(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ジョイナー及び外壁材の施工構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
(21)【出願番号】P 2020217253
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2020084338
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 友理
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163747(JP,A)
【文献】特開2004-316095(JP,A)
【文献】特開2005-105655(JP,A)
【文献】特開2019-116739(JP,A)
【文献】特開2002-54251(JP,A)
【文献】実開昭55-51904(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04B 1/68
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向で隣接する外壁材の間に配置される凸部と、
層間変形角1/200以上で横方向に変形可能な変形部と、を備えている、
ジョイナー
であって、
前記変形部は、横方向で伸縮可能な蛇腹形状に形成されている、
ジョイナー。
【請求項2】
横方向で隣接する外壁材の間に配置される凸部と、
層間変形角1/200以上で横方向に変形可能な変形部と、を備えている、
ジョイナーであって、
前記ジョイナーは二つの部材を接合して形成され、
前記部材は、ベース部と脚部と頂部片とを有し、
前記頂部片は前記脚部の前端部から前記ベース部と反対方向に突出して形成され、
一対の前記部材の前記頂部片同士は接着部で接着され、
前記変形部は、一対の前記頂部片と前記接着部により構成されている、
ジョイナー。
【請求項3】
横方向で隣接する外壁材の間に配置される凸部と、
層間変形角1/200以上で横方向に変形可能な変形部と、を備えている、
ジョイナーであって、
壁下地に固定されるベース部を更に備え、
前記凸部は、前記ベース部から前方に向かって突出する脚部と、前記脚部の前端部から横方向に沿って延びる頂部と、を有し、
前記変形部は、前方に向かって凸となるように湾曲可能に形成された前記頂部に形成される、
ジョイナー。
【請求項4】
前記ベース部は、前記壁下地に固定される固定具を挿入するための固定孔を有し、
前記固定孔は、横方向に沿って延びている、
請求項3に記載のジョイナー。
【請求項5】
横方向で隣接する外壁材の間に配置される凸部と、
層間変形角1/200以上で横方向に変形可能な変形部と、を備えている、
ジョイナーであって、
壁下地に固定されるベース部を更に備え、
前記凸部は、前記ベース部から前方に向かって突出する脚部と、前記脚部の前端部から横方向に沿って延びる頂部と、を有し、
前記脚部と前記頂部との角部は、前記外壁材の側端面が接触可能な接触部として形成され、
前記変形部は前記脚部に形成されてい
る、
ジョイナー。
【請求項6】
前記脚部と前記頂部との角部における少なくとも一部に切欠部を更に備える、
請求項5に記載のジョイナー。
【請求項7】
前記凸部は、前記脚部を一対備え、
前記一対の脚部は、前記ベース部から前方に向かって、互いに離間する方向に傾斜している、
請求項5又は6に記載のジョイナー。
【請求項8】
前記脚部は、前記変形部となる脆弱部分を有する、
請求項5~7のいずれか1項に記載のジョイナー。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のジョイナーと、複数の外壁材とを備え、
前記ジョイナーの凸部は、横方向で隣接する前記外壁材の間に配置されている、
外壁材の施工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイナー及び外壁材の施工構造に関する。より詳細には、本発明は、横方向に隣接する外壁板の間に形成される目地に位置するジョイナー及びこのジョイナーを備える外壁材の施工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横方向で隣接する外壁材の間に目地が形成され、この目地に防水のためのシーリングを設けることが行われている。横方向で隣接する外壁材の間隔(目地の幅)はジョイナーで規定されている。
図8A及び
図8Bにはジョイナー110の一例としてハット型のものを示している。ハット型ジョイナー110は、縦方向に延びるように長尺に形成されている。またハット型ジョイナー110は、凸部111とベース部113とを備えている。凸部111は断面コ字状に形成されるが、凸部111の幅(横方向の寸法)は屋内側端部(ベース部113側の端部)よりも屋外側端部の方が大きく形成されている。ベース部113は凸部111の両端部の各々から外側に突出するように形成される。
