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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】センサ検査装置およびセンサ検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/20 20060101AFI20250212BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20250212BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20250212BHJP
   H02N 2/18 20060101ALI20250212BHJP
   G01N 5/02 20060101ALN20250212BHJP
【FI】
G01N3/20
H10N30/30
H10N30/857
H02N2/18
G01N5/02 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022045212
(22)【出願日】2022-03-22
(65)【公開番号】P2023016681
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2021120093
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】林 信行
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】大西 克己
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-041501(JP,A)
【文献】特開平05-031693(JP,A)
【文献】特開2015-118032(JP,A)
【文献】国際公開第2015/041198(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/20
H10N 30/30
H10N 30/857
H02N 2/18
G01N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面が開口している筐体と、
前記筐体の開口面を塞ぎ、平膜状のセンサが載置されたときに、前記センサを吸着する吸着部材であって、前記吸着または押圧により歪まない剛体部分と、歪む弾性体部分と、に渡って前記センサを設置する吸着部材と、
前記吸着部材の前記弾性体部分を撓ませる撓み機構と、
前記筐体の外部に位置し、前記吸着部材の前記弾性体部分が撓むことによって撓む前記センサの出力を測定する測定部と、
前記センサの出力端子に前記測定部を電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記筐体内および前記剛体部分内に前記接続部が位置する、
センサ検査装置。
【請求項2】
前記センサの長手方向一端部は前記剛体部分に設置され、他端部は前記弾性体部分に設置される、
請求項1に記載のセンサ検査装置。
【請求項3】
前記撓み機構は、前記吸着部材の表面のうち、前記センサが吸着されている第1領域以外の第2領域を押圧し、
前記第2領域の位置は、前記センサが曲げセンサである場合に該センサの中心軸上であり、前記センサがねじりセンサである場合に該センサの側方である
請求項1または請求項2に記載のセンサ検査装置。
【請求項4】
前記吸着部材は、平面視して前記センサの外周に吸着孔を有し、
前記センサを覆うカバーフィルムを吸着する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセンサ検査装置。
【請求項5】
天面が開口している筐体と、
前記筐体の開口面を塞ぎ、平膜状のセンサが載置されたときに、前記センサを吸着する吸着部材と、
前記吸着部材を撓ませる撓み機構と、
前記筐体の外部に位置し、前記吸着部材が撓むことによって撓む前記センサの出力を測定する測定部と、
前記センサが前記吸着部材上に載置されたときに、前記センサを覆う弾性体フィルムを含むカバーフィルムと、
を備え、
前記吸着部材は、平面視して前記センサの外周に吸着孔を有し、
前記センサが前記吸着部材上に載置されたときに、前記吸着部材は、前記吸着孔を介して前記弾性体フィルムを吸着する、
センサ検査装置。
【請求項6】
カバーフィルムは、弾性体フィルムと剛体フィルムとを含む、
請求項4または請求項5に記載のセンサ検査装置。
【請求項7】
断面視して前記剛体フィルムと前記センサの間に空間がある、
請求項6に記載のセンサ検査装置。
【請求項8】
前記吸着孔は、平面視して前記センサに重なり前記センサを吸着する第1吸着孔と、平面視して前記空間に重なる第2吸着孔と、を有する、
請求項7に記載のセンサ検査装置。
【請求項9】
1以上の弾性体パットを、さらに備え、
前記1以上の弾性体パットのそれぞれは、第1吸引孔を有し、
前記第1吸引孔は、前記第1吸着孔または前記第2吸着孔に接続される、
請求項8に記載のセンサ検査装置。
【請求項10】
前記第1吸引孔は、前記第1吸着孔に接続される、
請求項9に記載のセンサ検査装置。
【請求項11】
前記第1吸引孔は、前記第2吸着孔に接続される、
請求項9に記載のセンサ検査装置。
【請求項12】
1以上の吸引ポンプを、さらに備え、
前記1以上の吸引ポンプのそれぞれは、第2吸引孔を有し、
前記第2吸引孔は、前記第1吸引孔に接続される、
請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のセンサ検査装置。
【請求項13】
記1以上の弾性体パットのそれぞれは、前記筐体にシール固定されている、
請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載のセンサ検査装置。
【請求項14】
前記1以上の弾性体パットは、第1弾性体パットと第2弾性体パットとを含み、
前記第1弾性体パットは、第3吸引孔を有し、
前記第2弾性体パットは、第4吸引孔を有し、
前記第3吸引孔は、前記第1吸着孔に接続され、
前記第4吸引孔は、前記第2吸着孔に接続される、
請求項9に記載のセンサ検査装置。
【請求項15】
第1吸引ポンプと第2吸引ポンプとを、さらに備え、
