(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、案内要否判定方法、案内要否判定プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20250212BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20250212BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20250212BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G09B29/00 F
G09B29/10 A
G08G1/0969
(21)【出願番号】P 2021152451
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2024-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】千田 友彦
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-340603(JP,A)
【文献】特開2009-68873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G09B 29/00 - 29/14
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する記憶部と、
複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の位置情報に基づいて、前記地図情報に示される交差点を通過する複数の車両の操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記複数の車両の操作情報に基づいて、前記交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記交差点における案内の要否を推定する推定部と、
を備え
、
前記交差点が進入路側から見た場合に少なくとも二方向に退出できる場合に、
前記判定部が、前記交差点を前記進入路側から進入した車両であって、右方向へのウィンカ操作を受け付けて前記二方向のうち前記進入路側から見て右側の道路へ退出した車両と、ウィンカ操作なしで前記二方向のうち前記進入路側から見て左側の道路へ退出した車両とがあると判定したときには、前記推定部は、前記右側の道路へ退出する車両に対しては案内が必要であると推定し、前記左側の道路へ退出する車両に対しては案内が不要であると推定する
情報処理装置。
【請求項2】
地図情報を記憶する記憶部と、
複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の位置情報に基づいて、前記地図情報に示される交差点を通過する複数の車両の操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記複数の車両の操作情報に基づいて、前記交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記交差点における案内の要否を推定する推定部と、
を備え、
前記交差点が進入路側から見た場合に少なくとも二方向に退出できる場合に、
前記判定部が、前記交差点を前記進入路側から進入した車両であって、左方向へのウィンカ操作を受け付けて前記二方向のうち前記進入路側から見て左側の道路へ退出した車両と、ウィンカ操作なしで前記二方向のうち前記進入路側から見て右側の道路へ退出した車両とがあると判定したときには、前記推定部は、前記左側の道路へ退出する車両に対しては案内が必要であると推定し、前記右側の道路へ退出する車両に対しては案内が不要であると推定する
情報処理装置。
【請求項3】
地図情報を記憶する記憶部と、
複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の位置情報に基づいて、前記地図情報に示される交差点を通過する複数の車両の操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記複数の車両の操作情報に基づいて、前記交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記交差点における案内の要否を推定する推定部と、
前記推定部が推定した推定結果に基づいて、前記地図情報の前記交差点に対する情報として、前記交差点に対する進入路と退出路と案内の要否を示す情報とを対応付けて、前記地図情報に登録する登録部、を備える
情報処理装置。
【請求項4】
前記交差点が進入路側から見た場合に少なくとも二方向に退出できる場合に、
前記判定部が、前記交差点を前記進入路側から進入した車両であって、右方向へのウィンカ操作を受け付けて前記二方向のうち前記進入路側から見て右側の道路へ退出した車両と、ウィンカ操作なしで前記二方向のうち前記進入路側から見て左側の道路へ退出した車両とがあると判定したときには、前記推定部は、前記右側の道路へ退出する車両に対しては案内が必要であると推定し、前記左側の道路へ退出する車両に対しては案内が不要であると推定する
ことを特徴とする請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記交差点が進入路側から見た場合に少なくとも二方向に退出できる場合に、
前記判定部が、前記交差点を前記進入路側から進入した車両であって、左方向へのウィンカ操作を受け付けて前記二方向のうち前記進入路側から見て左側の道路へ退出した車両と、ウィンカ操作なしで前記二方向のうち前記進入路側から見て右側の道路へ退出した車両とがあると判定したときには、前記推定部は、前記左側の道路へ退出する車両に対しては案内が必要であると推定し、前記右側の道路へ退出する車両に対しては案内が不要であると推定する
ことを特徴とする請求項
3又は
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、
前記位置情報取得部は、一の車両が現在走行している位置を示す位置情報を取得し、
