(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】縦延伸装置用押圧ロール装置、その延伸装置及び押圧ロール間隙変更法
(51)【国際特許分類】
B29C 55/06 20060101AFI20250212BHJP
F16C 13/04 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B29C55/06
F16C13/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020153455
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】10 2019 124 865.5
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510331593
【氏名又は名称】ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】ハネス・ハックシュタイナー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ・クライトメア
(72)【発明者】
【氏名】マービン・ボスル
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド・ヴォルフグルバー
(72)【発明者】
【氏名】アントン・エドフェルダー
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-059574(JP,A)
【文献】米国特許第06472638(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第0779144(EP,A2)
【文献】特開平09-001655(JP,A)
【文献】特開2000-210964(JP,A)
【文献】米国特許第05405699(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/00-55/30
B29C 61/04-61/10
B29C 39/00-39/44
B29C 43/00-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏向ロール又は成型ロール(5)に対向して配置されて樹脂薄膜(F)を延伸する転動表面(11b)を形成する軸方向長さ(L)の回転体又は回転胴(11a)を有する押圧ロール(11)を備え、
押圧ロール(11)の回転体又は回転胴(11a)の転動表面(11b)少なくとも軸方向の長さの一部(L
WKA)に成型ロール(5)との間に薄膜押圧領域(11c)を形成し又は備える縦延伸装置用押圧ロール装置において、
押圧ロール(11)は、直接駆動部(39)若しくは間接的駆動部を備え又は直接駆動部(39)若しくは間接的駆動部で構成される駆動装置により駆動され、
直接駆動部(39)は、押圧ロール(11)の回転体又は回転胴(11a)又は直接駆動部(39)に固着される環片(35)に回転接続され、
直接駆動部(39)は、押圧ロール(11)の少なくとも片側の閉鎖側の環片(35)に取外し可能に取付けられ、
直接駆動部(39)は、押圧ロール(11)の全軸長の最大でも50%未満の長さの一部分でのみ、押圧ロール(11)の端面(15)を超えて突出する軸尻(17)を有することを特徴とする縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項2】
押圧ロール(11)の空洞(37)内に配置される直接駆動部(39)の静止駆動筐体(51)は、外側で回転する直接駆動部(39)に対し、少なくとも1つの転動軸受(55)又は軸方向に間隔を空けて配置される2つの転動軸受(55, 79)により支持され、
押圧ロール(11)から突出する直接駆動部(39)の閉鎖側端部付近に設けられる転動軸受(55)は、複列転動軸受として形成される請求項1に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項3】
静止駆動筐体(51)は、静止駆動筐体(51)内に配置される静止固定子(63)を備え、
静止固定子(63)は、静止固定子(63)より径方向内側に回転可能に配置される回転子(65)を包囲し、
回転子(65)は、押圧ロール(11)の端面(15)からより離間して配置される駆動軸(67)に連結される請求項2に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項4】
駆動筐体(51)内に設けられる回転子(65)の下流の歯車(69)は、回転数を減速する請求項2又は3に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項5】
回転子(65)から導出される駆動軸(67)及び/又は後続の歯車(69)から導出される出力軸(71)は、
a) 直接又は半径方向のトルク伝達片(75)を介して間接的に円筒状又は中空円筒状のトルク伝達装置(77)に連結されかつ/又はこれにより支持されかつ/又は
b) 直接又は転動軸受(79)を介して間接的に円筒状又は中空円筒状のトルク伝達装置(77)に支持され、
トルク伝達装置(77)は、おいて押圧ロール(11)の回転体(11a)の端面(15)に取り外し可能に連結される請求項3又は4に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項6】
外側に突出して直接駆動部(39)に設けられる取付部(41)は、固定軸受を形成し、
押圧ロール(11)の空洞(37)内に装着可能に設けられるロール支持体(45)は、押圧ロール(11)の反対側の端面(15)から突出し、
ロール支持体(45)は、浮動軸受を形成する請求項1~5の何れか1項に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項7】
直接駆動部(39)を有する押圧ロール(11)の端面(15)から突出する取付部(41)は、
a) 押圧ロール(11)の対向する端面(15)で排出する洗浄媒体を供給する少なくとも1つの洗浄空気接続部(91)を有しかつ、
b) 少なくとも、電動モータ(64)に電力を供給しかつ/又はデータを伝送する少なくとも1つの電気接続部(101)を有する請求項1~6の何れか1項に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項8】
a) 直接又は
b) 少なくとも、駆動筐体(51)の正面側の筐体端(51b)に形成される長孔(93, 103)を介して、
取付部(41)の洗浄弁(91)及び/又は電気接続部(101)は、駆動筐体(51)の内室(59)に連絡しかつ、
押圧ロール(11)の対向する端部で、押圧ロール(11)に挿入されるロール支持体(45)に通気孔(89)が設けられ、
通気孔(89)は、取付部(45)の端部に形成される外側への開口(88)を有し、
洗浄弁(91)から供給される洗浄媒体は、押圧ロール(11)及び通気孔(89)を通り案内される請求項7に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項9】
駆動筐体(51)は、
a) 筐体環片(51a)形態の中空円筒状の筐体部(51a)と、筐体部(51a)に固定されて連結されて取付部(41)を形成する筐体蓋(51b)形態の端部側の筐体端(51b)との2つの部分を備え又は、
