(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ギアボックスアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16H 61/32 20060101AFI20250212BHJP
F16H 63/38 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
F16H61/32
F16H63/38
(21)【出願番号】P 2020205440
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-12-11
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517348846
【氏名又は名称】フィコ トリアド, ソシエダッド アノニマ
【氏名又は名称原語表記】Fico Triad, S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ・ジメノ・グラネ
(72)【発明者】
【氏名】オスカー・フェラー・リバス
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-270920(JP,A)
【文献】特開2017-198263(JP,A)
【文献】特表2015-535579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0303049(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/32
F16H 63/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(2)と、
ギアボックス軸(X)の周りで回転可能であり、自動車のギアボックスシャフトとの機械的接続に適合されたシャフト部材(3)と、
前記電気モータ(2)に結合され、前記シャフト部材(3)と結合可能である伝達機構(4)であって、前記シャフト部材(3)をギアをシフトするために選択された角度位置にもたらすために、前記電気モータ(2)から前記シャフト部材(3)に回転運動を伝達させる伝達機構(4)と、
を備えるギアボックスアクチュエータ(1)であって、
前記ギアボックスアクチュエータ(1)は、前記シャフト部材(3)をギアボックス位置に向かって回転させるために、前記伝達機構(4)が前記シャフト部材(3)と一回転方向に結合する方向に前記伝達機構(4)が作動できるように、構成され、
前記ギアボックスアクチュエータ(1)は、前記電気モータ(2)を作動させるために、前記電気モータ(2)に電気的に接続された電子コントローラを
さらに備え、
前記電子コントローラは、前記伝達機構(4)が前記シャフト部材(3)から切り離されて前記シャフト部材(3)が自由に回転して安定したギア位置に到達することができるように、適合され、
前記シャフト部材(3)が自由に回転して両方向で前記安定したギア位置に到達することができるように、前記伝達機構(4)の動きを逆転させ、前記シャフト部材(3)から切り離すために、前記電子コントローラは、決定された角度変位に対して前記電気モータ(2)のシャフト(6)の回転方向を逆にするように、適合され、
前記シャフト部材(3)と前記伝達機構(4)との間に分離ギャップを作成するために、前記伝達機構(4)が、移動方向を反転させて、前記シャフト部材(3)から切り離し、これにより、前記シャフト部材(3)が自由に回転して、前記安定したギアボックス位置に到達できるように、前記ギアボックスアクチュエータ(1)は、構成され、
前記電気モータ(2)の前記シャフト(6)の回転が、前記ギアをシフトするために前記シャフト部材(3)に伝達され得るように、前記伝達機構(4)は、前記電気モータ(2)によって回転可能であり、前記シャフト部材(3)と係合可能な駆動ホイール(8)を備える、
ギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項2】
前記シャフト部材(3)は、前記ギアボックス軸(X)から半径方向に延びるアーム(9)を有する、請求項
1に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項3】
前記駆動ホイール(8)は、前記シャフト部材(3)を回転させるために、前記シャフト部材(3)の前記アーム(9)と係合可能な突起を有する、請求項