前記位置情報が前記交差点に対して進入する所定距離前において、前記推定部が案内が必要であると推定した場合に案内情報を出力し、前記推定部が案内が必要でないと推定した場合に案内情報を出力しない出力部、を備える
ことを特徴とする請求項
3~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記操作情報取得部は、前記複数の車両の情報として、前記複数の車両各々のCAN(Controller Area Network)情報を取得するものであって、
前記交差点を通過する際の前記車両のハンドル操作情報を前記CAN情報から取得するハンドル操作情報取得部と、
前記交差点に進入する前の前記車両のウィンカ操作情報を前記CAN情報から取得するウィンカ操作情報取得部と、を備え、
前記判定部は、前記ハンドル操作情報に基づいて、前記車両が、直進したか否か、右左折したか否かを特定するとともに、前記ウィンカ操作情報に基づいて、ウィンカを出したか否かを特定して、前記交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項
1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
交差点を通過する複数の車両の情報を取得する取得ステップと、
前記車両の位置情報に基づいて、記憶部に記憶されている地図情報に示される前記交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果に基づいて、前記交差点における案内の要否を推定する推定ステップと、
前記推定ステップが推定した推定結果に基づいて、前記地図情報の前記交差点に対する情報として、前記交差点に対する進入路と退出路と案内の要否を示す情報とを対応付けて、前記地図情報に登録する登録ステップと、
を実行する案内要否判定方法。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得機能と、
交差点を通過する複数の車両の情報を取得する取得機能と、
前記車両の位置情報に基づいて、記憶部に記憶されている地図情報に示される前記交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能による判定結果に基づいて、前記交差点における案内の要否を推定する推定機能と、
前記推定機能が推定した推定結果に基づいて、前記地図情報の前記交差点に対する情報として、前記交差点に対する進入路と退出路と案内の要否を示す情報とを対応付けて、前記地図情報に登録する登録機能と、
を実現させる案内要否判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点に対する進入路と退出路の経路が、車両運転の際の案内が必要な経路か否かを判定する情報処理装置、案内要否判定方法、案内要否判定プログラム、及び当該案内要否判定プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムにおいて、経路案内において、右左折や直進等の案内をすべきか否かは、ナビゲーションシステムにおいて利用される地図情報に登録されている情報に基づいて行われる。特に交差点等において、どの方向に退出するのかドライバが迷う可能性が高い場所では、案内を行う。特許文献1には、センターライン等の道路標示に基づいて、交差点における案内の要否を判定する技術が開示されている。また、特許文献2には、ウィンカの使用有無に基づいて、経路案内不要のリンクを特定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-340603号公報
【文献】特開2019-168362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に示すようなセンターラインの道路標示からだけでは、経路案内の要否の判定が不明な交差点が存在する。また、特許文献2に記載のように単純にウィンカの使用の有無だけからでは経路案内の要否を特定できない場合もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも精度よく交差点における案内の要否を判定することができる情報処理装置、案内要否判定方法、案内要否判定プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、地図情報を記憶する記憶部と、複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、車両の位置情報に基づいて、地図情報に示される交差点を通過する複数の車両の操作情報を取得する操作情報取得部と、複数の車両の操作情報に基づいて、交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果に基づいて、交差点における案内の要否を推定する推定部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る案内要否判定方法は、コンピュータが、複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、交差点を通過する複数の車両の情報を取得する取得ステップと、車両の位置情報に基づいて、記憶部に記憶されている地図情報に示される交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップによる判定結果に基づいて、交差点における案内の要否を推定する推定ステップと、を実行する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る案内要否判定プログラムは、コンピュータに、複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得機能と、交差点を通過する複数の車両の情報を取得する取得機能と、車両の位置情報に基づいて、記憶部に記憶されている地図情報に示される交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定機能と、判定機能による判定結果に基づいて、交差点における案内の要否を推定する推定機能と、を実現させる。
【0009】
