(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】フォトニック集積回路用のマイクロミラー光学ベンチを備えた取外し可能なエッジカプラ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20250212BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20250212BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/42
G02B6/32
(21)【出願番号】P 2021547652
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 US2019057742
(87)【国際公開番号】W WO2020086777
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516183185
【氏名又は名称】センコー アドバンスド コンポーネンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランス,ロバート ライアン
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0251357(US,A1)
【文献】特表2018-509655(JP,A)
【文献】特表2017-516152(JP,A)
【文献】特開2013-257439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0128992(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0003453(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12- 6/14
G02B 6/26- 6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/42- 6/43
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体;
前記支持体の上面に取り付けられたフォトニック集積回路(PIC)チップであって、該PICチップのエッジに光をルーティングして前記PICチップの外部に
該PICチップの光学インターフェースを提供する光学要素を含む、PICチップ;
マイクロミラー光学ベンチを含むエッジカプラ
を含む、フォトニック装置であって、
前記マイクロミラー光学ベンチが、
ベース;
前記ベース上に規定されたミラーの第1のアレイであって、各ミラーが、前記上面に実質的に平行な平面内の第1の方向に沿った第1の光路と前記平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光を回転させる構造反射表面プロファイルを含
み、前記ベースが、それぞれが前記第1の光路に沿ったその長手軸で光ファイバのセクションを受容する溝のアレイを含み、第1の端部は前記第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされ、第2の端部は前記PICチップ内の対応する光学要素と光学的にアラインメントされ、前記ベース内の溝は、前記PICチップのエッジに面する前記エッジカプラの前記ベースのエッジにおいて終端する、ミラーの第1のアレイ;および
外部光ファイバアレイの光ファイバコネクタへの取外し可能な結合のための、前記ベース上の受動的アラインメント構造
を含み、
前記エッジカプラが、前記ベースのエッジを前記PICチップのエッジに対向させて前記支持体上に支持され、前記エッジカプラが、前記PICチップに関してアラインメントされて、前記ミラーの第1のアレイが前記PICチップの前記光学要素と光学的にアラインメントされ、前記第1の光路が、前記ミラーの第1のアレイ内のミラーと前記PICチップ内の対応する光学要素との間であ
り、前記PICチップ内の光学要素が、前記エッジカプラの溝内の前記光ファイバのセクションの対応する第2の端部に前記PICチップの光学インターフェースを提供する、
ことを特徴とする、フォトニック装置。
【請求項2】
各ミラーが、前記PICチップの対応する光学要素に面する露出した反射自由側を有する前記ベースの露出した自由表面であり、前記露出した反射自由側は、光が前記PICチップ内の対応する光学要素に出入りするよう方向付けられる構造反射表面プロファイルを含む、ことを特徴とする、請求項1に記載のフォトニック装置。
【請求項3】
前記構造反射表面プロファイルが、以下のプロファイル:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状光学表面の1つを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のフォトニック装置。
【請求項4】
前記ベースが、金属材料で作製され、前記ミラーの第1のアレイが、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことにより前記ベース上に規定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項5】
前記光ファイバのセクションが、前記エッジカプラの前記ベースのエッジを超えて伸長する拡張セクションを含み、該拡張セクションは、前記PICチップの前記エッジにおいて溝に受容され、前記拡張セクションの拡張端は、前記PICチップ内の対応する光学要素と光学的にアラインメントされる前記第2の端部に対応することを特徴とする、請求項
4に記載のフォトニック装置。
【請求項6】
各溝が、前記第1の光路に沿ってそれぞれの溝で受容された光ファイバのセクションと光学的にアラインメントされた屈折率分布型(GRIN)レンズをさらに受容し、該GRINレンズが、前記PICチップ内の対応する光学要素から光ファイバの前記セクションの前記第2の端部に光を集光する、または、光ファイバの前記セクションの前記第2の端部から前記PICチップ内の前記対応する光学要素に光を発散させることを特徴とする、請求項
4または
5に記載のフォトニック装置。
【請求項7】
前記ベースが、金属で作製され、前記溝および前記ミラーの第1のアレイが、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことにより前記ベース上に一体的に規定されることを特徴とする、請求項
4~
6のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項8】
前記エッジカプラが、前記ミラーの第1のアレイと前記PICチップの前記光学要素との間に任意の光学要素を伴わない自由空間エッジカプラであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項9】
光ファイバアレイをさらに含み、該光ファイバアレイが、前記エッジカプラの前記ミラーの第1のアレイと光学的にアラインメントされた光ファイバのアレイのそれぞれの端部を終端および支持する前記光ファイバコネクタを含み、該光ファイバコネクタが、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力し、前記光ファイバコネクタが前記エッジカプラに結合された状態で、前記光ファイバのアレイと前記PICチップの前記光学要素との間の光が、前記エッジカプラ内の前記ミラーの第1のアレイを介して、前記第1の光路および前記第2の光路によって規定される光路をたどり、前記ミラーの前記構造反射表面プロファイルが、前記PICチップからの光を再整形して、前記光ファイバコネクタ内の前記光ファイバのアレイのモードフィールドに一致するように構成されることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項10】
前記光ファイバコネクタが、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力するように前記光ファイバのアレイを支持する構造を含み、前記光ファイバコネクタが前記エッジカプラに結合された状態で、前記光ファイバのアレイと前記PICチップの前記光学要素との間の光が、前記エッジカプラ内の前記ミラーの第1のアレイを介して、前記第1の光路および前記第2の光路によって規定される光路をたどることを特徴とする、請求項
9に記載のフォトニック装置。
【請求項11】
