(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】血管内送達される血液ポンプならびに関連するデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 60/139 20210101AFI20250212BHJP
A61M 60/295 20210101ALI20250212BHJP
A61M 60/497 20210101ALI20250212BHJP
A61M 60/841 20210101ALI20250212BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20250212BHJP
A61M 60/32 20210101ALI20250212BHJP
【FI】
A61M60/139
A61M60/295
A61M60/497
A61M60/841
A61M25/06 550
A61M60/32
(21)【出願番号】P 2021568515
(86)(22)【出願日】2020-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020033339
(87)【国際公開番号】W WO2020236681
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516064091
【氏名又は名称】ニューパルスシーブイ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】スミス ロバート エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジリダラン グルプラサド アナパスル
(72)【発明者】
【氏名】ピント ドゥエイン
(72)【発明者】
【氏名】ウーリー ジョシュア ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァック ブライアン ハワード
(72)【発明者】
【氏名】アルトシュラー ダグラス
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505316(JP,A)
【文献】特表2013-508094(JP,A)
【文献】特開2014-198250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/139
A61M 60/295
A61M 60/497
A61M 60/841
A61M 60/865
A61M 25/06
A61M 60/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
第一端部分と、第二端部分と、該第一端部分と該第二端部分との間に延在している管腔とを有する細長送達用拡張器であって、患者の血管系内にポジショニングされたガイドワイヤ上を進みそして第一血管と第二血管との間で該患者の血管系を通って延在するよう構成された、細長送達用拡張器と;
患者の心臓に循環支持を提供するため該患者の下行大動脈内にポジショニングされるよう構成された伸展可能部材、および
該伸展可能部材に接続可能な第一端部領域と、該細長送達用拡張器の該第二端部分に接続可能な第二端部領域とを有する駆動ライン
を含むポンプアセンブリと
を含む、血液ポンプアセンブリを患者体内に血管内植込みするためのシステム。
【請求項2】
細長送達用拡張器の第二端部分が
該細長送達用拡張器を駆動ラインの第二端部領域に解放可能式に接続するよう構成された駆動ライン接続要素と;
該駆動ライン接続要素に連結された除去可能部分と
を含み、
該除去可能部分を該細長送達用拡張器から除去する段階が、該駆動ライン接続要素を露出させる、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
除去可能部分が、イントロデューサシースを通って細長送達用拡張器を導くよう構成された、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
駆動ラインの第一端部領域が、細長送達用拡張器の第二端部分を解放可能式に係合するよう構成された細長送達用拡張器接続要素を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
駆動ラインが、内膜と、外膜と、該内膜と該外膜との間に配された耐キンク要素とを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
耐キンク要素がらせん巻きニチノールコイルである、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
外膜が生体適合性かつ抗血栓形成性の材料を含む、請求項5記載のシステム。
【請求項8】
駆動ラインが約200 cm超の長さを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
駆動ラインが約4.2 mmまたはそれ未満の外径を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
伸展可能部材がバルーンである、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
バルーンが約20 mL~約60 mLの内部体積を有する、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
バルーンが、駆動ラインに接続可能な近位端部分と、該近位端部分から間隔が空けられた遠位端部分とを有し、該遠位端部分の少なくとも一部分が内向きにテーパーしている、請求項10記載のシステム。
【請求項13】
近位端部分が、遠位端部分より大きい材料厚さを有する、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
伸展可能部材が生体適合性かつ抗血栓形成性の材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
伸展可能部材について折畳むか、ねじるか、またはさもなくば寸法を低減させるよう構成された漏斗アセンブリをさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
伸展可能部材について折畳むか、ねじるか、またはさもなくば寸法を低減させるよう構成された折畳み用チューブをさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
第一血管に止血シールを提供するよう構成された動脈インターフェースデバイスをさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
動脈インターフェースデバイスが、駆動ラインの一部分を受けるための、それゆえ延在している第一管腔を規定するシャフトを含み、
該シャフトの遠位端部分が第一血管内に置かれるよう構成されている、
請求項17記載のシステム。
【請求項19】
シャフトの遠位端部分がテーパーしている、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
動脈インターフェースデバイスが、遠位端部分の近傍でシャフトに連結された膨張可能な係留要素を含む、請求項18記載のシステム。
【請求項21】
駆動ラインが第一駆動ラインであり、
該第一駆動ラインに接続可能でありかつ該第一駆動ラインと皮膚インターフェースデバイスとの間で皮下に延在するよう構成された第二駆動ラインをさらに含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項22】
第二駆動ラインが、1つまたは複数のウィングをさらに含み;かつ、
該1つまたは複数のウィングが、1つまたは複数のアパーチャを有する、
請求項21記載のシステム。
【請求項23】
第二駆動ラインが、
該第二駆動ラインが第一駆動ラインに接続された時に該第一駆動ラインにおける縦ひずみを低減するよう構成された吸収用の特徴
を含む、請求項21記載のシステム。
【請求項24】
第二駆動ラインが、第一駆動ラインの外径に等しいかまたはそれより大きい内径を有する、請求項21記載のシステム。
【請求項25】
第一駆動ラインが、伸展可能部材に接続可能な第一端部領域を含む遠位セグメントと、第二駆動ラインに接続可能な第二端部領域を含む近位セグメントとを有し;
該近位セグメントの少なくとも一部分が、該第一駆動ラインが該第二駆動ラインに接続される前に除去されるよう構成された、
請求項21記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示内容全体が本明細書に組み入れられる、2019年5月17日に提出された米国特許仮出願第62/849,646号 PERCUTANEOUS BLOOD PUMP AND ASSOCIATED DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS に対する優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本技術は、心不全を処置するためのシステム、デバイス、および方法に関し、とりわけ、循環支持システムを血管内的に植込みするための方法、ならびに関連するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心不全の有病率は世界的に高まっており、医療提供者にとって高額な負担となっている。医療の進歩にもかかわらず、心不全がある患者の予後は依然として良好でなく、進行期の心不全を有する患者においては特にそうである。このことには、そうした患者に対する治療選択肢が限られることも一因となっている。例えば、心臓移植は依然としてドナー臓器の供給による限りがあり、左心室補助デバイス(LVAD)の使用は1年あたり約5,000件の植込みにとどまっている;それには、他の要因もあるが、大きな手術介入および心肺バイパスを要することが要因となっている。加えて、LVADが高コストであることが、これらデバイスの広範な採用の妨げとなっている。例えば、一部の国は、心不全患者の長期的な機械的支持にLVADを用いることに対して、資金提供しないことを決定している。初期クラスIIIの心不全患者の処置には両室ペースメーカーが広く用いられているが、左心室補助デバイスの使用は進行したクラスIVの患者に限定されており、心不全患者の一群は処置の選択肢が限られるかまたは全くない状態に置かれている。
【発明の概要】
【0004】
【図面の簡単な説明】
【0005】
本技術の多くの局面は、以下の図面を参照することによってよりよく理解されうる。図面内の構成要素は必ずしも縮尺が一律でなく、むしろ、本開示の原理を明瞭に図示することに重点が置かれている。
【0006】
【
図1】患者の血管系内に植込みされかつ本技術の諸態様に基づいて構成されている血管内循環支持システムを図示する。
【
図2A】
図2A~2Gは、本技術の諸態様に基づく、
図1に図示した循環支持システムを血管内的に植込みするための手技のさまざまなステージを図示する。
図2Hおよび2Iは、本技術の諸態様に基づく、
図1に図示した循環支持システムの1つまたは複数の植込みコンポーネントを血管内的に摘出および/または交換するための手技についてのフローチャートである。
【
図3A】
図3A~3Cは、本技術の諸態様に基づいて構成された伸展可能部材および駆動ラインの、それぞれ側面図および断面図である。
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、本技術の諸態様に基づく、
図3A~3Cに示した駆動ラインの特徴を図示した、それぞれ拡大等角図および拡大断面図である。
図4Cは、本技術の諸態様に基づく、
図4Aおよび4Bに示した駆動ラインの耐キンク要素の拡大側面図である。
【
図5A】
図5A~5Cは、本技術の諸態様に基づいて構成された細長送達用拡張器の部分切取り側面図である。
【
図6】
図6Aおよび6Bは、本技術の諸態様に基づく、伸展可能部材の断面寸法を低減するための漏斗アセンブリの等角図である。
【
図7】
図7Aは、本技術の諸態様に基づく、伸展可能部材の断面寸法を低減するための折畳み用チューブの側面図である。
図7Bおよび7Cは、本技術の諸態様に基づいて構成された、
図7Aの折畳み用チューブの、それぞれ近位部分および遠位部分の拡大側面図である。
【
図8A】
図8Aおよび8Bは、本技術の諸態様に基づいて構成された、止血を確立するための動脈インターフェースデバイスの、それぞれ側面透視図および部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本技術は、循環支持システムおよびデバイス、ならびに、これを血管内的に植込み、回収、および置換するための方法を提供する。いくつかの態様において、患者の鎖骨下動脈(例えば腋窩動脈を介して)および大腿動脈の両方にアクセスする段階、ならびに、ガイドワイヤが鎖骨下動脈と大腿動脈との間に延在するよう患者の血管系を通ってガイドワイヤを進める段階によって、血管内送達手技が始まる。同方法は、細長送達用拡張器の第一部分が鎖骨下動脈の近傍で外部アクセス可能であり、かつ細長送達用拡張器の第二部分が大腿動脈の近傍で外部アクセス可能である状態で、細長送達用拡張器が鎖骨下動脈と大腿動脈との間に延在するよう、細長送達用拡張器をガイドワイヤ上で進める段階に続く。同方法は、細長送達用拡張器の第二部分を駆動ラインの第一端部領域に解放可能式に取り付ける段階をさらに含む;駆動ラインは、脱膨張した大動脈内バルーンに連結された第二端部領域を有する。鎖骨下動脈の近くで細長送達用拡張器の第一部分を引くことによって、バルーンが患者の下行大動脈内の標的部位にポジショニングされるまで、細長送達用拡張器と、駆動ラインと、バルーンとが、患者の血管系を通って血流とは反対の方向に動く。本明細書に説明する血管内送達システムおよび手技を用いて送達される循環支持システムは、心不全よる患者の苦痛に対して長期的な支持を提供するよう設計されている。
【0008】
本技術のいくつかの態様の具体的詳細を、
図1~8Bを参照しながら以下に説明する。本発明の態様の多くは、血液が体内にめぐることを助けるカウンターパルセーションを提供するために大動脈内にバルーンポンプをポジショニングする、血管内心室補助デバイス(「iVAD」)の送達および使用に関して、以下に説明するが、本明細書に説明するものに加えて、他の用途および他の態様も本技術の範囲内である。例えば、本明細書に説明する送達デバイス、システム、および方法が、他のデバイスを大動脈内および/または患者の血管系内の他の標的部位に植込みするために用いられてもよい。加えて、本技術の他のいくつかの態様が、本明細書に説明するものとは異なる構成、コンポーネント、または手技を有してもよく、本明細書に示す諸態様の特徴が互いに組み合わせられてもよい。したがって当業者には、追加的要素を伴う他の態様を本技術が有しうること、または、
図1~8Bを参照しながら示しかつ後述する特徴のうちいくつかを伴わない他の態様を本技術が有しうることが、理解されるであろう。
【0009】
以下に提示する説明において用いられる用語法は、本技術のある一定の具体的態様の詳細な説明との関連において用いられていても、その最も広い妥当な様式で解釈されることが意図されている。ある一定の用語が以下において強調される可能性もある;しかし、制限された様式で解釈されることが意図された用語法は、この詳細な説明のセクションにおいて、明白かつ具体的にそのように定義される。加えて、本技術は、実施例の範囲内に入るが
