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▶ 住友建機株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20250212BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20250212BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 B
H04N7/18 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020510927
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019012898
(87)【国際公開番号】W WO2019189203
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-12-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2018058913
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】作田 聡
(72)【発明者】
【氏名】泉川 岳哉
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】蔵野 いづみ
【審判官】澤田 真治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151830(JP,A)
【文献】特開平11-296229(JP,A)
【文献】特開2014-98270(JP,A)
【文献】特開2002-328022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24
E02F 9/26
H04N 7/18
E02F 9/20
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記下部走行体又は前記上部旋回体に搭載されたアクチュエータと、
前記アクチュエータの動きを制限可能な制御装置と、を有し、
前記制御装置は、作業領域内に設置された障害物に対して設定された進入不可領域へショベルが進入したか否かを判定し、当該ショベルが進入したと判定した場合、当該ショベルの動作を減速又は停止させる動作制御部を有し、
前記進入不可領域を配置図、若しくは、施工計画図に重畳して表示する表示部を有し、
前記表示部には、前記進入不可領域が設定される前後の配置図、若しくは、施工計画図が同時に表示される、
ショベル。
【請求項2】
前記障害物と当該ショベルとの位置関係は、前記配置図、若しくは、前記施工計画図に重畳して表示される、
請求項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、埋設物の検出を行い、アタッチメントが埋設物に衝突する可能性がある場合、アタッチメントの動作を減速・停止させたり、アタッチメントを埋設物から回避させたりする制御を行う作業機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2008/0133128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業現場には埋設物以外に電柱や電線等の障害物があり、操作者はこのような障害物に注意してショベルを駆動させる必要がある。そのため、作業効率が低下してしまう。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、作業効率を向上させることが可能なショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記下部走行体又は前記上部旋回体に搭載されたアクチュエータと、前記アクチュエータの動きを制限可能な制御装置と、を有し、前記制御装置は、作業領域内に設置された障害物に対して設定された進入不可領域へショベルが進入したか否かを判定し、当該ショベルが進入したと判定した場合、当該ショベルの動作を減速又は停止させる動作制御部を有し、前記進入不可領域を配置図、若しくは、施工計画図に重畳して表示する表示部を有し、前記表示部には、前記進入不可領域が設定される前後の配置図、若しくは、施工計画図が同時に表示される
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、作業効率を向上させることが可能なショベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の第1実施形態に係るショベルの一例を示す側面図
図1B】本発明の第1実施形態に係るショベルの一例を示す上面図
図1C】本発明の第1実施形態に係るショベルの一例を示す側面図
図1D】本発明の第1実施形態に係るショベルの一例を示す上面図
図2図1Aのショベルの駆動制御系の構成例を示す図
図3】コントローラ及びマシンガイダンス装置の構成例を示すブロック図
図4】車道に配置されたショベルに対し進入不可領域が設定される前の配置図の画像の一例を示す図
図5】進入不可領域が設定された後の配置図の画像の一例を示す図
図6】進入不可領域設定処理の一例を示すフローチャート
図7】進入不可領域が設定された後の配置図の画像の別の例を示す図
図8図1Aのショベルを含むネットワーク図
図9】ショベルの外表面の構成例を示す図
図10】コントローラ及びマシンガイダンス装置の別の構成例を示すブロック図
図11】コントローラ及びマシンガイダンス装置の更に別の構成例を示すブロック図
図12】本発明の第2実施形態に係るショベルの一例を示す側面図
図13】ショベルの管理システムの構成例を示す概略図
図14】CGアニメーションの表示例を示す図
図15】進入不可領域設定処理の際に表示される画像の構成例を示す図
図16】進入不可領域設定処理の際に表示される画像の別の構成例を示す図
図17】進入不可領域設定処理の際に表示される画像の更に別の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〔第1実施形態〕
最初に、図1A図1Dを参照して、本発明の第1実施形態に係るショベル100の一例の全体構成について説明する。図1A及び図1Cは、本発明の第1実施形態に係るショベル100の一例を示す側面図である。図1B及び図1Dは、本発明の第1実施形態に係るショベル100の一例を示す上面図である。図1Aは、参照符号及び補助線等を除けば、図1Cと同じ図であり、図1Bは、参照符号及び補助線等を除けば、図1Dと同じ図である。
【0011】
本実施形態では、ショベル100は、油圧アクチュエータを搭載している。油圧アクチュエータは、左走行用油圧モータ2ML、右走行用油圧モータ2MR、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9を含む。
【0012】
ショベル100の下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行用油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。左クローラ1CLは左走行用油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行用油圧モータ2MRによって駆動される。
【0013】
ショベル100の下部走行体1には、旋回機構2を介して旋回可能に上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられている。アーム5の先端には、エンドアタッチメント(作業部位)としてバケット6が取り付けられている。エンドアタッチメントとしては、法面用バケット、浚渫用バケット、ブレーカ等が取り付けられてもよい。
【0014】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例として掘削アタッチメントATを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4には、ブーム角度センサS1が取り付けられている。アーム5には、アーム角度センサS2が取り付けられている。バケット6には、バケット角度センサS3が取り付けられている。掘削アタッチメントには、バケットチルト機構が設けられてもよい。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3を「姿勢センサ」と称することもある。
【0015】
ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度を検出する。ブーム角度センサS1は、例えば、水平面に対する傾斜を検出して、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する加速度センサである。
【0016】
アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度を検出する。アーム角度センサS2は、例えば、水平面に対する傾斜を検出して、ブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する加速度センサである。
【0017】
バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度を検出する。バケット角度センサS3は、例えば、水平面に対する傾斜を検出して、アーム5に対するバケット6の回動角度を検出する加速度センサである。
【0018】
掘削アタッチメントがバケットチルト機構を備える場合、バケット角度センサS3は、チルト軸回りのバケット6の回動角度を追加的に検出する。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等であってもよい。
【0019】
上部旋回体3は、エンジン11等の動力源、カウンタウエイト3w、車体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5が搭載され、カバー3aにより覆われている。車体傾斜センサS4は、上部旋回体3の傾斜角度を検出する。車体傾斜センサS4は、例えば、水平面に対する傾斜を検出して、上部旋回体3の傾斜角度を検出する加速度センサである。旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出する。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ又はロータリエンコーダ等であってもよい。旋回角速度センサS5は、旋回速度を検出してもよい。旋回速度は、旋回角速度から算出されてもよい。
【0020】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられている。キャビン10内には、操作装置26、コントローラ30、表示装置40、音出力装置43、入力装置45、記憶装置47、及びゲートロックレバー49が設けられている。
【0021】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されているプログラムを実行することで実現される。コントローラ30は、ショベル100の操作をガイドするマシンガイダンス装置50としても機能する。
【0022】
マシンガイダンス装置50は、マシンガイダンス機能を実行し、ショベル100の操作をガイド(案内)する。本実施形態では、マシンガイダンス装置50は、例えば、操作者が設定した目標地形の表面である目標施工面とアタッチメントの作業部位との距離等といった作業情報を操作者に報知する。目標施工面は、基準座標系で設定してもよい。基準座標系は、例えば世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そしてZ軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。また、施工現場の任意の点を基準点と定め、基準点との相対的な位置関係により目標施工面を設定してもよい。目標施工面とアタッチメントの作業部位との距離は、例えば、エンドアタッチメントとしてのバケット6の先端(爪先)、バケット6の背面、エンドアタッチメントとしてのブレーカの先端等と目標施工面との間の距離である。マシンガイダンス装置50は、表示装置40や音出力装置43等を介して、作業情報を操作者に報知し、ショベル100の操作をガイドする。
【0023】
マシンガイダンス装置50は、マシンコントロール機能を実行し、操作者によるショベルの操作を自動的に支援してもよい。例えば、マシンガイダンス装置50は、マシンコントロール機能を実行する場合、操作者が掘削操作を行っているときに、目標施工面とバケット6の先端位置とが合致するようにブーム4、アーム5、及びバケット6の動きをアシストする。より具体的には、例えば、操作者がアーム閉じ操作を行っているときにブームシリンダ7及びバケットシリンダ9の少なくとも一方を自動的に伸縮させて目標施工面とバケット6の先端位置とを合致させる。この場合、操作者は、1本の操作レバーを操作するだけで、ブーム4、アーム5、及びバケット6を同時に動かして目標施工面とバケット6の先端位置とを合わせながら掘削作業を行うことができる。
【0024】
本実施形態では、マシンガイダンス装置50がコントローラ30に組み込まれているが、マシンガイダンス装置50とコントローラ30とは別に設けられてもよい。この場合、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。マシンガイダンス装置50の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0025】
表示装置40は、コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50からの指令に応じて各種の作業情報を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、マシンガイダンス装置50に接続される車載液晶ディスプレイである。
