IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

特許7632567生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラム
<>
  • 特許-生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラム 図1
  • 特許-生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラム 図2
  • 特許-生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラム 図3
  • 特許-生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラム 図4
  • 特許-生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20250212BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/113
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023190083
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 暁洋
(72)【発明者】
【氏名】森 文徳
(72)【発明者】
【氏名】仲本 晶絵
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-178933(JP,A)
【文献】特開2014-210137(JP,A)
【文献】特開2022-185752(JP,A)
【文献】国際公開第2018/234394(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサのそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを取得するドップラデータ取得手段と、
前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、当該ドップラセンサによる測定結果を示す前記ドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成する周波数スペクトル生成手段と、
前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、当該複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちから前記複数のドップラセンサのうちの一部である複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルを選択する選択手段と、
選択される複数の前記周波数スペクトルに基づいて、集約スペクトルを生成する集約スペクトル生成手段と、
前記集約スペクトルに基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成する生体情報生成手段と、
を含む生体情報検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体情報検出システムにおいて、
前記集約スペクトル生成手段は、選択される前記複数の前記周波数スペクトルを合計又は平均化した周波数スペクトルである、前記集約スペクトルを生成する、生体情報検出システム。
【請求項3】
請求項1に記載の生体情報検出システムにおいて、
前記生体情報生成手段は、前記集約スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成する、生体情報検出システム。
【請求項4】
被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサのそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを取得するステップと、
前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、当該ドップラセンサによる測定結果を示す前記ドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成するステップと、
前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、当該複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちから前記複数のドップラセンサのうちの一部である複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルを選択するステップと、
選択される複数の前記周波数スペクトルに基づいて、集約スペクトルを生成するステップと、
前記集約スペクトルに基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成するステップと、
を含む生体情報検出方法。
【請求項5】
被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサのそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを取得するステップと、
前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、当該ドップラセンサによる測定結果を示す前記ドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成するステップと、
前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、当該複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちから前記複数のドップラセンサのうちの一部である複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルを選択するステップと、
