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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】マウスコーティング感増強剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/20 20160101AFI20250212BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20250212BHJP
   A23L 27/60 20160101ALI20250212BHJP
   A23F 5/14 20250101ALI20250212BHJP
【FI】
A23L27/20 G
A23L27/00 Z
A23L27/60
A23F5/14
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021505142
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2020010941
(87)【国際公開番号】W WO2020184682
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2019046558
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和洋
(72)【発明者】
【氏名】黒田 素央
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真未
(72)【発明者】
【氏名】東方 由貴
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-040063(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181630(WO,A1)
【文献】特開2006-020526(JP,A)
【文献】特開2012-029635(JP,A)
【文献】特開2017-171872(JP,A)
【文献】特開2013-138620(JP,A)
【文献】特開2017-225404(JP,A)
【文献】国際公開第05/012310(WO,A1)
【文献】CHAICHI, Maryam et al.,Furanic compounds and furfural in different coffee products by headspace liquid-phase microextractio,Food Additives & Contaminants: Part B,2015年,Vol. 8, No. 1,pp.73-80
【文献】RADOVIC, B.S. et al.,Contribution of dynamic headspace GC-MS analysis of aroma compounds to authenticity testing of honey,Food Chemistry,2001年03月,Vol. 72, Issue 4,pp.511-520
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
A23F 5/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/EMBASE/BIOSIS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)の加熱物を添加することを含み、当該加熱物が少なくとも(A)を40~180℃で0.1~500分間加熱して得られるもの(ただし、(A)を、エビ、茸、スイートコーン又は醸造味噌の存在下で加熱して得られるものを除く)である、マウスコーティング感増強方法。
(A)(A1)一般式(I):
【化1】

〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又は1-ピロリル基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、炭素原子数1~6のアルキル基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び油脂からなる群より選択される少なくとも一つ
【請求項2】
前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又は1-ピロリル基であり、かつZが、メチレン基である、請求項1記載のマウスコーティング感増強方法。
【請求項3】
nが、0又は1を示す、請求項1又は2記載のマウスコーティング感増強方法。
【請求項4】
前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のマウスコーティング感増強方法。
【請求項5】
前記(A2)が、油脂である、請求項1~4のいずれか一項に記載のマウスコーティング感増強方法。
【請求項6】
油脂含有食品のマウスコーティング感増強方法である、請求項1~5のいずれか一項に記載のマウスコーティング感増強方法。
【請求項7】
下記(A)を40~180℃で0.1~500分間加熱すること(ただし、(A)を、エビ、茸、スイートコーン又は醸造味噌の存在下で加熱することを除く)を含む、食品の製造方法。
(A)(A1)一般式(I):
【化2】

〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又は1-ピロリル基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、炭素原子数1~6のアルキル基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び油脂からなる群より選択される少なくとも一つ
【請求項8】
前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又は1-ピロリル基であり、かつZが、メチレン基である、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
nが、0又は1を示す、請求項7又は8記載の製造方法。
【請求項10】
前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項7~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記(A2)が、油脂である、請求項7~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
食品が、マウスコーティング感が増強された食品である、請求項7~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
食品が、油脂含有食品である、請求項7~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
下記(A)を40~180℃で0.1~500分間加熱すること(ただし、(A)を、エビ、茸、スイートコーン又は醸造味噌の存在下で加熱することを除く)を含む、マウスコーティング感増強剤の製造方法。
(A)(A1)一般式(I):
【化3】

〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又は1-ピロリル基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、炭素原子数1~6のアルキル基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び油脂からなる群より選択される少なくとも一つ
【請求項15】
前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又は1-ピロリル基であり、かつZが、メチレン基である、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
nが、0又は1を示す、請求項14又は15記載の製造方法。
【請求項17】
前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項14~16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記(A2)が、油脂である、請求項14~17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
マウスコーティング感増強剤が、油脂含有食品用である、請求項14~18のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスコーティング感増強剤及びその製造方法に関する。また本発明は、マウスコーティング感が増強された食品及びその製造方法、並びに、マウスコーティング感の増強方法に関する。更に本発明は、コーヒー焙煎感増強剤及びその製造方法、並びに、コーヒー焙煎感の増強方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
「マウスコーティング感」とは、油脂あるいは油脂を含む溶液又は食品を口腔内に含んだ際に顕著に感じられる、口腔内が薄い膜で覆われる感覚、口腔内が油脂又は油脂様の膜で覆われる感覚、口腔内で感じるなめらかな感覚、並びに、口腔内全体に広がる油脂様の濃厚な感覚(あつみ)をいい、マウスコーティング感を簡便に増強できる方法があれば、例えば、少ない量の油脂でも、油脂等を口腔内に含んだ際に顕著に感じられる好ましい感覚を十分に提供できるため、カロリーの過剰摂取を抑制でき、また、肥満等の代謝疾患の予防にも効果が期待できる等の利点があると考えられる。
【0003】
マウスコーティング感を増強する方法としては、従来、ハイドロコロイド類、低分子化合物類、ポリフェノール類又はグリコシド類を活用する方法(非特許文献1~5)等が報告されているが、いずれの方法によって増強される感覚も、油脂等を口腔内に含んだ際に顕著に感じられるマウスコーティング感とは質が異なる等の問題点があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Arocas et al., “Sensory properties determined by starch type in white sauces: effects of freeze/thaw and hydrocolloid addition.” J Food Sci 2010, 75:S132-S140.
【文献】Flett et al., “Perceived creaminess and viscosity of aggregated particles of casein micelles and κ-carrageenan.” J Food Sci 2010, 75:S255-S261.
【文献】Dawid et al., “Identification of sensory-active phytochemicals in asparagus (Asparagus officinalisL.).” J Agric Food Chem 2012, 60:11877-11888.
【文献】Schwarz et al., “Identification of novel orosensory active molecules in cured vanilla beans (Vanilla planifolia).” J Agric and Food Chem 2009, 57:3729-3737.
【文献】Scharbert et al., “Identification of the astringent taste compounds in black tea infusions by combining instrumental analysis and human bioresponse.” J Agric and Food Chem 2004, 52:3498-3508.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、効果的なマウスコーティング感増強剤を提供することにある。また本発明は、効果的なコーヒー焙煎感増強剤を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、所定の化合物を加熱して得られる加熱物が、マウスコーティング感を増強し得ることを見出した。また本発明者らは、当該加熱物が、コーヒー焙煎感を増強し得ることも新たに見出した。さらに本発明者らは、当該加熱物中に生成し得る所定の化合物が、マウスコーティング感、コーヒー焙煎感を増強し得ることも見出した。本発明者らは、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0007】
[1]下記(A)及び/又は(B)の加熱物、あるいは、下記の化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を含む、マウスコーティング感増強剤。
(A)(A1)一般式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
[化合物群(C)]
β-カリオフィレンオキシド
α-ピネンオキシド
リモネンオキシド
α-テルピネノール
一般式(II):
【0010】
【化2】
【0011】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(III):
【0012】
【化3】
【0013】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(IV):
【0014】
【化4】
【0015】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(V):
【0016】
【化5】
【0017】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
(1S,6S,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1S,6R,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1R,4R,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1R,4S,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1S,2S,5R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[7.2.1.02,5]ドデス-7-エン
(1R,2S,5R,8R,9R)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
(1R,2S,5R,8R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
[1R-(1α,2α,5β,8β,9α)]-4,4,8-トリメチル-トリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-1,9-ジオール
[2]前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、メチレン基である、[1]記載のマウスコーティング感増強剤。
[3]Rが、炭素原子数1~6のアルキル基である、[1]又は[2]記載のマウスコーティング感増強剤。
[4]nが、0又は1を示す、[1]~[3]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強剤。
[5]前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、[1]~[4]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強剤。
[6]前記(A2)が、油脂である、[1]~[5]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強剤。
[7]β-カリオフィレン類縁化合物が、イソカリオフィレン、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物(好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物)である、[1]~[6]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強剤。
[8]化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物が、β-カリオフィレンオキシド、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノール、クロバンジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレートからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、[1]記載のマウスコーティング感増強剤。
[9]油脂含有食品用である、[1]~[8]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強剤。
[10]下記(A)及び/又は(B)の加熱物、あるいは、下記の化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を添加することを含む、マウスコーティング感増強方法。
(A)(A1)一般式(I):
【0018】
【化6】
【0019】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
[化合物群(C)]
β-カリオフィレンオキシド
α-ピネンオキシド
リモネンオキシド
α-テルピネノール
一般式(II):
【0020】
【化7】
【0021】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(III):
【0022】
【化8】
【0023】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(IV):
【0024】
【化9】
【0025】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(V):
【0026】
【化10】
【0027】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
(1S,6S,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1S,6R,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1R,4R,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1R,4S,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1S,2S,5R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[7.2.1.02,5]ドデス-7-エン
(1R,2S,5R,8R,9R)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
(1R,2S,5R,8R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
[1R-(1α,2α,5β,8β,9α)]-4,4,8-トリメチル-トリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-1,9-ジオール
[11]前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、メチレン基である、[10]記載のマウスコーティング感増強方法。
[12]Rが、炭素原子数1~6のアルキル基である、[10]又は[11]記載のマウスコーティング感増強方法。
[13]nが、0又は1を示す、[10]~[12]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強方法。
[14]前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、[10]~[13]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強方法。
[15]前記(A2)が、油脂である、[10]~[14]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強方法。
[16]β-カリオフィレン類縁化合物が、イソカリオフィレン、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物(好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物)である、[10]~[15]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強方法。
[17]化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物が、β-カリオフィレンオキシド、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノール、クロバンジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレートからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、[10]記載のマウスコーティング感増強方法。
[18]油脂含有食品のマウスコーティング感増強方法である、[10]~[17]のいずれか一つに記載のマウスコーティング感増強方法。
[19]下記(A)及び/又は(B)を加熱すること、あるいは、下記の化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を添加することを含む、食品の製造方法。
(A)(A1)一般式(I):
【0028】
【化11】
【0029】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
[化合物群(C)]
β-カリオフィレンオキシド
α-ピネンオキシド
リモネンオキシド
α-テルピネノール
一般式(II):
【0030】
【化12】
【0031】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(III):
【0032】
【化13】
【0033】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(IV):
【0034】
【化14】
【0035】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(V):
【0036】
【化15】
【0037】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
(1S,6S,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1S,6R,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1R,4R,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1R,4S,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1S,2S,5R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[7.2.1.02,5]ドデス-7-エン
(1R,2S,5R,8R,9R)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
(1R,2S,5R,8R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
[1R-(1α,2α,5β,8β,9α)]-4,4,8-トリメチル-トリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-1,9-ジオール
