(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】加齢関連疾患及び症状の遺伝子治療法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/761 20150101AFI20250212BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20250212BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20250212BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20250212BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250212BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20250212BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20250212BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20250212BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A61K35/761
A61K47/68
A61K48/00
A61P9/04 ZNA
A61P43/00 105
A61P43/00 121
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/864 100Z
(21)【出願番号】P 2018560974
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(86)【国際出願番号】 US2017033815
(87)【国際公開番号】W WO2017201527
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】デイビッドソン、 ノア
(72)【発明者】
【氏名】チャーチ、 ジョージ エム.
【合議体】
【審判長】冨永 みどり
【審判官】関 景輔
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-515360(JP,A)
【文献】特表2014-526441(JP,A)
【文献】特表2009-532025(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/213512(US,A1)
【文献】ウイルス(1997), vol.47, p221-230
【文献】Annu Rev Physiol, 2016, vol.78, p.223-241
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C12N
Caplus、Medline、Biosis、Embase
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体II(sTGFβR2)タンパク質をコードする第一の核酸配列を有する領域と、FGF21タンパク質をコードする第二の核酸配列を有する領域とを
含み、sTGFβR2タンパク質とFGF21タンパク質の両方を発現する、ウイルスベクター;又は
sTGFβR2タンパク質をコードする第一の核酸配列を有する領域を
含み、sTGFβR2タンパク質を発現する第一のウイルスベクターと、FGF21タンパク質をコードする第二の核酸配列を有する領域を
含み、FGF21タンパク質を発現する第二のウイルスベクターと
を含み、
前記第一の核酸配列
及び前記第二の核酸配
列は、
それぞれsTGFβR2タンパク質又はFGF21タンパク質の少なくとも一方の発現のための
同一の又は異なる制御配列に作動可能に連結されて
いる、
心不全の治療において使用するための組成物。
【請求項2】
前記第一の核酸配列及び/又は前記第二の核酸配列のための前記制御配列が構成的プロモーター又は誘導性プロモーターから選択されるプロモーターを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第一の核酸配列及び/又は前記第二の核酸配列のための前記制御配列が、heF1aプロモーター、CAGGS(サイトメガロウイルス、ニワトリβアクチンイントロン、ウサギβグロビン遺伝子のスプライスアセプター)、CMV、shEf1a(切断型hEf1a)、AATプロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝臓制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、CASI、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第一の核酸配列が、哺乳動物細胞におけるRNA安定性及び発現のために3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記3′非翻訳領域が、WPRE、WPRE3、SV40後期ポリアデニル化シグナル(切断型、配列番号114)、HBGポリアデニル化シグナル、ウサギβグロビンポリA、ウシbgpA、及びETCポリアデニル化シグナル、並びにこれらのハイブリッドからなる群から選択されるポリアデニル化シグナルを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第一の核酸配列が、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタのsTGF
βR2タンパク質からなる群から選択されるsTGF
βR2タンパク質をコードする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記sTGF
βR2タンパク質が、配列番号7、8、
及び9で表されるアミノ酸配列
のうちのいずれか
1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記sTGF
βR2タンパク質及びFGF21タンパク質の少なくとも1つが、Ig Fcドメインとの融合タンパク質であり、前記Ig Fcドメインが、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタのIg Fcからなる群から選択される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記Ig Fcが、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、及びIgG4からなる群から選択されるIgGのサブタイプのFcである、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記Ig Fcが、配列番号11又は13で表されるIg Fcのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項
8又は
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第一の核酸配列と前記第二の核酸配列が、ポリシストロニック転写産物からのsTGF
βR2タンパク質
及びFGF21タンパク
質の発現のためのポリシストロニックエレメントを介して作動可能に連結されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリシストロニックエレメントがIRES又は2A配列を含む、請求項
11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2016年5月20日に出願された米国仮出願第62/339,182号及び2016年11月14日に出願された米国仮出願第62/421,665号に基づく優先権を主張するものであり、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
加齢とは、細胞、組織、及び臓器レベルでの段階的な機能の喪失及び悪化であり、疾患及び外的ストレス要因に対する感受性を増加させ、最終的には死に至る。全ての生物は老化するが、加齢の影響を遅らせたり、最小限に抑えたり、操作することが可能である。数多くの実験は、他の加齢関連病態に対する感受性の低下とともに、最大寿命及び健康寿命を増加させる能力を示している。今日までに試験された加齢介入には、カロリー制限(CR)などの環境操作、ラパマイシンなどの小分子薬、Ames dwarfマウス及びSnell dwarfマウスなどのトランスジェニック動物の作製によって達成される遺伝子操作が含まれる。これらの実験は、加齢に関与するメカニズムのより深い理解をもたらしたが、老化するヒト及びペットの集団への返還には適していない。カロリー制限は、食事制限を厳密に遵守することを必要とし、これまでのエビデンスは、カロリー制限が治療の手段にならない可能性を示唆している。ラパマイシンは免疫調節作用を有し、特定の病原体に対する脆弱性を高めることができる。また、トランスジェニック動物を作製することは、既存のすべての生物には適用されない。癌耐性の遺伝的背景を持つマウスへのhTERTのAAV送達が、Bernardes de Jesus B.et al.(2012)EMBO Mol Med.4(8):691-704に記載されている。
【0003】
遺伝子治療法が知られている。例えば、GLYBERAは、AAV(アデノ随伴ウイルス)の筋肉内注射を介して関与遺伝子のワーキングコピーを加えることによって、リポタンパク質リパーゼ欠損症(LPLD)を治療するuniQureによるヒト遺伝子治療である。SPK-RPE65はSpark Therapeutics社製であり、非機能的RPE65遺伝子による稀な失明症状を治療するヒト遺伝子治療薬である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、1又は複数の内因性タンパク質を提供又は調節するための併用遺伝子治療法などの遺伝子治療法を提供する。本開示は、遺伝子治療を用いて加齢関連疾患及び症状又は前記加齢表現型を治療又は予防する方法を提供する。本開示は、加齢に関連した特定の疾患及び症状に関連する可能性のある遺伝子の同定を提供する。本開示は、遺伝子に関連するタンパク質の増加又は減少によるそうした遺伝子の調節を提供する。本開示は、細胞内で発現される機能性タンパク質をコードする核酸を導入することにより、遺伝子に関連する該機能性タンパク質を増加させることを提供する。発現は、細胞内であるか又は分泌され得る、治療効果又は予防効果を提供する機能性タンパク質の量の増加をもたらす。本開示は、発現された場合に遺伝子又はメッセンジャーRNAに結合して機能性タンパク質の発現を阻害する阻害性RNAをコードする核酸を導入することにより、遺伝子を阻害して該遺伝子に関連する機能性タンパク質を減少させることを提供する。本開示は、発現された場合に機能性タンパク質に結合する可溶性受容体タンパク質などのタンパク質阻害剤をコードする核酸を導入することによって、機能性タンパク質を阻害して該機能性タンパク質の活性を低下させることを提供する。本開示は、動物において細胞を標的とする遺伝子構築物及びウイルスベクターなどのベクターを用いた該遺伝子構築物の送達を用いる遺伝子治療法を提供する。本開示は、動物において細胞を標的とする遺伝子構築物、及びリポソーム、合成又は天然に存在するポリマー、エレクトロポレーション、被覆又は非被覆のナノ粒子送達、遺伝子銃送達、レーザー媒介トランスフェクション(オプトポレーション又は光トランスフェクション)などの手段を用いた該遺伝子構築物の送達を用いる遺伝子治療法を提供する。例えば、Kim、T.K.et al.(2010)Analytical及びBioanalytical Chemistry.397(8):3173-3178を参照。本開示は、動物において細胞を標的とする遺伝子構築物及び該遺伝子構築物の送達を用いる遺伝子治療法であって、前記遺伝子構築物が元のDNAからmiRNA、shRNA、RNAi、又はmRNA(mRNAは5′キャップ及び3′ポリA又は同等物からなる)に加工されている遺伝子治療法を提供する。さらなる態様によれば、RNAは、当業者に公知の5′キャップ類似体又は当業者に公知の3′ポリA類似体を使用する翻訳のためにリボソームに標的化される。本明細書に記載の遺伝子治療法について、遺伝子若しくは遺伝子産物、前記遺伝子をコードするDNA、又は前記遺伝子に対応するmRNA若しくはプロセシングされたpri-mRNA若しくは前記遺伝子に対応するmiRNAを改変又は調節して本明細書に記載の治療法又は予防法において細胞作用をもたらす限り、本開示は、本明細書に記載の遺伝子治療法において前記遺伝子若しくは遺伝子産物、前記遺伝子をコードするDNA、又は前記遺伝子に対応するmRNA若しくはプロセシングされたpri-mRNA若しくは前記遺伝子に対応するmiRNAの使用を提供する。
【0005】
加齢関連疾患又は症状に関連する特定のタンパク質を調節又は提供することにより、加齢関連疾患又は症状に対処するための予防的方法又は治療方法が提供される。加齢関連疾患及び症状に関連する遺伝子に対応する、特定のタンパク質、遺伝子、前記遺伝子をコードする遺伝子産物、又は前記遺伝子に対応するmRNA若しくはプロセシングされたpri-mRNA若しくは前記遺伝子に対応するmiRNAを調節又は提供することにより、ヒト及び他の哺乳動物を含む生物を若返らせる方法を提供する。本開示は、動物において遺伝子などの1以上又は複数の核酸が1又は複数の標的細胞に送達される、遺伝子治療法を提供する。本開示は、単一のベクターを使用して複数の核酸の発現を駆動する単一のプロモーターを含む前記複数の核酸の細胞への送達を提供する。1以上又は複数の核酸が発現され1又は複数の対応するタンパク質が産生され、前記1又は複数のタンパク質は前記生物の状態を変化させる。本開示は、動物において1以上又は複数の核酸によって異なる細胞型が標的化される併用療法を提供する。
【0006】
本開示は、細胞内の1又は複数の細胞プロセスが1以上又は複数の核酸によって標的化される併用療法を提供する。本開示は、パルボウイルスビリオンなどのウイルスベクターを用いた遺伝子治療を提供する。本開示は、アデノ随伴ウイルス(「AAV」)などのウイルスベクターを用いた遺伝子治療を提供する。アデノ随伴ウイルスは細胞に外因性遺伝子を挿入し、該外因性遺伝子によってコードされるタンパク質が発現されることになる。このようにして、前記タンパク質は、機能性タンパク質、阻害性RNA、又は阻害性タンパク質のいずれであろうと、細胞及び/又は細胞を有する生物を変化させることになる。
【0007】
本開示は、加齢関連疾患又は症状の緩徐化、阻害、予防、又は逆向を提供する。加齢関連若しくはその他の疾患又は症状の例としては、心臓血管疾患、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、肥満、癌、感染、及び神経学的障害の1又は複数が挙げられる。本開示は、加齢関連若しくはその他の疾患又は症状を治療及び/又は予防するための長期遺伝子治療法を提供する。この方法には、加齢関連疾患及び症状を逆向させ、これらの病理学的状態を矯正して、健康寿命(長年の良好な生活の質)及び寿命の延長をもたらすことが含まれる。
【0008】
本開示は、加齢に関連する疾患又は症状などの疾患又は症状の1又は複数を予防又は治療する、調節すべき遺伝子又は遺伝子のセットを同定する方法を提供する。前記遺伝子又は遺伝子のセットは、加齢関連の疾患又は症状に関連するものとして同定される。前記遺伝子は、特定の組織型に関連又は非関連であると判定され、所望の方法を用いて遺伝子の適切な調節が決定され得る。さらに、特定の組織型に関連する遺伝子は、特定の組織型細胞に核酸、阻害性RNA、又は阻害性タンパク質を送達して特定の組織型細胞内のタンパク質の量又は活性を調節する特定のベクターを用いる調節から利益を得ることが可能である。組織特異的プロモーターは、核酸を発現させるために使用され得る。
【0009】
特定の機能性タンパク質、阻害性RNA、又は阻害性タンパク質をコードする例示的な核酸は、別表Aに提供されており、その配列は別表Aに提供されているか、又は文献上公知であるか若しくは容易に入手可能である。同様に、前記機能性タンパク質、阻害性RNA、又は阻害性タンパク質の配列は、当業者に公知であるか、又は核酸配列由来であり得る。別表Bは、マウスバージョンの遺伝子のDNA及びアミノ酸配列、及び複数のRNA種を標的とするpri-miRNA DNA構築物を含む。
【0010】
本明細書に記載の機能性タンパク質は、全長タンパク質であってもよく、全長タンパク質とは異なるが全長タンパク質の全部又は一部の活性を保持するタンパク質であってもよい。
【0011】
本発明の特定の実施形態のさらなる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明及び図面並びに特許請求の範囲からより十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】AAC手術の7週間後の代表的な心エコー図である。
【
図2】投与量に対するTGFb1ノックダウンを示すデータのグラフである。
【
図3】線維症の割合を示すデータのグラフ及び関連する画像である。
【
図4】対照の心臓切片及び処置された心臓切片のWGA染色を示す画像である。
【
図5】sTGFbR2-FC投与に対する対照における心臓パラメータの変化を示すデータのグラフである。
【
図7】時間(日数)に対する生存率のグラフである。
【
図8A】FGF21についての時間(日数)に対する体重減少のグラフである。
【
図8B】種々のFGF21遺伝子治療についての時間(日数)に対する重量損失のグラフである。
【
図9】GDF15、アディポネクチン、ZAG、及びNrf2についての時間(日数)に対する重量減少のグラフである。
【
図10】ITRsプロモーターsTGFbR2-Fc及び3′UTRを含むウイルス構築物のベクターマップである。
【
図11】ITRsプロモーターNrf2及び3′UTRを含むウイルス構築物のベクターマップである。
【
図12】7個のPri-miRNAの可能な構築物のベクターマップ、及びそれらが連結される順序を示す。miRNAの適切なプロセッシングのための「shRNA」部分においてミスマッチが計画されている場所についても赤い印を付してある。
【
図13】6個のPri-miRNAの可能な構築物のベクターマップ、及びそれらが連結される順序を示す。miRNAの適切なプロセッシングのための「shRNA」部分においてミスマッチが計画されている場所についても赤い印を付してある。
【
図15】イヌ血清中のTGFb1に対する可溶性TGFb受容体2の結合データを示す。
【
図16】対照マウスの摂餌量に対するFGF21で処置したマウスの摂餌量のグラフである。
【
図17】対照マウスに対するFGF21で処置したマウスのデータを示す。
【
図22】対照マウスの腎臓に対する本明細書に記載の遺伝子治療を受けたマウスの腎臓を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、機能性タンパク質、阻害性RNA、又は阻害性タンパク質をコードする1以上又は複数の核酸が対象内の細胞に付与される遺伝子治療法を提供する。前記1以上又は複数の核酸は、老化及び加齢に関連する生理学的低下に伴う疾患又は症状を治療又は予防するために、1又は複数のベクターによって投与されるか、又はAAVなどの単一のウイルスベクターに組み合わされる。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「a」、「an」及び「the」には、文脈上他に明示しない限り、複数形に対する参照も含まれる。したがって、例えば、「タンパク質(a protein)」に言及する場合、2以上のタンパク質を含み、「賦形剤(an excipient)」に言及する場合、2以上の賦形剤を含む。
【0015】
「又は」の使用は、他に記載がない限り、「及び/又は」を意味することがさらに理解される。同様に、「comprise(含む)」、「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、「includes(含む)」、及び「including(含む)」は互換的であり、限定することを意図するものではない。また、様々な実施形態の説明が「含む(comprising)」という用語を使用する場合、当業者は、いくつかの特定の例において、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」という言葉を使用して代替的に説明することができることを理解するであろう。
【0016】
図面を含む前述の一般的な説明、及び以下の詳細な説明は例示的及び説明的なものに過ぎず、本開示を限定するものではない。
【0017】
本明細書で使用されるセクション見出しは、構成的な目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0018】
定義
本開示に関連して、本明細書の記載において使用される技術的用語及び科学的用語は、他に特に定義されない限り、当業者によって一般的に理解される意味を有する。したがって、以下の用語は以下の意味を有することを意図している。
【0019】
本明細書で使用される「遺伝子」は、RNAなどのポリヌクレオチドを発現する転写領域とも呼ばれる核酸領域を指す。転写されたポリヌクレオチドは、適切な調節領域の制御下に置かれた場合にコードされたポリペプチドに翻訳され得る、機能性タンパク質などのポリペプチドをコードする配列を有することができる。遺伝子は、プロモーター、5′リーダー配列、コード配列、及びポリアデニル化部位などの3′非翻訳配列などのいくつかの作動可能に連結された断片を含み得る。キメラ遺伝子又は組換え遺伝子は、例えば、転写されたDNA領域の一部又は全部に本来はプロモーターが結合しない遺伝子のような、自然界には通常見出されない遺伝子である。「遺伝子の発現」は、遺伝子がRNAに転写され、及び/又は機能的タンパク質に翻訳されるプロセスを指す。
【0020】
「遺伝子送達」又は「遺伝子導入」とは、組換えDNA又は外来DNAを宿主細胞に導入するための方法を指す。導入されたDNAは、非組み込みのままであってもよいし、好ましくは宿主細胞のゲノムに組み込まれていてもよい。遺伝子送達は、例えば、形質導入、ウイルスベクターの使用、又はエレクトロポレーション、細胞衝撃などの既知の方法を用いた細胞の形質転換によって行うことができる。
【0021】
「導入遺伝子」は、宿主細胞に導入された遺伝子を指す。導入遺伝子は、細胞に固有の配列、細胞内に天然に存在しない配列、又はそれらの組み合わせを含み得る。導入遺伝子は、細胞内のコード配列の発現のための適切な調節配列に作動可能に連結され得る1又は複数のタンパク質をコードする配列を含み得る。
【0022】
「形質導入」とは、例えばrAAVなどの遺伝子送達ベクターによるレシピエント宿主細胞への核酸分子の送達を指す。例えば、rAAVビリオンによる標的細胞の形質導入により、該ビリオンに含まれるrAAVベクターが形質導入細胞へ移動される。「宿主細胞」又は「標的細胞」とは、核酸送達が行われる細胞を指す。
【0023】
「機能性タンパク質」には、全長タンパク質の変異体、突然変異体、相同体、及び機能的フラグメントが含まれる。当業者は、全長タンパク質の全部又は一部の活性を保持する完全長タンパク質と相同なタンパク質を容易に構築することができるであろう。
【0024】
「ベクター」は、一般に、ヌクレオチド配列のクローニング及び発現に適した核酸構築物を指す。ベクターの一例は、ウイルスベクターである。また、ベクターという用語は、ベクターを宿主細胞中及び宿主細胞間へ移行可能なウイルス又はビリオンなどのベクターを含む運搬体を指すこともある。
【0025】
「AAVベクター」又は「rAAVベクター」とは、例えば血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、AAvDJ、及びAAVrh10.XXなどのアデノ随伴ウイルス由来の組換えベクターを指す。rAAVベクターは、1つ又は好ましくは全ての野生型AAV遺伝子が欠失されているが、機能的ITR核酸配列は含み得る。機能的ITR配列は、AAVビリオンの複製、レスキュー、及びパッケージングに必要である。ITR配列は、野生型配列又は(以下に定義する)実質的に同一の配列であってもよく、それらが機能性を保つ限り、ヌクレオチドの挿入、突然変異、欠失、又は置換によって変更されてもよい。
【0026】
「治療有効量」とは、加齢関連疾患又は症状に関する結果などの所望の治療結果を達成するために必要な用量及び期間において有効な量を指す。パルボウイルスビリオン又は医薬組成物の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びにパルボウイルスビリオン又は医薬組成物が個体において所望の応答を誘発する能力などの要因によって変化し得る。投与レジメンは、最適な治療応答をもたらすように調節されていてもよい。治療有効量はまた、典型的には、パルボウイルスビリオン又は医薬組成物の治療上有益な効果が、毒性又は有害な効果を上回るものである。
【0027】
「予防的有効量」とは、所望の予防結果を達成するのに必要な用量及び期間において、例えば、様々な加齢関連疾患又は症状の予防又は抑制に有効な量を指す。予防的用量は、疾患の発症前又は初期の対象において使用されてもよく、場合によっては、予防的有効量は治療有効量より多くても少なくてもよい。
【0028】
「核酸」は、モノマーヌクレオチドから構成された又はモノマーヌクレオチドを含む任意の分子を含む。本明細書中において、用語「ヌクレオチド配列」は、「核酸」と互換的に使用され得る。核酸は、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドであってもよい。核酸は、DNA又RNAであってもよい。核酸は、遺伝子であってもよい。核酸は、化学的に改変されていても人工的であってもよい。人工核酸は、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ、及びロックド核酸(LNA)、並びにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)を含む。これらの各々は、分子の骨格への変化によって天然に存在するDNA又はRNAと区別される。また、ホスホロチオエートヌクレオチドを使用してもよい。
【0029】
本明細書において、「核酸構築物」は、組換えDNA技術の使用により生じる人工核酸分子を意味すると理解される。核酸構築物は、核酸のセグメントを含むように改変された一本鎖又は二本鎖の核酸分子であり、天然には存在しないと考えられる様式で組み合わされて並置される。核酸構築物は、通常、「ベクター」、すなわち、外因的に作製されたDNAを宿主細胞に送達するために使用される核酸分子である。核酸構築物の1つのタイプは、「発現カセット」又は「発現ベクター」である。これらの用語は、宿主生物又は前記配列と適合する宿主細胞において遺伝子の発現をもたらすことができるヌクレオチド配列を指す。発現カセット又は発現ベクターは、典型的には、適切な転写調節配列及び任意に3′転写終結シグナルを少なくとも含む。発現エンハンサーエレメントなどの、発現に必要な又は有用なさらなる因子も存在し得る。核酸構築物はまた、DNAの代わりにRNAとして作用することによってタンパク質を発現又は抑制させるベクターであってもよい。標的タンパク質の発現が増加する場合、この核酸構築物は、細胞又はより具体的にはリボソームがタンパク質の多くのコピーを認識して生成する、mRNA又は同様のものであり得る。標的配列の発現を抑制する場合、RNAは、リボソームがタンパク質を生成することを防止することによって作用する形態であり得、これは、RNAi、shRNA、miRNA、又はPri-miRNAのメカニズムを介して行われ得る。当業者はまた、ブール論理を介して、標的配列の既知の抑制因子を抑制すると、実際には抑制によって標的配列が増加することを想像することができ、mRNA(若しくは類似物)又はshRNA(若しくは類似物)のいずれかの送達による「逆位」又は「暗示」により標的配列の調節を生じ得るように、当業者は標的タンパク質を取り除き得る。これは、AAVにおけるように発現されなければならないDNAを提供するベクターを介して行うこともできる。
【0030】
「作動可能に連結」とは、機能的関係におけるポリヌクレオチド(又はポリペプチド)エレメントの連結を指す。核酸は、別の核酸配列との機能的関係に置かれた場合、「作動可能に連結」される。例えば、転写調節配列は、コード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されるということは、連結されているDNA配列が通常は連続しており、必要であれば2つのタンパク質コード領域の連結が連続しており、リーディングフレーム内にあることを意味する。
【0031】
「発現制御配列」は、それが作動可能に連結されているヌクレオチド配列の発現を調節する核酸配列を指す。発現制御配列がヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳を制御及び調節する場合、前記発現制御配列はヌクレオチド配列に「作動可能に連結」されている。したがって、発現制御配列は、プロモーター、エンハンサー、配列内リボソーム進入部位(IRES)、転写ターミネーター、タンパク質をコードする遺伝子の前の開始コドン、イントロンのスプライシングシグナル、(マルチシストロン発現を可能にする)2Aペプチド配列、及び停止コドンを含むことができる。用語「発現制御配列」は、発現に影響を及ぼすように設計された配列を最小限含み、さらに有利な成分を含み得ることを意図する。例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列は、発現制御配列である。この用語には、フレーム内及びフレーム外の望ましくない潜在的な開始コドンが配列から除去されるような核酸配列の設計も含まれ得る。この用語には、望ましくない潜在的なスプライス部位が除去されるような核酸配列の設計も含まれ得る。この用語には、ポリAテール、すなわちポリA配列とも呼ばれるmRNAの3′末端にアデニン残基の鎖を付加することを指示する、配列又はポリアデニル化配列(pA)を含む。また、mRNAの安定性を高めるように設計することもできる。昆虫細胞での使用に適した転写及び翻訳の安定性に影響を及ぼす発現制御配列、例えば、プロモーター、及び翻訳に影響を与える配列、例えばKozak配列は、当業者に周知である。発現制御配列は、より低い発現レベル又はより高い発現レベルが達成されるように作動可能に連結されたヌクレオチド配列を調節するような性質を有し得る。
