(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】純水製造システム、及び純水製造システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20250212BHJP
【FI】
C02F1/44 J
(21)【出願番号】P 2024034636
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】栩内 優仁
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-121426(JP,A)
【文献】特開2023-063877(JP,A)
【文献】特開平06-349805(JP,A)
【文献】特開2020-163254(JP,A)
【文献】特開2017-196587(JP,A)
【文献】特開2002-025590(JP,A)
【文献】特開2020-051716(JP,A)
【文献】特開2014-184380(JP,A)
【文献】特開2023-063876(JP,A)
【文献】特開2011-192775(JP,A)
【文献】特開2011-127810(JP,A)
【文献】特開2003-187832(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第117420862(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0262718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 - 71/82
C02F 1/44
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理原水、回収水及び循環水が流入する貯水タンクから被処理水を供給して処理し、所定の温度の純水を送水する純水製造システムであって、
前記処理原水の水温調整手段、該処理原水の水温調整前の水温測定手段、及び該処理原水の水温調整後の水温測定手段と、
前記回収水の水温測定手段及び水量測定手段と、
前記循環水の水温測定手段及び水量測定手段と、
前記回収水の水温測定手段及び水量測定手段の計測値と、前記循環水の水温測定手段及び水量測定手段と、前記純水製造システムの送水量及び送水温度とから、前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を算定するとともに、該算定結果と前記温度調整前の水温測定手段の計測値とに基づき前記温度調整手段を制御する制御手段と
を有する、純水製造システム。
【請求項2】
前記制御手段が、回収水の水温測定手段及び水量測定手段の計測値と、前記循環水の水温測定手段及び水量測定手段と、前記純水製造システムの送水量及び送水温度とから、下記関係式(1)、(2)により前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を算定するとともに、該算定結果と前記温度調整前の水温測定手段の計測値とに基づき前記温度調整手段を制御する、請求項1に記載の純水製造システム
処理原水量=使用水量-回収水量-循環水量 ・・・(1)
処理原水温度=(使用水温度×使用水量-回収水温度×回収水量-循環水温度×循環水量)/処理原水量×安全率 ・・・(2)
(式中、安全率は加温する場合には1~1.2であり、冷却する場合には0.8~1.0である)
【請求項3】
処理原水、回収水及び循環水が流入する貯水タンクから被処理水を供給して処理し、所定の温度の純水を送水する純水製造システムの運転方法であって、
前記処理原水の水温調整前の水温と、前記回収水の水温及び水量と、前記循環水の水温及び水量とを計測し、
これら計測値と前記純水製造システムの送水量及び送水温度とから、前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を算定し、該算定結果と前記温度調整前の水温の計測値とに基づき前記処理原水の水温調整を行う、純水製造システムの運転方法。
【請求項4】
前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を下記関係式(1)、(2)により算定する、請求項
3に記載の純水製造システムの運転方法。
処理原水量+回収水量+循環水量=使用水量 ・・・(1)
処理原水温度=(使用水温度×使用水量-回収水温度×回収水量-循環水温度×循環水量)/処理原水量×安全率 ・・・(2)
(式中、安全率は加温する場合には1~1.2であり、冷却する場合には0.8~1.0である)
【請求項5】
前記処理原水の水温を算定値に上限及び下限を設定し、該算定値が上限及び下限を逸脱したら、処理原水の水温を固定値として温度調整を行う、請求項
3又は