図1~8Bに関して詳しく説明はされない他の態様も含みうる。
【0010】
本明細書全体を通して、「1つの態様(one embodiment)」または「1つの態様(an embodiment)」への参照は、その態様に関して説明される特定の特徴、構造、または特質が、本技術の少なくとも1つの態様に含まれることを意味する。ゆえに、本明細書全体を通したさまざまな箇所における、「1つの態様において(in one embodiment)」または「1つの態様において(in an embodiment)」という句の出現は、必ずしも同じ態様を参照するわけではない。さらに、特定の特徴または特質が、1つまたは複数の態様において任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。
【0011】
本明細書全体を通して、「診療従事者」への参照は、医師、医師助手、および診療看護師などを含む、手技および/またはその一部分を行える医療専門家を参照する。「診療従事者」はまた、ロボットアームなど、医療手技を行うための自動化デバイスも参照しうる。さらに、ある一定の手技は「1人の(a)」診療従事者によって行われるものとして説明されるが、「その(the)」診療従事者へのさらなる参照は、手技の、説明される各段階を、同じ診療従事者が行っていることを必ずしも指し示さない。事実、手技の諸段階が複数の異なる診療従事者によって行われてもよい。したがって、診療従事者の前の「1人の(a)」および「その(the)」の使用が、説明される段階を誰が行っているかという範囲を限定するわけではない。
【0012】
本明細書全体を通して、例えば「概して」、「およそ」、および「約」などの相対語への参照は、言明された値プラスまたはマイナス10%を意味するために本明細書において用いられる。
【0013】
本明細書において提供される見出しは便宜上のものにすぎず、特許請求される本技術の範囲または意味を解釈するものではない。
【0014】
心不全および循環支持システム
心不全は、身体の要求を満たす血流を心臓が維持できないときに生じる。これは、心臓が、収縮中に充分にポンプ送りできないか、または弛緩中に充分に充満できない場合に生じる。心不全は、広く見られ、費用がかかり、かつ死に至る可能性があるコンディションである。例えば、心不全は現在、米国において約650万人の患者がおり、2030年までに46%増加すると予想されている。心不全のステージ/重症度はニューヨーク心臓協会(NYHA)のクラスを用いて定義することができ、NYHA クラスIは疾患初期を、NYHA クラスIVは疾患後期を表す。心不全に対する現在の処置選択肢は心不全のステージによって異なり、それには、多数の選択肢の中でもとりわけ、薬物治療、心臓再同期療法(CRT)、長期の機械的循環支持 (例えば左心室補助デバイスまたは「LVAD」)、および心臓移植が含まれる。薬物治療およびCRTは、比較的初期の症例(例えばNYHA クラスIIまたは初期 NYHA クラスIIIの心不全がある患者)に用いられるのが典型的である。しかし、これらの治療は心不全の進行を遅らせるにすぎないのが典型的であり、それは、当初は薬物治療またはCRTに反応した患者であっても、疾患の進行をきたして、より高度な治療的介入が必要となることが典型的であることを意味する。
【0015】
心不全患者の予後は依然として良好でない:1年死亡率は、NYHA クラスIIIの患者では約15.0%であり、NYHA クラスIVの患者では約28.0%である。これは少なくとも部分的には、後期 NYHA クラスIII/初期 NYHA クラスIVの心不全患者にとって利用可能な処置選択肢の数が限られていることに起因する。例えば、心臓移植は後期 NYHA クラスIVの患者において長期生存の最良の機会を提供するが、この選択肢はドナー臓器の不足による限りがある(例えば米国ではおよそ年間2000件、カナダでは年間200件、日本では年間100件未満である)。したがって、NYHA クラスIIIおよびクラスIVの多くの患者は、他の処置に頼らなくてはならない。例えば、一部の患者は、心臓移植までの橋渡しとして、または独立した治療として、LVAD治療を受ける。しかしLVAD治療には、その広範な使用を限定するいくつかの固有の欠点がある。現在のLVAD治療は、高額であり(例えば$100,000超)、典型的に植込みのための大きな外科手技(典型的に胸骨切開または開胸)を要し、典型的に植込み手技中に心肺バイパスの使用を要し、典型的に血液製剤(例えば約10~12単位の血液製剤)を要する。より低侵襲の手段を通して(例えば血管内的に)植込みされるLVAD治療は、短期の循環支持にのみ用いられる。さらに、LVADを受ける患者の術後ケアは難しくかつ費用がかかる可能性があり、デバイスの電源の遮断または喪失が数分間より長くなってはならないので、患者の不安が大きい可能性もある。LVAD治療はまた、デバイスの故障、血栓症、血栓塞栓症、脳卒中、感染、および出血など、いくつかの重篤な有害事象とも関連性がある。少なくともこれらの理由のため、LVAD治療は典型的に、選択肢が限られる末期(例えば後期 NYHA クラスIV)の患者のために取っておかれる。このことにより、CRTを行うには進行しすぎているがLVAD治療/心臓移植を正当化するほど重度には至っていない心不全患者(例えば後期 NYHA クラスIII/初期 NYHA クラスIVの患者)のかなりの割合が、有効な処置選択肢がない状態に置かれている。現在、米国では約160万人、欧州では約390万人の患者に後期 クラスIII/初期 クラスIVの心不全があり、処置選択肢が限られる多数の患者集団となっている。
【0016】
心不全に対する別の処置選択肢として、大動脈内バルーンポンプ(IABP)を用いたカウンターパルセーション治療がある。カウンターパルセーション治療は、患者の大動脈内にポジショニングしたバルーンを大動脈弁閉鎖の直後に急速に膨張させ(重拍切痕)、収縮開始の直前にバルーンを急速に脱膨張させることによって実現される。バルーンの急速な膨張は拡張期大動脈圧を25~70%増大させて、末端の器官および冠動脈の灌流量を増やす。バルーンの急速な脱膨張は自己心室の駆出圧を低減させて、後負荷および左心室の外部仕事を低減させる。カウンターパルセーション治療は、患者の収縮期大動脈圧が約40~80 mmHgであり、自己心拍数が約70~110 bpmであり、かつカウンターパルセーション容量(すなわちバルーン容量)が自己左室の一回拍出量におおよそ等しい時に有効であることが示されている。
【0017】
IABPの使用はLVADの植込みおよび使用よりはるかにシンプルであり、かつ関連する有害事象がより少ないので、カウンターパルセーション治療は魅力的な治療選択肢である。例えば、医師は、心臓に直接カニューレ挿入することなくIABPを植込みできる。しかし、低侵襲手技を通じて植込みされる従来のカウンターパルセーションシステムは短期間しか使用できない。これはいくつかの理由による。例えば、動脈アクセス(例えば大腿動脈)、IABPの耐久性、および生体適合性の問題が、IABPの使用を約14日未満の短期間に限定する可能性がある。より長期間のIABP支持(> 14日間)は、血管合併症、感染、および出血の頻度増大につながる可能性がある。さらに、現在の形態において、大腿動脈から下行大動脈内まで逆行的に進められるカテーテルマウント式のIABPでは、患者が治療期間にわたって仰臥位を保つ必要がある。したがって、患者を歩行可能にする(または退院させる)ことができない。これらの制限のため、IABPは心不全に対する長期治療としての使用が妨げられており、代わりに、移植待機患者または冠動脈バイパス手術を受ける患者など、短期間の設定において用いられている。
【0018】
いくつかのより新しいデバイスは慢性カウンターパルセーションを提供するが、侵襲的な外科植込み手技を必要とする。これらデバイスは、カウンターパルセーション治療の血行動態上および代謝上の利点が示されたことを受けて、開発および臨床導入されている(例えば、AbiomedによるSymphony、LVAD TechnologiesによるCardioVAD、およびSunshine MedicalによるC-Pulse)。Symphonyカウンターパルセーションデバイスは、インビボ動物試験において血行動態上の有効性を示したが、カナダにおける臨床試験は打ち切られた。CardioVADデバイスおよびC-Pulseデバイスでは、心拍出量および末端器灌流量の増大、ならびにNYHA機能クラスの有意な低下が報告され、臨床的改善が示された。しかし、CardioVADおよびC-Pulseは、デバイス植込みのために全開胸または胸骨切開を行う必要があることにより、臨床的に受け入れられるには至っていない。ゆえに、以前に行った心臓手術がある場合はこれらデバイスの使用が制限される。さらに、いずれのデバイスの留置も、LVADまたは心臓移植などのさらなる治療を複雑にする可能性がある。それでも、これらの臨床試験では、心不全患者における慢性カウンターパルセーション治療の血行動態上および臨床上の利点が示された。本発明の譲受人/出願人(NuPulseCV, Inc.)は、LVAD治療よりデバイスおよび入院の費用が低くかつ有害事象の負荷が低いカウンターパルセーション治療システムを開発した;これは、NYHA クラスIIIおよびIVの心不全患者を対象とした、移植リスト登録の要件なし(すなわちオールカマー試験)の実行可能性試験について、米国食品医薬品局(FDA)により承認を受けた最初の慢性循環支持デバイスであった。デバイスは、米国において50名超の患者に最長361日間にわたって良好に植込みされ、n=15 は退院となった。これらデバイスは、NYHA機能クラスにおける改善を示し、かつ、心係数(39%)、心拍出力係数(35%)、および駆出率(48%)においても心不全のベースライン値に対して統計有意な改善を示した。これらシステムは、現在のLVAD治療より低侵襲ではあるものの、依然として外科医、手術室、全身麻酔の投与、および約4時間を必要とする。ゆえに、より低侵襲で、より安価で、非拘束的であり、かつ/または有害事象の負荷が低い、NYHA クラスIIIおよびIVの心不全患者に対する長期の機械的循環支持デバイスについて、満たされていない大きな臨床ニーズが存在する。
【0019】
本技術は、低侵襲の血管内手技を用いて植込みできる、心不全患者のための長期的または慢性的なカウンターパルセーション治療を提供する。例えば、本技術は、部分的な循環支持を提供し、胸部に入ることなく最小の侵襲で植込みでき、かつ、心肺バイパスまたは血液製剤投与を概ね必要としない、血管内心室補助デバイスを含む。とりわけ、本技術は、植込みの侵襲性をさらに低減させるため、かつ、循環器科医および手技に専念する他の医師が、広範な手術ではなく標準的な低侵襲技法を用いてカテーテル室内でデバイスを植込みできるようにするための、血管内IABP送達技法を含む。血管内植込み手技は全身麻酔を必要とせず、かつ、約2時間またはそれ未満で完遂できる。本発明の血管内植込み手技ならびに関連するデバイスおよびシステムは、現在のIABP植込み手技およびデバイスと比較して、手術および入院の費用、ならびに有害事象をさらに低下させると予想される。さらに、本明細書に説明するデバイスおよびシステムは、長期的または慢性的な治療(例えば約6か月間超)を患者に提供するよう設計されている。
【0020】
慢性血管内循環支持システムの選択的態様
図1に、本技術の選択的態様に基づいて構成された、循環支持および/または血管内心室補助システム100(「システム100」)を図示する。システム100は、心不全を患う患者の大動脈内に植込み可能な伸展可能部材110を含んでもよい。システム100は、第一駆動ライン120(「内部駆動ライン」ともいう)と、動脈インターフェースデバイスまたはストッパーデバイス130と、第二駆動ライン140と、皮膚インターフェースデバイス190と、駆動ユニット150と、センサー160とをさらに含んでもよい。システム100は、植込みされた時に、心不全を患う患者にカウンターパルセーション治療を提供してもよい。
【0021】
伸展可能部材110は、気体または液体を充填されたことに応答してサイズおよび/または形状を変えられる、バルーンまたは他の要素であってもよい。例えばいくつかの態様において、伸展可能部材110は、生体適合性かつ非血栓形成性のエラストマー材料 (例えば、Biospan(登録商標)-S)で組成されたバルーンである。伸展可能部材110はまた、他の好適な材料で作られてもよい。伸展可能部材110は、少なくとも、概ね脱膨張した第一状態と概ね膨張した第二状態との間で、移行させることができる。伸展可能部材110は、第一(例えば脱膨張)状態にある時の第一体積と、第二(例えば膨張)状態にある時の、第一体積より大きい第二体積とを有する。したがって、伸展可能部材110は、第一状態と第二状態との間を繰り返し移行することによってカウンターパルセーション治療を提供できる。伸展可能部材110を第一状態と第二状態との間で移行させるため、より詳しく後述するように、駆動ユニット150が、第一駆動ライン120と第二駆動ライン140とを介して伸展可能部材110の内部体積内に流体(気体または液体、例えば空気)を導いてもよい。伸展可能部材110はまた、腎動脈など、大動脈から分枝している動脈を伸展可能部材110がブロックすることを低減および/または防止するように、サイズ決定および/または形状決定されてもよい。伸展可能部材110の追加的詳細を
図3A~3Cに関して後述する。いくつかの態様において、伸展可能部材110はまた、参照によりその開示内容全体が本明細書に組み入れられる米国特許第8,066,628号、同第8,323,174号、および同第8,326,421号に説明されているものと概ね同様の、ある一定の特徴も有してもよい。いくつかの態様において、伸展可能部材110は、バルーンとは別の、またはこれに加えて、伸展可能なエンドエフェクタを含む。
【0022】
第一駆動ライン120は、膨張用気体を伸展可能部材110に送達するためにそれを通って延在している管腔を有する、細長の構造である。第一駆動ライン120は、少なくとも部分的に患者の血管系内(例えば大動脈と腋窩動脈または鎖骨下動脈との間)にポジショニングすることができる。システム100が植込みされた後、第一駆動ライン120は、伸展可能部材110に連結されかつ患者の血管系内(例えば下行大動脈内)にポジショニングされた第一端部分(例えば遠位端部分)と、第二駆動ライン140に連結されかつ患者の血管系内の外部にポジショニングされた第二端部分(例えば近位端部分)とを有してもよい。第一駆動ライン120は、例えば腋窩動脈、鎖骨下動脈、または別の好適な血管などにおける動脈切開部において患者の血管系から出てもよい。
【0023】
第二駆動ライン140もまた、それを通って延在している管腔を有する、細長の構造であってもよい。第二駆動ライン140は、少なくとも部分的に皮下であるが患者の血管系よりは外部にポジショニングすることができる。システム100が植込みされた後、第二駆動ラインは、第一駆動ライン120に連結された第一端部分(例えば遠位端部分)と、皮膚インターフェースデバイス190に連結された第二端部分(例えば近位端部分)とを有する。第一駆動ライン120と第二駆動ライン140とは、同じかまたは異なる材料で作られてもよく、かつ、同じかまたは異なる寸法(例えば長さ、外径、内径など)を有してもよい。いくつかの態様において、第二駆動ライン140は、患者が動いたときに第一駆動ライン120に伝達される可能性がある縦ひずみを低減するための、吸収用の特徴を含んでもよい。例えばいくつかの態様において、吸収用の特徴は、縦方向の力に応答して圧縮でき、それによって縦方向の力がシステム100の血管内部分(例えば第一駆動ライン120および/または伸展可能部材110)に伝達されることを低減および/または防止する、曲線領域(例えば「S」字形または他のヘビ状曲線)である。
