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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】画像表示装置および画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20250212BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20250212BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20250212BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20250212BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
A61B3/113
G09G5/00 550C
G09G5/38 100
G09G5/00 X
H04N5/64 511A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022532387
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2021018072
(87)【国際公開番号】W WO2021261100
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2020106965
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】奥 貴司
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/017348(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/203815(WO,A1)
【文献】特開平08-154898(JP,A)
【文献】米国特許第10417784(US,B1)
【文献】特表2011-508911(JP,A)
【文献】特開2007-041504(JP,A)
【文献】特開2010-039219(JP,A)
【文献】特表2013-540278(JP,A)
【文献】特表2006-506660(JP,A)
【文献】特開2006-053321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,27/02
G09G 5/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示させる画像表示光および前記画像表示光の共役光を出射する光源部と、
前記光源部から出射された前記画像表示光をユーザの眼の瞳孔に投射し、前記光源部から出射された前記共役光を前記ユーザの眼の瞳孔周辺に投射する光学系と、
前記光学系から投射された前記共役光が前記瞳孔周辺で反射した反射光を検出する検出部と、
前記検出部で検出した反射光に基づいて、表示させる画像の位置を制御する制御部と、を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記画像表示光および前記共役光の方向を変化させて前記ユーザの眼へ集光させる集光部と、前記画像表示光および前記共役光の振幅または位相を空間的に変調させる変調部と、を有する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記画像表示光が前記瞳孔へ入射して網膜上で結像した結像画像と、前記共役光が前記瞳孔周辺で反射した反射画像と、を撮像する撮像部を有し、
前記制御部は、前記撮像部で撮像した前記結像画像および前記反射画像に基づいて、表示させる画像のずれ量および補正量を演算する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記表示させる画像のずれ量および補正量を演算することにより、前記ユーザの現在の視線方向および光軸方向を算出する、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記瞳孔周辺は、虹彩、強膜、前記瞳孔と前記虹彩との境界、および、前記虹彩と前記強膜との境界、のいずれか一つである、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記共役光のフーリエ像の前記瞳孔周辺での位置に基づいて、前記表示させる画像の初期位置からの前記眼の視線方向に垂直な平面内のずれを算出する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記共役光のフーリエ像のデフォーカス量に基づいて、前記表示させる画像の初期位置からの前記眼の視線方向のずれを算出する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記表示させる画像の初期位相を調整することで、前記表示させる画像のフーリエ像の大きさや分離幅を変更する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記光学系は、共軸光学系である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記検出部は、両眼から前記画像表示光および前記共役光の情報を取得する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記集光部は、前記共役光を反射させる光学素子に回折光学素子を用いている、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記光学系は、フーリエ面に光束シフトおよび/または分割デバイスを有する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記光源部は、複数の光源を用いている、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記光学系は、初期位置の出射パターンを一部のフレームに入れ込み、前記表示させる画像のずれ量を測量し定期的にキャリブレーションを行う、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項15】
