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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】受電装置、及び非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20250212BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250212BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20250212BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20250212BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J7/00 301D
H02J50/20
H02J50/40
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021199429
(22)【出願日】2021-12-08
(65)【公開番号】P2023084990
(43)【公開日】2023-06-20
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲平
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智和
(72)【発明者】
【氏名】武田 重郎
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0063156(US,A1)
【文献】国際公開第2021/059453(WO,A1)
【文献】特表2013-538548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置から非接触給電によって電力を受電する受電部と、
ビーコン信号の送信を抑制する抑制条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果が、前記抑制条件を満たさないことを示す場合、前記送電装置に前記ビーコン信号を送信し、且つ前記抑制条件を満たすことを示す場合、前記送電装置への前記ビーコン信号の送信を抑制する送信部と、
前記送電装置から各種情報を受信する通信部と、
を備え、
前記抑制条件には、前記通信部が前記送電装置から受信した情報が、前記送電装置が備えるバッテリの充電率が、所定の閾値以下であることが示すことが含まれる、ことを特徴とする受電装置。
【請求項2】
加速度を検出する加速度センサを備え、
前記抑制条件には、前記加速度センサが検出した加速度に変化がないことが含まれる、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記抑制条件を満たさないことを示す場合、所定の時間間隔毎に前記送電装置に前記ビーコン信号を送信し、且つ前記判定結果が前記抑制条件を満たすことを示す場合、前記所定の時間間隔に比して長い時間間隔毎に前記送電装置に前記ビーコン信号を送信する、
請求項1又は2に記載の受電装置。
【請求項4】
請求項1からのうちいずれかに記載の複数の受電装置と、
前記受電装置に非接触給電によって電力を給電する送電装置と、
を備えることを特徴とする非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置、及び非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力伝送信号を用いた非接触給電に関する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6725531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、受電装置が送電装置に所定の時間間隔毎にビーコン信号を送信する。そして、送電装置は、受信したビーコン信号に基づいて、受電装置に位相を合わせた送電を行う。ここで、位相調整の必要がない場合などは、受電装置は、ビーコン信号の送信を抑制すべき場合がある。しかしながら、従来の技術では、受電装置がビーコン信号の送信を抑制すべき場合であっても、受電装置が所定の時間間隔毎にビーコン信号を送信してしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する受電装置は、送電装置から非接触給電によって電力を受電する受電部と、ビーコン信号の送信を抑制する抑制条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果が、前記抑制条件を満たさないことを示す場合、前記送電装置に前記ビーコン信号を送信し、且つ前記抑制条件を満たすことを示す場合、前記送電装置への前記ビーコン信号の送信を抑制する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
上記受電装置において、加速度を検出する加速度センサを備え、前記抑制条件には、前記加速度センサが検出した加速度に変化がないことが含まれてもよい。