2に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項4】
前記伝達機構(4)は、前記電気モータ(2)の前記シャフト(6)および前記駆動ホイール(8)と噛み合ったワーム(5)を含み、前記ウォーム(5)は、前記電気モータ(2)の前記シャフト(6)に平行であり、前記伝達機構(4)は、前記ウォーム(5)に軸方向に取り付けられ、前記電気モータ(2)の前記シャフト(6)と噛み合う歯車(10)をさらに備える、請求項
1又は
2に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項5】
前記駆動ホイール(8)にバイアスをかけるように構成されたバイアス手段を
さらに備え、
前記駆動ホイール(8)は、前記バイアス手段の作用に対抗して、前記電気モータ(2)によって両方向に回転可能である、請求項
2又は
3に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項6】
前記バイアス手段は、前記駆動ホイール(8)と結合されたねじりばね(14)であり、
前記ねじりばね(14)の両端(15、15’)は、前記駆動ホイール(8)に取り付けられ、且つ、前記ギアボックスアクチュエータ(1)の固定部分に取り付けられている、請求項
5に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項7】
前記駆動ホイール(8)の回転軸(Y)は、前記ギアボックス軸(X)に平行であり、前記駆動ホイール(8)の前記突起は、第1のアーム(11)であり、前記シャフト部材(3)の前記アーム(9)と前記駆動ホイール(8)の前記第1のアーム(11)とは、同一平面上にある、請求項
3に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項8】
前記駆動ホイール(8)は、前記第1のアーム(11)および前記シャフト部材(3)の前記アーム(9)とも同一平面上にある第2のアーム(12)を有し、前記シャフト部材(3)の前記アーム(9)は、前記第1および前記第2のアーム(11、12)が二者択一的に前記アーム(9)と接触できるように、前記駆動ホイール(8)の前記第1および前記第2のアーム(11、12)間に配置される、請求項
7に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項9】
前記駆動ホイール(8)の前記回転軸(Y)は、両方の前記第1および前記第2のアーム(11、12)が配置される平面に直交している、請求項
8に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【請求項10】
前記駆動ホイール(8)の前記第1および前記第2アーム(11,12)のそれぞれは、前記シャフト部材(3)の前記アーム(9)と接触するために設けられた接触面(11a、12a)を有し、前記接触面の一方は、平坦であり、前記接触面の他方は、波状である、請求項
8に記載のギアボックスアクチュエータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野および目的)
本発明は、一般に、自動車のギアボックス内のギアをシフトするためのアクチュエータに関する。
【0002】
本発明の目的は、ギアボックスを各ギア位置に正確に設定するギアボックスアクチュエータを提供することである。
【0003】
本発明の別の目的は、アクチュエータがギアボックスシャフトの変位を制限することを回避することによって、ギアボックスシャフトの少なくともその回転方向の1つへの自由な動きを可能にし、安定したギア位置に正確に到達することを可能にするギアボックスアクチュエータを提供することである。
【0004】
本発明の追加の目的は、アクチュエータへの電力供給が失敗した場合に、ギアボックスシャフトの正確な位置決めという上記の目的を達成することである。
【背景技術】
【0005】
(発明の背景)
車両のギアシフタは、ギアをシフトするためにドライバによって操作されるギアノブによってトリガされる制御信号によって操作されるアクチュエータを含む。
【0006】
通常、この種のアクチュエータには、制御電子機器によって制御される電気モータと、モータシャフトの回転運動を、ギア位置間で回転することによってギアをシフトするギアボックスシャフトに伝達される並進運動に伝達する伝達機構と、が含まれている。
【0007】
