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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
H01L21/304 651H
H01L21/304 645D
H01L21/304 647A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 651B
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021051569
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149423
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝佳
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157107(JP,A)
【文献】特表2010-518230(JP,A)
【文献】特開平10-275788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構造物を含むパターンを有する基板を処理する基板処理方法であって、
処理液と、前記処理液に溶解しない複数の粒子とが混在した懸濁液を、前記基板の上面に供給することで、前記懸濁液の液膜を前記基板の上面に形成する懸濁液供給工程と、
互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子が堆積するように、前記基板の上面から前記処理液を排除する処理液排除工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項2】
非液体によって、前記構造物と前記構造物との間に堆積した前記粒子を除去する粒子除去工程を更に含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
複数の構造物を含むパターンを有する基板を処理する基板処理方法であって、
処理液と、前記処理液に溶解しない複数の粒子とが混在した懸濁液を、前記基板の上面に供給することで、前記懸濁液の液膜を前記基板の上面に形成する懸濁液供給工程と、
互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子が残留し、前記粒子が前記構造物を支持するように、前記基板の上面から前記処理液を排除する処理液排除工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項4】
前記粒子は、無機物であり、
前記非液体は、薬液の蒸気であり、
前記粒子除去工程では、前記基板の上面に前記薬液の蒸気を供給することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去する、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記粒子は、シリカである、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記粒子は、有機物であり、
前記非液体は、紫外線又はオゾンであり、
前記粒子除去工程では、前記基板の上面に前記オゾンを供給することで、又は、前記基板の上面に前記紫外線を照射することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去する、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記粒子は、ポリスチレンである、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記処理液は、リンス液である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記粒子のサイズは、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間隔よりも小さい、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記処理液排除工程では、前記基板を回転させることで、前記基板から前記処理液を排除する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記処理液排除工程の実行時間は、所定工程の実行時間よりも長く、
前記所定工程は、前記処理液と同じ処理液であって、前記粒子の混在しない処理液を、回転によって基板から振り切る工程を示す、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記処理液排除工程よりも後であって、前記粒子除去工程よりも前において、前記基板を加熱する基板加熱工程を更に含む、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記懸濁液供給工程よりも前において、薬液を前記基板の上面に供給する薬液供給工程と、
前記薬液供給工程の次に、リンス液を前記基板の上面に供給することで、前記薬液を洗い流すリンス液供給工程と
を更に含み、
前記懸濁液供給工程は、前記リンス液供給工程の次に実行される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
複数の構造物を含むパターンを有する基板を処理する基板処理装置であって、
処理液と、前記処理液に溶解しない複数の粒子とが混在した懸濁液を、前記基板の上面に供給することで、前記懸濁液の液膜を前記基板の上面に形成する懸濁液供給部と、
処理液排除制御を実行する制御部と
を備え、
前記処理液排除制御は、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子を堆積させつつ、前記基板の上面から前記処理液を排除する制御を示す、基板処理装置。
【請求項15】
非液体によって、前記構造物と前記構造物との間に堆積した前記粒子を除去する粒子除去ユニットを更に備える、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
複数の構造物を含むパターンを有する基板を処理する基板処理装置であって、
処理液と、前記処理液に溶解しない複数の粒子とが混在した懸濁液を、前記基板の上面に供給することで、前記懸濁液の液膜を前記基板の上面に形成する懸濁液供給部と、
処理液排除制御を実行する制御部と
を備え、
前記処理液排除制御は、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子を残留させ、前記粒子により前記構造物を支持させつつ、前記基板の上面から前記処理液を排除する制御を示す、基板処理装置。
【請求項17】
前記粒子は、無機物であり、
前記非液体は、薬液の蒸気であり、
前記粒子除去ユニットは、前記基板の上面に前記薬液の蒸気を供給することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去する、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記粒子は、シリカである、請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記粒子は、有機物であり、
前記非液体は、紫外線又はオゾンであり、
前記粒子除去ユニットは、前記基板の上面に前記オゾンを供給することで、又は、前記基板の上面に前記紫外線を照射することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去する、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記粒子は、ポリスチレンである、請求項19に記載の基板処理装置。
【請求項21】
前記処理液は、リンス液である、請求項14から請求項20のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項22】
前記粒子のサイズは、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間隔よりも小さい、請求項14から請求項21のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項23】
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させることで、前記基板を回転させる基板回転部と
を更に備え、
前記処理液排除制御は、前記基板回転部によって前記基板を回転させる制御を示す、請求項14から請求項22のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項24】
前記処理液排除制御の実行時間は、所定工程の実行時間よりも長く、
前記所定工程は、前記処理液と同じ処理液であって、前記粒子の混在しない処理液を、回転によって基板から振り切る工程を示す、請求項23に記載の基板処理装置。
【請求項25】
前記処理液排除制御の実行時よりも後であって、前記粒子除去ユニットによる前記粒子の除去処理よりも前において、前記基板を加熱する基板加熱部を更に備える、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項26】
前記懸濁液供給部による前記懸濁液の供給処理よりも前において、薬液を前記基板の上面に供給する薬液供給部と、
前記薬液供給部による前記薬液の供給処理の次に、リンス液を前記基板の上面に供給することで、前記薬液を洗い流すリンス液供給部と
を更に備え、
