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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】測定システム及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
G01D5/353 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021127582
(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公開番号】P2023022608
(43)【公開日】2023-02-15
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 聡
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-28617(JP,A)
【文献】特開平6-109589(JP,A)
【文献】特開2007-249018(JP,A)
【文献】特開2011-196794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向において区画された複数のセグメントを含む光ファイバと、
パルス化されたポンプ光を前記光ファイバに送出し、前記光ファイバ内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定する測定装置と、
前記複数のセグメントのうちの隣り合うセグメントどうしの間に設けられ、前記隣り合うセグメントどうしを光学的に接続するか又は切り離すスイッチと、
を備える測定システムであって、
前記測定装置による前記測定は、
前記スイッチを制御することにより、前記複数のセグメントのうち、前記測定装置に光学的に接続されるセグメントを選択することと、
選択したセグメント内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定することと、
を含
前記スイッチは、前記測定装置側のセグメントを光学的に終端することにより、前記隣り合うセグメントどうしを切り離す、
測定システム。
【請求項2】
前記測定装置は、前記選択したセグメント全体の長さに応じて、前記ポンプ光の前記光ファイバへの送出間隔を設定する、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記測定装置は、前記セグメント全体の長さが短くなるにつれて前記送出間隔が短くなるように、前記送出間隔を設定する、
請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
パルス化されたポンプ光を光ファイバに送出し、前記光ファイバ内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定することを含む測定方法であって、
前記光ファイバは、長手方向において区画された複数のセグメントを含み、
前記複数のセグメントのうちの隣り合うセグメントどうしの間には、前記隣り合うセグメントどうしを光学的に接続するか又は切り離すスイッチが設けられ、
前記測定することは、
前記スイッチを制御することにより、前記複数のセグメントのうち、測定装置に接続されるセグメントを選択することと、
選択したセグメント内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定することと、
を含
前記スイッチは、前記測定装置側のセグメントを光学的に終端することにより、前記隣り合うセグメントどうしを切り離す、
測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システム及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス化されたポンプ光を光ファイバに送出し、これに応じて光ファイバ内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定することで、光ファイバの特性を測定する技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-159987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプ光の送出間隔は、ポンプ光が光ファイバを往復する時間よりも長くなるように設定される。光ファイバが長くなるほどポンプ光の送出間隔が長くなり、測定に要する時間も長くなる。
【0005】