安定したギア位置を定義するために、従来、谷と山が交互にある起伏面が使用され、ローラーがその表面に押し付けられながら移動し、ギアの安定位置が谷の最下部領域に定義されるようにする。これらの安定した位置は、従来、ローラーボールが起伏のある表面に圧力をかけ、例えば、ばね、ストラップまたは同様の要素を使用して、ローラーボールをその表面に押し付けることによって具体化されている。
【0008】
起伏面は、ギアボックスシャフトに取り付けられており、アクチュエータによって回転され、ニュートラル、ドライブ、リバース、パーキングなどの各安定ギア位置に対応する位置に、事前に設定された回転角で到達する。
【0009】
安定したギア位置に到達する際の精度は、アクチュエータコンポーネントの公差、アクチュエータの位置決めの精度、およびギアボックスの安定位置機構の製造公差に依存している。
【0010】
さらに、電気モータのコギングトルクとギアの効率とにより、ギアボックスシャフトの位置が制限される可能性がある。
【0011】
したがって、公差、コギング、システム要素の効率、およびアクチュエータの位置決めの精度の結果として、ギアボックスシャフトを谷の最下部に適切に配置できなかった。
【発明の概要】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、添付の独立請求項に定義されており、ギアボックス、アクチュエータ、好ましくはリバーシブルギアボックスアクチュエータを指し、これは、典型的には、電気モータとギアボックス軸(X)の周りで回転可能なシャフト部材とを含み、自動車のギアボックスシャフトとの機械的接続に適合されている。
【0013】
アクチュエータはさらに、電気モータと結合される伝達機構であって、シャフト部材と結合可能であり、電気モータからシャフト部材に回転運動を伝達するための伝達機構を備え、アクチュエータが車両に取り付けられている場合、ギアボックス内のギアをシフトするための選択された角度位置にシャフト部材をもたらすことができる。
【0014】
本発明のシャフト部材は、自動車のギアボックスシャフトと結合された場合、ギアボックスシャフトが安定したままであるニュートラル、ドライブ、パーキング、リバース、アウトオブパーキングなどの異なるギア安定位置間で回転されなければならない。すなわち、シャフト部材は、適切な力が加えられない限り、回転されない。遷移位置または不安定な位置とは、ギアボックスシャフトが、ある安定した位置から別の安定した位置に移動するときに回転して、固定位置に留まらない位置である。
【0015】
本発明によれば、アクチュエータは、伝達機構がそれが結合される方向に移動できるように、すなわち、それがシャフト部材と接触してギアシャフト部材をギアボックス位置にもたらすことができるように、構成される。さらに、アクチュエータは、シャフト部材の所定の角度位置で伝達機構がシャフト部材から切り離されるように構成され、シャフト部材が自由に回転できるようにして、それ自体が安定したギア位置に到達できるようにする(弾性手段によって起伏面に押し付けられます)。好ましくは、アクチュエータは、移動方向を逆にしてシャフト部材から切り離し、シャフト部材と伝達機構との間に分離ギャップを作成するように構成され、これにより、シャフト部材はまだ安定した位置に達していない場合、シャフト部材が両方向に自由に回転して、安定したギアボックス位置に到達できる。
【0016】
アクチュエータは、シャフト部材が不安定な位置にあり、安定した位置に到達しようとしているときに、伝達機構がシャフト部材から切り離されるように構成されている。例えば、シャフト部材を安定した位置に回転させるために、伝達機構を停止する。好ましくは、アクチュエータは、伝達機構が移動方向を逆にしてシャフト部材から切り離すように構成される。
【0017】
リバーシブルギアボックスアクチュエータは、電気モータに電気的に接続された電子コントローラをさらに組み込んで、同じように動作します。つまり、モータを駆動し、モータシャフトの回転方向を選択します。したがって、電子制御装置は、伝達機構の移動方向を逆転させ、それをシャフト部材から切り離すために、決定された角度変位に対して電気モータシャフトの回転方向を逆転させるように適合されている。
【0018】
電気モータを駆動するためのコントローラの従来の操作に加えて、コントローラは、シャフト部材を解放するために逆方向の動きに適合されている。シャフト部材の解放はまた、後述するバイアス手段によって実行することができる。
【0019】