前記懸濁液供給部は、前記リンス液供給部による前記リンス液の供給処理の次に、前記基板の上面に前記懸濁液を供給する、請求項14から請求項25のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている基板処理装置では、基板のパターン面に第1処理液を供給して第1湿式処理を実行する。次に、第1湿式処理を受けたパターン面に対して第1処理液の凝固点より高温の昇華性固体粒子を吹き付ける。その結果、パターン面に付着した第1処理液が除去されるとともに、パターン面が昇華性固体粒子で覆われる。次に、パターン面を覆う昇華性固体粒子を固相から気相に昇華させてパターン面から除去する。その結果、基板のパターン面に形成されている凹凸パターンを倒壊させることなく、基板を乾燥できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-152600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている基板処理装置では、凹凸パターンを構成する構造物と構造物との間隔によっては、昇華性固体粒子が構造物と構造物との間に進入し難い場合があり得る。特に、近年、凹凸パターンの微細化が進んでいるので、昇華性固体粒子が構造物と構造物との間に進入し難い場合が増加する可能性がある。例えば、STI(Shallow trench isolation)及びCapacitorのような高アスペクト比の構造物の研究開発が進んでいる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板のパターンを構成する構造物の倒壊を抑制するための粒子を、構造物と構造物との間に容易に進入させることができる基板処理方法及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理方法において、複数の構造物を含むパターンを有する基板を処理する。基板処理方法は、懸濁液供給工程と、処理液排除工程とを含む。懸濁液供給工程において、処理液と、前記処理液に溶解しない複数の粒子とが混在した懸濁液を、前記基板の上面に供給することで、前記懸濁液の液膜を前記基板の上面に形成する。処理液排除工程において、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子が残留(好ましくは堆積)するように、前記基板の上面から前記処理液を排除する。
本発明の一態様においては、前記処理液排除工程は、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子が残留し、前記粒子が前記構造物を支持するように、前記基板の上面から前記処理液を排除することが好ましい。
【0007】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、非液体によって、前記構造物と前記構造物との間に残留(好ましくは堆積)した前記粒子を除去する粒子除去工程を更に含むことが好ましい。
【0008】
本発明の一態様においては、前記粒子は、無機物であり、前記非液体は、薬液の蒸気であることが好ましい。前記粒子除去工程では、前記基板の上面に前記薬液の蒸気を供給することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去することが好ましい。
【0009】
本発明の一態様においては、前記粒子は、シリカであることが好ましい。
【0010】
本発明の一態様においては、前記粒子は、有機物であり、前記非液体は、紫外線又はオゾンであることが好ましい。前記粒子除去工程では、前記基板の上面に前記オゾンを供給することで、又は、前記基板の上面に前記紫外線を照射することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様においては、前記粒子は、ポリスチレンであることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様においては、前記処理液は、リンス液であることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様においては、前記粒子のサイズは、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間隔よりも小さいことが好ましい。
【0014】
本発明の一態様においては、前記処理液排除工程では、前記基板を回転させることで、前記基板から前記処理液を排除することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様においては、前記処理液排除工程の実行時間は、所定工程の実行時間よりも長いことが好ましい。前記所定工程は、前記処理液と同じ処理液であって、前記粒子の混在しない処理液を、回転によって基板から振り切る工程を示すことが好ましい。
【0016】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、前記処理液排除工程よりも後であって、前記粒子除去工程よりも前において、前記基板を加熱する基板加熱工程を更に含むことが好ましい。
【0017】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、前記懸濁液供給工程よりも前において、薬液を前記基板の上面に供給する薬液供給工程と、前記薬液供給工程の次に、リンス液を前記基板の上面に供給することで、前記薬液を洗い流すリンス液供給工程とを更に含むことが好ましい。前記懸濁液供給工程は、前記リンス液供給工程の次に実行されることが好ましい。
【0018】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、複数の構造物を含むパターンを有する基板を処理する。基板処理装置は、懸濁液供給部と、制御部とを備える。懸濁液供給部は、処理液と、前記処理液に溶解しない複数の粒子とが混在した懸濁液を、前記基板の上面に供給することで、前記懸濁液の液膜を前記基板の上面に形成する。制御部は、処理液排除制御を実行する。前記処理液排除制御は、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子を残留(好ましくは堆積)させつつ、前記基板の上面から前記処理液を排除する制御を示す。
本発明の一態様においては、前記処理液排除制御は、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間に前記粒子を残留させ、前記粒子により前記構造物を支持させつつ、前記基板の上面から前記処理液を排除する制御を示すことが好ましい。
【0019】
本発明の一態様においては、基板処理装置は粒子除去ユニットを更に備えることが好ましい。粒子除去ユニットは、非液体によって、前記構造物と前記構造物との間に残留(好ましくは堆積)した前記粒子を除去することが好ましい。
【0020】
本発明の一態様においては、前記粒子は、無機物であり、前記非液体は、薬液の蒸気であることが好ましい。前記粒子除去ユニットは、前記基板の上面に前記薬液の蒸気を供給することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去することが好ましい。
【0021】
本発明の一態様においては、前記粒子は、シリカであることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様においては、前記粒子は、有機物であり、前記非液体は、紫外線又はオゾンであることが好ましい。前記粒子除去ユニットは、前記基板の上面に前記オゾンを供給することで、又は、前記基板の上面に前記紫外線を照射することで、前記構造物と前記構造物との間から前記粒子を除去することが好ましい。
【0023】
本発明の一態様においては、前記粒子は、ポリスチレンであることが好ましい。
【0024】
本発明の一態様においては、前記処理液は、リンス液であることが好ましい。
【0025】
本発明の一態様においては、前記粒子のサイズは、互いに隣り合う前記構造物と前記構造物との間隔よりも小さいことが好ましい。
【0026】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、基板保持部と、基板回転部とを更に備えることが好ましい。基板保持部は、前記基板を保持することが好ましい。基板回転部は、前記基板保持部を回転させることで、前記基板を回転させることが好ましい。前記処理液排除制御は、前記基板回転部によって前記基板を回転させる制御を示すことが好ましい。
【0027】
本発明の一態様においては、前記処理液排除制御の実行時間は、所定工程の実行時間よりも長いことが好ましい。前記所定工程は、前記処理液と同じ処理液であって、前記粒子の混在しない処理液を、回転によって基板から振り切る工程を示すことが好ましい。
【0028】
本発明の一態様においては、基板加熱部を更に備えることが好ましい。基板加熱部は、前記処理液排除制御の実行時よりも後であって、前記粒子除去ユニットによる前記粒子の除去処理よりも前において、前記基板を加熱することが好ましい。
【0029】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、薬液供給部と、リンス液供給部とを更に備えることが好ましい。薬液供給部は、前記懸濁液供給部による前記懸濁液の供給処理よりも前において、薬液を前記基板の上面に供給することが好ましい。リンス液供給部は、前記薬液供給部による前記薬液の供給処理の次に、リンス液を前記基板の上面に供給することで、前記薬液を洗い流すことが好ましい。前記懸濁液供給部は、前記リンス液供給部による前記リンス液の供給処理の次に、前記基板の上面に前記懸濁液を供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、基板のパターンを構成する構造物の倒壊を抑制するための粒子を、構造物と構造物との間に容易に進入させることができる基板処理方法及び基板処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の内部を示す平面図である。
図2】実施形態1に係る処理ユニットの内部を示す側面図である。
図3】(a)は、実施形態1に係る懸濁液の液膜が基板の上面を覆っている状態を示す側面図である。(b)は、(a)に示す懸濁液の一部及び基板の一部を拡大して示す側面図である。
図4】(a)は、実施形態1に係る薬液が基板のパターンを覆っている状態を示す図である。(b)は、実施形態1に係る懸濁液が基板のパターンを覆っている状態を示す図である。(c)は、実施形態1に係る懸濁液から処理液が減少し、パターンを構成する構造物間に粒子が堆積している状態を示す図である。
