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特許7632914ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子
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  • 特許-ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子 図1
  • 特許-ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/61 20060101AFI20250212BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20250212BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20250212BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20250212BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20250212BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20250212BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20250212BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20250212BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20250212BHJP
【FI】
C07C211/61
C07D307/91 CSP
C07D333/76
H10K85/60
H10K50/12
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/15
H10K50/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023512291
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 KR2021002104
(87)【国際公開番号】W WO2022039340
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0105342
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギ-ベク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ナム-ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォン-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハム,ヒョ-ギュン
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0035562(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第110183302(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0088601(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化42】

前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基あり、
R3~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または重水素であり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基あり、
Ar1は、重水素;ハロゲン;C1~C60の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、C6~C60の単環もしくは多環のアリール、C2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリールからなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換である、C6~C60のアリール基またはC2~C60のヘテロアリール基であり、
Ar2およびAr3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
pおよびmは0~4の整数であり、nは1~6の整数であり、aは0または1の整数であり、bは0~2の整数であり、
前記R1、R2、L1、L2、Ar2およびAr3について「置換もしくは非置換」とは、重水素;C1~C60の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル;C6~C60の単環もしくは多環のアリール;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリールからなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式2または3で表される、請求項1に記載の化合物:
【化43】

【化44】

前記化学式2および3において、R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式1における定義と同様である。
【請求項3】
前記化学式1の
【化45】

は、下記化学式A-1またはA-2で表される、請求項1に記載の化合物:
【化46】

【化47】

前記化学式A-1およびA-2において、
L2およびpの定義は、前記化学式1における定義と同様であり、
【化48】

は、前記化学式1に連結される位置を意味し、
L11は、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基であり、
Ar12およびAr13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であり、
Ar14は、置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rは0~3の整数である。
【請求項4】
前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C20のアルキル基;またはC6~C20のアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R3~R8は、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化学式1は、下記化合物のいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物:
【化49】

