4に記載の純水製造システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純水製造システム及びその運転方法に関し、特に回収水や循環水を処理原水とともにタンクに貯留して、被処理水として処理して温度調整した純水を送水する純水製造システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市水、地下水、工水等の原水から純水を製造する純水製造システムは、基本的に、前処理装置、一次純水装置から構成される。このうち、前処理装置は、例えば、熱交換器、凝集、加圧浮上、濾過装置等で構成される。例えば、
図5に示すように一次純水装置21は、処理原水としての前処理水Wを貯留するタンク22と、このタンク22に接続した送水管23と、この送水管23に順次設けられたホアンフィルタ24と、逆浸透膜25と、膜式脱気装置26と、UV酸化装置27と、再生式の混床式イオン交換装置28とを備える。混床式イオン交換装置28の下流側は、超純水製造のためのサブタンク30やユースポイントに連通している一方、タンク22に連通した戻り配管29による循環流路が形成されている。
【0003】
そして、前処理水Wに未使用の循環水W3を合流させたものを被処理水W1として、上述したような純水製造システム21で処理することにより純水(一次純水)W2を製造する。この純水(一次純水)W2は、サブタンク28に送給され低圧紫外線酸化装置、混床式イオン交換装置及び限外濾過膜装置などにより構成される二次純水装置などの後段システムでさらに処理されたり、ユースポイントで使用されたりする。
【0004】
この純水製造システム21では、タンク22の前段の前処理装置で加温したり、一次純水装置21の後段に設けられたサブシステムで冷却したりするなど被処理水の温度をコントロールするために各所で加熱・冷却が行われることが多い。そして、節水の観点から工場排水を回収した回収水をタンク22に合流して被処理水W1として、純水製造システム21へ供給することも多くなってきている。
【0005】
この時、回収水は温度コントロールがなされないことが多く、これを純水製造システム21の被処理水W1とした場合には、回収水を利用しない場合と比較して加熱あるいは冷却熱量が過剰あるいは不足することがある。また、純水製造システム21の循環水W3をタンク22に合流させる場合にも同様に循環水W3を利用しない場合と比較して加熱あるいは冷却熱量が過剰あるいは不足することがある。
【0006】
このような回収水を再利用する純水製造システム21として、例えば特許文献1には、純水製造システムと等価なサブ純水製造システムを用いて、そのシステムのTOCの値によって純水製造システムの流路を切り替えることによって製造される純水の水質を悪化させない排水回収方法が開示されている。また、特許文献2には、純水を循環させる純水製造システムにおいて、純水の流量変化を検知した結果に基づいて、ポンプの回転数を切り替えることにより、純水を循環させることによる温度上昇を制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-107294号公報
【文献】特開2023-8823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された純水製造システムは、回収水の水質のみに着目したものであり、回収水の利用による水処理装置全体の熱バランスを考慮した熱量(水温・水量)に対する対応については何ら検討されていない。また、特許文献2に記載された純水製造システムは、純水の循環による水温の上昇については考慮されているものの補給水(処理原水)及び回収水の温度調整については検討されておらず、部分的な最適化に止まる、という問題点がある。
【0009】
すなわち、従来は回収水や循環水を処理原水とともにタンクに貯留して、被処理水として処理して温度調整した純水を送水する純水製造システムにおいて、エネルギーの最適化を可能とした純水製造システムはなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回収水や循環水を処理原水とともにタンクに貯留して、被処理水として処理して温度調整した純水を送水するに際し、温度調整のエネルギーの最適化が可能な純水製造システムを提供することを目的とする。また、本発明は、かかる純水製造システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は第一に、処理原水、回収水及び循環水が流入する貯水タンクから被処理水を供給して処理し、所定の温度の純水を送水する純水製造システムであって、前記処理原水の水温調整手段、該処理原水の水温調整前の水温測定手段、及び該処理原水の水温調整後の水温測定手段と、前記回収水の水温測定手段及び水量測定手段と、前記循環水の水温測定手段及び水量測定手段と、前記回収水の水温測定手段及び水量測定手段の計測値と、前記循環水の水温測定手段及び水量測定手段と、前記純水製造システムの送水量及び送水温度とから、前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を算定するとともに、該算定結果と前記温度調整前の水温測定手段の計測値とに基づき前記温度調整手段を制御する制御手段とを有する、純水製造システムを提供する(発明1)。なお、本発明において「純水製造システム」としては、前処理水を処理して純水(一次純水)を製造する一次純水装置に限らず、この一次純水をさらに処理して超純水を製造する二次純水装置(サブシステム)とからなる、超純水製造システムをも含むこととする。
