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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】複合成形部品
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/12 20060101AFI20250212BHJP
   G01P 1/02 20060101ALI20250212BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20250212BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B29C33/12
G01P1/02
B29C33/42
B29C45/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022011927
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023110457
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 元寿
(72)【発明者】
【氏名】小林 利成
(72)【発明者】
【氏名】山尾 萌
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 浩行
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-085740(JP,A)
【文献】特開2015-227026(JP,A)
【文献】特表2011-529420(JP,A)
【文献】国際公開第2003/098226(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/12
B29C 33/42
B29C 45/14
G01P 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部部品と、
前記内部部品を覆う一次成形部と、
前記一次成形部を覆う二次成形部と、を備え、
前記一次成形部に、前記内部部品まで貫通する貫通孔部と、前記一次成形部の位置決め箇所を囲うように前記二次成形部側に突出する環状リブ部とが形成され、
前記貫通孔部は、第1貫通孔部および第2貫通孔部を含み、
前記環状リブ部が第1環状リブ部を含み、
前記二次成形部の長手方向に垂直な幅方向における前記第1環状リブ部の両側に前記第1貫通孔部と前記第2貫通孔部とが位置し、
前記長手方向において、前記第1貫通孔部の少なくとも一部及び前記第2貫通孔部の少なくとも一部に前記第1環状リブ部の少なくとも一部が重なり、
前記第1貫通孔部及び前記第2貫通孔部が前記一次成形部の幅方向の外側と前記第1環状リブ部が形成される面側とに開口し、
前記内部部品は、並列する2本のリード線を有し、
前記第1貫通孔部及び前記第2貫通孔部が、前記リード線を前記一次成形部から露出させる、複合成形部品。
【請求項2】
請求項1に記載の複合成形部品であって、
前記環状リブ部は、第2環状リブ部および第3環状リブ部を含み、
前記長手方向において前記第1環状リブ部とは異なる位置に、前記幅方向に沿って前記第2環状リブ部と前記第3環状リブ部とが並列して位置する、複合成形部品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の複合成形部品であって、
前記第1貫通孔部および前記第2貫通孔部は、前記内部部品の前記幅方向の外側両端において、前記内部部品の幅方向両側面を露出させる方向に貫通する、複合成形部品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合成形部品であって、
記貫通孔部は、第3貫通孔部を含み、
前記第3貫通孔部が、前記2本のリード線の一部を共に露出させる位置に貫通する、複合成形部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合成形部品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、車輪の回転速度を計測する車輪速センサが搭載される。このような車輪速度センサとして、特許文献1に記載のような装置が知られている。特許文献1に記載の車輪速度センサは、検出素子部を含む検出ユニットと、検出ユニットを保持する部分であるホルダ部と、検出ユニットを覆うカバーとしての樹脂モールド部とを備える。樹脂モールド部の一端側には検出素子部が埋め込まれ、樹脂モールド部の他端側からはワイヤハーネスが延出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-096828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホルダ部と樹脂モールド部との間で密着性を高めるために、ホルダ部における樹脂モールド部との接触部の一部にリブが設けられることがある。リブの部分だけスペースを確保する必要が生じる。
