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特許7632876予備電源装置及び予備電源装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】予備電源装置及び予備電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250212BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/34 B
H02J7/34 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021056570
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153839
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大澤 進
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-201091(JP,A)
【文献】特開2012-100517(JP,A)
【文献】特開2012-137341(JP,A)
【文献】特開2014-187734(JP,A)
【文献】特開2005-028908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続される第1ノード及び接地される第2ノードを有し、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に直列に接続される第1電気二重層コンデンサ及び第2電気二重層コンデンサを備える蓄電回路と、
前記第1ノードに接続される第1端子と、第2端子と、を有し、前記第1端子と前記第2端子との間を接続又は開放する第1スイッチ素子と、
前記第2端子と第4ノードとの間に設けられる第1放電抵抗と、
前記第4ノードと接地との間に設けられる第2放電抵抗と、
前記第1電気二重層コンデンサ及び前記第2電気二重層コンデンサとの間の第3ノードに接続される第3端子と、前記第4ノードに接続される第4端子と、を有し、前記第3端子と前記第4端子との間を接続又は開放する第2スイッチ素子と、
前記第1ノードの電圧を測定し、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を制御する測定制御部と、を備え、
前記測定制御部は、
第1処理として、
前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放し、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続する手順と、
前記第1ノードの電圧を測定し、第1電圧値を取得する手順と、
前記第1ノードの電圧が、前記第1電圧値よりも低い第2電圧値以下であるか判定する手順と、
前記第1ノードの電圧が前記第2電圧値以下である場合に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放する手順と、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続してから開放するまでの時間を算出する手順と、
前記時間と、前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記蓄電回路の容量値を算出する手順と、を実行し、
第2処理として、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により接続する手順と、
所定の時間が経過した後に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放する手順と、を実行する、
予備電源装置。
【請求項2】
前記測定制御部は、
前記第1電圧値をV1、前記第2電圧値をV2、前記時間をT、前記第1放電抵抗の抵抗値と前記第2放電抵抗の抵抗値との加算した抵抗値をR、前記容量値をCscとすると、前記容量値を、
【数1】
により算出する、
請求項1に記載の予備電源装置。
【請求項3】
前記測定制御部は、
算出した前記容量値に基づいて、前記蓄電回路の劣化を判定する手順を、実行する、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の予備電源装置。
【請求項4】
前記測定制御部は、
前記第1スイッチ素子により前記第1端子と前記第2端子との間を開放する手順の後に、前記第1ノードの電圧を測定し、第3電圧値を取得する手順と、
前記第2電圧値及び前記第3電圧値に基づいて、前記蓄電回路の等価直列抵抗値を算出する手順と、を実行する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の予備電源装置。
【請求項5】
電源に接続される第1ノード及び接地される第2ノードを有し、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に直列に接続される第1電気二重層コンデンサ及び第2電気二重層コンデンサを備える蓄電回路と、
前記第1ノードに接続される第1端子と、第2端子と、を有し、前記第1端子と前記第2端子との間を接続又は開放する第1スイッチ素子と、
前記第2端子と第4ノードとの間に設けられる第1放電抵抗と、
前記第4ノードと接地との間に設けられる第2放電抵抗と、
前記第1電気二重層コンデンサ及び前記第2電気二重層コンデンサとの間の第3ノードに接続される第3端子と、前記第4ノードに接続される第4端子と、を有し、前記第3端子と前記第4端子との間を接続又は開放する第2スイッチ素子と、を備える予備電源装置の制御方法であって、