前記第1吸引ポンプは、第5吸引孔を有し、
前記第2吸引ポンプは、第6吸引孔を有し、
前記第5吸引孔は、前記第3吸引孔に接続され、
前記第6吸引孔は、前記第4吸引孔に接続される、
請求項14に記載のセンサ検査装置。
【請求項16】
記第1弾性体パットおよび前記第2弾性体パットのそれぞれは、前記筐体にシール固定されている、
請求項14または請求項15に記載のセンサ検査装置。
【請求項17】
センサを吸着部材に吸着し、前記吸着または押圧により前記吸着部材が歪まない剛体部分と、前記吸着部材が歪む弾性体部分と、に渡って前記センサを前記吸着部材に設置する吸着工程と、
前記吸着部材の前記弾性体部分を撓ませる撓み工程と、
前記吸着部材の前記弾性体部分が撓むことによって撓む前記センサの出力を測定する測定工程と、
を備えたセンサ検査方法。
【請求項18】
センサを吸着部材に吸着する吸着工程と、
前記吸着部材を撓ませる撓み工程と、
前記吸着部材が撓むことによって撓む前記センサの出力を測定する測定工程と、
を備え、
前記吸着部材は、平面視して前記センサの外周に吸着孔を有し、
前記センサを覆うカバーフィルムを吸着する、
センサ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの出力を検査するセンサ検査装置およびセンサ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサの出力を検査するセンサ検査方法が各種提案されている。センサは、製造された後、電子機器に搭載される前に、適正な出力を行うかどうか検査する必要がある。例えば特許文献1には、ポリマー圧電体フィルム(以下、圧電体フィルムと称する。)の両面に第1電極と第2電極を設けた板状のセンサと、そのセンサの検査方法とが開示されている。
【0003】
特許文献1の検査方法では、センサの下面の両端が固定され、センサの上面の中心が押圧される。これにより、圧電体フィルムが厚み方向に撓み、圧電体フィルムの第1電極と第2電極とに電荷が生じる。このセンサは、圧電体フィルムの第1電極と第2電極との間に生じる電圧を検出することで、押圧されたことや押圧量を検出する。
【0004】
特許文献1の検査方法は、このセンサが出力する電圧を検出することで、適正な出力を行うかどうか検査できる。
【0005】
特許文献2には、センサを吸着部材の表面に吸着させて、吸着部材の表面のうち、センサが吸着されている第1領域以外の第2領域を押圧することで、センサを傷付けずに出力を検査できるセンサ検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-102458号
【文献】特開2017-041501号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
検査時にセンサの出力をより向上させることが望まれている。
【0008】
本発明は、センサの出力を向上させたセンサ検査装置およびセンサ検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
センサ検査装置は、センサを吸着し、前記吸着または押圧により歪まない剛体部分と、歪む弾性体部分と、に渡って前記センサを設置する吸着部材と、前記吸着部材の前記弾性体部分を撓ませる撓み機構と、前記吸着部材の前記弾性体部分が撓むことによって撓む前記センサの出力を測定する測定部と、を備える。
【0010】
センサは、吸着部材のうち歪まない剛体部分と歪む弾性体部分とに渡って配置されているため、吸着部材が厚み方向に撓むと、剛体部分を支点として、弾性体部分の一方面(表主面)の全てが伸張される。したがって、センサ検査装置は、センサの出力を最大化して測定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセンサ検査方法およびセンサ検査装置は、センサの出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の検査方法で検査される圧電センサ100の平面図である。
図2図1に示すA-A線の断面図である。
図3図3(A)は、図1に示す圧電センサ100のセンサ部16に備えられる圧電フィルム31の平面図の一例である。図3(B)は、図1に示す圧電センサ100のセンサ部16に備えられる圧電フィルム31の平面図の一例である。
図4】第1の実施形態の検査方法で用いられるセンサ検査装置15の平面図である。
図5図4に示すB-B線の断面図である。
図6図4に示す吸着板150の一部を押圧している様子を示すB-B線の断面図である。
図7図7(A)は、圧電センサ100が曲げセンサである場合のセンサ検査装置15の斜視図であり、図7(B)は、平面図である。
図8図8(A)は、圧電センサ100が捻りセンサである場合のセンサ検査装置15の斜視図であり、図8(B)は、平面図である。
図9図9(A)は、カバーフィルム70の透過斜視図であり、図9(B)は、カバーフィルム70の平面図であり、図9(C)は図9(B)に示すA-A線の断面図である。
図10】カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15の平面図である。
図11図11(A)は、図10に示すA-A線の断面図であり、図11(B)は、図10に示すB-B線の断面図である。
図12】第1の実施形態に係るセンサ検査方法のフローチャートである。
図13】弾性体フィルム71からなるカバーフィルム70を用いる場合の一部断面図である。
図14】カバーフィルム70を上下逆に用いる場合の一部断面図である。
図15】第1の変形例に係るセンサ検査装置15aの平面図である。
図16図15に示すB-B線の断面図である。
図17】吸引ポンプ159が、複数の吸着孔151から弾性体パット130の内部を減圧し、センサ部16を吸着している様子を示すB-B線の断面図である。
図18図15に示す吸着板150の一部を押圧している様子を示すB-B線の断面図である。
図19】カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15aの平面図である。
図20図19に示すB-B線の断面図である。
図21】吸引ポンプ159が、複数の吸着孔151から弾性体パット130の内部を減圧し、センサ部16を吸着している様子を示すB-B線の断面図である。
