(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20250212BHJP
B62B 5/06 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B62B5/00 F
B62B5/06 D
(21)【出願番号】P 2024069534
(22)【出願日】2024-04-23
【審査請求日】2024-04-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591206500
【氏名又は名称】株式会社 ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-252789(JP,A)
【文献】実開昭50-145956(JP,U)
【文献】特開2016-133163(JP,A)
【文献】特開2006-205574(JP,A)
【文献】特開2008-064128(JP,A)
【文献】特開平03-266770(JP,A)
【文献】実開昭58-050923(JP,U)
【文献】実公昭48-028530(JP,Y1)
【文献】特開2001-234915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の発泡樹脂ボードと、
前記発泡樹脂ボードに埋設され、
有底円筒状の頭部の上端が前記発泡樹脂ボードの積載面側表層部に位置し、かつ
円筒状であり外径が前記頭部よりも小さい脚部の下端が前記発泡樹脂ボードの背面側表層部に位置するインサートナットと、
前記発泡樹脂ボードの下面に配置され
、前記インサートナットの前記脚部の下端から荷重が伝達される取付座と、前記取付座に取り付けられた車輪支持部を介して回転可能に支持される車輪とを備えたキャスターと、
前記インサートナットに螺合し、前記取付座を前記発泡樹脂ボードの下面側
及び前記脚部の下端に固定する雄ネジと、
を有する台車。
【請求項2】
前記インサートナットは、前記発泡樹脂ボードに埋設され、接着剤で接着されている、
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記キャスターは、前記発泡樹脂ボードの四隅部及び中央部に配置される、
請求項
1に記載の台車。
【請求項4】
前記発泡樹脂ボードは、少なくとも上下面に薄膜状の保護部を備える、
請求項1に記載の台車。
【請求項5】
中空に形成され、前記発泡樹脂ボードの側面から内部方向に向けて埋設された筒部材と、
一端が前記筒部材に挿入可能なアンカー部と前記アンカー部の他端から立ち上がり上部に作業者が把持できる把持部とを備えたハンドルと、
を有する請求項1に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷物を載せて運ぶ台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を載せて運ぶ台車の軽量化と強度との両立、すなわち、軽量化に伴う構造上の脆弱化を如何に軽減するかについての工夫が重ねられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、全周が硬質板材で囲われている中空の天板付き筐体内に発泡合成樹脂を注入して加熱発泡させ、筐体中空部を発泡合成樹脂で充満させた後に冷却硬化させ、その発泡樹脂を充填した筐体を荷台部材として用いることにより、台車用ベースの軽量化と強度の確保を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には、天板付き筐体自体にはキャスターや、キャスターを取り付けるためのネジ穴その他の係合部が開示されていない。仮に特許文献1の荷台部材を台車として機能させるためには、別途用意したキャスター付き搬送車に対し、発泡合成樹脂が充填された天板付き筐体を、荷物を載せるベースとしてセットして用いる必要がある。このような台車では、使い勝手が良くないと共に、キャスター付き搬送車の重量が軽量化のマイナス要因となっている。
【0006】
また、特許文献1に開示されている天板付き筐体は、筐体内に発泡性合成樹脂を注入して加熱発泡させ、筐体中空部を発泡合成樹脂で充満させた後に冷却硬化させることで形成される。このような工程においては、発泡性合成樹脂の調合設備、発泡性合成樹脂の注入装置、精密に温度制御可能な比較的大型の熱処理炉等が必要となり、比較的高額の設備投資を要するという製造コスト上の問題がある。
【0007】
また、上述のような工程で、筐体内で加熱発泡し、筐体内に充満した比較的高温の発泡合成樹脂が冷却硬化する際には、発泡合成樹脂の収縮が生じ、筐体内壁面と発泡合成樹脂表面の間が剥離し、ある程度の空隙を生じることが避けられず、発泡合成樹脂が筐体を内部から支える力が減殺され、筐体全体としての強度に悪影響を与えるという問題があると共に、製品の出荷検査等において、このような筐体内部の空隙の有無や程度を非破壊検査して低品質品を除去することが困難であるという問題もある。
