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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/06 20060101AFI20250212BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
F24F6/06
F24F6/00 A
F24F6/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022001375
(22)【出願日】2022-01-07
(65)【公開番号】P2023101053
(43)【公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迫田 耕二
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-080676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/06
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動可能な形状を有する複数の加湿エレメントと、
上記複数の加湿エレメントを収容する収容体と、
上記収容体に収容されている上記加湿エレメントに水を供給する水供給部と、
を備え、
上記収容体は、その収容空間を外部と連通させる通気開口と、上記加湿エレメントを上記収容空間から排出するための排出口と、上記排出口が最低所となるように底面に設けられた傾斜面と、を有し、上記加湿エレメントが上記収容空間から重力にしたがって上記傾斜面を転動しながら上記排出口を通じて排出されるように構成されている、加湿装置。
【請求項2】
上記収容体は、上記排出口を開閉可能な開閉部材を有する、請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
上記水供給部は、上記収容体の上記収容空間の異なる領域に配置された複数の給水管を有し、上記複数の給水管のそれぞれに独立して水を供給可能に構成されている、請求項1または2に記載の加湿装置。
【請求項4】
上記加湿エレメントの洗浄に用いる洗浄トレイを備え、上記洗浄トレイが上記収容体の上記排出口よりも低所に設けられており、上記収容体の上記収容空間から上記排出口を通じて排出された上記加湿エレメントが自重によって上記洗浄トレイに転入するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の加湿装置。
【請求項5】
上記収容体は、上記加湿エレメントを上記収容空間に投入するための投入口を有し、
上記洗浄トレイに転入した上記加湿エレメントを上記投入口から上記収容体に戻すように搬送する搬送装置を備える、請求項4に記載の加湿装置。
【請求項6】
上記搬送装置は、軸まわりに螺旋状に設けられたスクリュー羽根を有する搬送部材と、上記搬送部材を収容する筒状のハウジングと、上記搬送部材を軸まわりに回転駆動する駆動ユニットと、を備え、
上記ハウジングには、上記加湿エレメントを受け入れる入口開口と、上記加湿エレメントを排出する出口開口と、が設けられており、
上記搬送装置は、上記駆動ユニットが上記搬送部材を回転駆動したとき、上記ハウジングの上記入口開口から受け入れた上記加湿エレメントを上記搬送部材の上記スクリュー羽根と摺動させながら上記出口開口まで搬送するように構成されている、請求項5に記載の加湿装置。
【請求項7】
上記搬送装置は、上記ハウジングの筒内に清掃用ブラシを備えており、上記加湿エレメントを上記搬送部材で搬送するときに上記清掃用ブラシと接触させるように構成されている、請求項6に記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の生産設備に空調機が設けられている。この空調機は、吹付塗装工程における塗装品質を確保するために、温度と湿度を調整した空気を塗装ブースに供給するためのものである。この空調機として、典型的には水噴霧式の加湿装置や気化式の加湿装置が使用される。
【0003】
水噴霧式の加湿装置は、ノズルから微細な水滴を噴霧し気流との熱交換により水分を蒸発させて加湿を行う装置である。このような水噴霧式の加湿装置を採用する場合、噴霧した水が空気に取り込まれる割合が低いことが要因で余分な水を受けるための水槽や送水用の大型のポンプが必要になるという問題や、バクテリアの増殖によるノズルの詰まりが要因でノズルの清掃作業が必要になるという問題が生じ得る。
【0004】
