(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
B60L 58/16 20190101AFI20250212BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20250212BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20250212BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250212BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20250212BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20250212BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250212BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20250212BHJP
【FI】
B60L58/16
B60L3/00 S
G01R31/392
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
(21)【出願番号】P 2021013672
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】二見 徹
(72)【発明者】
【氏名】左向 貴代
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 千絵
(72)【発明者】
【氏名】田村 百奈美
(72)【発明者】
【氏名】直井 和美
(72)【発明者】
【氏名】伊予永 昭寛
(72)【発明者】
【氏名】淵上 夏次
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-144628(JP,A)
【文献】特開2011-091026(JP,A)
【文献】特開2014-054083(JP,A)
【文献】特開2014-066542(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098686(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131825(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/181628(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 58/16
G01R 31/392
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/20
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーで駆動する車両
が利用される用途ごとに、前記車両が当該用途で利用された場合に必要となる前記バッテリーの必要容量を示す情報を記憶する記憶部と、
前記車両における前記バッテリーの使用履歴と、前記車両の運転履歴とを取得する取得部と、
前記使用履歴と前記運転履歴とに基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態
として、ユーザが所定の用途で前記車両を利用した後における前記バッテリーの容量劣化状態である前記バッテリーの未来容量劣化状態を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報
として、前記バッテリーの未来容量劣化状態に基づく数値が、前記記憶部に記憶されている前記バッテリーの必要容量を示す情報のうちの前記所定の用途に対応する前記バッテリーの必要容量に基づく数値よりも小さい場合に、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用することができることを示す情報を出力し、前記バッテリーの未来容量劣化状態に基づく数値が、前記記憶部に記憶されている前記バッテリーの必要容量を示す情報のうちの前記所定の用途に対応する前記バッテリーの必要容量に基づく数値よりも大きい場合に、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用することができないことを示す情報を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記車両が存在する場所の気象状況を示す気象情報をさらに取得し、
前記推定部は、さらに前記気象情報に基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態を推定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記推定部が推定した前記バッテリーの容量劣化状態に基づく数値が所定の閾値を超えた場合に、警告情報を前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報として出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、現在の前記バッテリーの容量劣化状態である第1状態と、未来の所定の時点における前記バッテリーの容量劣化状態である第2状態とを推定し、
前記出力部は、前記第1状態に基づく数値と、前記第2状態に基づく数値との差が所定の閾値を超えた場合に、警告情報を前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報として出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
バッテリーで駆動する車両が利用される用途ごとに、前記車両が当該用途で利用された場合に必要となる前記バッテリーの必要容量を示す情報を記憶する記憶部を有するコンピュータが実行する、
