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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】排気管継手
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20250212BHJP
【FI】
F01N13/08 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021044024
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143490
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】紺野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恒平
(72)【発明者】
【氏名】友貞 道雄
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 若葉
(72)【発明者】
【氏名】井戸 祥太
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-218861(JP,A)
【文献】特開2004-278757(JP,A)
【文献】特開2007-315318(JP,A)
【文献】実開昭57-019284(JP,U)
【文献】実開平02-150488(JP,U)
【文献】中国実用新案第211779541(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F16L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の端部がエンジンの排気口に接続される上流側排気管と、
上流側の端部が前記上流側排気管と軸方向にオーバーラップして、前記上流側排気管に摺動自在に遊嵌される下流側排気管と、
前記上流側排気管と前記下流側排気管とがオーバーラップする領域において前記上流側排気管と前記下流側排気管との隙間に軸方向に摺動自在に配設され、前記上流側排気管と前記下流側排気管との隙間をシールするガスケットと、
前記上流側排気管と前記下流側排気管とがオーバーラップする領域において前記上流側排気管と前記下流側排気管との隙間に軸方向に摺動自在に前記ガスケットと並べて配設され、前記上流側排気管と前記下流側排気管との軸方向の変位を吸収する弾性部材と、を備え
前記ガスケットは、軸方向に沿って分割された第1ガスケットと第2ガスケットとからなり、
前記弾性部材は、前記第1ガスケットと前記第2ガスケットとの間に配置されていることを特徴とする排気管継手。
【請求項2】
前記上流側排気管は、下流側の端部がテーパ状に形成されており、
前記下流側排気管は、上流側の端部がテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の排気管継手。
【請求項3】
前記第1ガスケットは、端部が前記下流側排気管のテーパ部のテーパ面に沿うくさび形に形成され、軸方向中央部が前記上流側排気管と当接するように径方向に円弧状に突出し、
前記第2ガスケットは、端部が前記上流側排気管のテーパ部のテーパ面に沿うくさび形に形成され、軸方向中央部が前記下流側排気管と当接するように径方向に円弧状に突出していることを特徴とする請求項に記載の排気管継手。
【請求項4】
前記弾性部材は、排気管がエンジンに組み付けられた状態で、前記ガスケットに対して、前記上流側排気管と前記下流側排気管とのオーバーラップを拡げる向きに付勢力を付与することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の排気管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気ガスを排出する排気管を構成する上流側排気管と下流側排気管とを接続する排気管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの排気ガスを排出する排気管において、例えばエンジンの熱変形(熱伸縮)等を吸収するために、伸縮可能なベローズ管(蛇腹管)を介装したものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両前方に横置き配置されるV型エンジンのフロントバンクの排気マニホールドに接続されるフロントバンク排気管と、リアバンクの排気マニホールドとフロントバンク排気管とを接続するリアバンク排気管とを備える排気管構造が開示されている。フロントバンク排気管には、リアバンク排気管と合流する合流部より上流側に、弾性変形可能なフレキシブル管が取り付けられている。
【0004】