これに対して、気化式の加湿装置は、水を加湿エレメントに浸透させて気化蒸発させる構造を有するため、水噴霧式の加湿装置における上記問題点を解決するのに有効である。下記特許文献1には、このような気化式の加湿装置で使用する蒸発メディアが記載されている。この蒸発メディアは、板状の加湿エレメントを複数積層させることによって構成されており、収容体内に設置した状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平5-47731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気化式の加湿装置を採用する場合、加湿エレメントの表面に水垢など汚れが固着するため、加湿エレメントの定期的な清掃作業が行われる。このとき、特許文献1に記載のような積層型の蒸発メディアを使用すると、収容体から蒸発メディアを取り外したうえで各加湿エレメントを清掃する作業が必要になる。このため、積層型の蒸発メディアを使用した加湿装置は、加湿エレメントの清掃に要する作業負荷が大きいという点で不利である。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、加湿エレメントの清掃に要する作業負荷を抑えるのに有効な加湿装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
転動可能な形状を有する複数の加湿エレメントと、
上記複数の加湿エレメントを収容する収容体と、
上記収容体に収容されている上記加湿エレメントに水を供給する水供給部と、
を備え、
上記収容体は、その収容空間を外部と連通させる通気開口と、上記加湿エレメントを上記収容空間から排出するための排出口と、上記排出口が最低所となるように底面に設けられた傾斜面と、を有し、上記加湿エレメントが上記収容空間から重力にしたがって上記傾斜面を転動しながら上記排出口を通じて排出されるように構成されている、加湿装置、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上述の態様の加湿装置において、複数の加湿エレメントが収容体に収容されており、空調時にこの加湿エレメントに水供給部から水が供給される。加湿エレメントの吸水状態で収容体の通気開口に気流が形成されることによって、加湿された空気が収容体の収容空間から外部へと流れる。加湿前空気に比べて湿度が高められた加湿後空気が収容体から外部へと流出する。これにより、収容体の外部の空調環境が適宜に調整される。
【0010】
ここで、収容体の収容空間に収容された加湿エレメントは、収容空間から重力にしたがって転動しながら排出口を通じて排出されるように構成されている。本構成によれば、加湿エレメントの清掃作業に際して、収容体の収容空間に収容されている加湿エレメントを排出口から自重によって連続的に排出させて回収することができる。したがって、収容体からの加湿エレメントの排出操作を、排出のための動力や余分な工数や手間を要することなく容易に行うことが可能になる。
【0011】
以上のごとく、上述の態様によれば、加湿エレメントの清掃に要する作業負荷を抑えるのに有効な加湿装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1にかかる空調装置の概略構成を示す図。
図2】実施形態1の加湿装置の斜視図。
図3図2の加湿装置の収容体の断面構造を示す断面図。
図4図2の加湿装置の搬送部の断面構造を示す断面図。
図5図3の収容体の空調時の様子を示す断面図。
図6図3の収容体の回収・清掃時の様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0014】
上述の態様の加湿装置において、上記収容体は、上記排出口を開閉可能な開閉部材を有するのが好ましい。
【0015】
この加湿装置によれば、空調時に開閉部材によって収容体の排出口を閉鎖する一方で、回収・清掃時に開閉部材によって収容体の排出口を開放して加湿エレメントの回収操作を行うことができる。
【0016】
上述の態様の加湿装置において、上記水供給部は、上記収容体の上記収容空間の異なる領域に配置された複数の給水管を有し、上記複数の給水管のそれぞれに独立して水を供給可能に構成されているのが好ましい。
【0017】
この加湿装置によれば、水供給部の複数の給水管のそれぞれから収容体の収容空間に独立して水を供給することによって収容体の外部の加湿量を調整することができ、空調性能の木目細かい調節作業が可能になる。
【0018】
上述の態様の加湿装置において、上記加湿エレメントの洗浄に用いる洗浄トレイを備え、上記洗浄トレイが上記収容体の上記排出口よりも低所に設けられており、上記収容体の上記収容空間から上記排出口を通じて排出された上記加湿エレメントが自重によって上記洗浄トレイに転入するように構成されているのが好ましい。
【0019】