【0005】
ここにおいて、近年の自動車等に対して小型化と軽量化の要請が強くなっている。車輪速度センサのように、電気部品を複数の樹脂部で覆った複合成形部品についても、小型化の要望が高まっている。
【0006】
そこで、小型化可能な複合成形部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の複合成形部品は、内部部品と、前記内部部品を覆う一次成形部と、前記一次成形部を覆う二次成形部と、を備え、前記一次成形部に、前記内部部品まで貫通する貫通孔部と、前記一次成形部の位置決め箇所を囲うように前記二次成形部側に突出する環状リブ部とが形成され、前記二次成形部の長手方向において、前記貫通孔部の少なくとも一部と前記環状リブ部の少なくとも一部が重なる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、二次成形部の長手方向に短くすることにより小型化可能な複合成形部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、複合成形部品を示す斜視図である。
図2図2は、複合成形部品を示す斜視図である。
図3図3は、複合成形部品を示す側面図である。
図4図4は、複合成形部品を示す平面図である。
図5図5は、図4のV-V線断面を示す断面図である。
図6図6は、図4のVI―VI線断面において一次成形部を金型とともに示す断面図である。
図7図7は、図4のVII-VII線断面において一次成形部を金型とともに示す断面図である。
図8図8は、図4のVIII-VIII断面において一次成形部を金型とともに示す断面図である。
図9図9は、実施形態2における一次成形部を示す平面図である。
図10図10は、実施形態3での図4のVI-VI線断面に対応する位置において、一次成形部を金型とともに示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の複合成形部品は、次の通りである。
【0012】
(1)内部部品と、前記内部部品を覆う一次成形部と、前記一次成形部を覆う二次成形部と、を備え、前記一次成形部に、前記内部部品まで貫通する貫通孔部と、前記一次成形部の位置決め箇所を囲うように前記二次成形部側に突出する環状リブ部とが形成され、前記二次成形部の長手方向において、前記貫通孔部の少なくとも一部と前記環状リブ部の少なくとも一部が重なる複合成形部品である。
【0013】
本開示によると、二次成形部の長手方向において、貫通孔部と環状リブ部との少なくとも一部が重なるので、二次成形部の長手方向に短くすることができる。これにより、複合成形部品全体として小型化できる。
【0014】
(2)前記貫通孔部は、第1貫通孔部および第2貫通孔部を含み、前記環状リブ部が第1環状リブ部を含み、前記長手方向に垂直な幅方向における前記第1環状リブ部の両側に前記第1貫通孔部と前記第2貫通孔部とが位置する。本開示によると、二次成形部の長手方向に短くできるとともに、一次成形時に金型が内部部品を安定的に支持できる。
【0015】
(3)前記環状リブ部は、第2環状リブ部および第3環状リブ部含み、前記長手方向において前記第1環状リブ部とは異なる位置に、前記幅方向に沿って前記第2環状リブ部と前記第3環状リブ部とが並列して位置する。本開示によると、二次成形部の長手方向に短くできるとともに、一次成形時に金型が内部部品を安定的に支持できる。
【0016】
(4)前記第1貫通孔部および前記第2貫通孔部は、前記内部部品の前記幅方向の外側両端において、前記内部部品の前記幅方向両側面を露出させる方向に貫通する。本開示によると、一次成形時に金型が内部部品を幅方向にも規制することができる。
【0017】
(5)前記内部部品は、並列する2本のリード線を有し、前記貫通孔部は、第3貫通孔部を含み、前記第3貫通孔部が、前記2本のリード線の一部を共に露出させる位置に貫通する。本開示によると、一次成形時に金型がリード線を安定的に支持できる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の複合成形部品の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。