また、上記情報処理装置において、交差点が進入路側から見た場合に少なくとも二方向に退出できる場合に、判定部が、交差点を進入路側から進入した車両であって、右方向へのウィンカ操作を受け付けて二方向のうち進入路側から見て右側の道路へ退出した車両と、ウィンカ操作なしで二方向のうち進入路側から見て左側の道路へ退出した車両とがあると判定したときには、推定部は、右側の道路へ退出する車両に対しては案内が必要であると推定し、左側の道路へ退出する車両に対しては案内が不要であると推定することとしてもよい。
【0010】
また、上記情報処理装置において、交差点が進入路側から見た場合に少なくとも二方向に退出できる場合に、判定部が、交差点を進入路側から進入した車両であって、左方向へのウィンカ操作を受け付けて二方向のうち進入路側から見て左側の道路へ退出した車両と、ウィンカ操作なしで二方向のうち進入路側から見て右側の道路へ退出した車両とがあると判定したときには、推定部は、左側の道路へ退出する車両に対しては案内が必要であると推定し、右側の道路へ退出する車両に対しては案内が不要であると推定することとしてもよい。
【0011】
また、上記情報処理装置において、情報処理装置は、位置情報取得部は、一の車両が現在走行している位置を示す位置情報を取得し、位置情報が交差点に対して進入する所定距離前において、推定部が案内が必要であると推定した場合に案内情報を出力し、推定部が案内が必要でないと推定した場合に案内情報を出力しない出力部、を備えることとしてもよい。
【0012】
また、上記情報処理装置において、情報処理装置は、推定部が推定した推定結果に基づいて、地図情報の交差点に対する情報として、交差点に対する進入路と退出路と案内の要否を示す情報とを対応付けて、地図情報に登録する登録部、を備えることとしてもよい。
【0013】
また、上記情報処理装置において、操作情報取得部は、複数の車両の情報として、複数の車両各々のCAN(Controller Area Network)情報を取得するものであって、交差点を通過する際の車両のハンドル操作情報をCAN情報から取得するハンドル操作情報取得部と、交差点に進入する前の車両のウィンカ操作情報をCAN情報から取得するウィンカ操作情報取得部と、を備え、判定部は、ハンドル操作情報に基づいて、車両が、直進したか否か、右左折したか否かを特定するとともに、ウィンカ操作情報に基づいて、ウィンカを出したか否かを特定して、交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、交差点においてウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折した車両との双方の車両が存在するか否かに応じて、交差点における案内の要否を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】車両情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【
図3】情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】情報処理装置の他の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】情報処理装置の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施態様に係る情報処理装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
<実施の形態>
<情報処理装置の構成>
本発明の一態様に係る情報処理装置(
図1の100参照)は、地図情報を記憶する記憶部(
図1の104参照)と、複数の車両の位置情報を取得する位置情報取得部(
図1の105参照)と、車両の位置情報に基づいて、地図情報に示される交差点を通過する複数の車両の操作情報を取得する操作情報取得部(
図1の105参照)と、複数の車両の操作情報に基づいて、交差点を、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、があるか否かを判定する判定部(
図1の105参照)と、判定部による判定結果に基づいて、交差点における案内の要否を推定する推定部(
図1の105参照)と、を備える。以下、詳細に説明する。
【0018】
図1は、情報処理装置100の機能構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理装置100は、通信部101と、受付部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU105とを備える。
【0019】
情報処理装置100は、サーバ装置、PCなどにより実現されるコンピュータシステムであるが、これらに限定するものではなく、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末などにより実現されるものであってもよい。また、情報処理装置100は、経路案内を行うナビゲーション装置であってもよいし、ナビゲーション用の地図情報に案内を行うかどうかのフラグを登録する地図情報作成装置であってもよい。以下、各機能部について詳細に説明する。
【0020】
通信部101は、他の装置から通信により情報を受信する機能を有する。通信部101は、外部の装置、例えば、車両の走行情報を蓄積したサーバから車両走行情報を取得し、CPU105に伝達することとしてよい。車両走行情報は、少なくとも、位置情報と当該位置情報が取得された時間を示す時間情報とを含む。車両走行情報は、例えば、プローブ情報であってもよく、プローブ情報を蓄積したサーバは、例えば、道路交通情報通信システムセンターであってもよい。また、車両走行情報は、車両の各種の状態の情報を含むCAN(Controller Area Network)情報であってもよく、少なくとも、ウィンカ操作が行われたかどうかを示すウィンカの操作情報を含み、ハンドルの操舵角を示すハンドル操作情報が含まれてよい。通信部101は、車両走行情報を、車両から直接取得することとしてもよく、CAN情報を含む車両走行情報を、当該情報を蓄積した外部のサーバから取得することとしてもよい。通信部101は、受信した各種の情報をCPU105に伝達する。また、通信部101は、CPU105の指示のもと、指定された外部の装置に、指定された情報を送信する。通信部101は、例えば、案内要否の情報が登録された地図情報を、外部のナビゲーション装置等に送信することとしてよい。