【0008】
本開示は上記事実に鑑み、発泡樹脂を利用して軽量化され、かつ、実用に耐える強度を有するキャスター付きの台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様の台車は、発泡樹脂ボードと、前記発泡樹脂ボードに埋設され、頭部の上端が前記発泡樹脂ボードの上面より突出しないように位置し、かつ脚部の下端が前記発泡樹脂ボードの下面より突出しないように位置するインサートナットと、前記発泡樹脂ボードの下面に配置される取付座と、前記取付座に取り付けられた車輪支持部を介して回転可能に支持される車輪とを備えたキャスターと、前記インサートナットに螺合し、前記取付座を前記発泡樹脂ボードの下面側に固定する雄ネジと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、軽量化され、かつ、実用に耐える強度を有するキャスター付きの台車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(A)は、第1実施形態に係る台車を説明する正面図であり、
図1(B)は、当該台車を説明する下面図である。
【
図3】第1実施形態に係る台車に適用される、インサートナットと雄ネジの分解断面図である。
【
図4】(A)は、第1実施形態に係る台車が奥行方向に移動可能であることを説明する平面図であり、
図4(B)は、当該台車が
図4(A)に対し時計回りに45°回転した状態を示す平面図である。
図4(C)は、当該台車が
図4(B)に対し更に時計回りに45°回転した状態で幅方向に移動可能であることを説明する平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る台車の搬送方法を説明する側面図である。
【
図6】第2実施形態に係る台車を
図2に対応する視点で説明する部分断面図である。
【
図7】第3実施形態に係る台車を説明する側面図である。
【
図8】第3実施形態に係る台車からハンドルを着脱した状態を示す上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。各図面において同一の構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図中に示す矢印Dは台車の荷台長さ方向(奥行方向)を示し、矢印Wは台車の荷台幅方向(幅方向)を示す。また、矢印Hは鉛直方向を示し、奥行方向及び幅方向が水平方向となる姿勢の台車の上下方向となる。奥行方向、幅方向及び上下方向は、互いに直交する。本明細書では、上記の方向を用いて説明するが、台車の姿勢はこれらの方向には限られない。
【0014】
<第1実施形態の構成>
図1(A)及び(B)に示されるように、本実施形態に係る台車10は、板にキャスターが取り付けられた台車、いわゆる平床型ハンドトラックである。台車10は、積載面に荷物を載せた状態で床面GRの上を走行可能である。台車10は、発泡樹脂ボード20と、インサートナット30と、キャスター40と、雄ネジ50を有する。
【0015】
(発泡樹脂ボード)
発泡樹脂ボード20は、奥行方向及び幅方向の長さが共にLの矩形の板である。なお、発泡樹脂ボード20の平面形状は、奥行方向及び幅方向の長さが等しい矩形に限らず、所要の荷物積載面を備えておれば、奥行方向及び幅方向の長さが異なる矩形その他任意の形状でもよい。また、発泡樹脂ボード20の板厚はTである。発泡樹脂ボード20は、発泡樹脂で形成されており、台車10の荷台として機能する。発泡樹脂ボード20は、例えば、発泡倍率が60倍程度の発泡スチロールである。発泡樹脂ボード20は、積載面保護シート22と、背面保護シート24と、埋込部26を備える。積載面保護シート22及び背面保護シート24は、薄膜状の保護部の一例である。
【0016】
((保護部))
図2に示されるように、積載面保護シート22と背面保護シート24は、発泡樹脂ボード20の積載面側表層部20H、及び積載面側表層部20Hとは反対側の背面側表層部20Tにそれぞれに亘って貼り付けられている。本実施形態では、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、或いは耐溶剤性を付与するために、積載面保護シート22と背面保護シート24は、共に厚さT2の塩ビシートである。
【0017】
なお、保護部としての積載面保護シート22と背面保護シート24は、塩ビシートに限られない。例えば、発泡樹脂ボード20を塗装液に浸漬し、又は塗装液を噴霧して発泡樹脂ボード20上に塗膜を形成し、乾燥させたものを保護部としてもよい。また、発泡樹脂ボード20の積載面側表層部20H又は背面側表層部20Tを加熱融解してから固化することで硬質の変成層を保護部として形成してもよい。さらに、保護部としての積載面保護シート22と背面保護シート24は、積載面及びその背面だけでなく、発泡樹脂ボード20の全周に亘って、又は一部に貼り付けられてもよい。また、本発明では、保護部を設けることは望ましいが必須ではなく、例えば、発泡樹脂ボード20の発泡倍率が低く、比較的堅牢な材質である場合、台車の用途が比較的軽量の荷物運搬であり、荷物積下し時の衝撃で表面が損傷する恐れが小さい場合等では、保護部を省略することが可能である。