b) 少なくとも実質的に一体に形成される環片状の筐体部(51a)と、取付部(41)を形成する正面側の筐体端(51b)とを備える請求項1~8の何れか1項に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項10】
押圧ロール装置の間接的駆動部は、
a) 押圧ロール(11)の薄膜押圧領域(11c)に対して軸方向にずれて配置される少なくとも1つの接触駆動片(27)を備え又は、
b) 押圧ロール(11)の薄膜押圧領域(11c)間に形成される2つの接触駆動片(27)を備え、
少なくとも1つ又は2つの接触駆動片(27)は、少なくとも無負荷状態で、押圧ロール(11)の薄膜押圧領域(11c)の半径(R
FAB)より大きい半径(R
KA)を有する直径を有し、
少なくとも1つ又は2つの接触駆動片(27)は、少なくとも回転する薄膜押圧領域(11c)に加圧下で圧縮される材料を含み又は加圧下で圧縮される材料で構成される請求項1に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項11】
少なくとも1つの薄膜押圧領域(11c)の可圧縮性材料は、加圧下で圧縮され、少なくとも1つの接触駆動片(27)の直径は、
a) 押圧ロール(11)の薄膜押圧領域(11c)の直径に一致し又は5%未満だけ、挟持ロールの薄膜押圧領域(11c)の直径より大きく又は、
b) 押圧ロール(11)の薄膜押圧領域(11c)に沿って案内される樹脂薄膜(F)の厚さ分だけ、押圧ロール(11)の薄膜押圧領域(11c)の直径よりも大きい請求項10に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項12】
少なくとも1つ又は2つの接触駆動片(27)は、加圧下で圧縮される材料として、ゴム、ゴム様材料及び/又はシリコンを有し又は含む請求項10又は11に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項13】
押圧ロール装置は、押圧ロール(11)及び少なくとも1つ又は2つの接触駆動片(27)以外に、ロール対を形成する偏向ロール又は成型ロール(5)を備え、
偏向ロール又は成型ロール(5)と協働する押圧ロール(11)は、少なくとも1つ又は2つの接触駆動片(27)を介して、偏向ロール又は成型ロール(5)の転動表面(7)及び/又はロール外被(8)に回転接触し又は回転接触でき、しかも、挟持ロールの薄膜押圧領域(11c)でかつ/又は接触駆動片(27)間に設けられる軸方向領域内で径差(33)を形成しつつ回転接触し又は回転接触する請求項10~12の何れか1項に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項14】
押圧ロール(11)は、接触駆動片(27)領域の加圧下で圧縮される材料を圧縮しつつ、偏向ロール又は成型ロール(5)の径方向位置を調節し、押圧ロール(11)の薄膜押圧領域(11c)と偏向ロール又は成型ロール(5)の転動表面(7)との間を通り案内される薄膜(F)を、予め選択可能な接触圧で偏向ロール又は成型ロール(5)の転動表面(7)に当接させる請求項13に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項15】
少なくとも1つの接触駆動片(27)は、環片(35)に設けられかつ/又は形成され、
環片(35)は、押圧ロール(11)及び/又は押圧ロール(11)の軸尻(17)に回転可能に固定されて、押圧ロール(11)の端面(15)に取付けられる請求項10~14の何れか1項に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項16】
少なくとも1つの環片(35)は、環片(35)の外被(35a)と、径方向内側に突出するフランジ又は端面舌片(35d)とを備え、
環片(35)は、押圧ロール又は挟持ロール(11)の端面(15)で、回転可能に押圧ロール又は挟持ロール(11)に取付けられ又は取付け可能である請求項15に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項17】
中空円筒状又は深鍋状の環片(35)は、押圧ロール又は挟持ロール(11)に取付けられ、環片(35)の外被(35a)は、少なくとも長さの一部分で少なくとも90%まで環片(35)を覆う請求項15又は16に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項18】
環片(35)は、固定リング(36)により押圧ロール又は挟持ロール(11)の端面(15)にねじで螺着され、
フランジ(35d)は、押圧ロール又は挟持ロール(11)の端面(15)と固定リング(36)との間に挟持され、
ねじは、環片(35)のフランジ(35d)の孔(35e)に整列する固定リング(36)の孔を貫通する請求項15~17の何れか1項に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置。
【請求項19】
請求項1~18の少なくとも何れか1項に記載の縦延伸装置用押圧ロール装置を備える延伸装置。
【請求項20】
請求項10~19の少なくとも何れか1項に記載する縦延伸装置用押圧ロール装置の押圧ロール(11)と成型ロール(5)との間のロール間隙(34)を変更する方法において、
a) 偏向ロール又は成型ロール(5)に対し押圧ロール(11)を平行に配置して、偏向ロール又は成型ロール(5)の回転軸に対して横断方向、特に直角方向に押圧ロール(11)の位置を調節して、偏向ロール又は成型ロール(5)の転動表面(7)及び/又はロール外被(8)に2つの接触駆動片(27)の表面を接触させる過程と、
b) 少なくとも1つ又は2つの接触駆動片(27)で可圧縮性材料の圧縮力を増加しつつ、偏向ロール又は成型ロール(5)に対する押圧ロール(11)の位置を調節して、偏向ロール又は成型ロール(5)の表面(7)及び/又はロール外被(8)との摩擦接触により回転速度を増加する過程と、
c) 押圧ロール(11)の表面回転速度が、偏向ロール又は成型ロール(5)の表面回転速度に一致する速度の少なくとも50%に達するときに初めて、薄膜(F)上への押圧転動表面(11b)の接触力を生成して、ロール間隙(34)を通り案内される薄膜(F)の厚さにロール間隙(34)を減少することを特徴とする押圧ロール間隙変更法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に縦延伸装置用押圧ロール装置、関連する延伸装置及びこの種の押圧ロール装置作動法に関連する。
【背景技術】
【0002】
押圧ロール又は挟持ロールは、種々の技術分野で採用されている。これらのロールは、薄膜(フィルムシート)の製造分野、薄膜を縦延伸する分野では特に重要である。薄膜状長尺材料をロールで搬送しかつ押圧ロール又は挟持ロールを使用して協働するロール(偏向ロール又は成形ロールともいう)の外被面に搬送する長尺材料を押付けるときに、通常押圧ロールが採用される。
【0003】
樹脂(プラスチック)薄膜の縦延伸装置では、連続する複数のロール間で薄膜の縦延伸が行われ、後続の各ロールのロール外被は、先行するロールより高速で回転し又は外周転する。これにより、連続するロール間の間隙で薄膜の縦延伸が生じる。
【0004】
移動する長尺材料、特に延伸すべき樹脂薄膜の全面を、押圧ロール又は挟持ロールを用いて成形ロールの外被に当接させて、各成形ロール又は偏向ロール上に確実に正しく薄膜を接触させることができる。
【0005】