【0020】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる複合成形部品10について説明する。図1は、複合成形部品10を示す斜視図である。図2は、複合成形部品10を図1とは異なる方向から示す斜視図である。図3は、複合成形部品10を示す側面図である。なお、いずれの図においても、二次成形部40を仮想線で示している。
【0021】
<複合成形部品10について>
複合成形部品10は、内部部品20と、一次成形部30と、二次成形部40と、を備える。複合成形部品10は、例えば、車両のタイヤの回転速度の計測に用いられる。
【0022】
<内部部品20について>
内部部品20は、素子本体部21とリード線22とを有する。本実施形態においては、内部部品20は、並列する2本のリード線22を有する。リード線22の先端部は、一次成形部30から露出している。リード線22のうち一次成形部30から露出した先端部の一部は半田付け部22aである。半田付け部22aは、導線端部3と半田付けをされる部分である。半田付け部22aに、被覆電線1の先端部である導線端部3が、半田4により固定される。導線端部3は、導線に被覆された絶縁被覆部2が皮剥ぎされて導線が露出した部分である。リード線22と導線端部3とが固定された後、内部部品20および一次成形部30は二次成形部40によりモールドされる。本実施形態では、素子本体部21は、扁平な直方体状に形成されている。素子本体部21の外周の一辺側部分から複数(ここでは2つ)のリード線22が延出している。リード線22は素子本体部21の厚み方向一方側に延出している。リード線22は、素子本体部21の主面に対して斜め姿勢で延びている。リード線22は、素子本体部21の主面に対して直交もしくは平行でもよい。
【0023】
素子本体部21は、例えば、磁気の物理量、または、それらの変化量を検出する。素子本体部21により検出された値は、制御部(図示省略)に伝達され、例えば、車輪の回転速度の計測に用いられる。素子本体部21は、例えば方形状に形成される。なお、以下の説明において、二次成形部40の長手方向とは、内部部品20が一次成形部30及び二次成形部40によって覆われている状態を想定し、直方体状をなす二次成形部40の各辺と平行な3つの方向において最も長い方向である。つまり、素子本体部21は、一次成形部30によって保持されており、素子本体部21及び一次成形部30が二次成形部40によって覆われている。素子本体部21は、二次成形部40内の長手方向一端寄りの部分内に埋っており、リード線22が二次成形部40の長手方向他端に向けて延びている。つまり、二次成形部40は、一端部内に素子本体部21を収容し、他端部内にリード線22を収容するため、一方向に長い形状に形成されている。二次成形部40の長手方向とは、素子本体部21を収容する部分とリード線22を収容する部分とを繋ぐ方向であると考えてもよい。図において、二次成形部40の長手方向を矢印Aで示している。
【0024】
<一次成形部30>
図4は、複合成形部品10を示す平面図である。また、図5は、図4のV-V線断面図である。一次成形部30は、内部部品20を覆う樹脂部である。一次成形部30は、内部部品20をインサート物として同じ樹脂材料によって金型成形された部分である。一次成形部30に、内部部品20まで貫通する貫通孔部31と、環状リブ部32とが形成される。
【0025】
より具体的には、一次成形部30は、本体収容部37と、リード線基端部収容部38と、リード線先端保持部39とを有する。本体収容部37は素子本体部21を覆っている。本体収容部37のうちリード線22が延出する側にリード線基端部収容部38が連続している。本体収容部37とリード線基端部収容部38とは直方体状をなしている。リード線基端部収容部38内にリード線22の基端部が埋っている。
【0026】
リード線先端保持部39は、リード線基端部収容部38に対して本体収容部37とは反対側に延出している。リード線先端保持部39は、各リード線22に対応するリード線載置部35と、隔壁部36とを有する。リード線載置部35は、リード線基端部収容部38から延出するリード線22の一方主面に沿って延出している。隔壁部36は、複数のリード線載置部35の間においてリード線基端部収容部38から延出する複数のリード線22間を仕切るように延出している。2本のリード線22が隔壁部36により隔離されるので、リード線22同士が接触することが防止される。
【0027】