[20]前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、メチレン基である、[19]記載の製造方法。
[21]Rが、炭素原子数1~6のアルキル基である、[19]又は[20]記載の製造方法。
[22]nが、0又は1を示す、[19]~[21]のいずれか一つに記載の製造方法。
[23]前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、[19]~[22]のいずれか一つに記載の製造方法。
[24]前記(A2)が、油脂である、[19]~[23]のいずれか一つに記載の製造方法。
[25]β-カリオフィレン類縁化合物が、イソカリオフィレン、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物(好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物)である、[19]~[24]のいずれか一つに記載の製造方法。
[26]前記(A)成分の加熱温度が、40~200℃であり、その加熱時間が、0.1~500分間であり、
前記(B)成分の加熱温度が、40~200℃であり、その加熱時間が、0.1~500分間である、[19]~[25]のいずれか一つに記載の製造方法。
[27]化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物が、β-カリオフィレンオキシド、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノール、クロバンジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレートからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、[19]記載の製造方法。
[28]食品が、マウスコーティング感が増強された食品である、[19]~[27]のいずれか一つに記載の製造方法。
[29]食品が、油脂含有食品である、[19]~[28]のいずれか一つに記載の製造方法。
[30]下記(A)及び/又は(B)の加熱物、あるいは、下記の化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を含有する食品。
(A)(A1)一般式(I):
【0038】
【化16】
【0039】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
[化合物群(C)]
β-カリオフィレンオキシド
α-ピネンオキシド
リモネンオキシド
α-テルピネノール
一般式(II):
【0040】
【化17】
【0041】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(III):
【0042】
【化18】
【0043】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(IV):
【0044】
【化19】
【0045】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(V):
【0046】
【化20】
【0047】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
(1S,6S,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1S,6R,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1R,4R,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1R,4S,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1S,2S,5R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[7.2.1.02,5]ドデス-7-エン
(1R,2S,5R,8R,9R)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
(1R,2S,5R,8R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
[1R-(1α,2α,5β,8β,9α)]-4,4,8-トリメチル-トリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-1,9-ジオール
[31]下記(A)及び/又は(B)を加熱することを含む、マウスコーティング感増強剤の製造方法。
(A)(A1)一般式(I):
【0048】
【化21】
【0049】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
[32]前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、メチレン基である、[31]記載の製造方法。
[33]Rが、炭素原子数1~6のアルキル基である、[31]又は[32]記載の製造方法。
[34]nが、0又は1を示す、[31]~[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[35]前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、[31]~[34]のいずれか一つに記載の製造方法。
[36]前記(A2)が、油脂である、[31]~[35]のいずれか一つに記載の製造方法。
[37]β-カリオフィレン類縁化合物が、イソカリオフィレン、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物(好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物)である、[31]~[36]のいずれか一つに記載の製造方法。
[38]前記(A)成分の加熱温度が、40~200℃であり、その加熱時間が、0.1~500分間であり、
前記(B)成分の加熱温度が、40~200℃であり、その加熱時間が、0.1~500分間である、[31]~[37]のいずれか一つに記載の製造方法。
[39]化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物が、β-カリオフィレンオキシド、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノール、クロバンジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレートからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、[31]記載の製造方法。
[40]マウスコーティング感増強剤が、油脂含有食品用である、[31]~[39]のいずれか一つに記載の製造方法。
[41]下記(A)及び/又は(B)の加熱物、あるいは、下記の化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を含む、コーヒー焙煎感増強剤。
(A)(A1)一般式(I):
【0050】
【化22】
【0051】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
[化合物群(C)]
β-カリオフィレンオキシド
α-ピネンオキシド
リモネンオキシド
α-テルピネノール
一般式(II):
【0052】
【化23】
【0053】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(III):
【0054】
【化24】
【0055】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(IV):
【0056】
【化25】
【0057】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(V):
【0058】
【化26】
【0059】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
(1S,6S,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1S,6R,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1R,4R,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1R,4S,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1S,2S,5R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[7.2.1.02,5]ドデス-7-エン
(1R,2S,5R,8R,9R)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
(1R,2S,5R,8R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
[1R-(1α,2α,5β,8β,9α)]-4,4,8-トリメチル-トリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-1,9-ジオール
[42]前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、メチレン基である、[41]記載のコーヒー焙煎感増強剤。
[43]Rが、炭素原子数1~6のアルキル基である、[41]又は[42]記載のコーヒー焙煎感増強剤。
[44]nが、0又は1を示す、[41]~[43]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強剤。
[45]前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、[41]~[44]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強剤。
[46]前記(A2)が、油脂である、[41]~[45]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強剤。
[47]β-カリオフィレン類縁化合物が、イソカリオフィレン、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物(好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物)である、[41]~[46]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強剤。
[48]化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物が、β-カリオフィレンオキシド、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノール、クロバンジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレートからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、[41]記載のコーヒー焙煎感増強剤。
[49]下記(A)及び/又は(B)の加熱物、あるいは、下記の化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を添加することを含む、コーヒー焙煎感増強方法。
(A)(A1)一般式(I):
【0060】
【化27】
【0061】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
[化合物群(C)]
β-カリオフィレンオキシド
α-ピネンオキシド
リモネンオキシド
α-テルピネノール
一般式(II):
【0062】
【化28】
【0063】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(III):
【0064】
【化29】
【0065】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(IV):
【0066】
【化30】
【0067】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
一般式(V):
【0068】
【化31】
【0069】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
(1S,6S,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1S,6R,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン
(1R,4R,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1R,4S,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド
(1S,2S,5R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[7.2.1.02,5]ドデス-7-エン
(1R,2S,5R,8R,9R)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
(1R,2S,5R,8R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール
[1R-(1α,2α,5β,8β,9α)]-4,4,8-トリメチル-トリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-1,9-ジオール
[50]前記一般式(I)におけるRが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であるか、あるいは
前記一般式(I)におけるRが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、メチレン基である、[49]記載のコーヒー焙煎感増強方法。
[51]Rが、炭素原子数1~6のアルキル基である、[49]又は[50]記載のコーヒー焙煎感増強方法。
[52]nが、0又は1を示す、[49]~[51]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強方法。
[53]前記一般式(I)で表される化合物が、フルフラール、5-メチルフルフラール、2-フリルメチルケトン、フルフリルアルコール、及び1-フルフリルピロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、[49]~[52]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強方法。
[54]前記(A2)が、油脂である、[49]~[53]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強方法。
[55]β-カリオフィレン類縁化合物が、イソカリオフィレン、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物(好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物)である、[49]~[54]のいずれか一つに記載のコーヒー焙煎感増強方法。
[56]化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物が、β-カリオフィレンオキシド、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノール、クロバンジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレートからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である、[49]記載のコーヒー焙煎感増強方法。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、マウスコーティング感を増強することができるマウスコーティング感増強剤及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、マウスコーティング感が増強された食品及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、マウスコーティング感の増強方法を提供し得る。
また本発明によれば、コーヒー焙煎感を増強することができるコーヒー焙煎感増強剤及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、コーヒー焙煎感が増強されたコーヒー飲料及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、コーヒー焙煎感の増強方法を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、試験例10における二点識別評価の結果を示すグラフである。図中の数値(グラフの縦軸)は、評価サンプル10-1及び10-2のマウスコーティング感の強さをブラインド条件で比較し、マウスコーティング感が強いと選択された回数を示す(n=9)。また、図中の*は、p<0.05を示す。
図2図2は、試験例10における評点評価の結果を示すグラフである。図中の数値(グラフの縦軸)は、評価サンプル10-1及び10-2のマウスコーティング感の強さをブラインド条件で官能評価した評点(3名の専門パネルの平均点±標準誤差)を示す(n=9)。また、図中の*は、p<0.05を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
<マウスコーティング感増強剤>
本発明のマウスコーティング感増強剤は、一態様として、下記(A)及び/又は(B)の加熱物を有効成分として含むことを、特徴の一つとする。
本発明において用いられる下記(A)、(A1)、(A2)及び(B)を、本明細書中、それぞれ「(A)成分」、「(A1)成分」、「(A2)成分」及び「(B)成分」と称する場合がある。また本明細書中、(A)成分の加熱物及び(B)成分の加熱物を、それぞれ「(A)成分加熱物」及び「(B)成分加熱物」と称する場合がある。
【0073】
(A)(A1)一般式(I):
【0074】
【化32】
【0075】
〔式中、
は、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
は、置換基であり;
nは、0~3の整数を示す〕
【0076】
で表される化合物、並びに
(A2)炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール及び加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質からなる群より選択される少なくとも一つ
(B)β-カリオフィレン及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物
【0077】
本発明のマウスコーティング感増強剤は、他の一態様として、後述の化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を有効成分として含むことを、特徴の一つとする。
本発明において用いられる化合物群(C)から選択される少なくとも一つの化合物を、本明細書中、「(C)成分」と称する場合がある。
【0078】
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、(A1)成分及び(A2)成分からなるものである。
【0079】
[(A1)成分]
本発明において(A1)成分として用いられる、一般式(I)で表される化合物を、本明細書中、「化合物(I)」と称する場合がある。
以下、一般式(I)の各基について説明する。
【0080】
一般式(I)におけるRは、炭素原子数1~6のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基を示す。
【0081】
における「炭素原子数1~6のアシル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アシル基は、飽和であってよく、又は不飽和結合を含んでいてもよい。当該アシル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等が挙げられ、好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基であり、より好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基であり、特に好ましくはホルミル基、アセチル基である。
【0082】
一般式(I)におけるRは、好ましくは、炭素原子数1~4のアシル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり、より好ましくは、ホルミル基、アセチル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり、特に好ましくは、ホルミル基又はアセチル基である。
【0083】
一般式(I)におけるZは、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基を示す。
【0084】
Zにおける「炭素原子数1~6のアルキレン基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アルキレン基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基であり、より好ましくはメチレン基、エチレン基であり、特に好ましくはメチレン基である。
【0085】
一般式(I)におけるZは、好ましくは、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、より好ましくは、単結合又メチレン基である。
【0086】
化合物(I)は、一態様として、Rが、炭素原子数1~6のアシル基であり、かつZが、単結合であることが好ましく;Rが、炭素原子数1~4のアシル基であり、かつZが、単結合であることがより好ましく;Rが、ホルミル基又はアセチル基であり、かつZが、単結合であることが特に好ましい。
化合物(I)は、他の一態様として、Rが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、炭素原子数1~6のアルキレン基であることが好ましく;Rが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、炭素原子数1~4のアルキレン基であることがより好ましく;Rが、ヒドロキシ基又はピロール基であり、かつZが、メチレン基であることが特に好ましい。
【0087】
一般式(I)におけるRは、置換基を示す。Rにおける置換基は特に限定されるものでないが、例えば、炭素原子数1~6のアルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等)、炭素原子数3~8のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、炭素原子数2~6のアルケニル基(例、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基等)、炭素原子数2~6のアルキニル基(例、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基等)、炭素原子数1~6のアシル基(例、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等)、炭素原子数1~6のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、炭素原子数1~6のヒドロキシアルキル基(例、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基等)等が挙げられ、好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0088】