選択される複数の前記周波数スペクトルに基づいて、集約スペクトルを生成するステップと、
前記集約スペクトルに基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラムに関し、特にドップラ信号に基づいて被測定者の生体情報を検出するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
被測定者の呼吸数や心拍数などといった生体情報を測定する各種のシステムが検討されている。このようなシステムの一例として、特許文献1には、マイクロ波ドップラセンサによって非接触で呼吸数及び心拍数を判定する見守り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-134795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、被測定者の生体情報(ここでは例えば、呼吸数又は心拍数)の測定結果の精度を高めるために、複数のドップラセンサを用いて生体情報の測定を行うことを検討している。
【0005】
複数のドップラセンサを用いて被測定者の生体情報を測定する場合、被測定者の位置や体勢などによって、これら複数のドップラセンサのそれぞれから得られる測定結果のうちに精度が低いものが含まれることがある。
【0006】
そのため、これら複数のドップラセンサのそれぞれで生体情報を測定し、測定された生体情報の平均値等の代表値を被測定者の生体情報の値とした場合、このようにして得られる生体情報の値が妥当な値でないことがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被測定者の呼吸数や心拍数などの生体情報を精度よく測定することができる生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る生体情報検出システムは、被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサのそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを取得するドップラデータ取得手段と、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、当該ドップラセンサによる測定結果を示す前記ドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成する周波数スペクトル生成手段と、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちの一部又は全部に基づいて、集約スペクトルを生成する集約スペクトル生成手段と、前記集約スペクトルに基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成する生体情報生成手段と、を含む。
【0009】
(2)(1)に記載の生体情報検出システムにおいて、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、当該複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちから複数を選択する選択手段、をさらに含み、前記集約スペクトル生成手段は、選択される複数の前記周波数スペクトルに基づいて、前記集約スペクトルを生成してもよい。
【0010】
(3)(1)又は(2)に記載の生体情報検出システムにおいて、前記集約スペクトル生成手段は、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちの一部又は全部を合計又は平均化した周波数スペクトルである、前記集約スペクトルを生成してもよい。
【0011】
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の生体情報検出システムにおいて、前記生体情報生成手段は、前記集約スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成してもよい。
【0012】
(5)本発明に係る生体情報検出方法は、被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサのそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを取得するステップと、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、当該ドップラセンサによる測定結果を示す前記ドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成するステップと、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちの一部又は全部に基づいて、集約スペクトルを生成するステップと、前記集約スペクトルに基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成するステップと、を含む。
【0013】
(6)本発明に係るプログラムは、被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサのそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを取得するステップと、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて、当該ドップラセンサによる測定結果を示す前記ドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成するステップと、前記複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される前記周波数スペクトルのうちの一部又は全部に基づいて、集約スペクトルを生成するステップと、前記集約スペクトルに基づいて、前記期間における前記被測定者の生体情報を生成するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。このプログラムはコンピュータ可読情報記憶媒体に格納されてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被測定者の呼吸数や心拍数などの生体情報を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る生体情報検出システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る信号処理装置の機能ブロック図である。