前記車両における前記バッテリーの使用履歴と、前記車両の運転履歴とを取得するステップと、
前記使用履歴と前記運転履歴とに基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態
として、ユーザが所定の用途で前記車両を利用した後における前記バッテリーの容量劣化状態である前記バッテリーの未来容量劣化状態を推定するステップと、
推定した前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報
として、前記バッテリーの未来容量劣化状態に基づく数値が、前記記憶部に記憶されている前記バッテリーの必要容量を示す情報のうちの前記所定の用途に対応する前記バッテリーの必要容量に基づく数値よりも小さい場合に、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用することができることを示す情報を出力し、前記バッテリーの未来容量劣化状態に基づく数値が、前記記憶部に記憶されている前記バッテリーの必要容量を示す情報のうちの前記所定の用途に対応する前記バッテリーの必要容量に基づく数値よりも大きい場合に、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用することができないことを示す情報を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項6】
バッテリーで駆動する車両と、前記バッテリーの容量劣化状態を示す情報を提示する情報処理装置とを有する情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記車両
が利用される用途ごとに、前記車両が当該用途で利用された場合に必要となる前記バッテリーの必要容量を示す情報を記憶する記憶部と、
前記車両における前記バッテリーの使用履歴と、前記車両の運転履歴とを前記車両から取得する取得部と、
前記使用履歴と前記運転履歴とに基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態
として、ユーザが所定の用途で前記車両を利用した後における前記バッテリーの容量劣化状態である前記バッテリーの未来容量劣化状態を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報
として、前記バッテリーの未来容量劣化状態に基づく数値が、前記記憶部に記憶されている前記バッテリーの必要容量を示す情報のうちの前記所定の用途に対応する前記バッテリーの必要容量に基づく数値よりも小さい場合に、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用することができることを示す情報を出力し、前記バッテリーの未来容量劣化状態に基づく数値が、前記記憶部に記憶されている前記バッテリーの必要容量を示す情報のうちの前記所定の用途に対応する前記バッテリーの必要容量に基づく数値よりも大きい場合に、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用することができないことを示す情報を前記車両に送信する出力部と、
を有し、
前記車両は、
前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報を表示する表示部を有する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリーで駆動する車両の需要が高まっている。特許文献1には、充電回数や内部抵抗値に応じて、バッテリーの劣化量を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にかかる装置を車両に導入することにより、バッテリーの容量劣化状態を可視化することができる。しかしながら、特許文献1においては、装置を車両に導入する必要があるため、装置の導入及び装置のメンテナンス等に手間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、バッテリーの容量劣化状態を可視化するための手間を軽減することができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる情報処理装置は、バッテリーで駆動する車両における前記バッテリーの使用履歴と、前記車両の運転履歴とを取得する取得部と、前記使用履歴と前記運転履歴とに基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記取得部は、前記車両が存在する場所の気象状況を示す気象情報をさらに取得してもよいし、前記推定部は、さらに前記気象情報に基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態を推定してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記推定部が推定した前記バッテリーの容量劣化状態に基づく数値が所定の閾値を超えた場合に、警告情報を前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報として出力してもよい。
【0009】