前記光ファイバコネクタが、ミラーの第2のアレイを含む光学ベンチをさらに含み、前記ミラーの第2のアレイ内の各ミラーが、前記第1の方向に平行な第3の方向に沿った第3の光路と前記第2の方向に沿った前記第2の光路との間で光を回転させる構造反射表面プロファイルを含み、それによって、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力し、前記光ファイバコネクタが前記エッジカプラに結合された状態で、前記光ファイバのアレイと前記PICチップの前記光学要素との間の光が、前記エッジカプラ内の前記ミラーの第1のアレイおよび前記光ファイバコネクタ内の前記ミラーの第2のアレイを介して、前記第1の光路、前記第2の光路および前記第3の光路によって規定される光路をたどることを特徴とする、請求項
10に記載のフォトニック装置。
【請求項12】
前記光ファイバコネクタが、前記エッジカプラ上の前記受動的アラインメント構造に相補的な受動的アラインメント構造を含み、前記光ファイバコネクタが、該光ファイバコネクタおよび前記エッジカプラ上の前記相補的な受動的アラインメント構造に基づいて受動的アラインメントによって前記エッジカプラに取外し可能に結合され、前記エッジカプラを介して前記光ファイバのアレイを前記PICチップの前記光学要素に光学的に結合することを特徴とする、請求項
9~
11のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項13】
前記エッジカプラ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピン、アラインメントピンホールおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供することを特徴とする、請求項
12に記載のフォトニック装置。
【請求項14】
前記光ファイバコネクタ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、前記エッジカプラの前記対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、および弾性平均結合を提供することを特徴とする、請求項
13に記載のフォトニック装置。
【請求項15】
前記支持体を支持するプリント回路基板(PCB)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~
14のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項16】
前記支持体が、インターポーザおよび集積回路のいずれかであることを特徴とする、請求項
15に記載のフォトニック装置。
【請求項17】
前記ミラーの第1のアレイが、前記エッジカプラと前記PICチップの前記光学要素との間の光に基づく能動的アラインメントによって、前記PICチップの前記光学要素と光学的にアラインメントされて配置されることを特徴とする、請求項1~
16のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項18】
前記ミラーの第1のアレイが、前記PICチップの前記エッジへの前記エッジカプラの受動的アラインメントによって、前記PICチップの前記光学要素と光学的にアラインメントされて配置されることを特徴とする、請求項1~
16のいずれか一項に記載のフォトニック装置。
【請求項19】
前記エッジカプラがさらに、前記ミラーの第1のアレイを覆うガラスカバーを含み、該ガラスカバーおよび前記PICチップの前記エッジ近くの上面に基準が提供され、前記エッジカプラが、前記基準を光学的にアラインメントすることにより前記PICチップに受動的にアラインメントされることを特徴とする、請求項
18に記載のフォトニック装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本願は、(a)2018年10月23日出願の米国仮特許出願第62/749616号、および(b)2018年10月23日出願の米国仮特許出願第62/749618号に基づく優先権を主張するものである。これらの出願は、参照により、それらの内容が本明細書に完全に記載されているかのように、完全に組み込まれているものとする。以下で言及するすべての刊行物は、参照により、それらの内容が本明細書に完全に記載されているかのように、完全に組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、フォトニック集積回路(photonic integrated circuit;PIC)の入力および出力に光を結合する技術に関するものであり、特に、PICデバイスに対する光ファイバの光接続に関する。
【背景技術】
【0003】
フォトニック集積回路(photonic integrated circuit;PIC)または光集積回路は、動作の基礎として電流ではなく光を用いるエマージング技術の一部である。PICデバイスは、複数(少なくとも2つ)のフォトニック機能を統合し、したがって、電子集積回路に類似する。上記の2つの主な違いは、フォトニック集積回路は、通常は可視スペクトルまたは近赤外の850nm~1650nmにおける光学波長に与えられる情報信号のための機能を提供することである。
【0004】
PICは、遠距離通信、計測、および信号処理の分野において様々な用途に使用される。PICデバイス(フォトニックチップパッケージの形態で)は通常、光導波路を用いて、様々のオンチップ(on-chip)素子、例えば、導波路、オプティカルスイッチ、カプラ、ルータ、スプリッタ、マルチプレクサ/デマルチプレクサ、モジュレータ、増幅器、波長変換器、光-電気(O/E)および電気-光(E/O)信号変換器(例えば、フォトダイオード、レーザ)等を、実装および/または相互接続する。PICデバイス中の導波路は通常、導波路のコアとクラッディングとの間の屈折率コントラストにより光をガイドするオンチップソリッド導光体である。
【0005】
PICデバイスはしばしば、光通信の組織化ネットワークの形態で、他のPICデバイスへの光接続を有することが必要とされる。接続距離は、チップ間接続の場合の数ミリメートルから、最大で長距離用途の場合の数キロメートルまでの範囲でありうる。低損失光ファイバによって長距離に亘って非常に高いデータ転送速度(>25Gbps)で光ファイバ内を光が通過できるので、光ファイバは、有効な接続方法を提供できる。適切な動作のために、PICデバイスは、外部光ファイバと1つまたは複数のオンチップ導波路との間で光を効率よく接続する必要がある。PICデバイスにおいて回路動作の基礎として光を用いる利点は、高速信号伝達のためのエネルギー費が、電子チップのものよりも実質的に低いということである。したがって、この利点を維持する、PICデバイスと光ファイバのような他の光学デバイスとの間の有効な接続が、PICの重要な態様である。
【0006】
ほとんどのPICデバイスは、通常は1マイクロメートル未満の、光ファイバとPICとの間の厳しいアラインメント許容誤差を必要とするシングルモードの光接続を必要とする。オンチップシングルモード導波路へおよびオンチップシングルモード導波路から外部光ファイバへの有効な光学結合は、シングルモード導波路と光ファイバ内の導光コアとの間のサイズの不一致により困難である。例えば、通常のシリカ光ファイバの寸法は、PIC上の通常の導波路より約40倍大きい。このサイズの不一致により、シングルモード導波路と光ファイバとが直接結合されると、導波路および光ファイバのそれぞれのモードが有効に結合せず、許容できない挿入損失(例えば、>20dB)が生じうる。
【0007】
現行技術水準は、ポリマーコネクタ要素を用いて厳しいアラインメント許容誤差を達成しようとするが、ポリマーにはいくつかの根本的な不利点がある。第1に、ポリマーは伸縮自在であり、外部の印加された負荷の下で容易に変形する。第2に、ポリマーは寸法安定性ではなく、特にコンピューティングおよびネットワーキングハードウェアで見られるような高温にさらされるとサイズおよび形状を変え得る。第3に、ポリマーの熱膨張率(CTE)は、PICデバイスで通常使用される物質のCTEよりもはるかに大きい。したがって、温度サイクルによって、光ファイバとPICデバイス上の光学要素との間にアラインメントずれが生じる。場合によっては、ポリマーは、PICデバイスをプリント回路基板上にはんだ付けする間に用いられる処理温度に耐えることができない。
【0008】