【0018】
((埋込部))
埋込部26は、
図2に示されるように、上下方向に沿って、発泡樹脂ボード20の積載面側表層部20Hから背面側表層部20Tまで貫通する段付きの開口部である。埋込部26は、発泡樹脂ボード20に複数設けられている。埋込部26は、積載面側表層部20H側に、上方に臨む段差面26Aを備える。
【0019】
(インサートナット)
インサートナット30は、
図2に示されるように、発泡樹脂ボード20の埋込部26に積載面側表層部20H側から反対側の背面側表層部20Tに向かって埋設された、段付きのナットである。インサートナット30は、埋込部26よりも幅方向及び奥行方向にわずかに小さく形成される。また、インサートナット30は埋込部26に埋設された状態で発泡樹脂ボード20との隙間GPが接着剤Bで埋められている。つまり、インサートナット30は、発泡樹脂ボード20に接着剤Bで接着されている。なお、本発明では、接着剤Bを用いることは望ましいが、必須ではない。
【0020】
インサートナット30は、埋込部26に対応して複数設けられる。具体的には、インサートナット30は、後述するキャスター40の取付位置に対応して設けられる。
【0021】
インサートナット30は、
図3に示されるように、頭部32と、脚部34と、雌ネジ部36を備える。
【0022】
((頭部))
頭部32は、上下方向に延びた有底円筒状であり、下方に向かって開口している。頭部32は、積載面側表層部20H側に位置し、インサートナット30の頭部として機能する(
図2参照)。頭部32は、埋込部26の段差面26Aよりも積載面側表層部20H側の部位である。頭部32の上端32A(
図2参照)は、発泡樹脂ボード20の積載面保護シート22より突出しないように位置する。より具体的には、上端32Aは、発泡樹脂ボード20の積載面側表層部20Hより突出しないように位置する。また、上端32Aは平らである。
【0023】
なお、上端32Aは必ずしも平らである必要は無く、例えば、半球状(ドーム状)等任意の形状であってもよい。この場合、埋込部26において上端32Aと、積載面側表層部20H又は積載面保護シート22との間に隙間があれば、当該隙間が他の部材で埋められた構造であってもよい。
【0024】
((脚部))
脚部34は、上下方向に延びた円筒状であり、上方に頭部32が位置するように頭部32と一体的に形成されている。脚部34は、上下方向に沿う中心軸を頭部32と共有している。脚部34の外径は、頭部32の外径よりも小さく形成されている。すなわち、脚部34と頭部32との境界部分(発泡樹脂ボード20における埋込部26の段差面26Aの周辺部分)が、インサートナット30の段付き形状として表れており、頭部32は、脚部34よりも拡径されている。脚部34の下端34A(
図2参照)は、発泡樹脂ボード20の背面保護シート24より突出しないように位置する。より具体的には、下端34Aは、発泡樹脂ボード20の背面側表層部20Tより突出しないように位置する。また、下端34Aは平らである。
【0025】
なお、下端34Aは必ずしも平らである必要は無く、例えば、外周部分が面取りされていてもよい。
【0026】
((雌ネジ部))
雌ネジ部36は、
図3に示されるように、頭部32及び脚部34の円筒状の内周面に、脚部34の下端34Aから頭部32の上端32Aに向かって形成されたネジ部である。雌ネジ部36は、上下方向に沿う中心軸を脚部34及び頭部32と共有している。雌ネジ部36の上下方向の長さ(下端34Aから底面36Aまでの深さ)は、DIとされる。
【0027】
(キャスター)
キャスター40は、
図2に示されるように、発泡樹脂ボード20の背面(下面)側に複数配置され、発泡樹脂ボード20を移動可能にする機能を備える。本実施形態では、
図1(B)に示されるように、キャスター40は、発泡樹脂ボード20の四隅部CN1に配置される旋回キャスター40Aと、発泡樹脂ボード20の中央部CN2に配置される固定キャスター40Bとの2種類のキャスター40が混在した状態で、合計5個配置されている。
【0028】
なお、キャスター40の個数は、5個に限られない。例えば、キャスター40は、互いの距離を短くすることにより耐荷重性能を向上させるために、6個以上としてもよい。また、キャスター40は、発泡樹脂ボード20及び荷物LD(
図5参照)の荷重に耐え、かつ台車10としての機能を発揮可能な範囲内において、3個又は4個としてもよい。キャスター40の素材は、金属、樹脂のいずれであってもよい。
【0029】
キャスター40は、取付座42と、車輪支持部44と、車輪46を備える。
【0030】
((取付座))
取付座42は、
