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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】動作玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/00 20060101AFI20250212BHJP
   A63H 3/46 20060101ALI20250212BHJP
   A63H 11/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A63H3/00 Z
A63H3/46 Z
A63H11/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024020620
(22)【出願日】2024-02-14
【審査請求日】2024-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】500005457
【氏名又は名称】ささのやドットコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々野 雅哉
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-5818(JP,A)
【文献】特開2018-75214(JP,A)
【文献】特開2005-34399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00ー37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上に載置される基台に取り付けられた脚部を有する動作玩具であって、
前記脚部は、
前記基台に対して直立可能であって、下端部が前記基台に設けられた基軸部に回転可能に支持されると共に、前記基軸部を中心とした回転範囲が直立位置から前方に向かって所定の範囲までに制限された下腿部材と、
前記下腿部材の上方で直立可能な上腿部材と、
前記上腿部材の下端部を回転可能に支持すると共に前記基軸部よりも後方に配置された第1の回転部と、前記下腿部材の上端部を回転可能に支持すると共に前記基軸部よりも後方に配置された第2の回転部と、を有する連動部材と、
前記下腿部材が前記基軸部を中心に直立位置から前方に向かって回転した際、前記第1の回転部を中心に前記上腿部材を直立位置から後方に向かって回転させる傾倒制御部材と、を備え、
複数の動作玩具が前後に並べられた状態で後方に配置された動作玩具の下腿部材が前方に向かって回転したとき、後方に配置された前記動作玩具の脚部が、該動作玩具の前方に配置された他の動作玩具の脚部に接触する
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項2】
請求項1に記載された動作玩具において、
前記上腿部材の上端部は、前記脚部の上方に配置された上体部に回転可能に支持され、
前記連動部材は、前記第1の回転部及び前記第2の回転部よりも後方であって、前記第1の回転部と前記第2の回転部の間に配置された第3の回転部を有し、
前記傾倒制御部材は、前記上腿部材の後方に配置された上リンク部材によって構成され、
前記上リンク部材の上端部は、前記上腿部材の上端部よりも下方の位置で前記上体部に回転可能に取り付けられ、
前記上リンク部材の下端部は、前記連動部材の前記第3の回転部によって回転可能に支持されている
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項3】
請求項2に記載された動作玩具において、
前記下腿部材の後方に下リンク部材が配置され、
前記基台には、前記基軸部よりも後方であって、前記基軸部よりも上方の位置に第2の基軸部が形成され、
前記下リンク部材の上端部は、前記第3の回転部によって回転可能に支持され、
前記下リンク部材の下端部は、前記第2の基軸部に回転可能に支持されている
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された動作玩具において、
前記基台は、平面視で六角形の形状を呈し、前記六角形における所定方向の辺同士が接するように複数の基台が並べられたときにハニカム状に配置可能である
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項5】
請求項4に記載された動作玩具において、
前記基台は、前記基軸部よりも前方の前方端部に形成された係合部と、前記基軸部よりも後方の後方端部に形成されて他の基台に形成された係合部が着脱可能に係合する被係合部と、を有する
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項6】
請求項1に記載された動作玩具において、
前記上腿部材の上端部は、前記脚部の上方に配置された上体部に回転可能に支持され、
前記下腿部材が前記基軸部を中心に直立位置から前方に向かって回転し、前記上腿部材を直立位置から後方に向かって回転した際、前記上体部の姿勢を維持する姿勢維持手段を有する
ことを特徴とする動作玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、形態を変化させることができる人形玩具が知られている。例えば、特許文献1に記載の形態変化玩具では、人形体が有する手や足を、球形の頭部内に瞬間的に収容可能な玩具があり、形態の変化を楽しむことができるように構成されている。
【0003】