湿式工程を採用してバッテリセパレータ薄膜(BSF)を製造するとき、樹脂薄膜材料(多くはポリエチレン)に油を混合し、その後、押出して薄膜に成形される。
【0006】
その後、次の複数の作業工程で、薄膜は、同時延伸装置又は逐次伸張装置を通り、長手方向にかつ別の段階で幅方向に延伸される。
【0007】
長手方向に延伸するとき、加熱された複数のロールを介して延伸すべき薄膜を案内して、相応の延伸温度に薄膜を加熱する。後続の各ロールが、より高速に回転して、縦延伸を行い、縦(MD)方向延伸が行われる。
【0008】
薄膜への空気の混入を回避しつつ、成形ロールのロール又はロール外被上に薄膜を均一に接触させて、薄膜の均一加熱又は均一延伸を達成しなければならない。その目的で、挟持ロール又はニップロールとも言われる複数の押圧ロールが用いられる。
【0009】
押圧ロール又は挟持ロールは、偏向ロール又は成形ロールに対し薄膜を軽く押す。
【0010】
薄膜の押圧過程では、押圧ロール又は挟持ロールにより、薄膜(押圧ロール又は挟持ロールと、成形ロールのロール外被との間のロール間隙を通り案内される)を強く押圧できない問題がある。縦延伸装置(MDO)によりバッテリセパレータ薄膜を製造する時、縦延伸装置より上流の製造工程で、薄膜は、油膜で包囲されるため、薄膜(成形ロールと共に回転せず、静止する押圧ロール又は挟持ロールとの間を通り移動する)が、押圧ロール又は挟持ロールで摩耗して、有害な複数の傷又は複数の欠陥が薄膜表面に形成される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、押圧ロール又は挟持ロールを改良する解決手段を提供することにあり、特に縦延伸装置(MDO=Machine Direction Orienter)用の押圧ロール又は挟持ロールと追加ロールとを含むロール対を備える押圧ロール装置を提供しかつ対応する押圧ロール装置の作動法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、請求項1又は11に記載する特徴により押圧ロール装置の課題を解決し、請求項19に記載する特徴により伸張装置の課題を解決し、請求項21に記載する特徴により押圧ロール装置の作動法の課題を解決する。本発明の有利な構成を従属請求項に記載する。
【0013】
本発明は、移動する長尺材料、特に薄膜又は樹脂薄膜の製造法及び/又は成形法、特に油を含有する薄膜からのバッテリセパレータ薄膜の製造法において、成形ロールの転動表面に薄膜が接触するとき、薄膜の有害な欠陥の原因となる押圧ロール又は挟持ロールと薄膜との非追従回転を防止し又はロール間隙での薄膜の非回転滑動を防止する新たな知見に基づく。
【0014】
押圧ロール又は挟持ロールと協働する成形ロールに対し、より高い接触圧力で押圧ロールを押付けることがある。これにより、押圧ロールと成形ロールとを通り案内される薄膜により高い圧力が加えられる。この結果、明らかに薄膜特性に悪影響が生ずる結果が生ずる。
【0015】
このため、押圧ロール又は挟持ロールの表面に特定の複数の模様を形成して、油を含有する薄膜に対する転動表面の滑動(ハイドロプレーニング現象に類似)を阻止することも、既に考えられる。尤も、押圧ロール又は挟持ロールの表面上に形成される複数の模様が、実際に薄膜表面上に転写され、複数の模様も、薄膜特性に対し悪影響を及ぼすので、これも同様に回避すべきである。
【0016】
本発明は、駆動部となる押圧ロールを用いる解決法を提案する。押圧ロール(駆動ロール)の駆動を実現して、最終的に、成形ロールの外被外周速度に、押圧ロール又は挟持ロールの外被外周速度をほぼ等速にできる。換言すると、駆動型押圧ロールを使用して、協働する駆動型押圧ロールと成形ロールの外被外周速度を、少なくともほぼ同期させて、従来生じた欠陥を回避できる。
【0017】
本発明では、押圧ロール又は挟持ロールは、直接又は間接的に駆動される。
【0018】
押圧ロール及び挟持ロールの直接駆動部を実現するとき、実際の押圧ロールと挟持ロールの端面領域から駆動部を直接挿入して組込むことが好適である。押圧ロール又は挟持ロールの実際の回転体を超えて端面で50%又は40%より明らかに小さい長さでのみ突出させて装着型駆動装置全体を形成することができる。突出領域の長さの一部に駆動モータを収容する構造が好適である。例えば、選択的に設けられる後続の連結装置は、径方向駆動部と、軸方向でロール端面に取り付けられる結合装置と、続く端面リングとを備え、駆動モータの出力軸と、出力軸に続く好適な遊星歯車形態の歯車装置は、連結装置を介して固定され、押圧ロール又は挟持ロールの回転体に回転接続される。押圧ロール装置全体は、端面で外側に突出しかつ静止部を介して保持される。
【0019】
駆動モータを備える好適な装着型駆動装置は、固定軸受を形成する。装着型駆動装置と同様の寸法と大きさに形成される模造品を、押圧ロール又は挟持ロールの対向端面に装着することが好適である。押圧回転体を支持する機能の模造品は、浮動軸受を形成することが好適である。
【0020】
これにより、押圧ロール及び挟持ロールは、押圧ロール及び挟持ロールを連続して貫通する支持体ではなく、押圧ロール及び挟持ロールと、中空中心軸全体長さの一部でのみ係合する固定軸受と浮動軸受形態との間の中央部により支持される。
【0021】
着脱型駆動装置は、問題なく着脱できる。
【0022】
間接的駆動形態としても、押圧ロール及び挟持ロールの駆動装置を実現できる。
【0023】
間接的駆動部として、本発明は、少なくとも接触駆動部を備える押圧ロール又は挟持ロールを提案する。押圧ロールの互いに軸方向に離間する2つの接触駆動部を押圧ロールに設け、2つの接触駆動部間に実際の薄膜押圧領域を形成し、薄膜押圧領域に隣接して平行に配置される成形ロールに対し、薄膜押圧領域により、成形すべき薄膜を押付けて、成形ロールに確実に最適に薄膜を接触することが好ましい。少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ接触駆動部の直径は、少なくとも無負荷状態では、実際の押圧ロールの薄膜押圧領域よりも直径が大きく、2つ接触駆動部により薄膜は、成形ロールに接触し又は接触可能である。
【0024】
少なくとも1つ又は好適には2つの接触駆動部は、加圧により圧縮される材料を備え又は可圧縮性材料で構成される。
【0025】
加圧により圧縮される材料の厚さの選択及び/又は相応の材料の選択自体は、対応する押圧ロール又は挟持ロールの挿入時に、平行に配置される成形ロールの転動表面に接近する際に、押圧ロール又は挟持ロールの接触片及び/又は駆動片の外周表面が、まず、成形ロールの転動表面に接触するように選択される。
【0026】
押圧ロール又は挟持ロールが接近するにつれて、少なくとも1つの接触片及び/又は駆動片に設けられる接触材料は、ロール径を減少させつつ圧縮され、この時、成形ロールのロール外被との摩擦接続により、押圧ロール又は挟持ロールはより迅速に回転し、最終的に押圧ロール又は挟持ロールの外被外周速度は、成形ロールの外被外周速度に同期化し、押圧ロール又は挟持ロールは、同一速度に達するまで回転される。
【0027】
例えば、押圧ロール又は挟持ロールの外被外周速度が、最終的に成形ロールの外被外周速度と同期化して初めて、押圧ロール又は挟持ロールを通り成形ロール方向に薄膜又は長尺材料を加圧して、押圧ロールと成形ロールとの間のロール間隙に挟持して案内することが好適である。押圧ロールの外周速度が成形ロールの外周速度と異なると、ロール間隙を通り案内される薄膜の表面に損傷が形成される危険があるが、押圧ロールの外被外周速度が、成形ロールの外被外周速度と同期化されて、成形ロールに対して薄膜を加圧すると、薄膜の表面に損傷が発生する危険性が最低限抑制される。