好ましい実施形態では、コントローラは、どの値または値のどの範囲が異なるギアを配置できるかを示す表を備えている。例えば、谷に向かう下降傾斜の自由度、下降傾斜と上昇傾斜の間の2自由度(駆動ホイールの後退)。
【0020】
したがって、本発明は、たとえばコンポーネントの製造公差のためにアクチュエータがギアボックスシャフトの動きを制限することを回避することにより、自動車のギアボックスシャフトが正確にギア位置に到達することを可能にする。また、従来技術のアクチュエータの場合のように、伝達機構がシャフト部材と恒久的に係合する場合がある。
【0021】
伝達機構は、駆動ホイール機構を含み、ウォームまたは他の任意の伝達要素が電気モータシャフトと噛み合わされ、駆動ホイールがウォームまたは他の任意の伝達要素と噛み合わされる。電気モータのシャフトの回転がギアをシフトするためにシャフト部材に伝達されるように、駆動ホイールは、シャフト部材と(接触することによって)結合可能である。
【0022】
さらに、シャフト部材は、ギアボックス軸(X)から半径方向に延びる第1の接触面を有し、駆動ホイールは、シャフト部材を回転させるためにシャフト部材の第1の接触面と接触可能な突起を有する。
【0023】
シャフト部材が安定したギア位置に到達しようとしているとき、駆動ホイールの回転を逆にして、駆動ホイールをシャフト部材から切り離すことができる。その結果、シャフト部材は、伝達機構から切り離されて、事前定義された角度だけ、または両方向に自由に、回転させることができる。
【0024】
好ましい実施形態では、ウォームは、電気モータシャフトに平行であり、また、伝達機構は、ウォームに軸方向に取り付けられ、電気モータ軸と噛み合う歯付きホイールをさらに備える。この配置は、コンパクトな(体積が減少した)アクチュエータを提供するという点で有利である。
【0025】
好ましくは、アクチュエータは、駆動ホイールをその回転方向の両方、すなわち時計回りおよび反時計回りにバイアスするように構成されたバイアス手段を備える。バイアス手段は、駆動ホイールをモータ方向の動きと反対方向に動かし、シャフト部材から切り離し、シャフト部材を両方向に自由に保つために、設けられている。このように、ギアボックスでは、一定の圧力で起伏のある表面をスライドするローラーは、安定した位置の底に向かってスライドすることができる。
【0026】
好ましくは、バイアス手段は、駆動ホイールに取り付けられたねじりばねであり、ねじりばねの両端が駆動ホイールに取り付けられ、ねじりばねは、アクチュエータの固定部分、例えばアクチュエータのケーシングに取り付けられている。
【0027】
駆動ホイールの回転軸(Y)は、ギアボックス軸(X)に平行であり、ここで、駆動ホイールの突起は、第1のアームであって、シャフト部材のアームと駆動ホイールの第1のアームとは、同一平面上にある。駆動ホイールの回転軸(Y)は、両アームが配置されている平面に直交している。
【0028】
好ましくは、駆動ホイールは、第2の接触面を有する。シャフト部材のアームは、駆動ホイールの第1および第2の接触面の間に配置され、その結果、第1および第2の接触面は、シャフトアームと交互に接触することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
(図面の簡単な説明)
本発明の好ましい実施形態は、以下に、添付の図面を参照して説明される。
【0030】
【
図1】
図1は、1A図にて、本発明によるギアボックスアクチュエータの例示的な実施形態の上方からの斜視図を示す。
図1は、1B図にて、同じ装置の上から見た別の斜視図を示していますが、電気モータは、示されていない。
【
図2】
図2は、2A図および2B図にて、電気モータのない
図1の同じ装置を下から見た2つの異なる斜視図を示す。
【
図3】
図3は、電子回路を含む同じアクチュエータの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、4A図にて、アクチュエータの代替実装の斜視図を示し、4B図にて上面図を示す。
【
図5-1】第5図は、伝達機構の4つの異なる連続位置(5A図-
図5G図)でのアクチュエータの底面図を示す。
図5-1は、(5A図-
図5Dで図示すように)駆動ホイールが時計回りに回転している場合。
【
図5-2】
図5-2は、(5E図-
図5Gで図示すように)駆動ホイールが反時計回りに回転している場合。
【
図6】
図6は、6A図および6B図にて、2つの代替の伝送機構の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発明の好ましい実施形態)