【0026】
音出力装置43は、コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50からの音出力指令に応じて各種音情報を出力する。音出力装置43は、例えば、マシンガイダンス装置50に接続される車載スピーカを含む。また、音出力装置43は、ブザー等の警報器を含んでもよい。
【0027】
入力装置45は、ショベル100の操作者がマシンガイダンス装置50を含むコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。入力装置45は、例えば、表示装置40の表面に設けられるメンブレンスイッチを含んで構成される。また、入力装置45は、タッチパネル等を含んで構成されてもよい。
【0028】
記憶装置47は、各種情報を記憶するための装置である。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、マシンガイダンス装置50を含むコントローラ30等が出力する各種情報を記憶する。
【0029】
ゲートロックレバー49は、キャビン10のドアと運転席との間に設けられ、ショベル100が誤って操作されるのを防止する機構である。操作者が運転席に乗り込んでゲートロックレバー49を引き上げると、操作者はキャビン10から退出できなくなると共に各種操作装置が操作可能になる。操作者がゲートロックレバー49を押し下げると、操作者はキャビン10から退出可能になると共に、各種操作装置は操作不能になる。
【0030】
上部旋回体3及びキャビンには、撮像手段である撮像装置80が設けられている。撮像装置80は周囲監視装置の一例であり、ショベル100の周囲を撮像するように構成されている。撮像装置80は、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後カメラ80B及び後上カメラ80UB、キャビン10の上面前端に取り付けられた前カメラ80F及び前上カメラ80UF、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラ80L及び左上カメラ80UL、並びに、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右カメラ80R及び右上カメラ80URを含む。後カメラ80B、後上カメラ80UB、前カメラ80F、前上カメラ80UF、左カメラ80L、左上カメラ80UL、右カメラ80R及び右上カメラ80URは、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を有するデジタルカメラであり、それぞれ撮影した画像をキャビン10内に設けられている表示装置40に送る。
【0031】
後カメラ80Bは、ショベル100の後方且つ斜め下方を撮像するように構成されている。後上カメラ80UBは、ショベル100の後方且つ斜め上方を撮像するように構成されている。前カメラ80Fは、ショベル100の前方且つ斜め下方を撮像するように構成されている。前上カメラ80UFは、ショベル100の前方且つ斜め上方を撮像するように構成されている。左カメラ80Lは、ショベル100の左方且つ斜め下方を撮像するように構成されている。左上カメラ80ULは、ショベル100の左方且つ斜め上方を撮像するように構成されている。右カメラ80Rは、ショベル100の右方且つ斜め下方を撮像するように構成されている。右上カメラ80URは、ショベル100の右方且つ斜め上方を撮像するように構成されている。
【0032】
具体的には、図1Aに示すように、後カメラ80Bは、光軸を表す仮想線である破線M1が旋回軸Kに垂直な仮想平面(図1Aの例では仮想水平面)に対して角度(俯角)φ1を形成するように構成されている。後上カメラ80UBは、光軸を表す仮想線である破線M2が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して角度(仰角)φ2を形成するように構成されている。前カメラ80Fは、光軸を表す仮想線である破線M3が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して角度(俯角)φ3を形成するように構成されている。前上カメラ80UFは、光軸を表す仮想線である破線M4が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して角度(仰角)φ4を形成するように構成されている。図示はされていないが、左カメラ80L及び右カメラ80Rも同様に、各光軸が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して俯角を形成するように構成され、左上カメラ80UL及び右上カメラ80URも同様に、各光軸が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して仰角を形成するように構成されている。
【0033】
図1Cでは、領域R1は、前カメラ80Fの監視範囲(撮像範囲)と前上カメラ80UFの撮像範囲とが重複している部分を表し、領域R2は、後カメラ80Bの撮像範囲と後上カメラ80UBの撮像範囲とが重複している部分を表している。すなわち、後カメラ80Bと後上カメラ80UBは、互いの撮像範囲が上下方向で部分的に重複するように配置され、前カメラ80Fと前上カメラ80UFも、互いの撮像範囲が上下方向で部分的に重複するように配置されている。また、図示は省略されているが、左カメラ80Lと左上カメラ80ULも互いの撮像範囲が上下方向で部分的に重複するように配置され、右カメラ80Rと右上カメラ80URも互いの撮像範囲が上下方向で部分的に重複するように配置されている。
【0034】
図1Cに示すように、後カメラ80Bは、撮像範囲の下側の境界を表す仮想線である破線L1が、旋回軸Kに垂直な仮想平面(図1Cの例では仮想水平面)に対して角度(俯角)θ1を形成するように構成されている。後上カメラ80UBは、撮像範囲の上側の境界を表す仮想線である破線L2が、旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して角度(仰角)θ2を形成するように構成されている。前カメラ80Fは、撮像範囲の下側の境界を表す仮想線である破線L3が、旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して角度(俯角)θ3を形成するように構成されている。前上カメラ80UFは、撮像範囲の上側の境界を表す仮想線である破線L4が、旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して角度(仰角)θ4を形成するように構成されている。角度(俯角)θ1及び角度(俯角)θ3は、望ましくは、55度以上である。図1Cでは、角度(俯角)θ1は、約70度であり、角度(俯角)θ3は、約65度である。角度(仰角)θ2及び角度(仰角)θ4は、望ましくは、90度以上であり、より望ましくは、135度以上であり、更に望ましくは、180度である。図1Cでは、角度(仰角)θ2は、約115度であり、角度(仰角)θ4は、約115度である。図示はされていないが、左カメラ80L及び右カメラ80Rも同様に、各撮像範囲の下側の境界が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対し、55度以上の俯角を形成するように構成され、左上カメラ80UL及び右上カメラ80URも同様に、各撮像範囲の上側の境界が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対し、90度以上の仰角を形成するように構成されている。
【0035】
そのため、ショベル100は、前上カメラ80UFによりキャビン10の上方の空間内に存在する物体を検知できる。また、ショベル100は、後上カメラ80UBによりエンジンフードの上方の空間内に存在する物体を検知できる。また、ショベル100は、左上カメラ80UL及び右上カメラURにより上部旋回体3の上方の空間内に存在する物体を検出できる。このように、ショベル100は、後上カメラ80UB、前上カメラ80UF、左上カメラ80UL、及び右上カメラ80URによりショベル100の上方の空間内に存在する物体を検知できる。
【0036】
図1Dでは、領域R3は、前カメラ80Fの撮像範囲と左カメラ80Lの撮像範囲とが重複している部分を表し、領域R4は、左カメラ80Lの撮像範囲と後カメラ80Bの撮像範囲とが重複している部分を表し、領域R5は、後カメラ80Bの撮像範囲と右カメラ80Rの撮像範囲とが重複している部分を表し、領域R6は、右カメラ80Rの撮像範囲と前カメラ80Fの撮像範囲とが重複している部分を表している。すなわち、前カメラ80Fと左カメラ80Lは、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、左カメラ80Lと後カメラ80Bも、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、後カメラ80Bと右カメラ80Rも、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、右カメラ80Rと前カメラ80Fも、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置されている。また、図示は省略されているが、前上カメラ80UFと左上カメラ80ULも、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、左上カメラ80ULと後上カメラ80UBも、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、後上カメラ80UBと右上カメラ80URも、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、右上カメラ80URと前上カメラ80UFも、互いの撮像範囲が左右方向で部分的に重複するように配置されている。
【0037】
このような配置により、前上カメラ80UFは、例えば、ブーム4を最も上昇させたときにブーム4の先端が位置する空間及びその周囲の空間にある物体を撮像できる。そのため、コントローラ30は、例えば、前上カメラ80UFが撮像した画像を利用することで、ショベル100の上空に架けられている電線にブーム4の先端が接触してしまうのを防止できる。
【0038】
前上カメラ80UFは、ブーム4を最も上昇させた姿勢であるブーム上限姿勢においてアーム5及びバケット6の少なくとも一方が回動させられたとしても、アーム5及びバケット6が前上カメラ80UFの撮像範囲内に入るように、キャビン10に取り付けられていてもよい。この場合、ブーム上限姿勢においてアーム5及びバケット6の少なくとも一方が最大限開かれたとしても、コントローラ30は、周囲の物体と掘削アタッチメントATとが接触するおそれがあるか否かを判定できる。
【0039】
キャビン10の頂部には、GPS装置(GNSS受信機)P1、送信装置T1、及び障害物検出装置90が設けられている。
【0040】
GPS装置P1は、ショベル100の位置をGPS機能により検出し、位置情報をコントローラ30内のマシンガイダンス装置50に供給する。
【0041】
送信装置T1は、ショベル100の外部に向けて情報を発信する送信部である。
【0042】
障害物検出装置90は、周囲監視装置の別の一例であり、ショベル100の周囲の電線、電柱、人、動物、車両(ダンプトラック等)、作業機材、建設機械、建造物、電線、柵等の障害物を検出する。更に、ヘルメット、安全ベスト、作業服やヘルメットに装着された所定のマーク等により人を判定してもよい。障害物検出装置90は、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ等のカメラ、超音波センサ、ミリ波レーダ、レーザレーダ(LIDAR:Light Detection Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等であり、検出した信号をコントローラ30に送る。また、障害物検出装置90は、障害物検出装置90、若しくは、ショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成される。また、周囲監視装置としての障害物検出装置90は、ショベル100の周囲に設定された所定領域内の所定物体を検知するように構成されていてもよい。すなわち、障害物検出装置90は、物体の種類、位置、及び形状等の少なくとも1つを識別できるように構成されていてもよい。例えば、障害物検出装置90は、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。また、障害物検出装置90は、障害物検出装置90又はショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。
【0043】
ショベル100は、必ずしも、撮像装置80及び障害物検出装置90の両方を周囲監視装置として備えている必要はない。周囲監視装置は、障害物検出装置90により周囲の物体とショベル100との位置関係を把握できるのであれば、障害物検出装置90のみで構成されていてもよく、撮像装置80により周囲の物体とショベル100との位置関係を把握できるのであれば、撮像装置80のみで構成されていてもよい。
【0044】
本実施形態では、障害物検出装置90は、上部旋回体3の上面後端に取り付けられたLIDARである後センサ90B及び後上センサ90UB、キャビン10の上面前端に取り付けられたLIDARである前センサ90F及び前上センサ90UF、上部旋回体3の上面左端に取り付けられたLIDARである左センサ90L及び左上センサ90UL、並びに、上部旋回体3の上面右端に取り付けられたLIDARである右センサ90R及び右上センサ90URを含む。
【0045】