【0021】
受付部102は、情報処理装置100のユーザからの入力を受け付けて、CPU105に伝達する機能を有する。受付部102は、例えば、情報処理装置100に備えられたハードウェアキーや、タッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。なお、受付部102に対する入力は音声による入力であってもよい。
【0022】
出力部103は、CPU105からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部103は、例えば、情報処理装置100がナビゲーションシステムである場合に、経路案内において、交差点を通る前に、その交差点における退出路に対して、案内の要否を特定して、必要に応じて案内を行う場合に退出路の方向を指示する案内を出力することとしてもよい。出力部103は、案内要否に関する情報を、情報処理装置100に接続されたモニタに画像情報(テキストデータでもよい)として出力することとしてもよいし、音声データとして情報処理装置100に接続されたスピーカに出力することとしてもよいし、通信部101を介して外部の装置に送信することとしてもよい。即ち、出力部103は、CPU105から指定された情報を、指定された宛先に出力する通信インターフェースとして機能する。
【0023】
記憶部104は、情報処理装置100が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0024】
記憶部104は、地図情報141と、車両情報142と、を記憶していてもよい。地図情報141は、ナビゲーション用の地図情報であり、道路をリンクとノードとの接続で表現した情報であり、交差点の位置を特定可能な情報である。地図情報141には、交差点の情報や、道路等に設けた規制情報等の情報が、含まれてよい。車両情報142は、車両走行情報を集積した情報である。車両情報142の詳細については後述する。
【0025】
CPU105は、記憶部104に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、情報処理装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。
【0026】
CPU105は、情報処理装置100の各部を制御し、地図情報141に基づいて、少なくとも2以上の道路が交差する交差点を特定し、その交差点に対して進入する車両に対して、当該交差点から退出する際に案内(交差点からいずれの退出路に退出すべきかの案内)が必要か否かを判定する。
【0027】
CPU105は、位置情報取得部、操作情報取得部、判定部、推定部、および登録部として機能する。
【0028】
位置情報取得部は、車両情報142から、複数の車両の位置情報を取得する。
【0029】
操作情報取得部は、位置情報取得部が取得した車両の位置情報に基づいて、案内の要否を判定する交差点を通過した車両を特定し、車両情報142から、特定した車両に対応する交差点通過の際の操作情報を取得する。ここで、操作情報は、少なくともウィンカの操作情報を含み、ハンドルの操作情報や、速度情報などが含まれてもよい。
【0030】
判定部は、交差点に対してある進入路から進入した複数の車両それぞれについて、その交差点を通過した経路と、操作情報とを参照して、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折のいずれかをした車両と、の2種類の車両があるか否かを判定する。ここでいう直進とは、交差点に進入した車両が進入路側から見て正面方向に通過していくことを意味する。ここでいう正面は真正面でなくともよく、真正面に対して左右へ所定角度範囲内を含むこととしてよい。ここで所定角度範囲は、車両が交差点を正面方向に通過したと認定できる角度範囲であればよく、例えば、真正面に対して左右に45度の範囲内であってよいが、45度に限定するものではなく30度であってもよい。
【0031】
判定部は、ある交差点に対して、ある進入路から進入し、ウィンカを出しながら、進入路からみて直進方向の退出路から退出した車両があり、当該進入路から進入し、ウィンカを出さずに右折または左折して直進方向の退出路とは異なる退出路から退出した車両がいるかを判定する。当該車両があった場合には、その旨を推定部に伝達する。
【0032】
判定部は、ウィンカを出しながら直進した車両と、ウィンカを出さずに右左折した車両とがあるかの判定を以下のようにして判定することとしてもよい。即ち、判定部は、ある交差点に対して右方向のウィンカを出しながら、交差点に接続する進入路以外の退出路のうち右側の退出路から退出した車両があるか否かを判定する。そして、そのような車両があった場合に、当該車両が交差点に進入した進入路から交差点に進入し、ウィンカを出さずに左寄りの退出路から退出した車両があるか否かを判定する。当該車両があった場合にはその旨を推定部に伝達する。
【0033】
ウィンカ左方向についても同様であり、判定部は、ある交差点に対して左方向のウィンカを出しながら、交差点に接続する進入路以外の退出路のうち左側の退出路から退出した車両があるか否かを判定する。そして、そのような車両があった場合に、当該車両が交差点に進入した進入路から交差点に進入し、ウィンカを出さずに右寄りの退出路から退出した車両があるか否かを判定する。当該車両があった場合にはその旨を推定部に伝達する。
【0034】
推定部は、判定部が判定した結果に基づいて、交差点に対して、ある進入路から進入し、ある退出路から退出する経路を通過する予定の車両に対して、案内が必要か否かを推定する。推定部は、ある交差点に対して、ある進入路から進入し、ウィンカを出しながら、進入路からみて直進方向の退出路から退出した車両があり、当該進入路から進入し、ウィンカを出さずに右折または左折して直進方向の退出路とは異なる退出路から退出した車両がいると判定部が判定した場合に、当該進入路から直進方向の退出路に退出する予定の車両に対して案内は必要であり、同進入路から右左折方向の退出路(判定部が用いた車両情報の車両が進行した退出路)に退出する予定の車両に対して案内は不要であると推定する。それ以外の場合は、基本的には直進方向には案内は不要とし、右左折方向への進行には案内は必要であると推定する。