図5】(a)は、実施形態1に係る懸濁液から処理液が除去され、基板のパターンを構成する構造物間に粒子が堆積している状態を示す図である。(b)は、実施形態1に係る構造物間からの粒子の除去中の状態を示す図である。(c)は、実施形態1に係る粒子が構造物間から除去された状態を示す図である。
図6】(a)は、実施形態1に係る薬液が基板の別のパターンを覆っている状態を示す図である。(b)は、実施形態1に係る懸濁液が基板のパターンを覆っている状態を示す図である。(c)は、実施形態1に係る懸濁液から処理液が減少し、パターンを構成する構造物間に粒子が堆積している状態を示す図である。
図7】(a)は、実施形態1に係る懸濁液から処理液が除去され、基板のパターンを構成する構造物間に粒子が堆積している状態を示す図である。(b)は、実施形態1に係る構造物間からの粒子の除去中の状態を示す図である。(c)は、実施形態1に係る粒子が構造物間から除去された状態を示す図である。
図8】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に係る処理ユニットの内部を示す側面図である。
図10】実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係る粒子除去ユニットを示す模式的断面図である。
図12】本発明の別の実施形態に係る粒子除去ユニットを示す模式的断面図である。
図13】本発明の更に別の実施形態に係る粒子除去ユニットを示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面には、説明の便宜のため、三次元直交座標系(X、Y、Z)を適宜記載している。そして、図中、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0033】
(実施形態1)
図1図8を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置100を説明する。まず、図1を参照して、基板処理装置100を説明する。図1は、基板処理装置100の内部を示す平面図である。図1に示す基板処理装置100は、複数の構造物を含むパターンを有する基板Wを処理する。
【0034】
基板Wは、例えば、半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ)、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。以下、一例として、基板Wは、シリコンウェハである。
【0035】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、複数の処理ユニット1と、制御装置2と、複数の流体ボックス3と、薬液キャビネット4と、粒子除去ユニット5とを備える。
【0036】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間、インデクサーロボットIRと粒子除去ユニット5との間、又は、処理ユニット1と粒子除去ユニット5との間で基板Wを搬送する。処理ユニット1の各々は、薬液によって基板Wを処理する。流体ボックス3の各々は流体機器を収容する。薬液キャビネット4は薬液を収容する。粒子除去ユニット5については後述する。
【0037】
具体的には、所定数の処理ユニット1(図1の例では3つの処理ユニット1)が鉛直方向に積層されて1つのタワーTWを構成している。ただし、図1の例では、複数のタワーTW(図1の例では4つのタワーTW)のうち、1つのタワーTWは、1つの処理ユニット1に代えて1つの粒子除去ユニット5を含む。複数のタワーTWは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される。なお、粒子除去ユニット5の配置は、特に限定されず、例えば、粒子除去ユニット5は、基板処理装置100における専用スペースに配置されていてもよいし、基板処理装置100の外部に配置されていてもよい。また、基板処理装置100は、複数の粒子除去ユニット5を備えていてもよい。
【0038】
複数の流体ボックス3は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。薬液キャビネット4内の薬液は、いずれかの流体ボックス3を介して、流体ボックス3に対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
【0039】
制御装置2は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、処理ユニット1、流体ボックス3、薬液キャビネット4、及び、粒子除去ユニット5を制御する。制御装置2は、例えば、コンピューターである。
【0040】
制御装置2は、制御部21と、記憶部22とを含む。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。記憶部22は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部22は、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを含む。記憶部22は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部22は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0041】
次に、図2を参照して、処理ユニット1を説明する。図2は、処理ユニット1の内部を示す側面図である。
【0042】
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー11と、スピンチャック12と、スピンモーター13と、薬液ノズル14と、ノズル移動部15と、複数のガード16と、懸濁液ノズル17とを含む。また、基板処理装置100は、バルブ6と、配管7と、バルブ8と、配管9とを更に備える。
【0043】
スピンチャック12は、本発明の「基板保持部」の一例に相当する。スピンモーター13は、本発明の「基板回転部」の一例に相当する。薬液ノズル14は、本発明の「薬液供給部」の一例に相当する。懸濁液ノズル17は、本発明の「懸濁液供給部」の一例に相当する。
【0044】
チャンバー11は略箱形状を有する。チャンバー11は、スピンチャック12、スピンモーター13、薬液ノズル14、ノズル移動部15、複数のガード16、懸濁液ノズル17、配管7の一部、及び、配管9の一部を収容する。
【0045】
スピンチャック12は基板Wを保持する。具体的には、スピンチャック12は、基板Wを略水平に保持する。
【0046】
スピンモーター13は、基板Wを保持したスピンチャック12を回転させることで、基板Wを回転させる。具体的には、スピンモーター13は、スピンチャック12を回転軸線AX1の周りに回転させる。従って、スピンチャック12は、基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AX1の周りに基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック12は、スピンベース121と、複数のチャック部材122とを含む。スピンベース121は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材122を支持する。複数のチャック部材122は基板Wを水平な姿勢で保持する。なお、スピンチャック12は、例えば、バキュームチャック、又は、ベルヌーイ効果を利用したベルヌーイチャックであってもよく、特に限定されない。
【0047】
薬液ノズル14は、薬液を基板Wの上面に供給する。具体的には、配管7が薬液ノズル14に薬液を供給する。バルブ6は、配管7に配置される。そして、バルブ6は、配管7の流路を開閉し、薬液ノズル14に対する薬液の供給と供給停止とを切り替える。バルブ6が配管7の流路を開放すると、薬液ノズル14は、薬液を基板Wに向けて供給する。
【0048】
薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、界面活性剤、又は、腐食防止剤である。
【0049】
ノズル移動部15は、薬液ノズル14を昇降したり、薬液ノズル14を回動軸線AX2の周りに水平回動させたりする。ノズル移動部15は、薬液ノズル14を昇降させるために、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。また、ノズル移動部15は、薬液ノズル14を水平回動させるために、例えば、電動モーターを含む。
【0050】
懸濁液ノズル17は、懸濁液を基板Wの上面に供給する。具体的には、配管9が懸濁液ノズル17に懸濁液を供給する。バルブ8は、配管9に配置される。そして、バルブ8は、配管9の流路を開閉し、懸濁液ノズル17に対する懸濁液の供給と供給停止とを切り替える。バルブ8が配管9の流路を開放すると、懸濁液ノズル17は、懸濁液を基板Wに向けて供給する。なお、例えば、配管9は、懸濁液を貯留する懸濁液タンクに接続されている。
【0051】
懸濁液とは、固体粒子が液体中に分散した分散系のことである。懸濁液は、例えば、ゾルである。具体的には、懸濁液は、処理液と、処理液に溶解しない複数の粒子(多数の粒子)とが混在した物質である。処理液が分散媒であり、粒子が分散質である。粒子は固体粒子である。
【0052】
懸濁液の分散媒である処理液は、特に限定されないが、典型的には、リンス液である。リンス液は、薬液、薬液による処理後副産物、及び/又は、異物を、基板Wから洗い流すための液体であって、基板Wに対して化学的に作用しない液体である。
【0053】
リンス液は、例えば、脱イオン水(DIW:Deionzied Water)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0054】
懸濁液の分散媒である処理液は、例えば、有機溶剤であってもよい。有機溶剤は、水溶性であり、リンス液よりも表面張力が小さい。例えば、有機溶剤は、低炭素の1価アルコール、エチレングリコール、または、低級ケトンである。低炭素の1価アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、または、IPA(イソプロピルアルコール)である。なお、処理液が有機溶剤である場合は、例えば、基板Wからリンス液によって薬液を洗い流した後に、懸濁液を基板Wに供給する。