また、従来、倒れたときに接触する間隔で複数のコマを並べ、コマが連鎖的に倒れる様を楽しむドミノ倒しや将棋倒しといった遊びがある。ドミノ倒し等に関して、特許文献2に記載のドミノ倒し玩具のように、ベースとベース上で倒れるコマを一つのユニットとして形成し、複数のユニットを連結することで、コマが倒れる様を連続させる玩具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-066562号公報
【文献】特開2002-191858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、形態が変化する人形は、形態の変化を楽しむことができるが、使用者が操作しなければ形態が変化しない。また、ドミノ倒しや将棋倒しといった遊びは、並べられた複数のコマを連鎖的に倒す遊びであるが、コマは単に倒れるだけであり、各コマの動作自体は単純である。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、見た目に面白い形態変化を、使用者が逐次操作をすることなく連鎖的に行わせることができる動作玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、平面上に載置される基台に取り付けられた脚部を有する動作玩具であって、前記脚部は、前記基台に対して直立可能であって、下端部が前記基台に設けられた基軸部に回転可能に支持されると共に、前記基軸部を中心とした回転範囲が直立位置から前方に向かって所定の範囲までに制限された下腿部材と、前記下腿部材の上方で直立可能な上腿部材と、前記上腿部材の下端部を回転可能に支持すると共に前記基軸部よりも後方に配置された第1の回転部と、前記下腿部材の上端部を回転可能に支持すると共に前記基軸部よりも後方に配置された第2の回転部と、を有する連動部材と、前記下腿部材が前記基軸部を中心に直立位置から前方に向かって回転した際、前記第1の回転部を中心に前記上腿部材を直立位置から後方に向かって回転させる傾倒制御部材と、を備え、複数の動作玩具が前後に並べられた状態で後方に配置された動作玩具の下腿部材が前方に向かって回転したとき、後方に配置された前記動作玩具の脚部が、該動作玩具の前方に配置された他の動作玩具の脚部に接触する構成とした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明の動作玩具は、見た目に面白い形態変化を、使用者が逐次操作をすることなく連鎖的に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の動作玩具を前方から見た状態の外観斜視図である。
図2】実施例1の動作玩具を後方から見た状態の外観斜視図である。
図3】脚部が屈曲した状態での実施例1の動作玩具を前方から見た状態の外観斜視図である。
図4】屈曲した脚部が直前に配置された他の動作玩具に接触することを示した説明図である。
図5A】頭部及び上体部の構成部品を示した分解斜視図である。
図5B】脚部の構成部品を示した分解斜視図である。
図5C】基台の構成部品を示した分解斜視図である。
図5D】基台の裏方を示した斜視図である。
図5E】衝立部材を示した斜視図である。
図6】実施例1の動作玩具の縦断面図である。
図7】実施例1の動作玩具において、脚部が屈曲する際の動作を示した説明図である。
図8】前後に並んだ複数の動作玩具において、脚部が屈曲したときの動作を示した説明図である。
図9】複数の基台が、基台本体部の辺同士が接するように並べられた状態を示した説明図である。
図10A】複数の基台が、前後方向に沿って並べられた状態を示した説明図である。
図10B】複数の基台が、前後方向に対して並び方向を傾けて配置された状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の動作玩具を実施するための形態は、図面に示す実施例1に基づいて以下のように説明される。なお、本明細書では、各図に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、図1におけるX軸を左右方向(X軸正方向が左、X軸負方向が右)、Y軸を上下方向(Y軸正方向が上、Y軸負方向が下、垂直方向ということもある)、Z軸を前後方向(Z軸正方向が後、Z軸負方向が前)と定義する。
【0011】
実施例1の動作玩具1は、図1図3に示されたように、人体を模した人形である本体部2と、水平面上に載置されて本体部2を支持する基台3と、から構成されている。
【0012】
本体部2は、基台3が載置される水平面に対して垂直方向に沿って直立可能であり、人の頭を模した頭部10と、人の上半身を模した上体部20と、人の下半身を模した脚部30と、を備えている。すなわち、脚部30は基台3に取り付けられ、上体部20は脚部30の上方に配置されている。
【0013】
頭部10は、上体部20の上部に固定されている。頭部10は、前方を向いた前面11aが前後方向に対して直角を成す平面として形成された円筒状の前頭部11と、後方を向いた後面がドーム状に湾曲した半球形の後頭部12と、から構成されている。ここで、前頭部11は後述する前半体21と一体的に形成され、後頭部12は後述する後半体22と一体的に形成されている(図5A参照)。このため、頭部10は、上体部20と一体になって前後方向に二分割可能である。
【0014】
上体部20は、図5Aに示されたように、前後方向に二分割可能なパーツとして形成された前半体21と後半体22からなり、前半体21と後半体22を接合させることによって形成される。ここで、前半体21は、前方を向いた前面21aが前後方向に対して直角を成す平面として形成されている。前半体21の前面21aは、頭部10の前面11aと面一にされている(図6参照)。また、上体部20の左側上部には左腕23が回転可能に取り付けられ、上体部20の右側上部には右腕24が回転可能に取り付けられている。上体部20は、左腕23及び右腕24が取り付けられる位置に、前半体21と後半体22の合わせ面をへこませる一対の切り欠き部25が形成されている。