図8Cのように、ハット型ジョイナー110は、建物の躯体(柱等)を含む壁下地30の屋外側の面に配置されている。また横方向で隣接する一対の外壁材200は、留め具35で壁下地30の屋外側に取り付けられ、対向する側端面201の間に凸部111を位置させて配置されている。そして、凸部111の屋外側において目地の空間内にシーリング40が設けられる。
【0003】
図9A及び
図9Bは、外壁材200の施工構造を模式的に示している。上述のように、横方向で隣接する一対の外壁材200の対向する側端面201の間には、ハット型ジョイナー110の凸部111を位置させているが、このとき、各外壁材200の側端面201が凸部111の屋外側端部の角部116に接触している。またシーリング140は、外壁材200の側端面201には接着されているが、凸部111の屋外側の面には接着されていない。このようにシーリング140が凸部111の屋外側の面には接着されていないと、地震で外壁材200に横揺れが生じた場合に、シーリング140の動きがハット型ジョイナー110で規制されにくくなり、シーリング140に亀裂が生じにくくなる、という効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地震で建物に横揺れした場合、外壁材200は横方向に変位しようとするが、ジョイナー110は壁下地30に固定されているので、横方向に動きにくく、したがって、外壁材200の横方向の変位がジョイナー110により規制される。この場合、
図9Bに示すように、外壁材200の側端面201が凸部111の屋外側端部の角部116に当たって外壁材200に負荷(荷重)がかかる。特に、
図9Cに示すように、地震が発生した場合、建物300の上階(2階)は下階(1階)に比べて、横方向の横振れ幅が大きくなり、これに伴って、上階の外壁材200は下階の外壁材200よりも横方向の変位が大きくなり、下階の外壁材200にはより負荷がかかりやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされており、地震による外壁材への荷重負荷を抑えることができるジョイナー及び外壁材の施工構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るジョイナーは、横方向で隣接する外壁材の間に配置される凸部
と、層間変形角1/200以上で横方向に変形可能な変形部と、を備えている。前記変形部は、横方向で伸縮可能な蛇腹形状に形成されている。
【0008】
本発明の一態様に係る外壁材の施工構造は、ジョイナーと、複数の外壁材とを備える。前記ジョイナーの凸部は、横方向で隣接する前記外壁材の間に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地震により外壁材が横方向に変位して凸部に当たった場合に、変形部が変形して外壁材にかかる力を低減することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは、本発明に係るジョイナーの実施形態1を示す一部の斜視図である。
図1B及び
図1Cは、本発明に係る外壁材の施工構造の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、本発明に係るジョイナーの実施形態2を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、本発明に係るジョイナーの実施形態3を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、本発明に係るジョイナーの実施形態4を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、本発明に係るジョイナーの実施形態5を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、本発明に係るジョイナーの実施形態6を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8Aは、従来例のジョイナーを示す一部の斜視図である。
図8Bは、従来例のジョイナーを示す断面図である。
図8Cは、従来例の外壁材の施工構造を示す断面図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、従来例の外壁材の施工構造を模式的に示す断面図である。
図9Cは、地震発生時の建物の傾きを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
