付部54が外れにくく、口開きもしにくい。
【0055】
例えば、第2内向き凸部66が省略されて、第2方向(Z方向)において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが交互に重なって3層とされてもよい。第2方向(Z方向)においては、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが交互に重なって3層以上であることが好ましい。
【0056】
第3方向(Y方向)において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、交互に重なって4層となっている。第3方向(Y方向)において、電線20を挟んだ両側それぞれにおいて、内側(電線20側)から外側に向けて、外向き凸部76、側壁61b、側壁71b、及び外向き凸部67の順に重なって4層となっている。これにより、第3方向(Y方向)において、第2取付部54が外れにくく、口開きもしにくい。
【0057】
例えば、外向き凸部67及び外向き凸部76のいずれかが省略されて、第3方向(Y方向)において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが交互に重なって3層とされてもよい。外向き凸部67及び外向き凸部76の両方が省略されて、第3方向(Y方向)において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが交互に重なって2層とされてもよい。内側カバー部材60と外側カバー部材70とは、第3方向(Y方向)における一方側方と他方側方とのそれぞれにおいて重なっている。このため、内側カバー部材60と外側カバー部材70とは、第3方向(Y方向)において、側壁61b、側壁71bの2層に重なっていても、外れることが抑制される。
【0058】
第3方向(Y方向)から観察されたときに、第2取付部54は、内側カバー本体61のうち最も内側の面よりも外側、又は、外側カバー本体71のうち最も外側の面よりも内側に位置する。ここでは、第3方向(Y方向)から観察されたときに、第1取付部52及び第2取付部54は、内側カバー本体61のうち最も内側の面よりも外側、かつ、外側カバー本体71のうち最も外側の面よりも内側に位置する。第3方向(Y方向)から観察されたときに、第1取付部52及び第2取付部54は内側カバー本体61及び外側カバー本体71と重なる。
【0059】
具体的には、
図2に示すように、第2取付部54は、内側カバー本体61のうち最も内側の面(Z方向負の側の面)よりも外側(Z方向正の側)、又は、外側カバー本体71のうち最も外側の面(Z方向正の側の面)よりも内側(Z方向負の側)に位置する。ここでは第2取付部54は、内側カバー本体61のうち最も内側の面(Z方向負の側の面)よりも外側(Z方向正の側)、かつ、外側カバー本体71のうち最も外側の面(Z方向正の側の面)よりも内側(Z方向負の側)に位置する。第2取付部54は、内側カバー本体61及び外側カバー本体71と重なる。
【0060】
内側カバー部材60及び外側カバー部材70が第1方向(X方向)に沿って相対移動して、第1取付部52及び第2取付部54のそれぞれが取付けられる。第2取付部54を含む他端部において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第1方向(X方向)に係止していない。第2内側取付部64と、第2外側取付部74とはスライダとレールとの関係のように、第1方向(X方向)に移動可能でありつつ、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)に外れないようになっている。
【0061】
電線カバー50において、一端部と他端部とのいずれか一方にコネクタ30の後端部に嵌る装着部59が設けられている。本例では、コネクタ30の後端部に嵌る装着部59が電線カバー50における一端部に設けられている。
【0062】
装着部59は、内側カバー本体61の内面に形成された内側溝69と、外側カバー本体71の内面に形成された外側溝79とを有する。内側溝69及び外側溝79にコネクタ30後端部のフランジ部32が嵌る。内側カバー本体61において、内側溝69が形成される周辺部分は厚肉とされる。内側カバー本体61において、内側溝69の外側にロック突起63が設けられる。
【0063】
電線カバー50において、他端部に筒状部材40と重なる筒状部材取付部58が設けられている。内側カバー本体61の内側取付部68と、外側カバー本体71の外側取付部78とによって筒状部材40が取付けられている。第2内向き凸部66の先端縁部が、内側取付部68をなしている。内向き凸部75の先端縁部が、外側取付部78をなしている。
【0064】
筒状部材取付部58は筒状部材40を挟む。筒状部材40の一端部は、筒状部材取付部58を通じて電線カバー50の中に入っている。筒状部材40の他端部は、筒状部材取付部58を通じて電線カバー50の外に突出する。
【0065】