図22】カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15bの平面図である。
図23図22に示すB-B線の断面図である。
図24】カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15cの平面図である。
図25図24に示すB-B線の断面図である。
図26】カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15dの平面図である。
図27図26に示すB-B線の断面図である。
図28】第5の変形例に係るセンサ検査装置15eの平面図である。
図29図28に示すB-B線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の検査方法について説明する。まず、本実施形態の検査方法で検査される圧電センサについて説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態の検査方法で検査される圧電センサ100の平面図である。図2は、図1に示すA-A線の断面図である。図3(A)は、図1に示す圧電センサ100のセンサ部16に備えられる圧電フィルム31の平面図の一例である。図3(B)は、図1に示す圧電センサ100のセンサ部16に備えられる圧電フィルム31の平面図の一例である。
【0015】
図1に示すように、圧電センサ100は、センサ部16と、部品実装部38と、回路部品39と、を備えている。部品実装部38は、フレキシブルプリント基板30の一部である。フレキシブルプリント基板30は、図1図2に示すように、基板部36及び基板部37と部品実装部38とからなる。フレキシブルプリント基板30の材料は、ポリイミド等の樹脂である。
【0016】
部品実装部38の表主面には、導体パターンである、第1端子32及び第2端子33が形成されている。さらに、部品実装部38の表主面には、回路部品39及び出力端子390が実装されている。
【0017】
図1図2に示すように、第1端子32の第1の端は、第1検出電極34に接続されている。一方、第1端子32の第2の端は、回路部品39に接続されている。そして、第2端子33の第1の端は、第2検出電極35に接続されている。一方、第2端子33の第2の端は、回路部品39に接続されている。
【0018】
したがって、回路部品39は、図1図2に示すように、第1端子32及び第2端子33を介して第1検出電極34と第2検出電極35とに接続されている。また、回路部品39は、出力端子390に接続されている。
【0019】
次に、センサ部16は、図2に示すように、圧電フィルム31、粘着剤層91、粘着剤層92、第1検出電極34、第2検出電極35、基板部36、及び基板部37を備える。
【0020】
図2に示すように、第1検出電極34、第2検出電極35、圧電フィルム31、基板部36、及び基板部37は、それぞれ平板状で厚み方向に対向する表主面および裏主面を備える。なお、図2中の上側面を表主面、下側面を裏主面と称する。
【0021】
図2に示すように、基板部37、第2検出電極35、粘着剤層91、圧電フィルム31、粘着剤層92、第1検出電極34、及び基板部36は、この順に表主面側から裏主面側にかけて積層されている。
【0022】
具体的には、圧電フィルム31の表主面に第2検出電極35が粘着剤層91を介して積層され、第2検出電極35の表主面にさらに基板部37が積層されている。また、圧電フィルム31の裏主面に第1検出電極34が粘着剤層92を介して積層され、第1検出電極34の裏主面にさらに基板部36が積層されている。
【0023】
なお、第2検出電極35、第1検出電極34、圧電フィルム31、基板部37、および基板部36は、それぞれの平面視した外形状が概略長方形状である。基板部37および基板部36の外形状は、圧電フィルム31の外形状より若干大きい。
【0024】
基板部37の裏主面には、第2検出電極35が形成されており、基板部36の表主面には、第1検出電極34が形成されている。そして、図2に示すように、第1検出電極34の表主面には、圧電フィルム31が粘着剤層92によって貼付されている。また、第2検出電極35の裏主面には、圧電フィルム31が粘着剤層91によって貼付されている。
【0025】
なお、粘着剤層91及び粘着剤層92は、例えばアクリル系粘着剤で構成される。
【0026】
次に、圧電フィルム31の構成について詳述する。
【0027】
圧電センサ100を曲げセンサとして用いる場合、図3(A)に示すように、圧電フィルム31は、長辺および短辺に対して約45°を成す方向19へ分子配向している。圧電センサ100を捻りセンサとして用いる場合、図3(B)に示すように、圧電フィルム31は、長辺または短辺に平行な方向191へ分子配向している。圧電フィルム31は、ポリ乳酸等のキラル高分子を主材料とするフィルムである。ポリ乳酸は、L型ポリ乳酸(PLLA)またはD型ポリ乳酸(PDLA)のどちらでもよい。
【0028】
ポリ乳酸は、主鎖が螺旋構造を有するキラル高分子であり、所定の軸方向に配向させることで圧電性を発現する性質を有している。この圧電性は、フィルムの厚み方向を第1軸とし、ポリ乳酸の分子が配向する方向を第3軸として圧電テンソル成分d14で表わされる。
【0029】
圧電フィルム31は、長辺および短辺に対して交差する方向にポリ乳酸の分子が配向する方向を配置すれば、長辺または短辺の方向の伸縮により分極が生じる。例えば図3(A)では長辺および短辺に対する約45°方向を、ポリ乳酸の分子が配向する方向とすることで、長辺または短辺の方向の伸縮により分極が生じ、圧電センサ100を曲げた場合に出力が現れる。
【0030】
圧電フィルム31は、長辺および短辺にポリ乳酸の分子が配向する方向が一致する様に配置すれば、長辺または短辺に対して交差する方向の伸縮により分極が生じる。例えば図3(B)では長辺に対する約0°方向を、ポリ乳酸の分子が配向する方向とすることで、長辺または短辺に交差する方向の伸縮により分極が生じ、圧電センサ100を捻った場合に出力が現れる。
【0031】
ただし、圧電フィルム31における方向19の角度は、長辺および短辺に対して正確な45°や0°に限られることなく、45°または0°に近い任意の角度とすることができる。方向19の角度が、長辺および短辺に対して45°または0°に近い角度であるほど、曲げまたは捻りの力を効率的に検出することができる。