後センサ90Bは、ショベル100の後方且つ斜め下方に存在する物体を検知するように構成されている。後上センサ90UBは、ショベル100の後方且つ斜め上方に存在する物体を検知するように構成されている。前センサ90Fは、ショベル100の前方且つ斜め下方に存在する物体を検知するように構成されている。前上センサ90UFは、ショベル100の前方且つ斜め上方に存在する物体を検知するように構成されている。左センサ90Lは、ショベル100の左方且つ斜め下方に存在する物体を検知するように構成されている。左上センサ90ULは、ショベル100の左方且つ斜め上方に存在する物体を検知するように構成されている。右センサ90Rは、ショベル100の右方且つ斜め下方に存在する物体を検知するように構成されている。右上センサ90URは、ショベル100の右方且つ斜め上方に存在する物体を検知するように構成されている。
【0046】
障害物検出装置90も撮像装置80と同様に配置されていてもよい。すなわち、後センサ90Bと後上センサ90UBは、互いの監視範囲(検知範囲)が上下方向で部分的に重複するように配置され、前センサ90Fと前上センサ90UFも、互いの検知範囲が上下方向で部分的に重複するように配置され、左センサ90Lと左上センサ90ULも互いの検知範囲が上下方向で部分的に重複するように配置され、右センサ90Rと右上センサ90URも互いの検知範囲が上下方向で部分的に重複するように配置されていてもよい。また、前センサ90Fと左センサ90Lは、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、左センサ90Lと後センサ90Bも、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、後センサ90Bと右センサ90Rも、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、右センサ90Rと前センサ90Fも、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置されていてもよい。更に、前上センサ90UFと左上センサ90ULは、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、左上センサ90ULと後上センサ90UBも、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、後上センサ90UBと右上センサ90URも、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置され、右上センサ90URと前上センサ90UFも、互いの検知範囲が左右方向で部分的に重複するように配置されていてもよい。
【0047】
後センサ90B、前センサ90F、左センサ90L、及び右センサ90Rは、各光軸が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して俯角を形成するように構成され、後上センサ90UB、前上センサ90UF、左上センサ90UL、及び右上センサ90URは、各光軸が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して仰角を形成するように構成されていてもよい。
【0048】
後センサ90B、前センサ90F、左センサ90L、及び右センサ90Rは、各検知範囲の下側の境界が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して俯角を形成するように構成され、後上センサ90UB、前上センサ90UF、左上センサ90UL、及び右上センサ90URは、各検知範囲の上側の境界が旋回軸Kに垂直な仮想平面に対して仰角を形成するように構成されていてもよい。
【0049】
本実施形態では、後カメラ80Bは後センサ90Bに隣接して配置され、前カメラ80Fは前センサ90Fに隣接して配置され、左カメラ80Lは左センサ90Lに隣接して配置され、且つ、右カメラ80Rは右センサ90Rに隣接して配置されている。また、後上カメラ80UBは後上センサ90UBに隣接して配置され、前上カメラ80UFは前上センサ90UFに隣接して配置され、左上カメラ80ULは左上センサ90ULに隣接して配置され、且つ、右上カメラ80URは右上センサ90URに隣接して配置されている。
【0050】
本実施形態では、撮像装置80及び障害物検出装置90は何れも、図1Dに示すように、上面視で上部旋回体3の輪郭からはみ出さないように、上部旋回体3に取り付けられている。但し、撮像装置80及び障害物検出装置90の少なくとも1つは、上面視で上部旋回体3の輪郭からはみ出すように、上部旋回体3に取り付けられていてもよい。
【0051】
後上カメラ80UBは、省略されてもよく、後カメラ80Bに統合されていてもよい。後上カメラ80UBが統合された後カメラ80Bは、後上カメラ80UBがカバーしていた撮像範囲を含む広い撮像範囲をカバーできるように構成されていてもよい。前上カメラ80UF、左上カメラ80UL、及び右上カメラ80URについても同様である。また、後上センサ90UBは、省略されてもよく、後センサ90Bに統合されていてもよい。前上センサ90UF、左上センサ90UL、及び右上センサ90URについても同様である。また、後上カメラ80UB、前上カメラ80UF、左上カメラ80UL、及び右上カメラ80URの少なくとも2つは、1又は複数の全天球カメラ又は半球カメラとして統合されていてもよい。
【0052】
次に、図2を参照して、ショベル100の駆動制御系の構成例について説明する。図2は、ショベル100の駆動制御系の構成例を示す図である。
【0053】
表示装置40は、キャビン10に設けられ、マシンガイダンス装置50から供給される作業情報等を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の通信ネットワーク、専用線等を介してマシンガイダンス装置50を含むコントローラ30に接続されている。
【0054】
表示装置40は、画像表示部41に表示する画像を生成する変換処理部40aを有する。変換処理部40aは、撮像装置80から得られる画像データに基づいて画像表示部41上に表示する撮影画像を含む画像を生成する。表示装置40には、左カメラ80L、右カメラ80R、及び後カメラ80Bのそれぞれから画像データが入力される。
【0055】
また、変換処理部40aは、コントローラ30から表示装置40に入力される各種のデータのうち画像表示部41に表示させるデータを画像信号に変換する。コントローラ30から表示装置40に入力されるデータは、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、尿素水の残量を示すデータ、燃料の残量を示すデータ等を含む。
【0056】
変換処理部40aは、変換した画像信号を画像表示部41に出力し、撮影画像や各種のデータに基づいて生成した画像を画像表示部41に表示させる。
【0057】
なお、変換処理部40aは、表示装置40ではなく、例えば、コントローラ30に設けられてもよい。この場合、撮像装置80は、コントローラ30に接続される。
【0058】
表示装置40は、入力部としてのスイッチパネル42を有する。スイッチパネル42は、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。スイッチパネル42は、ライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b、及びウィンドウォッシャスイッチ42cを有する。
【0059】
ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り替えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り替えるためのスイッチである。ウィンドウォッシャスイッチ42cは、ウィンドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
【0060】
表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70は、エンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベル100の電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動されてエンジン11を始動させる。
【0061】
エンジン11は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15に接続され、エンジン制御装置(ECU)74により制御される。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種のデータ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ等)がコントローラ30に常時送信される。コントローラ30は内部の記憶部30aにこのデータを蓄積し、適宜、表示装置40に送信できる。
【0062】
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための油圧ポンプである。メインポンプ14は、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0063】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプである。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、コントロールバルブ17に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後で操作装置26(例えば、操作レバー26A~26C)等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
【0064】
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ、及び旋回用油圧モータ等に、メインポンプ14が吐出する作動油を選択的に供給する。なお、以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ、及び旋回用油圧モータを、「油圧アクチュエータ」という場合がある。
【0065】
操作レバー26A~26Cは、キャビン10内に設けられ、操作者によって油圧アクチュエータの操作に用いられる。操作レバー26A~26Cが操作されると、パイロットポンプから油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに作動油が供給される。各パイロットポートには、対応する操作レバー26A~26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力の作動油が供給される。
【0066】
本実施形態では、操作レバー26Aは、ブーム操作レバーである。操作者が操作レバー26Aを操作すると、ブームシリンダ7を油圧駆動させて、ブーム4を操作できる。操作レバー26Bは、アーム操作レバーである。操作者が操作レバー26Bを操作すると、アームシリンダ8を油圧駆動させて、アーム5を操作できる。操作レバー26Cは、バケット操作レバーである。操作者が操作レバー26Cを操作すると、バケットシリンダ9を油圧駆動させて、バケット6を操作できる。なお、ショベル100には、操作レバー26A~26Cの他に、走行用油圧モータや旋回用油圧モータ等を駆動させる操作レバー、操作ペダル等が設けられてもよい。
【0067】
コントローラ30は、例えば以下で説明する各種のデータを取得する。コントローラ30が取得したデータは、記憶部30aに格納される。
【0068】
可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aは、斜板角度を示すデータをコントローラ30に送る。また、吐出圧力センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータをコントローラ30に送る。これらのデータ(物理量を表すデータ)は記憶部30aに格納される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路に設けられている油温センサ14cは、管路を流れる作動油の温度を表すデータをコントローラ30に送る。
【0069】
圧力センサ15a,15bは、操作レバー26A~26Cが操作された際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧を検出し、検出したパイロット圧を示すデータをコントローラ30に送る。操作レバー26A~26Cには、スイッチボタン27が設けられている。操作者は、操作レバー26A~26Cを操作しながらスイッチボタン27を操作することで、コントローラ30に指令信号を送ることができる。
【0070】
ショベル100のキャビン10内には、エンジン回転数調整ダイヤル75が設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジンの回転数を調整するためのダイヤルであり、例えば、エンジン回転数を段階的に切り替えることができる。本実施形態では、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリング(IDLE)モードの4段階にエンジン回転数を切り替えることができるように設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数の設定状態を示すデータをコントローラ30に送る。なお、図2には、エンジン回転数調整ダイヤル75によりHモードが選択された状態が示されている。
【0071】
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、2番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベル100を稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、3番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定回転数に制御される。