筒状部材取付部58の内面は、筒状部材40の外面に応じた形状とされる。ここでは筒状部材40の外面が円形状のため、筒状部材取付部58の内面も円形状とされる。内側取付部68及び外側取付部78がそれぞれ半円状とされる。筒状部材取付部58は、筒状部材40を潰さずに保持する。筒状部材取付部58の内面の大きさは、筒状部材40の外面の大きさと同じか、それよりもわずかに大きい。筒状部材取付部58は、筒状部材40を潰して保持してもよい。筒状部材取付部58の内面の大きさは、筒状部材40の外面の大きさよりもわずかに小さくてもよい。
【0066】
筒状部材40の一端部は、電線カバー50が曲げ部12に取付けられた後に、筒状部材取付部58を通じて電線カバー50の中に挿入されてもよい。筒状部材40の一端部が内側取付部68上に位置した状態で、内側カバー部材60及び外側カバー部材70が第1方向(X方向)に沿って相対移動して、電線カバー50が曲げ部12に取付けられてもよい。
【0067】
筒状部材40は他端部において、電線20と固定されていてもよい。筒状部材40及び電線20の周囲に粘着テープ又は結束バンドなどの結束部材が巻かれて、筒状部材40と電線20とが固定されていてもよい。
【0068】
筒状部材取付部58は、筒状部材40が電線カバー50の外に取付けられるように構成されていてもよい。例えば、筒状部材40の内径と同程度の外径を有する筒状部材取付部58が、電線20の延在方向に沿ってカバー本体51から外側に突出し、当該筒状部材取付部58に筒状部材40が被さっていてもよい。
【0069】
内側カバー部材60及び外側カバー部材70はそれぞれ、樹脂を材料として金型による射出成形品である。金型の上下抜き可能にアンダーカットのない形状に形成されている。ここではX方向が、金型が抜かれる方向である。内側カバー部材60及び外側カバー部材70はそれぞれX方向において、アンダーカットのない形状に形成されている。X方向においてアンダーカットのない形状とは、X方向において凸部、凹部、凸部の順に連続する部分が、YZ平面のいずれの位置においてもないことを言う。仮に、X方向において凸部、凹部、凸部の順に連続する部分があった場合、当該凹部は、X方向の両側から観察された
図8及び
図9のいずれにおいても、隠れている。従って、X方向においてアンダーカットのない形状とは、X方向の両側から観察された
図8及び
図9のいずれにおいても、隠れている凹部が生じていないと言うこともできる。
【0070】
内側カバー本体61及び外側カバー本体71の少なくとも一方に水抜き孔80が形成されていてもよい。
図8及び
図9において、水抜き孔80が仮想線によって示されている。内側カバー本体61における水抜き孔80は、例えば、内側カバー本体61の底部を貫通する貫通孔であってもよい。外側カバー本体71における水抜き孔80は、例えば、外側カバー本体71の蓋部71aを貫通する貫通孔であってもよい。内側カバー本体61及び外側カバー本体71において、水抜き孔80が形成される位置は、いずれの位置であってもよい。例えば、曲げ部12に対して一端部側であってもよいし、他端部側であってもよい。ここでは水抜き孔80は曲げ部12と一端部との間に設けられている。
【0071】
<効果等>
以上のように構成された電線カバー50及びこれを備える配線部材10によると、電線20の曲げ部12を保持する電線カバー50において、第1取付部52及び第2取付部54が曲げ部12の内側及び外側を避けて設けられる。このため、曲げ部12の内側及び外側の少なくとも一方において、スペースを確保できる。
【0072】
また、第1取付部52は、第1方向(X方向)、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のうちいずれの方向にも係止するロック部であり、第2取付部54は、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)に係止する係止部である。これにより、第1取付部52及び第2取付部54による内側カバー部材60及び外側カバー部材70の固定が容易となる。
【0073】
また、第2取付部54において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のそれぞれに沿って、3層以上重なっている。これにより、第2取付部54が第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)に開きにくくなる。
【0074】
また、第2取付部54において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のそれぞれに沿って、4層以上重なっている。これにより、第2取付部54が第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)により開きにくくなる。
【0075】
また、内側カバー本体61及び外側カバー本体71において、一端部と他端部とのいずれか一方にコネクタ30後端部に嵌る装着部59が設けられている。これにより、電線カバー50が、コネクタ30に装着されてコネクタ30から延出する電線20の曲げ部12を保持することができる。
【0076】