図1Aは、本実施形態に係るジョイナー10を示している。
図1B及び
図1Cは、本実施形態に係る外壁材20の施工構造を模式的に示している。ジョイナー10は、横方向で隣接する外壁材20の間に配置される凸部11と、層間変形角1/200以上で横方向に変形可能な変形部12と、を備えている。本明細書において、横方向とは水平方向を意味するが、厳密な意味での水平方向だけでなく、建築分野において、実用上問題とならない程度の略水平な方向も含む。また本明細書において、縦方向とは鉛直方向を意味するが、厳密な意味での鉛直方向だけでなく、建築分野において、実用上問題とならない程度の略鉛直な方向も含む。本明細書において、前方とは、壁下地30から屋外に向かう方向を意味する。本明細書において、後方とは、壁下地30から屋内に向かう方向を意味する。
【0012】
ジョイナー10は、横方向で隣接する外壁材20の間隔を規制して、外壁材20を所定に位置に配置するための部材である。すなわち、ジョイナー10は、複数の外壁材20の施工時に、所定幅の目地を隣接する外壁材20の間に確保する機能を有する。ジョイナー10は、縦方向に沿って延びるように形成されており、全長にわたって同一の断面形状を有している。ジョイナー10は、プラスチック製又は金属製であるが、例えば、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板などの耐食性を有する金属板を曲げ加工等して形成されている。
【0013】
ジョイナー10は、凸部11と、変形部12とを備えている。凸部11は、横方向で隣接する外壁材20の間に配置される。横方向で隣接する外壁材20は凸部11により所定幅の目地を介して並べられる。変形部12は層間変形角1/200以上で変形可能に形成されている。層間変形角とは、建築基準法で定義されており、地震力によって各階に生ずる水平方向の層間変位を所定の方法により計算し、当該層間変位の当該各階の高さに対する割合で層間変形角が規定される。層間変形角は、建物の地震による変形のしやすさの指標となるものであり、小さいほど変形しにくい。したがって、比較的大きな地震の発生で建物の変形が大きい場合(層間変形角1/200以上の場合)に、変形部12が変形するように形成されている。またジョイナー10は、一対のベース部13を備えている。ベース部13は、ジョイナー10を壁下地30に固定する部分である。各ベース部13は前後方向を厚み方向とする板状に形成され、横方向に並ぶように形成されている。したがって、ジョイナー10は断面略ハット型に形成されている。
【0014】
凸部11は、一対の脚部14を備えている。脚部14は凸部11の側面を構成している。各脚部14は一対のベース部13の対向する端部から斜め前方に向かって突出している。一対の脚部14は横方向で対向しているが、脚部14の後端部(ベース部13との接合部分)の間の寸法は、脚部14の前端部の間の寸法よりも小さく形成されている。すなわち、一対の脚部14の間隔は、ベース部13から見て前方にいくほど、広くなるように形成されている。言い換えると、一対の脚部14は、ベース部13から前方に向かって、互いに離間する方向に傾斜している。そして、一方のベース部13とこれに接合される一方の脚部14との間には空間部17が形成されている。また他方のベース部13とこれに接合される他方の脚部14との間にも空間部17が形成されている。すなわち、隣り合うベース部13と脚部14との間の劣角をなす空間が空間部17として形成され、ジョイナー10の横方向の両側に空間部17が形成されている。
【0015】
凸部11は、頂部15を備えている。頂部15は一対の脚部14の前端部から横方向に沿って延びており、凸部11の前面を構成している。頂部15の横方向の一端は一方の脚部14の前端部と接合しており、頂部15の横方向の他端は他方の脚部14の前端部と接合している。そして、一方の脚部14の前端部と頂部15の横方向の一方の側端部との接合部分に形成される角部(外角部)は、外壁材20の側端面21が接触可能な接触部16として形成されている。他方の脚部14の前端部と頂部15の横方向の他方の側端部との接合部分の角部も外壁材20の側端面21が接触可能な接触部16として形成されている。すなわち、ジョイナー10は前側の両側端部に接触部16が形成されている。
【0016】
本実施形態において、変形部12は頂部15に形成されている。この場合、変形部12は頂部15の横方向の略中央部に形成されている。本実施形態において、変形部12は、横方向で伸縮可能な蛇腹形状に形成されている。すなわち、変形部12は、横方向に並ぶ複数の可動板121で構成されており、横方向で隣接する可動板121は前端部又は後端部のいずれか一方が接合されている。そして、可動板121の接合される端部は、横方向に沿って、前後が交互に入れ替わるように形成されており、これにより、変形部12は断面形状がW字状に形成されている。したがって、変形部12は断面形状がアコーディオン型に形成され、横方向で隣接する可動板121の間隔が縮小及び拡大するように形成されている。
