(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】低濃度のオリゴアミンを含む処理組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/30 20060101AFI20250212BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20250212BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20250212BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20250212BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20250212BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20250212BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20250212BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20250212BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20250212BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20250212BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20250212BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20250212BHJP
D06M 13/332 20060101ALI20250212BHJP
D06M 15/61 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
C11D3/30
C11D1/02
C11D3/20
C11D3/37
C11D3/386
C11D3/395
C11D3/40
C11D3/48
C11D3/50
C11D17/04
C11D17/06
C11D17/08
D06M13/332
D06M15/61
(21)【出願番号】P 2021507929
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(86)【国際出願番号】 US2019046479
(87)【国際公開番号】W WO2020041062
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-19
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ランドール、シェリ・リン
(72)【発明者】
【氏名】メリ、ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ミラクル、グレゴリー・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ステンガー、パトリック・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッター、ケリー・アンドルー
(72)【発明者】
【氏名】ビアンチェッチ、ギリア・オッタヴィア
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】瀬下 浩一
【審判官】松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-506412(JP,A)
【文献】国際公開第2005/026302(WO,A1)
【文献】特表2002-537492(JP,A)
【文献】特表2001-516795(JP,A)
【文献】特表2002-525441(JP,A)
【文献】特開平1-162866(JP,A)
【文献】米国特許第6710023(US,B1)
【文献】特開平11-47249(JP,A)
【文献】特開2014-105411(JP,A)
【文献】国際公開第2007/066438(WO,A1)
【文献】特開2013-51993(JP,A)
【文献】特開2012-176105(JP,A)
【文献】特開2016-214618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
D06M10/00-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理組成物であって、
前記処理組成物の0.01重量%~
0.2重量%の、オリゴアミン及び/又はその塩と、追加の処理補助剤と、を含み、
前記オリゴアミンが式Iに記載の構造を有し、
【化1】
[式中、
各Lは独立して-(C
mH
2m)-であり、各Lの添え字mは独立して2~6の整数であり、
nは1~10の整数であり、
R
1~R
5はそれぞれ独立して、H及びC
1~C
4アルキルから選択される。]
前記処理組成物は、洗濯洗剤組成物であり、
前記オリゴアミンは、ジエチレントリアミン(DETA)、N1-(3-アミノプロピル)-N1-メチルプロパン-1,3-ジアミン又はN1-(2-アミノエチル)-N1-メチルエタン-1,2-ジアミンであり、
前記追加の処理補助剤は前記オリゴアミンを含まない、処理組成物。
【請求項2】
前記処理組成物が、前記処理組成物の0.01重量%
~0.15重量%の前記オリゴアミンを含む、請求項1に記載の処理組成物。
【請求項3】
前記処理組成物が、前記処理組成物の0.01重量%~0.2重量%の前記オリゴアミンを含
み、前記オリゴアミンがジエチレントリアミン(DETA)である、請求項1に記載の処理組成物。
【請求項4】
前記追加の処理補助剤が、界面活性剤系、布地コンディショニング活性剤(FCA)、酸化防止剤、色相剤、蛍光増白剤、追加のキレート剤、酵素、脂肪酸及び/又はその塩類、封入有益剤、汚れ放出ポリマー、ビルダー、移染防止剤、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー脂洗浄剤、両親媒性コポリマー、泡抑制剤、美的染料、香料、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、担体、充填剤、ヒドロトロープ、溶媒、抗菌剤及び/又は防腐剤、pH調整剤、加工助剤、充填剤、レオロジー変性剤、構造化剤、乳白剤、パールエッセンス剤、顔料、防食剤、変色防止剤、消泡剤、塩素スカベンジャー、及びこれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項5】
前記追加の処理補助剤が界面活性剤系を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項6】
前記追加の処理補助剤がヒンダードフェノールを含む酸化防止剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項7】
前記追加の処理補助剤が白色化剤又は光沢剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項8】
前記追加の処理補助剤が追加のキレート剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項9】
前記追加の処理補助剤が酵素を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項10】
前記処理組成物が、液体組成物の形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項11】
布地の表面の洗濯処理プロセスであって、
皮脂で汚れた布地を用意する工程と、
前記表面を、任意に水の存在下にて、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程と、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低濃度の特定のオリゴアミンを含む処理組成物に関する。本開示は更に、このような組成物の、関連する使用方法及び調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗浄プロセスなどの多くの処理プロセスは、布地などの表面から汚れを取り除くように設計されている。一部の汚れは、処理プロセスが終了した後にも持続し得る又は更には形成され得る悪臭を、布地に生じさせる可能性がある。したがって、消費者製品及び産業用洗浄製品の製造元は、改善された悪臭制御をもたらす組成物及び工程を提供することを模索し続けている。
【0003】
これとは別に、特定のポリアミン又はオリゴアミンが、洗剤組成物で使用されることが知られている。このポリアミン又はオリゴアミンは、油脂除去などの特定の洗浄効果を促進し得る。しかし、このような効果を付与するのに典型的に必要とされる濃度では、ポリアミン又はオリゴアミンに布地表面上又はその周辺の様々な分子種との反応性があることに起因して、ポリアミンが、例えば、布地などの対象表面において黄変などの変色を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好ましくは、著しい変色/黄変の問題を伴わずに、悪臭に対する効果を付与する改善された処理組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、比較的低濃度の特定のオリゴアミンを含む処理組成物に関する。
【0006】
例えば、本開示は、処理組成物であって、当該処理組成物の約0.01重量%~約1.0重量%の、式Iに記載の構造を有するオリゴアミン及び/又はその塩
【0007】
【化1】
[式中、Lは独立して-(C
mH
2m)-であり、各Lの添え字mは、独立して2~6の整数であり、nは1~10の整数であり、R
1~R
5はそれぞれ独立して、H及びC
1~C
4アルキルから選択され、好ましくは、R
1~R
5のうち少なくとも1つはHである。]、並びに追加の処理補助剤を含む、処理組成物に関する。
【0008】
本開示はまた、表面の処理プロセスであって、表面、好ましくは当該表面が布地であり、より好ましくは当該表面が皮脂で汚れた布地である、表面を用意する工程と、当該表面を、任意に水の存在下にて、本開示に記載の組成物と接触させる工程と、を含む、プロセスにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、低濃度の、特定の構造のオリゴアミンを含む、処理組成物に関する。このようなオリゴアミンは、例えば洗濯した布地に関して、悪臭に対する驚くべき効果を付与することができることが判明している。
【0010】
理論に束縛されるものではないが、処理液中の銅イオン(例えばCu2+)などの金属イオンは、対象表面上の、皮脂などの、特定の汚れの分解を促進することができると考えられている。この分解は、揮発性で悪臭のある化合物を空気中に放出する場合がある。本開示のオリゴアミンは、処理液中の銅イオンをキレートして金属封鎖し、それにより、このような悪臭性化合物の放出を阻害することができると考えられている。
