(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20250212BHJP
A61F 13/472 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A61F13/56 110
A61F13/472
(21)【出願番号】P 2021133741
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2024-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊島 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】村井 淳
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛大
(72)【発明者】
【氏名】手塚 晴美
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068886(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02284993(GB,A)
【文献】特開2002-078733(JP,A)
【文献】特開2012-010883(JP,A)
【文献】特開2006-296974(JP,A)
【文献】特開2006-247088(JP,A)
【文献】特開2021-070745(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106999323(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第10055901(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収体と、を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、縦方向に沿って、前方域と、着用者の排泄部に対向する中間域と、後方域と、に区分される吸収性物品であって、
前記裏面シートに、横方向に延在し縦方向に間欠配置された複数の止着材を含む止着領域を有し、
複数の前記止着材の一部は、前記止着領域の前端部領域及び後端部領域の少なくとも一方に位置する、複数の前記止着材からなる第1集合体を構成し、
前記第1集合体を構成する複数の前記止着材は、平面視で、前記吸収体に重ならない複数の第1止着材と、前記吸収体の縦方向端部領域と重なる第2止着材と、に区分され、
前記第1集合体において、複数の前記第1止着材は、前記吸収性物品の縦方向端部から内側に向かって位置する順に、その接着力が増加するように配置され、かつ、前記第2止着材は前記第1止着材よりも接着力が高い
吸収性物品。
【請求項2】
複数の前記止着材は、太幅止着材と、該太幅止着材よりも縦方向の寸法が小さい細幅止着材と、に区分され、
前記第1集合体は、複数の前記太幅止着材から構成され、
前記止着領域は、前記第1集合体と、該第1集合体と縦方向に隣り合って位置する、複数の前記細幅止着材からなる第2集合体と、を含む
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記止着領域は、前記止着領域の前記前端部領域及び前記後端部領域それぞれに位置する前記第1集合体と、該両第1集合体の間に位置する前記第2集合体と、からなる
請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
1つの前記太幅止着材と1つの前記細幅止着材との面積差は、1つの前記細幅止着材の面積の2倍以上4倍以下である
請求項2又は3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
複数の前記細幅止着材は、前記中間域に位置し、
複数の前記細幅止着材の配置間隔は、前記細幅止着材の縦方向の寸法と実質的に同じである
請求項2から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1止着材は、個包装体として前記吸収性物品を折り畳む基点となる横方向に延びる折り畳み部よりも縦方向外側に位置する
請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1集合体の複数の前記第1止着材において、該複数の第1止着材間における最大接着力差は、縦方向の最も外側に位置する前記第1止着材の接着力の30%以下である
請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1集合体の複数の前記第1止着材において、隣り合う2つの第1止着材の接着力差は、該隣り合う2つの第1止着材のうち縦方向外側に位置する第1止着材の接着力の5%以上30%以下である
請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記第1集合体を構成する各止着材の接着力は、JIS K6854-3:1999にて規定されるT型剥離法による測定で100cN/25mm以上600cN/25mm以下である
請求項1から8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記第1集合体の複数の前記第1止着材において、複数の前記第1止着材の配置間隔は、前記第1止着材の縦方向の寸法よりも小さい
請求項1から9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンティライナ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品は、表面シートと裏面シートとの間に吸収体が配置されて構成される。吸収性物品には、着用時の製品のずれ等を防止するために下着に固定する止着材が裏面シートに複数設けられている(例えば特許文献1参照)。
一般に、吸収性物品は、包装シートとともに折り畳まれて、個包装体の状態で保管される。着用時、吸収性物品を個包装体からとりだす際、止着材同士が接着してしまうことがあった。また、吸収性物品の交換時等に、下着から吸収性物品を剥離する際、止着材同士が接着してしまい、使用後の吸収性物品を綺麗に丸めることができず破棄しにくいことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個包装体からの吸収性物品の取り出し時や下着からの吸収性物品の剥離時等に、止着材同士が接着しにくい、剥離操作性の良い吸収性物品が望まれている。
【0005】
本発明の課題は、止着材同士が接着しにくい、剥離操作性の良い吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る吸収性物品は、表面シートと、裏面シートと、上記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収体と、を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、縦方向に沿って、前方域と、着用者の排泄部に対向する中間域と、後方域と、に区分される。
上記吸収性物品は、上記裏面シートに、横方向に延在し縦方向に間欠配置された複数の止着材を含む止着領域を有する。
複数の上記止着材の一部は、上記止着領域の前端部領域及び後端部領域の少なくとも一方に位置する、複数の上記止着材からなる第1集合体を構成する。
上記第1集合体を構成する複数の上記止着材は、平面視で、上記吸収体に重ならない複数の第1止着材と、上記吸収体の縦方向端部領域と重なる第2止着材と、に区分される。