本発明は、光ファイバの特性の測定に要する時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係る測定システムは、長手方向において区画された複数のセグメントを含む光ファイバと、パルス化されたポンプ光を光ファイバに送出し、光ファイバ内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定する測定装置と、複数のセグメントのうちの隣り合うセグメントどうしの間に設けられ、隣り合うセグメントどうしを光学的に接続するか又は切り離すスイッチと、を備える測定システムであって、測定装置による測定は、スイッチを制御することにより、複数のセグメントのうち、測定装置に光学的に接続されるセグメントを選択することと、選択したセグメント内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定することと、を含む。
【0007】
一側面に係る測定方法は、パルス化されたポンプ光を光ファイバに送出し、光ファイバ内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定することを含む測定方法であって、光ファイバは、長手方向において区画された複数のセグメントを含み、複数のセグメントのうちの隣り合うセグメントどうしの間には、隣り合うセグメントどうしを光学的に接続するか又は切り離すスイッチが設けられ、測定することは、スイッチを制御することにより、複数のセグメントのうち、測定装置に接続されるセグメントを選択することと、選択したセグメント内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光ファイバの特性の測定に要する時間を短くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る測定システムの概略構成の例を示す図である。
図2】制御部による設定の例を示す図である。
図3】測定装置において実行される処理(測定方法)の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る測定システムの概略構成の例を示す図である。測定システム100は、ファイバ装置1と、測定装置2とを含む。
【0012】
ファイバ装置1は、光ファイバFUTと、スイッチSW(スイッチSW12等として図示)と、終端器Tとを含む。光ファイバFUTの長手方向における任意の位置の特性が、測定装置2によって測定される。特性の例は、歪み、温度等の物理量である。光ファイバFUTの長手方向における複数の位置それぞれの特性が測定されてよく、その場合には、光ファイバFUTの長手方向における特性分布(歪み分布等)が測定される。
【0013】
光ファイバFUTの端部のうち、測定装置2に光学的に接続される端部を、近端部NEと称し図示する。近端部NEとは反対側の端部を、遠端部FEと称し図示する。光ファイバFUTは、長手方向において区画された複数のセグメントFSを含む。複数のセグメントFSとして、セグメントFS1~セグメントFS4が例示される。
【0014】
セグメントFS1は、測定装置2に光学的に接続される第1のセグメントである。セグメントFS1の一端部(測定装置2側の端部)が、ファイバFUTの近端部NEを構成する。セグメントFS2は、セグメントFS1を挟んで測定装置2とは反対側(遠端部FE側)に位置する第2のセグメントである。セグメントFS3は、セグメントFS2を挟んでセグメントFS1とは反対側に位置する第3のセグメントである。セグメントFS4は、セグメントFS3を挟んでセグメントFS2とは反対側に位置する第4のセグメントである。セグメントFS4における測定装置2側とは反対側の端部が、ファイバFUTの遠端部FEを構成する。
【0015】
スイッチSWは、隣り合うセグメントFSどうしの間に設けられる。複数のセグメントFSの数よりも1つだけ少ない数のスイッチSW、すなわちこの例では3つのスイッチSWが設けられる。各スイッチSWを区別できるように、スイッチSW12、スイッチSW23及びスイッチSW34と称し図示する。スイッチSW12は、セグメントFS1とセグメントFS2との間に設けられる。スイッチSW23は、セグメントFS2とセグメントFS3との間に設けられる。スイッチSW34は、セグメントFS3とセグメントFS4との間に設けられる。
【0016】
スイッチSWは、スイッチSWを挟んで隣り合うセグメントFSどうしを光学的に接続するか、又は、切り離す。図1に示される例では、スイッチSWは、測定装置2側のセグメントFSを光学的に終端することにより、隣り合うセグメントFSどうしを切り離す。終端には、終端器Tが用いられる。終端器Tは、光終端器であり、セグメントFSに光学的に接続されることにより、そのセグメントFSを光学的に終端する。複数のセグメントFSの数と同じ数の終端器T、すなわちこの例では4つの終端器Tが設けられる。各終端器Tを区別できるように、終端器T1~終端器T4と称し図示する。
【0017】
スイッチSWの具体的な構成はとくに限定されず、種々の公知の光スイッチが用いられてよい。図1に示される例では、スイッチSWは、ポートP1~ポートP3を含む。ポートP1には、測定装置2側のセグメントFSが光学的に接続される。ポートP2には、測定装置2側とは反対側のセグメントFSが光学的に接続される。ポートP3には、終端器Tが光学的に接続される。スイッチSWは、ポートP1とポートP2とが光学的に接続される状態、及び、ポートP1とポートP3とが光学的に接続される状態の間で切り替わる。ポートP1とポートP2とが光学的に接続されることにより、隣り合うセグメントFSどうしが光学的に接続される。ポートP1とポートP3とが光学的に接続されることにより、測定装置2側のセグメントFSと終端器Tとが光学的に接続される。