【0011】
更に、本開示のオリゴアミンは、驚くべき低濃度でも効果があることが判明している。低オリゴアミン濃度は、費用及び配合物のスペースという点で効率的である。加えて、この低濃度のオリゴアミンによって、処理表面は、変色又は黄変をわずかにしか、又は全く示さない。上述のとおり、オリゴアミンは特定の洗浄効果を付与することが知られているが、一般に、そのような効果を確認するためには、オリゴアミンは高濃度で配合されなければならない。したがって、製造元は、本開示に従うこのような低濃度のオリゴアミンに有意義な利益を期待する理由がほとんどなかった。
【0012】
本開示の組成物及び方法については、以下でより詳細に記載する。
【0013】
本明細書で使用する場合、特許請求の範囲で使用される際の冠詞「a」及び「an」は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用する場合、用語「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」は、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の成分を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなることができる。
【0014】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語が使用されてもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析により検出可能な濃度で存在しないことを意味する。これは、指示される材料が意図的に含まれる他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、あったとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%の濃度で存在してもよい。
【0015】
本明細書で使用する場合、語句「布地ケア組成物」は、布地処理用に設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物は、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地強化組成物、布地消臭組成物、予洗い用洗剤(laundry prewash)、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔性基材若しくは不織布シート上、又は中に含有される洗剤、ドライヤーシート、及び本明細書の教示を考慮すると当業者に明白であり得るその他の好適な形態を含むが、これらに限定されない。このような組成物を、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよい、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に加えてもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「液体」は、自由流動性の液体、並びにペースト、ゲル、泡、及びムースを含む。液体の非限定的な例には、軽質及び重質液体洗剤組成物、布地柔軟剤、洗濯で一般に使用される洗剤ジェル、漂白剤及び洗濯添加剤が挙げられる。気体(例えば、懸濁気泡)又は固体(例えば、粒子)は、液体に含まれてもよい。液体組成物は、組成物の約0重量%~約90重量%、又は約30重量%~約90重量%、又は約50重量%~約80重量%の水を有することができ、非水性液体洗剤を含むことができる。
【0017】
本明細書で使用するとき、「固体」は、粉末、粒塊、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。固体の非限定的な例としては、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、フレーク、ヌードル、及び真珠光沢ボールが挙げられる。
【0018】
別途記載のない限り、全ての構成成分又は組成物の濃度は、当該構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる構成成分又は組成物の市販の資源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0019】
本明細書における全ての温度は、別途記載のない限り、摂氏(℃)である。別途指示のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で行われる。
【0020】
本開示の全ての実施形態において、全ての比率(%)は、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比は重量比である。
【0021】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解されたい。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0022】
処理組成物
本開示は、表面を処理するのに好適な処理組成物に関する。処理組成物は、典型的には比較的低濃度のオリゴアミン、及び、追加の処理補助剤を含有することができる。処理組成物は、洗濯洗剤組成物などの布地ケア組成物であることができる。
【0023】
本開示の組成物は、布地ケア組成物であることができる。このような組成物を、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよい、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に加えてもよい。このような組成物は、ドライクリーニングの環境でも使用することができる。
【0024】
組成物は、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、洗濯で一般に使用される洗剤ジェル、漂白組成物、洗濯添加剤、布地強化組成物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。組成物は、重質液体洗剤組成物又は布地強化組成物であることができる。組成物は、自動洗濯機の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクル中に使用されることを意図することができる。
【0025】
処理組成物は、タイル、磁器、調理台などの硬質表面の処理に好適な、硬質表面クリーニングであることができる。
【0026】
組成物は、任意の好適な形態であってよい。組成物は、液体組成物、粒状組成物、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、芳香剤若しくはビーズ、繊維性物品、錠剤、バー、フレーク、乾燥機用シート、又はこれらの混合物の形態であってよい。組成物は、液体、固体、又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0027】
洗浄組成物は、錠剤、パウチ、シート、又は繊維性物品などのユニット化された用量物品の形態であってよい。このようなパウチは、典型的には、組成物を少なくとも部分的に封入する水溶性フィルム、例えば、ポリビニルアルコール水溶性フィルムを含む。好適なフィルムは、MonoSol,LLC(Indiana,USA)から入手可能である。当該組成物は、単一区画パウチに封入しても、又は多区画パウチに封入してもよい。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有し得る。多区画パウチは、並べて及び/又は重ねておかれた区画を含むことができる。パウチ又はその区画内に収容される組成物は、液体、固体(粉末など)、又はこれらの組み合わせであってよい。パウチ組成物は、比較的少量の水、例えば、洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水を有することができる。
【0028】
本開示のオリゴアミン及び追加の処理補助剤を、以下により詳細に記載する。
【0029】
オリゴアミン
本開示の処理組成物は、オリゴアミン又はその塩を含む。本開示によるオリゴアミンは、特定のアルキレン基を介して連結した、一級、二級、又は三級アミン類であることができる、アミン官能基を含む。理論に束縛されるものではないが、本開示のオリゴアミンは、銅(Cu2+)などの特定の金属をキレートするのに良好に適しており、このようなキレート化が悪臭制御効果をもたらし得ると考えられる。
【0030】
本開示による処理組成物は、比較的低濃度のオリゴアミンを含むことができる。上述のとおり、驚くべきことに、低濃度の本発明のオリゴアミンは、変色/黄変などの望ましくない事象は最小限のものとして、悪臭制御効果を付与することができることが判明している。本開示の処理組成物は、処理組成物の約0.01重量%~約1.0重量%、又は~約0.75重量%、又は~約0.5重量%、又は~約0.4重量%、又は~約0.3重量%、又は~約0.2重量%、又は~約0.15重量%の、オリゴアミンを含むことができる。本開示の目的に関して、直鎖オリゴアミンの重量%は、遊離塩基形態の重量を使用して計算される。
【0031】
本開示のオリゴアミンは、直鎖状オリゴアミンとみなすことができる。「直鎖」とは、式Iで表されるオリゴアミン主鎖にグラフトしているアミン含有側鎖が更に存在してはいないことを意味する。しかしながら、直鎖オリゴアミンは、少なくともいくつかの場合においては、メチル基又はエチル基などの、オリゴアミン主鎖に結合したアルキル基を有し得ると理解されている。
【0032】
本開示のオリゴアミンは、式Iに記載の構造を有し得る。
【0033】
【化2】
[式中、
各Lは、独立して、-(C
mH
2m)-であり、各Lの添え字mは、独立して、2~6の整数であり、好ましくはmは2~3であり、最も好ましくはmは2であり(例えば、エチレン基)、
nは1~10、好ましくは1~5の整数(即ち、トリアミン、テトラミン、ペンタミン、ヘキサミン、ヘプタミンなど)、より好ましくは1~3、更により好ましくは1~2、最も好ましくは1であり、
R
1~R
5のそれぞれは、独立して、H及びC
1~C
4アルキル、好ましくはH及びメチル(すなわち、C
1アルキル)から選択される]。nが1よりも大きいとき、各R
5は、独立して、示される基から選択されるものの、各R
5は同一でもあり得ると理解されている。
【0034】
各Lの添え字mは、独立して、2~6の整数であり得、添え字mは、共通のN原子に直接連結されている2つのL基のそれぞれについて、2又は3、好ましくは2である。共通のN原子に隣接するこのようなL基を2つ有することにより、他のL基が比較的大きい(例えば、2より大きいmを有する)場合であっても、改善された金属封鎖を促進すると考えられる。
【0035】
R1~R5のそれぞれは、Hであってよい。R5は、メチルであってよい。R5は、Hであってよい。R1及びR3の一方又は両方は、メチルであってよい。R1及びR3は、メチルであってよく、R2及びR4は、両方とも水素であってよい。R1~R5のそれぞれは、メチルであってよい。R1~R5のうち少なくとも1つがHであることが好ましい場合があり、R1~R4のうち少なくとも1つがHであるのが更により好ましい。R1~R4はHであることができ、R5は、独立してH及びC1アルキルから選択されてよい。