【0055】
懸濁液の分散質である粒子は、分散媒である処理液に溶解しない固体である。粒子は、例えば、無機物又は有機物である。粒子が無機物である場合、粒子は、例えば、シリカ、シリコン、又は、シリコンナイトライドである。シリカは、例えば、二酸化ケイ素等の酸化シリコンである。粒子が有機物である場合、粒子は、例えば、ポリスチレンである。粒子がポリスチレンである場合、懸濁液は、例えば、ポリスチレンラテックスである。
【0056】
なお、例えば、ノズル移動部15と同様の構成のノズル移動部(不図示)によって、懸濁液ノズル17を昇降したり、懸濁液ノズル17を水平回動させたりすることもできる。
【0057】
各ガード16は略筒形状を有する。各ガード16は、基板Wから排出された薬液又は懸濁液を受け止める。
【0058】
次に、図3を参照して、基板Wの上面に形成される懸濁液25の液膜26を説明する。図3(a)は、懸濁液25の液膜26が基板Wの上面を覆っている状態を示す側面図である。図3(b)は、図3(a)に示す懸濁液25の液膜26の一部及び基板Wの一部を拡大して示す側面図である。
【0059】
図3(a)に示すように、懸濁液ノズル17は、懸濁液25を、基板Wの上面に供給することで、懸濁液25の液膜26を基板Wの上面に形成する。
【0060】
図3(b)に示すように、液膜26の厚みt1は、特に限定されないが、例えば、1mm以上4mm以下である。基板Wの厚みt0は、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上1mm以下である。
【0061】
引き続き図3(b)を参照して、懸濁液25を構成する処理液が基板Wから除去されて、懸濁液25を構成する粒子が基板Wに残留する原理を説明する。懸濁液25から処理液を除去する際は、懸濁液ノズル17から基板Wへの懸濁液25の供給を停止し、基板Wを回転させる。
【0062】
液膜26が形成された基板Wが回転されると、液膜26のうち領域261に存在する懸濁液25は、遠心力によって流動する。従って、領域261の懸濁液25が基板Wから振り切られる。その結果、液膜26の液面が下降する。液面が下降して、液膜26のうち領域262に存在する懸濁液25は、基板Wの回転にも拘らず、ほとんど流動しない。従って、領域262では、懸濁液25中の処理液が主に気化することで、液膜26の液面が下降する。よって、懸濁液25中の粒子は液面によって押し下げられる。従って、処理液中に分散していた多数の粒子が基板Wの上面に堆積していく。更に処理液の気化が進行すると、処理液が基板Wから除去され、基板Wの上面には、堆積した多数の粒子が残留する。
【0063】
例えば、領域261は、ミリメートルオーダーの領域である。例えば、領域262は、マイクロメートルオーダーの領域である。領域262は、領域261よりも基板Wに近接している。
【0064】
次に、図1図2図4及び図5を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理方法を説明する。図4(a)は、薬液供給工程において、薬液27が基板WのパターンPTを覆っている状態を示す図である。図4(b)は、懸濁液供給工程において、懸濁液25が基板WのパターンPTを覆っている状態を示す図である。図4(c)は、処理液排除工程において、懸濁液25から処理液251が減少し、パターンPTを構成する構造物23間に粒子が堆積している状態を示す図である。図5(a)は、処理液排除工程の完了後において、懸濁液25から処理液251が除去され、基板WのパターンPTを構成する構造物23間に粒子252が堆積している状態を示す図である。図5(b)は、粒子除去工程において、構造物23間からの粒子252の除去中の状態を示す図である。図5(c)は、粒子除去工程の完了後において、粒子252が構造物23間から除去された状態を示す図である。
【0065】
図4(a)に示すように、基板Wは、パターンPTを有する。つまり、基板Wの上面には、パターンPTが形成されている。パターンPTは、例えば、凹凸パターンである。パターンPTは、複数の構造物23を含む。構造物23は、例えば、微細構造物である。構造物23のアスペクト比ARは、例えば、10以上100以下である。アスペクト比ARは、長さLに対する長さHの比率を示す(AR=H/L)。長さLは、例えば、5nm以上50nm以下である。長さHは、例えば、50nm以上5000nm以下である。長さHは、構造物23の第1方向D1の長さを示す。長さLは、構造物23の第2方向D2の長さを示す。
【0066】
第1方向D1は、基板Wに対して交差する方向を示す。図4(a)の例では、第1方向D1は、基板Wに対して略直交する方向を示す。第2方向D2は、第1方向D1に交差する。図4(a)の例では、第2方向D2は、第1方向D1に略直交する。
【0067】
複数の構造物23のうち、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間隔Gは、例えば、10nm以上100nm以下である。
【0068】
構造物23は、一例として、第1方向D1に沿って延びている。なお、図4(a)は、構造物23を模式化して示しているに過ぎず、構造物23は、基板Wの使用目的に応じた任意の形状及び構成をとり得る。
【0069】
例えば、構造物23は、単層または複数層によって構成される。構造物23が単層によって構成される場合、構造物23は、絶縁層、半導体層、又は、導体層である。構造物23が複数層によって構成される場合、構造物23は、絶縁層を含んでもよいし、半導体層を含んでもよいし、導体層を含んでもよいし、絶縁層と半導体層と導体層とのうちの2以上を含んでもよい。
【0070】
絶縁層は、例えば、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜である。半導体層は、例えば、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜である。導体層は、例えば、金属膜である。金属膜は、例えば、チタン、タングステン、銅、及び、アルミニウムのうちの少なくとも1つを含む膜である。
【0071】
図2及び図4(a)に示すように、まず、薬液供給工程において、薬液ノズル14は、基板Wの上面に薬液27を供給する。その結果、基板Wが薬液によって処理される。
【0072】
次に、図2及び図4(b)に示すように、懸濁液供給工程において、懸濁液ノズル17は、基板Wの上面に懸濁液25を供給する。その結果、基板Wの上面には、懸濁液25の液膜26が形成される。懸濁液25は、処理液251と複数の粒子252(多数の粒子)とが混在した物質である。懸濁液25において、複数の粒子252が処理液251中に分散している。粒子252は、基板Wを乾燥させる際に構造物23が倒壊することを抑制する。この点の詳細は後述する。
【0073】
粒子252の粒径(サイズ)は、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間隔Gよりも小さい。従って、実施形態1によれば、構造物23と構造物23との間に粒子252を容易に進入させることができる。
【0074】
粒子252の粒径(サイズ)は、例えば、数nm以上数十nm以下である。例えば、粒子252の粒径は、20nmである。
【0075】
懸濁液25における粒子252の密度は、例えば、体積分率0.1以上0.9以下である。懸濁液25における粒子252の密度は、例えば、処理液排除工程(図4(c)、図5(a))の完了時に、粒子252が構造物23と構造物23との間の空間SPの「M/10」以上を占めることの可能な値である。Mは実数である。Mは、例えば、「1」であり、「2」が好ましく、「3」が更に好ましく、「4」が更に好ましく、「5」が更に好ましく、「6」が更に好ましく、「7」が更に好ましく、「8」が更に好ましく、「9」が更に好ましく、「10」が最も好ましい。処理液排除工程(図4(c)、図5(a))の完了時に、構造物23と構造物23との間の空間SPを占める粒子252が多いほど、効果的に構造物23の倒壊を抑制できるからである。この点の詳細は後述する。
【0076】
次に、図4(c)に示すように、処理液排除工程において、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252が残留するように、基板Wの上面から処理液251を排除(除去)する。この場合、図3(b)に示す領域262において処理液251が気化することによって、処理液251(懸濁液25)の液面251aが下降している。そして、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252が残留している。従って、実施形態1によれば、基板Wから処理液251を排除する際に、粒子252が構造物23を支持する。その結果、処理液251の表面張力によって構造物23が倒壊することを抑制できる。
【0077】
具体的には、少なくとも構造物23と構造物23との間の処理液251が気化(除去)される期間(以下、「期間T」と記載する。)では、基板WのうちパターンPTが形成された領域全体にわたって、構造物23と構造物23との間に複数の粒子252が堆積している。換言すれば、少なくとも期間Tでは、構造物23と構造物23との間に複数の粒子252が敷き詰められている。更に換言すれば、少なくとも期間Tでは、構造物23と構造物23との間に複数の粒子252が充填されている。従って、複数の構造物23が複数の粒子252によって支持されている。その結果、基板Wから処理液251を排除する際に、処理液251の表面張力によって構造物23が倒壊することを抑制できる。
【0078】
特に、実施形態1では、図4(b)に示すように、懸濁液25を基板Wの上面に供給する。この段階で既に、粒子252は、構造物23と構造物23との間に進入している。そして、図4(c)に示すように、懸濁液25から処理液251を排除する。この場合、処理液251(懸濁液25)の液面251aの下降によって、粒子252がパターンPTに向かって押し下げられる。その結果、基板WのパターンPTを構成する構造物23の倒壊を抑制するための粒子252を、構造物23と構造物23との間に容易に進入及び堆積させることができる。つまり、処理液251によって、構造物23と構造物23との間に粒子252を容易に進入及び堆積させることができる。