光ファイバをPICデバイス(またはPICチップパッケージ)に結合する1つのアプローチは、光ファイバアレイをPICチップのエッジに取り付けることである。従来、光ファイバアレイは、能動的なアラインメントアプローチを用いてPICチップ上の光学要素とアラインメントされ、このアプローチにおいて、光ファイバアレイの位置および配向は、光ファイバとPICとの間で伝達される光の量が最大となるまで機械的に調整される。接続は一旦行われると恒久的であり、接続の完全性を破壊したりPICチップへ光ファイバを再び取り付ける希望なしに、取り外し、分離しまたは着脱することができない。言い換えれば、光ファイバは、PICデバイスに取外し可能に取り付けることができず、ファイバ接続および分離は、破壊的であり可逆的でない(すなわち、再接続可能でない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要とされるのは、ファイバアレイ中の光ファイバおよびオンチップ光学要素のモードサイズを互いに近くして有効な結合を達成する機構、および、許容誤差、製造性、使用容易性、機能性および信頼性をより低いコストで改善する、光ファイバの入力/出力をPICデバイスに光学的に結合するための改善されたアプローチである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光ファイバアレイとフォトニック集積回路(PIC)デバイス(例えば、PICチップパッケージ)との間に取外し可能/分離可能かつ再接続可能なエッジカプラを提供することによって、従来技術の欠点を克服する。エッジカプラは、PIC内の接触する光学要素(例えば、導波路)と光学的にアラインメントされて、PICのエッジに取り付けられている。本発明のエッジカプラは、ミラーアレイを有するマイクロミラー光学ベンチ(MOB)、およびそれと光学的にアラインメントされたファイバアレイの取外し可能な再接続を可能とするように構成および構造化されたベースを含む。
【0011】
ある態様において、本発明は、マイクロミラー光学ベンチを含むエッジカプラを提供し、マイクロミラー光学ベンチは、ベンチまたはベース(例えば、シリコン、ガラス、または、コバール、インバー、アルミニウム、ステンレス鋼などの可鍛性金属で作製される)、ベース上に規定されたミラーの第1のアレイ、および、外部光ファイバアレイの光ファイバコネクタへの取外し可能な結合のためのベース上の受動的アラインメント構造を含み、各ミラーは、上面に実質的に平行な平面内の第1の(水平)方向に沿った第1の光路と当該平面の外側の第2の(垂直)方向に沿った第2の光路との間で、光を回転させる構造反射表面プロファイルを含む。各ミラーは、入射光を曲げ、反射し、かつ/または再整形する。PICチップのエッジにエッジカプラが取り付けられ、光ファイバアレイとPICチップとの間に取外し可能な結合を提供する。より詳細には、取外し可能な結合は、光ファイバアレイの光ファイバコネクタとエッジカプラとの間の分離可能かつ再接続可能な接続であり、エッジカプラは、光ファイバコネクタが、取り外されかつ光学的にアラインメントされてエッジカプラに再接続するために取り付けられることを可能とするよう構成および構造化される。
【0012】
一実施形態では、フォトニック装置は、支持体(例えば、インターポーザまたはCMOSチップのような集積回路(IC));支持体の上面に取り付けられたPICチップを含み、PICチップは、PICチップのエッジに光をルーティングしてPICチップの外部に光学インターフェースを提供する光学要素(例えば、導波路)を含み、エッジカプラは、PICチップに関してアラインメントされて支持体上に支持されてミラーの第1のアレイがPICチップの光学要素と光学的にアラインメントされ、エッジカプラの第1の光路は、ミラーの第1のアレイ内のミラーとPICチップ内の対応する光学要素との間である。
【0013】
一実施形態では、各ミラーは、PICチップの対応する光学要素に面する露出した反射自由側を有するベースの露出した自由表面(すなわち、空気に露出した表面、または光学ベンチのベースの本体の内部ではない表面)であり、露出した反射自由側は、光がPICチップ内の対応する光学要素に出入りするよう方向付けられる構造反射表面プロファイルを含む。構造反射表面プロファイルは、以下の幾何学的プロファイルの1つを含み得る:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状。ミラーは、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことによりベース上に規定されうる。
【0014】
一実施形態では、エッジカプラは、ミラーの第1のアレイとPICチップのエッジにおける光学要素との間に任意の光学要素(例えば、光ファイバ)を持たないフリースペースエッジカプラである。別の実施形態では、エッジカプラベースは、それぞれが第1の光路に沿ったその長手軸で光ファイバのセクションを受容する溝のアレイを含み、その端部の一方は第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされ、反対側の端部はPICチップ内の対応する光学要素と光学的にアラインメントされ、ベース内の溝は、PICチップのエッジに面するエッジカプラのベースのエッジにおいて終端する。一実施形態では、光ファイバのセクションは、エッジカプラのベースのエッジで実質的に終端する、またはエッジカプラのベースのエッジからわずかに突出するまたは引っ込む。別の実施形態では、光ファイバのセクションは、エッジカプラのベースのエッジを超えて伸長する拡張セクションを含み、拡張セクションは、PICチップのエッジにおいて溝に受容され、拡張セクションの拡張端は、PICチップ内の対応する光学要素と光学的にアラインメントされる。
【0015】
さらなる実施形態では、各溝は、第1の光路に沿ってそれぞれの溝で受容された光ファイバのセクションの第2の端部と光学的にアラインメントされた屈折率分布型(GRIN)レンズをさらに受容し、GRINレンズは、PICチップ内の対応する光学要素から光ファイバのセクションの第2の端部に光を集光する、または、光ファイバのセクションの第2の端部からPICチップ内の対応する光学要素に光を発散させる。
【0016】
溝を備えたエッジカプラの実施形態では、溝およびミラーの第1のアレイは、可鍛性金属材料の単一のモノリシックブロック(例えば、ストック金属材料または金属ブランク)をスタンピングすることによって、ベース上に一体的に規定され、反射表面および光ファイバアラインメント溝を一体的かつ同時に形成しうる。
【0017】
光ファイバアレイは、エッジカプラのミラーの第1のアレイと光学的にアラインメントされた光ファイバの端部を終端および支持する光ファイバコネクタを含み、光ファイバコネクタは、第2の光路に沿って第2の方向に光を入力/出力し、光ファイバコネクタがエッジカプラに結合された状態で、光ファイバアレイとPICチップの光学要素との間の光は、エッジカプラ内のミラーの第1のアレイを介して、第1の光路および第2の光路によって規定される光路をたどる。ミラーの構造反射表面プロファイルは、PICチップからの光を再整形して、光ファイバコネクタ内の光ファイバのモードフィールドに一致するように構成される。
【0018】
一実施形態では、光ファイバコネクタは、第2の(垂直)光路に沿って第2の方向に光を入力/出力するように光ファイバを支持する構造を含み、光ファイバコネクタがエッジカプラに結合された状態で、光ファイバアレイとPICチップの光学要素との間の光は、エッジカプラ内のミラーの第1のアレイを介して、第1の光路および第2の光路によって規定される光路をたどる。光ファイバコネクタは、光ファイバフェルールコネクタの形をとることができ、光ファイバを内部で垂直に、PICチップの上面に対して垂直方向に、保持する。別の実施形態では、光ファイバコネクタは、ミラーの第2のアレイを含む光学ベンチを含んでもよく、ミラーの第2のアレイ中の各ミラーは、第1の(水平)方向に平行な第3の(水平)方向に沿った第3の光路と第2の(垂直)方向に沿った第2の光路との間で光を回転させる構造反射表面プロファイルを含み、それによって、第2の光路に沿って第2の(垂直)方向に光を入力/出力する。この実施形態において、光ファイバコネクタがエッジカプラに結合された状態で、光ファイバアレイとPICチップの光学要素との間の光は、エッジカプラ内のミラーの第1のアレイおよび光ファイバコネクタ内のミラーの第2のアレイを介して、第1の光路、第2の光路および第3の光路によって規定される光路をたどる。
【0019】
光ファイバコネクタは、エッジカプラ上の受動的アラインメント構造に相補的な受動的アラインメント構造を含み、光ファイバコネクタは、光ファイバコネクタおよびエッジカプラ上の相補的な受動的アラインメント構造に基づいて受動的アラインメントによってエッジカプラに取外し可能に結合され、エッジカプラを介して光ファイバアレイをPICチップの光学要素に光学的に結合する。一実施形態では、エッジカプラ上の受動的アラインメント構造は、アラインメントピン、アラインメントピンホールおよび表面特徴の少なくとも1つを含んでもよく、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供する。光ファイバコネクタ上の相補的な受動的アラインメント構造は、アラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、エッジカプラの対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供する。