図3】ドップラデータ取得部の処理の一例を説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係る信号処理装置で行われる周波数スペクトルの選択処理の流れの一例を示すフロー図である。
図5】集約スペクトルの生成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る生体情報検出システム1の構成図である。同図に示すように生体情報検出システム1は、信号処理装置10と、ドップラセンサユニット12と、を含む。ドップラセンサユニット12には、複数のドップラセンサ16(図2参照)が含まれている。ここでは例えば、ドップラセンサユニット12に6個のドップラセンサ16(16aから16f)が含まれていることとする。図1に示すように、ドップラセンサユニット12は、被測定者に向けて設けられている。
【0018】
また、図1の例では、ドップラセンサユニット12が、ベッド14のヘッドボードに取り付けられている。ここで、複数のドップラセンサ16が、ベッド14の中心線(ベッド14の幅方向の中心を通りベッド14の長さ方向に延伸する線)に対して対称に設けられていてもよい。また、複数のドップラセンサ16が、ベッド14の長さ方向(ベッド14の中心線に沿った方向)に垂直に並んで設けられていてもよい。また、複数のドップラセンサ16が、等間隔に一列に並んで設けられていてもよい。
【0019】
ドップラセンサ16は、いずれもベッド14の長さ方向(長手方向)を向くように設けられており、ベッド14の長さ方向にマイクロ波を出射する。マイクロ波はベッド14で就寝する被測定者の胸部にて反射し、その反射波を各ドップラセンサ16が受信する。各ドップラセンサ16は、反射波からは呼吸に伴う胸部の動きを示すドップラ信号を生成し、このドップラ信号をデジタル化したドップラデータを出力する。なお、各ドップラセンサ16から出射されるマイクロ波は、周波数が少しずつずれており、これにより相互の混信を防止している。
【0020】
ドップラ効果により反射波は周波数シフトしており、これを観測することにより被測定者の呼吸数を得ることができる。反射波は、直交検波により、送信波と同相成分であるI信号と直交成分であるQ信号とを含むドップラ信号として検出され、デジタル形式で信号処理装置10に出力される。信号処理装置10に入力されるドップラ信号は時系列データであり、各時刻の振幅(I成分及びQ成分)を示している。
【0021】
信号処理装置10は、例えばCPU、メモリ、入力デバイス及びディスプレイを含む、公知のコンピュータにより構成されてよく、ドップラセンサ16から出力されるドップラ信号に基づいて被測定者の呼吸数を生成する。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る信号処理装置10の機能ブロック図である。同図に示すように、信号処理装置10は、ドップラデータ取得部20と、周波数スペクトル生成部22と、周波数スペクトル選択部24と、集約スペクトル生成部26と、生体情報生成部28と、を含んでいる。これらの機能ブロックは、コンピュータである信号処理装置10において信号処理プログラムが実行されることにより実現される。この信号処理プログラムは、半導体メモリなどの各種のコンピュータ可読情報記憶媒体に格納され、該媒体から信号処理装置10にロードされてもよい。あるいは、インターネットなどのデータ通信回線を介して信号処理装置10にダウンロードされてもよい。
【0023】
ドップラデータ取得部20は、被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサ16のそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサ16による測定結果を示すドップラデータを取得する。
【0024】
ドップラデータ取得部20は、例えば、図3に示すように、複数の期間(複数の時間窓)のそれぞれについて、複数のドップラセンサ16のそれぞれについて、当該ドップラセンサ16による測定結果を示すドップラデータのうちの当該期間における測定結果を示す一部を切り出す。
【0025】
例えば、ドップラセンサ16aから取得される第1ドップラデータから、第1の時間窓、第2の時間窓、第3の時間窓、第4の時間窓、・・・における測定結果を示すドップラデータD(1,1)、D(2,1)、D(3,1)、D(4,1)、・・・が切り出される。また、ドップラセンサ16bから取得される第2ドップラデータから、第1の時間窓、第2の時間窓、第3の時間窓、第4の時間窓、・・・における測定結果を示すドップラデータD(1,2)、D(2,2)、D(3,2)、D(4,2)、・・・が切り出される。
【0026】
ドップラセンサ16cから16fについても同様に、それぞれの時間窓における測定結果を示すドップラデータが切り出される。例えば、ドップラセンサ16cから取得される第3ドップラデータから、第1の時間窓、第2の時間窓、第3の時間窓、第4の時間窓、・・・における測定結果を示すドップラデータD(1,3)、D(2,3)、D(3,3)、D(4,3)、・・・が切り出される。また、ドップラセンサ16dから取得される第4ドップラデータから、第1の時間窓、第2の時間窓、第3の時間窓、第4の時間窓、・・・における測定結果を示すドップラデータD(1,4)、D(2,4)、D(3,4)、D(4,4)、・・・が切り出される。また、ドップラセンサ16eから取得される第5ドップラデータから、第1の時間窓、第2の時間窓、第3の時間窓、第4の時間窓、・・・における測定結果を示すドップラデータD(1,5)、D(2,5)、D(3,5)、D(4,5)、・・・が切り出される。また、ドップラセンサ16fから取得される第6ドップラデータから、第1の時間窓、第2の時間窓、第3の時間窓、第4の時間窓、・・・における測定結果を示すドップラデータD(1,6)、D(2,6)、D(3,6)、D(4,6)、・・・が切り出される。
