(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
B60W 10/06 20060101AFI20250212BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20250212BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20250212BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20250212BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20250212BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20250212BHJP
【FI】
B60W10/06 900
B60K6/48 ZHV
B60W10/26 900
B60W20/13
B60L50/16
B60L50/61
(21)【出願番号】P 2024500802
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2022006348
(87)【国際公開番号】W WO2023157166
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【氏名又は名称】諏訪 華子
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村▲瀬▼ 将大
【審査官】大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008544(JP,A)
【文献】特開2017-165373(JP,A)
【文献】特開2020-121643(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20- 6/547
B60L 1/00- 3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
B60W 10/00-20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立して作動しうるエンジン及びモータと、
前記エンジン及び前記モータを作動させるための電力を貯留するバッテリと、
前記エンジン及び前記モータの作動状態を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記モータの作動時かつ前記エンジンの非作動時に条件Aが成立した場合に、前記エンジンを始動させるとともに、
前記条件Aは、前記バッテリの電池出力が所定値以上である状態が所定時間以上継続することであり、
前記モータの作動時かつ前記エンジンの非作動時に前記エンジンを始動させる条件が厳しく設定されるEV優先モードと、前記条件が前記EV優先モードよりも緩く設定されるノーマルモードとを有し、
前記所定値が、第一上限値未満かつ第二上限値を超える値であり、
前記第一上限値が、前記EV優先モード時における前記電池出力の上限値であり、
前記第二上限値が、前記ノーマルモード時における前記電池出力の上限値であり、
前記制御装置は、前記EV優先モードかつ前記モータの作動時かつ前記エンジンの非作動時に前記条件Aが成立した場合に、前記エンジンを始動させる
ことを特徴とする、ハイブリッド車両。
【請求項3】
前記所定時間は、前記電池出力が前記所定値以上になった時刻を起点として、前記バッテリの電池電圧が低下して下限電圧に達するまでの時間よりも短く設定される
ことを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、エンジン及びモータを備えたハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン及びモータを備えたハイブリッド車両では、走行状態に応じて複数の走行モードのうちの一つが選択され、その走行モードに応じてエンジン及びモータの作動状態が制御されている。走行モードの例としては、モータの駆動力のみで走行するEV走行モードや、エンジンとモータとを併用して走行するハイブリッド走行モードなどが挙げられる。ハイブリッド走行モードには、エンジン及びモータの駆動力を駆動輪に伝達して走行するパラレル走行モードや、エンジンの駆動力でジェネレータに発電させつつモータの駆動力を駆動輪に伝達して走行するシリーズ走行モードなどが含まれる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、走行モードをEV走行モードからハイブリッド走行モードへと切り替えるための条件として、バッテリ電圧が下限電圧まで低下したか否かを判定している。このような制御により、例えばバッテリ電力が少なくなったときにエンジンを始動させてバッテリ電力の消費を抑えることができ、あるいはバッテリ電力を充電できる。一方、バッテリ電圧が低下すると電池上限出力が低下し、車両の駆動トルクが低下するため、エンジンを始動させる前後でのトルク変動が大きくなり、走行フィーリングが低下しうる。