【0015】
各切り欠き部25内には、前半体21から突出し、先端部が後半体22に形成された凹部22aに嵌合する支軸26(図5A参照)が設けられている。左腕23の上端部23a及び右腕24の上端部24aには、それぞれ支軸26が貫通可能な孔26aが形成されている。左腕23及び右腕24は、それぞれ上端部23a,24aが切り欠き部25に収容された状態で孔26aを貫通した支軸26に軸支されている。この構造により、左腕23及び右腕24は、それぞれ上体部20の左右方向に対して回転可能である。
【0016】
また、左腕23及び右腕24は、いずれも自重によって上体部20の左右の側面20aに沿って垂下する。上体部20の左右の両側面20aには、側方に突出した当接部27がそれぞれ形成されている。そして、左腕23及び右腕24は、垂下した状態で下端部23b,24bが当接部27に接触する。当接部27は、左腕23及び右腕24が回転した際に接触することで、軽い叩打音を発生する部位である。
【0017】
また、図5Aに示されたように、前半体21の下部には、後方に向かって開放した前側凹所21bが形成され、後半体22の下部には、前方に向かって開放した後側凹所22bが形成されている。そして、上体部20の下方内部には保持部材28が内蔵され、前半体21と後半体22の間に配置されている。保持部材28は、図6に示されたように、上体部20内に保持されると同時に前側凹所21b及び後側凹所22bの開口をそれぞれ塞ぐ。これにより、前側凹所21bと保持部材28の間に前側軸受28aが形成され、後側凹所22bと保持部材28との間に後側軸受28bが形成される。
【0018】
脚部30は、図5Bに示されたように、複数の部品を組み合わせたリンク機構として構成され、下端部が基台3に支持され、上端部が上体部20に取り付けられている。すなわち、実施例1の脚部30は、図1及び図2に示された直立状態から、図3に示されたように、下部が前方に回転し、途中位置が屈曲して、当該屈曲位置を中心に上部が後方に回転する。
【0019】
実施例1の脚部30は、図5Bに示されたように、上腿部材31と、上リンク部材32と、下腿部材33と、下リンク部材34と、連動部材35と、を備えている。そして、第1軸36aを介して上腿部材31と連動部材35が連結され、第2軸36bを介して下腿部材33と連動部材35が連結され、第3軸36cを介して上リンク部材32及び下リンク部材34と連動部材35が連結される。さらに、第4軸37aを介して下腿部材33が基台3に連結され、第5軸37bを介して下リンク部材34が基台3に連結される。
【0020】
なお、実施例1の脚部30では、上腿部材31及び上リンク部材32が人の腰下から膝までの間の部位を模し、下腿部材33及び下リンク部材34が人の膝下から足首までの間の部位を模している。
【0021】
上腿部材31は、上体部20の下方に配置され、下腿部材33の上方で直立可能である。上腿部材31は、左右方向に並んだ左上腿部31a及び右上腿部31bと、左上腿部31aと右上腿部31bの上部を連結する円柱状の第1連結軸31cと、を有している。第1連結軸31cは、左右方向に沿って延びており、前側軸受28aに回転可能に取り付けられる(図6参照)。この結果、上腿部材31の上端部は、上体部20に回転可能に支持される。
【0022】
また、左上腿部31a及び右上腿部31bの下部には、左右方向に対向する位置に軸孔31dが形成されている。軸孔31dは、左上腿部31a及び右上腿部31bを貫通する貫通孔であり、第1軸36aが圧入される。
【0023】
そして、左上腿部31a及び右上腿部31bは、それぞれ前方を向いた前面31fが、脚部30が直立状態のとき前後方向に対して直角を成す平面として形成されている。そして、当該前面31fは、脚部30が直立したとき、頭部10の前面11a及び前半体21の前面21aと面一になる(図6参照)。
【0024】
さらに、左上腿部31a及び右上腿部31bは、脚部30が直立状態のとき下腿部材33に対向する下端部が開放している。下端部の周縁部には、外形に沿った細幅の平面である上側接触面31jが形成されている。
【0025】
上リンク部材32は、上腿部材31の後方に配置され、左右方向に並んだ左上リンク32a及び右上リンク32bと、左上リンク32aと右上リンク32bの上部を連結する円柱状の第2連結軸32cと、を有している。第2連結軸32cは、左右方向に沿って延びており、後側軸受28bに回転可能に取り付けられる(図6参照)。この結果、上リンク部材32の上端部は、上腿部材31の上端部よりも後方であって、下方になる位置で上体部20に回転可能に支持される。
【0026】
また、左上リンク32a及び右上リンク32bの下端部には、左右方向に対向する位置に軸孔32dが形成されている。軸孔32dは、左上リンク32a及び右上リンク32bを貫通する貫通孔である。
【0027】
下腿部材33は、上腿部材31の下方に配置され、基台3に対して直立可能であり、下端部が基台3に設けられた軸受部41によって回転可能に支持される。下腿部材33は、左右方向に並んだ左下腿部33a及び右下腿部33bと、左下腿部33aと右下腿部33bを連結する連結部33cと、を有している。
【0028】
また、左下腿部33a及び右下腿部33bの上端部には、左右方向に対向する位置に上軸孔33dが形成され、左下腿部33a及び右下腿部33bの下端部には、左右方向に対向する位置に下軸孔33eが形成されている。上軸孔33d及び下軸孔33eは、左下腿部33a及び右下腿部33bを貫通する貫通孔である。上軸孔33dには第2軸36bが圧入され、下軸孔33eには第4軸37aが圧入される。