【0032】
機能性ドメインを既知のタンパク質に融合することもできる。カタラーゼがミトコンドリアへ往復するよう標的化されてその天然の位置の代わりにミトコンドリアの内部又は近傍で機能を果たすように、ミトコンドリアシグナルがCAT(カタラーゼ)に融合される場合が挙げられる。他のタンパク質に標的シグナルを加えて、細胞の他の部分に標的化されるか、又は細胞から分泌させることさえ可能である。いくつかのタンパク質の場合、TGFbR2のヒト又はマウスの分泌シグナルを取り出し、それをイヌ型の当該タンパク質に融合させるなど、効果を高めるために、よく知られている型のタンパク質が天然配列を置き換えることができる。
【0033】
「プロモーター」又は「転写調節配列」とは、1又は複数のコード配列の転写を制御するように機能し、コード配列の転写開始部位の転写方向に対して上流に位置する核酸フラグメントを指し、並びに限定されるものではないが、転写因子結合部位、抑制タンパク質結合部位及び活性化タンパク質結合部位、及びプロモーターからの転写量を直接的に又は間接的に調節することが当業者に知られている、例えば、アテニュエーター又はエンハンサー、及びサイレンサーなど、他の任意のヌクレオチド配列を含む、DNA依存性RNAポリメラーゼ結合部位、転写開始部位、及び任意の他のDNA配列の存在によって構造的に同定される。「構成的」プロモーターは、ほとんどの生理学的条件下及び発生学的条件下で、ほとんどの組織において活性であるプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、例えば、化学誘引物質の適用により生理学的又は発生学的に調節されるプロモーターである。「組織特異的」プロモーターは、特定の種類の組織又は細胞においてのみ活性である。本開示は、哺乳動物細胞適合性発現制御配列、例えばプロモーターへの核酸構築物の作動可能な連結を提供する。このようなプロモーターの多くは当技術分野で公知である(Sambrook and Russell、2001、上記参照)。CMVプロモーター及びhEf1αプロモーターなど、多くの細胞型で広く発現される構成的プロモーターが開示される。より短いが依然として効果的な構成的発現を付与する全長hEf1αの変異体も開示される。誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、細胞型特異的プロモーター、又は細胞周期特異的プロモーターが開示される。開示された実施形態において、ポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素をコードするヌクレオチド配列は、肝臓特異的プロモーターに作動可能に連結される。肝臓特異的プロモーターは、非赤血球デアミナーゼと併用することが特に好ましい。好ましくは、本開示の構築物において、肝臓特異的発現のための発現制御配列は、例えば、α1-抗トリプシン(AAT)プロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択される。他の例としては、腫瘍選択的発現、特に神経細胞腫瘍選択的発現のためのE2Fプロモーター(Parr et al.(1997)Nat.Med.3:1145-9)又は単核血液細胞において使用するためのIL-2プロモーター(Hagenbaugh et al.(1997)J Exp Med;185:2101-10)が挙げられる。
【0034】
(3′非翻訳領域又は3′末端とも呼ばれることが多い)「3′UTR」又は「3′非翻訳配列」は、遺伝子のコード配列の下流に見出される核酸配列を指し、例えば、転写終結部位及び(全てではないがほとんどの場合、真核生物mRNAにおいて)ポリアデニル化シグナル(例えば、AAUAAA又はその変異体など)を含む。転写終結後、mRNA転写産物はポリアデニル化シグナルの下流で切断され、mRNAの細胞質(そこで翻訳が行われる)への輸送に関与するポリAテールが付加され得る。
【0035】
本明細書で使用される「天然に存在する配列」又は「天然配列」は、天然に存在する供給源から単離されたポリヌクレオチド又はアミノ酸を指す。「天然配列」には、天然形態と同一の配列を有する天然のポリペプチド又はポリヌクレオチドの組換え形態が含まれる。
【0036】
本明細書で使用される「突然変異」又は「変異」は、置換、挿入、及び/又は欠失によって改変されたアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列を指す。いくつかの実施形態において、突然変異配列又は変異配列は、親配列と比較して、増加した、減少した、又は実質的に類似の活性若しくは特性を有し得る。
【0037】
「配列同一性の割合」及び「相同性の割合」は、本明細書において互換的に使用されてポリヌクレオチド幹及びポリペプチド間の比較を指し、比較ウィンドウにわたる2つの最適に整列された配列を比較することによって決定され、ここで、前記比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適なアライメントのための参照配列と比較して、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。割合は、両方の配列において同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が存在する位置の数を決定してマッチする位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性の割合を得ることにより計算してもよい。あるいは、割合は、両方の配列において同一の核酸塩基若しくはアミノ酸残基が生じる位置の数、又は核酸塩基若しくはアミノ酸残基がギャップと整列する位置の数を決定してマッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性の割合を得ることにより計算してもよい。当業者には、2つの配列を整列させるために利用可能な多くの確立されたアルゴリズムが存在することが理解される。比較のための配列の最適なアライメントを、例えば、局所相同性アルゴリズム(Smith and Waterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482)、相同性アラインメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443)、類似方法の検索(Pearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444)、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(GAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、又は外観検査(一般的に、Current Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubel et al.編、Current Protocols、Greene Publishing Associates、Inc.、及びJohn Wiley & Sons、Inc.(1995 Supplement)を参照)により行うことができる。
【0038】
配列同一性の割合及び配列類似性を決定するために適切なアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズム及びBLAST2.0アルゴリズムであり、Altschul et al.(1990)、J.Mol.Biol.215:403-410、及びAltschul et al.(1977)Nucleic Acids Res.3389-3402にそれぞれ記載されている。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトに公開されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列された場合にいくつかの正の値の閾値スコアTに一致するか又は満足する、クエリ配列内の長さWの短いワードを特定することによって、高スコアリング配列ペア(HSP)を最初に特定することを含む。Tは、近傍ワードスコア閾値を表す(Altschul et al.、上記参照)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するための種として機能する。次に、前記ワードヒットは、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列に関して、パラメータM(マッチする残基の対についての報酬スコア;常に>0)及びパラメータN(ミスマッチ残基についてのペナルティースコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを用いて累積スコアを計算する。各方向のワードヒットの延長は、累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ減少した場合、1又は複数のネガティブスコアリング残基アラインメントの蓄積により、累積スコアがゼロ以下になった場合、又はいずれかの配列の終わりに達した場合に停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、及び両鎖の比較をデフォルトとして用いる。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(Henikoff and Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照)。
【0039】
アミノ酸配列同一性の割合の程度は、アラインメントにおけるマッチ数を数え、そのマッチ数を参照配列の長さで除算し、デフォルトClustalWパラメータ(ギャップオープンペナルティ:10;ギャップ延長ペナルティ:0.10;タンパク質重量マトリックス:Gonnetシリーズ;DNA重量マトリックス:IUB;Toggle Slow/Fastペアワイズアラインメント=SLOW又はFULLアライメント)を使用してslow/accurateペアワイズ最適アライメントを実現することにより、ClustalW分析(バージョンW1.8)を行い、得ることができる。
【0040】
「対象」又は「患者」とは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル又はヒト)などの哺乳動物を指す。好ましくは、哺乳動物は、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、及びブタなどの家畜動物又はヒト対象である。いくつかの実施形態では、ヒトは成人患者である。いくつかの実施形態では、ヒトは小児患者である。
【0041】
機能性タンパク質発現及び機能性タンパク質の発現調節による遺伝子治療
以上に要約したように、本開示は、標的遺伝子に関連する疾患又は症状を治療又は予防する方法において、1以上又は複数の遺伝子又はそれらの関連する機能性タンパク質の調節を提供する。特に、個々の標的遺伝子又は標的遺伝子の1又は複数の組み合わせは、加齢関連疾患又は症状に関連する、及び/又は生物学的寿命に影響を及ぼす。記載された遺伝子治療によって標的とされる遺伝子又は遺伝子産物は、代謝活性、インスリン様増殖因子活性経路(すなわち、IGF1/GH/mTOR軸)、ミトコンドリア機能、炎症/線維症、オートファジー、神経機能、ゲノム安定性などの多様な細胞の役割に関与する。遺伝子治療は、限定するものではなく例として、機能性タンパク質又はその変異型を過剰発現する核酸又は遺伝子;別の標的遺伝子/タンパク質を調節する機能性タンパク質の発現;標的遺伝子の発現を調節するための、阻害性RNAなどのポリヌクレオチドの発現;及び標的遺伝子をin situで改変する遺伝子編集システムの発現の1又は複数に基づき得る。このような核酸は、本明細書において、ヌクレオチド配列自体は自然に生じないが、むしろ人間の介入によって設計、操作、及び/又は構築されたことを意味すると理解される「合成ヌクレオチド配列」であり得る。したがって、「合成」という用語は、必ずしもその配列が化学合成によってのみ及び/又は完全に化学合成から得られることを意味するものではない。むしろ、合成配列の一部分は、ある段階において化学合成によって得られたものであってもよいが、本発明の合成配列を含む分子は、通常、細胞(培養細胞、例えば組換え細胞)などの生物源から得られることになる。
【0042】
いくつかの実施形態では、例えば、ウイルスベクター系又はCas9ガイドRNA系によって投与され得る、治療用途のための遺伝子及び対応する発現遺伝子産物が表1に示される。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
表1の記載は、例示的な遺伝子、及び遺伝子が方法において過剰発現されるか(「過剰発現」)又は阻害されるか(「pri-miRNA/shRNA」)を同定する。このように、前記記載が「過剰発現」遺伝子が参照する場合、遺伝子治療は、示されたタンパク質産物をコードする核酸が使用され、タンパク質産物が過剰発現される場合を指す。したがって、そのような記載において、同定された遺伝子への参照はまた、この遺伝子によってコードされるタンパク質も指す。例えば、「Klotho」は、遺伝子及びこの遺伝子によってコードされるタンパク質の両方を意味し得る。いくつかの実施形態において、核酸は、天然に存在する発現タンパク質の変異型であるタンパク質産物をコードし得る。限定するものではなく一例として、Adra1a(mut)は、天然のAdra1aタンパク質産物の変異型をコードする核酸配列を指し、ここで、受容体タンパク質の発現される変異型は構成的に活性である。表1の記載が「pri-miRNA/shRNA」を参照する場合、遺伝子治療は、発現されるpri-miRINA/shRNAが標的遺伝子の遺伝子産物の発現を阻害するか最終的に弱める場合には前記発現されるpri-miRINA/shRNAのための配列を有する核酸の使用を指す。
【0049】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療のための核酸は、本明細書に提供されるか当技術分野で公知である遺伝子配列に相同であり、参照タンパク質、阻害RNA、又は阻害タンパク質として機能する配列を使用し得る。したがって、本開示は、本明細書中に記載される核酸配列、及び該核酸配列に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%相同である核酸配列を意図する。同様に、本開示は、本明細書中に記載されるアミノ酸配列、及びタンパク質が少なくとも部分的に又は全体的に機能又は活性を保持するように、前記アミノ酸配列に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%相同であるアミノ酸配列を意図する。当業者は、遺伝コードの縮重に基づいて既知のタンパク質をコードするために、本明細書で同定された核酸配列又は当技術分野で公知のものとは異なる核酸配列を容易に設計することができることを理解されたい。したがって、本明細書中の特定の核酸配列の同定は限定的なものではないことを理解されたい。
【0050】
表1の各遺伝子及び対応する核酸は、遺伝子治療法において別々に使用して、所望の生理学的(例えば、治療的)効果を生じさせることができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、表1の核酸の組み合わせを遺伝子治療法で使用して、所望の治療効果を生じさせることができる。このように、本開示は、本明細書に記載されるように、遺伝子治療において使用するための、表1中の遺伝子及び対応する核酸の可能な組み合わせの全てを包含する。いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、表1の番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53の核酸のいずれか又はすべての組み合わせを含み、前記組み合わせは、特に加齢関連疾患又は症状の治療又は予防に関して、意図された治療効果を有する。当業者は治療方法で使用するための核酸の組み合わせ及び副次的組み合わせを容易に想定できることを理解されたい。
【0051】
ある態様によれば、FGF21又はKlothoなどの表1の1又は複数の遺伝子は、その半減期を増加させるために、sTGFbR2-FCによって例示されるような安定化ペプチドに作動可能に連結され得る。当業者は、適切な融合ペプチドを容易に同定することができ、その例はFCである。また、本開示は、遺伝子によってコードされるタンパク質の安定性又は半減期を増加させるために、FGF21及びKlothoなどの表1に列挙される1又は複数の遺伝子の改変を意図する。
【0052】
ある態様によれば、FGF21又はKlothoなどの表1の1又は複数の遺伝子は、発現を増強する様式で分泌シグナルが分泌タンパク質に結合されるように、分泌シグナルに作動可能に連結され得る。当業者は、適切な分泌シグナル及び発現増強のために分泌シグナルを分泌タンパク質に付加する方法を容易に同定することができる。
【0053】
表2に特定されるいくつかの実施形態において、加齢関連疾患又は症状を治療又は予防するための遺伝子治療方法は、それを必要とする対象に、上記表1に記載の遺伝子産物を発現する以下の遺伝子を発現する、有効量の単一のベクター又は複数のベクターを投与することを含む。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
上述の例示的な実施形態では、遺伝子治療に用いられる遺伝子が2つ以上存在する場合、これらの遺伝子は、個々に、又は許容される場合は、以下にさらに記載されるように、例えば意図された標的組織に基づいて、(例えば、ウイルス遺伝子治療ベクターの能力に基づいた)特定の組み合わせにおいて、別個の遺伝子送達ベクターに含まれていてもよい。
【0058】
本明細書においてさらに詳細に記載されるように、表1の核酸及び対応する核酸構築物、発現カセット、発現ベクター、発現制御配列、プロモーター、及び核酸配列の送達に関連する他のエレメントは、ウイルスベクターなどの遺伝子送達ベクターとして構築され得る。このベクターは、予防的効果又は治療的効果をもたらすように機能性タンパク質のレベルを変化させる核酸の発現を生じる条件下で哺乳動物に投与される。したがって、本開示はまた、表1に列挙された遺伝子及び対応する核酸のそれぞれに対するベクター、特にウイルスベクター、より詳細にはAAVベクターを意図する。そのようなウイルスベクターの詳細は以下に記載される。
【0059】
いくつかの実施形態では、表1の核酸を集合的に調節して、所望の治療効果を生じさせることができる。遺伝子治療及び使用される対応する核酸は、とりわけ、代謝、IGF1シグナル伝達又はGHシグナル伝達、タンパク質合成又はオートファジー、炎症、線維症、又は免疫応答、ゲノム安定性、癌、ミトコンドリア適応度若しくはミトコンドリア機能、酸化機能、又はニューロン機能に対する効果を含む、所望の効果に基づいて分類することができる。
【0060】
表3は、所望の効果を達成するために集合的に調節し得る、示された生物学的機能に対する効果に基づく例示的な遺伝子及びそれらのグループ分けを同定する。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
いくつかの実施形態において、遺伝子治療法は、表2又は表3の各群に規定される核酸(すなわち、遺伝子)の例示的な組み合わせに関する。いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、加齢に関連する代謝症状又は疾患を治療又は予防などのための、表1に規定されるような、FGF21、GDF15(hNAG)、Slc13a1、mTOR、Cebpa/Cebpb、Dgat1、Insr、Ubd、Prkar2b、UCP1、Pck1、Sirt1、アディポネクチン、AMPK、PCSK9、及びSlc13a5(INDY)の核酸の組み合わせ又は副次的組み合わせの使用を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、IGF1/GH活性に関連する症状又は疾患の治療又は予防などのための、特に加齢関連疾患又は症状に関与するそのような活性に関する、表1に規定されるような、FGF21、GDF15(hNAG)、Pappa、Klotho、mTOR、Sirt6、sIFG1r-Fc、Akt1、及びRps6kb1(S6K1)の核酸の組み合わせ又は副次的組み合わせの使用を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、タンパク質合成及びオートファジーに関連する症状又は疾患の治療又は予防などのための、特に加齢関連疾患又は症状に関与するそのような活性に関する、表1に規定されるような、mTOR、Cisd2、Atg5、Akt1、TFEBに対する核酸の組み合わせ又は副次的組み合わせの使用を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、炎症、線維症、免疫症状又は疾患の治療又は予防などのための、特に加齢関連疾患又は症状に関与するそのような活性に関する、表1に規定されるような、Klotho、FGF21、Ctf1、Txn1、Nrf2、Sirt1、及びsTGFbR2-FCの核酸の組み合わせ又は副次的組み合わせの使用を含む。例示的な遺伝子の組み合わせとしては、FGF21及びKlotho;FGF21及びsTGFbR2-FC;Klotho及びsTGFbR2-FC、又はFGF21、Klotho及びsTGFbR2-FCが挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、DNA損傷、ゲノム不安定性又は癌の治療又は予防などのための、特に加齢関連疾患又は症状に関与するDNA損傷又はゲノム不安定性などのそのような活性に関する、表1に規定されるような、Coq7、Ctf1、NUDT1、BubR1、TERT、Par4 SACドメイン、及びHAS2の核酸の組み合わせ又は副次的組み合わせの使用を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、ミトコンドリア機能又は酸化的損傷に関連する症状又は疾患の治療又は予防などのための、特に加齢関連疾患又は症状に関与するそのような活性に関する、表1に規定されるような、Adcy5、Agtr1a、Cisd2、Coq7、mCAT、Mt1、Pck1、Sirt6、Slc13a1、Nrf2、及びTFAMの核酸の組み合わせ又は副次的組み合わせの使用を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、認知障害又は認知低下などの神経学的症状又は疾患の治療又は予防などのための、特に加齢に関連する神経学的症状又は疾患に関する、表1に規定されるような、Ikbkb、NUDT1、Adra1a(mut)、NGF、NEU1、ヒト化FoxP2、及びPDE4bの核酸の組み合わせ又は副次的組み合わせの使用を含む。
【0071】
生物学的プロセスの複数のクラスを治療するために、特にそれらの生物学的プロセスが加齢に関連していることから、生物学的プロセスの対応するクラスにおける症状又は疾患を治療又は予防するために使用される遺伝子及び対応する核酸の群は、遺伝子及び対応する核酸の1又は複数の他の群と組み合わせて使用可能であることも理解されたい。したがって、表1に列挙されるか、又は表2若しくは表3の異なる群で同定される遺伝子及び対応する核酸のあらゆる可能な組み合わせを使用する遺伝子治療法が、本開示に包含される。(i)代謝症状又は疾患の治療又は予防、(ii)IGF1/GH活性に関連する症状又は疾患、(iii)タンパク質合成及びオートファジーに関連する症状又は疾患、(iv)炎症、線維症、免疫症状又は疾患、(v)DNA損傷、ゲノム不安定性又は癌、(vi)ミトコンドリア機能又は酸化的損傷に関連する症状又は疾患、及び(vii)神経学的症状又は疾患のための遺伝子治療において使用される遺伝子及び対応する核酸の群は、複数のクラスの疾患又は症状、特に加齢に関連する複数の疾患又は症状を治療するために組み合わせて又は副次的に組み合わせて使用可能である。例として、神経学的疾患又は症状を治療又は予防するための遺伝子及び対応する核酸の群の組み合わせ又は副次的組み合わせ(vii)は、ミトコンドリア機能又は酸化的損傷、すなわち群(iv)に関連する疾患又は症状を治療又は予防するための遺伝子及び対応する核酸の群の組み合わせ又は副次的組み合わせとともに使用可能である。他のそのような例示的な組み合わせとしては、限定するものではなく例として、上記の群(i)~(vii)のうちの2、3、4、5、6又は7つ全ての組み合わせが挙げられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書における遺伝子治療方法の遺伝子及び対応する核酸のセットは、遺伝子治療の標的とされる組織型に基づいて選択することもできる。特定の組織における発現のための適切な遺伝子送達構築物は、遺伝子治療に関連する核酸を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、組織特異的送達は、適切なウイルスベクター及びウイルスパッケージングシステムの選択に基づく。ウイルスベクターは、標的組織における遺伝子産物の発現を可能にする適切なプロモーター及び他の転写調節因子を組み込むことができる。ウイルスパッケージングシステムは、遺伝子治療ベクターが標的組織に送達されるように、ウイルスベクターをパッケージングするために使用されるウイルス成分の宿主細胞範囲特異性を利用することができる。AAVベクター及びキャプシド設計の観点から、天然に存在する誘導体又は合成誘導体のいずれかのAAV血清型は、以下にさらに詳細に記載されるように、遺伝子治療適用の指向性範囲を操作するために使用され得る。例えば、ニューロン標的遺伝子は、AAV9のような血液脳関門を通過するように設計されたウイルスキャプシドを使用可能であり、肝臓標的遺伝子は、同程度には血液脳関門を通過しないが肝臓及び筋肉に蓄積するAAV8を使用可能である。
【0073】
他の組織特異的方法を用いて、とりわけ、組織特異的プロモーター及び標的組織で発現されるそれらの配列を標的とするmiRNA結合部位の使用を含む、対象となる組織における発現を制限することができる。表4は、本明細書で定義される例示的な遺伝子治療核酸、標的細胞又は組織、標的組織に対する適切な指向性を有するAAV血清型又は血清型の組み合わせ、特定の細胞又は標的組織において機能する発現を調節するための例示的なプロモーター、投与ルート、及び遺伝子のサイズを示す。A=脂肪組織、M=筋肉組織、B=脳組織、L=肝組織、E=生物全体にわたる全身送達、N=非脳組織、及びH=心臓組織。表4はまた、遺伝子産物が発現タンパク質であるか阻害性RNAであるかを示す。いくつかの実施形態では、遺伝子治療のための核酸は、発現されると1又は複数の非標的組織における遺伝子産物の発現を阻害又は減弱する発現阻害エレメントを含み、これは標的解除(detargeting)とも呼ばれる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Broderick et al.(2011)Gene Ther.18(2):1104-1110を参照)。表4において、例示的な阻害エレメントは、肝臓などの特定の非標的組織においてmRNA(又はpri-miRNA/shRNAなどの他の転写RNA)がサイレンシングされるような、発現されたmRNAの3′UTRにおけるmiRNAの配列である。非標的組織において発現を標的解除するために使用される種々のmiRNAは、とりわけ、肝細胞における発現をサイレンシングするためのmiRNA-122、神経細胞における発現をサイレンシングするためのmiRNA-124、及び造血細胞における発現をサイレンシングするためのmiRNA-142を含む。特定の細胞及び組織における発現を阻害するための当技術分野において公知の他のmiRNAを、当業者は本開示の遺伝子治療用途に使用することができる。そのようなサイレンシングmiRNA標的配列の1つ又は組み合わせを用いて、1又は複数の非標的細胞及び組織における遺伝子治療構築物の望ましくない発現を阻害又は減弱することができ、前記非標的組織は互いに異なっていてもよい。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
表4の記載を考慮して、本開示は、表4の実施形態1~53のそれぞれについて特定されたエレメント(すなわち、遺伝子、プロモーター、miRNAサイレンサー)を含む例示的な遺伝子治療ベクターに関する。いくつかの実施形態では、遺伝子治療ベクターは、ベクター構築物hEf1a-WPRE3-SV40に基づくことができ、ここで、Hef1aは、ヒト伸長因子1aプロモーターを意味し、WPRE3は、切断型のウッドチャック肝炎転写後調節エレメントであり、SV40は、切断型のSV40ポリアデニル化部位(PMCID:PMC3975461)である。本開示は、表4の実施形態1~53のそれぞれについて特定のAAV血清型及び特定のベクターエレメントを有する組換えAAVウイルス粒子に関する。組換えウイルス粒子の血清型を特定するAAVキャプシドタンパク質は、適切なAAVヘルパーウイルスを用いて提供することができる。例えば、参照により本明細書に取り込まれる、Yuan et al.、2011、Hum Gene Ther.22(5):613-24を参照。hEf1aはまた、231bp長であり、配列番号18として参照されるhEf1aプロモーターの切断型を指すことがある。
【0078】