前記推定部は、現在の前記バッテリーの容量劣化状態である第1状態と、未来の所定の時点における前記バッテリーの容量劣化状態である第2状態とを推定してもよいし、前記出力部は、前記第1状態に基づく数値と、前記第2状態に基づく数値との差が所定の閾値を超えた場合に、警告情報を前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報として出力してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、ユーザが所定の用途で前記車両を利用した場合に必要となる前記バッテリーの必要容量を示す情報を記憶する記憶部をさらに有してもよいし、前記推定部は、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用した後における前記バッテリーの容量劣化状態である未来容量劣化状態を推定してもよいし、前記出力部は、前記未来容量劣化状態に基づく数値と、前記記憶部に記憶されている前記バッテリーの必要容量に基づく数値との関係に基づいて、前記ユーザが前記所定の用途で前記車両を利用することができるか否かを示す情報を前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報として出力してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様にかかる情報処理方法は、コンピュータが実行する、バッテリーで駆動する車両における前記バッテリーの使用履歴と、前記車両の運転履歴とを取得するステップと、前記使用履歴と前記運転履歴とに基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態を推定するステップと、推定した前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報を出力するステップと、を有する。
【0012】
本発明の第3の態様にかかる情報処理システムは、バッテリーで駆動する車両と、前記バッテリーの容量劣化状態を示す情報を提示する情報処理装置とを有する情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記車両における前記バッテリーの使用履歴と、前記車両の運転履歴とを前記車両から取得する取得部と、前記使用履歴と前記運転履歴とに基づいて、前記バッテリーの容量劣化状態を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報を前記車両に送信する出力部と、を有し、前記車両は、前記バッテリーの容量劣化状態に関する情報を表示する表示部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一例として、バッテリーの容量劣化状態を可視化するための手間を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】情報処理システムの概要を説明するための図である。
【
図3】履歴管理データベースの構成の一例を示す図である。
【
図4】情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、車両Vに搭載されているバッテリーBの状態をユーザに提示するために用いられるシステムである。ユーザは、車両Vの管理者及び車両Vの利用者を含む。車両Vの管理者は、例えばリース会社であるが、これに限らず、リース会社から車両Vを導入し使用する個人または法人、レンタル会社、車両Vを購入した購入者等であってもよい。情報処理システムSは、車両Vと、情報処理装置1とを有する。
【0016】
車両Vは、リチウムイオン二次電池をはじめとするバッテリーBで駆動する電気自動車である。車両Vは、車両Vの使用に関する履歴情報を収集するための各種のセンサーと、ネットワークNに接続するための通信部を有し、通信部を介して各種のセンサーが収集した履歴情報を後述する情報処理装置1に送信する。
【0017】
履歴情報は、バッテリーBの使用履歴と、車両Vの運転履歴とを含む。バッテリーBの使用履歴は、例えば、バッテリーBの放充電のサイクルを示す情報と、消費電力量と、電費等の情報を含む。バッテリーBの放充電のサイクルを示す情報は、例えば、放電した期間と、充電した期間とを含むが、これに限らず、放電した電力量と、充電した電力量とをさらに含んでもよい。バッテリーBの使用履歴は、充電方式(例えば、急速充電又は普通充電)をさらに含んでもよい。
【0018】
車両Vの運転履歴は、例えば、位置情報に基づく車両Vの走行経路を示す情報である。車両Vの運転履歴は、車両Vが走行したときの速度を示す速度情報、及び車両Vが急加速した回数等をさらに含んでもよい。車両Vの経路を示す情報は、車両Vが位置情報に基づいて生成してもよいし、情報処理装置1が車両Vから取得した位置情報に基づいて生成してもよい。
【0019】
また、車両Vは、種々の情報を表示する表示部(例えば、カーナビゲーションのディスプレイ)をさらに有する。車両Vは、例えば、通信部を介して情報処理装置1から取得した情報を表示部に表示させる。
【0020】
情報処理装置1は、バッテリーBの容量劣化状態に関する情報(以下、「状態関連情報」という)を提示するコンピュータである。状態関連情報は、バッテリーBの容量劣化状態を示す情報(例えば、バッテリーBの劣化率又は最大容量等)であってもよいし、バッテリーBの容量劣化状態を所定の指標で表した情報(例えば、アルファベット又は数字等で表した評価)であってもよい。車両Vには、車両Vを識別するための車両識別情報が設けられており、情報処理装置1は、車両Vの車両識別情報に関連付けて車両Vから取得した履歴情報を管理する。
【0021】
情報処理装置1は、車両Vの外部(例えば、情報処理装置1の管理者の会社等)に備えられていてもよいし、車両Vの内部に備えられていてもよい。情報処理装置1は、車両Vの内部に備えられている場合、車両Vに物理的に接続されている装置であってもよいし、車両Vに物理的に接続されていない端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末等)であってもよい。
【0022】
近年、上記のように通信部を有する車両V、いわゆるコネクティッドカーが登場し、様々なメーカによる製品開発が進められている。コネクティッドカーにおいては、リアルタイムに種々の情報を収集することができるため、このような情報を用いてユーザに提示するためのバッテリーBの容量劣化状態を推定することが望ましい。そこで、情報処理システムSは、車両Vからリアルタイムに取得可能な情報として、車両Vの使用に関する履歴情報に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。
【0023】