【0027】
それぞれの時間窓の長さは一定(例えば、60秒)であり、各時間窓の開始タイミングは所定時間(ここでは例えば2秒)ずれている。また第1ドップラデータから第6ドップラデータのいずれに対しても、適用される時間窓は共通である。すなわち、第1ドップラデータから第6ドップラデータのいずれについても、例えば第1の時間窓に相当する期間は同じ期間であり、第2の時間窓に相当する期間も同じ期間である。
【0028】
周波数スペクトル生成部22は、例えば、複数のドップラセンサ16のそれぞれについて、当該ドップラセンサ16による測定結果を示すドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成する。
【0029】
周波数スペクトル生成部22は、例えば、入力されるドップラデータに対して、高速フーリエ変換(FFT)等を実行することで、当該ドップラデータを周波数スペクトルに変換する。ここでは例えばI信号のデータとQ信号のデータのそれぞれが周波数スペクトルに変換されてもよい。
【0030】
周波数スペクトル選択部24は、例えば、複数のドップラセンサ16のそれぞれについて生成される周波数スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、当該複数のドップラセンサ16のそれぞれについて生成される周波数スペクトルのうちから複数を選択する。
【0031】
ここで、周波数スペクトル選択部24により行われる、周波数スペクトルの選択処理の流れの一例を、図4に例示するフロー図を参照しながら説明する。ここでは例えば、第1の時間窓について切り出された6つのドップラデータD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、D(1,5)、D(1,6)のそれぞれのI信号のデータとQ信号のデータについて生成された周波数スペクトルのうちから複数を選択する処理について説明することとする。
【0032】
まず、周波数スペクトル選択部24は、6つのドップラデータD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、D(1,5)、D(1,6)のそれぞれのI信号のデータとQ信号のデータについて生成された周波数スペクトルにおける最大振幅の周波数であるピーク周波数を、当該周波数スペクトルに対応する呼吸数として特定する(S101)。
【0033】
そして、周波数スペクトル選択部24は、S101に示す処理で特定された呼吸数の代表値(ここでは例えば、平均値)を算出する(S102)。
【0034】
そして、周波数スペクトル選択部24は、S102に示す処理で算出された代表値との差が所定値(例えば、5)以上である呼吸数(すなわち、外れ値である呼吸数)に対応する周波数スペクトルが存在するか否かを確認する(S103)。
【0035】
外れ値である呼吸数が存在する場合は(S103:Y)、周波数スペクトル選択部24は、外れ値である呼吸数に対応する周波数スペクトルを除外して(S104)、S102に示す処理に戻る。
【0036】
外れ値である呼吸数が存在しない場合は(S103:N)、本処理例に示す処理は終了される。なお、本処理例に示す処理において、いずれの周波数スペクトルも除外されずに、すべての周波数スペクトルが選択されてもよい。
【0037】
上述の処理において除外されずに残った周波数スペクトルが第1の時間窓について切り出された6つのドップラデータのそれぞれのI信号のデータとQ信号のデータについて生成された周波数スペクトルのうちから選択される周波数スペクトルに相当する。以上で説明した処理が、複数の時間窓のそれぞれに対して実行される。
【0038】
集約スペクトル生成部26は、例えば、複数のドップラセンサ16のそれぞれについて生成される周波数スペクトルのうちの一部又は全部に基づいて、集約スペクトルを生成する。図5に示すように、第1の時間窓に関し、D(1,1)のI信号のデータの周波数スペクトル、D(1,1)のQ信号のデータの周波数スペクトル、D(1,2)のI信号のデータの周波数スペクトル、D(1,2)のQ信号のデータの周波数スペクトル、D(1,3)のI信号のデータの周波数スペクトル、D(1,3)のQ信号のデータの周波数スペクトル、・・・、D(1,6)のQ信号のデータの周波数スペクトルにおける振幅(強度)を周波数ごとに加算することにより、集約スペクトル(1)が生成されてもよい。集約スペクトル(1)は、第1の時間窓の集約スペクトルに相当する。このように、集約スペクトル生成部26は、複数のドップラセンサ16のそれぞれについて生成される周波数スペクトルのうちの一部又は全部を合計した周波数スペクトルである、集約スペクトルを生成してもよい。
【0039】
また、集約スペクトル生成部26は、複数のドップラセンサ16のそれぞれについて生成される周波数スペクトルのうちの一部又は全部を平均化した周波数スペクトルである、集約スペクトルを生成してもよい。
【0040】
また、集約スペクトル生成部26は、周波数スペクトル選択部24によって選択される複数の周波数スペクトルに基づいて、集約スペクトルを生成してもよい。例えば、D(1,5)のI信号のデータの周波数スペクトル、D(1,5)のQ信号のデータの周波数スペクトル、D(1,6)のI信号のデータの周波数スペクトル、及び、D(1,6)のQ信号のデータの周波数スペクトルが除外され、その他の周波数スペクトルが選択されたとする。この場合に、D(1,1)のI信号のデータの周波数スペクトル、D(1,1)のQ信号のデータの周波数スペクトル、D(1,2)のI信号のデータの周波数スペクトル、D(1,2)のQ信号のデータの周波数スペクトル、D(1,3)のI信号のデータの周波数スペクトル、D(1,3)のQ信号のデータの周波数スペクトル、D(1,4)のI信号のデータの周波数スペクトル、及び、D(1,4)のQ信号のデータの周波数スペクトルを合計した周波数スペクトルである、集約スペクトル(1)が生成されてもよい。このようにすることで、生成される集約スペクトルにおける外れ値の影響を抑えることができる。