フレキシブル管は、円筒状の蛇腹構造のベローズの周囲が円筒形状のカバーで覆われた構造となっている。ベローズは、軸方向に伸縮したり、曲げたりすることができる。また、ベローズは、例えば、上流側端部が、フロントバンク排気管を構成する上流側排気管の全周にわたって溶接固定され、下流側端部が、フロントバンク排気管を構成する下流側排気管の全周にわたって溶接固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-159316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、上流側排気管及び下流側排気管にベローズ管(蛇腹管)を覆い被せて、該ベローズ管の両端を全周にわたって溶接固定した場合、質量やコストが増大する。また、比較的大きな熱変形(熱伸縮)を吸収するためにはベローズ管(蛇腹管)が大型化し、質量やコストの増大に加えて、排気系レイアウトの自由度が低下するおそれがある。そのため、熱変形の吸収性能と排気ガスのシール性能とを維持しつつ、継手を小型、軽量化したいという要望があった。
【0007】
本発明は、熱変形の吸収性能と排気ガスのシール性能とを維持しつつ、継手の小型、軽量化を図ることが可能な排気管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る排気管継手は、上流側の端部がエンジンの排気口に接続される上流側排気管と、上流側の端部が上流側排気管と軸方向にオーバーラップして、上流側排気管に摺動自在に遊嵌される下流側排気管と、上流側排気管と下流側排気管とがオーバーラップする領域において上流側排気管と下流側排気管との隙間に軸方向に摺動自在に配設され、上流側排気管と下流側排気管との隙間をシールするガスケットと、上流側排気管と下流側排気管とがオーバーラップする領域において上流側排気管と下流側排気管との隙間に軸方向に摺動自在にガスケットと並べて配設され、上流側排気管と下流側排気管との軸方向の変位を吸収する弾性部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱変形の吸収性能と排気ガスのシール性能とを維持しつつ、継手の小型、軽量化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る排気管継手が適用された排気管を備えるエンジンの全体構成を示す図である。
図2】実施形態に係る排気管継手が適用された排気管のレイアウト(排気系レイアウト)を示す図である。
図3】実施形態に係る排気管継手(組み付け前)の構成を示す断面図である。
図4】実施形態に係る排気管継手(組み付け後)の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
まず、図1図4を併せて用いて、実施形態に係る排気管継手1820について説明する。図1は、排気管継手1820が適用された排気管18を備えるエンジン10の全体構成を示す図である。図2は、排気管継手1820が適用された排気管18のレイアウト(排気系レイアウト)を示す図である。図3は、排気管継手1820(エンジン組み付け前)の構成を示す断面図である。図4は、排気管継手1820(エンジン組み付け後)の構成を示す断面図である。
【0013】
エンジン10は、例えば水平対向型の4気筒エンジンである。また、エンジン10は、シリンダ内(筒内)に燃料を直接噴射する筒内噴射式のエンジンである。エンジン10では、エアクリーナ16から吸入された空気が、吸気管15に設けられた電子制御式スロットルバルブ(以下、単に「スロットルバルブ」ともいう)13により絞られ、インテークマニホールド11を通り、エンジン10に形成された各気筒に吸入される。ここで、エアクリーナ16から吸入された空気の量は、エアクリーナ16とスロットルバルブ13との間に配置されたエアフローメータ14により検出される。また、インテークマニホールド11を構成するコレクター部(サージタンク)の内部には、インテークマニホールド11内の圧力(吸気マニホールド圧力)を検出するバキュームセンサ30が配設されている。さらに、スロットルバルブ13には、該スロットルバルブ13の開度を検出するスロットル開度センサ31が配設されている。
【0014】
シリンダヘッドには、気筒毎に吸気ポート22と排気ポート23とが形成されている(図1では片バンクのみ示した)。各吸気ポート22、排気ポート23それぞれには、該吸気ポート22、排気ポート23を開閉する吸気バルブ24、排気バルブ25が設けられている。
【0015】
エンジン10の各気筒には、シリンダ内に燃料を噴射するインジェクタ12が取り付けられている。インジェクタ12は、高圧燃料ポンプ(図示省略)により加圧された燃料を各気筒の燃焼室内へ直接噴射する。
【0016】
また、各気筒のシリンダヘッドには、混合気に点火する点火プラグ17、及び該点火プラグ17に高電圧を印加するイグナイタ内蔵型コイル21が取り付けられている。エンジン10の各気筒では、吸入された空気とインジェクタ12によって噴射された燃料との混合気が点火プラグ17により点火されて燃焼する。燃焼後の排気ガスは排気管18を通して排出される。
【0017】