【0020】
PICチップの支持体は、プリント回路基板(PCB)上で支持され得るインターポーザまたは集積回路であり得る。ミラーの第1のアレイは、エッジカプラとPICチップの光学要素との間の光に基づく能動的アラインメントによって、または、ガラスカバーおよびPICチップのエッジ近くの上面に提供された基準(fiducials)に基づくPICチップのエッジへのエッジカプラの受動的アラインメントによって、PICチップの光学要素と光学的にアラインメントされて配置されてもよく、エッジカプラは、基準を光学的にアラインメントすることによりPICチップに受動的にアラインメントされる。
【0021】
好ましい使用態様に加え、本発明の特性および利点のより完全な理解のために、添付の図面と共に読まれる以下の詳細な説明を参照されたい。以下の図面においては、図面全体に亘り、類似の参照文字および/または参照番号は、同様または類似の部分を指している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】本発明の1つの実施形態に従うエッジカプラを示す図
【
図1B】本発明の1つの実施形態に従うPICへのエッジカプラの取付けの概略図
【
図1C】本発明の1つの実施形態に従うPICのエッジカプラへの光ファイバアレイの取外し可能な結合を示す図
【
図1D】本発明の1つの実施形態に従うPICへのエッジカプラの取付けの概略図
【
図2A】本発明の1つの実施形態に従う光ファイバアレイを示す図
【
図2B】本発明の1つの実施形態に従う光ファイバアレイの光学コネクタを示す図
【
図3A】本発明の別の実施形態に従うエッジカプラを示す図
【
図3B】本発明の別の実施形態に従うPICチップのエッジへのエッジカプラの配置を示す図
【
図3C】本発明の別の実施形態に従うPICのエッジカプラへの光ファイバアレイの取外し可能な結合を示す図
【
図3D】本発明の別の実施形態に従うPICへのエッジカプラの取付けの概略図
【
図4A】本発明のさらなる実施形態に従うエッジカプラを示す図
【
図4B】本発明のさらなる実施形態に従うPICへのエッジカプラの取付けの概略図
【
図4C】本発明のさらなる実施形態に従うPICへのエッジカプラの取付けの概略図
【
図4D】本発明のさらなる実施形態に従うPICのエッジカプラへの光ファイバアレイの取外し可能な結合を示す図
【
図4E】本発明のさらなる実施形態に従うPICチップのエッジへのエッジカプラの配置の概略断面図
【
図5A】本発明のさらに別の実施形態に従うエッジカプラを示す図
【
図5B】本発明の別の実施形態に従うPICのエッジカプラへの光ファイバアレイの取外し可能な結合を示す図
【
図6A】本発明のさらに別の実施形態に従うエッジカプラを示す図
【
図6B】本発明のさらに別の実施形態に従うPICのエッジカプラへの光ファイバアレイの取外し可能な結合を示す図
【
図7A】本発明の実施形態に従う屈折率分布型(GRIN)レンズを有するエッジカプラを示す図
【
図7B】光ファイバの端部へ光を集光するGRINレンズを概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、様々な実施形態を参照しながら本発明を説明する。本発明は、本発明の目的を達成するための最良の態様(ベストモード)に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの教示内容を考慮して複数のバリエーションを実現できることを理解できるであろう。
【0024】
本発明は、光ファイバアレイとフォトニック集積回路(PIC)デバイス(例えば、PICチップパッケージ)との間に取外し可能/分離可能かつ再接続可能なエッジカプラを提供することにより、従来技術の欠点を克服する。エッジカプラは、PICチップのエッジに取り付けられ、PICチップ内のインターフェースする光学要素(例えば、導波路)と光学的にアラインメントされる。本発明のエッジカプラは、ミラーアレイを有するマイクロミラー光学ベンチ(MOB)、および、それと光学的にアラインメントされたファイバアレイの取外し可能な再接続を可能にするように構成および構造化されたベースを含む。
【0025】
図1A~1Dは、本発明の一実施形態による、エッジカプラ、PICチップへのその結合、および光ファイバアレイへの取外し可能な結合を示す。
【0026】
図1A~1Dを参照すると、エッジカプラEは、マイクロミラー光学ベンチ(MOB)を含み、マイクロミラー光学ベンチは、ベンチまたはベースB(例えば、シリコン、ガラス、コバール、インバー、アルミニウム、ステンレス鋼などの可鍛性金属で作製される)を含み、ミラーMの第1のアレイがベース上に規定される。透明なガラス、石英、またはサファイアプレートGは、ベンチB上の露出面を覆う。一実施形態では、エッジカプラEは、ミラー表面MとガラスプレートGとの間において屈折率整合エポキシで満たされてもよい。各ミラーMは、上面に実質的に平行な平面内の第1の(水平)方向に沿った第1の光路L1と当該平面の外側の第2の(垂直)方向に沿った第2の光路L2との間で、光を(例えば、90度だけ)回転させる構造反射表面プロファイル、および、外部の光ファイバアレイFA(
図2A、2Bに関して以下により詳細に説明される)の光ファイバコネクタへの取外し可能な結合のためのベースB上の受動的アラインメント構造Aを含む。
【0027】
図1Dは、光路L1に沿ってPICチップPの光学要素Wと光学的にアラインメントされたミラーMの概略断面図である。アセンブリは、ベースBのエッジとPICチップPの対向エッジとの間に意図的なギャップを設けるように作製できる。この場合、ギャップは、PICチップP上の光ファイバのコアおよび導波路と同様の光学屈折率を持つ材料で充填されてもよい。例示的な材料は、市販のEMI/UMエポキシモデル3553などの屈折率整合エポキシである。あるいは、アセンブリは、ギャップなしで構築することができ、その場合、ビームは、導波管とミラーとの間の空気を通過する。
【0028】
エッジカプラEは、PICチップPのエッジに光学的に結合されて、光ファイバアレイFAとPICチップPとの間に取外し可能な結合を提供する。より具体的には、取外し可能な結合は、光ファイバアレイFAの光ファイバコネクタCとエッジカプラCとの間の分離可能かつ再接続可能な接続であり、エッジカプラEは、光ファイバコネクタCが取り外されかつエッジカプラEに光学的にアラインメントされて再接続するために取外し可能に取り付けられることができるように構成および構造化される。
【0029】
図1Bは、支持体S(例えば、インターポーザまたはCMOSチップなどの集積回路(IC))を含むフォトニック装置PAを示している。PICチップPは、支持体Sの上面に取り付けられ、ここで、PICチップPは、内部光学要素W(例えば、導波路;
図1Bに点線で概略的に示されている)を含み、これは、PICチップPのエッジに光をルーティングして、PICチップPの外部への光学インターフェースを提供する。エッジカプラEは、PICチップPに関してアラインメントを達成した後(以下に詳述するように能動的または受動的に)支持体上に固体され(例えば、はんだ付け、エポキシ、またはレーザ溶接により)、ミラーMの第1のアレイはPICチップの光学要素Wと光学的にアラインメントされ、エッジカプラEの第1の光路L1は、ミラーの第1のアレイ内のミラーMとPICチップP内の対応する光学要素Wとの間である。
【0030】
ミラーMの第1のアレイは、エッジカプラEとPICチップPの光学要素Wとの間に送られる光に基づく能動的アラインメント(図示せず)によって、PICチップPの光学要素Wと光学的にアラインメントされて配置することができる。
図1Aおよび1Bに示される実施形態において、エッジカプラE内のミラーMおよびPICチップ内の光学要素Wの光学的アラインメントは、エッジカプラEのベースBのエッジを超えるガラスカバーGの伸長部分およびPICチップPのエッジ近くの上面の上に提供される基準Xに基づく、PICチップPのエッジへのエッジカプラEの受動的アラインメントによって達成される。エッジカプラEは、ガラス/石英/サファイアカバーGおよびPICチップPの上面の上の基準Xを光学的にアラインメントすることにより、PICチップPに受動的にアラインメントされる。
【0031】