画像を表示させる画像表示光および前記画像表示光の共役光を出射するステップと、
出射された前記画像表示光および前記共役光を、それぞれユーザの眼の瞳孔および前記ユーザの眼の瞳孔周辺に投射するステップと、
投射された前記共役光が前記瞳孔周辺で反射した反射光を検出するステップと、
検出した前記反射光に基づいて、表示させる画像の位置を制御するステップと、
を含む画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像表示装置および画像表示方法に関し、より詳細には、ホログラフィック方式の画像を表示する画像表示装置およびこれを用いた画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの顔等の身体に装着されて、ユーザに画像を表示する装置として、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等の画像表示装置(アイウェア)が知られている。
【0003】
このようなアイウェアにおいてアイトラッキング(視線追跡)を行う場合、一般的に映像光とは異なる照明系が必要となり、通常は赤外光を用いた照明を設置することが多い。また、これらはフレーム周辺へ配置されることが多くアイウェア自体が大きくなる。
【0004】
また、透過型アイウェアにおいて、アイウェアのフレームは画像重畳時の没入感低下を招くため、視界を邪魔しないことが求められるが、赤外光照明を配置するためにどうしてもフレーム幅が太くなる傾向があり、没入感低下につながる方向にある。
【0005】
さらに、狙ったパターンを生成し眼球に照射したい場合は、さらに追加の光学系が必要となりアイウェア全体の大きさが大きくなる傾向がある。
【0006】
そこで、上記問題に鑑みて、従来からアイウェアを小型化する技術が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、画像を形成する画像用光線と、検査用光線と、を出射する1つの光源と、前記1つの光源から出射された前記画像用光線をユーザの眼の第1表面領域に投射して前記ユーザの網膜に投射し、前記1つの光源から出射された前記検査用光線を前記ユーザの眼の前記第1表面領域から離れた第2表面領域に投射する光学系と、前記検査用光線が前記ユーザの眼で反射した反射光を検出する光検出器と、前記光検出器による前記反射光の検出結果に基づき、前記1つの光源及び前記光学系の少なくとも一方を制御する制御部と、を備えることを特徴とする画像投影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-009986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術では、画像表示装置を小型化し、かつトラッキング精度も向上させる解決策は提案されておらず、これらを同時に満たす画像表示装置のさらなる開発が望まれている。
【0010】
そこで、本技術では、画像表示装置を小型化しつつ、トラッキング精度も向上させることが可能な画像表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術では、画像を表示させる画像表示光および画像表示光の共役光を出射する光源部と、光源部から出射された画像表示光をユーザの眼の瞳孔に投射し、光源部から出射された共役光をユーザの眼の瞳孔周辺に投射する光学系と、光学系から投射された共役光が瞳孔周辺で反射した反射光を検出する検出部と、検出部で検出した反射光に基づいて、表示させる画像の位置を制御する制御部と、を備える画像表示装置を提供する。
【0012】
また、本技術では、画像を表示させる画像表示光および画像表示光の共役光を出射するステップと、出射された画像表示光および共役光を、それぞれユーザの眼の瞳孔およびユーザの眼の瞳孔周辺に投射するステップと、投射された共役光が瞳孔周辺で反射した反射光を検出するステップと、検出した反射光に基づいて、表示させる画像の位置を制御するステップと、を含む画像表示方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、画像表示装置を小型化しつつ、トラッキング精度も向上させることが可能な画像表示装置を提供することができる。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を上方から見た平面図である。
図2】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の一例の模式図である。
図3】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を上方から見た平面図である。
図4】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の一例の模式図である。
図5】本技術の第1実施形態に係る制御部の構成例を示すブロック図である。