【0024】
第一駆動ライン120は任意の好適な技法を用いて第二駆動ライン140に連結されてもよい。いくつかの態様において、第一駆動ライン120は第二駆動ライン140内に少なくとも部分的に挿入され(またはその逆)、圧縮リングを用いてそこに確実固定される。いくつかの態様において、第一駆動ライン120は、第二駆動ライン140に縫合されるか、糊付けされるか、かがられるか、またはさもなくば確実固定される。いくつかの態様において、第一駆動ライン120は、上述の技法の組み合わせを介して、および/または他の好適な取り付け技法を介して、第二駆動ライン140に取り付けられる。接続機構にかかわらず、第一駆動ライン120が第二駆動ライン140に連結されている時は、第二駆動ライン140の管腔を通って流れる気体が第一駆動ライン120の管腔もまた通って流れるよう、第一駆動ライン120の管腔が第二駆動ライン140の管腔に流体接続される。第一および第二駆動ラインとして説明しているが、いくつかの態様において第一駆動ライン120および第二駆動ライン140が単一の一体コンポーネントであってもよい。
【0025】
上述したように、第一駆動ライン120は、伸展可能部材110に膨張用気体を送達するためこれに連結されてもよい。例えば、第一駆動ライン120を通って延在している管腔が伸展可能部材110の内部と流体連絡するよう、第一駆動ライン120の第一端部分が伸展可能部材110に接続されてもよい。したがって、第一駆動ライン120の管腔を通り伸展可能部材110に向かって流れる気体が伸展可能部材110に流入してもよく、それは、伸展可能部材110を第一状態から第二状態に移行させる(例えば伸展可能部材110を膨張させる)。第一駆動ライン120はまた、伸展可能部材110が第二状態と第一状態との間を移行する際に(例えば伸展可能部材110が脱膨張する際に)、伸展可能部材110から気体を受け取ってもよい。
図4Aおよび4Bに関して第一駆動ライン120の追加的詳細を示す。
【0026】
動脈インターフェースデバイスまたはストッパーデバイス130は、第一駆動ライン120が血管系から出る場所である(例えば鎖骨下動脈または腋窩動脈における)動脈切開部に、長期的な(例えば約3か月間超、約6か月間超、約12か月間超などの)止血を提供する。ストッパーデバイス130は、ストッパーデバイス130を望ましい配向またはポジションに確実固定するために用いることができる複数の係留要素を含んでもよい。
図8Aおよび8Bに関してストッパーデバイス130の追加的詳細をより詳しく説明する。いくつかの態様において、ストッパーデバイス130は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,892,162号に説明されているものと概ね同様の、ある一定の特徴を含んでもよい。例えば、ストッパーデバイス130は、縫合用リング(例えば、機械的支持を提供するため動脈に縫合されるポリエステルベロアのパッチ)、グラフト(例えば、動脈アクセスを提供するため、管腔を規定しかつ縫合用リングと動脈とに縫合される、ポリエステル生地)、およびストッパー要素(例えば、止血を提供するためグラフトの管腔内に挿入される、第一駆動ライン120を受けるための管腔を有するシリコーンプラグ)を含んでもよい。
【0027】
皮膚インターフェースデバイス190は、植込みされた伸展可能部材110の作動を外部の駆動ユニット150が駆動することを可能にする、経皮デバイスである。例えばいくつかの態様において、皮膚インターフェースデバイス190は、第二駆動ライン140のための安定的かつ/または確かな出口部位を提供して、第二駆動ライン140を駆動ユニット150に直接接続することを可能にする。他の態様において、第二駆動ライン140が、皮膚インターフェースデバイス190の、内部に面した部分に連結されてもよく、駆動ユニット150が、皮膚インターフェースデバイス190の、外部に面した部分に(例えばホース、コンジット、または他のチューブ192を介して)連結されてもよい。そうした態様において、皮膚インターフェースデバイス190は、駆動ユニット150から(例えばチューブ192を介して)受け取った気体を、伸展可能部材110まで送達するため第二駆動ライン140に導いてもよい。いくつかの態様において、皮膚インターフェースデバイス190は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第10,137,230号に説明されている皮膚インターフェースデバイスと概ね同様であってもよい。
【0028】
駆動ユニット150は、第一駆動ライン120および第二駆動ライン140を介して伸展可能部材110に出入りする気体流を生成してもよい。例えば、駆動ユニット150は、第一駆動ライン120および第二駆動ライン140を介して伸展可能部材110に入るよう気体を加速し、それによって伸展可能部材110を膨張させるために、陽圧を生成してもよい。駆動ユニット150はまた、第一駆動ライン120および第二駆動ライン140を介して伸展可能部材110から気体を引き抜き、それによって伸展可能部材110を脱膨張させるために、陰圧を誘発してもよい。駆動ユニット150は、伸展可能部材110に出入りする気体流を、多数の異なる機構を通じて誘発してもよい。例えば、駆動ユニット150は、気体流を伸展可能部材110に出入りさせるため、ベローズ、ブロワー、コンプレッサー、加速器、または他の同様の特徴を利用してもよい。いくつかの態様において、駆動ユニット150は、伸展可能部材110を過膨張させることを回避するため、伸展可能部材110内に押し込まれる空気の体積を制御してもよい。例えば、空気流を生成するためにベローズを利用する1つの態様において、ベローズによって生成される空気流の体積(例えばベローズの体積)が伸展可能部材110の内部体積にマッチされてもよい。いくつかの態様において、駆動ユニット150は、駆動ユニット150を囲んでいる環境からの環境空気(例えば「室内空気」)を用いて、システム100の作動を駆動する。理論に束縛されるものではないが、環境空気の使用は、気体または流体の内部供給(例えばヘリウムタンク)に頼る駆動ユニットと比較して、駆動ユニット150のサイズ、重量、および/または費用を低減させると予期される。例えば、いくつかの態様において、駆動ユニット150は約2.2 kgまたはそれ未満である。したがって、いくつかの態様において駆動ユニットは可搬性/歩行用である。他の態様において、駆動ユニット150は、ヘリウムタンクなど気体もしくは流体の供給源(図示せず)に機能的に連結されるか、またはさもなくばこれを含む。駆動ラインは、システム100が稼働状態で使用されていない時に、皮膚インターフェースデバイス190の近くで接続解除されてもよい。
【0029】
センサー160は、システム100の作動を心臓周期と同期させるため、患者の自己心調律に関する1つまたは複数の生理学的パラメータを感知してもよい。とりわけ、伸展可能部材110が心臓周期中の適切な時間に膨張および脱膨張されるようにするため、駆動ユニット150の作動を患者の自己心拍と自動的に同期させるために、感知された1つまたは複数の生理学的パラメータが用いられてもよい。いくつかの態様において、センサー160は、1つまたは複数の生理学的パラメータをリアルタイムで感知してもよい。
図1に図示するように、センサー160は、皮下のワイヤ162を介して皮膚インターフェースデバイス190に連結されてもよい。皮膚インターフェースデバイス190は、センサーから受け取った測定結果を、有線接続または無線接続を介して駆動ユニット150に中継してもよい。他の態様において、センサー160は駆動ユニット150に無線接続されてもよく、感知された測定結果を、皮膚インターフェースデバイス190を用いず駆動ユニット150に直接伝送してもよい。センサー160は、植込み式センサー、外部センサー、または植込み式センサーと外部センサーとの両方であってもよい。例えばいくつかの態様において、センサー160は、例えば左心室がいつ収縮または弛緩しているかなどを決定するため、心臓もしくは他の適切な組織またはその近傍にポジショニングされる植込み式のバイポーラ電極である。
【0030】
システム100は、心機能および血流の慢性支持を提供しながら、なお一方で患者が歩行可能のままであることを可能にする。典型的な心室補助デバイスは、駆動ライン用の大腿アクセス、および/または、大型で固定式の外部制御ユニットへの接続を必要とし、したがって治療の期間中、患者を仰臥位で病床に留めることになる。対照的に、システム100は、患者が比較的妨げられず動き回ることを可能にする。さらに、システム100によって提供される治療レベルは、患者のニーズにマッチするように調整可能である。例えば、提供される支持を変動させるため、伸展可能部材110によって提供される体積置換および支持の比(例えば1:1、1:2、1:3の支持)を調整できる。理論に束縛されるものではないが、体積置換を経時的に徐々に低減させると、制御された心臓負荷が得られる可能性があり、それは、一部の場合において心臓の回復に有益である可能性がある。さらに、従来の循環支持システムと異なり、システム100は、例えば、支持なしで心臓の需要を扱う患者の能力をシステム100の除去前に評価するなどのために、または別の好適な理由のために、オフにすることができる。例えばいくつかの態様において、伸展可能部材110は、比較的長時間にわたって(例えば1日のうち23時間にわたって)脱膨張条件で大動脈内に留まるよう設計される。このことは従来のデバイスと対照的である;従来のデバイスは、非稼働状態にあった時に形成された塞栓が再稼働によって一気に押し流される可能性があるので、約15分間を超えてオフにされたならば除去しなければならないことが多い。
【0031】
慢性循環支持システムを血管内植込みする選択的方法
本技術は、血管内植込みデバイス、システム、および方法を提供する。
図2A~2Gに、本技術の選択的態様に基づく血管内植込み手技のさまざまなステージを図示する。植込み手技は、
図1のシステム100の植込みに関して説明するが、同植込み方法は他の血管内心室補助デバイスおよび/または他のタイプの血管内デバイスの植込みにもまた用いられてよい。
【0032】
本技術の血管内植込み手技は、2つの異なる位置で患者の血管系へのアクセスを確立する段階を含む。例えば、
図2Aは、第一血管内に挿入される第一イントロデューサシース270と、第二血管内に挿入される第二イントロデューサシース275とを図示している。図示した態様において、第一血管は大腿動脈FAであり、第二血管は腋窩動脈AAおよび/または鎖骨下動脈であるが、他の血管がアクセスおよび使用されてもよい。当業者に理解されるように、鎖骨下動脈は腋窩動脈と連続しており、その2つの動脈間の移行部は典型的に第一肋骨の外側縁において規定される。ゆえに、以下では腋窩動脈AAを第二血管として用いるものとして血管内植込み手技を説明するが、同手技は、鎖骨下動脈を第二血管として用いて同じ様式で行われてもよい。さらに、図示した態様は右大腿動脈内に挿入された第一イントロデューサシース270を示しているが、代わりに第一イントロデューサシース270が左大腿動脈内に挿入されてもよい。同様に、図示した態様は左腋窩動脈内に挿入された第二イントロデューサシース275を示しているが、代わりに第二イントロデューサシース275が右腋窩動脈内に挿入されてもよい。診療従事者は、例えば患者の解剖学的構造、診療歴、および他の要因などに基づいて、適切な血管を選択してもよい。第一イントロデューサシース270は、第一血管への止血かつ制御されたアクセスを提供し、第二イントロデューサシース275は、第二血管への止血かつ制御されたアクセスを提供する。 例えばいくつかの態様において、第一イントロデューサシース270は第一止血弁を含み、第二イントロデューサシース275は第二止血弁を含む。
【0033】
標的血管(例えば腋窩動脈AAおよび/または大腿動脈FA)へのアクセスを確立するため、診療従事者は、任意で、最初に1つまたは複数の撮像技法(例えば超音波、蛍光透視)を用いて標的血管を検出してもよい。標的血管の検出に続いて、診療従事者は、標準的または改変Sedinger技法など、任意の好適な技法を用いて、標的血管に微小穿刺部(例えば針穿刺部)を作成してもよい。標的血管内に針が挿入された状態で、診療従事者は、その針を通りそして標的血管内までガイドワイヤを挿入してもよい。診療従事者は、ガイドワイヤの少なくとも一部分を血管内に残しながら、針を除去してもよい。いくつかの態様において、出血を最少にするため、次に従来のPercloseデバイスを用いて血管が閉じられてもよい。いくつかの態様において、診療従事者が複数のPercloseデバイスを用いてもよい。診療従事者はまた、(例えば、ガイドワイヤが中に留まった状態で血管が以前に閉じられたなどであれば、)血管へのアクセスを再確立するために、ガイドワイヤ上にシース(例えば8 Frのシース)または他の拡張器(例えばサイドアーム)を配置してもよい。いくつかの態様において、動脈切開部は、漸進的な拡張器/シース(例えば10 Fr、12 Frなど)を用いて漸進的に拡張される。標的とする拡張が実現されたら、イントロデューサシースが標的血管内に挿入されてもよい。いくつかの態様において、イントロデューサシースは、標的とする拡張に向かって血管をさらに拡張させるために血管内に挿入される(例えば、標的とする拡張が実現される前に挿入される)。イントロデューサシースが血管内に入ったら、診療従事者は次に、同じかまたは同様のプロセスを用いて他の標的血管(例えば腋窩動脈AAまたは大腿動脈FA)にアクセスしてもよい。
【0034】
イントロデューサシースは標的血管に基づいて選択されてもよい。例えばいくつかの態様において、イントロデューサシースは、約10 cmまたはそれを超える長さを有するピールアウェイ式シースである。他の態様において、イントロデューサシースは、約30 cmまたはそれを超える長さを有する、非ピールアウェイ式シースまたは他の「より長い」シースである。例えば、鎖骨下動脈が極端に蛇行している患者において、腋窩動脈AAで非ピールアウェイ式シースを用いると、腋窩動脈AAへのアクセスを確立するプロセスが単純になる可能性がある。いくつかの態様において、イントロデューサシースは、SoloPath(商標)シースなど、動脈内で伸展可能であってもよい。
【0035】
図示した態様に戻ると、大腿動脈FAにおける第一イントロデューサシース270は約12 Fr~約20 Fr(例えば約16 Fr、約18 Frなど)の直径を有してもよい。大腿動脈FAは典型的に、腋窩動脈AAを含む患者の血管系の他のある一定の位置より、大きな直径のシース、例えば16 Frのシースなど、に対応できる。より大きな直径のシースを用いることにより、例えばシステム100など、選択的コンポーネントを患者の血管系内に挿入することがより容易になる。第二イントロデューサシース275は約8 Fr~約16 Fr(例えば約12.5 Fr、約14 Frなど)の直径を有してもよい。
【0036】
大腿動脈FAおよび腋窩動脈AAへのアクセスが確立されたら、