図2に示されるように、上下方向に延びて貫通するビス孔42Hが複数形成された、厚さT1の平板状の部材である。取付座42は、発泡樹脂ボード20とインサートナット30との隙間GPを、取付座42の外縁よりも内側に含むように配置される。また、取付座42は、キャスター40の上方であって、発泡樹脂ボード20の背面(下面)側に配置される。本実施形態では、取付座42は背面保護シート24の下面に配置される。ビス孔42Hは、後述する雄ネジ50を挿通する貫通孔であり、インサートナット30の個数及び位置に対応して、取付座42に形成される。本実施形態では、ビス孔42Hは、取付座42毎に4個ずつ形成されている。
【0031】
((車輪支持部))
車輪支持部44は、
図2に示されるように、取付座42に取り付けられ、後述する車輪を支持する部位である。本実施形態では、旋回キャスター40Aに対応する車輪支持部44は、床面GR上の台車10の進行方向を定める上下方向の回転軸(
図1の奥行方向を基準としたキャスターの向きを示す回転角θを定める回転軸)と、台車10の前進と後退を可能にさせる水平方向の回転軸との2つを備えている。回転角θは0°~360°の範囲を採りうる。また、固定キャスター40Bに対応する車輪支持部44は、上下方向に直交する水平方向に沿い台車10の前進と後退を可能にさせる水平方向の回転軸を1つ備えている。
【0032】
((車輪))
車輪46は、円盤状をしており、車輪支持部44を介して回転可能に支持される。
【0033】
以上により、キャスター40は、台車10の進行方向の選択及び前進動作と後退動作を可能にする。
【0034】
(雄ネジ)
雄ネジ50は、
図3に示されるように、首下長さDBを有するネジである。雄ネジ50は、取付座42のビス孔42Hに挿通された状態でインサートナット30に螺合し、取付座42を発泡樹脂ボード20の背面(下面)側に上向きの姿勢で固定することにより、キャスター40を発泡樹脂ボード20に取付ける。
【0035】
本実施形態では、
図2に示されるように、雄ネジ50が取付座42を固定した状態で、雄ネジ50はインサートナット30の内部に長さDHだけ螺合されている。つまり、雄ネジ50の先端50Aと雌ネジ部36の底面36Aとの間には、各部材の上下方向の寸法誤差を吸収する余地として、上下方向に隙間DSが形成されている。
【0036】
以上により、台車10が構成される。
【0037】
<第1実施形態の作用効果>
本実施形態の作用効果について、比較例を交えながら説明する。
【0038】
(1)
軽量化の目的で発泡樹脂の軽量性を利用する提案はあるものの、発泡樹脂は、金属や木材等に比べると比較的脆い性質を有する。従来のキャスター取付方法で発泡樹脂本体に直接キャスターが取り付けられると、台車の運用時にキャスターから間断なく伝わる衝撃等の外力により取付座周辺が損傷し易くなる。ゆえに、例えば特許文献1に示されているように、台車構造全体から見れば、発泡樹脂が利用できる部位は限定的となる。また、台車に発泡樹脂を利用する場合でも、衝撃等に強い硬質で比較的重量がある別部材で周囲を囲って補強する構造の提案に止まっていた。
【0039】
本実施形態に係る台車10は、発泡樹脂ボード20と、発泡樹脂ボード20に埋設され、頭部32の上端32Aが発泡樹脂ボード20の積載面側表層部20Hより突出しないように位置し、かつ脚部34の下端34Aが発泡樹脂ボード20の背面側表層部20Tより突出しないように位置するインサートナット30と、発泡樹脂ボード20の背面側表層部20T側に配置される取付座42と、取付座42に取り付けられた車輪支持部44を介して回転可能に支持される車輪46とを備えたキャスター40と、インサートナット30に螺合し、取付座42を発泡樹脂ボード20の背面側表層部20T側に固定する雄ネジ50と、を有する。
【0040】
発泡樹脂ボード20には、インサートナット30が埋設されており、頭部32の上端32Aが発泡樹脂ボード20の積載面側表層部20Hに位置し、脚部34の下端34Aが発泡樹脂ボード20の背面側表層部20Tに位置している。すると、発泡樹脂ボード20に載せられた荷物LDの荷重はインサートナット30を通じて発泡樹脂ボード20の背面側表層部20T側に配置されたキャスター40の車輪支持部44へ伝わり、更に、車輪46を通じて、台車10が移動する床面GRへと伝わる。このため、発泡樹脂ボード20を使用することで台車10が軽量化され、発泡樹脂ボード20の強度が小さくても、インサートナット30でキャスター40に荷重を伝達することで、台車10を強度化できる。
【0041】
(2)
本実施形態に係る台車10において、インサートナット30の頭部32は、脚部34よりも拡径されている。これにより、発泡樹脂ボード20に埋設されたインサートナット30が上下方向にズレ動くことを抑制できる。
【0042】