上記第1集合体において、複数の上記第1止着材は、上記吸収性物品の縦方向端部から内側に向かって位置する順に、その接着力が増加するように配置され、かつ、上記第2止着材は上記第1止着材よりも接着力が高い。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の吸収性物品によれば、剥離操作時に止着材同士が接着しにくく、剥離操作性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】包装シートとともに折り畳み部で折り畳まれた吸収性物品の個包装体を開封して広げ、該個包装体を表面シート側からみた平面図である。
【
図2】
図1のII-II線で切断した断面図である。
【
図3】上記吸収性物品を裏面シート側からみた平面図であって、裏面シートに配される止着材の構成を示すとともに、吸収体と止着材との位置関係を示す図である。
【
図4】止着材の構成を説明するための吸収性物品の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。ここでは、吸収性物品の一実施形態としてパンティライナを例にあげ、説明する。パンティライナは、一般に生理後期の経血量が少なくなる時期から非生理期間においてショーツ等の下着の股部分における内面に取り付けられ、おりものや経血、又は尿等の体液を吸収するために用いられる。
【0010】
図1に示すように、パンティライナ1は、典型的には、後述する裏面シート3側に包装シート7が配された状態で、後述する横方向Yに延びる折り畳み部を折り畳む基点として折り畳まれて、個包装状態で保管される。該個包装状態のパンティライナ1を個包装体10という。
パンティライナ1は、個包装体10から包装シート7を剥離して使用される。
【0011】
<パンティライナの全体構成>
図1に示すように、本発明の吸収性物品としてのパンティライナ1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yと、縦方向Xと横方向Yに直交する厚み方向Zを有する。パンティライナ1における横方向はパンティライナ1の幅方向に対応する。
なお、本明細書では、パンティライナ1の厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、下着に近い側を下又は非肌側という事がある。また、本明細書において、「肌側面」は、パンティライナ又はその構成部材における、パンティライナの着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側である。「非肌側面」は、パンティライナ又はその構成部材における、パンティライナの着用時に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。
本明細書において、「縦方向X外側」とは、パンティライナ1を縦方向Xに2等分する横中心線CLyから遠ざかる側を意味し、「縦方向X内側」とは、横中心線CLyに近づく側を意味する。「縦方向X前方」又は「前方」とは、縦方向Xにおける前方、つまり着用者の腹側に向かう方向を意味する。同様に、「縦方向X後方」又は「後方」とは、縦方向Xにおける後方、つまり着用者の背側に向かう方向を意味する。
本明細書において、「横方向Y内側」とは、パンティライナ1を横方向Yに2等分する縦中心線CLxに近づく側を意味し、「横方向Y外側」とは、縦中心線CLxから遠ざかる側を意味する。
本明細書において、「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
また、本明細書において、「平面視」とは、厚み方向Zから見た平面視を意味する。
【0012】
パンティライナ1は、縦方向Xに沿って、前方域Fと、中間域Cと、後方域Rと、に区分される。
中間域Cは、着用時に着用者の排泄部に対向する領域である。吸収性物品がパンティライナの場合、「排泄部」は膣口を意味する。
前方域Fは、中間域Cの縦方向X前方(着用者の腹側)に配置される領域であり、着用時に着用者の排泄部の前方に対向するように配置される。
後方域Rは、中間域Cの縦方向X後方(着用者の背側)に配置される領域であり、着用時に着用者の排泄部の後方に対向するように配置される。
パンティライナ1において、前方域F、中間域C及び後方域Rは、パンティライナ1を縦方向Xに三等分に区分した際の各領域に対応する。
【0013】
図1に示すように、パンティライナ1は、縦方向X前方に位置する前端部1Fと、縦方向X後方に位置する後端部1Rと、横方向Y左右に位置する両側縁部1S、1Sと、を有する。
【0014】
パンティライナ1は、横方向Yの寸法が、横中心線CLyから縦方向X外側に向かって、連続的に緩やかに増加した後、前端部1F付近及び後端部1R付近で連続的に減少する外形を有する。パンティライナ1は、角部が丸みを帯びた略矩形状を有する。
【0015】
図2に示すように、パンティライナ1は、吸収体4と、表面シート2と、裏面シート3と、セカンドシート5と、止着材6と、から構成される。
表面シート2はパンティライナ1の肌側面1aを構成する。
裏面シート3はパンティライナ1の非肌側面1bを構成する。
止着材6はパンティライナ1の非肌側面1b、つまり、裏面シート3の非肌側面に設けられる。パンティライナ1は、着用時に着用者の下着の内面に止着材6によって固定される。
【0016】
パンティライナ1は、裏面シート3、吸収体4、セカンドシート5及び表面シート2が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、接着剤やヒートシール等による接合、及び圧搾溝によるエンボス加工等によって、適宜接合されている。
パンティライナ1では、表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3は同大同形状を有し、これらは平面視で重なってパンティライナ1の外形形状を構成する。
【0017】
図1に示すように、パンティライナ1は、横中心線CLyを対称軸として線対称の形状となっており、縦中心線CLxを対称軸として線対称の形状となっている。着用時、パンティライナ1の縦方向X両端部のいずれを前方にしてもよい。
本明細書では、パンティライナ1及び該パンティライナ1を構成する各構成要素において、便宜的に「前」、「後」を使って説明するが、例えば、縦方向Xにおける両端部のいずれもが、着用時に前端部になり得る。
【0018】
<個包装体の構成>
図1に示すように、個包装体10は、パンティライナ1と、包装シート7と、を有する。
包装シート7は、個包装体10の外面を形成するシート状の外装材である。
図1に示す例では、包装シート7は、厚み方向Zから見た平面視において、縦方向Xに長い矩形状に構成される。
包装シート7は、縦方向X前方に位置する前端部7Fと、縦方向X後方に位置する後端部7Rと、横方向Y左右に位置する両側縁部7S、7Sと、を有する。
包装シート7としては、吸収性物品の包装シートとして従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、樹脂製フィルム、不織布、紙等を用いることができる。このような包装シート7はパンティライナ1を構成する吸収体よりも剛性が低く、パンティライナに沿った形状に容易に折り曲げられることが可能である。
【0019】
以下、パンティライナが包装シートとともに折り畳まれる過程について説明する。
まず、
図1に示すように、パンティライナ1は、矩形状の包装シート7上であって、包装シート7の略中央に、止着材6を介して剥離可能に配置される。これにより、パンティライナ1と包装シート7との積層体を得る。
図1に示すように、個包装体10を広げた状態において、パンティライナ1の前端部1Fは、包装シート7の前端部7Fから突出している。そして、パンティライナ1の後端部1Rは包装シート7の後端部7Rよりも縦方向X内側に位置し、包装シート7の後端部7Rは、パンティライナ1の後端部1Rよりも突出している。
【0020】
ここでは、個包装体10が横方向Yに延びる2本の線状の折り畳み部L1及びL2によって縦方向Xに折り畳まれる例をあげる。第1折り畳み部L1及び第2折り畳み部L2は、個包装体10として折り畳む際の折り軸となる。