図1(1A図、1B図)は、本発明のギアボックスアクチュエータ(1)の例示的な実装を示し、これは、電気モータ(2)と、ギアボックス軸(X)の周りで回転可能なシャフト部材(3)と、を備え、自動車のギアボックスシャフト(図示せず)との機械的接続に適合している。
【0032】
アクチュエータ(1)に含まれる伝達機構(4)は、電気モータ(2)に結合されており、電気モータ(2)からシャフト部材(3)に回転運動を伝達するためにシャフト部材(3)と結合可能である。ギアをシフトさせるために、シャフト部材(3)は、選択された角度位置に移動することができる。
【0033】
伝達機構(4)は、ワーム(5)と駆動ホイール(8)とを含み、ワーム(5)は、電気モータシャフト(6)、特に、そのモータシャフト(6)に取り付けられたピニオン(7)と噛み合っており、また、駆動ホイール(8)は、既知の方法でワーム(5)と噛み合っている。駆動ホイール(8)は、シャフト部材(3)と結合可能であり、自動車のギアボックスシャフトと結合される場合に、電気モータ(2)のシャフト(6)の回転は、シャフト部材(3)に伝達され、これが次に、ギアシフトを引き起こす。
【0034】
図に示すように、ワーム(5)は、電気モータシャフト(6)に平行であり、また、伝達機構(4)は、ウォーム(5)に軸方向に取り付けられた歯車(10)であって、電気モータのピニオン(7)と噛み合う歯車(10)をさらに含む。
【0035】
シャフト部材(3)と駆動ホイール(8)との間の結合のために、シャフト部材(3)は、ギアボックス軸(X)から半径方向に延びる少なくとも1つのアーム(9)を有し、また、駆動ホイール(8)は、シャフト部材(3)を押してそれを回転させるためにアーム(9)と係合可能な少なくとも1つの突起を有する。アーム(9)は、その自由端に、駆動ホイール(8)に接触してスライドするための湾曲したローブ(13)を有し、これは、2つの要素間の摩擦低減を助ける。
【0036】
駆動ホイール(8)の回転軸(Y)は、シャフト部材(3)の軸でもあるギアボックス軸(X)に平行である。駆動ホイール(8)の突出部は、第1のアーム(11)を備え、シャフト部材(3)のアーム(9)と駆動ホイール(8)のアーム(11)とが同一平面上にある(すなわち、アーム(9)の表面とアーム(11)の表面とが、同じ平面上で移動可能である)ように、第1のアーム(11)が配置される。駆動ホイール(8)の回転軸(Y)は、
図2(2A図)にさらに明確に示すように、両方のアーム(9、11)が配置されている平面に直交する。
【0037】
駆動ホイール(8)は、第1のアーム(11)とシャフト部材(3)のアーム(9)とも同一平面上にある第2のアーム(12)を備えることができる。シャフト部材(3)のアーム(9)は、駆動ホイール(8)の第1および第2のアーム(11、12)間に配置されて、第1および第2のアーム(11、12)が、二者択一的に、駆動ホイール(8)の回転方向に応じて、シャフト部材(3)のアーム(9)と接触する。
【0038】
駆動ホイール(8)の2つのアーム(11、12)間の分離距離によって、シャフト部材(3)のアーム(9)は、駆動ホイール(8)の任意の移動方向に自由に動くことができる。
【0039】
図3に示されるように、アクチュエータ(1)は、伝達機構(4)、電気モータ(2)および駆動ホイール(8)が少なくとも部分的に囲まれているハウジング(20)を組み込んでいる。アクチュエータ(1)はまた、ハウジング(20)に取り付けられたプリント回路基板(PCB)(19)を含む。
【0040】
電気モータコントローラは、同じ(PCB)(19)に実装される場合がある 他の好ましい実施形態では、そのコントローラは、アクチュエータとは異なる車両の場所に配置された個々のデバイスであるか、または車両の他の電子機器で実装され得る。コントローラは、電気モータ(2)と通信して同じように動作します。つまり、モータのシャフト(6)を角度方向に回転させます。この回転は、伝達機構(4)によってシャフト部材(3)に伝達され、それを時計回りまたは反時計回りに回転させて、ギアボックスシャフト部材を安定したギアボックス位置にもたらす。
【0041】
好ましい実施形態では、伝達機構(4)の動きを逆転させるために、特に駆動ホイール(8)の回転方向を逆転させるために、また、このようにして、シャフト部材(3)から同じものを切り離すために、電子制御装置は、決定された角変位に対して電気モータシャフト(6)の回転方向を逆にするように適合されている。したがって、シャフト部材(3)は、自由にまたは特定の回転角度で回転して、両方向で安定したギア位置に到達することができる。