一実施形態では、各ミラーMは、ベースBの露出した自由表面(すなわち、空気に露出した表面、または光学ベンチのベースの本体の内部ではない表面)であり、PICチップPの対応する光学要素Wに面する露出した反射自由側を有し、露出した反射自由側は、光がPICチップP内の対応する光学要素Wに出入りするよう方向付けられる構造反射表面プロファイルを含む。各ミラーMは、入射光を曲げ、反射し、および/または再整形する。構造反射表面プロファイルの構成および形状(例えば、曲率)に応じて、ミラーMは、入射光ビームを、コリメート、拡張、または集光しうる。例えば、構造反射表面プロファイルは、以下の幾何学的形状/プロファイルのうちの1つを含み得る:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状光学表面。例えば、ミラー表面は、光パワーを提供するために、次のいずれかの表面幾何学的曲率関数を個別に、または重ね合わせて有してもよい:楕円体または双曲線円錐焦点、さまざまな数の偶数または奇数の非球面項を持つトロイダル非球面、さまざまな数の偶数または奇数項を持つX-Y非球面曲線、さまざまな次数のゼルニケ多項式、およびこれらの関数に含まれるより単純な表面のさまざまなファミリ。表面はまた、任意の平面またはベクトルに沿って対称性のない自由形状の表面であってもよい。
【0032】
本明細書に記載のすべての実施形態において、構造反射表面は、平坦、凹面または凸面、またはそれらの組み合わせであるように構成されて、複合反射表面を構成しうる。一実施形態では、構造反射表面は、滑らかな(研磨仕上げに似た仕上げを有する)鏡面を有する。代わりに、反射型のテクスチャ表面でもよい。構造反射表面は、均一な表面特性、または表面に亘って滑らかさおよび/またはテクスチャの程度が変化するような変動表面特性、あるいは、構造反射表面を構成する滑らかかつテクスチャ加工の表面の様々な領域の組み合わせを有してもよい。構造反射表面は、以下の同等の光学要素のうちの少なくとも1つに対応する表面プロファイルおよび/または光学特性を有し得る:ミラー、集束レンズ、発散レンズ、回折格子、または前述の組み合わせ。構造反射表面は、異なる同等の光学要素に対応する複数の領域(例えば、発散している環状領域に囲まれた集束している中央領域)を規定する複合プロファイルを有し得る。一実施形態では、構造反射表面は、表面を通して光を透過しない不透明な材料上に規定される。
【0033】
ミラーMは、可鍛性金属材料をスタンピングすることによってベースB上に規定され得る。工具鋼または炭化タングステン工具でスタンピング可能なさまざまの可鍛性金属は、ミラーの本体を構成することができ、任意の300または400シリーズのステンレス鋼、コバールの任意の組成、任意の沈殿または固溶硬化金属、およびAg、Al、Au、Cuの任意の合金を含む。1310nmを超える長波長では、アルミニウムは反射率が高く(>98%)、スタンピングによって経済的に成形される。ミラーを構成する金属の部分の反射表面は、上記の金属のいずれか、または、スパッタリング、蒸着、またはめっきプロセスによって適用される反射率の高い金属の任意のコーティングであり得る。
【0034】
本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許第7,343,770号明細書は、許容誤差の小さい部品を製造するための、新規な精密スタンピングシステムを開示している。その米国特許第7,343,770号明細書に開示されているようなエッジカプラの構造(上述の光学ベンチBのための構造、並びに以下に論じる構造を含む)を生成するため、そのような新規なスタンピングシステムを実装することができる。これらのスタンピング処理は、最終的な表面特徴(他の規定された表面特徴形状と精密なアラインメントが取られる所望の幾何学形状を有する反射表面を含む)を、厳しい(すなわち小さな)許容誤差で形成するために、可鍛性バルク金属材料(例えば、金属ブランクまたはストック)をスタンピングする処理を包含する。本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許出願公開第2016/0016218号明細書は、異種の金属材料の主要部分と補助部分とを有するベースを含む、複合構造をさらに開示している。ベースおよび補助部分は、スタンピングにより成形される。補助部分がスタンピング形成されると、補助部分はベースとインターロックし、それと同時に補助部分上に所望の構造特徴形状(たとえば、構造反射面や、光ファイバのアラインメントのための特徴形状等)を形成する。このアプローチにより、比較的重要性の低い構造特徴形状は、比較的大きな許容誤差を維持する少ない労力により、ベースのバルク上に成形され得る一方、補助部分上に存在するより重要性の高い構造特徴形状は、より小さな許容誤差で寸法、幾何学形状および/または仕上げ状態を規定するさらなる考察をもって、より精密に成形される。補助部分は、異なる構造特徴形状をスタンピング形成するための異なる特性を伴う2つの異種の金属材料の、さらなる複合構造を含むものとされてもよい。このスタンピング形成のアプローチは、それより前の米国特許第7343770号明細書における、スタンピングに供されるバルク材料が均質材料(例えば、コバールやアルミニウム等の、金属のストリップ)であるスタンピング形成のアプローチに対し、改良をもたらすものである。スタンピング処理は、単一の均質材料から構造特徴形状を生成する。したがって、異なる複数の特徴形状がその材料の特性を共有することとなり、その特性は、1つ以上の特徴形状にとって最適な特性ではないかもしれない。例えば、アラインメントのための特徴形状をスタンピング形成するのに適した特性を有する材料は、光信号の損失を低減するのに最適な光反射効率を有する反射性の表面特徴形状をスタンピング形成するのに適した特性を、有していないかもしれない。本明細書に記載されるように、開示された複合構造を採用して、エッジカプラ(例えば、
図3A、4Aおよび5Aおよび6Aにおける)および光学ベンチを有する光ファイバコネクタ(例えば
図2B)を生成しうる。
【0035】
図2Aおよび2Bを参照すると、光ファイバアレイFAは、エッジカプラEのミラーMの第1のアレイと光学的にアラインメントされた光ファイバOFのアレイ/バンドルの端部を終端および支持する光ファイバコネクタCを備え、光ファイバコネクタCは、第2の光路L2に沿って第2の方向に光を入力/出力する。光ファイバコネクタCがエッジカプラEに結合された状態で、光ファイバアレイFAとPICチップPの光学要素Wとの間の光は、エッジカプラE内のミラーMの第1のアレイを介して、少なくとも第1の光路L1および第2の光路L2を含む光路をたどる。透明なガラス、石英、またはサファイアプレートGGが、ベンチBB上の露出したミラー表面MMを覆う。一実施形態では、コネクタCは、ミラー表面MMとガラスプレートGGとの間で屈折率整合エポキシを充填され得る。ファイバアレイFAのもう一方の端部には、コネクタCC(例えば、MTフェルールコネクタなどのフェルールコネクタ)が提供される。ファイバアレイFAは、光ファイバジャンパケーブルとして機能しうる。
【0036】
さらに、
図2Bの実施形態では、光ファイバコネクタCは、ミラーMMの第2のアレイと光ファイバOFの端部セクションを保持するための溝Vとを含むベースBBを有する光学ベンチを含み、ミラーの第2のアレイ内の各ミラーMMは、第1の(水平)方向の第1の光路L1に平行な第3の(水平)方向に沿った第2の光路L3と第2の(垂直)方向に沿った第2の光路L2との間で光を回転させる構造反射表面プロファイルを含み、それによって、第2の光路L2に沿って第2の(垂直)方向に光を入力/出力する。この実施形態において、
図1Cに示されるように光学ファイバコネクタCがエッジカプラEに結合された状態で、光ファイバアレイFAとPICチップPの光学要素Wとの間の光は、エッジカプラE内のミラーMの第1のアレイおよび光ファイバコネクタC内のミラーMMの第2のアレイを介して、第1の光路L1、第2の光路L2および第3の光路L3の組合せによって通常規定される光路をたどる。
【0037】
コネクタCのベースBB上の表面特徴(ミラーMMおよび溝V)は、以下に詳述する
図3AのエッジカプラE1内のベースB1表面特徴の形成と関連して論じられるのと同様の方法で、スタンピングにより形成されうる。
【0038】
ミラーMおよび/またはミラーMMの構造反射表面プロファイルは、PICチップPからの光ビームを再整形して、光ファイバコネクタC内の光ファイバのモードフィールドにより厳密に一致するモードフィールドを生成するように構成され得る。さらに、エッジカプラE内のミラーMは、PICチップP内の光学要素Wからの光ビームを拡張またはコリメートし、コネクタC内のミラーMMに出力するための反射表面プロファイルを備えて構成されてもよく、コネクタC内のミラーMMは、エッジカプラ内のミラーMからの光ビームを、コネクタC内の光学ベンチのベースBB上に溝V内に保持された光ファイバOFの先端/端面のコアに集光するための反射表面プロファイルを備えて構成されてもよい。この拡張されたビーム結合構成によって、ミラーMと拡張型ビーム光ファイバコネクタCに保持された光ファイバとの間の光学アラインメント許容誤差の要求が低減される。
【0039】
あるいは、
図6Aおよび6Bに示されるように、