【0029】
そして、左下腿部33a及び右下腿部33bは、それぞれ前方を向いた前面33fが、脚部30が直立状態のとき前後方向に対して直角を成す平面として形成されている。当該前面33fは、脚部30が直立したとき、頭部10の前面11a、前半体21の前面21a及び左上腿部31a及び右上腿部31bの各前面31fと面一になる(図6参照)。また、前面33fの下端部には、正面視で半円状の当接体33gが形成されている。
【0030】
また、左下腿部33a及び右下腿部33bの底面33h(脚部30が直立状態のとき基台3に対向する面)は、脚部30が直立状態のとき上下方向に対して直角を成す平面に形成され、前側の隅角部が下軸孔33eを中心とした凸曲面に形成されている(図4参照)。
【0031】
さらに、左下腿部33a及び右下腿部33bは、脚部30が直立状態のとき上腿部材31に対向する上端部に、外形に沿った細幅の平面である下方接触面33jと、下方接触面33jよりも内側に形成された挿入部33kと、が形成されている。挿入部33kは、下方接触面33jから突出し、周面が左下腿部33a或いは右下腿部33bの内側に向かって傾いている。脚部30が直立状態のとき、下方接触面33jは上側接触面31jに接触し、挿入部33kは左下腿部33a又は右下腿部33bの下端部に入り込む。
【0032】
また、左下腿部33a及び右下腿部33bの後面には、脚部30が直立状態のときに後方に向かって突出する係合凸部33mが形成されている。
【0033】
下リンク部材34は、下腿部材33の後方に配置され、左右方向に並んだ左下リンク34a及び右下リンク34bと、左下リンク34aと右下リンク34bを連結する連結部34cと、を有している。また、左下リンク34a及び右下リンク34bの上部には、左右方向に対向する位置に上軸孔34dが形成され、左下リンク34a及び右下リンク34bの下部には、左右方向に対向する位置に下軸孔34eが形成されている。上軸孔34d及び下軸孔34eは、左下リンク34a及び右下リンク34bを貫通する貫通孔である。下軸孔34eには、第5軸37bが圧入される。
【0034】
また、実施例1の動作玩具1では、脚部30が組み立てられた際、左下リンク34aと右下リンク34bとの間に、上リンク部材32の下部が挿入される。このとき、左下リンク34a及び右下リンク34bに形成された上軸孔34dは、左上リンク32a及び右上リンク32bに形成された軸孔32dと同軸上に配置される。そして、上軸孔34dに第3軸36cが圧入され、軸孔32dを回転可能に貫通する。
【0035】
左下リンク34a及び右下リンク34bの下端部には、脚部30が直立状態のときに前方に向かって突出する当接突起34gが形成されている。さらに、左下リンク34a及び右下リンク34bの左右方向に向いた側面には、上軸孔34dを取り囲む円筒状の干渉凸部34jと、下軸孔34eを取り囲む円筒状の干渉凸部34hが形成されている。
【0036】
連動部材35は、上腿部材31、上リンク部材32、下腿部材33、下リンク部材34の中央に配置され、第1連動部35aと、第2連動部35bと、第3連動部35cと、を有している。
【0037】
第1連動部35aは、左上腿部31aと右上腿部31bの間に差し込まれる部位であり、第1軸保持孔35d(第1の回転部)が形成されている。第1軸保持孔35dは、第1連動部35aを左右方向に沿って貫通し、脚部30が組み立てられた際、左上腿部31a及び右上腿部31bに形成された軸孔31dに重複する位置に配置される。そして、軸孔31dに圧入された第1軸36aが、第1軸保持孔35dを回転可能に貫通する。なお、第1軸保持孔35dは、側面視で断面が長孔に形成されている。このため、上腿部材31は、第1軸36aを介して第1軸保持孔35dの位置で移動及び回転可能に保持される。
【0038】
第2連動部35bは、第1連動部35aの下方に形成され、左下腿部33aと右下腿部33bの間に差し込まれる部位であり、第2軸保持孔35e(第2の回転部)が形成されている。第2軸保持孔35eは、第1軸保持孔35dの下方に配置され、第2連動部35bを左右方向に沿って貫通し、脚部30が組み立てられた際、左下腿部33aと右下腿部33bに形成された上軸孔33dと同軸位置に配置される。そして、上軸孔33dに圧入された第2軸36bが、第2軸保持孔35eを回転可能に貫通する。このため、下腿部材33は、第2軸36bを介して第2軸保持孔35eの位置で回転可能に保持される。
【0039】
第3連動部35cは、第1連動部35a及び第2連動部35bよりも後方の位置に形成され、左上リンク32aと右上リンク32bの間に差し込まれる部位である。第3連動部35cには、第3軸保持孔35f(第3の回転部)が形成されている。第3軸保持孔35fは、第1軸保持孔35d及び第2軸保持孔35eよりも後方であって、第1軸保持孔35dと第2軸保持孔35eの間に配置されている。第3軸保持孔35fは、第3連動部35cを左右方向に沿って貫通し、脚部30が組み立てられた際、左上リンク32a及び右上リンク32bに形成された軸孔32dと、左下リンク34a及び右下リンク34bに形成された上軸孔34dと同軸位置に配置される。そして、上軸孔34dに圧入された第3軸36cが、軸孔32d及び第3軸保持孔35fを回転可能に貫通する。このため、上リンク部材32と下リンク部材34とは、下リンク部材34に固定された第3軸36cを介して、第3軸保持孔35fの位置で相対回転可能となる。すなわち、第3軸保持孔35fは、上リンク部材32の下端部と下リンク部材34の上端部を回転可能に支持する。
【0040】
基台3は、図5Cに示されたように、平面視でほぼ正六角形の形状を呈する平板状の基台本体部40を有し、所定の隅角部を前後方向に向けた状態で本体部2が取り付けられる。