【0005】
また、車両の駆動トルクが低下したときに、ドライバー(運転者)がアクセルペダルを強く踏み込んでエンジンを始動させることがある。この場合、ドライバー要求トルクが急激に増大し、車両の駆動トルクが過大になることから、走行フィーリングがさらに低下しうる。これに加え、駆動トルクの急増によって車両が強く加速することがあるため、ドライバーはエンジンが始動した直後に素早くアクセルペダルの踏み込みを緩めなければならず、良好な操作性が得られない。
【0006】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、走行フィーリングや操作性を改善できるようにしたハイブリッド車両を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示のハイブリッド車両は、以下に開示する態様または適用例として実現でき、上記の課題の少なくとも一部を解決する。
開示のハイブリッド車両は、互いに独立して作動しうるエンジン及びモータと、前記エンジン及び前記モータを作動させるための電力を貯留するバッテリと、前記エンジン及び前記モータの作動状態を制御する制御装置とを備える。前記制御装置は、前記モータの作動時かつ前記エンジンの非作動時に条件Aが成立した場合に、前記エンジンを始動させる。前記条件Aは、前記バッテリの電池出力が所定値以上である状態が所定時間以上継続することである。
【発明の効果】
【0008】
開示のハイブリッド車両によれば、モータの作動時かつエンジンの非作動時に条件Aが成立した場合に、エンジンを始動させる制御を実施することで、車両の駆動トルクの変動を抑制でき、走行フィーリングを改善できる。また、ドライバーがアクセルペダルを踏み込まなくてもエンジンを始動させることができるため、エンジンの始動時に駆動トルクが過大になることを防止でき、操作性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ハイブリッド車両の構成を示すブロック図である。
【
図2】エンジンの始動判定に係る制御のフローチャート例である。
【
図3】走行モードの選択判定及びエンジンの始動判定に係る制御のフローチャート例である。
【
図4】(A)~(F)は制御作用を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示のハイブリッド車両は、以下の実施例によって実施されうる。
【実施例】
【0011】
[1.装置構成]
図1は、実施例としてのハイブリッド車両1の構成を例示するブロック図である。このハイブリッド車両1(単に車両1とも呼ぶ)は、駆動源としてのエンジン2及びモータ3と発電装置としてのジェネレータ4と蓄電装置としてのバッテリ5とが搭載されたハイブリッド車両(ハイブリッド電気自動車,HEV,Hybrid Electric Vehicle)またはプラグインハイブリッド車両(プラグインハイブリッド電気自動車,PHEV,Plug-in Hybrid Electric Vehicle)である。プラグインハイブリッド車両とは、バッテリ5に対する外部充電またはバッテリ5からの外部給電が可能なハイブリッド車両を意味する。プラグインハイブリッド車両には、外部充電設備からの電力が送給される充電ケーブルを差し込むための充電口(インレット)や外部給電用のコンセント(アウトレット)が設けられる。
【0012】
エンジン2は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関である。エンジン2の駆動軸には、ジェネレータ4が連結される。ジェネレータ4は、バッテリ5の電力でエンジン2を駆動する機能とエンジン2の駆動力を利用して発電する機能とを兼ね備えた発電機(電動機兼発電機)である。ジェネレータ4の発電電力は、モータ3の駆動やバッテリ5の充電に用いられる。エンジン2とジェネレータ4とを繋ぐ動力伝達経路上には、図示しない変速機構が介装されうる。
【0013】
モータ3は、バッテリ5の電力やジェネレータ4の発電電力を用いて車両1を走行させる機能と回生発電によって生じる電力をバッテリ5に充電する機能とを兼ね備えた電動機(電動機兼発電機)である。バッテリ5は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素電池などの二次電池である。モータ3の駆動軸は、車両1の駆動輪に連結される。モータ3と駆動輪とを繋ぐ動力伝達経路上には、図示しない変速機構が介装されうる。
【0014】