一般式(I)におけるnは、0~3の整数を示す。nは、好ましくは0~2の整数を示し、より好ましくは0又は1を示す。
【0089】
一態様として、一般式(I)におけるnが2又は3である場合、複数のRは、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
【0090】
以下に好適な化合物(I)を示す。
【0091】
[化合物(IA)]
が、ホルミル基、アセチル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zが、単結合又はメチレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0~3の整数を示す
化合物(I)。
【0092】
[化合物(IB)]
が、ホルミル基、アセチル基、ヒドロキシ基又はピロール基であり;
Zが、単結合又はメチレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0又は1を示す
化合物(I)。
【0093】
[化合物(IC)]
が、炭素原子数1~6のアシル基又はヒドロキシ基であり;
Zが、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0~3の整数を示す
化合物(I)。
【0094】
[化合物(ID)]
が、ホルミル基、アセチル基又はヒドロキシ基であり;
Zが、単結合又はメチレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0~3の整数を示す
化合物(I)。
【0095】
[化合物(IE)]
が、ホルミル基、アセチル基又はヒドロキシ基であり;
Zが、単結合又はメチレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0又は1を示す
化合物(I)。
【0096】
[化合物(IF)]
が、炭素原子数1~6のアシル基又はピロール基であり;
Zが、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0~3の整数を示す
化合物(I)。
【0097】
[化合物(IG)]
が、ホルミル基、アセチル基又はピロール基であり;
Zが、単結合又はメチレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0~3の整数(好ましくは、0又は1)を示す
化合物(I)。
【0098】
[化合物(IH)]
が、ホルミル基、アセチル基又はピロール基であり;
Zが、単結合又はメチレン基であり;
が、置換基(好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基)であり;
nが、0又は1を示す
化合物(I)。
【0099】
好適な化合物(I)の具体例としては、
フルフラール(CAS登録番号:98-01-1等):
【0100】
【化33】
【0101】
5-メチルフルフラール(CAS登録番号:620-02-0):
【0102】
【化34】
【0103】
2-フリルメチルケトン(CAS登録番号:1192-62-7等):
【0104】
【化35】
【0105】
フルフリルアルコール(CAS登録番号:98-00-0等):
【0106】
【化36】
【0107】
1-フルフリルピロール(CAS登録番号:1438-94-4等):
【0108】
【化37】
【0109】
等が挙げられる。中でも、明確な効果が得られ、風味質が良いことから、フルフラールが好ましい。
【0110】
(A1)成分の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造でき、例えば合成品又は抽出品等であってよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
【0111】
[(A2)成分]
本発明は、(A2)成分として、炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコールを用い得る。
【0112】
本発明において(A2)成分として用いられ得る「脂肪族アルデヒド」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該脂肪族アルデヒドは、飽和脂肪族アルデヒド(分子内に炭素-炭素二重結合又は三重結合を有しない脂肪族アルデヒド)であってよく、又は不飽和脂肪族アルデヒド(分子内に炭素-炭素二重結合又は三重結合を有する脂肪族アルデヒド)あってもよいが、好ましくは不飽和脂肪族アルデヒドである。当該脂肪族アルデヒドに含まれる炭素原子数は、好ましくは、3~14であり、より好ましくは3~12であり、更に好ましくは4~10であり、特に好ましくは6~10である。(A2)成分として用いられ得る脂肪族アルデヒドとしては、例えば、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、2-ペンテナール、ヘキサナール、2-ヘキセナール、2,4-ヘキサジエナール、ヘプタナール、2,4-ヘプタジエナール、オクタナール、2-オクテナール、2,4-オクタジエナール、ノナナール、2,6-ノナジエナール、デカナール、2-デセナール、2,4-デカジエナール、ウンデカナール、2,4-ウンデカジエナール、ドデカナール、2-ドデセナール、2,4-ドデカジエナール、トリデカナール、2-トリデセナール、テトラデカナール、3-(メチルチオ)プロパナール(メチオナール)等が挙げられ、好ましくはヘキサナール、2-ヘキセナール、2,4-ヘキサジエナール、ヘプタナール、2,4-ヘプタジエナール、オクタナール、2-オクテナール、2,4-オクタジエナール、ノナナール、2,6-ノナジエナール、デカナール、2-デセナール、2,4-デカジエナール、ウンデカナール、2,4-ウンデカジエナール、ドデカナール、2-ドデセナール、2,4-ドデカジエナール、3-(メチルチオ)プロパナールであり、より好ましくはヘキサナール、2-ヘキセナール、オクタナール、2-オクテナール、デカナール、2-デセナール、2,4-デカジエナール、3-(メチルチオ)プロパナールである。
【0113】
本発明において(A2)成分として用いられ得る「芳香族アルデヒド」に含まれる炭素原子数は、好ましくは7~12であり、より好ましくは7~10であり、特に好ましくは7~9である。(A2)成分として用いられ得る芳香族アルデヒドとしては、例えば、ベンズアルデヒド、o-トルアルデヒド(2-メチルベンズアルデヒド)、m-トルアルデヒド(3-メチルベンズアルデヒド)、p-トルアルデヒド(4-メチルベンズアルデヒド)、4-エチルベンズアルデヒド、2,6-ジメチルベンズアルデヒド等が挙げられ、好ましくは、ベンズアルデヒド、o-トルアルデヒド、m-トルアルデヒド、p-トルアルデヒドであり、より好ましくはベンズアルデヒド、p-トルアルデヒドである。
【0114】
本発明において(A2)成分として用いられ得る「脂肪族アルコール」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコール(分子内に炭素-炭素二重結合又は三重結合を有しない脂肪族アルコール)であってよく、又は不飽和脂肪族アルコール(分子内に炭素-炭素二重結合又は三重結合を有する脂肪族アルコール)あってもよいが、好ましくは飽和脂肪族アルコールである。当該脂肪族アルコールに含まれる炭素原子数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~10であり、特に好ましくは6~10である。当該脂肪族アルコールの価数は特に制限されないが、好ましくは1~3価であり、より好ましくは1価又は3価である。(A2)成分として用いられ得る脂肪族アルコールとしては、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-ヘキセノール、ヘプタノール、2-ヘプテノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、オクタノール、2-オクテノール、2,6-ジメチル-2-ヘプタノール、ノナノール、3-ノネノール、デカノール、2-デセノール、ウンデカノール、2-ウンデセノール、ドデカノール、2-ドデセノール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、好ましくはヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、グリセリンであり、より好ましくはヘキサノール、オクタノール、グリセリンである。
【0115】
本発明は、(A2)成分として、上述の炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド及び炭素原子数3~12の脂肪族アルコールの他に、加熱によりこれらの化合物の少なくとも一つを生成する物質も、用い得る。
【0116】
本発明において(A2)成分として用いられ得る、加熱により炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド及び炭素原子数3~12の脂肪族アルコールの少なくとも一つを生成する物質は、可食性であれば特に制限されないが、例えば、加熱により炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒドを生成する物質としては、油脂、脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸を含む)、ケトン、ラクトン等が挙げられ、明確な効果が得られ、風味質が良いことから、好ましくは油脂である。
【0117】
本発明において「油脂」とは、アシルグリセロール(トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等)を主成分とする物質をいい、一般に常温で流動性を有するものを「油」、流動性を有しないものを「脂肪」と呼ぶ場合があるが、それらの両方を包含する概念である。
本発明において(A2)成分として用いられ得る油脂としては、例えば、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、糠油、紅花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、荏油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、中鎖脂肪酸油等の植物油脂;豚脂(ラード)、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油等の動物油脂等が挙げられる。また、上述の油脂をエステル交換したエステル交換油、上述の油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。上述の油脂は精製されたもの(例、サラダ油等)であってよい。これらの油脂は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0118】
本発明において(A2)成分として用いられ得る脂肪酸は、飽和及び不飽和のいずれであってもよい。当該脂肪酸に含まれる炭素原子数は、好ましくは12~24であり、より好ましくは14~22であり、特に好ましくは16~20である。(A2)成分として用いられ得る脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられ、好ましくはステアリン酸、オレイン酸、リノール酸である。
【0119】
本発明において(A2)成分として用いられ得るケトンは、飽和及び不飽和のいずれであってもよい。当該ケトンに含まれる炭素原子数は、好ましくは4~14であり、より好ましくは6~12であり、特に好ましくは6~10である。(A2)成分として用いられ得るケトンとしては、例えば、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、3-メチル-2-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、1-オクテン-3-オン、2-ノナノン、5-ノナノン、2-ウンデカノン、6-ウンデカノン、7-トリデカノン等が挙げられ、好ましくは3-オクタノンである。
【0120】
加熱により炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド、炭素原子数3~12の脂肪族アルコールを生成する物質が、当該脂肪族アルデヒド等を生成するための加熱条件は、当該脂肪族アルデヒド等を生成しさえすれば特に制限されず、当該物質の種類等に応じて適宜設定すればよいが、加熱温度は通常40~200℃であり、好ましくは60~180℃であり、また加熱時間は通常0.5~480分間であり、好ましくは1~360分間である。
【0121】
本発明において用いられ得る(A2)成分としては、好ましくは、炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド(例、炭素原子数4~10の脂肪族アルデヒド等)、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド(例、炭素原子数7~10の芳香族アルデヒド等)、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール(例、炭素原子数3~10の脂肪族アルコール等)、油脂、脂肪酸(例、炭素原子数3~14の脂肪酸等)、ケトン(例、炭素原子数3~14のケトン等)であり、より好ましくは、ヘキサナール、2-ヘキセナール、オクタナール、2-オクテナール、デカナール、2-デセナール、2,4-デカジエナール、3-(メチルチオ)プロパナール、ベンズアルデヒド、p-トルアルデヒド、ヘキサノール、オクタノール、グリセリン、油脂(例、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブ油、紅花油、アマニ油、えごま油、水添パーム核油、中鎖脂肪酸油等の植物油脂等)、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、3-オクタノンである。
【0122】
(A2)成分として、炭素原子数3~14の脂肪族アルデヒド(例、炭素原子数4~10の脂肪族アルデヒド等)、炭素原子数7~12の芳香族アルデヒド(例、炭素原子数7~10の芳香族アルデヒド等)、炭素原子数3~12の脂肪族アルコール(例、炭素原子数3~10の脂肪族アルコール等)、脂肪酸(例、炭素原子数3~14の脂肪酸等)、ケトン(例、炭素原子数3~14のケトン等)を用いる場合、加熱される(A1)成分と(A2)成分との重量比は特に制限されないが、好ましくはA1:A2=1:0.001~1000であり、より好ましくはA1:A2=1:0.01~100であり、特に好ましくはA1:A2=1:0.08~15である。
また(A2)成分として、油脂(例、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブ油、紅花油、アマニ油、えごま油、水添パーム核油、中鎖脂肪酸油等の植物油脂等)を用いる場合、加熱される(A1)成分の、加熱時における油脂中の濃度は、好ましくは0.0008~12000重量ppmであり、より好ましくは0.0008~1200重量ppmであり、更に好ましくは0.08~120重量ppmであり、特に好ましくは0.8~120重量ppmである。当該濃度は、一態様として、好ましくは0.0008~100000重量ppmであり、より好ましくは0.0008~50000重量ppmであり、更に好ましくは0.08~10000重量ppmであり、特に好ましくは0.8~5000重量ppmである。
【0123】
(A2)成分の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造でき、例えば合成品又は抽出品等であってよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
【0124】
(A)成分の加熱方法は特に制限されず、例えば、(A)成分を直接に加熱するものであってよく、あるいは、(A)成分を例えば溶媒、分散媒等の媒体に、溶解又は分散させた後、これを加熱するもの、すなわち(A)成分を媒体中で加熱するものであってもよい。(A)成分を媒体中で加熱する場合、静置条件下で加熱してよく、又は適宜、撹拌しながら加熱してもよい。また(A)成分は、本発明の目的を損なわない限り、媒体以外の成分(例、(B)成分等)の共存下で加熱してもよい。
【0125】
(A)成分の加熱温度は、加熱時間等に応じて適宜調整してよいが、マウスコーティング感増強効果により優れる(A)成分加熱物を得ることができることから、好ましくは40~200℃であり、より好ましくは50~150℃であり、更に好ましくは、50~120℃であり、特に好ましくは80~120℃である。
【0126】
(A)成分の加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調整してよいが、マウスコーティング感増強効果により優れる(A)成分加熱物を得ることができることから、好ましくは0.1~500分間であり、より好ましくは2.5~400分間であり、より好ましくは3.5~150分間であり、特に好ましくは8~100分間である。
【0127】
(A)成分の加熱は、常圧下で行ってよく、又は加圧下で行ってもよい。
【0128】
本発明において用いられる(A)成分加熱物は、(A)成分をどのような方法で加熱したものであってもよく、例えば、(A)成分を媒体中で加熱して得られるもの等であってよい。一態様として、(A)成分を媒体中で加熱する場合、用いられる媒体は特に制限されないが、例えば、ステロール、カロテノイド、リン脂質、糖脂質、ろう等の脂質類;炭化水素油(例、ミネラルオイル等)、エタノール、ポリエチレングリコール、水等が挙げられる。
【0129】
本発明において用いられる(A)成分加熱物が、(A)成分を媒体中で加熱して得られるものである場合において、当該(A)成分加熱物を得るために加熱された(A)成分のうち、(A1)成分の、加熱時における媒体中の濃度は、より効果的にマウスコーティング感を増強し得ることから、好ましくは0.0008~12000重量ppmであり、より好ましくは0.0008~1200重量ppmであり、更に好ましくは0.08~120重量ppmであり、特に好ましくは0.8~120重量ppmである。当該濃度は、一態様として、好ましくは0.0008~100000重量ppmであり、より好ましくは0.0008~50000重量ppmであり、更に好ましくは0.08~10000重量ppmであり、特に好ましくは0.8~5000重量ppmである。
【0130】
(A)成分を媒体中で加熱した後、得られた(A)成分加熱物は、媒体から分離して用いられてよく、または、例えば加熱に用いた媒体が食品材料として使用され得るもの等である場合は、得られた(A)成分加熱物を媒体から分離せずに、当該媒体ごと用いられてもよい。
【0131】
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、β-カリオフィレン(CAS登録番号:87-44-5)及びβ-カリオフィレン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物である。
【0132】
本発明において(B)成分として用いられ得るβ-カリオフィレン類縁化合物としては、例えば、イソカリオフィレン(CAS登録番号:118-65-0)、β-ピネン(CAS登録番号:127-91-3、18172-67-3等)、サビネン(CAS登録番号:3387-41-5)、オイゲノール(CAS登録番号:97-53-0)、リモネン(CAS登録番号:5989-27-5等)、リナロール(CAS登録番号:78-70-6等)、リナロールオキシド(CAS登録番号:60047-17-8等)、p-シメン(CAS登録番号:99-87-6等)、ファルネセン(CAS登録番号:502-61-4、26560-14-5等)、ミルセン(CAS登録番号:123-35-3等)、オシメン(CAS登録番号:13877-91-3等)、α-フェランドレン(CAS登録番号:99-83-2等)、α-テルピネン(CAS登録番号:99-86-5)、γ-テルピネン(CAS登録番号:99-85-4)、テルピノレン(CAS登録番号:586-62-9等)等のテルペン系炭化水素類;4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール(CAS登録番号:6627-88-9)、4-ビニルフェノール(CAS登録番号:2628-17-3等)等のフェノール類等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。β-カリオフィレン類縁化合物は、好ましくは、イソカリオフィレン、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、オイゲノール、リモネン、4-ビニルフェノール、リナロール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物であり、マウスコーティング感を効果的に向上し得ることから、より好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、4-ビニルフェノール、リナロールオキシド、p-シメン、ファルネセン、ミルセン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン及びテルピノレンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物であり、特に好ましくは、β-ピネン、サビネン、4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール、ミルセン、α-フェランドレン及びテルピノレンからなる群より選択される少なくとも一つの化合物である。
【0133】
(B)成分の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造でき、例えば合成品又は抽出品等であってよい。また市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
【0134】
(B)成分の加熱方法は特に制限されず、例えば、上述の(A)成分の加熱方法と同様であってよく、その好適な態様も同様である。
【0135】
(B)成分の加熱温度は、加熱時間等に応じて適宜調整してよいが、マウスコーティング感増強効果により優れる(B)成分加熱物を得ることができることから、好ましくは40~200℃であり、より好ましくは50~150℃であり、更に好ましくは、50~120℃であり、特に好ましくは80~120℃である。
【0136】
(B)成分の加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調整してよいが、マウスコーティング感増強効果により優れる(B)成分加熱物を得ることができることから、好ましくは0.1~500分間であり、より好ましくは2.5~400分間であり、より好ましくは3.5~150分間であり、特に好ましくは8~100分間である。
【0137】
本発明において用いられる(B)成分加熱物は、(B)成分をどのような方法で加熱したものであってもよく、例えば、(B)成分を媒体中で加熱して得られるもの等であってよい。一態様として、(B)成分を媒体中で加熱する場合、用いられる媒体は特に制限されないが、例えば、油脂、脂肪酸(例、酢酸、イソ吉草酸等)、ステロール、カロテノイド、リン脂質、糖脂質、ろう等の脂質類;グリセロール、脂肪族アルコール、炭化水素油(例、ミネラルオイル等)、エタノール、ポリエチレングリコール、水、無機酸(例、塩酸、硫酸等)が挙げられる。(B)成分を加熱するための媒体として、(A2)成分を用いることもできる。(B)成分は、本発明の目的を損なわない限り、媒体以外の成分(例、(A)成分等)の共存下で加熱してもよい。
【0138】
(B)成分の加熱に用いられ得る油脂としては、例えば、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、糠油、紅花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、荏油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、中性脂肪酸油等の植物油脂;豚脂(ラード)、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油等の動物油脂等が挙げられる。また、上述の油脂をエステル交換したエステル交換油、上述の油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。上述の油脂は精製されたもの(例、サラダ油等)であってよい。これらの油脂は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0139】