【0072】
障害物検出装置90は、検出したショベル100の周囲の電線、電柱等の障害物のデータをコントローラ30に送る。障害物のデータは、障害物の大きさ、位置情報等を含む。
【0073】
また、操作レバー26Aの形態として油圧式パイロット回路に関する説明を記載したが、油圧式操作レバーではなく電気式パイロット回路を備えた電気式操作レバーが採用されてもよい。この場合、電気式操作レバーのレバー操作量は、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、電気式操作レバーを用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、レバー操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。なお、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
【0074】
次に、図3を参照して、ショベル100のコントローラ30及びマシンガイダンス装置50に設けられている各種機能について説明する。図3は、コントローラ30及びマシンガイダンス装置50の構成例を示すブロック図である。
【0075】
コントローラ30は、ECU74を含むショベル100全体の動作を制御する。コントローラ30は、ゲートロックレバー49が押し下げられている状態では、ゲートロック弁49aを閉状態とし、ゲートロックレバー49が引き上げられている状態では、ゲートロック弁49aを開状態とするように制御する。ゲートロック弁49aは、コントロールバルブ17と操作レバー26A~26C等との間の油路に設けられている切替弁である(図2参照)。なお、ゲートロック弁49aは、コントローラ30からの指令によって開閉する構成になっているが、ゲートロックレバー49と機械的に接続され、ゲートロックレバー49の動作に応じて開閉する構成であってもよい。
【0076】
ゲートロック弁49aは、閉状態において、コントロールバルブ17と操作レバー26A~26C等との間の作動油の流れを遮断して操作レバー26A~26C等の操作を無効にする。また、ゲートロック弁49aは、開状態において、コントロールバルブ17と操作レバー等との間で作動油を連通させて操作レバー26A~26C等の操作を有効にする。
【0077】
コントローラ30は、ゲートロック弁49aが開状態となり、操作レバー26A~26Cの操作が有効になった状態で、圧力センサ15a,15bによって検出されるパイロット圧から、各レバーの操作量を検出する。
【0078】
コントローラ30は、ショベル100全体の動作の制御に加えて、マシンガイダンス装置50によるガイダンスを行うか否かを制御する。具体的には、コントローラ30は、ショベル100が休止中であると判定したときは、マシンガイダンス装置50によるガイダンスを中止するように、マシンガイダンス装置50にガイダンス中止指令を送る。
【0079】
また、コントローラ30は、オートアイドルストップ指令をECU74に対して出力する際に、ガイダンス中止指令をマシンガイダンス装置50に出力してもよい。あるいは、コントローラ30は、ゲートロックレバー49が押し下げられた状態にあると判定した場合に、ガイダンス中止指令をマシンガイダンス装置50に出力してもよい。
【0080】
コントローラ30は、姿勢把握部301と、位置関係把握部302と、進入不可領域設定部303と、進入判定部304と、動作制御部305と、進入不可領域解除部306と、表示制御部307と、を有する。
【0081】
姿勢把握部301は、ショベル100の位置及び姿勢を把握する。本実施形態では、姿勢把握部301は、GPS装置P1が検出したショベル100の位置情報に基づいて、ショベル100の位置を把握する。また、姿勢把握部301は、ブーム角度センサS1が検出したブーム4の回動角度、アーム角度センサS2が検出したアーム5の回動角度、及びバケット角度センサS3が検出したバケット6の回動角度に基づいて、ショベル100の姿勢を把握する。なお、姿勢把握部301は、車体傾斜センサS4に基づいてショベル100の姿勢を把握してもよい。また、向き検出装置によって、下部走行体1と上部旋回体3の相対位置を把握してもよい。例えば、向き検出装置は、下部走行体1に取り付けられた方位センサと上部旋回体3に取り付けられた方位センサの組み合わせや旋回角速度センサS5で構成される。旋回角速度センサS5は、例えば、下部走行体1と上部旋回体3との間の相対回転を実現する機構に関連して設けられるセンタージョイントに配置されていてもよい。また、旋回用電動発電機で上部旋回体3が旋回駆動される構成では、向き検出装置は、レゾルバで構成されていてもよい。
【0082】
位置関係把握部302は、作業領域内に設置された障害物とショベル100との位置関係を把握する。本実施形態では、位置関係把握部302は、障害物検出装置90が検出した障害物の位置情報と、姿勢把握部301が把握したショベル100の位置情報と、に基づいて、障害物とショベル100との位置関係を把握する。また、位置関係把握部302によって把握された障害物とショベル100との位置関係は、送信装置T1によってショベル100の外部(例えばショベル100とネットワークを介して通信可能な管理装置)に向けて発信可能に構成されている。
【0083】
進入不可領域設定部303は、位置関係把握部302が把握した障害物とショベル100との位置関係に基づいて、進入不可領域を設定する。進入不可領域は、例えば障害物を含む所定の範囲とすることができる。進入不可領域は個々の障害物に対して設定され、個々の障害物の外形からの所定の範囲として設定してもよい。つまり、障害物から予め設定された距離までを進入不可領域として設定される。更に、進入不可領域として設定される所定の範囲は障害物の種類に応じて変更してもよい。また、進入不可領域は、個々の障害物とショベルとの間の空間に対して設定してもよい。このように、作業領域内の地表面上に設置された障害物に対して進入不可領域が設定される。
【0084】
進入判定部304は、位置関係把握部302が把握した障害物とショベル100との位置関係に基づいて進入不可領域設定部303が設定した進入不可領域にショベル100が進入したか否かを判定する。
【0085】
動作制御部305は、進入判定部304が進入不可領域にショベル100が進入したと判定した場合、ショベル100の動作を減速又は停止させる。また、動作制御部305は、進入判定部304が進入不可領域にショベル100が進入したと判定した場合、音出力装置43を介して操作者に警報を発してもよい。
【0086】
進入不可領域解除部306は、進入不可領域の設定を解除する。進入不可領域解除部306は、例えば入力装置45によって設定を解除する進入不可領域が選択されると、選択された進入不可領域の設定を解除する。また、進入不可領域が設定された場所に障害物がなくなった場合、進入不可領域が他の進入不可領域と区別できるように破線や異なる色等で表示されてもよい。この場合、進入不可領域解除部306は、障害物がなくなった進入不可領域を入力装置45によって選択されると、障害物がなくなった進入不可領域の設定を解除してもよい。
【0087】
表示制御部307は、表示装置40の画像表示部41に表示させる画像を制御する。本実施形態では、例えば表示装置40の画像表示部41に表示される配置図に重畳して進入不可領域設定部303が設定した進入不可領域を表示させる。また、表示制御部307は、例えば表示装置40の画像表示部41に、進入不可領域を表示させる前後の配置図を同時に表示させてもよい。ここで、配置図は、丁張りに関する情報、二次元又は三次元の施工図面データ等を含んでいてもよい。
【0088】
次に、マシンガイダンス装置50について説明する。マシンガイダンス装置50は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、車体傾斜センサS4、GPS装置P1、入力装置45等から、コントローラ30に供給される各種信号及びデータを受信する。
【0089】
マシンガイダンス装置50は、受信した信号及びデータに基づいてバケット6等のアタッチメントの実際の動作位置を算出する。そして、マシンガイダンス装置50は、アタッチメントの実際の動作位置と目標施工面とを比較し、例えばバケット6と目標施工面との間の距離等を算出する。マシンガイダンス装置50は、ショベル100の旋回中心軸からバケット6の爪先までの距離や、目標施工面の傾斜角度等も算出し、これらを作業情報として表示装置40に送信する。
【0090】
なお、マシンガイダンス装置50とコントローラ30とが別に設けられている場合には、マシンガイダンス装置50とコントローラ30とは、CANを通じて互いに通信可能に接続される。
【0091】
マシンガイダンス装置50は、高さ算出部503、比較部504、表示制御部505、及びガイダンスデータ出力部506を有する。
【0092】
高さ算出部503は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3の検出信号から求められるブーム4、アーム5、及びバケット6の角度から、バケット6の先端(爪先)の高さを算出する。
【0093】
比較部504は、高さ算出部503が算出したバケット6の先端(爪先)の高さと、ガイダンスデータ出力部506から出力されるガイダンスデータにおいて示される目標施工面の位置とを比較する。また、比較部504は、ショベル100に対する目標施工面の傾斜角度を求める。高さ算出部503や比較部504において求められた各種のデータは、記憶装置47に記憶される。
【0094】
表示制御部505は、比較部504によって求められたバケット6の高さや目標施工面の傾斜角度等を、作業情報として表示装置40に送信する。表示装置40は、撮像装置80から送られる撮影画像と共に、表示制御部505から送られる作業情報を画面に表示する。表示装置40の表示画面構成については後述する。また、表示制御部505は、バケット6が目標施工面よりも低い位置になった場合等には、音出力装置43を介して操作者に警報を発することができる。
【0095】
次に、図4及び図5を参照して、表示装置40の画像表示部41に表示させる画像の一例について説明する。図4は、車道に配置されたショベル100に対し進入不可領域が設定される前の配置図の画像の一例を示す図である。図5は、進入不可領域が設定された後の配置図の画像の一例を示す図である。
【0096】
図4に示されるように、画像表示部41には、ショベルから施工対象側へ視点変換した配置図が表示される。視点変換は撮像した範囲内であれば任意の視点から生成できる。図4の配置図は、道路境界柵の外側(歩道側)からの配置関係を示す視点変換画像である。これにより、ショベルとショベルの周辺の配置関係を視認できる。配置図は、電柱画像411、電線画像412、道路境界柵画像413、ロードコーン画像414、埋設物画像415、及びショベル画像416を含む。また、図5に示されるように、画像表示部41には、電柱画像411、電線画像412、道路境界柵画像413、及びロードコーン画像414のそれぞれを含む所定の範囲が進入不可領域421、422、423、424として表示されている。
【0097】
電柱画像411は、障害物の一例である電柱の位置を示す画像である。電線画像412は、障害物の一例である電線の位置を示す画像である。道路境界柵画像413は、障害物の一例である道路境界柵の位置を示す画像である。ロードコーン画像414は、障害物の一例であるロードコーンの位置を示す画像である。埋設物画像415は、障害物の一例である埋設物の位置を示す画像である。
【0098】
配置図は、障害物検出装置90の検出データに基づいて生成される。また、配置図は、障害物検出装置90の検出データと撮像装置80の検出データとを組み合わせて生成してもよい。
【0099】
更に、GPS装置(GNSS受信機)P1により施工計画図に用いる基準座標系におけるショベル100の配置位置(配置座標)を導き出すことができる。基準座標系は、例えば世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そしてZ軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。また、障害物とショベル100との位置関係が把握できるため、障害物検出装置90により検出された各障害物の基準座標系における配置座標も算出できる。このため、各障害物の配置位置を施工計画図へ入力することもできる。これにより、施工計画図において施工目標面の計画だけでなく、施工目標面に対する各障害物の配置位置も生成でき、施工計画図に各障害物を重畳表示できる。
【0100】
進入不可領域は、表示装置40に表示された配置図若しくは施工計画図の上に重畳表示されてもよい。進入不可領域は、例えば、コントローラ30によって表示装置40に表示された進入不可領域の表示画像を確認した操作者が設定ボタンを押すことで設定される。或いは、進入不可領域は、コントローラ30が進入不可領域を認識した際に、自動的に設定されてもよい。また、事前に把握できる電柱又はフェンスFS等の障害物に関する情報は、施工計画図に関するデータとして事前に設定されていてもよい。この場合、コントローラ30は、施工計画図を取得したときに、目標施工面の位置と障害物の位置とを事前に対応付けることができる。そして、施工する際には目標施工面と障害物との位置関係に基づいて進入不可領域を生成することができる。また、コントローラ30は、施工状況に応じて位置関係が随時変化するロードコーンRCの配置と、事前に入力された各障害物の配置とを関連づけて進入不可領域を生成することもできる。
【0101】
ショベル画像416は、ショベル100の位置を示す画像である。ショベル100の位置は、GPS装置P1が検出したショベル100の位置情報に基づいて特定されたショベル100の位置を示す。
【0102】