【0042】
シャフト部材(3)と伝達機構(4)とを切り離すことの追加の利点は、本発明の実際の実施において、異なるタイプの電気モータを使用するためのより多くの自由があることである。
【0043】
好ましくは、アクチュエータは、伝達機構(4)が移動方向を逆転させ、任意の回転方向でシャフト部材(3)から切り離されるように、構成される。これにより、シャフト部材(3)と伝達機構(4)との間に分離ギャップを作成することができ、シャフト部材(3)が自由に回転して安定したギアボックス位置に到達することを可能にする。
【0044】
バイアス手段は、アクチュエータ内に提供されて、駆動ホイール(8)は、バイアス手段の作用に対して回転可能になる。この実施形態では、バイアス手段は、駆動ホイール(8)と結合されたねじりばね(14)として具体化され、ねじりばね(14)の2つの自由端(15、15’)は、
図1(1A図)に示すように駆動ホイール(8)に取り付けられ、また、アクチュエータ(1)の固定部分、好ましくは、ハウジング(20)にも取り付けられる。
【0045】
駆動ホイール(8)を任意の方向に回転させるために、伝達機構(4)を介して電気モータ(2)によって加えられるトルクは、ねじりばね(14)の弾性力に打ち勝つように選択される。さらに、ねじりばね(14)が駆動ホイール(8)を動かすには、ねじりばね(14)の力が、駆動ホイール(8)からモータシャフト(6)に存在するさまざまな摩擦よりも大きくなければならない。
【0046】
図2(2A図、2B図)により明確に示されるように、駆動ホイール(8)の第1および第2のアーム(11、12)のそれぞれは、シャフトアーム(9)と接触するために提供される接触面(11a、12a)を有する。第1のアーム(11)の接触面(11a)は、波状の構成を有し、第2のアーム(12)の接触面(12a)は、平坦である。
【0047】
それらの接触面(9a、11a、12a)の1つの波状構成は、アーム(9)と第1のアーム(11)または第2のアーム(12)との間の接触中に可変比率を提供することができ、たとえばパークギア位置からのギアの解放に必要である、特定の角度ストローク範囲でより多くの負荷を実現させる。
【0048】
代替的に、上記と同じ効果を提供する
図4の実施形態の場合のように、波状面は、第2のアーム(12)の接触面(12a)に、またはシャフト部材(3)のアーム(9)の接触面(9a)にさえ提供することができる。
【0049】
図3に示されるように、PCB(19)は、それぞれのシャフト部材(3)および駆動ホイール(8)の軸(X、Y)の回転を感知するように配置された、第1の回転センサ(16)と好ましくは第2の回転センサ(16’)とを組み込む。これらの2つの回転センサ(16、16’)は、それぞれの軸(X、Y)の位置を検出し、結合および分離の作業領域に基づいてモータの動作パラメータを最適化することができる。
【0050】
一方または両方のセンサからの信号は、情報の冗長性として使用でき、ドライバのコマンドに従ってアクチュエータがギアボックスを正しく配置することをより確実にする。アクチュエータとギアボックスとのシステムを常に制御するために、ギアボックスの軸の位置と駆動ホイールの軸の位置とが比較される。
【0051】
図4の代替の実施形態では、アーム(11,12)の代わりに、駆動ホイール(8)は、シャフト部材(3)のアーム(9)と接触するために提供される2つのペグ(17、18)を有する。アーム(9)は、2つのペグ(17、18)の間に配置され、ペグ(17、18)がスライドすることができる2つの対向する波状表面(9a、9b)を有する。
【0052】
伝達機構の動作を
図5-1、
図5-2のシーケンスに示す。5A図-5D図に示すように、駆動ホイール(8)が時計回りに回転すると、アーム(12)がアーム(9)に接触(結合)して、シャフト部材(3)をギアシフト位置に近づけるために、シャフト部材(3)を反時計回りに回転させる(図参照)。5E図に示される位置で、駆動ホイール(8)はアーム(9)から切り離され、その結果、シャフト部材(3)は、両方向に自由に回転する。5F図および5G図では、駆動ホイール(8)が反時計回りに回転すると、駆動ホイール(8)のアーム(11)がアーム(9)と接触して、シャフト部材(3)を時計回りに回転させる(図参照)。
【0053】
本発明の他の好ましい実施形態は、特許請求の範囲の従属請求項およびそれらの請求項の複数の組み合わせに記載されている。