エンジン2とモータ3とを繋ぐ動力伝達経路上には、クラッチ6が介装される。エンジン2はクラッチ6を介して駆動輪に接続され、モータ3はクラッチ6よりも駆動輪側に配置される。また、ジェネレータ4はクラッチ6よりもエンジン2側に接続される。クラッチ6が切断(解放)されると、エンジン2及びジェネレータ4が駆動輪に対して非接続の状態となり、モータ3が駆動輪に対して接続された状態となる。したがって、例えばモータ3のみを作動させることで、「EV走行モード(モータ単独走行モード)」が実現される。これに加えて、エンジン2を作動させてジェネレータ4に発電させることで、「シリーズ走行モード」が実現される。
【0015】
一方、クラッチ6が接続(締結)されると、エンジン2,モータ3,ジェネレータ4の三者が駆動輪に対して接続された状態となる。したがって、例えばエンジン2のみを作動させることで、「エンジン走行モード(エンジン単独走行モード)」が実現される。これに加えて、モータ3やジェネレータ4を駆動することで、「パラレル走行モード」が実現される。上記のシリーズ走行モード及びパラレル走行モードは、ともに「ハイブリッド走行モード」に含まれるサブモードであり、少なくともいずれか一方が実施されうる。上記の走行モードは、後述する制御装置10において、車両1の走行状態に応じていずれか一つが選択されるようになっている。
【0016】
この車両1には、EV優先モードスイッチ7が設けられる。EV優先モードスイッチ7は、走行モードをEV走行モードからハイブリッド走行モード(シリーズ走行モードまたはパラレル走行モード)へと切り替える条件を変更するためのスイッチであり、ドライバー(運転者)によって操作される。EV優先モードスイッチ7の操作位置の情報は、制御装置10に伝達される。本実施例では、EV優先モードスイッチ7がオン位置に操作されると、走行モードの制御状態が「EV優先モード」に設定され、EV優先モードスイッチ7がオフ位置に操作されると、車両1の状態が「ノーマルモード」に設定される。
【0017】
EV優先モードは、ノーマルモードと比較して、EV走行モードをハイブリッド走行モードよりも優先的に実施するモードである。換言すれば、EV優先モードはノーマルモードと比較してエンジン2が始動しにくくなっているモードである。したがって、モータ3の作動時かつエンジン2の非作動時にエンジン2を始動させるための条件(エンジン始動条件)に着目すれば、EV優先モード時のエンジン始動条件は、ノーマルモード時のエンジン始動条件よりも厳しくなっている。反対に、ノーマルモードは、EV優先モードと比較して、EV走行モードを優先されないモードである。換言すれば、ノーマルモードはEV優先モードと比較してエンジン2が始動しやすくなっているモードである。したがって、ノーマルモード時のエンジン始動条件は、EV優先モード時のエンジン始動条件よりも緩く(判断が甘く)なっている。
【0018】
[2.制御構成]
エンジン2,モータ3,ジェネレータ4,バッテリ5,クラッチ6の各々の作動状態は、制御装置10によって制御される。制御装置10は、車両1の走行状態に応じて、複数の走行モードの中からいずれか一つを選択し、その走行モードに応じた制御を実施するためのコンピュータ(電子制御装置,ECU,Electronic Control Unit)である。制御装置10は、プロセッサ(演算処理装置)及びメモリ(記憶装置)を内蔵する。制御装置10が実施する制御の内容(制御プログラム)はメモリに保存され、その内容がプロセッサに適宜読み込まれることによって実行される。
【0019】
制御装置10の内部には、バッテリ制御部11と走行制御部12とモータ制御部13とエンジン制御部14とが設けられる。これらの要素は、制御装置10の機能を便宜的に分類して示したものであり、ソフトウェア(プログラム)やハードウェア(電子制御回路)で実現されうる。これらの要素は、一つのソフトウェアまたはハードウェアに一体化されてもよいし、複数のソフトウェア及びハードウェアに分散化されてもよい。
【0020】
例えば、バッテリ5を管理するためのバッテリECU(BMU,Battery Management Unit)にバッテリ制御部11を内蔵させてもよい。また、車両1のパワートレインを管理するための車両ECU(HEV-ECUやPHEV-ECUといった走行制御ECU)に走行制御部12を内蔵させてもよい。また、モータ3を管理するためのモータECU(MCU,Motor Control Unit)にモータ制御部13を内蔵させてもよい。また、エンジン2を管理するためのエンジンECUにエンジン制御部14を内蔵させてもよい。
【0021】
バッテリ制御部11は、バッテリ5の作動状態を管理するとともに、バッテリ5の作動状態を表す各種パラメータを算出するものである。バッテリ制御部11は、例えばバッテリ5の電圧や電流やバッテリ温度などの情報に基づき、充電率(SOC,State of Charge)や健全度(SOH,State of Health)や出力状態(SOP,State of Power)などを算出する。バッテリ5の電圧や電流やバッテリ温度の情報は、図示しない電圧センサや電流センサや温度センサで検出される。
【0022】