【0012】
上記発明(発明1)においては、前記制御手段が、回収水の水温測定手段及び水量測定手段の計測値と、前記循環水の水温測定手段及び水量測定手段と、前記純水製造システムの送水量及び送水温度とから、下記関係式(1)、(2)により前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を算定するとともに、該算定結果と前記温度調整前の水温測定手段の計測値とに基づき前記温度調整手段を制御することが好ましい(発明2)
処理原水量=使用水量-回収水量-循環水量 ・・・(1)
処理原水温度=(使用水温度×使用水量-回収水温度×回収水量-循環水温度×循環水量)/処理原水量×安全率 ・・・(2)
(式中、安全率は加温する場合には1~1.2であり、冷却する場合には0.8~1.0である)
【0013】
かかる発明(発明1,2)によれば、純水製造システムの被処理水であるタンクに流入する処理原水・回収水・循環水の水温及び水量と、純水製造システムから送水(一部流出分も含む)する純水の水温及び水量とを測定し、要求される純水の水温となるように流入する処理原水の加温又は冷却に必要な設定値を演算して、これに基づき水温調整手段を制御することで、リアルタイムに処理原水の設定温度を変更して運転することができる。
【0014】
上記発明(発明1,2)においては、前記温度調整手段が、蒸気、温水、冷水などの熱源や排水との熱交換器の1又は2以上であることが好ましい(発明3)。
【0015】
かかる発明(発明3)によれば、汎用的な手段で精度よく、処理原水の水温を調整することができる。
【0016】
また、本発明は第二に、処理原水、回収水及び循環水が流入する貯水タンクから被処理水を供給して処理し、所定の温度の純水を送水する純水製造システムの運転方法であって、前記処理原水の水温調整前の水温と、前記回収水の水温及び水量と、前記循環水の水温及び水量とを計測し、これら計測値と前記純水製造システムの送水量及び送水温度とから、前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を算定し、該算定結果と前記温度調整前の水温の計測値とに基づき前記処理原水の水温調整を行う、純水製造システムの運転方法を提供する(発明4)。
【0017】
上記発明(発明4)においては、前記処理原水の水量及び温度調節後の水温を下記関係式(1)、(2)により算定することが好ましい(発明5)。
処理原水量+回収水量+循環水量=使用水量 ・・・(1)
処理原水温度=(使用水温度×使用水量-回収水温度×回収水量-循環水温度×循環水量)/処理原水量×安全率 ・・・(2)
(式中、安全率は加温する場合には1~1.2であり、冷却する場合には0.8~1.0である)
【0018】
かかる発明(発明4,5)によれば、純水製造システムの被処理水であるタンクに流入する処理原水・回収水・循環水の水温及び水量と、純水製造システムから送水(一部流出分も含む)する純水の水温及び水量とを測定し、要求される純水の水温となるように流入する処理原水の加温又は冷却に必要な設定値を演算して、これに基づき水温調整手段を制御することで、リアルタイムに処理原水の設定温度を変更して運転することができる。
【0019】
上記発明(発明4,5)においては、前記処理原水の水温を算定値に上限及び下限を設定し、該算定値が上限及び下限を逸脱したら、処理原水の水温を固定値として温度調整を行うことが好ましい(発明6)。
【0020】
かかる発明(発明6)によれば、純水製造システムの運転に伴い、処理原水に対して過度の温度調整を行うことなく、後段で温度調整することで、温度調整に必要な消費エネルギーを分散させて運転することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、処理原水、回収水及び循環水が流入する貯水タンクを備えた純水製造システムにおいて、被処理水としてタンクに流入する処理原水・回収水・循環水の水温及び水量と、純水製造システムから送水(一部流出分も含む)する純水の水温及び水量とを測定し、要求される純水の水温となるように流入する処理原水の加温又は冷却に必要な設定値を演算して、これに基づき水温調整手段を制御するものあるので、リアルタイムに処理原水の設定温度を変更して運転することができる。これにより加温に必要な蒸気や温水、あるいは冷却に必要な冷水の使用量を削減し、水処理装置全体のエネルギー使用量を大きく削減できる。さらに、制御された温度条件で純水製造システムを運転することができるため、水処理装置での突発的な水質異常やトラブルを未然に防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による純水製造システムを示す概略図である。