この加湿装置によれば、収容体の収容空間に収容されている加湿エレメントは、排出口を通じて排出されると、その自重によってそのまま洗浄トレイに転入する。このため、洗浄トレイに回収した加湿エレメントをこの洗浄トレイでそのまま速やかに洗浄することができる。
【0020】
上述の態様の加湿装置において、上記収容体は、上記加湿エレメントを上記収容空間に投入するための投入口を有し、
上記洗浄トレイに転入した上記加湿エレメントを上記投入口から上記収容体に戻すように搬送する搬送装置を備えるのが好ましい。
【0021】
この加湿装置によれば、洗浄トレイで洗浄が完了した後の加湿エレメントを、この洗浄トレイから搬送装置によって収容体の投入口に向けて搬送することができる。このため、洗浄後の加湿エレメントを洗浄トレイから収容体に戻す作業を、搬送装置を使用して自動で行うことが可能になる。
【0022】
上述の態様の加湿装置において、上記搬送装置は、軸まわりに螺旋状に設けられたスクリュー羽根を有する搬送部材と、上記搬送部材を収容する筒状のハウジングと、上記搬送部材を軸まわりに回転駆動する駆動ユニットと、を備え、
上記ハウジングには、上記加湿エレメントを受け入れる入口開口と、上記加湿エレメントを排出する出口開口と、が設けられており、
上記搬送装置は、上記駆動ユニットが上記搬送部材を回転駆動したとき、上記ハウジングの上記入口開口から受け入れた上記加湿エレメントを上記搬送部材の上記スクリュー羽根と摺動させながら上記出口開口まで搬送するように構成されているのが好ましい。
【0023】
この加湿装置によれば、搬送装置の駆動ユニットが搬送部材を回転駆動した状態で、ハウジングの入口開口から導入された加湿エレメントは、搬送部材によってハウジングの出口開口まで搬送される。このとき、加湿エレメントはスクリュー羽根と摺動するため、加湿エレメントの表面に残留した水垢などの汚れをスクリュー羽根によって物理的に除去することができる。これにより、加湿エレメントを洗浄トレイで洗浄することに加えて搬送装置においても洗浄できるため、加湿エレメントの洗浄の度合いを高めることができる。
【0024】
上述の態様の加湿装置において、上記搬送装置は、上記ハウジングの筒内に清掃用ブラシを備えており、上記加湿エレメントを上記搬送部材で搬送するときに上記清掃用ブラシと接触させるように構成されているのが好ましい。
【0025】
この加湿装置によれば、搬送装置のハウジングの筒内を搬送部材によって搬送されている加湿エレメントに清掃用ブラシを物理的に接触させることで、加湿エレメントの清掃状態を高めることができる。例えば、搬送部材のスクリュー羽根と加湿エレメントとの摺動によって除去できずに加湿エレメントの表面に残留した水垢などの汚れを、清掃用ブラシによって効率的に除去することが可能になる。
【0026】
以下、上述の態様の加湿装置の具体的な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
この実施形態を説明するための図面において、特にことわらない限り、加湿装置を構成する収容体を水平面に設置したときの高さ方向を矢印Xで示し、その収容体において空気が通過する水平方向を矢印Yで示し、収容体の高さ方向と水平方向の両方と直交する方向を矢印Zで示すものとする。
【0028】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1にかかる空調装置101は、自動車関連の製品Wを塗装する塗装工程の塗装ブースBに対して使用される。塗装ブースBでは、揮発した有機溶剤が濃縮するのを避けるために排気ファン3によって空気の一部が屋外へ排気される。このため、空調装置101は、塗装ブースBでの排気による空気の不足分を補うために、新鮮な外気を取り入れて空調処理した後、塗装ブースBに給気ファン2によって給気を行うように構成されている。空調装置101は、加湿装置1を備えるとともに、特に図示しないものの、空気を加熱する加温部と、空気を冷却する冷却部と、を備えている。
【0029】
図2に示されるように、実施形態1の加湿装置1は、加湿エレメント10を使用した気化式のものである。この加湿装置1は、複数の加湿エレメント10と、収容体20と、水供給部30と、洗浄装置40と、搬送装置50と、を備えている。
【0030】
加湿エレメント10は、空気中の湿度を高めるために使用される加湿用の部材である。加湿エレメント10は、水を吸収して保持する吸水性と、吸水した水が蒸発する蒸散性と、を有する。本形態では、この加湿エレメント10は、球体であり転動可能な形状を有するものである。この加湿エレメント10の材質については特に限定されるものではないが、典型的には、吸水性及び蒸散性を有し且つ転がり易い樹脂材料や繊維材料などを使用するのが好ましい。
【0031】