第1処理として、
前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放し、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続する工程と、
前記第1ノードの電圧を測定し、第1電圧値を取得する工程と、
前記第1ノードの電圧が、前記第1電圧値よりも低い第2電圧値以下であるか判定する工程と、
前記第1ノードの電圧が前記第2電圧値以下である場合に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放する工程と、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続してから開放するまでの時間を算出する工程と、
前記時間と、前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記蓄電回路の容量値を算出する工程と、を備え、
第2処理として、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により接続する工程と、
所定の時間が経過した後に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子より開放し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放する工程と、を備える、
予備電源装置の制御方法。
【請求項6】
電源に接続される第1ノード及び接地される第2ノードを有し、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に直列に接続される第1電気二重層コンデンサ及び第2電気二重層コンデンサを備える蓄電回路と、
前記第1ノードに接続される第1端子と、第2端子と、を有し、前記第1端子と前記第2端子との間を接続又は開放する第1スイッチ素子と、
前記第2端子と第4ノードとの間に設けられる第1放電抵抗と、
前記第4ノードと接地との間に設けられる第2放電抵抗と、
前記第1電気二重層コンデンサ及び前記第2電気二重層コンデンサとの間の第3ノードに接続される第3端子と、前記第4ノードに接続される第4端子と、を有し、前記第3端子と前記第4端子との間を接続又は開放する第2スイッチ素子と、
前記第1ノードの電圧を測定し、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を制御する測定制御部と、を備え、
前記測定制御部は、
第1処理として、
前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放し、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続する手順と、
前記第1ノードの電圧を測定し、第1電圧値を取得する手順と、
前記第1ノードの電圧を測定した直後に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放する手順と、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放した後に、前記第1ノードの電圧を測定し、前記第1電圧値よりも低い第2電圧値を取得する手順と、
前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記蓄電回路の等価直列抵抗値を算出する手順と、を実行し、
第2処理として、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により接続する手順と、
所定の時間が経過した後に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放する手順と、を実行する、
予備電源装置。
【請求項7】
前記測定制御部は、
前記第1電圧値をV1、前記第2電圧値をV2、前記第1放電抵抗の抵抗値と前記第2放電抵抗の抵抗値との加算した抵抗値をR、前記等価直列抵抗値をESRとすると、前記等価直列抵抗値を、
【数2】
により算出する、
請求項6に記載の予備電源装置。
【請求項8】
前記測定制御部は、算出した前記等価直列抵抗値に基づいて、前記蓄電回路の劣化を判定する手順を、実行する、
請求項6又は請求項7のいずれかに記載の予備電源装置。
【請求項9】
電源に接続される第1ノード及び接地される第2ノードを有し、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に直列に接続される第1電気二重層コンデンサ及び第2電気二重層コンデンサを備える蓄電回路と、
前記第1ノードに接続される第1端子と、第2端子と、を有し、前記第1端子と前記第2端子との間を接続又は開放する第1スイッチ素子と、
前記第2端子と第4ノードとの間に設けられる第1放電抵抗と、
前記第4ノードと接地との間に設けられる第2放電抵抗と、
前記第1電気二重層コンデンサ及び前記第2電気二重層コンデンサとの間の第3ノードに接続される第3端子と、前記第4ノードに接続される第4端子と、を有し、前記第3端子と前記第4端子との間を接続又は開放する第2スイッチ素子と、を備える予備電源装置の制御方法であって、
第1処理として、
前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放し、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続する工程と、
前記第1ノードの電圧を測定し、第1電圧値を取得する工程と、
