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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ケーブルドラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/22 20060101AFI20250212BHJP
   B65H 75/14 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B65H75/22
B65H75/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021068092
(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公開番号】P2022163264
(43)【公開日】2022-10-26
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝明
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-145564(JP,A)
【文献】米国特許第00573486(US,A)
【文献】特開2015-006954(JP,A)
【文献】実開昭58-114270(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/22
B65H 75/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の巻胴部と、
前記巻胴部の軸方向における両端に螺合して固定される円環板状で一対の鍔部と、
前記一対の鍔部の前記軸方向の緩みを規制する係止部と、
を備え
前記係止部は、前記巻胴部の内周面に形成された係合凹部と前記鍔部に形成された係合凹部にそれぞれ係合する複数の係止突起を有する、ケーブルドラム。
【請求項2】
前記巻胴部は、外周面の軸方向における両端に外ネジ部を有し、
前記鍔部は、内周面に内ネジ部を有し、
前記巻胴部の外ネジ部に前記鍔部の内ネジ部が螺合して固定される、請求項1に記載のケーブルドラム。
【請求項3】
前記巻胴部は、前記鍔部の前記軸方向の緩みを弾性付勢により規制する弾性部材を有する、請求項1又は2に記載のケーブルドラム。
【請求項4】
前記巻胴部と前記鍔部は、硬質プラスチック製である、請求項1からのいずれか1項に記載のケーブルドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブル等の長尺で重量のあるケーブル類の巻き取り、搬送に利用されるケーブルドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にケーブルドラムは、鉄製や木製等のものである。鉄製のケーブルドラムとして、特許文献1に記載されたものがある。また、木製のケーブルドラムとして、特許文献2に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載の鉄製のケーブルドラムは、円筒状の胴と、この胴の両端に設けられた鍔と、この鍔を内周側から支える支柱を放射状に組み合わせたスパイラルとを備える。そして、胴と鍔を溶接等により接着している。
【0004】
特許文献2に記載の木製のケーブルドラムは、ケーブルが巻き取られる巻き取り部と、この巻き取り部の両端に固定された円盤状で木製のフランジ部と、この木製のフランジ部に形成されたシャフト穴とを備えている。そして、巻き取り部の両端に木製のフランジ部を固定した後で釘等により係止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-95586号公報
【文献】特開2000-109272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の各ケーブルドラムでは、組み立てた後は簡単に解体することができない。よって、ケーブル類が巻き回されていない空の状態のケーブルドラムを運搬または保管する際は組立てた状態であるため、運搬時にはデットスペースが発生して積載量が少なくなり、運搬効率が悪かった。また、保管時には広大な保管スペースを確保する必要があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、簡単かつ確実に組立て分解することができ、運搬時の積載量の増加と保管時の保管場所の省スペース化を図ることができるケーブルドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係るケーブルドラムは、円筒状の巻胴部と、前記巻胴部の軸方向における両端に螺合して固定される円環板状で一対の鍔部と、前記一対の鍔部の前記軸方向の緩みを規制する係止部と、を備えるものである。
【0009】
前記巻胴部は、外周面の軸方向における両端に外ネジ部を有し、前記鍔部は、内周面に内ネジ部を有し、前記巻胴部の外ネジ部に前記鍔部の内ネジ部が螺合して固定されることが好ましい。
【0010】
前記係止部は、前記巻胴部の内周面に形成された係合凹部と前記鍔部に形成された係合凹部にそれぞれ係合する複数の係止突起を有することが好ましい。
【0011】
前記巻胴部は、前記鍔部の前記軸方向の緩みを弾性付勢により規制する弾性部材を有することが好ましい。
【0012】
前記巻胴部と前記鍔部は、硬質プラスチック製であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単かつ確実に組立て分解することができ、運搬時の積載量の増加と保管時の保管場所の省スペース化を図ることができるケーブルドラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るケーブルドラムの一例を示す斜視図である。
図2】上記ケーブルドラムの平面図である。
図3】上記ケーブルドラムの胴部の斜視図である。
図4】上記胴部の平面図である。
図5】上記ケーブルドラムの鍔部の斜視図である。
図6】上記ケーブルドラムの係止部の斜視図である。
図7】上記胴部と鍔部の螺合前の要部を示す部分断面図である。
図8】上記胴部と鍔部の螺合後の要部を示す部分断面図である。
図9】上記ケーブルドラムを分解して保管した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るケーブルドラムについて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態に係るケーブルドラムの一例を示す斜視図である。図2はケーブルドラムの平面図である。図3はケーブルドラムの胴部の斜視図である。図4は胴部の平面図である。図5はケーブルドラムの鍔部の斜視図である。図6はケーブルドラムの係止部の斜視図である。図7は胴部と鍔部の螺合前の要部を示す部分断面図である。図8は胴部と鍔部の螺合後の要部を示す部分断面図である。図9はケーブルドラムを分解して保管した状態を示す斜視図である。