【0079】
具体的には、処理液排除工程では、懸濁液25の供給を停止した状態で基板Wを回転させることで、基板Wから処理液251を排除する。従って、実施形態1によれば、簡素な構成によって基板Wから処理液251を容易に排除できる。
【0080】
また、例えば、処理液排除工程の実行時間は、所定工程(以下、「所定工程ST」と記載する。)の実行時間よりも長い。所定工程STは、処理液251と同じ処理液であって、粒子252の混在しない処理液を、回転によって基板から振り切る工程を示す。処理液排除工程の実行時間が所定工程STの実行時間よりも長い理由は、処理液251には粒子252が混在しているため、粒子が混在しない処理液と比較して、処理液251の排除に時間を要するからである。実施形態1では、処理液排除工程の実行時間が所定工程STの実行時間よりも長いため、より確実に基板Wから処理液を排除できる。
【0081】
処理液251がリンス液である場合は、「所定工程ST」はリンス工程(リンス液供給工程)であり、「処理液251と同じ処理液であって、粒子252の混在しない処理液」はリンス液である。「リンス工程(リンス液供給工程)」は、薬液、薬液による処理後副産物、及び/又は、異物を、基板Wから洗い流す工程を示す。
【0082】
具体的には、処理液排除工程では、図2に示す制御部21が、処理液排除制御を実行する。処理液排除制御は、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252を残留させつつ、基板Wの上面から処理液251を排除する制御を示す。この場合、制御部21は、スピンチャック12を回転するようにスピンモーター13を制御する。その結果、基板Wが回転する。この例では、処理液排除制御は、スピンモーター13によって基板Wを回転させる制御を示す。そして、例えば、処理液排除制御の実行時間は、所定工程STの実行時間よりも長い。
【0083】
ここで、処理液排除工程では、粒子252が構造物23と構造物23との間の空間SPの「M/10」以上を占めるように、粒子252を空間SPに残留させる。Mは実数である。Mは、例えば、「1」であり、「2」が好ましく、「3」が更に好ましく、「4」が更に好ましく、「5」が更に好ましく、「6」が更に好ましく、「7」が更に好ましく、「8」が更に好ましく、「9」が更に好ましく、「10」が最も好ましい。
【0084】
次に、図5(a)に示すように、処理液排除工程が完了すると、処理液251が排除されて、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252が残留している。図5(a)の例では、構造物23と構造物23との間に複数の粒子252が堆積している。換言すれば、構造物23と構造物23との間に複数の粒子252が敷き詰められている。更に換言すれば、構造物23と構造物23との間に複数の粒子252が充填されている。
【0085】
次に、図1及び図5(b)に示すように、粒子除去工程において、粒子除去ユニット5は、非液体によって、パターンPTを構成する構造物23と構造物23との間に残留した粒子252を除去する。その結果、実施形態1では、基板Wの乾燥状態を維持したまま、基板Wから粒子252を除去できる。
【0086】
粒子除去工程の第1例~第3例を説明する。第1例では、懸濁液25を構成する粒子252は無機物であり、懸濁液25を構成する処理液251はリンス液である。この場合、粒子除去ユニット5は、気相洗浄(蒸気洗浄)によって、構造物23と構造物23との間に残留した粒子252を除去する。具体的には、粒子除去ユニット5は、基板Wの上面に、非液体(気体)である薬液の蒸気を供給することで、構造物23と構造物23との間から粒子252を除去する。実施形態1によれば、無機物である粒子252を、薬液の蒸気によって基板Wから効果的に除去できる。例えば、処理液251がリンス液で、粒子252がシリカである場合は、粒子除去ユニット5は、基板Wの上面にフッ酸の蒸気を供給することで、構造物23と構造物23との間から粒子252(シリカ)を除去する。この点の詳細は、図11を参照して後述する。
【0087】
第2例では、懸濁液25を構成する粒子252は有機物であり、懸濁液25を構成する処理液251はリンス液である。この場合、粒子除去ユニット5は、基板Wの上面に、非液体(気体)であるオゾンを供給することで、構造物23と構造物23との間から粒子252を除去する。実施形態1によれば、有機物である粒子252をオゾンによって酸化及び分解することで、粒子252を基板Wから効果的に除去できる。例えば、処理液251がリンス液で、粒子252がポリスチレンである場合は、つまり、懸濁液25がポリスチレンラテックスである場合は、粒子除去ユニット5は、基板Wの上面にオゾンを供給することで、構造物23と構造物23との間から粒子252(ポリスチレン)を除去する。この点の詳細は、図12を参照して後述する。
【0088】
第3例では、懸濁液25を構成する粒子252は有機物であり、懸濁液25を構成する処理液251はリンス液である。この場合、粒子除去ユニット5は、基板Wの上面に、非液体(電磁波)である紫外線を照射することで、構造物23と構造物23との間から粒子252を除去する。実施形態1によれば、有機物である粒子252を紫外線によって酸化及び分解することで、粒子252を基板Wから効果的に除去できる。例えば、処理液251がリンス液で、粒子252がポリスチレンである場合は、つまり、懸濁液25がポリスチレンラテックスである場合は、粒子除去ユニット5は、基板Wの上面に紫外線を照射することで、構造物23と構造物23との間から粒子252(ポリスチレン)を除去する。この点の詳細は、図13を参照して後述する。
【0089】
次に、図5(c)に示すように、粒子除去工程が完了すると、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間から粒子252が除去されている。
【0090】
ここで、図1図2図6及び図7を参照して、基板WのパターンPTの他の例を説明する。図6(a)は、薬液供給工程において、薬液27が基板WのパターンPTを覆っている状態を示す図である。図6(b)は、懸濁液供給工程において、懸濁液25が基板WのパターンPTを覆っている状態を示す図である。図6(c)は、処理液排除工程において、懸濁液25から処理液251が減少し、パターンPTを構成する構造物23間に粒子が堆積している状態を示す図である。図7(a)は、処理液排除工程の完了後において、懸濁液25から処理液251が除去され、基板WのパターンPTを構成する構造物23間に粒子252が堆積している状態を示す図である。図7(b)は、粒子除去工程において、構造物23間からの粒子252の除去中の状態を示す図である。図7(c)は、粒子除去工程の完了後において、粒子252が構造物23間から除去された状態を示す図である。以下、図4及び図5を参照して説明した内容と異なる点を主に説明する。
【0091】
図6(a)に示すように、基板Wは、パターンPTを有する。パターンPTにおいて、複数の構造物23の各々は、構造体241と、複数の凸部242とを有する。
【0092】
構造体241は、一例として、第1方向D1に沿って延びている。凸部242は、構造体241から第2方向D2に沿って突出する。複数の凸部242は、第1方向D1に間隔をあけて形成されている。従って、第2方向D2に互いに対向する凸部242と凸部242との間には空間SPXが存在する。なお、図6(a)は、構造物23を模式化して示しているに過ぎず、構造物23は、基板Wの使用目的に応じた任意の形状及び構成をとり得る。
【0093】
図2及び図6(a)に示すように、まず、薬液供給工程において、薬液ノズル14は、基板Wの上面に薬液27を供給する。その結果、基板Wが薬液によって処理される。
【0094】
次に、図2及び図6(b)に示すように、懸濁液供給工程において、懸濁液ノズル17は、基板Wの上面に懸濁液25を供給する。その結果、基板Wの上面には、懸濁液25の液膜26が形成される。
【0095】
粒子252の粒径(サイズ)は、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間隔Gよりも小さい。従って、懸濁液供給工程において、構造物23と構造物23との間に粒子252が進入している。間隔Gは、例えば、第1方向D1に互いに隣り合う構造物23と構造物23とにおいて最も近接する部分の間隔を示す。
【0096】
次に、図6(c)に示すように、処理液排除工程において、互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252が残留するように、基板Wの上面から処理液251を排除(除去)する。例えば、処理液排除工程では、懸濁液25の供給を停止した状態で基板Wを回転させることで、基板Wから処理液251を排除(除去)する。
【0097】
処理液排除工程では、図3(b)に示す領域262において処理液251が気化することによって、処理液251(懸濁液25)の液面251aが下降する。そして、第1方向D1に互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252が残留する。また、第2方向D2に隣り合う凸部242と凸部242との間にも、粒子252が残留する。従って、実施形態1によれば、基板Wから処理液251を排除する際に、粒子252は、構造体241だけでなく、凸部242も支持する。その結果、処理液251の表面張力によって構造体241及び凸部242が倒壊することを抑制できる。
【0098】
具体的には、少なくとも構造物23と構造物23との間の処理液251が気化(除去)される期間Tでは、基板WのうちパターンPTが形成された領域全体にわたって、第1方向D1に隣り合う構造物23と構造物23との間に複数の粒子252が堆積しているとともに、第2方向D2に隣り合う凸部242と凸部242との間に複数の粒子252が充填されている。換言すれば、少なくとも期間Tでは、構造物23と構造物23との間、及び、凸部242と凸部242との間に、複数の粒子252が敷き詰められている。従って、構造物23の構造体241及び凸部242が複数の粒子252によって支持されている。その結果、基板Wから処理液251を排除する際に、処理液251の表面張力によって構造体241及び凸部242が倒壊することを抑制できる。