具体的には、まず、情報処理装置1は、車両Vから履歴情報を取得すると、取得した履歴情報に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。詳細については後述するが、情報処理装置1は、履歴情報によって示されるバッテリーBの使われ方と、バッテリーBの劣化の特性との関係に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。そして、情報処理装置1は、推定したバッテリーBの容量劣化状態に基づく状態関連情報を出力する。
【0024】
このようにすることで、情報処理システムSは、バッテリーBの容量劣化状態を可視化することができる。これにより、情報処理システムSは、バッテリーBの容量劣化状態を可視化するための装置の導入及び当該装置のメンテナンスの作業を省くことができる。その結果、情報処理システムSは、ユーザによるバッテリーBの容量劣化状態を可視化するための手間を軽減することができる。
【0025】
また、情報処理システムSが車両Vからリアルタイムに取得可能な情報を用いて推定したバッテリーBの容量劣化状態を出力することにより、ユーザは、バッテリーBの容量劣化状態の変化を把握することができる。例えば、車両Vの管理者は、バッテリーBの容量劣化状態に基づいて、バッテリーBを新たなバッテリーBに交換した方がよいか等を判断することができる。また、例えば、車両Vの利用者は、バッテリーBの容量劣化状態に基づいて、車両Vの利用を継続するか、別の車両Vに替えるかを判断することができる。その結果、ユーザは、容易に車両Vを管理することができる。
以下、情報処理装置1の構成について説明する。
【0026】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、取得部131と、推定部132と、出力部133とを有する。
【0027】
通信部11は、ネットワークNに接続するためのインターフェイスであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを含んで構成されている。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。記憶部12は、車両Vの履歴情報を管理する履歴管理データベースを記憶している。
【0028】
図3は、履歴管理データベースの構成の一例を示す図である。
図3に示す履歴管理データベースは、車両識別情報と、取得日と、バッテリーBの使用履歴(放充電期間、放充電、充電方式、消費電力量、及び電費)と、車両Vの運転履歴とを関連付けて記憶している。取得日は、履歴情報が取得された日であるが、これに限らず、履歴情報が取得された日時であってもよい。放充電期間は、放電した期間、又は充電した期間を示す。充電方式は、急速充電及び普通充電であるが、
図3に示すように回生ブレーキによる充電を含んでもよい。
【0029】
図2に戻り、制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、推定部132及び出力部133として機能する。
【0030】
取得部131は、通信部11を介して、車両VにおけるバッテリーBの使用履歴と、車両Vの運転履歴と含む履歴情報を車両Vから取得する。具体的には、取得部131は、車両Vの履歴情報と、当該車両Vに対応する車両識別情報とを関連付けて取得する。取得部131は、例えば、所定の間隔(例えば、毎時、毎日等)で、履歴情報を車両Vから取得する。取得部131は、履歴情報を取得すると、車両識別情報と履歴情報と当該履歴情報を取得した取得日とを関連付けて履歴管理データベースに記憶させる。
【0031】
推定部132は、履歴情報に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。具体的には、推定部132は、取得部131が取得した履歴情報を含み、取得部131が取得した車両識別情報に関連付けて履歴管理データベースに記憶されている履歴情報に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。推定部132は、例えば、過去において取得部131が車両Vから取得した全ての履歴情報に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。
【0032】
推定部132は、例えば、バッテリーBの使用履歴に含まれる消費電力量が多いほど、バッテリーBの劣化度合いが高いことを示す容量劣化状態を推定し、消費電力量が少ないほど、バッテリーBの劣化度合いが低いことを示す容量劣化状態を推定する。また、推定部132は、例えば、バッテリーBの使用履歴に含まれる電費が悪いほど、バッテリーBの劣化度合いが高いことを示す容量劣化状態を推定し、電費が良いほど、バッテリーBの劣化度合いが低いことを示す容量劣化状態を推定する。
【0033】
推定部132は、履歴情報によって示されるバッテリーBの使われ方と、バッテリーBの劣化の特性との関係に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。バッテリーBには、適正な温度範囲(例えば、20度から30度までの範囲)があり、バッテリーBの温度が、少なくとも上記適正な温度範囲を上回ると、バッテリーBの劣化が進行する。例えば、バッテリーBは、放充電のサイクル数が多い、すなわち、ある期間における放充電の密度が高いほど、発熱する度合いが高くなり得る。
【0034】
推定部132は、このようなバッテリーBの劣化の特性に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定してもよい。具体的には、推定部132は、バッテリーBの使用履歴によって示される放充電のサイクル数に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。推定部132は、例えば、放充電のサイクル数が多いほど、バッテリーBの劣化度合いが高いことを示す容量劣化状態を推定し、放充電のサイクル数が少ないほど、バッテリーBの劣化度合いが低いことを示す容量劣化状態を推定する。
【0035】