【0041】
基台本体部40には、前後方向の途中位置に左右方向に延びる段差部40aが形成されている。そして、基台本体部40は、段差部40aよりも前側の領域と後側の領域とで高低差を有し、前側の領域が後側の領域よりも低い。そして、実施例1の基台3は、図5Cに示されたように、段差部40aよりも後側の領域に、軸受部41、接続孔42(被係合部)、一対の補助突起43、溝部44、一対の凹所45、一対の突起46が形成されている。また、段差部40aよりも前側の領域には、接続突起47(係合部)が形成され、前側縁部に一対の係合爪48が形成されている。さらに、段差部40aよりも後側の領域の裏側には、一対の案内凹部49が形成されている(図5D参照)。
【0042】
軸受部41は、基台本体部40のほぼ中央部に形成され、基台本体部40の表面から突出し、左右方向に貫通した前軸孔41a(基軸部)と、後軸孔41b(第2の基軸部)と、を有している。後軸孔41bは、前軸孔41aよりも後方であって、後軸孔41bよりも上方の位置に形成されている。
【0043】
そして、本体部2は、下腿部材33の下軸孔33eが前軸孔41aと同軸位置に配置され、下リンク部材34の下軸孔34eが後軸孔41bと同軸位置に配置される。そして、下軸孔33eに圧入された第4軸37aが前軸孔41aを回転可能に貫通する。また、下軸孔34eに圧入された第5軸37bが後軸孔41bを回転可能に貫通する。このため、本体部2は、下腿部材33が第4軸37aを介して前軸孔41aの位置で回転可能に保持され、下リンク部材34が第5軸37bを介して後軸孔41bの位置で回転可能に保持される。
【0044】
接続孔42は、基台本体部40を貫通した貫通孔である。接続孔42は、軸受部41(前軸孔41a)よりも後方の後方端部に形成され、後方を向いた隅角部の近傍位置に配置されている。接続孔42は、後述するように、他の基台3に形成された接続突起47が係合可能である。
【0045】
補助突起43は、基台本体部40の表面から突出し、軸受部41の左右両側に形成されている。補助突起43は、前方を向いた前面43aが後方に傾いた傾斜面を成している。
【0046】
溝部44は、段差部40aと軸受部41との間に形成され、左右方向に延びたへこみである。溝部44には、図5Eに示された衝立部材50が着脱可能に挿入される。衝立部材50は、板状部材であり、下端部51が溝部44に挿入されることで、基台本体部40から起立する。衝立部材50は、基台本体部40に装着された際、屈曲する脚部30に干渉し、脚部30の屈曲を規制する。すなわち、脚部30は、衝立部材50が装着されていないときに屈曲可能である。
【0047】
一対の凹所45は、溝部44の後方であって、軸受部41の左右に形成されたへこみである。各凹所45は、平面視で後方に湾曲した半円形状を呈し、底面が後方に向かって次第に深くなるように形成されている。脚部30が屈曲した際、凹所45に下腿部材33の前面33fに形成された当接体33gが係合する。凹所45の底面に当接体33gが干渉することで、下腿部材33の前方への回転が規制される。
【0048】
一対の突起46は、段差部40aと溝部44との間に形成され、基台本体部40の表面から突出している。一対の突起46の間は、脚部30の左右方向の幅とほぼ同じ寸法に設定されている。脚部30は、屈曲した際、一対の突起46の間に入り込み、下腿部材33が突起46に干渉することでがたつきが抑制される。
【0049】
接続突起47は、軸受部41(前軸孔41a)よりも前方の前方端部に形成され、ここでは、前方を向いた隅角部の近傍に形成されている。接続突起47は、基台本体部40の表面から突出した円柱形状を呈している。接続突起47は、他の基台3に形成された接続孔42に、がたつきなく挿入可能な大きさを有し、当該他の基台3は、接続突起47を中心に回転可能に支持される。なお、基台3は、接続突起47を中心に回転した他の基台3が段差部40aに干渉することで、回転を規制する。
【0050】
また、一対の係合爪48は、基台本体部40の前方を向いた隅角部を挟んだ前側側縁に形成され、上方に向かって突出している。さらに、一対の案内凹部49は、係合爪48が入り込むことが可能であり、接続孔42を中心とした円周に沿って延びている。
【0051】
そして、実施例1の動作玩具1では、図6に示されたように、側面視で、前側軸受28aの中心と前軸孔41aの中心が同一鉛直線Lα上に設定され、後側軸受28bの中心と後軸孔41bの中心が同一鉛直線Lβ上に設定されている。さらに、前側軸受28aは、後側軸受28bよりも上方の位置に形成されている。また、第1軸保持孔35d及び第2軸保持孔35eは、脚部30が直立したとき、側面視で前軸孔41aよりも後方になる位置に配置される。第3軸保持孔35fは、脚部30が直立したとき、側面視で後軸孔41bよりも後方になる位置に配置される。そして、第3軸保持孔35fは、側面視で、第1軸保持孔35dよりも下方の位置で、第2軸保持孔35eよりも上方の位置に形成されている。さらに、前軸孔41aは、側面視で後軸孔41bよりも下方の位置に形成されている。
【0052】
そして、実施例1の動作玩具1では、脚部30が直立状態のとき、図6に示された第1直線L1と第2直線L2が側面視で平行になり、第3直線L3と第4直線L4が側面視で平行になるように設定されている。ここで、第1直線L1は、前側軸受28aの中心と後側軸受28bの中心を結んだ直線である。第2直線L2は、第1軸保持孔35dの中心と第3軸保持孔35fの中心を結んだ直線である。第3直線L3は、前軸孔41aの中心と後軸孔41bの中心を結んだ直線である。第4直線L4は、第2軸保持孔35eの中心と第3軸保持孔35fの中心を結んだ直線である。
【0053】