次に、図4から図6を参照して、コントローラ30が、障害物検出装置90により検出された障害物の情報に基づいて、進入不可領域を設定する処理(以下「進入不可領域設定処理」という。)の一例について説明する。図6は、進入不可領域設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0103】
ステップST1では、姿勢把握部301は、ショベル100の位置及び姿勢を把握する。本実施形態では、姿勢把握部301は、GPS装置P1が検出したショベル100の位置情報に基づいて、ショベル100の位置を把握する。また、姿勢把握部301は、ブーム角度センサS1が検出したブーム4の回動角度、アーム角度センサS2が検出したアーム5の回動角度、及びバケット角度センサS3が検出したバケット6の回動角度に基づいて、ショベル100の姿勢を把握する。なお、姿勢把握部301は、車体傾斜センサS4に基づいてショベル100の姿勢を把握してもよい。また、向き検出装置によって、下部走行体1と上部旋回体3の相対位置を把握してもよい。例えば、向き検出装置は、下部走行体1に取り付けられた方位センサと上部旋回体3に取り付けられた方位センサの組み合わせや旋回角速度センサで構成される。旋回角速度センサは、例えば、下部走行体1と上部旋回体3との間の相対回転を実現する機構に関連して設けられるセンタージョイントに配置されていてもよい。また、旋回用電動発電機で上部旋回体3が旋回駆動される構成では、向き検出装置は、レゾルバで構成されていてもよい。
【0104】
ステップST2では、障害物検出装置90が、ショベル100の周囲の障害物を検出する。本実施形態では、障害物検出装置90により、電柱、電線、道路境界柵、及びロードコーンが障害物として検出され、例えば図4に示されるように、表示装置40の画像表示部41に表示される配置図に電柱画像411、電線画像412、道路境界柵画像413、及びロードコーン画像414が表示されている。
【0105】
ステップST3では、位置関係把握部302は、障害物とショベル100との位置関係を把握する。本実施形態では、位置関係把握部302は、障害物検出装置90が検出した障害物の位置情報と、姿勢把握部301が把握したショベル100の位置情報と、に基づいて、障害物とショベル100との位置関係を把握する。また、位置関係把握部302によって把握された障害物とショベル100との位置関係は、送信装置T1によってショベル100の外部に向けて発信されてもよい。本実施形態では、位置関係把握部302によって把握された障害物とショベル100との位置関係は、送信装置T1によって、例えば図8に示されるように、ショベル100とネットワーク300を介して通信可能な管理装置200に向けて発信される。
【0106】
ステップST4では、進入不可領域設定部303は、位置関係把握部302が把握した障害物とショベル100との位置関係に基づいて、進入不可領域を設定する。本実施形態では、例えば図5に示されるように、障害物検出装置90が検出した障害物である電柱、電線、道路境界柵、及びロードコーンを含む所定の範囲が進入不可領域として設定され、表示装置40の画像表示部41に表示される配置図に電柱画像411、電線画像412、道路境界柵画像413、及びロードコーン画像414のそれぞれを含む所定の範囲が進入不可領域421、422、423、424として表示されている。本実施形態では、進入不可領域設定部303によって配置図や施工計画図に設定された進入不可領域は、送信装置T1によって、図8に示されるように、ショベル100とネットワーク300を介して通信可能な管理装置200に向けて発信されてもよい。また、進入不可領域の設定がされた配置図を、管理装置200から他のショベル100に送信してもよい。
【0107】
ステップST5では、進入判定部304は、進入不可領域設定部303が設定した進入不可領域にショベル100が進入したか否かを判定する。進入不可領域にショベル100が進入したと判定された場合、処理をステップST6へ進める。一方、進入不可領域にショベル100が進入していないと判定された場合、処理を終了する。
【0108】
ステップST6では、動作制御部305は、ショベル100の動作を減速又は停止させる。その後、処理を終了する。
【0109】
本実施形態に係るショベル100では、コントローラ30が、進入不可領域にショベル100が進入した場合、ショベル100の動作を減速又は停止させる。これにより、操作者は、作業現場に存在する電柱や電線等の障害物を過度に注意することなくショベル100を駆動させることができる。そのため、作業効率が向上する。
【0110】
また、上記の進入不可領域設定処理で設定された進入不可領域は、進入不可領域解除部306によって解除されるように構成されていてもよい。本実施形態では、入力装置45によって設定を解除する進入不可領域が選択されると、進入不可領域解除部306は選択された進入不可領域の設定を解除する。また、進入不可領域が設定された場所に障害物がなくなった場合、進入不可領域が他の進入不可領域と区別できるように破線や異なる色等で表示されてもよい。この場合、進入不可領域解除部306は、障害物がなくなった進入不可領域を入力装置45によって選択されると、障害物がなくなった進入不可領域の設定を解除してもよい。
【0111】
次に、図7を参照して、表示装置40の画像表示部41に表示させる画像の別の例について説明する。図7は、進入不可領域が設定された後の配置図の画像の別の例を示す図である。
【0112】
図7に示される例では、表示装置40の画像表示部41に進入不可領域が設定される前の配置図の画像41Aと、進入不可領域が設定された後の配置図の画像41Bとが同時に表示されている。これにより、操作者は画像表示部41に表示された画像を確認することで、進入不可領域設定処理によって新たに設定された進入不可領域を容易に確認できる。
【0113】
なお、コントローラ30は、例えば、ショベル100の外表面上の点が進入不可領域に侵入した場合に、機体の一部が進入不可領域に侵入するおそれがあると判定するように構成されていてもよい。ショベル100の外表面は、例えば、下部走行体1の外表面、上部旋回体3の外表面、及び、掘削アタッチメントATの外表面を含む。コントローラ30には、姿勢センサの取り付け位置と下部走行体1の外表面、上部旋回体3の外表面、及び、掘削アタッチメントATの外表面との位置関係が予め設定されている。そのため、コントローラ30は、姿勢センサの位置の変化を所定の周期で算出することにより、下部走行体1の外表面、上部旋回体3の外表面、及び、掘削アタッチメントATの外表面の位置の変化も算出できる。
【0114】
具体的には、コントローラ30は、例えば、ポリゴンモデル又はワイヤーフレームモデル等の仮想的な三次元モデルを用いてショベル100の全体的且つ立体的な外形(外表面)を認識して外表面上の点の座標を算出する。なお、下部走行体1の外表面は、例えば、クローラ1Cの前面、上面、底面、及び後面等を含む。上部旋回体3の外表面は、例えば、側面カバーの表面、エンジンフードの上面、並びに、カウンタウエイトの上面、左側面、右側面、及び後面等を含む。掘削アタッチメントATの外表面は、例えば、ブーム4の背面、左側面、右側面、及び腹面、並びに、アーム5の背面、左側面、右側面、及び腹面等を含む。
【0115】
図9は、ポリゴンモデルを用いて認識されるショベル100の全体的且つ立体的な外表面の構成例を示す。図形9Aは、上部旋回体3及び掘削アタッチメントATのポリゴンモデルの上面図であり、図形9Bは、下部走行体1のポリゴンモデルの上面図であり、図形9Cは、ショベル100のポリゴンモデルの左側面図である。図9では、下部走行体1の外表面は、斜線パターンで表され、上部旋回体3の外表面は、粗いドットパターンで表され、掘削アタッチメントATの外表面は、細かいドットパターンで表されている。
【0116】
ポリゴンモデルとしてのショベル100の外表面は、実際のショベル100の外表面よりも所定の余裕距離だけ外側にある表面として認識されてもよい。すなわち、ポリゴンモデルとしてのショベル100は、例えば、実際の下部走行体1、上部旋回体3、及び掘削アタッチメントATのそれぞれが別々に相似拡大されたものとして認識されてもよい。この場合、余裕距離は、ショベル100の動き(例えば、掘削アタッチメントATの動き)等に応じて変化する距離であってもよい。そして、コントローラ30は、この相似拡大されたポリゴンモデルで表される空間内に進入不可領域が進入した場合に、警報を出力してもよく、制動制御等によってショベル100の動きを減速或いは停止させてもよい。
【0117】
コントローラ30は、例えば、ショベル100の外表面を構成する3つの部分(下部走行体1の外表面、上部旋回体3の外表面、及び、掘削アタッチメントATの外表面)のそれぞれについて、機体の一部が進入不可領域に進入するおそれがあるか否かを別々に判定してもよい。また、コントローラ30は、ショベル100の作業内容によっては、3つの部分のうちの少なくとも1つについて、機体の一部が進入不可領域に進入するおそれがあるか否かの判定を省略してもよい。
【0118】
例えば、図5に示す例では、コントローラ30は、所定の制御周期毎に、掘削アタッチメントATの外表面上の各点と進入不可領域421、422、423、424のそれぞれとの間の距離を算出し、算出した距離に基づいてバケット6が進入不可領域421、422、423、424に進入するおそれがあるか否かを判定してもよい。この場合、コントローラ30は、下部走行体1の外表面上の各点及び上部旋回体3の外表面上の各点と進入不可領域421、422、423、424のそれぞれとの間の距離の算出を省略してもよい。
【0119】
ここで、図10を参照し、ショベル100の外表面を構成する3つの部分のそれぞれと、周囲監視装置としての障害物検出装置90によって検知された物体との間の距離に基づいてショベル100(旋回用油圧モータ2A)の動きを制限する制限機能の更に別の一例について説明する。図10は、コントローラ30の構成の別の一例を示す図である。なお、周囲監視装置は、撮像装置80であってもよい。
【0120】
図10に示す例では、コントローラ30は、進入不可領域設定部303、速度指令生成部308、状態認識部309、距離判定部310、制限対象決定部311、及び速度制限部312を機能要素として有する。そして、コントローラ30は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、車体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、電気式の左操作レバー26L、撮像装置80、及び障害物検出装置90等が出力する信号を受け、様々な演算を実行し、比例弁31等に制御指令を出力できるように構成されている。なお、進入不可領域設定部303は、図3に示すコントローラ30が有する進入不可領域設定部303と同じように動作する。
【0121】
速度指令生成部308は、操作装置26が出力する信号に基づいてアクチュエータの動作速度に関する指令を生成するように構成されている。図10に示す例では、速度指令生成部308は、左右方向に操作された左操作レバー26Lが出力する電気信号に基づいて旋回用油圧モータ2Aの回転速度に関する指令を生成するように構成されている。
【0122】
状態認識部309は、ショベル100の現在の状態を認識するように構成されている。具体的には、状態認識部309は、アタッチメント状態認識部309A、上部旋回体状態認識部309B、及び下部走行体状態認識部309Cを有する。
【0123】
アタッチメント状態認識部309Aは、掘削アタッチメントATの現在の状態を認識するように構成されている。具体的には、アタッチメント状態認識部309Aは、掘削アタッチメントATの外表面上の所定点の座標を算出するように構成されている。所定点は、例えば、掘削アタッチメントATの全頂点を含む。
【0124】
上部旋回体状態認識部309Bは、上部旋回体3の現在の状態を認識するように構成されている。具体的には、上部旋回体状態認識部309Bは、上部旋回体3の外表面上の所定点の座標を算出するように構成されている。所定点は、例えば、上部旋回体3の全頂点を含む。
【0125】
下部走行体状態認識部309Cは、下部走行体1の現在の状態を認識するように構成されている。具体的には、下部走行体状態認識部309Cは、下部走行体1の外表面上の所定点の座標を算出するように構成されている。所定点は、例えば、下部走行体1の全頂点を含む。
【0126】
状態認識部309は、ショベル100の作業内容等に応じ、ショベル100の外表面を構成する3つの部分(下部走行体1の外表面、上部旋回体3の外表面、及び、掘削アタッチメントATの外表面)のうちの何れの状態の認識を実行し、何れの状態の認識を省略するかを決定してもよい。
【0127】
距離判定部310は、状態認識部309が算出したショベル100の外表面上の各点と進入不可領域設定部303が設定した進入不可領域との間の距離が所定値を下回ったか否かを判定するように構成されている。
【0128】
制限対象決定部311は、制限対象を決定するように構成されている。図10に示す例では、制限対象決定部311は、距離判定部310の出力、すなわち、ショベル100の外表面上の何れの点と進入不可領域との間の距離が所定値を下回ったかに基づき、動きを制限すべきアクチュエータ(以下、「制限対象アクチュエータ」とする。)を決定する。
【0129】
速度制限部312は、1又は複数のアクチュエータの動作速度を制限するように構成されている。図10に示す例では、速度制限部312は、速度指令生成部308が生成した速度指令のうちの、制限対象決定部311により制限対象アクチュエータとして決定されたアクチュエータに関する速度指令を変更し、変更後の速度指令に対応する制御指令を比例弁31に対して出力する。
【0130】
具体的には、速度制限部312は、制限対象決定部311により制限対象アクチュエータとして決定された旋回用油圧モータ2Aに関する速度指令を変更し、変更後の速度指令に対応する制御指令を比例弁31BL又は比例弁31BRに対して出力する。旋回用油圧モータ2Aの回転速度を低減させ或いは停止させるためである。
【0131】
この制限機能により、図10に示すコントローラ30は、ショベル100の機体の一部が進入不可領域に進入するのを防止するために、アクチュエータの動きを減速させ或いは停止させることができる。