【0028】
成形すべき長尺材料、特に薄膜は、押圧ロールに設けられる2つの接触片及び/又は駆動片間の軸方向距離より狭い幅を有し、薄膜は、2つの接触片及び/又は駆動片間で成形ロールに接触して、押圧ロール又は挟持ロールが接触片及び/又は駆動片を介して、協働する成形ロールの表面と常に接触し又は接触可能性を確保し、常に適切な回転速度での押圧ロールの回転を確保することが好適である。このように、外被外周速度が長尺材料又は薄膜の通過速度に一致するので、樹脂薄膜への損傷発生が回避される。
【0029】
所望の特性を有する全ての材料を駆動部領域の可圧縮性材料として考慮できる。例えば、ゴム又はシリコン等のゴム状材料、弾性可圧縮材料が好適である。
【0030】
特に、好適な本発明の変形実施の形態では、実際の押圧ロール又は挟持ロール自体には適切な接触片及び/又は駆動片を形成せず、適切な可圧縮性の外被材料を環片上に設け、実際の押圧ロール又は挟持ロールの対向端面に直接又は間接的に環片を回転可能に固定して、押圧ロール又は挟持ロールに環片が連結される。押圧ロール又は挟持ロールと成形ロールとの間を通り案内される長尺材料又は薄膜を介して、対応する押圧ロール又は挟持ロールが駆動せずかつ回転しないとき、本発明の解決手段を採用できる。特に、油を含有する薄膜と押圧ロール又は挟持ロールとの間の摩擦力が小さく又は薄膜と押圧ロールとの間に「ハイドロプレーニング現象」が生ずる可能性があっても、最終的に押圧ロール又は挟持ロールの間接的駆動部を実現でき、しかも、油含有薄膜領域の外側(薄膜の作業幅の外側及び油含有薄膜の側方)でも実現できる点で特に有利であることが判明した。また、本発明は、回転する成形ロールを介して押圧ロール又は挟持ロールを共に回転する解決手段を提供するので、押圧ロール又は挟持ロールを駆動する機械部品及び/又は電気部品が必要な高価な駆動取付具を用いない有利な点が判明した。
【0031】
本発明の解決手段では、接触片及び/又は駆動片(無負荷状態では、2つの接触片及び/又は駆動片間に設けられる薄膜押圧部分より大きい外径となる)を備える押圧ロール又は挟持ロールのみを押圧ロール又は挟持ロールの回転に必要となるため、本発明の解決手段には追加空間のない別の利点が生じる。特に延伸装置分野では、通常追加の駆動取付具を配置する空間を必要としないことは大きな利点である。
【0032】
本発明の変形実施の形態での押圧ロール又は挟持ロールには、駆動部が設けられず、押圧ロールは、最終的に接触片及び/又は駆動片と成形ロールとの間の表面接触で間接的に駆動されるので、接触片及び/又は駆動片の間を通り搬送される長尺材料又は薄膜は、より良好に成形ロール上に「保持され」かつ滑動離脱を阻止する更なる利点もある。成形ロールからの薄膜脱落は、多量の油含有薄膜では特に発生し得る。
【0033】
円滑に研磨した押圧ロール及び挟持ロールには、基本的に従来の難点があり、円滑に研磨される押圧ロールの表面に沿って成形すべき薄膜が、移動して、押圧ロール又は挟持ロール自体が一体回転しないため、前記欠陥が生じ得るにも関わらず、本発明は、特に円滑に研磨した押圧ロールにも最適に実現できる。
【0034】
本発明では、押圧ロールは、押圧ロールの軸方向に互いに離間して設けられる好適な2つの接触片及び/又は駆動片を介して成形ロールに接触して、回転可能に実現される。押圧ロールと成形ロールとの間で、樹脂薄膜形態の長尺材料が通過して案内される。押圧ロールを通過して案内される薄膜に対して設けられる軸方向に単一の接触駆動部は、隣接する成形ロールに接触して、押圧ロール又は挟持ロールを回転する非対称の解決手段を実現することも基本的に可能である。尤も、2つの接触片及び/又は駆動片を備える対称的解決手段の方がより好適である。
【0035】
接触片及び/又は駆動片自体を複数個に分割してもよく、任意数の副部品で構成できる。この場合でも、全体として副部品を接触駆動部と称する。
【0036】
本発明の実施の形態を図面について以下詳細に説明する。各図面は、下記を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】本発明による押圧ロール又は挟持ロール装置の略示正面図
【
図4】
図2の押圧ロール装置と対応する成形ロールの略示側面図
【
図5a】環片を装着した本発明の押圧ロール装置の部分断面図
【
図5b】
図5aとは異なる本発明の変形実施の形態を示す部分断面図
【
図7】直接駆動部又は模造品を装着しない押圧ロールから突出する環片の斜視図
【
図9】本発明の実施に使用する回転体の端部に直接駆動部を装着した斜視図
【
図10】大きいロール径に適する回転体に装着した直接駆動部を示す断面図
【
図11】回転体の一方の端部に直接駆動部を装着し、他方の端部に模造品を装着して、回転体の中央部の図示を省略した
図10の変形実施の形態を示す断面図
【
図12】小ロール径の回転体の一方の端部に直接駆動部を装着した断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、多数の成形ロール5(偏向ロールともいう)を備える縦延伸装置3の略示側面図である。縦延伸装置3を縦延伸装置3又は縦延伸機3ともいう。
【0039】
図1に示す縦延伸装置3の左側に配置すべき押出機は、通常水浴中で回転する冷却ロール上にスリット金型から溶融物を排出して、樹脂薄膜の薄膜材料を作成する。水浴を設けない押出機も使用することができる。また、任意の冷却液(例えば、溶媒又は任意の混合物)を用いる浴も使用できる。その意味では、実施の形態は、特定の冷却法に限定されない。
【0040】
硬化かつ/又は結晶化した薄膜は、通常
図1の左側から縦延伸装置3に供給され、その後蛇行しながら多数のロール5を通過して、
図1の右側の縦延伸装置から排出される。ロール5で処理される薄膜を更に横断方向に補足延伸するとき、薄膜は、横延伸装置(TDO)に供給される。この点の更なる情報については、溶融薄膜を製造する公知の装置と延伸法を参照されたい。
【0041】
縦延伸装置では、薄膜Fが、複数のロール5の各部分巻掛け角周りを走行し、対応する外被外周速度で搬送される薄膜は、部分巻掛け角で対応する転動表面7又はロール外被8上に載置される。
【0042】
2つの連続するロール間では、引出方向9の先行ロール5より速い外被外周速度で後続ロール5が駆動されて、ロール5間で薄膜を縦方向に延伸するため、連続する2ロール間にある自由部分で、縦延伸装置を通り移動する薄膜材料の縦延伸が行われるが、この点は、樹脂薄膜(薄膜Fという)について前記例示の通りである。
【0043】
最適な延伸温度に薄膜を保持しかつ維持するため、複数のロール5の各々は、最適な温度に加熱される。
【0044】
ロール5の加熱時には、均一にかつ空気の封入を阻止して、複数のロール5の転動表面7又はロール外被8上に薄膜を確実に供給し又は接触させねばならない。
【0045】
そこで、挟持ロール又はニップロールとも称する多数の押圧ロール11が縦延伸装置3に設けられる。
図1は、複数の押圧ロール11(完全に黒丸で示す)より大きい寸法の複数のロール又は延伸ロール5を白丸で示す。
【0046】
ロール径の小さい白丸の複数のロール又は延伸ロール5'が縦延伸装置3の中間領域に設けられる。一方の押圧ロール11によりロール5'の転動表面上に薄膜を押圧すると共に、他方の押圧ロール11によりロール5'の転動表面から薄膜を除去する2つの押圧ロール11がロール又は延伸ロール5'毎に設けられる。
【0047】