【0099】
特に、実施形態1では、図6(b)に示すように、懸濁液25を基板Wの上面に供給する。この段階で既に、粒子252は、第1方向D1に隣り合う構造物23と構造物23との間、及び、第2方向D2に隣り合う凸部242と凸部242との間に進入している。そして、図6(c)に示すように、懸濁液25から処理液251を排除する。この場合、処理液251(懸濁液25)の液面251aの下降によって、粒子252がパターンPTに向かって押し下げられる。その結果、粒子252を、構造物23と構造物23との間に粒子252を容易に進入及び堆積させることができるとともに、凸部242と凸部242との間に粒子252を容易に進入及び充填させることができる。
【0100】
次に、図7(a)に示すように、処理液排除工程が完了すると、処理液251が排除されて、第1方向D1に隣り合う構造物23と構造物23との間、及び、第2方向D2に隣り合う凸部242と凸部242との間に粒子252が残留している。図7(a)の例では、構造物23と構造物23との間に複数の粒子が堆積しているとともに、凸部242と凸部242との間に複数の粒子252が充填されている。換言すれば、構造物23と構造物23との間、及び、凸部242と凸部242との間に、複数の粒子252が敷き詰められている。
【0101】
次に、図1及び図7(b)に示すように、粒子除去工程において、粒子除去ユニット5は、非液体によって、パターンPTを構成する構造物23と構造物23との間、及び、凸部242と凸部242との間に残留した粒子252を除去する。その結果、実施形態1では、基板Wの乾燥状態を維持したまま、基板Wから粒子252を除去できる。
【0102】
次に、図7(c)に示すように、粒子除去工程が完了すると、構造物23と構造物23との間、及び、凸部242と凸部242との間から粒子252が除去されている。
【0103】
以上、図4図7を参照して説明したように、懸濁液供給工程、処理液排除工程、及び、粒子除去工程によって、基板WのパターンPTにおける構造物23の倒壊を抑制しつつ、薬液による処理後の基板Wを乾燥できる。
【0104】
ここで、構造物23の倒壊を抑制しつつ基板Wを乾燥する参考例を説明する。第1参考例では、粒子252を含まない有機溶剤(例えばIPA)及び/又は疎水化剤を利用することで、リンス液の表面張力に起因する構造物23の倒壊を抑制する。しかしながら、構造物23の倒壊をより効果的に抑制する技術が要望されている。
【0105】
第2参考例では、昇華技術によって、薬液による処理後の基板Wを乾燥する。昇華技術は、基板Wを薬液によって処理した後に、昇華性物質によってパターンPTを覆う。そして、昇華性物質を気体に昇華させることで、基板Wを乾燥する。具体的には、昇華性物質によってパターンPTを覆う際に、薬液を昇華性物質に置換する必要がある。この場合、例えば、昇華性物質を液体状態で薬液と置換し、その後に、冷却して昇華性物質を固体状態にする。又は、例えば、有機溶剤を揮発させることで、昇華性物質を析出させて固体状態にする。しかしながら、第2参考例では、例えばナノオーダーの構造物23の隙間で凝固点降下が起こることで、昇華性物質が固体状態にならなかったり、パターンPTの種類によって最適な昇華性物質の濃度が変わったりと、状況によっては昇華性物質の性能が安定しない場合があり得る。
【0106】
これに対して、実施形態1では、薬液による処理後に懸濁液25を基板Wに供給し、懸濁液25を構成する粒子252によって、基板Wの乾燥時においてパターンPTの構造物23を支持する。つまり、基板Wの乾燥時において、構造物23が粒子252によって物理的に支持される。その結果、第1参考例と比較して、構造物23の倒壊が更に効果的に抑制される。また、処理液251の下降によって構造物23間に粒子252を堆積させる簡素な手法を用いているため、第2参考例と比較して、構造物23の倒壊を抑制するための性能が安定している。
【0107】
次に、図1図2、及び、図8を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。基板処理装置100が基板処理方法を実行する。基板処理方法においては、複数の構造物23を含むパターンPTを有する基板Wが処理される。図6は、基板処理方法を示すフローチャートである。図6に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S8を含む。工程S1~工程S8は、制御部21による制御に従って実行される。
【0108】
図1図2、及び、図8に示すように、工程S1において、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1に搬入する。そして、処理ユニット1において、スピンチャック12は基板Wを保持する。更に、スピンモーター13は、スピンチャック12を回転させることで、基板Wを回転させる。
【0109】
次に、工程S2において、薬液ノズル14は、薬液を、回転中の基板Wの上面に供給する。工程S2は、本発明の「薬液供給工程」の一例に相当する。
【0110】
次に、工程S3において、懸濁液ノズル17は、懸濁液25を、回転中の基板Wの上面に供給することで、懸濁液25の液膜26を基板Wの上面に形成する。工程S3は、本発明の「懸濁液供給工程」の一例に相当する。
【0111】
特に、懸濁液25を構成する処理液251がリンス液である場合には、工程S3が、リンス工程としても機能する。なぜなら、懸濁液25によって薬液が洗い流されるからである。従って、この場合、リンス工程を省略できるため、基板Wを処理する際の工数を削減できる。
【0112】
次に、工程S4において、基板Wにおいて互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252が残留するように、基板Wの上面から処理液251を排除する。つまり、工程S4において、制御部21は処理液排除制御を実行する。工程S4は、本発明の「処理液排除工程」の一例に相当する。
【0113】
具体的には、工程S4において、スピンモーター13は、スピンチャック12を回転させることで基板Wを回転させる。この場合、図3(b)の領域261の範囲では、遠心力による懸濁液25の流動によって、基板Wから懸濁液25が排除される。そして、図3(b)の領域262の範囲では、懸濁液25を構成する処理液251が気化することによって、基板Wから処理液251が排除される。この場合、少なくとも処理液251が構造物23と構造物23との間から気化する期間Tでは、構造物23と構造物23との間に粒子252が残留する。つまり、構造物23と構造物23との間に粒子252が堆積する。その結果、実施形態1によれば、粒子252によって構造物23が支持されるため、処理液251の表面張力による構造物23の倒壊を抑制できる。また、実施形態1では、処理液251によって、粒子252を構造物23と構造物23との間に容易に進入させることができる。
【0114】
工程S4での基板Wの回転速度は、例えば、工程S2及び工程S3での基板Wの回転速度よりも大きい。回転速度は、例えば、単位時間当たりの基板Wの回転数を示す。スピンモーター13は、工程S4を所定期間実行すると、スピンチャック12の回転を停止させることで、基板Wの回転を停止させる。所定期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に定められる。
【0115】
次に、工程S5において、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1から搬出する。
【0116】
次に、工程S6において、センターロボットCRは、基板Wを粒子除去ユニット5に搬入する。
【0117】
次に、工程S7において、粒子除去ユニット5は、非液体によって、基板Wの構造物23と構造物23との間に残留した粒子252を除去する。
【0118】
次に、工程S8において、センターロボットCRは、基板Wを粒子除去ユニット5から搬出する。そして、基板処理方法は終了する。
【0119】
以上、図8を参照して説明したように、実施形態1に係る基板処理方法によれば、工程S3、工程S4、及び、工程S7によって、基板WのパターンPTにおける構造物23の倒壊を抑制しつつ、薬液による処理後の基板Wを乾燥できる。
【0120】
(実施形態2)
図9及び図10を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置100を説明する。実施形態2に係る基板処理装置100が懸濁液供給工程の前にリンス液供給工程を実行する点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。その他、実施形態2に係る基板処理装置100の全体構成は、図1を参照して説明した実施形態1に係る基板処理装置100の全体構成と同様である。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0121】
図9は、実施形態2に係る処理ユニット1の内部を示す側面図である。図9に示すように、実施形態2に係る処理ユニット1は、図2に示す実施形態1に係る処理ユニット1の構成に加えて、リンス液ノズル31を備える。実施形態2に係る処理ユニット1は、基板加熱部34を更に備えていてもよい。また、実施形態2に係る基板処理装置100は、図1に示す実施形態1に係る基板処理装置100の構成に加えて、配管32及びバルブ33を備える。
【0122】
リンス液ノズル31は、リンス液を基板Wの上面に供給する。具体的には、配管32がリンス液ノズル31リンス液を供給する。バルブ33は、配管32に配置される。そして、バルブ33は、配管32の流路を開閉し、リンス液ノズル31に対するリンス液の供給と供給停止とを切り替える。バルブ33が配管32の流路を開放すると、リンス液ノズル31は、リンス液を基板Wに向けて供給する。リンス液ノズル31は、本発明の「リンス液供給部」の一例に相当する。
【0123】
なお、例えば、ノズル移動部15と同様の構成のノズル移動部(不図示)によって、リンス液ノズル31を昇降したり、リンス液ノズル31を水平回動させたりすることもできる。
【0124】