【0007】
上記構成によれば、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
上記受電装置において、前記送電装置から各種情報を受信する通信部を更に備え、前記抑制条件には、前記通信部が前記送電装置から受信した情報が、前記送電装置が備えるバッテリの充電率が、所定の閾値以下であることが示すことが含まれてもよい。
【0008】
上記構成によれば、送電装置が給電に適さない状態である場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
上記受電装置において、前記送信部は、前記抑制条件を満たさないことを示す場合、所定の時間間隔毎に前記送電装置に前記ビーコン信号を送信し、且つ前記判定結果が前記抑制条件を満たすことを示す場合、前記所定の時間間隔に比して長い時間間隔毎に前記送電装置に前記ビーコン信号を送信してもよい。
【0009】
上記構成によれば、ビーコン信号の送信を抑制する場合には、抑制しない場合に比してビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
上記目的を達成する非接触給電システムは、上記いずれかに記載の複数の受電装置と、前記受電装置に非接触給電によって電力を給電する送電装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による受電装置の電力消費を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】非接触給電システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】非接触給電システムの構成の一例を示す図である。
図3】第1抑制条件に基づく判定部の処理の一例を示すフローチャートである。
図4】第2抑制条件に基づく判定部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図面を参照し、受電装置、及び非接触給電システムを具体化した実施形態について説明する。
【0014】
[非接触給電システム1の全体構成]
図1に示すように、非接触給電システム1は、送電装置10と、複数の受電装置20とを備える。送電装置10は、例えば、受電装置20に対して電力伝送信号を用いた非接触給電により電力を給電する。詳しくは、非接触給電システム1では、非接触給電のためのマイクロ波方式を用いた無線による電力伝送を行う。すなわち、送電装置10と、受電装置20とは、受電装置20の受電アンテナと、送電装置10の送電アンテナとの間で、非接触給電のための電力伝送信号の送受信を行う。なお、本システムに適用される無線による電力伝送方式(非接触電力伝送方式)は、マイクロ波方式に限られず、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、レーザー等を利用した方式であってもよい。また、本実施形態では、電力伝送信号の送受信が非接触給電に用いられるものとするが、非接触給電以外の用途で無線による電力伝送信号の送受信が行われてもよい。受電装置20は、送電装置10から送信された電力伝送信号を受信し、受信した電力により動作したり、自装置が備えるバッテリを充電したりする。
【0015】
ここで、受電装置20に対して電力伝送信号を適切に送信するため、送電装置10は、送電装置10に対する受電装置20の向きや、受電装置20までの距離に基づいて、送信する電力伝送信号の位相を適切に設定することが求められる。これに伴い、受電装置20は、送電装置10に対して、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する。送電装置10は、受電装置20から受信したビーコンに含まれる位相変更情報に基づいて、受電装置20に対して給電する。
【0016】
一方で、送電装置10に対する受電装置20の向きや、受電装置20までの距離に変化がない場合、受電装置20は、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する必要がない。この場合、受電装置20がビーコン信号を所定の時間間隔毎に送信すると、ビーコン信号の送信による電力消費が増加してしまう場合がある。
【0017】
また、送電装置10は、自装置が備えるバッテリのSOC(State Of Charge)が、所定の閾値以下である場合、受電装置20に十分に給電することができない場合がある。以降の説明において、SOCを、バッテリ充電率ともいう。送電装置10は、自装置が備えるバッテリのバッテリ充電率を示すバッテリ充電率情報を、非接触給電システム1が備える受電装置20に対して送信する。受電装置20は、受信したバッテリ充電率情報が、バッテリ充電率が所定の閾値以下であることを示す場合、十分に給電を受けられないため、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する必要がない。この場合、受電装置20がビーコン信号を所定の時間間隔毎に送信すると、ビーコン信号の送信による電力消費が増加してしまう場合がある。