【
図2】実施例1の純水製造システムの運転方法の流量変動時の状態を示す概略図である。
【
図3】比較例1の純水製造システムの運転方法の流量変動時の状態を示す概略図である。
【
図4】実施例2の純水製造システムの運転方法の流量変動時の状態を示す概略図である。
【
図5】従来の純水製造システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の超純水製造システム、及びその運転方法について詳細に説明する。
【0024】
<純水製造システム>
図1は、本発明の一実施形態による純水製造システムを示している。本実施形態において純水製造システム1は、前処理装置で処理された処理原水としての前処理水Wを貯留するタンク2と、このタンク2に接続した送水管3と、この送水管3に連通した逆浸透膜、膜式脱気装置、UV酸化装置、再生式の混床式イオン交換装置などを備える純水製造部4とからなる。この純水製造部4で製造された一次純水W2は、サブタンク5に供給されるとともに余剰分が循環水路6を経由してタンク2に還流し、循環水W3として再利用可能となっている。
【0025】
上述したような純水製造システム1において、前処理水Wを加温する温度調整手段としての加熱手段7を有し、サブタンク5の後段には温度調整手段としての冷却手段9を備えた二次純水製造装置(サブシステム)8が設けられている。さらに、タンク5には、各種設備やユースポイントから回収した回収水W4の回収水流路10が接続している。そして、加熱手段7の下流側には、加熱後の前処理水Wの水温及び流量を監視する温度センサ及び流量計11が設けられているとともに、循環水路6には循環水W3の水温及び流量を監視する温度センサ及び流量計12が設けられている。さらに、回収水流路10には、回収水W4の水温及び流量を監視する温度センサ及び流量計13が設けられているとともに、サブタンク5の後段で冷却手段9の前段には、一次純水W2の水温及び流量を監視する温度センサ及び流量計14が設けられている。なお、加熱手段7には、加熱前の前処理水Wの温度を監視する温度センサ(図示せず)が設けられている。これら温度センサ及び流量計11,12,13,14は、図示しないPLCなどの制御手段に情報送信可能となっていて、この制御手段は、これらの情報に基づき加熱手段7を制御する。
【0026】
<純水製造システムの運転方法>
次に、上述したような純水製造システム1の運転方法について説明する。
【0027】
まず、原水を前処理装置(図示せず)で処理した処理原水としての前処理水Wをタンク2に一旦貯留する。このタンク2には、循環水W3と回収水W4も貯留される。これらタンク2に貯留された前処理水Wと循環水W3と回収水W4とが被処理水W1として純水製造部4で処理されて一次純水(純水)W2を得る。この一次純水W2は使用水量分がサブタンク5に送られた後、二次純水製造装置(サブシステム)にて処理される。また、未使用の一次純水W2は、循環水W3として循環水路6からタンク2に還流する。上述したような純水製造システム1の運転方法において、前処理水Wは加熱手段7により所定の温度に加熱される。また、一次純水W2は、二次純水製造装置8において、必要に応じ要求される温度となるように冷却手段9により、例えば25℃程度に冷却される。さらに、循環水W3、回収水W4はそれぞれ所定の温度を有している。
【0028】
そこで、循環水W3の水温(T1)及び流量(Q1)を温度センサ及び流量計12で測定するとともに、回収水W4の水温(T2)及び流量(Q2)を温度センサ及び流量計12で計測し、さらに一次純水W2の水温(送水温度:T3)及び流量(送水量:Q3)を温度センサ及び流量計14により計測する。そして、これら温度センサ及び流量計12,13,14の値から、制御手段は、下記計算式式(1)により前処理水Wの必要量(Q)を算出する。ここで、送水温度(T3)は、二次純水製造装置8における要求温度とする。
Q=Q3-Q1-Q2 ・・・(1)
【0029】
この算定した前処理水Wの必要量(Q)及び加熱後の前処理水Wの必要温度(T)と、循環水W3の水温(T1)及び流量(Q1)と、回収水W4の水温(T2)及び流量(Q2)と、一次純水W2の水温(送水温度:T3)及び流量(送水量:Q3)との間には、概ね以下の関係式が成立する。
T3×Q3=(T×Q+T1×Q1+T2×Q2)
したがって、加熱後の前処理Wの必要温度(T)は以下の計算式(2)により算定することができる。
T=(T3×Q3-T1×Q1-T2×Q2)/Q×S ・・・(2)
(式中、Sは安全率であり、1.0~1.2程度とすることが好ましい。)
【0030】
そして、制御手段は、前処理水(処理原水)Wの加熱前の温度に基づいて、前処理水(処理原水)Wの水温がT(℃)となるように加熱手段7を制御する。これにより、加熱手段7での消費エネルギーを最適化することができる。さらに、純水製造部4は、二次純水製造装置8の要求温度(T3)で一次純水W2を送水することができるので、冷却手段9で一次純水W2を冷却する必要がないので、この点でもエネルギー消費量を最適化することができる。なお、前処理水(処理原水)Wの水温T(℃)の算定値に上限及び下限を設定するとともに、標準温度(例えば20~25℃)を設定しておき、算定値が上限及び下限を逸脱したら、前処理水(処理原水)Wの水温を標準温度となるように制御することが好ましい。これにより、前処理水(処理原水)Wの温度調整の段階で過度の温度調整を行うことなく、後段で温度調整することで、温度調整に必要な消費エネルギーを分散させて運転することができる。