図2は、押圧ロール又は挟持ロール11を備える本発明の押圧ロール装置の第1の実施の形態を示す正面図(縦伸長方向に直角な軸方向断面図)である。
図3は、
図2の矢印13方向から見た側面図である。押圧ロール11は、端面領域15間の軸長Lを有する。
【0048】
図示の実施の形態では、例えば、2つの軸尻片17aと17bを有する段付き軸尻17が、実際の押圧ロール11の軸長Lを超えて対向する端面領域15に形成され又は形成でき、軸尻片17aと17bの直径は、実際の押圧ロール11の直径21より小さい。
【0049】
図2の実施の形態では、押圧ロール装置は、通常軸尻17(軸尻17の段数は、単一又は複数に限定されない)を有する押圧ロール11を備え、押圧ロール11は、転動表面11bが形成される回転体11a又は回転胴11aを有する。図示の実施の形態では、薄膜押圧領域11cと、軸方向に離間しかつ対向して薄膜を押圧する薄膜押圧領域11cに固定される接触片及び/又は駆動片(接触駆動片)27とが押圧ロール11に設けられる。薄膜押圧領域11cに続く接触片及び/又は駆動片27は、押圧ロール11の全長Lより短い軸方向長さL
Xを有する。本実施の形態では、押圧ロール11の薄膜押圧領域11cは、少なくとも長さL
WKAを有する。
【0050】
無負荷状態の各接触片及び/又は駆動片27の直径29は、両接触片及び/又は駆動片27間の押圧ロール11の薄膜押圧領域11cの直径21より大きい。
【0051】
図3に示す押圧ロール11の回転軸又は中心軸31に同軸の接触片及び/又は駆動片27後方のロール外被8、即ち転動表面7を点線で示す。
【0052】
換言すると、薄膜押圧領域11c(接触片及び/又は駆動片27間領域)の半径R
FABと、接触片及び/又は駆動片27領域の半径R
KAとの間に、径差33(
図2)がある。
【0053】
接触片及び/又は駆動片27は、可圧縮性スリーブ32で形成され、外周領域の外被層又は外被積層32aは、例えば、シリコン等のゴム又はゴム様材料、弾性圧縮可能な好適な材料の少なくとも適切な厚さの可圧縮性材料を含む。可圧縮性スリーブ32の意義は後述する。
【0054】
本発明の実施の際に、押圧ロール又は挟持ロール11の位置は、適切な角度設定装置により調節されかつ/又は適切な設定装置により、協働する偏向ロール又は成形ロール5, 5'の表面に接近し、しかも、ロール5, 5'の転動表面7と、押圧ロール又は挟持ロール11の転動表面11bとの間のロール間隙34を形成する(
図4)。
【0055】
押圧ロール11の接触片及び/又は駆動片27領域の直径は、薄膜押圧領域11cの直径21より大きいので、押圧ロール11と偏向ロール又は成形ロール5又は5'との側方距離を短縮して接近させると、両接触片及び/又は駆動片27の外周又は表面27aは、押圧ロール11に平行に配置される偏向又は成形ロール5又は5'の転動表面7又はロール外被8にまず接触する(ロール5又は5'に対し、押圧ロール又は挟持ロール11が、平行に配置される)。接触片及び/又は駆動片27の外周27aと、薄膜押圧領域11cの転動表面11bとのこの時点での径差33は、ロール間隙34内を通過して案内される長尺材料又は薄膜Fの厚さよりも大きいため、押圧ロール11は、薄膜押圧領域11c内で長尺材料又は薄膜Fに圧力を加えない。
【0056】
ロール5, 5'に対する接触片及び/又は駆動片27による接触圧力を増加すると、各接触片及び/又は駆動片27の好適な弾性高分子(エラストマー)製の可圧縮性材料は、より強く押圧されるので、押圧ロール11と偏向又は成形ロール5, 5'との間のロール間隙34が減少し、押圧ロール11の押圧力により、接触片及び/又は駆動片27間の押圧ロール11の転動表面11bは、ロール間隙を通過して案内される薄膜と薄膜押圧領域11cで接触し、薄膜が、ロール間隙の通過を完了すると、押圧ロール11の転動表面11bは、所望の接触力でロール5又は5'の表面を押圧する。
【0057】
このように、押圧ロール又は挟持ロール11の接触片及び/又は駆動片27は、回転する偏向ロール又は成型ロール5にまず接触して、ロール5, 5'の転動表面7と接触片及び/又は駆動片27との間に発生する摩擦により、押圧ロール及び挟持ロール11は、静止(非回転)出発位置から回転数が増加し、両ロールが同期して回転して、最終的には協働して同一の外被外周速度に達する。同期する外周速度が同一速度に達して初めて、接触片及び/又は駆動片27の弾性材料は、強く圧縮されて、
図4に示すように、接触片及び/又は駆動片27の圧縮により、薄膜押圧領域11c(両接触片及び/又は駆動片27間)の領域中の半径R
FABと、薄膜幅(厚さ)FD、即ちロール間隙34との和(合計)に等しい最小寸法に接触片及び/又は駆動片27の実際の半径R
KAを圧縮することが好適である。
【0058】
これにより、独自の直接駆動部を使用せずに、押圧ロール11と協働するロール5の回転を介する間接的駆動を行う押圧ロール11の間接的駆動部が実現される。回転体11aの転動表面11b及び/又は薄膜押圧領域11cを完全に円滑に研磨するときも、間接的駆動部は、有効に実現される。
【0059】
図4に示すように、薄膜幅FBは、両接触片及び/又は駆動片27の対向面27b間の間隙間隔より、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%若しくは少なくとも7.5%又は少なくとも10%だけより狭い。長尺材料又は薄膜Fは、究極的には対向面27b間の間隙間隔内でほぼ案内されるため、含油性の長尺材料又は薄膜Fは、ロール5の表面上で軸方向に滑動し又は可滑性でも、ロール5の表面から逸脱しない。
【0060】
少なくとも1つの接触片及び/又は駆動片27の可圧縮性スリーブ32を加圧下で圧縮できる下記範囲に留意すべきである:
a) 少なくとも1つの接触片及び/又は駆動片27の直径が、押圧ロール11の薄膜押圧領域11cの直径と同一か又はその直径より5%未満、4%、3%、2%、1%若しくは0.5%未満だけ大きい範囲又は、
b) 少なくとも1つの接触片及び/又は駆動片27の直径が、薄膜押圧領域11cに沿って案内される樹脂薄膜Fの厚さだけ、薄膜押圧領域11cの押圧ロール11の直径より大きい範囲。
【0061】
本発明の前記実施の形態を部分的に変更した2例の実施の形態を
図5a~
図6bについて以下説明する。
【0062】
図5a~
図6bに示す実施の形態は、環片35を装着した接触片及び/又は駆動片27を示し、
図6aは、環片35の正面側斜視図を示し、
図6bは、環片35の背面側斜視図を示す。
【0063】
環片35は、押圧ロール又は挟持ロール11の回転体11aに一体回転可能に固定される(
図5a、
図5b)。
図5aと
図5bは、回転体11aに固定した環片35の断面のみを示す。
【0064】
図6aと
図6bは、ロール外被8の外径に等しく又はその外径より少なくとも僅かに大きい環片内径35bと、円筒形の環片外被35aとを備える環片35を示す。
図6aと
図6bに示す環片35の一方の端面35cには、径方向内側に突出するフランジ35d(端面舌片35dともいう)と、フランジ35dに形成される複数のねじ孔35eとが形成され、押圧ロール11の端面15に環片35を固定するねじがねじ孔35eに結合されて、押圧ロール又は挟持ロール11に対し、環片35は、一体回転可能に固定される。
【0065】
図5aと
図5bに示す実施の形態では、複数のねじで各環片35を押圧ロール又は挟持ロール11の端面に直接固定せずに(可能であるが)、固定リング36(環片35のフランジ35dの複数の孔35eと同軸の複数の孔が同様に設けられる)により固定することもできる。押圧ロール又は挟持ロール11の端面15と固定リング36との間に、フランジ35dは、挟持される。