標的細胞に核酸を送達するための遺伝子治療ベクターの能力を考慮して、いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、2つ以上の対応する機能性タンパク質、阻害性RNA、又は阻害性タンパク質の発現のための2つ以上の核酸を有することができる。異なる遺伝子発現産物を発現するための個々の核酸は、それ自身の転写調節エレメントを有することができ、タンパク質を発現する場合、別々のRNAが発現されるように翻訳制御エレメントを分離することができる。いくつかの実施形態では、単一のRNAをシストロンの形で発現させることができ、この場合、遺伝子産物は単一のRNAから発現される。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子治療ベクターは、単一のRNAからの種々の遺伝子治療産物の発現に必要とされ得るようなリボソームスキッピングを誘導するための配列内リボソーム進入部位(IRES)又は2A配列(PMCID:PMC3084703)などのポリシストロニックエレメントを有し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、複数の異なる遺伝子産物を発現する複数の核酸を用いた遺伝子治療において、2つ以上の遺伝子送達ベクター、特にウイルスベクターが哺乳動物に投与される。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、遺伝子治療の方法において、関連する遺伝子を送達するための2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又はそれ以上の別個のベクターを同時に又は別個に投与することを含む。単独で又は組み合わせて投与される個々のベクターの量は、とりわけ、ベクター設計、送達される核酸配列、標的組織への送達効率、投与様式、及び意図される治療効果に基づいて決定され得る。種々の実施形態において、同時に投与される各ウイルスベクターの最適な比率は、各対象の最大ウイルス用量及び個々のベクターの有効性から評価することができる。当業者は、本開示に基づいて適切な比率及び用量を決定することができる。
【0080】
遺伝子治療のための1又は複数の遺伝子を有するウイルスベクターの例示的なセットを表2に示す。参照されるタンパク質及び/又は阻害性RNAを発現する遺伝子の組み合わせを用いた遺伝子治療のために、記載される複数のウイルスが、遺伝子治療の方法において哺乳動物に投与される。したがって、本開示は、1又は複数の遺伝子、阻害性RNA、又は阻害タンパク質を含む複数のウイルスを投与する方法を提供し、その例及び組み合わせ、特に、加齢関連疾患又は症状を治療又は予防するための例及び組み合わせは、以下に規定される。
【0081】
グループ1では、ウイルス1は対照としてAAV8-GFPを含み、ウイルス2は対照としてAAV9:GFPを含む。
【0082】
グループ2では、単一の遺伝子を含む単一のウイルスであるGDF15が、遺伝子治療の方法において哺乳動物に投与される。
【0083】
グループ3では、ウイルス1はTERTを含み、ウイルス2はBubR1を含む。
【0084】
グループ4では、ウイルス1はGDF15を含み、ウイルス2はTERTを含み、ウイルス3はBubR1を含む。
【0085】
グループ5では、ウイルス1はGDF15を含み、ウイルス2はTERTを含み、ウイルス3はFGF21を含み、ウイルス4はBubR1を含む。
【0086】
グループ6では、ウイルス1はGDF15を含み、ウイルス2はTERTを含み、ウイルス3はFGF21を含み、ウイルス4はKlothoを含み、ウイルス5はBubR1を含む。
【0087】
グループ7では、ウイルス1はBubR1、p2A、及びPar4を含み、ウイルス2はCis2dを含み、ウイルス3はTxn1を含み、ウイルス4はFGF21を含み、ウイルス5はBubR1を含み、ウイルス6はAgtr1a、ikbkb、及びmTORを含み、ウイルス7はNudt1を含み、ウイルス8はSlc13a5及びpappaを含み、ウイルス9はCoq7、ASdcy5、及びAgtr1aを含み、ウイルス10はCtf1/akt1を含む。
【0088】
グループ8では、ウイルス1はFGF21を含み、ウイルス2はNrf2を含み、ウイルス3はsTGFbR2-Fcを含み、ウイルス4はHAS2を含み、ウイルス5はNudt1、ウイルス6はTERT、ウイルス7はBubR1、p2A及びPar4を含み、ウイルス8はUbd及びDgat1を含み、ウイルス9はCtf1及びCoq7を含み、ウイルス10はAdcy5、Agtr1a、及びmTORを含む。
【0089】
グループ9では、ウイルス1はAtg5を含み、ウイルス2はNudt1を含み、ウイルス3はAdra1a(mut)を含み、ウイルス4はNGFを含み、ウイルス5はNEU1を含み、ウイルス6はヒト化FoxP2を含み、ウイルス7はTFEBを含み、ウイルス8はPDE4b、mTOR、及びSlc13a5を含み、ウイルス9はSlc13a5、Coq7、及びAkt1を含み、ウイルス10はikbkb及びSlc13a1を含む。
【0090】
グループ10では、ウイルス1はKlothoを含み、ウイルス2はGDF15(hNAG)を含み、ウイルス3はsIGF1r-Fcを含み、ウイルス4はMt1を含み、ウイルス5はAdra1a(mut)を含み、ウイルス6はNrf2を含み、ウイルス7はRps6kb1及びPCsk9を含み、ウイルス8はPrkar2b及びDgatを含み、ウイルス9はCtf1及びCoq7を含み、ウイルス10はpappa及びikbkbを含む。
【0091】
グループ11では、ウイルス1はAtg5を含み、ウイルス2はCebpa及びCebpbを含み、ウイルス3はCtf1及びakt1を含み、ウイルス4はPck1を含み、ウイルス5はアディポネクチンを含み、ウイルス6はPcsK9を含み、ウイルス7はNrf2を含み、ウイルス8はCisd2を含み、ウイルス9はpappa及びDgatを含み、ウイルス10はCtf1、Coq7、及びmTORを含む。
【0092】
グループ12では、ウイルス1はFGF21を含み、ウイルス2はGDF15を含み、ウイルス3はKlothoを含み、ウイルス4はAdra1a(mut)を含み、ウイルス5はSirt6を含み、ウイルス6はBubr1、p2A、及びPar4を含み、ウイルス7はCoq7、Adcy5、及びAgtr1aを含み、ウイルス8はAgtr1a、ikbkb、及びmTORを含み、ウイルス9はSlc13a1、pappa、及びCtf1を含み、ウイルス10はCtf1及びSlc13a5(AAV9)を含む。
【0093】
グループ13では、ウイルス1はFGF21を含み、ウイルス2はGDF15を含み、ウイルス3はKlothoを含み、ウイルス4はTERTを含み、ウイルス5はsIGF1r-Fcを含み、ウイルス6はBubr1、p2A、及びPar4を含み、ウイルス7はRps6kb1及びPCSk9を含み、ウイルス8はAdcy5及びCoq7を含み、ウイルス9はAgtr1a及びikbkbを含み、ウイルス10はmTOR及びSlc13a1を含む。
【0094】
グループ14では、ウイルス1はKlothoを含み、ウイルス2はTxn1を含み、ウイルス3はNrf2を含み、ウイルス4はTFEBを含み、ウイルス5はsTGFbr2-Fcを含み、ウイルス6はNudt1を含み、ウイルス7はmt1を含み、ウイルス8はAtg5を含み、ウイルス9はBubr1、p2A、及びPar4を含み、ウイルス10はCtf1、Coq7、及びikbkbを含む。
【0095】
グループ15では、ウイルス1はFGF21、IRES、及びsIGF1r-Fcを含み、ウイルス2はKlothoを含み、ウイルス3はsTGFbr2-Fc、IRES、及びGDF15を含み、ウイルス4はHAS2、p2A、Mt1、及びTxn1を含み、ウイルス5はNrf2、p2A、及びmCATを含み、ウイルス6はAdra1a(mut)、p2Am、及びTFEBを含み、ウイルス7はBubr1、p2A、及びPar4を含み、ウイルス8はAtg5、p2A、Cisd2、及びNudt1を含み、ウイルス9はSirt1、p2A、及びSirt6を含み、ウイルス10はmTOR、slc13a5、pappa、ikbkb、adcy5、agtr1a、及びakt1を含む。
【0096】
グループ16では、ウイルス1はTFEB、p2A、及びAtg5を含み、ウイルス2はKlothoを含み、ウイルス3はUCP1、p2A、Cebpbeta、及びmiCebpaを含み、ウイルス4はアディポネクチン、IRES、Mt1、p2A、及びTxn1を含み、ウイルス5はNrf2、p2A、及びmCATを含み、ウイルス6はTERTを含み、ウイルス7はBubr1、p2A、及びPar4を含み、ウイルス8はTFAM、p2A、Cisd2、及びNudt1を含み、ウイルス9はNeu1、p2A、NGF、及びSirt6を含み、ウイルス10はDgat、prkar2b、insr、ubd、Coq7、Ctf1、mTOR、及びSlc13a5を含む。
【0097】
グループ17では、前記ウイルスはsTGFbR2-FC及び/又はNrf2を含む。
【0098】
グループ18では、前記ウイルスは、FGF21、TERT、BubR1、Agtra1a、Adcy5、Coq7、Slc13a1、Ikbkb、Klotho、GDF15、CTF1、mTOR、Slc13a5、Pappa、Pcsk9、及び/又はRps6kb1を含む。
【0099】
グループ19では、前記ウイルスは、FGF21、GDF15、Klotho、Adra1a(mut)、Sirt6、BubR1、Agtra1a、Adcy5、Akt1、MCAT、Slc13a1、Ikbkb、Ctf1、mTOR、Coq7、及び/又はSlc13a5を含む。
【0100】
グループ20では、前記ウイルスは、Txn1、Sirt6、Mt1、TFEB、Pck1、アディポネクチン、Cisd2、Nudt1、Atg5、Ctf1、Ikbkb、及び/又はCoq7を含む。
【0101】
グループ21では、前記ウイルスは、Fgf21、Nrf2、sTGFbR2-FC、Has2、NudT1、TERT、BubR1、Dgat1、Pappa、Ctf1、mTOR、Coq7、Slc13a5、Agtra1a、Adcy5、及び/又はAkt1を含む。
【0102】
グループ22では、前記ウイルスは、Ctf1、Coq7、Agtra1a、Adcy5、mTOR、Cisd2、MCAT、FGF21、GDF15、Klotho、Slc13a1、Ikbkb、Txn1、及び/又はSirt6を含む。
【0103】
グループ23では、前記ウイルスは、Klotho、GDF15、Neu1、Mt1、Adra1a、hFoxP2、PCSK9、Rps6kb1、Ctf1、Ikbkb、Coq7、Slc13a1、mTOR、及び/又はNudT1を含む。
【0104】
グループ24では、前記ウイルスは、Atg5、Ctf1、Akt1、BubR1、Pck1、アディポネクチン、TERT、Nrf2、Cisd2、Dgat1、Pappa、Ctf1、mTOR、Coq7、及び/又はSlc13a5を含む。
【0105】
グループ25では、前記ウイルスは、FGF21及び/又はBMP2を含む。
【0106】
グループ26では、前記ウイルスは、FGF21及び/又はBMP4を含む。
【0107】
グループ27では、前記ウイルスは、FGF21及び/又はSema3aを含む。
【0108】
グループ28では、前記ウイルスは、FGF21、BMP2、及び/又はBMP4を含む。
【0109】
グループ29では、前記ウイルスは、FGF21、BMP2、及び/又はSema3aを含む。
【0110】
グループ30では、前記ウイルスは、FGF21、BMP4、及び/又はSema3aを含む。
【0111】
グループ31では、前記ウイルスは、FGF21、BMP2、BMP4、及び/又はSema3aを含む。
【0112】
グループ32では、前記ウイルスは、FGF21及びKlothoを含む。
【0113】
グループ33では、前記ウイルスは、FGF21及びsTGFbR2-FCを含む。
【0114】
グループ34では、前記ウイルスは、Klotho及びsTGFbR2-FCを含む。
【0115】
グループ35では、前記ウイルスは、FGF21、Klotho、及びsTGFbR2-Fcを含む。
【0116】
標的遺伝子に対するPri-miRNA/shRNAを用いた遺伝子治療
本開示では、一次miRNA分子(pri-miRNA)及び/又はショートヘアピン(shRNA)を発現する遺伝子構築物を用いて、標的遺伝子の発現が阻害又は減弱される。単一のpri-miRNAには1~6のmiRNA前駆体が含まれていてもよく、該pri-miRNAはプロセシングされてmiRNAを産生し、miRNAは核から細胞質に輸送されてそこで標的RNAの発現を停止させる。例示的なヘアピンループ構造は、それぞれ約70ヌクレオチドから構成される。各ヘアピンは効率的なプロセシングに必要な配列に隣接している。
【0117】
pri-miRNAにおけるヘアピンの二本鎖RNA(dsRNA)構造は、DiGeorge症候群との関連で命名されたDiGeorge Syndrome Critical Region8(DGCR8又は無脊椎動物における「Pasha」)として知られる核タンパク質によって認識される。DGCR8は、RNAを切断するタンパク質である酵素Droshaと会合して、マイクロプロセッサ複合体を形成する。Lee、Y.et al.、Nature 425(6956):415-9(2003);Gregory RI.et al.(2006)Methods Mol.Biol.342:33-47を参照。この複合体では、DGCR8はDroshaの触媒性RNaseIIIドメインを配向させ、ヘアピン塩基から約11ヌクレオチドのRNAを切断することによりpri-miRNAからヘアピンを遊離させる(1本のらせん状のdsRNAがステムになる)。Han、J et al.(2004)Genes&Development 18(24):3016-27;Han、J.et al.(2006)Cell 125(5):887-901を参照。得られた生成物は、その3′末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有し、3′ヒドロキシル基及び5′ホスフェート基を有する。それはしばしばpre-miRNA(前駆体-miRNA)と称される。効率的なプロセシングにとって重要なpre-miRNAの下流の配列モチーフが同定されている。Conrad、T.et al.、Cell Reports 9(2):542-554;Auyeung、V.et al.(2013)Cell 152(4):844-858;Ali、P.S.et al.(2012)FEBS Letters 586(22):3986-90。
【0118】
マイクロプロセッサ複合体をバイパスしてイントロンから直接スプライシングされるPre-miRNAは、「ミュートロン(mirtron)」として知られている。もともと、ショウジョウバエと線虫にのみ存在すると考えられていたミュートロンは、現在、哺乳動物に見出されている。Berezikov E.et al.、2007、「Mammalian mirtron genes」、Mol.Cell 28(2):328-36を参照。
【0119】
pre-miRNAの16%が核RNA編集によって変更される可能性がある。Kawahara Y.et al.(2008)Nucleic Acids Res.36(16):5270-80;Winter J.et al.(2009)Nat.Cell Biol.11(3):228-34;Ohman M.(2007)Biochimie 89(10):1171-6を参照。最も一般的には、RNA(ADAR)に作用するアデノシンデアミナーゼとして知られている酵素は、アデノシンからイノシン(AからI)への転移を触媒する。RNA編集は、核プロセシング(例えば、リボヌクレアーゼTudor-SNによる分解をもたらすpri-miR-142の核プロセシング)を停止させ、(例えば、中枢神経系におけるmiR-376のシード領域を変化させることにより)細胞質miRNAプロセシング及び標的特異性を含む下流プロセスを改変することができる。Kawahara Y、et al.(2008)Nucleic Acids Res.36(16):5270-80を参照。
【0120】
Pre-miRNAヘアピンは、核-細胞質シャトルタンパク質であるExportin-5が関与するプロセスにおいて核から輸送される。このタンパク質は、カリオフェリンファミリーのメンバーであり、RNaseIII酵素mirtronDroshaによってpre-miRNAヘアピンの3′末端に残された2ヌクレオチドのオーバーハングを認識する。Exportin-5媒介性の細胞質への輸送は、Ranタンパク質に結合したGTPを用いる、エネルギー依存性である。Murchison E.P.et al.(2004)Curr.Opin.Cell Biol.16(3):223-9を参照。
【0121】
細胞質において、pre-miRNAヘアピンはRNaseIII酵素であるDicerによって切断される。Lund E.et al.(2006)Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.71:59-66を参照。このエンドリボヌクレアーゼは、前記ヘアピンの5′末端及び3′末端と相互作用して(Park、J.E.et al.(2011)Nature 475(7355):201-5を参照)、3′アームと5′アームを連結するループを切断し、約22ヌクレオチド長の不完全なmiRNA:miRNA*二本鎖を生じる。Lund E.et al.(2006)Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.71:59-66を参照。全体のヘアピンの長さ及びループサイズはDicerプロセシングの効率に影響する。miRNA:miRNA*ペアの不完全な性質も切断に影響する。Lund E.et al、(2006)Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.71:59-66;Ji X(2008)Current Topics in Microbiology and Immunology 320:99-116を参照。Gリッチなpre-miRNAのいくつかは、標準的なステムループ構造の代替物として、潜在的にG四重鎖構造をとり得る。例えば、ヒトpre-miRNA 92bは、細胞質におけるDicer介在性切断に耐性であるG四重鎖構造をとる。Mirihana A.et al.(2015)Chem.Biol.22:262-272を参照。二本鎖のいずれの鎖も潜在的に機能的miRNAとして作用する可能性があるが、miRNA及びそのmRNA標的が相互作用するRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)には、通常、一本の鎖のみが組み込まれる。
【0122】
機能性タンパク質のCas9媒介調節による遺伝子治療
本開示はまた、転写制御因子と共にCas9/ガイドRNAシステムを用いて、本明細書に記載の標的遺伝子及びそれらの対応する機能性タンパク質を調節する方法を提供する。当業者は、本明細書に記載の標的遺伝子を含む標的核酸と共局在化複合体を形成するための適切なガイドRNAを設計可能であろうことを理解されたい。
【0123】
Cas9 DNA結合タンパク質
RNA誘導型DNA結合タンパク質は、様々な目的のためにDNAに結合することが当業者には容易に知られている。そのようなDNA結合タンパク質は、天然に存在し得る。ヌクレアーゼ活性を有するDNA結合タンパク質は当業者に公知であり、例えば、II型CRISPRシステムに存在するCas9タンパク質など、ヌクレアーゼ活性を有する天然に存在するDNA結合タンパク質を含む。このようなCas9タンパク質及びII型CRISPRシステムは、当技術分野で十分に報告されている。参照によりその全体が本明細書に取り込まれるすべての補足情報を含む、Makarova et al.、Nature Reviews、Microbiology、Vol.9、June 2011、pp.467-477参照。そのようなRNA誘導型DNA結合タンパク質は、RNA誘導型DNA結合タンパク質のヌクレアーゼへの移動を容易にするために当該タンパク質に結合された1又は複数の核局在化シグナルを含み得る。
【0124】
一般に、細菌及び古細菌のCRISPR-Casシステムは、Casタンパク質と複合体を形成する短いガイドRNAに依存して、侵入外来核酸内に存在する相補的配列の分解を指示する。Deltcheva、E.et al.(2011)Nature 471、602-607;Gasiunas、G.et al.(2012)Proc Natl Acad Sci USA 109、E2579-2586;Jinek、M.et al.(2012)Science 337、816-821;Sapranauskas、R.et al.(2011)Nucleic Acids Res 39:9275-9282;及びBhaya、D.et al.(2011)Ann Rev Gen 45:273-297を参照。S.pyogenes II型CRISPRシステムの最近のインビトロ再構成は、通常はトランスコードされるtracrRNA(「トランス活性化CRISPR RNA」)に融合したcrRNA(「CRISPR RNA」)により、Cas9タンパク質に、crRNAと一致する標的DNA配列を配列特異的に切断させるのに十分であることが示された。標的部位に相同なgRNAを発現させると、Cas9の補充及び標的DNAの分解が起こる。H.Deveau et al.(2008)J Bact 190、1390を参照。さらなる有用なCasタンパク質は、S.thermophilis又はS.aureus由来である。
【0125】
CRISPRシステムの3つのクラスが一般に知られており、I型、II型、又はIII型と呼ばれる。ある態様によれば、dsDNAを切断するための本開示の特定の有用な酵素は、II型に共通の単一エフェクター酵素Cas9である。K.S.Makarova et al.(2011)Nature Rev Microbiol 9:467を参照。すべての刊行物は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0126】
S.pyogenesにおいて、Cas9は、タンパク質中の2つの触媒ドメインであるDNAの相補鎖を切断するHNHドメイン及び非相補鎖を切断するRuvC様ドメインによって媒介されるプロセスを介して、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3bp上流に平滑末端二本鎖切断を生じさせる。その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Jinek et al.(2012)Science 337、816-821を参照。Cas9タンパク質は、多くのII型CRISPRシステムに存在することが知られており、Makarova et al.、Nature Reviews、Microbiology、Vol.9、June 2011、pp.467-477の補足情報に記載されている以下を含む:Methanococcus maripaludis C7;Corynebacterium diphtheriae;Corynebacterium efficiens YS-314;Corynebacterium glutamicum ATCC 13032 Kitasato;Corynebacterium glutamicum ATCC 13032 Bielefeld;Corynebacterium glutamicum R;Corynebacterium kroppenstedtii DSM 44385;Mycobacterium abscessus ATCC 19977;Nocardia farcinica IFM10152;Rhodococcus erythropolis PR4;Rhodococcus jostii RHA1;Rhodococcus opacus B4 uid36573;Acidothermus cellulolyticus 11B;Arthrobacter chlorophenolicus A6;Kribbella flavida DSM 17836 uid43465;Thermomonospora curvata DSM 43183;Bifidobacterium dentium Bd1;Bifidobacterium longum DJO10A;Slackia heliotrinireducens DSM 20476;Persephonella marina EX H1;Bacteroides fragilis NCTC 9434;Capnocytophaga ochracea DSM 7271;Flavobacterium psychrophilum JIP02 86;Akkermansia muciniphila ATCC BAA 835;Roseiflexus castenholzii DSM 13941;Roseiflexus RS1;Synechocystis PCC6803;Elusimicrobium minutum Pei191;uncultured Termite group 1 bacterium phylotype Rs D17;Fibrobacter succinogenes S85;Bacillus cereus ATCC 10987;Listeria innocua;Lactobacillus casei;Lactobacillus rhamnosus GG;Lactobacillus salivarius UCC118;Streptococcus agalactiae A909;Streptococcus agalactiae NEM316;Streptococcus agalactiae 2603;Streptococcus dysgalactiae equisimilis GGS 124;Streptococcus equi zooepidemicus MGCS10565;Streptococcus gallolyticus UCN34 uid46061;Streptococcus gordonii Challis subst CH1;Streptococcus mutans NN2025 uid46353;Streptococcus mutans;Streptococcus pyogenes M1 GAS;Streptococcus pyogenes MGAS5005;Streptococcus pyogenes MGAS2096;Streptococcus pyogenes MGAS9429;Streptococcus pyogenes MGAS10270;Streptococcus pyogenes MGAS6180;Streptococcus pyogenes MGAS315;Streptococcus pyogenes SSI-1;Streptococcus pyogenes MGAS10750;Streptococcus pyogenes NZ131;Streptococcus thermophiles CNRZ1066;Streptococcus thermophiles LMD-9;Streptococcus thermophiles LMG 18311;Clostridium botulinum A3 Loch Maree;Clostridium botulinum B Eklund 17B;Clostridium botulinum Ba4 657;Clostridium botulinum F Langeland;Clostridium cellulolyticum H10;Finegoldia magna ATCC 29328;Eubacterium rectale ATCC 33656;Mycoplasma gallisepticum;Mycoplasma mobile 163K;Mycoplasma penetrans;Mycoplasma synoviae 53;Streptobacillus moniliformis DSM 12112;Bradyrhizobium BTAi1;Nitrobacter hamburgensis X14;Rhodopseudomonas palustris BisB18;Rhodopseudomonas palustris BisB5;Parvibaculum lavamentivorans DS-1;Dinoroseobacter shibae DFL 12;Gluconacetobacter diazotrophicus Pal 5 FAPERJ;Gluconacetobacter diazotrophicus Pal 5 JGI;Azospirillum B510 uid46085;Rhodospirillum rubrum ATCC 11170;Diaphorobacter TPSY uid29975;Verminephrobacter eiseniae EF01-2;Neisseria meningitides 053442;Neisseria meningitides alpha14;Neisseria meningitides Z2491;Desulfovibrio salexigens DSM 2638;Campylobacter jejuni doylei 269 97;Campylobacter jejuni 81116;Campylobacter jejuni;Campylobacter lari RM2100;Helicobacter hepaticus;Wolinella succinogenes;Tolumonas auensis DSM 9187;Pseudoalteromonas atlantica T6c;Shewanella pealeana ATCC 700345;Legionella pneumophila Paris;Actinobacillus succinogenes 130Z;Pasteurella multocida;Francisella tularensis novicida U112;Francisella tularensis holarctica;Francisella tularensis FSC 198;Francisella tularensis;Francisella tularensis WY96-3418;及びTreponema denticola ATCC 35405。文献において、Cas9タンパク質は、当業者によりCsn1とも呼ばれる。例示的なS.pyogenes Cas9タンパク質の配列は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Deltcheva et al.(2011)Nature 471、602-607に規定されている。
【0127】
Cas9タンパク質の改変は、本開示の代表的な実施形態である。本開示において有用なCRISPRシステムは、Barrangou、R.et al.(2012)Ann Rev Food Sci Technol.3:143及びWiedenheft、B.et al.(2012)Nature 482、331に記載されており、これらの各文献は参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0128】