【請求項7】
第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、請求項1~6のいずれか一項に記載化合物を含む、有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記化合物を含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記有機物層は、電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子輸送層または電子注入層は、前記化合物を含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記有機物層は、電子阻止層または正孔阻止層を含み、前記電子阻止層または正孔阻止層は、前記化合物を含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機物層は、正孔輸送層を含み、前記正孔輸送層は、前記化合物を含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含む、請求項7に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年08月21日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0105342号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であり、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという長所を有している。
【0003】
有機発光素子は、二つの電極の間に有機薄膜を配置させた構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、二つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜において結合して対をなした後、消滅しつつ光を発することになる。前記有機薄膜は、必要に応じて、単層または多層で構成されることができる。
【0004】
有機薄膜の材料は、必要に応じて、発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜の材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が用いられてもよく、または、ホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割ができる化合物が用いられてもよい。その他にも、有機薄膜の材料としては、正孔注入、正孔輸送、電子遮断、正孔遮断、電子輸送、電子注入などの役割ができる化合物が用いられてもよい。
【0005】
有機発光素子の性能、寿命、または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【0006】
有機発光素子に使用可能な物質に求められる条件、例えば、適したエネルギー準位、電気化学的安定性、および熱的安定性などを満たすことができ、置換基に応じて有機発光素子に求められる多様な役割をすることができる化学構造を有する化合物を含む有機発光素子に関する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4,356,429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の一実施態様において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【0010】
【化1】
【0011】
前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
R3~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’、および-NRR’からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して、置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成し、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Ar1~Ar3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
pおよびmは0~4の整数であり、
nは1~6の整数であり、
aは0または1の整数であり、
bは0~2の整数であり、
前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0012】
また、本出願の一実施態様によれば、第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載された化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として用いることができる。前記化合物は、有機発光素子において、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料、電子阻止材料、正孔阻止材料などの役割をすることができる。特に、前記化合物は、有機発光素子の正孔輸送材料または電子阻止材料として用いることができる。
【0014】
特に、本出願によるヘテロ環化合物は、コア構造であるベンゾフルオレンにアミン系の置換基および-(L1)m-(Ar1)nの置換基を有する。アミン誘導体が正孔輸送層として用いられた場合、アミンの非共有電子対が正孔の流れを良くして正孔輸送層の正孔伝達能力を向上させることができ、電子阻止層として用いられた場合、正孔輸送層に侵入した電子により発生する正孔輸送物質の劣化を抑制することができ、また、ホール(hole)特性を強化した置換基を結合することで、バンドギャップ(band gap)およびT1(三重項状態のエネルギー準位値)値の調節により正孔伝達能力が向上し、アミン誘導体の平面性およびガラス転移温度を高めて化合物の熱的安定性を向上できるという特徴を有するようになる。有機発光素子の正孔輸送層または電子阻止層の材料として前記化学式1のヘテロ環化合物を用いる場合、素子の駆動電圧を低くし、光効率を向上させ、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図2】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図3】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0016】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・発光層
304 ・・・正孔阻止層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本出願について詳しく説明する。
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であってもよい。
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖もしくは分岐鎖を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分岐鎖を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分岐鎖を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0020】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であることが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環状基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環状基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他種類の環状基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、より具体的には5~20であってもよい。具体的に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環状基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環状基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他種類の環状基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~20であってもよい。
【0023】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環状基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環状基とは、アリール基であってもよいが、他種類の環状基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、フルオレニル基は置換されていてもよく、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0025】
前記フルオレニル基が置換される場合、下記構造で表されてもよいが、これらに限定されない。
【化2】
【0026】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環状基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環状基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他種類の環状基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において、前記アリーレン基は、アリール基に結合位置が二つ存在するもの、すなわち、2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除いては、前述したアリール基の説明が適用されてもよい。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が二つ存在するもの、すなわち、2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除いては、前述したヘテロアリール基の説明が適用されてもよい。
【0029】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)R101R102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうち少なくとも一つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的に、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、シリル基は、Siを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうち少なくとも一つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味し得る。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環において同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈することができる。
【0032】
隣接した基が形成可能な脂肪族または芳香族炭化水素環またはヘテロ環は、1価の基ではないことを除いては、前述したシクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基として例示された構造が適用されてもよい。
【0033】
本明細書において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0034】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル;C2~C60の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖もしくは分岐鎖のアルキニル;C3~C60の単環もしくは多環のシクロアルキル;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環もしくは多環のアリール;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリール;-SiRR’R’’;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環もしくは多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリールアミンからなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味し、
前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0035】
本明細書において、「化学式または化合物の構造に置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合していることを意味する。ただし、重水素(H、Deuterium)は水素の同位元素であるため、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0036】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造に置換基が表示されていない場合」は、置換基として来れる位置がすべて水素または重水素であることを意味し得る。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であって、一部の水素原子は、同位元素である重水素であってもよく、この際、重水素の含量は、0%~100%であってもよい。
【0037】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造に置換基が表示されていない場合」において、重水素の含量が0%、水素の含量が100%、置換基がすべて水素など、重水素を明示的に排除しない場合には、水素および重水素が化合物において混在して用いられてもよい。
【0038】
本出願の一実施態様において、重水素は、水素の同位元素(isotope)のうち一つであり、1個の陽子(proton)と1個の中性子(neutron)とからなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であって、水素-2で表されてもよく、元素記号はDまたは2Hと表記してもよい。
【0039】
本出願の一実施態様において、原子番号(atomic number、Z)は同一であるものの、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は、同一数の陽子(proton)を有するものの、中性子(neutron)の数が異なる元素と解釈することもできる。
【0040】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の総個数をT1と定義し、そのうち特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%と定義することができる。
【0041】
すなわち、一例示において、
【化3】

で表されるフェニル基において重水素の含量が20%であるとは、フェニル基が有し得る置換基の総個数が5(式中のT1)個であり、そのうち重水素の個数が1(式中のT2)個である場合に20%と表すことができる。すなわち、フェニル基において重水素の含量が20%であるものは、下記構造式で表されてもよい。
【化4】
【0042】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子が含まれていない、すなわち、5個の水素原子を有するフェニル基を意味し得る。
【0043】
本出願の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0044】
本願化学式1のヘテロ環化合物は、アミン系の置換基およびホール特性を有する-(L1)m-(Ar1)nの置換基を有するものであり、今後有機発光素子の正孔輸送層として用いられた場合、アミン置換基の非共有電子対が正孔の流れを良くして正孔輸送層の正孔伝達能力を向上させることができ、電子阻止層として用いられた場合、正孔輸送層に侵入した電子により発生する正孔輸送物質の劣化を抑制することができる。
【0045】
また、ホール(hole)特性を強化した-(L1)m-(Ar1)nの置換基が結合することで、アミン誘導体の平面性およびガラス転移温度を高めてヘテロ環化合物の熱的安定性を高めることにより、これを含む有機発光素子の寿命も改善する特徴を有するようになる。
【0046】
また、バンドギャップ(band gap)およびT1値の調節により正孔伝達能力が向上し、分子の安定性も高くなるため、素子の駆動電圧を低くし、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性により素子の寿命特性を向上させることができる。
【0047】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式2または3で表されてもよい。
【化5】