【0066】
図6aと
図6bから理解されるように、内側開口35fを形成するリング状フランジとして端面舌片35dを形成し、軸尻17が貫通する内側開口35fは、軸尻17の直径よりも大きい直径を有することが好適である。
【0067】
図示の実施の形態とは異なり、代替的又は補足的に、押圧ロール又は挟持ロール11の軸尻17に環片35を取り付けるように調整することもできる。
【0068】
図示の実施の形態では、例えば、十分な厚さのスリーブ32を環片外被35aの外周面に圧入嵌合して、環片35に外周層又は外被層32aを形成でき、これにより、適切な接触片及び駆動片27を環片35に好適に後付けできる。
図6aと
図6bでは、弾性圧縮可能な外被層32aにより環片外被35aの外周面を被覆することが好ましい。
【0069】
図6aと
図6bは、押圧ロール又は挟持ロール11に取り付けられる逆方向から見た好適な環片の斜視図を示す。
【0070】
図5aに示す変形例では、深鍋状の環片35は、リング状フランジ35d(通常、端面舌片35d)により押圧ロール又は挟持ロール11に取り付けられ、接触片及び/又は押圧片27を形成する環片外被35aは、押圧ロール及び挟持ロール11の端面から内側の押圧ロール11の外周領域を覆い、対応する押圧ロール又は挟持ロール11の端部は、環片35の環片状又は深鍋状の収容空間内に嵌合される。
【0071】
環片35の外被層又は外被積層32aの外周面27aは、転動表面11bから突出するが、転動表面11bに対する外周面27aの突出量は、極めて小さいため、環片35の外周面27aから径方向内側に凹む押圧ロール又は挟持ロール11の外径領域は、小さい。押圧ロール又は挟持ロール11の外径は、環片35の未拘束状態の自由内径に一致し又は好適には少なくとも僅かに環片35より小さいため、取付け時に問題なく回転体に環片35を押込みかつ固定することができる。押圧ロール又は挟持ロール11の端面に設けられる縮径軸方向突起17cは、環片35のフランジ35dに形成される開口35fに嵌合され、軸方向突起17cの外径は、開口35fの内径よりも少なくとも僅かにより小さい。円板状の軸方向突起17cは、開口35f内に係合され又は開口35fを通り突出する。
【0072】
環片35の外側面の寸法及び/又は環片35上に形成される可圧縮性スリーブ32の厚さ寸法は、前記実施の形態で説明した通りであり、押圧ロール又は挟持ロール11と一体に接触片及び/又は押圧片27を構成することが好ましい。
【0073】
換言すると、押圧ロール又は挟持ロール11(
図2と
図3)は、薄膜押圧領域11cを構成する回転体11aと、2つの押圧片27とを含む3部品構成であるが、
図6aの実施の形態の押圧ロール11では、別個の部品として形成される環片35は、押圧ロール又は挟持ロール11の回転体11aの端面を構成する各押圧片27に軸方向に位置を調節して(着脱自在に)取り付けられる。
【0074】
図5bの変形実施の形態は、基本的には類似の押圧ロール又は挟持ロール11の端部又は端面領域に回転不能に取付けられる環片35の軸方向断面図を示す。
図5aの実施の形態に示す変形例とは180°回転(反転)した状態を示す
図5bは、部分的に環状の又はループ式リング状のフランジ35cにより深鍋状に構成されて、押圧ロール又は挟持ロール11に取り付けられる中空円筒状の環片35を示す。中空円筒状の環片35及び環片35の開口35fは、直径21を有する薄膜押圧領域11cには嵌合されないが、環片35の開口35fは、軸尻17の軸方向突起17cに嵌合されるので、押圧ロール又は挟持ロール11の端面から突出する軸尻17は、環片35から突出する。
【0075】
これにより、回転体11aのロール外被又は転動表面11bの全軸長Lに沿って同一の直径を有する回転体11aを押圧ロール又は挟持ロール11に設けることができる。
【0076】
動作幅又は成形すべき薄膜幅よりも少なくとも僅かに大きい軸長で回転体11aを構成すればよいから、押圧ロール又は挟持ロール11の実際の回転体11aの軸方向長さを、形成時に短縮することができる。対応する回転体11aに実際の接触片及び駆動片27を取付けて、接触片及び駆動片27の外被面は、被覆されない。
【0077】
前記実施の形態では、押圧ロール11又は回転体11aの端面に環片35を固定し、加圧下で圧縮可能な適切な押圧材料及び/又は接触材料を中空円筒状で相応の外被厚さに形成して環片35上に設け、ロール5, 5'の転動表面7との接触開始後、ロール5, 5'と環片35との摩擦接触により、実際の押圧ロール11を回転することができる。
【0078】
例えば、通常の動作時に、押圧ロール11が一定の外被外周速度(回転するロール5の外被外周速度の50%以上に相当する)に達して初めて、押圧ロール11は、薄膜に圧力を加えることができる。押圧ロール又は挟持ロール11の薄膜押圧領域11cが長尺材料又は薄膜Fに接触して、ロール5, 5'に対して所定の限界値を超えない最適な所望の押圧力で薄膜Fを押圧するとき、押圧ロール11の外被外周速度は、ロール5又は5'の外被外周速度の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、80%、少なくとも90%又は95%及び好適には100%が好ましい。
【0079】
押圧ロール又は挟持ロール11の薄膜押圧領域11cが長尺材料又は薄膜Fに接触して、ロール5, 5'に対して所定の限界値を超えない最適な所望の押圧力で薄膜Fを押圧するとき、接触片及び/又は駆動片27は、必ずしも環片35を必要としない点に留意すべきである。押圧ロール11の固定部を構成するロール状、円筒(円柱)状、例えば、車輪状、タイヤ状又は類似状の接触片及び/又は駆動片27を使用すれば十分であるが、これらに限定すべき必然性はなく、個別の部品でもよい。環片形態で設けられる個別の前記付加部品は、接触片及び/又は駆動片27を形成しつつ押圧ロール又は挟持ロール11に後付けできることが好ましい。
【0080】
このように、押圧ロール又は挟持ロール11の固定部又は一体構成部で良い接触片及び/又は駆動片27は、後付け可能な部品として押圧ロール又は挟持ロール11に装着することもできる。本発明には、特に環片35が適する。例えば、単一のみの環片を単一のみの接触片及び/又は駆動片27と共用すればよいから、前記と同様に、単一の接触片及び/又は駆動片27のみの使用も十分であり得る。
【0081】
前記実施の形態に示す間接的駆動装置ではなく、本発明の直接駆動部39に使用する押圧ロール又は挟持ロール11を
図7~
図12について説明する。
【0082】
例えば、
図7は、押圧ロール又は挟持ロール11の薄膜押圧領域11cと、薄膜押圧領域11cの端部から突出する押圧ロール11の端部(環片)35とを示す斜視図である。
図7は、環片35と押圧ロール又は挟持ロール11とを貫通して形成される空洞37を示し、空洞37には直接駆動部39(
図8)が装着される。
【0083】
押圧ロール11の端面15に、直接駆動部39ともいう駆動部39を軸方向に直接挿入して装着できる。
【0084】
【0085】
直接駆動部39の別の構造を
図9について以下説明する。
【0086】
押圧ロール及び挟持ロール11の空洞37に
図8の直接駆動部39を装入し、直接駆動部39を端面36に固定した状態を
図9に示す。
【0087】
図8と
図9は、組立状態で回転体11aから突出する取付部41を備える直接駆動部39の斜視図を示す。取付部41には、種々の接続部が設けられる。本実施の形態では、接続部は、洗浄空気接続部91である。洗浄空気接続部91の角度180°の反対側に、例えば、第2の洗浄空気接続部を設けることができる。