【0018】
スイッチSW12のポートP1には、セグメントFS1の他端部(近端部NEと反対側の端部)が光学的に接続される。スイッチSW12のポートP2には、セグメントFS2の一端部が光学的に接続される。スイッチSW12のポートP3には、終端器T1が光学的に接続される。
【0019】
スイッチSW23のポートP1には、セグメントFS2の他端部が光学的に接続される。スイッチSW23のポートP2には、セグメントFS3の一端部が光学的に接続される。スイッチSW23のポートP3には、終端器T2が光学的に接続される。
【0020】
スイッチSW34のポートP1には、セグメントFS3の他端部が光学的に接続される。スイッチSW34のポートP2には、セグメントFS4の一端部が光学的に接続される。スイッチSW34のポートP3には、終端器T3が光学的に接続される。また、セグメントFS4の他端部(遠端部FE)には、終端器T4が光学的に接続される。
【0021】
測定装置2について説明する。測定装置2は、ファイバ装置1の光ファイバFUTの特性を測定する。以下では、測定方式として、時間ゲート法BOCDR(Brillouin Optical Correlation Domain Reflectometry)法を例に挙げて説明する。
【0022】
測定装置2は、ポンプ光を生成し、光ファイバFUTに送出する(入射させる)。ポンプ光の生成及び光ファイバFUTへの入射に関する要素として、測定装置2は、光源21と、変調器22と、カプラ23と、パルス化部24と、遅延器25と、サーキュレータ26と、端子27とを含む。
【0023】
光源21は、光を出力する。光源21は、例えばLD(Laser Diode)を含んで構成される。変調器22は、光源21が出力する光に対して周波数変調を行うFM変調器である。周波数変調された後の光を、変調光LFMと称し図示する。
【0024】
カプラ23は、光源21からの変調光LFMを2つに分岐させる。分岐した2つの光のうち、一方の光を、引き続き変調光LFMとして図示する。他方の光を、参照光LREFと称し図示する。変調光LFMは、パルス化部24に送られる。参照光LREFは、後述のミキサ28に送られる。
【0025】
パルス化部24は、カプラ23からの変調光LFMをパルス化する。パルス化部24は、例えば偏光依存型半導体光増幅器(BOA等とも称される)を含んで構成される。パルス化された変調光LFMを、ポンプ光Lと称し図示する。
【0026】
遅延器25は、ポンプ光Lに遅延を与える。遅延器25は、例えば所望の遅延を与える長さを有する光ファイバ(遅延光ファイバ)を含んで構成される。遅延が与えられることにより、変調周波数の掃引によっても位置変化しない0次相関ピークが光ファイバFUTの外部に位置するようになる。
【0027】
サーキュレータ26は、遅延器25を通過したポンプ光Lを、端子27に導く。端子27には、光ファイバFUTの近端部NEが光学的に接続される。ポンプ光LPは、端子27から光ファイバFUTに送出される。
【0028】
端子27から光ファイバFUTに送出されたポンプ光Lは、光ファイバFUT内の各位置で散乱されるとともに、光ファイバFUTを往復して端子27に戻る。端子27に戻った光を、戻り光Lと称し図示する。戻り光Lは、ブリルアン散乱光を含む。戻り光Lは、サーキュレータ26を介して後述のミキサ28に送られる。
【0029】
測定装置2は、戻り光Lに含まれるブリルアン散乱光に基づいて、光ファイバFUTの特性を測定する。特性測定に関するに関する要素として、測定装置2は、ミキサ28と、スペクトラムアナライザ29と、算出部30とを含む。
【0030】
ミキサ28は、カプラ23からの参照光LREFと、サーキュレータ26からの戻り光Lとを混合し、電気信号に変換(O-E変換)する。周波数変調された参照光LREF及び戻り光Lの位相差が2πの整数倍となる条件で、それぞれの光の位相が揃って互いに強め合う。変調周波数に応じた光ファイバFUT内の位置(相関ピーク位置)からの戻り光Lに対応する電気信号が、選択的に受信される。電気信号は、GHz帯域のRF信号である。
【0031】
スペクトラムアナライザ29は、ミキサ28によって選択的に受信された電気信号に基づいて、戻り光Lに含まれるブリルアン散乱光のスペクトルを測定する。スペクトラムアナライザ29は、電気スペクトラムアナライザ(ESA:Electrical Spectrum Analyzer)である。上述の相関ピーク位置、すなわち光ファイバFUT内の測定位置からの戻り光LSの伝搬時間(戻り時間)に基づき、スペクトラムアナライザ29に入力される電気信号が時間的に選別される。光ファイバFUT内の測定位置で発生したブリルアン散乱光のスペクトルが測定される。このように測定されるブリルアン散乱光のスペクトルは、BGS(Brillouin Gain Spectrum)と称される。本開示におけるブリルアン散乱光のスペクトルは、このBGSのことである。