前記第1ノードの電圧を測定した直後に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放する工程と、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放した後に、前記第1ノードの電圧を測定し、前記第1電圧値よりも低い第2電圧値を取得する工程と、
前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記蓄電回路の等価直列抵抗値を算出する工程と、を備え、
第2処理として、
前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により接続する工程と、
所定の時間が経過した後に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放する工程と、を備える、
予備電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予備電源装置及び予備電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車において、主電源の故障又は中断の場合に、主電源に代わって電気エネルギーを供給したり、主電源を補助したりするために備えられるバックアップ電源が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6675874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、バックアップ電源としてスーパーキャパシタが使用されることが開示されている。バックアップ電源としてスーパーキャパシタ等の電気二重層コンデンサを使用する際には、電気二重層コンデンサの劣化状態を監視する必要がある。
【0005】
本開示は、バックアップ電源の電気二重層コンデンサの劣化状態を監視可能な予備電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様では、電源に接続される第1ノード及び接地される第2ノードを有し、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に直列に接続される第1電気二重層コンデンサ及び第2電気二重層コンデンサを備える蓄電回路と、前記第1ノードに接続される第1端子と、第2端子と、を有し、前記第1端子と前記第2端子との間を接続又は開放する第1スイッチ素子と、前記第2端子と第4ノードとの間に設けられる第1放電抵抗と、前記第4ノードと接地との間に設けられる第2放電抵抗と、前記第1電気二重層コンデンサ及び前記第2電気二重層コンデンサとの間の第3ノードに接続される第3端子と、前記第4ノードに接続される第4端子と、を有し、前記第3端子と前記第4端子との間を接続又は開放する第2スイッチ素子と、前記第1ノードの電圧を測定し、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を制御する測定制御部と、を備え、前記測定制御部は、第1処理として、前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放し、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続する手順と、前記第1ノードの電圧を測定し、第1電圧値を取得する手順と、前記第1ノードの電圧が、前記第1電圧値よりも低い第2電圧値以下であるか判定する手順と、前記第1ノードの電圧が前記第2電圧値以下である場合に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放する手順と、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続してから開放するまでの時間を算出する手順と、前記時間と、前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記蓄電回路の容量値を算出する手順と、を実行し、第2処理として、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により接続し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により接続する手順と、所定の時間が経過した後に、前記第1端子と前記第2端子との間を前記第1スイッチ素子により開放し及び前記第3端子と前記第4端子との間を前記第2スイッチ素子により開放する手順と、を実行する予備電源装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の予備電源装置によれば、バックアップ電源の電気二重層コンデンサの劣化状態を監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る予備電源装置の構成例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る予備電源装置の等化/放電回路の構成例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る予備電源装置における蓄電回路の容量値と等価直列抵抗値を測定する際の等価回路図である。
図4図4は、本実施形態に係る予備電源装置における蓄電回路の容量値を測定する際のフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係る予備電源装置における蓄電回路の等価直列抵抗値を測定する際のフローチャートである。
図6図6は、本実施形態に係る予備電源装置における蓄電回路の容量値及び等価直列抵抗値を測定する際のフローチャートである。