【0036】
本組成物は、上記式I(式中、L、m、n、及びR1~R5は、上記のように定義されるが、ただし、nが1に等しい場合、R5は、H及び1~10個の炭素、又は1~6個の炭素、又は1~4個の炭素を有する部分から選択される)に記載の構造を有するオリゴアミンを含んでいてよい。
【0037】
望ましい製品の種類及び/又は総合的に有益な空間(overall benefit space)に応じて、配合者は、特に末端位置に一級、二級、及び/又は三級の窒素を有するオリゴアミンを選択することができる。理論に束縛されるものではないが、本オリゴアミン中の一級窒素の存在は、改善された悪臭制御効果をもたらし得ると考えられ、この効果は、改善されたキレート効率及び/又は布地などの対象表面への配位によるものであると考えられる。また、理論に束縛されるものではないが、本オリゴアミン中の三級窒素は、処理組成物中の他の材料との相互作用をより少なくし得ると考えられ、例えば、反応(例えばシッフ塩基反応)の結果として液体製品を変色させ得る特定の香料材料との反応を少なくし得ると考えられる。
【0038】
式Iの様々なオリゴアミンの混合物を含む処理組成物もまた、本開示の範囲の一部である。
【0039】
本開示に従った好適なオリゴアミンは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、5-メチルジプロピレントリアミン(5-MeDPTA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、4-メチルトリエチレンテトラアミン(4-MeTETA)、4,7-ジメチルトリエチレンテトラアミン(4,7-Me2TETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリプロピレンテトラアミン(TPTA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、テトラプロピレンペンタアミン(TPPA)、ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)、ペンタプロピレンヘキサアミン(PPHA)、ヘキサエチレンヘプタアミン(HEHA)、ヘキサプロピレンヘプタアミン(HPHA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、又はこれらの混合物を含むことができる。
【0040】
オリゴアミンは、好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、5-メチルジプロピレントリアミン(5-MeDPTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、トリプロピレンテトラアミン(TPTA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、テトラプロピレンペンタアミン(TPTA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、より好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、更により好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン及びこれらの混合物、最も好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)から選択され得る。分子量が低い及び/又は製造コストが比較的低いことから、DETAが好ましい場合がある。
【0041】
オリゴアミンは、ジエチレントリアミン(「DETA」(式中、mは2に等しく、nは1に等しく、R1~R5のそれぞれはHである))、又はアルキル化形態(例えば、R1~R5のうちの1つ以上がメチルなどのアルキル基である)を含むその誘導体を含んでいてよい。オリゴアミンは、オリゴアミンの少なくとも80重量%、又は更には少なくとも90重量%、又は更には少なくとも95重量%のジエチレントリアミン(DETA)の形態を含んでいてよく、更により好ましくは、オリゴアミンはジエチレントリアミン(DETA)の形態からなる。オリゴアミンは、DETA、4-メチルジエチレントリアミン(DETA)、及びこれらの混合物、好ましくはDETA(非アルキル化ジエチレントリアミン)から選択され得る。
【0042】
最終生成物又は洗浄液のpHに応じて、窒素原子がプロトン化され、部分的又は完全に、式Iのものであるオリゴアミンの塩形態がもたらされる。これらの(部分的に)プロトン化したオリゴアミンもまた、本開示の範囲の一部としてみなされる。オリゴアミンが塩形態であるとき、塩はアニオン性界面活性剤の塩ではないことがある。
【0043】
本開示のオリゴアミンは、約100~約1200Da、又は約100~約900Da、又は約100~約600Da、又は約100~約400Da、好ましくは約100Da~約250Da、最も好ましくは約100Da~約175Da、又は更には、約100Da~約150Daの分子量を有し得る。本開示の目的に関して、分子量は、遊離塩基形態のオリゴアミンを用いて測定される。
【0044】
当業者は、本開示に係るオリゴアミンを得る方法を理解しているであろう。例えば、式Iのオリゴアミン(式中、Lは2に等しいmを有する)は、アンモニア及びエチレンジクロリドを伴う反応、続いて、分留によって得ることができる。得られる一般的なオリゴアミンは、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)である。適切なハロゲン二置換アルキレンの使用を介して、mが2~6に等しい式Iに係る他のオリゴアミンを形成することができる。
【0045】
ペンタミンよりも高級であると、すなわち、ヘキサン、ヘプタミン、オクタミン、及び場合によってはノナミンでは、共属由来の(cogenerically derived)混合物が蒸留によって分離するとは思われず、環状アミン、特にピペラジンなどの他の物質を含む場合がある。
【0046】
本開示に係る好適なエチレン系オリゴアミンは、Dow、BASF、Huntsman、及びAkzo Nobel Corporationsを含む複数の化学供給元から市販されている。
【0047】
追加の処理補助剤
本開示の処理組成物は、追加の処理補助剤を含むことができる。追加の処理補助剤は、布地又は他の生地などの対象表面に処理効果を送達するのに好適であり得る。本明細書で使用する場合、処理補助剤は、緩衝剤、構造化剤/増粘剤、及び/又は担体などの、処理組成物中での化学的又は物理的安定性を促進する剤もまた含み得る。
【0048】
処理補助剤は、組成物の意図される使用に好適な濃度で組成物中に存在していてよい。典型的な使用濃度は、組成物の0.001重量%(蛍光増白剤などの補助剤の場合)から、組成物の50重量%(界面活性剤の場合)までの範囲である。
【0049】
処理補助剤は、界面活性剤系、酸化防止剤、色相剤、蛍光増白剤、追加のキレート剤、酵素、脂肪酸及び/又はその塩類、封入有益剤、汚れ放出ポリマー、ビルダー、移染防止剤、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー脂洗浄剤、両親媒性コポリマー、消泡剤、美的染料、香料(カプセル化香料を含む)、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、担体、充填剤、ヒドロトロープ、溶媒、抗菌剤及び/又は防腐剤、中和剤及び/又はpH調整剤、加工助剤、充填剤、レオロジー調整剤又は構造剤、乳白剤、パールエッセンス剤、顔料、防食及び/又は耐変色剤、消泡剤、塩素スカベンジャー、並びにこれらの混合物を含むことができる。
【0050】
処理補助剤は、界面活性剤系、酸化防止剤、色相剤又は蛍光増白剤などの白色化剤又は光沢剤、追加のキレート剤、酵素、又はこれらの混合物を含むことができる。追加の補助剤は、好ましくは、カプセル化香料がコアの周囲にシェルを含み、好ましくは、シェルがアミン化合物及び/又はアクリレートポリマーを含むカプセル化香料であることができる、封入有益剤を含むことができる。
【0051】
いくつかの処理補助剤について、以下でより詳細に論じる。
【0052】
界面活性剤系
本開示に従った組成物は、界面活性剤系を含むことができる。界面活性剤系は、1種類の界面活性剤からなることができる。界面活性剤系は、2種類以上の界面活性剤を含むことができる。特に、洗濯洗剤(重質液体洗濯洗剤など)は、アニオン性界面活性剤を含む系を含む、界面活性剤系を含むことができる。
【0053】
本開示の組成物は、組成物の約1重量%~約90重量%、又は約1重量%~約80重量%、又は1重量%~約70重量%、又は約2重量%~約60重量%、又は約5重量%~約50重量%の、界面活性剤系を含むことができる。液体組成物は、組成物の約5重量%~約40重量%の、界面活性剤系を含むことができる。単位用量形態に好適な、コンパクトな液体、ゲル、及び/又は組成物を含む、コンパクトな配合物は、組成物の約25重量%~約90重量%、又は約25重量%~約70重量%、又は約30重量%~約50重量%の、界面活性剤系を含むことができる。
【0054】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含むことができる。界面活性剤系は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシ化サルフェート、アルキルサルフェート、アルキルエトキシ化カルボキシレート、非イオン性界面活性剤(エトキシ化アルコールなど)、アミンオキシド、又はこれらの混合物を含むことができる。界面活性剤は、少なくとも部分的には、天然の供給原料のアルコールなどの天然資源に由来するものであってよい。
【0055】
界面活性剤系はアニオン性界面活性剤を含むことができる。オリゴアミン中のプロトン化可能なアミンに対するアニオン性界面活性剤のモル比は、約15:1未満とすることができる。このような場合において、オリゴアミンは式Iに記載の構造を有することができ、式中、添え字nは2~5の整数である。
【0056】
好適なアニオン性界面活性剤は、任意の従来のアニオン性界面活性剤を含むことができる。これは、例えばアルコキシル化及び/又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料用のサルフェート洗浄性界面活性剤、及び/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、直鎖、分岐鎖、又はこれらの組み合わせであることができる。好ましい界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、アルキルエトキシ化サルフェート(AES)、アルキルサルフェート(AS)、又はこれらの混合物が挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、分岐鎖修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、メチルエステルスルホネート(MES)、及び/又はアルキルエトキシ化カルボキシレート(AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、酸形態、塩形態、又はこれらの混合物で存在することができる。アニオン性界面活性剤は、部分的に、又は全体が、例えばアルカリ金属(例えばナトリウム)又はアミン(例えばモノエタノールアミン)により、中和されてもよい。アニオン性界面活性剤は、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、エタノールアミンなどのアミン、又はこれらの混合物により、予め中和されてもよい。アニオン性界面活性剤は、本開示のオリゴアミンにより(予め)中和されていないのが好ましい。