図6】本技術の第1実施形態に係る画像表示方法の例を示すフローチャートである。
図7】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置の変形例を用いて撮像した撮像画像の一例の模式図である。
図8】本技術の第2実施形態に係る画像表示装置を上方から見た平面図である。
図9】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置を上方から見た平面図である。
図10】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の一例の模式図である。
図11】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の他の例の模式図である。
図12】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の他の例の模式図である。
図13】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の他の例の模式図である。
図14】本技術の第4実施形態に係る画像表示装置を上方から見た平面図である。
図15】本技術の第5実施形態に係る画像表示装置を上方から見た平面図である。
図16】本技術の第6実施形態に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施形態
(1)画像表示装置の構成例
(2)制御部の構成例
(3)画像表示方法(トラッキングの方法)の例
(4)変形例
2.第2実施形態
3.第3実施形態
(1)画像表示装置の構成例
(2)撮像画像の例
4.第4実施形態
5.第5実施形態
6.第6実施形態
7.その他の適用用途
【0016】
1.第1実施形態
(1)画像表示装置の構成例
まず、図1および図2を参照して、本技術の第1実施形態に係る画像表示装置の構成例について説明する。図1は、本実施形態に係る画像表示装置100の構成例を示す上方から見た平面図である。図2は、画像表示装置100を用いて眼球105の正面を撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。
【0017】
画像表示装置100は、例えば、ホログラムに光を当て、それに記録されている干渉縞による回折を利用して、元の信号波である物体光と同じ波面をつくり出すホログラフィック方式の波面再生アイウェアディスプレイとして用いることができる。なお、画像表示装置100は、主に拡張現実(AR)を対象とするオフアクシスの光学系に適用することができる。
【0018】
図1に示すように、画像表示装置100は、一例として、波面再生を行う光学エンジンである光学部101と、画像表示光OLおよび共役光CL等の光束の方向を変化させてユーザの眼へ集光させ、瞳孔へと導く集光部であるコンバイナ102と、眼球および光束の位置関係データを取得する検出部である撮像部103と、像の生成や像の位置調整等を行う制御部104と、を備える。
【0019】
画像表示装置100は、光学部101およびコンバイナ102で光学系を形成している。光学系は、後述する光源部を除く光学部101およびコンバイナ102を示すこともでき、光源部から出射された共役光CLをユーザの眼の瞳孔周辺に投射する役割を有する。コンバイナ102は、共役光CLを反射させる光学素子113を有し、光学素子113に回折光学素子(DOE)を用いている。
【0020】
撮像部103は、光学系から投射された共役光CLが瞳孔周辺で反射した反射光を検出する検出部に含まれる。撮像部103は、画像表示光OLが瞳孔へ入射して網膜上で結像した結像画像の反射光と、共役光CLが瞳孔周辺で反射した反射画像と、を撮像する。なお、撮像部103は、片眼からだけでなく、両眼から画像表示光OLおよび共役光CLの情報を取得することができる。
【0021】
光学部101は、半導体レーザ(LD)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、発光ダイオード(LED)等による(部分)コヒーレント光源を発生させる光源部111と、画像表示光OLおよび共役光CLの振幅または位相を空間的に変調させる変調部である空間光位相変調素子(SLM)112とを有する。光学部101は、物体の画像を表示させる画像表示光(物体光)OLおよび画像表示光OLの共役光CLを生成する。ここで、共役光とは、対応する画像表示光とのなす角度が担保された光をいう。光学部101の具体例としては、レンズまたはレンズ性能を持つホログラム光学素子(HOE)、回折光学素子(DOE)、メタサーフェス、メタマテリアル等の光学部品が挙げられる。
【0022】
光学部101の光源部111から出射された画像表示光OLおよびその共役光CLは、SLM112上の計算機合成ホログラム(CGH)に表示される。このとき、画像表示光OLおよびその共役光CLは、互いに共役であるため、互いの角度関係が担保される。画像表示光OLおよびその共役光CLが、コンバイナ102に入射し、コンバイナ上のそれぞれの光学素子から反射された波面が生成され、再生された画像表示光OLがユーザの眼球105に入射される。眼球105に入射された画像表示光OLは瞳孔へと入射し網膜上で結像する。
【0023】
図1では、ユーザの眼球105の視線方向である奥行き方向をZ方向(紙面に向かって上下方向)とし、Z方向に対して垂直な面内において、互いに直交する方向をX方向(紙面に向かって左右方向)およびY方向(紙面に向かって表裏方向)としている。
【0024】