第1折り畳み部L1は包装シート7の前端部7F寄りに位置し、第2折り畳み部L2は包装シート7の後端部7R寄りに位置する。
本実施形態の個包装体10では、第1折り畳み部L1は、パンティライナ1を縦方向Xに三等分する2つの仮想線のうちの一方の仮想線(前方域Fと中間域Cとの境界に対応する)とほぼ同じ位置に位置する。第2折り畳み部L2は、他方の仮想線(中間域Cと後方域Rとの境界に対応する)よりも縦方向X外側に位置する。
個包装体10において、第1折り畳み部L1より前方の領域を第1折り領域81といい、第1折り畳み部L1と第2折り畳み部L2との間の領域を第2折り領域82といい、第2折り畳み部L2より後方の領域を第3折り領域83という。
【0021】
図1に示すように、個包装体10を折り畳むには、まず、パンティライナ1と包装シート7との積層体を、第1折り畳み部L1を折り軸として、第1折り領域81を第2折り領域82上に折り畳む。
次に、折り畳まれた第1折り領域81及び第2折り領域82上に、第2折り畳み部L2を折り軸として、第3折り領域83を折り重ねる。
そして、折り畳まれた個包装体10の横方向Yの両側縁部に沿って、包装シート7同士が対向して融着接合されてシール領域8が形成される。
これにより、パンティライナ1が縦方向Xに3つ折りされた個包装体10が形成される。
【0022】
尚、個包装体10は、上述の構成に限定されず、例えば包装シート7とパンティライナ1との間に剥離シートを備えていてもよい。
また、上述の構成では、平面視で、パンティライナ1の一端が包装シート7から突出する例をあげたが、突出せず、包装シート7内にパンティライナ1が位置する形態であってもよい。
【0023】
<パンティライナ(吸収性物品)の各部構成>
パンティライナ1を構成する各部構成について説明する。
【0024】
[吸収体]
図1及び
図2に示すように、吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、セカンドシート5と裏面シート3との間に配置される。吸収体4は、体液を肌側面4aから吸収し、内部で拡散させて体液を保持する。
吸収体4としては、パンティライナ、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、パルプ繊維等の繊維材料を含み、かつ、必要に応じ高吸収性ポリマーの粒子を内包する積繊体、パルプ繊維等の繊維材料を含み、かつ必要に応じ高吸収性ポリマーの粒子を内包する吸収紙、2枚の吸収紙の間に高吸収性ポリマーの粒子が配置されてなる吸収シートなどを用いることができる。
【0025】
図2に示すように、吸収体4は、シート状の吸収シートが折り畳まれた状態で配され、2層以上の積層構造を有しているが、折り畳まずに単層構造の吸収体であってもよい。また、吸収体4は、繊維材料を積繊した吸収性コア又は該繊維に吸収性ポリマーの粒子を担持させた混合積繊物である吸収性コアをコアラップシートで被覆したものであってもよい。
【0026】
図1及び
図3に示すように、パンティライナ1において、平面視で、吸収体4は略矩形状を有する。
図3に示すように、吸収体4は、縦方向X前方に位置する前端部4Fと、縦方向X後方に位置する後端部4Rと、横方向Y左右に位置する両側縁部4S、4Sと、を有する。
パンティライナ1において、吸収体4は、前方域F、中間域C及び後方域Rに亘って位置する。
平面視で、吸収体4の縦方向Xの寸法はパンティライナ1の縦方向Xの寸法より短い。吸収体4の前端部4F及び後端部4Rは、それぞれ、パンティライナ1の前端部1F及び後端部1Rより縦方向X内側に位置する。
平面視で、吸収体4の横方向Yの寸法はパンティライナ1の横方向Yの寸法より短い。吸収体4の両側縁部4S、4Sは、それぞれ、パンティライナ1の両側縁部1S、1Sより横方向Y内側に位置する。
図3及び
図4において、平面視で、吸収体4は、前端部4F及びその近傍を含む前端部領域41Fと、後端部4R及びその近傍を含む後端部領域41Rと、を有する。
【0027】
図1及び
図3に示すように、パンティライナ1において、平面視で吸収体4が存在する領域を吸収体存在領域45といい、吸収体4が存在しない領域を吸収体非存在領域46という。
パンティライナ1において、吸収体存在領域45は、吸収体非存在領域46に比して高坪量であり、吸収体非存在領域46と比べて高剛性である。吸収体4の縦方向X端部(前端部4F、後端部4R)は、高剛性領域である吸収体存在領域45と低剛性領域である吸収体非存在領域46との境界となる。
【0028】
平面視で、吸収体4は、縦方向Xの長さが表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3よりも短く、横方向Yの長さが表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3の最狭幅の寸法よりも短くなっている。表面シート2、セカンドシート5及び裏面シート3は、吸収体4の全周縁から外方に延出しており、それらの延出域どうしが互いに接着剤等の接合手段によって接合されている。
【0029】
[表面シート]
表面シート2は、液透過性のシート材として構成され、セカンドシート5の厚み方向Z上方に配置される。表面シート2の肌側面は、パンティライナ1の肌側面1aを構成する。
表面シート2としては、パンティライナ、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート2は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等から構成される。また、柔らかい肌触り等を実現する観点からは、コットン繊維、絹繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、コットン繊維以外のセルロース繊維(麻、ヤシ、パルプ、ワラ)等の天然繊維や、再生繊維、アセテートレーヨンのような半合成繊維などがからなる、またはこれらの繊維が含まれる表面シート2も適用可能である。
【0030】
[セカンドシート]
本実施形態のパンティライナ1のように、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート5が配置されていてもよい。
セカンドシート5は、表面シート2からの体液の引き込みを促進し吸収体4への体液の透過性を向上させ、吸収体4に吸収された体液の表面シート2への液戻りを低減させるなどの役割をするシートである。
セカンドシート5には、パンティライナ、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。セカンドシート5として、例えば親水性不織布や親水性の繊維集合体を用いることができる。不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、レジンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。
セカンドシート5は、平面視で吸収体4よりも大きく、吸収体4を覆うように位置する。セカンドシート5は、表面シート2及び裏面シート3と同一形状を有し、パンティライナ1の全面に配されている。
【0031】
[裏面シート]
裏面シート3は、吸収体4の厚み方向Z下方に配置される。裏面シート3の非肌側面は、パンティライナ1の非肌側面1bを構成する。
裏面シート3としては、パンティライナ、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。
裏面シート3は、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。当該シート材としては、例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、当該フィルムと不織布とのラミネート等を用いることができる。
また、裏面シート3は、透湿性でもよい。