本発明において用いられる(B)成分加熱物が、(B)成分を媒体中で加熱して得られるものである場合において、(B)成分の、加熱時における媒体中の濃度は、より効果的にマウスコーティング感を増強し得ることから、好ましくは0.0008~12000重量ppmであり、より好ましくは0.0008~1200重量ppmであり、更に好ましくは0.08~120重量ppmであり、特に好ましくは0.8~120重量ppmである。当該濃度は、一態様として、好ましくは0.0008~100000重量ppmであり、より好ましくは0.0008~50000重量ppmであり、更に好ましくは0.08~10000重量ppmであり、特に好ましくは0.8~5000重量ppmである。
【0140】
(B)成分を媒体中で加熱した後、得られた(B)成分加熱物は、媒体から分離して、本発明のマウスコーティング感増強剤に用いられてよく、または、例えば加熱に用いた媒体が食品材料として使用され得るもの等である場合は、得られた(B)成分加熱物を媒体から分離せずに、当該媒体ごと本発明のマウスコーティング感増強剤に用いられてもよい。
【0141】
本発明のマウスコーティング感増強剤が、一態様として、(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を有効成分として含有し、当該(A)成分加熱物を得るために加熱された(A)成分のうち、(A1)成分の量をA1(重量)とし、かつ、当該(B)成分加熱物を得るために加熱された(B)成分の量をB(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、好ましくは1:0.00000008~12000000の範囲内であり、より好ましくは1:0.000008~1200000の範囲内であり、更に好ましくは1:0.008~12000の範囲内であり、特に好ましくは1:0.08~1200の範囲内である。ここで、A1及びBの重量単位は同一である。
【0142】
本発明のマウスコーティング感増強剤が、一態様として、(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を有効成分として含有する場合、当該(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物は、(A)成分及び(B)成分が個別に加熱されて得られたものであってよく、あるいは、これらが併せて加熱されて得られたものであってもよい。すなわち、本明細書中、「(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物」には、個別に得られた(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物の混合物、並びに、(A)成分及び(B)成分を併せて加熱して得られる加熱物が、包含される。(A)成分及び(B)成分を併せて加熱して得られる「(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物」としては、例えば、(A)成分及び(B)成分を一つの媒体中で加熱して得られる加熱物等が挙げられる。
【0143】
[(C)成分]
本発明の(C)成分は、下記の化合物群(C)から選択される少なくとも一つである。
[化合物群(C)]
・β-カリオフィレンオキシド(CAS登録番号:1139-30-6)
・α-ピネンオキシド(CAS登録番号:72936-74-4、19894-99-6)
・リモネンオキシド(CAS登録番号:1195-92-2等)
・α-テルピネノール(CAS登録番号:98-55-5)
・一般式(II):
【0144】
【化38】
【0145】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
・一般式(III):
【0146】
【化39】
【0147】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
・一般式(IV):
【0148】
【化40】
【0149】
〔式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
・一般式(V):
【0150】
【化41】
【0151】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基、又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す〕
で表される化合物
・(1S,6S,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン(CAS登録番号:68263-68-3):
【0152】
【化42】
【0153】
・(1S,6R,9R)-6,10,10-トリメチル-2-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オン(CAS登録番号:68330-80-3):
【0154】
【化43】
【0155】
・(1R,4R,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド(CAS登録番号:151121-36-7):
【0156】
【化44】
【0157】
・(1R,4S,8S)-4,10,10-トリメチル-7-メチレンビシクロ[6.2.0]デカン-4-カルボキサルデヒド(CAS登録番号:2073828-10-9):
【0158】
【化45】
【0159】
・(1S,2S,5R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[7.2.1.02,5]ドデス-7-エン(CAS登録番号:1039439-81-0):
【0160】
【化46】
【0161】
・(1R,2S,5R,8R,9R)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール(CAS登録番号:1040220-66-3):
【0162】
【化47】
【0163】
・(1R,2S,5R,8R,9S)-1,4,4,8-テトラメチル-12-オキサトリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-9-オール(CAS登録番号:103189-32-8):
【0164】
【化48】
【0165】
・[1R-(1α,2α,5β,8β,9α)]-4,4,8-トリメチル-トリシクロ[6.3.1.02,5]ドデカン-1,9-ジオール(CAS登録番号:155485-75-9):
【0166】
【化49】
【0167】
(一般式(II)で表される化合物)
以下、一般式(II)の各基について説明する。
【0168】
一般式(II)におけるR及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す。
【0169】
及びRにおける「炭素原子数1~18のアシル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよい。当該アシル基は、飽和であってよく、又は不飽和結合を含んでいてもよい。当該アシル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~5である。炭素原子数1~18のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、カプロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等が挙げられ、好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、イソバレリル基であり、より好ましくはホルミル基、アセチル基、イソバレリル基であり、特に好ましくはアセチル基、イソバレリル基である。
【0170】
及びRにおける「炭素原子数1~6のアルキル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アルキル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0171】
一般式(II)におけるRは、好ましくは、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数1~5のアシル基、又は炭素原子数1~4のアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子、アセチル基、イソバレリル基又はメチル基である。
【0172】
一般式(II)におけるRは、好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~18のアシル基であり、より好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~5のアシル基であり、特に好ましくは、水素原子又はアセチル基である。
【0173】
以下に好適な化合物(II)を示す。
【0174】
[化合物(IIA)]
が、水素原子、炭素原子数1~18のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基であり;
が、水素原子又は炭素原子数1~18のアシル基を示す
化合物(II)。
【0175】
[化合物(IIB)]
が、水素原子、炭素原子数1~5のアシル基又は炭素原子数1~4のアルキル基であり;
が、水素原子又は炭素原子数1~5のアシル基を示す
化合物(II)。
【0176】
[化合物(IIC)]
が、水素原子、アセチル基、イソバレリル基又はメチル基であり;
が、水素原子又はアセチル基を示す
化合物(II)。
【0177】
好適な化合物(II)の具体例としては、
クロバンジオール(CAS登録番号:2649-64-1):
【0178】
【化50】
【0179】
クロバンジオール-3-モノアセテート(CAS登録番号:127156-28-9):
【0180】
【化51】
【0181】
クロバンジオールジアセテート(CAS登録番号:2649-68-5):
【0182】
【化52】
【0183】
クロバンジオール-3-モノイソバレレート(CAS登録番号:1891070-50-0):
【0184】
【化53】
【0185】
2-メトキシクロバノール(CAS登録番号:127156-29-0):
【0186】
【化54】
【0187】
等が挙げられる。
【0188】
(一般式(III)で表される化合物)
以下、一般式(III)の各基について説明する。
【0189】
一般式(III)におけるRは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す。
【0190】
における「炭素原子数1~6のアシル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アシル基は、飽和であってよく、又は不飽和結合を含んでいてもよい。当該アシル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等が挙げられ、好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基であり、より好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基であり、特に好ましくはアセチル基である。
【0191】
における「炭素原子数1~6のアルキル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アルキル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0192】
一般式(III)におけるRは、好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~6のアシル基であり、より好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~4のアシル基であり、特に好ましくは、水素原子又はアセチル基である。
【0193】
一般式(III)における波線は、シス-トランス異性体のうち、いずれか一方または両方の混合物であることを意味する。
【0194】
好適な化合物(III)の具体例としては、
カリオフィレノールII(CAS登録番号:32214-89-4):
【0195】
【化55】
【0196】
カリオフィレノールI(CAS登録番号:32214-88-3):
【0197】
【化56】
【0198】
(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール(CAS登録番号:19431-76-6):
【0199】
【化57】
【0200】
(1R,3Z,5S,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール(CAS登録番号:19431-77-7):
【0201】
【化58】
【0202】
(1R,3EZ,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール-5-アセテート
【0203】
【化59】
【0204】
等が挙げられる。
【0205】
(一般式(IV)で表される化合物)
以下、一般式(IV)の各基について説明する。
【0206】
一般式(IV)におけるRは、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す。
【0207】
における「炭素原子数1~6のアシル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アシル基は、飽和であってよく、又は不飽和結合を含んでいてもよい。当該アシル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等が挙げられ、好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基であり、より好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基であり、特に好ましくはアセチル基である。
【0208】
における「炭素原子数1~6のアルキル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アルキル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0209】
一般式(IV)におけるRは、好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~6のアシル基であり、より好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~4のアシル基であり、特に好ましくは、水素原子又はアセチル基である。
【0210】
好適な化合物(IV)の具体例としては、
カリオフィラジエノールII(CAS登録番号:19431-79-9):
【0211】
【化60】
【0212】
カリオフィラジエノールI(CAS登録番号:19431-80-2):
【0213】
【化61】
【0214】
(1S,5R,9R)-10,10-ジメチル-2,6-ビスメチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オールアセテート(CAS登録番号:99805-59-1):
【0215】
【化62】
【0216】
(1S,5S,9R)-10,10-ジメチル-2,6-ビスメチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オールアセテート(CAS登録番号:99881-55-7):
【0217】
【化63】
【0218】
等が挙げられる。
【0219】
(一般式(V)で表される化合物)
以下、一般式(V)の各基について説明する。
【0220】
一般式(V)におけるR及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアシル基又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す。
【0221】
及びRにおける「炭素原子数1~6のアシル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アシル基は、飽和であってよく、又は不飽和結合を含んでいてもよい。当該アシル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等が挙げられ、好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基であり、より好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基であり、特に好ましくはアセチル基である。
【0222】
及びRにおける「炭素原子数1~6のアルキル基」は、直鎖状であってよく、又は分岐を有していてもよいが、好ましくは直鎖状である。当該アルキル基に含まれる炭素原子数は、好ましくは1~4である。炭素原子数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0223】
一般式(V)におけるRは、好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子又はメチル基である。
【0224】
一般式(V)におけるRは、好ましくは、水素原子である。
【0225】
以下に好適な化合物(V)を示す。
【0226】
[化合物(VA)]
が、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基であり;
が、水素原子を示す
化合物(V)。
【0227】
[化合物(VB)]
が、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基であり;
が、水素原子を示す
化合物(V)。
【0228】
[化合物(VC)]
が、水素原子又はメチル基であり;
が、水素原子を示す
化合物(V)。
【0229】
好適な化合物(V)の具体例としては、
(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール(CAS登録番号:187935-72-4):
【0230】
【化64】
【0231】
(1R,4S,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール(CAS登録番号:151029-00-4):
【0232】
【化65】
【0233】
(1S,5R,6R,9R)-6-メトキシ-6,10,10-トリメチル-2-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オール(CAS登録番号:178939-28-1):
【0234】
【化66】
【0235】
(1S,5R,6S,9R)-6-メトキシ-6,10,10-トリメチル-2-メチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オール(CAS登録番号:187935-73-5):
【0236】
【化67】
【0237】
等が挙げられる。
【0238】
成分(C)は、好ましくは、β-カリオフィレンオキシド、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノールクロバンジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレート等の含酸素テルペン誘導体である。
【0239】
(C)成分の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造でき、例えば合成品又は抽出品等であってよい。具体的には、(C)成分は、後述の実施例に記載の方法によって製造し得る。また、(C)成分として市販品も利用でき、簡便であることから好ましい。
【0240】
本発明のマウスコーティング感増強剤が、一態様として、(C)成分を含有する場合、本発明のマウスコーティング感増強剤における(C)成分の含有量は、本発明のマウスコーティング感増強剤に対して、好ましくは0.00001重量%以上であり、より好ましくは0.0001重量%以上であり、特に好ましくは0.001重量%以上である。また当該含有量は、本発明のマウスコーティング感増強剤に対して、好ましくは100重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは90重量%以下である。
【0241】
本発明のマウスコーティング感増強剤の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
【0242】
本発明のマウスコーティング感増強剤は、一態様として、(A)成分加熱物(及び、(A)成分の加熱に用いた媒体等)のみ、あるいは、(B)成分加熱物(及び、(B)成分の加熱に用いた媒体等)のみからなるものであってよく、(A)成分加熱物(及び、(A)成分の加熱に用いた媒体等)並びに(B)成分加熱物(及び、(B)成分の加熱に用いた媒体等)のみからなるものであってもよいが、これらの加熱物に加えて、本発明のマウスコーティング感増強剤の形態等に応じた慣用の基剤をさらに含有することもできる。
本発明のマウスコーティング感増強剤は、他の一態様として、(C)成分のみからなるものであってもよいが、これに加えて、本発明のマウスコーティング感増強剤の形態等に応じた慣用の基剤をさらに含有することもできる。
【0243】
本発明のマウスコーティング感増強剤の形態が液体状の場合の基剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
本発明のマウスコーティング感増強剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース及びグルコース等の各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
【0244】
本発明のマウスコーティング感増強剤は、本発明の目的を損なわない限り、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物、あるいは(C)成分に加えて、例えば、賦形剤、pH調整剤、酸化防止剤、増粘安定剤、甘味料(例、砂糖類等)、酸味料、香辛料、着色料等を更に含有してよい。
【0245】
本発明のマウスコーティング感増強剤の製造は、自体公知の手法により行い得る。本発明のマウスコーティング感増強剤は、例えば、濃縮処理、乾燥処理、脱色処理等を、単独で又は組み合わせて施されてもよい。
【0246】
本発明のマウスコーティング感増強剤に含有され得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、上述の通り、(A)成分及び/又は(B)成分を加熱して得られる物質であるから、本発明のマウスコーティング感増強剤の製造方法は、(A)成分及び/又は(B)成分を加熱することを含むものであり得る。本発明のマウスコーティング感増強剤の製造方法において、(A)成分、(B)成分の加熱方法は、上述の(A)成分、(B)成分の加熱方法と同様であり、その好適な態様も同様である。また、それぞれの加熱温度、加熱時間も、前述のものと同様に設定すればよい。
【0247】
本発明のマウスコーティング感増強剤の製造方法が、一態様として、(A)成分及び(B)成分を加熱することを含む場合において、加熱する(A)成分のうち(A1)成分の量を、A1(重量)とし、かつ、加熱する(B)成分の量を、B(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、上述のBとA1との比(B:A1)と同様の範囲内に設定すればよく、好ましい範囲も同様である。
【0248】
本発明のマウスコーティング感増強剤の製造方法が、(A)成分及び(B)成分を加熱することを含む場合、当該(A)成分及び(B)成分は個別に加熱してよく、あるいは、これらを併せて加熱してもよい。(A)成分及び(B)成分を併せて加熱する方法としては、例えば、(A)成分及び(B)成分の両方を、一つの媒体に溶解又は分散させた後、これを加熱する方法等が挙げられる。
【0249】