本実施例のバッテリ制御部11は、上記の出力状態として、バッテリ5の「電池出力」とその上限値(最大値)である「上限出力」とを算出する。電池出力とは、モータ3や各種電装品を駆動するために、実際にバッテリ5から引き出されている電力[kW]を意味する。電池出力の値は、バッテリ5から放電される電流,電圧に基づいて算出される。また、上限出力とは、バッテリ5の定格出力に相当する電力[kW]であって、その時点のバッテリ5から引き出して使用することのできる電池出力の上限値を意味する。上限出力の値は、バッテリ5の作動状態(充電率,健全度,電圧,電流,バッテリ温度など)や車両1の走行状態(走行モード,車速,外気温,アクセル開度,ブレーキ開度など)に応じて設定される。また、EV優先モード時における上限出力の値は、ノーマルモード時における上限出力の値よりも高く設定される。ここで、EV優先モード時における上限出力の値を「第一上限値」とおき、ノーマルモード時における上限出力の値を「第二上限値」とおけば、「第一上限値>第二上限値」が成立する。
【0023】
走行制御部12は、車両1の走行状態を管理するとともに、車両1の走行状態を表す各種パラメータを算出するものである。走行制御部12は、例えばアクセル開度やブレーキ開度や車速などの情報に基づき、ドライバー要求トルク(ドライバーが車両1に要求している駆動力に対応するトルク)を算出する。また、走行制御部12は、算出されたドライバー要求トルクやバッテリ5の作動状態(充電率,健全度,電圧,電流,バッテリ温度など)や車両1の走行状態(車速,外気温,アクセル開度,ブレーキ開度など)に応じて、複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択して設定する。アクセル開度やブレーキ開度の情報は、図示しないアクセルペダルセンサやブレーキペダルセンサやブレーキ液圧センサで検出される。また、車速や外気温の情報は、図示しない車速センサや外気温センサで検出される。
【0024】
本実施例の走行制御部12は、EV走行モード(モータ3の作動時かつエンジン2の非作動時)に、エンジン2を始動させる条件(エンジン始動条件)を判定することで走行モードをハイブリッド走行モードに変更するか否かを判定する。ここで判定されるエンジン始動条件は、EV優先モード時とノーマルモード時とで相違し、EV優先モード時の方がノーマルモード時よりもエンジン始動条件が厳しく(ハイブリッド走行モードに変更されにくく)設定されている。
【0025】
EV優先モード時のエンジン始動条件を以下に例示する。必須条件は条件Aのみであり、条件B~条件Gは必須でない任意条件である。
条件A.電池出力が所定値以上である状態が所定時間以上継続する。
条件B.電池出力が第一上限値に達した。
条件C.ドライバー要求トルクが第一閾値以上である。
条件D.車速が第一速度以上である。
条件E.アクセル開度が第一所定開度以上である。
条件F.バッテリ5の充電率が第一所定充電率以下である。
条件G.バッテリ5の電池電圧が下限電圧以下である。
【0026】
ノーマルモード時のエンジン始動条件を以下に例示する。これらの条件H~条件Mは、必須でない任意条件である。
条件H.電池出力が第二上限値に達した。
条件I.ドライバー要求トルクが第二閾値以上である。
条件J.車速が第二速度以上である。
条件K.アクセル開度が第二所定開度以上である。
条件L.バッテリ5の充電率が第二所定充電率以下である。
条件M.バッテリ5の電池電圧が下限電圧以下である。
【0027】
条件G,条件Mに含まれる下限電圧は、制御上、バッテリ5の動作に余裕を持たせるべくあらかじめ設定される電圧であって、バッテリ5を適切に使用しうる最低電圧(バッテリ5が持つ限界値)よりも少し高い値を持つ電圧である。また、条件Hは、条件Bとともに設定されることが好ましい。同様に、条件Iは条件Cとともに設定されることが好ましく、条件Jは条件Dとともに設定されることが好ましい。また、条件Kは条件Eとともに設定されることが好ましく、条件Lは条件Fとともに設定されることが好ましく、条件Mは条件Gとともに設定されることが好ましい。いずれにしても、EV優先モード時には、ノーマルモード時と比較しておおむねエンジン始動条件が成立しにくくなっている。
【0028】
条件A~条件Mに含まれる値について、好ましい大小関係を以下に例示する。
・第二上限値<所定値<第一上限値
・第二閾値≦第一閾値 (より好ましくは、第二閾値<第一閾値)
・第二車速≦第一車速 (より好ましくは、第二車速<第一車速)
・第二所定開度≦第一所定開度 (より好ましくは、第二所定開度<第一所定開度)
・第一所定充電率≦第二所定充電率
(より好ましくは、第一所定充電率<第二所定充電率)
【0029】
上記の所定値は、あらかじめ設定された固定値であってもよいし、第一上限値や第二上限値に応じて設定される可変値であってもよい。後者の場合、第一上限値や第二上限値に所定の係数を乗じたものを用いてもよい。具体的な所定値の設定例を以下に示す。
・所定値=k1×第一上限値 (ただし、0<k1<1)
・所定値=k2×第二上限値 (ただし、1<k2)