図2Bに示されるような光学ベンチを備えるコネクタを有する光ファイバアレイFAではなく、光学ベンチを伴わないフェルールコネクタFC(図示せず;例えば、MTPおよびMPOファイバ-光学コネクタ内で使用されるようなMTフェルール)を有する光ファイバアレイFA2が、エッジカプラEへの結合のための露出したむき出しの端面を備えた光ファイバを保持するために使用される。この実施形態では、ミラーMの構造反射表面プロファイルは、PICチップPからの光ビームを再整形して、PICチップPからの光ビームを、光ファイバフェルールコネクタFC内に保持された光ファイバの露出した先端/端面のコアに直接集束させるように構成することができる。
図6Aおよび6Bに示される実施形態において、
図2Bに示されるような光ファイバアレイFA内の光ファイバコネクタCではなく、光ファイバコネクタFCが、光ファイバを支持して、第2の(垂直)光路L2に沿って第2の方向に光を入力/出力する構造を備え、光ファイバコネクタFCはエッジカプラEに取外し可能に結合された状態で、光ファイバアレイFAとPICチップPの光学要素Wとの間の光は、エッジカプラE内のミラーMの第1のアレイを介して第1の光路L1および第2の光路L2のみによって規定される光路をたどる。
【0040】
光ファイバコネクタFCは、光ファイバフェルールコネクタ(例えば、MTフェルール)の形態でもよく、これは、垂直に、PICチップPの上面に直角の方向で、内部に光ファイバを保持する。この実施形態において、フェルールコネクタFC内の光ファイバOFの先端は、エッジカプラEのガラスプレートGと物理的に接触する。
【0041】
フェルールコネクタFCが光学ベンチを伴わない拡張型ビームタイプである場合、ミラーMの構造反射表面プロファイルは、PICチップPからの光ビームを再整形し、ミラーMと拡張型ビーム光ファイバコネクタFC内に保持される光ファイバとの間の光学アラインメント許容誤差要件を低減するように構成することができる。この実施形態では、フェルールコネクタFC内の光ファイバOFの先端は、エッジカプラEのガラス板Gと物理的に接触する必要はないが、接触してもよい。この実施形態では、エッジカプラEのベースBは、フェルールコネクタFC上の相補的なアラインメントピンAを収容するために、アラインメントピンAの代わりにアラインメントホールAAを備える。
【0042】
エッジカプラ内のミラーMおよび/または光ファイバコネクタC内のミラーMMの反射表面プロファイルの様々な設計または修正を行って、所望のビーム形状/構成を得ることができる。
【0043】
図1Bおよび2Bにおいて、光ファイバコネクタCは、エッジカプラE上の受動的アラインメント構造Aに相補的な受動的アラインメント構造AAを含み、光ファイバコネクタCは、光ファイバコネクタCおよびエッジカプラE上の相補的な受動的アラインメント構造AおよびAAに基づく受動的アラインメントによってエッジカプラに取外し可能に結合され、
図1Cに示されるように、エッジカプラEを介して光ファイバアレイFAをPICチップPの光学要素Wと光学的に結合する。一実施形態では、エッジカプラE上の受動的アラインメント構造Aは、アラインメントピン、アラインメントピンホールおよび表面特徴(図示せず)の少なくとも1つを含んでもよく、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供する。光ファイバコネクタ上の相補的な受動的アラインメント構造AAは、相補的なアラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴(図示せず)の少なくとも1つを含んでもよく、エッジカプラの対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供する。本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許出願公開第2016/0161686号明細書は、キネマティック結合、準キネマティック結合、および弾性平均結合の例を含む取外し可能な光学コネクタ結合を開示する。
【0044】
図1A~1Cの実施形態では、エッジカプラEは、ミラーMの第1のアレイとPICチップPのエッジにある光学要素Wとの間に任意の光学要素(例えば、光ファイバセクション)を伴わない自由空間エッジカプラである。
【0045】
図3A~3Dに示される別の実施形態では、エッジカプラE1内の光学ベンチのベースB1は、それぞれが光ファイバFのセクション(短いファイバスタブの形態で)をその長手軸が第1の光路L1に沿った状態で受容する、ミラーM1のアレイおよび溝VIのアレイを有するベースB1を含む。ファイバスタブFの一端は、第1の光路L1に沿って対応するミラーM1に対向しかつ光学的にアラインメントされ、別の端部は、PICチップ内の対応する光学要素Wに対向しかつ光学的にアラインメントされ、ベースB1内の溝VIは、PICチップPのエッジに対向するエッジカプラE1のベースB1のエッジで終端する。一実施形態では、光ファイバFのセクションは、エッジカプラE1のベースB1のエッジで実質的に終端し、光ファイバFの端面は、エッジカプラEのベースB1のエッジからわずかに突出または引っ込んでもよい。ガラス、石英、またはサファイアプレートG1は、エッジカプラE1のベースB1上の露出ミラーM1を覆う(かつ、以下に説明するように、受動的な基準アラインメントのためにベースB1のエッジから伸長する)。一実施形態では、エッジカプラE1は、ミラー表面M1とガラスプレートGとの間で屈折率整合エポキシを充填され得る。
【0046】
図3Dは、ファイバスタブFおよびPICチップPの光学要素Wを含む溝の概略断面図である。ファイバスタブFは、ベースB1のエッジで研磨され(および/または、図示されないがガラスカバーで覆われ)、PICチップP内の光学要素Wに対してファイバアレイのように機能する。アセンブリは、ベースB1のエッジとPICチップPの対向するエッジとの間に意図的なギャップを設けるように作製できる。この場合、ギャップは、PICチップP上の光ファイバのコアおよび導波路と同様の光屈折率を有する材料で充填されてもよい。例示的な材料は、市販のEMI/UMエポキシモデル3553などの屈折率整合エポキシである。あるいは、アセンブリは、ギャップなしで構築することができ、その場合、ビームは、導波管とミラーとの間の空気を通過する。
【0047】
この実施形態では、各ファイバスタブFは、それぞれの光学要素WとミラーM1との間の光学フィルタとして機能する。光学要素WからミラーM1への光ビームのモードフィールドは一致しない可能性がある。各ファイバスタブFは、ミラーM1のために光ビームのモードフィールドを補正および/または調整することによって再整形し、それによって、光ビームをミラーM1での既知の条件に標準化する。したがって、ミラーM1は、そのような既知の条件に基づいて設計することができ、したがって、PICチップP内の光学要素Wからの直接の光ビームに基づく非標準条件が直面していた問題が回避される。
【0048】
相対的に、
図1A~1Dの前述の実施形態は、ミラーMのプロファイルをPICチップP内のインターフェースする光学要素Wに一致させるために、PICチップPのモードフィールドおよび他の光学特性の認識を必要とする。
【0049】
さらなる実施形態では、ファイバスタブは、PICチップPからミラーM1への光ビームの偏光を制限するために、偏光維持光ファイバのものであり得る。
【0050】
図3Aの実施形態では、ファイバスタブFは、それぞれ2mmの長さを有してもよく、同じ方向に沿ったベースの全長は約3~4mmである。
【0051】
この実施形態では、開いた溝V1は、光ファイバスタブFのむき出しのセクションを保持し(クラッドが露出し、保護バッファおよびジャケット層がない)、構造反射表面を備えたミラーM1は、ベースB1のより大きな平面に対してある角度で広く傾斜した平面を有し、
図1Aの前述の実施形態に関して論じられるような構造反射表面プロファイルを有する。開いた溝VIは、第1の光路L1に沿ってミラーM1に対してアラインメントされたファイバスタブFの端部セクションを受容するようサイズ決めされ、かつこれを正確に位置付けるように配置される。対応するミラーM1に対向する各ファイバスタブFの端面は、対応するミラーMに対して所定の距離に維持される。
【0052】
ある実施形態では、ベースB1上の表面特徴(ミラー/構造反射表面M1および光ファイバアラインメント溝V1)は、ストック材料(例えば、金属ブランクまたはストリップ)の精密スタンピングによって一体的/同時に形成することができ、これにより、許容誤差、製造性、使用容易性、機能性および信頼性を改善しながら、コネクタコンポーネントを大量または少量で経済的に製造することができる。ミラーM1、および溝V1を同じ単一の最終スタンピング操作で同時に形成することにより、同じワークピース/パーツ上でのアラインメントを必要とするすべての特徴の寸法関係を、最終スタンピング工程で維持することができる。光学ベンチのベースB1上にすべての特徴を形成するための1回の打撃のパンチによるパンチング操作の代わりに、ベースB1上に特定の特徴を漸進的に予備成形するために複数の打撃が実施されることが考えられてもよく、最終的なストライクにより、ミラーM1および設計光路L1に沿ったそれぞれの構成要素/構造の適切なアラインメントを確保する(または確保するのに重要な役割を果たす)ファイバアラインメント溝V1を含む光学ベンチのベースB1上のさまざまな構造化された特徴の最終的な寸法、幾何形状および/または仕上げが同時に規定される。