なお、加湿エレメント10は、転動可能な形状を有するものであれば、球体のもののみならず、例えば、球体に近い多面体のものなどを使用することができる。また、複数の加湿エレメント10の全てが同一形状であってもよいし、或いは複数の加湿エレメント10の中に異なる形状の加湿エレメント10が含まれていてもよい。
【0032】
(収容体の構造)
図2では、直方体の収容体20が水平面に設置された場合について例示している。この収容体20は、複数の加湿エレメント10を収容する本体ケースである。この収容体20は、加湿エレメント10のための収容空間21と、第2方向Yの両方の側壁部に設けられた保持柵22と、第1方向Xの上壁部に開口形成された投入口25と、第3方向Zの一方の側壁部に開口形成された排出口26と、を有する。
【0033】
なお、本形態では、収容体20の収容空間21のうち三方向X,Y,Zの概ね全領域にわたって加湿エレメント10が収容されるが、図2では、収容体20の収容空間21の内部構造を明確にするべく、便宜上、収容体20の収容空間21の高さ方向Xの下側領域のみに加湿エレメント10が収容されている状態を示している。
【0034】
収容体20の保持柵22は、いずれも第1方向Xに延びる複数の軸部23が間隔24を隔てて第3方向Zに配列されることによって構成されている。このとき、隣接する2つの軸部23の間の間隔24は、加湿エレメント10の通過を阻止するように寸法設定されている。この間隔24は、収容体20の収容空間21を外部と連通させる通気開口となる。このため、以下では、この間隔24を通気開口24として説明する。
【0035】
収容体20の投入口25は、加湿エレメント10を収容空間21に投入するための開口部であり、加湿エレメント10が通過できるような開口形状を有する。複数の加湿エレメント10は、この投入口25から投入されることによって収容空間21に充填される。このとき、収容体20の収容空間21の大きさは、使用する加湿エレメント10の寸法及び数に応じて適宜に設定される。
【0036】
収容体20の排出口26は、加湿エレメント10を収容空間21から排出するための開口部であり、加湿エレメント10が通過できるような開口形状を有する。この排出口26は、加湿エレメント10を収容空間21から自重によって円滑に排出させるために側壁部の最低所に設けられるのが好ましい。
【0037】
収容体20は、排出口26を開閉可能な開閉扉としての開閉部材27を有する。開閉部材27は、回動式の開閉構造を有しており、ヒンジ部27a(図3を参照)を介して収容体20の下端部に連結されている。このため、開閉部材27がヒンジ部27aを中心に回動することによって排出口26が閉鎖または開放される。開閉部材27が排出口26を閉鎖した閉位置にあるとき、加湿エレメント10が排出口26を通じて排出されるのが開閉部材27によって阻止される。一方で、開閉部材27が排出口26を開放した開位置にあるとき、複数の加湿エレメント10が自重によって排出口26を通じて順次排出される。
【0038】
なお、開閉部材27の開閉構造は回動式に限定されるものではなく、スライド式であってもよい。また、開閉部材27の開閉操作は、アクチュエータ等によって自動で行われてもよいし、或いは作業者が開閉部材27を把持して手動で行われてもよい。
【0039】
図3に示されるように、収容体20の底面には、排出口26が最低所となるように傾斜した傾斜面20aが設けられている。このため、複数の加湿エレメント10は、収容空間21を重力にしたがって転動しながら排出口26の近傍に集まり、この排出口26を通じて順次連続的に排出されるようになっている。
【0040】
収容体20の2つの保持柵22のうち、給気ファン2(図1を参照)に近い位置に配置されるものが下流側の保持柵22とされ、他方が上流側の保持柵22とされる。このため、上流側の保持柵22に設けられている通気開口24が入口側の通気開口24Aとなり、下流側の保持柵22に設けられている通気開口24が出口側の通気開口24Bとなる。給気ファン2が運転された状態では、収容体20の収容空間21に通気開口24Aから通気開口24Bに向かう空気流れが形成される。
【0041】
(水供給部の構造)
図2に示されるように、水供給部30は、収容体20の収容空間21に収容されている複数の加湿エレメント10に水を供給する機能を有する。この水供給部30は、3つの給水管31,32,33と、3つの電磁弁35と、コモン配管36と、補助ポンプ37と、流量調整弁38と、圧力計39と、を備えている。
【0042】
3つの給水管31,32,33は、水の流通方向の下流部が収容体20の収容空間21に配置されるように構成されている。第1給水管31は、その下流部が収容空間21のうち第1方向Xの下側領域に配置されている。第3給水管33は、その下流部が収容空間21のうち第1方向Xの上側領域に配置されている。第2給水管32は、その下流部が収容空間21のうち第1方向Xについて第1給水管31と第3給水管33との間の中間領域に配置されている。このように、3つの給水管31,32,33は、それぞれの下流部が収容体20の収容空間21の異なる領域に配置されている。