本発明のマウスコーティング感増強剤は、食品に添加されて用いられ得る。本発明のマウスコーティング感増強剤を食品に添加することにより、当該食品のマウスコーティング感を増強し得る。
本発明において「マウスコーティング感」とは、油脂あるいは油脂を含む溶液又は食品を口腔内に含んだ際に顕著に感じられる、口腔内が薄い膜で覆われる感覚、口腔内が油脂又は油脂様の膜で覆われる感覚、口腔内で感じるなめらかな感覚、並びに、口腔内全体に広がる油脂様の濃厚な感覚(あつみ)をいう。マウスコーティング感の「増強」とは、上記の感覚の少なくとも一つが増強されることをいう。マウスコーティング感の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
また本発明において「食品」とは、経口的に摂取し得るものを広く包含する概念であり、例えば、飲料、調味料、食品添加物等も包含する。
【0250】
本発明のマウスコーティング感増強剤が添加され得る食品は、元から喫食に適した状態で提供(販売、流通)されるものであってよく、又は喫食に適した状態になるための所定の処理や調理を必要とする状態で提供されるものであってもよい。例えば、本発明のマウスコーティング感増強剤が添加され得る食品は、喫食に適した状態となるために水等で希釈することを必要とする濃縮物等として提供されてよい。
【0251】
本発明のマウスコーティング感増強剤が添加され得る食品は、マウスコーティング感を有することを所望され得るものであれば特に制限されないが、例えば、油脂(例、植物油脂、動物油脂等)、マヨネーズ、スープ、ドレッシング、カレーフライ食品、スナック菓子、チョコレート、クッキー、パン、油脂を含有する乳及び乳製品(例、生乳、牛乳、低脂肪乳、クリーム、バター、マーガリン、ファットスプレッド、チーズ、ヨーグルト等)、油脂を含有する飲料、油脂を含有する麺類(例、フライ麺等)等の油脂含有食品;ノンオイルドレッシング、油脂を含有しない乳及び乳製品(無脂肪乳、脱脂粉乳、無脂肪ヨーグルト)、油脂を含有しない飲料(例、コーヒー飲料等)、油脂を含有しない麺類(例、ノンフライ麺、生麺、パスタ、麺帯)等の油脂を含有しない食品が挙げられる。ここで油脂含有食品は、油脂のみを含有するものでもあってよく、すなわち、油脂含有食品は、油脂そのものであってよい。
【0252】
本発明のマウスコーティング感増強剤は、油脂を口腔内に含んだときに感じられるマウスコーティング感を顕著に増強し得ることから、油脂含有食品に添加されて用いられることが好ましく、すなわち本発明のマウスコーティング感剤は、好ましくは、油脂含有食品用である。
【0253】
本発明のマウスコーティング感増強剤が用いられ得る油脂含有食品が含有する油脂は、食用であれば特に制限されないが、例えば、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、糠油、紅花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、荏油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、中性脂肪酸油等の植物油脂;豚脂(ラード)、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油、乳脂肪等の動物油脂等が挙げられる。また、上述の油脂をエステル交換したエステル交換油、上述の油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。上述の油脂は精製されたもの(例、サラダ油等)であってよい。これらの油脂は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0254】
本発明のマウスコーティング感増強剤が用いられ得る油脂含有食品における油脂の含有量は特に制限されないが、より明確に効果が発揮され得ることから、好ましくは0.1~100重量%、より好ましくは0.5~100重量%である。
【0255】
本発明のマウスコーティング感増強剤を食品に添加する方法及び条件は特に限定されず、本発明のマウスコーティング感増強剤の形態や食品の種類等に応じて適宜設定できる。本発明のマウスコーティング感増強剤を食品に添加する時期は特に限定されず、いかなる時点で添加してもよいが、例えば、食品の製造中、食品の完成後(食品の喫食直前、食品の喫食中等)等が挙げられる。食品を製造する前の原料に本発明のマウスコーティング感増強剤を添加してもよい。
【0256】
本発明のマウスコーティング感増強剤が、一態様として、(C)成分を含有する場合、本発明のマウスコーティング感増強剤は、食品に添加される(C)成分の量が、食品に対して、好ましくは0.0001重量ppm以上、より好ましくは0.0005重量ppm以上、特に好ましくは0.001重量ppm以上となるように、食品に添加され得る。また、この場合、本発明のマウスコーティング感増強剤は、食品に添加される(C)成分の量が、食品に対して、好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下、特に好ましくは10重量ppm以下となるように、食品に添加され得る。
【0257】
<マウスコーティング感増強方法>
本発明は、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含む、マウスコーティング感増強方法も提供する。
また本発明は、(C)成分を添加することを含む、マウスコーティング感増強方法も提供する。
本明細書中、これらの方法を、まとめて「本発明のマウスコーティング感増強方法」と称する場合がある。
【0258】
本発明のマウスコーティング感増強方法において用いられ得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、本発明のマウスコーティング感増強剤に含有され得る上述の(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物と同様のものであり、好適な態様も同様である。またそれらの製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0259】
本発明のマウスコーティング感増強方法において用いられ得る(C)成分は、本発明のマウスコーティング感増強剤に含有され得る上述の(C)成分と同様のものであり、好適な態様も同様である。またそれらの製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0260】
本発明のマウスコーティング感増強方法が、一態様として、(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を添加することを含む場合において、当該加熱物を得るために加熱された(A)成分のうち、(A1)成分の量をA1(重量)とし、かつ、当該加熱物を得るために加熱された(B)成分の量をB(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、上述のBとA1との比(B:A1)と同様の範囲内に設定すればよく、好ましい範囲も同様である。
【0261】
本発明のマウスコーティング感増強方法において用いられ得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、上述の通り、それぞれ(A)成分及び/又は(B)成分を加熱して得られる物質であるから、本発明のマウスコーティング感増強方法は、(A)成分及び/又は(B)成分を加熱すること、並びに、得られた(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含み得る。
【0262】
本発明のマウスコーティング感増強方法によれば、食品のマウスコーティング感を増強し得る。本発明のマウスコーティング感増強方法により、マウスコーティング感を増強し得る食品の例としては、本発明のマウスコーティング感増強剤が添加され得る食品として例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0263】
本発明のマウスコーティング感増強方法は、油脂を口腔内に含んだときに感じられるマウスコーティング感を顕著に増強し得ることから、好ましくは、油脂含有食品のマウスコーティング感増強方法である。
【0264】
本発明のマウスコーティング感増強方法において、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加する方法及び条件は特に限定されず、食品の種類等に応じて適宜設定できる。(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加する時期は特に限定されず、いかなる時点で添加してもよいが、例えば、食品の製造中、食品の完成後(食品の喫食直前、食品の喫食中等)等が挙げられる。食品を製造する前の原料に(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加してもよい。
【0265】
本発明のマウスコーティング感増強方法において、(C)成分を添加する方法及び条件は特に限定されず、食品の種類等に応じて適宜設定できる。(C)成分を添加する時期は特に限定されず、いかなる時点で添加してもよいが、例えば、食品の製造中、食品の完成後(食品の喫食直前、食品の喫食中等)等が挙げられる。食品を製造する前の原料に(C)成分を添加してもよい。
【0266】
本発明のマウスコーティング感増強方法において、(C)成分の添加は、食品に添加される(C)成分の量が、本発明のマウスコーティング感増強剤を食品に添加するときの、食品に添加される(C)成分の量(上述)と同様となるように行い得る。
【0267】
<食品の製造方法>
本発明は、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含む、食品の製造方法も提供する。
また本発明は、(C)成分を添加することを含む、食品の製造方法も提供する。
本明細書中、これらの製造方法を、まとめて「本発明の製造方法」と称する場合がある。
【0268】
本発明の製造方法において用いられ得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、本発明のマウスコーティング感増強剤に含有され得る上述の(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物と同様のものであり、好適な態様も同様である。またそれらの製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0269】
本発明の製造方法において用いられ得る(C)成分は、本発明のマウスコーティング感増強剤に含有され得る上述の(C)成分と同様のものであり、好適な態様も同様である。またそれらの製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0270】
本発明の製造方法が、(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を添加することを含む場合、当該加熱物を得るために加熱された(A)成分のうち、(A1)成分の量をA1(重量)とし、かつ、当該加熱物を得るために加熱された(B)成分の量をB(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、上述のBとA1との比(B:A1)と同様の範囲内に設定すればよく、好ましい範囲も同様である。
【0271】
本発明の製造方法において用いられ得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、上述の通り、それぞれ(A)成分及び/又は(B)成分を加熱して得られる物質であるから、本発明の製造方法は、(A)成分及び/又は(B)成分を加熱することを含み得る。また本発明の製造方法は、得られた(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含み得る。
【0272】
本発明の製造方法において、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加する方法及び条件は特に限定されず、製造する食品の種類等に応じて適宜設定できる。(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加する時期は特に限定されず、食品の製造開始から完成までのいかなる時点で添加してもよい。また、食品を製造する前の原料に(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加してもよい。
【0273】
本発明の製造方法において、(C)成分を添加する方法及び条件は特に限定されず、食品の種類等に応じて適宜設定できる。(C)成分を添加する時期は特に限定されず、食品の製造開始から完成までのいかなる時点で添加してもよい。また、食品を製造する前の原料に(C)成分を添加してもよい。
【0274】
本発明の製造方法において、(C)成分の添加は、食品に添加される(C)成分の量が、本発明のマウスコーティング感増強剤を食品に添加するときの、食品に添加される(C)成分の量(上述)と同様となるように行い得る。
【0275】
本発明の製造方法は、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物、あるいは(C)成分を添加することに加えて、食品の製造において慣用の処理工程、調理工程を、製造する食品の種類等に応じて適宜含んでよい。
【0276】
本発明の製造方法によれば、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物、あるいは(C)成分を含有する食品を製造し得、好ましくは、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物、あるいは(C)成分を含有し、マウスコーティング感が増強された食品を製造し得る。本発明の製造方法によって製造され得る食品の例としては、本発明のマウスコーティング感増強剤が添加され得る食品として例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0277】
本発明の製造方法は、好ましくは、油脂含有食品の製造方法であり、より好ましくは、マウスコーティング感が増強された油脂含有食品の製造方法である。
【0278】
<コーヒー焙煎感増強剤>
本発明のコーヒー焙煎感増強剤は、一態様として、(A)成分及び/又は(B)成分の加熱物を有効成分として含むことを、特徴の一つとする。
本発明のコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、本発明のマウスコーティング感増強剤に含有され得る上述の(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物と同様のものであり、好適な態様も同様である。またそれらの製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0279】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤は、他の一態様として、(C)成分を有効成分として含むことを、特徴の一つとする。
本発明のコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る(C)成分は、本発明のマウスコーティング感増強剤に含有され得る上述の(C)成分と同様のものであり、好適な態様も同様である。またその製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0280】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤が(A)成分加熱物を含む場合、(A)成分の加熱温度は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは80~150℃であり、より好ましくは80~130℃であり、特に好ましくは85~120℃である。また、この場合、(A)成分の加熱時間は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは5~150分間であり、より好ましくは10~120分間であり、特に好ましくは20~100分間である。
【0281】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤が(B)成分加熱物を含む場合、(B)成分の加熱温度は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは70~150℃であり、より好ましくは80~130℃であり、特に好ましくは85~120℃である。また、この場合、(B)成分の加熱時間は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは5~150分間であり、より好ましくは10~120分間であり、特に好ましくは20~100分間である。
【0282】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤の形態、本発明のコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物の量、本発明のコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る基剤は、いずれも本発明のマウスコーティング感増強剤と同様である。
【0283】
また、本発明のコーヒー焙煎感増強剤が(C)成分を含有する場合の、(C)成分の含有量、食品に添加される(C)成分の量は、いずれも本発明のマウスコーティング感増強剤と同様である。
【0284】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤が、一態様として、(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を含有し、当該(A)成分加熱物を得るために加熱された(A)成分のうち、(A1)成分の量をA1(重量)とし、かつ、当該(B)成分加熱物を得るために加熱された(B)成分の量をB(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは1:1~10の範囲内であり、より好ましくは1:1~8の範囲内であり、特に好ましくは1:1~6の範囲内である。ここで、A1及びBの重量単位は同一である。
【0285】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤の製造は、本発明のマウスコーティング感増強剤の製造と同様に行い得、その好適な態様も同様である。
【0286】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤の製造方法が、一態様として、(A)成分及び(B)成分を加熱することを含む場合において、加熱する(A)成分のうち(A1)成分の量を、A1(重量)とし、かつ、加熱する(B)成分の量を、B(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは1:1~10の範囲内であり、より好ましくは1:1~8の範囲内であり、特に好ましくは1:1~6の範囲内である。ここで、A1及びBの重量単位は同一である。
【0287】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤は、コーヒー飲料に添加されて用いられ得る。本発明のコーヒー焙煎感増強剤をコーヒー飲料に添加することにより、当該コーヒー飲料の焙煎感を増強し得る。
本発明において「コーヒー焙煎感」とは、コーヒー様の香ばしい香り及び苦味をいう。コーヒー焙煎感の「増強」とは、コーヒー様の香ばしい香り及び苦味の少なくとも一つが増強されることをいう。コーヒー焙煎感の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
また本発明において「コーヒー飲料」とは、コーヒー豆由来の成分を原料の一つとする飲料を意味する。ここで、コーヒー豆由来の成分としては、例えば、焙煎したコーヒー豆の粉砕物から水や温水で抽出した液(コーヒー抽出液)や、コーヒー抽出液に乾燥処理等を施して得られるインスタントコーヒー粉末、市販のインスタントコーヒー粉末、市販のコーヒーポーション(濃縮コーヒー液)等が挙げられる。コーヒー飲料は、コーヒー豆由来の成分以外の成分(例、乳、乳製品、甘味料等)を含有してよい。
【0288】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤は、ミルク感も増強し得る。本発明において「ミルク感」とは、ミルク様の香り及び甘味をいう。ミルク感の「増強」とは、ミルク様の香り及び甘味の少なくとも一つが増強されることをいう。ミルク感の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
【0289】
本発明のコーヒー焙煎感増強剤をコーヒー飲料に添加する方法及び条件は特に限定されず、本発明のコーヒー焙煎感の形態等に応じて適宜設定できる。本発明のコーヒー焙煎感増強剤をコーヒー飲料に添加する時期は特に限定されず、いかなる時点で添加してもよいが、例えば、コーヒー飲料の製造中、コーヒー飲料の完成後(コーヒー飲料の飲用直前、コーヒー飲料の飲用中等)等が挙げられる。
【0290】
<コーヒー焙煎感増強方法>
本発明は、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含む、コーヒー焙煎感増強方法も提供する。
また本発明は、(C)成分を添加することを含む、コーヒー焙煎感増強方法も提供する。
本明細書中、これらの方法を、まとめて「本発明のコーヒー焙煎感増強方法」と称する場合がある。
【0291】
本発明のコーヒー焙煎感増強方法において用いられ得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、本発明のマウスコーティング感増強剤又はコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る上述の(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物と同様のものであり、好適な態様も同様である。またそれらの製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0292】
本発明のコーヒー焙煎感増強方法において用いられ得る(C)成分は、本発明のマウスコーティング感増強剤又はコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る上述の(C)成分と同様のものであり、好適な態様も同様である。またその製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0293】
本発明のコーヒー焙煎感増強方法は、特に断りのない限り、本発明のマウスコーティング感増強方法と同様に行い得る。本発明のコーヒー焙煎感増強方法は、本発明のマウスコーティング感増強方法と同様に、(A)成分及び/又は(B)成分を加熱すること、並びに、得られた(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含み得る。
【0294】
本発明のコーヒー焙煎感増強方法が、一態様として、(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を添加することを含む場合において、当該加熱物を得るために加熱された(A)成分のうち、(A1)成分の量をA1(重量)とし、かつ、当該加熱物を得るために加熱された(B)成分の量をB(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは1:1~10の範囲内であり、より好ましくは1:1~8の範囲内であり、特に好ましくは1:1~6の範囲内である。ここで、A1及びBの重量単位は同一である。
【0295】
本発明のコーヒー焙煎感増強方法によれば、コーヒー飲料のコーヒー焙煎感を増強し得る。またコーヒー飲料のミルク感を増強し得る。
【0296】
本発明のコーヒー焙煎感増強方法において、コーヒー飲料に(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加する時期は特に限定されず、いかなる時点で添加してもよいが、例えば、コーヒー飲料の製造中、コーヒー飲料の完成後(コーヒー飲料の飲用直前、食品の飲用中等)等が挙げられる。コーヒー飲料を製造する前の原料に(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加してもよい。