【化6】
【0048】
前記化学式2および3において、
R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式1における定義と同様である。
【0049】
本出願の一実施態様において、前記化学式2は、下記化学式2-1または化学式2-2で表されてもよい。
【化7】

【化8】
【0050】
前記化学式2-1および2-2において、
R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式2における定義と同様である。
【0051】
本出願の一実施態様において、前記化学式3は、下記化学式3-1または化学式3-2で表されてもよい。
【化9】

【化10】
【0052】
前記化学式3-1および3-2において、
R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式3における定義と同様である。
【0053】
本出願の一実施態様において、前記化学式2-1は、下記化学式2-1-1~2-1-4のいずれか一つで表されてもよい。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】
【0054】
前記化学式2-1-1~2-1-4において、
R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式2-1における定義と同様である。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記化学式2-2は、下記化学式2-2-1~2-2-4のいずれか一つで表されてもよい。
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】
【0056】
前記化学式2-2-1~2-2-4において、
R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式2-2における定義と同様である。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記化学式3-1は、下記化学式3-1-1~3-1-4のいずれか一つで表されてもよい。
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】
【0058】
前記化学式3-1-1~3-1-4において、
R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式3-1における定義と同様である。
【0059】
本出願の一実施態様において、前記化学式3-2は、下記化学式3-2-1~3-2-4のいずれか一つで表されてもよい。
【化23】

【化24】

【化25】

【化26】
【0060】
前記化学式3-2-1~3-2-4において、
R1~R8、L1、L2、Ar1~Ar3、p、m、n、a、およびbの定義は、前記化学式3-2における定義と同様である。
【0061】
本出願の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0062】
他の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0063】
また他の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C50のアルキル基;または置換もしくは非置換のC6~C50のアリール基であってもよい。
【0064】
さらに他の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;または置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0065】
さらに他の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C40のアルキル基;またはC6~C40のアリール基であってもよい。
【0066】
さらに他の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C20のアルキル基;またはC6~C20のアリール基であってもよい。
【0067】
さらに他の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直鎖のC1~C20のアルキル基;またはC6~C20の単環もしくは多環のアリール基であってもよい。
【0068】
さらに他の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;またはフェニル基であってもよい。
【0069】
本出願の一実施態様において、R3~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’、および-NRR’からなる群より選択されるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して、置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換のC2~C60の脂肪族または芳香族ヘテロ環を形成してもよい。
【0070】
他の一実施態様において、R3~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’、および-NRR’からなる群より選択されてもよい。
【0071】
また他の一実施態様において、R3~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0072】
さらに他の一実施態様において、R3~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0073】
さらに他の一実施態様において、R3~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1~C40のアルキル基;C6~C40のアリール基;またはC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0074】
さらに他の一実施態様において、R3~R8は、水素であってもよい。
【0075】
本出願の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0076】
他の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0077】
また他の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C20のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0078】
さらに他の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;C6~C20のアリーレン基;またはC2~C20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0079】
さらに他の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;またはC6~C20のアリーレン基であってもよい。
【0080】
さらに他の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;またはC6~C20の単環もしくは多環のアリーレン基であってもよい。
【0081】
さらに他の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;C6~C10の単環のアリーレン基;またはC10~C20の多環のアリーレン基であってもよい。
【0082】
さらに他の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;またはナフタレン基であってもよい。
【0083】
本出願の一実施態様において、L1は、直接結合;またはフェニレン基であってもよい。
【0084】
本出願の一実施態様において、L2は、直接結合;フェニレン基;またはビフェニレン基であってもよい。
【0085】
本出願の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0086】
他の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0087】
また他の一実施態様において、Ar1は、C1~C30のアルキル基、重水素、およびハロゲン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;またはC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0088】
さらに他の一実施態様において、Ar1は、C1~C30のアルキル基、重水素、およびハロゲン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;またはC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0089】
さらに他の一実施態様において、Ar1は、C1~C30のアルキル基、重水素、およびハロゲン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;またはヘテロ原子としてN、O、およびSのうち少なくとも一つを含むC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0090】
さらに他の一実施態様において、Ar1は、C1~C30のアルキル基、重水素、およびハロゲン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基;またはヘテロ原子としてN、O、およびSのうち少なくとも一つを含むC2~C20のヘテロアリール基であってもよい。
【0091】
さらに他の一実施態様において、Ar1は、重水素で置換されたフェニル基;フルオロ基(-F)で置換されたフェニル基;t-ブチル基で置換されたフェニル基;メチル基で置換されたフェニル基;置換されていないフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;ジメチルフルオレニル基;またはジベンゾフラン基であってもよい。
【0092】
本出願の一実施態様において、Ar2およびAr3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0093】
他の一実施態様において、Ar2およびAr3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C30のアルキル基、C2~C40のヘテロアリール基、およびC6~C40のアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;またはC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0094】
また他の一実施態様において、Ar2およびAr3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ジメチルフルオレニル基で置換されたフェニル基;ジベンゾフラン基で置換されたフェニル基;ジベンゾチオフェン基で置換されたフェニル基;ビフェニル基で置換されたフェニル基;ジメチルベンゾ[a]フルオレニル基で置換されたフェニル基;置換されていないフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;テルフェニル基;ジメチルフルオレニル基;ジフェニルフルオレニル基;スピロビフルオレニル基;ジメチルベンゾ[a]フルオレニル基;ジベンゾフラン基;またはジベンゾチオフェン基であってもよい。
【0095】
本出願の一実施態様において、前記ジメチルベンゾ[a]フルオレニル基は、下記構造式で表されてもよい。
【化27】
【0096】
本出願の一実施態様において、前記化学式1の
【化28】