【0043】
各電磁弁35は、3つの給水管31,32,33のそれぞれの上流側に流路を開閉可能に設けられている。コモン配管36は、3つの給水管31,32,33の上流端部に接続された共通配管である。このため、高圧化された水がコモン配管36を通じて3つの給水管31,32,33のそれぞれに流入可能である。
【0044】
3つの電磁弁35の全てが開状態にあるとき、コモン配管36から3つの給水管31,32,33に並列的に水が供給される。3つの電磁弁35の全てが閉状態にあるとき、コモン配管36から3つの給水管31,32,33への水の供給が停止される。選択した一部の電磁弁35のみが開状態にあるとき、3つの給水管31,32,33の中でこの選択した電磁弁35に対応した給水管にのみコモン配管36から水が供給される。このように、水供給部30は、3つの給水管31,32,33のそれぞれに独立して水を供給可能に構成されている。
【0045】
補助ポンプ37は、コモン配管36に接続されている。この補助ポンプ37は、水供給源に連通するコモン配管36の水圧が不足している場合に使用されるバックアップ用のポンプである。このとき、コモン配管36の水圧は圧力計39で検出される。流量調整弁38は、コモン配管36に設けられている。この流量調整弁38は、コモン配管36を流れる水の流量を調整可能に構成されている。
【0046】
図3に示されるように、第1給水管31は、その下流部が互いに平行に第3方向Zに延びる3つの分岐管31aに分岐している。第1給水管31と同様に、第2給水管32は、その下流部が互いに平行に第3方向Zに延びる3つの分岐管32aに分岐しており、第3給水管33は、その下流部が互いに平行に第3方向Zに延びる3つの分岐管33aに分岐している。分岐管31a,32a,33aのそれぞれには、複数の水噴射孔34が設けられており、複数の水噴射孔34から収容空間21に水が噴射されるようになっている。そして、複数の水噴射孔34から噴射された水が収容空間21に収容されている複数の加湿エレメント10に供給されて複数の加湿エレメント10で吸水される。
【0047】
なお、水供給部30を構成する給水管の数や分岐管の数は、図2及び図3に示されるものに限定されるものではなく、必要に応じて適宜に変更可能である。複数の加湿エレメント10に極力均等に水を供給するためには、給水管の数や分岐管の数を増やすのが好ましい。
【0048】
(洗浄装置の構造)
図2に示されるように、洗浄装置40は、加湿に使用した複数の加湿エレメント10を回収して洗浄するための装置である。この洗浄装置40は、洗浄トレイ41と、薬剤タンク42と、を備えている。
【0049】
洗浄トレイ41は、加湿エレメント10の洗浄に用いる容器である。この洗浄トレイ41は、収容体20の排出口26よりも低所である排出口26の直下に設けられている。このため、収容体の収容空間21から排出口26を通じて排出された加湿エレメント10は、自重によって洗浄トレイ41に転入するようになっている。これにより、複数の加湿エレメント10を洗浄トレイ41に回収することができる。
【0050】
薬剤タンク42は、洗浄用の薬剤を貯留するタンクである。この薬剤タンク42に貯留されている薬剤は、必要に応じて供給管42aを通じて洗浄トレイ41内に供給される。このため、洗浄トレイ41に回収された複数の加湿エレメント10を薬剤によって化学的に洗浄することができる。洗浄トレイ41に溜まった洗浄後の廃液は、流出管41bを通じて排出される。
【0051】
なお、洗浄トレイ41は、その底面41aが後述の搬送装置50のハウジング52の入口開口52aに向けて下り傾斜するように構成されているのが好ましい。これにより、洗浄が完了した加湿エレメント10を洗浄トレイ41の底面41aに沿ってハウジング52の入口開口52aまでガイドすることができる。
【0052】
また、洗浄トレイ41に回収された複数の加湿エレメント10の洗浄については、薬剤による化学的な洗浄処理に加えて或いは代えて、洗浄用ブラシなどを使用して物理的な洗浄処理を使用するようにしてもよい。
【0053】
(搬送装置の構造)
図2に示されるように、搬送装置50は、洗浄トレイ41に転入した複数の加湿エレメント10を投入口25から収容体20に戻すように搬送するための装置である。この搬送装置50は、「スクリューコンベア」と称されるものであり、スクリュー羽根51b(図4を参照)を有する搬送部材51と、ハウジング52と、駆動ユニット53と、搬入トレイ54と、を備えている。
【0054】