【0032】
したがって、本発明でいう略45°とは、例えば45°±10°程度の45°を中心とする所定範囲の角度をいう。略0°とは、例えば0°±10°程度の0°を中心とする所定範囲の角度をいう。これらの具体的な角度は、変位センサの用途や各部の特性などに基づいて全体の設計に応じて適宜決定するとよい。
【0033】
なお、圧電フィルム31は、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)を主材料とするフィルムであってもよい。ただし、PLLAやPDLAのようなキラル高分子を主材料とする圧電フィルム31の圧電性は、PVDFやPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。
【0034】
したがって、キラル高分子は、PVDF等の他のポリマーや、圧電結晶薄膜を用いた圧電セラミックスのように、ポーリング処理によって圧電性を発現させる必要がなく、また、PVDF等は経時的に圧電定数の変動が見られ、場合によっては圧電定数が著しく低下する場合があるが、キラル高分子の圧電定数は経時的に極めて安定している。
【0035】
さらには、キラル高分子は、他の強誘電性の圧電体で生じる焦電性が生じることがない。したがって、キラル高分子を主材料とする圧電フィルム31は、曲げまたは捻りの検出時に検出位置の温度に依存することなく曲げまたは捻りの力のみに応じた検出電圧を得ることができる。
【0036】
また、キラル高分子はポリマーであり、柔軟性を有するので、圧電セラミックスのように、大きな変位で破損することがない。したがって、キラル高分子を主材料とする圧電フィルム31は、変位量が大きくても破損することがなく、確実に変位量を検出することができる。
【0037】
以上の圧電センサ100は、製造された後、電子機器に搭載される前に例えば、押圧されたときに適正な電圧を出力するかどうか(すなわち良品か不良品か)検査する必要がある。ここで、圧電センサ100が押圧されたときに適正な電圧を出力した場合、その圧電センサ100は良品と判定できる。
【0038】
以下、圧電センサ100の検査方法について説明する。圧電センサ100の検査方法はセンサ検査装置15を用いる。
【0039】
図4は、第1の実施形態の検査方法で用いられるセンサ検査装置15の平面図である。図5は、図4に示すB-B線の断面図である。
【0040】
図4図5に示すように、圧電センサ100のセンサ部16は、センサ検査装置15にセットされる。具体的には、圧電センサ100のセンサ部16は、吸着板150上に載置され、圧電センサ100の出力端子390は、センサ検査装置15の測定部158に接続される。
【0041】
センサ検査装置15は、図4図5に示すように、ピエゾアクチュエータ120と、吸着板150と、筐体152と、吸引ポンプ159と、測定部158と、を備える。吸着板150は、本発明の吸着部材の一例である。ピエゾアクチュエータ120は、本発明の撓み機構の一例である。
【0042】
筐体152は、天面が開口する直方体形状からなる。筐体152には、図4図5に示すように、筐体152の開口面を塞ぐよう吸着板150が載置されている。筐体152の材料は、例えばアルミニウムである。
【0043】
吸着板150は、複数の吸着孔151を有する。吸着板150の材料は、例えばSUS(ステンレススチール)である。吸着板150は、筐体152とともに真空室155を形成する。筐体152の側面には通気孔(不図示)が設けられている。真空室155は通気孔を介して吸引ポンプ159の吸引孔に接続する。
【0044】
次に、センサ検査装置15は、圧電センサ100のセンサ部16が複数の吸着孔151を塞ぐよう載置された状態で吸引ポンプ159を駆動する。この結果、真空室155が吸引ポンプ159により減圧する。これにより、センサ部16が複数の吸着孔151に吸引され、吸着板150に吸着される。このとき、センサ部16は、仮に厚み方向に反っていても、吸着板150に吸着されるため、平らな形状となる。
【0045】
図6は、図4に示す吸着板150の一部を押圧している様子を示すB-B線の断面図である。なお、図6では、センサ部16及び吸着板150が撓む様子を説明するため、これらの撓みを強調して示している。
【0046】
センサ検査装置15は、図6に示すように、吸着板150の表面のうちセンサ部16が吸着されている第1領域以外の第2領域を、ピエゾアクチュエータ120の先端部121で押圧する。これにより、吸着板150は、厚み方向に撓む。吸着板150は、伸縮しない(応力の発生しない)中立面80を境に、収縮する部分と伸張する部分が生じる。なお、ピエゾアクチュエータ120の先端部121は、振動させてもよい。この場合、吸着板150は、厚み方向に振動する。
【0047】
ここで、吸着板150が厚み方向に撓むと、センサ部16も厚み方向に撓む。すなわち、第1検出電極34と第2検出電極35との間に、押圧力の大きさ(圧電フィルム31の伸長量)に応じた電圧値の検出電圧が、押圧力の方向に応じた電圧極性で生じる。この検出電圧は、押圧検出信号として第1端子32及び第2端子33を介して回路部品39へ入力する(図1参照)。センサ検査装置15の測定部158は、回路部品39の出力端子390から検出電圧を測定する。
【0048】
なお、そのため、本実施形態の検査方法は、センサ部16を押圧しなくても、センサ部16の出力を測定できる。したがって、本実施形態の検査方法は、圧電センサ100を傷付けずに出力を検査できる。
【0049】
また、センサ部16は、厚み方向に反っていても、吸着板150に吸着されるため、平らな形状となる。そのため、本実施形態の検査方法は、センサ部16の個体差によらず、センサ部16の出力を測定できる。
【0050】
そして、センサ部16は、吸着または押圧によりセンサ部16が歪まない剛体部分60と、センサ部16が歪む弾性体部分61と、に渡って吸着部材である吸着板150に配置されている。つまり、センサ部16は、長辺方向の端部を支点として片持ち支持される。
【0051】