図2Aに図示するように大腿動脈FAと腋窩動脈AAとの間にガイドワイヤGWが延在するよう、ガイドワイヤGWが患者の血管系を通って進められてもよい。とりわけ、ガイドワイヤGWは、大腿動脈FAにおいて第一イントロデューサシース270を介して外在化され、かつ腋窩動脈AAにおいて第二イントロデューサシース275を介して外在化されてもよく、それによって、患者の「フロッシング」と呼ばれる技法において、第一イントロデューサシース270と第二イントロデューサシース275との間で「レール」が確立される。ガイドワイヤGWは、第一イントロデューサシース270と第二イントロデューサシース275との間に延在するだけ充分に長い任意の好適なガイドワイヤであってよい。例えばいくつかの態様において、ガイドワイヤGWは約200 cmを超える長さ(例えば約220 cm、約240 cm、約260 cmなど)を有する。ガイドワイヤGWは任意の好適な直径(例えば約0.035インチ)を有してよい。いくつかの態様において、ガイドワイヤGWは、交換用長さの角度付きワイヤ(exchange length angled wire)(例えばGlidewire)である。
【0037】
いくつかの態様において、診療従事者は、ガイドワイヤGWを、第二イントロデューサシース275を通りそして腋窩動脈AA内まで挿入することによって、レールを確立する。診療従事者は次に、カテーテル(例えば、5 FrのMP-1カテーテル、JR4カテーテルなど)を、第一イントロデューサシース270を通りそして大腿動脈内まで挿入する。診療従事者は、ガイドワイヤGWを捕捉するため、腋窩動脈AAに向かってカテーテルを導いてもよい。カテーテルは次に、(例えば、LAO 20°の投影を用いて)ガイドワイヤGWを腋窩動脈AAから遠位大動脈内に、そして大腿動脈FAまで導くために用いられてもよい。ガイドワイヤGWは次に、大腿動脈FAにおいて第二イントロデューサシース275を介して外在化されてもよい。ガイドワイヤGWが第一イントロデューサシース270上の止血弁を貫通しないならば、診療従事者は止血弁内にクランプを挿入してもよく、そしてガイドワイヤGWを第一イントロデューサシース270に通して進めることをもう一度試みてもよい。ガイドワイヤGWがなお止血弁を貫通しないならば、ガイドワイヤがシース上にクランプされてもよく、別の好適な技法(例えばアクセス部位の上/上方の用手圧迫)を用いて止血を維持しながらガイドワイヤが引かれてもよい。そうした態様において、GWが大腿動脈の動脈切開部において外在化されたら、新しいイントロデューサシースがガイドワイヤ上で進められてもよい。上述の技法は、ガイドワイヤGWを第二イントロデューサシース275に通して挿入する段階、およびそれを第一イントロデューサシース270に向かって進める段階について説明しているが、他の態様において、ガイドワイヤは代替的に、同様の技法を用いて、第一イントロデューサシース270に通して挿入され、そして第二イントロデューサシース275に向かって進められてもよい。
【0038】
レールが確立された後、
図2Bに図示するように、細長送達用拡張器280(「送達用チューブ」、「送達用シャフト」、「送達用シース」、「送達用カテーテル」または「インターセプタ拡張器」とも呼ばれる)が、大腿動脈FAにおける第一イントロデューサシース270と腋窩動脈AAにおける第二イントロデューサシース275との間に延在するようガイドワイヤGW上で進められてもよい。例えば、診療従事者が、第二イントロデューサシース275を介して細長送達用拡張器280を患者の腋窩動脈AA内に挿入し、患者の血管系の一部分を通って細長送達用拡張器280を進め、そして第一イントロデューサシース270を通って細長送達用拡張器280を外在化させてもよい。
図5Aに関してより詳しく説明するように、細長送達用拡張器280は、細長送達用拡張器280を逆行方向に第一イントロデューサシース270内にガイドしかつその中の止血弁を貫通することを助けるため、内向きに傾斜するかまたは尖った端部領域を有してもよい。いくつかの態様において、細長送達用拡張器280を進めるために逆のオペレーションが用いられる(すなわち、細長送達用拡張器280が第一イントロデューサシース270を通して挿入されそして第二イントロデューサシース275に向かって進められる)。細長送達用拡張器280を患者の血管系に通して進めた後は、細長送達用拡張器280の第一部分282(例えば近位端部分)が腋窩動脈AAの近傍で外部からアクセス可能になり、かつ、細長送達用拡張器280の第二部分284(例えば遠位端部分)が大腿動脈FAの近傍で外部からアクセス可能になる。例えば、
図2Cに、第一イントロデューサシース270を介して大腿動脈FAから出ている細長送達用拡張器280の拡大図を示す。
図5A~5Cに関して細長送達用拡張器280の追加的詳細を詳述する。
図2Bに図示するように細長送達用拡張器280がポジショニングされたら、ガイドワイヤGWが除去されてもよい。
【0039】
細長送達用拡張器280の、外在化した遠位端部分284は、解放可能式に第一駆動ライン120に接続されてもよい。より具体的には、遠位端部分284は解放可能式に第一駆動ライン120の第一端部領域222に接続されてもよく、第一駆動ライン120は伸展可能部材110に接続された第二端部領域224もまた含む。細長送達用拡張器280は、コネクタまたは他の取り付け機構を用いて第一駆動ライン120に確実固定されてもよい。例えば、
図4A~5Cに関してさらに詳述するように、第一駆動ライン120の第一端部領域222がねじ式雌接続要素を有してもよく、細長送達用拡張器280の遠位端部分284が、そのねじ式雌接続要素とインターフェースするようサイズ決定および形状決定されたねじ式雄接続要素を有してもよい。さらに、
図5Bおよび5Cに関して説明するように、細長送達用拡張器280の遠位端部分284は、駆動ライン120に接続する準備ができるまでねじ式雄接続要素をカバーする、除去可能部分を有してもよい。したがっていくつかの態様において、細長送達用拡張器280の遠位端部分284が第一イントロデューサシース270を介して外在化して、ねじ式雄接続要素が露出した後に、診療従事者は細長送達用拡張器280の除去可能部分を除去する。診療従事者は次に、ねじ式雄接続要素を第一駆動ライン120上のねじ式雌接続要素内にねじ込むことによって、細長送達用拡張器280を第一駆動ライン120に接続する。
【0040】
細長送達用拡張器280の近位端部分282を引くことによって、第一駆動ライン120と伸展可能部材110とが第一イントロデューサシース270を通って患者の血管系内まで動く。例えば、細長送達用拡張器280が第一駆動ライン120に接続されたら、診療従事者は、腋窩動脈AAの近傍で外在化した近位端部分282において細長送達用拡張器280を引いてもよい。細長送達用拡張器280はその遠位端部分284で第一駆動ライン120に接続されているので、
図2Dに図示するように、細長送達用拡張器280が第二イントロデューサシース275を介して腋窩動脈AAから引き出される際に、第一駆動ライン120と伸展可能部材110とが第一イントロデューサシース270を介して大腿動脈FA内に引き入れられる。診療従事者は引き続き細長送達用拡張器280を腋窩動脈AAから引き出してもよく、それは、伸展可能部材110を、血流とは反対の方向に患者の血管系を通って動かす。診療従事者は、第一駆動ライン120が腋窩動脈AAの近傍で外在化されるまで、かつ/または伸展可能部材110が望ましいポジション(例えば胸部下行大動脈内)になるまで、引き続き細長送達用拡張器280を引いてもよい。伸展可能部材110のポジショニングは、例えば第一イントロデューサシース270を介して挿入された5F Omni(商標)Flushカテーテルまたはピッグテールカテーテルなどを用いて、CTによる骨ランドマークおよび/または血管造影を介して確認できる。例えばいくつかの態様において、診療従事者は、伸展可能部材110が腎動脈より上方にポジショニングされ、ゆえに腎動脈をブロックしないことを確認したいと望む可能性がある。
【0041】
いくつかの態様において、第一駆動ライン120は、第一イントロデューサシース270と第二イントロデューサシース275との間にわたりかつその両方を同時に通って延在できるだけ充分に長い(例えば, 約200 cmまたはそれを超える)。このことは、伸展可能部材110を植込みしている間に第一駆動ライン120の一部分が患者体外に留まっていることを確実にする。ゆえに、植込み手技中に第一駆動ライン120が細長送達用拡張器280から偶然に取り外されても、第一イントロデューサシース270および/または第二イントロデューサシース275において第一駆動ライン120の一部分がなお患者体外にあり、第一駆動ライン120と伸展可能部材110とが患者体内で失われることを防ぐ。
【0042】
いくつかの態様において、伸展可能部材110は、第一イントロデューサシース270を介して大腿動脈FA内に引き入れられる前に脱気される。例えば、診療従事者が、細長送達用拡張器280の近位端部分282にY字コネクタを取り付けてもよい。細長送達用拡張器280の管腔は(第一駆動ライン120を介して)伸展可能部材110の内部と流体連絡しているので、診療従事者は、シリンジまたは他のポンプ要素を用いて伸展可能部材110から空気を除去してもよい。診療従事者は次に、伸展可能部材110、第一駆動ライン120、および細長送達用拡張器280内の陰圧を維持するため、(例えば活栓を用いて)Y字コネクタを閉じてもよい。理論に束縛されるものではないが、伸展可能部材110の脱気は伸展可能部材110のプロフィルを低減および/または最小化すると期待され、それは、第一イントロデューサシース270を通りそして患者の血管系内まで引くことをより容易にする。
【0043】
いくつかの態様において、伸展可能部材110は、第一イントロデューサシース270を介して大腿動脈FA内に引き入れられる前または引き入れられている間、折畳まれるか、ねじられるか、またはさもなくば断面積が低減した送達状態に置かれる。例えば、伸展可能部材110は、伸展可能部材110の1つまたは複数の寸法を低減させるため、漏斗アセンブリまたは他の折畳み用チューブを通って引かれてもよい。例示的な漏斗アセンブリおよび折畳み用チューブは
図6A~7Cに関して詳しく後述する。いくつかの態様において、伸展可能部材110は、漏斗アセンブリまたは他の折畳み用チューブの使用に加えて、またはその代わりに、用手的に折畳まれるかまたはねじられてもよい。伸展可能部材110の寸法(例えば断面寸法、外径など)を低減することは、第一イントロデューサシース270を通りそして患者の血管系内まで伸展可能部材110を引くことをより容易にすると期待される。いくつかの態様において、折畳む段階および/またはねじる段階は、上述の脱気手技と組み合わせて行われてもよい。他の態様において、折畳む段階および/またはねじる段階は、上述の脱気手技の代わりに行われる。いくつかの態様において、折畳み手技は、伸展可能部材110を血管系内に引き入れる直前に行われる。他の態様において、伸展可能部材110が漏斗アセンブリ/折畳み用チューブ内にプリロードされていてもよい。しかし、いくつかの態様において、折畳みデバイスは用いられず、伸展可能部材110は第一イントロデューサシース270の中にかつこれを通って直接ロード/引き入れされる。
【0044】
伸展可能部材110が再ポジショニングを必要としないか、または伸展可能部材110が患者の血管系内部に入った後に容易に動かないならば、診療従事者はY字コネクタから活栓を除去してもよく、細長送達用拡張器280および第一駆動ライン120を介して伸展可能部材110内にワイヤ(例えば0.035インチのSupra Coreワイヤ――図示せず)を挿入してもよい。ワイヤは動きのためのレールを提供してもよい。診療従事者は、動きのための補強レールを提供するため、ワイヤ上にそして伸展可能部材110内に拡張器シース(例えば12 FrのCheck-Flo(登録商標)シース)もまた挿入してもよい。追加的または代替的に、診療従事者は、第二ワイヤ(例えば、滑動用の角度付きの硬いワイヤ)を、「バディワイヤ」として作用するよう、細長送達用拡張器280および/または第一駆動ライン120の外部にありながらもこれに並ぶように、進めてもよい。この第二ワイヤは、腋窩動脈AAにおける同じ(例えば元々の)切開部を通して挿入されてもよく、または新しい微小穿刺部もしくは動脈切開部が作られてもよい。伸展可能部材110を患者の血管系内で動かすことを容易にするための、また別の選択肢は、診療従事者が、第一イントロデューサシース270を介して係蹄または他の特徴を大腿動脈FAに挿入することである。係蹄または他の特徴は、伸展可能部材110を解放可能式に掴んでもよい。次に、患者の血管系内の望ましいポジションに向かって伸展可能部材110を押すことと引くこととの両方が行われてもよい。
【0045】
伸展可能部材110が患者の血管系内にある状態で、手技は、伸展可能部材110が標的部位にポジショニングされるまで、第一駆動ライン120を、そこに取り付けられた伸展可能部材110とともに、患者の血管系を通して動かす(例えば引く)段階に続く。例えば、
図2Eに示すように、伸展可能部材110のための標的部位は下行胸部大動脈内であってもよく、そのポイントにおいて第一駆動ライン120の第一端部領域222もまた腋窩動脈AAの近傍で外在化される。いくつかの態様において、第一駆動ライン120は第二イントロデューサシース275を介して出てもよい。例えば、第一駆動ライン120が第二イントロデューサシース275の直径より小さい外径を有するならば(例えば第一駆動ライン120が12.5 Frの駆動ラインでありかつ第二イントロデューサシース275が14 Frのシースであるならば)、第一駆動ライン120は第二イントロデューサシース275を通って腋窩動脈AAから出る。しかし、第一駆動ライン120が第二イントロデューサシース275の直径より大きい直径を有するならば(例えば第一駆動ライン120が12.6 Frの駆動ラインでありかつ第二イントロデューサシース275が12.5 Frのシースであるならば)、
図2Eに示すように、第二イントロデューサシース275は第一駆動ライン120とともに腋窩動脈AAから引き抜かれる。いくつかの態様において、第一端部領域222が第二端部領域224より小さい外径を有するよう、駆動ラインの外径がテーパーしているかまたはさもなくば傾斜していてもよい。そうした態様において、第一端部領域222は第二イントロデューサシース275を通ってフィットしてもよく、一方、第二端部領域224は第二イントロデューサシース275を通ってフィットできない。第一駆動ライン120が腋窩動脈AAにおいて患者の血管系から出たら、細長送達用拡張器280が第一駆動ライン120から(例えば雄接続要素を雌接続要素からねじ外しすることによって)接続解除されてもよい。同様に、第二イントロデューサシース275が、第一駆動ライン120が腋窩動脈AAから引き出された時に腋窩動脈AA内に留まっているかにかかわらず、除去されてもよい。
【0046】
診療従事者は、
図2Fに示すように、腋窩動脈AAにおける止血を再確立するため、第一駆動ライン120上に動脈インターフェースデバイス(例えばストッパーデバイス130)を挿入してもよい。止血を提供するため、ストッパーデバイス130の少なくとも一部分が腋窩動脈AA内まで延在してもよい。診療従事者は、さまざまな好適な係留技法または係留機構を用いて、長期的または永久的な植込みのためストッパーデバイス130を所定の位置に確実固定してもよい。例えば、ストッパーデバイス130は、動脈切開部位の近くで安定性を提供する係留機構を含んでもよい。
図8Aおよび8Bに関して後述するように、係留機構は、伸展可能部材、生体適合性の糊、縫合糸、他の好適な要素、またはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの態様において、ストッパーデバイス130は植込み可能なストッパーであり、皮下にポジショニングされる。したがって、ストッパーデバイス130は、治療期間にわたって腋窩動脈AAにおける止血を提供するため、患者体内に留まってもよい。