図2は、画像表示装置100を用いて撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。図2に示すように、画像表示光OLは、眼球105の瞳孔121から網膜へ入射する。一方、共役光CLは、眼球105の瞳孔121周辺の例えば、虹彩122と強膜123との境界へ入射する。ここで、瞳孔121周辺とは、虹彩122、強膜123、瞳孔121と虹彩122との境界、および、虹彩122と強膜123との境界、のことをいう。なお、共役光CLは、虹彩122と強膜123との境界に投射することで、画像表示光OLの位置をより判断しやすくなる。
【0025】
図2では、ユーザの眼球105の視線方向である奥行き方向をZ方向(紙面に向かって表裏方向)とし、Z方向に対して垂直な面内において、互いに直交する方向をX方向(紙面に向かって左右方向)およびY方向(紙面に向かって上下方向)としている。
【0026】
次に、図1から図4を参照して、画像表示装置100を用いたアイトラッキングの概要について説明する。図3は、ずれた画像が瞳孔に入射された場合の画像表示装置100の構成例を示す上方から見た平面図である。図4は、ずれた画像が瞳孔に入射された場合の撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。
【0027】
図3に示すように、入射された画像表示光OLが瞳孔121の中心(初期基準位置)からずれた場合、共役光CLも同じ量だけずれて、瞳孔121周辺に入射する。具体的には、例えば、図4に示すように、画像表示光OLが、瞳孔121の中心からずれ量d1だけ図4の紙面に向かって右側方向にずれた場合、共役光CLもずれ量d1だけ図4の紙面に向かって右側方向にずれて、強膜123に入射する。
【0028】
このとき、眼球105に入射された画像表示光OLは、ずれ量d1だけ瞳孔121の中心からずれて瞳孔へと入射し網膜上で結像する。一方、共役光CLは、ずれ量d1だけずれた位置の強膜123上で反射するため、その反射した像を撮像部103で撮像する。撮像部103で撮像した撮像画像を制御部104が取得し、制御部104でずれ量d1および補正量についてシフトすべき量を演算し、再度制御部104にフィードバックを行う。
【0029】
補正の方法としては、波面生成時に光学部101内のSLM112に重畳する位相パターンを変化させる方法や、追加で動的な光学素子(MEMSミラー、液体プリズム等)のステアリング素子を挿入する方法もある。
【0030】
初期基準位置からの画面と同一平面内における上下左右方向(XY方向)へのずれは、共役光CLのフーリエ像の眼球105上での位置を観察することにより、初期基準位置からのずれを演算することによりにより求めることが可能となる。また、眼球105の視線方向である奥行き方向(Z方向)へずれた場合は共役光CLのフーリエ像が、フォーカス位置から光軸方向にずれている量であるデフォーカス量により判断することが可能である。
【0031】
(2)制御部の構成例
次に、図5を参照して、本実施形態に係る制御部の構成例について説明する。図5は、画像表示装置100の制御部104の構成例を示すブロック図である。制御部104は、画像の生成や画像の位置調整の他、初期基準位置のデータの保存を行う。また、制御部104は、画像データから演算を行って画像の位置の導出およびその位置の予測等も行う。
【0032】
ここで、初期基準位置は、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用する場合、これをユーザの頭部の装着した時の位置に基づいて映像が見える位置に設定する。この初期基準位置の設定方法は、VRヘッドセットの様な機械的な方法や、他の電気的駆動ミラー等を用いた電気的な方法等が挙げられる。なお、初期位置設定後のずれ調整のためにレンジを確保したいため、最初からSLMは使っていない。
【0033】
図5に示すように、制御部104は、一例として、中央処理部(CPU)131と、演算部132と、判定部133と、記憶部134と、を備える。CPU131は、演算部132、判定部133および記憶部134のそれぞれと電気的に接続され、各部の指令を統括する。
【0034】
演算部132は、共役光CLのずれ量および補正量を演算する。判定部133は、共役光CLのずれ量が許容範囲か否かを判定する。記憶部134は、演算部132で演算したずれ量および補正量を記憶する。CPU131は、適当なタイミングで記憶部134に記憶されたずれ量または補正量を読み出す。
【0035】
制御部104は、表示させる画像のずれ量および補正量を演算することにより、ユーザの現在の視線方向および光軸方向を算出することができる。また、制御部104は、共役光CLのフーリエ像の瞳孔121周辺での位置に基づいて、表示させる画像の初期基準位置からのXY方向へのずれを算出することができる。また、制御部104は、共役光CLのフーリエ像のデフォーカス量に基づいて、表示させる画像の初期基準位置からのZ方向へのずれを算出することもできる。さらに、制御部104は、表示させる画像の初期位相を調整することで、表示させる画像のフーリエ像の大きさや分離幅を変更することもできる。
【0036】
(3)画像表示方法(トラッキングの方法)の例
次に、図6を参照して、本実施形態に係る画像表示方法(トラッキングの方法)の例について説明する。図6は、画像表示装置100を用いた画像表示方法の例を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS1において、ユーザが、アイウェアである画像表示装置100を装着する。画像表示装置100を装着したら、画像表示装置100の電源をオンにする。
【0038】