特定の態様によれば、DNA結合タンパク質は、ヌクレアーゼ活性を不活性化するように変更されるか改変される。そのような変更又は改変には、ヌクレアーゼ活性又はヌクレアーゼドメインを不活性化するための1又は複数のアミノ酸の改変が含まれる。そのような改変には、ヌクレアーゼ活性を示す1又は複数のポリペプチド配列、すなわちヌクレアーゼドメインには、DNA結合タンパク質が存在しないように、前記ヌクレアーゼ活性を示す1又は複数のポリペプチド配列、すなわちヌクレアーゼドメインを除去することが含まれる。ヌクレアーゼ活性を不活性化する他の改変は、本開示に基づいて当業者には容易に明らかであろう。したがって、ヌクレアーゼ欠損DNA結合タンパク質は、ヌクレアーゼ活性を不活性化するよう改変されたポリペプチド配列又はヌクレアーゼ活性を不活性化するための1又は複数のポリペプチド配列の除去を含む。ヌクレアーゼ活性が不活性化されている場合でも、ヌクレアーゼ欠損DNA結合タンパク質はDNAに結合する能力を保持している。したがって、DNA結合タンパク質は、DNA結合に必要な1又は複数のポリペプチド配列を含むが、ヌクレアーゼ活性を示すヌクレアーゼ配列の1又は複数若しくは全てを欠いていてもよい。したがって、DNA結合タンパク質は、DNA結合に必要な1又は複数のポリペプチド配列を含むが、不活性化されたヌクレアーゼ活性を示すヌクレアーゼ配列の1又は複数若しくは全てが不活性化されていてもよい。Jinek et al.(2012)Science 337、816-821を参照。ヌクレアーゼ活性を欠くCas9タンパク質は、ヌクレアーゼ欠損Cas9(「Cas9Nuc」)と呼ばれ、ヌクレアーゼ活性の低下又は除去を示すか、又はヌクレアーゼ活性が検出レベル内に存在しないか又は実質的に存在しない。この態様によれば、Cas9Nucについてのヌクレアーゼ活性は、既知のアッセイでは検出できない、すなわち既知のアッセイの検出レベル未満であることがある。
【0129】
ある態様によれば、Cas9タンパク質は、S.thermophiles又はS.pyogenes由来の天然に存在するCas9及び当該タンパク質に少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有し、RNA誘導型DNA結合タンパク質などのDNA結合タンパク質であるタンパク質配列に対して定義される配列含む。
【0130】
例示的なCRISPRシステムには、S.Thermophiles Cas9ヌクレアーゼ(ST1 Cas9)(その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Esvelt、K.M.et al.(2013)Nature Methods.10(11):1116-21を参照)が含まれる。例示的CRISPRシステムには、II型CRISPR関連システムから単離された極めて親和性の高い(参照によりその全体が本明細書に取り込まれる、Sternberg、S.H.、et al.(2014)Nature 507、62-67を参照)、プログラム可能なDNA結合タンパク質(参照によりその全体が本明細書に取り込まれる、Garneau、J.E.et al.(2010)Nature 468、67-71及びJinek、M.et al.(2012)Science 337、816-821を参照)である、前記S.pyogenes Cas9ヌクレアーゼ(Sp.Cas9)を含む。様々なCasタンパク質が当業者に知られており、CasI(Cas3)、Cas IA(Cas8a)、CasIB(Cas8b)、CasIC(Cas8c)、CasID(Cas10d)、CasIE(Cse1)、CasIF(Csy1)、CasIU、CasII(Cas9)、CasIIA(Csn2)、CasIIB(Cas4)、CasIIC、CasIII(Cas10)、CasIIIA(Csm2)、CasIIIB(Cmr5)、CasIIIC、CasIIID、CasIV(Csf1)、CasIVA、CasIVB、CasV(Cpf1)、C2c2、及びC2c1などが含まれる。
【0131】
多数のCRISPRに基づくバイオテクノロジーアプリケーションにおいて(各々が参照によりその全体が本明細書に取り込まれる、Mali、P.et al.(2013)Nature Methods 10:957-963;Hsu、P.D.et al.(2014)Cell 157、1262-1278;Chen、B.et al.(2013)Cell 155:1479-1491;Shalem、O.et al.(2014)Science 343、84-87;Wang、T.et al.(2014)Science 343:80-84;Nissim、L.et al.(2014)Molecular Cell 54:698-710;Ryan、O.W.et al.(2014)eLife 3;Gilbert、L.A.et al.(2014)Cell 159(3):647-61;及びCitorik、R.J.et al.(2014)Nature Biotechnol.32:1141-1145を参照)、前記ガイドはしばしば、いわゆるsgRNA(一本鎖ガイドRNA)と呼ばれ、2つの天然Cas9 RNA補因子(gRNA及びtracrRNA)は、操作されたループ又はリンカーを介して融合される。
【0132】
ある態様によれば、Cas9タンパク質は、酵素的に活性なCas9タンパク質、Cas9タンパク質野生型タンパク質、Cas9タンパク質ニッカーゼ、又はヌクレアーゼ欠損Cas9タンパク質若しくはヌクレアーゼ欠失Cas9タンパク質である。さらなる例示的なCas9タンパク質には、転写活性化因子又は転写抑制因子などの転写調節因子などの機能性タンパク質に結合、結合、又は融合したCas9タンパク質が含まれる。
【0133】
特定の態様によれば、Cas9タンパク質は、注射又はリポフェクションを含む当業者に公知の方法によって、又はその同族mRNAから翻訳されるか、その同族DNAからmRNAに転写されて(その後、タンパク質に翻訳される)、直接的に細胞に送達され得る。Cas9 DNA及びmRNAは、エレクトロポレーション、一過性かつ安定したトランスフェクション(リポフェクションを含む)、及びウイルス形質導入、又は当業者に公知の他の方法を介して、それ自体が細胞に導入され得る。
【0134】
ガイドRNA
本開示は、本明細書に記載のようにCasタンパク質を標的遺伝子に標的化するためのガイドRNAの使用を提供する。そのようなガイドRNAは、当業者が特定の標的核酸を知っている場合、容易に設計可能である。ガイドRNAは、スペーサー配列、tracrメイト配列、及びtracr配列のうち1又は複数を含み得る。スペーサー配列という用語は、当業者には理解されており、標的核酸配列とハイブリダイズし、標的配列にCRISPR複合体を配列特異的に結合させるために十分な標的核酸配列との相補性を有する、任意のポリヌクレオチドを含み得る。ガイドRNAは、tracrメイト配列(crRNAと呼ばれることもある)及び別個のtracr配列に共有結合されたスペーサー配列から形成可能であり、ここで、tracrメイト配列は、tracr配列の一部にハイブリダイズされる。特定の態様によれば、tracrメイト配列及びtracr配列は、例えばリンカー配列による共有結合などによって結合又は連結されており、この構築物は、tracrメイト配列とtracr配列との融合体と呼ばれることがある。本明細書に記載されるリンカー配列は、tracrメイト配列とtracr配列とを連結する、本明細書で核酸配列と呼ばれるヌクレオチドの配列である。したがって、ガイドRNAは、2成分種(すなわち、共にハイブリダイズする別個のcrRNA及びtracr RNA)又は単分子種(すなわち、しばしばsgRNAと称される、crRNA-tracr RNA融合体)であってもよい。
【0135】
特定の態様によれば、ガイドRNAは約10~約500ヌクレオチド長である。ある態様によれば、ガイドRNAは、約20~約100ヌクレオチド長である。特定の態様によれば、スペーサー配列は、約10~約500ヌクレオチド長である。特定の態様によれば、tracrメイト配列は約10~約500ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、tracr配列は約10~約100ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、リンカー核酸配列は、約10~約100ヌクレオチド長である。
【0136】
いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、注射又はリポフェクションを含む当業者に公知の方法により天然種として、又はその同族DNAから転写されて細胞に直接的に送達されてもよく、同族DNAは、エレクトロポレーション、一過性かつ安定したトランスフェクション(リポフェクションを含む)、及びウイルス形質導入により細胞に導入される。
【0137】
Cas9を用いた標的遺伝子の転写の改変
ある態様によれば、ヌクレアーゼ欠損Cas9又はガイドRNAに転写制御ドメインを繋留又は結合することによって、ヒト細胞などの細胞においてRNA誘導型DNA調節を可能にする改変Cas9-gRNAシステムが提供される。本開示のある態様によれば、ヌクレアーゼ欠失Cas9又は1又は複数のガイドRNA(gRNA)に、1又は複数の転写調節タンパク質又はドメイン(これらの用語は互換的に使用される)が連結又は結合される。転写調節ドメインは標的遺伝子座に対応する。したがって、本開示の態様は、Cas9N又はgRNAのいずれかに転写調節ドメインを融合、結合、又は連結することによって、これら転写調節ドメインを標的遺伝子座に局在化させるための方法及び材料を含む。
【0138】
ある態様によれば、転写活性化が可能な変異型Cas9N融合タンパク質が提供される。ある態様によれば、VP64活性化ドメイン(その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Zhang et al.、Nature Biotechnology 29、149-153(2011)参照)は、変異型Cas9NのC末端に連結、融合、結合、又は繋留される。ある方法によれば、転写調節ドメインは、変異型vCas9Nタンパク質によって標的ミトコンドリアDNAの部位に提供される。ある方法によれば、転写調節ドメインに融合された変異型Cas9Nが、1又は複数のガイドRNAと共に細胞内に提供される。転写調節ドメインが融合された変異型Cas9Nは、標的ミトコンドリアDNA又はその近くに結合する。1又は複数のガイドRNAは、標的ミトコンドリアDNA又はその近くに結合する。転写調節ドメインは、標的ミトコンドリア核酸配列の発現を調節する。特定の態様によれば、変異型Cas9N-VP64融合体は、プロモーター付近の配列を標的とするgRNAと組み合わせた場合にレポーター構築物の転写を活性化し、それによってRNA誘導型転写活性化を示した。
【0139】
ある態様によれば、転写活性化が可能なgRNA融合タンパク質が提供される。ある態様によれば、VP64活性化ドメインは、gRNAと連結、融合、結合、又は繋留される。ある方法によれば、転写調節ドメインは、gRNAによって標的ミトコンドリアDNAの部位に提供される。ある方法によれば、転写調節ドメインに融合されたgRNAが、変異型Cas9Nタンパク質とともに細胞内に提供される。変異型Cas9Nは、標的DNA又はその近くに結合する。転写調節タンパク質又はそれに融合されたドメインを有する1又は複数のガイドRNAは、標的DNA又はその近くに結合する。転写調節ドメインは、標的遺伝子の発現を調節する。特定の態様によれば、変異型Cas9Nタンパク質及び転写調節ドメインと融合したgRNAは、レポーター構築物の転写を活性化し、それによってRNA誘導型転写活性化を示した。
【0140】
転写活性化因子である転写調節タンパク質又はドメインは、VP16及びVP64、並びに本開示に基づいて当業者によって容易に同定され得る他のものを含む。例えば、治療的効果又は予防的効果のために組み合わせて使用される本明細書に規定される標的遺伝子の発現を増加又は減少させるために使用され得る、Cas9-gRNAシステム(インタクトな切断を有するシステム、又はVP16、KRAB、HDAC、メチルトランスフェラーゼなどに融合されているか若しくはされていない、又は「スパイキャッチャー」又はMS2リクルートドメイン若しくは類似するドメインを有する同様の活性化因子又は抑制因子を動員し得るdCas9を有するシステム)を当業者は使用可能であろう。
【0141】
標的核酸
標的核酸は、本明細書で同定される遺伝子などの、本明細書に記載の共局在化複合体が調節に有用であり得る任意の核酸配列を含む。標的核酸は、タンパク質に発現され得る核酸配列を含む。本開示の目的のために、共局在化複合体は、標的核酸上で共局在化複合体が所望の効果を有するように、標的核酸の位置で、標的核酸に隣接して、又は標的核酸の近傍で、標的核酸に結合するか標的核酸と共局在化し得る。本開示に基づく当業者は、標的核酸に共局在化するガイドRNA及びCas9タンパク質を容易に同定又は設計可能であろう。当業者はさらに、同様に標的調節核酸に共局在化する転写調節タンパク質又はドメインを同定可能であろう。
【0142】
細胞
本開示による細胞には、本明細書に記載のように外来核酸を導入して発現させることができる任意の細胞が含まれる。本明細書に記載される本開示の基本的概念は、細胞の種類によって制限されないことを理解されたい。本開示による細胞には、真核細胞、哺乳動物細胞、動物細胞、及びヒト細胞などが含まれる。さらに、細胞には、機能性タンパク質の産生を調節することが有益であるか又は望ましいと考えられるものが含まれる。そのような細胞には、疾患又は有害な症状をもたらす特定のタンパク質の発現を欠く細胞が含まれ得る。そのような疾患又は有害な症状は、当業者に容易に知られている。本開示によれば、特定のタンパク質の発現を担う核酸は、本明細書に記載される方法により、標的核酸の上方制御及び特定のタンパク質の対応する発現をもたらす転写活性化因子によって標的化され得る。このようにして、本明細書に記載の方法は、治療的処置を提供する。そのような細胞は、特定のタンパク質を過剰発現するもの、又は特定のタンパク質の産生が疾患又は有害な症状の誘導の低減が望まれるものを含み得る。そのような疾患又は有害な症状は、当業者に容易に知られている。本開示によれば、特定のタンパク質の発現を担う核酸は、本明細書に記載される方法、並びに標的核酸の下方制御及び特定のタンパク質の対応する発現をもたらす転写抑制因子によって標的化され得る。このようにして、本明細書に記載の方法は、治療的処置を提供する。
【0143】
機能性タンパク質を調節する核酸の送達
異種核酸(すなわち、細胞の天然の核酸組成物の一部ではないもの)とも呼ばれる外来核酸は、そのような導入において当業者に公知の任意の方法を用いて細胞に導入され得る。そのような方法には、トランスフェクション、形質導入、ウイルス形質導入、マイクロインジェクション、リポフェクション、ヌクレオフェクション、ナノ粒子銃、形質転換、接合などが含まれる。当業者は容易に同定可能な文献ソースを用いてそのような方法を容易に理解し適応させるであろう。外来核酸は、静脈内投与若しくは静脈内注射、腹腔内投与若しくは腹腔内注射、筋肉内投与若しくは筋肉内注射、頭蓋内投与若しくは頭蓋内注射、眼内投与若しくは眼内注射、皮下投与若しくは皮下注射などによる対象に対する全身投与などによって、本明細書に記載の核酸を含む核酸又はベクターを対象に投与することにより対象に送達されてもよい。
【0144】
例えば、アデノ随伴ウイルスを使用した遺伝子治療法及び対象への遺伝子送達方法は、それぞれが参照によりその全体が本明細書に取り込まれる、米国特許第6,967,018号、国際公開第2014/093622号、米国特許出願公開第2008/0175845号、米国特許出願公開第2014/0100265号、欧州特許第2432490号、欧州特許第2352823号、欧州特許第2384200号、国際公開第2014/127198号、国際公開第2005/122723号、国際公開第2008/137490号、国際公開第2013/142114号、国際公開第2006/128190号、国際公開第2009/134681号、欧州特許第2341068号、国際公開第2008/027084号、国際公開第2009/054994号、国際公開第2014059031号、米国特許第7,977,049号、及び国際公開第2014/059029号に記載されている。
【0145】
ベクター
ベクターは、本明細書に記載の方法及び構築物と共に使用することが意図される。用語「ベクター」は、それに連結されている別の核酸を輸送可能な核酸分子を含む。本明細書に記載される核酸を細胞に送達するために使用されるベクターには、当業者に公知のベクターが含まれ、そのような目的のために使用される。特定の例示的なベクターとしては、とりわけ、プラスミド、レンチウイルス、及びアデノ随伴ウイルスが挙げられ、当業者に知られている。ベクターとしては、一本鎖核酸分子、二本鎖核酸分子、若しくは部分的に二本鎖である核酸分子;1又は複数の遊離末端を含む核酸分子若しくは遊離末端を含まない(例えば、環状)核酸分子:DNA、RNA、若しくはその両方を含む核酸分子;及び当該分野で公知の他の種類のポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターの一種は、標準的な分子クローニング技術などにより、追加のDNAセグメントを挿入可能な環状二本鎖DNAループを意味する「プラスミド」である。別のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、ウイルス由来のDNA配列又はRNA配列が、ウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、複製欠損アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)にパッケージングするためのベクター中に存在する。ウイルスベクターはまた、宿主細胞へのトランスフェクションのためにウイルスが有するポリヌクレオチドを含む。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律的複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーマル哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば非エピソーマル哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれて、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。組換えDNA技術において有用な一般的な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適した形態の本発明の核酸を含み得るものであり、組換え発現ベクターが、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択され得る、発現される核酸配列に作動可能に連結された、1又は複数の調節エレメントを含むことを意味する。組換え発現ベクター内で、「作動可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列が、(例えば、インビトロ転写/翻訳系において又はベクターが宿主細胞に導入された場合には宿主細胞内で)ヌクレオチド配列の発現を可能にするような方法で調節エレメントに連結されることを意味することを意図する。
【0146】
核酸又は天然DNA結合タンパク質、天然のガイドRNA又は他の天然種の非ウイルス送達の方法としては、リポフェクション、マイクロインジェクション、遺伝子銃、ビロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオン又は脂質:核酸複合体(conjugate)、ネイキッドDNA、人工ビリオン、及び薬剤により増強されたDNAの取り込みが挙げられる。リポフェクションは、例えば、参照により本明細書に取り込まれる、米国特許第5,049,386号、同4,946,787号、及び同4,897,355号に記載されている。リポフェクション試薬は、市販の供給源から入手可能である(例えば、Transfectam(商標)及びLipofectin(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適しているカチオン性脂質及び中性脂質としては、Felgner、国際公開第91/17424号、国際公開第91/16024号に記載のものが挙げられる。細胞(例えば、インビトロ投与又はエクスビボ投与)又は標的組織(例えば、インビボ投与)に対して送達可能である。用語「天然」には、タンパク質、酵素、又はガイドRNA種自体が含まれ、これらの種をコードする核酸は含まれない。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法で使用するための遺伝子治療ベクターは、哺乳動物細胞におけるポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素をコードするヌクレオチド配列の導入及び/又は発現のためのベクターとして使用するための、動物パルボウイルスなどのパルボウイルスベクター、特に感染性ヒトアデノ随伴ウイルス(AAV)又は感染性サルアデノ随伴ウイルス(AAV)などのディペンドウイルス及びその成分(例えば、動物パルボウイルスゲノム)である。パルボウイルス科のウイルスは、小DNA動物ウイルスである。パルボウイルス科は、脊椎動物に感染するパルボウイルス亜科(Parvovirinae)及び昆虫に感染するデンソウイルス亜科(Densovirinae)の2つのサブファミリーに分けられる。パルボウイルス亜科のメンバーは、本明細書中ではパルボウイルスと呼ばれ、ディペンドウイルス属を含む。それらの属名から推測されるように、ディペンドウイルスのメンバーは、細胞培養における生産的感染のためにアデノウイルス又はヘルペスウイルスなどのヘルパーウイルスとの共感染を通常必要とする点に特徴がある。ディペンドウイルス属には、ヒト(例えば、血清型1、2、3A、3B、4、5、及び6)又は霊長類(例えば、血清型1及び4)に通常は感染するAAV、及び他の温血動物に感染する近縁ウイルス(例えば、ウシ、イヌ、ウマ、及びヒツジのアデノ随伴ウイルス)が含まれる。パルボウイルス及びパルボウイルス科の他のメンバーに関するさらなる情報は、Kenneth 1.Berns、Fields Virology(第3版、1996)、69章、「Parvoviridae:The Viruses and Their Replication」に記載されている。便宜上、本発明はAAVを参照して本明細書においてさらに例示及び記載される。しかし、本発明はAAVに限定されず、他のパルボウイルスにも同様に適用できることが理解される。
【0148】
全ての既知のAAV血清型のゲノム構成は非常に類似している。AAVのゲノムは、長さが約5,000ヌクレオチド(nt)未満の直鎖状の一本鎖DNA分子である。末端逆位配列(ITR)は、非構造複製(Rep)タンパク質及び構造(VP)タンパク質のための固有のコードヌクレオチド配列に隣接している。VPタンパク質(VP1、VP2、及びVP3)がキャプシドを形成する。末端の145ntは、自己相補的であり、T字型ヘアピンを形成するエネルギー的に安定な分子内二重鎖が形成され得るように構成されている。これらのヘアピン構造は、ウイルスDNA複製起点として機能し、細胞DNAポリメラーゼ複合体のプライマーとして機能する。哺乳動物細胞における野生型(wt)AAV感染に続いて、Rep遺伝子(すなわち、Rep78及びRep52)がそれぞれP5プロモーター及びP19プロモーターから発現され、両方のRepタンパク質はウイルスゲノムの複製において機能を有する。Rep ORFにおけるスプライシング事象により、実際には4種のRepタンパク質(すなわち、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40)が発現される。しかしながら、Rep78タンパク質及びRep52タンパク質をコードするスプライシングされていないmRNAは、哺乳動物細胞においてAAVベクター産生に十分であることが示されている。昆虫細胞においても、Rep78タンパク質及びRep52タンパク質はAAVベクター産生に十分である。
【0149】
本明細書において「組換えパルボウイルス」、「AAVベクター」、又は「rAAVベクター」は、少なくとも1つのパルボウイルス又はAAV末端逆位反復配列と隣接する、目的のポリヌクレオチド配列(ITR)、目的の遺伝子、又は「導入遺伝子」の1又は複数を含むベクターを指す。このようなrAAVベクターは、AAVのrep及遺伝子産物びcap遺伝子産物(すなわち、AAVのRepタンパク質及びCapタンパク質)を発現する昆虫宿主細胞中に存在する場合、複製されて感染性ウイルス粒子にパッケージングされ得る。rAAVベクターがより大きな核酸構築物(例えば、染色体、又はクローニング又はトランスフェクションに使用されるプラスミド又はバキュロウイルスなどの別のベクター)に組み込まれる場合、rAAVベクターは通常「プロベクター」と呼ばれ、AAVパッケージング機能及び必要なヘルパー機能の存在下で、複製及びキャプシド形成によって「レスキューされる」ことが可能である。したがって、さらなる態様において、本発明は、上記のように定義されたポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築物に関し、前記核酸構築物は、組換えパルボウイルス又はAAVベクターであり、少なくとも1つのパルボウイルス又はAAV ITRを含む。好ましくは、核酸構築物において、ポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素をコードするヌクレオチド配列は、パルボウイルス又は両側のAAV ITRと隣接する。
【0150】
AAVは、多くの哺乳動物細胞に感染可能である。例えば、Tratschin et al.(1985)Mol.Cell Biol.5:3251-3260)及びGrimm et al.(1999)Hum.Gene Ther.10:2445-2450)を参照。しかし、ヒト滑膜線維芽細胞のAAV形質導入は、類似のマウス細胞よりも有意により効率的であり(Jennings et al.(2001)Arthritis Res、3:1)、AAVの細胞指向性は血清型によって異なる。例えば、哺乳類CNS細胞指向性及び形質導入効率に関するAAV2、AAV4、及びAAV5間の差異を検討したDavidson et al.(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、97:3428-3432、及びAAV指向性の改変へのアプローチを検討したGoncalves、(2005)Virol J.2(1):43を参照。いくつかの実施形態では、肝細胞の形質導入のために、AAV1キャプシドタンパク質、AAV8キャプシドタンパク質、及びAAV5キャプシドタンパク質を有するrAAVビリオンが好ましく(Nathwani et al.(2007)Blood 109(4):1414-1421;Kitajima et al.(2006)Atherosclerosis 186(1):65-73)、そのうちAAV5キャプシドタンパク質を有するrAAVビリオンが最も好ましいことがある。
【0151】
AAVは、ヒト集団内で最も蔓延しており(Gao、G.、et al.(2004)J Virol.78(12):6381-8及びBoutin、S.、et al.(2010)Hum Gene Ther.21(6):704-12を参照)、ウイルスベクターとして有用である。多くの血清型が存在し、それぞれが組織型に対して異なる指向性を有し(Zincarelli、C.、et al.(2008)Mol Ther.16(6):1073-80)、適切なシュードタイピングを用いて特定の組織を優先的に標的化することができる。血清型8、9、及びrh10などのいくつかの血清型は、哺乳類の体に形質導入する。Zincarelli、C.、et al.(2008)Mol Ther.16(6):1073-80、Inagaki、K.、et al.(2006)Mol Ther.14(1):45-53;Keeler、A.M.、et al.(2012)Mol Ther.20(6):1131-8;Gray、S.J.et al.(2011)Mol Ther.19(6):1058-69;Okada、H.、et al.(2013)Mol Ther Nucleic Acids.2:e95;及びFoust、K.D.、et al.(2009)Nat Biotechnol.27(1):59-65を参照。AAV9は、多くのウイルスベクターや生物製剤にはアクセスできない血液脳関門を通過することが実証されている。Foust、K.D.、et al.(2009)Nat Biotechnol.27(1):59-65;及びRahim、A.A.et al.(2011)FASEB J.25(10):3505-18)を参照。特定のAAVは、4.7~5.0kbの負荷量を有し、ウイルスパッケージングのためにcisに必要とされるウイルス末端逆位反復(ITR)を含む。すべての刊行物が参照により本明細書に取り込まれる、Wu、Z.et al.(2010)Mol Ther.18(1):80-6及びDong、J.Y.et al.(1996)Hum Gene Ther.7(17):2101-12を参照。
【0152】
AAV VPタンパク質は、AAVビリオンの細胞指向性を決定することが知られている。VPタンパク質をコードする配列は、種々のAAV血清型間でRepタンパク質及びRep遺伝子よりも著しく保存性が低い。他の血清型の対応する配列を相互補完するRep及びITR配列の能力により、ある血清型(例えばAAV5)のキャプシドタンパク質と別のAAV血清型(例えば、AAV2)のRep及び/又はITR配列とを含む偽型rAAV粒子の産生が可能になる。そのような偽型rAAV粒子は、本発明の一部である。ここで、偽型rAAV粒子は、「x/y」型と呼ばれ、「x」はITRの供給源を示し、「y」はキャプシドの血清型を示す。例えば、2/5 rAAV粒子は、AAV2由来のITR及びAAV5由来のキャプシドを有する。改変された「AAV」配列もまた、本開示の文脈において使用可能であり、例えば昆虫細胞におけるrAAVベクターの産生のために使用される。そのような改変飾配列は、例えば、AAV1 ITR、AAV2 ITR、AAV3 ITR、AAV4 ITR、AAV5 ITR、AAV6 ITR、AAV7 ITR、AAV8 ITR、AAV9 ITR、AAV10 ITR、AAV11 ITR、AAV12 ITR、AAV2.5 ITR、AAvDJ ITR、AAVrh10.XX ITR、Rep、又はVPに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又はそれ以上のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列同一性(例えば、約75%~約99%のヌクレオチド配列同一性を有する配列)を有する配列を含み、それらは野生型のAAV ITR、Rep、又はVP配列の代わりに使用可能である。好ましいアデノウイルスベクターは、宿主応答を低下させるために改変される。例えば、すべての刊行物が、参照により本明細書に取り込まれる、Russell(2000)J.Gen.Virol.81:2573-2604;米国特許出願公開第2008/0008690号、及びZaldumbide et al.(2008)Gene Therapy 15(4):239-46を参照。