【0035】
また、推定部は、ある交差点に対して、ある進入路から進入し、右方向のウィンカを出しながら右寄りの退出路から退出した車両と、当該進入路から進入し、ウィンカを出さずに左寄りの退出路から退出した車両とがある場合に、当該進入路から右寄りの退出路に退出する経路を走行する予定の車両に対する案内は必要であり、当該進入路から左寄りの退出路に退出する経路を走行する予定の車両に対する案内は不要であると推定する。なお、右寄りの退出路とは、退出路が複数ある場合に、その複数の退出路の内の、進入路から見た最も右側の退出路であってよい。左寄りの退出路も同様に、退出路が複数ある場合に、その複数の退出路のうちの、進入路から見た最も左側の退出路であってよい。
【0036】
また、推定部は、ある交差点に対して、ある進入路から進入し、左方向のウィンカを出しながら左寄りの退出路から退出した車両と、当該進入路から進入し、ウィンカを出さずに右寄りの退出路から退出した車両とがある場合に、当該進入路から左寄りの退出路に退出する経路を走行する予定の車両に対する案内は必要であり、当該進入路から右寄りの退出路に退出する経路を走行する予定の車両に対する案内は不要であると推定する。
【0037】
登録部は、推定部が推定した交差点に対する進入路と退出路の組み合わせの経路に対して、案内をすべきか否かを示す案内情報を、記憶部104の地図情報141に登録する機能を有する。すなわち、登録部は、交差点に対する進入路と退出路との組み合わせにより形成される経路それぞれについて、推定部が推定した案内の要否を示す情報を対応付けて地図情報141に記憶する。この地図情報141が、車両の案内をするナビゲーションシステムに記憶されることで、ナビゲーションシステムに入力された目的地に至る経路上の交差点に進入する前に、案内の要否を特定でき、必要に応じて案内を実行し、不要な場合には案内をさせないようにすることができる。
【0038】
以上が情報処理装置100の構成例である。
【0039】
<データ>
ここで、情報処理装置100が利用する各種の情報について説明する。
【0040】
図2は、車両情報142のデータ構成例を示すデータ概念図である。前述の通り、車両情報142は、複数の車両の車両走行情報を集積した情報であり、各交差点に対して、どの進入路から進入し、どの退出路から退出したのかを特定でき、その際の車両の運転状態を特定できる情報である。
【0041】
図2に示すように車両情報142は、管理ID201と、車両ID202と、日時情報203と、位置情報204と、ウィンカ情報205と、ハンドル情報206と、車速情報207と、が対応付けられた情報である。なお、車両情報142には、車両に関する情報であれば、
図2に示す情報以外の情報も含まれてもよい。
【0042】
管理ID201は、各車両情報を一意に識別して管理するための識別情報である。管理ID201は、ある車両についての、あるタイミングで取得した車両走行情報に基づいて生成される一時の車両情報を、他の車両情報から区別するための情報である。
【0043】
車両ID202は、対応する管理ID201で管理される車両情報であって、対応する車両の情報をどの車両から取得したのか一意に特定するための情報であり、車両を識別し、車両情報がどの車両の車両情報のものであるのかを識別するための識別情報である。当該識別情報は、同じ車両から取得した複数の情報を、それぞれが同じ車両から取得したものとして情報処理装置100が認識できるようにするための情報である。
【0044】
日時情報203は、管理ID201で管理される車両情報が取得された日時を示す情報である。
【0045】
位置情報204は、対応する車両ID202で示される車両が、対応する日時情報203で示される日時において位置した位置情報であり、当該車両の測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)により測位された経緯度情報である。位置情報204は、例えば、プローブ情報等から取得することができる。
【0046】
ウィンカ情報205は、対応する車両ID202で示される車両が、対応する日時情報203で示される日時において、対応する位置情報204で示される位置にあったときに、ウィンカがオンされていたか否かを示す情報である。ウィンカ情報205は、例えば、CAN情報から取得することができる。ウィンカ情報205は、図示の例では、右折時には「右」、ウィンカがオンされていなかったときは「-」、図示していないが左折時には「左」と表示されてよいが、ウィンカが右か左か、使用していないかがわかる情報であればよい。
【0047】
ハンドル情報206は、対応する車両ID202で示される車両が、対応する日時情報203で示される日時において、対応する位置情報204で示される位置にあったときの、ハンドルの操舵角を示す情報である。ハンドル情報206は、例えば、CAN情報から取得することができる。ハンドル情報206は、一例として、図示するように、右折方向と左折方向とで区別して、その際の操舵角で表現することができる。右折の場合は、ハンドル自体は、時計回りに動かすことになるので、図示の「右」は時計回りと表現してもよく、「左」を反時計回りと表現してもよい。また、時計回りを+とし、反時計回りを-としてもよい。
【0048】
車速情報207は、対応する車両ID202で示される車両が、対応する日時情報203で示される日時において、対応する位置情報204で示される位置を走行しているときの、車両の走行速度を示す情報である。車速情報207は、例えば、CAN情報から取得することができるが、連続する同一の車両の車両情報の日時情報203と、位置情報204と、から計算により算出することもできる。
【0049】