【0047】
他の態様において、診療従事者は、他の好適な技法を用いて腋窩動脈AAにおける止血を再確立してもよい。例えば診療従事者は、角度付きのガイドワイヤを大腿動脈内に挿入し、かつ、カテーテル(例えばJR4カテーテル、RDCカテーテルなど)をガイドワイヤ上そして大腿動脈FA内に進めてもよい。カテーテルは、患者の血管系を通って第二イントロデューサシース275まで進められてもよく、ワイヤ(例えば0.018インチのV18ワイヤ)と交換されてもよい。(例えばCTまたは超音波に基づいて)適切にサイズ決定された鎖骨下バルーン (例えば0.035インチのバルーン)が、ワイヤ上に進められてもよい。次に、血流を防ぐため鎖骨下バルーンが膨張されている間に、第二イントロデューサシース275が除去されてもよい。止血を提供するため、腋窩動脈AAから出ている第一駆動ライン120上でPerclose ProGlide(登録商標)縫合糸が締められてもよく、用手圧迫が維持されてもよい。当初に止血が実現されないならば、鎖骨下バルーンを腋窩動脈AA内で膨張させて用手圧迫で(例えば10分間にわたって)保持してもよい。止血がなお実現されないならば、診療従事者は、第二イントロデューサシース275を腋窩動脈AAまで再度進め、第二イントロデューサシース275のポジションが動脈切開部内にあることを造影剤注入によって検証し、生体適合性の糊(例えばFloseal(登録商標))を注入し、用手圧迫後に止血を確認してもよい。
【0048】
診療従事者はまた、好適な血管閉鎖デバイスおよび/または技法を用いて、第一イントロデューサシース270を大腿動脈FAから除去してもよい。例えばいくつかの態様において、診療従事者は、第一イントロデューサシース270を除去し、MANTA(登録商標)血管系閉鎖デバイスまたは他の同様のデバイスを用いて止血を実現してもよい。大腿動脈FAにおいて当初に止血が実現されないならば、診療従事者は、任意で、止血を実現するために用手圧迫を適用するかまたはバルーン、ステント、もしくは他のデバイスを用いてもよい。
【0049】
図2Gに移ると、診療従事者は、第二駆動ライン140を患者体内に植込みしてもよい。例えば診療従事者は、腹部から胸筋部まで皮下トンネルを作製してもよく、第二駆動ライン140の第一端部領域242が腹部の近傍に留まりかつ第二駆動ラインの第二端部領域244がストッパーデバイス130の近傍になるよう、腹部から胸筋部までトンネルを通って第二駆動ライン140を進めてもよい。
【0050】
前述したように、第一駆動ライン120は、植込み手技中に大腿動脈の動脈切開部と腋窩動脈の動脈切開部との間にわたりかつこれらを通って延在するよう、比較的長い長さを有する。したがって、第一駆動ライン120の一部分は、第二駆動ライン140に接続できるよう、かつ/または患者体内にフィットするよう、除去される必要がある可能性がある。したがって診療従事者は、ストッパーデバイス130から出て延在している第一駆動ライン120の第一端部領域222の余分な長さを除去(例えば切断、離脱、取り外しなど)してもよく、それによって「新しい」近位端部分223が形成される。診療従事者は次に、
図2Gに示すように、第一駆動ライン120の近位端部分223を第二駆動ライン140の第二端部領域244に確実固定して、それらの間に空圧シールを形成してもよい(例えば、気体の漏れを防ぐために最大500 mmHgまで密閉する)。いくつかの態様において、第二駆動ライン140の第二端部領域244は、第一駆動ライン120の近位端部分223の外径にほぼ等しいかまたはそれよりやや大きい内径を有する。例えば、第二駆動ライン140の第二端部領域244が約5 mmまで伸展可能な内径を有してもよく、第一駆動ライン120の近位端部分223が約4.2 mmの外径を有してもよい。したがって、第二駆動ライン140の第二端部領域244を、第一駆動ライン120の近位端部分223の少なくとも一部分「上に」置くことができる。次に、第一駆動ライン120と第二駆動ライン140との間に空圧シールを提供するため、圧縮リングまたは縫合糸などを用いて第二駆動ライン140を第一駆動ライン120に確実固定してもよい。したがって、いくつかの態様において第二駆動ライン140は「オーバーチューブ」と呼ばれうる。理論に束縛されるものではないが、第二駆動ライン140の内径が比較的大きいことは、伸展可能部材110に出入りする流体(例えば、空気などの気体)がより速く往復することを可能にし、かつ第二駆動ライン140を皮膚インターフェースデバイス190に接続することを容易にすると期待される。
【0051】
次に、任意で、第二駆動ライン140の第一端部領域242が好適な長さまでトリミングされてもよく、バーブ、嵌合するねじ山、および/または他の好適な接続用の特徴を用いて皮膚インターフェースデバイス190に接続されてもよい。いくつかの態様において、第二駆動ライン140は、第二駆動ライン140を組織に確実固定するための係留用の特徴(図示せず)をさらに含んでもよい。例えば、第二駆動ライン140は、第二駆動ライン140を患者組織に縫合するための複数の穴(図示せず)を備えた、1つまたは複数のウィングもしくは付属物245を含んでもよい。したがっていくつかの態様において、診療従事者は、第二駆動ライン140が望ましいポジションになったら第二駆動ライン140を組織に係留してもよい。診療従事者は次に、伸展可能部材110の作動を駆動するため、駆動ユニット150を皮膚インターフェースデバイス190に接続してもよい。
【0052】
図2A~2Gを参照して上述した血管内植込み手技は複数の恩典を提供すると期待される。例えば、大動脈内血液ポンプを植込みするための血管内アプローチは外科的方法より侵襲性が低い。血管内手技は胸骨切開または開胸を必要とせず、心肺バイパスまたは血液製剤の使用も必要としない。むしろ、本明細書に説明する手技は、少なくともいくつかの態様において、循環器科医によって心臓カテーテル室内で局所麻酔を用いて完了できる。このことは、循環支持システムを植込みするための開胸手術アプローチに関連する複雑性、時間、および費用を低減させると期待される。本発明の手技はまた、入院期間を短縮させ、かつ術後合併症に起因する再入院および/または再手術を減少させるとも期待される。加えて、本発明の血管内手技は、疾患が進行した場合に患者がLVADおよび/または他の心臓支持システムを受けることを妨げない。このことは胸骨切開または開胸によって植込みされるシステムと対照的である;そうした手術は胸腔を乱してさらなる大きな手術を妨げる可能性があるからである。
【0053】
さらに、前述の血管内植込み手技はまた、LVADのための他の血管内植込み技法に対しても、少なくともいくつかの有利な点を提供する。例えば前述の技法は、システム100の長期使用を許容するような配向でシステム100を植込みすることを可能にし、かつ、治療期間中に患者が仰臥位のままでいることを必要としない。このことは、前述の血管内植込み手技に従って植込みされた時に伸展可能部材110から(尾側ではなく)頭側方向に延在するという駆動ライン120の配向に、少なくとも部分的に起因する。
【0054】
少なくとも前述の理由により、本発明の血管内手技は、従来の手技と比較して、疾患進行のより早期に、かつより大きな患者クラスにおいて、循環支持を用いることを可能にする。例えば、従来の循環支持治療(例えばLVAD)は、循環支持システムの植込みに関連する複雑性およびリスクのため、進行した心不全症例に限定されていた。しかし本発明の手技を用いると、循環支持システムを(外科的ではなく)血管内的に植込みすることによって複雑性、時間、および費用が低減し、かつ安全性も高まることにより、循環支持システムを受けられる可能性がある患者のクラスが広がる。例えば本技術は、循環支持治療の利用可能性を、最も進行した患者だけでなく、NYHA クラスIIIまたはクラスIVの心不全があるすべての患者に広げる可能性がある。
【0055】
当業者に理解されるであろうように、本技術の範囲から逸脱することなく、上述のさまざまな段階を省略することかつ/または代替的な順序で行うことが可能である。同様に、上述のさまざまな段階および手技を、明示的に同定または説明したもの以外のコンポーネントを用いて行うことも可能である。
【0056】
慢性循環支持システムを除去および/または置換する選択的方法
図1~2Gを参照して上述したiVASシステム100など、植込みされた循環支持システム、またはそのコンポーネントは、心筋の回復またはデバイスの期限切れなどの臨床的理由および/またはデバイスに関する理由により、除去または置換を必要とする可能性がある。したがって本技術は、植込みされた循環支持システム(例えばシステム100)および/またはその部分(例えば伸展可能部材110)を除去するための方法もまた提供する。例えば、本明細書に説明する摘出および/または置換手技は、植込みされた伸展可能部材110より上方または頭側の位置から(例えば
図2Hに関して後述するように鎖骨下動脈または腋窩動脈を通って)、または、植込みされた伸展可能部材110より尾側の位置から(例えば
図2Iに関して後述するように大腿動脈を通って)、伸展可能部材110を除去できる。
【0057】
図2Hは、本技術の諸態様に基づく、鎖骨下動脈または腋窩動脈を通って伸展可能部材110を除去する摘出および/または置換手技201を図示したフローチャートである。
図1の血管内心室補助システム100と、
図2A~2Gに図示した関連送達システムのさまざまな特徴とを参照して、摘出手技201を説明するが、摘出手技201は他の血管内植込み物を摘出および/または置換するために用いられてもよく、または他の送達システムの特徴を用いていてもよい。摘出手技201は、鎖骨下動脈または腋窩動脈AAにおいて患者の血管系内にガイドワイヤ(例えば
図2Aに示したガイドワイヤGWと同様のもの)を挿入する段階によって始まってもよい(ブロック202)。例えば、診療従事者が、ストッパーデバイス130におけるポートを通り(例えば、
図8Aに関してさらに上述する第二サイドポート839を通り)そして患者の腋窩動脈AA内までワイヤを挿入してもよい。ワイヤは、患者の血管系内に挿入された時に、第一駆動ライン120の外部に(例えば第一駆動ライン120の側方に)留まる。手技201は、伸展可能部材110を、患者の血管系を通って頭側方向に動かし(ブロック204)、最終的に腋窩動脈AAにおける動脈切開部に通す(ブロック206)ため、患者の血管系の外部にある第一駆動ライン120の一部分を引く段階に続いてもよい。いくつかの態様において、ストッパーデバイス130が腋窩動脈AA内に挿入されたままになっている間に、伸展可能部材110がストッパーデバイス130を通って引き出されてもよい。他の態様において、ストッパーデバイス130が伸展可能部材110とともに引き出されてもよい。いずれのケースにおいても、第一駆動ライン120と伸展可能部材110とが引き出された後、ワイヤは患者の血管系内に留まる。ストッパーデバイス130もまた引き出される態様において、診療従事者は、当業者に公知のオーバーザワイヤ動脈切開部閉創技法を用いて、動脈切開部における一時的または永久的な止血を再実現してもよい(ブロック208)。
【0058】
診療従事者は、任意で、伸展可能部材110が除去された後に、第二の(例えば新しいまたは置換用の)伸展可能部材(例えば、上述の伸展可能部材110と同様の、バルーンまたは他の伸展可能部材)を植込みしてもよい(ブロック207)。診療従事者は、置換用の伸展可能部材を植込みすることを望むのであれば、
図2A~2Dに関して上述した血管内植込み手技を用いて、大腿動脈への、ワイヤアクセスを含むアクセスを確立してもよい。伸展可能部材110の除去中にストッパーデバイス130が腋窩動脈AAから引き出される態様において、診療従事者は、新しいイントロデューサシース(例えば第二イントロデューサシース275と同様のもの)を腋窩動脈AA内に挿入してもよい。次に、
図2A~2Gに関して上述した血管内植込み手技を用いて、置換用の伸展可能部材が植込みされてもよい。伸展可能部材110の除去後にストッパーデバイス130が腋窩動脈AA内に挿入されたままになる態様において、診療従事者は、ストッパーデバイス130を腋窩動脈AAから除去してもよく、新しいイントロデューサシース(例えば第二イントロデューサシース275と同様のもの)を腋窩動脈AA内に挿入してもよい。次に、
図2A~2Gに関して上述した血管内植込み手技を用いて、置換用の伸展可能部材が植込みされてもよい。他の態様において、第二イントロデューサシース275の代わりにストッパーデバイス130が腋窩動脈AAへのアクセスを提供してもよく、それは第二イントロデューサシース275の必要性をなくす。次に、第二イントロデューサシース275の代わりにストッパーデバイス130を用いること以外は、
図2A~2Gに関して上述した血管内植込み手技を用いて、置換用の伸展可能部材が植込みされてもよい。
【0059】
図2Iは、本技術の諸態様に基づく、大腿動脈を通って伸展可能部材110を除去する摘出および/または置換手技210を図示したフローチャートである。
図1の血管内心室補助システム100と、
図2A~2Gに図示した関連送達システムのさまざまな特徴とを参照して、摘出手技210を説明するが、摘出手技210は他の血管内植込み物を摘出および/または置換するために用いられてもよく、または他の送達システムの特徴を用いていてもよい。手技210は、大腿動脈FAなど、伸展可能部材110より尾側の動脈へのアクセスを確立する段階によって始まってもよい(ブロック211)。例えば、診療従事者は、患者の大腿動脈FA内に第一イントロデューサシース270を挿入する段階に関して上述したものと同様の技法を用いて、除去用シースを大腿動脈FA内に挿入してもよい。いくつかの態様において、除去用シースは、第一イントロデューサシース270と同じかまたは少なくとも概ね同様であってもよい。診療従事者は、第一駆動ライン120の内部管腔へのアクセスを提供するため、第一駆動ライン120を第二駆動ライン140から取り外してもよい(ブロック212)。診療従事者はまた、任意で、ストッパーデバイス130も除去してもよい。しかしいくつかの態様において、診療従事者は、摘出手技201全体を通してストッパーデバイス130を腋窩動脈AA内に残す。
【0060】
診療従事者は、ワイヤ(例えば
図2Aに示したガイドワイヤGWと同様のもの)を、第一駆動ライン120を通りそして伸展可能部材110の内部体積内まで進めてもよい(ブロック213)。いくつかの態様において、ワイヤは、伸展可能部材110の遠位端領域まで(例えば
図3Bに関してさらに詳述する乳頭部316内まで)進められる係蹄要素を含んでもよい。係蹄要素は、ワイヤの遠位端部分におけるボール、フック、または「J」字形などであってもよい。係蹄要素が伸展可能部材110内にありかつワイヤが係蹄要素から延在して第一駆動ライン120から出ている状態で、(細長送達用拡張器280と同じかまたは概ね同様であってもよい)細長除去用シースが、患者の腋窩動脈の外部で第一駆動ライン120に連結されてもよい(ブロック214)。細長除去用シースは、直接的または間接的のいずれかで第一駆動ライン120に連結されてもよい。例えばいくつかの態様において、細長除去用シースを第一駆動ライン120に接続する前に、係蹄要素を備えたワイヤ上で第一駆動ライン120内に取り付け用デバイスが挿入されてもよい。取り付け用デバイスは、それを第一駆動ライン120に確実固定するための固定機構(例えばバーブ)と、それを細長除去用シースに固定するためのロック機構(例えばスクリュークラスプ、ねじ山、嵌合する表面など)とを有してもよい。ストッパーデバイス130が除去された態様において、細長除去用シースはまた、ワイヤ上で進められて第一駆動ライン120に連結される前に、第二シース(例えば第二イントロデューサシース275と概ね同様のもの)の内部にポジショニングされてもよい。