仮に、センサ部16が平面視して全て弾性体部分61に重なって配置されていると、吸着板150を押圧した際に、圧電フィルム31が伸張する部分および収縮する部分が存在するため、出力が小さくなる。しかし、本実施形態のセンサ部16の圧電フィルム31は、吸着板150が押圧されて厚み方向に撓むと、剛体部分60を支点として、弾性体部分61の一方面(表主面)の全てが伸張される。図6に示す様に、吸着板150のうちセンサ部16を吸着している一方面(表主面)は、応力の中立面80よりもZ方向側であり、全てが伸張される。したがって、圧電フィルム31も一方面に伸張される。これにより、センサ検査装置15は、センサ部16の出力を最大化して測定することができる。
【0052】
なお、図5、6の例では、吸着板150のうち平面視して筐体152に接して重なる部分が剛体部分60であり、筐体152に接していない部分が弾性体部分61となっているが、吸着板150の一部に高い強度を持たせることで筐体152に接していない部分を剛体部分60とすることもできる。
【0053】
上述した様に、圧電センサ100は、長辺方向に沿った伸縮により分極する曲げセンサとして用いることもできるし、長辺方向または短辺方向に交差する方向の伸縮により分極する捻りセンサとして用いることもできる。本実施形態のセンサ検査装置15は、圧電センサ100が曲げセンサである場合でも捻りセンサである場合でも出力を測定することができる。
【0054】
図7(A)は、圧電センサ100が曲げセンサである場合のセンサ検査装置15の斜視図であり、図7(B)は、平面図である。圧電センサ100が曲げセンサである場合、ピエゾアクチュエータ120は、弾性体部分61のうちセンサ部16の中心軸上を押圧する。ピエゾアクチュエータ120が弾性体部分61のうちセンサ部16の中心軸上を押圧すると、センサ部16の長辺方向に沿った方向の伸張量が大きくなる。したがって、曲げセンサである圧電センサ100の出力を大きくすることができる。
【0055】
一方、図8(A)は、圧電センサ100が捻りセンサである場合のセンサ検査装置15の斜視図であり、図8(B)は、平面図である。圧電センサ100が捻りセンサである場合、ピエゾアクチュエータ120は、弾性体部分61のうちセンサ部16の中心軸上から外れた、センサ部16の側方を押圧する。ピエゾアクチュエータ120が弾性体部分61のうちセンサ部16の中心軸上から外れた、センサ部16の側方を押圧すると、センサ部16の長辺および短辺に交差する方向の伸張量が大きくなる。したがって、捻りセンサである圧電センサ100の出力を大きくすることができる。
【0056】
この様に、本実施形態のセンサ検査装置15は、圧電センサ100のモード(曲げセンサであるか捻りセンサであるか)に応じて、最適な押圧位置でセンサ部16の出力を最大化して測定することができる。
【0057】
次に、カバーフィルム70を用いる場合のセンサ検査装置15について説明する。図9(A)は、カバーフィルム70の透過斜視図であり、図9(B)は、カバーフィルム70の平面図であり、図9(C)は図9(B)に示すA-A線の断面図である。図10は、カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15の平面図である。図11(A)は、図10に示すA-A線の断面図である。図11(B)は、図10に示すB-B線の断面図である。図12は、第1の実施形態に係るセンサ検査方法のフローチャートである。
【0058】
この例に係るセンサ検査装置15は、さらに吸引ポンプ159Aを備える。筐体152は、それぞれ独立した真空室155および真空室155Aを形成する。吸引ポンプ159は、平面視してセンサ部16を載置する位置に重なる真空室155を減圧する。吸引ポンプ159Aは、センサ部16を載置する位置の外周に重なる真空室155Aを減圧する。
【0059】
カバーフィルム70は、弾性体フィルム71と剛体フィルム72とを有する。剛体フィルム72は、平面視して天面および底面が開口する直方体形状からなる。剛体フィルム72には、天面の開口を塞ぐよう平板状の弾性体フィルム71が貼り付けられている。弾性体フィルム71の平面視した面積と剛体フィルム72を平面視した面積は略同一である。カバーフィルム70は、剛体フィルム72の開口部に相当する空間が形成される。
【0060】
弾性体フィルム71および剛体フィルム72は、同一の素材(例えばPET:ポリエチレンテレフタラート)であってもよいし、それぞれ異なる素材であってもよい。
【0061】
カバーフィルム70は、圧電センサ100の検査時に、当該空間内にセンサ部16を収納して覆う様にセンサ部16に被せられる。図12に示す様に、検査時には、まず圧電センサ100のセンサ部16が吸着板150上に載置され、圧電センサ100の出力端子390は、センサ検査装置15の測定部158に接続される(S11)。
【0062】
次に、吸引ポンプ159は、複数の吸着孔151から真空室155を減圧し、センサ部16を吸着する(S12)。これにより、センサ部16が吸着板150に吸着され、仮固定される。
【0063】
そして、作業者は、カバーフィルム70をセンサ部16に被せる様にして吸着板150の上面に載置する(S13)。カバーフィルム70は、剛体フィルム72により形状が固定されているため、作業者はカバーフィルム70をセンサ部16に被せる様に、カバーフィルム70の位置を容易に合わせることができる。
【0064】
次に、吸引ポンプ159Aは、真空室155Aを減圧し、カバーフィルム70を吸着する(S14)。そして、センサ検査装置15は、ピエゾアクチュエータ120で吸着板150の上面の弾性体部分61を押圧し(S15)、測定を行う(S16)。
【0065】
カバーフィルム70は、吸着板150に接して、平面視してカバーフィルム70の外周に配置される剛体フィルム72と、剛体フィルム72の上面を覆う弾性体フィルム71と、からなる。そのため、カバーフィルム70をセンサ部16に被せると、図11(B)に示す様に、断面視して剛体フィルム72とセンサ部16との間には空間75が生じる。空間75は、吸着孔151Aを介して真空室155Aに連通する。
【0066】
吸着孔は、平面視してセンサ部16に重なりセンサ部16を吸着する吸着孔151と、平面視して空間75に重なる吸着孔151Aとを有する。そのため、吸引ポンプ159Aが真空室155Aを減圧すると空間75も減圧される。これにより、センサ検査装置15は、カバーフィルム70を吸着板150に吸着することができる。
【0067】