図示の例では、管理ID201が「M001203049」で示される車両情報は、車両ID202が「C1_0002452」で示される車両から、日時情報203で示されるように、「2021年8月1日 10時0分1秒」に取得され、その日時において、位置情報204に示されるように、「(X1、Y1)」で示される経緯度に居たことが読み取れる。そして、その際には、ウィンカ情報205で示されるようにウィンカは使用されておらず、ハンドル情報206で示されるようにハンドルの操舵角は、「左20度」であり、車速は、「V1」であったことが読み取れる。また、管理ID201が、「M001203049」~「M001203052」で示される車両情報は、車両ID「C1_0002452」で示される同一の車両から取得したものであり、位置情報204が(X1,Y1)~(X4,Y4)で示される位置付近で左折していることが特定できる。
【0050】
車両情報142があることによって、車両がどの位置にいたときに、どのような操作を行ったのかを特定することができる。そして、複数の車両の車両情報に基づいて、ある交差点において、どの進入路から進入してどの退出路から退出したのか、そのときにウィンカを操作していたのかの情報を複合的に解析することで、当該交差点において、ある進入路からある退出路への退出する際の経路案内をするにあたって、車両のドライバに対して、案内が必要な経路であるかを判定することができる。特に、案内を行うことで、ウィンカを出す必要があるのかを判断させることができるとともに、ウィンカが不要な場所では案内情報を出力しないことでドライバに煩わしく感じさせたり、運転中のドライバの注意をひかないようにしたりすることで安全な運転環境を提供することができる。
【0051】
以上が、車両情報142の構成例である。地図情報141は、基本的には一般的なナビゲーション用の地図であるので、その詳細については省略する。
【0052】
<情報処理装置の動作>
次に、情報処理装置100の動作について説明する。
【0053】
図3は、情報処理装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0054】
図3に示すように、情報処理装置100のCPU105は、記憶部104に記憶されている地図情報141から、交差点を選択する(ステップS301)。当該選択は、CPU105により、これまでにその交差点について案内情報の要否を判定していない交差点の中から、ランダムに選択することとしてもよいし、情報処理装置100のオペレータ等から受付部102を介して交差点の指定を受け付けたことに基づいて選択することとしてよい。
【0055】
CPU105は、交差点を選択すると、選択された交差点を通過する複数の車両の位置情報と対応する操作情報とを取得する(ステップS302)。即ち、CPU105は、選択された交差点の位置に対応する位置情報204を有する車両情報を車両情報142から抽出する。ここで、交差点の位置に対応する位置情報とは、交差点内と、その交差点に対する進入路及び退出路の交差点からの所定距離内との範囲に含まれる位置のことをいう。そして、抽出した車両情報に対応付けられている操作情報(ウィンカ情報205、ハンドル情報206)とを抽出する。
【0056】
CPU105は、交差点の地図情報141上の経緯度情報と、車両情報142の位置情報204とに基づいて、選択された交差点を通過する車両の中に、ウィンカを出しながら、直進した車両があるか否かを判定する(ステップS303)。即ち、CPU105は、交差点を通過した車両について、その車両の連続する車両情報の位置情報に基づいて、同交差点を直進しているか否かを判定するとともに、その車両情報に対応付けられているウィンカ情報205が「右」か「左」のいずれかを示しているか否かを判定する(ステップS303)。このとき、CPU105は、車両が交差点を直進しているか否かを地図情報の交差点に対する進入路と退出路の位置関係から交差点に進入した車両が進入路側から見て正面方向に進んでいる場合を直進していると判定してよく、このとき、更に、ハンドル情報206に基づいて、そのハンドルの操作角が左右方向に所定角度範囲(限定ではなく一例として、左10度から右10度までの範囲内)に収まるように維持されているかを更に判定することで、車両が交差点を直進したか否かを判定するようにしてもよい。また、CPU105は、ハンドル情報206のみから交差点を直進しているかを判定することとしてもよい。CPU105は、交差点をウィンカを出しながら直進した車両があると判定した場合に(ステップS303のYES)、ステップS304の処理に進み、交差点をウィンカを出しながら直進した車両がないと判定した場合(ステップS303のNO)には、その交差点において、直進方向へ通過する場合には案内は不要であると推定し、処理を終了する。
【0057】
次に、CPU105は、同交差点を通過した車両について、その車両の連続する車両情報の位置情報に基づいて、ステップS303において交差点に対してウィンカを出しながら直進した車両と同じ進入路から同交差点に進入した他の車両(別のタイミングの同じ車両であってもよい)が、右折または左折しているかを判定するとともに、その車両情報に対応付けられているウィンカ情報が、「-」(右にも左にも操作されていない)を示しているか否かを判定する(ステップS304)。このとき、CPU105は、車両が交差点を右折または左折しているかを、地図情報の交差点に対する進入路と退出路の位置関係から、右折または左折したか否かを判定しておく、このとき、更に、ハンドル情報206に基づいて、そのハンドルの操作角が、左右方向のいずれか一方に、所定角度以上(限定ではなく一例として、左10度以上または右10度以上)維持されているか否かを更に判定することで交差点を右折または左折したかを判定するようにしてもよい。また、CPU105は、ハンドル情報206のみから交差点を右折又は左折したかを判定することとしてもよい。ステップS303においてウィンカを出しながら直進した車両と同じ進入路から進入し、ウィンカを出さずに右折または左折した車両がある場合には(ステップS304のYES)、ステップS305の処理に移行し、そうでない場合には(ステップS304のNO)、処理を終了する。
【0058】
ウィンカを出しながら直進した車両があり(ステップS303のYES)、当該車両と同じ進入路から進入し、ウィンカを出さずに右折又は左折した車両がある(ステップS304のYES)とCPU105が判定した場合に、CPU105は、当該進入路から進入する車両であって直進方向に進行する予定の車両(直進方向の退出路から退出する予定の車両)に対しては案内が必要であり、当該進入路から進入する車両であって右左折方向のいずれかに進行する予定の車両(ステップS304においてウィンカを出さずに右折または左折した車両が退出した退出路から退出する予定の車両)に対しては、進行方向の案内は不要であると推定する(ステップS305)。