貫通孔部31は、内部部品20をインサートとして一次成形部30を金型成形する際の金型の位置決め部が挿入された痕である。貫通孔部31は、内部部品20の表面に達するまで貫通しており、貫通孔部31内には、内部部品20の表面の一部が露出している。本実施形態では、貫通孔部31は、リード線基端部収容部38に形成されている。貫通孔部31は、数に限定はされないが、本実施形態においては、第1貫通孔部31a、第2貫通孔部31b、および第3貫通孔部31cを含む。
【0028】
ここで、環状リブ部32について説明する。一次成形部30をインサート物として二次成形部40が金型成形される際、二次成形部40を成形するための加熱溶融した樹脂が金型装置内に注入される。加熱溶融した樹脂が一次成形部30の表面に接すると急に冷却して固化する。加熱溶融した樹脂は、環状リブ部32の先端部では、他の一次成形部30の表面に接した場合ほど急に冷却されない。このため、二次成形部40を形成するための加熱溶融樹脂は、環状リブ部32の先端部と溶け合うことが期待される。これにより、一次成形部30と二次成形部40との境界において、環状リブ部32に沿ってより完全な止水がなされることになる。かかる環状リブ部32は、メルトリブと呼ばれることもある。環状リブ部32と二次成形部40とが溶け合いやすいように、一次成形部30と二次成形部40とは同材料によって形成されていることが好ましい。
【0029】
このような環状リブ部32は、一次成形部30の位置決め箇所33を囲うように二次成形部40側に突出する。位置決め箇所33は、内部部品20および一次成形部30をインサートとして二次成形部を金型成形する際に金型の位置決め部が嵌る凹みである。位置決め箇所33は、数に限定はされないが、本実施形態においては、位置決め箇所33は、第1位置決め箇所33a、第2位置決め箇所33b、および第3位置決め箇所33cを含む。また、環状リブ部32は、第1位置決め箇所33aを囲う第1環状リブ部32a、第2位置決め箇所33bを囲う第2環状リブ部32b、第3位置決め箇所33cを囲う第3環状リブ部32cを含む。図5に示すように、二次成形部40の長手方向(矢印A方向)において、第1環状リブ部32aとは異なる位置に、内部部品20の幅方向(リード線22の並列方向:矢印B方向)に沿って第2環状リブ部32bと第3環状リブ部32cとが並列して位置する。本実施形態では、第2環状リブ部32bと第3環状リブ部32cよりも素子本体部21側に第1貫通孔部31aが位置している。
【0030】
第1位置決め箇所33aは、例えば、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央に位置する。また、第2位置決め箇所33bと第3位置決め箇所33cとは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央を挟んで位置する。また、第2位置決め箇所33bと第3位置決め箇所33cとは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央からの距離が互いに同距離である。このような第1位置決め箇所33a、第2位置決め箇所33b、および、第3位置決め箇所33cの配置であると、位置決め箇所33は、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央線を基準として対称に位置することとなる。そうすると、内部部品20の幅方向(矢印B方向)において、二次成形部40の成形時の金型による一次成形部30の支持力の偏りが軽減される。なお、本実施形態においては、各位置決め箇所33を囲うように環状リブ部32が形成されるので、環状リブ部32もまた、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央線を基準として対称に位置することとなる。
【0031】
図5に示すように、二次成形部40の長手方向において、貫通孔部31の少なくとも一部と環状リブ部32の少なくとも一部が重なる。本実施形態においては、二次成形部40の長手方向(矢印A方向)に垂直な幅方向(矢印B方向)における第1環状リブ部32aの両側に第1貫通孔部31aと第2貫通孔部31bとが位置する。なお、「前記二次成形部の長手方向において、貫通孔部31の少なくとも一部と環状リブ部32の少なくとも一部が重なる」とは、平面視において貫通孔部31と環状リブ部32とが重なることを意味しない。二次成形部40の長手方向(矢印A方向)に沿った座標における貫通孔部31の少なくとも一部の配置領域と、環状リブ部32の少なくとも一部の配置領域とが重なることを意味する。このような配置にすることで、複合成形部品10を二次成形部40の長手方向(矢印A方向)に短くできる。これにより、複合成形部品10の全体として、小型化が可能となる。
【0032】