【0032】
[止着材]
図2及び
図3に示すように、裏面シート3の非肌側面には、下着に対してパンティライナ1を固定するための複数の止着材6が設けられている。
止着材6は、粘着剤が塗布されて構成されており、パンティライナ1の使用前の個包装体10の状態においては包装シート7によって被覆されている。
【0033】
図3に示すように、複数の止着材6は、横方向Yに延在し縦方向Xに間欠配置されたストライプパターンで配置されている。パンティライナ1において、平面視で、各止着材6は矩形状を有し、横方向Yの寸法が互いにほぼ同じ寸法を有している。
【0034】
複数の止着材6は、いずれもパンティライナ1の両側縁部1S、1Sから横方向Y内側に所定距離離間した位置に配されている。
複数の止着材6のうち、縦方向Xで最も外側に位置する止着材6(後述する第1太幅止着材61a)は、いずれもパンティライナ1の前端部1F及び後端部1Rから縦方向X内側に所定距離離間した位置に配されている。
【0035】
図4に示すように、本明細書において、複数の止着材6が配置される領域を止着領域30という。該止着領域30は、複数の止着材6全体の外縁を囲んで得られた領域を意味し、隣り合う止着材6間の間隙部分に対応する止着材が位置していない領域を含む。
【0036】
図3に示すように、パンティライナ1において、平面視で、止着領域30は、前方域F、中間域C、後方域Rに亘って位置する。
図4に示すように、止着領域30は、縦方向X前方に位置する前端部30Fと、縦方向X後方に位置する後端部30Rと、横方向Y左右に位置する両側縁部30S、30Sと、を有する。
止着領域30は、前端部30Fを含む前端部30F近傍の前端部領域(以下、前端止着領域という。)31Fと、後端部30Rを含む後端部30R近傍の後端部領域(以下、後端止着領域という。)31Rと、前端止着領域31Fと後端止着領域31Rとの間に位置する中間止着領域31Cと、に区分される。
パンティライナ1において、前端止着領域31Fは、前方域Fに位置する。
後端止着領域31Rは、後方域Rに位置する。
中間止着領域31Cは、前方域Fの一部、中間域C、後方域Rの一部に位置する。
【0037】
止着領域30の縦方向Xの寸法はパンティライナ1の縦方向Xの寸法より短く、止着領域30の横方向Yの寸法はパンティライナ1の横方向Yの寸法より短い。
止着領域30の前後端部30F及び30Rそれぞれと、パンティライナ1の前後端部1F及び1Rそれぞれとは、所定距離離間している。このため、パンティライナ1の前端部1F付近及び後端部1R付近は止着材6が設けられておらず、着用者は、その止着材6が設けられていない部分を指でつまんで、個包装体10の開封時の包装シート7からのパンティライナ1の剥離操作や下着に固定されていたパンティライナ1の剥離操作を容易に行うことができる。
【0038】
また、平面視で、吸収体4は止着領域30内に位置しており、吸収体4の縦方向Xの寸法は止着領域30の縦方向Xの寸法より短く、吸収体4の横方向Yの寸法は止着領域30の横方向Yの寸法より短い。
止着領域30の前端部30F及び後端部30Rは、それぞれ、吸収体4の前端部4F及び後端部4Rよりも縦方向X外側に所定距離離間して位置する。止着領域30の両側縁部30S、30Sそれぞれは、吸収体4の両側縁部4S、4Sよりも横方向Y外側に所定距離離間して位置する。
【0039】
図3に示すように、パンティライナ1において、複数の止着材6は、太幅止着材60と、該太幅止着材60よりも縦方向Xの寸法が小さい細幅止着材63と、に区分される。止着材6の縦方向Xの寸法とは、横方向Yに長手方向を有する止着材6の幅寸法である。
パンティライナ1において、各太幅止着材60は、互いに同形同大の形状を有する。各細幅止着材63は、互いに同形同大の形状を有する。
太幅止着材60、細幅止着材63というように区分する必要がない場合は、止着材6という。
【0040】
図4に示すように、パンティライナ1において、複数の止着材6のうち一部の止着材6は第1集合体Aを構成し、他の止着材6は第2集合体Bを構成する。第1集合体Aと第2集合体Bとは縦方向Xに沿って隣り合って位置する。本実施形態のパンティライナ1では、止着領域30において、縦方向Xに沿って、第1集合体A、第2集合体B、第1集合体Aが順に位置する。
第1集合体Aは、複数の太幅止着材60から構成された太幅集合体である。第1集合体Aは、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rそれぞれに、より詳細には、止着領域30の前端止着領域31F及び後端止着領域31Rそれぞれに位置する。
第2集合体Bは、複数の細幅止着材63から構成された細幅集合体である。第2集合体Bは、前方域Fに位置する第1集合体Aと後方域にRに位置する第1集合体Aとの間に位置する。パンティライナ1において、第2集合体Bは、止着領域30の中間止着領域31Cに位置する。第2集合体Bは、前方域Fの一部、中間域C、後方域Rの一部に亘って位置する。
【0041】
図4に示すように、1つの第1集合体Aを構成する複数の太幅止着材60は、複数の第1止着材としての第1太幅止着材61と、第2止着材としての第2太幅止着材62と、に区分される。
複数の第1太幅止着材61は、平面視で、吸収体4と重ならない止着材である。
第2太幅止着材62は、平面視で、吸収体4の縦方向X端部領域(前端部領域41F、後端部領域41R)と重なる止着材である。
本実施形態のパンティライナ1では、1つの第1集合体Aは、2つの第1太幅止着材61と、1つの第2太幅止着材62とから構成される。
第1太幅止着材61、第2太幅止着材62というように区別する必要がない場合は、太幅止着材60という。
また、本実施形態のパンティライナ1では、1つの第1集合体Aにおいて、該第1集合体Aの一部を構成する2つの第1太幅止着材61のうち、縦方向X外側に位置する第1太幅止着材に符号61aを付し、縦方向X内側に位置する第1太幅止着材に符号61bを付して、説明する。尚、第1太幅止着材61a、第1太幅止着材61bというように区別する必要がない場合は、第1太幅止着材61という。
【0042】
平面視で吸収体4の縦方向X端部領域(前端部領域41F、後端部領域41R)と重なる第2太幅止着材62は、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界付近に位置する。平面視で、縦方向Xにおける吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界は、吸収体4の外縁部分である前端部4F及び後端部4Rに対応する。
【0043】
「第2太幅止着材62が、吸収体4の縦方向X端部領域と重なる」形態には、平面視で、縦方向Xにおいて、第2太幅止着材62が境界を跨って、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との双方に位置する形態を含む他、次の形態も含む。
すなわち、
図3に示すように、平面視で、縦方向Xにおいて、第2太幅止着材62が境界を跨って位置していないが、第2太幅止着材62の縦方向X外側の端部と、吸収体4の縦方向X端部(前端部4F、後端部4R)との距離qが0mm以上3mm以下の形態も含む。
図3及び
図4に示す例では、後者の形態となっており、パンティライナ1において、縦方向Xに関して、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界を前後で挟むように第1太幅止着材61bと第2太幅止着材62が位置している。
【0044】
また、
図3及び4に示すように、パンティライナ1では、縦方向Xに関して、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界を跨ぐように、複数の太幅止着材60から構成される第1集合体Aが前方域F及び後方域Rそれぞれに位置している。
【0045】
<止着材の詳細構成>
[各太幅止着材の接着力の関係及びその作用効果]