排気管18には、エンジン10から排出された排気ガスの一部を、エンジン10のインテークマニホールド11(吸気系)に再循環(還流)させる排気ガス再循環装置(以下「EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置」という)40が設けられている。EGR装置40は、エンジン10の排気管18(集合部185の下流側)とインテークマニホールド11とを連通するEGR配管41、及びEGR配管41上に介装され、排気ガス還流量(EGR量)を調節するEGRバルブ42を有している。
【0018】
EGRバルブ42は、電子制御装置(以下「ECU」という)50によって開度が制御(デューティ制御)される。すなわち、ECU50は、エンジン10の運転状態に応じてEGRバルブ42の開閉量を調節することにより、排気ガスの還流量(再循環量)を制御する。なお、EGRバルブ42には、負圧式のものの他、ステッピングモータ等により駆動される形式のものを用いることができる。
【0019】
ここで、図2も併せて参照して、エンジン10の排気系レイアウトについて説明する。#1気筒の排気ポート23には#1排気管181が接続されている。また、#2気筒の排気ポート23には#2排気管182が接続されている。同様に、#3気筒の排気ポート23には#3排気管183が接続され、#4気筒の排気ポート23には#4排気管184が接続されている。ここで、エンジン10の爆発順序(点火順序)は、1番気筒(#1)-3番気筒(#3)-2番気筒(#2)-4番気筒(#4)の順とされており、各気筒からの排気ガスは、180°CA毎にそれぞれの排気管181~184に排出される。
【0020】
また、#1排気管181と#2排気管182とが集合されるとともに、#3排気管183と#4排気管184とが集合される。そして、双方が下流側(集合部185)でさらに集合される。すなわち、エンジン10の各気筒(#1気筒~#4気筒)に取り付けられた4本の#1~#4排気管181~184は集合部185において一つに集合される。集合部185には集合排気管186が接続されている。
【0021】
集合排気管186(集合部185の下流側)には排気浄化触媒(キャタライザ)20が介装されている。ここで、排気浄化触媒20は三元触媒であり、排気ガス中の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)の酸化と、窒素酸化物(NOx)の還元を同時に行い、排気ガス中の有害ガス成分を無害な二酸化炭素(CO)、水蒸気(HO)及び窒素(N)に清浄化するものである。
【0022】
排気管18の集合部185とEGR配管41の接続孔との間(排気浄化触媒20の上流側)には、排気ガス中の酸素濃度及び未燃ガス濃度に応じた信号を出力する(すなわち、混合気の空燃比を検出する)空燃比センサ19が取り付けられている。空燃比センサ19としては、空燃比をリニアに検出することのできるリニア空燃比センサ(LAFセンサ)が用いられる。
【0023】
例えばエンジン10の左バンク(LHヘッド)に接続(締結)される#2排気管182、#4排気管184それぞれには、主としてエンジン10の左右方向の熱変形(熱伸縮)を吸収する熱排気管継手1820が介装されている。なお、#2排気管182の排気管継手1820と、#4排気管184の排気管継手1820とは同じ構成であるので、ここでは、#2排気管182の排気管継手1820を例にして説明する。
【0024】
#2排気管182は、主として、上流側排気管1821と、下流側排気管1822と、伸縮可能に上流側排気管1821と下流側排気管1822とを接続する排気管継手1820とを有して構成されている。
【0025】
上流側排気管1821は、上流側の端部がエンジン10の排気ポート23(排気口に相当)に接続される。
【0026】
図3図4に示されるように、下流側排気管1822は、上流側の端部が上流側排気管1821と軸方向にオーバーラップして(互いに重なり合って)、上流側排気管1821に摺動自在(摺動可能)に遊嵌される。本実施形態では、オーバーラップ部1823における下流側排気管1822の径を上流側排気管1821の径よりも大きく設定し、下流側排気管1822が上流側排気管1821を覆うように構成した。
【0027】
排気管継手1820は、主として、ガスケット1825、1826と、コイルスプリング1827とを有して構成されている。
【0028】
ガスケット1825、1826は、軸方向に沿って、上流側に位置する第1ガスケット1825と下流側に位置する第2ガスケット1826とに2分割されている。第1ガスケット1825及び第2ガスケット1826それぞれは、略円筒状(管状)に形成され、上流側排気管1821と下流側排気管1822とが互いに重なり合うオーバーラップ領域(オーバーラップ部1823)において、上流側排気管1821と下流側排気管1822とによって画成される環状の隙間に、軸方向に摺動自在(摺動可能)に配設されている。
【0029】