仮に、センサ部16に局所的に大きい反りが存在すると、吸着孔151だけではセンサ部16を吸着板150に対して均一に吸着できない可能性がある。しかし、カバーフィルム70の弾性体フィルム71は、平面視してセンサ部16に重なっていてセンサ部16を均一に覆うため、空間75の減圧によりセンサ部16の上面全体が吸着板150に押しつけられる。したがって、センサ部16は、吸着板150の上面に均一に保持される。よって、センサ検査装置15は、正確な測定を行うことができる。また、カバーフィルム70は、弾性体フィルム71および剛体フィルム72からなり、剛体フィルム72により形状を保持しているため、センサ部16をより均一に押しつけることができる。
【0068】
ただし、カバーフィルム70が剛体フィルム72を含むことは必須ではない。図13は、弾性体フィルム71からなるカバーフィルム70を用いる場合の一部断面図である。この場合も、断面視して弾性体フィルム71とセンサ部16との間には空間75が生じる。そのため、吸引ポンプ159Aが真空室155Aを減圧すると空間75も減圧される。よって、図13に示す様に、剛体フィルム72が無い場合でも、センサ検査装置15は、センサ部16を吸着板150に均一に押しつけることができる。
【0069】
また、図14に示す様に、カバーフィルム70を上下逆に用いる場合でも、センサ検査装置15は、センサ部16を吸着板150に均一に押しつけることができる。図14は、カバーフィルム70を上下逆に用いる場合の一部断面図である。この場合も、断面視して弾性体フィルム71とセンサ部16との間には空間75が生じる。そのため、吸引ポンプ159Aが真空室155Aを減圧すると空間75も減圧される。よって、図14に示す様に、カバーフィルム70を上下逆にした場合でも、センサ検査装置15は、センサ部16を吸着板150に均一に押しつけることができる。また、カバーフィルム70を上下逆にした場合でも、カバーフィルム70は、剛体フィルム72により形状が固定されているため、作業者はカバーフィルム70をセンサ部16に被せる様に、カバーフィルム70の位置を容易に合わせることができる。
【0070】
なお、図10図14に示したセンサ検査装置15でも、図4および図5に示した様に、センサ部16の一部は、剛体部分60と、弾性体部分61と、に渡って吸着板150に配置されてもよい。
【0071】
[第1の変形例]
以下、本発明の第1の変形例に係るセンサ検査装置15aについて説明する。なお、第1の変形例に係るセンサ検査装置15aについては、第1の実施形態に係るセンサ検査装置15と異なる部分のみ説明し、後は省略する。なお、吸着孔151は、本発明の第1吸着孔の一例である。また、吸着孔151Aは、本発明の第2吸着孔の一例である。
【0072】
図15は、第1の変形例に係るセンサ検査装置15aの平面図である。図16は、図15に示すB-B線の断面図である。図17は、吸引ポンプ159が、複数の吸着孔151から弾性体パット130の内部を減圧し、センサ部16を吸着している様子を示すB-B線の断面図である。
【0073】
センサ検査装置15aは、弾性体パット130をさらに備えている点において、センサ検査装置15と相違する。なお、本変形例では、弾性体パット130は、1つである。なお、本変形例では、吸引ポンプ159の吸引孔は、本発明の第2吸引孔の一例である。
【0074】
弾性体パット130は、図15に示すように、平面視して、複数の吸着孔151と重なる。また、弾性体パット130は、図16に示すように、吸着板150の下面に取り付けられる。すなわち、弾性体パット130は、真空室155に設けられる。弾性体パット130は、弾性部材である。したがって、弾性体パット130は、弾性変形する。
【0075】
弾性体パット130は、図16に示すように、吸引孔131を有する。なお、本変形例では、吸引孔131は、本発明の第1吸引孔の一例である。吸引孔131は、複数の吸着孔151に接続される。
【0076】
吸引孔131は、図17に示すように、筐体152の一部(例えば、図17に示すように、筐体152の底面に設けた孔)を介して吸引ポンプ159の吸引孔に接続される。このとき、弾性体パット130は、真空室155から独立した真空室155Bを形成する。
【0077】
次に、センサ検査装置15aは、圧電センサ100のセンサ部16が複数の吸着孔151を塞ぐよう載置された状態で吸引ポンプ159を駆動する。この結果、真空室155Bが吸引ポンプ159により減圧する。これにより、センサ部16が複数の吸着孔151に吸引され、吸着板150に吸着される。このとき、センサ部16は、仮に厚み方向に反っていても、吸着板150に吸着されるため、平らな形状となる。
【0078】
図18は、図15に示す吸着板150の一部を押圧している様子を示すB-B線の断面図である。なお、図18では、センサ部16、吸着板150および弾性体パット130が撓む様子を説明するため、これらの撓みを強調して示している。
【0079】
センサ検査装置15aは、図18に示すように、吸着板150の表面のうちセンサ部16が吸着されている第1領域以外の第2領域を、ピエゾアクチュエータ120の先端部121で押圧する。吸着板150が厚み方向に撓むと、センサ部16および弾性体パット130も厚み方向に撓む。このとき、弾性体パット130は、弾性変形する。
【0080】
次に、カバーフィルム70を用いる場合のセンサ検査装置15aについて説明する。図19は、カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15aの平面図である。図20は、図19に示すB-B線の断面図である。図21は、吸引ポンプ159が、複数の吸着孔151から弾性体パット130の内部を減圧し、センサ部16を吸着している様子を示すB-B線の断面図である。
【0081】
この例に係るセンサ検査装置15aは、図19に示すように、さらに吸引ポンプ159Aを備える。弾性体パット130は、図20に示すように、吸着板150の下面に取り付けられる。また、吸引孔131は、複数の吸着孔151に接続される。なお、本変形例では、吸引孔131は、吸着孔151Aに接続されない。
【0082】
弾性体パット130は、独立した真空室155Bを形成する。これにより、本変形例では、筐体152は、図20に示すように、真空室155Aを形成していない。したがって、本変形例では、筐体152は、図20に示すように、真空室155のみ形成する。本変形例では、図21に示すように、筐体152および弾性体パット130が、それぞれ独立した真空室155および真空室155Bを形成する。