基板加熱部34は、基板Wを加熱する。図9の例では、基板加熱部34は、基板Wに対して離隔しており、基板Wの下方から基板Wを加熱する。具体的には、基板加熱部34は、スピンベース121と基板Wとの間に配置される。基板加熱部34は、略円板形状を有する。基板加熱部34は、例えば、通電によって発熱するヒーターである。ヒーターは、例えば、発熱体(例えば、抵抗体)を有する。なお、基板Wの上方から基板Wを加熱してもよい。
【0125】
次に、図1図9、及び、図10を参照して、実施形態2に係る基板処理方法を説明する。図10は、基板処理方法を示すフローチャートである。図10に示すように、基板処理方法は、工程S11~工程S20を含む。工程S11~工程S20は、制御部21による制御に従って実行される。
【0126】
図1図9、及び、図10に示すように、工程S11において、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1に搬入する。その他、工程S11は、図8の工程S1と同様である。
【0127】
次に、工程S12において、薬液ノズル14は、薬液を、回転中の基板Wの上面に供給する。つまり、工程S13及び工程S14よりも前において、薬液ノズル14は、薬液を、回転中の基板Wの上面に供給する。具体的には、リンス液ノズル31によるリンス液の供給処理及び懸濁液ノズル17による懸濁液25の供給処理よりも前において、薬液ノズル14は、薬液を、回転中の基板Wの上面に供給する。その他、工程S12は、図8の工程S2と同様である。工程S12は、本発明の「薬液供給工程」の一例に相当する。
【0128】
次に、工程S13において、リンス液ノズル31は、リンス液を、回転中の基板Wの上面に供給することで、基板Wから薬液を洗い流す。つまり、薬液ノズル14による薬液の供給処理の次に、リンス液ノズル31は、リンス液を、回転中の基板Wの上面に供給することで、基板Wから薬液を洗い流す。工程S13は、本発明の「リンス液供給工程」の一例に相当する。
【0129】
次に、工程S14において、懸濁液ノズル17は、懸濁液25を、回転中の基板Wの上面に供給することで、懸濁液25の液膜26を基板Wの上面に形成する。つまり、懸濁液ノズル17は、リンス液ノズル31によるリンス液の供給処理の次に、懸濁液ノズル17は、基板Wの上面に懸濁液25を供給する。その他、工程S14は、図8の工程S3と同様である。工程S14は、本発明の「懸濁液供給工程」の一例に相当する。
【0130】
特に、懸濁液25を構成する処理液251がリンス液である場合は、工程S13と相俟って、より効果的に基板Wから薬液を排出できる。
【0131】
次に、工程S15において、基板Wにおいて互いに隣り合う構造物23と構造物23との間に粒子252が残留するように、基板Wの上面から処理液251を排除する。つまり、工程S15において、制御部21は処理液排除制御を実行する。その他、工程S15は、図8の工程S4と同様である。工程S15は、本発明の「処理液排除工程」の一例に相当する。
【0132】
次に、工程S16において、基板加熱部34は、回転中の基板Wを加熱する。つまり、工程S14よりも後であって、工程S19よりも前において、基板加熱部34は、基板Wを加熱する。具体的には、処理液排除制御の実行時よりも後であって、粒子除去ユニット5による粒子252の除去処理よりも前において、基板Wを加熱する。従って、より確実に基板Wを乾燥させることができる。工程S16は、本発明の「基板加熱工程」の一例に相当する。
【0133】
スピンモーター13は、工程S16を所定期間実行すると、スピンチャック12の回転を停止させることで、基板Wの回転を停止させる。所定期間は、実験的及び/又は経験的に定められる。なお、工程S15と工程S16とが並行して実行されてもよい。
【0134】
次に、工程S17において、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1から搬出する。
【0135】
次に、工程S18において、センターロボットCRは、基板Wを粒子除去ユニット5に搬入する。
【0136】
次に、工程S19において、粒子除去ユニット5は、非液体によって、基板Wの構造物23と構造物23との間に残留した粒子252を除去する。
【0137】
次に、工程S20において、センターロボットCRは、基板Wを粒子除去ユニット5から搬出する。そして、基板処理方法は終了する。
【0138】
以上、図10を参照して説明したように、実施形態2に係る基板処理方法によれば、工程S14、工程S15、工程S16、及び、工程S19によって、基板WのパターンPTにおける構造物23の倒壊を抑制しつつ、薬液による処理後の基板Wを乾燥できる。なお、基板処理方法は工程S16を含まなくてもよい。
【0139】
次に、図11図13を参照して、実施形態1及び実施形態2で使用する粒子除去ユニット5の3つの具体例を説明する。
【0140】
[フッ酸の蒸気による粒子252の除去]
図11は、本発明の一実施形態に係る粒子除去ユニット5を示す模式的断面図である。図11に示す粒子除去ユニット5は、懸濁液25を構成する処理液251がリンス液で、懸濁液25を構成する粒子252がシリカである場合に、処理液251が排除された基板Wの上面にフッ酸の蒸気を供給することで、基板Wの構造物23と構造物23との間から粒子252を除去する。なお、図8の工程S6又は図10の工程S18において、基板Wが粒子除去ユニット5に搬入される。従って、粒子除去ユニット5によって処理される基板Wは、懸濁液25のうちの処理液251(リンス液)が排除されて粒子252(シリカ)が堆積した状態の基板W(図5(a)又は図7(a))である。
【0141】
図11に示すように、粒子除去ユニット5は、処理蒸気の一例であるフッ化水素を含む蒸気を基板Wに供給するベーパ処理ユニットである。粒子除去ユニット5は、フッ酸(液体)を貯留するHFベーパ発生容器4Aと、HFベーパ発生容器4Aを収容する密閉空間SP1が内部に設けられたチャンバー5Aとを含む。HFベーパ発生容器4A内のフッ酸は、HFベーパ発生容器4Aに内蔵されたHFヒーター6Aによって加熱されている。HFベーパ発生容器4A内のフッ酸の温度は、制御部21によって制御される。
【0142】
粒子除去ユニット5は、HFベーパ発生容器4Aの下方に配置されたパンチングプレート7Aと、パンチングプレート7Aの下方に配置されたホットプレート8Aとを含む。ホットプレート8Aは、基板Wの上面がパンチングプレート7Aに対向する基板保持位置(図11に示す位置)で基板Wを水平に保持する。基板Wは、ホットプレート8Aによって加熱されながら支持される。基板Wの温度は、制御部21によって、一定温度に維持される。ホットプレート8Aは、回転軸9Aの上端部に連結されている。モーター等を含む回転駆動機構10Aは、回転軸9Aに連結されている。回転駆動機構10Aが回転軸9Aを回転させると、ホットプレート8Aは、回転軸9Aと共に鉛直軸線まわりに回転する。その結果、ホットプレート8Aに保持されている基板Wが、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線Aaまわりに回転する。
【0143】
粒子除去ユニット5は、ホットプレート8Aの周囲に配置された筒状のベローズ11Aと、ベローズ11Aを上下に伸縮させる伸縮ユニット(不図示)とをさらに含む。ホットプレート8Aは、ベローズ11Aの内側に配置されている。伸縮ユニットは、ベローズ11Aの上端縁がパンチングプレート7Aに当接し、ホットプレート8Aの周囲の空間が密閉される密閉位置(実線で示す位置)と、ベローズ11Aの上端縁がホットプレート8Aの上面よりも下方に退避した退避位置(二点鎖線で示す位置)との間でベローズ11Aを伸縮させる。
【0144】
HFベーパ発生容器4Aは、フッ酸の蒸気(フッ酸の蒸発によって生じた気体)によって満たされたベーパ発生空間SP2と、連通バルブ14Aを介してベーパ発生空間SP2に接続された流路15Aとを含む。HFベーパ発生容器4Aは、第1流量コントローラ16Aおよび第1バルブ17Aが介装された第1配管18Aに接続されている。HFベーパ発生容器4Aは、第1配管18Aを介して第1窒素ガス供給源19Aに接続されている。不活性ガスの一例である窒素ガスは、第1配管18Aを介してベーパ発生空間SP2に供給される。同様に、流路15Aは、第2流量コントローラ20Aおよび第2バルブ21Aが介装された第2配管22Aに接続されている。流路15Aは、第2配管22Aを介して第2窒素ガス供給源23Aに接続されている。窒素ガスは、第2配管22Aを介して流路15Aに供給される。
【0145】
連通バルブ14A、第1バルブ17A、および第2バルブ21Aは、制御部21によって開閉される。連通バルブ14Aおよび第1バルブ17Aが開かれている状態では、ベーパ発生空間SP2を漂うフッ酸の蒸気が、第1窒素ガス供給源19Aからの窒素ガスの流れによって、連通バルブ14Aを介して流路15Aに供給される。従って、全てのバルブ14A、17A、21Aが開かれている状態では、流路15Aに供給されたHFベーパ(フッ酸の蒸気と窒素ガスとを含む気体)が、第2窒素ガス供給源23Aからの窒素ガスの流れによってパンチングプレート7Aに導かれる。よって、HFベーパが、パンチングプレート7Aに形成された多数の貫通孔を通過し、ホットプレート8Aに保持されている基板Wの上面に吹き付けられる。その結果、基板Wの構造物23と構造物23との間に堆積した粒子252(シリカ)が、構造物23と構造物23との間から除去される(図5(b)、図5(c)、図7(b)、図7(c))。
【0146】
また、第2バルブ21Aだけが開かれている状態では、窒素ガスだけが、パンチングプレート7Aに導かれる。その結果、窒素ガスが基板Wの上面に吹き付けられる。基板処理装置100は、さらに、チャンバー5A内の気体を排出する排気ユニット24A(排気手段)を含む。
【0147】
[オゾンによる粒子252の除去]
図12は、本発明の他の実施形態に係る粒子除去ユニット5を示す模式的断面図である。図12に示す粒子除去ユニット5は、懸濁液25がポリスチレンラテックスである場合に、懸濁液25のうちの処理液251が排除された基板Wの上面にオゾンを供給することで、基板Wの構造物23と構造物23との間から粒子252(ポリスチレン)を除去する。なお、図8の工程S6又は図10の工程S18において、基板Wが粒子除去ユニット5に搬入される。従って、粒子除去ユニット5によって処理される基板Wは、懸濁液25のうちの処理液251(リンス液)が排除されて粒子252(ポリスチレン)が堆積した状態の基板W(図5(a)又は図7(a))である。