【0059】
そして、CPU105は、所定の処理を実行し(ステップS306)、ステップS301において選択した交差点における各進入路と当該進入路に対する退出路の組み合わせ各々に対して、案内の要否を判定する処理を終了する。ここで、所定の処理は、一例として、交差点に対する進入路と退出路の組み合わせに対して、案内が必要か否かを示す案内情報を、地図情報141に登録することであってよい。地図情報141に案内の要否を示す案内情報を交差点に進入する進入路に対して設定することで、ナビゲーションシステムにおいては経路上の交差点への進入前に適切に案内の要否を判定し、必要に応じて案内を実行することができる。また、所定の処理は、ステップS305の処理に基づいて、実際のナビゲーションにおける案内を実行することであってよく、車両がこれから通行しようとしている交差点に対してユーザが目的地に到達するための退出路が進行方向に対していずれの方向であるかを案内してよい。案内は出力部103から、モニタによる画像やスピーカによる音声での案内を出力することとしてよい。また、所定の処理は、CPU105による案内の要否の推定に関する情報を出力することであってもよい。即ち、情報処理装置100のオペレータ等に対して、所定の交差点の所定の進入路から所定の退出路を走行予定の経路として含む車両には、その進入路に対する案内は不要である旨を通知するものであってもよい。
【0060】
このようにして情報処理装置100は、所定の交差点の各進入路と退出路との組み合わせそれぞれに対して、当該進入路から退出路を走行する予定の車両に対する進行方向の案内の要否を特定することができる。なお、情報処理装置100は、
図3に示す処理を地図情報141に含まれる各交差点それぞれについて、処理対象とする交差点を変更しながら、繰り返し実行することとしてよい。
【0061】
図4は、情報処理装置100の動作例であって、
図3におけるステップS303~ステップS305の処理における判定例を別態様にした例を示すフローチャートである。
図3と
図4とでは、ステップS301、S302の処理は共通するので
図4の説明としては省略し、ステップS403以降の処理を説明する。
【0062】
図4に示すように、CPU105は、ステップS301において選択された交差点に対して、ある進入路から進入した車両の中に、右方向のウィンカを出しながら、右寄りの退出路から退出した車両があるか否かを判定する(ステップS403)。即ち、CPU105は、ウィンカ情報205が「右」であり、地図情報141と位置情報204やハンドル情報206とから、右寄りの退出路から退出した車両があるか否かを判定する。そのような車両があった場合には(ステップS403のYES)、CPU105は、ウィンカを出さずに左寄りの退出路から退出した他の車両があるか否かを判定する(ステップS404)。ウィンカを出さずに左寄りの退出路から退出した他の車両がない場合には(ステップS404のNO)、ステップS406の処理に移行する。
【0063】
右方向のウィンカを出しながら、右寄りの退出路から退出した車両があり(ステップS403のYES)、かつ、同じ進入路から交差点に進入し、ウィンカを出さずに左寄りの退出路から退出した車両があった場合には(ステップS404のYES)、CPU105は、当該進入路から交差点に進入し、右方向の退出路から退出する車両に対しては案内が必要であり、同進入路から交差点に進入し、左方向の退出路から退出する車両に対しては案内が不要であると推定する(ステップS405)。
【0064】
一方、右方向のウィンカを出しながら右寄りの退出路から退出した車両がなかった場合に(ステップS403のNO)、CPU105は、ステップS301において選択された交差点に対して、ある進入路から進入した車両の中に、左方向のウィンカを出しながら、左寄りの退出路から退出した車両があるか否かを判定する(ステップS406)。即ち、CPU105は、ウィンカ情報205が「左」であり、地図情報141と位置情報204やハンドル情報206とから、左寄りの退出路から退出した車両があるか否かを判定する。そのような車両があった場合には(ステップS406のYES)、CPU105は、ウィンカを出さずに右寄りの退出路から退出した他の車両があるか否かを判定し(ステップS407)、なかった場合には(ステップS406のNO)、処理を終了する。ウィンカを出さずに左寄りの退出路から退出した他の車両がない場合には(ステップS407のNO)、処理を終了する。
【0065】
左方向のウィンカを出しながら、左寄りの退出路から退出した車両があり(ステップS406のYES)、かつ、同じ進入路から交差点に進入し、ウィンカを出さずに右寄りの退出路から退出した車両があった場合には(ステップS407のYES)、CPU105は、当該進入路から交差点に進入し、左方向の退出路から退出する車両に対しては案内が必要であり、同進入路から交差点に進入し、右方向の退出路から退出する車両に対しては案内が不要であると推定する(ステップS408)。
【0066】
その後、
図3を用いて説明した場合と同様に、CPU105は、所定の処理を実行して(ステップS306)、処理を終了する。
【0067】
以上が、情報処理装置100による交差点における、進入路と退出路の組み合わせに対する、案内の要否の推定処理である。
【0068】
<具体例>
図5は、ある交差点と、その交差点に対して進入可能な進入路から見た風景の一例を示す図である。当図を用いて、情報処理装置100において、どのような場所で通常の道路であれば案内が必要とされるところ、案内が必要ないと判定するのかを説明する。
【0069】
図5において、左下は、交差点の様子を示す天面図である。
図5では、交差点500として右ハンドル車の左車線通行の場合のT字路の例を示している。この交差点500には、図示するように、矢印511、512、513の三方向から進入することができる。交差点500に対して矢印511で示す方向に進入した場合に、車両の正面に見える風景の一例を
図5の左上に示している(