第1ガスケット1825及び第2ガスケット1826は、排気管継手1820から排気ガスが漏れないように、上流側排気管1821と下流側排気管1822との環状の隙間をシールする。すなわち、第1ガスケット1825及び第2ガスケット1826は、上流側排気管1821と下流側排気管1822との間の気密を保持する。第1ガスケット1825及び第2ガスケット1826は、排気ガスの高温に耐え、弾性を維持する耐熱ステンレス(例えばSUS310S)等から形成されることが好ましい。
【0030】
コイルスプリング1827(特許請求の範囲に記載の弾性部材に相当)は、上流側排気管1821と下流側排気管1822とが互いに重なり合うオーバーラップする領域(オーバーラップ部1823)において、上流側排気管1821と下流側排気管1822とによって画成される環状の隙間に、軸方向に摺動自在(摺動可能)に配設されている。コイルスプリング1827は、第1ガスケット1825及び第2ガスケット1826と並べて配設されている。本実施形態では、コイルスプリング127は、第1ガスケット1825と第2ガスケット1826との間に配置されている。
【0031】
コイルスプリング1827は、エンジン10の熱変形(熱伸縮)等に起因する上流側排気管1821と下流側排気管1822との軸方向の変位(相対変位)を吸収する。コイルスプリング1827は、排気ガスの高温に耐え、弾性を維持する耐熱ステンレス(例えばSUS310S)等から形成されることが好ましい。
【0032】
上述したように、第1ガスケット1825、第2ガスケット1826、コイルスプリング1827が形成されて配置されるため、第1ガスケット1825の一方(上流側)の端部は下流側排気管1822の上流側の端部(テーパ部)内面に当接する。第1ガスケット1825の他方(下流側)の端部はコイルスプリング1827の一方(上流側)の端部に当接する。第2ガスケット1826の一方(上流側)の端部はコイルスプリング1827の他方(下流側)の端部に当接する。第2ガスケット1826の他方(下流側)の端部は上流側排気管1821の下流側の端部(テーパ部)外面に当接する。
【0033】
より詳細には、上流側排気管1821の下流側の端部(開口部)は、外側に拡がるようにテーパ状に形成されている。一方、下流側排気管1822の上流側の端部(開口部)は、内側に絞られるようにテーパ状に形成されている。
【0034】
そして、第1ガスケット1825は、軸方向に沿った断面で見た場合に、一方(上流側)の端部が下流側排気管1822のテーパ部のテーパ面に沿うくさび形に形成されている。すなわち、一方(上流側)の端部が下流側排気管1822のテーパ部のテーパ面(内面)と対向するように、該テーパ部のテーパ角と同じ角度でカットされている。また、第1ガスケット1825は、軸方向に沿った断面で見た場合に、軸方向中央部が上流側排気管1821の外周面と当接するように径方向内方に円弧状に突出(湾曲)している。
【0035】
同様に、第2ガスケット1826は、軸方向に沿った断面で見た場合に、他方(下流側)の端部が上流側排気管1821のテーパ部のテーパ面に沿うくさび形に形成されている。すなわち、他方(下流側)の端部が上流側排気管1821のテーパ部のテーパ面(外面)と対向するように、該テーパ部のテーパ角と同じ角度でカットされている。また、第2ガスケット1826は、軸方向に沿った断面で見た場合に、軸方向中央部が下流側排気管1822の内周面と当接するように径方向外方に円弧状に突出(湾曲)している。
【0036】
図4に示されるように、排気管継手1820は、コイルスプリング1827が適度に圧縮された状態でエンジン10に組み付けられる。そのため、コイルスプリング1827は、#2排気管182がエンジン10に組み付けられた状態で、第1ガスケット1825、第2ガスケット1826に対して、上流側排気管1821と下流側排気管1822とのオーバーラップを拡げる向き(軸方向)に付勢力を付与する。
【0037】
上述したように構成されることにより、すなわち、上流側排気管1821と下流側排気管1822とがオーバーラップする領域(オーバーラップ部1823)において上流側排気管1821と下流側排気管1822との隙間に軸方向に摺動自在に第1ガスケット1825、第2ガスケット1826が配設されることにより、上流側排気管1821と下流側排気管1822との隙間がシールされる。
【0038】
また、上流側排気管1821と下流側排気管1822とがオーバーラップする領域(オーバーラップ部1823)において上流側排気管1821と下流側排気管1822との隙間に軸方向に摺動自在にコイルスプリング1827が配設されることにより、上流側排気管1821と下流側排気管1822との軸方向の変位(相対変位)が吸収される。よって、ベローズ管(蛇腹管)を用いる必要がなくなる。