【0017】
本実施形態に係る外壁材20の施工構造は、上記のようなジョイナー10と、複数の外壁材20とを備えて形成されている。外壁材20は、セメントを含む成形材料の硬化物であって、いわゆる、窯業系サイディングが使用される。外壁材20は前方から見て矩形状に形成されている。したがって、外壁材20の側端面21は、横方向とほぼ直交する平坦面に形成されている。
【0018】
本実施形態に係る外壁材20の施工構造は、次のようにして形成される。まず、壁下地30の前側(屋外側)にジョイナー10を取り付ける。壁下地30は、柱などの建物の躯体を含み、さらに胴縁、石膏ボード、合板などを含んでいてもよい。ジョイナー10はベース部13を壁下地30の前面(屋外側面)に沿わせて配置し、ベース部13を厚み方向(前後方向)で貫通する釘又はビスなどの固定具で壁下地30に固定する。このようにして、ジョイナー10を縦方向に沿って延びるように配置する。このように取り付けられたジョイナー10の変形部12には横方向の力がほとんど掛かっていない。すなわち、変形部12は、横方向に伸縮していない状態である。
【0019】
次に、ジョイナー10を横方向で挟むようにして一対の外壁材20を配置する。ここで、外壁材20は壁下地30に設けた留め具に上端部及び下端部を引っ掛けて壁下地30の前側(屋外側)に施工される。また横方向に隣接する一対の外壁材20は、側端面21同士が対向するように配置され、対向する側端面21の間の空間が目地として形成される。したがって、ジョイナー10は対向する側端面21の間の空間(目地)に配置されている。外壁材20は側端面21をジョイナー10の接触部16に接触させて配置することができる。これにより、横方向に隣接する一対の外壁材20の間隔が凸部11の幅に規制され、横方向に所定の間隔で複数の外壁材20を施工しやすくなる。
【0020】
この後、ジョイナー10の前方において目地内の空間(対向する側端面21の間の空間)にシーリング40を形成する。この場合、シーリング40は湿式のシーリング材を空間に充填して硬化させるようにする。シーリング40は側端面21には接着されるが、ジョイナー10には接着されない。すなわち、シーリング40の後面と頂部15の前面とは、対向して配置されており、接着されていない。
【0021】
本実施形態に係る外壁材20の施工構造では、地震が発生していない通常の状態では、
図1Bのように、ジョイナー10の変形部12は横方向にほとんど変形していない状態を保つ。ただし、外壁材20は太陽光などに曝されて、多少、横方向に伸縮するが、温度変化による外壁材20の伸縮に追随して変形部12は伸縮する。そして、地震が発生して外壁材20が横方向(
図1Cの矢印の方向)に変位すると、外壁材20の側端面21で凸部11の接触部16が横方向に押される。このとき、ジョイナー10はベース部13が壁下地30に固定されているので、ジョイナー10は全体的には動かず、凸部11が変形する。すなわち、凸部11はベース部13に対する脚部14の角度が広がるように変形し、すなわち、空間部17が前後方向に広がるように変形する。また凸部11は頂部15の幅寸法が小さくなるように変形する。このとき、頂部15に設けた変形部12が折り畳まれるように変形して幅方向の寸法が小さくなる。
【0022】
そして、外壁材20が水平方向に変位しても、その変位量を凸部11の幅の収縮により吸収する。したがって、外壁材20の側端面21とジョイナー10の接触部16が接触しても、外壁材20の側端面21に負荷がかかりにくくなる。したがって、外壁材20の側端面21に力が掛かりにくくすることができる。また本実施形態の変形部12は伸縮可能であるため、外壁材20が横方向に往復変位する場合でも凸部11の変形が復元して追随しやすくなる。
【0023】
(実施形態2)
本実施形態に係るジョイナー10は、変形部12の構成が実施形態1に係るジョイナー10と相違する。
【0024】
以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0025】
実施形態2で説明した構成は、実施形態1で説明した構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0026】
図2A及び