以下、実施例1の動作玩具1における脚部30の屈曲動作について、脚部30が屈曲する際の動作玩具1の状態が段階的に示された図7に基づいて説明する。
【0054】
実施例1の動作玩具1では、脚部30は、上下方向に沿って延びた図1に示す直立状態のとき、外力が作用しない限り直立状態を維持する。すなわち、脚部30が直立状態のとき、図6に示されたように、脚部30の上腿部材31と下腿部材33が上下方向に沿って一直線上に並び、上体部20の自重による荷重は、第1連結軸31c及び第2連結軸32cに対して作用する。
【0055】
これに対し、上腿部材31を支持する第1軸保持孔35dは、図6に示されたように、第1連結軸31cが取り付けられた前側軸受28aよりも側面視で後方に配置されている。また、上リンク部材32を支持する第3軸保持孔35fは、図6に示されたように、第2連結軸32cが取り付けられた後側軸受28bよりも側面視で後方に配置されている。このため、第1連結軸31cに対して垂直下方に作用する荷重のベクトルは、第1軸保持孔35dの前方を通過し、第2連結軸32cに対して垂直下方に作用する荷重のベクトルは、第3軸保持孔35fの前方を通過する。
【0056】
この結果、上体部20の自重による荷重は、第1軸36aを中心として上腿部材31を後方に回転させようとする方向や、第3軸36cを中心として上リンク部材32を後方に回転させようとする方向とは逆方向のモーメントを生じさせるものとなる。そのため、脚部30は直立状態を保つことができる。
【0057】
なお、実施例1の動作玩具1の脚部30では、左下腿部33a及び右下腿部33bの底面33hが、脚部30が直立状態のとき上下方向に対して直角を成す平面に形成されている。そのため、脚部30が直立した際、左下腿部33a及び右下腿部33bの底面33hが、基台本体部40の表面に接触する(図4参照)。このため、実施例1の動作玩具1は、下腿部材33の後方への回転を規制することができる。また、底面33hは、前側の隅角部が下軸孔33eを中心とした凸曲面に形成されている。このため、実施例1の動作玩具1は、下腿部材33の前方への回転を許容することができる。
【0058】
さらに、実施例1の動作玩具1では、脚部30が直立した際、左下腿部33a及び右下腿部33bに形成された係合凸部33mに、左下リンク34a及び右下リンク34bに形成された干渉凸部34hが当接する。そのため、実施例1の動作玩具1は、係合凸部33mに干渉凸部34hが当接することによっても、脚部30の後方への回転を規制することができる。
【0059】
そして、直立状態の脚部30が屈曲を開始するのは、図7に示されたように、直立している脚部30に、後方から前方に向かって作用する外力Fが脚部30に働いた場合である。なお、外力Fは、脚部30が押圧されることで入力されたり、脚部30に振動が生じて入力されたりする。
【0060】
下リンク部材34は、脚部30が外力Fを受けることで軸受部41の後軸孔41bを中心に前方に向かって回転する。そして、下リンク部材34によって下腿部材33が前方に押され、下腿部材33は、軸受部41の前軸孔41aを中心に前方に向かって回転する。
【0061】
なお、下腿部材33及び下リンク部材34の前方への回転は、補助突起43の前面43aに、左下リンク34a及び右下リンク34bに形成された当接突起34gが干渉すると共に、左上腿部31a及び右上腿部31bに形成された当接体33gが凹所45に係合することで規制される。このため、下腿部材33は、前軸孔41aを中心とした回転範囲が直立位置から前方に向かって所定の範囲までに制限されている。
【0062】
そして、下リンク部材34の前方への回転に伴い、連動部材35が前方に向かって移動する。このため、上リンク部材32を支持する第3軸保持孔35fの位置が、第1連結軸31cを支持する前側軸受28aよりも前方に移動する。この結果、第2連結軸32cに対して垂直下方に作用する荷重のベクトルが、第3軸保持孔35fの後方を通過する。そして、第2連結軸32cに対して垂直下方に作用する荷重のベクトルは、第3軸36cを中心として上リンク部材32を後方に回転させようとする方向に作用する。これにより、上リンク部材32は、第3軸保持孔35fを中心にして後方に向かって回転する。
【0063】
さらに、連動部材35が前方に向かって移動すると共に、上リンク部材32が後方に回転することで、上体部20が後方に引っ張られ、第1連結軸31cが後方に移動する。これにより、上腿部材31の上部が後方に向かって傾き、上腿部材31は第1軸保持孔35dを中心にして後方に向かって回転する。つまり、上リンク部材32は、下腿部材33が前軸孔41aを中心に直立位置から前方に向かって回転した際、上腿部材31を第1軸保持孔35dの位置を中心に直立位置から所定の範囲で後方に向かって回転させる傾倒制御部材に相当する。
【0064】
この結果、図7に示されたように、脚部30は、下腿部材33及び下リンク部材34が前方に向かって回転すると同時に、上腿部材31及び上リンク部材32が後方に回転してする。これにより、脚部30は、連動部材35が設けられた位置(長さ方向の中間部)で屈曲する。
【0065】
また、実施例1の動作玩具1では、脚部30が屈曲する際、上腿部材31と下腿部材33との相対的な屈曲を許容するため、第1軸36aが連動部材35の第1軸保持孔35d内で往復移動する。つまり、本体部2において、脚部30の屈曲動作の前半では、第1軸36aが上体部20を後方に仰け反るように移動する。そして、脚部30の屈曲動作の後半では、第1軸36aが上体部20を直立に戻す方向に移動する。このため、実施例1の動作玩具1は、脚部30が屈曲するときに上体部20が前後方向に大きく揺動することを抑制でき、脚部30が屈曲を開始してから終了するまでの間、上体部20をほぼ直立に近い姿勢にしておくことができる。
【0066】