【0088】
接続部41に設けられる電気接続部101は、特に電動モータ64に電気エネルギを供給する電気プラグ又はプラグ接続部として機能する。電気プラグ又はプラグ接続部は、静止動筐体51の内部に導入される信号通信導線と電力導線に必要である。
【0089】
図10は、端面36側から環片35の空洞37内に装着される直接駆動部39を備える押圧ロール又は挟持ロール11の軸方向断面図を示し、ロール支持又は保持形態の模造品42(
図11)は、押圧ロール11の対向端面36に設けられる。直接駆動部39に相当する形態で模造品42の機能と外側寸法を形成できる。回転可能な押圧ロールと挟持ロール11を直接駆動部39の外側に突出する取付部41に、直接駆動部39の支持装置となる駆動筐体51を取り付ける構造が好適である。直接駆動部39は、固定軸受側の取付部41の内側に配置され、取付部41とは軸方向反対側の取付部45に設けられる模造品42は、押圧ロール及び挟持ロール11の縦方向熱膨張率が異なるとき、熱歪を吸収し又は補償する浮動軸受側となる。
【0090】
押圧ロール又は挟持ロール11に組み込んだ直接駆動部39の第1の実施の形態の構成を
図10について説明する。
【0091】
直接駆動部39は、静止部と回転部とにより構成される。
【0092】
中空円筒状に形成される駆動筐体51は、直接駆動部39の静止部を構成する。
図10に示す駆動筐体51は、例えば、中空円筒形状の筐体環51aと、筐体部環51aに固定して連結される取付部41を形成する筐体端51bとの2部分で形成される。別法として、
図11と
図12に示すように、環片35となる筐体環51aと、取付部41を形成する筐体端51bとを少なくとも実質的に一体の駆動筐体51を形成してもよい。
【0093】
駆動筐体51の外周は、転動軸受55を介して直接駆動部39の外側に配置される回転部を回転可能に支持する。基本的に公知の技術を考慮して、転動軸受55の支持構造を構成できよう。図示のように、軸方向に隣接して配置される2つの転動軸受55は、筐体部51aとトルク伝達装置77との間に軸受として収容される。
【0094】
押圧ロール及び挟持ロール11を軸方向に貫通する回転軸又は中心軸31及び駆動部39全体に対して同心の固定子63は、非回転静止状態で駆動筐体51の内室59内に配置され、究極的に直接又は少なくとも間接的に駆動筐体51の内側に保持され、例えば、図示のように、好適には駆動筐体51の一部として内側環62(筐体環51a)を設けて(
図12の実施の形態)駆動部39が形成される。
【0095】
電動モータ64を構成する回転子65は、固定子63の半径方向内側に配置される。
【0096】
回転軸又は中心軸31を貫通する駆動軸67の周囲に回転子65が配置され、回転子65の電気エネルギにより、駆動軸67は、固定子63に対して回転される。例えば、遊星歯車で構成される歯車69は、対向端面36から軸方向に離間する位置に配置され、駆動筐体51の内側で環片35の空洞37内に配置される。
【0097】
出力軸71は、駆動軸67の軸方向延長部として歯車69から突出するが、本実施の形態では、出力軸71は、図示しない選択的結合部により、深鍋状のトルク伝達装置77の一部を構成する半径方向のトルク伝達片75に連結されて、出力軸71の角度、半径方向及び/又は軸方向の位置が調節され、トルク伝達装置77は、リング状外側段部を介してフランジ又は取付リング83に形成され、トルク伝達装置77内に直接駆動部39を挿入すると、フランジ又は取付リング83は、押圧ロール11の端面36に当接して、端面36を覆う構造が好適である。
【0098】
駆動筐体51内に収容される
図10に示す直接駆動部(駆動装置)39は、回転体11aに連結される複数の回転部品に包囲され、回転部品は、特に深鍋状又は中空円筒状のトルク伝達装置77であり、半径方向のトルク伝達片75の形状である鍋底を介して、トルク伝達装置77は、内側の電動モータ64により駆動される回転部材に連結され、回転子65から駆動軸67、歯車69、出力軸71及び適切な図示しない選択的結合部に連結される。
【0099】
回転体11aから端部で外側に突出する静止駆動筐体51は、歯車69を含む前記駆動系と、駆動系から径方向に離間する深鍋状又は中空円筒状のトルク伝達装置77との間に収容され、静止駆動筐体51は、同様に端部に静止する取付部41を介して支持装置に取付けられ固定される。
【0100】
内側に配置される回転部品(回転子65、駆動軸67、歯車69、駆動軸67及び(設ければ)結合部)は、2つの環片軸受又は転動軸受53と54を介して支持され、駆動部39から軸方向にずれて回転部品を配置することが好ましく、固定子63と回転子65とを備える電動モータ64は、両転動軸受53, 54間に配置される。両転動軸受53と54は、直接駆動部39の静止部品、即ち静止駆動筐体51に対して駆動軸67を直接又は間接的に支持する。図示の実施の形態では、内側に配置される転動軸受53は、段付き環片56を介して静止中空円筒状の駆動筐体51から離間して支持される。
【0101】
駆動筐体51の外側に配置される鍋状又は中空円筒状のトルク伝達装置77(回転部品)は、付属の第1の円筒部77aと、第2の段部77bとを備え、回転体11aの空洞37内側に配置される第2の転動軸受79は、端面36付近に設けられる第1の転動軸受55から軸方向に離間して配置され、駆動筐体51の端部に接近しかつトルク伝達片75に対し半径方向に隣接して配置される第2の転動軸受79を介してトルク伝達装置77支持される。第2の転動軸受79を複列転動軸受としても形成できる。駆動筐体51と第2の転動軸受79との間で支持力を伝達する機能を生ずる中間環片80は、駆動筐体51に固定して連結される。歯車69に対し径方向と軸方向とに間隔を空けて配置される中間環片80は、トルク伝達片75に対しても径方向に間隔を空けて配置されるので、駆動筐体51と、中間環片80と、転動軸受79とを介してのみ深鍋状のトルク伝達装置77に伝達される支持力は、歯車69には作用しない。
【0102】
回転する深鍋状又は中空円筒状のトルク伝達装置77の内側で、径方向に微小な間隔を空けて、複数の静止部品、特に駆動筐体51が配置されて、深鍋状のトルク伝達装置77が形成される。前記の通り、深鍋状のトルク伝達装置77は、例えば、回転する筐体底部75(トルク伝達片75)に続く第1の円筒部77aと、第1の円筒部77aから端面36方向かつ径方向に拡大する段部77bとで構成される。換言すると、深鍋状又は中空円筒状のトルク伝達装置77は、端面36に接近して配置される中空円筒状の拡大段部77bを有し、拡大段部77bの円筒状壁部と静止駆動筐体51との間に転動軸受55を収容する形態で拡大段部77bの寸法が決定される。図示の通り、軸方向に隣接して2つの転動軸受55が拡大段部77bの内側に配置され収容される。
【0103】
次に、押圧ロール11の端面36を形成する取付けリング83がトルク伝達装置77に設けられ、周方向に離間して軸方向の複数の孔85が取付けリング83に形成され、端面36から複数の孔85に複数の固定ねじ87を装着して、押圧ロール又は挟持ロール11の回転体11aの端面に形成される複数の同軸雌ねじ孔11dに螺合することができる。取付けリング83の半径は、突出する環片35の半径に相当し、具体的には同一直径を有することが好ましい。
【0104】