【0018】
本実施形態の受電装置20は、上述したような位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制する。以下、送電装置10の構成、及び受電装置20の構成の詳細について説明する。
【0019】
[送電装置10の構成]
図2に示すように、送電装置10は、例えば、アンテナ11と、通信部12と、変換部13と、バッテリ14と、制御部15とを備える。
【0020】
アンテナ11は、受電装置20との各種通信に用いられる。アンテナ11は、例えば、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、バッテリ充電率情報に係る情報通信とにおいて共用される。
【0021】
通信部12は、受電装置20との通信に係る各種制御を行う。通信部12は、例えば、アンテナ11を制御し、受電装置20が送信するビーコン信号を受信する。また、通信部12は、アンテナ11を制御し、受電装置20にバッテリ充電率情報を送信する。バッテリ充電率情報に係る情報通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)等により実現される。
【0022】
変換部13は、受電装置20に給電するに際して、電力を電力伝送信号に変換し、アンテナ11によって送信する。変換部13は、不図示の電力源から供給された電力を電力伝送信号に変換してもよく、後述するバッテリ14に蓄電される電力を電力伝送信号に変換してもよい。以降の説明では、変換部13が、バッテリ14に蓄電される電力を電力伝送信号に変換する場合について説明する。
【0023】
バッテリ14は、不図示の電力源から供給された電力を蓄電する。バッテリ14の満充電時の電力容量は、例えば、非接触給電システム1が備える複数の受電装置20に対して、十分に電力を給電可能な電力容量である。
【0024】
制御部15は、送電装置10が備える各部を制御する。制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め送電装置10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶装置(不図示)に格納されていてもよい。制御部15は、例えば、通信部12により受信されたビーコン信号に基づいて、アンテナ11の位相を調整する。また、制御部15は、バッテリ14の充電率に基づいて、バッテリ充電率情報を生成し、受電装置20へのバッテリ充電率情報の送信を通信部12に指示する。制御部15は、例えば、所定の時間間隔毎に、バッテリ14の充電率を取得し、バッテリ充電率情報を生成する。通信部12は、制御部15の指示に基づいて、所定の時間間隔毎に、バッテリ充電率情報を受電装置20に送信する。
【0025】
[受電装置20の構成]
受電装置20は、アンテナ21と、通信部22と、変換部23と、バッテリ24と、加速度センサ25と、制御部30と、記憶部40とを備える。
【0026】
アンテナ21は、受電装置20との各種通信に用いられる。アンテナ21は、例えば、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、バッテリ充電率情報に係る情報通信とにおいて共用される。アンテナ21は、「受電部」の一例であり、アンテナ21が送電装置10によって送信された電力伝送信号を受信することは、「送電装置10から非接触給電によって電力を受電する」ことの一例である。
【0027】
通信部22は、送電装置10との通信に係る各種制御を行う。通信部22は、例えば、アンテナ21を制御し、送電装置10に対してビーコン信号を送信する。また、通信部22は、アンテナ21を制御し、送電装置10によって送信されたバッテリ充電率情報を受信する。通信部22は、アンテナ21を制御し、送電装置10に対してビーコン信号を送信する処理において「送信部」の一例である。
【0028】
変換部23は、アンテナ11によって受信された電力伝送信号を直流電力に変換する。バッテリ24は、変換部23により変換された直流電力を蓄電する。受電装置20は、バッテリ24が蓄電する電力によって動作する。加速度センサ25は、受電装置20に生じた加速度を検出する。
【0029】
制御部30は、受電装置20が備える各部を制御する。制御部30は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め受電装置20が備えるHDDやフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶部40に格納されていてもよい。
【0030】
記憶部40は、上述した各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部40には、上述したプログラムの他、抑制条件情報401が記憶される。抑制条件情報401は、受電装置20がビーコン信号の送信を抑制するか否かの判定に用いられる抑制条件を示す情報である。
【0031】
