(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】低摩擦素材をブレード面に配置した静音サイクロローター
(51)【国際特許分類】
B64U 30/21 20230101AFI20250212BHJP
B64C 27/473 20060101ALI20250212BHJP
B64C 11/20 20060101ALI20250212BHJP
B64U 30/29 20230101ALI20250212BHJP
B64C 21/10 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B64U30/21
B64C27/473
B64C11/20
B64U30/29
B64C21/10
(21)【出願番号】P 2024184503
(22)【出願日】2024-10-20
【審査請求日】2024-10-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512200011
【氏名又は名称】田中 芳明
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳明
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-513602(JP,A)
【文献】特開2019-112051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0050476(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0156783(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0337616(US,A1)
【文献】国際公開第2020/261149(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0252776(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2011-0010241(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64U 30/21
B64C 27/473
B64C 11/20
B64U 30/29
B64C 21/10
F03D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードの表面及び/又は裏面に、ブレード前縁部から後縁部及び/又は後縁部から前縁部にかけて低摩擦素材が縦方向にストライプ状に配置されていることを特徴とする、サイクロローター。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フクロウは、翼にある櫛状の立体的なギザギザ構造によって、翼の境界層内を流れる空気を細かく分散して大きな乱流発生を抑制することで、乱流から生じる音を低減し、静かに飛ぶことができる。これを応用した静音設計はすでに存在し、風力タービンのブレード、航空機エンジンのファンブレードなど、立体的なギザギザ構造の導入例はある。
【発明の詳細な説明】
【0002】
サイクロローターは、従来のプロペラ方式に比べて優れた機動性を備えており、ドローンなどの航空機、風力発電システム、送風機などへの搭載が期待されている。サイクロローターは空気の流れを効果的に制御するため騒音は低減されるが、さらに騒音低減ができることが望ましい。サイクロローターに対する静音設計については、0001で記述したような、ブレード面への立体的なギザギザ構造による静音設計は現在のところ見当たらないが、騒音を低減する方法の一つとして考えられる。
しかし、立体的なギザギザ構造は複雑な形状になりがちであり、そのギザギザ構造の溝には汚れが容易に付着し蓄積しやすいと考えられる。汚れがギザギザ構造の溝に付着し蓄積してしまうと、ブレード面の境界層内を流れる空気を細かく分散する効果はなくなり、それによって静音効果は発揮できなくなると考えられる。そして、立体的なギザギザ構造はその複雑な形状ゆえに清掃しにくいなどのメンテナンス性も悪く、ギザギザ構造の溝を起点に亀裂が入りやすいなどの耐久性の悪さも予想される。そこで、立体的なギザギザ構造ではなく、サイクロローターのブレード面に低摩擦素材を特徴的に配置することで、ブレード面の境界層内を流れる空気を細かく分散させ、大きな乱流発生を抑えることで騒音の低減を図る、という方法を考えた。
発明の実施形態を説明する。考えられる実施形態の例として、ブレードの表面及び/又は裏面に、ブレード前縁部から後縁部及び/又は後縁部から前縁部にかけてカーボンナノチューブやグラフェンなどの低摩擦素材が塗布や素材の並びなどによって縦方向にストライプ状に配置されている形態などのサイクロローターが考えられる。
低摩擦素材が配置されたブレード面部分の境界層内では、摩擦が小さいため、境界層内を流れる空気は滑りやすい。よって、「低摩擦素材が配置されていないブレード面部分の境界層内を流れる空気」と「低摩擦素材が配置されたブレード面部分の境界層内を流れる空気」とでは、空気の流速は異なる。
本実施形態によれば、ブレードの表面及び/又は裏面に、ブレード前縁部から後縁部及び/又は後縁部から前縁部にかけて低摩擦素材が縦方向にストライプ状に配置されることにより、ブレードの表面及び/又は裏面の境界層内を流れる空気は、整流され、異なる流速の空気が縦に交互に並ぶ分散されたパターンを形成し、ブレードの表面及び/又は裏面での大きな乱流発生を抑制する。結果、乱流から生じる騒音を低減する。
尚、立体的なギザギザ構造のような複雑な立体形状によらないため、清掃がしやすいなどのメンテナンス性もよく、汚れも付着しにくく、亀裂が入ることに繋がりにくい。
【要約】
【課題】
サイクロローターは従来からあるプロペラタイプよりも静音であるが、より一層の騒音低減が望ましい。フクロウの翼の原理を応用したギザギザ構造による静音なブレード設計も考えられるが複雑な形状ゆえに汚れやすくメンテナンス性なども悪い。そこで、ギザギザ構造ではなく低摩擦素材を特徴的に配置することで騒音低減したサイクロローターの形態を提供する。
【解決手段】
ブレードの表面及び/又は裏面に、ブレード前縁部から後縁部及び/又は後縁部から前縁部にかけて低摩擦素材が縦方向にストライプ状に配置することで、ブレードの表面及び/又は裏面の境界層内を流れる空気は整流され、異なる流速の空気が縦に交互に並ぶ分散されたパターンを形成し、ブレードの表面及び/又は裏面での大きな乱流発生を抑制する。結果、乱流から生じる騒音を低減する。
【選択図】 なし