【0057】
界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含むことができる。好適な非イオン性界面活性剤としては、エトキシ化脂肪族アルコールなどのアルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合体、中鎖分岐アルコール、中鎖分枝鎖アルキルアルコキシレート、アルコキシ多糖類(例えばアルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテル末端を保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であることができる。非イオン性界面活性剤は直鎖、分岐鎖(例えば中鎖分岐鎖)、又はこれらの組み合わせであることができる。具体的な非イオン性界面活性剤としては、平均で約12~約16個の炭素と、平均で約3~約9個のエトキシ基とを有するアルコール、例えば、C12~C14 EO7非イオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0058】
好適な双極性イオン性界面活性剤としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C8~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド(例えば、C12~C14ジメチルアミンオキシド)、並びに/又は、スルホ及びベタイン、例えば、アルキル基がC8~C18、又はC10~C14であることができる、N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネートを含むベタインなどの、任意の従来の双極性界面活性剤を挙げることができる。双極性界面活性剤としては、アミンオキシドを挙げることができる。
【0059】
布地コンディショニング活性剤
本開示の処理組成物は、布地コンディショニング活性剤(FCA)を含むことができる。液体布地強化組成物などの、このような活性剤を含む組成物は、柔軟性、しわ防止、静電気防止、コンディショニング、伸び防止、色及び/又は外観効果を含む様々な効果を、対象とする布地に付与するのに有用であり得る。本開示の組成物に対して好適な布地コンディショニング活性剤(FCA)としては、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化油又はコンディショニングオイル、ポリマーラテックス、又はこれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0060】
酸化防止剤
本開示の組成物は、酸化防止剤を含むことができる。理論に束縛されるものではないが、酸化防止剤は、特に本開示のオリゴアミンと組み合わせて、組成物の悪臭制御及び/又はクリーニング性能を改善するのに役立ち得ると考えられる。また、酸化防止剤は、アミンに関連する場合がある黄変を低減するのにも役立ち得るので、アミンを比較的高濃度で配合することが可能になる。酸化防止剤は、Kirk-Othmer(第3巻、424ページ)及びUllmannのEncyclopedia(第3巻、91ページ)に記載されているような物質である。
【0061】
本開示の組成物は、組成物の約0.001重量%~約2重量%、好ましくは約0.01重量%~約0.5重量%の量の酸化防止剤、好ましくはヒンダードフェノール酸化防止剤を含むことができる。
【0062】
好適な酸化防止剤としては、以下の一般式:
【0063】
【化3】
[式中、Rは、それぞれ、(1)所望により、その中に1つ以上のエステル(-CO
2-)又はエーテル(-O-)結合を有し、かつ(2)所望により、EO(エトキシ)、PO(プロポキシ)、BO(ブトキシ)、及びこれらの混合物から、より好ましくはEO単独又はEO/PO混合物から選択されるアルキレンオキシ又はポリアルキレンオキシ基を含む有機基によって置換されている、C
1~C
22直鎖状アルキル又はC
3~C
22分枝状アルキルであり、Rは、好ましくは、メチル、分枝状C
3~C
6アルキル、又はC
1~C
6アルコキシ、好ましくはメトキシであってよく、R
1は、C
3~C
6分枝鎖アルキル、好ましくはtert-ブチルであり、xは、1又は2である]を有するアルキル化フェノールを挙げることができる。
【0064】
この式を有するアルキル化フェノールの好ましい種類としては、ヒンダードフェノール化合物を挙げることができる。本明細書で使用するとき、用語「ヒンダードフェノール」は、(a)少なくとも1つのフェノール-OH基に対してオルト位に結合している少なくとも1つのC3以上の分枝状アルキル、好ましくはC3~C6分枝状アルキル、好ましくはtert-ブチル、あるいは(b)独立して、少なくとも1つのフェノール-OH基に対してそれぞれオルト位に結合しているC1~C6アルコキシ、好ましくはメトキシ、C1~C22直鎖状アルキル、若しくはC3~C22分枝状アルキル、好ましくはメチル若しくは分枝状C3~C6アルキル、又はこれらの混合物からなる群から選択される置換基のいずれかを有する、フェノール基を含む化合物を指すために使用される。フェニル環が複数の-OH基を含む場合、化合物は、少なくとも1つのこのような-OH基が直上に記載されているように置換されている限りヒンダードフェノールである。上記構造中の任意のR基が、3つ以上の連続するモノマーを含む場合、酸化防止剤は、本明細書において「ポリマーヒンダードフェノール酸化防止剤」と定義される。本開示に係る組成物は、ヒンダードフェノール酸化防止剤を含んでいてよい。好ましいヒンダードフェノール酸化防止剤としては、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。
【0065】
組成物に使用するのに好適であり得るヒンダードフェノール酸化防止剤の更なる分類は、以下の式:
【0066】
【化4】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、アルキルであるか、又はR
1及びR
2は一緒になってC
5~C
6環状ヒドロカルビル部分を形成してもよく、Bは、存在しないか又はCH
2であり、R
4は、C
1~C
6アルキルであり、R
5は、水素又は-C(O)R
3であり、R
3は、水素又はC
1~C
19アルキルであり、R
6は、C
1~C
6アルキルであり、R
7は、水素又はC
1~C
6アルキルであり、Xは、-CH
2OH又は-CH
2Aであり、Aは、窒素含有単位、フェニル、又は置換フェニルである]を有するベンゾフラン又はベンゾピラン誘導体である。好ましい窒素含有A単位としては、アミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
好適なヒンダードフェノール酸化防止剤としては、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチル-フェノール、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸,メチルエステル、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸,オクタデシルエステル、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0068】
好適であり得る市販の酸化防止剤としては、BHT、RALOX 35(商標)、及び/又はTINOGARD TS(商標)が挙げられる。
【0069】
追加の酸化防止剤を使用してもよい。組成物に用いるのに好適な酸化防止剤の例としては、α-、β-、γ-、δ-トコフェロール、エトキシキン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキシアニソール、リグノスルホン酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群が挙げられるが、これらに限定されない。エトキシキン(1,2-ジヒドロ-6-エトキシ-2,2,4-トリメチルキノリン)は、Raschig(商標)によりRaluquin(商標)という名称で販売されていることに留意されたい。組成物に使用することができる酸化防止剤の他の種類は、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox(商標))及び1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(Proxel GXL(商標))である。トコフェロールソルベート、ブチル化ヒドロキシル安息香酸及びその塩、没食子酸及びそのアルキルエステル、尿酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、並びにジヒドロキシフマル酸及びその塩などの酸化防止剤も有用であり得る。他の有用な酸化防止剤としては、タンニン、例えば、ガロタンニン、エラギタンニン、錯体タンニン、縮合タンニン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンニンを挙げてもよい。
【0070】
非黄変性ヒンダードフェノール酸化防止剤などの非黄変性の酸化防止剤の使用が好ましい場合もある。消費者体験において知覚され得る負の属性(例えば、布地への黄色副生成物の付着など)につながるものであるならば、このような黄色副生成物を形成する酸化防止剤は回避してもよい。当業者は、使用する抗酸化物質の選択に関して詳細な情報を得た上で決定を行うことができる。
【0071】
白色化剤/光沢剤
本開示の追加の処理補助剤は、白色化剤又は光沢剤を含んでもよい。このような剤は色相剤、蛍光増白剤、又はこれらの混合物から選択することができる。このような剤を使用することにより、変色又は黄変の影響を更に低減することができ、かつ、より高い濃度でのオリゴアミンの配合が可能となり得る。
【0072】
本開示の組成物は、色相剤を含むことができる。驚くべきことに、本開示に従ったグラフトポリマーは、対象とする布地に対する色相剤の付着及び/又は性能にはほとんど影響を及ぼすことなく、易移染性染料による移染を阻害することができることが発見されている。
【0073】