は、下記化学式A-1またはA-2で表されてもよい。
【化29】

【化30】
【0097】
前記化学式A-1およびA-2において、
L2およびpの定義は、前記化学式1における定義と同様であり、
【化31】

は、前記化学式1に連結される位置を意味し、
L11は、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基であり、
Ar12およびAr13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であり、
Ar14は、置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rは0~3の整数である。
【0098】
本出願の一実施態様において、L11は、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基であってもよい。
【0099】
他の一実施態様において、L11は、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基であってもよい。
【0100】
また他の一実施態様において、L11は、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C20のアリーレン基であってもよい。
【0101】
さらに他の一実施態様において、L11は、直接結合;フェニレン基;またはビフェニレン基であってもよい。
【0102】
本出願の一実施態様において、Ar12およびAr13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0103】
他の一実施態様において、Ar12およびAr13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0104】
また他の一実施態様において、Ar12およびAr13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基であってもよい。
【0105】
さらに他の一実施態様において、Ar12およびAr13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;テルフェニル基;ジメチルフルオレニル基;ジフェニルフルオレニル基;スピロビフルオレニル基;またはジメチルベンゾ[a]フルオレニル基であってもよい。
【0106】
本出願の一実施態様において、Ar14は、置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0107】
他の一実施態様において、Ar14は、置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0108】
また他の一実施態様において、Ar14は、C2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0109】
さらに他の一実施態様において、Ar14は、ジベンゾフラン基;またはジベンゾチオフェン基であってもよい。
【0110】
本出願の一実施態様において、R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0111】
他の一実施態様において、R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0112】
また他の一実施態様において、R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60の単環もしくは多環のアリール基であってもよい。
【0113】
さらに他の一実施態様において、R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40の単環のアリール基であってもよい。
【0114】
さらに他の一実施態様において、R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C6~C20の単環のアリール基であってもよい。
【0115】
さらに他の一実施態様において、R、R’、およびR’’は、フェニル基であってもよい。
【0116】
本出願の一実施態様において、R31は、前記Rの定義と同様である。
【0117】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化合物のいずれか一つで表されてもよいが、これらに限定されない。
【化32】

