【0061】
診療従事者は、捕捉機構を、大腿動脈内の除去用シースを通りそして大動脈内の伸展可能部材110に向かって進めてもよい(ブロック215)。いくつかの態様において、捕捉機構は、係蹄要素と相互作用するようサイズ決定および/または形状決定された1つまたは複数の捕捉要素(例えばフック、係蹄、把持器など)を有するカテーテルであってもよい。捕捉要素は、任意で、捕捉要素が係蹄要素を係合したらそれらをロックするための1つまたは複数のロック機構を含んでもよい。捕捉機構が大動脈内の伸展可能部材110の近傍になったら、診療従事者は、1つまたは複数の捕捉要素を用いて(例えば伸展可能部材110内にポジショニングされた係蹄要素を係合するなどによって)伸展可能部材110を把持してもよい(ブロック216)。次に伸展可能部材110が、カテーテルを引くことによって大腿動脈内の除去用シースに向かって引かれてもよく、かつ/または、細長除去用シースを押すことによって大腿動脈FA内のシースに向かって押されてもよい(ブロック217)。伸展可能部材110が除去用シースに向かって動く際に、細長除去用シースは腋窩動脈の動脈切開部において患者の血管系内に引き入れられる。ストッパーデバイス130が除去されかつ細長除去用シースが第二シース内にポジショニングされた態様において、第二シースは、腋窩動脈AAに入って止血を提供するまで、細長除去用シースとともに進められてもよい。当初に止血が実現されないならば、診療従事者は止血を実現するために用手圧迫を適用するかまたはバルーンを挿入してもよい。
【0062】
診療従事者は、伸展可能部材110および第一駆動ライン120を、除去用シースを通して引く/押すことによって患者の血管系から除去してもよい(ブロック218)。いくつかの態様において、伸展可能部材110は除去用シースを通ってフィットしない可能性があり、除去用シースは伸展可能部材110の除去中に大腿動脈から引き出される。そうしたケースにおいて、診療従事者は、標準的な技法を用いて(例えばMANTA(登録商標)デバイスを用いて)動脈切開部を閉創してもよく、かつ/または、出血を最少にするため動脈切開部に用手圧迫を適用してもよい。
【0063】
伸展可能部材110と第一駆動ライン120とが単一のユニットとして除去用シースから引き出される一方で、細長送達用拡張器もまた、患者の腋窩動脈と患者の大腿動脈との間に延在するよう除去用シースを通って進み、ゆえに腋窩動脈から大腿動脈までの経路を維持する。第一駆動ライン120が任意で細長除去用シースから接続解除されてもよく、係蹄用の特徴を有するワイヤが細長送達用拡張器から除去されてもよい(ブロック219)。第二ワイヤ(例えば0.035"のワイヤ、Amplatz 硬性ワイヤ、Jワイヤなど)が、任意で、大腿動脈から腋窩動脈まで細長除去用シースを通されてもよい。結果として、ワイヤおよび細長送達用拡張器の端部は腋窩動脈および大腿動脈の外側にあり、腋窩動脈および大腿動脈の動脈切開部に対するアクセスと制御とを可能にする。大腿動脈の動脈切開部において伸展可能部材110を除去している間に除去用シースが体外に出た態様において、大腿動脈の動脈切開部における止血を実現するため、第二の除去用シース(これもまた第一イントロデューサシース270と同じかまたは概ね同様であってもよい)が細長除去用シース上で押されてもよい。
【0064】
いくつかの態様において、診療従事者は、伸展可能部材110が除去された後に第二の(例えば新しいまたは置換用の)伸展可能部材を植込みしてもよい(ブロック219)。そうするために、古い駆動ラインおよび伸展可能部材が上述のように細長除去用シースから取り外され、そこに置換用の駆動ラインおよび伸展可能部材(例えば上述の第一駆動ライン120および伸展可能部材110と同様のもの)が取り付けられてもよい。次に、
図2C~2Gに関して上述した血管内植込み手技と同様の様式で、腋窩動脈AAの近傍で細長除去用シースを引くことによって置換用の伸展可能部材が血管系内に引き入れられてもよい。他の態様において、診療従事者は単純に細長除去用シースを除去し、標準的なオーバーザワイヤ閉創技法を用いて腋窩動脈の動脈切開部および大腿動脈の動脈切開部を閉創してもよい(ブロック221)。
【0065】
これらの血管内摘出および置換の手技とシステムとは、血管内アプローチを用いてバルーンポンプおよび/または他の血管内デバイスを除去および/または置換することを可能にし、したがって大きな手術を回避する。すなわち、従来の循環支持システムの除去には2回目の胸骨切開手技を必要とするが、それは有害事象および死亡のリスクの著明な増大と関連性がある。対照的に、本技術は、植込みされたデバイスを除去および/または置換するための低侵襲の血管内手技を提供する。
【0066】
血管内送達システムおよび血管内循環支持システムの選択的コンポーネント
図3A~8Bに、
図1のシステム100および
図2A~2Gに関して上述した血管内送達システムの、選択的コンポーネントの追加的詳細を図示する。本明細書に説明するシステム100(すなわち大動脈内式心室補助デバイス)のコンポーネントは、
図2A~2Iに説明した血管内送達および/もしくは置換手技を介して送達されてもよく、または他の好適な植込み手技を用いて送達されてもよい。本明細書に説明する送達システムのコンポーネントは、血流を支持するためシステム100を送達および/もしくは除去するために用いられてもよく、かつ/または、他のデバイスを血管内的に患者の血管系内に送達しかつ/もしくは患者の血管系内から除去するために用いられてもよい。
【0067】
図3Aは、本技術の諸態様に基づいて構成された伸展可能部材110および第一駆動ライン120の側面図である。
図3Bは、
図3Aの伸展可能部材110の拡大側面図であり、
図3Cは、本技術の諸態様に基づいて構成された伸展可能部材110と第一駆動ライン120との間の接続の拡大側面図である。
図3A~3Cは、伸展可能部材110が流体(例えば、空気などの気体)で少なくとも部分的に充填されている、膨張状態(「第一状態」または「伸展状態」ともいう)における伸展可能部材110を図示している。
図3Aに示すように、伸展可能部材110は第一駆動ライン120の第二端部領域224に連結され、第一駆動ライン120を通って延在している管腔(
図4A~4Bを参照して後述する)が、伸展可能部材110の内部空間317と流体連絡している。したがって、第一駆動ライン120は、伸展可能部材110の膨張および脱膨張(伸展および圧縮)を駆動するため、気体(例えば空気)を伸展可能部材110に出し入れさせて送達してもよい。
【0068】
次に
図3Bを参照すると、伸展可能部材110は第一(例えば近位)端部分312と第二(例えば遠位)端部分314とを有してもよい。第一端部分312は、
図3Cに関してより詳しく説明するように、第一駆動ライン120に接続されてもよい。第一端部分312は、伸展可能部材110の断面直径が傾斜ネック313において遠位から近位方向に低減するよう、内向きに傾斜またはテーパーしたネック313を含んでもよい。いくつかの態様において、第一端部分312は、伸展可能部材110の他の部分に対して相対的に大きい材料厚さを有してもよい。理論に束縛されるものではないが、より厚い材料は、伸展可能部材110と第一駆動ライン120とのインターフェース部におけるキンクおよび伸びを低減させると期待される。
【0069】
第二端部分314もまた、伸展可能部材110の断面直径が傾斜ネック315において近位から遠位方向に低減するよう、内向きに傾斜またはテーパーしたネック315を含んでもよい。傾斜ネック315は、腎動脈など分枝する脈管の閉塞を回避するため、それにより、伸展可能部材110が患者の大動脈内に植込みされた時に腎臓虚血のリスクを低減するため、大動脈の狭小部に適合するよう設計される。第一端部分312における傾斜ネック313および遠位端部分における傾斜ネック315はまた、植込みおよび/または摘出用に伸展可能部材110の寸法を低減させるため伸展可能部材110を折畳むまたはねじることを容易にしてもよい。第二端部分314はまた、任意で、乳頭部または他の係合用の特徴316も含んでもよい。いくつかの態様において、乳頭部316は、血管内摘出手技中に伸展可能部材110を係蹄することを容易にすると期待される。例えば上述したように、伸展可能部材110を把持するため、係蹄または他の捕捉用の特徴が乳頭部316の周りに巻き付いてもよい。いくつかの態様において、乳頭部316はワイヤの球根状特徴の端部を受けるようサイズ決定および形状決定されてもよく、係蹄または他の係合機構が、回収のためより良好に伸展可能部材110を係合するため、乳頭部316内の球根状特徴の周りを把持してもよい。
【0070】
伸展可能部材110は、脱膨張/非伸展状態(図示せず)と膨張/伸展状態との間を移行してもよい。例えばいくつかの態様において、伸展可能部材110はバルーンまたは他の弾性構造である。バルーンは、バルーンの内部が気体または流体で充填された時に脱膨張状態から膨張状態に移行する。バルーンは、バルーンの内部から気体または流体が引き抜かれた時に膨張状態から脱膨張状態に移行する。伸展可能部材110はまた、非伸展状態と伸展状態との間を移行できる別の好適な構造であってもよい。伸展可能部材110は任意の好適な生体適合性材料で組成されてもよい。例えば、伸展可能部材110は、ポリウレタン(例えばBioSpan(登録商標)S)など生体適合性エラストマーで組成されてもよい。理論に束縛されるものではないが、伸展可能部材110が脱膨張状態にある時、伸展可能部材110は折り目または凹部を伴わず、概ね平らなままであると期待される。従来の大動脈内バルーンポンプと異なり、このことは、システム100がオフにされた時でさえも伸展可能部材110が患者体内に植込みされたまま留まることを可能にする。したがっていくつかの態様において、伸展可能部材110は、システムがオフにされた時でさえも患者体内に留まるよう設計される。伸展可能部材110は、1時間超などの長時間にわたってシステム100がオフにされた時に患者体内に留まってもよい。
【0071】
伸展可能部材110は、例えば患者の解剖学的構造および/または臨床ニーズなどに応じて、さまざまな異なるサイズおよび/または形状で作られてもよい。いくつかの態様において、伸展可能部材110は約20 ml~約60 mlの押しのけ容積を有してもよい。例えばいくつかの態様において、押しのけ容積は約50 mlである。本明細書において用いる押しのけ容積は、膨張状態と脱膨張状態との間の体積差をいう。したがって、押しのけ容積は、膨張状態における伸展可能部材の体積と概ね同様であるが、必ずしも同一でなくてもよい。伸展可能部材110は約15 cm~約30 cmの長さを有してもよい。例えばいくつかの態様において、伸展可能部材110は、約20 cmまたは約25 cmなど、約19 cmを超える長さを有する。したがっていくつかの態様において、伸展可能部材110は従来の大動脈内バルーンポンプより長い。とりわけ、第二端部分314における傾斜ネック315が、腎動脈をブロックするリスクを低く保ちながら、伸展可能部材110が比較的大きい長さを有することを可能にする。当業者に理解されるであろうように、伸展可能部材110は、小児母集団における使用のためなど、異なる患者の解剖学的構造に対応するため、本明細書において明示的に具陳するもの以外の寸法を有してもよい。
【0072】
図3Cを参照すると、伸展可能部材110の第一端部分312が第一駆動ライン120の第二端部領域224に連結される。第一端部分312は、傾斜ネック313から近位方向に延在する係合領域311を含んでもよい。係合領域311は第一駆動ライン120の一部分上にフィットしてもよい(すなわち、第一駆動ライン120の一部分が係合領域311内に少なくとも部分的に挿入されてもよい)。係合領域311は、取り付け用の特徴318を用いて第一駆動ライン120に確実固定されてもよい。取り付け用の特徴318は、係合領域311と第一駆動ライン120との間に気密接続/空圧シールを提供し、それによって、第一駆動ライン120を介して伸展可能部材110の内部空間317に送達された気体が伸展可能部材110から外部環境中(例えば伸展可能部材110が植込みされている時は患者の血管系内)に漏れ出すことを防ぐ、圧縮リングまたは他の好適な要素であってもよい。
【0073】
図4A~4Cに、本技術の諸態様に基づいて構成された第一駆動ライン120のさまざまな特徴を図示する。
図4Aおよび4Bはそれぞれ第一駆動ライン120の斜視図および断面図であり、
図4Cは第一駆動ライン120の耐キンク要素427の側面図である。
図4Aおよび4Bに示すように、第一駆動ライン120は、その中を通って延在している管腔421を規定する、概ね管状の壁425を有してもよい。概ね管状の壁425は、気体が管腔421から患者の血管系内に漏れ出ることを防ぐため、気体不透過性であってもよい。いくつかの態様において、概ね管状の壁425が複数の層を含んでもよい。例えば図示の態様において、概ね管状の壁425は、内膜426と、内膜426を同心状に封入する外膜428とを含む。内膜426と外膜428との間および/または部分的にこれらの中に、コイルまたは他のらせん巻きの耐キンク要素427(
図4Cに単独で示す)が配されてもよい。内膜426および外膜428は少なくとも部分的に可撓性材料で組成されてもよい。さらに、第一駆動ライン120が患者の血管系内に植込みされた時にその上で血塊が形成されることを低減および/または防止するため、外膜428はエラスチン-sなどの抗血栓形成性材料で組成されてもよい。コイル427は、ニチノールまたは別の好適な耐キンク材料で組成されてもよい。いくつかの態様において、コイル427は、約1 mm未満(例えば約0.5 mm)のピッチPを有してもよい。理論に束縛されるものではないが、管状の壁425内にコイル427を組み入れることは複数の利点を提供し、それには以下が含まれる:(1)概ね管状の壁425に追加的な安定性を提供すること;(2)望ましい安定性を実現するために必要な、概ね管状の壁425の厚さを低減すること;ならびに、(3)第一駆動ライン120のキンクもしくはつぶれを低減および/または防止すること。いくつかの態様において、コイル427は第一駆動ライン120の一部分に沿ってのみ延在し、それは第一駆動ラインを「補強」セクションと「非補強」セクションとに分ける。他の態様において、コイル427は第一駆動ライン120の全長またはおおよそ全長に沿って延在する。
【0074】
第一駆動ライン120の第一端部領域222はまた、第一駆動ライン120を細長送達用拡張器280(
図5A~5C)に接続するための接続要素429も含んでもよい。したがって、接続要素429はまた、細長送達用拡張器接続要素429とも呼ばれうる。接続要素429は、細長送達用拡張器280上の対応するねじ式雄接続要素を受けるようサイズ決定および形状決定された、ねじ式雌接続要素であってもよい。他の態様において、接続要素429は、細長送達用拡張器280上の対応するねじ式雌接続要素を受けるようサイズ決定および形状決定された、ねじ式雄接続要素であってもよい。また他の態様において、接続要素429は、第一駆動ライン120を細長送達用拡張器280に確実固定するための、別の好適な締結機構である。いくつかの態様において、接続要素429は、空気が接続要素429を通ってかつ/またはその周りを流れて管腔421に入ることを許容する、アパーチャ429aまたは他の特徴を含む。ゆえに、第一駆動ライン120が接続要素429を介して細長送達用拡張器280に接続された時、気体は細長送達用拡張器280を通って流れそしてアパーチャ429aを介して管腔421に入ることができ、その逆もまたしかりである。