図7図7は、本実施形態に係る予備電源装置における蓄電回路の等化処理及び容量値と等価直列抵抗値の測定を行う回路の回路図である。
図8図8は、本実施形態に係る予備電源装置における蓄電回路の等化処理及び容量値と等価直列抵抗値の測定を行う際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態に係る予備電源装置について詳細に説明する。
【0010】
<予備電源装置1>
図1は、本実施形態に係る予備電源装置1の構成例を示す図である。近年、自動車ドアの機械的ロック機構であるラッチ機構において、ラッチのロック部分の動作をモータで行うシステムが電動ラッチシステムとして採用されている。自動車ドアは、事故等の緊急時にも解除出来ることが必須である。そのため、事故の破壊等によりバッテリ電源が喪失した場合でも、電動ラッチシステムは一定時間動作を継続できる必要がある。本実施形態に係る予備電源装置1は、電動ラッチシステムのバックアップ電源として用いられる。
【0011】
予備電源装置1は、電源100から供給される電力を蓄電する。また、予備電源装置1は、電源100からの電力が遮断されたときに、負荷装置200に電源を供給する。なお、電源100は、負荷装置200にも直接接続される。電源100は、電流の逆流を防止するために、ダイオード71を介して、負荷装置200に接続される。
【0012】
電源100は、例えば、車載バッテリである。負荷装置200は、負荷210と、負荷210を駆動する負荷駆動回路220と、を備える。負荷210は、例えば、自動車ドアの電動ラッチシステムにおけるモータである。
【0013】
予備電源装置1は、蓄電回路10と、充電回路20と、昇圧回路30と、等化/放電回路40と、測定制御部50と、を備える。予備電源装置1を構成する各構成要素について説明する。
【0014】
[蓄電回路10]
蓄電回路10は、電気を蓄電する回路である。蓄電回路10は、少なくとも1つの電気二重層コンデンサ、いわゆる、スーパーキャパシタ、を備える。本実施形態に係る予備電源装置1の蓄電回路10は、直列に接続された電気二重層コンデンサ11及び電気二重層コンデンサ12を備える。
【0015】
[充電回路20]
充電回路20は、電源100から供給される電力により、蓄電回路10を充電する。充電回路20は、測定制御部50の充電制御信号CTL1に基づいて、充電を行う。
【0016】
[昇圧回路30]
昇圧回路30は、蓄電回路10から供給される電力を昇圧して、負荷装置200に給電する。昇圧回路30は、測定制御部50の昇圧制御信号CTL2に基づいて、給電を行う。なお、昇圧回路30は、電流の逆流を防止するために、ダイオード72を介して負荷装置200に接続される。なお、ダイオード72は、省略してもよい。
【0017】
[等化/放電回路40]
等化/放電回路40は、蓄電回路10の等化処理を行う。また、等化/放電回路40は、蓄電回路10の放電処理を行う。図2は、本実施形態に係る予備電源装置1の等化/放電回路40の構成例を示す図である。
【0018】
スーパーキャパシタ等の電気二重層コンデンサを直列に接続する場合、個々のリーク電流バラつき等に起因する各コンデンサの電圧分担にアンバランスが生じる場合がある。各コンデンサの電圧分担にアンバランスが生じると、個々のコンデンサの定格電圧を加算した全体としての定格電圧内であっても、各コンデンサで見た場合にどちらかのコンデンサに定格や設定した値を超えた電圧がかかる可能性がある。等化/放電回路40は、定格や設定した値を超えた電圧が電気二重層コンデンサ11又は電気二重層コンデンサ12にかかることを防ぐために、電圧分担アンバランスを解消しそれぞれのコンデンサにかかる電圧を等しくする等化処理を行う。
【0019】
等化/放電回路40は、等化制御信号CTL3に基づいて、蓄電回路10の等化処理を行う。また、等化/放電回路40は、放電制御信号CTL4に基づいて、放電処理を行う。さらに、等化/放電回路40は、電気二重層コンデンサ11の電圧信号SIGV1と、電気二重層コンデンサ12の電圧信号SIGV2と、を測定制御部50に出力する。
【0020】
等化/放電回路40は、スイッチ41及びスイッチ42と、抵抗45及び抵抗46と、を備える。なお、蓄電回路10は、ノードN1とノードN3との間に電気二重層コンデンサ11を備える。また、蓄電回路10は、ノードN3とノードN2との間に電気二重層コンデンサ12を備える。ノードN1は、電源100及び負荷装置200に接続される。ノードN2は接地される。
【0021】
スイッチ41は、第1端子41a及び第2端子41bを有する。スイッチ41は、第1端子41aと第2端子41bとの間を接続又は開放する。スイッチ41は、ノードN1と抵抗45との間に設けられる。スイッチ41は、等化制御信号CTL3及び放電制御信号CTL4に基づいて開閉される。なお、以下の説明においてスイッチ41をスイッチSW1という場合がある。
【0022】
抵抗45は、スイッチ41とノードN4との間に設けられる。なお、抵抗45及び抵抗46は、ノードN4で直列に接続される。抵抗45は、抵抗値R1を有する。
【0023】
スイッチ42は、第1端子42a及び第2端子42bを有する。スイッチ42は、第1端子42aと第2端子42bとの間を接続又は開放する。スイッチ42は、ノードN3とノードN4との間に設けられる。スイッチ42は、等化制御信号CTL3及び放電制御信号CTL4に基づいて開閉される。なお、以下の説明においてスイッチ42をスイッチSW2という場合がある。
【0024】
抵抗46は、ノードN4とノードN2との間に設けられる。抵抗46は、抵抗値R2を有する。なお、抵抗値R2は、抵抗値R1と等しくてもよい。なお、抵抗値が等しいという場合には、完全に一致する場合に限らず、例えば、製造誤差範囲内で等しい場合も含まれる。
【0025】