また、装着部59は、内側カバー本体61及び外側カバー本体71における一端部に設けられており、装着部59における内側溝69及び外側溝79にコネクタ30後端部のフランジ部32が嵌る。これにより、内側溝69及び外側溝79にコネクタ30後端部のフランジ部32が嵌ると共にロック部のある一端部に装着部59が設けられることができることによって、コネクタ30後端部への装着状態が安定しやすい。
【0077】
また、内側カバー本体61及び外側カバー本体71において、他端部に筒状部材40と重なる筒状部材取付部58が設けられている。これにより、電線カバー50にゴムホースなどの筒状部材40が取付けられることができる。
【0078】
また、内側カバー本体61及び外側カバー本体71の少なくとも一方に水抜き孔80が形成されている。これにより、水抜き孔80を通じて電線カバー50内の水を電線カバー50の外に逃がすことができる。
【0079】
また、内側カバー部材60及び外側カバー部材70はそれぞれ、金型による射出成形品であり、金型の上下抜き可能にアンダーカットのない形状に形成されている。これにより、金型の形状が簡易となりコストアップを抑えることができる。
【0080】
また、電線20及び電線カバー50を備える配線部材10によると、電線20の曲げ部12が電線カバー50に保持されつつ、曲げ部12の内側及び外側の少なくとも一方においてスペースを確保できる。
【0081】
[付記]
図13は配線部材10の変形例を示す側面図である。
【0082】
上記例では、コネクタ30から延び出た電線20の曲げ部12に電線カバー50が取付けられる例が説明されたが、これ以外の曲げ部12に電線カバー50が取付けられてもよい。例えば、
図13に示す配線部材110のように、分岐部分の曲げ部12に電線カバー50が取付けられていてもよい。
図13に示す例では、複数の電線20が幹線21から複数の枝線22に分かれている。幹線21に曲げ部12が設けられている。幹線21の曲げ部12を電線カバー50が保持している。電線カバー50から複数の枝線22が延び出て、分岐している。枝線22の1つに電線カバー50が取付けられていてもよい。枝線22の曲げ部を電線カバー50が保持していてもよい。
【0083】
このほかこれまで、電線カバー50において、装着部59が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。
図13の例のように、電線カバー50がコネクタ30の後端部に装着されない場合、装着部59は省略されてもよい。
【0084】
またこれまで、第2取付部54を含む他端部において、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)に重なりあって、第1方向(X方向)、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のうち第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)に係止しているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、第2取付部54を含む他端部においても、内側カバー部材60と外側カバー部材70とが、第1方向(X方向)、第2方向(Z方向)及び第3方向(Y方向)のいずれの方向においても係止していてもよい。
【0085】
またこれまで、電線カバー50において、筒状部材取付部58が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。筒状部材取付部58は省略されてもよい。
【0086】
またこれまで、電線カバー50において、水抜き孔80が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。水抜き孔80は省略されてもよい。
【0087】
またこれまで、内側カバー部材60及び外側カバー部材70のそれぞれが、アンダーカットのない形状に形成されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。内側カバー部材60及び外側カバー部材70のいずれか又は両方が、アンダーカットのある形状に形成されていてもよい。この場合、アンダーカットのある内側カバー部材60又は外側カバー部材70は、いわゆるスライド金型が用いられて形成されることができる。
【0088】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
10、110 配線部材
12 曲げ部
20 電線
21 幹線
22 枝線
30 コネクタ
32 フランジ部
40 筒状部材
50 電線カバー
51 カバー本体
52 第1取付部
54 第2取付部
58 筒状部材取付部
59 装着部
60 内側カバー部材
61 内側カバー本体
61a 底壁
61b 側壁
61c 支持部
62 第1内側取付部
63 ロック突起
63a ガイド面
63b 係止面
64 第2内側取付部
65 第1内向き凸部
66 第2内向き凸部
67 外向き凸部
68 内側取付部
69 内側溝
70 外側カバー部材
71 外側カバー本体
71a 蓋部
71b 側壁
72 第1外側取付部
73 ロック受部
73a 延出片
73b 係止片
73c ロック凹部
74 第2外側取付部
75 内向き凸部
76 外向き凸部
78 外側取付部
79 外側溝
80 水抜き孔