【0118】
また、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することで、導入された置換基の固有特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に用いられる正孔注入層物質、正孔輸送用物質、発光層物質、電子輸送層物質、および電荷生成層物質に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することで、各有機物層に求められる条件を満たす物質を合成することができる。
【0119】
また、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することで、エネルギーバンドギャップを微細に調節可能にする一方、有機物間の界面における特性を向上するようにし、物質の用途を多様にすることができる。
【0120】
また、本出願の一実施態様において、第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1によるヘテロ環化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【0121】
他の一実施態様において、第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1によるヘテロ環化合物を一つ含む、有機発光素子を提供する。
【0122】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物に関する具体的な内容は前述したとおりである。
【0123】
本出願の一実施態様において、前記第1電極は、陽極であってもよく、前記第2電極は、陰極であってもよい。
【0124】
他の一実施態様において、前記第1電極は、陰極であってもよく、前記第2電極は、陽極であってもよい。
【0125】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよく、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として用いられてもよい。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の青色発光層のホスト物質に含まれてもよい。
【0126】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であってもよく、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として用いられてもよい。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の緑色発光層のホスト物質に含まれてもよい。
【0127】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であってもよく、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記赤色有機発光素子の材料として用いられてもよい。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の赤色発光層のホスト物質に含まれてもよい。
【0128】
本発明の有機発光素子は、前述したヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除いては、通常の有機発光素子の製造方法および材料により製造されてもよい。
【0129】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法により有機物層に形成されてもよい。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有してもよい。ただし、有機発光素子の構造は、これに限定されず、さらに少ない数の有機物層を含んでもよい。
【0131】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は、発光層を含んでもよく、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0132】
他の有機発光素子において、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホスト物質を含み、前記ホスト物質は、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0133】
また一つの例として、前記ヘテロ環化合物を含む有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物をホストとして含み、イリジウム系ドーパントとともに用いてもよい。
【0134】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は、電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子輸送層または電子注入層は、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0135】
他の有機発光素子において、前記有機物層は、電子阻止層または正孔阻止層を含み、前記電子阻止層または正孔阻止層は、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0136】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は、正孔輸送層を含み、前記正孔輸送層は、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0137】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0138】
図1図3に、本出願の一実施態様による有機発光素子の電極と有機物層の積層順を例示した。ただし、これらの図面により本出願の範囲が限定されるものではなく、当該技術分野で周知の有機発光素子の構造が本出願に適用されてもよい。
【0139】
図1によると、基板100上に、陽極200、有機物層300、および陰極400が順次積層された有機発光素子が示される。ただし、このような構造のみに限定されるものではなく、図2のように、基板上に、陰極、有機物層、および陽極が順次積層された有機発光素子が実現されてもよい。
【0140】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔阻止層304、電子輸送層305、および電子注入層306を含む。ただし、このような積層構造により本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて、発光層を除いた残りの層は省略されてもよく、必要な他の機能層がさらに追加されてもよい。
【0141】
前記化学式1の化合物を含む有機物層は、必要に応じて、他の物質をさらに含んでもよい。
【0142】
本出願の一実施態様による有機発光素子において、前記化学式1のヘテロ環化合物以外の材料を以下に例示するが、これらは例示のためのものにすぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当該技術分野で公知の材料に代替されてもよい。
【0143】
陽極材料としては、比較的に仕事関数の大きい材料を用いてもよく、透明導電性酸化物、金属、または導電性高分子などを用いてもよい。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール、およびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