【0132】
次に、図11を参照し、ショベル100の外表面を構成する3つの部分のそれぞれと、周囲監視装置としての障害物検出装置90によって検知された物体との間の距離に基づいてショベル100(旋回用油圧モータ2A)の動きを制限する制限機能の更に別の一例について説明する。図11は、コントローラ30の構成の更に別の一例を示す図である。なお、周囲監視装置は、撮像装置80であってもよい。
【0133】
図11に示すコントローラ30は、油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作レバーに接続される構成である点で、油圧式パイロット回路を備えた電気式操作レバーに接続される構成である図10に示すコントローラ30と異なる。具体的には、図11に示すコントローラ30の速度制限部312は、操作圧センサ29の出力に基づいて速度指令を生成し、生成した速度指令のうちの、制限対象決定部311により制限対象アクチュエータとして決定されたアクチュエータに関する速度指令を変更し、変更後の速度指令に対応する制御指令をそのアクチュエータに関する電磁弁60に対して出力する。
【0134】
電磁弁60は、電磁弁60L及び電磁弁60Rを含む。図11に示す例では、電磁弁60Lは、左操作レバー26Lが左右方向に操作されたときに作動油を吐出するリモコン弁の左側ポートと制御弁173の左側パイロットポートとを繋ぐ管路に配置される電磁比例弁である。電磁弁60Rは、左操作レバー26Lが左右方向に操作されたときに作動油を吐出するリモコン弁の右側ポートと制御弁173の右側パイロットポートとを繋ぐ管路に配置される電磁比例弁である。
【0135】
具体的には、速度制限部312は、制限対象決定部311により制限対象アクチュエータとして決定された旋回用油圧モータ2Aに関する速度指令を変更し、変更後の速度指令に対応する制御指令を電磁弁60L又は電磁弁60Rに対して出力する。旋回用油圧モータ2Aの回転速度を低減させ或いは停止させるためである。
【0136】
この制限機能により、図11に示すコントローラ30は、図10に示すコントローラ30と同様に、ショベル100の機体の一部が進入不可領域に進入するのを防止するために、アクチュエータの動きを減速させ或いは停止させることができる。これにより、例えば、操作者がクローラに注視しつつ走行操作を行っている際にバケットが電柱に接近した場合でも、走行動作を停止させることができる。更に、進入不可領域に進入しないように、所定のアクチュエータを駆動させ回避制御をさせてもよい。この場合、例えば操作者がクローラに注視しつつ走行操作を行っている際にバケットが電柱に接近した場合でも、バケットを電柱から離間させるように自動的に旋回制御を行ってもよい。
【0137】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るショベル100Aの一例の全体構成について説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係るショベル100Aの一例を示す側面図である。
【0138】
本実施形態に係るショベル100Aは、キャビン10の頂部、及びキャビン10の頂部から死角となる領域を含む範囲内の障害物を検出する障害物検出装置90が設けられていることを特徴とする。なお、その他の構成については、第1実施形態に係るショベル100と同様であるので、ショベル100と同様の構成については説明を省略する。
【0139】
障害物検出装置90は、センサ90U、センサ90D、センサ90F、及びセンサ90L、90R、90Bを有する。
【0140】
センサ90Uは、キャビン10の頂部に設けられており、ショベル100Aの周囲の障害物を検出する。センサ90Dは、ブーム4の下部に設けられており、ショベル100Aの前方のキャビン10の頂部から死角となる領域を含む範囲内の障害物を検出する。センサ90Fは、キャビン10の前方に設けられており、ショベル100Aの前方のキャビン10の頂部から死角となる領域を含む範囲内の障害物を検出する。センサ90L、90R、90Bは、上部旋回体3のカバー3a上部に設けられており、それぞれ上部旋回体3からキャビン10に向かって、左側、右側、後方のキャビン10の頂部から死角となる領域を含む範囲内の障害物を検出する。センサ90U、センサ90D、センサ90F、及びセンサ90L、90R、90Bは、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ等のカメラ、ミリ波レーダ、レーザレーダ等であり、それぞれ検出した信号をコントローラ30に送る。
【0141】
本実施形態に係るショベル100Aでは、コントローラ30が、進入不可領域にショベル100Aが進入した場合、ショベル100Aの動作を減速又は停止させる。これにより、操作者は、作業現場に存在する電柱や電線等の障害物を過度に注意することなくショベル100Aを駆動させることができる。そのため、作業効率が向上する。
【0142】
特に、本実施形態では、キャビン10の頂部に設けられたセンサ90Uに加えて、キャビン10の頂部から死角となる領域を含む範囲内の障害物を検出するセンサ90D、センサ90F、及びセンサ90L、90R、90Bが設けられているので、操作者から死角となりやすいショベル100A近傍の障害物を検出できる。
【0143】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0144】
例えば、上述の実施形態では、コントローラ30が、配置図や施工計画図上に表示される障害物に対して、進入不可領域を設定したが、配置図が無い場合においても進入不可領域を設定できるようにしてもよい。具体的に、撮像装置80によって撮像された画像を画面表示させ、障害物検出装置90によって検出された障害物を撮像画像に表示させる。この撮像画像上に重畳された障害物に対して、進入不可領域を設定する。
【0145】
また、ショベル100が取得する情報は、図13に示すようなショベルの管理システムSYSを通じ、管理者及び他のショベルの操作者等と共有されてもよい。図13は、ショベルの管理システムSYSの構成例を示す概略図である。管理システムSYSは、ショベル100を管理するシステムである。本実施形態では、管理システムSYSは、主に、ショベル100、支援装置400、及び管理装置500で構成される。ショベル100、支援装置400、及び管理装置500のそれぞれは、通信装置を備え、携帯電話通信網、衛星通信網、又は近距離無線通信網等を介して互いに直接的に或いは間接的に接続されている。管理システムSYSを構成するショベル100、支援装置400、及び管理装置500は、それぞれ1台であってもよく、複数台であってもよい。図13の例では、管理システムSYSは、1台のショベル100と、1台の支援装置400と、1台の管理装置500とを含む。
【0146】
支援装置400は、典型的には携帯端末装置であり、例えば、施工現場にいる作業者等が携帯するノートPC、タブレットPC又はスマートフォン等のコンピュータである。支援装置400は、ショベル100の操作者が携帯するコンピュータであってもよい。但し、支援装置400は、固定端末装置であってもよい。
【0147】
管理装置500は、典型的には固定端末装置であり、例えば、施工現場外の管理センタ等に設置されるサーバコンピュータである。管理装置500は、可搬性のコンピュータ(例えば、ノートPC、タブレットPC又はスマートフォン等の携帯端末装置)であってもよい。
【0148】
支援装置400及び管理装置500の少なくとも一方(以下、「支援装置400等」とする。)は、モニタと遠隔操作用の操作装置とを備えていてもよい。この場合、操作者は、遠隔操作用の操作装置を用いつつ、ショベル100を操作する。遠隔操作用の操作装置は、例えば、携帯電話通信網、衛星通信網、又は近距離無線通信網等の通信網を通じ、コントローラ30に接続される。
【0149】
上述のようなショベルの管理システムSYSでは、ショベル100のコントローラ30は、進入不可領域に関する情報を支援装置400等に送信してもよい。進入不可領域に関する情報は、例えば、進入不可領域の位置に関する情報、ショベル100の機体の一部が進入不可領域に進入するおそれがあると判定された時刻(以下、「判定時刻」とする。)に関する情報、判定時刻におけるその機体の一部の位置に関する情報、判定時刻におけるショベル100の作業内容に関する情報、判定時刻における作業環境に関する情報、及び、判定時刻及びその前後の期間に測定されたショベル100の動きに関する情報等の少なくとも1つを含む。作業環境に関する情報は、例えば、地面の傾斜に関する情報、及び、天気に関する情報等の少なくとも1つを含む。ショベル100の動きに関する情報は、例えば、パイロット圧、及び、油圧アクチュエータにおける作動油の圧力等の少なくとも1つを含む。
【0150】
コントローラ30は、撮像装置80が撮像した画像を支援装置400等に送信してもよい。画像は、例えば、判定時刻を含む所定期間に撮像された複数の画像であってもよい。所定期間は、判定時刻に先行する期間を含んでいてもよい。
【0151】
更に、コントローラ30は、判定時刻を含む所定期間におけるショベル100の作業内容に関する情報、ショベル100の姿勢に関する情報、及び掘削アタッチメントの姿勢に関する情報等の少なくとも1つを支援装置400等に送信してもよい。支援装置400等を利用する管理者が、作業現場に関する情報を入手できるようにするためである。すなわち、ショベル100の動きを減速或いは停止させなければならない状況が発生した原因等を管理者が分析できるようにするためであり、更には、そのような分析結果に基づいて管理者がショベル100の作業環境を改善できるようにするためである。
【0152】
更に、コントローラ30は、操作者が進入不可領域の位置を変更したり、或いは、進入不可領域を新たに生成したりできるように構成されていてもよい。
【0153】
進入不可領域に関する情報は、典型的には、コントローラ30における揮発性記憶装置又は不揮発性記憶装置に一次的に記憶され、任意のタイミングで管理装置500に送信される。
【0154】
管理装置500は、管理装置500の利用者が作業現場の様子を把握できるように、受信した進入不可領域に関する情報を利用者に提示するように構成されている。本実施形態では、管理装置500は、検知空間内で物体が検知されているときの作業現場の様子を視覚的に再現できるように構成されている。具体的には、管理装置500は、受信した進入不可領域に関する情報を利用してコンピュータグラフィックスアニメーションを生成する。以下では、コンピュータグラフィックスを「CG」とする。
【0155】
図14は、管理装置500が生成したCGアニメーションの表示例を示す。CGアニメーションは、作業現場の再生画像の一例であり、管理装置500に接続された表示装置DSに表示されている。表示装置DSは、例えば、タッチパネルモニタである。
【0156】
図14の例では、CGアニメーションは、図5に示すショベル100の様子を真上からの視点で再現するCGアニメーションであり、画像G1~G12を含む。図5に示すショベル100には、ショベル100の周囲を監視できるように複数台の障害物検出装置90が搭載されている。そのため、コントローラ30、及び、コントローラ30からの情報を受信する管理装置500は、ショベル100の周囲に存在する物体とショベル100との位置関係に関する情報を正確に取得できる。
【0157】
画像G1は、ショベル100を表すCGである。画像G2は、電柱を表すCGである。画像G3は、電線及び道路境界柵を表すCGである。画像G4は、ロードコーンを表すCGである。画像G5は、埋設物を表すCGである。画像G6は、画像G2を囲む枠画像であり、障害物である電柱に対する進入不可領域を表す。画像G7は、画像G3のショベル100側に画像G3に沿って延びる画像であり、障害物である電線及び道路境界柵に対する進入不可領域を表す。画像G8は、画像G4を囲む枠画像であり、障害物であるロードコーンに対する進入不可領域を表す。画像G10は、CGアニメーションの再生箇所を表示するシークバーである。画像G11は、CGアニメーションの現在の再生位置を指し示すスライダである。画像G12は、各種情報を表示するテキスト画像である。なお、画像G2~G8は、撮像装置80が撮像した画像に視点変換処理を施して生成される画像であってもよい。すなわち、管理装置500は、CGアニメーションではなく、撮像装置80が撮像した動画像を作業現場の再生画像の別の一例として表示装置DSで再生させてもよい。また、図14の例では、電線及び道路境界柵を表すCGが1つの画像として画像G3で示されているが、電線を表すCGと道路境界柵を表すCGとが別の画像で示されていてもよい。また、電線及び道路境界柵に対する進入不可領域が1つの画像として画像G7で表されているが、電線に対する進入不可領域と道路境界柵に対する進入不可領域とが別の画像で表されていてもよい。
【0158】
図14の例では、画像G12は、作業が行われた年月日を表すテキスト画像「2016年10月26日」、作業が行われた場所を表すテキスト画像「東経** 北緯**」、作業内容を表すテキスト画像「クレーン吊り作業」、及び、物体が検知されたときのショベル100の動作である検知時動作を表すテキスト画像「吊り旋回」を含む。
【0159】
画像G1は、進入不可領域に関する情報に含まれているショベル100の姿勢に関するデータ、及び、掘削アタッチメントの姿勢に関するデータ等に基づいて動くように表示される。ショベル100の姿勢に関するデータは、例えば、上部旋回体3のピッチ角、ロール角、及びヨー角(旋回角度)等を含む。掘削アタッチメントの姿勢に関するデータは、ブーム角度、アーム角度、及びバケット角度等を含む。
【0160】
管理装置500の利用者は、例えば、画像G10(シークバー)上の所望の位置をタッチ操作することで、CGアニメーションの再生位置を所望の位置(時点)に変更できる。図14は、スライダが指し示す午前10時8分における作業現場の様子がCGアニメーションで再生されていることを示している。
【0161】