【0053】
本発明の譲受人であるナノプレシジョン プロダクツ インコーポレイテッドは、光データ伝送に関連して使用される光学ベンチを有する様々な独自の光結合/接続デバイスを開発した。本発明は、より具体的には、従来の光結合デバイスで実施されていたスタンピングミラーを含むスタンピング光学ベンチの同様の概念を採用しながら、PICのための取外し可能/再接続可能なエッジカプラを対象とする。
【0054】
例えば、本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許出願公開第2013/0322818号明細書は、光データ信号をルーティングするためのスタンピング形成された構造表面を有する光結合デバイス、特に、ベース;ベース上に規定された構造表面であって、入射光を再整形および/または反射する表面プロファイルを有する構造表面;およびベース上に規定されたアラインメント構造であって、ベース上において光学要素を構造表面とのアラインメントが取られた状態に配置することを容易となす表面特徴を備えるものとして構成され、それにより、構造表面と光学要素との間において規定された光路に沿って光が伝達されるようになすアラインメント構造、とを備え、構造表面とアラインメント構造とが、ベースの可鍛性材料にスタンピングを施すことによりベース上に一体的に規定されている、光信号をルーティングするための光結合デバイスを開示している。さらに、スタンピング複合構造に関して上述された他の開示で論じされたプロセスは、エッジカプラE1のベースB1上に表面特徴(ミラーM1および溝V1)を形成するために採用してもよい。
【0055】
エッジカプラE1は、能動的なアラインメントによってPICチップPのエッジに光学的にアラインメントされる。エッジカプラE1は、所望の光学的アラインメントを達成すると、はんだ付けまたはエポキシによって支持体S上の所定の位置に固定される。あるいは、
図1A~1Dの先の実施形態に関して上述されるように、PICチップPの上部に提供される基準の相補的パターンと光学的にアラインメントされる基準のパターンを備えた拡張ガラスプレートを使用して、受動的なアラインメントを達成することができる。
【0056】
先の実施形態のように、外部光ファイバアレイFA(
図3Cを参照)のコネクタCへの取外し可能な結合のために、同様の受動的アラインメント構造AをエッジカプラE1上に提供してもよい。
【0057】
図5Aおよび5Bに示される実施形態では、
図3Cのような光ファイバアレイFA内の光ファイバコネクタCではなく、光ファイバコネクタFC1は、第2の(垂直)光路L2に沿って第2の方向に光を入力/出力するように光ファイバを支持する構造を備え、光ファイバコネクタFC1がエッジカプラE1に取外し可能に結合された状態で、光ファイバアレイFA1とPICチップPの光素子Wとの間の光は、エッジカプラE1内のミラーM1の第1のアレイを介して第1の光路L1および第2の光路L2のみによって規定される光路をたどる。光ファイバコネクタFC1は、光ファイバフェルールコネクタ(例えば、MTフェルール)の形態でもよく、これは、垂直に、PICチップPの上面に直角の方向で、内部に光ファイバを保持する。この実施形態において、フェルールコネクタFC1内の光ファイバOFの先端は、エッジカプラE1のガラスプレートGと物理的に接触する。図示される実施形態では、エッジカプラE1のベースB1は、フェルールコネクタFC1上の相補的なアラインメントピンAを収容するために、アラインメントピンAの代わりにアラインメントホールAAを備える。
【0058】
フェルールコネクタFC1が光学ベンチを伴わない拡張型ビームタイプである場合、ミラーM1の構造反射表面プロファイルは、PICチップPからの光ビームを再整形し、ミラーM1と拡張型ビーム光ファイバコネクタFC1内に保持される光ファイバとの間の光学アラインメント許容誤差要件を低減するように構成することができる。この実施形態では、フェルールコネクタFC1内の光ファイバOFの先端は、エッジカプラE1のガラス板Gと物理的に接触する必要はないが、接触してもよい。
【0059】
図4A~4Eは、
図3A~3Dの実施形態のバリエーションを示している。この実施形態では、エッジカプラE2の光学ベンチのベースB1は、先の実施形態のベースB1と構造が類似している。この実施形態の違いは、光ファイバF1(ファイバスタブ)の各セクションが、ベースB1のエッジを超えて伸長する拡張セクションXFを含み、拡張セクションXFが、PICチップP1のエッジに設けられたアラインメント溝PVに受容されることである。溝PVは、PICチップP内の光学要素Wに光学的にアラインメントされている。したがって、各拡張セクションXFの拡張端部は、PICチップP1内の対応する光学要素Wと光学的にアラインメントされている。アラインメント溝PVがファイバスタブF1の拡張セクションXFを受動的にアラインメントする場合、エッジアダプタE2をPICチップCに別個にアラインメントする必要はないであろう。この実施形態では、PICチップPのエッジに設けられた溝PVに拡張セクションXFをクランピングするために、ホルダプレートHが設けられている。
【0060】
図4Eは、PICチップP1の光学要素WとアラインメントされたファイバスタブF1を含む溝の概略断面図である。ファイバスタブF1は、端部が研磨されて、PICチップP1の光学要素Wに対してファイバアレイのように機能する。
【0061】
先の実施形態のように、外部光ファイバアレイFAのコネクタCへの取外し可能な結合のために、同様の受動的アラインメント構造AをエッジカプラE2上に提供してもよい。
【0062】
図7Aおよび7Bは、
図3A~3Dの実施形態の別のバリエーションである。このさらなる実施形態では、エッジカプラE3の光学ベンチのベースB1は、先の実施形態におけるベースB1と構造が類似している。この実施形態の違いは、各溝V1が、第1の光路L1に沿った光ファイバF2(ファイバスタブ)のセクションの一端と光学的にアラインメントされた勾配屈折率(GRIN)レンズGRを受容することである。当該技術分野でよく知られているように、GRINレンズは、材料の屈折率の勾配によって光学効果を生み出す。段階的な屈折率変化を使用して、平面を有するレンズ、または従来の球面レンズに典型的な収差を持たないレンズを製造することができる。GRINレンズは、球面、軸方向、または半径方向の屈折勾配を有しうる。この実施形態では、GRINレンズGRは、PICチップP内の対応する光学要素WからファイバスタブF2の端部のコアに光を集光するか、または、ファイバスタブF2の端部からPICチップP内の対応する光学要素Wに光を発散させる。GRINレンズGRは、レンズ材料の屈折率の段階的変化によって焦点を合わせる。GRINレンズGRは、スペーサSP(空気または物理的な)によってファイバスタブF2と分離されてもよい。この実施形態では、ミラーM1は、ストレートファイバスタブFおよびF1ではなくファイバスタブF2およびGRINレンズGRの組合せを考慮して、エッジカプラEおよびE2の先の実施形態と比較して、類似または異なる幾何学形状/形状を有し得る。
【0063】
上述のすべての実施形態について、第1の光路L1、第2の光路L2および第3の光路L3は、双方向性である。
【0064】
溝およびミラーを備えたエッジカプラE1、E2およびE3の実施形態では、上述のプロセスを使用して、溝およびミラーアレイは、可鍛性金属材料の単一のモノリシックブロック(例えば、ストック金属材料または金属ブランク)をスタンピングすることによって、エッジカプラのベース上に一体的に規定され、反射表面および光ファイバアラインメント溝を一体的かつ同時に形成しうる。
【0065】
PICチップの支持体は、プリント回路基板(PCB)上で支持され得るインターポーザまたは集積回路であり得る。
【0066】
以上、好ましい実施形態を参照して、本発明を具体的に示し説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神、範囲および教示内容から逸脱することなく、形態および詳細に関し様々な変更が可能であることを理解できるであろう。したがって、ここに開示された発明は単に説明目的のものと捉えられるべきであり、添付の請求項で規定されるとおりにのみ、範囲が限定されるべきである。
他の実施形態
1. 支持体;
前記支持体の上面に取り付けられたフォトニック集積回路(PIC)チップであって、該PICチップのエッジに光をルーティングして前記PICチップの外部に光学インターフェースを提供する光学要素を含む、PICチップ;