次に、ステップS2において、制御部104が、表示させる画像の初期基準位置を例えば瞳孔121の中心に合わせる。初期基準位置を合わせたら、その初期基準位置を記憶する。その後、光学部101が、画像を表示させる画像表示光OLおよび画像表示光OLの共役光CLを出射する。
【0039】
ステップS3において、光学部101が、出射した画像表示光OLおよび共役光CLを、それぞれユーザの眼の瞳孔121およびユーザの眼の瞳孔121周辺に投射する。そして、ユーザが、画像表示装置100に表示された画像または映像を視聴する。
【0040】
ステップS4において、検出部が、投射された共役光CLが瞳孔121周辺で反射した反射光を検出する。すなわち、検出部である撮像部103が、画像表示光OLの共役光CLによる画像または映像を撮像して取得する。
【0041】
ステップS5において、制御部104が、検出した反射光に基づいて、表示させる画像の位置を制御する。すなわち、制御部104の演算部132が、設定したフレームごとに、ずれ量を演算する。
【0042】
ステップS6において、判定部133が、ずれ量d1が許容範囲内であるか否かの判定をする。許容範囲内である場合(YESの場合)、ステップS3に戻って、ユーザは、画像表示装置100に表示された画像または映像の視聴を継続する。許容範囲内でない場合(NOの場合)、ステップS7に進む。
【0043】
ステップS7において、演算部132が、ずれ量d1に基づいて補正量(シフト値)を演算し、画像表示光OLの入射する位置を補正する。
【0044】
ステップS8において、記憶部(メモリ)134が、演算部132で演算した補正量を記憶して、ステップS9へ進む。
【0045】
ステップS9において、CPU131が、補正量により補正した画像を画像表示装置100に表示させてステップS3に戻り、ユーザに、補正した画像または映像を視聴させる。
【0046】
本実施形態に係る画像表示装置100によれば、画像表示光OLと共役光CLとの関係が決まっているので、必ず画像表示光OLから一定量離れた位置に画像表示光OLを照射することができる。したがって、画像表示光OLに対する照射光の相対位置が物理的な回折条件で完全に担保され、それらの相対位置のずれを危惧する必要性がない。
【0047】
このように、画像表示装置100は、CGHを用いた波面再生方式のアイウェアディスプレイについて、画像表示光OLと同時に生成され物理的に決まった角度へと出射される共役光CLを利用しているため、アイトラック用の追加の光源やパターンジェネレータを必要とせずに、精密かつ正確なアイトラッキングを行うことができる。なお、画像表示装置100は、画像表示光OLの照射位置および出射数を動的に変化させることもできる。
【0048】
また、画像表示装置100は、表示させる画像(再生画像)の初期位相を変化させることによって、共役光CLの画像表示光OLからの距離や共役光CLのパターンを変化させることができる。これによって、密度の高い共役光CLのパターンを作ることができるため、画像表示光OLによって画像を表示させながら、その傍に出てくる共役光CLによって目の向きを探ることができるので、トラッキング精度を高めることができる。
【0049】
また、画像表示装置100は、2次元状の複数の画像表示光OLを出射し、眼球105の曲面上での反射パターン変化からXY面内の並進ずれを検出することができる。さらに、画像表示装置100は、共役光CLのデフォーカス量を利用することにより、Z方向の奥行きを感知し、かけずれ量を検知することもできる。なお、かけずれ量は、一定時間毎にセンシングされ更新することができる。
【0050】
以上の通り、CGHを用いた波面再生ディスプレイ等の画像表示装置100においては、画像表示光OLの他に共役光CLが出射される。この共役光CLは、従来不要なものとしてフィルタ等で除去されたり使用されていなかったりしていたが、共役光CLを指標としてアイトラッキングに転用することでアイトラッキングやゲイズトラッキング等において非常に有益な基準として使用することができる。
【0051】
(4)変形例
次に、図7を参照して、画像表示装置100の変形例について説明する。図7は、本実施形態に係る画像表示装置100の変形例を用いて撮像した撮像画像の一例の模式図である。本変形例は、コンバイナ102に多数次の回折光学素子(DOE)を用いている。
【0052】
コンバイナ102上の共役光CLを反射させる光学素子に、例えば、多数次に回折が出る薄いDOE等を用いることによって、図7に示すように、さらに複数の共役光CLの回折パターンを得ることができる。これにより、より精度の高い視線や瞳孔121の位置を導出することが可能となるため、アイトラッキングの精度を高めることができる。
【0053】
2.第2実施形態
次に、図8を参照して、本技術の第2実施形態に係る画像表示装置の構成例について説明する。図8は、本実施形態に係る画像表示装置200の構成例を示す上方から見た平面図である。画像表示装置200は、仮想現実(VR)等の共軸光学系に適用することができる。
【0054】
図8に示すように、画像表示装置200は、第1実施形態に係る画像表示装置100と同様に、光学部101と、撮像部103と、制御部104と、を備える。さらに、画像表示装置200は、接眼レンズ201を備えている。画像表示装置200の光学部101、制御部104および接眼レンズ201は、各部の中心が同一直線上に配置され、光軸が直線状になっている。
【0055】
本実施形態に係る画像表示装置200によれば、共軸光学系であっても、第1実施形態に係る画像表示装置100と同様に、アイトラック用の追加の光源やパターンジェネレータを必要とせずに、精密かつ正確なアイトラッキングを行うことができる。
【0056】
3.第3実施形態
(1)画像表示装置の構成例