このようなCGアニメーションにより、管理装置500の利用者である管理者は、例えば、物体が検知されたときの作業現場の様子を容易に把握できる。すなわち、管理システムSYSは、ショベル100の動きが制限された原因等を管理者が分析できるようにし、更には、そのような分析結果に基づいて管理者がショベル100の作業環境を改善できるようにする。
【0162】
また、CGアニメーション又は動画像といった作業現場の再生画像は、管理装置500に接続された表示装置DSばかりでなく、支援装置400に搭載された表示装置、又は、ショベル100のキャビン10内に設置された表示装置40で表示されてもよい。
【0163】
次に、図15を参照し、進入不可領域設定処理の実行中に表示される画像の一例について説明する。図15に示すように、表示装置40に表示される画像Gx1は、時刻表示部1411、回転数モード表示部1412、走行モード表示部1413、アタッチメント表示部1414、エンジン制御状態表示部1415、尿素水残量表示部1416、燃料残量表示部1417、冷却水温表示部1418、エンジン稼働時間表示部1419、カメラ画像表示部1420、及び作業状態表示部1430(上面視作業状態表示部と側面視作業状態表示部)を有する。回転数モード表示部1412、走行モード表示部1413、アタッチメント表示部1414、及びエンジン制御状態表示部1415は、ショベル100の設定状態に関する情報を表示する表示部である。尿素水残量表示部1416、燃料残量表示部1417、冷却水温表示部1418、及びエンジン稼働時間表示部1419は、ショベル100の運転状態に関する情報を表示する表示部である。各部に表示される画像は、表示装置40によって、コントローラ30から送信される各種データ及び撮像装置80から送信される画像データ等を用いて生成される。
【0164】
時刻表示部1411は、現在の時刻を表示する。回転数モード表示部1412は、不図示のエンジン回転数調整ダイヤルによって設定されている回転数モードをショベル100の稼働情報として表示する。走行モード表示部1413は、走行モードをショベル100の稼働情報として表示する。走行モードは、可変容量モータを用いた走行用油圧モータの設定状態を表す。例えば、走行モードは、低速モード及び高速モードを有し、低速モードでは「亀」を象ったマークが表示され、高速モードでは「兎」を象ったマークが表示される。アタッチメント表示部1414は、現在装着されているアタッチメントの種類を表すアイコンを表示する領域である。エンジン制御状態表示部1415は、エンジン11の制御状態をショベル100の稼働情報として表示する。図15の例では、エンジン11の制御状態として「自動減速・自動停止モード」が選択されている。「自動減速・自動停止モード」は、非操作状態の継続時間に応じて、エンジン回転数を自動的に低減し、さらにはエンジン11を自動的に停止させる制御状態を意味する。その他、エンジン11の制御状態には、「自動減速モード」、「自動停止モード」、及び「手動減速モード」等がある。
【0165】
尿素水残量表示部1416は、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態をショベル100の稼働情報として画像表示する。図15の例では、尿素水残量表示部1416には、現在の尿素水の残量状態を表すバーゲージが表示されている。尿素水の残量は、尿素水タンクに設けられている尿素水残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
【0166】
燃料残量表示部1417は、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態を稼働情報として表示する。図15の例では、燃料残量表示部1417には、現在の燃料の残量状態を表すバーゲージが表示されている。燃料の残量は、燃料タンクに設けられている燃料残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
【0167】
冷却水温表示部1418は、エンジン冷却水の温度状態をショベル100の稼働情報として表示する。図15の例では、冷却水温表示部1418には、エンジン冷却水の温度状態を表すバーゲージが表示されている。エンジン冷却水の温度は、エンジン11に設けられている水温センサが出力するデータに基づいて表示される。
【0168】
エンジン稼働時間表示部1419は、エンジン11の累積稼働時間をショベル100の稼働情報として表示する。図15の例では、エンジン稼働時間表示部1419には、操作者によりカウントがリスタートされてからの稼働時間の累積が、単位「hr(時間)」と共に表示されている。エンジン稼働時間表示部1419には、ショベル製造後の全期間の生涯稼働時間又は操作者によりカウントがリスタートされてからの区間稼働時間が表示されてもよい。
【0169】
カメラ画像表示部1420は、撮像装置80によって撮影された画像を表示する。図15の例では、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後カメラ80Bによって撮影された画像がカメラ画像表示部1420に表示されている。カメラ画像表示部1420には、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラ80L又は上面右端に取り付けられた右カメラ80Rによって撮像されたカメラ画像が表示されてもよい。また、カメラ画像表示部1420には、左カメラ80L、右カメラ80R、及び後カメラ80Bのうちの複数のカメラによって撮影された画像が並ぶように表示されてもよい。また、カメラ画像表示部1420には、左カメラ80L、右カメラ80R、及び後カメラ80Bの少なくとも2つによって撮像された複数のカメラ画像の合成画像が表示されてもよい。合成画像は、例えば、俯瞰画像であってもよい。
【0170】
各カメラは上部旋回体3の一部がカメラ画像に含まれるように設置されていてもよい。表示される画像に上部旋回体3の一部が含まれることで、操作者は、カメラ画像表示部1420に表示される物体とショベル100との間の距離感を把握し易くなるためである。図15の例では、カメラ画像表示部1420は、上部旋回体3のカウンタウエイト3wの画像を表示している。
【0171】
図15の例で示すように、側面視の状態表示部を備えることで、操作者は、アタッチメントの外方領域、つまり、ブーム上げ方向、アーム開き方向、バケットの開き方向における障害物のアタッチメントへの接近を容易に視認することができる。これにより、操作者は、上下方向においてもどの部位が障害物へ接近しているかを容易に確認することができる。更に、上面視の状態表示部も備えることで、操作者は、ショベル100の後方、左右方向への障害物への接近も確認することができる。尚、図15ではアタッチメントの外方領域における障害物の接近を示したが、アタッチメントの内方領域、つまり、ブーム下げ方向、アーム閉じ方向、バケットの閉じ方向において、障害物がアタッチメントへ接近する場合にも、状態表示部に表示させてもよい。また、下部走行体のクローラがロードコーン等の障害物に接近している場合も、上面視の状態表示部に障害物の位置を表示してもよい。
【0172】
カメラ画像表示部1420には、表示中のカメラ画像を撮影した撮像装置80の向きを表す図形1421が表示されている。図形1421は、ショベル100の形状を表すショベル図形1421aと、表示中のカメラ画像を撮像した撮像装置80の撮影方向を表す帯状の方向表示図形1421bとで構成されている。図形1421は、ショベル100の設定状態に関する情報を表示する表示部である。
【0173】
図15の例では、ショベル図形1421aの下側(掘削アタッチメントATを表す図形の反対側)に方向表示図形1421bが表示されている。これは、後カメラ80Bによって撮影されたショベル100の後方の画像がカメラ画像表示部1420に表示されていることを表す。例えば、カメラ画像表示部1420に右カメラ80Rによって撮影された画像が表示されている場合には、ショベル図形1421aの右側に方向表示図形1421bが表示される。また、例えばカメラ画像表示部1420に左カメラ80Lによって撮影された画像が表示されている場合には、ショベル図形1421aの左側に方向表示図形1421bが表示される。
【0174】
操作者は、例えば、キャビン10内に設けられている不図示の画像切換スイッチを押すことで、カメラ画像表示部1420に表示する画像を他のカメラにより撮影された画像等に切り換えることができる。
【0175】
ショベル100に撮像装置80が設けられていない場合には、カメラ画像表示部1420の代わりに、異なる情報が表示されてもよい。
【0176】
作業状態表示部1430は、ショベル100の作業状態を表示する。図15の例では、作業状態表示部1430は、ショベル100の図形1431、1432、画面の種類を示す図形1433、検知した物体の位置を示す図形1434、1435を含み、これらの図形1431~1435は、カメラ画像表示部1420に表示されたショベル100の後方の画像と同時に表示されている。
【0177】
図形1431は、ショベル100を横から見たときのショベル100の状態を示す。図形1432は、ショベル100を上から見たときのショベル100の状態を示す。図形1433は、作業状態表示部1430に表示されている画面の種類を表すテキストメッセージである。図形1434は、検知した物体の位置を示し、図15の例では、図形1431の上方に位置する円形状の図形である。図形1435は、検知した物体の位置を示すテキストメッセージであり、図15の例では、「ブーム上方1m」と表示され、下線によって強調表示されている。
【0178】
コントローラ30は、進入不可領域に関する情報等に基づいて図形1431~1435を生成するように構成されていてもよい。具体的には、図形1431、1432は、ショベル100の実際の姿勢を表すように生成されてもよい。この場合、図形1431、1432は、ショベル100の実際の動作と連動するアニメーション表示であってもよく、固定された画像であってもよい。また、コントローラ30は、撮像装置80及び障害物検出装置90の少なくとも一方の出力に基づき、検知した物体の位置を検出し、検出した位置に応じて図形1434の位置及び大きさを変化させてもよい。
【0179】
この構成により、ショベル100の操作者は、画像Gx1を見ることで、物体が検出されているか否かを把握することができ、また、物体が検出されている場合にはショベル100に対する物体の位置を把握することができる。図15の例では、ショベル100の操作者は、ブーム上方1mの位置に物体を検知したことを把握することができる。
【0180】
なお、図15の例では、作業状態表示部1430にショベル100の側面を示す図形1431及びショベル100の上面を示す図形1432が表示されているが、図形1431、1432の少なくとも一方に代えて、ショベル100を斜めから見た斜視図が表示されていてもよい。これにより、例えば、操作者がクローラに注視しつつ走行操作を行っている際にブームが電線に接近した場合でも、走行動作を停止させることができる。そして、操作者は表示画面を確認することで、走行の停止の原因が、ブームがショベル100の周囲に存在する物体と接近したことによるものであると容易に確認することができる。更に、進入不可領域に進入しないように、所定のアクチュエータを駆動させ回避制御をさせてもよい。この場合、例えば操作者がクローラに注視しつつ走行操作を行っている際にブームが電線に接近した場合でも、ブームを電柱から離間させるように自動的にブーム下げ制御を行ってもよい。この場合であっても、操作者は表示画面を確認することで、ブームがショベル100の周囲に存在する物体と接近していることを容易に把握することができる。
【0181】
次に、図16を参照し、進入不可領域設定処理の実行中に表示される画像の別の一例について説明する。図16の例では、画像Gx2の作業状態表示部1430は、ショベル100の図形1431、1432、画面の種類を示す図形1433、接触のおそれがあるショベル100の部位を示す図形1436~1438を含み、これらの図形1431~1433、1436~1438は、カメラ画像表示部1420に表示されたショベル100の後方の画像と同時に表示されている。
【0182】
図形1431は、ショベル100を横から見たときのショベル100の状態を示す。図形1432は、ショベル100を上から見たときのショベル100の状態を示す。図形1433は、作業状態表示部1430に表示されている画面の種類を表すテキストメッセージである。図形1436は、接触のおそれがあるショベル100の部位の位置を示し、図16の例では、図形1431におけるショベル100のアームを囲む枠画像である。図形1437は、接触のおそれがあるショベル100の部位の位置を示し、図16の例では、図形1432におけるショベル100のアームを囲む枠画像である。図形1438は、接触のおそれがあるショベル100の部位を示すテキストメッセージであり、「アーム前方1m」と表示され、下線によって強調表示されている。
【0183】
コントローラ30は、進入不可領域に関する情報等に基づいて図形1431~1433、1436~1438を生成するように構成されていてもよい。具体的には、図形1431、1432は、ショベル100の実際の姿勢を表すように生成されてもよい。この場合、図形1431、1432は、ショベル100の実際の動作と連動するアニメーション表示であってもよく、固定された画像であってもよい。また、コントローラ30は、撮像装置80及び障害物検出装置90の少なくとも一方の出力に基づき、検知した物体の位置を検出し、検出した位置に応じて図形1436、1437の位置及び大きさを変化させてもよい。
【0184】
この構成により、ショベル100の操作者は、画像Gx2を見ることで、接触のおそれがあるショベル100の部位が検出されているか否かを把握することができ、また、接触のおそれがあるショベル100の部位が検出されている場合にはその部位の位置を把握することができる。図16の例では、ショベル100の操作者は、アーム前方1mの位置に物体を検知し、アームに接触のおそれがあることを把握することができる。また、下部走行体のクローラがロードコーン等の障害物に接近している場合も、上面視の状態表示部において障害物に最も接近しているクローラの部位を含むように強調表示してもよい。