等化/放電回路40は、ノードN1における電圧値Vsc1を、電圧信号SIGV1として、測定制御部50に出力する。また、等化/放電回路40は、ノードN3における電圧値Vsc2を、電圧信号SIGV2として、測定制御部50に出力する。なお、ノードN1における電圧を、蓄電回路10の端子電圧Vscという場合がある。
【0026】
なお、スイッチ42の第1端子42aは第3端子の一例、スイッチ42の第2端子42bは第4端子の一例である。また、ノードN1は第1ノードの一例、ノードN2は第2ノードの一例、ノードN3は第3ノードの一例、ノードN4は第4ノードの一例である。
【0027】
[測定制御部50]
測定制御部50は、蓄電回路10の充電、給電、放電を制御する。また、測定制御部50は、蓄電回路10の特性を測定する。測定制御部50は、例えば、エレクトロニックコントロールユニット(Electronic Control Unit:ECU)により構成される。
【0028】
測定制御部50は、充電制御信号CTL1により、充電回路20の蓄電回路10への充電を制御する。また、測定制御部50は、昇圧制御信号CTL2により、昇圧回路30の負荷装置200への給電を制御する。測定制御部50は、等化制御信号CTL3により、等化/放電回路40の等化処理を制御する。
【0029】
また、測定制御部50は、放電制御信号CTL4により、等化/放電回路40の放電処理を制御する。測定制御部50は、駆動制御信号CTL5により、負荷駆動回路220を制御する。
【0030】
測定制御部50は、時間を測定するためにタイマーを備える。測定制御部50は、当該タイマーによりタイマーカウントを開始して停止するまでのカウント数を用いて、時間を算出する。
【0031】
<測定制御部50における蓄電回路10の特性の測定>
本実施形態に係る予備電源装置1の測定制御部50における蓄電回路10の特性の測定について説明する。蓄電回路10の特性は、蓄電回路10の容量値及び等価直列抵抗値により求められる。
【0032】
[蓄電回路10の容量値及び等価直列抵抗値]
本実施形態に係る予備電源装置1における蓄電回路10の特性について説明する。図3は、本実施形態に係る予備電源装置1における蓄電回路の容量値と等価直列抵抗値を測定する際の等価回路図である。
【0033】
本実施形態に係る蓄電回路10について、直列に接続している電気二重層コンデンサ11及び電気二重層コンデンサ12を、等価的に容量値Cscを有する一つのコンデンサと、当該コンデンサに直列に接続された抵抗値ESRscを有する一つ抵抗と見なす。そして、容量値Csc及び抵抗値ESRscを用いて蓄電回路10の特性を評価する。
【0034】
また、直列に接続された抵抗45及び抵抗46は、抵抗値R(=抵抗値R1+抵抗値R2)の放電抵抗R_dischargeと見なして評価を行う。すなわち、抵抗45の抵抗値R1と抵抗46の抵抗値R2とを加算した抵抗値Rを放電抵抗R_dischargeの抵抗値とする。
【0035】
[蓄電回路10の容量値の測定]
電気二重層コンデンサは使用により特性劣化が進行する。電気二重層コンデンサの劣化が進行して、容量値が低下していった場合、例えば、モータへの供給電流に支障が生じて、バックアップ電源として使用可能な時間が短くなったり、ラッチの解除ができなかったりする場合が想定される。したがって、本実施形態に係る予備電源装置1では、電気二重層コンデンサの容量値を随時測定して容量値の監視を行う。
【0036】
図4は、本実施形態に係る予備電源装置1における蓄電回路10の容量値を測定する際のフローチャートである。なお、本処理を行う場合は、充電回路20及び昇圧回路30は、動作を停止する。すなわち、蓄電回路10は、電源100から充電は行われていない状態である。また、蓄電回路10は、負荷装置200への給電は行っていない状態である。また、蓄電回路10は、本処理を行う場合は、ある程度充電されている状態、例えば、満充電の50%以上、好ましくは80%以上充電されている状態、である。
【0037】
図4のフローチャートに沿って、本実施形態に係る予備電源装置1の測定制御部50の処理手順及び予備電源装置1の制御方法の工程について説明する。
【0038】
(ステップS10)
最初に、測定制御部50は、スイッチSW1をオン(閉)にする。スイッチSW1がオン(閉)になると、放電抵抗R_dischargeが蓄電回路10に接続される。放電抵抗R_dischargeが蓄電回路10に接続されると、蓄電回路10に蓄えられた電力が、放電抵抗R_dischargeを経由して、電流I_Rで接地に流れる。蓄電回路10に蓄えられた電力が電流I_Rで接地に流れると、蓄電回路10の端子電圧Vscが徐々に低下する。
【0039】
(ステップS20)
次に、測定制御部50は、蓄電回路10の端子電圧Vscを測定する。そして、測定制御部50は、測定した端子電圧Vscの電圧値を開始電圧値V1として記録(取得)する。また、タイマーカウントを開始する。
【0040】
(ステップS30)
次に、測定制御部50は、蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値が、所定値に設定された終了電圧値V2以下になったかどうかを判定する。蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値が、所定の終了電圧値V2より大きい場合(ステップS30のNo)は、ステップS30を再度繰り返す。蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値が所定の終了電圧値V2以下の場合(ステップS30のYes)は、測定制御部50は、ステップS40に処理を進める。終了電圧値V2は、開始電圧値V1よりも低い値に設定される。
【0041】
(ステップS40)