【0153】
調節エレメント及びターミネーター
調節エレメントは、本明細書に記載の遺伝子治療ベクター構築物と共に使用することが意図される。用語「調節エレメント」は、プロモーター、エンハンサー、配列内リボソーム進入部位(IRES)、及びその他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル及びポリ-U配列などの転写終結シグナル)を含むことを意図する。そのような調節エレメントは、例えばGoeddel、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)に記載されている。調節エレメントは、多くの種類の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示するエレメント及び特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示するエレメント(例えば、組織特異的調節配列)を含む。組織特異的プロモーターは、筋肉、ニューロン、骨、皮膚、血液、特定の臓器(例えば、肝臓、膵臓)、又は特定の細胞型(例えば、リンパ球)などの目的の所望の組織において主に発現を指示し得る。調節エレメントはまた、細胞周期依存的又は発達段階依存的などの時間依存的に発現を指示することができ、組織又は細胞型に特異的であってもよいし、特異的でなくてもよい。いくつかの実施形態では、ベクターは、1又は複数のpol IIIプロモーター(例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上のpol IIIプロモーター)、1又は複数のpol IIプロモーター(例えば、1、2、3、4 、5、又はそれ以上のpol IIプロモーター)、1又は複数のpol Iプロモーター(例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上のpol Iプロモーター)又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。pol IIIプロモーターの例としては、これらに限定されないが、U6プロモーター及びH1プロモーターが挙げられる。pol IIプロモーターの例としては、これらに限定されないが、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意にRSVエンハンサーを有する)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(任意にCMVエンハンサーを有する(例えば、Boshart et(1985)Cell 41:521-530を参照)、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、並びに本明細書に記載のEF1αプロモーター及びPol IIプロモーターが挙げられる。用語「調節エレメント」にはまた、WPRE、CMVエンハンサー、HTLV-1のLTRにおけるR-U5′セグメント(Takebe、Y.(1988)Mol.Cell.Biol.8(1):466-472)、SV40エンハンサー、及びウサギβ-グロビンの第2エキソン及び第3エキソンの間のイントロン配列(O’Hare K.et al.(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.78(3):1527-31)などのエンハンサーエレメントも包含される。当業者は、発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望の発現のレベルなどの要因に依存し得ることを理解するであろう。ベクターを宿主細胞に導入して、本明細書に記載の核酸(例えば、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)転写物、タンパク質、酵素、それらの変異体、それらの融合タンパク質など)にコードされる融合タンパク質又は融合ペプチドを含む転写物、タンパク質、又はペプチドを産生することができる。
【0154】
本明細書に記載の方法の態様は、ターミネーター配列を利用してもよい。ターミネーター配列は、転写中にゲノムDNA中の遺伝子又はオペロンの終点を示す核酸配列の部分を含む。この配列は、転写複合体からmRNAを放出するプロセスを引き起こす新たに合成されたmRNA中のシグナルを提供することによって転写終結を媒介する。これらのプロセスには、mRNA二次構造と複合体との直接的な相互作用及び/又は動員された終結因子の間接的な活性が含まれる。転写複合体の放出により、RNAポリメラーゼ及び関連する転写機構が解放されて、新たなmRNAの転写が開始される。ターミネーター配列には、当技術分野で公知であり、本明細書において同定及び記載されるものが含まれる。
【0155】
用法、用量、及び治療
様々な実施形態では、ウイルスベクターを含む1又は複数の遺伝子送達ベクター、及びウイルスベクターを含むパッケージングされたウイルス粒子は、医薬品又は医薬組成物の形態であり得、医薬品又は医薬品又は医薬組成物の製造において使用されてもよい。医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含んでいてもよい。好ましくは、担体は、非経口投与に適している。特定の実施形態では、担体は、静脈内投与、腹腔内投与、又は筋肉内投与に適している。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、例えば、Remington:The Science及びPractice of Pharmacy、Alfonso R.Gennaro編、Publishing Company(1997)に記載されている。例示的な医薬形態は、滅菌生理食塩水、デキストロース溶液、若しくは緩衝溶液、又は他の薬学的に許容される滅菌液体と組み合わせてもよい。あるいは、例えばマイクロキャリアビーズなどの固体担体を使用してもよい。
【0156】
医薬組成物は、通常、製造及び貯蔵条件下で無菌であり安定である。医薬組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は遺伝子治療ベクターの送達に適した秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトール等のポリアルコール、又は塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。本開示のベクターは、例えば、徐放性ポリマー、又はインプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む急速放出から化合物を保護するその他の担体を含む組成物中の持続放出製剤又は制御放出製剤で投与することができる。例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及びポリ乳/ポリグリコール酸コポリマー(PLG)などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、任意の許容可能な担体と共に製剤化された遺伝子治療ベクターは、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、若しくは筋肉内投与、四肢灌流、又はこれらの組み合わせなど、非経口的に投与可能である。投与は、遺伝子送達ベクターが対象の全身に送達されるような、全身性であり得る。いくつかの実施形態において、遺伝子送達ベクターは、心臓、肝臓、滑膜への投与又は神経組織に対する髄腔内投与など、標的組織に直接投与することが可能である。いくつかの実施形態では、遺伝子送達ベクターは、カテーテルによってなど、局所的に投与可能である。投与経路は、例えば、標的組織の性質、遺伝子送達ベクター、意図する治療効果、標的組織に投与及び吸収され得る最大負荷などを考慮して、当業者により決定され得る。
【0158】
一般に、有効量、特に治療有効量の遺伝子送達ベクターが、それを必要とする対象に投与される。「治療有効量」とは、所望の治療結果、例えば加齢関連症状の治療又は改善を達成するために必要な用量及び期間において有効な量を指す。効果的又は治療上有効な量のベクターは、個体の病状、年齢、性別、及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発するウイルスベクターの能力などの因子によって変化し得る。投与計画は、最適な治療応答を提供するように調整されていてもよい。
【0159】
特定の実施形態では、核酸、核酸構築物、パルボウイルスビリオン、又は医薬組成物の治療有効量又は予防有効量の範囲は、1×1011~1×1014ゲノムコピー(gc)/kg又は1×1012~1×1013ゲノムコピー(gc)/kgである。投与量の値は、緩和すべき症状の重症度によって変化し得ることに留意されたい。投与量はまた、使用されるビリオンの効力に基づいて変化し得る。例えば、AAV8はAAV2と比較して肝臓への感染についてより優れており、AAV9はAAV8よりも脳への感染について優れている。これらの2つのケースでは、肝臓又は脳のそれぞれの場合について、より少ないAAV8又はAAV9が必要とされる。任意の特定の対象について、個人の必要性及び組成物の投与を管理又は監督する専門家の判断に従って、特定の投与計画を経時的に調整することができる。本明細書に記載の投与量範囲は、例示的なものに過ぎず、医師によって選択され得る投与量範囲を限定するものではない。
【0160】
標的組織は、例えば肝組織など、特異的であってもよく、又は筋肉組織及び肝組織など、いくつかの組織の組み合わせであってもよい。例示的な標的組織としては、肝臓、骨格筋、心筋、脂肪沈着物、腎臓、肺、血管内皮、上皮細胞、及び/又は造血細胞が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、筋肉内注射による小動物(マウス)の有効用量範囲は、1×1012~1×1013ゲノムコピー(gc)/kg、より大きな動物(ネコ又はイヌ)及びヒトでは1×1011~1×1012gc/kg又は1×1011~1×1014ゲノムコピー(gc)/kgである。
【0161】
様々な実施形態において、遺伝子送達ベクターは、急速投与として又は経時的な持続注入によって投与することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの分割用量を経時的に投与することができ、又は治療状況の緊急性によって示されるように、用量を比例的に減少又は増加させることができる。いくつかの実施形態において、遺伝子送達ベクターは、毎日、毎週、隔週、又は毎月投与することができる。治療期間は、少なくとも1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、又はそれ以上であり得る。いくつかの実施形態では、治療期間は、1年以上まで、2年以上まで、3年以上まで、又は無期限であり得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、例えば加齢関連疾患又は障害などの老化に関連する症状又は疾患を治療するために、治療有効量が対象に投与される。本発明の適用は、個体が一般的に健康であり、慢性疾患のない期間を延長し、及び/又は本発明は、心血管疾患、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、肥満、癌、感染症、及び神経障害の1又は複数を含む、高齢集団及び老化成人集団においてしばしば現れる障害を改善する。老化の進行についての任意の十分に確立された指標を用いることができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子治療は、以下の老化の指標、すなわち、癌の発生率の低下、アテローム性動脈硬化症などの心血管疾患の遅延又は改善、骨粗鬆症の遅延及び/又は改善、グルコース耐性の改善又は糖尿病及び肥満などの関連疾患の発生率の減少、記憶機能及び他の認知機能の低下の改善又は低減、神経筋共応性の低下の改善又は低減、免疫機能の低下の改善又は低減のうちの少なくとも1つに使用される。本明細書の遺伝子治療法によってもたらされる加齢関連障害の改善は、罹患した対象における症状の軽減、又は未治療の集団と比較した集団における疾患又は障害の発生率の低下の結果として起こり得る。遺伝子治療は、特定のマーカー及び老化障害によって評価されるように、様々な加齢関連症状及び疾患を治療及び/又は予防する効果を有する。したがって、さらなる態様において、本発明は、心血管機能の低下、骨粗鬆症、関節症、グルコース耐性、インスリン抵抗性、記憶喪失、神経筋共応性の喪失、心臓血管疾患の増加、心機能、循環機能、又は肺機能の低下、及び寿命の低下、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの老化障害又はマーカーの対象における治療又は予防における使用のための、上記のような遺伝子治療法又は核酸ベクターの使用に言及する。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子治療は、任意の特定の種の対象の寿命を延ばすために使用される。延長された寿命は、成体に達したその種の個体の平均寿命の延長及び/又はその種の最大寿命の延長であり得る。いくつかの実施形態では、延長された寿命は、最大寿命の5%、10%、15%、20%、又はそれ以上の増加、及び/又は平均寿命の5%、10%、15%、20%、又はそれ以上の増加であり得る。
【実施例】
【0165】
実施例1:TGFβ1を調節する方法
本開示は、ヒト又はイヌ若しくはネコなどの家畜などの他の哺乳動物などの動物における、TGFβ1の長期間の調節のための遺伝子治療法を提供する。本開示は、炎症、リモデリング、又は線維症を治療又は予防する方法として、ヒト又はイヌ若しくはネコなどの家畜などの他の哺乳動物などの動物における、TGFβ1の長期間の調節のための遺伝子治療法を提供する。本開示は、線維症の増大などの心臓病を治療するために、ヒト又はイヌや若しくはネコなどの家畜などの他の哺乳動物などの動物における、TGFβ1の調節のための遺伝子治療法を提供する。この開示は、例えばアデノ随伴ベクターを用いることによる細胞への核酸送達を含む、遺伝子治療法によるTGFβ1の調節を提供する。本開示は、TGFβ1に結合して、その内因性経路を活性化する能力を阻害する可溶性循環タンパク質を産生する核酸の送達によるTGFβ1の調節を提供する。可溶性循環タンパク質は、TGFβ受容体2の細胞外ドメインであり得る。当業者はまた、TGFβ受容体1又はTGFβ受容体3からの形態も同様に作製することができる。可溶性TGFβ受容体2タンパク質は、アノテーションソフトウェア及びアミノ酸の疎水性によって予測されるタンパク質の膜貫通ドメインで切断されている。
【0166】
プラスミド
AAVベクターは、以下のフォワードプライマー及びリバースプライマー
を用いて細胞外ドメインを増幅することにより作製した。
【0167】
【0168】
前記フォワードプライマーの太字且つ斜体の箇所は、Kozak配列である。前記リバースプライマーの太字且つ斜体の箇所は、重複PCRによってC末端に融合したマウスiggドメインとマッチする。
【0169】
以下のフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いて、iggドメインを増幅した。
【0170】
【0171】
太字且つ斜体の箇所は、重複PCRに対してTGFbR2の細胞外ドメインにマッチする。TGFbR2増幅からのフォワードプライマー及びigg増幅からのリバースプライマーを使用したPCRの第2ラウンドにおいて、等モル比の増幅された切片を用いて、これら2つの部分を組み合わせた。これにより、全長1251塩基対の融合タンパク質sTGFbR2-Fc(igg2Ae)が作製された。これを固有の制限酵素部位オーバーハングであるNotI及びNheIを用いてAAV骨格中にライゲーションした。
【0172】
AAV産生
AAV産生及び力価の定量は、Lock,M.2010 Human gene therapy及びKwon,O.et al.(2010)J Histochem Cytochem.58(8):687-694に従って実施した。簡潔には、製造者の指示に従って、PEIトランスフェクション試薬を用いてThermo Scientific社(イリノイ州、ロックフォード)製の10層Nunc(商標) Cell Factory(商標)システム中、75%コンフルエンシーでHek293細胞を3種同時形質導入した。細胞及び上清を、トランスフェクションの72時間後に別々に採取した。細胞を遠心沈殿し、3回の凍結融解サイクルで溶解し、ベンゾナーゼ(E1015-25KU、Sigma社)でインキュベートした。次いで、10,500×Gで20分間遠心することによってそれらを清澄化し、上清を残りの培地上清に添加した。すべてを0.2μMフィルターで濾過し、次いで実験室規模のTFFシステム(EMD Chemicals社、ニュージャージー州、ギブスタウン)を用いて15mlまで濃縮した。Pellicon XL 100kDaフィルターを使用し、製造業者の指示(EMD Chemicals社、ニュージャージー州、ギブスタウン)に従った。濃縮した調製物を10,500×g、15℃で20分間の遠心分離によって再清澄化し、上清を注意深く新しいチューブに移した。Zolotukhinらの方法に従って、6つのイオジキサノール段階勾配を形成した。Zolotukhin S.、(1999)Gene Ther.6:973-85を参照し、下記のように改変した。10mMの塩化マグネシウム及び25mMのカリウムを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の段階的高密度のイオジキサノール(OptiPrep、Sigma-Aldrich社、ミズーリ州、セントルイス)溶液を、39mlのQuick-Seal遠心分離管(Beckman Instruments社、カリフォルニア州、パロアルト)に順次重層した。勾配の段階は、4mlの15%イオジキサノール、9mlの25%イオジキサノール、9mlの40%イオジキサノール、及び5mlの54%イオジキサノールであった。清澄化された原料を14mlずつ勾配の上に重ね、チューブを密封した。試験管をVTi 50ローター(Beckman Instruments社)中、18℃で242,000×gで70分間遠心分離し、54%/40%界面に水平に挿入した18ゲージの針を通して40%勾配を回収した。イオジキサノールを含有するウイルスをAmicon 15-Ultraを用いて透析ろ過し、最終製剤緩衝液(PBS-35mM NaCl)で5回洗浄し、約1mlに濃縮した。
【0173】
ベクターの特徴付け
導入遺伝子カセットにコードされたWPRE3ポリアデニル化シグナルに対するプライマー及びプローブを用いて、DNase I耐性ベクターゲノムをTaqMan PCR増幅(Applied Biosystems社、カリフォルニア州、フォスターシティ)により力価測定した。勾配画分及び最終ベクターロットの純度を、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって評価し、タンパク質をSYPROルビー染色(Invitrogen社)及びUV励起によって視覚化した。
【0174】
感染
マウスを腹腔内(IP)、尾静脈(IV)、又は後眼窩(RO)注射により感染させた。簡潔には、IP注射位置は、膝のすぐ上の腹部を横切る想像線を描くことによって決められる。針は、このラインに沿って動物の右側に刺入され、正中線の近くに挿入される。IP注射を実行するには、マウスを十分に拘束して、手順中に動かないようにする必要がある。頭頂部が地面を向くようにマウス全体を傾け、後肢を上げて腹部が術者に面するようにする。約30度の角度で腹部に針を入れると、針のシャフトは約0.5センチメートルの深さに入ることになる。針が血管、腸又は膀胱に達していないことを確認するために吸引する。注射器の内容物を注入し、針を引き抜き、マウスを元のケージに戻す。マウスにおけるIP注射に推奨される針のサイズは25~27ゲージである。尾静脈へのIV注射のために、マウスを拘束し、尾部を明るい光の上で保持して尾静脈を見出す。マウスを熱ランプの下に短時間置いて血管を拡張させることにより、静脈を拡張させる。その後、25ゲージの針を使用して、マウスに最大200ulを注射する。RO注射は麻酔下で行われる。わずかな圧力をかけて眼を膨らませることにより麻酔下のマウスを準備し、眼の後側に針をスライドさせて、成体マウスに対して最大でも150ulを注入する。
【0175】
手術
大動脈狭窄(ACC)は、上行大動脈の狭窄により成体動物に引き起こされる。概ね第3肋間部の胸壁に切開部が形成され得る。げっ歯類用開胸器を挿入し、肋骨を静かに広げ、胸腔へのアクセスを確保する。次いで、上行大動脈を肺動脈から単離し、滅菌8.0プロリーン結紮糸を心臓の基部から約3mmのところに通す。27ゲージ鈍針を大動脈の上端に置き、針周囲を結紮する。次に、針を結紮部の下から慎重に取り除く。開胸器を閉じ、肺を再度膨らませる。肋骨、胸筋、及び皮膚を、滅菌縫合糸(筋肉、皮下層、及び皮膚をそれぞれ閉鎖するための5-0Dexon及び6-0Prolene縫合糸)を用いて閉鎖する。外科医は、開胸を閉鎖する最後の縫合の配置と併せて肺を拡張することによって気胸を最小限にする。偽手術動物は、大動脈の狭窄なしに同様の処置を受ける。麻酔から完全に回復するまで動物を注意深く監視する。動物が意識を回復する(且つ気道を確保できる)と、抜管される。完全な神経学的意識清明が達成されるまで、動物は絶えず厳密に監視されることになる。手術後10~14日で縫合糸を取り除く。手術手技の日付、時間、及び術式は、必要に応じて臨床術後記録に記録される。ACC手術死亡率は30%であってもよい。
【0176】
非侵襲的心エコー検査
心臓の構造及び機能を連続的に非侵襲的に評価するために、動物は、指定された時点(1週間に1回を超えない)で非侵襲的な経胸壁心エコー検査を受ける。このために、動物は指定された処置室に運ばれる。動物(マウス及びラット)を1.5~5%のイソフルランで軽く麻酔する。鎮静は、皮膚を穏やかにつまんだ際の反応の欠如によって確認される。麻酔した動物に眼軟膏を塗布して、眼の乾燥及び炎症又は潰瘍の発生を防止する。明瞭なエコー画像を得るために、#40ブレード及び医療グレードの脱毛クリームを使用して動物の胸部から体毛が取り除かれる。動物を静かに台に置き、心エコー用プローブを左胸壁に設置する。超音波イメージングが行われている間に、エコー装置及び動物が置かれている台に接続された生理学的モニタによって動物の心拍数及び呼吸数がモニタリングされる。超音波画像は一般に15分以内に得られ、動物に検査による痛みは生じない。処置中、動物は苦痛の兆候がないかどうか厳密にモニタリングされ、兆候が認められる場合は、処置を直ちに終了し、動物を元のケージに戻す。
【0177】
安楽死
動物は、施設内で利用可能な装置に従って、CO2投与を緩徐に行う方法によって安楽死させる。通常、動物は、他の動物の視野外で飼育ケージ内で安楽死させる。適切な流量を確保するためにレギュレーターを使用する。動物は30秒以内に急速に意識消失することになる。呼吸停止時(数分間)、動物は二次的な物理的方法により安楽死させられることになる。
【0178】
組織採取
安楽死後すぐに組織を採取する。各器官の一部をqPCR分析及び配列決定のためにドライアイスで急速凍結し、次に、各器官の他の部分をサイズに応じて24~48時間ホルマリン固定し、切片作製及び分析のためにOCT緩衝液中で凍結させた。
【0179】
血液採取
マウスの後頸部を保持し、針を用いて下顎静脈/動脈を穿刺し、血液をヘパリン被覆チューブに採取する。
【0180】
染色及び切片化
マウスをミクロトームを用いて切片化し、次にパラフィン包埋する。脱パラフィン及び再水和は、スライドを50℃に加熱し、次にキシレン及びエタノールそして最後にDI H2Oで連続浴を行う。次に、スライドを沸騰クエン酸緩衝液中で10分間インキュベートし、ベンチ上、室温で冷却する。次に、スライドをPBSで2分間ずつ5回洗浄する。スライドをPBS中の3%BSAで、室温で1時間ブロックする。一次抗体を3%BSA/PBS中の1:300希釈で4℃で一晩適用した。次に、スライドをPBS中で2分間ずつ5回洗浄する。3%BSA/PBS中の二次抗体を1/100希釈で、37℃1時間適用する。次に、スライドをPBS中で2分間ずつ5回洗浄する。1スライドあたり50μlのPBS中のDAPI(又はHoechst最終濃度5μg/ml)を室温(湿潤チャンバー内)で30分間適用する。次に、スライドをPBS中で2分間ずつ5回洗浄する。DAPIを含まないマウント媒体でマウントしカバーする。
【0181】
トランスフォーミング増殖因子β1(TGFβ1)の阻害
大動脈結紮を用いて所望の表現型を最終的に引き起こす圧力過負荷を達成するHCM/DCMのマウスモデルにおいて、AAVを用いて、トランスフォーミング増殖因子受容体II(TGFbRII)の可溶性受容体タンパク質をコードする核酸を細胞に送達した。AAVを、
図7に示す生存曲線に示されるように、心不全を軽減し、寿命を延ばすのに有益である、TGFβ1の長期間の永久的な減少のために使用した。可溶性受容体タンパク質は、この経路のシグナル伝達を減少させ、線維性組織の誘導及び炎症反応を緩和するために、TGFβ1に結合する。
図2に示されるように、トランスフォーミング増殖因子受容体II(TGFbRII)の可溶性受容体タンパク質をコードする核酸をAAVで投与すると、血清TGFβ1が最大95%減少し、TGFβ1シグナル伝達が低下した。
【0182】
遺伝子治療は線維性病変の発症に影響を与えた。
図3に示すように、対照試料では、AAV処置マウスの心臓の約8%と比較して、切片化心臓の総面積に対して約30%の線維化が認められる。遺伝子治療はまた、AAC手術の7週間後に心臓の機能に影響を与えた。
図1に示すように、心エコー図に見られるように、心収縮力及び左室容量の強度には大きな差が認められる。
図5は、対照動物が、心臓壁の厚さ、左室駆出率、左室内径短縮率、及び左室容量などのいくつかのパラメータにおいて負に変化することを示す。遺伝子治療動物は、これらのパラメータに変化がないか、又は正に変化する。
【0183】
図4は、対照の心臓に対するWGA染色及びDAPI染色を示す。
図6は、代表的なトリクローム染色像である。
【0184】
実施例2:併用遺伝子治療
本開示は、トランスフォーミング増殖因子受容体II(TGFbRII)のための可溶性受容体タンパク質をコードする核酸、及びNrf2(又は核因子(赤血球由来2)様2 Nfe212)をコードする核酸の送達のための遺伝子治療法を提供する。Nrf2は、傷害及び炎症によって引き起こされる酸化的損傷から保護する抗酸化タンパク質である。本開示は、各々が1種の導入遺伝子カセットを含む2種のウイルス(すなわち ITR-hEf1α-sTGFbR2-Fc-WPRE3-SV40pA-ITR、及びITR-hEf1α-Nrf2-WPRE3-SV40pA-ITR)を直接注射することにより、それぞれを組み合わせて使用する方法を提供する。本開示は、2種の遺伝子が1種のプロモーターから発現されるウイルス2A配列又はIRESの使用によって(すなわち ITR-hEf1α-sTGFbR2-Fc-P2A-Nrf2-WPRE3-SV40pA-ITR、又はITR-hEf1α-sTGFbR2-Fc-IRES-Nrf2-WPRE3-SV40pA-ITR)、両方の導入遺伝子を1種のベクター中に組み合わせることを提供する。
【0185】
実施例3:アディポネクチンを調節する方法
本開示は、ヒト又はイヌ若しくはネコなどの家畜などの他の哺乳動物などの動物における、アディポネクチンを調節するための遺伝子治療法を提供する。アディポネクチン及びDsbA-L(GSTΚ1)をコードする核酸の発現を駆動する構成的プロモーターを含むアデノ随伴ウイルスが提供される。そのような核酸構築物は、WPRE3及びSV40後期poly(A)を含む3′UTRを含み得る。アディポネクチンをコードする核酸は第一のベクター中に提供され、DsbA-Lをコードする核酸は第二のベクター中に提供される。第一のベクター及び第二のベクターは、自己相補型AAVベクターである。自己相補型アデノ随伴ウイルス(scAAV)は、天然に存在するアデノ随伴ウイルス(AAV)から操作されたウイルスベクターである。コード領域が分子内二本鎖DNA鋳型を形成するように設計されているため、rAAVは「自己相補型」と呼ばれる。典型的なAAVゲノムは一本鎖DNA鋳型であるため、標準的なAAVゲノムの律速段階は第二鎖の合成を含む。しかし、これはscAAVゲノムの場合には当てはまらない。感染時、第二鎖の細胞媒介性の合成を待つのではなく、scAAVの2つの相補的な半分が会合して即座の複製及び転写の準備が整った1つの二本鎖DNA(dsDNA)単位を形成する。rAAVを利用する遺伝子治療の適用において、ウイルスは、2つの末端逆位反復(ITR)と隣接する一本鎖DNA(ssDNA)を用いて細胞に形質導入する。これらのITRは、その配列の末端にヘアピンを形成し、その後の感染工程が始まる前に、第二鎖の合成を開始させるためのプライマーとして働く。第二鎖の合成は、効率的な感染のためのいくつかのブロックの1つであると考えられる。scAAVのさらなる利点としては、インビトロ及びインビボでの導入遺伝子発現の延長、並びにより高いインビボDNA安定性及びより効果的な環状化が挙げられる。
【0186】
実施例4:肥満を治療する方法
本開示は、線維芽細胞成長因子21(FGF21)をコードする核酸、及びBMP2、BMP4、若しくはSema3aのいずれか、又はそれら全てをまとめてコードする核酸の送達のための遺伝子治療法を提供する。FGF21は、細胞の骨芽細胞への細胞分化の阻害及び破骨細胞への細胞分化の促進を介して、骨芽細胞と破骨細胞とのバランスを破骨細胞形成にシフトさせることが知られている。FGF21の発現増加による骨量減少の負の副作用とのバランスをとるために、複数の遺伝子が送達される。FGF21は、(身体状態スコア及び活性モニタリングによって認められる)明らかな毒性を伴わずに、