【0032】
算出部30は、BGSにおいて強度が最大となるピーク周波数の周波数シフト量を算出する。この周波数シフト量は、BFS(Brillouin Frequency Shift)と称される。BFSは光ファイバFUTの物理量すなわち歪みや温度の値等に比例する。算出されたBFSから、測定位置における光ファイバFUTの歪みや温度等が求められる。このようにして、光ファイバFUTの特性が測定される。
【0033】
測定装置2についてさら説明すると、測定装置2は、制御部31を含む。制御部31は、測定装置2の各要素を制御することによって測定装置2の全体制御を行う。制御は、例えば制御信号等を用いて行われる。いくつかの制御の例について述べる。
【0034】
例えば、制御部31は、変調器22を制御することによって、変調光LFMの変調周波数を設定する。上述のように、変調周波数に応じて、光ファイバFUT内の測定位置が変化する。より具体的に、制御部31は、変調周波数を掃引する。変調周波数の掃引により、光ファイバFUTの長手方向における複数の異なる位置それぞれでの光ファイバFUTの特性(分布特性)が測定される。制御部31は、変調器22を制御することにより、変調周波数の掃引速度、掃引範囲等を設定してもよい。
【0035】
制御部31は、パルス化部24を制御することによって、ポンプ光Lのパルス間隔、すなわちポンプ光Lの光ファイバFUTへの送出間隔を設定する。上述のように変調周波数が掃引され、異なる変調周波数で変調されたポンプ光Lが、設定されたパルス間隔で順次光ファイバFUTに送出される。他にも、制御部31は、パルス化部24を制御することによって、ポンプ光LPのパルス強度、パルス幅等を設定する。
【0036】
制御部31は、ポンプ光Lの送出間隔を、測定待ち時間よりも長い間隔に設定する。測定待ち時間は、光ファイバFUTのうち、測定装置2に光学的に接続された部分をポンプ光Lが往復するのに要する時間である。ポンプ光Lの送出間隔を測定待ち時間よりも長く設定するのは、異なる相関ピークに対応する異なる位置で発生したブリルアン散乱光が同時に受光され、クロストーク等に起因する測定誤差等が生じるのを防ぐためである。
【0037】
本実施形態では、制御部31は、ファイバ装置1のスイッチSWを制御することにより、複数のセグメントFSのうち、測定装置2に光学的に接続されるセグメントFSを選択する。例えば、制御部31は、スイッチSW12、スイッチSW23及びスイッチSW34それぞれに、制御信号を送信する。各スイッチSWが個別に制御される。選択されたセグメントFS内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルが測定される。
【0038】
留意すべきことは、選択されたセグメントFS全体の長さ(以下、「選択セグメント長」とも称する。)に応じて、上述の測定待ち時間が変化することである。選択セグメント長が長いほど、測定待ち時間は長くなる。選択セグメント長が短いほど、測定待ち時間は短くなる。
【0039】
一実施形態において、制御部31は、選択セグメント長に応じて、ポンプ光Lの送出間隔を設定する。例えば、制御部31は、選択セグメント長が短くなるにつれて送出間隔が短くなるように、ポンプ光Lの送出間隔を設定する。送出間隔が短くなる分、分布特性の測定に要する時間を短くすることができる。以後、分布特性の測定に要する時間を、単に「測定時間」ともいう。
【0040】
制御部31は、送出間隔の設定に応じて、変調周波数の掃引速度や掃引範囲も設定してよい。例えば、制御部31は、送出間隔が短くなる分、掃引速度を速くしたり、掃引範囲を狭くしたりする。掃引速度が速くなったり掃引範囲が狭くなったりする分、測定時間を短くすることができる。
【0041】
図2は、制御部による設定の例を示す図である。セグメントFS1だけを選択する場合、制御部31は、スイッチSW12によってセグメントFS1と終端器T1とが光学的に接続されるように、スイッチSW12を制御する。スイッチSW23及びスイッチSW34は任意に制御されてよい。ポンプ光Lの送出間隔は、第1の送出間隔に設定される。第1の送出間隔は、セグメントFS1に対応する測定待ち時間、すなわちポンプ光LがセグメントFSを往復する時間を下回らない範囲内で(例えばなるべく短くなるように)設定される。
【0042】
セグメントFS1及びセグメントFS2が選択される場合、セグメントFS1とセグメントFS2とが光学的に接続されるように、スイッチSW12が制御される。セグメントFS2と終端器T2とが光学的に接続されるように、スイッチSW23が制御される。スイッチSW34は、任意に制御される。ポンプ光Lの送出間隔は、第2の送出間隔に設定される。第2の送出間隔は、セグメントFS1及びセグメントFS2に対応する測定待ち時間を下回らない範囲内で設定される。
【0043】