【0297】
<コーヒー飲料の製造方法>
本発明は、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含む、コーヒー飲料の製造方法も提供する。
また本発明は、(C)成分を添加することを含む、コーヒー飲料の製造方法も提供する。
本明細書中、これらの製造方法を、まとめて「本発明のコーヒー飲料の製造方法」と称する場合がある。
【0298】
本発明のコーヒー飲料の製造方法において用いられ得る(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物は、本発明のマウスコーティング感増強剤又はコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る上述の(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物と同様のものであり、好適な態様も同様である。またそれらの製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0299】
本発明のコーヒー飲料の製造方法において用いられ得る(C)成分は、本発明のマウスコーティング感増強剤又はコーヒー焙煎感増強剤に含有され得る上述の(C)成分と同様のものであり、好適な態様も同様である。またその製造も、上述の方法と同様に行い得る。
【0300】
本発明のコーヒー飲料の製造方法は、特に断りのない限り、本発明の製造方法と同様に行い得る。本発明のコーヒー飲料の製造方法は、本発明の製造方法と同様に、(A)成分及び/又は(B)成分を加熱すること、並びに、得られた(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することを含み得る。
【0301】
本発明のコーヒー飲料の製造方法が、(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を添加することを含む場合、当該加熱物を得るために加熱された(A)成分のうち、(A1)成分の量をA1(重量)とし、かつ、当該加熱物を得るために加熱された(B)成分の量をB(重量)としたとき、当該BとA1との比(B:A1)は、コーヒー焙煎感を効果的に増強し得ることから、好ましくは1:1~10の範囲内であり、より好ましくは1:1~8の範囲内であり、特に好ましくは1:1~6の範囲内である。ここで、A1及びBの重量単位は同一である。
【0302】
本発明のコーヒー飲料の製造方法によれば、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物、あるいは(C)成分を含有するコーヒー飲料を製造し得、好ましくは、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物、あるいは(C)成分を含有し、コーヒー焙煎感が増強されたコーヒー飲料を製造し得、より好ましくは、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物、あるいは(C)成分を含有し、コーヒー焙煎感及びミルク感が増強されたコーヒー飲料を製造し得る。
【0303】
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、本明細書において「%」、「ppm」と記載されている場合は、特に断りのない限り「重量%」、「重量ppm」を意味する。
【実施例
【0304】
(試験例1)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル1-1~1-4>
β-カリオフィレン、並びにフルフリルアルコール又はフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に添加し、下表1に示す各濃度(β-カリオフィレン:紅花油に対して10ppm、フルフリルアルコール:紅花油に対して100ppm、フルフラール:紅花油に対して1~100ppm)で溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない紅花油を添加する代わりに1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル1-1~1-4とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、3名の専門パネルが、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール及び評価サンプルの各マヨネーズを喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0~5.0点の範囲で、評価サンプルを0.1点刻みで評点付けすることにより行った。
結果を下表1に示す。
【0305】
【表1】
【0306】
表1の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフリルアルコール及び紅花油の加熱物、β-カリオフィレン、フルフラール及び紅花油の加熱物)により、各評価サンプルのマウスコーティング感が効果的に増強した。
【0307】
(試験例2)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル2-1~2-4>
β-カリオフィレン、2-ヘキセナール、並びにフルフリルアルコール又はフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表2に示す各濃度(β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して10ppm、フルフリルアルコール:ミネラルオイルに対して100ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して1~100ppm、2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して10ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各ミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していないミネラルオイルを添加する代わりに1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル2-1~2-4とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表2に示す。
【0308】
【表2】
【0309】
表2の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフリルアルコール及び2-ヘキセナールの加熱物、β-カリオフィレン、フルフラール及び2-ヘキセナールの加熱物)により、各評価サンプルのマウスコーティング感が効果的に増強した。
【0310】
(試験例3)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.001~1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.001~1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル3-1~3-11>
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に添加し、下表3に示す各濃度(β-カリオフィレン:紅花油に対して10~10000ppm、フルフラール:紅花油に対して10~10000ppm)で溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない紅花油を添加する代わりに0.001~1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル3-1~3-11とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表3に示す。
【0311】
【表3】
【0312】
表3の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び紅花油の加熱物)により、各評価サンプルのマウスコーティング感が効果的に増強した。
【0313】
(試験例4)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を0.001~1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を0.001~1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル4-1~4-11>
β-カリオフィレン、フルフラール及び2-ヘキセナール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表4に示す各濃度(β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して10~10000ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して10~10000ppm、2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して10~10000ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各ミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していないミネラルオイルを添加する代わりに0.001~1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル4-1~4-11とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表4に示す。
【0314】
【表4】
【0315】
表4の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び2-ヘキセナールの加熱物)により、各評価サンプルのマウスコーティング感が効果的に増強した。
【0316】
(試験例5-1)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.2重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.2重量%添加したものを使用した。
【0317】
<評価サンプル5-1~5-8>
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に添加し、下表5に示す各濃度(β-カリオフィレン:紅花油に対して100ppm、フルフラール:紅花油に対して100ppm)で溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-1とした。
【0318】
フルフラール(シグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に添加し、下表5に示す濃度(紅花油に対して100ppm)で溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-2とした。
【0319】
β-カリオフィレン(シグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に添加し、下表5に示す濃度(紅花油に対して100ppm)で溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-3とした。
【0320】
紅花油(味の素株式会社製)を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.2重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル5-4とした。
【0321】
紅花油(味の素株式会社製)及びフルフラール(シグマアルドリッチ社製)を、それぞれウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した後、混合した。加熱前のフルフラールの量は、加熱前の紅花油に対して100ppmとした。得られた混合物を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-5とした。
【0322】
紅花油(味の素株式会社製)及びβ-カリオフィレン(シグマアルドリッチ社製)を、それぞれウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した後、混合した。加熱前のβ-カリオフィレンの量は、加熱前の紅花油に対して100ppmとした。得られた混合物を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-6とした。
【0323】
紅花油(味の素株式会社製)、フルフラール及びβ-カリオフィレン(いずれもシグマアルドリッチ社製)を、それぞれウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した後、混合した。加熱前のフルフラール及びβ-カリオフィレンの量は、いずれも加熱前の紅花油に対して100ppmとした。得られた混合物を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-7とした。
【0324】
フルフラール(シグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に添加し、下表5に示す濃度(紅花油に対して100ppm)で溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
また、β-カリオフィレン(シグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に添加し、下表5に示す濃度(紅花油に対して100ppm)で溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
加熱後の各紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%ずつ添加し(合計で0.2重量%)、得られたマヨネーズを評価サンプル5-8とした。
【0325】
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表5に示す。尚、表中、サンプル内容における括弧内の物質は、加熱前に混合されたものであることを意味する。例えば、評価サンプル5-1の「(紅花油+フルフラール+β-カリオフィレン)加熱物」は、加熱前に、紅花油、フルフラール及びβ-カリオフィレンを混合したことを意味し、評価サンプル5-7の「紅花油加熱物+フルフラール加熱物+β-カリオフィレン加熱物」は、加熱前に、紅花油、フルフラール及びβ-カリオフィレンを混合せず、それぞれ個別に加熱した後で混合したことを意味する。
【0326】
【表5】
【0327】
表5の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び紅花油の加熱物、フルフラール及び紅花油の加熱物、β-カリオフィレンの加熱物等)により、評価サンプル5-1~5-3及び5-6~5-8のマウスコーティング感が効果的に増強した。
一方、(A2)成分の加熱物のみを添加した評価サンプル5-4、(A1)成分と(A2)成分とを個別に加熱して添加した評価サンプル5-5では、マウスコーティング感がほとんど増強しなかった。
【0328】
(試験例5-2)
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を0.2重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を0.2重量%添加したものを使用した。
【0329】
<評価サンプル5-9~5-20>
2-ヘキセナール、β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す各濃度(2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して100ppm、β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して100ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後のミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-9とした。
【0330】
2-ヘキセナール及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す各濃度(2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して100ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後のミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-10とした。
【0331】
2-ヘキセナール及びβ-カリオフィレン(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す各濃度(2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して100ppm、β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後のミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-11とした。
【0332】
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す各濃度(β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して100ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後のミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-12とした。
【0333】
2-ヘキセナール(シグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す濃度(ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後のミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-13とした。
【0334】
フルフラール(シグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す濃度(ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後のミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-14とした。
【0335】
β-カリオフィレン(シグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す濃度(ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後のミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-15とした。
【0336】
2-ヘキセナール、フルフラール及びβ-カリオフィレン(いずれもシグマアルドリッチ社製)を、それぞれウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した後、ミネラルオイルに添加して混合した。加熱前の2-ヘキセナール、フルフラール及びβ-カリオフィレンの量は、いずれもミネラルオイルに対して100ppmとした。得られた混合物を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-16とした。
【0337】
2-ヘキセナール及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表7に示す各濃度(2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して100ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱し、これにウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱したβ-カリオフィレン(シグマアルドリッチ社製)を添加して混合した。加熱前のβ-カリオフィレンの量は、加熱前のミネラルオイルに対して100ppmとした。得られた混合物を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して得られたマヨネーズを評価サンプル5-17とした。
【0338】
2-ヘキセナール及びβ-カリオフィレン(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表7に示す各濃度(2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して100ppm、β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱し、これにウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱したフルフラール(シグマアルドリッチ社製)を添加して混合した。加熱前のフルフラールの量は、加熱前のミネラルオイルに対して100ppmとした。得られた混合物を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-18とした。
【0339】
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表7に示す各濃度(β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して100ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱し、これにウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した2-ヘキセナール(シグマアルドリッチ社製)を添加して混合した。加熱前の2-ヘキセナールの量は、加熱前のミネラルオイルに対して100ppmとした。得られた混合物を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%添加し、更に加熱していないミネラルオイルを0.1重量%添加して、得られたマヨネーズを評価サンプル5-19とした。
【0340】
2-ヘキセナール及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す各濃度(2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して100ppm、フルフラール:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
2-ヘキセナール及びβ-カリオフィレン(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表6に示す各濃度(2-ヘキセナール:ミネラルオイルに対して100ppm、β-カリオフィレン:ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
加熱後の各ミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.1重量%ずつ添加し(合計で0.2重量%)、得られたマヨネーズを評価サンプル5-20とした。
【0341】
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表6、7に示す。尚、表中、括弧内の物質は、表5と同様に、加熱前に混合されたものであることを意味する。
【0342】
【表6】
【0343】
【表7】
【0344】