・所定値=k3×第一上限値+(1-k3)×第二上限値 (ただし、0<k3<1)
【0030】
上記の所定時間は、あらかじめ設定された固定値(例えば、数秒~数十秒)であってもよいし、バッテリ5の作動状態に応じて設定される可変値であってもよい。例えば、バッテリ5の電池出力が所定値以上になった時刻を起点として、電池電圧が徐々に低下して下限電圧に達するまでの推定時間を算出し、この推定時間よりも短い所定時間を設定してもよい。また、バッテリ5の作動状態に応じて所定時間を設定してもよい。例えば、バッテリ5の充電率や健全度やバッテリ温度が低いほど、所定時間を短く設定してもよい。
【0031】
なお、アクセルペダルには、ドライバーによって踏み込まれたときにフルストローク位置の手前で踏み込み抵抗を一時的に増大させるためのディテント(引っかかり構造)が形成されることがある。このようなディテントの位置に対応するアクセル開度は「ディテント開度」と呼ばれる。通常のアクセル操作においては、おもにディテント開度よりもアクセル開度の小さい領域が使用され、ディテント開度を超えるほど強くアクセルペダルが踏み込まれた場合に、エンジン始動条件を成立させるようになっている。例えば、上記の第一所定開度は、少なくともディテント開度よりも大きい開度に設定される。一方、上記の第二所定開度は、ディテント開度よりも大きい開度(すなわち、ディテント開度を超え、かつ、第一所定開度未満の開度)であってもよいし、ディテント開度よりも小さい開度であってもよい。
【0032】
モータ制御部13は、モータ3の作動状態を管理するものである。ここでは、走行制御部12で設定された走行モードに応じたモータ出力が得られるように、モータ3の作動状態が制御される。モータ3の作動状態は、バッテリ5とモータ3との間の高圧回路上に介装される図示しないインバーターの動作を調節することで制御可能である。例えば、EV走行モード時やシリーズ走行モード時には、電池出力の許容範囲内においてドライバー要求トルクと同等のモータトルクが生成されるように、インバーターが制御される。また、パラレル走行モード時には、エンジントルクとモータトルクとの和がドライバー要求トルクと同等な値になるように、インバーターが制御される。EV走行モード時の車両1の駆動トルクは、モータ3の出力トルクに相当する大きさとなる。
【0033】
エンジン制御部14は、エンジン2の作動状態を管理するものである。ここでは、走行制御部12で設定された走行モードに応じたエンジン出力が得られるように、エンジン2及び図示しない補機類の作動状態が制御される。エンジン2の駆動力を利用してジェネレータ4で発電する場合には、エンジン2及びジェネレータ4の両方をエンジン制御部14が制御する構成にしてもよい。
【0034】
エンジン2の作動状態は、図示しない燃料噴射弁やスロットルバルブ,ジェネレータ4などの動作を調節することで制御可能である。例えば、エンジン走行モード時には、ドライバー要求トルクと同等のエンジントルクが生成されるように、燃料噴射弁やスロットルバルブなどが制御される。エンジン走行モード時の車両1の駆動トルクは、エンジン2の出力トルクに相当する大きさとなる。
【0035】
また、パラレル走行モード時には、エンジントルクとモータトルクとの和がドライバー要求トルクと同等な値になるように、燃料噴射弁やスロットルバルブなどが制御される。パラレル走行モード時の車両1の駆動トルクは、エンジン2の出力トルクとモータ3の出力トルクとの和に相当する大きさとなる。一方、シリーズ走行モード時には、効率のよい運転領域でエンジン2が作動し続けるように、燃料噴射弁やスロットルバルブなどが制御されるとともに、ジェネレータ4の作動状態(バッテリ5とジェネレータ4との間の高圧回路上に介装される図示しないインバーター)が制御される。シリーズ走行モード時の車両1の駆動トルクは、モータ3の出力トルクに相当する大きさとなる。
【0036】
[3.フローチャート]
図2は、エンジン2の始動判定に係る制御のフローチャート例である。このフローチャートに示す制御は、少なくともモータ3が作動し、かつ、エンジン2が停止している状況(例えば、EV走行モード中)において、制御装置10の内部で所定の周期で繰り返し実行されうる。このフローチャートに示す制御は、少なくともEV走行モードとハイブリッド走行モードとを有するハイブリッド車両1であれば実施可能であり、EV優先モードスイッチ7(EV優先モード,ノーマルモード)の有無は不問である。
【0037】
ステップA1では、バッテリ制御部11において、バッテリ5の作動状態や車両1の走行状態に基づいてバッテリ5の上限出力が算出される。ステップA2では、バッテリ5の上限出力に基づき、エンジン始動条件に係る所定値が設定される。所定値は、少なくともステップA1で算出された上限出力よりも小さい値に設定される。続くステップA3では、バッテリ5の電池出力が所定値以上であり、かつ、その状態が所定時間以上継続したか否かが判定される。この条件が成立した場合には制御がステップA4に進み、エンジン制御部14がエンジン2を始動させる。一方、ステップA3の条件が成立しない場合には、この周期での制御が終了する。