ハウジング52は、搬送部材51を収容する円筒状の部材である。このハウジング52は、第1方向Xが筒軸方向となるように配置されている。このハウジング52には、第1方向Xの下端部に加湿エレメント10を受け入れる入口開口52aが設けられ、第1方向Xの上端部に加湿エレメント10を排出する出口開口52bが設けられている。
【0055】
また、ハウジング52の第1方向Xの上端部と下端部との間には、洗浄用水を注入する注入管52cが設けられている。加湿エレメント10は、ハウジング52の筒内を搬送部材51によって搬送されているときに、注入管52cから注入された洗浄用水によって洗浄される。
【0056】
駆動ユニット53は、搬送部材51を回転軸51aの軸まわりに回転駆動する機能を有する。本形態では、駆動ユニット53は、ハウジング52の上方に配置されており、搬送部材51の回転軸51aに連結されている。
【0057】
搬入トレイ54は、ハウジング52の出口開口52bを連通し且つ収容体20の投入口25まで下り傾斜した底面55と、底面55の周りを囲むように立設された側壁56と、を有する。このため、ハウジング52の出口開口52bから排出された加湿エレメント10は、搬入トレイ54の底面55を収容体20の投入口25に向けて転動する。そして、収容体20の投入口25まで到達した加湿エレメント10が投入口25を通じて収容空間21に転入する。このとき、加湿エレメント10が搬入トレイ54の底面55から外れた位置に移動するのが側壁56によって阻止される。
【0058】
図4に示されるように、搬送部材51は、回転軸51aの軸まわりに螺旋状に設けられたスクリュー羽根51bを有する。これにより、搬送装置50は、駆動ユニット53が搬送部材51を第1方向Dに回転駆動したとき、ハウジング52の入口開口52aから受け入れた加湿エレメント10を搬送部材51のスクリュー羽根51bと摺動させながら出口開口52bまで搬送するように構成されている。
【0059】
搬送装置50は、ハウジング52の筒内に清掃用ブラシ57を備えており、加湿エレメント10を搬送部材51で搬送するときに清掃用ブラシ57と接触させるように構成されている。
【0060】
次に、図5図6を参照しながら、上記構成の加湿装置1の空調時の状態と回収・清掃時の状態とについて説明する。
【0061】
図5に示されるように、加湿装置1において、複数の加湿エレメント10が収容体20の収容空間21に収容されており、空調時にこの加湿エレメント10に水供給部30の3つの給水管31,32,33から水が供給される。加湿エレメント10の吸水状態で収容体20の通気開口24に気流が形成されることによって、加湿された空気が収容体20の収容空間21から外部へと流れる。このとき、加湿前空気に比べて湿度が高められた加湿後空気が収容体20から外部へと流出する。これにより、収容体20の外部の空調環境が適宜に調整される。
【0062】
図6に示されるように、加湿装置1において、複数の加湿エレメント10の清掃作業を行うとき、先ず、水供給部30の3つの電磁弁35(図2を参照)を閉状態に制御して3つの給水管31,32,33からの水の供給を停止する。その後、開閉部材27によって収容体20の排出口26を開放する。このとき、収容体20の収容空間21に収容されている加湿エレメント10は、収容空間21から重力にしたがって転動しながら排出口26を通じて排出され、そのまま排出口26の直下に位置する洗浄トレイ41に回収される。これにより、収容体20の収容空間21に収容されている加湿エレメント10を排出口26から自重によって連続的に排出させて回収することができる。加湿エレメント10を自重によって排出口26から排出するようにすれば、収容体20からの加湿エレメント10の回収操作を、排出のための動力や余分な工数や手間を要することなく容易に行うことが可能になる。
【0063】
洗浄トレイ41に回収された複数の加湿エレメント10は、洗浄トレイ41で洗浄処理される。そして、洗浄処理された複数の加湿エレメント10は、洗浄トレイ41から搬送装置50を使用して収容体20の収容空間21に再充填される。
【0064】
上述のように、実施形態1の加湿装置1によれば、加湿エレメント10の清掃作業に際して、加湿エレメント10を収容体20の排出口26から自重によって排出させることができるため、加湿エレメント10の清掃に要する作業負荷を抑えることが可能になる。例えば、板状の加湿エレメントを複数積層させて収容体内に設置した積層構造に比べて、加湿エレメント10の回収を容易に行うことができる。
【0065】
実施形態1の加湿装置1によれば、空調時に開閉部材27によって収容体20の排出口26を閉鎖する一方で、回収・清掃時に開閉部材27によって収容体20の排出口26を開放して加湿エレメント10の回収操作を行うことができる。
【0066】