色相剤(場合によっては色相染料、布地シェーディング染料、又は青味剤若しくは白色化剤とも呼ばれる)は典型的に、青又は紫の色調を布地にもたらす。このような剤は当該技術分野で周知されており、単独又は組み合わせのいずれかで用いられて、特定の色相の濃淡を作り出す、及び/又は様々な種類の布地に濃淡をつけることができる。色相剤は、当該技術分野において公知の任意の好適な化学分類の染料から選択されるものでよく、それには、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンをはじめとするもの)、アジン、アゾ(例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン、ベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ、ニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。色相剤はアゾ剤、トリアリールメタン剤、トリフェニルメタン剤、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0074】
好適な色相剤としては、小分子染料、ポリマー染料、及び染料-クレイ結合体などの布地シェーディング染料が挙げられる。好ましい布地シェーディング染料は、小分子染料及び高分子染料から選択される。好適な小分子染料を、カラーインデックス(C.I.,Society of Dyers and Colourists,(Bradford,UK))分類の酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応染料、溶剤染料、又は分散染料に該当する染料からなる群から選択することができる。
【0075】
好適なポリマー染料としては、共有結合した(共役したと称することもある)色原体(染料ポリマー共役体としても知られるもの)を含有するポリマー、例えば、ポリマーの主鎖中に共重合した色原体モノマーを有するポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される染料が挙げられる。好ましいポリマー染料は、アルコキシル化トリフェニルメタンポリマー着色剤、アルコキシル化炭素環アゾ着色剤、及びアルコキシル化チオフェンポリマー着色剤をはじめとするアルコキシル化複素環アゾ着色剤、並びにそれらの混合物などの任意に置換されたアルコキシル化染料を含み、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg,(South Carolina,USA))の名称で販売の媒染剤を必要としない布地染料などがある。
【0076】
好適な染料クレイ結合体としては、少なくとも1つのカチオン染料/塩基性染料及びスメクタイトクレイを含む群から選択される染料クレイ結合体が挙げられ、好ましいクレイは、モンモリロナイトクレイ、ヘクトライトクレイ、サポナイトクレイ、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0077】
顔料は当該技術分野において周知であり、本明細書にて開示した布地ケア組成物における色相剤としてもまた使用することができる。好適な顔料としては、C.I Pigment Blues15~20、特に15及び/又は16、C.I.Pigment Blue29、C.I.Pigment Violet15、Monastral Blue、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0078】
本発明の洗濯ケア組成物中に存在する補助色相剤の量は、全洗浄組成物の0.0001~0.05重量%、好ましくは0.0001~0.005重量%であることができる。洗浄液に基づいて、色相剤の濃度は、典型的には1ppb~5ppm、好ましくは10ppb~500ppbであることができる。
【0079】
本開示の組成物は蛍光増白剤を含むことができる。蛍光増白剤とも呼ばれることがある増白剤は、少なくとも数種類の可視光を放出することができる。
【0080】
本明細書で使用され得る市販の蛍光増白剤は、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチフェン(dibenzothiphene)-5,5-ジオキシド、アゾール、5及び6員複素環、並びに他の様々な剤の誘導体が挙げられるが必ずしもこれらに限定されないサブグループに分類することができる。増白剤は、粒子の形で又は好適な溶剤、例えば非イオン性界面活性剤、モノエタノールアミン、及び/又はプロパンジオールとのプレミックスとして添加されてもよい。
【0081】
好適な蛍光増白剤としては、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジルスルホン酸二ナトリウム(Tinopal AMS-GXの商品名にて、BASFより市販されている増白剤15);4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ビス-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンゼンジスルホン酸二ナトリウム(Tinopal UNPA-GXの商品名にてBASFより市販されている);4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ヒドロキシエチル-N-メチルアミノ)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンゼンスルホン酸二ナトリウム(Tinopal 5BM-GXの商品名にてBASFより市販されている);及び/又は、4,4’-ビス((4-アミノ-6-アニリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸二ナトリウム(増白剤49)を挙げることができる。増白剤は、増白剤49、増白剤15、増白剤3、又はこれらの混合物であることができる。
【0082】
追加のキレート剤
本開示の追加の処理補助剤は、追加のキレート剤(キーラント又はキレート化剤としても知られている)を含むことができる。追加のキレート剤は、オリゴアミンが親和性を有する金属イオンとは異なる金属イオンに対して親和性を有するように、選択することができる。例えば、本開示のオリゴアミンであるDETAは、銅イオンに対して特に親和性を有する一方、別のキレート剤であるDTPAは、カルシウムイオンに対して特に親和性を有する。したがって、キレート剤の組み合わせを有する組成物は、広域スペクトルの金属イオン封鎖をもたらすことができ、故に、改善された性能をもたらすことができる。例えば、酵素の安定性を維持しながら、組成物の配合におけるキレート剤使用量を改善する/最大化することにより、洗浄性能を最適化するために、本開示のオリゴアミンなどの銅キレート剤を、DTPA及び/又はHEDPなどのカルシウムキレート剤と結合させるのが好ましい場合がある。
【0083】
追加のキレート剤は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、又は~約5重量%、又は~約2重量%の濃度で存在し得る。オリゴアミン及び追加のキレート剤は処理組成物中に、処理組成物の約0.1重量%~約10重量%、好ましくは~約5重量%の組み合わせ濃度で、存在することができる。追加のキレート剤に対するオリゴアミンの重量比は、約10:1~約1:50、又は約1:1~約1:25、又は約1:2~約1:20とすることができる。オリゴアミンの重量での存在量は、追加のキレート剤の重量での存在量を下回ってもよい。
【0084】
好適な追加のキレート剤としては、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換芳香族キレート剤、又はこれらの混合物、好ましくはアミノカルボキシレートを挙げてもよい。本明細書で使用する場合、追加のキレート剤にクエン酸などの従来のビルダーを含めることは意図していないものの、このようなビルダーが本開示の組成物中に存在してもよい。
【0085】
キレート剤として有用なアミノカルボキシレートとしては、エチレンジアミンテトラアセテート、N-(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリアセテート、ニトロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、及びエタノールジグリシン、アルカリ金属、アンモニウム、及びその置換アンモニウム塩、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。アミノホスホネートは、低濃度の全リンが許容されるときに、本発明の組成物中でキレート剤と使用するのにもまた好適であり、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)が挙げられる。多官能置換芳香族キレート剤としては、カテコール、例えばスルホネート化カテコールを挙げることができる。
【0086】
追加のキレート剤としては、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、HEDP(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、EDDS(エチレンジアミンジスクシネート(EDDS))、DTPMP(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))、EDTMP(エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸))、Tiron(登録商標)(1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸)、HPNO(2-ピリジノール-N-オキシド)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、GLDA(グルタミン-N,N-二酢酸)、任意の好適なその誘導体、その塩類、及びこれらの混合物を挙げてもよい。
【0087】
酵素
本開示の処理組成物は、クリーニング性能及び/又は布地ケア効果を付与する1種以上の酵素を含み得る。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ、ヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ及び/若しくはリボヌクレアーゼなど)、ホスホジエステラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ホスホジエステラーゼ、及び/又はペクチン酸リアーゼの混合物が特に好ましい場合がある。本開示の組成物は、本開示のオリゴアミン、DTPAなどのカルシウム結合キレート剤、及びアミラーゼを含むことができる。
【0088】
他の剤
本開示の処理組成物は、溶媒、好ましくは非アミノ官能性有機溶媒などの有機溶媒を含んでいてよい。好適な有機溶媒としては、グリセロール、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,2プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、2,3-ブタンジオール、1,3ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールホルマルジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0089】