図8A及び
図8Bに見られるように体重減少を引き起こす。高脂肪食で維持されたマウスは、最大40%体重減少(マウスの年齢に対する正常な体重への復帰)が可能であり、正常範囲で安定しているようであった。骨量減少に対抗するために、BMP2、BMP4、又はSema3aの1つ、2つ、又は全てが、骨芽細胞及び破骨細胞のバランスを恒常性に戻すための併用療法の一部として、FGF21と共に同時に又は連続して送達される。
【0187】
特定の態様によれば、AAVを使用するなどの遺伝子治療法において線維芽細胞成長因子21(FGF21)をコードする核酸の個体への送達又はFGF21を調節(上方制御又は下方制御)することを含む、個体における体重を減少させる方法又は個体の代謝率を増加させる方法が提供される。
【0188】
実施された実験では、遺伝子治療としてマウスにFGF21を与えた場合のマウスの摂餌量を測定し、治療を受けたマウスはより高脂肪の餌を消費するが、依然として正常なマウス除脂肪体重を維持することができ、代謝状態の変化が示された。
図16を参照。呼吸数及び活性に対する遺伝子治療の効果を決定した。FGF21で処置したマウスをColumbus Instruments社のCLAMSシステムに入れ、マウスのO
2消費量、CO
2産生、及びX、Y、Z平面における運動を測定した。その結果を
図17に示す。マウスがシステム内に入れられると、データは自動的に生成された。より多くの餌を消費しながら除脂肪体重を維持するFGF21マウスは、O
2消費量及びCO
2産生の対照と比較したて増加によって示されるように、より高い代謝活性を有する。しかし、運動センサが示すように、FGF21マウスは動きが少なく、このことは、高脂肪食の期間は、ミトコンドリアの活性及び代謝状態が変化し、マウスの行動は除脂肪体重を維持する能力の要因にはならないという別の兆候を示す。
【0189】
グルコース感受性及びインスリン感受性に対するFGF21の効果を、グルコース耐性試験によって検査し、
図18に示すように大きな効果があることが分かった。簡潔には、マウスを6~10時間程度、一晩絶食させた。基準となる血糖値を分析するために血液を採取した。次いで、マウスに、最大500ulのddH
2O中の250mg/mlグルコースを用いてグルコース溶液の用量を強制経口投与した。その後、血液を採取し、15分、30分、60分、及び120分の間隔で血糖を測定した。データは
図18に示され、左側のグラフにはいくつかの異なる用量のFGF21について、右側のグラフには一定の1E10用量のFGF21と他のタンパク質との異なる組み合わせについて示す。FGF21+sTGFbR2-FC、及びFGF21+sTGFbR2-FC+Klothoを試験し、結果をグルコースの差異と共に右側のグラフに示した。
【0190】
本開示は、成長分化因子15(GDF15)をコードする核酸及びアディポネクチンをコードする核酸、並びにZAGをコードする核酸及びNrf2をコードする核酸の送達のための遺伝子治療法を提供する。有効量のこれら4つの核酸全ての送達を組み合わせにより、(体調スコア及び活性モニタリングによって認められる)毒性を伴わずに体重減少のエビデンスが示された。これらのマウスは体重を最大15%喪失し、
図9に示すように下降傾向が続く。
【0191】
実施例5:発現カセット
本開示は、14個のPri-miRNA-shRNA配列を含むAAV内に含まれる発現カセットを提供する。ベクターは、上流方向の第一のカセットと、下流方向の第二のカセットとを有する。第一のカセットは、7個のmiRNA-shRNA配列を含む。第二のカセットは、複数のmiRNA-shRNA配列を含む。上流方向のカセット及び下流方向のカセットは、2つのカセット間の読み取りを防止する。2つのカセットの概要は:ITR_3′UTR-1_7miRNAs_Promoter-1__Promoter-2_7miRNAs_3′UTR-2_ITRである。上記概要においてITR___<---------------____--------------->___ITRと示されるように、第一のカセットは上流3′←5′<-------方向へ向いており、前記第二のカセットは下流5′→3′(「通常」)------>方向へ向いている。ITR-bGHpA-7miRNA-CMV-hEf1α-7miRNA-WPRE3-SV40pA-ITR。
【0192】
実施例6:イヌタンパク質dog-stgfbr2-fcの改変
イヌタンパク質dog-stgfbr2-fcは、マウス/ヒト分泌シグナルを含むように改変された。dog-stgfbr2-fcをコードする核酸は、固有の分泌シグナル:ATGCACAGTCAAGGGCGGGGTTGCAACAACACAAAACAAAACAAAACTTCCGGACTTCGACCTGCAGCTGAGAAGAACATCTCGCAAAGCGGCGTTを、下記マウス/ヒト分泌シグナル:ATGGGTCGGGGGCTGCTCCGGGGCCTGTGGCCGCTGCATATCGTCCTGTGGACGCGCATCGCCAGCACGで置換するように改変された。
【0193】
最終タンパク質をコードする核酸配列は以下の通りである。
【0194】
【0195】
太字は分泌シグナルを示す。太字且つ斜体はイヌIGb重鎖を示す。太字以外はイヌTGFb受容体2細胞外ドメインを示す。
【0196】
図14は、ハイブリッドタンパク質が元のイヌタンパク質よりも良好に機能することが実証されたインビトロELISAアッセイを示す。ELISAは、TGFb1が可溶性TGF受容体2によって結合され、そのためにELISAアッセイでの結合が妨げられる場合を除いて、TGFb1を検出する。簡潔には、各構築物又は対照としてsHef1a-EGFPをトランスフェクトした293-Hek細胞の上清を、天然のイヌTGFb1を含むイヌ血清と混合し、可溶性TGF受容体2を分泌する能力について細胞を評価した。
図15に示すように、天然のイヌタンパク質は、マウス/ヒト分泌シグナルを含むハイブリッドイヌタンパク質と同様には産生又は分泌されなかった。293-Hek細胞は、マウス/ヒト分泌シグナルを含むハイブリッドイヌタンパク質をよりよく分泌可能であった。
【0197】
実験には、天然のTGFbR2分泌シグナルの代わりに以下の分泌因子が含まれる。当業者は、本開示に基づいて発現を所望のレベルに調節する公に利用可能な情報におけるさらなる有用な分泌シグナルを同定することができるであろう。また、スクリーニング突然変異誘発を実施して、特定のペプチド配列が分泌されるための最適な分泌シグナルを見出すことができる。この態様によれば、分泌される配列は、分泌シグナルの効力を調節することができ、分泌シグナルは、目的の特定の遺伝子について最適化することができる。
【0198】
ある態様によれば、ベクターは、核からのRNAの輸送を増強することにより発現を増加させるための合成イントロンを含むことができる。当業者に公知の合成イントロン又は天然イントロンをこの目的のために使用することができる。
【0199】
【0200】
実施例7:心不全を予防する方法
特定の態様によれば、心不全を治療又は予防するための遺伝子治療法が提供される。第1グループのマウスを、AAV8:sHef1a-sTGFbR2-FC-WPRE3-SV40pAについて1マウスあたり1E11vgで処置し、AAV9:sHef1a-Nrf2-WPRE3-SV40pAについて1マウスあたり1E11vgで処置した(二重療法)。第2グループのマウスを、AAV8:sHef1a-sTGFbR2-FC-WPRE3-SV40pAについて1マウスあたり1E11vgで処置した(単独療法)。対照AACマウスは手術を受けたが治療は受けなかった。二重療法又は単独療法のいずれかを受けたマウスは、対照と比較して、左室内径短縮率が高く、左室駆出率が高く、心臓質量が低かった。特定の態様によれば、心不全又は腎不全を治療又は予防する方法において、マウスは、sTGFbR2-FC、sTGFbR2-FC+FGF21、sTGFbR2-FC+Klotho、又はsTGFbR2-FC+FGF21+Klothoを用いて処置される。
【0201】
FGF21、Klotho、及びsTGFbR2-FC遺伝子の組み合わせを、心不全を治療又は予防するための1又は複数のAAVを用いるなどして遺伝子治療法として評価した。
図19に示すように、左室内径短縮率の測定値(手術後3ヶ月で、AACについて前述の手術)は、遺伝子の組み合わせにより心不全が治療又は予防されることを示す。組み合わせ群のより多くのマウスは、代償性治療計画に二分され、それにより、3ヶ月前に留置された外科的結紮を克服する。全ての対照マウスは代償不全になり、今後数週間で死亡する可能性が高い。一方で、最終的に代償性が認められた他のグループのマウスは、死亡徴候を示さなかった。マウスの心エコー検査は全て良心的に実施し、装置付属のエコーソフトウェアで分析した。
【0202】
実施例8:体重減少を促進する方法
特定の態様によれば、肥満個体における体重減少を促進するためなどの体重減少を促進するための遺伝子治療法が提供される。高脂肪餌を3ヶ月間与えられた肥満マウスは、ジャクソン研究所から入手した。ジャクソン研究所から到着後、マウスは研究用餌形態から約45%の高脂肪餌D12451で約1週間維持された。次に、マウスに、異なる用量のAAV8:sHef1a-FGF21-WPRE3-SV40pA、並びに1マウスあたり1E9vgのAAV8:sHef1a-FGF21-WPRE3-SV40pA、1マウスあたり1E11vgのAAV8:sHef1a-Klotho-WPRE3-SV40pA、1マウスあたり1E11vgのAAV8:sHef1a-sTGFbR2-Fc-WPRE3-SV40pAの1つの組み合わせを投与した。すべての用量で体重減少が促進されたが、1E11及び1E10では持続的な体重減少が促進された。
【0203】
実施例9:寿命を延長する方法
特定の態様によれば、個体の寿命、健康寿命、又は生存率を増加させるための本明細書に記載の遺伝子治療法が提供される。本明細書に記載の遺伝子治療法におけるsTGFbR2-FCで処置したマウスを用いて実験を行った。sTGFbR2-FC遺伝子を投与したマウスは、
図20に示すように、平均寿命及び最大寿命の約10%の増加を伴う寿命の延長がもたらされた。
【0204】
1日24時間、1週間に7日間カメラ及びセンサを使用して測定基準を得るための画像分析を行い、老齢に至る活動及び呼吸の増加によって測定される健康寿命の増加を決定する目的で追加実験を行った。マウスの体重を経時的に測定した。結果を
図21に示す。実験の結果、概日リズム、呼吸数、寿命、日常運動、及び夜間運動について、様々な治療グループ間に多数の相違点が認められた。治療グループ及び遺伝子治療の組み合わせは、以下の表5に示されている。
【0205】
【0206】
【0207】
実施例10:腎不全の治療又は予防方法
特定の態様によれば、遺伝子治療法は、腎不全を治療又は予防するために提供される。FGF21、Klotho、及びsTGFbR2-FC遺伝子の組み合わせを、心不全を治療又は予防するための1又は複数のAAVを用いるなどして遺伝子治療法として評価する。
図22は、対照マウスの腎臓とsTGFbR2-Fc遺伝子治療を受けたマウスとの顕著な差異を示す。A及びCは、非手術の対側対照腎臓を示す。B及びDは、UUOによる腎臓を示し、Dと比較してBは改善された結果を示す。
【0208】
本出願に引用されるすべての文献、特許、特許出願、及び他の文書は、個々の文献、特許、特許出願、又は他の文書がすべての目的のために参照により取り込まれることが個々に示された場合と同程度に、すべての目的のために参照により取り込まれる。
【0209】
様々な特定の実施形態を例示及び説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることが理解されよう。
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【表60】
本発明の態様は以下を含む。
付記1
哺乳動物タンパク質又はインヒビターmRNA産物を発現可能な遺伝子を含む第一の核酸配列を含むウイルスベクターであって、前記遺伝子が表1から選択され、前記第一の核酸配列が哺乳動物細胞における前記産物の発現のための第一の調節配列に作動可能に連結されている、ウイルスベクター。
付記2
前記第一の調節配列が第一のプロモーターを含み、前記第一のプロモーターが構成的プロモーター又は誘導性プロモーターである、付記1に記載のウイルスベクター。
付記3
前記第一の調節配列が、heF1aプロモーター、CAGGS(サイトメガロウイルス、ニワトリβアクチンイントロン、ウサギβグロビン遺伝子のスプライスアセプター)、CMV、shEf1a(切断型hEf1a)、AATプロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝臓制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、CASI、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択される第一のプロモーターを含む、付記1又は付記2に記載のウイルスベクター。
付記4
前記遺伝子がFGF21、Klotho、又はsTGFbR2-FCである、付記1~付記4のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記5
前記第一の核酸配列が、哺乳動物細胞におけるRNA安定性及び発現のために第一の3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記1~付記4のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記6
前記第一の3′非翻訳領域が、哺乳動物細胞における前記融合タンパク質の発現を調節するための第一の組織特異的miRNA結合配列を含む、付記5に記載のウイルスベクター。
付記7
前記第一の組織特異的miRNA結合配列が、肝細胞における発現を阻害するために第一のmir122a組織特異的miRNA結合配列を含む、付記6に記載のウイルスベクター。
付記8
前記第一の3′非翻訳領域が、WPRE、WPRE3、SV40後期ポリアデニル化シグナル(切断型、配列番号114)、HBGポリアデニル化シグナル、ウサギβグロビンポリA、ウシbgpA、及びETCポリアデニル化シグナル、又はこれらのハイブリッドからなる群から選択されるポリアデニル化シグナルを含む、付記5~付記7のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記9
前記ウイルスベクターがパルボウイルスベクターである、付記1~付記8のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記10
前記パルボウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、付記9に記載のウイルスベクター。
付記11
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、又はAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)ウイルスベクターから選択される、付記10に記載のウイルスベクター。
付記12
前記ウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、若しくはAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)、又はこれらの組み合わせについて血清型が決定される、付記10~付記11のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記13
表3のAAVベクターから選択されるAAVベクター。
付記14
付記1~付記12のいずれか一項に記載のウイルスベクターの1種又は複数種又は付記13に記載のAAVベクターの1種又は複数種の治療有効量を投与することを含む、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記15
表1から選択される複数のウイルスベクター又は表3から選択される複数のAAVベクターを投与することを含む、付記14に記載の方法。
付記16
受容体細胞外ドメインを有する哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体II(sTGFβ-R2)タンパク質又はその断片とIg Fcドメインとの融合タンパク質をコードする第一の核酸配列を含むウイルスベクターであって、
前記融合タンパク質がTGFβ1に結合可能であり、前記第一の核酸配列が哺乳動物細胞における前記融合タンパク質の発現のための第一の調節配列に作動可能に連結されている、ウイルスベクター。
付記17
前記哺乳動物sTGFβ-R2タンパク質が、ヒトsTGFβ-R2タンパク質である、付記16に記載のウイルスベクター。
付記18
前記哺乳動物sTGFβ-R2タンパク質が、イヌsTGFβ-R2タンパク質である、付記16に記載のウイルスベクター。
付記19
前記哺乳動物sTGFβ-R2タンパク質が、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタのsTGFβ-R2タンパク質からなる群から選択される、付記16に記載のウイルスベクター。
付記20
前記コードされた哺乳動物sTGFβ-R2タンパク質が、配列番号17、11、10、5(ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタも同様)に対応する哺乳動物sTGFβ-R2タンパク質の前記アミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、付記16に記載のウイルスベクター。
付記21
前記Ig Fcが、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタのIg Fcからなる群から選択される、付記16~付記20のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記22
前記Ig Fcが、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、及びIgG4からなる群から選択されるIgGのFcである、付記21に記載のウイルスベクター。
付記23
前記Ig Fcが、配列番号20、27で表されるIg Fcのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、付記21に記載のウイルスベクター。
付記24
前記第一の調節配列が、肝細胞における前記融合タンパク質の発現のための第一の肝組織特異的プロモーターを含む、付記16~付記23のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記25
前記第一の調節配列が第一のプロモーターを含み、前記第一のプロモーターが構成的プロモーター又は誘導性プロモーターである、付記16~付記24のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記26
前記第一の調節配列が、heF1aプロモーター、AATプロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝臓制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択される第一のプロモーターを含む、付記16~付記24に記載のウイルスベクター。
付記27
前記第一の調節配列が、構成的プロモーターを含む、付記16~付記26に記載のウイルスベクター。
付記28
前記第一の核酸配列が、哺乳動物細胞におけるRNA安定性及び発現のために第一の3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記16~付記27のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記29
前記第一の3′非翻訳領域が、哺乳動物細胞における前記融合タンパク質の発現を調節するための第一の組織特異的miRNA結合配列を含む、付記28に記載のウイルスベクター。
付記30
前記第一の組織特異的miRNA結合配列が、肝細胞における発現を阻害するために第一のmir122a組織特異的miRNA結合配列を含む、付記29に記載のウイルスベクター。
付記31
前記第一の3′非翻訳領域が、WPRE3、SV40後期ポリアデニル化シグナル(切断型、配列番号113及び114)、HBGポリアデニル化シグナル、及びETCポリアデニル化シグナル、又はこれらのハイブリッドからなる群から選択されるポリアデニル化シグナルを含む、付記28~付記30のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記32
哺乳動物核因子(赤血球由来2)様2(Nrf2)タンパク質をコードする第二の核酸をさらに含み、前記第二の核酸配列が、前記哺乳動物細胞における前記Nrf2タンパク質の発現のための第二の調節配列に作動可能に連結されている、付記16~付記31のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記33
前記哺乳動物sTGFβ-R2タンパク質及び前記哺乳動物Nrf2タンパク質が、同一哺乳動物種のものである、付記32に記載のウイルスベクター。
付記34
前記哺乳動物種が、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタからなる群から選択される、付記33に記載のウイルスベクター。
付記35
前記第二の調節配列が、肝細胞における前記Nrf2タンパク質の発現のための第二の肝組織特異的プロモーターを含む、付記32~付記34のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記36
前記第二の調節配列が第二のプロモーターを含み、前記第二のプロモーターが構成的プロモーター又は誘導性プロモーターである、付記32~付記35のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記37
前記第二の調節配列が、heF1aプロモーター、AATプロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝臓制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択される第二のプロモーターを含む、付記32~付記36のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記38
前記第二の調節配列が、構成的プロモーターを含む、付記32~付記37のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記39
前記第二の核酸配列が、哺乳動物細胞におけるRNA安定性及び発現を調節する第二の3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記32~付記38のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記40
前記第二の3′非翻訳領域が、哺乳動物細胞における前記Nrf2タンパク質の発現を調節するための第二の組織特異的miRNA結合配列を含む、付記32~付記39のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記41
前記第二の組織特異的miRNA結合配列が、肝細胞における発現を阻害するために第二のmir122a組織特異的miRNA結合配列を含む、付記40に記載のウイルスベクター。
付記42
前記第二の3′非翻訳領域が、WPRE3、SV40後期ポリアデニル化シグナル(切断型、配列番号114)、HBGポリアデニル化シグナル、及びETCポリアデニル化シグナル、又はこれらのハイブリッドからなる群から選択される第二のポリアデニル化シグナルを含む、付記32~付記39のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記43
前記Nrf2タンパク質をコードする前記第二の核酸が、前記融合タンパク質及び前記Nrf2タンパク質をコードするポリシストロニックmRNA転写産物を発現するための前記第一の調節配列に作動可能に連結され、前記第二の調節配列が、前記ポリシストロニック転写産物からNrf2タンパク質を発現するための作動可能に連結されたIRES又は2A配列を含む、付記32に記載のウイルスベクター。
付記44
前記ウイルスベクターがパルボウイルスベクターである、付記16~付記44のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記45
前記ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、付記44に記載のウイルスベクター。
付記46
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)ウイルスベクターから選択される、付記45に記載のウイルスベクター。
付記47
前記ウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)、又はこれらの組み合わせについて血清型が決定される、付記45~付記47のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記48
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターを含む組成物であって、
前記第一のウイルスベクターは、受容体細胞外ドメインを有する哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体II(sTGFβ-R2)タンパク質又はその断片とIg Fcドメインとの融合タンパク質をコードする第一の核酸配列を含み、前記融合タンパク質はTGFβ1に結合可能であり、前記第一の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための適切な調節配列に作動可能に連結されており、前記第一のウイルスベクターは非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を阻害するための第一の阻害配列を任意に含み、
前記第二のウイルスベクターは哺乳動物(赤血球由来2)様2(Nrf2)タンパク質をコードする第二の核酸配列を含み、前記第二の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための第二の調節配列に作動可能に連結されており、前記第二のウイルスベクターは非標的組織における前記第二の核酸配列の発現を阻害するための第二の阻害配列を任意に含む、組成物。
付記49
付記16~付記47のいずれか一項に記載のウイルスベクター又は付記48に記載の組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における線維性組織の形成を減少させる方法。
付記50
付記1~付記47のいずれか一項に記載のウイルスベクター又は付記48に記載の組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における心臓、肝臓、肺、又は腎臓の線維症の治療方法。
付記51
哺乳動物アディポネクチンタンパク質をコードする第一の核酸配列を含むウイルスベクターであって、前記第一の核酸配列は哺乳動物細胞における前記アディポネクチンタンパク質の発現のための調節配列に作動可能に連結されており、前記ウイルスベクターは非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を阻害するための阻害配列を任意に含む、ウイルスベクター。
付記52
前記コードされた哺乳動物アディポネクチンタンパク質が、配列番号34で表されるヒトアディポネクチンに対応するアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、付記51に記載のウイルスベクター。
付記53
哺乳動物グルタチオンS-トランスフェラーゼΚ1(DsbA-L;GSTΚ1)タンパク質をコードする第二の核酸配列をさらに含み、前記第二の核酸が、哺乳動物細胞における前記GSTΚ1タンパク質の発現のための第二の調節配列に作動可能に連結されている、付記51~付記52のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記54
前記コードされた哺乳動物GSTΚ1タンパク質が、ヒトGSTΚ1タンパク質に対応するアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、付記53に記載のウイルスベクター。
付記55
前記ウイルスベクターがAAVベクターである、付記51~付記54のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記56
前記AAVベクターが自己相補型AAVベクターである、付記55に記載のウイルスベクター。
付記57
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)ウイルスベクターから選択される、付記51~付記56のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
付記58
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターを含む組成物であって、
第一のウイルスベクターは哺乳動物アディポネクチンタンパク質をコードする第一の核酸配列を含み、前記第一の核酸配列は哺乳動物細胞における前記アディポネクチンタンパク質の発現のための調節配列に作動可能に連結されており、前記第一のウイルスベクターは非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を阻害するための阻害配列を任意に含み、
前記第二のウイルスベクターは哺乳動物グルタチオンS-トランスフェラーゼΚ1(DsbA-L;GSTΚ1)タンパク質をコードする第二の核酸配列を含み、前記第二の核酸は、哺乳動物細胞における前記GSTΚ1タンパク質の発現のための第二の調節配列に作動可能に連結されており、前記第二のウイルスベクターは非標的組織における前記第二の核酸配列の発現を阻害するための第二の阻害配列を任意に含む、組成物。