マイクロミラー光学ベンチを含むエッジカプラ
を含む、フォトニック装置であって、
前記マイクロミラー光学ベンチが、
ベース;
前記ベース上に規定されたミラーの第1のアレイであって、各ミラーが、前記上面に実質的に平行な平面内の第1の方向に沿った第1の光路と前記平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光を回転させる構造反射表面プロファイルを含む、ミラーの第1のアレイ;および
外部光ファイバアレイの光ファイバコネクタへの取外し可能な結合のための、前記ベース上の受動的アラインメント構造
を含み、
前記エッジカプラが、前記フォトニックチップに関してアラインメントされて前記支持体上に支持されて前記ミラーの第1のアレイが前記PICチップの前記光学要素と光学的にアラインメントされ、前記第1の光路が、前記ミラーの第1のアレイ内のミラーと前記PICチップ内の対応する光学要素との間である、
ことを特徴とする、フォトニック装置。
2. 各ミラーが、前記PICチップの対応する光学要素に面する露出した反射自由側を有する前記ベースの露出した自由表面であり、前記露出した反射自由側は、光が前記PICチップ内の対応する光学要素に出入りするよう方向付けられる構造反射表面プロファイルを含む、ことを特徴とする、実施形態1に記載のフォトニック装置。
3. 前記構造反射表面プロファイルが、以下のプロファイル:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状光学表面の1つを含むことを特徴とする、実施形態1または2に記載のフォトニック装置。
4. 前記ベースが、金属材料で作製され、前記ミラーの第1のアレイが、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことにより前記ベース上に規定されることを特徴とする、実施形態1~3のいずれかに記載のフォトニック装置。
5. 前記ベースが、それぞれが前記第1の光路に沿ったその長手軸で光ファイバのセクションを受容する溝のアレイを含み、第1の端部は前記第1の光路に沿って対応するミラーと光学的にアラインメントされ、第2の端部は前記PICチップ内の対応する光学要素と光学的にアラインメントされ、前記ベース内の溝は、前記PICチップのエッジに面する前記エッジカプラの前記ベースのエッジにおいて終端することを特徴とする、実施形態1~4のいずれかに記載のフォトニック装置。
6. 前記光ファイバのセクションが、前記エッジカプラの前記ベースのエッジを超えて伸長する拡張セクションを含み、該拡張セクションは、前記PICチップの前記エッジにおいて溝に受容され、前記拡張セクションの拡張端は、前記PICチップ内の対応する光学要素と光学的にアラインメントされる前記第2の端部に対応することを特徴とする、実施形態5に記載のフォトニック装置。
7. 各溝が、前記第1の光路に沿ってそれぞれの溝で受容された光ファイバのセクションと光学的にアラインメントされた屈折率分布型(GRIN)レンズをさらに受容し、該GRINレンズが、前記PICチップ内の対応する光学要素から光ファイバの前記セクションの前記第2の端部に光を集光する、または、光ファイバの前記セクションの前記第2の端部から前記PICチップ内の前記対応する光学要素に光を発散させることを特徴とする、実施形態5または6に記載のフォトニック装置。
8. 前記ベースが、金属で作製され、前記溝および前記ミラーの第1のアレイが、可鍛性金属材料にスタンピングを施すことにより前記ベース上に一体的に規定されることを特徴とする、実施形態5~7のいずれかに記載のフォトニック装置。
9. 前記エッジカプラが、前記ミラーの第1のアレイと前記PICチップの前記エッジにある前記光学要素との間に任意の光学要素を伴わない自由空間エッジカプラであることを特徴とする、実施形態1~4のいずれかに記載のフォトニック装置。
10. 前記光ファイバアレイをさらに含み、該光ファイバアレイが、前記エッジカプラの前記ミラーの第1のアレイと光学的にアラインメントされた前記光ファイバの前記端部を終端および支持する光ファイバコネクタを含み、該光ファイバコネクタが、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力し、前記光ファイバコネクタが前記エッジカプラに結合された状態で、前記光ファイバアレイと前記PICチップの前記光学要素との間の光が、前記エッジカプラ内の前記ミラーの第1のアレイを介して、前記第1の光路および前記第2の光路によって規定される光路をたどり、前記ミラーの前記構造反射表面プロファイルが、前記PICチップからの光を再整形して、前記光ファイバコネクタ内の前記光ファイバのモードフィールドに一致するように構成されることを特徴とする、実施形態1~9のいずれかに記載のフォトニック装置。
11. 前記光ファイバコネクタが、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力するように前記光ファイバを支持する構造を含み、前記光ファイバコネクタが前記エッジカプラに結合された状態で、前記光ファイバアレイと前記PICチップの前記光学要素との間の光が、前記エッジカプラ内の前記ミラーの第1のアレイを介して、前記第1の光路および前記第2の光路によって規定される光路をたどることを特徴とする、実施形態10に記載のフォトニック装置。
12. 前記光ファイバコネクタが、ミラーの第2のアレイを含む光学ベンチをさらに含み、前記ミラーの第2のアレイ内の各ミラーが、前記第1の方向に平行な第3の方向に沿った第3の光路と前記第2の方向に沿った前記第2の光路との間で光を回転させる構造反射表面プロファイルを含み、それによって、前記第2の光路に沿って前記第2の方向に光を入力/出力し、前記光ファイバコネクタが前記エッジカプラに結合された状態で、前記光ファイバアレイと前記PICチップの前記光学要素との間の光が、前記エッジカプラ内の前記ミラーの第1のアレイおよび前記光ファイバコネクタ内の前記ミラーの第2のアレイを介して、前記第1の光路、前記第2の光路および前記第3の光路によって規定される光路をたどることを特徴とする、実施形態11に記載のフォトニック装置。
13. 前記光ファイバコネクタが、前記エッジカプラ上の前記受動的アラインメント構造に相補的な受動的アラインメント構造を含み、前記光ファイバコネクタが、該光ファイバコネクタおよび前記エッジカプラ上の前記相補的な受動的アラインメント構造に基づいて受動的アラインメントによって前記エッジカプラに取外し可能に結合され、前記エッジカプラを介して前記光ファイバアレイを前記PICチップの前記光学要素に光学的に結合することを特徴とする、実施形態10~12のいずれかに記載のフォトニック装置。
14. 前記エッジカプラ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピン、アラインメントピンホールおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、キネマティック結合、準キネマティック結合、または弾性平均結合を提供することを特徴とする、実施形態13に記載のフォトニック装置。
15. 前記光ファイバコネクタ上の前記受動的アラインメント構造が、アラインメントピンホール、アラインメントピンおよび表面特徴の少なくとも1つを含み、前記エッジカプラの前記対応する受動的アラインメント構造に相補的な、キネマティック結合、準キネマティック結合、および弾性平均結合を提供することを特徴とする、実施形態14に記載のフォトニック装置。
16. 前記支持体を支持するプリント回路基板(PCB)をさらに含むことを特徴とする、実施形態1~15のいずれかに記載のフォトニック装置。
17. 前記支持体が、インターポーザおよび集積回路のいずれかであることを特徴とする、実施形態16に記載のフォトニック装置。
18. 前記ミラーの第1のアレイが、前記エッジカプラと前記PICチップの前記光学要素との間の光に基づく能動的アラインメントによって、前記PICチップの前記光学要素と光学的にアラインメントされて配置されることを特徴とする、実施形態1~17のいずれかに記載のフォトニック装置。
19. 前記ミラーの第1のアレイが、前記PICチップの前記エッジへの前記エッジカプラの受動的アラインメントによって、前記PICチップの前記光学要素と光学的にアラインメントされて配置されることを特徴とする、実施形態1~17のいずれかに記載のフォトニック装置。
20. 前記エッジカプラがさらに、前記ミラーの第1のアレイを覆うガラスカバーを含み、該ガラスカバーおよび前記PICチップの前記エッジ近くの上面に基準が提供され、前記エッジカプラが、前記基準を光学的にアラインメントすることにより前記PICチップに受動的にアラインメントされることを特徴とする、実施形態19に記載のフォトニック装置。