【0039】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、ベローズ管(蛇腹管)を用いる必要がなくなるため、排気管継手1820を小型、軽量化できる。また、ベローズ管(蛇腹管)の溶接も不要となるため、排気管継手1820を軽量化することができる。一方、上流側排気管1821と下流側排気管1822とがオーバーラップする領域において上流側排気管1821と下流側排気管1822との隙間に軸方向に摺動自在に第1ガスケット1825、第2ガスケット1826が配設されるため、上流側排気管1821と下流側排気管1822との隙間をシールすることができる。また、上流側排気管1821と下流側排気管1822とがオーバーラップする領域において上流側排気管1821と下流側排気管1822との隙間に軸方向に摺動自在にコイルスプリング1827が配設されるため、上流側排気管1821と下流側排気管1822との軸方向の変位(相対変位)を吸収できる。その結果、本実施形態によれば、熱変形の吸収性能と排気ガスのシール性能とを維持しつつ、継手の小型、軽量化を図ることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態によれば、上流側排気管1821の下流側の端部(開口部)が、外側に拡がるようにテーパ状に形成され、下流側排気管1822の上流側の端部(開口部)が、内側に絞られるようにテーパ状に形成されている。そして、第1ガスケット1825の一方(上流側)の端部が下流側排気管1822のテーパ部のテーパ面に沿うくさび形に形成され、第2ガスケット1826の他方(下流側)の端部が上流側排気管1821のテーパ部のテーパ面に沿うくさび形に形成されている。また、第1ガスケット1825の軸方向中央部が上流側排気管1821の外周面と当接するように径方向内方に円弧状に突出(湾曲)し、第2ガスケット1826の軸方向中央部が下流側排気管1822の内周面と当接するように径方向外方に円弧状に突出(湾曲)している。そのため、熱変形の吸収性能および排気ガスのシール性能を向上することが可能となる。
【0041】
特に、本実施形態によれば、コイルスプリング1827が適度に圧縮された状態で排気管継手1820がエンジン10に組み付けられる。そのため、コイルスプリング1827の弾性変形の範囲で軸方向(左右方向)の熱変形を吸収することができる。また、コイルスプリング1827により、第1ガスケット1825、第2ガスケット1826に対して、上流側排気管1821と下流側排気管1822とのオーバーラップを拡げる向き(軸方向)に付勢力が付与される。そのため、第1ガスケット1825、第2ガスケット1826それぞれの端部が上流側排気管1821、下流側排気管1822のテーパ部に押し当てられ、弾性変形の範囲で屈曲することにより湾曲部(接触部)において面圧が発生し、シール性能を発揮することができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明を水平対向型のエンジン10に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、例えばV型のエンジンや直列型のエンジンなどにも適用することができる。さらに、エンジンの気筒数は4気筒に限られることなく、例えば、6気筒や、8気筒、又はそれ以上の気筒数を有するエンジンにも適用することができる。
【0043】
上記実施形態では、排気管継手1820を、エンジン10の左バンク(LHヘッド)に接続される#2排気管182、#4排気管184に適用したが、エンジン10の右バンク(RHヘッド)に接続される#1排気管181、#3排気管183に適用してもよい。
【0044】
上記実施形態では、オーバーラップ部1823における下流側排気管1822の径を上流側排気管1821の径よりも大きく設定し、下流側排気管1822が上流側排気管1821を覆うように構成したが、逆に、上流側排気管1821の径を下流側排気管1822の径よりも大きく設定し、上流側排気管1821が下流側排気管1822を覆うように構成してもよい。
【0045】
上記実施形態では、ガスケットを第1ガスケット1825と第2ガスケット1826とに2分割したが、ガスケットは一体型としてもよい(2分割されていなくてもよい)。その場合、コイルスプリング1827は、該ガスケットの一方の端部に配置される。
【0046】
上記実施形態では、上流側排気管1821の下流側の端部を、外側に拡がるようにテーパ状に形成し、下流側排気管1822の上流側の端部を内側に絞られるようにテーパ状に形成したが、例えば、上流側排気管1821の下流側の端部を外側に直角に折り曲げ、下流側排気管1822の上流側の端部を内側に直角に折り曲げるように形成してもよい。
【0047】
上記実施形態では、コイルスプリング1827を耐熱ステンレス(例えばSUS310S)により形成したが、例えば、耐熱性のゴム等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 エンジン
11 インテークマニホールド
18 排気管
181 #1排気管
182 #2排気管
1820 排気管継手
1821 上流側排気管
1822 下流側排気管
1823 オーバーラップ部
1825、1826 ガスケット(第1ガスケット、第2ガスケット)
1827 コイルスプリング
183 #3排気管
184 #4排気管
185 集合部
186 集合排気管
19 空燃比センサ
20 排気浄化触媒
22 吸気ポート
23 排気ポート
図1
図2
図3
図4