【0148】
図12に示すように、粒子除去ユニット5は、チャンバー2Bと、蓋部昇降機構31Bと、ホットプレート4Bと、複数のリフトピン51Bと、ピン昇降機構32Bと、オゾンガス供給部6Bと、ガス排出部71Bと、濃度測定部72Bとを備える。制御部21は、粒子除去ユニット5の全体制御を担う。
【0149】
チャンバー2Bは、チャンバー本体21Bと、チャンバー蓋部22Bとを備える。チャンバー本体21Bは、円板状の底板部211Bと、円筒状の本体側部212Bとを備える。チャンバー蓋部22Bは、円板状の天板部221Bと、円筒状の蓋側部222Bとを備える。天板部221Bの下面には、水平方向に広がるシャワープレート223Bが、プレート支持部224Bを介して固定される。シャワープレート223Bには、多数の貫通孔が形成される。蓋側部222Bと本体側部212Bとの間には、Oリング23Bが設けられる。
【0150】
蓋部昇降機構31Bは、チャンバー蓋部22Bを上下方向に昇降する。図12では、蓋側部222Bの下端面と本体側部212Bの上端面とがほぼ接触しており、チャンバー本体21Bの上方がチャンバー蓋部22Bにより閉塞される。図12の状態では、蓋側部222Bの下端面と本体側部212Bの上端面との間が、Oリング23Bにより密閉され、チャンバー2Bの内部において、外部から遮断された処理空間20Bが形成される。蓋部昇降機構31Bでは、例えば、モーター、又は、モーター以外のアクチュエーターが利用されてよい。
【0151】
ホットプレート4Bは、処理空間20Bに配置される。ホットプレート4Bには、電熱線を含むヒーター40Bが設けられる。ヒーター40Bによって、ホットプレート4Bが、所定の設定温度に加熱される。ホットプレート4Bは、チャンバー本体21Bに対して固定される。円板状である底板部211B、天板部221Bおよびホットプレート4Bの中心軸はほぼ同じである。以下の説明では、当該中心軸を中心とする周方向を、単に「周方向」という。
【0152】
ホットプレート4Bには、複数の貫通孔41Bが周方向に一定の角度間隔で配置される。底板部211Bには、上下方向において各貫通孔41Bと重なる位置に貫通孔213Bが設けられる。複数のリフトピン51Bのそれぞれは、貫通孔41Bおよび貫通孔213Bのいずれかの組合せに挿入される。複数のリフトピン51Bの下端は、ピン支持板52Bに固定される。底板部211Bの下方において、各リフトピン51Bの周囲は、ベローズ53Bにより囲まれる。
【0153】
ピン昇降機構32Bは、ステッピングモーターを備え、ピン支持板52Bを上下方向に昇降する。その結果、複数のリフトピン51Bが上下方向に移動する。図12では、複数のリフトピン51Bの先端(上端)がホットプレート4Bの貫通孔41Bの内部に配置される。ピン昇降機構32Bでは、例えば、他の種類のモーター、又は、モーター以外のアクチュエーターが利用されてもよい。
【0154】
粒子除去ユニット5では、複数のリフトピン51Bの先端が貫通孔41Bの内部に配置される際には、基板Wがホットプレート4Bの上面に載置され、水平な姿勢にて保持される。以下、このような保持状態を「第1保持状態」と記載する。また、複数のリフトピン51Bの先端がホットプレート4Bの上面よりも上方に配置される際には、基板Wが複数のリフトピン51Bにより下方から支持され、水平な姿勢にて保持される。以下、このような保持状態を「第2保持状態」と記載する。
【0155】
オゾンガス供給部6Bは、オゾンガス供給源61Bと、ガス供給管62Bと、ガス供給弁63Bと、ガスノズル64Bとを備える。ガスノズル64Bは、ガス供給口641Bを有する。ガスノズル64Bは、ガス供給管62Bを介してオゾンガス供給源61Bに接続される。ガス供給弁63Bを開くことにより、ガスノズル64Bのガス供給口641Bから処理空間20Bにオゾン(O3)ガスが供給される。
【0156】
オゾンガスは、シャワープレート223Bの多数の貫通孔を通過し、基板Wの上面91Bに対して一様に供給される。オゾンガスは、例えば、オゾンを所定のガスで希釈したものである。オゾンガスには、他の種類の酸化性ガス等が混合されてもよい。
【0157】
具体的には、第1保持状態又は第2保持状態において、基板Wの上面91Bにオゾンガスが供給される。その結果、基板Wの構造物23と構造物23との間に堆積した粒子252(ポリスチレン)が、オゾンによって酸化及び分解されて、構造物23と構造物23との間から除去される(図5(b)、図5(c)、図7(b)、図7(c))。
【0158】
ガス排出部71Bは、ガス排出口711Bと、ガス排出管712Bとを備える。処理空間20Bのガスは、ガス排出口711Bおよびガス排出管712Bを介して外部に排出される。ガス排出管712Bには、濃度測定部72Bが接続される。濃度測定部72Bは、処理空間20Bから排出されるガス(排出ガス)における所定成分の濃度を測定する。
【0159】
[紫外線による粒子252の除去]
図13は、本発明の更に他の実施形態に係る粒子除去ユニット5を示す模式的断面図である。図13に示す粒子除去ユニット5は、懸濁液25がポリスチレンラテックスである場合に、懸濁液25のうちの処理液251が排除された基板Wの上面に紫外線を照射することで、基板Wの構造物23と構造物23との間から粒子252(ポリスチレン)を除去する。なお、図8の工程S6又は図10の工程S18において、基板Wが粒子除去ユニット5に搬入される。従って、粒子除去ユニット5によって処理される基板Wは、懸濁液25のうちの処理液251(リンス液)が排除されて粒子252(ポリスチレン)が堆積した状態の基板W(図5(a)又は図7(a))である。
【0160】
図13に示すように、粒子除去ユニット5は、紫外線照射部3Cと、基板保持部5Cと、収容部7Cと、複数の気体供給部10Cと、排気部11Cと、移動機構13Cと、回転機構15Cとを含む。
【0161】
基板保持部5Cは基板Wを保持する。具体的には、基板保持部5Cは、基板Wを水平に保持しながら、基板保持部5Cの回転軸線Abの回りに基板Wを回転させる。回転軸線Abは鉛直方向に略平行であり、基板Wの中心を通る。更に具体的には、基板保持部5Cは、スピンベース51Cと、複数のチャック部材53Cとを含む。複数のチャック部材53Cは基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース51Cは、略円板状又は略円柱状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材53Cを支持する。
【0162】
移動機構13Cは基板保持部5Cを鉛直方向に沿って移動させる。具体的には、移動機構13Cは、第1位置と第2位置との間で、基板保持部5Cを往復移動させる。第1位置は、基板保持部5Cが紫外線照射部3Cに近い位置を示す。図13では、第1位置に位置する基板保持部5Cを図示している。第2位置は、基板保持部5Cが紫外線照射部3Cから遠い位置を示す。第1位置は、紫外線を用いた処理を基板Wに対して行うときの基板保持部5Cの位置である。第2位置は、基板Wの授受を行うときの基板保持部5Cの位置である。移動機構13Cは、例えば、ボールねじ機構を含む。
【0163】
回転機構15Cは、回転軸線Abの回りに基板保持部5Cを回転させる。その結果、基板保持部5Cに保持された基板Wが、回転軸線Abの回りに回転する。回転機構15Cは、例えば、モーターを含む。
【0164】
紫外線照射部3Cと基板保持部5Cとは、回転軸線Abに沿って配置され、互いに対向している。紫外線照射部3Cは、空間SPAを隔てて、基板Wと対向する。紫外線照射部3Cは紫外線を発生する。紫外線照射部3Cは、基板Wの上面に紫外線を照射する。例えば、紫外線照射部3Cは、基板Wの回転中に、基板Wの上面に紫外線を照射する。その結果、基板Wの構造物23と構造物23との間に堆積した粒子252(ポリスチレン)が、紫外線によって酸化及び分解されて、構造物23と構造物23との間から除去される(図5(b)、図5(c)、図7(b)、図7(c))。
【0165】
具体的には、紫外線照射部3Cは、電極33Cと、電極35Cと、石英ガラス板31Cとを含む。電極33Cは略平板状の形状を有している。電極35Cは略板平板状の形状を有している。また、電極35Cは複数の開口351Cを有する。電極35Cは、空間を隔てて電極33Cと対向する。電極35Cは、電極33Cに対して石英ガラス板31C側に位置している。石英ガラス板31Cは基板W側に設けられている。
【0166】
電極33Cと電極35Cとの間の空間には放電用ガスが存在している。そして、電極33Cと電極35Cとの間には高い周波数の高電圧が印加される。その結果、放電用ガスが励起されてエキシマ状態となる。放電用ガスはエキシマ状態から基底状態へ戻る際に紫外線を発生する。紫外線は電極35Cの開口351Cを通過し、さらに石英ガラス板31Cを透過して基板Wに照射される。
【0167】
収容部7Cは、基板保持部5C、移動機構13C、および、回転機構15Cを収容する。そして、紫外線照射部3Cは、収容部7Cの上部開口を塞ぐ。従って、紫外線照射部3Cと収容部7Cとはチャンバーとして機能する。
【0168】
気体供給部10Cの各々は、貫通孔71Cから、不活性ガスを空間SPAに供給する。不活性ガスは、例えば、窒素又はアルゴンである。排気部11Cは、貫通孔73Cから、収容部7Cの内部の気体を排気する。
【0169】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0170】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、基板処理方法及び基板処理装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0172】
5 粒子除去ユニット
12 スピンチャック(基板保持部)
13 スピンモーター(基板回転部)
14 薬液ノズル(薬液供給部)
17 懸濁液ノズル(懸濁液供給部)
21 制御部
31 リンス液ノズル(リンス液供給部)
34 基板加熱部
100 基板処理装置
W 基板
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