本開示の処理組成物は、塩素スカベンジャーを含むことができる。例えば、次亜塩素酸塩漂白剤に由来する、又は水資源中に自然に存在する、処理液中の塩素イオンは、退色又は他の変色に寄与し得ると考えられている。塩素スカベンジャーを、処理液中の、少なくとも約1ppm、又は少なくとも約2ppm、又は少なくとも約5ppm、又は少なくとも約10ppmの塩素を中和するのに十分な濃度で、組み込むことができる。塩素スカベンジャーは、(上記のオリゴアミン以外の)アミン、及び/又はアンモニウム塩を含むことができる。好ましいアミンとしては、一級及び/又は二級アミンを含むものを挙げることができ、かつ、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、及び/又はトリエタノールアミン(TEA)などのアルカノールアミンを挙げることができる。
【0090】
本開示の処理組成物は、洗浄及び/又は分散ポリマーを含有することができ、これらは、洗浄及び/又は白色化効果を付与することができる。好適な洗浄及び/又は分散ポリマーとしては、以下を挙げることができる:アニオン性若しくは非イオン性であり得、かつ/又はテレフタレート部分を含み得る、汚れ放出用ポリマー剤;アルコキシル化ポリアミン、例えばエトキシ化及び/又はプロポキシル化ポリエチレンイミン(PEI600 EO20及び/又はPEI EO24 PO16など)、エトキシ化ヘキサメチレンジアミン、並びにこれらのサルフェート;ポリアクリレートに由来するものを含む、アルコキシル化ポリカルボキシレート;ポリエチレングリコール主鎖に由来し、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物から選択される、少なくとも1つのペンダント部分を有するもの(Sokalan HP22など)といった、両親媒性グラフトコポリマー;セルロースポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物;カルボキシレートポリマー、マレエート/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマー;又はこれらの混合物。セルロースポリマー及び/又はカルボキシレートポリマーは、液体及びジェルの形態で配合するのがより難しい場合があるため、特に、乾燥又は粉末組成物にて使用され得る。
【0091】
特に、主に天然又は持続可能な資源に由来する洗剤が望ましい場合、特定の補助剤を制限又は更には排除することが望ましい場合がある。本開示の洗剤組成物は、シリコーン、染料、増白剤、又はこれらの組み合わせを含んでいなくてもよい。本開示の洗剤組成物は、当該組成物の5重量%未満、又は3重量%未満、又は1重量%未満のアミン含有化合物を含んでいてよいが、ただし、アミンオキシド界面活性剤(存在する場合)はアミン含有化合物の総量に含まれない。
【0092】
本開示の組成物は、セレン化合物を実質的に含んでいなくてよい。本開示の洗剤組成物は、ハロプロパルギル(haloproparagyl)化合物を実質的に含んでいなくてよい。
【0093】
組成物の作製方法
本開示は、本明細書で記載されるオリゴアミンを含む布地ケア組成物の作製方法に関する。当該方法は、本明細書に記載される組成物の成分を、記載される割合で組み合わせることを含んでいてよい。例えば、本開示のオリゴアミンを用意し、少なくとも1種の追加の処理補助剤と組み合わせて、処理組成物を形成することができる。
【0094】
本開示の液体組成物は、従来の方法に従って、例えば、バッチプロセス又は連続ループプロセスで製造してよい。
【0095】
本開示の固体組成物は、従来の方法、例えば、スプレー乾燥プロセスにより、又は、アグロメレ-ションプロセスにて、作製することができる。
【0096】
本明細書に記載される洗剤組成物をパウチ、好ましくは水溶性フィルムで作製されたパウチに封入して、布地を処理するために使用することができる単位用量物品を形成することができる。パウチは1つの区画を含むことができる、又は、横に並べること、及び/若しくは重ねることができる、複数の区画を有することができる。このような組成物は、比較的少量の水、例えば、洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水を有することが好ましい場合がある。
【0097】
組成物の使用方法
本開示は、本明細書に記載される組成物の使用方法に関する。洗剤組成物は布地ケア組成物であることができ、布地又は他の生地などの表面の処理に使用することができる。
【0098】
表面の処理方法は、表面、好ましくは布地である、表面を用意する工程と、当該表面を、上記の、本開示の組成物と接触させる工程と、を含むことができる。当該方法は、水の存在下で布地を撹拌することを含んでいてよい。当該方法は、洗浄又は清浄化の操作を実施する工程を更に含んでいてもよい。接触工程の前、間、又は後に水を添加して、処理液を形成してもよい。水及び/又は処理液は、例えば0.1ppm~約25ppmの濃度にて、銅イオン(Cu2+)を含むことができる。
【0099】
本開示は更に、本開示の組成物を使用して、布地、好ましくは汚れた布地を、例えば機械により、処理するプロセスであって、本開示の組成物を配置して、処理を受ける布地と接触させる工程と、処理操作、例えば洗浄、クリーニング、又は布地強化操作を実施する工程と、を含む、プロセスにも関する。接触させる工程は、自動洗濯機の洗浄サイクルの間、又はすすぎサイクルの間に生じさせることができる。
【0100】
任意の好適な洗濯機、例えば、トップローディング又はフロントローディング自動洗濯機を使用することができる。当業者は、関連する処理作業に好適な機械を認識するであろう。本開示の物品は、布地添加剤、布地柔軟剤、すすぎ補助剤などの他の組成物と組み合わせて使用してもよい。更に、本開示の洗剤組成物は既知の手洗いによる方法に使用してもよい。
【0101】
本開示はまた、布地を処理する方法であって、布地を本明細書に記載の洗剤組成物と接触させる工程と、洗浄工程を実施する工程と、次いで、当該布地を布地柔軟化組成物と接触させる工程と、を含む方法を目的とし得る。方法全体、又は少なくとも洗浄工程は、手動で実施してもよく、機械で支援してもよく、又は自動洗濯機で行ってもよい。布地に布地柔軟化組成物を接触させる工程は、例えば、自動洗濯機のすすぎサイクル中に、水の存在下において実行され得る。
【0102】
組み合わせ
本開示の具体的に想到される組み合わせを、ここで以下のアルファベットを付した項に記載する。これらの組み合わせは、事実上例示的なものであり、限定的なものであることを意図したものではない。
【0103】
A.処理組成物の約0.01重量%~約1.0重量%の、式Iに記載の構造を有するオリゴアミン及び/又はその塩:
【0104】
【化5】
[式中、Lは独立して-(C
mH
2m)-であり、各Lの添え字mは独立して2~6の整数であり、nは1~10の整数であり、R
1~R
5はそれぞれ、独立してH及びC
1~C
4アルキルから選択される。]、並びに追加の処理補助剤を含む、処理組成物。
B.処理組成物が、処理組成物の約0.01重量%~約0.75重量%、又は~約0.5重量%、又は~約0.4重量%、又は~約0.3重量%、又は~約0.2重量%、又は~約0.15重量%の、オリゴアミンを含む、段落Aに記載の処理組成物。
C.添え字mが2又は3であり、好ましくは添え字mが2である、段落A又はBのいずれか1つに記載の処理組成物。
D.nが1~5、好ましくは1~3、より好ましくは1若しくは2、又は更に好ましくは1の整数である、段落A~Cのいずれか1つに記載の処理組成物。
E.R
1~R
5のそれぞれが、独立してH及びC
1アルキルから選択され、好ましくは、R
1~R
5のうち少なくとも1つがHであり、より好ましくは、R
1~R
4のうち少なくとも1つがHであり、又は更により好ましくは、全てがHである、段落A~Dのいずれか1つに記載の処理組成物。
F.オリゴアミンが、約100~約1200Da、又は約100~約900Da、又は約100~約600Da、又は約100~約400Da、又は好ましくは、約100Da~約250Da、より好ましくは約100Da~約200Da、更により好ましくは約100Da~約150Daの分子量を特徴とする、段落A~Eのいずれか1つに記載の処理組成物。
G.オリゴアミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、5-メチルジプロピレントリアミン(5-MeDPTA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、4-メチルトリエチレンテトラアミン(4-MeTETA)、4,7-ジメチルトリエチレンテトラアミン(4,7-Me
2TETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリプロピレンテトラアミン(TPTA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、テトラプロピレンペンタアミン(TPPA)、ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)、ペンタプロピレンヘキサアミン(PPHA)、ヘキサエチレンヘプタアミン(HEHA)、ヘキサプロピレンヘプタアミン(HPHA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落A~Fのいずれか1つに記載の処理組成物。
H.オリゴアミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、好ましくはジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落A~Gのいずれか1つに記載の処理組成物。
I.オリゴアミンがジエチレントリアミン(DETA)を含む、段落A~Hのいずれか1つに記載の処理組成物。
J.追加の処理補助剤が、界面活性剤系、布地コンディショニング活性剤(FCA)、酸化防止剤、色相剤、蛍光増白剤、追加のキレート剤、酵素、脂肪酸及び/又はその塩類、封入有益剤、汚れ放出ポリマー、ビルダー、移染防止剤、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー脂洗浄剤、両親媒性コポリマー、泡抑制剤、美的染料、香料、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、担体、充填剤、ヒドロトロープ、溶媒、抗菌剤及び/又は防腐剤、pH調整剤、加工助剤、充填剤、レオロジー変性剤、構造化剤、乳白剤、パールエッセンス剤、顔料、防食剤、変色防止剤、消泡剤、塩素スカベンジャー、及びこれらの混合物から選択される、段落A~Iのいずれか1つに記載の処理組成物。
K.追加の処理補助剤が界面活性剤系を含み、好ましくは、界面活性剤系がアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含み、より好ましくは、界面活性剤系がアニオン性界面活性剤を含む、段落A~Jのいずれか1つに記載の処理組成物。
L.アニオン性界面活性剤が、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン、又はこれらの混合物で予め中和されている、段落Kに記載の処理組成物。
M.オリゴアミン中のプロトン化可能なアミンに対するアニオン性界面活性剤のモル比が約15:1未満であり、好ましくは、式Iのオリゴアミンにおいて、添え字nが2~5の整数である、段落K又はLのいずれか1つに記載の処理組成物。