【0038】
上記の制御によれば、電池出力が上限出力未満であっても(条件B,条件Hが成立しなくても)、電池出力がある程度高い状態で長時間が経過した場合には、エンジン2が始動する。言い換えれば、ドライバー要求トルクに関する条件C,条件Iやアクセル開度に関する条件E,条件Kの成否に依存することなく、エンジン2を始動させることが可能となる。したがって、エンジン2の始動直後における車両1の駆動トルクの変動が小さくなり、走行フィーリングが向上する。
【0039】
また、車速に関する条件D,条件Jの成否に依存することなく、エンジン2を始動させることが可能となり、既存の制御と比較して、より低速走行域からエンジン2が活用されうる。さらに、バッテリ5の充電率に関する条件F,条件Lや電池電圧に関する条件G,条件Mの成否に依存することなく、エンジン2を始動させることが可能となり、エンジン2の始動直後にバッテリ5の充電率や電池電圧が不足することが回避される。
【0040】
図3は、走行モードの選択判定及びエンジン2の始動判定に係る制御のフローチャート例である。このフローチャートに示す制御は、少なくともモータ3が作動し、かつ、エンジン2が停止している状況(例えば、EV走行モード中)において、制御装置10の内部で所定の周期で繰り返し実行されうる。このフローチャートの制御では、EV優先モード時におけるエンジン2の始動条件が緩和されている。
図3中のステップB1,B4,B5,B7は、
図2中のステップA1~A4に対応する。なお、このフローチャートに示す制御は、EV走行モードとハイブリッド走行モードとを有するとともに、EV優先モードスイッチ7(EV優先モード,ノーマルモード)を有するハイブリッド車両1で実施可能である。
【0041】
ステップB1では、バッテリ5の作動状態や車両1の走行状態に基づいて、第一上限値と第二上限値とが算出される。第一上限値は、EV優先モード時における上限出力の値であり、第二上限値は、ノーマルモード時における上限出力の値である。続くステップB2では、EV優先モードスイッチ7の操作位置に基づき、走行モードの制御状態がEV優先モードであるか否かが判定される。EV優先モードである場合にはステップB3に進み、EV優先モードでない場合(ノーマルモードである場合)にはステップB10に進む。なお、前者のルートではバッテリ5の上限出力として第一上限値が用いられ、後者のルートではバッテリ5の上限出力として第二上限値が用いられる。
【0042】
ステップB3に進んだ(EV優先モードである)場合、エンジン始動に係る条件Cの第一閾値が設定される。第一閾値は、例えば車両1の走行状態に応じて設定される。また、ステップB4では、ステップB1で算出された第一上限値と第二上限値とに基づいて、所定値が設定される。所定値は、例えば第一上限値未満かつ第二上限値を超える範囲内で設定される。
【0043】
ステップB5では、バッテリ5の電池出力が所定値以上であり、かつ、その状態が所定時間以上継続したか否かが判定される。この条件が成立した場合には制御がステップB6に進み、成立しない場合には制御がステップB9に進む。ステップB6では、EV優先モードが解除され、EV優先モードスイッチ7の操作位置が自動的にオフ位置へと変更される。また、ステップB7では、エンジン制御部14がエンジン2を始動させる。
【0044】
その後、ステップB8では、走行モードがEV走行モードからハイブリッド走行モード(シリーズ走行モードまたはパラレル走行モード)へと切り替えられて、この周期での制御が終了する。ハイブリッド走行モードのうちシリーズ走行モードが実施される場合には、エンジン2の駆動力でジェネレータ4に発電させる制御が実施されるとともに、モータ3の駆動力で走行する制御が実施される。また、ハイブリッド走行モードのうちパラレル走行モードが実施される場合には、エンジン2及びモータ3の駆動力で走行する制御が実施される。モータ3の作動状態は、モータ制御部13によって制御される。また、エンジン2やジェネレータ4の作動状態は、エンジン制御部14によって制御される。
【0045】
ステップB5からステップB9へ進んだ場合には、EV優先モード時のエンジン始動条件のうち、ステップB5で判定された条件以外のものが成立するか否かが判定される。例えば、ドライバー要求トルクが第一閾値未満であるか(条件Cの否定)が判定される。この条件が成立する場合(すなわち条件Cが非成立の場合)には、制御がステップB12に進んでEV走行モードが維持されるとともに、この周期での制御が終了する。一方、ステップB9の条件が成立しない場合(すなわち条件Cが成立する場合)には、制御がステップB13に進んで走行モードがEV走行モードからハイブリッド走行モード(シリーズ走行モードまたはパラレル走行モード)へと切り替えられて、この周期での制御が終了する。
【0046】