より詳細には、本実施形態に係る台車10においては、キャスター40の取付座42が発泡樹脂ボード20の背面(下面)に当接して固定される。取付座42を発泡樹脂ボード20の背面(下面)側に固定するためには、雄ネジ50を取付座42のビス孔42Hに挿通し、インサートナット30の雌ネジ部36に螺合させてねじ込んで行き、雄ネジ50の頭部底面で取付座42を押して行き発泡樹脂ボード20の背面(下面)に当接(着座)させた後、更に雄ネジ50をねじ込んで行き、インサートナット30を取付座42方向に引き寄せ、インサートナット30の頭部32の下面32Bが発泡樹脂ボード20における埋込部26の段差面26Aに当接(着座)し、それ以上雄ネジ50をねじ込む方向に一定のトルクを加えることにより、ネジを上下方向に引き伸ばす引張力が働いてネジが僅かに引き伸ばされ、その復元力がインサートナット30の頭部32の下面32Bと雄ネジ50の頭部底面との間の締結力として作用し、その間に挟まれた発泡樹脂部分と取付座42とが強固に固定されることにより、キャスター40が発泡樹脂ボード20に強固に固定される構造とされている。
【0043】
(3)
本実施形態に係る台車10においては、発泡樹脂ボード20とインサートナット30の隙間GPが接着剤Bで埋められているが、本発明では、インサートナット30が埋込部26に挿入可能な寸法形状である限り、間隙GBもそれに埋める接着剤Bも必須ではない。発泡樹脂ボード20とインサートナット30の隙間GPが接着剤Bで埋められていない場合、発泡樹脂ボード20に作用している荷物LDによる押圧力は、インサートナット30には伝わらずに、下方のキャスター40の取付座42に直接受け止められ、車輪46が接地している床面GRに伝わる。このため、荷物LDによる押圧力は、全て発泡樹脂ボード20に対する上下方向の圧縮力として作用する。また、キャスター40の接地点からは、逆に上向きの反力がキャスター40側に作用するが、この反力は取付座42を介して発泡樹脂ボード20の下面に伝わり、最終的に荷物LDの底面に伝わり荷物を支持している。また、インサートナット30は、隙間GPが接着剤Bで埋められていない状態では、埋込部26に挿入されて埋設されているだけであるが、雄ネジ50が装着された段階で、埋込部26の段差面26Aがインサートナット30の頭部32の下面32Bに当接し、雄ネジ50の締結力によりインサートナット30が発泡樹脂ボード20に固定されるので、インサートナット30全体が上方にズレ動くことが抑制されている。
【0044】
一方、本実施形態に係る台車10におけるように、発泡樹脂ボード20とインサートナット30の間隙GPが接着剤Bで埋められて強固に接着されている場合、台車10の移動中に、荷物LDによる押圧力の反力に加え、床面GRから車輪46に上下方向の振動が伝わっても、インサートナット30の埋設位置がズレ動くことが更に抑制されると共に、発泡樹脂ボード20の圧縮強度も向上する。
【0045】
より詳細には、台車10に荷物LDが積載されると、発泡樹脂ボード20が荷物LDによって押圧される。発泡樹脂ボード20とインサートナット30の対向面全体において隙間GPに埋められた接着剤Bで接着されて一体化されているので、その押圧力が発泡樹脂ボート20とインサートナット30によって分担されると共に、発泡樹脂ボード20に対してインサートナット30がズレ動くことが更に抑制される。また、荷物LDによる押圧力が比較的圧縮強度が大きいインサートナットによって分担され、発泡樹脂ボード20の部分に作用する上下方向の圧縮力が軽減される結果、発泡樹脂台車10の見掛け上の圧縮強度も接着剤Bを用いない場合に比べ向上する。従って、上記効果を奏する。
【0046】
(4)
本実施形態に係る台車10において、キャスター40は、発泡樹脂ボード20の四隅部CN1及び中央部CN2に配置される。発泡樹脂ボード20の中央部CN2にキャスター40を配置することで、中央部CN2にキャスター40を配置しない場合に比べ、発泡樹脂ボード20に作用する荷重が中央部CN2に配置されたキャスター40にも分担されるため、それぞれのキャスター40に掛かる荷重が軽減されると共に、キャスター40間の最長距離であった対角距離が半減するために、荷重による発泡樹脂ボード20の下方への撓みも軽減されるために、耐荷重性が向上する。また、中央部CN2に配置するキャスター40を固定キャスター40B、四隅部CN1に配置するキャスター40を旋回キャスター40Aとすることで、固定キャスター40Bを回転中心として、例えばトラック荷台等の狭いスペースでであっても台車10を旋回して目的の方向へ荷物を運ぶことができる。
【0047】
より詳細には、
図4を用いて説明する。
図4(A)は、第1実施形態に係る台車10が奥行方向に移動可能であることを説明する平面図であり、
図4(B)は、当該台車10が
図4(A)に対し時計回りに45°回転した状態を示す平面図である。
図4(C)は、当該台車10が
図4(B)に対し更に時計回りに45°回転した状態で幅方向に移動可能であることを説明する平面図である。中央部CN2を回転方向が制限された固定キャスター40Bとすることにより、その固定キャスター40Bの動き難さを逆用して、台車10を移動させずにその位置でピボット回転(自転)することが可能となる。なお、このようなピボット回転を行うと、固定キャスター40Bの車輪46の接地点において回転方向の摺動が生じるが、一般的に車輪の接地点における接地面積は小さいために摺動抵抗も比較的小さく、実用上この摺動抵抗が台車10の運用の妨げとはならず、また、ピボット回転を行うときに、車輪46の接地点が床面の凹凸等に嵌まり込んで回転運動が妨げられることを避けるために、台車10に僅かな前後運動を加えながら回転運動を行うことで、よりスムーズに回転運動を行うことができる。