次に、図9を参照して、本技術の第3実施形態に係る画像表示装置の構成例について説明する。図9Aは、本実施形態に係る画像表示装置300の構成例を示す上方から見た平面図である。画像表示装置300は、初期位相を調整することにより瞳上のパターンを分割することができる。
【0057】
図9Aに示すように、画像表示装置300は、一例として、光源部111と、SLM112と、レンズL1と、レンズL2と、接眼レンズL3と、を備えている。画像表示装置300の各構成は、直線状に配置されている。
【0058】
画像表示装置300の光源部111から初期位相を調整して出射された画像表示光OLは、SLM112およびレンズL1を通り、レンズL1とレンズL2との間に第1フーリエ面FP1を発生させる。その後、レンズL2を通過した画像表示光OLは、レンズL2と接眼レンズL3との間に画像面301を形成する。その後、接眼レンズL3を通過した画像表示光OLは、眼球105の瞳孔121前にフーリエ面FP2を発生させる。
【0059】
図9Bは、第2フーリエ面FP2における、表示させる画像に周期的パターンを付加した場合を示している。図9Bに示すように、表示させる画像に周期的パターンを付加した場合、瞳の前の第2フーリエ面FP2での点数を増加させることが可能となり、眼球105の視野が広がることになる。
【0060】
(2)撮像画像の例
次に、図10図13を参照して、画像表示装置300を用いて撮像した撮像画像の例について説明する。図10は、画像表示装置300を用いて眼球105の正面を撮像した撮像画像の模式図である。
【0061】
図10に示すように、表示させる画像に周期的パターンを付加した場合、瞳の前の第2フーリエ面FP2での点数を増加させることにより、瞳孔121に照射される画像表示光OLが、1点だけでなく所定の狭い範囲において複数点に増加される。すると、瞳孔121周辺の虹彩122および強膜123に照射される共役光CLも、画像表示光OLと同様に、複数点に増加されるため、トラッキングのずれ量の判断がつきやすくなる。なお、複数点の数が多くなり、それらの間隔(ピッチ)が狭い方が、より精度高くトラッキングすることができる。
【0062】
したがって、画像表示装置300は、精密にずれ量を検出したい場合、CGHを計算する段階で元画像の位相を調整することで瞳孔121に表示させる画像、つまり瞳孔121前面に発生すべきフーリエ像の大きさや分離幅を変更することが可能となる。例えば、より分割数の大きいフーリエ像を生成することが可能であり、これを任意のフレームに挿入することにより検出の精度を上げることが可能となり、瞳孔121の位置だけでなくアイトラッキングを行う際のより詳細な眼球105の回転量の推定にも役立つ。
【0063】
次に、図11図13を参照して、画像表示装置300を用いて眼球105の正面を撮像した撮像画像のずれの感知について説明する。図11は、画像表示装置300を用いて眼球105の正面を撮像した撮像画像のXY面内の並進ずれの感知を説明するための模式図である。図11Aは、ずれがなく瞳孔121の中心に画像表示光OLが照射されている基準状態を示す模式図である。図11Bは、画像表示光OLが、紙面に向かって右側方向にずれて瞳孔121に照射されている状態を示す模式図である。図11Cは、画像表示光OLが、紙面に向かって左側方向にずれて瞳孔121に照射されている状態を示す模式図である。
【0064】
図11Bまたは図11Cのように、撮像画像内の複数点の共役光CLが、初期基準位置から許容範囲を超えてXY方向にずれている場合、そのずれ量は、画像表示装置300を用いて共役光CLのフーリエ像の眼球105上での位置を観察し、初期基準位置からのずれを演算することにより求めることができる。
【0065】
図12は、画像表示装置300を用いて眼球105の正面を撮像した撮像画像のZ方向の奥行きずれの感知を説明するための模式図である。図12Aは、焦点のずれがなく瞳孔121の中心に画像表示光OLが照射されている基準状態を示す模式図である。図12Bは、画像表示光OLの焦点が、初期基準位置よりも眼球105から離れた位置に照射されている状態を示す模式図である。図12Cは、画像表示光OLの焦点が、初期基準位置よりも眼球105に近い位置に照射されている状態を示す模式図である。
【0066】
図12Bまたは図12Cのように、撮像画像内の複数点の共役光CLの焦点が、初期基準位置から許容範囲を超えてZ方向にずれている場合、そのずれ量は、共役光CLのフーリエ像のデフォーカス量により判断することができる。
【0067】
図13は、眼球105を頭上から見た平面内において、瞳孔121の向きが初期基準位置から左右に回旋角θだけ回旋した場合の回旋ずれの感知を説明するための模式図である。図13Aは、回旋ずれがなく瞳孔121の中心に画像表示光OLが照射されている基準状態を示す模式図である。図13Bは、瞳孔121が入射する画像表示光OLに向かって左側方向に回旋した時に、画像表示光OLが瞳孔121に照射された状態を示す模式図である。図13Cは、瞳孔121が入射する画像表示光OLに向かって右側方向に回旋した時に、画像表示光OLが瞳孔121に照射された状態を示す模式図である。
【0068】
図13Bまたは図13Cのように、撮像画像内の複数点の共役光CLが、初期基準位置から許容範囲を超えて回旋方向にずれている場合、そのずれ量は、画像表示装置300を用いて共役光CLのフーリエ像の眼球105上での位置を観察し、初期基準位置からのずれを演算することにより求めることができる。また、回旋方向にずれている場合は、図13Bまたは図13Cに示すように、虹彩122と強膜123との間における左右の幅の非対称性を観察することで、初期基準位置からのずれを判断することも可能となる。
【0069】