【0041】
図5では、第1の時間窓の集約スペクトルである集約スペクトル(1)が示されているが、同様にして、第2の時間窓の集約スペクトルである集約スペクトル(2)、第3の時間窓の集約スペクトルである集約スペクトル(3)、・・・が生成される。
【0042】
生体情報生成部28は、例えば、集約スペクトルに基づいて、当該期間における被測定者の生体情報を生成する。ここで、生体情報生成部28は、集約スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、当該期間における被測定者の呼吸数を生成してもよい。例えば、集約スペクトルにおける最大振幅の周波数がピーク周波数として特定されてもよい。そして、集約スペクトルにおけるピーク周波数が呼吸数として生成されてもよい。
【0043】
また、生体情報生成部28は、集約スペクトルにおける最大振幅と、2番目に大きい振幅を特定してもよい。そして、生体情報生成部28は、最大振幅を2番目に大きい振幅で除した振幅比を生成してもよい。
【0044】
また、生体情報生成部28は、複数の時間窓について算出される集約スペクトル(例えば、第1の時間窓から第30の時間窓)のそれぞれについて、振幅比を生成してもよい。そして、生体情報生成部28は、振幅比が所定閾値(例えば1.5)以上である集約スペクトルを抽出してもよい。そして、生体情報生成部28は、振幅比が所定閾値(例えば1.5)以上である集約スペクトルのそれぞれについて生成される呼吸数の平均値を当該複数の時間窓に対応付けられる期間(例えば、1分間)における呼吸数として生成してもよい。
【0045】
また、生体情報生成部28は、複数の時間窓について算出される集約スペクトルの数に対する、振幅比が所定閾値(例えば1.5)以上である集約スペクトルの数の割合を信頼度として生成してもよい。
【0046】
なお、本実施形態において、周波数スペクトル選択部24による周波数スペクトルの選択が行われなくてもよい。そして、集約スペクトル生成部26が、周波数スペクトル生成部22により生成される、ある期間におけるすべての周波数スペクトルを用いて、当該期間における集約スペクトルを生成してもよい。
【0047】
また、周波数スペクトル選択部24は、ドップラセンサ16単位で周波数スペクトルを選択してもよい。すなわち、周波数スペクトル選択部24は、複数のドップラセンサ16のそれぞれについて生成される周波数スペクトルにおけるピーク周波数に基づいて、当該複数のドップラセンサ16のうちから複数を選択してもよい。そして、集約スペクトル生成部26は、選択される複数のドップラセンサ16のそれぞれについて生成される周波数スペクトルに基づいて、集約スペクトルを生成してもよい。
【0048】
また、I信号のデータとQ信号のデータのそれぞれが周波数スペクトルに変換される必要はない。例えば、I成分を実部、Q成分を虚部とする複素信号のデータが周波数スペクトルに変換されてもよい。そして、当該周波数スペクトルに基づいて集約スペクトルが生成されてもよい。
【0049】
複数のドップラセンサ16を用いて被測定者の生体情報を測定する場合、被測定者の位置や体勢などによって、これら複数のドップラセンサ16のそれぞれから得られる測定結果のうちに精度が低いものが含まれることがある。
【0050】
そのため、これら複数のドップラセンサ16のそれぞれで生体情報を測定し、測定された生体情報の平均値等の代表値を被測定者の生体情報の値とした場合、このようにして得られる生体情報の値が妥当な値でないことがある。
【0051】
本実施形態では以上で説明したように、集約スペクトルに基づいて、生体情報が生成される。そのため、本実施形態によれば、測定された生体情報の平均値等の代表値を被測定者の生体情報の値とする場合と比較して、被測定者の生体情報を精度よく測定することが可能となる。
【0052】
また、例えば、それぞれのドップラセンサ16は、被測定者に対する角度が異なるため、測定結果に基づく周波数スペクトルのピーク周波数が若干異なる可能性がある。ここで、複数のドップラセンサ16が、ベッド14の長さ方向に対して垂直に並んで設けられる配置、複数のドップラセンサ16が、ベッド14の中心線に対して対称に設けられる配置、複数のドップラセンサ16が、等間隔に一列に並んで設けられる配置、などの配置を採用する場合には、それぞれのドップラセンサ16に対応する周波数スペクトルを適切に均した集約スペクトルが生成されることとなり、その結果、被測定者の生体情報をより精度よく測定することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば、以上の説明では被測定者の生体情報として呼吸数を生成するようにしたが、心拍数も同様にして生成することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 生体情報検出システム、10 信号処理装置、12 ドップラセンサユニット、14 ベッド、16,16a,16b,16c,16d,16e,16f ドップラセンサ、20 ドップラデータ取得部、22 周波数スペクトル生成部、24 周波数スペクトル選択部、26 集約スペクトル生成部、28 生体情報生成部。

【要約】
【課題】被測定者の呼吸数や心拍数などの生体情報を精度よく測定することができる生体情報検出システム、生体情報検出方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ドップラデータ取得部20は、被測定者に向けて設けられる複数のドップラセンサのそれぞれについて、ある期間における当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータを取得する。周波数スペクトル生成部22は、複数のドップラセンサのそれぞれについて、当該ドップラセンサによる測定結果を示すドップラデータに基づいて、周波数スペクトルを生成する。集約スペクトル生成部26は、複数のドップラセンサのそれぞれについて生成される周波数スペクトルのうちの一部又は全部に基づいて、集約スペクトルを生成する。生体情報生成部28は、集約スペクトルに基づいて、当該期間における被測定者の生体情報を生成する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5