【0075】
第一駆動ライン120は約6 mm未満の外径を有してもよい。例えば、いくつかの態様において外径は約4.2 mmである。他の態様において外径は約4.2 mm未満である。とりわけ、第一駆動ライン120の外径は、本明細書に説明する血管内植込み手技中に第一イントロデューサシース270および/または第二イントロデューサシース275を通ってフィットするように選択されてもよい。例えばいくつかの態様において、第一駆動ライン120は4.2 mmの外径を有し(例えば12.6 Fr)、第一イントロデューサシース270は16 Frのシースであり、第二イントロデューサシース275は14 Frのシースである。そうした態様において、第一駆動ライン120は、第一イントロデューサシース270および第二イントロデューサシース275の両方を通ってフィットする。外径はまた、さまざまに異なる患者の解剖学的構造の中にフィットするよう充分に小さくてもよい(例えば、より大きな駆動ラインは、腋窩動脈の直径がある一定の閾値を上回る患者においてのみ植込みされうる)。第一駆動ライン120は約2 mm~5 mmの内径(すなわち、内膜426によって規定される、管腔421の直径)を有してもよい。例えばいくつかの態様において内径は約3.3 mmである。他の態様において内径は3.3. mm未満である。
【0076】
第一駆動ライン120は比較的長い長さを有する。例えば、第一駆動ライン120は約200 cm超(例えば約300 cm)であってもよい。上述したように、比較的長い長さを有することは、植込み手技中に第一駆動ライン120の一部分が患者の体外に留まることを確実にする。植込み手技中に第一駆動ライン120が細長送達用拡張器280から接続解除されたならば、第一駆動ライン120と伸展可能部材110とを患者の血管系から回収するため、患者の体外に留まっている第一駆動ライン120の一部分が用いられてもよい。第一駆動ライン120は、比較的長い長さのゆえに、第一駆動ライン120を第二駆動ライン140に確実固定する前に一般的にはカットされる。例えば、第一端部領域222の一部分が除去される可能性があり、それによって、接続要素429を有する第一駆動ライン120の部分が除去されるが、第一駆動ライン120をカットする前に第一駆動ライン120は所定のポジションにあるので、接続要素429はもはや必要とされない。
【0077】
第一駆動ライン120の一部分のみが補強される態様において、補強部分は、非補強部分の第二外径より大きい第一外径を有してもよい。例えば、補強部分が約4.2 mmの外径を有してもよく、かつ非補強部分が約4 mmの外径を有してもよい。そうした態様において、補強部分が約30 cm超の長さを有してもよく、かつ非補強部分が約10 cm超の長さを有してもよい。いくつかの態様において、補強部分は第二端部領域224を含み、かつ非補強部分は第一端部領域222を含む。第一外径と第二外径との間の移行は、テーパーしているかまたはさもなくば漸進的であってもよい。
【0078】
図5A~5Cは、本技術の諸態様に基づいて構成された細長送達用拡張器280のさまざまな特徴の側面部分断面図である。
図5Aに示すように、細長送達用拡張器280は、その中を通って延在している管腔592を有する、概ね管状のコンジット、シャフト、またはパイプなどを形成する。管腔592は、ワイヤ(例えば0.035インチのワイヤ)上で細長送達用拡張器280を進めることができるようにサイズ決定される。前述したように、細長送達用拡張器280は第一部分282(例えば近位端部分)と第二部分284(例えば遠位端部分)とを含んでもよい。いくつかの態様において、近位端部分282は、管腔592への制御されたアクセスを提供するため、弁またはポート853(例えば逆止弁、ルアーロック、シール可能なシリコーンポートなど)を含んでもよい。例えば、
図3Dに関して前述したように、患者の血管系内に引き入れる前に伸展可能部材110を脱気するため、シリンジ、Y字コネクタ、または三方活栓などが弁853において第一駆動ライン120に取り付けられてもよい。ポート583を含む態様において、ポート583は植込み手技全体を通して患者の体外に(例えば腋窩動脈のアクセス部位に)留まる。細長送達用拡張器280の遠位端部分284は、逆行方向にイントロデューサシース内に挿入された時に、イントロデューサシース(例えば第一イントロデューサシース270)内の止血弁を貫通するよう設計されてもよい。例えば図示の態様において、遠位端部分284は、止血弁を貫通することを助けるため、少なくとも部分的に尖っておりかつ/または内向きに傾斜している。
【0079】
遠位端部分284の最遠位セグメントが、除去可能部分585(例えば除去可能な遠位先端)を含んでもよい。除去可能部分585は、
図5Bおよび5Cを参照して詳しく後述する取り付けインターフェース586において、細長送達用拡張器280に確実固定されてもよい。本明細書に説明する血管内植込み手技中、遠位端部分284が(例えば大腿動脈の近傍で)第一イントロデューサシース270において外在化した後に、除去可能部分585が細長送達用拡張器280から除去される。次に、第一駆動ライン120が取り付けインターフェース586において細長送達用拡張器280に接続される。
【0080】
図5Bおよび5Cに、取り付けインターフェース586の近傍における、細長送達用拡張器280の追加的な特徴を図示する。より具体的には、
図5Bは取り付けインターフェース586において細長送達用拡張器280に接続された除去可能部分585を図示し、
図5Bは取り付けインターフェース586において細長送達用拡張器280から間隔が空けられた(例えば接続解除された)除去可能部分を図示している。
図5Bおよび5Cを共に参照すると、細長送達用拡張器280は、取り付けインターフェース586の近傍に第一接続要素587aと第二接続要素587bとを含む。第一接続要素587aと第二接続要素587bとは、除去可能部分585を細長送達用拡張器280に解放可能式に確実固定するために係合する。図示の態様において、第一接続要素587aはねじ式雌接続要素であり、かつ第二接続要素587bはねじ式雄接続要素である。オペレーションにおいて、除去可能部分585は、ねじ式雄接続要素をねじ式雌接続要素内にねじ込むことによって、細長送達用拡張器280に解放可能式に確実固定されてもよい。除去可能部分585は、ねじ式雌接続要素をねじ式雄接続要素からねじ外しすることによって、細長送達用拡張器280から除去されてもよい。他の態様において、第一接続要素587aはねじ式雄接続要素であり、かつ第二接続要素587bはねじ式雌接続要素である。いずれにしても、細長送達用拡張器280をワイヤ上で進めることを可能にするため、第一接続要素587aと第二接続要素587bとは、それを通って延在するアパーチャ591を含んでもよい。
【0081】
第一接続要素587aと第二接続要素587bとは、概ね非可撓性の材料(例えばステンレス鋼)で組成されてもよい。第一接続要素587aと第二接続要素587bとが概ね非可撓性の材料で組成されるので、細長送達用拡張器280は取り付けインターフェース586において屈曲しないかまたは撓まない可能性がある。したがって、取り付けインターフェース586におけるスチフネスにもかかわらず、細長送達用拡張器280に患者の血管系内のさまざまなカーブを通る経路を取らせることができるよう、第一接続要素587aと第二接続要素587bとは、接続時の組み合わせ長さが比較的短くてもよい。例えば、第一接続要素587aと第二接続要素587bとは、約2 cm未満かつ/または約1 cm未満の組み合わせ長さを有してもよい。
【0082】
第二接続要素587bはまた、第一駆動ライン120上の細長送達用拡張器接続要素429を係合することによって、(除去可能部分585が除去されたら)第一駆動ライン120を細長送達用拡張器280に接続するために用いられてもよい。したがって、第二接続要素587bはまた、駆動ライン接続要素587bとも呼ばれうる。第一駆動ライン120上の細長送達用拡張器接続要素429がねじ式雄接続要素である態様において、第二接続要素587bはねじ式雌接続要素である。同様に、細長送達用拡張器接続要素429がねじ式雌接続要素である態様において、第二接続要素587bはねじ式雄接続要素である。細長送達用拡張器280を第一駆動ライン120の管腔421と流体接続状態にするため、第二接続要素587b上のアパーチャ591は細長送達用拡張器接続要素429上のアパーチャ429aとアライメントする。このことは、例えば前述した脱気手技中などに、気体が伸展可能部材110から第一駆動ライン120および細長送達用拡張器280を通って引き抜かれることを許容する。
【0083】
図5A~5Cを共に参照すると、細長送達用拡張器280は外膜588を含んでもよい。外膜588は気体不透過性であり、かつ、生体適合性かつ/または抗血栓形成性の任意の好適な材料で組成されてもよい。例えばいくつかの態様において、外膜588はエラスチン-Sで組成される。いくつかの態様において、細長送達用拡張器280はまた、1つまたは複数の補強ワイヤ589も含む。いくつかの態様において、補強ワイヤ589は第一駆動ライン120におけるコイル427と概ね同様である。例えば、補強ワイヤ589は、概ね耐キンク性である、1つまたは複数のらせん巻きニチノールコイルであってもよい。取り付けインターフェース586の近傍でのみ示されているが、補強ワイヤ589は細長送達用拡張器280の全長または実質的な長さに沿って延在してもよい。しかし他の態様において、補強ワイヤ589は、取り付けインターフェース586において追加的な安定性を提供するため、取り付けインターフェース586の近傍のみに位置する。
【0084】
細長送達用拡張器280は、(ポート583が含まれる態様においてはそれを除いて)約6 mm未満の外径を有してもよい。例えば、いくつかの態様において外径は約4.2 mmである。他の態様において外径は約4.2 mm未満である。とりわけ、細長送達用拡張器280の外径は、本明細書に説明する植込み手技中に第一イントロデューサシース270および/または第二イントロデューサシース275を通ってフィットするように選択されてもよい。例えばいくつかの態様において、細長送達用拡張器280は4.2 mmの外径を有し(例えば12.6 Fr)、第一イントロデューサシース270は16 Frのシースであり、第二イントロデューサシース275は14 Frのシースである。したがって、細長送達用拡張器280は、第一イントロデューサシース270および第二イントロデューサシース275の両方を通ってフィットする。外径はまた、さまざまに異なる患者の解剖学的構造の中にかつこれを通って細長送達用拡張器280がフィットすることを許容するよう、充分に小さくてもよい。いくつかの態様において、細長送達用拡張器280は、第一駆動ライン120の外径と同じかかつ/またはおおよそ同じである外径を有する。細長送達用拡張器280はまた、比較的長い長さも有する。例えば、細長送達用拡張器280は、約200 cm超(例えば約300 cm)の長さを有してもよい。上述したように、比較的長い長さを有することは、細長送達用拡張器280が第一イントロデューサシース270と第二イントロデューサシース275との間に延在できることを確実にする。
【0085】
図6Aおよび6Bは、本技術の諸態様に基づいて構成された漏斗アセンブリ600の等角図である。具体的には、
図6Aはシース670に連結された漏斗アセンブリ600の等角図であり、
図6Bは漏斗アセンブリ600およびシース670の部分分解図である。
図6Aおよび6Bを共に参照すると、漏斗アセンブリ600はボディ部分601とキャップ605とを含む。開口部602がボディ部分601内部へのアクセスを提供する;ボディ部分601は概して円錐形であり、かつ、複数のベーン(図示せず)または他の折畳み用の特徴を有する。ボディ部分601はまた、比較的長くかつ狭い遠位端セクション603も有する。いくつかの態様において、遠位端セクション603は、(上述した第一イントロデューサシース270と概ね同様であってもよい)シース670など、シースとインターフェースするようサイズ決定および形状決定される。例えば、遠位端セクション603は、シース670内部の止血弁内にフィットするかまたはさもなくばこれを貫通してもよい。
【0086】
漏斗アセンブリ600は、伸展可能部材をシース670内にかつこれを通してフィットさせるため、伸展可能部材(例えば伸展可能部材110)を自動的に折畳むか、ねじるか、またはさもなくば寸法を低減させるために用いられてもよい。オペレーションにおいて、伸展可能部材は漏斗アセンブリ600のボディ部分601を通りそして遠位端セクション603内まで引かれてもよい。ベーンまたは他の折畳み用の特徴は、伸展可能部材がボディ部分601を通って引かれる際に、伸展可能部材を自動的に折畳むか、ねじるか、またはさもなくば寸法を低減させてもよい。折畳まれまたはねじられた伸展可能部材は、次にシース670を通って引かれてもよい。図示の態様において漏斗アセンブリ600はシース670に直接連結されるが、他の態様において、漏斗アセンブリ600はシース670から間隔が空けられてもよく、かつ/または、漏斗アセンブリ600をシース670内に挿入する前に伸展可能部材がボディ部分601内にロードされてもよい。いくつかの態様において、ボディ部分601を通して伸展可能部材を引くことをより容易にするため、ボディ部分601の内部に潤滑(例えばViperslide(登録商標)、Rotaglide(商標)など)が添加されてもよい。伸展可能部材がボディ部分601内に入ったら、失血を低減または最少化するためボディ部分601の開口部602にキャップ605が接続されてもよい。
【0087】
図7A~7Cに、本技術の諸態様に基づいて構成された折畳み用チューブ700を図示する。具体的には、
図7Aは折畳み用チューブ700の側面図であり、
図7Bは折畳み用チューブ700の第一端部分の拡大図であり、
図7Bは折畳み用チューブ700の第二端部分の拡大図である。まず
図7Aを参照すると、折畳み用チューブ700は、第一(例えば近位またはインレット)端部分702と第二(例えば遠位またはアウトレット)端部分704とを有する、概して細長のチューブまたはシャフトであってもよい。
図7Bを参照すると、第一端部分702は開口部703を含む。開口部703を通って折畳み用チューブ700内に引き入れられている伸展可能部材の損傷を防止および/または低減するため、開口部703は少なくとも部分的に丸みが付いているかまたはさもなくばフレア状である。
図7Cを参照すると、第二端部分704は、第一外径D
1から第二外径D
2まで移行するようテーパーしている。テーパーした第二端部分704は、上述した第一イントロデューサシース270などのイントロデューサシース内の止血弁を通って折畳み用チューブ700を挿入することをより容易にする。テーパーした第二端部分704は、伸展可能部材を折畳み用チューブ700内にロードする前に、または伸展可能部材が折畳み用チューブ700内にプリロードされた状態で、イントロデューサシース内に挿入されてもよい。折畳み用チューブ700の内径は、たとえ外径が低減しても、実質的に同じままであってもよい。
【0088】