【0017】
図1図2に示すように、ケーブルドラム1は、円筒状の巻胴部10と、巻胴部10の軸方向Xにおける両端10a,10aに螺合して固定される円環板状で一対の鍔部20,20と、一対の鍔部20,20の軸方向Xの緩みを規制する係止部30と、を備える。
【0018】
図1図4に示すように、巻胴部10は、硬質プラスチック材で円筒状に形成されており、その外周面11に長尺で重量のある電力ケーブル(不図示)が巻き回されるようになっている。また、巻胴部10の外周面11の軸方向Xにおける両端10a,10aに外ネジ部12を有している。この両端側の外ネジ部12,12により、巻胴部10の軸方向Xにおける両端10a,10aの外周面11に一対の鍔部20,20が螺合して固定されるようになっている。
【0019】
さらに、図2図7図8に示すように、巻胴部10の外周面11と外ネジ部12の段差状の各境界垂直部10bには、鍔部20の軸方向Xの緩みをV字状の弾性片部13bの弾性付勢で規制する弾性部材13の基端部13aが等間隔毎に4箇所埋設されている。このV字状の弾性片部13bが鍔部20の内輪23の側面23cを弾性付勢することで、巻胴部10の外ネジ部12と鍔部20の内ネジ部25の螺合状態が緩むことがなく、巻胴部10に鍔部20が簡単かつ確実に固定されるようになっている。
【0020】
また、図1図3に示すように、巻胴部10の内周面14から中央の小径円筒状の軸孔15にかけて複数のリブ16が放射状に延設されている。この放射状に延びる複数のリブ16により、巻胴部10の軽量化及び耐久性(強度)の向上が図れるようになっている。軸孔15は、巻胴部10の中心にあって、ケーブルドラム支持装置の軸棒(不図示)が挿入されることで、電力ケーブルの巻き付け、引き出し時に、軸受としての機能を有する。さらに、図3に示すように、巻胴部10の内周面14の両端側の隣接する2つのリブ16,16間には、後述する係止部30の半円球状の係止突起34と係合する半円球状に凹んだ係合凹部17が等間隔毎に4箇所設けられている。
【0021】
図1図5に示すように、鍔部20は、硬質プラスチック材で円環板状に形成されていて、外輪21と中輪22と内輪23を同心円状に有する。これら外輪21と中輪22と内輪23の各間には、複数のリブ24が放射状に延設されている。この放射状に延びる複数のリブ24により、鍔部20の軽量化及び耐久性(強度)の向上が図れるようになっている。
【0022】
また、図1図5に示すように、鍔部20の内輪23は、内周面23aに内ネジ部25を有している。この鍔部20の内ネジ部25が巻胴部10の外ネジ部12に螺合して固定されることで、一対の鍔部20,20は、巻胴部10の外周面11に巻き回される電力ケーブルを軸方向Xから挟み込みガイドする機能を有する。
【0023】
さらに、図5に示すように、鍔部20の内輪23の外周面24bには、1つのリブ24の両側に、後述する係止部30の半円球状で一対の係止突起36,36と係合する半円球状に凹んだ一対の係合凹部26,26が等間隔毎に4箇所設けられている。この各一対の係合凹部26,26は、鍔部20が巻胴部10に螺合で固定された際に、巻胴部10の係合凹部17と相対向する位置に位置するようになっている。
【0024】
図1図6に示すように、係止部30は、硬質プラスチック材で断面コ字状に形成されていて、台形板状の基板部31と、この基板部31の一方の底辺側から起立した円弧板状の小片部32と、他方の底辺側から起立した円弧板状の大片部33と、を有する。この係止部30の小片部32の内周面32aは、巻胴部10の内周面14に隙間なく当接する湾曲面状になっていて、その中央に巻胴部10の内周面14に形成された係合凹部17に係合する半円球状の係止突起34を有する。
【0025】
また、図1図6に示すように、係止部30の大片部33の内周面33aは、鍔部20の内輪23の外周面23bに隙間なく当接する湾曲面状になっていて、その中央に鍔部20のリブ24が挿入される矩形に切り欠かれたスリット35を有する。さらに、大片部33の内周面33aのスリット35の両側には、鍔部20の内輪23の外周面23bに形成された一対の係合凹部26,26に係合する半円球状で一対の係止突起36,36を有する。そして、巻胴部10の外ネジ部12に鍔部20の内ネジ部25を螺合して固定した状態で、巻胴部10の内周面14と鍔部20の内輪23の外周面23b間に係止部30の小、大片部32,33が挟み込まれるようになっている。この挟み込んだ状態で、巻胴部10の係合凹部17と鍔部20の係合凹部26に、係止部30の各係止突起34,36をそれぞれ係合することで、係止部30は、巻胴部10に対する鍔部20の回り止め部材として機能するようになっている。
【0026】
以上実施形態のケーブルドラム1によれば、巻胴部10の外ネジ部12と鍔部20の内ネジ部25のネジ締結後、巻胴部10と鍔部20の各係合凹部17,26に、係止部30の各係止突起34,36を差し込むことで、ケーブルドラム1が組立てられる。つまり、工具を使用することなく、ケーブルドラム1を簡単かつ確実に組立てることができる。
【0027】
また、ケーブルドラム1を保管する場合には、巻胴部10と一対の鍔部20,20から係止部30を取外し、外ネジ部12と内ネジ部25のネジ締結を解除することで、工具を使用することなく、巻胴部10と鍔部20を分けて、運搬、保管することができる。
【0028】
このように、ケーブルドラム1を簡単かつ確実に組立て、分解することができるため、運搬時の積載量の増加と保管時の保管場所の省スペース化を図ることができる。また、ケーブルドラム1を組み立てる場合、部品点数が少なくて済み、部材の管理、製造が容易である。
【0029】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0030】
すなわち、前記実施形態によれば、巻胴部に電力ケーブルを巻き回したが、巻胴部に通信ケーブル等の他のケーブルを巻き回しても良い。
【0031】
また、前記実施形態によれば、巻胴部及び鍔部に複数のリブを放射状に形成して軽量化と耐久性の向上を図ったが、軽量化と耐久性等の問題がなければ、リブを形成しなくても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 ケーブルドラム
10 巻胴部
10a,10a 両端
12 外ネジ部
13 弾性部材
14 内周面
17 係合凹部
20,20 一対の鍔部
23a 内周面
25 内ネジ部
26 係合凹部
30 係止部
34,36 係止突起
X 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9