バッテリーBは、高い電力を出力するほど、発熱する度合いが高くなり得る。例えば、急速充電でバッテリーBを充電した場合と、普通充電でバッテリーBを充電した場合とでは、後者の方が発熱する度合いが高くなり得るため、推定部132は、バッテリーBの使用履歴に含まれる充電方式に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。推定部132は、例えば、バッテリーBの使用履歴に含まれる充電方式において、急速充電の回数が多いほど、バッテリーBの劣化度合いが高いことを示す容量劣化状態を推定し、急速充電の回数が少ないほど、バッテリーBの劣化度合いが低いことを示す容量劣化状態を推定する。
【0036】
もう少し詳細にふれると、バッテリー劣化につながる温度状態に影響するものとして、例えばバッテリー温度そのものではなく外気温情報(高温または低温)、走行態様として速度情報(高速走行か低速走行か、またその時間)や急加速情報(急加速があったか)、また道路傾斜情報(上り坂が続く、頻度が多い)などがある。例えば、一般道路を走行する場合と、高速道路を走行する場合とでは、前者の方が、速度の変動が大きく、出力する電力量が多くなり、発熱する度合いが高くなり得る。また、例えば、走行する道路が上り坂である場合と、走行する道路が平坦又は下り坂である場合とでは、前者の方が、出力する電力量が多くなり、発熱する度合いが高くなり得る。また、例えば、高速で走行する場合と、低速で走行する場合とでは、前者の方が、出力する電力量が多くなり、発熱する度合いが高くなり得る。また、例えば、車両Vが急加速すると、多くの電力を出力するため、急加速の頻度が多いと、発熱する度合いが高くなり得る。そこで、推定部132は、車両Vの運転履歴によって示される走行経路、車両Vの運転履歴に含まれる速度情報、及び車両Vの運転履歴に含まれる車両Vが急加速した回数等のうちの少なくともいずれかに基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定してもよい。
【0037】
推定部132は、例えば、走行経路において、一般道路を走行した割合が低く、高速道路を走行した割合が高いほど、バッテリーBの劣化度合いが高くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定し、一般道路を走行した割合が高く、高速道路を走行した割合が低いほど、バッテリーBの劣化度合いが低くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定する。また、推定部132は、例えば、走行経路において、上り坂を走行した距離が長いほど、バッテリーBの劣化度合いが高くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定し、上り坂を走行した距離が短いほど、バッテリーBの劣化度合いが低くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定する。また、推定部132は、例えば、高速で走行した時間が長いほど、バッテリーBの劣化度合いが高くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定し、高速で走行した時間が短いほど、バッテリーBの劣化度合いが低くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定する。また、推定部132は、例えば、車両Vが急加速した回数が多いほど、バッテリーBの劣化度合いが高くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定し、車両Vが急加速した回数が少ないほど、バッテリーBの劣化度合いが低くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定する。このようにすることで、情報処理装置1は、バッテリーBの容量劣化状態を推定する精度を向上させることができる。
【0038】
推定部132は、機械学習モデルを用いて、バッテリーBの容量劣化状態を推定してもよい。機械学習モデルは、例えば、履歴情報と当該履歴情報によって示される使い方で車両Vを使用した場合におけるバッテリーBの容量劣化状態を示す情報と含む教師データで学習されたモデルであり、履歴情報を入力すると、バッテリーBの容量劣化状態を示す情報を出力する。推定部132は、例えば、履歴情報を機械学習モデルに入力することによって当該機械学習モデルが出力したバッテリーBの容量劣化状態を示す情報を取得することにより、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。推定部132は、例えば、取得部131が履歴情報を取得するごとに、バッテリーBの容量劣化状態を推定する処理を実行する。
【0039】
上述のとおり、バッテリーBは、気温が高いほど発熱する度合いが高くなり得るため、推定部132は、さらに気象情報に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定してもよい。具体的には、まず、取得部131は、車両Vが存在する場所の気象状況を示す気象情報をさらに取得する。そして、推定部132は、履歴情報と気象情報とに基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。
【0040】
推定部132は、例えば、気象情報によって示される車両Vが存在する場所の温度がバッテリーBの適正な温度範囲を上回る期間が長いほど、バッテリーBの劣化度合いが高くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定し、上記期間が短いほど、バッテリーBの劣化度合いが低くなるようにバッテリーBの容量劣化状態を推定する。このようにすることで、情報処理装置1は、バッテリーBの容量劣化状態を推定する精度を向上させることができる。
【0041】
出力部133は、推定部132が推定したバッテリーBの容量劣化状態に基づく状態関連情報を出力する。具体的には、出力部133は、通信部11を介して、状態関連情報をユーザに提示する。出力部133は、例えば、通信部11を介して、状態関連情報を、車両Vの管理者が使用する不図示の端末に送信する。出力部133は、通信部11を介して、状態関連情報を車両Vに送信し、車両Vの表示部に当該情報を表示させてもよい。