第1集合体Aにおいて、複数(本実施形態では2つ)の第1太幅止着材61は、パンティライナ1の縦方向X端部から内側に向かって位置する順に、その接着力が増加するように配置されている。加えて、第2太幅止着材62は第1太幅止着材61よりも接着力が高くなっている。
つまり、パンティライナ1において、第1太幅止着材61a、第1太幅止着材61b、第2太幅止着材62の順に接着力が段々に高くなっている。換言すると、縦方向Xにおいて、パンティライナ1の縦方向Xの端部からパンティライナ1の内側に向かって止着材6による接着力が漸増している構成となっている。
【0046】
ここで、個包装体10を開封し、シール領域8を剥離して広げ、パンティライナ1を包装シート7から剥離して取り出す際、典型的には、着用者は、一方の手で包装シート7を把持し、他方の手の指でパンティライナ1の前端部1F付近(又は後端部1R付近)を摘まんで把持する。そして、着用者は、パンティライナ1を把持した状態で他方の手を縦方向Xにほぼ沿って動かし、前端部1F(又は後端部1R)から後端部1R(又は前端部1F)に向かって順にパンティライナ1を包装シート7から剥離する。着用者が、力加減がわからず、この剥離操作を過度な力で行うと、意図しない止着材6同士の接着が生じる場合がある。
また、下着に固定されたパンティライナ1を下着から剥離する際、典型的には、一方の手で下着を把持し、他方の手の指でパンティライナ1の前端部1F付近(又は後端部1R付近)を摘まんで把持する。そして、着用者は、下着を把持した状態で他方の手を縦方向Xにほぼ沿って動かし、前端部1Fから後端部1R(又は、後端部1Rから前端部1F)に向かって順にパンティライナ1を下着から剥離する。着用者が、力加減がわからず、この剥離操作を過度な力で行うと、意図しない止着材6同士の接着が生じる場合がある。
以下、着用者による、上述の包装シート7からのパンティライナ1の剥離操作や下着からのパンティライナ1の剥離操作を、単に「剥離操作」という。
【0047】
また、パンティライナ1の前方域F及び後方域R付近は、比較的着用者の身体の動きの影響を受けやすい部位であり、身体との擦れや着用時の違和感が特に生じやすい部位である。本実施形態では、パンティライナ1の縦方向X前後端部(前端部1F、後端部1R)付近に吸収体4を配置しないことで、前方域F及び後方域Rの低剛性化、柔軟化を図り、ひいてはパンティライナ1の着用感の向上を図っている。
その一方で、パンティライナ1の縦方向X前後端部(前端部1F、後端部1R)付近は、吸収体4が存在しないことによって低剛性となり、変形しやすくなって、止着材6同士が接着しやすい傾向にある。
【0048】
これに対し、本実施形態のパンティライナ1では、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rに、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界を縦方向Xに跨ぐように、複数の止着材からなる第1集合体Aが位置している。これにより、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rを下着にしっかりと固定することができ、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rのヨレ、ずれ、めくれの発生を抑制しつつ、上記着用感の向上を十分に発揮させることができる。
また、本実施形態のパンティライナ1では、第1集合体Aは相対的に幅広で面積が大きい、複数の太幅止着材60により構成されているので、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rを下着によりしっかりと固定することができ、より一層ヨレ、ずれ、めくれの発生を抑制することができる。
【0049】
加えて、本実施形態のパンティライナ1では、吸収体4が存在しないことで変形しやすくなっている前方域F及び後方域Rに位置する第1集合体Aを構成する複数の太幅止着材60(本実施形態では、第1太幅止着材61a、第1太幅止着材61b、第2太幅止着材62の3つ)は、縦方向Xにおいて縦方向X端部からパンティライナ1の内側に向かって位置する順に、その接着力が漸増している構成となっている。
このような構成とすることで、着用者に対して剥離操作を慎重に行うことを促すことができ、意図しない止着材6同士の接着の発生が抑制され、剥離操作性を向上することができる。
すなわち、パンティライナ1において、第1太幅止着材61bは、第1太幅止着材61aよりも縦方向X内側に位置し、第1太幅止着材61aよりも接着力が高くなるように構成されている。
パンティライナ1の剥離操作では、着用者は、最初に、パンティライナ1の第1太幅止着材61aに対応する部分を包装シート7又は下着から剥離する。次いで、第1太幅止着材61bに対応する部分を剥離することになるが、上記構成とすることで、第1太幅止着材61bに対応する部分を剥離し始めると、着用者は、剥離時のパンティライナ1から受ける抵抗が増加するように感じる。
更に、第2太幅止着材62は、第1太幅止着材61bよりも縦方向X内側に位置し、第1太幅止着材61bよりも接着力が高くなるように構成されている。このため、着用者は、パンティライナ1の第1太幅止着材61bに対応する部分を包装シート7又は下着から剥離した後、第2太幅止着材62に対応する部分を剥離し始めると、剥離時のパンティライナ1から受ける抵抗が更に増加するように感じる。
このように、パンティライナ1から受ける抵抗が増加するような触覚を着用者に与えることで、着用者に対して、過度な力で勢いよく剥離を行わないように剥離操作を慎重に行うよう注意を促すことができる。これにより、意図しない止着材6同士の接着が生じないように剥離操作時の力加減が制御されることとなり、剥離操作性が向上したパンティライナ1とすることができる。
【0050】
また、縦方向X端部から縦方向X内側に向かって接着力が増すように複数の太幅止着材60が配されることで、剥離操作時に、より縦方向X内側に位置する太幅止着材60は、剥離の勢いを抑えるストッパ的な役割を担う。これにより、過度な力で勢いよく剥離されにくくなり、意図しない止着材6同士の接着の発生を抑制することができ、剥離操作性を向上することができる。
【0051】
このように、止着材6同士の接着の発生が抑制されることで、包装シート7からパンティライナ1を剥離する際に、止着材6同士が接着して使用できなくなるといったことを防止することができる。
また、パンティライナ1の破棄においては、典型的には、止着材6により下着に固定されていたパンティライナ1は、下着から剥がされた後、パンティライナ1の肌側面を内側にして丸められ、包装シート7やトイレットペーパー等にくるまれて処分される。下着からパンティライナ1を剥離する際に、止着材6同士の接着の発生が抑制されることで、使用後のパンティライナ1の見た目の不快感が低減される。更に、不規則な形状で固定されることなくパンティライナ1を綺麗な状態で丸めて包装シート7やトイレットペーパー等で包めることができるため破棄しやすく、また、見た目の不快感も低減される。
【0052】
また、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界は、製品剛性差からパンティライナ1の折れ曲がりの起点となりやすく、境界付近は、着用者の動作等でヨレやめくれが発生しやすい部分である。
これに対し、本実施形態のパンティライナ1では、平面視で、縦方向Xに関して、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界を跨るように、複数の太幅止着材からなる第1集合体Aが位置するため、パンティライナ1の折れ曲がりの起点になりやすい境界の近傍を下着にしっかりと固定することができ、該境界を起点とするヨレやめくれが抑制される。
更に、
図3及び