【0048】
また、荷物LDの荷重支持の観点では、台車10は。例えば、荷台床面FL(
図5参照)に接しているキャスター40の接地点を支点として、キャスター40の個数で分担して支えている。それぞれのキャスター40が支える荷重は、荷物LDの重心線とキャスター40の接地点との垂直距離に反比例する大きさで分担し(即ち荷物に近いキャスター40がより多くの荷重を支える)、荷物LDが複数個あれば、それぞれの荷物LDについての分担荷重を合計した荷重をそれぞれのキャスター40が支えることになる。
【0049】
(5)
本実施形態に係る台車10において、発泡樹脂ボード20は、少なくとも積載面側表層部20H及び背面側表層部20Tに積載面保護シート22と背面保護シート24を備える。これにより、発泡樹脂ボード20が、荷物LD自体や床面GRからの石跳ね(チッピング)等で傷つき難くなる。
【0050】
(6)
例えば、キャスター40が床面GRの凹凸に衝突して乗り越えることを繰り返す状況が想定される。このような状況では、その衝撃がキャスター40を水平方向や上下方向に揺さぶる振動的な動きを生じ、取付座42を発泡樹脂ボード20から引き剥がそうとする力又は固定しているビスを引き抜こうとする力が作用する。
【0051】
取付座42を発泡樹脂ボード20の下面に直接ビス止めする場合、ビスを水平方向或いは上下方向に揺さぶる力によって、比較的脆い発泡樹脂ボード20に直接ねじ込まれ、鋭利なネジ山が発泡樹脂ボード20に接触していることもあって、ビスが比較的容易に脱落し、キャスター40が外れてしまうおそれがある。
【0052】
一方、本実施形態に係る台車10では、発泡樹脂ボード20の厚さT方向に延びるインサートナット30に雄ネジ50を螺合して取付座42を固定する構造とされている。これにより、雄ネジ50に水平方向や上下方向に揺さぶるような力が働いても、雄ネジ50の鋭利なネジ山が発泡樹脂ボード20に直接には接触しない。また、インサートナット30が発泡樹脂ボード20の深い位置(積載面側表層部20Hに近い位置)まで延びているために、雄ネジ50に働く水平方向又は上下方向に揺さぶる力がインサートナット30と発泡樹脂ボード20の比較的広く滑らかな接触面全体で立体的に受け止められ、発泡樹脂ボード20に伝わる力が分散され減殺されるため、実用的に十分なキャスター取付け強度が得られる。
【0053】
(7)
また、
図5(A)に示されるように、本実施形態に係る台車10がパレットPLに載置された荷物LDを載せた状態で図示しない車両の箱型の荷台SPに運び込まれた場合、台車10が軽量化されているために車両の許容積載重量にとって大きな負担とはならず、従って、パレットPL上に載置された荷物LDを台車10から荷台SP上に降ろすことなく、そのまま台車10ごと車両で搬送することができるので、作業効率の向上に役立つ。また、
図5(B)に示されるように、パレットPL上に載置された荷物LDが荷台SPの荷台床面FLに積み込まれた場合にあっても、軽量化された台車10は作業者が比較的容易に持ち運び可能であり、荷台SPの壁面SWと荷物LDとの隙間に簡単に収納して携行することができる。このように携行することによって、台車やフォークリフト等の運搬手段のない搬送先で持参した台車10を利用することができ、作業効率の向上に役立つ。なお、
図5(A)又は
図5(B)のいずれの方法で台車10が利用されるかは、任意である。
【0054】
<第1実施形態の変形例>
上記第1実施形態では、発泡樹脂ボード20の積載面側表層部20H、背面側表層部20T、積載面保護シート22及び背面保護シート24は平らな面であるものとしたが、これに限られない。例えば、積載面側表層部20H、背面側表層部20T、積載面保護シート22及び背面保護シート24には、荷物LDと接する面の全面又は所々に小さい凹凸部(ディンプル)を形成してもよい。これにより、例えば、荷物LDが台車10上を滑る可能性のある荷姿の場合には、荷物LDとの間に適度な摩擦力が働く。
【0055】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る台車210について、
図6を参照しながら説明する。第2実施形態に係る台車210は、基本的に第1実施形態に係る台車10と同等であり、共通する構成については説明を省略する。具体的には、台車210では、台車10に対し、発泡樹脂ボード220へのキャスター40の取付構造が異なっている。
【0056】
台車210は、発泡樹脂ボード220と、補強板260と、キャスター40と、雄ネジ250を有する。なお、キャスター40については説明を省略する。
【0057】
(発泡樹脂ボード)
発泡樹脂ボード220は、板厚tを有する発泡樹脂で形成された板である。発泡樹脂ボード220は、積載面保護シート222と、背面保護シート224を備える。
【0058】
(補強板)