ステップB2からステップB10へ進んだ場合には、エンジン始動に係る条件Iの第二閾値が設定される。第二閾値は、車両1の走行状態に応じて、例えば第一閾値よりも小さい値として設定される。続くステップB11では、ノーマルモード時のエンジン始動条件が成立するか否かが判定される。例えば、ドライバー要求トルクが第二閾値未満であるか(条件Iの否定)が判定される。
【0047】
ステップB11の条件が成立する場合(すなわち条件Iが非成立の場合)には、制御がステップB12に進んでEV走行モードが維持されるとともに、この周期での制御が終了する。一方、ステップB11の条件が成立しない場合(すなわち条件Iが成立する場合)には、制御がステップB13に進んで走行モードがEV走行モードからハイブリッド走行モード(シリーズ走行モードまたはパラレル走行モード)へと切り替えられて、この周期での制御が終了する。
【0048】
[4.タイムチャート]
図4(A)~(F)は、EV優先モード時に条件Aが成立することによりエンジン2が始動し、走行モードがEV走行モードからシリーズ走行モードへと移行した場合の制御作用を説明するためのタイムチャートである。(A)はEV優先モードスイッチ7の操作位置の経時変化を示し、(B)はアクセル開度の経時変化を示し、(C)は車両1の駆動トルクの経時変化を示す。また、(D)は電池出力の経時変化を示し、(E)は電池電圧の経時変化を示し、(F)はエンジン回転数の経時変化を示す。
【0049】
図4(A)中に実線で示すように、時刻t
0以前のEV優先モードスイッチ7の操作位置はオン位置であり、EV優先モードが設定されている。また、
図4(F)中に実線で示すように、時刻t
0以前のエンジン回転数は0であり、走行モードはEV走行モードである。
図4(B)中に実線で示すように、ドライバーが時刻t
0にアクセル開度を増加させ、時刻t
1にその時点のアクセル開度を維持する操作を実施したものとする。
【0050】
アクセル開度の増加に伴い、モータ3の出力トルクが増大し、
図4(C)中に実線で示すように、車両1の駆動トルクが増大する。このとき、
図4(D)中に実線で示すように、バッテリ5の電池出力が増大する。電池出力は、時刻t
0から時刻t
1までの間に増加し、時刻t
1以降はアクセル開度に応じた値に維持される。このときの電池出力が条件Aに係る所定値であるものとする。一方、電池電圧は
図4(E)中に実線で示すように、時刻t
0から時刻t
1までの間に大きく減少し、時刻t
1以降も徐々に減少する。
【0051】
時刻t
1から所定時間後の時刻t
2になるまで電池出力が所定値以上に維持されると、条件Aが成立する。これにより、エンジン2を始動させる制御が実施され、
図4(F)中に実線で示すようにエンジン回転数が上昇する。このとき、
図4(A)中に実線で示すように、EV優先モードスイッチ7の操作位置が自動的にオフ位置へと変更される。また、時刻t
3にエンジン回転数が所定回転数に達した後は、その所定回転数が維持され、エンジン2の運転状態が安定する。これにより、ジェネレータ4での発電状態も安定する。
【0052】
電池電圧は、
図4(E)中に実線で示すように、時刻t
2から時刻t
3までの間に上昇し、時刻t
3以降は緩やかな勾配で徐々に低下する。また、電池出力は、
図4(D)中に実線で示すように、時刻t
2から時刻t
3までの間に減少し、時刻t
3以降はほぼ一定の値に維持される。このとき、バッテリ5から引き出される電池出力だけでなく、ジェネレータ4による発電電力もまたモータ3に供給される。これにより、十分に大きなモータ3の出力トルクを得られやすくなり、駆動トルクが不足することがない。したがって、
図4(C)中に実線で示すように、時刻t
2から時刻t
3までの間だけでなく時刻t
3以降も駆動トルクがほぼ一定となり、走行フィーリングが改善される。
【0053】
なお、
図4(A)~(F)中の破線は、比較例としてのグラフであり、エンジン始動条件に条件Aがなかった場合の制御作用を示す。条件Aがない場合には、時刻t
2以降もEV走行モードが継続される。これにより、
図4(E)中に破線で示すように、電池電圧が時刻t
2以降も低下し、時刻t
4に下限電圧に達する。このとき、
図4(D)中に一点鎖線で示すように、バッテリ5の上限値(第一上限値)が大幅に制限されうる。この場合、
図4(D)中に破線で示すように、電池出力が時刻t
4に減少するとともに、時刻t
4以降も徐々に減少する。したがって、
図4(C)中に破線で示すように、時刻t
4以降の駆動トルクが減少し、良好な走行フィーリングが得られないことがわかる。
【0054】
また、車両1のドライバーが駆動トルクの減少に気付き、時刻t
5にアクセルペダルを踏み込んだとする。このとき、アクセル開度がディテント開度以上になると、エンジン始動条件が成立し、エンジン2を始動させる制御が実施される。
図4(F)中に破線で示すように、エンジン回転数は時刻t
5以降に上昇する。また、時刻t
6にエンジン回転数が所定回転数に達した後は、その所定回転数が維持され、エンジン2の運転状態が安定する。これにより、ジェネレータ4での発電状態も安定する。
【0055】
電池電圧は、