図4に示すパンティライナ1の例では、第1集合体Aにおいて、吸収体存在領域45と吸収体非存在領域46との境界を縦方向X前後で挟むように第1太幅止着材61bと第2太幅止着材62が位置している。このように、折れ曲がりの起点になりやすい境界を縦方向X前後で挟むように第1太幅止着材61b及び第2太幅止着材62が位置して下着にパンティライナ1がしっかりと固定されることで、境界を起点とするヨレやめくれがより一層効果的に抑制される。
加えて、パンティライナ1では、第1太幅止着材61bよりも縦方向X外側に第1太幅止着材61aが位置する、すなわち第1太幅止着材61が複数あることで、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rをより下着にしっかりと固定することができ、ヨレやめくれがより一層効果的に抑制される。
【0053】
このように、本実施形態のパンティライナ1は、剥離操作時においては、止着材同士が接着しにくく剥離操作性に優れたものとなっている。更に、着用時においてはヨレ、ずれ、めくれ等が効果的に抑制されたものとなっている。
【0054】
尚、止着材6の接着力は、後述するJIS K6854-3:1999にて規定されるT型剥離法による接着力の測定によって求めることができる。
【0055】
[細幅止着材の作用効果]
複数の細幅止着材63から構成される第2集合体Bは、
図3に示すように、パンティライナ1の横方向Y中央部の、縦方向Xにおける、前方域Fの一部、排泄対向領域である中間域C、後方域Rの一部に亘って位置する。
パンティライナ1において、平面視で、第2集合体Bが配される領域は、吸収体存在領域45にほぼ対応しており、吸収体4の存在によって比較的剛性の高い領域となる。このような高剛性領域に、相対的に幅狭で面積が小さい細幅止着材63を配することで、太幅止着材を配する場合と比較して、止着材の剛性が加わっても低剛性の領域とすることができる。
これにより、止着材の存在によるごわごわ感が低減され、着用違和感の少ない、柔らかい着用感のパンティライナ1とすることができる。
また、吸収体存在領域45に配置され横方向Yに延在する細幅止着材63は、排泄部対向領域である中間域Cに位置する。該中間域Cは、着用時、着用者の両脚から横方向Y内側に向かう外力が加わる領域である。このような中間域Cに、幅狭である(縦方向Xにおける寸法が小さい)細幅止着材63を配することで、細幅止着材63は、着用時の着用者から加わる横方向Y内側に向かう外力に対する突っかえ棒のように作用しにくくなり、蛇腹のように変形する方向へ応力を緩衝し得るため、細幅止着材63が下着から剥がれにくくなるとともに、ヨレやずれがより一層効果的に抑制される。
【0056】
また、パンティライナ1の中間域Cの横方向Y両側縁部1S、1Sは着用者の脚周りに対応する部位である。本実施形態では、パンティライナ1の中間域Cの横方向Y両側方部に吸収体4及び止着材6を配置しないことで、該部位の柔軟化を図っている。これにより、肌当たりが向上し、着用感が一層向上し得る。
【0057】
このように、パンティライナ1では、縦方向Xの前方域F及び後方域Rに、相対的に幅広で面積の大きい複数の太幅止着材60からなる第1集合体Aが配されることで、吸収体非存在領域46を有し変形しやすくなっている前方域F及び後方域Rのヨレ、ずれ、めくれの発生を効果的に抑制することができるとともに、中間域Cに相対的に幅狭で面積が小さい複数の細幅止着材63(第2集合体B)が配されることで、着用違和感を少なくし、中間域Cのヨレやずれを抑制することができる。
【0058】
[止着材と折り畳み位置との位置関係]
図1に示すように、前方域Fに位置する複数の太幅止着材60(第1集合体Aを構成する。)は、第1折り畳み部L1よりも縦方向X外側に位置する。同様に、後方域Rに位置する複数の太幅止着材60(第1集合体Aを構成する。)は、第2折り畳み部L2よりも縦方向X外側に位置する。
ここで、個包装体10を開封して広げた際、個包装体10の折り畳み時の、折り畳み部L1及びL2での折り皺により、個包装体10の折り畳み状態の形状に戻るように、折り畳み部L1及びL2を基点にして、第1折り領域81及び第3折り領域83が、パンティライナ1の肌側面を内側にして第2折り領域82側に倒れるように折れやすくなっている。
これに対し、本実施形態のパンティライナ1では、個包装体10を開封し広げてパンティライナ1を止着材6により下着に固定した際、折り畳み部L1及びL2よりも縦方向X外側に配された複数の太幅止着材60によって下着にしっかりとパンティライナ1の前方域F及び後方域Rが固定されるので、折り畳み皺によるパンティライナ1の折り畳み状態の形状への戻りが抑制される。これにより、着用時のフィット性が向上する。
【0059】
[各止着材の接着力の関係の詳細]
(各第1太幅止着材の接着力の関係)
第1集合体Aにおいて、複数の第1太幅止着材61間における最大接着力差、つまり、複数の第1太幅止着材61のうち最も縦方向X外側に位置する第1太幅止着材61と最も縦方向X内側に位置する第1太幅止着材61との接着力差は、次のように設定することが好ましい。
複数の第1太幅止着材61間における最大接着力差は、複数の第1太幅止着材61のうち縦方向Xの最も外側に位置する第1太幅止着材61(本実施形態では第1太幅止着材61a)の接着力の好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下である。
このような構成とすることで、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rでのヨレの発生がより一層抑制される。最大接着力差が大きすぎる場合、前方域F及び後方域Rに接着力差によるヨレ起点が形成されやすいが、上記範囲とすることによりヨレ起点となりにくい構成とするができる。
また、上記最大接着力差は、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上である。
このような構成とすることで、着用者は、剥離操作時に、複数の第1太幅止着材61の接着力の違いによる、パンティライナ1から受ける抵抗の変化を認識しやすくなり、過度な力で勢いよく剥離を行わないように剥離操作を慎重に行うよう意識することができる。これにより、意図しない止着材6同士の接着が生じないように剥離操作時の力加減が制御されることとなり、剥離操作性がより向上する。
【0060】
図3に示す本実施形態のパンティライナ1では、上記最大接着力差は、第1集合体Aにおいて、最も縦方向X外側に位置する第1太幅止着材61aと、最も縦方向X内側に位置する第1太幅止着材61bとの接着力差に相当する。
【0061】
更に、第1集合体Aの複数の第1太幅止着材61において、隣り合う2つの第1太幅止着材の接着力差は、次のように設定することが好ましい。
隣り合う2つの第1太幅止着材の接着力差は、隣り合う2つの第1太幅止着材61のうち縦方向X外側に位置する第1太幅止着材の接着力の、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。
このような構成とすることで、前方域F及び後方域Rに接着力差によるヨレ起点が形成されにくく、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rでのヨレの発生が抑制される。
また、隣り合う2つの第1太幅止着材の接着力差は、隣り合う2つの第1太幅止着材61のうち縦方向X外側に位置する第1太幅止着材の接着力の、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。
このような構成とすることで、着用者は、剥離操作時に、複数の第1太幅止着材61の接着力の違いによる、パンティライナ1から受ける抵抗の変化を認識しやすくなり、過度な力で勢いよく剥離を行わないように剥離操作を慎重に行うよう意識することができる。これにより、意図しない止着材6同士の接着が生じないように剥離操作時の力加減が制御されることとなり、剥離操作性がより向上する。
【0062】