直接駆動部39の複数の静止部品、特に静止駆動筐体51を固定子63に接続して、径方向内側に配置される回転子65を回転でき、回転子65の回転速度は、後続の歯車69の変速比により減速される構造を実現できる。後続の出力軸71、出力軸71より後方の複数のトルク伝達装置75と76、一体回転する取付けリング83及び押圧ロール及び挟持ロール11の回転体11aの端面への転動軸受55を介して、回転体11aは、究極的に回転される。
【0105】
適切な制御装置と静止駆動筐体51を使用して、回転体11aの回転速度を精確に設定、変更及び/又は制御することができる。
【0106】
図10の断面図から理解できるように、静止駆動筐体51と、静止駆動筐体51に取り付けられる取付部41とは、軸方向長さの一部だけ、押圧ロール及び挟持ロール11の端面36から突出する。
【0107】
また、
図10に示すように、静止駆動筐体51は、軸方向に離間して配置される転動軸受55と79により押圧ロール及び挟持ロール及び挟持ロール11の複数の回転部品を軸支しかつ支持し、押圧ロール及び挟持ロール11の回転体11aに対する電動モータ64の傾斜も回避する。
【0108】
図2~
図6bについて説明する間接的駆動部とは異なり、直接的駆動部39を使用するときも、本発明による同一の利点を達成することができる。遥かに穏やかで制御された方法で、回転するロール又は延伸ロール5に対し、成形すべき長尺材料、特に薄膜を押付けて保持することができる。
【0109】
例えば、
図9~
図12に示す洗浄弁91(洗浄又は冷却空気接続部ともいう)を直接駆動部39側に好適に設けて、必要な場合に気体媒体、例えば空気で回転体11aの内部を浄化することができる。
【0110】
洗浄空気接続部91又は洗浄弁接続部91は、回転軸又は中心軸31に対して径方向に設けられる導管を備える。
図10の変形実施の形態では、導管は、駆動筐体51の内室59に接続される。
図11と
図12の変形実施の形態では、導管は、回転軸又は中心軸31から径方向にずれて形成される長孔93に接続され、長孔93は、筐体端51bを貫通し、筐体端51bは、駆動筐体51(回転子65と固定子63を収容する)の内室59に連絡しかつ取付部41を備える。後述の実施の形態では、駆動部側の洗浄空気装置の別の構造と別の作用を説明する。
【0111】
図11の軸方向断面図に示すように、好適には浮動軸受として設けられるロール支持体45(模造品42)内に、回転軸又は中心軸31と同心状に配置される中央通気孔89が設けられ、通気孔89は、取付部45の端部に設けられる出口88に接続される。洗浄空気接続部91から供給されて押圧ロール11全体を貫流する洗浄媒体により、例えば、押圧ロール11の温度を調節し、特に冷却することができる。
【0112】
押圧ロール及び挟持ロール11の回転体11a(
図11の軸方向断面図に示す)の軸部は、荷重を保持し負担すべきでないから、押圧ロール又は挟持ロール11の対向側に設けられる取付部又はロール取付け支持体45は、軸方向長さと直径周りの構造から、荷重支持機能では駆動部51と類似の構造で形成されて、例えば、転動軸受対55に対応する転動軸受又は転動軸受対155と、異なる転動軸受179とを備える2つの転動軸受は、軸方向に離間して配置される。外側に配置される取付部45は、殆ど模造品(ダミー)42として機能し、好適には浮動軸受として形成される。押圧ロール11は、取付部45を介して直接駆動部39の対向側で保持され、軸支されかつ非回転静止模造品42に対して自由に回転できる。
【0113】
図12は、
図11に示す実施の形態に基本的に相当する押圧ロールの駆動部側を若干変更して拡大して示す実施の形態の軸方向断面図である。
図12の実施の形態は、特にロール径の小さい押圧ロール11の利点を有する。
【0114】
図11と
図12に示す直接駆動部39では、内側反作用トルクを支持する内側の転動軸受79を省略する。
図12の変形実施の形態では、安定する歯車出力軸形態で、径方向のトルク伝達片として機能する支持装置75により出力軸71を支持し保持する。例えば、洗浄剤が貫流する結合部として支持装置75を形成し、特定の状況下で妥当なとき、支持装置75の内側に段付き軸受環片を収容し、歯車出力軸又は回転子出力軸を係合する状態で保持し支持することができる。
【0115】
前記構造により、回転子/固定子装置の領域内の内側環62と、
図10~
図12の左側に示す中間リング56と、安定する歯車出力軸71を備える歯車とを介して、複列軸受55からの曲げモーメントを伝達できる。
【0116】
逆側では、外側環片、即ち環片形状のトルク伝達装置77を介して外力を支持して、ロール端部の篏合環片に外力が伝達され、別個の拡大段部77bとして篏合環片を形成でき又は拡大段部77bとしてトルク伝達装置77の一部である。
【0117】
図11と
図12は、洗浄空気接続部91とその導管の連絡部を長孔93として示す。
【0118】
特に、動作温度が高いとき、洗浄空気用の選択設計の第2の接続部が設けられる。別法として、利用可能な設置空間上の理由から推奨されれば、これを設けてもよい。
【0119】
周方向に離間して径方向に配置される第2の洗浄空気接続部(例えば、空間的理由で他方を採用できないとき)を選択設計として設けることができる。構造、配置及び作用方法は、第1の洗浄空気接続部と同様である。
【0120】
図12の実施の形態では、例えば、第1の洗浄空気接続部91から長孔93、伝動モータ64の内室59及び2つの孔51cを介して、空気は、歯車69と外側管77(トルク伝達装置77)との間の中間室に流入し、更に支持装置又は結合部75を通り、押圧ロール11の空洞37内に流入する。図示しないが、空気が排出し又は貫流する間隙と開口が支持装置又は結合部75に設けられる。押圧ロール11の逆端部での空気の流出法は、前記の通りである。
【0121】
電動モータ64に電力を供給し、制御用電子データを伝達する電気接続部101は、筐体端51bの長孔103と駆動筐体51の内室59に連絡する洗浄空気接続部91に類似する。
【0122】
図10に示す実施の形態では、洗浄空気接続部91に供給される空気流は、例えば、通路開口を有する中間リング56を介して、歯車69と中空円筒状の歯車筐体51又は歯車筐体部分51aとの間にある中間室内に流入し、更に図示しない複数の通路又は孔を介して、歯車筐体51の外側と回転伝達装置77との間の中間室内に達する。環片形状のトルク伝達装置77に形成される複数の通路又は孔77cを介して、押圧ロール11の空洞37内に空気が流入する。
【0123】
最外側で回転する環片状の回転伝達装置77の外側面は、中空の回転体11aの内面から径方向に離間して、回転伝達装置77の殆どの長さに沿う間隙97を形成する点に留意すべきである。
【0124】
図10に示す実施の形態では、特に電動モータ64に電力を供給しかつ制御用電子データを伝達する電気接続部101は、直接駆動筐体51の内室59に連絡する洗浄空気接続部に類似する。
【0125】
約言すると、固定軸受を形成することが好ましい回転体11aの片側のみに、駆動装置、即ち直接駆動部39は、設けられる。同期して動作する対応する駆動部を、好適に両端面に設けることも理論的に可能である。
【0126】
直接駆動部(駆動装置)39は、駆動機能のみならず、軸受機能及び旋回腕接続機能、機械台座接続機能も発生する。
【0127】
図示の単一の直接駆動部39に対向して配置される模造品42の浮動軸受の幾何学的な空間造形に関する寸法は、直接駆動部39に匹敵し又は同様に構成される。また、模造品42側にも、洗浄空気出口を設けることができる。
【0128】
最後に、非常に種々の薄膜と薄膜型製品、例えば、バッテリセパレータ薄膜及び他の薄膜型製品の製造に、本発明に使用する押圧ロール駆動部を使用することができる点に留意すべきである。