本実施形態において、第1貫通孔部31aおよび第2貫通孔部31bは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央を挟んで位置する。第1貫通孔部31aと第2貫通孔部31bとは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央からの距離が互いに同距離である。このような第1貫通孔部31a、および、第2貫通孔部31bの位置により、一次成形部30の成形時に金型による内部部品20の支持力の偏りが軽減される。
【0033】
また、第3貫通孔部31cは、二次成形部40の長手方向(矢印A方向)において、第1貫通孔部31aおよび第2貫通孔部31bとは異なる位置に位置する。本実施形態では、第3貫通孔部31cは、第1貫通孔部31aおよび第2貫通孔部31bよりもリード線22の先端側に位置する。第3貫通孔部31cは、例えば、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央に位置する。このような第1貫通孔部31a、第2貫通孔部31b、および、第3貫通孔部31cの配置であると、貫通孔部31は、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央線を挟んで対称に位置することとなる。そうすると、内部部品20の幅方向(矢印B方向)において、一次成形部30の成形時の金型による内部部品20の支持力の偏りが軽減される。
【0034】
また、図1および図4に示すように、第1貫通孔部31aが、リード線22の一部を一次成形部30から露出させる位置に貫通する。同様に、第2貫通孔部31bが、リード線22の一部を一次成形部30から露出させる位置に貫通する。このような第1貫通孔部31aと第2貫通孔部31bとの配置により、一次成形部30の成形時にリード線22が金型の位置決め部により安定的に支持される。
【0035】
図1および図4に示すように、第3貫通孔部31cが、2本のリード線22の一部を一次成形部30から共に露出させる位置に貫通する。より具体的には、第3貫通孔部31cは、2つのリード線22の間隔よりも幅広な孔である。第3貫通孔部31cの底に、2つのリード線22の内向き部分が露出している。このような第3貫通孔部31cの位置により、一次成形部30の成形時にリード線22が金型の位置決めピンにより安定的に支持される。
【0036】
図6は、図4のVI―VI線断面を、一次成形部30を金型50とともに示す断面図である。図7は、図4のVII-VII線断面を一次成形部30を金型50とともに示す断面図である。図8は、図4のVIII-VIII線断面を一次成形部30を金型50とともに示す断面図である。なお、V―Vは、内部部品20の幅方向の中央を通る直線である。また、図6ないし図8については、一次成形部30の成形時の断面が示されており、二次成形部40は図示されない。
【0037】
図6に示すように、一次成形部30の成形時に利用される金型50は、第1貫通孔部31aを形成する位置決め部51aと、第2貫通孔部31bを形成する位置決め部51bとを有する。本実施形態においては、位置決め部51aと位置決め部51bとは、リード線22を支持して固定する。また、金型50は、第1位置決め箇所33aを形成する突出部53aと、第1環状リブ部32aを形成する凹部52aとを有する。このように、二次成形部40の長手方向(図4における矢印A方向)に垂直な同一断面において、第1貫通孔部31a、第2貫通孔部31b、第1位置決め箇所33a、および、第1環状リブ部32aが含まれるので、複合成形部品10を二次成形部40の長手方向(図4の矢印A方向)に短くできる。なお、位置決め部51a、51bおよび突出部53aは、金型表面自体の凹凸形状によって形成された部分であってもよいし、金型表面に追加されたピンであってもよい。
【0038】
図7に示すように、金型50は、第2位置決め箇所33bを形成する突出部53bと、第2環状リブ部32bを形成する凹部52bとを有する。また、図8に示すように、金型50は、第3貫通孔部31cを形成する位置決め部51cを有する。位置決め部51cは、2本のリード線22を共に支持して固定する。なお、突出部53bおよび位置決め部51cは、金型表面自体の凹凸形状によって形成された部分であってもよいし、金型表面に追加されたピンであってもよい。
【0039】
以上のように構成された複合成形部品10によると、二次成形部40の長手方向において、貫通孔部31の少なくとも一部と環状リブ部32の少なくとも一部が重なる。このため、二次成形部40の長手方向に短くすることができる。これにより、複合成形部品10全体として小型化できる。
【0040】