N.追加の処理補助剤が酸化防止剤、好ましくは、ヒンダードフェノールを含む酸化防止剤を含む、段落A~Mのいずれか1つに記載の処理組成物。
O.追加の処理補助剤が白色化剤又は光沢剤、好ましくは、色相剤、蛍光増白剤、又はこれらの混合物から選択される白色化剤又は光沢剤を含む、段落A~Nのいずれか1つに記載の処理組成物。
P.追加の処理補助剤が追加のキレート剤、好ましくは、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、又はこれらの混合物から、より好ましくは、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、HEDP(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、DTPMP(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))、EDTMP(エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸))、Tiron(登録商標)(1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸)、HPNO(2-ピリジノール-N-オキシド)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、GLDA(グルタミン酸-N,N-二酢酸)、これらの任意の好適な誘導体、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される追加のキレート剤を含む、段落A~Oのいずれか1つに記載の処理組成物。
Q.追加のキレート剤に対するオリゴアミンの重量比が、約10:1~約1:50、又は約1:1~約1:25、又は約1:2~約1:20である、段落A~Pのいずれか1つに記載の処理組成物。
R.オリゴアミン及び追加のキレート剤が、処理組成物中に、処理組成物の約0.1重量%~約10重量%、好ましくは約0.5重量%~約5重量%の組み合わせ濃度で存在する、段落A~Qのいずれか1つに記載の処理組成物。
S.追加の処理補助剤が酵素を含み、好ましくは、酵素がプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ホスホジエステラーゼ、ペクチン酸リアーゼ、及びこれらの混合物から選択される、段落A~Rのいずれか1つに記載の処理組成物。
T.処理組成物が洗濯洗剤組成物である、段落A~Sのいずれか1つに記載の処理組成物。
U.処理組成物が、液体組成物、粒状組成物、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、芳香剤若しくはビーズ、繊維性物品、錠剤、バー、フレーク、乾燥機用シート、又はこれらの混合物の形態である、好ましくは、液体組成物の形態である、段落A~Tのいずれか1つに記載の処理組成物。
V.表面の処理プロセスであって、好ましくは、当該表面が布地であり、
表面、好ましくは当該表面が布地であり、より好ましくは当該表面が皮脂で汚れた布地である、表面を用意する工程と、
当該表面を、任意に水の存在下にて、段落A~Uのいずれか1つに記載の組成物と接触させる工程と、
を含む、プロセス。
【0105】
試験方法
悪臭低減の試験方法
以下の方法を使用して、組成物の悪臭低減効果を試験する。
【0106】
A.75グラムの悪臭マーカーの調製
脂肪酸及び悪臭マーカーを、表Aに記載のテフロン(登録商標)ライニング入りキャップ付きの100mLガラスジャー(glass gar)に入れて、ボルテックスを使用して十分混合する。
【0107】
【0108】
B.身体汚れ悪臭組成物の調製
テフロン(登録商標)ライニング入りキャップ付きの200mLガラスジャーに、表Bに記載の具体的な量の各材料を入れた。人工身体汚れ(ABS)は、Accurate Product Development;2028 Bohlke Blvd,Fairfield,OH 45014.により市販されている。
【0109】
【0110】
C.悪臭試験用布地の調製
表Bに記載の身体汚れ悪臭組成物300μLを、デサイズした2X5インチの白色ポリコットン50/50(PCW50/50)見本に適用することにより、洗浄量当たり16枚の悪臭試験用布地を調製する。試験する48グラムの液体洗剤(例えば、以下の実施例1、表1を参照)を、通常サイクル;77°F洗浄サイクル、続いて60°Fすすぎサイクルに設定したDuet 9200洗濯機に入れる。例えば、銅製の配管システムによって、適量の銅を含有する水道水を使用する。悪臭試験用の布地を50×50cmのきれいなコットン及びポリコットンのバラスト3.9kgと一緒に洗浄水7gpgで洗浄し、次いで、低温に設定されたMaytag二重スタック回転式乾燥機で20分間乾燥させる。乾燥した布地をマイラー製の袋に入れ、24時間密封する。
【0111】
D.布地上の悪臭の分析検出
質量選択検出器(5977B)、Chemstation定量パッケージ、及び、固相マイクロ抽出(SPME)プローブを備えたGerstel多目的サンプラーを装着したAgilentガスクロマトグラフ7890Bを使用するガスクロマトグラフィー質量分析により、ABS/スクアレン悪臭センサを使用して悪臭低減を定量的に測定する。既知の重量のこれらの材料を、軽質鉱油(CAS 8020-83-5)に溶解する(各材料はSigma Aldrichから市販)ことにより、較正標準の6-メチル-5-ヘプテン-2-オン(CAS 110-93-0)、trans-2-ヘプテナール(18829-55-5)、及び3-メチル-2-ブテナール(107-86-8)を調製する。布地を2インチ×2.5インチの試験片に切り出し、10mLのヘッドスペースクリンプバイアル瓶に入れる。バイアル瓶を、分析前に12時間超平衡化する。以下の設定をオートサンプラーで使用する:80Cのインキュベーション温度、90分のインキュベーション時間、VT32-10のサンプルトレー種、22mmのバイアル瓶貫通、20分の抽出時間、54mmのインジェクション貫通、及び300秒の脱着時間。Front Split/Splitless入口ヘリウムに対しては、以下の設定を使用する:スプリットモード、250℃の温度、12psiの圧力、79.5mL/分の合計流量、3mL/分のセプタムパージ流量、50:1のスプリット比、及び22.5分のGC運転時間。以下の設定をオーブンで使用する:40℃の初期温度、12℃/分の加熱プログラム、250℃の温度、及び5分の保持時間。各構成成分の分配係数(80℃におけるK)に基づき、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン(K=3353)、trans-2-ヘプテナール(K=3434)、及び3-メチル-2-ブテナール(K=1119)の全nmol/Lを計算する。
【0112】
これら3つの測定値(nmol/L)のこれらの値を合わせて、所与の試験群に対する全てのABS/スクアレンマーカー(nmol/L)を提供する。
【0113】
E.酸化生成物の悪臭低減率(%)の計算
酸化生成物の悪臭低減率(%)は、選択された悪臭マーカーの量について試験組成物によりもたらされる低減を、(オリゴアミンを含まない)参照組成物のものと比較するパーセンテージとして提供する。値は以下のとおりに測定する:
酸化生成物の低減率(%)=(マーカーref-マーカーtest)×100/マーカーref
【0114】
マーカーref及びマーカーtestの値を以下のとおりに定義する:
マーカーref=オリゴアミン非含有の配合物(例えば参照又は対照配合物)で洗浄した布地の、全ABS/スクアレンマーカー(nmol/L)
マーカーtest=試験オリゴアミンを含む配合物で洗浄した布地の全ABS/スクアレンマーカー(nmol/L)
【0115】
測定される酸化生成物は典型的には悪臭があるとしてみなされるため、組成物により提供される酸化生成物の低減率が高いほど、処理された布地の悪臭は少なくなる可能性が高いと考えられている。それ故、酸化生成物の悪臭低減率の値が大きいほうが、典型的には好ましい。本開示の組成物及びプロセスは、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%の、酸化生成物の悪臭低減率(%)の値を提供することができる。
【0116】
白色度低下試験方法の試験
以下の手順に従い、白色度低下(例えば、ΔWI)を試験する。
【0117】
A.白色度試験用布地の準備
デサイズした綿、ポリコットン、及びポリエステルの白色度試験用布地は、WFKから注文することができる。(WFK Testgewebe GmbH,Christenfeld 10,D-41379 Bruggen,Germany)。通常の洗浄サイクル、77F洗浄、60F洗浄、7gpgに設定したKenmore Top Loaderにおいて、48グラム(750ppm)のTide Free and Clear及び25グラム(390ppm)のDowny Free rinseで4回洗浄することによる白色度試験用に、各種類の布地を4枚(合計で12枚の布地)を準備する。最初の白色度参照測定は、Konica Minolta分光光度計を使用して行い、初期白色度指数CIEとして報告する。白色度指数CIE値は、白色度についての一般的な指数であり、屋外昼光を標準的に再現するD65照明下で行われる測定を意味する。完全に反射性の非蛍光性の白色材料において、CIE白色度は100となる。技術用語では、白色度は、特定の照明条件下で白色に近い材料の、白色度の相対的な程度を参照する単数指数である。この指数は、当該白色度指数が高くなるほどその材料の白さが増すということにほとんどの人が同意するように考案されている。
【0118】
B.白色度試験
下表3にまとめている条件下で、7.57リットルのカスタム洗濯槽に布地を入れる。バックグラウンド汚れと共に、洗浄サイクルにおいて5.65グラム(746ppm)の洗剤(液体TIDE(登録商標))、続いて、すすぎサイクルにおいて3グラム(396ppm)の液体柔軟仕上げ剤(DOWNY(登録商標)Free)により、布地を洗浄する。すすぎサイクルが終わったら、布地を全て取り出し、回転式乾燥機に配置する。これを10回の洗浄、すすぎ、及び乾燥サイクルで繰り返す。10サイクルの後、Konica Minolta分光光度計を使用して、布地の白色度低下を測定し、測定値を最終白色度指数として報告する。初期と処理後の白色度指数測定値の差を表す、平均デルタWI(即ちΔWI)を、試験した各布地に関して計算し、以下の式:ΔWI=調製後の初期白色度指数-10~20サイクル後の処理後の白色度指数、として表す。典型的には、バックグラウンド汚れと共に洗浄した後、白色度は低下する傾向にあるため、ΔWIは負の値である。白色度指数を、ΔΔWI=オリゴアミン含有ΔWI試験-ΔWI REF(オリゴアミン非含有)として表で報告する。オリゴアミンを含有する試験液体洗剤組成物で洗浄した後に、オリゴアミンを非含有の参照液体洗剤組成物と比較して白色度が低下しない傾向にある場合、ΔΔWは負の値である。数字がゼロに近いのは、オリゴアミンが布地の黄変にほとんど影響しないことを表す。
【0119】
【実施例】
【0120】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0121】
実施例1.代表的な配合物(重質液体洗濯洗剤)