図4(E)中に破線で示すように、時刻t
5から時刻t
6までの間に上昇し、時刻t
6以降は緩やかな勾配で徐々に低下する。また、電池出力は、
図4(D)中に破線で示すように、時刻t
5から時刻t
6までの間に減少し、時刻t
6以降はほぼ一定の値に維持される。一方、時刻t
5から時刻t
6までの間は時刻t
5以前と比較してアクセル開度が大きいことから、ドライバー要求トルクが大きくなる。したがって、
図4(C)中に破線で示すように、時刻t
5から時刻t
6までの間の駆動トルクが一時的に過大となり、良好な走行フィーリングが得られないことがわかる。
【0056】
[5.効果]
(1)本実施例のハイブリッド車両1は、互いに独立して作動しうるエンジン2及びモータ3と、エンジン2及びモータ3を作動させるための電力を貯留するバッテリ5と、エンジン2及びモータ3の作動状態を制御する制御装置10とを備える。制御装置10は、モータ3の作動時かつエンジン2の非作動時に条件A(バッテリ5の電池出力が所定値以上となる状態が所定時間以上継続すること)が成立した場合に、エンジン2を始動させる。このように、モータ3の作動時かつエンジン2の非作動時に条件Aが成立した場合に、エンジン2を始動させる制御を実施することで、車両1の駆動トルクの変動を抑制でき、走行フィーリングを改善できる。例えば、条件Hがエンジン始動条件になっている車両1において、電池出力が第二上限値に達する前に、時間的な余裕を持ってエンジン2を始動させることができる。
【0057】
また、「アクセルペダルがディテント開度を超えるほど強く踏み込まれること」がエンジン始動条件の一つになっている車両1において、ドライバーがアクセルペダルを強く踏み込まなくても、エンジン2を始動させることができる。これにより、エンジン2の始動時に駆動トルクが過大になることを防止でき、車両1の操作性を改善できる。このように本実施例のハイブリッド車両1によれば、走行フィーリング及び操作性を改善できる。
【0058】
(2)上記のハイブリッド車両1は、EV優先モードとノーマルモードとを有しうる。EV優先モードでは、ノーマルモード時と比較して、モータ3の作動時かつエンジン2の非作動時にエンジン2を始動させる条件が厳しく設定される。言い換えれば、ノーマルモードでは、エンジン始動条件がEV優先モードよりも緩く設定される。また、条件Aに含まれる所定値は、第一上限値未満かつ第二上限値を超える値とされうる。第一上限値とは、EV優先モード時における電池出力の上限値であり、第二上限値とは、ノーマルモード時における電池出力の上限値である。
【0059】
また、制御装置10は、EV優先モードかつモータ3の作動時かつエンジン2の非作動時に条件Aが成立した場合に、エンジン2を始動させる制御を実施しうる。このようなエンジン始動条件の設定により、一般的なEV優先モード時よりもエンジン始動条件を緩めつつ、ノーマルモード時よりもエンジン始動条件を厳しくすることができる。したがって、できるだけEV走行状態を維持しつつ、モータ3の高負荷走行時におけるエンジン2の始動タイミングを若干早めることができ、車両1のトルク変動を抑制して走行フィーリングを改善できる。
【0060】
(3)なお、条件Aに含まれる所定時間は、電池出力が所定値以上になった時刻を起点として、バッテリ5の電池電圧が低下して下限電圧に達するまでの時間よりも短く設定されうる。このようなエンジン始動条件の設定により、電池電圧が過剰に低下する前にエンジン2を始動させることができ、車両1のトルク変動を抑制して走行フィーリングを改善できる。
【0061】
[6.その他]
上記の実施例はあくまでも例示に過ぎず、本実施例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、本実施例の各構成は、必要に応じて取捨選択でき、あるいは、適宜組み合わせることができる。例えば、上記の車両1にはEV優先モードスイッチ7が設けられているが、EV優先モードスイッチ7は省略可能であり、公知の条件に応じてEV優先モードとノーマルモードとが自動的に設定されるようにしてもよい。また、EV優先モードやノーマルモード自体を省略してもよい。すなわち、走行モードをEV走行モードからハイブリッド走行モードへと切り替える条件を固定してもよい。少なくとも、モータ3の作動時かつエンジンの非作動時に条件Aが成立した場合に、エンジン2を始動させる制御を実施することで、上述の実施例と同様の作用効果を獲得できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本件は、ハイブリッド車両の製造産業に利用可能であり、ハイブリッド車両の制御装置の製造産業にも利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 車両(ハイブリッド車両)
2 エンジン
3 モータ
4 ジェネレータ
5 バッテリ
6 クラッチ
7 EV優先モードスイッチ
10 制御装置
11 バッテリ制御部
12 走行制御部
13 モータ制御部
14 エンジン制御部