図2Bに示すように、本実施形態に係るジョイナー10は二つの部材101を接合して形成されている。各部材101は、従来のハット型ジョイナーを頂部15の略中央部で横方向に半分に分離したような形状を有している。すなわち、各部材101は、ベース部13と脚部14と頂部片122とを有している。頂部片122は脚部14の前端部から横方向(ベース部13と反対方向)に突出して形成されている。そして、一対の部材101の頂部片122同士を接着部123で接着することにより頂部15が形成されている。一対の頂部片122はその先端部同士が前後方向に重なるように配置され、重なった一対の頂部片122の先端部の間に接着部123が設けられ、一対の頂部片122が接合されている。
【0027】
本実施形態のジョイナー10は、実施形態1と同様に、横方向で隣接する外壁材20の側端面21の間の目地に配置されて施工されるが、地震が発生していない通常の状態では、一対の頂部片122が接着部123で接着された状態を保つ。一方、施工された状態から地震が発生すると、外壁材20の側端面21で接触部16が横方向に押される。これにより、接着部123に力が加わって接着部123が破壊され、
図2Bに示すように、一対の頂部片122の接合が外れる。すなわち、層間変形角1/200以上で変形可能な変形部12は、一対の頂部片122と接着部123により構成されている。そして、これにより、外壁材20の側端面21とジョイナー10の接触部16が接触しても、頂部15は横方向の寸法が変化し、外壁材20の側端面21に負荷がかかりにくくなる。したがって、外壁材20の側端面21に力が掛かりにくくなる。
【0028】
また一対の頂部片122のうち、前方に位置する頂部片122は後方に位置する頂部片122よりも横方向に変位する寸法が小さい。したがって、凸部11が横方向に変形しても、前方に位置する頂部片122の更に前方に位置するシーリングに負担が掛かりにくくなる。
【0029】
(実施形態3)
本実施形態に係るジョイナー10は、ベース部13の構成が実施形態2に係るジョイナー10と相違する。
【0030】
以下、実施形態1及び2と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0031】
実施形態3で説明した構成は、実施形態1及び2で説明した構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0032】
図3A及び
図3Bに示すように、本実施形態に係るジョイナー10は、実施形態2と同様に、二つの部材101を接合して形成されているが、ベース部13には固定孔18が形成されている。この固定孔18は壁下地30に固定される固定具31を挿入するための孔であり、ベース部13を厚み方向(前後方向)で貫通している。また固定孔18は横方向に延びる長孔に形成されている。したがって、ジョイナー10及び部材101は、固定具31でベース部13が固定されている場合でも、固定孔18の範囲内で横方向に変位可能に形成されている。
【0033】
本実施形態に係るジョイナー10では、実施形態2と同様に、一対の頂部片122の接合が外れることにより、外壁材20の側端面21に掛かる力が低減されるが、ベース部13が固定孔18の横方向の寸法だけ、実施形態2よりも変位する範囲が大きくなる。したがって、ジョイナー10及び部材101の横方向の可動域が大きくなり、外壁材20の側端面21に掛かる力が低減される。
【0034】
なお、
図3A及び
図3Bでは、固定孔18を実施形態2のものに適用した例を示すが、実施形態1のものに固定孔18を適用してもよい。
【0035】
(実施形態4)
本実施形態に係るジョイナー10は、変形部12の構成が実施形態1~3に係るジョイナー10と相違する。
【0036】
以下、実施形態1~3と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0037】
実施形態4で説明した構成は、実施形態1~3で説明した構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0038】
図4A及び
図4Bに示すように、本実施形態に係るジョイナー10は、従来のハット型ジョイナーにおいて、頂部15が後方に向かって凸となるように湾曲して形成されている。すなわち、頂部15の全体が変形部12として形成されている。
【0039】
本実施形態では、実施形態1と同様に、横方向で隣接する外壁材20の側端面21の間の目地に配置されて施工されるが、地震が発生していない通常の状態では、
図4Aに示すように、頂部15が後方に向かって凸となるように緩やかに湾曲した状態を保つ。一方、施工された状態から地震が発生すると、外壁材20の側端面21で接触部16が横方向に押される。これにより、頂部15に力が加わって、
図4Bに示すように、頂部15の全体が後方に向かって突出するように急峻に湾曲した状態となる。これにより、外壁材20の側端面21とジョイナー10の接触部16が接触しても、外壁材20の側端面21に負荷がかかりにくくなる。したがって、外壁材20の側端面21に力が掛かりにくくなる。
【0040】