【0083】
吸引ポンプ159は、図21に示すように、真空室155を介さずに、平面視してセンサ部16を載置する位置に重なる真空室155Bを減圧する。吸引ポンプ159Aは、真空室155を減圧する。吸引ポンプ159Aが真空室155を減圧すると空間75も減圧される。これにより、センサ検査装置15aは、カバーフィルム70を吸着板150に吸着することができる。
【0084】
センサ検査装置15aによれば、センサの出力をより向上させることができる。より詳細には、弾性体パット130は、吸引孔131を有している。また、吸引孔131は、吸着孔151に接続される。また、吸引孔131は、吸引ポンプ159の吸引孔に接続される。すなわち、弾性体パット130は、独立した真空室155Bを形成する。これにより、筐体152が真空室155Aを形成する必要がない。したがって、筐体152は、真空室155と真空室155Aとを隔てる部分が無くてもよい。また、弾性体パット130は、撓みやすいため、吸着板150の撓みを阻害しない。これにより、吸着板150は、厚み方向により撓むことができる。その結果、センサ検査装置15aの吸着板150は、センサ検査装置15の吸着板150よりも厚み方向により撓むことができる。その結果、センサ検査装置15aによれば、センサの出力をより向上させることができる。
【0085】
[第2の変形例]
以下、本発明の第2の変形例に係るセンサ検査装置15bについて説明する。なお、第2の変形例に係るセンサ検査装置15bについては、第1の変形例に係るセンサ検査装置15aと異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0086】
図22は、カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15bの平面図である。図23は、図22に示すB-B線の断面図である。
【0087】
センサ検査装置15aは、吸引孔131が複数の吸着孔151Aに接続される点において、センサ検査装置15と相違する。なお、本変形例では、弾性体パット130は、2つである。
【0088】
2つの弾性体パット130のそれぞれは、図22に示すように、平面視して、複数の吸着孔151Aと重なる。また、2つの弾性体パット130のそれぞれは、図23に示すように、吸着板150の下面に取り付けられる。
【0089】
2つの弾性体パット130のそれぞれは、図23に示すように、吸引孔131を有する。吸引孔131は、複数の吸着孔151Aに接続される。なお、本変形例では、吸引孔131は、吸着孔151に接続されない。
【0090】
吸引孔131は、筐体152の通気孔(不図示)を介して吸引ポンプ159A(不図示)の吸引孔に接続される。このとき、2つの弾性体パット130のそれぞれは、真空室155から独立した真空室155Bを形成する。
【0091】
吸引ポンプ159(不図示)は、真空室155を減圧する。吸引ポンプ159A(不図示)は、真空室155Aを介さずに、真空室155Bを減圧する。
【0092】
以上のようなセンサ検査装置15bにおいても、センサ検査装置15aと同じ効果を奏する。
【0093】
[第3の変形例]
以下、本発明の第3の変形例に係るセンサ検査装置15cについて説明する。なお、第3の変形例に係るセンサ検査装置15cについては、第1の変形例に係るセンサ検査装置15aと異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0094】
図24は、カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15cの平面図である。図25は、図24に示すB-B線の断面図である。
【0095】
センサ検査装置15bは、吸引孔133が複数の吸着孔151Aに接続される弾性体パット132をさらに備えている点において、センサ検査装置15aと相違する。なお、本変形例では、弾性体パット130は、1つである。また、弾性体パット132は、1つである。なお、本変形例では、弾性体パット130は、本発明の第1弾性体パットの一例である。また、弾性体パット132は、本発明の第2弾性体パットの一例である。また、吸引孔131は、本発明の第3吸引孔の一例である。また、吸引ポンプ159は、本発明の第1吸引ポンプの一例である。また、吸引ポンプ159Aは、本発明の第2吸引ポンプの一例である。また、吸引ポンプ159の吸引孔は、本発明の第5吸引孔の一例である。また、吸引ポンプ159Aの吸引孔は、本発明の第6吸引孔の一例である。
【0096】
弾性体パット132は、図24に示すように、平面視して、複数の吸着孔151Aと重なる。また、弾性体パット132は、図25に示すように、吸着板150の下面に取り付けられる。
【0097】
弾性体パット132は、図25に示すように、吸引孔133を有する。吸引孔133は、本発明の第4吸引孔の一例である。吸引孔133は、複数の吸着孔151Aに接続される。
【0098】
吸引孔131は、筐体152の通気孔(不図示)を介して吸引ポンプ159(不図示)の吸引孔に接続される。このとき、弾性体パット130は、真空室155および真空室155Cから独立した真空室155Bを形成する。また、吸引孔133は、筐体152の通気孔(不図示)を介して吸引ポンプ159A(不図示)の吸引孔に接続される。このとき、弾性体パット132は、真空室155Bから独立した真空室155Cを形成する。
【0099】
吸引ポンプ159(不図示)は、真空室155を介さずに、真空室155Bを減圧する。吸引ポンプ159A(不図示)は、真空室155および真空室155Cを減圧する。
【0100】
以上のようなセンサ検査装置15cにおいても、センサ検査装置15aと同じ効果を奏する。
【0101】
[第4の変形例]
以下、本発明の第4の変形例に係るセンサ検査装置15dについて説明する。なお、第4の変形例に係るセンサ検査装置15dについては、第3の変形例に係るセンサ検査装置15cと異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0102】
図26は、カバーフィルム70を取り付ける場合のセンサ検査装置15dの平面図である。図27は、図26に示すB-B線の断面図である。
【0103】