【0031】
以上、本発明について前記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施形態では、前処理水Wを加熱手段7で加熱する場合であるが、冷却手段を用いて冷却する場合であっても同様に適用することができる。ただし、この場合には、安全率(S)は0.8~1.0程度とすることが好ましい。また、加熱手段、冷却手段などの温度調整手段としては、蒸気、温水、冷水などの熱源や排水との熱交換器など汎用的な手段を用いることができる。さらに、純水製造部4及び二次純水製造装置8としては種々の構成のものに適用することができる。
【実施例】
【0032】
本発明を以下の具体的実施例に基づきさらに詳細に説明する。
【0033】
[実施例1]
図2に示す純水製造システム1において、二次純水製造装置8の要求水温が25℃で要求水量が80m
3/hであったので、一次純水W2の送水量を100m
3/h、循環水W3の水量を20m
3/hとした。そして、回収水W4の水温が30℃、水量が40m
3/hであったので、前処理水(処理原水)Wの水量を40m
3/hとした。これらの条件からの前処理水(処理原水)Wが20℃となるように設定して加熱手段7で制御し、純水製造システム1の運転を行った。この結果、25℃の一次純水W2を二次純水製造装置8に送水することができ、冷却手段9で冷却する必要なく、二次純水製造装置8を運転することができた。
[比較例1]
【0034】
実施例1の運転の後、回収水W4の水量が50m
3/hに増加したので、
図3に示すように前処理水(処理原水)Wの水量を30m
3/hとして、そのまま運転を継続した(従来例)。前処理水(処理原水)Wが20℃で30m
3/h、回収水W4が30℃で50m
3/hであったので、一次純水W2及び循環水W3は26.25℃となった。この結果、二次純水製造装置8の冷却手段9で一次純水W2を25℃に冷却する必要が生じた。
【0035】
[実施例2]
実施例1の運転の後、回収水W4の水量が50m
3/hに増加したので、
図4に示すように前処理水(処理原水)Wの水量を30m
3/hとして、式(2)に基づいて、前処理水(処理原水)Wの加熱後の温度を算出した。
T=(T3×Q3-T1×Q1-T2×Q2)/Q×S
=(25×100-25×20-30×50)/30
≒16.7(℃)
【0036】
そこで、前処理水(処理原水)Wが16.7℃となるように設定して加熱手段7で制御し、純水製造システム1の運転を行った。25℃の一次純水W2を二次純水製造装置8に送水することができ、冷却手段9で冷却する必要なく、二次純水製造装置8を運転することができた。
【0037】
上記比較例1及び実施例2から明らかなとおり、実施例2の純水製造システム1の運転方法によれば、加熱手段7での加温設定値を16.7に℃下げることで、二次純水製造装置8で1.25℃の分の冷却に要するエネルギーを削減することができた。また、比較例1の純水製造システム1の運転方法は、加温も過剰であり、Δ=20-16.7=3.3℃分の加温に伴う加熱手段7でのエネルギーを削減することができた。
【符号の説明】
【0038】
1 純水製造システム
2 タンク
3 送水管
4 純水製造部
5 サブタンク
6 循環水路
7 加熱手段(温度調整手段)
8 二次純水製造装置(サブシステム)
9 冷却手段(温度調整手段)
10 回収水流路
11 温度センサ及び流量計(水温測定手段及び水量測定手段)
12 温度センサ及び流量計(水温測定手段及び水量測定手段)
13 温度センサ及び流量計(水温測定手段及び水量測定手段)
14 温度センサ及び流量計(水温測定手段及び水量測定手段)
W 前処理水(処理原水)
W1 被処理水
W2 一次純水
W3 循環水
W4 回収水
【要約】
【課題】 被処理水を処理して温度調整した純水を送水するに際し温度調整のエネルギーの最適化が可能な純水製造システムを提供する。
【解決手段】 純水製造システム1は、前処理水Wを貯留するタンク2と、このタンク2に接続した送水管3と、この送水管3に連通した純水製造部4とからなる。この純水製造部4で製造された一次純水W2は、サブタンク5に供給されるとともに余剰分が循環水路6を経由して循環水W3がタンク2に還流して循環利用可能となっている。前処理水Wを加温する温度調整手段としての加熱手段7を有する。さらに、サブタンク5には回収水流路10が接続している。そして、加熱手段7の下流側には、温度センサ及び流量計11,12,13,14は、図示しない制御手段に情報送信可能となっていて、この制御手段は、これらの情報に基づき加熱手段7を制御する。
【選択図】
図1