次に、測定制御部50は、タイマーカウントを停止して、カウント値を記録する。そして、測定制御部50は、カウント値からタイマーカウントを開始してから停止するまでの時間Tを算出する。ステップS40の処理は、ステップS30と同時に又はステップS30を実行してから測定制御部50が実行可能な範囲でできるだけ速く実行することが望ましい。
【0042】
(ステップS50)
次に、測定制御部50は、スイッチSW1をオフ(開)にする。スイッチSW1がオフ(開)になると、放電抵抗R_dischargeは蓄電回路10から切り離される。
【0043】
(ステップS60)
次に、測定制御部50は、測定した開始電圧値V1及び終了電圧値V2と、時間Tと、を用いて、式1により容量値Cscを計算する。なお、抵抗値Rは、放電抵抗R_dischargeの抵抗値である。Lnは、自然対数を表す。
【0044】
【数1】
【0045】
(ステップS70)
次に、測定制御部50は、算出した容量値Cscに基づいて、蓄電回路10が正常かどうか(劣化しているかどうか)判断する。例えば、容量値Cscが所定の容量値より小さくなっている場合は、測定制御部50は蓄電回路10が異常である(劣化している)と判断する。
【0046】
なお、例えば、ステップS30において、蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値が、例えば終了電圧値V2以下になったとき、改めて端子電圧Vscを測定して終了電圧値V2としてもよい。また、設定した時間Tsを先に設定し、スイッチSW1オン後、時間Tsを経過した時の蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値を終了電圧値V2として測定してもよい。
【0047】
本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10から電流が放出される放電において、蓄電回路10の容量値を測定することができる。また、本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10の容量値を測定することにより、蓄電回路10が備える電気二重層コンデンサの特性劣化を監視することができる。
【0048】
本実施形態の予備電源装置1の等化/放電回路40は、蓄電回路10に蓄電されたエネルギーを放電する放電回路としても動作する。したがって、本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10の容量値を測定することにより、放電回路の動作の確認を行うことができる。
【0049】
なお、開始電圧値V1が第1電圧値の一例、終了電圧値V2が第2電圧値の一例である。
【0050】
[蓄電回路10の等価直列抵抗値の測定]
電気二重層コンデンサは使用により特性劣化が進行する。電気二重層コンデンサの劣化が進行して、等価直列抵抗値が増加していった場合、例えば、モータへの供給電流に支障が生じて、ラッチの解除ができない場合が想定される。したがって、本実施形態に係る予備電源装置1では、電気二重層コンデンサの等価直列抵抗値を随時測定して等価直列抵抗値の監視を行う。
【0051】
図5は、本実施形態に係る予備電源装置1における蓄電回路10の等価直列抵抗値を測定する際のフローチャートである。なお、本処理を行う場合は、充電回路20及び昇圧回路30は、動作を停止する。すなわち、蓄電回路10は、電源100から充電は行われていない状態である。また、蓄電回路10は、負荷装置200への給電は行っていない状態である。また、蓄電回路10は、本処理を行う場合は、ある程度充電されている状態、例えば、満充電の50%以上、好ましくは80%以上充電されている状態、である。
【0052】
図5のフローチャートに沿って、本実施形態に係る予備電源装置1の測定制御部50の処理手順及び予備電源装置1の制御方法の工程について説明する。
【0053】
(ステップS110)
最初に、測定制御部50は、スイッチSW1をオン(閉)にする。スイッチSW1がオン(閉)になると、放電抵抗R_dischargeが蓄電回路10に接続される。放電抵抗R_dischargeが蓄電回路10に接続されると、蓄電回路10に蓄えられた電力が、放電抵抗R_dischargeを経由して、電流I_Rで接地に流れる。蓄電回路10に蓄えられた電力が電流I_Rで接地に流れると、蓄電回路10の端子電圧Vscが徐々に低下する。
【0054】
(ステップS120)
次に、測定制御部50は、一定期間待機する。例えば、電流I_Rが安定するまで、測定制御部50は、一定期間待機する。
【0055】
(ステップS130)
次に、測定制御部50は、蓄電回路10の端子電圧Vscを測定する。そして、測定制御部50は、測定した端子電圧Vscの電圧値を導通時電圧値Vsc_onとして記憶(取得)する。
【0056】
(ステップS140)
次に、測定制御部50は、ステップS130で蓄電回路10の端子電圧Vscを測定した直後に、スイッチSW1をオフ(開)にする。スイッチSW1がオフ(開)になると、放電抵抗R_dischargeは蓄電回路10から切り離される。ステップS140の処理は、ステップS130と同時に又はステップS130を実行してから測定制御部50が実行可能な範囲でできるだけ速く実行することが望ましい。
【0057】
(ステップS150)
次に、測定制御部50は、スイッチSW1がオフ(開)になった後に、蓄電回路10の端子電圧Vscを測定する。そして、測定制御部50は、測定した端子電圧Vscの電圧値を非導通時電圧値Vsc_offとして記憶(取得)する。
【0058】
(ステップS160)
次に、測定制御部50は、測定した導通時電圧値Vsc_on及び非導通時電圧値Vsc_offと、を用いて、式2により等価直列抵抗値ESRを計算する。なお、抵抗値Rは、放電抵抗R_dischargeの抵抗値である。