表1に列挙する成分を混合することによる、当業者に既知の従来の方法により、以下の重質液体洗濯洗剤組成物を調製することができる。組成物1Aは、本開示の直鎖オリゴアミンを非含有の、従来のプレミアム洗濯洗剤である。組成物1Bは、EDDSキレート剤を含む比較実施例である。
【0122】
【表4】
1.Stepan,Northfield,Illinois,USAにより供給される、平均脂肪族炭素鎖長C11~C12を有する直鎖アルキルベンゼンスルホネート。
2.AE9は、Huntsman(Salt Lake City,Utah,USA)により供給される、平均エトキシル化度が9のC12~14アルコールエトキシレートである。
3.Dow Chemical,Midland,Michigan,USAにより供給されるジエチレンテトラアミン五酢酸(DTPA);Solutia,St Louis,Missouri,USA Bagsvaerd,Denmarkにより供給されるヒドロキシエタンジホスホネート(HEDP)もまた使用することができる。
4.-NH当たり20のエトキシレート基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。
5.両親媒性アルコキシル化脂洗浄ポリマーは、-NHあたり24個のエトキシレート基、及び-NHあたり16個のプロポキシレート基を有するポリエチレンイミン(MW=600)である。
6.プロテアーゼは、Genencor International(Palo Alto(California,USA))により供給されているもの(例えばPurafect Prime(登録商標))、又はNovozymes(Bagsvaerd,Denmark)により供給されているもの(例えばLiquanase(登録商標)、Coronase(登録商標))であってよい。
7.Natalase(登録商標)、Mannaway(登録商標)は全て、Novozymes,Bagsvaerd,Denmarkの製品である。
8.好適な蛍光増白剤は例えば、Tinopal(登録商標)AMS,Tinopal(登録商標)CBS-Xである。
9.ジエチレントリアミン(DETA)
10.N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン
11.テトラエチレンペンタミン(TEPA)
【0123】
実施例2.オリゴアミンと既知のキレート剤の悪臭制御についての比較
本開示のオリゴアミンの悪臭制御効果を示すために、様々な液体洗剤組成物を、上記実施例1A・表1に従い調製する。いくつかは、1つ以上の従来のキレート剤を有し、いくつかは、本開示の直鎖オリゴアミンを含む。
【0124】
実施例2Aは、従来のキレート剤(ジエチレンテトラアミン五酢酸(DTPA))を含有する、プレミアム型の洗濯洗剤である。追加のアミンを、実施例2B、2C、2D、及び2Eに添加する。実施例2Bは、追加のアミノキレート剤であるエチレンジアミン二コハク酸(EDDS)を含有する。実施例2C、2D、及び2Eは、下表2に詳述するように、本開示のオリゴアミンを含有する。上記で提供する試験方法に従い、組成物の酸化生成物の低減率(%)を試験する。結果を表2に示す。
【0125】
【表5】
1N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンは、以下の構造を有する:
【0126】
【0127】
表2の結果は、実施例2C、2D、及び2Eの直鎖オリゴアミンの悪臭制御効果を、追加のアミン非含有の2Aの組成物と比較して示す。実施例2C、2D、及び2Eは、実施例2Bと比較して改善された悪臭制御もまた示し、オリゴアミンが、異なるアミン含有キレート剤であるEDDSよりも良好に性能を発揮することを示している。
【0128】
実施例3.直鎖オリゴアミンと他のアミン(1)の悪臭制御についての比較
本開示のオリゴアミンの悪臭制御効果を他のアミンと比較して示すために、表3に示すように様々な追加のアミンを液体洗剤組成物A(上記実施例1・表1を参照)に配合する。布地は、北アメリカ式の縦型機にて組成物により処理する。上記で提供する試験方法に従い、組成物の酸化生成物の低減率(%)を試験する。結果を表3に示す。
【0129】
【表6】
1DETAは、Aldrichにより市場に供給されているジエチレントリアミンである。
【0130】
【化7】
2メチル化DETAはN1-(2-アミノエチル)-N1-メチルエタン-1,2-ジアミンである。
【0131】
【化8】
3Dytec DHC 99は、Aldrichにより市場に供給されている、1,2-ジアミノシクロヘキサンである。
【0132】
【化9】
4Jeffamine ERD 148は、Huntsmanにより市場に供給されている、2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミン)である。
【0133】
【化10】
5Dytec EPは、Aldrichにより市場に供給されている1,3-ペンタンジアミンである。
【0134】
【0135】
表3に示すように、本開示の直鎖オリゴアミンを含む実施例3B及び3Cは、対照組成物(実施例3A)と比較して、改善された悪臭制御効果を示す。一方、比較例3D、3E、及び3Fは、表3のデータによると、これに相当する悪臭制御効果を示さない。
【0136】
実施例4.オリゴアミンと他のアミン(2)の悪臭制御についての比較
本開示のオリゴアミンの悪臭制御効果を他のアミンと比較して示すために、様々な追加のアミンを、表4に示すように液体洗剤組成物A(上記実施例1・表1を参照)に配合する。布地は、北アメリカ式の縦型機にて組成物により処理する。上記で提供する試験方法に従い、組成物の酸化生成物の低減率(%)を試験する。結果を表4に示す。
【0137】
【表7】
1N1-(3-アミノプロピル)-N1-メチルプロパン-1,3-ジアミンは、以下の構造を有する:
【0138】
【0139】
表4に示すように、本開示のオリゴアミンを含む実施例4B及び4Cは、対照組成物(実施例4A)と比較して、改善された悪臭制御効果を示す。一方、比較例4D、4E、及び4Fは、表4のデータによると、これに相当する悪臭制御効果を示さない。
【0140】
実施例5.DETAの悪臭制御
ジエチレントリアミン(DETA)の悪臭制御効果を示すために、表5に示す量(組成物の重量%として示す)に従い、様々な量のDETAを液体洗剤組成物1A(上記表1を参照)に配合する。試験用布地を、ドラム式機にて処理した。処理液中に存在するDETAの量を、1000万分率(ppm)として示す。表5は、オリゴアミン中に存在する、プロトン化可能なアミンに対するアニオン性界面活性剤のモル比も示す。上記で提供する試験方法に従い、組成物の酸化生成物の低減率(%)を試験する。
【0141】
【0142】
表5に示す結果は、実施例1Aの組成物に含まれる本開示の直鎖状オリゴアミンを含む液体組成物で洗浄した布地における悪臭予防を、当該直鎖状オリゴアミンは含まないこと以外は同様の洗剤の場合と比較して示す。存在させる場合であっても、当該アミンは、組成物中0.1重量%以下の濃度、かつ/又は、処理液中に4ppm未満、若しくは更には、3ppm未満の濃度である。
【0143】
実施例6.オリゴアミン及び酸化防止剤
酸化防止剤との組み合わせを含む、本開示のオリゴアミンの悪臭制御効果を示すために、上記実施例1の実施例1A・表1の液体洗剤組成物を提供する。直鎖オリゴアミンと酸化防止剤の様々な組み合わせを、表6に記載する濃度にて液体洗剤組成物に添加する。実施例6D及び6Eに添加する酸化防止剤は、ヒンダードフェノール酸化防止剤(具体的には、Tinogard TS(例えばBASF)として市販されている、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である。
【0144】
上記で提供する試験方法に従い、組成物の酸化生成物の低減率(%)を試験する。結果を表6に示す。
【0145】
【0146】
表6に示すように、DETAアミンが存在することで、改善された悪臭の制御がもたらされる。表6のデータは、本開示のオリゴアミンと酸化防止剤とについて試験した組み合わせにより、改善された悪臭制御がもたらされることを更に示す。
【0147】
顕著なことに、DETAの濃度は液体組成物6B及び6Eで同じであるものの、(酸化防止剤を更に含む)液体組成物6Eは、酸化生成物の除去についてほぼ2倍のパーセンテージ(%)をもたらしている。また、液体組成物6Eの性能は、2倍のDETAアミンを含む液体組成物6Cの性能に等しい。
【0148】
実施例7.アルキル化の効果
様々なアルキル化度の本明細書に記載のオリゴアミンが悪臭低減効果を有し得るという効果を示すために、以下の分子を、上記の試験方法に従って提供する濃度にて試験する。試験は、北アメリカ製のドラム式自動洗濯機にて実施する。
【0149】
下表7Aと7Bにて、各化合物について、酸化生成物と参照組成物の、低減率の比較を示す。
【0150】
【0151】
上記構造により示されるように、実施例7Bは末端一級アミンを特徴とし、実施例7Cは末端二級アミンを特徴とし、実施例7Dは末端三級アミンを特徴とする。表7Aに示すように、実施例7B~7Dはそれぞれ悪臭の低減効果をもたらし、実施例7Bが相対的に、最大の悪臭低減をもたらしている。
【0152】
【0153】
表7Bに示すように、実施例7Fは、相対的に最大の悪臭低減をもたらす。
【0154】
実施例8.オリゴアミンと白色度
オリゴアミン(及びその濃度%)が白色度に影響し得ることを示すために、表8に示すように、特定のアミンを北アメリカ製の液体TIDE(登録商標)(市販の重質液体洗濯洗剤)に添加する。様々な布地(綿、ポリコットン、及びポリエステル)を、組成物と共に10回の洗浄サイクルで北アメリカ式の条件にて処理する。
【0155】
10回のサイクルの後、試験方法のセクションにて上述した、白色度低下試験方法に従い、白色度の低下を測定する。結果を表8に示す。負の数は白色度の低下を示し、数の程度が大きくなるほど、より大きな白色度の低下を示す(例えば、-10は、-5よりも大きな白色度の低下を示す)。白色度の低下は、0~-5、又は0~-4であるのが好ましい。白色度の低下の程度が大きいことは、その生成物が、消費者用途にはさほど好ましくない可能性があることを示す。
【0156】
【0157】
表8に示すように、アミンが存在すると複数回の処理で白色度が低下する場合がある。しかし、例えば0.1重量%未満のアミン濃度(試験8B及び8Cを参照)にてもたらされる白色度の低下は、メーカには比較的受け入れられる。比較として、1%を超える濃度のDETAを含む試験8Dは、さほど好ましくないと考えられる白色度の低下を示す。アルキル化オリゴアミンは、白色度の低下を更に改善し得る、かつ/又は、白色度の低下を許容範囲内で維持しつつ比較的高い濃度でのオリゴアミンの配合を可能にし得ると、考えられている。
【0158】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような各寸法は、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0159】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0160】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。