補強板260は、発泡樹脂ボード220と、キャスター40の間に配置される板である。具体的には、補強板260は、発泡樹脂ボード220の背面保護シート224の下面に取り付けられ、雌ネジ穴262が少なくとも下面側に設けられた硬質樹脂プレートである。本実施形態では、
図6に示すように、補強板260には、雌ネジ穴262が板厚方向に貫通孔として設けられているが、板厚方向の下方側にのみ雌ネジが形成され、板厚方向の上方側には雌ネジは形成されておらず、雄ネジ250が螺合された状態で、板厚方向の上部には空隙が残る寸法形状とされている。なお、本発明では、補強板に設けられる雌ネジ穴は、これに限らず、雌ネジ穴の全長に亘って雌ネジが形成されていてもよく、また、貫通孔でなく、下方に開口部を有する所要の深さの長穴であってもよい。また、補強板260は、発泡樹脂ボード220の下面に図示しない接着剤で接着されている。
【0059】
なお、本実施形態では、補強板260は、発泡樹脂ボード220に接着するとしたが、本発明では、これに限らず、例えば、溶着、ビス止めその他の取付方法により発泡樹脂ボード220に設けられてもよい。
【0060】
また、補強板260の下面には、キャスター40の取付座42が配置される。つまり、補強板260は、発泡樹脂ボード220と取付座42とに挟まれている。
【0061】
補強板260は、キャスター40の取付け箇所に応じて発泡樹脂ボード220の下面に配置される。
【0062】
(雄ネジ)
雄ネジ250は、補強板260の雌ネジ穴262に螺合し、キャスター40の取付座42を補強板260の下面に固定する。雄ネジ250は、雌ネジ穴262の個数に応じた個数である。雄ネジ250が雌ネジ穴262に螺合した状態で、雄ネジ250と発泡樹脂ボード220との間には隙間が形成される。雄ネジ250は、周知の雄ネジが用いられてもよい。
【0063】
<第2実施形態の作用効果>
本実施形態に係る台車210は、発泡樹脂ボード220と、発泡樹脂ボード220の下面に取り付けられ、雌ネジ穴262が少なくとも下面側に設けられている補強板260と、発泡樹脂ボード220の下面側に配置される取付座42と、取付座42に取り付けられた車輪支持部44を介して回転可能に支持される車輪46とを備えたキャスター40と、雌ネジ穴262に螺合し、取付座42を補強板260の下面に固定する雄ネジ250と、を有する。
【0064】
これにより、台車210は、第1実施形態に係る台車10の効果に加え、より簡易な構造で製造コストの低い台車を提供できる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る台車310について、
図7及び8を参照しながら説明する。第3実施形態に係る台車310は、基本的に第1実施形態に係る台車10と同等であり、共通する構成については説明を省略する。具体的には、台車310は、台車10にハンドル370が取り付けられた構造である。なお、第2実施形態に係る台車210にも、本実施形態で説明するハンドル370は取付可能である。
【0066】
図7に示されるように、台車310は、発泡樹脂ボード320上に荷物LDが載せられた状態で作業者OPにより操作される台車である。台車310は、キャスター40により床面GR上を移動可能である。台車310は、いわゆる片袖形ハンドトラックである。
【0067】
(発泡樹脂ボード)
台車310は、
図8に示されるように、発泡樹脂ボード320を備える。発泡樹脂ボード320の側面320Sには、断面が円形の長穴322が互いに幅方向に距離INだけ離隔した状態で形成されている。
【0068】
なお、長穴322は、奥行方向の一側面320Sに形成されるものとしたが、これに限られない。例えば、長穴322は、その他の側面や全側面に形成されてもよい。また、長穴322は、断面形状が円形とされているが、本発明では、これに限らず、例えば、楕円形、矩形、多角形その他任意の断面形状であってよい。
【0069】
(筒部材)
筒部材360は、
図8に示されるように、中空に形成され、発泡樹脂ボード320の側面320Sから内部に向けて長穴322に沿って埋設された管である。なお、筒部材360は、その外壁面が長穴322の内壁面に密着した状態で埋設される。筒部材360は、発泡樹脂ボード320の長穴322に埋設された状態で、外部側の端面が側面320Sと面一になるように位置する。また、本実施形態に係る筒部材360の断面外周は、長穴322の断面形状に合わせて円形とされているが、本発明ではこれに限らず、発泡樹脂ボードの側面に設けられた長穴の断面形状に応じて、例えば、楕円形、矩形、多角形その他任意の断面形状であってよい。また、筒部材360の断面内周も円形とされているが、本発明ではこれに限らず、例えば、楕円形、矩形、多角形その他任意の断面形状であってよい。
【0070】
(ハンドル)
ハンドル370は、
図8に示されるように、奥行方向から見ると鳥居形をしており、発泡樹脂ボード320の側面320Sに対し脱着可能な操作部である。
図8において、破線で示されるハンドル370は、発泡樹脂ボード320に取り付けられた状態を示しており、実線で示されるハンドル370は、発泡樹脂ボード320から取り外された状態を示している。ハンドル370は、アンカー部372と、把持部374を備える。