表6、7の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び2-ヘキセナールの加熱物、フルフラール及び2-ヘキセナールの加熱物、β-カリオフィレンの加熱物等)により、評価サンプル5-9~5-12及び5-15~5-20のマウスコーティング感が効果的に増強した。
一方、(A2)成分の加熱物のみを添加した評価サンプル5-13、(A1)成分の加熱物のみを添加した評価サンプル5-14では、マウスコーティング感がほとんど増強しなかった。
【0345】
(試験例6)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を0.1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していないミネラルオイル(カネダ株式会社製)を0.1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル6-1~6-41>
下表8~10に示す各化合物(いずれもシグマアルドリッチ社製)をミネラルオイル(カネダ株式会社製)に添加し、下表8~10に示す各濃度(ミネラルオイルに対して100ppm)で溶解させた後、当該ミネラルオイルを、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各ミネラルオイルを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していないミネラルオイルを添加する代わりに0.1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル6-1~6-41とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例1と同様に行った。
結果を下表8~10に示す。
【0346】
【表8】
【0347】
【表9】
【0348】
【表10】
【0349】
表8~10の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物を添加することにより、各評価サンプルのマウスコーティング感が増強した。
【0350】
(試験例7)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していない菜種油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル>
所定量のβ-カリオフィレン、フルフリルアルコール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各菜種油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプルとした。菜種油に溶解させたβ-カリオフィレン及びフルフリルアルコールの量は、下表11に示すように、それぞれ菜種油に対して0.001~10000ppmの範囲となるよう調整した。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、2名の専門パネルが、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール及び評価サンプルの各マヨネーズを喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0~5.0点の範囲で、評価サンプルを0.1点刻みで評点付けすることにより行った。
結果を下表11に示す。
【0351】
【表11】
【0352】
表11の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフリルアルコール及び菜種油の加熱物等)により、各評価サンプルのマウスコーティング感が増強した。
尚、各加熱物を高濃度で含有する評価サンプル(例えば、加熱時の菜種油に含まれていたβ-カリオフィレン及びフルフリルアルコールが、菜種油に対して1000~10000ppmである評価サンプル)の評点に、やや低下する傾向が見られたが、これは濃度が高くなると異風味が生じる場合があり、そのような異風味により、マウスコーティング感が感知しにくくなったことによるものと推察される。
【0353】
(試験例8)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、試験例1と同様のものを使用した。
<評価サンプル>
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をそれぞれ菜種油に対して100ppmとなるよう、菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、オイルバス(ヤマト科学株式会社製)を用いて下表12に示す条件(温度、時間)で加熱した。加熱後の各菜種油を、ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプルとした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例7と同様に行った。
結果を下表12に示す。
【0354】
【表12】
【0355】
表12の結果から、(A)成分及び(B)成分の加熱条件(温度、時間)が、得られる(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物のマウスコーティング感増強効果に影響する可能性が示唆された。
【0356】
(試験例9)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、モデルラーメンスープ[「スーパーカップ醤油」粉末スープ(エースコック株式会社製)2.17g、鶏油(丸善食品工業株式会社製)1.60g、濃口醤油(キッコーマン株式会社製)1.00g、コウジ・ベース(味の素株式会社製)0.40g、マローポークオイル(丸善食品工業株式会社製)0.20gを、熱湯に溶解し全量で100gに調製。油脂含量:1.8%]に対して、加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加したもの、及び市販のファットスプレッド(株式会社明治製、商品名「セブンプレミアムかろやかソフト」、油脂含量:70%)に対して、加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのラーメンスープに比べて油脂含量が少ないモデルラーメンスープ[「スーパーカップ醤油」粉末スープ(エースコック株式会社製)2.17g、鶏油(丸善食品工業株式会社製)0.80g、濃口醤油(キッコーマン株式会社製)1.00g、コウジ・ベース(味の素株式会社製)0.40g、マローポークオイル(丸善食品工業株式会社製)0.20gを、熱湯に溶解し全量で100gに調製。油脂含量:1.0%]に対して、加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加したもの、及びポジティブコントロールのファットスプレッドに比べて油脂含量が少ない市販のファットスプレッド(株式会社明治製、商品名「明治コーンソフト」、油脂含量:64%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加したものを使用した。
マヨネーズのポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル群9-1>
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をそれぞれ紅花油に対して100ppmとなるよう、紅花油(味の素株式会社製)に溶解させた。上記ネガティブコントロールの調製に使用した各食品(市販のマヨネーズ、モデルラーメンスープ、市販のファットスプレッド)に対して、加熱していない紅花油を添加する代わりに、上記のβ-カリオフィレン及びフルフラールを溶解させた紅花油(未加熱)を0.1重量%添加し、得られた各食品(マヨネーズ、ラーメンスープ及びファットスプレッド)を評価サンプル群9-1とした。
<評価サンプル群9-2>
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をそれぞれ紅花油に対して100ppmとなるよう、紅花油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した各食品(市販のマヨネーズ、モデルラーメンスープ、市販のファットスプレッド)に対して、加熱していない紅花油を添加する代わりに0.1重量%添加し、得られた各食品(マヨネーズ、ラーメンスープ及びファットスプレッド)を評価サンプル群9-2とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、3名の専門パネルが、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール及び評価サンプルの各食品(マヨネーズ、ラーメンスープ及びファットスプレッド)を喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0~5.0点の範囲で、評価サンプルを0.1点刻みで評点付けすることにより行った。
結果を下表13に示す。
【0357】
【表13】
【0358】
表13の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び紅花油の加熱物)により、マヨネーズ、ラーメンスープ及びファットスプレッドのいずれにおいても、マウスコーティング感が増強した。
【0359】
(試験例10)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロール及びネガティブコントロールには、試験例7と同様のものを使用した。
<評価サンプル10-1>
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をそれぞれ菜種油に対して100ppmとなるよう、菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた。上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに、上記のβ-カリオフィレン及びフルフラールを溶解させた菜種油(未加熱)を0.1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル10-1とした。
<評価サンプル10-2>
β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をそれぞれ菜種油に対して100ppmとなるよう、菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の菜種油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに0.1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプル10-2とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、ブラインド条件による二点識別評価(図1)及び評点評価(図2)を、3名の専門パネルがそれぞれ3回(合計9回)繰り返すことによって実施した。なお、当該評点評価は、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール並びに評価サンプル10-1及び10-2の各マヨネーズを喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0~5.0点の範囲で、評価サンプル10-1及び10-2を0.1点刻みで評点付けすることにより行った。
結果を図1及び図2に示す。
【0360】
図1及び図2の結果から明らかなように、ブラインド条件での官能評価において、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び菜種油の加熱物)により、マヨネーズのマウスコーティング感が増強した。
【0361】
(試験例11)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、試験例7と同様のものを使用した。
<評価サンプル11-1~11-4>
(a)β-カリオフィレン(シグマアルドリッチ社製)を菜種油に対して10ppmとなるよう、菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
(b)フルフリルアルコール(シグマアルドリッチ社製)を菜種油に対して100ppmとなるよう、菜種油に溶解させた後、当該菜種油(味の素株式会社製)を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
(c)β-カリオフィレン及びフルフリルアルコール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をそれぞれ菜種油に対して10ppm及び100ppmとなるよう、菜種油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該菜種油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。
ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに、上記(a)~(c)において調製した加熱後の各菜種油、及び、上記(a)において調製した加熱後の菜種油と上記(b)において調製した加熱後の菜種油との混合物を、それぞれ添加し、得られた各マヨネーズを評価サンプル11-1~11-4とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例7と同様に行った。
結果を下表14に示す。
【0362】
【表14】
【0363】
表14の結果から明らかなように、(A)成分加熱物を用いて調製した評価サンプル及び(B)成分加熱物を用いて調製した評価サンプルのいずれにおいても、マウスコーティング感が増強した。
また、(A)成分及び(B)成分を併せて加熱して得られた加熱物を用いて調製した評価サンプル、並びに、個別に得られた(A)成分加熱物及び(B)成分加熱物を用いて調製した評価サンプルのいずれにおいても、マウスコーティング感が増強した。
【0364】
(試験例12)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、試験例1と同様のものを使用した。
<評価サンプル群12-1及び12-2>
菜種油(味の素株式会社製)、大豆油(味の素株式会社製)、コーン油(味の素株式会社製)、オリーブ油(味の素株式会社製)、紅花油(味の素株式会社製)、アマニ油(株式会社朝日製)、えごま油(株式会社朝日製)、水添パーム核油(株式会社Jオイルミルズ製)及び中鎖脂肪酸油(日清オイリオグループ株式会社製)を、そのままウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各溶媒を、ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに1重量%添加し、得られたマヨネーズを、それぞれ評価サンプル群12-1とした。
(III)β-カリオフィレン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)をそれぞれ溶媒に対して100ppmとなるよう、菜種油(味の素株式会社製)、大豆油(味の素株式会社製)、コーン油(味の素株式会社製)、オリーブ油(味の素株式会社製)、紅花油(味の素株式会社製)、アマニ油(株式会社朝日製)、えごま油(株式会社朝日製)、水添パーム核油(株式会社Jオイルミルズ製)及び中鎖脂肪酸油(日清オイリオグループ株式会社製)に、それぞれ溶解させた後、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各溶媒を、ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに1重量%添加し、得られたマヨネーズを、それぞれ評価サンプル群12-2とした。
<官能評価>
マウスコーティング感の評価は、試験例7と同様に行った。
結果を下表15に示す。
【0365】
【表15】
【0366】
表15の結果から明らかなように、油脂として、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブ油、紅花油、アマニ油、えごま油、水添パーム核油及び中鎖脂肪酸油のいずれを用いた場合も、評価サンプルのマウスコーティング感が増強した。
【0367】
(試験例13)
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対して加熱していない紅花油(味の素株式会社製)を0.1重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル>
所定量のβ-カリオフィレン、フルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を紅花油(味の素株式会社製)に溶解させた後、当該紅花油を、ウォーターバス(東京理化器械株式会社製)を用いて100℃で30分間加熱した。加熱後の各紅花油を、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して、加熱していない菜種油を添加する代わりに0.1重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプルとした。紅花油に溶解させたβ-カリオフィレン及びフルフラールの量は、下表16~19に示すように、それぞれ紅花油に対して0.001~300000ppmの範囲となるよう調整した。
<官能評価>
マウスコーティング感の強さの評価は、2名の専門パネルが、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール及び評価サンプルの各マヨネーズを喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0~5.0点の範囲で、評価サンプルを0.1点刻みで評点付けすることにより行った。
結果を下表16~19に示す。
【0368】
【表16】
【0369】
【表17】
【0370】
【表18】
【0371】
【表19】
【0372】
表16~19の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン及び/又はフルフラール、並びに紅花油の加熱物等)により、各評価サンプルのマウスコーティング感が増強した。
【0373】
(試験例14)
<合成例>
(クロバンジオール及びクロバンジオール-3-モノアセテートの合成)
β-カリオフィレンオキシド(11mg)を、80%酢酸水溶液(1mL)に溶解し、室温にて11日間放置した。減圧により過剰な溶媒を留去した後、残渣を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(水-エタノール)にて精製することで、下記の化合物1(クロバンジオール)(1.2mg)、及び化合物2(クロバンジオール-3-モノアセテート)(0.7mg)を得た。
【0374】
化合物1(クロバンジオール):
【0375】
【化68】
【0376】
化合物2(クロバンジオール-3-モノアセテート):
【0377】
【化69】
【0378】
(クロバンジオールジアセテートの合成)
クロバンジオール(5mg)を酢酸(0.2mL)に溶解し、80℃にて20時間撹拌した。減圧により反応液を濃縮乾固して得られた残渣を、逆相HPLC(水-エタノール)にて精製することにより、下記の化合物3(クロバンジオールジアセテート)(1.2mg)を得た。
【0379】
化合物3(クロバンジオールジアセテート):
【0380】
【化70】
【0381】
(クロバンジオール-3-モノイソバレレートの合成)
クロバンジオール(5.7mg)を、イソ吉草酸(0.1mL)に溶解後、80℃にて20時間撹拌した。反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで分配抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥後、減圧により濃縮乾固した。得られた残渣を、逆相HPLC(水-エタノール)にて精製することにより、下記の化合物4(クロバンジオール-3-モノイソバレレート)(2mg)を得た。
【0382】
化合物4(クロバンジオール-3-モノイソバレレート):
【0383】
【化71】
【0384】
(2-メトキシクロバノールの合成)
β-カリオフィレンオキシド(227mg)のメタノール溶液(2mL)に、テトラシアノエチレン(13mg)を加え、室温にて20時間撹拌した。減圧により、反応液を濃縮乾固して得られた残渣を、逆相HPLC(水-アセトニトリル)にて精製することにより、下記の化合物5(2-メトキシクロバノール)(30mg)を得た。
【0385】
化合物5(2-メトキシクロバノール):
【0386】
【化72】
【0387】
(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール及び(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオールの合成)
β-カリオフィレンオキシド(32mg)を、pH4の酢酸-酢酸ナトリウムバッファー/アセトニトリル(1:1)(1mL)中、3時間加熱還流した。反応液に水およびn-ヘキサンを加え、分配した。有機層移行画分を、逆相HPLC(水-アセトニトリル)にて精製することで、下記の化合物6(2.5mg)、及び化合物7(0.2mg)を得た。
【0388】
化合物6((1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール):
【0389】
【化73】
【0390】
化合物7((1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール):
【0391】
【化74】
【0392】
(カリオフィラジエノールIIの合成)
β-カリオフィレンオキシド(235mg)のアセトン溶液(2mL)に、テトラシアノエチレン(28mg)及び臭化リチウム(465mg)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた後、ヘキサンにて分配抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥後、減圧にて濃縮乾固した。残渣を、逆相HPLC(水-アセトニトリル)にて精製することにより、下記の化合物8(カリオフィラジエノールII)(105mg)を得た。
【0393】
化合物8(カリオフィラジエノールII):
【0394】
【化75】
【0395】
((1S,5R,9R)-10,10-ジメチル-2,6-ビスメチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オールアセテート及び(1R,3EZ,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール-5-アセテートの合成)
カリオフィラジエノール(12mg)のピリジン溶液(0.1mL)に、無水酢酸(0.08mL)を加え、室温にて20時間放置した。減圧により濃縮乾固して得られた残渣を、逆相HPLC(水-アセトニトリル)にて精製することにより、下記の化合物9(2.1mg)、及び化合物10(0.7mg)をそれぞれ得た。
【0396】
化合物9((1S,5R,9R)-10,10-ジメチル-2,6-ビスメチレン-ビシクロ[7.2.0]ウンデカン-5-オールアセテート):
【0397】
【化76】
【0398】
化合物10((1R,3EZ,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール-5-アセテート):
【0399】
【化77】
【0400】
<ポジティブコントロール及びネガティブコントロール>
ポジティブコントロールには、通常の市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) マヨネーズ」、油脂含量:73%)に対してエタノール(日本アルコール産業株式会社製)を0.001重量%添加したものを使用した。
ネガティブコントロールには、ポジティブコントロールのマヨネーズに比べて油脂含量が少ない市販のマヨネーズ(味の素株式会社製、商品名「ピュアセレクト(登録商標) コクうま(登録商標) 65%カロリーカット」、油脂含量:23%)に対してエタノール(日本アルコール産業株式会社製)を0.001重量%添加したものを使用した。