(実施形態5)
本実施形態に係るジョイナー10は、変形部12の構成が実施形態1~4に係るジョイナー10と相違する。
【0041】
以下、実施形態1~4と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0042】
実施形態5で説明した構成は、実施形態1~3で説明した構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0043】
図5A及び
図5Bに示すように、本実施形態に係るジョイナー10は、従来のハット型ジョイナーにおいて、頂部15が前方に向かって凸となるように湾曲して形成されている。すなわち、頂部15の全体が円弧状の変形部12として形成されている。
【0044】
本実施形態では、実施形態1と同様に、横方向で隣接する外壁材20の側端面21の間の目地に配置されて施工されるが、地震が発生していない通常の状態では、
図5Aに示すように、頂部15が前方に向かって凸となるように緩やかに湾曲した状態を保つ。一方、施工された状態から地震が発生すると、外壁材20の側端面21で接触部16が横方向に押される。これにより、頂部15に力が加わって、
図5Bに示すように、頂部15の全体が前方に向かって突出するように急峻に湾曲した状態となる。これにより、外壁材20の側端面21とジョイナー10の接触部16が接触しても、外壁材20の側端面21に負荷がかかりにくくなる。したがって、外壁材20の側端面21に力が掛かりにくくなる。
【0045】
(実施形態6)
本実施形態に係るジョイナー10は、変形部12の構成が実施形態1~5に係るジョイナー10と相違する。
【0046】
以下、実施形態1~5と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0047】
実施形態6で説明した構成は、実施形態1~5で説明した構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0048】
図6A及び
図6Bに示すように、本実施形態に係るジョイナー10は、ハット型ジョイナーにおいて、変形部12が頂部15に形成されている。この変形部12は頂部15の横方向の略中央部に設けられている。また変形部12が一対の脚部14にも形成されている。この変形部12は、各脚部14の前後方向(屋内外方向)の略中央部に設けられている。各変形部12は脆弱部分で形成されている。脆弱部分は、ジョイナー10の脆弱部分以外の部分よりも強度が低く、変形しやすい部分である。脆弱部分は、例えば、孔、薄板、溝、屈曲形状などの形態に形成されている。
【0049】
また本実施形態に係るジョイナー10は、
図7A~
図7Dに示すように、脚部14と頂部15との角部(接触部16)における少なくとも一部に切欠部19を更に備えている。すなわち、ジョイナー10の凸部11には複数の切欠部19が設けられている。複数の切欠部19は一対の脚部14のいずれにも形成されている。複数の切欠部19は、矩形孔で形成され、形状及び大きさが同じであるが、形状及び大きさが同じでなくてもよい。複数の切欠部19は、ジョイナー10の延びる方向に沿って、所定の間隔を介して並んでいる。
【0050】
各切欠部19は、凸部11の内側の空間110に通じている。切欠部19は頂部15と脚部14と貫通している。切欠部19は頂部15と脚部14との両者に跨っている。複数の切欠部19のうち、一方の脚部14に形成された切欠部19と、他方の脚部14に形成された切欠部19とは、対向しないように、ジョイナー10の延びる方向において互い違いに形成されている。
【0051】
本実施形態では、実施形態1と同様に、横方向で隣接する外壁材20の側端面21の間の目地に配置されて施工されるが、地震が発生していない通常の状態では、
図6Aに示すように、頂部15及び脚部14が変形部12で屈曲していない状態を保つ。一方、施工された状態から地震が発生すると、外壁材20の側端面21で接触部16が横方向に押される。これにより、頂部15及び脚部14に力が加わって変形部12が変形する。
図6Bに示すように、頂部15においては、変形部12が後方に突出するように屈曲し、頂部15が「く字状」になる。脚部14においては、変形部12が凸部11の内側の空間110に向かって突出するように屈曲し、各脚部14が「く字状」になる。これにより、外壁材20の側端面21とジョイナー10の接触部16が接触しても、外壁材20の側端面21に負荷がかかりにくくなる。したがって、外壁材20の側端面21に力が掛かりにくくなる。また本実施形態では、切欠部19が脚部14と頂部15との角部に設けられているため、切欠部19が無い場合に比べて、頂部15及び脚部14の強度が低下して変形しやすくなる。これにより、外壁材20の側端面21とジョイナー10の接触部16が接触しても、外壁材20の側端面21に力がより掛かりにくくなる。