図3に示す本実施形態のパンティライナ1の形態においては、第1集合体Aの一部を構成する第1太幅止着材61の数は2つである。この2つの第1太幅止着材61(第1太幅止着材61aと第1太幅止着材61b)は隣り合って配置される。これら隣り合う2つの第1太幅止着材61aと第1太幅止着材61bとの接着力差が、上記範囲にあることが好ましい。
また、パンティライナにおいて、第1集合体Aの一部を構成する複数の第1太幅止着材61の数が3つ以上の場合は、隣り合う2つの第1太幅止着材のグループ毎に、接着力の関係が上記範囲となることが好ましい。
【0063】
(太幅止着材の接着力)
各太幅止着材60それぞれの接着力は、次のように設定することが好ましい。
各太幅止着材60それぞれの接着力は、後述するJIS K6854-3:1999にて規定されるT型剥離法による測定で、好ましくは100cN/25mm以上、より好ましくは150cN/25mm以上である。
このような構成とすることで、着用時に下着からパンティライナ1が剥がれにくくなり、下着へのパンティライナ1の固定を良好なものとすることができ、着用時におけるパンティライナ1のずれやヨレを抑制することができる。
また、各太幅止着材60それぞれの接着力は、後述するJIS K6854-3:1999にて規定されるT型剥離法による測定で、好ましくは600cN/25mm以下、より好ましくは500cN/25mm以下である。
このような構成とすることで、下着からのパンティライナ1の剥離時に、下着に止着材が残りにくく、パンティライナ1を綺麗に下着から剥離することができる。
【0064】
(止着材の接着力の一例)
第1太幅止着材61aの接着力は、好ましくは100cN/25mm以上、より好ましくは150cN/25mm以上であり、好ましくは400cN/25mm以下、より好ましくは300cN/25mm以下である。
第1太幅止着材61bの接着力は、好ましくは200cN/25mm以上、より好ましくは250cN/25mm以上であり、好ましくは500cN/25mm以下、より好ましくは400cN/25mm以下である。
第2太幅止着材62の接着力は、好ましくは300cN/25mm以上、より好ましくは350cN/25mm以上であり、好ましくは600cN/25mm以下、より好ましくは500cN/25mm以下である。
【0065】
パンティライナ1において、上記各第1太幅止着材の接着力の関係、上記太幅止着材の接着力の関係を満たすように、一例として、次のように各止着材6の接着力を設定することができる。
第1太幅止着材61aの接着力は、320cN/25mmである。
第1太幅止着材61bの接着力は、400cN/25mmである。
第2太幅止着材62の接着力は、480cN/25mmである。
【0066】
(接着力を異ならせるための方法)
各太幅止着材60の接着力を異ならせる方法としては、例えば止着材を構成する粘着剤の坪量を異ならせることにより実現することができる。以下、坪量の一例をあげるが、これに限定されない。
第1太幅止着材61aの坪量は、例えば40g/m2である。
第1太幅止着材61bの坪量は、例えば50g/m2である。
第2太幅止着材62の坪量は、例えば60g/m2である。
このように、各太幅止着材60の坪量を、パンティライナ1の縦方向X端部から内側に向かって位置する順に段階的に増加させることによって、各太幅止着材60の接着力を縦方向X端部から内側に向かって位置する順に段階的に増加するように構成することができる。
【0067】
(接着力の測定方法)
止着材6の接着力は、JIS K6854-3:1999にて規定されるT型剥離法により測定される。以下、測定方法について説明する。
ここでいう「接着力」は、止着材6の所定の被着体に対する接着力である。T型剥離法による測定は、被着体として染色堅牢度試験布(綿金巾3号)を用いる。測定環境は、室温25±1℃、湿度50%±5%RHとする。被着体はサンプル幅よりも大きくなるように矩形に切り出したものとする。本実施例では、製品長さ160mm、製品幅60mm(最小幅57mm)に対し、止着材幅が45mmで間欠配置されているパンティライナを使用して接着力を測定した。接着力を測定する際には、止着材幅が25mmとなるように調整した。つまり、止着材幅が25mmを超える場合は、止着材幅が25mmとなるようにタルクや塵紙等を用い調整した後、接着力を測定する。被着体の上に測定対象の止着材を含むサンプルを、該止着材側(吸収性物品の非肌側面)が該被着体と重なるように載置し、2kgのローラーを該サンプル上にて一往復させて、該サンプルとその下方の該被着体とを止着材を介して圧着する。こうして圧着されたサンプルと被着体との積層体を、引張試験機(オリエンテック(株)製テンシロン引張試験機RTC-1210A)のチャック間(チャック間距離30mm)に装着し、該積層体がJIS K6854-3:1999で定めるT型となるようにこれを支えながら、引張速度300mm/分で該積層体をその長手方向に引っ張ってサンプルと被着体とに剥離し、その際の引張荷重(最大荷重)を記録する。測定は5回行い、それらの平均値を、止着材のT型剥離法による横方向Yの長さ25mm当たりの接着力とする。該接着力は、各止着材1つ1つにおける、横方向Yの長さ当たりの5回平均接着力である。
【0068】
(止着材における粘着剤の坪量の測定方法)
各止着材6の塗布量(g)から止着材の平面視における面積(m2)を除することによって求めることができる。
【0069】
[止着材の大きさ及び配置]
(太幅止着材と細幅止着材との面積の関係)
1つの太幅止着材60と1つの細幅止着材63との面積差は、細幅止着材63の面積の2倍以上4倍以下であることが好ましい。
4倍より大きいというように面積差が大きすぎる場合、着用時、着用者の動作等により加わる外力が太幅止着材60に集中しやすくなって、下着からパンティライナ1が剥がれてしまう場合がある。
これに対し、4倍以下とすることによって、外力が太幅止着材60に集中しにくくすることができ、着用時の下着からのパンティライナ1の剥がれが抑制される。
また、面積差を2倍以上とすることにより、着用違和感を少なくしつつ、ヨレ、ずれ、めくれを効果的に抑制することができる。
【0070】
(細幅止着材の配置間隔)
縦方向Xに沿って間欠配置される複数の細幅止着材63の配置間隔は、細幅止着材63の幅寸法(縦方向Xの長さ)と実質的に同じであることが好ましい。
ここで、「実質的に同じ」とは、配置間隔と細幅止着材63の幅寸法との差が、細幅止着材63の幅寸法の±10%未満をいう。また、「配置間隔」とは、隣り合う2つの細幅止着材63間の、止着材の存在しない間隙部分における縦方向Xの長さを示す。なお、細幅止着材63の辺が波形状である場合や一部突出した形状である場合には、配置間隔は縦方向Xの長さにおいて、止着材の存在しない間隙部分が最小となる部分である。このとき、細幅止着材63の幅は縦方向Xの長さにおいて、止着材幅が最大となる部分である。
このような配置間隔とすることで、着用時、中間域Cを含む、パンティライナ1の細幅止着材63が配置される領域が、下着から浮きにくくなり、着用違和感を低減することができる。加えて、上記配置間隔とすることで、透湿性の裏面シート3を用いてパンティライナ1を構成する場合、裏面シート3の透湿効果を阻害しにくく、パンティライナ1が吸収した液に由来する蒸気が、裏面シート3側から蒸発しやすくなる。これにより、パンティライナ1の着用時の蒸れを低減することができ、快適な着用感のパンティライナ1とすることができる。
【0071】
(第1太幅止着材の配置間隔)
縦方向Xに沿って間欠配置される複数の第1太幅止着材61の配置間隔は、第1太幅止着材61の幅寸法(縦方向Xの長さ)よりも小さいことが好ましい。
「配置間隔」とは、隣り合う2つの第1太幅止着材61間の、止着材の存在しない間隙部分における縦方向Xの長さである。