<評価サンプル>
所定量のβ-カリオフィレン、β-カリオフィレンオキシド、クロバンジオール、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート、クロバンジオール-3-モノイソバレレート、α-ピネン、α-ピネンオキシド、リモネン、リモネンオキシド、α-テルピネノール(クロバンジオール、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート及びクロバンジオール-3-モノイソバレレートは、上記合成例で得られたものを用い、それら以外は、いずれもシグマアルドリッチ社製のものを用いた)をエタノール(日本アルコール産業株式会社製)に溶解させ、当該エタノールを、上記ネガティブコントロールの調製に使用した市販のマヨネーズに対して0.001重量%添加し、得られたマヨネーズを評価サンプルとした。エタノールに溶解させたβ-カリオフィレン、β-カリオフィレンオキシド、クロバンジオール、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート、クロバンジオール-3-モノイソバレレート、α-ピネン、α-ピネンオキシド、リモネン、リモネンオキシド、α-テルピネノールの量は、下表20に示すように、それぞれマヨネーズに対して0.01~1ppmの範囲となるよう調整した。
<官能評価>
マウスコーティング感の強さの評価は、3名の専門パネルが、ポジティブコントロール、ネガティブコントロール及び評価サンプルの各マヨネーズを喫食し、ポジティブコントロールを「5.0点」、ネガティブコントロールを「0.0点」として、0.0~5.0点の範囲で、評価サンプルを0.1点刻みで評点付けすることにより行った。
結果を下表20に示す。
【0401】
【表20】
【0402】
表20の結果から明らかなように、β-カリオフィレンオキシド、クロバンジオール、(1R,3Z,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデス-3-エン-5-オール、(1R,4R,5R,9S)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカン-4,5-ジオール、クロバンジオール-3-モノアセテート、クロバンジオールジアセテート、クロバンジオール-3-モノイソバレレート、α-ピネンオキシド、リモネンオキシド、α-テルピネノールの添加により、各評価サンプルのマウスコーティング感が増強した。
【0403】
(試験例15)
<コントロールの即席麺の作製>
食塩1.6重量部、炭酸カリウム(食品添加物グレード)0.1重量部及び炭酸ナトリウム(食品添加物グレード)0.1重量部を、水34重量部に溶解させ、得られた水溶液(練水)35.8重量部を、小麦粉(準強力粉)100重量部に加えて2分間混捏した。得られた麺生地を、マルカート社(MArcatoS.p.A)製電動パスタマシンを用いてシート状(厚さ:1.5±0.2mm)にし、両端を切り落とした後、幅1mm、長さ30cmにカットした。得られた麺をもみ、次いで、連続蒸し機(富士製作所製)に通して100℃の蒸気で2分間蒸した。蒸した麺100gに、50℃前後に加温した5%食塩水30gを加え、着味を行った。着味した麺を連続フライヤーにて145℃の油(パーム油)で80秒間揚げた後、常温まで冷却することにより、即席麺を得た(以下において、当該即席麺を「コントロールの即席麺」と称する)。即席麺は、使用するまで5℃で冷蔵保管した。
<加熱物Aの作製>
β-カリオレフィン及びフルフラール(いずれもシグマアルドリッチ社製)を、それぞれ1000ppmとなるよう中鎖脂肪酸油(不二製油社製)に溶解させた後、当該中鎖脂肪酸油を、混錬機(T.K.コンビミックス プライミクス社製)を用いて95℃で30分間加熱した(得られた加熱物を、以下において「加熱物A」と称する)。
<評価サンプル15-1の即席麺の作製>
食塩、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムを水に溶解させて練水を調製する際、更に加熱物A0.003重量部を加えて均一に分散させ、得られた分散液35.803重量部を小麦粉100重量部に加えたこと以外は、コントロールと同様の手順で即席麺を作製した(以下において、当該即席麺を「評価サンプル15-1の即席麺」と称する)。
<評価サンプル15-2の即席麺の作製>
食塩、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムを水に溶解させて練水を調製する際、更に加熱物A0.007重量部を加えて均一に分散させ、得られた分散液35.807重量部を小麦粉100重量部に加えたこと以外は、コントロールと同様の手順で即席麺を作製した(以下において、当該即席麺を「評価サンプル15-2の即席麺」と称する)。
<評価サンプル15-3の即席麺の作製>
食塩、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムを水に溶解させて練水を調製する際、更に加熱物A0.02重量部を加えて均一に分散させ、得られた分散液35.82重量部を小麦粉100重量部に加えたこと以外は、コントロールと同様の手順で即席麺を作製した(以下において、当該即席麺を「評価サンプル15-3の即席麺」と称する)。
<官能評価>
評価サンプル15-1~15-3及びコントロールの即席麺100gを、それぞれ100℃のお湯300gで3分間茹で、官能評価を実施した。官能評価は、トレーニングされた専門パネル3名が、評価サンプル15-1~15-3の「動物油脂様のコク」(動物油脂を口に含んだとき「中から後にかけて」(具体的には、動物油脂を口に含んでから3秒後に)発現する厚み及び持続感)、「動物油脂様の甘味」(動物油脂を口に含んだとき「先から中にかけて」(具体的には、動物油脂を口に含んでから2秒までに)発現する甘味)及び「マウスコーティング感」(麺をすすったときの、油が口腔内にまとわりつく感覚)について、下記の基準に基づき、0.5点刻みで合議により評点付けして行った。また、総合評価として、コントロールの即席麺に比べて油脂感が大きく向上した場合に「◎」と判定し、コントロールの即席麺に比べて油脂感が付与された場合に「〇」と判定し、油脂感がなく、コントロールの即席麺と同等の場合に「×」と判定した。
【0404】
(動物油脂様のコク、動物油脂様の甘味及びマウスコーティング感の評価基準)
+2点:コントロールに比べて、強い
+1点:コントロールに比べて、やや強い
0点:コントロールと同等
-1点:コントロールに比べて、やや弱い
-2点:コントロールに比べて、弱い
【0405】
評価結果を下表21に示す。
【0406】
【表21】
【0407】
表21の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び中鎖脂肪酸油の加熱物)により、各評価サンプルのマウスコーティング感が増強した。また、動物油脂様のコク及び甘味も増強した。
【0408】
(試験例16)
<クリーミングパウダーの調製方法>
(モデルクリーミングパウダー1)
モデルクリーミングパウダー1は、以下のようにして調製した。まず下表22に示す原料のうち、水酸化ナトリウム、酸カゼイン、リン酸水素二カリウム及び粉あめを、表22に示す割合で60℃の温水に混合した。次いで、得られた混合液に残りの原料(水添パーム核油、モノグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル)を、表22に示す割合で添加して混合した。得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「ラボ・リューション」、プライミクス社製)を用いて、8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ホモジナイザー(製品名:「APV-2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB-290」、BUCHI社製)を用いて、吸気温度が180℃、排気温度が90℃の条件で噴霧乾燥し、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー1)を得た。
【0409】
【表22】
【0410】
(モデルクリーミングパウダー2)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバス(製品名:「EC-ウォーターバス」、アズワン株式会社製)を用いて95℃で30分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー1と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー2)を得た。
【0411】
(モデルクリーミングパウダー3)
表22に示す原料に代えて、下表23に示す原料を用いたこと以外は、モデルクリーミングパウダー1と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー3)を得た。
具体的には、まず下表23に示す原料のうち、水酸化ナトリウム、酸カゼイン、リン酸水素二カリウム及び粉あめを、表23に示す割合で60℃の温水に混合した。次いで、得られた混合液に残りの原料(水添パーム核油、モノグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル、カリオフィレン、フルフラール)を、表23に示す割合で添加して混合した。得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「ラボ・リューション」、プライミクス社製)を用いて、8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ホモジナイザー(製品名:「APV-2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB-290」、BUCHI社製)を用いて、吸気温度が180℃、排気温度が90℃の条件で噴霧乾燥し、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー3)を得た。
【0412】
【表23】
【0413】
(モデルクリーミングパウダー4)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバス(製品名:「EC-ウォーターバス」、アズワン株式会社製)を用いて95℃で30分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー3と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー4)を得た。
【0414】
モデルクリーミングパウダー1~4の調製に使用した原料には、いずれも市販品を用いた。各原料の製造会社を、下表24に示す。
【0415】
【表24】
【0416】
<評価サンプル(試験区1~8のカフェオレ)の調製>
下表25に示す量の市販のインスタントコーヒー粉末(味の素AGF株式会社製)、モデルクリーミングパウダー1~4のいずれか一つ及びグラニュー糖(三井製糖株式会社製)を入れたカップに、沸騰したお湯を180mL注ぎ、粉が完全に溶解するまで数秒間撹拌して、試験区1~8のカフェオレをそれぞれ調製した。
【0417】
【表25】
【0418】
<官能評価>
試験区1~8のカフェオレのマウスコーティング感(口腔内全体に広がる油脂様のあつみ)、ミルク感(ミルク様の香り及び甘味)、コーヒーの焙煎感(コーヒー様の香ばしい香り及び苦味)の強度について、トレーニングされた専門パネル6名が、5段階(1~5点:1点が最も弱く、5点が最も強い。)で、1点刻みで評点付けすることによって評価した。具体的には、試験区1を基準とし、マウスコーティング感、ミルク感及びコーヒーの焙煎感の全てについて、それぞれ1点と定義した。また試験区1のモデルクリーミングパウダーの量を1.5倍に増やした時(試験区2)のマウスコーティング感及びミルク感について、それぞれ5点と定義した。さらに試験区1のインスタントコーヒー粉末の量を1.1倍に増やした時(試験区7)のコーヒーの焙煎感について、3点と定義した。各専門パネルが付けた点数を平均し、得られた平均点を各カフェオレの評価とした。評価結果を下表26に示す。
【0419】
【表26】
【0420】
表26の結果から明らかなように、(A)成分加熱物及び/又は(B)成分加熱物(具体的には、β-カリオフィレン、フルフラール及び水添パーム核油等の加熱物)を使用した試験区5のマウスコーティング感、ミルク感及びコーヒーの焙煎感が増強した。
【0421】
(試験例17)
<クリーミングパウダーの調製方法>
(モデルクリーミングパウダー5)
モデルクリーミングパウダー5は、以下のようにして調製した。まず前記表23に示す原料のうち、水酸化ナトリウム、酸カゼイン、リン酸水素二カリウム及び粉あめを、表17に示す割合で60℃の温水に混合した。次いで、得られた混合液に残りの原料(水添パーム核油、モノグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル、カリオフィレン、フルフラール)を、表23に示す割合で添加して混合した。得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「ラボ・リューション」、プライミクス社製)を用いて、8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ラボ用超高温(UHT)殺菌機(製品名:「ECONOLAB-T MK-2」、パワーポイントインターナショナル製)を用いて95℃で15秒間加熱して殺菌した後、ホモジナイザー(製品名:「APV-2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB-290」、BUCHI社製)を用いて、吸気温度が180℃、排気温度が90℃の条件で噴霧乾燥し、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー5)を得た。
【0422】
モデルクリーミングパウダー5の調製に使用した原料は、モデルクリーミングパウダー1~4の調製に使用したものと同様である。
【0423】
<評価サンプル(試験区9のカフェオレ)の調製>
下表27に示す量の市販のインスタントコーヒー粉末(味の素AGF株式会社製)、モデルクリーミングパウダー7及びグラニュー糖(三井製糖株式会社製)を入れたカップに、沸騰したお湯を180mL注ぎ、粉が完全に溶解するまで数秒間撹拌して、試験区9のカフェオレを調製した。
【0424】
【表27】
【0425】
<官能評価>
試験区9のカフェオレのマウスコーティング感、ミルク感、コーヒーの焙煎感の強度について、試験例16と同様の方法で評価した。評価結果を下表28に示す。
【0426】
【表28】
【0427】
表28の結果から明らかなように、β-カリオフィレン、フルフラール及び水添パーム核油等を95℃で15秒間加熱して得られた加熱物により、マウスコーティング感及びコーヒーの焙煎感が十分に増強した。
【0428】
(試験例18)
<クリーミングパウダーの調製方法>
(モデルクリーミングパウダー6)
モデルクリーミングパウダー6は、以下のようにして調製した。まず前記表23に示す原料のうち、水酸化ナトリウム、酸カゼイン、リン酸水素二カリウム及び粉あめを、表17に示す割合で60℃の温水に混合した。次いで、得られた混合液に残りの原料(水添パーム核油、モノグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル、カリオフィレン、フルフラール)を、表23に示す割合で添加して混合した。得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「ラボ・リューション」、プライミクス社製)を用いて、8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ウォーターバス(製品名:「EC-ウォーターバス」、アズワン株式会社製)を用いて95℃で10分間加温した後、ホモジナイザー(製品名:「APV-2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB-290」、BUCHI社製)を用いて、吸気温度が180℃、排気温度が90℃の条件で噴霧乾燥し、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー6)を得た。
【0429】
(モデルクリーミングパウダー7)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバスを用いて95℃で60分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー6と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー7)を得た。
【0430】
(モデルクリーミングパウダー8)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバスを用いて80℃で10分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー6と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー8)を得た。
【0431】
(モデルクリーミングパウダー9)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバスを用いて80℃で30分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー6と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー9)を得た。
【0432】
(モデルクリーミングパウダー10)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバスを用いて80℃で60分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー6と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー10)を得た。
【0433】
(モデルクリーミングパウダー11)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバスを用いて70℃で10分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー6と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー11)を得た。
【0434】
(モデルクリーミングパウダー12)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバスを用いて70℃で30分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー6と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー12)を得た。
【0435】
(モデルクリーミングパウダー13)
予備乳化後に得られた乳化物を、均質化する前にウォーターバスを用いて70℃で60分間加温したこと以外は、モデルクリーミングパウダー6と同様の手順で、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー13)を得た。
【0436】
モデルクリーミングパウダー6~13の調製における、予備乳化後に得られた乳化物の加熱条件(加熱温度、加熱時間)を下表29に示す。
【0437】
【表29】
【0438】
モデルクリーミングパウダー6~13の調製に使用した原料は、モデルクリーミングパウダー1~4の調製に使用したものと同様である。
【0439】
<評価サンプル(試験区10~17のカフェオレ)の調製>
下表30に示す量の市販のインスタントコーヒー粉末(味の素AGF株式会社製)、モデルクリーミングパウダー6~13のいずれか一つ及びグラニュー糖(三井製糖株式会社製)を入れたカップに、沸騰したお湯を180mL注ぎ、粉が完全に溶解するまで数秒間撹拌して、試験区10~17のカフェオレをそれぞれ調製した。
【0440】
【表30】
【0441】
<官能評価>
試験区10~17のカフェオレのマウスコーティング感、ミルク感、コーヒーの焙煎感の強度について、試験例16と同様の方法で評価した。評価結果を下表31に示す。
【0442】
【表31】
【0443】
表31の結果から明らかなように、β-カリオフィレン、フルフラール及び水添パーム核油等を70℃以上で加熱して得られた加熱物により、マウスコーティング感及びミルク感が十分に増強した。
【0444】
(試験例19)
<クリーミングパウダーの調製方法>
(モデルクリーミングパウダー14~17)
モデルクリーミングパウダー14~17は、それぞれ以下のようにして調製した。まず下表32に示す原料のうち、水酸化ナトリウム、酸カゼイン、リン酸水素二カリウム及び粉あめを、表32に示す割合で60℃の温水に混合した。次いで、得られた混合液に残りの原料(水添パーム核油、モノグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル、カリオフィレン、フルフラール)を、表32に示す割合で添加して混合した。得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「ラボ・リューション」、プライミクス社製)を用いて、8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ウォーターバス(製品名:「EC-ウォーターバス」、アズワン株式会社製)を用いて95℃で30分間加温した後、ホモジナイザー(製品名:「APV-2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB-290」、BUCHI社製)を用いて、吸気温度が180℃、排気温度が90℃の条件で噴霧乾燥し、クリーミングパウダー(モデルクリーミングパウダー14~17)をそれぞれ得た。
【0445】
【表32】
【0446】
モデルクリーミングパウダー14~17の調製に使用した原料は、モデルクリーミングパウダー1~4の調製に使用したものと同様である。
【0447】
<評価サンプル(試験区18~21のカフェオレ)の調製>
下表33に示す量の市販のインスタントコーヒー粉末(味の素AGF株式会社製)、モデルクリーミングパウダー16~19のいずれか一つ及びグラニュー糖(三井製糖株式会社製)を入れたカップに、沸騰したお湯を180mL注ぎ、粉が完全に溶解するまで数秒間撹拌して、試験区18~21のカフェオレをそれぞれ調製した。
【0448】
【表33】
【0449】
<官能評価>
試験区18~21のカフェオレのマウスコーティング感、ミルク感、コーヒーの焙煎感の強度について、試験例16と同様の方法で評価した。評価結果を下表34に示す。
【0450】
【表34】
【0451】
表34に示されるように、コーヒーの焙煎感は、フルフラールの割合がβ-カリオフィレンより多い場合に、十分に増強される傾向がみられた。
尚、試験区21のサンプルは、コーヒーの焙煎感が強く、そのためマウスコーティング感、ミルク感を十分に評価できなかったと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0452】
本発明によれば、マウスコーティング感を増強することができるマウスコーティング感増強剤及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、マウスコーティング感が増強された食品及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、マウスコーティング感の増強方法を提供し得る。
また本発明によれば、コーヒー焙煎感を増強することができるコーヒー焙煎感増強剤及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、コーヒー焙煎感が増強されたコーヒー飲料及びその製造方法を提供し得る。
また本発明によれば、コーヒー焙煎感の増強方法を提供し得る。
【0453】
本出願は、日本で出願された特願2019-046558(出願日:2019年3月13日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。
図1
図2