【0042】
情報処理装置1は、バッテリーBの劣化度合いが高い場合、警告情報を出力してもよい。警告情報は、例えば、バッテリーBの劣化が進行していることを示す情報である。具体的には、出力部133は、推定部132が推定したバッテリーBの容量劣化状態に基づく数値が所定の閾値を超えた場合に、警告情報を状態関連情報として出力する。バッテリーBの容量劣化状態に基づく数値は、例えば、バッテリーBが劣化した割合である。所定の閾値は、例えば、情報処理装置1に予め設定されている。
【0043】
出力部133は、警告情報とともに、バッテリーBの劣化度合いが高くなった要因に関する情報を状態関連情報として出力してもよい。例えば、まず、推定部132は、放充電のサイクル数と、充電方式における急速充電の回数と、高速道路を走行した割合と、消費電力量と、電費とを含むバッテリーBが劣化し得る複数の劣化要因に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する。そして、出力部133は、複数の要因のうち、バッテリーBが劣化した度合いが相対的に高い要因に関する情報を出力する。
【0044】
出力部133は、例えば、複数の要因のうち、バッテリーBが劣化した度合いが最も高い要因に関する情報を出力する。出力部133は、例えば、車両Vの利用者に対して、上記要因に関する情報として、バッテリーBの劣化度合いを低くするためのアドバイスを示す情報(例えば、充電方式を普通充電で行うことを推奨したり、急加速を抑えることを推奨したりする情報等)を出力する。
【0045】
出力部133は、バッテリーBの劣化が予測よりも早い場合に、警告情報を出力してもよい。具体的には、まず、推定部132は、現在のバッテリーBの容量劣化状態である第1状態と、未来の所定の時点におけるバッテリーBの容量劣化状態である第2状態とを推定する。そして、出力部133は、第1状態に基づく数値と、第2状態に基づく数値との差が所定の閾値を超えた場合に、警告情報を状態関連情報として出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、バッテリーBの劣化の進行度合いが高いことをユーザに認識させることができる。
【0046】
ところで、ユーザは、車両Vのリース期間が経過すると、当該車両Vのリースを継続するか否かを判断する必要がある。電気自動車においては、バッテリーBの劣化度合いがリースを継続するか否かの判断における重要な要素になり得る。そこで、情報処理装置1は、ユーザが車両Vの再リースの判断を行うための情報を、状態関連情報として出力してもよい。
【0047】
例えば、記憶部12は、ユーザ(車両Vの利用者)が所定の用途で車両Vを利用した場合に必要となるバッテリーBの必要容量を示す情報を記憶する。所定の用途は、例えば、企業における営業車としての用途、送迎車として用途、又は個人家庭における旅行の移動手段としての用途等である。
【0048】
この場合において、まず、推定部132は、車両Vの利用者が所定の用途で車両Vを利用した後におけるバッテリーBの容量劣化状態である未来容量劣化状態を推定する。そして、出力部133は、未来容量劣化状態に基づく数値と、記憶部12に記憶されているバッテリーBの必要容量に基づく数値との関係に基づいて、車両Vの利用者が所定の用途で車両Vを利用することができるか否かを示す情報を状態関連情報として出力する。
【0049】
出力部133は、例えば、未来容量劣化状態に基づく数値が、記憶部12に記憶されているバッテリーBの必要容量に基づく数値よりも小さい場合に、ユーザが所定の用途で車両Vを利用することができることを示す情報を出力し、未来容量劣化状態に基づく数値が、記憶部12に記憶されているバッテリーBの必要容量に基づく数値よりも大きい場合に、ユーザが所定の用途で車両Vを利用することができないことを示す情報を出力する。このようにすることで、ユーザは、車両Vのリースを継続するか否かを容易に判断することができる。
【0050】
[情報処理装置1の処理]
続いて、情報処理装置1の処理の流れについて説明する。
図4は、情報処理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、取得部131が、履歴情報を車両Vから取得したことを契機として開始する(S1)。
【0051】
推定部132は、取得部131が取得した履歴情報を含み、取得部131が当該履歴歴情報に関連付けて取得した車両識別情報に関連付けて履歴管理データベースに記憶されている履歴情報に基づいて、バッテリーBの容量劣化状態を推定する(S2)。そして、出力部133は、推定部132が推定したバッテリーBの容量劣化状態に基づく状態関連情報を出力する(S3)。
【0052】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置1は、車両Vから取得した履歴情報に基づいてバッテリーBの容量劣化状態を推定し、推定したバッテリーBの容量劣化状態に基づく状態関連情報を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、バッテリーBの容量劣化状態を可視化することができる。これにより、情報処理装置1は、バッテリーBの容量劣化状態を可視化するための装置の導入及び当該装置のメンテナンスの作業を省くことができる。その結果、情報処理システムSは、ユーザによるバッテリーBの容量劣化状態を可視化するための手間を軽減することができる。
【0053】
また、情報処理装置1が車両Vからリアルタイムに取得可能な情報を用いて推定したバッテリーBの容量劣化状態を出力することにより、ユーザは、バッテリーBの容量劣化状態の変化を把握することができる。その結果、ユーザは、容易に車両Vを管理することができる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0055】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 推定部
133 出力部
B バッテリー
V 車両
S 情報処理システム