このように、実施例1の動作玩具1は、第1軸保持孔35dが側面視で断面長孔に形成され、脚部30の屈曲に伴って第1軸36aが第1軸保持孔35d内で往復移動する機構によって、脚部30の屈曲時に上体部20をほぼ直立に近い姿勢に維持する姿勢維持機能を発揮する手段(姿勢維持手段)を構成している。これにより、脚部30の途中位置が、膝関節が曲がるように屈曲した場合であっても、上体部20の姿勢が直立状態を維持することができる。そして、このように構成した動作玩具1を複数個並べると、後述する「膝かっくん」動作を連続的に行わせることができる遊びを提供することが可能になる。なお、姿勢維持手段の構成は、実施例1に開示した機構を用いた手段に限ること無く他の手段を用いてもよい。例えば、脚部30に対する上体部20の取り付け位置を支点として自立的な調心バランスを有する構成にすることで姿勢維持手段を構成してもよい。
【0067】
なお、上体部20の前後方向への揺動の大きさは、上体部20と脚部30の連結部位である前側軸受28aと後側軸受28bを結んだ第1直線L1の水平面に対する傾斜角度によって決定される。すなわち、第1直線L1の水平面に対する傾斜角度が大きい方が、脚部30の屈曲時に生じる上体部20の揺動が大きくなる。
【0068】
そして、脚部30が屈曲限界まで屈曲したとき、実施例1の動作玩具1では、本体部2が膝を突き出したように曲げて少ししゃがんだ人間の姿勢を模した形態となる。なお、脚部30は、下腿部材33の当接体33gが凹所45に係合し、上腿部材31が干渉凸部34jに干渉したとき、屈曲限界まで屈曲した状態になる。
【0069】
また、実施例1の動作玩具1の脚部30では、図4に示されたように、複数の動作玩具1が前後に並べられた状態で、後方の動作玩具1の脚部30が屈曲したときに、屈曲した脚部30が前方(直前)に配置された他の動作玩具1´の脚部30´に接触し、当該他の動作玩具1´の脚部30´を後方から前方に向かって押すことが可能な長さに設定されている。すなわち、実施例1の動作玩具1では、図8に示されたように、複数の動作玩具1が前後に並べられた際、後方に配置された動作玩具1の脚部30が屈曲すると、当該動作玩具1の前方に配置された他の動作玩具1´の脚部30´を後方から押して屈曲させることができる。
【0070】
なお、「複数の動作玩具1が前後に並べられた状態」とは、複数の動作玩具1が前後方向に沿った同一の直線上に配置された場合(図8参照)だけでなく、前後方向に沿った直線に対して所定の範囲でずれた状態で前後に配置された場合を含む(図10(B)参照)。
【0071】
そして、このような構成により、実施例1の動作玩具1は、図8に示されたように、前後に複数並べて配置された後に、最後尾に配置された動作玩具1の脚部30を屈曲させると、脚部30の屈曲動作が前方の動作玩具1に伝わり、脚部30の屈曲動作を前方に向かって連鎖的に生じさせることができる。つまり、実施例1の動作玩具1は、人間の行為に例えると、背後に立っている人間が自身の膝を曲げて前方に立っている別の人間の膝裏を押すことで、瞬間的に身体を支えることができずに膝が曲がってしまう、いわゆる「膝かっくん」と呼ばれる人間の動きを玩具によって再現するものである。しかも、実施例1の動作玩具1は、脚部30の屈曲動作を後方から前方に向かって伝播させることができる。これにより、実施例1の動作玩具1は、見た目に面白い形態変化を、使用者が逐次操作をすることなく連鎖的に行わせることができる。
【0072】
なお、実施例1の動作玩具1では、上腿部材31の上端部が、脚部30の上方に配置された上体部20に回転可能に支持されている。また、連動部材35が、第1軸保持孔35dと、第1軸保持孔35dの下方に配置された第2軸保持孔35eと、第1軸保持孔35d及び第2軸保持孔35eよりも後方であって、第1軸保持孔35dと第2軸保持孔35eの間に配置された第3軸保持孔35fと、を有している。そして、傾倒制御部材が、上腿部材31の後方に配置された上リンク部材32によって構成されている。
【0073】
ここで、上リンク部材32の上端部は、上腿部材31の上端部よりも下方の位置で上体部20に回転可能に取り付けられている。また、上リンク部材32の下端部は、連動部材35の第3軸保持孔35fによって回転可能に支持されている。
【0074】
これにより、実施例1の動作玩具1は、簡易的な構造で脚部30の屈曲動作を容易に生じさせることができる。
【0075】
また、実施例1の動作玩具1では、下腿部材33の後方に下リンク部材34が配置され、基台3には、前軸孔41aよりも後方であって、前軸孔41aよりも上方の位置に後軸孔41bが形成されている。そして、下リンク部材34の上端部が、第3軸保持孔35fによって回転可能に支持されている。また、下リンク部材34の下端部が、後軸孔41bに回転可能に支持されている。
【0076】
このため、実施例1の動作玩具1は、脚部30の屈曲に伴う上体部20の回転を抑制し、脚部30が屈曲した際、上体部20を上下方向に沿って移動させることができる。
【0077】
そして、実施例1の動作玩具1では、基台本体部40が平面視で六角形の形状を呈している。そのため、図9に示されたように、基台3が、基台本体部40の六角形における所定方向の辺同士が接するように複数の基台3が並べられた際、ハニカム状に配置可能である。なお、図9では、複数の動作玩具1を並べたときの基台3の状態を分かりやすくするため、本体部2が省略して示されている。
【0078】
また、複数の基台3は、基台本体部40の六角形における所定方向の辺同士が接した状態で並べられた際、後方に配置された基台3に形成された係合爪48が、前方に配置された基台3に形成された案内凹部49に入り込んで係合する。これにより、基台3同士が連結され、動作玩具1を一定の間隔でずれることなく並べることが可能になる。