この一例では、抑制条件情報401には、第1抑制条件CC1と、第2抑制条件CC2とが含まれる場合について説明する。第1抑制条件CC1は、例えば、加速度センサ25が検出した加速度に変化がないことである。第2抑制条件CC2は、例えば、通信部22によって受信されたバッテリ充電率情報が、送電装置10が備えるバッテリ14の充電率が、所定の閾値以下であることを示すことである。バッテリ14の充電率が所定の閾値以下であるとは、例えば、非接触給電システム1が備える複数の受電装置20に対して、十分に電力を供給できない状態である。所定の閾値とは、例えば、数[%]~数十[%]程度を示す値である。
【0032】
制御部30は、例えば、判定部310を備える。判定部310は、抑制条件情報401に示される抑制条件に基づいて、ビーコン信号の送信を抑制するか否かを判定する。判定部310は、第1抑制条件CC1、及び第2抑制条件CC2のいずれも満たさないと判定した場合、ビーコン信号の送信を抑制せず、送電装置10へ所定の時間間隔によってビーコン信号を送信させるように通信部22に指示する。また、判定部310は、第1抑制条件CC1、又は第2抑制条件CC2のうち、少なくともいずれか一方を満たすと判定した場合、送電装置10へのビーコン信号の送信を抑制させるように通信部22に指示する。
【0033】
[動作フロー]
以下、図3を参照し、第1抑制条件CC1に基づく判定部310の処理の詳細について説明する。図3に示すフローチャートの処理は、所定の時間間隔毎に繰り返し実行される。まず、判定部310は、抑制条件情報401に示される第1抑制条件CC1に基づいて、第1抑制条件CC1を満たすか否かを判定する(ステップS100)。詳しくは、判定部310は、加速度センサ25の検出結果に基づいて、加速度に変化がないか否か、つまり、受電装置20が移動されているか否かを判定する。加速度センサ25の検出結果は、例えば、一定期間分だけ記憶部40にタイムスタンプと共に記憶される。判定部310は、記憶された検出結果を示す情報を参照し、先の判定の際に用いた検出結果と、直近の検出結果とを比較し、判定処理を行う。
【0034】
判定部310は、第1抑制条件CC1を満たさない、つまり、加速度が変化しており、受電装置20が移動されたと判定した場合、ビーコン信号の送信を抑制しないと決定する(ステップS102)。この場合、判定部310は、通信部22にビーコン信号の送信の抑制を指示しない。つまり、通信部22は、所定の時間間隔毎に送電装置10へビーコン信号を送信する。判定部310は、第1抑制条件CC1を満たす、つまり、加速度が変化しておらず、受電装置20が移動されていないと判定した場合、ビーコン信号の送信を抑制すると決定する(ステップS104)。この場合、判定部310は、通信部22にビーコン信号の送信の抑制を指示する。通信部22は、判定部310の指示に基づいて、所定の時間間隔毎のビーコン信号の送信を停止する。
【0035】
以下、図4を参照し、第2抑制条件CC2に基づく判定部310の処理の詳細について説明する。図4に示すフローチャートの処理は、所定の時間間隔毎に繰り返し実行される。また、図3に示すフローチャートの処理と、図4に示すフローチャートの処理とは、並行して実行される。まず、判定部310は、通信部22によってバッテリ充電率情報が受信されたか否かを判定する(ステップS200)。判定部310は、バッテリ充電率情報が受信されるまでの間、待機する。
【0036】
判定部310は、バッテリ充電率情報が受信された場合、抑制条件情報401に示される第2抑制条件CC2に基づいて、第2抑制条件CC2を満たすか否かを判定する(ステップS202)。詳しくは、判定部310は、受信したバッテリ充電率情報が、バッテリ14の充電率が、所定の閾値以下であることを示すか否かを判定する。
【0037】
判定部310は、第2抑制条件CC2を満たさない、つまり、バッテリ14の充電率が所定の閾値以下ではないと判定した場合、ビーコン信号の送信を抑制しないと決定する(ステップS204)。この場合、判定部310は、通信部22にビーコン信号の送信の抑制を指示しない。つまり、通信部22は、所定の時間間隔毎に送電装置10へビーコン信号を送信する。判定部310は、第2抑制条件CC2を満たす、つまり、バッテリ14の充電率が所定の閾値以下であると判定した場合、ビーコン信号の送信を抑制すると決定する(ステップS206)。この場合、判定部310は、通信部22にビーコン信号の送信の抑制を指示する。通信部22は、判定部310の指示に基づいて、所定の時間間隔毎のビーコン信号の送信を停止する。
【0038】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)受電装置20は、送電装置10から非接触給電によって電力を受電するアンテナ21と、ビーコン信号の送信を抑制する抑制条件を満たすか否かを判定する判定部310と、判定部310の判定結果が、抑制条件を満たさないことを示す場合、送電装置10にビーコン信号を送信し、且つ抑制条件を満たすことを示す場合、送電装置10へのビーコン信号の送信を抑制する通信部22と、を備える。
【0039】