【0052】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係るジョイナー10は、横方向で隣接する外壁材20の間に配置される凸部11と、層間変形角1/200以上で横方向に変形可能な変形部12と、を備えている。
【0053】
第1の態様によれば、地震により外壁材20が横方向に変位して凸部11に当たった場合に、変形部12が変形して外壁材20にかかる力を低減することができ、外壁材20への負荷が少なくなる、という利点がある。
【0054】
第2の態様は、第1の態様におけるジョイナー10である。ジョイナー10は、壁下地30に固定されるベース部13を更に備える。凸部11は、ベース部13から前方に向かって突出する脚部14と、脚部14の前端部から横方向に沿って延びる頂部15と、を有する。脚部14と頂部15との角部は、外壁材20の側端面21が接触可能な接触部16として形成されている。ベース部13と脚部14との間には空間部17が形成されている。変形部12は頂部15に形成されている。
【0055】
第2の態様によれば、接触部16及び空間部17により横方向で隣接する外壁材20の間隔を規制することができ、外壁材20の配置を容易に行うことができるとともに、変形部12により外壁材20の変位に伴う負荷が少なくなる、という利点がある。
【0056】
第3の態様は、第2の態様におけるジョイナー10である。ベース部13は、壁下地30に固定される固定具31を挿入するための固定孔18を有している。固定孔18は、横方向に沿って延びている。
【0057】
第3の態様によれば、横方向に沿ってジョイナー10が動きやすくなり、外壁材20にかかる力をさらに低減することができ、外壁材20への負荷が少なくなる、という利点がある。
【0058】
第4の態様は、第1~3のいずれか1つの態様におけるジョイナー10である。変形部12は、横方向で伸縮可能な蛇腹形状に形成されている。
【0059】
第4の態様によれば、外壁材20が横方向に変位して凸部11に当たった場合に、変形部12が変形して外壁材20にかかる力を低減することができ、外壁材20への負荷が少なくなる、という利点がある。という利点がある。
【0060】
第5の態様は、第1の態様におけるジョイナー10である。ジョイナー10は、壁下地30に固定されるベース部13を更に備える。凸部11は、ベース部13から前方に向かって突出する脚部14と、脚部14の前端部から横方向に沿って延びる頂部15と、を有する。脚部14と頂部15との角部は、外壁材20の側端面21が接触可能な接触部16として形成されている。変形部12は脚部14に形成されている。
【0061】
第5の態様によれば、接触部16により横方向で隣接する外壁材20の間隔を規制することができ、外壁材20の配置を容易に行うことができるとともに、変形部12により外壁材20の変位に伴う負荷が少なくなる、という利点がある。
【0062】
第6の態様は、第5の態様におけるジョイナー10である。ジョイナー10は、脚部14と頂部15との角部における少なくとも一部に切欠部19を更に備える。
【0063】
第6の態様によれば、切欠部19により脚部14と頂部15とがより変形しやすくなり、変形部12により外壁材20の変位に伴う負荷が少なくなる、という利点がある。
【0064】
第7の態様は、第5又は6の態様におけるジョイナー10である。凸部11は、脚部14を一対備える。一対の脚部14は、ベース部13から前方に向かって、互いに離間する方向に傾斜している。
【0065】
第7の態様によれば、一対の脚部14により横方向で隣接する外壁材20の間隔を規制することができ、外壁材20の配置を容易に行うことができる、という利点がある。
【0066】
第8の態様は、第5~7のいずれか1つの態様におけるジョイナー10である。脚部14は、変形部12となる脆弱部分を有する。
【0067】
第8の態様によれば、変形部12により脚部14と頂部15とがより変形しやすくなり、外壁材20の変位に伴う負荷が少なくなる、という利点がある。
【0068】
第9の態様に係る外壁材20の施工構造は、第1~8のいずれか1つに記載のジョイナー10と、複数の外壁材20とを備えている。ジョイナー10の凸部11は、横方向で隣接する外壁材20の間に配置されている。
【0069】
第9の態様によれば、地震により外壁材20が横方向に変位して凸部11に当たった場合に、変形部12が変形して外壁材20にかかる力を低減することができ、外壁材20への負荷が少なくなる、という利点がある。
【符号の説明】
【0070】
10 ジョイナー
11 凸部
12 変形部
13 ベース部
14 脚部
15 頂部
16 接触部
17 空間部
18 固定孔
19 切欠部
20 外壁材
21 側端面
30 壁下地
31 固定具