実施形態1の加湿装置1によれば、水供給部30の複数の給水管31,32,33のそれぞれから収容体20の収容空間21に独立して水を供給することによって収容体20の外部の加湿量を調整することができ、空調性能の木目細かい調節作業が可能になる。
【0067】
実施形態1の加湿装置1によれば、収容体20の収容空間21に収容されている加湿エレメント10は、排出口26を通じて排出されると、その自重によってそのまま洗浄トレイ41に転入する。このため、洗浄トレイ41に回収した加湿エレメント10をこの洗浄トレイ41でそのまま速やかに洗浄することができる。
【0068】
実施形態1の加湿装置1によれば、洗浄トレイ41で洗浄が完了した後の加湿エレメント10を、この洗浄トレイ41から搬送装置50によって収容体20の投入口25に向けて搬送することができる。このため、洗浄後の加湿エレメント10を洗浄トレイ41から収容体20に戻す作業を、搬送装置50を使用して自動で行うことが可能になる。
【0069】
実施形態1の加湿装置1によれば、搬送装置50の駆動ユニット53が搬送部材51を回転駆動した状態で、ハウジング52の入口開口52aから導入された加湿エレメント10は、搬送部材51によってハウジング52の出口開口52bまで搬送される。このとき、加湿エレメント10はスクリュー羽根51bと摺動するため、加湿エレメント10の表面に残留した水垢などの汚れをスクリュー羽根51bによって物理的に除去することができる。これにより、加湿エレメント10を洗浄トレイ41で洗浄することに加えて搬送装置50においても洗浄できるため、加湿エレメント10の洗浄の度合いを高めることができる。
【0070】
実施形態1の加湿装置1によれば、搬送装置50のハウジング52の筒内を搬送部材51によって搬送されている加湿エレメント10に清掃用ブラシ57を物理的に接触させることで、加湿エレメント10の清掃状態を高めることができる。例えば、搬送部材51のスクリュー羽根51bと加湿エレメント10との摺動によって除去できずに加湿エレメント10の表面に残留した水垢などの汚れを、清掃用ブラシ57によって効率的に除去することが可能になる。
【0071】
実施形態1の加湿装置1は、水噴霧式の加湿装置のように余分な水を受けるための水槽や送水用の大型のポンプを必要とせず、ノズルの清掃作業を要しないという点で有利である。
【0072】
本発明は、上述の実施形態やその変更例のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の実施形態やその変更例を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0073】
上述の実施形態では、開閉部材27が開位置にあるとき、複数の加湿エレメント10が自重によって排出口26を通じて順次排出される場合について例示したが、複数の加湿エレメント10の排出の円滑化を図るために押し出し部材(図示省略)を追加で設けるようにしてもよい。この押し出し部材を介して加湿エレメント10を押圧することによって、加湿エレメント10の排出をアシストすることが可能になる。
【0074】
上述の実施形態では、収容体20に排出口26を開閉可能な開閉部材27を設ける場合について例示したが、例えば、排出口26から加湿エレメント10を連続的に排出させながら空調操作を行う構造を採用するときには、開閉部材27を省略して排出口26を常時に開状態としてもよい。
【0075】
上述の実施形態では、この搬送装置50にスクリューコンベアと称されるものを使用する場合について例示したが、スクリューコンベアに代えてベルトコンベアと称されるものを使用することもできる。
【0076】
上述の実施形態では、回収した加湿エレメント10を洗浄して再使用する場合について例示したが、必要に応じて、回収した加湿エレメント10を洗浄することなく廃棄するようにしてもよい。この場合、洗浄装置40及び搬送装置50を省略することができ、装置コストを安価に抑えることが可能になる。
【0077】
上述の実施形態では、塗装工程の塗装ブースBで使用する空調風を生成する加湿装置1について例示したが、この加湿装置1の用途はこれに限定されるものではなく、この加湿装置1の構造を、必要に応じて、加湿処理の要請の高い別工程や別分野における加湿技術など適用することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 加湿装置
10 加湿エレメント
20 収容体
24,24A,24B 通気開口
25 投入口
26 排出口
27 開閉部材
30 水供給部
31,32,33 給水管
41 洗浄トレイ
50 搬送装置
51 搬送部材
52 ハウジング
52a 入口開口
52b 出口開口
53 駆動ユニット
57 清掃用ブラシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6