ここで、抑制条件が示すような条件下において、送電装置10は、アンテナ11の位相調整を行う必要がない。つまり、受電装置20は、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する必要がない。この場合において、受電装置20がビーコン信号を所定の時間間隔毎に送信すると、ビーコン信号の送信による電力消費が増加してしまう場合がある。本実施形態において、受電装置20は、抑制条件を満たさない場合には、ビーコン信号を送信しつつ、抑制条件を満たす場合には、ビーコン信号の送信を抑制する。これにより、受電装置20は、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
【0040】
(2)受電装置20は、加速度を検出する加速度センサ25を備える。抑制条件には、加速度センサ25が検出した加速度に変化がないことを示す第1抑制条件CC1が含まれてもよい。第1抑制条件CC1を満たし、送電装置10に対する受電装置20の向きや、受電装置20までの距離に変化がない場合、送電装置10は、アンテナ11の位相調整を行う必要がない。つまり、受電装置20は、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する必要がない。本実施形態において、受電装置20は、第1抑制条件CC1を満たす場合には、ビーコン信号の送信を抑制する。これにより、受電装置20は、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
【0041】
(3)受電装置20は、送電装置10から各種情報を受信する通信部22を更に備える。抑制条件には、通信部22が送電装置10から受信したバッテリ充電率情報が、バッテリ14の充電率が所定の閾値以下であることを示す第2抑制条件CC2が含まれてもよい。第2抑制条件CC2を満たし、バッテリ14の充電率が、所定の閾値以下である場合、送電装置10は、受電装置20に十分に給電することができない場合がある。受電装置20は、送電装置10からの給電が受けられない場合に、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する必要がない。本実施形態において、受電装置20は、第2抑制条件CC2を満たす場合には、ビーコン信号の送信を抑制する。これにより、受電装置20は、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
【0042】
上記各実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態および以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
図1に示す一例では、非接触給電システム1が備える受電装置20の数が、二つである場合について示しているが、これに限られない。非接触給電システム1が備える受電装置20は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、非接触給電システム1が備える受電装置20の数には、上限が設けられていてもよい。かかる構成によれば、非接触給電システム1は、位相調整の必要がない場合にビーコン信号の送信を抑制し、ビーコン信号の送信による受電装置20の電力消費を抑制することができる。
【0043】
〇上述では、通信部22は、判定部310の判定結果が抑制条件を満たすことを示す場合、送電装置10へのビーコン信号の送信を停止していたが、これに限られない。通信部22は、判定結果が抑制条件を満たすことを示す場合、判定結果が抑制条件を満たさない場合においてビーコン信号を送信する場合の所定の時間間隔に比して長い時間間隔毎に、送電装置10にビーコン信号を送信してもよい。かかる構成によれば、受電装置20は、ビーコン信号の送信を抑制する場合には、抑制しない場合に比してビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
【0044】
〇通信部22は、加速度センサ25の検出結果を示す検出結果情報を、送電装置10に送信してもよい。この場合、送電装置10は、受信した検出結果情報が示す加速度センサ25の検出結果が、受電装置20が一定速度で移動していることを示す場合、受電装置20の移動先である予測位置を予測する。送電装置10は、アンテナ11の位相を、予測した予測位置に合わせて調整する。かかる構成によれば、送電装置10は、ビーコン信号に含まれる位相変更情報に加えて、検出結果情報に基づいて、精度よくアンテナ11の位相を調整することができる。
【0045】
〇また、送電装置10は、受信した検出結果情報が、加速度センサ25の検出結果が送電装置10から離れる方向への移動を示す場合、送電装置10は給電を停止してもよい。ここで、送電装置10と受電装置20とは、距離が離れるほど、給電効率が低下する。したがって、送電装置10は、給電効率の低い受電装置20への電力伝送信号の送信を停止することで、バッテリ14の電力消費を抑制することができる。
【0046】
〇送電装置10は、受電装置20から受信したビーコン信号の受信強度等に基づいて、送電装置10と受電装置20との間の障害物の存在の有無を判定してもよい。また、送電装置10は、送電装置10と受電装置20との間に障害物が存在すると判定した場合、当該障害物を避けつつ、電力伝送信号の反射によって受電装置20に給電が行える電力伝送信号の経路を特定してもよい。かかる構成によれば、送電装置10は、送電装置10と受電装置20との間に障害物が存在する場合であっても、適切に受電装置20に給電することができる。