付記59
前記第一のウイルスベクターが第一の自己相補型AAVであり、前記第二のウイルスベクターが第二の自己相補型AAVベクターである、付記58に記載の組成物。
付記60
前記第一のウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)ウイルスベクターから選択されるAAVベクターを含む、付記58~付記59のいずれか一項に記載の組成物。
付記61
前記第二のウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)ウイルスベクターから選択されるAAVベクターを含む、付記58~付記60のいずれか一項に記載の組成物。
付記62
付記51~57のいずれか一項に記載のウイルスベクター又は付記58~付記61のいずれか一項に記載の組成物の治療有効量を投与することを含む、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記63
治療有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを対象に投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターにより、前記対象において、アディポネクチン、Adra1a(mut)、AMPK、Atg5、BubR1、mCat、Cebpbeta、Cisd2d、FGF21、GDF15(hNAG)、HAS2(nmr)、ヒト化FoxP2、Klotho、Mt1、NEU1、NGF、Nrf2、NUDT1、Par4 SACドメイン、Pck1、sIGF1r-Fc、Sirt1、Sirt6、TERT、TFAM、TFEB、sTGFbR2-Fc、BMP2、BMP4、Sema3a、及びTxn1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質の治療有効量が発現される、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記64
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、ADcy5、Agtr1a、Akt1、Cebpalpha、Coq7、Ctf1、Dgat1、Ikbkb、Insr、mTOR、nf-kb、Pappa、PACKS、PDE4b、Prkar2b、Rps6kb1(S6K1)、Slc13a1、Slc13a5(INDY)、及びUbdからなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の異種阻害RNA配列の有効量を対象において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記65
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
アディポネクチン、Adra1a(mut)、AMPK、Atg5、BubR1、mCat、Cebpbeta、Cisd2d、FGF21、GDF15(hNAG)、HAS2(nmr)、ヒト化FoxP2、Klotho、Mt1、NEU1、NGF、Nrf2、NUDT1、Par4 SACドメイン、Pck1、sIGF1r-Fc、Sirt1、Sirt6、TERT、TFAM、TFEB、sTGFbR2-Fc、BMP2、BMP4、Sema3a、及びTxn1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質の有効量を対象において発現させ、
ADcy5、Agtr1a、Akt1、Cebpalpha、Coq7、Ctf1、Dgat1、Ikbkb、Insr、mTOR、nf-kb、Pappa、PACKS、PDE4b、Prkar2b、Rps6kb1(S6K1)、Slc13a1、Slc13a5(INDY)、及びUbdからなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の異種阻害RNA配列の有効量を対象において発現させる、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記66
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
アディポネクチン、AMPK、Cebpbeta、FGF21、GDF15(hNAG)、Pck1、Sirt1、PCSK9、BMP2、BMP4、Sema3a、及びUCP1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させること、又は、
Cebpalpha、Dgat1、Insr、mTOR、Prkar2b、Slc13a1、Slc13a5(INDY)、及びUbdからなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の異種阻害RNA配列を哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記67
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
FGF21、GDF15(hNAG)、Klotho、sIGF1r-Fc、BMP2、BMP4、Sema3a、及びSirt6からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させること、及び
Akt1、mTOR、Pappa、Rps6kb1、及び(S6K1)からなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の異種阻害RNA配列を前記哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記68
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
Atg5、Cisd2d、及びTFEBからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させること、及び
Akt1及びmTORからなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の異種インヒビターRNA配列を前記哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記69
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
Klotho、Nrf2、Sirt1、sTGFbR2-Fc、及びTxn1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させること、及び
内因性Ctf1タンパク質の発現を阻害する1又は複数の異種阻害RNA配列を前記哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記70
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
BubR1、HAS2(nmr)、NUDT1、Par4 SACドメイン、及びTERTからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させること、及び
Coq7及びCtf1からなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の阻害RNA配列を前記哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記71
有効量の1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
mCat、Cisd2d、Mt1、Nrf2、Pck1、Sirt6、及びTFAMからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させること、及び
ADcy5、Agtr1a、Coq7、及びSlc13a1からなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の阻害RNA配列を発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記72
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、
Adra1a(mut)、ヒト化FoxP2、NEU1、NGF、及びNUDT1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させること、及び
Ikbkb及びPDE4bからなる群から選択される1又は複数の内因性タンパク質の発現を阻害する1又は複数の阻害RNA配列を発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記73
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、BMP2、BMP4、及びSEM3Aからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記74
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、GDF15、TERT、BubR1、Agtra1a、Adcy5、Coq7、Slc13a1、及びIkbkbからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記75
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、BubR1、Cis2d、Txn1、FGF21、BubR1、Agtr1a、ikbkb、mTOR、Nudt1、Slc13a5、pappa、Coq7、Sdcy5、Agtr1a、及びCtf1/akt1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記76
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、BubR1、Cis2d、Txn1、FGF21、BubR1、Agtr1a、ikbkb、mTOR、Nudt1、Slc13a5、pappa、Coq7、Sdcy5、Agtr1a、及びCtf1/akt1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記77
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、Nrf2、sTGFbR2-Fc、HAS2、Nudt1、TERT、BubR1、Par4、Ubd、Dgat1、Ctf1、Coq7 Adcy5、Agtr1a、及びmTORからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記78
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Atg5、Nudt1、Adra1a(mut)、NGF、NEU1、ヒト化FoxP2、TFEB、PDE4b、mTOR、Slc13a5、Slc13a5、Coq7、Akt1、ikbkb、及びSlc13a1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記79
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Klotho、GDF15(hNAG)、sIGF1r-Fc、Mt1、Adra1a(mut)、Nrf2、Rps6kb1、PCsk9、Prkar2b、Dgat、Ctf1、Coq7、papa、及びikbkbからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記80
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Atg5、Cebpa、pb、Ctf1、akt1、Pck1、アディポネクチン、PcsK9、Nrf2、Cisd2、papa、Dgat、Ctf1、Coq7、及びmTORからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記81
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、GDF15、Klotho、Adra1a(mut)、Sirt6、Bubr1、Par4、Coq7、Adcy5、Agtr1a、Agtr1a、ikbkb、mTOR、Slc13a1、papa、Ctf1、Ctf1、及びSlc13a5からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記82
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、GDF15、Klotho、TERT、sIGF1r-Fc、Bubr1、Par4、Rps6kb1、PCSk9、Adcy5、Coq7、Agtr1a、ikbkb、mTOR、及びSlc13a1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記83
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Klotho、Txn1、Nrf2、TFEB、sTGFbr2-Fc、Nudt1、mt1、Atg5、Bubr1、Par4、Ctf1、Coq7、及びikbkbからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記84
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、sIGF1r-Fc、Klotho、sTGFbr2-Fc、GDF15、HAS2、Mt1、Txn1、Nrf2、mCAT、Adra1a(mut)、TFEB、Bubr1、Par4、Atg5、Cisd2、Nudt1、Sirt1、Sirt6、mTOR、slc13a5、pappa、ikbkb、adcy5、agtr1a、及びakt1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記85
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、TFEB、Atg5、Klotho、UCP1、Cebpbeta、miCebpa、アディポネクチン、Mt1、Txn1、Nrf2、mCAT、TERT、Bubr1、Par4、TFAM、Cisd2、Nudt1、Neu1、NGF、Sirt6、Dgat、prkar2b、insr、ubd、Coq7、Ctf1、mTOR、及びSlc13a5からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記86
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、sTGFbR2-FC及びNrf2からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記87
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、TERT、BubR1、Agtra1a、Adcy5、Coq7、Slc13a1、Ikbkb、Klotho、GDF15、CTF1、mTOR、Slc13a5、Pappa、Pcsk9、及びRps6kb1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記88
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、GDF15、Klotho、Adra1a(mut)、Sirt6、BubR1、Agtra1a、Adcy5、Akt1、MCAT、Slc13a1、Ikbkb、Ctf1、mTOR、Coq7、及びSlc13a5からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記89
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Txn1、Sirt6、Mt1、TFEB、Pck1、アディポネクチン、Cisd2、Nudt1、Atg5、Ctf1、Ikbkb、及びCoq7からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記90
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Fgf21、Nrf2、sTGFbR2-FC、Has2、NudT1、TERT、BubR1、Dgat1、Pappa、Ctf1、mTOR、Coq7、Slc13a5、Agtra1a、Adcy5、及びAkt1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記91
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Ctf1、Coq7、Agtra1a、Adcy5、mTOR、Cisd2、MCAT、FGF21、GDF15、Klotho、Slc13a1、Ikbkb、Txn1、及びSirt6からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記92
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与することにより、Klotho、GDF15、Neu1、Mt1、Adra1a、hFoxP2、PCSK9、Rps6kb1、Ctf1、Ikbkb、Coq7、Slc13a1、mTOR、及びNudT1からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記93
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、Atg5、Ctf1、Akt1、BubR1、Pck1、アディポネクチン、TERT、Nrf2、Cisd2、Dgat1、Pappa、Ctf1、mTOR、Coq7、及びSlc13a5からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、肥満及び2型糖尿病について哺乳動物を治療する方法。
付記94
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、FGF21、BMP2、BMP4、及びSEM3Aからなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、脂肪蓄積及び血糖を制御するために哺乳動物を治療する方法。
付記95
1種又は複数種の適切なウイルス発現ベクターを投与して、GDF15、アディポネクチン、ZAG、及びNRF2からなる群から選択される1又は複数の異種機能性タンパク質を哺乳動物において発現させることを含む、加齢関連疾患又は症状について哺乳動物を治療する方法。
付記96
それぞれ対応する機能性タンパク質をコードし、哺乳動物における発現のための調節配列に作動可能に連結されている、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、又は14個の核酸配列を含むウイルスベクター。
付記97
それぞれ阻害性RNA配列をコードし、哺乳動物における発現のための調節配列に作動可能に連結されている、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、又は14個の核酸配列を含むウイルスベクター。
付記98
受容体の細胞外部分を含む哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列及びFc(fragment crystallizable)ドメインをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第二の核酸配列を有するカセットを含むウイルスベクターであって、
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現により、哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質と前記Fcとの融合体が産生され、
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列は、哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記ウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記ウイルスベクターは、非標的組織における前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現を阻害するためのインヒビターを任意に含む、ウイルスベクター。
付記99
前記カセットが哺乳動物Nrf2タンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第三の核酸配列を含み、前記第三の核酸配列が哺乳動物細胞における発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されている、付記1に記載のウイルスベクター。
付記100
前記ウイルスベクターがパルボウイルスビリオンである、付記1に記載のウイルスベクター。
付記101
前記ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスである、付記1に記載のウイルスベクター。
付記102
前記ウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、及びAAV12からなる群から選択される、付記1に記載のウイルスベクター。
付記103
前記ウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、及びAAV12からなる群から選択されるアデノ随伴ウイルスの1又は複数の部位を含む、付記1に記載のウイルスベクター。
付記104
前記プロモーターが肝組織特異的プロモーターである、付記1に記載のウイルスベクター。
付記105
前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質が、ヒト可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質である、付記1に記載のウイルスベクター。
付記106
前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質が、イヌ可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質である、付記1に記載のウイルスベクター。
付記107
前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質が、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタの可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質からなる群から選択される、付記1に記載のウイルスベクター。
付記108
前記Fcが、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタのFc、又はIgg2a、Igg2b、Igg3、若しくはIgg4を含むこれらのサブタイプからなる群から選択される、付記1に記載のウイルスベクター。
付記109
前記適切なプロモーターが、構成的プロモーター若しくは誘導性プロモーター、又はheF1aプロモーター、AATプロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝臓制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択されるものである、付記1に記載のウイルスベクター。
付記110
前記ITRが、AAV2 ITR、AAV1 ITR、AAV5 ITR、AAV6 ITR、AAV7 ITR、AAV8 ITR、AAV9 ITR、AAV10 ITR、AAV11 ITR、及びAAV12 ITRからなる群から選択される、付記1に記載のウイルスベクター。
付記111
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列が、哺乳動物細胞におけるRNA安定性及び発現のために3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記1に記載のウイルスベクター。
付記112
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列が、哺乳動物細胞における発現を調節するために組織特異的miRNA結合配列を含む3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記1に記載のウイルスベクター。
付記113
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列が、肝細胞における発現を阻害するためにmir122a組織特異的miRNA結合配列を含む3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記1に記載のウイルスベクター。
付記114
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列が、ポリアデニル化シグナルを有する3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記1に記載のウイルスベクター。
付記115
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列が、WPRE、WPRE3、SV40ポリアデニル化シグナル、HBGポリアデニル化シグナル、及びETCポリアデニル化シグナル、又はこれらのハイブリッドからなる群から選択されるポリアデニル化シグナルを有する3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記1に記載のウイルスベクター。
付記116
前記遺伝子がKlotho又はsTGFRbR2-FCである、付記1に記載のウイルスベクター。
付記117
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターの組み合わせであって、
前記第一のウイルスベクターは、哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列及びFc(fragment crystallizable)ドメインをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第二の核酸配列を有するカセットを含み、前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現により、前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質と前記Fcとの融合体が産生され、
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列は、哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記ウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記ウイルスベクターは、非標的組織における前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現を阻害するためのインヒビターを任意に含み、
前記第二のウイルスベクターは、哺乳動物Nrf2タンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第三の核酸配列を含み、前記第三の核酸配列が、哺乳動物細胞における発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記第二のウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記第二のウイルスベクターは、非標的組織における前記第三の核酸配列の発現を阻害するためのインヒビターを任意に含む、前記ウイルスベクターの組み合わせ。
付記118
哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列及びFc(fragment crystallizable)ドメインをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第二の核酸配列を有するカセットを含むウイルスベクターを哺乳動物に投与することを含み、前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現により、前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質と前記Fcとの融合体が産生され、
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列は、哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記ウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記ウイルスベクターは、非標的組織における前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現を阻害するためのインヒビターを任意に含み、
前記ウイルスベクターが細胞に導入され、前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質と前記Fcとの前記融合体が前記細胞により産生されてトランスフォーミング増殖因子β1に結合することにより、トランスフォーミング増殖因子β1の活性が阻害される、哺乳動物における線維性組織の形成を減少させる方法。
付記119
哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列及びFc(fragment crystallizable)ドメインをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第二の核酸配列を有するカセットを含むウイルスベクターを哺乳動物に投与することを含み、前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現により、前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質と前記Fcとの融合体が産生され、ウイルスベクターを哺乳動物に投与することを含み、
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列は、哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記ウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記ウイルスベクターは、非標的組織における前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現を阻害するためのインヒビターを任意に含み、
前記ウイルスベクターが心臓、肝臓、肺、又は腎臓に導入され、前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質と前記Fcとの前記融合体が前記細胞により産生されてトランスフォーミング増殖因子β1に結合することにより、トランスフォーミング増殖因子β1の活性が阻害される、哺乳動物の心臓、肝臓、肺又は腎臓における線維症を治療する方法。
付記120
哺乳動物のアディポネクチンをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列を有するカセットを含むウイルスベクターであって、前記第一の核酸配列の発現によりアディポネクチンが産生され、
前記第一の核酸配列は、哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記ウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記ウイルスベクターは、非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を阻害するためのインヒビターを任意に含む、ウイルスベクター。
付記121
前記ウイルスベクターが自己相補型AAVである、付記1に記載のウイルスベクター。
付記122
前記ウイルスカセットが、DsbA-L(GSTΚ1)をコードする第二の核酸配列を有する、付記1に記載の方法。
付記123
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターの組み合わせであって、前記第一のウイルスベクターは、哺乳動物のアディポネクチンをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列を含むカセットを含み、前記第一の核酸配列の発現によりアディポネクチンが産生され、
前記第一の核酸配列は、哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記第一のウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記第一のウイルスベクターは、非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を阻害するためのインヒビターを任意に含み、
前記第二のウイルスベクターは、DsbA-L(GSTΚ1)をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第二の核酸配列を有するカセットを含み、
前記第二の核酸配列は、哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記第二のウイルスベクターは、前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記第二のウイルスベクターは、非標的組織における前記第二の核酸配列の発現を妨げるためのインヒビターを任意に含む、前記ウイルスベクターの組み合わせ。
付記124
前記第一のウイルスベクターが第一の自己相補型AAVであり、前記第二のウイルスベクターが第二の自己相補型AAVベクターである、付記1に記載の方法。
付記125
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、アディポネクチン、Adra1a(mut)、AMPK、Atg5、BubR1、mCat、Cebpbeta、Cisd2d、FGF21、GDF15(hNAG)、HAS2(nmr)、ヒト化FoxP2、Klotho、Mt1、NEU1、NGF、Nrf2、NUDT1、Par4 SACドメイン、Pck1、sIGF1r-Fc、Sirt1、Sirt6、TERT、TFAM、TFEB、sTGFbR2-Fc、BMP2、BMP4、Sema3a、及びTxn1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現される、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記126
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、ADcy5、Agtr1a、Akt1、Cebpalpha、Coq7、Ctf1、Dgat1、Ikbkb、Insr、mTOR、nf-kb、Pappa、PACKS、PDE4b、Prkar2b、Rps6kb1(S6K1)、Slc13a1、Slc13a5(INDY)、及びUbdからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記127
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
アディポネクチン、Adra1a(mut)、AMPK、Atg5、BubR1、mCat、Cebpbeta、Cisd2d、FGF21、GDF15(hNAG)、HAS2(nmr)、ヒト化FoxP2、Klotho、Mt1、NEU1、NGF、Nrf2、NUDT1、Par4 SACドメイン、Pck1、sIGF1r-Fc、Sirt1、Sirt6、TERT、TFAM、TFEB、sTGFbR2-Fc、BMP2、BMP4、Sema3a、及びTxn1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現されるか、又は
ADcy5、Agtr1a、Akt1、Cebpalpha、Coq7、Ctf1、Dgat1、Ikbkb、Insr、mTOR、nf-kb、Pappa、PACKS、PDE4b、Prkar2b、Rps6kb1(S6K1)、Slc13a1、Slc13a5(INDY)、及びUbdからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、加齢関連疾患又は症状を治療する方法。
付記128
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
アディポネクチン、AMPK、Cebpbeta、FGF21、GDF15(hNAG)、Pck1、Sirt1、PCSK9、BMP2、BMP4、Sema3a、及びUCP1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現されるか、又は
Cebpalpha、Dgat1、Insr、mTOR、Prkar2b、Slc13a1、Slc13a5(INDY)、及びUbdからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、動物を治療する方法。
付記129
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
FGF21、GDF15(hNAG)、Klotho、sIGF1r-Fc、BMP2、BMP4、Sema3a、及びSirt6からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現されるか、又は
Akt1、mTOR、Pappa、Rps6kb1、及び(S6K1)からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、動物を治療する方法。
付記130
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
Atg5、Cisd2d、及びTFEBからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現されるか、又は
Akt1及びmTORからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、動物を治療する方法。
付記131
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
Klotho、Nrf2、Sirt1、sTGFbR2-Fc、及びTxn1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現される、又は
Ctf1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、動物を治療する方法。
付記132
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
BubR1、HAS2(nmr)、NUDT1、Par4 SACドメイン、及びTERTからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現されるか、又は
Coq7及びCtf1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、動物を治療する方法。
付記133
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
mCat、Cisd2d、Mt1、Nrf2、Pck1、Sirt6、及びTFAMからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現されるか、又は
ADcy5、Agtr1a、Coq7、及びSlc13a1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、動物を治療する方法。
付記134
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
Adra1a(mut)、ヒト化FoxP2、NEU1、NGF、及びNUDT1からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現されるか、又は
Ikbkb及びPDE4bからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する機能性タンパク質の発現を阻害する1又は複数のインヒビターRNA配列が発現される、動物を治療する方法。
付記135
それぞれ対応する機能性タンパク質をコードし、プロモーター配列に作動可能に連結されている、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、又は14個の核酸配列を含むウイルスベクター。
付記136
それぞれ阻害性RNA配列をコードし、プロモーター配列に作動可能に連結されている、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、又は14個の核酸配列を含むウイルスベクター。
付記137
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
FGF21、BMP2、BMP4、及びSEM3Aからなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現される、動物を治療する方法。
付記138
1又は複数の核酸配列を有する1又は複数のカセットを含む1又は複数のウイルスベクターを投与することを含み、前記1又は複数のウイルスベクターが導入された細胞により発現されると、
GDF15、アディポネクチン、ZAG、及びNRF2からなる群から選択される前記1又は複数の核酸配列に関連する1又は複数の機能性タンパク質が発現される、動物を治療する方法。
付記139
真核細胞に1又は複数の対応する標的核酸配列に相補的な1又は複数のガイドRNA配列を提供すること、
哺乳動物タンパク質又はインヒビターmRNA産物を発現可能な1又は複数のドナー核酸配列を前記真核細胞に提供すること、ここで前記1又は複数のドナー核酸配列は、アディポネクチン、Adra1a(mut)、AMPK、Atg5、BubR1、mCat、Cebpbeta、Cisd2d、FGF21、GDF15(hNAG)、HAS2(nmr)、ヒト化FoxP2、Klotho、Mt1、NEU1、NGF、Nrf2、NUDT1、Par4 SACドメイン、Pck1、sIGF1r-Fc、Sirt1、Sirt6、TERT、TFAM、TFEB、sTGFbR2-Fc、BMP2、BMP4、Sema3a、Txn1、ADcy5、Agtr1a、Akt1、Cebpalpha、Coq7、Ctf1、Dgat1、Ikbkb、Insr、mTOR、nf-kb、Pappa、PACKS、PDE4b、Prkar2b、Rps6kb1(S6K1)、Slc13a1、Slc13a5(INDY)、及びUbd、又はこれらの任意の組み合わせ、サブコンビネーション、又は集団からなる群から選択される、
前記1又は複数のガイドRNA配列と相互作用し前記1又は複数の対応する標的核酸配列を部位特異的に切断するCas9酵素を前記真核細胞に提供することを含み、
前記1又は複数のガイドRNA配列は、前記相補的な1又は複数の対応する標的核酸配列に結合し、前記Cas9酵素は部位特異的に前記1又は複数の標的核酸配列を切断し、
前記1又は複数のドナー配列が前記ゲノム核酸配列に組み込まれて発現される、真核細胞のゲノム核酸配列に外来DNAを組み込む方法。
付記140
前記1又は複数のドナー核酸配列が、相同組換えにより前記ゲノム核酸配列に組み込まれる、付記139に記載の方法。
付記141
前記細胞に前記1又は複数のガイドRNA配列をコードする1又は複数の核酸を導入することにより、前記1又は複数のガイドRNA配列が前記真核細胞に提供され、
前記細胞に前記Cas9酵素をコードする核酸を導入することにより、前記Cas9酵素が前記細胞に提供され、
前記細胞により、前記1又は複数のガイドRNA配列及び前記Cas9タンパク質が発現される、付記139に記載の方法。
付記142
前記真核細胞が哺乳動物細胞である、付記139に記載の方法。
付記143
前記真核細胞がヒト細胞である、付記139に記載の方法。
付記144
前記分泌シグナルが、前記所望の発現を得るように発現を調節するために前記公知の哺乳動物分泌シグナルから選択される、付記16に記載のウイルスベクター。
付記145
Klothoをコードする第二の核酸及び/又はFGF21をコードする第三の核酸をさらに含み、前記第二の核酸配列又は前記第三の核酸配列が、前記哺乳動物細胞における前記Klotho又はFGF21タンパク質の発現のための第二の調節配列又は第三の調節配列に作動可能に連結されている、付記16に記載のウイルスベクター。
付記146
前記哺乳動物sTGFβ-R2タンパク質及び前記哺乳動物Klothoタンパク質又はFGF21タンパク質が、同一哺乳動物種のものである、付記145に記載のウイルスベクター。
付記147
前記哺乳動物種が、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタからなる群から選択される、付記146に記載のウイルスベクター。
付記148
前記第二の調節配列又は前記第三の調節配列が、肝細胞における前記Klotho又はFGF21タンパク質の発現のための第二の肝組織特異的プロモーターを含む、付記145に記載のウイルスベクター。
付記149
前記第二の調節配列又は前記第三の調節配列が第二のプロモーター又は第三のプロモーターを含み、前記第二のプロモーター又は前記第三のプロモーターが構成的プロモーター又は誘導性プロモーターである、付記145に記載のウイルスベクター。
付記150
前記第二調節配列又は前記第三の調節配列が、heF1aプロモーター、AATプロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝臓制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択される第二のプロモーター又は第三のプロモーターを含む、付記145に記載のウイルスベクター。
付記151
前記第二の調節配列又は前記第三の調節配列が構成的プロモーターを含む、付記145に記載のウイルスベクター。
付記152
前記第二の核酸配列又は前記第三の核酸配列が、哺乳動物細胞におけるRNA安定性及び発現を調節する第二の3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記145に記載のウイルスベクター。
付記153
前記第二の3′非翻訳領域又は前記第三の3′非翻訳領域が、哺乳動物細胞における前記Klothoタンパク質又はFGF21タンパク質の発現を調節するための第二の組織特異的miRNA結合配列又は第三の組織特異的miRNA結合配列を含む、付記145に記載のウイルスベクター。
付記154
前記第二の組織特異的miRNA結合配列又は前記第三の組織特異的miRNA結合配列が、肝細胞における発現を妨げるための第二のmir122a組織特異的miRNA結合配列又は第三のmir122a組織特異的miRNA結合配列を含む、付記153に記載のウイルスベクター。
付記155
前記第二の3′非翻訳領域又は前記第三の3′非翻訳領域が、WPRE3、SV40後期ポリアデニル化シグナル(切断型、配列番号114)、HBGポリアデニル化シグナル、及びETCポリアデニル化シグナル、又はこれらのハイブリッドからなる群から選択される第二のポリアデニル化シグナル又は第三のポリアデニル化シグナルを含む、付記145に記載のウイルスベクター。
付記156
前記FGF21タンパク質をコードする前記第二の核酸又は前記第三の核酸が前記第一の調節配列に作動可能に連結されることにより、前記融合タンパク質及び前記Klothoタンパク質又はFGF21タンパク質をコードするポリシストロニックmRNA転写産物が発現され、前記第二の調節配列又は前記第三の調節配列は前記ポリシストロニック転写産物から前記Klothoタンパク質又はFGF21タンパク質を発現するための作動可能に連結されたIRES又は2A配列を含む、付記145に記載のウイルスベクター。
付記157
前記ウイルスベクターがパルボウイルスベクターである、付記145に記載のウイルスベクター。
付記158
前記ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、付記157に記載のウイルスベクター。
付記159
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)ウイルスベクターから選択される、付記158に記載のウイルスベクター。
付記160
前記ウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)、又はこれらの組み合わせについて血清型が決定される、付記158に記載のウイルスベクター。
付記161
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターを含む組成物であって、
前記第一のウイルスベクターは、受容体細胞外ドメインを有する哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体II(sTGFβ-R2)タンパク質又はその断片とIg Fcドメインとの融合タンパク質をコードする第一の核酸配列を含み、前記融合タンパク質はTGFβ1に結合可能であり、前記第一の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための適切な調節配列に作動可能に連結されており、前記第一のウイルスベクターは非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を阻害するための第一のインヒビター配列を任意に含み、
前記第二のウイルスベクターはKlothoタンパク質又はFGF21タンパク質をコードする第二の核酸配列を含み、前記第二の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための第二の調節配列に作動可能に連結されており、前記第二のウイルスベクターは非標的組織における前記第二の核酸配列の発現を阻害するための第二のインヒビター配列を任意に含む、組成物。
付記162
付記161に記載の組成物の前記ウイルスベクターの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における線維性組織の形成を減少させる方法。
付記163
付記161に記載の組成物の前記ウイルスベクターの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における心臓、肝臓、肺、又は腎臓の線維症の治療方法。
付記164
FGF21タンパク質をコードする第一の核酸配列を含むウイルスベクターであって、
前記第一の核酸配列が、哺乳動物細胞における前記FGF21タンパク質の発現のための第一の調節配列に作動可能に連結されている、ウイルスベクター。
付記165
Klothoをコードする第二の核酸をさらに含み、前記第二の核酸配列が、前記哺乳動物細胞における前記Klothoタンパク質の発現のための第二の調節配列に作動可能に連結されている、付記164に記載のウイルスベクター。
付記166
前記FGF21タンパク質及び前記Klothoタンパク質が、同一哺乳動物種のものである、付記165に記載のウイルスベクター。
付記167
前記哺乳動物種が、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネズミ、及びブタからなる群から選択される、付記166に記載のウイルスベクター。
付記168
前記第二の調節配列が、肝細胞における前記Klothoタンパク質の発現のための第二の肝組織特異的プロモーターを含む、付記164に記載のウイルスベクター。
付記169
前記第二の調節配列が第二のプロモーターを含み、前記第二のプロモーターが構成的プロモーター又は誘導性プロモーターである、付記164に記載のウイルスベクター。
付記170
前記第二の調節配列が、heF1aプロモーター、AATプロモーター、甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター、アルブミンプロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、肝臓制御領域(HCR)-ApoCIIハイブリッドプロモーター、HCR-hAATハイブリッドプロモーター、並びにマウスアルブミン遺伝子エンハンサー(Ealb)エレメント及びアポリポタンパク質Eプロモーターと組み合わせられたAATプロモーターからなる群から選択される第二のプロモーターを含む、付記164に記載のウイルスベクター。
付記171
前記第二の調節配列が構成的プロモーターを含む、付記164に記載のウイルスベクター。
付記172
前記第二の核酸配列が、哺乳動物細胞におけるRNA安定性及び発現を調節する第二の3′非翻訳領域に作動可能に連結されている、付記164に記載のウイルスベクター。
付記173
前記第二の3′非翻訳領域が、哺乳動物細胞における前記Klothoタンパク質の発現を調節するための第二の組織特異的miRNA結合配列を含む、付記164に記載のウイルスベクター。
付記174
前記第二の組織特異的miRNA結合配列が、肝細胞における発現を妨げるための第二のmir122a組織特異的miRNA結合配列を含む、付記173に記載のウイルスベクター。
付記175
前記第二の3′非翻訳領域が、WPRE3、SV40後期ポリアデニル化シグナル(切断型、配列番号114)、HBGポリアデニル化シグナル、及びETCポリアデニル化シグナル、又はこれらのハイブリッドからなる群から選択される第二のポリアデニル化シグナルを含む、付記164に記載のウイルスベクター。
付記176
前記Klothoタンパク質をコードする前記第二の核酸が前記第一の調節配列に作動可能に連結されることにより、前記FGF21タンパク質及び前記Klothoタンパク質をコードするポリシストロニックmRNA転写産物が発現され、前記第二の調節配列は前記ポリシストロニック転写産物からKlothoタンパク質を発現するための作動可能に連結されたIRES又は2A配列を含む、付記164に記載のウイルスベクター。
付記177
前記ウイルスベクターがパルボウイルスベクターである、付記164に記載のウイルスベクター。
付記178
前記ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、付記164に記載のウイルスベクター。
付記179
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)ウイルスベクターから選択される、付記178に記載のウイルスベクター。
付記180
前記ウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV2.5、及びAAVrh10.XX(ここでxxは異なる既知の変異体を意味する)、又はこれらの組み合わせについて血清型が決定される、付記178に記載のウイルスベクター。
付記181
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターを含む組成物であって、
前記第一のウイルスベクターはFGF21タンパク質をコードする第一の核酸配列又はその断片を含み、前記第一の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための適切な調節配列に作動可能に連結されており、前記第一のウイルスベクターは非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を阻害するための第一のインヒビター配列を任意に含み、
前記第二のウイルスベクターはKlothoタンパク質をコードする第二の核酸配列を含み、前記第二の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための第二の調節配列に作動可能に連結されており、前記第二のウイルスベクターは非標的組織における前記第二の核酸配列の発現を阻害するための第二のインヒビター配列を任意に含む、組成物。
付記182
付記181に記載の組成物の前記ウイルスベクターの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における線維性組織の形成を減少させる方法。
付記183
付記181に記載の組成物の前記ウイルスベクターの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における心臓、肝臓、肺、又は腎臓の線維症の治療方法。
付記184
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターの組み合わせであって、前記第一のウイルスベクターは、哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列及びFc(fragment crystallizable)ドメインをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第二の核酸配列を有するカセットを含み、前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現により、前記哺乳動物可溶性トランスフォーミング増殖因子β受容体IIタンパク質と前記Fcとの融合体が産生され、
前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列は哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記ウイルスベクターは前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記ウイルスベクターは非標的組織における前記第一の核酸配列及び前記第二の核酸配列の発現を妨げるためのインヒビターを任意に含み、
前記第二のウイルスベクターはKlotho又はFGF21をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第三の核酸配列を含み、前記第三の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記第二のウイルスベクターは前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、前記第二のウイルスベクターは非標的組織における前記第三の核酸配列の発現を妨げるためのインヒビターを任意に含む、前記ウイルスベクターの組み合わせ。
付記185
第一のウイルスベクター及び第二のウイルスベクターの組み合わせであって、前記第一のウイルスベクターは、FGF21タンパク質をコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第一の核酸配列を含むカセットを含み、
前記第一の核酸配列は哺乳動物細胞の発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記ウイルスベクターは前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、
前記ウイルスベクターは非標的組織における前記第一の核酸配列の発現を妨げるためのインヒビターを任意に含み、
前記第二のウイルスベクターはKlothoをコードする核酸配列に対して少なくとも90%の相同性を有する第二の核酸配列を含み、前記第二の核酸配列は哺乳動物細胞における発現のための適切なプロモーターに作動可能に連結されており、
前記第二のウイルスベクターは前記カセットに隣接する1又は複数のITR配列を含み、前記第二のウイルスベクターは非標的組織における前記第三の核酸配列の発現を妨げるためのインヒビターを任意に含む、前記ウイルスベクターの組み合わせ。
【配列表】