本実施形態に係る画像表示装置300は、共役光CLの画像表示光OLからの距離やそのパターンを、表示させる画像の初期位相を変化させることによって変化させ、所定の狭い範囲に複数点の共役光CLを観察しているため、第1実施形態に係る画像表示装置100よりもさらにトラッキング精度を高めることができる。また、画像表示装置300は、より精度の高い視線や瞳孔121の位置を導出することができる。
【0070】
さらに、画像表示装置300は、共役光CLのデフォーカス量を利用することにより、XY面内の並進ずれだけでなく、Z方向(奥行き)を感知し、かけずれ量を検知することができる。なお、かけずれ量は、一定時間毎にセンシングされ更新することができる。
【0071】
4.第4実施形態
次に、図14を参照して、本技術の第4実施形態に係る画像表示装置の構成例について説明する。図14は、本実施形態に係る画像表示装置400の構成例を示す上方から見た平面図である。画像表示装置400は、光学部内に光束シフトまたは分割するデバイスを備えている。
【0072】
図14に示すように、画像表示装置400は、第1実施形態に係る画像表示装置100と同様に、光学部401と、コンバイナ102と、撮像部103と、制御部104と、を備える。画像表示装置400は、光学部401およびコンバイナ102で光学系を形成している。
【0073】
光学部401は、図示していないが、画像表示装置100と同様に、光源部111と、SLMと、を有する。さらに光学部401は、例えばフーリエ面に、光束シフトおよび/または分割デバイス411を有する。
【0074】
画像表示装置400は、光学部401内に光束シフトおよび/または分割デバイス411を有することにより、一例として、光学部401から出射される画像表示光を、画像表示光OL1、OL2およびOL3に、これら画像表示光の共役光を、共役光CL1、CL2およびCL3にシフトさせることができる。
【0075】
本実施形態に係る画像表示装置400は、光学部401から出射された共役光CLを分割することにより、フーリエ像を増幅させて複数点の共役光CLを観察しているため、第1実施形態に係る画像表示装置100よりもさらにトラッキング精度を高めることができる。さらに、画像表示装置400は、瞳孔121が拡大した場合にも瞳孔121をトラッキングすることができる。
【0076】
5.第5実施形態
次に、図15を参照して、本技術の第5実施形態に係る画像表示装置の構成例について説明する。図15は、本実施形態に係る画像表示装置500の構成例を示す上方から見た平面図である。画像表示装置500は、光源部が複数の光源を用いてアイトラッキングを行うことができる。
【0077】
図15に示すように、画像表示装置500は、一例として、光源1からの光線511および光源2からの光線512を出射する光源部を有する光学部501と、反射鏡502と、プリズム503と、SLM112と、レンズL1と、レンズL2と、接眼レンズL3と、を備える。
【0078】
光学部501が有する光源部内の初期位相を調整して出射された光源1からの光線511および光源2からの光線512は、反射鏡502でプリズム503へ向けて反射される。反射された光源1からの光線511および光源2からの光線512は、プリズム503内でSLM112へ向けて反射され、SLM112から再びプリズム503を通ってレンズに向かう。レンズL1を通った光源1からの光線511および光源2からの光線512は、レンズL1とレンズL2との間に第1フーリエ面FP1を発生させる。その後、レンズL2を通過した画像表示光OLは、レンズL2と接眼レンズL3との間に画像面301を形成する。その後、接眼レンズL3を通過した画像表示光OLは、眼球105の瞳孔121前にフーリエ面FP2を発生させる。
【0079】
本実施形態に係る画像表示装置500は、複数の光源を用いて画像表示光を、例えば光源1からの光線511および光源2からの光線512にシフトさせると共に、それらの共役光もシフトさせることにより、フーリエ像を増幅させて複数点の共役光CLを観察している。したがって、画像表示装置500によれば、第1実施形態に係る画像表示装置100よりもさらにトラッキング精度を高めつつ、瞳孔121が拡大した場合にも瞳孔121をトラッキングすることができる。
【0080】
6.第6実施形態
次に、図16を参照して、本技術の第6実施形態に係る画像表示装置を用いたアイトラッキングの例について説明する。図16は、本技術に係る画像表示装置を用いて撮像した撮像画像の一例の模式図である。本実施形態では、光学系が、初期基準位置の出射パターンを一部のフレームに入れ込み、表示させる画像の現時点でのずれ量を測量し定期的にキャリブレーションを行っている。
【0081】
図16Aは、画像表示装置のかけずれがなく瞳孔121の中心(初期基準位置)に画像表示光OLが照射されている基準状態を示す模式図である。図16Bは、画像表示装置のかけずれが発生し、画像表示光OLが紙面に向かって右側方向にずれて瞳孔121に照射されている状態を示す模式図である。図16Cは、発生したかけずれのずれ量を補正し、シフトした画像表示光SOLを瞳孔121の中心に照射させた状態を示す模式図である。
【0082】
図16Aおよび図16Bに示すように、初期基準位置の出射パターンを一瞬だけ出射して一部のフレームに入れ込み、表示させる画像の現時点でのずれ量d2を測量して定期的にキャリブレーションを行う。測定したずれ量d2に基づいて、補正量を演算し、シフトした画像表示光SOLを移動させて瞳孔121の中心に照射させる。
【0083】
以上より、本実施形態では、積み上げ誤差を小さくしているため、アイトラッキングの精度を向上させることができる。なお、本実施形態の場合、瞳孔121に照射されない画像表示光OLとその共役光CLとの組合せでアイトラッキングを行うことが望ましい。