センサ検査装置15cは、吸引孔133が複数の吸着孔151Aに接続される弾性体パット132を2つ備えている点において、センサ検査装置15cと相違する。
【0104】
2つの弾性体パット132のそれぞれは、図26に示すように、平面視して、複数の吸着孔151Aと重なる。また、2つの弾性体パット132は、図27に示すように、吸着板150の下面に取り付けられる。
【0105】
2つの弾性体パット132のそれぞれは、図25に示すように、吸引孔133を有する。吸引孔133は、複数の吸着孔151Aに接続される。これにより、本変形例では、全ての吸着孔151Aは、吸引孔133に接続される。ここで、弾性体パット130は、真空室155から独立した真空室155Bを形成する。2つの弾性体パット132のそれぞれは、真空室155Bから独立した真空室155Cを形成する。
【0106】
吸引ポンプ159(不図示)は、真空室155を介さずに、真空室155Bを減圧する。吸引ポンプ159A(不図示)は、真空室155を介さずに、真空室155Cを減圧する。
【0107】
以上のようなセンサ検査装置15dにおいても、センサ検査装置15cと同じ効果を奏する。
【0108】
[第5の変形例]
以下、本発明の第5の変形例に係るセンサ検査装置15bについて説明する。なお、第5の変形例に係るセンサ検査装置15eについては、第1の変形例に係るセンサ検査装置15aと異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0109】
図28は、第5の変形例に係るセンサ検査装置15eの平面図である。図29は、図28に示すB-B線の断面図である。
【0110】
センサ検査装置15eは、弾性体パット130が筐体152にシール固定されている点において、センサ検査装置15aと相違する。
【0111】
本変形例では、筐体152の通気孔(不図示)は、筐体152の底面に設けられている。
【0112】
センサ検査装置15eは、図29に示すように、シール部材135をさらに備えている。シール部材135は、弾性体パット130を筐体152に固定している。シール部材135は、例えば、Oリングである。すなわち、本変形では、シール部材135の形状は、円筒である。その円筒の軸方向は、Z軸方向である。シール部材135は、筐体152の内底面に設けられている。
【0113】
吸引孔131は、シール部材135および筐体152の通気孔(不図示)を介して吸引ポンプ159の吸引孔に接続される。
【0114】
以上のようなセンサ検査装置15eにおいても、センサ検査装置15aと同じ効果を奏する。また、センサ検査装置15eによれば、弾性体パット130を筐体152に固定することができる。また、センサ検査装置15eによれば、真空室155Bを効率的に減圧することができる。より詳細には、シール部材135は、真空室155Bを筐体152に固定する。これにより、真空室155Bの密閉性を高めることができる。その結果、センサ検査装置15eによれば、真空室155Bを効率的に減圧することができる。
【0115】
なお、上記実施形態および上記変形例では、圧電フィルム31の平面形状は長方形状であるが、これに限るものではない。圧電フィルム31の平面形状は、正方形状、円形状、台形状、平行四辺形状、四角形以上の多角形状、楕円形状、長円形状等、他の平面形状であってもよい。また、カバーフィルム70も圧電フィルム31の形状に合わせて、適宜調整すればよい。
【0116】
また、上記実施形態および上記変形例において吸着板150の材料は、SUS(ステンレススチール)であるが、これに限るものではない。吸着板150の材料は、例えばガラス板でもよい。
【0117】
また、上記実施形態および上記変形例では、センサ検査装置15は、圧電センサ100を検査しているが、これに限るものではない。センサ検査装置15は、その他のセンサ、例えば加速度センサなどを検査してもよい。
【0118】
また、上記実施形態および上記変形例では、押圧機構としてピエゾアクチュエータ120を用いているが、これに限るものではない。センサ検査装置15は、押圧機構として、モータによって駆動する電動アクチュエータを用いてもよい。ただし、ピエゾアクチュエータ120は、電動アクチュエータに比べて押圧量を細かく設定することができる。ピエゾアクチュエータ120は、ピエゾ圧電効果によって駆動する。よって、ピエゾアクチュエータ120の押圧量は、ピエゾ素子に印加する電圧を変えることにより、電動アクチュエータの押圧量に比べて非常に細かく設定することができる。
【0119】
最後に、上記実施形態および上記変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。例えば、センサ検査装置15,15a乃至15eの構成を任意に組み合わせてもよい。また、本発明の範囲は、上記実施形態および上記変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0120】
なお、弾性体パット130は、1つまたは2つに限られない。例えば、弾性体パット130は、複数の吸着孔151のそれぞれに対応して設けられてもよい。
【0121】
なお、弾性体パット132は、1つまたは2つに限られない。例えば、弾性体パット132は、複数の吸着孔151Aのそれぞれに対応して設けられてもよい。
【0122】
なお、弾性体パット132は、筐体152にシール固定されていてもよい。また、弾性体パット130および弾性体パット132のそれぞれは、筐体152にシール固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
15,15a,15b,15c,15d,15e…センサ検査装置
16…センサ部
30…フレキシブルプリント基板
31…圧電フィルム
32…第1端子
33…第2端子
34…第1検出電極
35…第2検出電極
36,37…基板部
38…部品実装部
39…回路部品
60…剛体部分
61…弾性体部分
70…カバーフィルム
71…弾性体フィルム
72…剛体フィルム
75…空間
91,92…粘着剤層
100…圧電センサ
120…ピエゾアクチュエータ
121…先端部
150…吸着板
151,151A…吸着孔
152…筐体
155,155A…真空室
158…測定部
159,159A…吸引ポンプ
390…出力端子
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