セグメントFS1~セグメントFS3が選択される場合、セグメントFS1とセグメントFS2とが光学的に接続されるように、スイッチSW12が制御される。セグメントFS2とセグメントFS3とが光学的に接続されるように、スイッチSW23が制御される。セグメントFS3と終端器T3とが光学的に接続されるように、スイッチSW34が制御される。ポンプ光Lの送出間隔は、第3の送出間隔に設定される。第3の送出間隔は、セグメントFS1~セグメントFS3に対応する測定待ち時間を下回らない範囲内で設定される。
【0044】
セグメントFS1~セグメントFS4が選択される場合、セグメントFS1とセグメントFS2とが光学的に接続されるように、スイッチSW12が制御される。セグメントFS2とセグメントFS3とが光学的に接続されるようにスイッチSW23が制御される。セグメントFS3とセグメントFS4とが光学的に接続されるように、スイッチSW34が制御される。ポンプ光Lの送出間隔は、第4の送出間隔に設定される。第4の送出間隔は、セグメントFS1~セグメントFS4に対応する測定待ち時間を下回らない範囲内で設定される。
【0045】
第1の送出間隔~第4の送出間隔を比較すると、第3の送出間隔は、第4の送出間隔よりも短い。従って、セグメントFS1~セグメントFS3だけを選択することで、セグメントFS1~セグメントFS4(すなわち光ファイバFUT全体)を選択する場合よりも、測定時間を短くすることができる。第2の送出間隔は、第3の送出間隔よりも短い。従って、セグメントFS1及びセグメントFS2だけを選択することで、セグメントFS1~セグメントFS3を選択する場合よりも、測定時間を短くすることができる。第1の送出間隔は、第2の送出間隔よりも短い。従って、セグメントFS1だけを選択することで、セグメントFS1及びセグメントFS2を選択する場合よりも、測定時間を短くすることができる。
【0046】
図1に戻り、制御部31は、図示しない操作盤やディスプレイを制御することによって、測定装置2の操作に関する情報をユーザに表示したり、ユーザ操作を受け付けたりしてよい。ユーザ操作には、上述のセグメントFSの選択に関する情報の入力が含まれ得る。例えば、測定位置情報が入力される。測定位置情報の例は、測定位置を含むセグメントFSの情報、光ファイバFUTにおける位置情報(例えば近端部NEからの距離等)等である。複数の測定位置(例えば測定範囲)に関する情報が入力されてもよい。制御部31は、入力された測定位置情報に基づいて、上述のようにセグメントFSを選択してよい。また、制御部31は、算出部30の算出結果、より具体的には光ファイバFUTの特性の測定結果を操作表示部に表示させる。測定結果は、測定位置情報とともに表示されてよい。なお、上述の操作盤やディスプレイは、測定装置2内に設けられてもよいし、測定装置2と図示しないネットワーク等を介して通信可能に接続された外部の装置内に設けられてもよい。
【0047】
例えば以上のようにして、光ファイバFUTの特性が測定される。なお、図1に示される測定装置2の構成は、一例に過ぎない。例えば、いくつかの要素の間には、図示しない増幅器、フィルタ等が設けられてよい。また、種々の公知の構成が採用されてもよい。
【0048】
図3は、測定システム100、より具体的には測定装置2において実行される処理(測定方法)の例を示すフローチャートである。
【0049】
ステップS1において、測定位置情報が入力される。例えば、制御部31が、先に述べた操作表示部を介して、操作位置情報を受け付ける。以下では、測定位置情報に示される測定位置がセグメントFS2に含まれる場合を例に挙げて説明する。
【0050】
ステップS2において、スイッチが制御されセグメントが選択される。制御部31は、スイッチSWを制御して、先のステップS1で入力された測定位置情報に対応するセグメントFSを選択する。この例では、スイッチSW12がセグメントFS1とセグメントFS2とを光学的に接続し、スイッチSW23がセグメントFS2と終端器T2とを光学的に接続するように、スイッチSW12及びスイッチSW23が制御される。セグメントFS1及びセグメントFS2が選択される。
【0051】
ステップS3において、ポンプ光の送出間隔等が設定される。制御部31は、先のステップS2で選択したセグメントFSに対応する送信間隔を、ポンプ光Lの送信間隔として設定する。第2の送信間隔が、ポンプ光Lの送信間隔として設定される。変調周波数の掃引速度や掃引範囲も設定される。
【0052】
ステップS4において、ブリルアン散乱光のスペクトルが測定され、光ファイバの特性が測定される。変調器22は、設定された掃引速度や掃引範囲で、変調周波数を掃引する。パルス化部24は、先のステップS3で設定された送出間隔で、ポンプ光Lを光ファイバFUTに送出する。スペクトラムアナライザ29は、各測定位置からの戻り光Lに含まれるブリルアン散乱光のスペクトルを測定する。算出部30は、スペクトラムアナライザ29によって測定されたブリルアン散乱光のスペクトルに基づいて、各測定位置でのピーク周波数のシフト量を算出する。すなわち、光ファイバFUTの分布特性が測定される。