陰極材料としては、比較的に仕事関数の低い材料を用いてもよく、金属、金属酸化物、または導電性高分子などを用いてもよい。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造の物質などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いてもよく、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、または文献[Advanced Material、6、p.677(1994)]に記載されたスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)、またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))などを用いてもよい。
【0146】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが用いられてもよく、低分子または高分子材料が用いられてもよい。
【0147】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが用いられてもよく、低分子物質だけでなく、高分子物質が用いられてもよい。
【0148】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に用いられるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0149】
発光材料としては、赤色、緑色、または青色の発光材料が用いられてもよく、必要な場合、2以上の発光材料を混合して用いてもよい。この際、2以上の発光材料を個別的な供給源として蒸着して用いるか、予備混合して一つの供給源として蒸着して用いてもよい。また、発光材料としては、蛍光材料を用いてもよいが、燐光材料を用いてもよい。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が用いられてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が用いられてもよい。
【0150】
発光材料のホストを混合して用いる場合には、同一系のホストを混合して用いてもよく、異なる系のホストを混合して用いてもよい。例えば、nタイプのホスト材料またはpタイプのホスト材料のいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト材料として用いてもよい。
【0151】
本出願の一実施態様による有機発光素子は、用いられる材料に応じて、トップエミッション型、ボトムエミッション型、または両面発光型であってもよい。
【0152】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるのと類似の原理で作用することができる。
【実施例
【0153】
以下、実施例により本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものにすぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0154】
<製造例1>化合物2の製造
【化33】
【0155】
化合物2-2の製造
【0156】
2-ブロモ-3-ヨードナフタレン(2-bromo-3-iodonaphthalene)(A)(20g、0.060mol、1eq)、フェニルボロン酸(phenylboronic acid)(B)(8g、0.066mol、1.1eq)、KPO(38g、0.18mol、3eq)、Pd(PPh(3.4g、0.003mol、0.05eq)に1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)(400ml)、HO(100ml)を入れ、100℃で6h撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離し、化合物2-2を88%の収率で15g得た。
【0157】
化合物2-3の製造
【0158】
化合物2-2(15g、0.053mol、1eq)、(4-クロロ-2-(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸((4-chloro-2-(methoxycarbonyl)phenyl)boronic acid)(C)(12.5g、0.058mol、1.1eq)、KPO(33.7g、0.159mol、3eq)、Pd(PPh(3g、0.003mol、0.0026eq)に1,4-ジオキサン(300ml)、HO(750ml)を入れ、100℃で6h撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離し、化合物2-3を76%の収率で15g得た。
【0159】
化合物2-4の製造
【0160】
化合物2-3(15g、0.040mol、1eq)をテトラヒドロフラン(150ml)に溶かした後、0℃でメチルマグネシウムブロマイド(methylmagnesium bromide)(3M solution in ether)(D)(40ml、0.120mol、3eq)を徐々に添加した後、60℃で6h撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。MCに溶かした反応物にボロントリフルオライドジエチルエーテラート(boron trifluoride diethyl etherate)を追加した後、RTにて4h撹拌した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離し、化合物2-4を70%の収率で10g得た。
【0161】
化合物2の製造
【0162】
化合物2-4(10g、0.028mol、1eq)、N-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(N-phenyl-[1,1’-biphenyl]-4-amine)(7.2g、0.029mol、1.05eq)、NaOt-Bu(4g、0.042mol、1.5eq)、Pd(dba(1.3g、0.0014mol、0.05eq)にP(t-Bu)(0.57g、0.0028mol、0.1eq)、トルエン(toluene)(150ml)を入れ、100℃で8h撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離し、化合物2を69%の収率で11g得た。
【0163】
前記製造例1において、2-ブロモ-3-ヨードナフタレン(2-bromo-3-iodonaphthalene(A)、フェニルボロン酸(phenylboronic acid)(B)、(4-クロロ-2-(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸((4-chloro-2-(methoxycarbonyl)phenyl)boronic acid)(C)、メチルマグネシウムブロマイド(methylmagnesium bromide)(3M solution in ether)(D)、N-フェニル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(N-phenyl-[1,1’-biphenyl]-4-amine)(E)の代わりに下記表1の中間体A、B、C、D、Eを用いたことを除いては、前記製造例1の製造と同様の方法で化合物を合成した。
【0164】
【表1】