【0071】
アンカー部372は、奥行方向に延び、ハンドル370の下方部分に配置され、幅方向に距離INだけ離隔した一対の円筒である。アンカー部372の一端は、筒部材360の内部に挿入可能とされる。アンカー部372は、発泡樹脂ボード320へ作業者の操作力を伝える。なお、本実施形態に係るアンカー部372の断面外周は、筒部材360の断面内周の形状に合わせて円形とされているが、本発明ではこれに限らず、筒部材の断面内周の形状に応じて、例えば、楕円形、矩形、多角形その他任意の断面形状であってよい。また、アンカー部372は、軽量化のために中空の円筒とされているが、本発明では、これに限らず、中空でない棒状部材であってもよい。
【0072】
把持部374は、奥行方向から見ると鳥居形に形成されている。具体的には、把持部374は、柱状部374Aと、グリップ374Bを備える。柱状部374Aは、上下方向に沿った柱状体であり、一対のアンカー部372の奥行方向手前端部から互いに幅方向に距離INだけ離隔した状態でそれぞれ立ち上がっている。グリップ374Bは、把持部374の上部に位置した棒状体であり、一対の柱状部374Aの上端部を幅方向に連結している部材であり、作業者OPに把持される。
【0073】
なお、本実施形態に係る把持部374は、鳥居形に形成されているが、本発明では、これに限らず、例えば、把持部のグリップがアーチ状に形成されてもよく、又は、グリップは、一対の柱状部の上端部を幅方向に連結せず、それぞれの柱状部の上端部を奥行方向手前に屈曲させ、その屈曲部分をグリップとしてもよい。また、把持部374のグリップ374Bは棒状体としたが、作業者OPが握りやすい形状であれば、種々変形可能である。また、本実施形態に係るアンカー部372及び把持部374の柱状部374Aは、それぞれ一対とされているが、本発明では、これに限らず、1本のアンカー部及びそれから立ち上がった1本の柱状部であってもよい。
【0074】
<第3実施形態の作用効果>
本実施形態に係る台車310は、中空に形成され、発泡樹脂ボード320の側面320Sから内部方向に向けて長穴322に埋設された筒部材360と、一端が筒部材360に挿入可能なアンカー部372とアンカー部372の他端から立ち上がり上部に作業者OPが把持できる把持部374とを備えたハンドル370とを有する。
【0075】
これにより、第1実施形態に係る台車10の効果に加え、ハンドル370を備えることにより、操作性のよい台車310を提供することができる。
【0076】
また、長穴322を発泡樹脂ボード320の複数の側面に、例えば、長穴322は、その他の側面や全側面に形成されてもよい。この場合、ハンドル370を取り外して他の側面320Sの筒部材360に挿入するだけで、台車310を動かすことなく、台車310の進行方向を変えることができる。
【0077】
その他、添付された複数の図面中に例示した構成を部分的に組み合わせて、本開示を構成することもできる。以上のとおり本開示は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本開示の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0078】
10 台車
20 発泡樹脂ボード
20H 積載面側表層部
20T 背面側表層部
22 積載面保護シート
24 背面保護シート
26 埋込部
26A 段差面
30 インサートナット
32 頭部
32A 上端
32B 下面
34 脚部
34A 下端
36 雌ネジ部
36A 底面
40 キャスター
40A 旋回キャスター
40B 固定キャスター
42 取付座
42H ビス孔
44 車輪支持部
46 車輪
50 雄ネジ
50A 先端
210 台車
220 発泡樹脂ボード
222 積載面保護シート
224 背面保護シート
250 雄ネジ
260 補強板
262 雌ネジ穴
310 台車
320 発泡樹脂ボード
320S 側面
322 長穴
360 筒部材
360 長穴
370 ハンドル
372 アンカー部
374 把持部
374A 柱状部
374B グリップ
θ 回転角
B 接着剤
CN1 四隅部
CN2 中央部
DS 隙間
FL 荷台床面
GP 隙間
GR 床面
IN 距離
OP 作業者
PL パレット
SP 荷台
SW 壁面
LD 荷物
t 板厚
【要約】
【課題】発泡樹脂を利用して軽量化され、かつ、実用に耐える強度を有するキャスター付きの台車を提供する。
【解決手段】台車は、発泡樹脂ボードと、前記発泡樹脂ボードに埋設され、頭部上端が前記発泡樹脂ボードの上面より突出しないように位置し、かつ脚部下端が前記発泡樹脂ボードの下面より突出しないように位置するインサートナットと、前記発泡樹脂ボードの下面側に配置される取付座と、前記取付座に取り付けられた車輪支持部を介して回転可能に支持される車輪とを備えたキャスターと、前記インサートナットに螺合し、前記取付座を前記発泡樹脂ボードの下面側に固定する雄ネジと、を有する。
【選択図】
図1