【0079】
また、実施例1の動作玩具1では、複数の基台3が前後に並べられたときには、図10Aに示されたように、前方の基台3の接続孔42に後方の基台3の接続突起47が挿入される。これにより、前後に配置された基台3同士が連結され、動作玩具1を一定の間隔でずれることなく並べることが可能になる。なお、図10Aでは、複数の動作玩具1を並べたときの基台3の状態を分かりやすくするため、本体部2が省略されている。
【0080】
また、実施例1の動作玩具1では、前方に配置された基台3と後方に配置された基台3とが、接続孔42及び接続突起47を中心に、一定範囲で相対的に回転可能である。これにより、図10Bに示されたように、実施例1の動作玩具1は、基台3同士を連結させた状態で並び方向を前後方向に対して傾けることができる。なお、図10Bでは、複数の動作玩具1を並べたときの基台3の状態を分かりやすくするため、本体部2が省略されている。
【0081】
そして、動作玩具1の並び方向を傾けることができる角度範囲は、前方に配置された基台3が、後方に配置された基台3に形成された段差部40aに干渉しない範囲である。実施例1では、前後方向を中心に左右に30°ずつ、並び方向を傾けることができる。
【0082】
また、動作玩具1の並び方向を前後方向に対して傾けた際、後方に配置された基台3に形成された係合爪48が、前方に配置された基台3に形成された案内凹部49に入り込む。ここで、案内凹部49は、接続孔42を中心とした円周に沿って延びているため、動作玩具1の並び方向を前後方向に対して傾けても係合爪48が基台本体部40に干渉することがない。
【0083】
以上、本発明の動作玩具について具体的に説明したが、本発明は実施例1に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。
【0084】
すなわち、実施例1の動作玩具1では、本体部2によって人体を模した例が示されたが、これに限らない。本体部2は、脚部30を有していればよく、例えば起立した動物や、人間以外のキャラクター等任意の形状を模すことができる。
【0085】
また、左上腿部31a及び右上腿部31bは、それぞれ上体部20に取り付けられていればよく、第1連結軸31cによって連結されなくてもよい。左上リンク32a及び右上リンク32bも、それぞれ上体部20に取り付けられれば、第2連結軸32cによって連結されなくてもよい。さらに、左下腿部33a及び右下腿部33bは連結部33cによって連結されていなくてもよいし、左下リンク34aと右下リンク34bも連結部34cによって連結されていなくてもよい。
【0086】
なお、実施例1では、本体部2が人体を模したことから、上腿部材31等が左右方向に並んだ二つの部材(例えば左上腿部31aと右上腿部31b等)を有する構成としている。しかしながら、本体部2が模した形状によっては、上腿部材31等が一つの部材であってもよいし、左右方向に並ぶ三つ以上の部材によって構成されてもよい。
【0087】
また、実施例1の動作玩具1では、前頭部11の前面11aと、前半体21の前面21aと、左上腿部31a及び右上腿部31bの前面31fと、左下腿部33a及び右下腿部33bの前面33fとが面一に形成されている。これにより、例えば目、鼻、口等の顔を表す絵柄やアニメキャラクタ等の顔の絵柄を、プリンター等を使用して本体部2に直接印刷したり、所定の絵柄が印刷されたシートを本体部2に容易に貼り付けたりできる。なお、前頭部11の前面11a等は、必ずしも前後方向に対して直角を成す平面でなくてもよく、他の部材と面一に形成されていなくてもよい。
【0088】
また、実施例1では、基台3に形成された係合部が、基台本体部40から突出した接続突起47であり、被係合部が、基台本体部40を貫通する接続孔42である例が示された。しかしながら、係合部と被係合部は互いに着脱可能に係合すればよく、例えば貫通孔によって係合部が構成され、突起によって被係合部が形成されてもよい。また、係合部及び被係合部が基台本体部40に形成されなくてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 動作玩具
2 本体部
3 基台
10 頭部
20 上体部
28a 前方軸受
28b 後方軸受
30 脚部
31 上腿部材
31c 第1連結軸
32 上リンク部材(傾倒制御部材)
32c 第2連結軸
33 下腿部材
34 下リンク部材
35 連動部材
35d 第1軸保持孔(第1の回転部)
35e 第2軸保持孔(第2の回転部)
35f 第3軸保持孔(第3の回転部)
36a 第1軸
36b 第2軸
36c 第3軸
37a 第4軸
37b 第5軸
40 基台本体部
41 軸受部
41a 前軸孔(基軸部)
41b 後軸孔(第2の基軸部)
42 接続孔(被係合部)
47 接続突起(係合部)
【要約】
【課題】見た目に面白い形態変化を、使用者が逐次操作をすることなく連鎖的に行わせることができる動作玩具を提供すること。
【解決手段】基台3に取り付けられた脚部30を有する動作玩具1であって、脚部30は、下端部が前軸孔に回転可能に支持される下腿部材33と、下腿部材33の上方で直立可能な上腿部材31と、上腿部材31の下端部を回転可能に支持する第1軸保持孔及び下腿部材33の上端部を回転可能に支持する第2軸保持孔を有する連動部材35と、下腿部材33が前方に回転した際上腿部材31を後方に回転させる上リンク部材32と、を備え、後方に配置された動作玩具1の下腿部材33が前方に向かって回転したとき、後方に配置された動作玩具1の脚部30が、該動作玩具1の前方に配置された他の動作玩具1´の脚部30に接触する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B