【0059】
【数2】
【0060】
(ステップS170)
次に、測定制御部50は、算出した等価直列抵抗値ESRに基づいて、蓄電回路10が正常かどうか(劣化しているかどうか)判断する。例えば、等価直列抵抗値ESRが所定の抵抗値より大きくなっている場合は、測定制御部50は蓄電回路10が異常である(劣化している)と判断する。
【0061】
本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10から電流が放出される放電において、蓄電回路10の等価直列抵抗値を測定することができる。また、本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10の等価直列抵抗値を測定することにより、蓄電回路10が備える電気二重層コンデンサの特性劣化を監視することができる。
【0062】
また、本実施形態の予備電源装置1の等化/放電回路40は、蓄電回路10に蓄電されたエネルギーを放電する放電回路としても動作する。したがって、本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10の等価直列抵抗値を測定することにより、放電回路の動作の確認を行うことができる。
【0063】
なお、導通時電圧値Vsc_onが第1電圧値の一例、非導通時電圧値Vsc_offが第2電圧値の一例である。
【0064】
[蓄電回路10の容量値と等価直列抵抗値の同時測定]
本実施形態に係る予備電源装置1は、電気二重層コンデンサの容量値及び等価直列抵抗値を同時に随時測定して容量値及び等価直列抵抗値を同時に監視できる。
【0065】
図6は、本実施形態に係る予備電源装置1における蓄電回路10の容量値及び等価直列抵抗値を同時測定する際のフローチャートである。なお、本処理を行う場合は、充電回路20及び昇圧回路30は、動作を停止する。すなわち、蓄電回路10は、電源100から充電は行われていない状態である。また、蓄電回路10は、負荷装置200への給電は行っていない状態である。また、蓄電回路10は、本処理を行う場合は、ある程度充電されている状態、例えば、満充電の50%以上、好ましくは80%以上充電されている状態、である。
【0066】
図6のフローチャートに沿って、本実施形態に係る予備電源装置1の測定制御部50の処理手順及び予備電源装置1の制御方法の工程について説明する。
【0067】
(ステップS210)
最初に、測定制御部50は、スイッチSW1をオン(閉)にする。スイッチSW1がオン(閉)になると、放電抵抗R_dischargeが蓄電回路10に接続される。放電抵抗R_dischargeが蓄電回路10に接続されると、蓄電回路10に蓄えられた電力が、放電抵抗R_dischargeを経由して、電流I_Rで接地に流れる。蓄電回路10に蓄えられた電力が電流I_Rで接地に流れると、蓄電回路10の端子電圧Vscが徐々に低下する。
【0068】
(ステップS220)
次に、測定制御部50は、蓄電回路10の端子電圧Vscを測定する。そして、測定制御部50は、測定した端子電圧Vscの電圧値を開始電圧値V1として記録(取得)する。また、タイマーカウントを開始する。
【0069】
(ステップS230)
次に、測定制御部50は、蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値が、所定値に設定された終了電圧値V2以下になったかどうかを判定する。蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値が、所定の終了電圧値V2より大きい場合(ステップS230のNo)は、ステップS230を再度繰り返す。蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値が所定の終了電圧値V2以下の場合(ステップS230のYes)は、測定制御部50は、ステップS240に処理を進める。終了電圧値V2は、開始電圧値V1よりも低い値に設定される。
【0070】
(ステップS240)
次に、測定制御部50は、タイマーカウントを停止して、カウント値を記録する。そして、測定制御部50は、カウント値からタイマーカウントを開始してから停止するまでの時間Tを算出する。ステップS240の処理は、ステップS230と同時に又はステップS230を実行してから測定制御部50が実行可能な範囲でできるだけ速く実行することが望ましい。
【0071】
(ステップS250)
次に、測定制御部50は、ステップS240の直後に、スイッチSW1をオフ(開)にする。スイッチSW1がオフ(開)になると、放電抵抗R_dischargeは蓄電回路10から切り離される。ステップS250の処理は、ステップS240と同時に又はステップS240を実行してから測定制御部50が実行可能な範囲でできるだけ速く実行することが望ましい。
【0072】
(ステップS260)
次に、測定制御部50は、スイッチSW1がオフ(開)になった後に、蓄電回路10の端子電圧Vscの電圧値を測定する。そして、測定制御部50は、測定した端子電圧Vscの電圧値を非導通時電圧値V3として記憶する。
【0073】
(ステップS270)
次に、測定制御部50は、測定した開始電圧値V1及び終了電圧値V2と、時間Tと、を用いて、式1により容量値Cscを計算する。なお、抵抗値Rは、放電抵抗R_dischargeの抵抗値である。
【0074】
(ステップS280)
次に、測定制御部50は、終了電圧値V2及び測定した非導通時電圧値V3と、を用いて、式3により等価直列抵抗値ESRを計算する。なお、抵抗値Rは、放電抵抗R_dischargeの抵抗値である。
【0075】
【数3】
【0076】
(ステップS290)