【0047】
〇上述では、第1抑制条件CC1は、例えば、加速度センサ25が検出した加速度に変化がないことである場合について説明したが、これに限られない。第1抑制条件CC1は、例えば、加速度センサ25が検出した加速度に所定時間、変化がないことであってもよい。ここで、受電装置20が携帯電話やタブレット等の端末装置に実装されている場合がある。端末装置のユーザの利用状況によっては、受電装置20が一時的に移動されず、加速度センサ25に変化がない場合であっても、その後、すぐに移動されてしまう場合がある。受電装置20が一時的に移動されず、その後、すぐに移動されてしまうような場合において、通信部22がビーコン信号の送信を抑制してしまうと、受電装置20は、移動された先において送電装置10の給電を適切に受けられない場合がある。一方で、加速度センサ25が検出した加速度に所定時間、変化がない場合、受電装置20は、ユーザに利用されておらず、すぐに移動されてしまう可能性が低い場合がある。このような場合には、受電装置20は、位相変更情報を含むビーコン信号を、所定の時間間隔毎に送信する必要がない。かかる構成によれば、受電装置20は、受電装置20の利用状況に応じて、適切にビーコン信号の送信を抑制することができる。
【0048】
○上述では、制御部15が、所定の時間間隔毎に、バッテリ14の充電率を取得し、バッテリ充電率情報を生成する場合について説明したが、これに限られない。制御部15は、受電装置20からビーコン信号を受信した後に、バッテリ充電率情報を生成するものであってもよい。
【0049】
○上述では、受電装置20から送電装置10に対して、一方的にビーコン信号を送信する場合について説明したが、これに限られない。送電装置10は、例えば、自装置が給電可能な位置に存在する範囲の受電装置20に対して、ビーコン信号を送信してもよい。この場合、受電装置20は、送電装置10からビーコン信号を所定の期間受信できない場合、送電装置10が給電可能な位置に自装置が存在しないものとして、送電装置10へのビーコン信号の送信を停止してもよい。かかる構成によれば、受電装置20は、不要なビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
【0050】
○上述では、送電装置10は、不図示の電力源から供給された電力によって動作する場合について説明したが、これに限られない。複数の非接触給電システム1が連携しており、送電装置10は、他の非接触給電システム1が備える送電装置10から送信された電力伝送信号によって給電され、動作してもよい。
【0051】
○上述では、アンテナ11、及びアンテナ21は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、バッテリ充電率情報に係る情報通信とにおいて共用される場合について説明したが、これに限られない。送電装置10、及び受電装置20は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、バッテリ充電率情報に係る情報通信とのそれぞれに用いられるアンテナを別体で備えていてもよい。例えば、送電装置10と、受電装置20との間で、検出結果情報や、バッテリ充電率情報の情報通信が頻繁に行われると、アンテナ11、及びアンテナ21は、電力伝送信号の送受信や、ビーコン信号の送受信が適切に行えなくなってしまう場合がある。送電装置10、及び受電装置20は、電力伝送信号に係る通信と、ビーコン信号に係る通信と、バッテリ充電率情報に係る情報通信とのそれぞれに用いられるアンテナを別体で備えることにより、ある通信が他の通信の妨げになることを抑制することができる。
【0052】
○上述では、抑制条件情報401には、第1抑制条件CC1と、第2抑制条件CC2との二つの抑制条件が含まれる場合について説明したが、これに限られない。抑制条件情報401に含まれる抑制条件は一つであってもよく、三つ以上であってもよい。
【0053】
○また、複数抑制条件が存在する場合、各抑制条件には、優先度が付加されていてもよい。例えば、第2抑制条件CC2の優先度が、第1抑制条件CC1よりも高く設定されている場合、判定部310は、第1抑制条件CC1を満たすか否かに関わらず、第2抑制条件CC2を満たすと判定した場合には、ビーコン信号の送信を抑制すると決定してもよい。かかる構成によれば、受電装置20は、より優先度の高い抑制条件に基づいて、ビーコン信号の送信による電力消費を抑制することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…非接触給電システム
10…送電装置
11,21…アンテナ
12,22…通信部
13,23…変換部
14,24…バッテリ
15,30…制御部
20,20-1,20-2…受電装置
25…加速度センサ
40…記憶部
310…判定部
401…抑制条件情報
CC1…第1抑制条件
CC2…第2抑制条件。
図1
図2
図3
図4