着用時、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rは、個包装体時の折り畳み部L1及びL2によって形成される折り癖により、下着から浮きやすい傾向にあるが、複数の第1太幅止着材61を上記配置間隔で配置することで、パンティライナ1の前方域F及び後方域Rが下着からより浮きにくくなり、着用違和感が低減され得る。
【0072】
(各構成の寸法の一例)
以下、
図1、3及び4を参照して、全長が160mmのパンティライナ1における各構成の寸法の一例をあげる。尚、パンティライナ1の全長によって、各構成の寸法は適宜設定され得、以下にあげる数値に限定されない。
【0073】
図3に示すように、パンティライナ1の縦方向Xにおける寸法dは160mmである。
パンティライナ1の横方向Yにおける寸法が最も大きい幅広部の寸法eは60mmであり、横方向Yにおける寸法が最も小さい幅狭部の寸法rは57mmである。
【0074】
図3に示すように、止着領域30の縦方向Xにおける寸法iは134mmである。寸法iは、複数の止着材6のうち縦方向X前後それぞれにおける最も外側に位置する止着材6(本実施形態では第1太幅止着材61)の縦方向X外側の端部間距離である。
止着領域30の横方向Yにおける寸法jは45mmである。本実施形態では、複数の止着材の横方向Yの寸法はいずれも同じ寸法であり、寸法jは、止着材6の横方向Yの寸法ともいえる。
【0075】
図3及び
図4に示すように、パンティライナ1の側縁部1Sと止着領域30の側縁部30Sとの間の領域(ドライエッジ領域)の横方向Yにおける寸法は、着用時のパンティライナ1のめくれの発生を抑制する観点から10mm以下であることが好ましく、着用時に着用者の肌に止着材が付着しにくくする観点から3mm以上であることが好ましい。3mm以上とすることで、着用時の着用者からの横方向Y内側に向かう外力などでパンティライナ1がめくれても、止着材が肌に付着しにくいので、止着材の肌への付着による不快感や肌あれ等が生じにくい。
一例として、パンティライナ1において、パンティライナ1の側縁部1Sと止着領域30の側縁部30Sとの間の領域(ドライエッジ領域)の横方向Yにおける寸法の最大幅hは7.5mmであり、最小幅tは6mmである。
【0076】
図3及び4に示すように、止着領域30の縦方向X端部(前端部30F、後端部30R)とパンティライナ1の縦方向X端部(前端部1F、後端部1R)との縦方向Xにおける距離gは、着用時のパンティライナ1のめくれの発生を抑制する観点から、15mm以下であることが好ましい。
距離gは、剥離操作性の観点から、5mm以上であることが好ましい。これにより、着用者がパンティライナ1の端部を指で摘まんで把持しやすくなり剥離操作性が向上するとともに、指が止着材に触れにくくなって粘着質の止着材に触れることによる不快感が生じにくい。
一例として、距離gは13mmである。
【0077】
図3に示すように、太幅止着材60の縦方向Xにおける寸法kは6mmである。
細幅止着材63の縦方向Xにおける寸法mは2mmである。
複数の太幅止着材60における、隣り合う2つの太幅止着材60の配置間隔nは3mmである。
複数の細幅止着材63における、隣り合う2つの細幅止着材63の配置間隔pは2mmである。
第2太幅止着材62と、これに隣り合う細幅止着材63との配置間隔uは2mmである。
【0078】
図1を参照して、個包装体10を開封し拡げた状態において、第1折り領域81の縦方向Xの寸法は52.5mmであり、第2折り領域82の縦方向Xの寸法は65mmであり、第3折り領域83の縦方向Xの寸法は、52.5mmである。
個包装体10を開封し拡げた状態において、包装シート7の縦方向Xの寸法は、162mmである。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品としてパンティライナ(おりものシート)の例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、尿取りパットや生理用ナプキン等であってもよい。
【0080】
また、上述の実施形態において、各第1集合体Aにおいて、第1太幅止着材61を2つ有する例をあげたが、3つ以上有してもよく、パンティライナ1及び吸収体4の大きさに応じて適宜その数を設定することができる。
【0081】
また、上述の実施形態のパンティライナ1においては、複数の止着材が、互いに縦方向Xにおける寸法(幅寸法)が異なる2種類の、太幅止着材と細幅止着材に区分される例をあげたが、これに限定されない。例えば、複数の止着材が、互いに縦方向Xにおける寸法が異なる3種類以上に区分されてもよいし、いずれも縦方向Xにおける寸法が同じであってもよい。
また、上述の実施形態のパンティライナ1においては、止着領域の前端部領域及び後端部領域の両方に第1止着材が位置する例をあげたが、止着領域の前端部領域及び後端部領域のいずれか一方に第1止着材が位置してもよい。
少なくとも、吸収性物品において、止着領域の前端部領域及び後端部領域の少なくとも一方に、平面視で、吸収体に重ならない複数の第1止着材と、吸収体の縦方向端部領域と重なる第2止着材とから構成された第1集合体が配され、該第1集合体を構成する複数の第1止着材及び第2止着材が、吸収性物品の縦方向端部から内側に向かって位置する順に、その接着力が増加するように配置されていればよい。
【0082】
このような構成とすることで、剥離操作時、吸収性物品から受ける抵抗が増加するような触覚を着用者に与え、着用者に対して、過度な力で勢いよく剥離を行わないように剥離操作を慎重に行う意識を生じさせることができる。これにより、意図しない止着材同士の接着が生じないように剥離操作時の力加減が制御されることとなり、剥離操作性が向上した吸収性物品とすることができる。
【0083】
尚、下着からの吸収性物品の剥離操作は、一般的には、吸収性物品の前端部付近を指で把持し、前方から後方に向かって順に下着から吸収体物品を剥がしていくことが多いので、第1集合体は、止着領域の少なくとも前端部領域に設けられることが好ましい。
【0084】
また、上記実施形態のパンティライナ1のように、吸収性物品の前後端部のいずれを前方にむけて下着に固定してもよい構成となっている、横中心線CLyを対称軸に線対称の形状である吸収性物品の場合は、止着領域の前端部領域及び後端部領域の双方に第1集合体があることで、どちらを前方にして吸収性物品を下着に固定したとしても、剥離操作性向上が可能な吸収性物品とすることができる。
【0085】
また、上述の実施形態のように、止着領域の前端部領域及び後端部領域の双方に第1集合体が位置する構成とすることで、吸収性物品の前端部付近が指で把持されて前方から後方に向かって順に下着から吸収体物品を剥がしていく場合と、吸収性物品の後端部が指で把持されて後方から前方に向かって順に下着から吸収体物品を剥がしていく場合のいずれにおいても、剥離操作性を向上させることが可能である。
【0086】
また、上述の実施形態では、横中心線CLyを対称軸に線対称の形状であるパンティライナの例をあげたが、非線対称の形状であってもよい。
このような形状の場合、典型的には、着用時に前方にくる端部がどちらかが決まっているので、一般的に前方から後方に向かっての剥離操作が多いことを考慮して、第1集合体を、止着領域の少なくとも前端部領域に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0087】
1…パンティライナ(吸収性物品)
1F…パンティライナの前端部(吸収性物品の縦方向端部)
1R…パンティライナの後端部(吸収性物品の縦方向端部)
2…表面シート
3…裏面シート
4…吸収体
41F…吸収体の前端部領域(吸収体の縦方向端部領域)
41R…吸収体の後端部領域(吸収体の縦方向端部領域)
6…止着材
60…太幅止着材(止着材)
61…第1太幅止着材(第1止着材)
62…第2太幅止着材(第2止着材)
63…細幅止着材(止着材)
30…止着領域
31F…前端止着領域(止着領域の前端部領域)
31R…後端止着領域(止着領域の後端部領域)
A…第1集合体
F…前方域
C…中間域
R…後方域