【0053】
例えば以上のようにして、光ファイバFUTの特性が測定される。なお、図3には図示しないが、ステップS4での測定結果が表示等される。
【0054】
以上、開示される技術の一実施形態について説明したが、開示される技術は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では時間ゲート法BOCDRを例に挙げて説明したが、ポンプ光Lを光ファイバFUTに送出し、ブリルアン散乱光を測定することを含む他のさまざまな手法が用いられてよい。他の手法の例は、BOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometry)法である。
【0055】
上記実施形態では、光ファイバFUTが、セグメントFS1~セグメントFS4の4つのセグメントFSを含む例について説明した。ただし、セグメントFSの数は4つに限定されない。セグメントFSの数は、2以上の任意の整数であってよい。
【0056】
上記実施形態では、複数のセグメントFSそれぞれが終端器Tによって終端される例について説明した。ただし、複数のセグメントFSは、終端されなくてもよく、その場合は、終端器Tは無くてもよい。
【0057】
以上で説明した技術は、例えば次のように特定される。開示される技術の1つは、測定システムである。図1図3を参照して説明したように、測定システム100は、光ファイバFUTと、測定装置2と、スイッチSWと、を備える。光ファイバFUTは、長手方向において区画された複数のセグメントFSを含む。測定装置2は、パルス化されたポンプ光Lを光ファイバFUTに送出し、光ファイバFUT内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定する。スイッチSWは、複数のセグメントFSのうちの隣り合うセグメントFSどうしの間に設けられ、隣り合うセグメントFSどうしを光学的に接続するか又は切り離す。測定装置2による測定は、スイッチSWを制御することにより、複数のセグメントFSのうち、測定装置2に光学的に接続されるセグメントFSを選択すること(ステップS2)と、選択したセグメントFS内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定すること(ステップS4)と、を含む。
【0058】
上記の測定システム100では、測定装置2に光学的に接続されるセグメントFSが選択され、選択されたセグメントFS内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルが測定される。一部のセグメントFSだけが測定装置2に光学的に接続されるようにすることで、すべてのセグメントFSすなわち光ファイバFUT全部が測定装置2に光学的に接続される場合よりも、測定装置2に光学的に接続されている光ファイバFUTの部分の長さを短くすることができる。従って、光ファイバの特性の測定に要する時間を短くすることができる。
【0059】
測定装置2は、選択したセグメントFS全体の長さ(選択セグメント長)に応じて、ポンプ光Lの光ファイバFUTへの送出間隔を設定してよい。この場合、測定装置2は、選択セグメント長が短くなるにつれて送出間隔が短くなるように、送出間隔を設定してよい。ポンプ光Lの送出間隔が短くなる分、測定時間を短くすることができる。
【0060】
スイッチSWは、測定装置2側のセグメントFSを光学的に終端することにより、隣り合うセグメントFSどうしを切り離してよい。例えばこのようにして隣り合うセグメントFSどうしを光学的に切り離すことができる。
【0061】
図3等を参照して説明した測定方法も、開示される技術の1つである。測定方法は、パルス化されたポンプ光Lを光ファイバFUTに送出し、光ファイバFUT内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定すること(ステップS4)を含む。光ファイバFUTは、長手方向において区画された複数のセグメントFSを含む。複数のセグメントFSのうちの隣り合うセグメントFSどうしの間には、隣り合うセグメントFSどうしを光学的に接続するか又は切り離すスイッチSWが設けられる。測定することは、スイッチSWを制御することにより、複数のセグメントFSのうち、測定装置2に光学的に接続されるセグメントFSを選択すること(ステップS2)と、選択したセグメントFS内で発生したブリルアン散乱光のスペクトルを測定すること(ステップS4)と、を含む。この測定方法によっても、これまで説明したように、光ファイバの特性の測定に要する時間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0062】
100 測定システム
1 ファイバ装置
2 測定装置
21 光源
22 変調器
23 カプラ
24 パルス化部
25 遅延器
26 サーキュレータ
27 端子
28 ミキサ
29 スペクトラムアナライザ
30 算出部
31 制御部
FUT 光ファイバ
FS セグメント
SW スイッチ
図1
図2
図3