また、貫通孔部31は、二次成形部40の長手方向に垂直な幅方向(矢印B方向)における第1環状リブ部32aの両側に第1貫通孔部31aと第2貫通孔部31bとが位置する。これにより、複合成形部品10が二次成形部40の長手方向に短くできるとともに、一次成形時に金型50が内部部品20を安定的に支持できる。
【0041】
また、第3貫通孔部31cが、2本のリード線22の一部を共に露出させる位置に貫通する。これにより、一次成形時に金型50がリード線22を安定的に支持できる。
【0042】
[実施形態2]
図9は、実施形態2における一次成形部230を示す平面図である。一次成形部230における第1貫通孔部231aおよび第2貫通孔部231bは、一次成形部230の幅方向(矢印B方向)の外側に開口していない。本実施形態においては、第3貫通孔部31cと同様に、平面視において一次成形部230の内部に第1貫通孔部231aと第2貫通孔部231bとが形成される。
【0043】
[実施形態3]
図10は、実施形態3での図4のVI-VI線断面に対応する位置において、一次成形部330を金型350とともに示す断面図である。
【0044】
図10に示すように、第1貫通孔部331aおよび第2貫通孔部331bは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の外側両端において、内部部品20の幅方向(矢印B方向)両側面を露出させる方向に貫通する。本実施形態においては、第1貫通孔部331aおよび第2貫通孔部331bは、金型350の位置決め部351aおよび位置決め部351bにより形成される。一次成形時にリード線22の側面22bが金型350の位置決め部351aおよび位置決め部351bに当接するように配置される。これにより、内部部品20のリード線22の側面22bは一次成形部330から露出している。このような第1貫通孔部331aと第2貫通孔部331bとの配置により、金型350(位置決め部351aおよび位置決め部351b)がリード線22の側面22bに当接した状態で一次成形が行われる。このため、一次成形部30の成形時に内部部品20の幅方向(矢印B方向)をも規制することができる。
【0045】
[その他]
上述の実施形態においては、3つの貫通孔部31(231)が形成されるが、3つの貫通孔部31(231)に限定されない。1以上の貫通孔部31(231)であれば、この発明の範囲に含まれる。同様に、3つの位置決め箇所33(または環状リブ部32)が形成されるが、3つの位置決め箇所33(または環状リブ部32)にも限定されない。1以上の位置決め箇所33(または環状リブ部32)であれば、この発明の範囲に含まれる。
【0046】
また、上述の実施形態においては、環状リブ部32が全ての位置決め箇所33を囲むように形成されるが、これに限定されない。環状リブ部32は位置決め箇所33を囲う位置でなくてもよい。また、環状リブ部32は、一部の位置決め箇所33を囲むように形成されてもよい。
【0047】
また、上述の実施形態においては、貫通孔部31(231)は、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央を挟んで対称に位置するが、これに限定されない。また、位置決め箇所33(または環状リブ部32)もまた、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央を挟んで対称に位置するが、これに限定されない。二次成形部40の長手方向において、貫通孔部31(231)の少なくとも一部と環状リブ部32の少なくとも一部が重なる構成であれば、本発明に含まれる。
【0048】
実施形態1ないし実施形態3において説明された各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わされ得る。
【符号の説明】
【0049】
1 被覆電線
2 絶縁被覆部
3 導線端部
4 半田
10 複合成形部品
20 内部部品
21 素子本体部
22 リード線
22a 半田付け部
22b 側面
30,230,330 一次成形部
31,231 貫通孔部
31a,231a,331a 第1貫通孔部
31b,231b,331b 第2貫通孔部
31c 第3貫通孔部
32 環状リブ部
32a 第1環状リブ部
32b 第2環状リブ部
32c 第3環状リブ部
33 位置決め箇所
33a 第1位置決め箇所
33b 第2位置決め箇所
33c 第3位置決め箇所
34 凹部
35 先端載置部
36 隔離部
40 二次成形部
50 金型
51a,51b,51c,351a,351b 位置決め部
52a,52b 凹部
53a,53b 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10