【0185】
なお、図16の例では、作業状態表示部1430にショベル100の側面を示す図形1431及びショベル100の上面を示す図形1432が表示されているが、図形1431、1432の少なくとも一方に代えて、ショベル100を斜めから見た斜視図が表示されていてもよい。
【0186】
次に、図17を参照し、進入不可領域設定処理の実行中に表示される画像の更に別の一例について説明する。
【0187】
表示画面41Vは、図17に示すように、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k、カメラ画像表示領域41mを含む。
【0188】
日時表示領域41aは、現在の日時を表示する領域である。図17に示す例では、デジタル表示が採用され、日付(2014年4月1日)と時刻(10時5分)が示されている。
【0189】
走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを表示する領域である。走行モードは、可変容量ポンプを用いた走行油圧モータの設定状態を表す。具体的には、走行モードは、低速モード及び高速モードを有し、低速モードでは「亀」を象ったマークが表示され、高速モードでは「兎」を象ったマークが表示される。図17に示す例では、「亀」を象ったマークが表示されており、運転者は低速モードが設定されていることを認識できる。
【0190】
アタッチメント表示領域41cは、現在装着されているアタッチメントを表す画像を表示する領域である。ショベル100には、バケット、削岩機、グラップル、リフティングマグネット等の様々なアタッチメントが装着される。アタッチメント表示領域41cは、例えば、これらのアタッチメントを象ったマーク及びアタッチメントに対応する番号を表示する。図17に示す例では、削岩機を象ったマークが表示され、且つ削岩機の出力の大きさを示す数字として「1」が表示されている。
【0191】
燃費表示領域41dは、コントローラ30によって算出された燃費情報を表示する領域である。燃費表示領域41dは、生涯平均燃費又は区間平均燃費を表示する平均燃費表示領域41d1、瞬間燃費を表示する瞬間燃費表示領域41d2を含む。
【0192】
図17に示す例では、平均燃費表示領域41d1には、区間平均燃費が単位[L/hr(リットル/時]と共に数値で表示されている。また、瞬間燃費表示領域41d2には、瞬間燃費の大きさに応じて点灯・消灯状態が個別に制御される9つのセグメントで構成されたバーグラフが表示されている。瞬間燃費が大きくなると、点灯状態のセグメント数が増え、瞬間燃費が小さくなると、点灯状態のセグメント数が減るように各セグメントが制御され、運転者は視覚的に瞬間燃費の大きさを認識することができる。
【0193】
エンジン稼働時間表示領域41fは、エンジン11の累積稼働時間を表示する領域である。図17に示す例では、運転者によりカウントがリスタートされてからの稼働時間の累積が、単位「hr(時)」と共に表示されている。エンジン稼働時間表示領域41fには、ショベル100が製造されてから全期間の生涯稼働時間及び運転者によりカウントがリスタートされてからの区間稼働時間の少なくとも一方が表示される。
【0194】
運転者により図示しない稼働時間表示切替スイッチが押下されると、エンジン稼働時間表示領域41fに表示される稼働時間情報と共に、平均燃費表示領域41d1に表示される燃費情報が切り替わる。例えば、エンジン稼働時間表示領域41fに区間稼働時間が表示されている場合には、平均燃費表示領域41d1に区間平均燃費が表示される。また、エンジン稼働時間表示領域41fに生涯稼働時間が表示されている場合には、平均燃費表示領域41d1に生涯平均燃費が表示される。さらに、エンジン稼働時間表示領域41fに区間稼働時間及び生涯稼働時間の両方が表示されている場合には、平均燃費表示領域41d1に区間平均燃費及び生涯平均燃費の両方が表示される。
【0195】
このように、稼働時間表示切替スイッチが押下される度に、平均燃費表示領域41d1に表示される燃費情報が、「区間平均燃費」、「生涯平均燃費」又は「区間平均燃費及び生涯平均燃費」に切り替えられる。したがって、運転者は、稼働時間表示切替スイッチを押下することで、区間平均燃費及び生涯平均燃費を把握することができ、現在の作業における燃費状態の良し悪しを認識し、より燃費を向上させるように作業を進めることが可能になる。
【0196】
なお、平均燃費表示領域41d1に表示される生涯平均燃費又は区間平均燃費は、図17に示す例とは異なる単位で表示されてもよく、バーグラフで表示されてもよい。また、瞬間燃費表示領域41d2には、瞬間燃費が数値で表示されてもよい。
【0197】
エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を表示する領域である。図17に示す例では、エンジン11の制御状態として「自動減速・自動停止モード」が選択されている。なお、「自動減速・自動停止モード」は、エンジン負荷が小さい状態の継続時間に応じて、エンジン回転数を自動的に低減し、さらにはエンジン11を自動的に停止させる制御状態を意味する。その他、エンジン11の制御状態には、「自動減速モード」、「自動停止モード」、「手動減速モード」等がある。
【0198】
冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を表示する領域である。図17に示す例では、エンジン冷却水の温度状態を表すバーグラフが表示されている。なお、エンジン冷却水の温度は、エンジン11に取り付けられる水温センサ11cが出力するデータに基づいて表示される。具体的には、冷却水温表示領域41gは、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3、セグメント表示41g4及びアイコン表示41g5を含む。
【0199】
異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3は、それぞれエンジン冷却水の温度が異常高温状態、注意を要する状態、正常状態にあることを運転者に知らせるための表示である。また、セグメント表示41g4は、エンジン冷却水の温度の高低を運転者に知らせるための表示である。また、アイコン表示41g5は、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3及びセグメント表示41g4がエンジン冷却水の温度に関する表示であることを表すシンボル図形等のアイコンである。なお、アイコン表示41g5は、エンジン冷却水の温度に関する表示であることを表す文字等であってもよい。
【0200】
図17に示す例では、セグメント表示41g4は、点灯・消灯状態が個別に制御される8つのセグメントで構成され、冷却水温が高くなるほど点灯状態のセグメントの数が増加する。図17に示す例では、4つのセグメントが点灯状態となっている。なお、図17に示す例では、各セグメントが表す温度の幅は同じであるが、セグメント毎に温度の幅を変えてもよい。
【0201】
また、図17に示す例では、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3はそれぞれ、セグメント表示41g4に沿うように並べて配置される円弧状の図形であり、例えば赤色、黄色、緑色で常時点灯される。セグメント表示41g4は、1番目(最下位)から6番目のセグメントが正常範囲に属し、7番目のセグメントが注意範囲に属し、8番目(最上位)のセグメントが異常範囲に属する。
【0202】
なお、冷却水温表示領域41gは、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2及び正常範囲表示41g3を円弧状の図形として表示する代わりに、異常レベル、注意レベル、正常レベルを表す文字、記号等をそれぞれの境界に表示してもよい。
【0203】
なお、異常範囲表示、注意範囲表示、正常範囲表示、セグメント表示及びアイコン表示を含む上記構成は、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j及び作動油温表示領域41kにおいても同様に採用される。また、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41jでは、異常範囲、注意範囲、及び正常範囲を表す円弧状の図形を表示する代わりに、「Full(満タン状態)」を表す文字「F」又は黒丸(塗りつぶされた丸印)、「Empty(空状態)」を表す文字「E」又は白丸(塗りつぶされていない丸印)等がそれぞれの境界に表示されてもよい。
【0204】
燃料残量表示領域41hは、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態を表示する領域である。図17に示す例では、現在の燃料の残量状態を表すバーグラフが表示されている。なお、燃料の残量は、燃料残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
【0205】
回転数モード表示領域41iは、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定された現在の回転数モードを画像表示する領域である。回転数モードは、例えば、上述のSPモード、Hモード、Aモード及びアイドリングモードの4つを含む。図17に示す例では、SPモードを表す記号「SP」が表示されている。
【0206】
尿素水残量表示領域41jは、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態を画像表示する領域である。図17に示す例では、現在の尿素水の残量状態を表すバーグラフが表示されている。なお、尿素水の残量は、尿素水タンクに設けられている尿素水残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
【0207】
作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を表示する領域である。図17に示す例では、作動油の温度状態を表すバーグラフが表示されている。なお、作動油の温度は、油温センサ14cが出力するデータに基づいて表示される。
【0208】
また、図17に示す例では、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、及び作動油温表示領域41kのそれぞれのセグメント表示が、同じ1つの所定円の円周方向に沿って伸縮するように表示される。具体的には、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41kがそれぞれ、その所定円の左側、上側、下側、右側の部分に配置される。また、冷却水温表示領域41g及び作動油温表示領域41kでは、上から順番に異常範囲表示、注意範囲表示、正常範囲表示が並び、燃料残量表示領域41h及び尿素水残量表示領域41jでは、左から順番に異常範囲表示、注意範囲表示、正常範囲表示が並ぶ。また、燃料残量表示領域41h及び尿素水残量表示領域41jでは、セグメント表示は、残量が多いほど点灯状態のセグメントの数が多くなるように表示され、1番目(右端)から6番目の
セグメントが正常範囲に属し、7番目のセグメントが注意範囲に属し、8番目(左端)の
セグメントが異常範囲に属する。
【0209】
また、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41kでは、バーグラフ表示の代わりに針表示が採用されてもよい。
【0210】
カメラ画像表示領域41mは、撮像装置80によって撮影された撮像画像を表示する領域である。図17に示す例では、カメラ画像表示領域41mは、前カメラ80F、左カメラ80L、右カメラ80R、及び後カメラ80Bによって撮像された複数のカメラ画像の合成画像である俯瞰画像が表示されている。具体的には、カメラ画像表示領域41mは、ショベル100を上から見た図形41m1、検知した物体の位置を示す図形41m2、41m3を含む。図形41m1は、ショベル100を上から見た図形である。図形41m2は、検知した物体の位置を示す図形であり、ブームと重なるように表された枠画像である。図形41m3は、検知した物体の位置を示すテキストメッセージであり、「ブーム上方1m」と表示され、下線によって強調表示されている。
【0211】
この構成により、ショベル100の操作者は、表示画面41Vを見ることで、物体が検出されているか否かを把握することができ、また、物体が検出されている場合にはショベル100に対する物体の位置を把握することができる。図17の例では、ショベル100の操作者は、ブーム上方1mの位置に物体を検知したことを把握することができる。ブーム上方だけでなく、アーム開方向、バケット開方向、ブーム下方、アーム閉方向、バケット閉方向においても、同様である。更に、カメラ画像表示領域41mには、ショベル100が後方、若しくは、左右のいずれかに存在する障害物への接近した場合、その障害物に対して強調表示してもよい。これにより、操作者は、ショベル100の後方、左右方向への障害物への接近(ショベル100の周囲領域への進入物の有無)も確認することができる。
【0212】
本国際出願は、2018年3月26日に出願した日本国特許出願第2018-058913号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0213】
1 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
30 コントローラ
301 姿勢把握部
302 位置関係把握部
303 進入不可領域設定部
304 進入判定部
305 動作制御部
306 進入不可領域解除部
307 表示制御部
40 表示装置
41 画像表示部
80 撮像装置
90 障害物検出装置
100 ショベル
T1 送信装置
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17