【0084】
7.その他の適用用途
上記実施形態では、画像表示装置を片眼に適用した場合について説明しているが、本技術に係る画像表示装置は、片眼に限定されるものではなく、両眼に対して適用することもできる。本技術に係る画像表示装置を両眼に使用した場合には、両眼のデータからより精度の高い視線や瞳位置を導出することができるため、さらに精度を高めた眼球回転量、注視点ひいては輻輳、調整量を推定することができる。
【0085】
なお、本技術では、以下の構成を取ることができる。
(1)
画像を表示させる画像表示光および前記画像表示光の共役光を出射する光源部と、
前記光源部から出射された前記画像表示光をユーザの眼の瞳孔に投射し、前記光源部から出射された前記共役光を前記ユーザの眼の瞳孔周辺に投射する光学系と、
前記光学系から投射された前記共役光が前記瞳孔周辺で反射した反射光を検出する検出部と、
前記検出部で検出した反射光に基づいて、表示させる画像の位置を制御する制御部と、を備える画像表示装置。
(2)
前記光学系は、前記画像表示光および前記共役光の方向を変化させて前記ユーザの眼へ集光させる集光部と、前記画像表示光および前記共役光の振幅または位相を空間的に変調させる変調部と、を有する、(1)に記載の画像表示装置。
(3)
前記検出部は、前記画像表示光が前記瞳孔へ入射して網膜上で結像した結像画像と、前記共役光が前記瞳孔周辺で反射した反射画像と、を撮像する撮像部を有し、
前記制御部は、前記撮像部で撮像した前記結像画像および前記反射画像に基づいて、表示させる画像のずれ量および補正量を演算する、(1)または(2)に記載の画像表示装置。
(4)
前記制御部は、前記表示させる画像のずれ量および補正量を演算することにより、前記ユーザの現在の視線方向および光軸方向を算出する、(3)に記載の画像表示装置。
(5)
前記瞳孔周辺は、虹彩、強膜、前記瞳孔と前記虹彩との境界、および、前記虹彩と前記強膜との境界、のいずれか一つである、(1)から(4)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(6)
前記制御部は、前記共役光のフーリエ像の前記瞳孔周辺での位置に基づいて、前記表示させる画像の初期位置からの前記眼の視線方向に垂直な平面内のずれを算出する、(1)から(5)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(7)
前記制御部は、前記共役光のフーリエ像のデフォーカス量に基づいて、前記表示させる画像の初期位置からの前記眼の視線方向のずれを算出する、(1)から(6)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(8)
前記制御部は、前記表示させる画像の初期位相を調整することで、前記表示させる画像のフーリエ像の大きさや分離幅を変更する、(1)から(7)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(9)
前記光学系は、共軸光学系である、(1)から(8)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(10)
前記検出部は、両眼から前記画像表示光および前記共役光の情報を取得する、(1)から(9)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(11)
前記集光部は、前記共役光を反射させる光学素子に回折光学素子を用いている、(2)に記載の画像表示装置。
(12)
前記光学系は、フーリエ面に光束シフトおよび/または分割デバイスを有する、(1)から(11)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(13)
前記光源部は、複数の光源を用いている、(1)から(12)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(14)
前記光学系は、初期位置の出射パターンを一部のフレームに入れ込み、前記表示させる画像のずれ量を測量し定期的にキャリブレーションを行う、(1)から(13)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(15)
画像を表示させる画像表示光および前記画像表示光の共役光を出射するステップと、
出射された前記画像表示光および前記共役光を、それぞれユーザの眼の瞳孔および前記ユーザの眼の瞳孔周辺に投射するステップと、
投射された前記共役光が前記瞳孔周辺で反射した反射光を検出するステップと、
検出した前記反射光に基づいて、表示させる画像の位置を制御するステップと、
を含む画像表示方法。
【符号の説明】
【0086】
100、200、300、400、500 画像表示装置
101、401、501 光学部
102 コンバイナ(集光部)
103 撮像部
104 制御部
105 眼球(右眼)
111 光源部
112 SLM
121 瞳孔
122 虹彩
123 強膜
131 CPU
132 演算部
133 判定部
134 記憶部
201 接眼レンズ
301 画像面(イメージ面)
411 光束シフトおよび/または分割デバイス
502 反射鏡
503 プリズム
511 光源1からの光線
512 光源2からの光線
OL、OL1~OL3、SOL 画像表示光(物体光)
CL、CL1~CL4、SCL 共役光
d1、d2 ずれ量
L1~L3 レンズ
FP1、FP2 フーリエ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16