図5中の「A」参照)。また、同様に、交差点500に対して矢印512で示す方向に進入した場合に、車両の正面に見える風景の一例を
図5の右上(
図5中の「B」参照)に、また、交差点500に対して矢印513で示す方向に進入した場合に、車両の正面に見える風景の一例を
図5の右下(
図5中の「C」参照)に示している。つまり、
図5中のA、B、Cは、交差点の位置と風景との対応関係を示している。
【0070】
ここで、例えば、
図5の矢印513で示される方向の道路503から交差点500に対して進入し、道路501または道路502に退出する場合には、それぞれの方向に対してウィンカをオンして、右左折するのが道路法規上妥当である。
【0071】
また、道路501から矢印511で示される方向で交差点500に対して進入する場合に、直進する場合にはウィンカを出さず、右折する場合にウィンカを出して右折することになる。このとき、直進する場合は、ナビゲーションシステムとしては、基本的に道なり(正面方向)であるため案内を出力しないのが妥当である(案内の出力を禁ずるものではない)。
【0072】
これらの場合には、情報処理装置100は、基本的に右左折に対する案内が必要であると判定する。
【0073】
一方で、道路502から矢印512で示す方向で交差点500に対して進入する場合を考慮する。
図5において、区画線532は、道路502のセンターラインであり、かつ、道路503のセンターラインに途切れずに繋がっており、黄色で道路に塗布されている場合には、区画線532があることによって、車両は道路法規上左折することが規定されている。このような道路502から交差点500に進入する場合には、道路503に退出するのが当然であるため、車両は左折することになるにもかかわらず、ナビゲーションシステムは案内をしなくてもよいということになる。そして、このような場合には、ドライバは通常、左折するのが当然ということから、ウィンカを出さないのが一般的であり、情報処理装置100は、そのような走行をした車両を見出して、案内の要否を推定することができる。
【0074】
情報処理装置100は、このような情報を車両情報142として集積して特定することで、交差点における案内が必要のない進入路と退出路の組み合わせを推定する。
【0075】
このように、道路形状からすると案内があった方が良さそうに見える道路であっても、ドライバからすれば明らかに案内が不要な場合もある。そのような道路を走行するドライバにとっては、案内をされることを煩わしく感じさせたり、案内をすることでドライバの注意の一部をナビゲーションシステムの方に向けさせることになるために運転に対するドライバの注意がわずかなりとも低下したりする可能性がある。本実施例に係る情報処理装置100によれば、交差点を通過する前に、案内の要否を推定することができるので、不要な案内でドライバを煩わしく感じさせたり、案内をすることでドライバの運転に対する注力を低下させたりすることを防止することができる。
【0076】
<実施の形態まとめ>
本実施の形態1に係る情報処理装置100は、ある交差点において、当該交差点に進入することができる進入路から見て、交差点の複数の退出路のいずれかに退出するときに、ナビゲーションシステムが車両のドライバに対して進行方向の案内が必要になるか否かを判定することができる。当該判定に基づく、案内の要否の情報をナビゲーション用の地図情報に登録しておくことで、不要な案内をすることなく、かつ、適切に案内を行うことができる。
【0077】
<補足>
上記実施の形態に係る情報処理装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0078】
(1)上記実施の形態において、情報処理装置100は、CPU105の判定部による判定の精度を向上させるために、ステップS303、S304、S403、S404、S406、S407に示すような車両が、所定台数以上ある場合や、所定期間中に所定割合ある場合や、そのような車両が通過する頻度が所定以上ある場合に、それぞれの判定においてYESと判定するようにしてもよい。
【0079】
(2)上記実施の形態においては、情報処理装置における交差点の各進入路に対して退出路の案内を行うか否かを判定する手法として、情報処理装置のプロセッサが案内の要否を判定するプログラム等を実行することにより、作成することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能は1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。すなわち、
図6に示すように、情報処理装置100は、通信回路101a、受付回路102a、出力回路103a、記憶回路104a、制御回路105a、とから構成されてよく、それぞれ、通信部101、受付部102、出力部103、記憶部104、CPU105、に相当する。
【0080】
また、上記プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。つまり、例えば、スマートフォン等の情報処理機器を利用して、ネットワーク上からプログラムをダウンロードして実行する構成としてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0081】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、C++、Python、Rなどのオブジェクト指向プログラミング言語などを用いて実装できる。
【0082】
(3)上記実施の形態に示した各種の実施例や、<補足>に示した各種の例は適宜組み合わせることとしてもよい。また、各フローチャートに示した各動作は、結果として矛盾がなければその実行順序を入れ替えたり、並列に実行したりすることとしてもよい。例えば、
図3のステップS303とS304との処理とは逆に実行しても同様の結果を得ることができる。
図4においても同様で、ステップS403とS406との判定の実行順序を逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
100 情報処理装置
101 通信部
102 受付部
103 出力部
104 記憶部
105 CPU(位置情報取得部、操作情報取得部、判定部、推定部、登録部)