【0165】
前記製造例1および表1に記載された化合物以外の前記化学式1に該当するヘテロ環化合物も、前述した製造例に記載された方法と同様に製造した。
【0166】
上記で製造された化合物の合成確認資料は、下記表2および表3に記載したとおりである。表2は、H NMR(CDCl、200Mz)の測定値であり、表3は、FD-MS(Field desorption mass spectrometry)の測定値である。
【0167】
【表2】




【0168】
【表3】
【0169】
<実験例1>-有機発光素子の作製
1)有機発光素子の作製
OLED用ガラス(SAMSUNG-CORNING社製)から得られた透明電極インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次用いて各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管後に用いた。次に、真空蒸着装置の基板ホルダーにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに下記4,4’,4’’-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【化34】
【0170】
次に、チャンバー内の真空度が10-6torrに達するまで排気させた後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させ、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装置内の他のセルに下記N,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れ、セルに電流を印加して蒸発させ、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化35】
【0171】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成させた後、その上に発光層として次のような構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的に、真空蒸着装置内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5%真空蒸着させた。
【化36】
【0172】
次に、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Åの厚さに蒸着した。
【化37】
【0173】
電子注入層としてフッ化リチウム(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにしてOLED素子を作製した。一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製し、OLEDの作製に用いた。前記実験例1において、正孔輸送層の形成時に用いられたNPBの代わりに下記表4に表示されている化合物を用いることを除いては、前記実験例1と同様に行って有機電界発光素子を作製した。
【0174】
本発明により製造された青色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は下記表4のとおりである。
【0175】
【表4】


【0176】
前記表4の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の正孔輸送層の材料を用いた有機発光素子は、比較例1~5に比べて、駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善されたことを確認することができた。
【0177】
前記表4の比較例と本発明の化合物を比較すると、アリールアミン基を有するという点では類似するが、フルオレン基が置換されているという相違点がある。置換基が付いたフルオレン基の場合、芳香族環のpi-piスタッキング(pi-pi stacking)を抑制し、これにより、有機発光素子の駆動電圧が高くなって素子特性が低下する現象を防ぐ特性がある。したがって、このような誘導体を用いた本発明の化合物は、向上した正孔輸送特性、もしくは安定性を向上させて駆動、効率、寿命のすべての面で優れることが分かった。
【0178】
<実験例2>-有機発光素子の作製
1)有機発光素子の作製
OLED用ガラス(SAMSUNG-CORNING社製)から得られた透明電極インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次用いて各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管後に用いた。次に、真空蒸着装置の基板ホルダーにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに下記4,4’,4’’-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【化38】
【0179】
次に、チャンバー内の真空度が10-6torrに達するまで排気させた後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させ、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装置内の他のセルに下記N,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れ、セルに電流を印加して蒸発させ、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化39】
【0180】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成させた後、その上に発光層として次のような構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的に、真空蒸着装置内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5%真空蒸着させた。
【化40】
【0181】
次に、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Åの厚さに蒸着した。
【化41】

電子注入層としてフッ化リチウム(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにしてOLED素子を作製した。一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製し、OLEDの作製に用いた。前記実施例2において、正孔輸送層NPBの厚さを250Åに形成した後、前記正孔輸送層の上部に下記表5に表示されている化合物の厚さを50Åに電子阻止層を形成したことを除いては、前記実施例2と同様に行って有機電界発光素子を作製した。本発明により製造された青色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は下記表5のとおりである。
【0182】
【表5】


【0183】
前記表5の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の電子阻止層の材料を用いた有機発光素子は、比較例に比べて、駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善された。電子の場合、発光層において結合せずに正孔輸送層を経て陽極に行くと、OLED素子の効率および寿命が減少する現象が発生する。
【0184】
このような現象を防ぐために高いLUMOレベルを有する化合物を電子阻止層として用いると、発光層を経て陽極に行こうとする電子が電子阻止層のエネルギー障壁に遮られることになる。したがって、正孔と電子がエキシトンを形成する確率が高くなり、発光層から光として放出される可能性が高くなり、本発明の化合物が駆動、効率、寿命のすべての面で優れることが分かった。
【0185】
特に、本願化学式1の化合物に対してアミン誘導体が正孔輸送層として用いられた場合、アミンの非共有電子対が正孔の流れを良くして正孔輸送層の正孔伝達能力を向上させることができ、電子阻止層として用いられた場合、正孔輸送層に侵入した電子により発生する正孔輸送物質の劣化を抑制することができ、また、ホール(hole)特性を強化した置換基とアミン部分が結合することで、アミン誘導体の平面性およびガラス転移温度を高めて化合物の熱的安定性が高くなることを確認することができた。
【0186】
また、バンドギャップ(band gap)およびT1値の調節により正孔伝達能力が向上し、分子の安定性も高くなるため、素子の駆動電圧を低くし、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性により素子の寿命特性を向上させることを確認することができた。
図1
図2
図3