次に、測定制御部50は、算出した容量値Cscに基づいて、蓄電回路10が正常かどうか(劣化しているかどうか)判断する。例えば、容量値Cscが所定の容量値より小さくなっている場合は、測定制御部50は蓄電回路10が異常である(劣化している)と判断する。
【0077】
また、測定制御部50は、算出した等価直列抵抗値ESRに基づいて、蓄電回路10が正常かどうか(劣化しているかどうか)判断する。例えば、等価直列抵抗値ESRが所定の抵抗値より大きくなっている場合は、測定制御部50は蓄電回路10が異常である(劣化している)と判断する。
【0078】
本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10から電流が放出される放電において、蓄電回路10の容量値及び等価直列抵抗値を測定することができる。また、本実施形態の予備電源装置1は、蓄電回路10の容量値及び等価直列抵抗値を測定することにより、蓄電回路10が備える電気二重層コンデンサの特性劣化を監視することができる。
【0079】
なお、開始電圧値V1が第1電圧値の一例、終了電圧値V2が第2電圧値の一例、非導通時電圧値V3が第3電圧値の一例である。
【0080】
<予備電源装置における蓄電回路の等化処理及び容量値と等価直列抵抗値の測定>
次に、予備電源装置1における蓄電回路10の等化処理及び容量値と等価直列抵抗値の測定について説明する。
【0081】
上述のように、自動車システムのバックアップエネルギ源としての電気二重層コンデンサを用いる場合は、実際の使用状態での電気二重層コンデンサの劣化管理のため容量値及び等価直列抵抗値の監視が必要である。したがって、車両実装状態において容量値及び等価直列抵抗値を測定する回路が必要である。
【0082】
また、電気二重層コンデンサを直列に接続した回路では、電圧分担アンバランスを解消するための等化回路が必要である。本実施形態に係る予備電源装置1では、等化/放電回路40により、容量値及び等価直列抵抗値の測定と、電気二重層コンデンサの等化処理を行う。
【0083】
図7は、本実施形態に係る予備電源装置における蓄電回路の等化処理及び容量値と等価直列抵抗値の測定を行う回路の回路図である。図8は、本実施形態に係る予備電源装置1における蓄電回路10の等化処理及び容量値と等価直列抵抗値の測定を行う際のフローチャートである。
【0084】
図8のフローチャートに沿って、本実施形態に係る予備電源装置1の測定制御部50の処理手順及び予備電源装置1の制御方法の工程について説明する。
【0085】
測定制御部50は、通常動作か判定を行う(ステップS310)。測定制御部50が通常動作と判断した場合(ステップS310のYes)の場合は、測定制御部50は、スイッチSW1及びスイッチSW2をオープン(開)にする。
【0086】
ステップS10において、測定制御部50が通常動作でないと判断した場合(ステップS310のNo)は、測定制御部50は、等価直列抵抗値又は容量値の測定かどうか判断を行う(ステップS330)。
【0087】
測定制御部50が等価直列抵抗値又は容量値の測定と判断した場合(ステップS330のYes)は、測定制御部50はスイッチSW1のみをオープン(開)/クローズ(閉)動作を行うことにより、等価直列抵抗値又は容量値の測定を実施する(ステップS340)。等価直列抵抗値又は容量値の測定は、前述の手順に基づいて行う。そして、ステップS340の測定終了後は、スイッチSW1をオープン(開)にする(ステップS350)。
【0088】
なお、ステップS340において、蓄電回路10の容量値の測定を行ってもよいし、蓄電回路10の等価直列抵抗値の測定を行ってよい。また、ステップS340において、蓄電回路10の容量値と等価直列抵抗値の同時測定を行ってもよい。
【0089】
なお、ステップS340の等価直列抵抗値又は容量値の測定を実施する処理が、第1処理の一例である。
【0090】
一方、測定制御部50が等価直列抵抗値又は容量値の測定ではないと判断した場合(ステップS330のNo)は、測定制御部50はスイッチSW1及びスイッチSW2を同時にクローズ(閉)にすることにより、等化動作を実行する(ステップS360)。そして、ステップS360の等化動作終了後は、スイッチSW1及びスイッチSW2をオープン(開)にする(ステップS370)。
【0091】
なお、ステップS360の等化動作の処理が、第2処理の一例である。
【0092】
本実施形態に係る予備電源装置1は、一つの回路構成により、容量値及び等価直列抵抗値の測定と、電気二重層コンデンサの等化処理を行うことができる。本実施形態に係る予備電源装置1は、一つの回路構成により容量値及び等価直列抵抗値の測定と、電気二重層コンデンサの等化処理を行うことにより、予備電源装置1の複雑さを低減し簡素化できる。
【0093】
なお、スイッチ41は、スイッチ素子の一例である。また、スイッチ41は第1スイッチ素子の一例、スイッチ42は第2スイッチ素子の一例である。電気二重層コンデンサ11は第1電気二重層コンデンサの一例、電気二重層コンデンサ12は第2電気二重層コンデンサの一例である。抵抗45は第1放電抵抗の一例、抵抗46は第2放電抵抗の一例である。
【0094】
以上、予備電源装置を実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 予備電源装置
10 蓄電回路
11 電気二重層コンデンサ
12 電気二重層コンデンサ
20 充電回路
30 昇圧回路
40 放電回路
41、42 スイッチ
41a 第1端子
41b 第2端子
45、46 抵抗
50 測定制御部
100 電源
200 負荷装置
210 負荷
220 負荷駆動回路
N1 ノード
N2 ノード
N3 ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8