折畳み用チューブ700は、伸展可能部材をイントロデューサシース(例えば第一イントロデューサシース270)に通してフィットさせるため、伸展可能部材(例えば伸展可能部材110)について折畳むか、ねじるか、またはさもなくば寸法を低減させるために用いられてもよい。オペレーションにおいて、開口部703を通って伸展可能部材を引くことによって、伸展可能部材が折畳み用チューブ700内にロードされてもよい。いくつかの態様において、伸展可能部材は、折畳み用チューブ700内に引き入れられる前に用手的にねじられるかまたはさもなくば折畳まれてもよい。伸展可能部材が折畳み用チューブ700内にある状態で、折畳み用チューブ700の第二端部分704がイントロデューサシース内に挿入される。伸展可能部材は次に、折畳み用チューブ700の第二端部分704から引き出され、イントロデューサシースを通り、そして患者の血管系内まで引かれる。いくつかの態様において、折畳み用チューブ700を通して伸展可能部材を引くことをより容易にするため、折畳み用チューブ700の内部に潤滑(例えばViperslide(登録商標)、Rotaglide(商標)など)が添加されてもよい。伸展可能部材が折畳み用チューブ700内に入ったら、折畳み用チューブ700がイントロデューサシース内に挿入された時の失血を低減または最少化するため、開口部703内にキャップまたは他のプラグ(図示せず)が挿入されてもよい。
【0089】
図8Aおよび8Bに、本技術の諸態様に基づいて構成されたストッパーデバイス130(「動脈インターフェースデバイス」とも呼ばれる)の追加的局面を図示する。より具体的には、
図8Aはストッパーデバイス130の前面図であり、
図8Bは、
図8Aに示す軸に沿ったストッパーデバイス130の断面図である。
図8Aおよび8Bを共に参照すると、ストッパーデバイス130は、中を通って延在している第一管腔842を規定するシャフト831を含む。第一駆動ライン120がシャフト831内に挿入可能でありかつこれを通って延在できるよう、かつ/または、ストッパーデバイス130を第一駆動ライン120上に配置しかつ/もしくは進めることができるよう、第一管腔842は、第一駆動ライン120の外径より少なくともやや大きい直径を有する。ストッパーデバイス130は、ストッパーデバイス130を第一駆動ライン120に確実固定できかつそれらの間に止血シールを提供できる締結機構832をさらに含む。いくつかの態様において、締結機構832は圧縮リングまたはTouhy Borst弁などである。いくつかの態様において、ストッパーデバイス130は、
図8Bに示すように、締結機構832において管腔内に挿入される駆動ライン受け要素843を任意で含んでもよい。駆動ライン受け要素843は、少なくとも部分的に管腔842内まで延在しているチャネル844を含んでもよい。第一駆動ライン120をストッパーデバイス130に確実固定するため、第一駆動ライン120がチャネル844内にそしてこれを通って進められてもよい。
【0090】
動脈切開部に止血を提供するためにストッパーデバイス130を(例えば第一駆動ライン120上で進める際に)動脈切開部内に挿入することを容易にするため、シャフト831の遠位端部分831aがテーパー(例えば内向きにテーパー)していてもよい。したがって遠位端部分831aの外径は近位から遠位方向に向かって低減する。ゆえに、オペレーションにおいて、遠位端部分831aを動脈内にさらに挿入することは、止血を実現するため動脈切開部を漸進的に拡張させる可能性がある。いくつかの態様において、遠位端部分831aは、1つまたは複数の撮像技法を介した遠位端部分831aの可視化を容易にするマーカー(例えば放射線不透過性マーカー)もまた含む。
【0091】
ストッパーデバイス130は、ストッパーデバイス130を望ましい配向/ポジションに確実固定するための1つまたは複数の係留機構もまた含んでもよい。例えば、ストッパーデバイス130は第一係留機構833(例えば遠位係留機構)を含む。図示の態様において、第一係留機構833は、第一の脱膨張/非伸展状態(図示せず)と第二の膨張/伸展状態(図示)との間で移行させることができる、弾性かつ/または非コンプライアントな伸展可能部材(例えばバルーン)である。ストッパーデバイス130が人体内にポジショニングされている時、第一係留機構833を膨張させると伸展可能部材が膨張して周囲組織に押し当てられ、それによってストッパーデバイス130を動脈切開部の近くで安定化させる。いくつかの態様において、第一係留機構833は、伸展可能部材に加えて、またはその代わりに、接着要素を含んでもよい。第一係留機構833はまた、他の好適な形態を取ってもよい。例えばいくつかの態様において、第一係留機構833は、ストッパーデバイス130を望ましいポジションで安定化またはさもなくば確実固定するために用いることができる、複数のバーブ(例えば伸展可能なニチノールバーブ)、フック、タブ、縫合穴、または他の特徴である。
【0092】
図8Aに図示するように、ストッパーデバイス130は、ユーザーが第一係留機構833を選択的に膨張させることを許容する第一サイドポート836を含んでもよい。第一サイドポート836は、第一係留機構833の内部と流体連絡した第二管腔837を含んでもよい。第二管腔837への制御されたアクセスを提供するため、弁または他のストッパー838(例えば逆止弁、ルアーロック、シール可能なシリコーンポートなど)が第一サイドポート内に含まれてもよい。第一係留機構833を膨張させ、ストッパーデバイス130を係留するため、気体または液体(例えば生理食塩水)が第一サイドポート836を介して第一係留機構833内に注入されてもよい。例えばいくつかの態様において、第一サイドポート836を通りそして第一係留機構内まで生理食塩水を注入するためにシリンジが用いられてもよい。膨張したら弁838が閉じられてもよい。いくつかの態様において、第一係留機構833は、弁838が閉じられたままである限り、長期間(例えば約1年超)にわたって膨張したままであってもよい。
【0093】
ストッパーデバイス130は、脈管外部にポジショニングされかつ動脈切開部の近傍で組織に確実固定されるよう構成された、第二係留機構834をさらに含んでもよい。第二係留機構834は、第一係留機構833より近位側で主ストッパーボディから延在している、1つまたは複数のウィングもしくは他の付属物835を含んでもよい。1つまたは複数のウィングもしくは他の付属物835は、複数の穴835aを含んでもよい。ストッパーデバイス130を望ましい配向/ポジションで安定化および/またはさもなくば確実固定するため、穴835aを用いてストッパーデバイス130が組織に縫合されてもよい。
【0094】
ストッパーデバイス130は、腋窩動脈における第一駆動ライン120上で植込みされた時、患者の組織に確実固定される前に(例えば患者の腹部に向かって)屈曲されまたは撓まされる必要がある可能性がある。したがって、シャフト831の少なくとも一部分は、少なくとも部分的に可撓性である。例えば、シャフト831は、第一係留機構833と第二係留機構834との間に屈曲可能領域831bを含んでもよい。診療従事者が、ストッパーを屈曲可能領域831bで屈曲させまたは撓ませることによって、望ましい配向/ポジションになるようストッパーデバイス130を操作してもよい。望ましい配向/ポジションになったら、第一係留機構833と第二係留機構834とを用いてストッパーデバイス130が所定の位置に確実固定されてもよい。
【0095】
図8Aに図示するように、ストッパーデバイス130は第二サイドポート839をさらに含んでもよい。第二サイドポート839は第三管腔840へのアクセスを提供する;第三管腔840は第一管腔842と流体連絡しており、かつ、デバイスの交換、摘出、または血管系の一般的な制御を容易にするために診療従事者または他のユーザーが患者の血管系内にワイヤを挿入することを可能にする。例えば、診療従事者が、第二サイドポートを通り、第三管腔840を通り、第一管腔842を通り、そして患者の血管系内まで、ワイヤを挿入してもよい。そうしたケースにおいて、ワイヤは、第一駆動ライン120の外部でかつこれに並んで、第一管腔842を通って(例えば、第一駆動ライン120と、シャフト831を規定する壁との間で)延在している。他の態様において、第三管腔840は、ワイヤ用の隔離チャネルを提供するためシャフト831の長さに沿って遠位端部分831aまで延在してもよい。第二サイドポート839は、非使用時に第三管腔840へのアクセスをブロックするためのロック機構841を含んでもよい。ロック機構841は、プラグ、キャップ(例えばルアーロック)、または閉塞具などを含む、任意の好適なロック機構であってもよい。
【実施例】
【0096】
本技術の複数の局面を以下の実施例において記述する。
1.
循環支持システムを患者の血管系内に植込みするための方法であって、以下の段階を含む、方法:
該患者の第一血管にアクセスする段階;
該患者の第二血管にアクセスする段階;
ガイドワイヤが該第一血管と該第二血管との間に延在するよう、該ガイドワイヤを該患者の血管系を通って進める段階;
細長送達用拡張器が該第一血管と該第二血管との間に延在するよう、該細長送達用拡張器を該ガイドワイヤ上で進める段階であって、該延在において、該細長送達用拡張器の第一部分が該第一血管の近傍で外部アクセス可能であり、かつ該細長送達用拡張器の第二部分が該第二血管の近傍で外部アクセス可能である、段階;
該細長送達用拡張器の該第二部分を駆動ラインの第一端部領域に解放可能式に取り付ける段階であって、該駆動ラインが、伸展可能部材に取り付けられた第二端部領域をさらに含む、段階;
該伸展可能部材が該患者の大動脈内にポジショニングされるまで、該細長送達用拡張器の該第一部分が該患者から引き抜かれている間に、該細長送達用拡張器の該第二部分と、該駆動ラインと、該伸展可能部材とを、該患者の血管系を通って血流とは反対の方向に動かす段階;および
該駆動ラインの該第一端部領域が該第一血管の近傍で該患者の血管系から出た後に、該細長送達用拡張器を該駆動ラインの該第一端部領域から取り外す段階であって、取り外し後に、該伸展可能部材と、該駆動ラインの少なくとも一部分とが、心機能を支持するため該患者の血管系内に留まる、段階。
2.
第一血管が鎖骨下動脈または腋窩動脈である、実施例1に記載の方法。
3.
第二血管が大腿動脈である、実施例1または2に記載の方法。
4.
第一血管にアクセスする段階が、該第一血管への制御されたアクセスを提供するための第一止血弁を含む第一イントロデューサシースを、該第一血管内に挿入することを含み;
第二血管にアクセスする段階が、該第二血管への制御されたアクセスを提供するための第二止血弁を含む第二イントロデューサシースを、該第二血管内に挿入することを含む、
実施例1~3のいずれかに記載の方法。
5.
第一イントロデューサシースを第一血管から除去する段階;および
駆動ライン上で動脈インターフェースデバイスを進めることによって該駆動ラインの周りで該第一血管を止血的にシールする段階
をさらに含む、実施例4に記載の方法。
6.
第二イントロデューサシースを第二血管から除去する段階;および
該第二血管を止血的にシールする段階
をさらに含む、実施例4または5に記載の方法。
7.
細長送達用拡張器の第二部分を駆動ラインに解放可能式に取り付ける段階の前に、該細長送達用拡張器の該第二部分から遠位先端を除去する段階をさらに含み、該遠位先端を除去する段階が接続要素を露出させる、実施例1~6のいずれかに記載の方法。
8.
伸展可能部材が患者の血管系内まで動く前に、該伸展可能部材について折畳むか、ねじるか、またはさもなくば断面寸法を低減させる段階をさらに含む、実施例1~7のいずれかに記載の方法。
9.
伸展可能部材が患者の血管系内に引き入れられる前に、漏斗またはチューブを通して該伸展可能部材を引く段階をさらに含み、該漏斗またはチューブが該伸展可能部材の断面寸法を自動的に低減させる、実施例8に記載の方法。
10.
伸展可能部材について折畳むか、ねじるか、またはさもなくば断面寸法を低減させる段階が、該伸展可能部材の外径を低減させることを含む、実施例8に記載の方法。
11.
伸展可能部材がバルーンである、実施例1~10のいずれかに記載の方法。
12.
駆動ラインが第一駆動ラインであり、
細長送達用拡張器を該第一駆動ラインから取り外す段階に続いて、
該第一駆動ラインの第一端部領域を第二駆動ラインに確実固定する段階;
該第二駆動ラインを患者の皮下領域にトンネル状に通す段階;および
該第二駆動ラインを皮膚インターフェースデバイスに確実固定する段階
をさらに含む、実施例1~10のいずれかに記載の方法。
13.
第一駆動ラインの第一端部領域を第二駆動ラインに確実固定する段階の前に、該第一駆動ラインの該第一端部領域の一部分を除去する段階をさらに含む、実施例12に記載の方法。
14.
第一駆動ラインの第一端部領域を第二駆動ラインに確実固定する段階が、該第一駆動ラインを通って延在している第一駆動ライン管腔を該第二駆動ラインの第二駆動ライン管腔と流体連絡状態にすることを含み、
該第一および第二駆動ライン管腔が伸展可能部材の内部ともまた流体連絡する、
実施例12に記載の方法。
15.
第二駆動ラインの一部分を患者の組織に確実固定する段階をさらに含む、実施例12に記載の方法。
16.
循環支持システムを患者の血管系内に植込みするための方法であって、以下の段階を含む、方法:
該患者の鎖骨下動脈にアクセスする段階;
該患者の大腿動脈にアクセスする段階;
ガイドワイヤが該鎖骨下動脈と該大腿動脈との間に延在するよう、該ガイドワイヤを該患者の血管系を通って進める段階;
細長送達用拡張器が該鎖骨下動脈と該大腿動脈との間に延在するよう、該細長送達用拡張器を該ガイドワイヤ上で進める段階であって、該延在において、該細長送達用拡張器の第一部分が該鎖骨下動脈の近傍で外部アクセス可能であり、かつ該細長送達用拡張器の第二部分が該大腿動脈の近傍で外部アクセス可能である、段階;
該細長送達用拡張器の該第二部分を駆動ラインの第一端部領域に解放可能式に取り付ける段階であって、該駆動ラインが、エンドエフェクタに取り付けられた第二端部領域をさらに含む、段階;
該エンドエフェクタが該患者の血管系内の標的部位内にポジショニングされるまで、該細長送達用拡張器の該第一部分が該患者から引き抜かれている間に、該細長送達用拡張器の該第二部分と、該駆動ラインと、該エンドエフェクタとを、該患者の血管系を通って血流とは反対の方向に引く段階;および
該駆動ラインの該第一端部領域が該鎖骨下動脈の近傍で該患者の血管系から出た後に、該細長送達用拡張器を該駆動ラインの該第一端部領域から取り外す段階であって、取り外し後に、該エンドエフェクタと、該駆動ラインの少なくとも一部分とが、該患者の血管系内に留まる、段階。
17.
駆動ラインの第一端部領域が鎖骨下動脈の近傍で患者の血管系から出た後に、該駆動ラインの該第一端部領域上で動脈インターフェースデバイスを進める段階;および
該動脈インターフェースデバイスを用いて該鎖骨下動脈において止血を確立する段階
をさらに含む、実施例16に記載の方法。
18.
動脈インターフェースデバイスを鎖骨下動脈の近傍の組織に係留する段階をさらに含む、実施例17に記載の方法。
19.
動脈インターフェースデバイスを係留する段階が、伸展可能な係留要素を該動脈インターフェースデバイス上で膨張させることを含む、実施例18に記載の方法。
20.
細長送達用拡張器の第二部分を駆動ラインに解放可能式に取り付ける段階の前に、該細長送達用拡張器の該第二部分から遠位先端を除去する段階をさらに含み、該遠位先端を除去する段階が接続要素を露出させる、実施例16~19のいずれかに記載の方法。
21.
エンドエフェクタが患者の血管系内まで動く前に、該エンドエフェクタについて折畳むか、ねじるか、またはさもなくば断面寸法を低減させる段階をさらに含む、実施例16~20のいずれかに記載の方法。
22.
以下:
第一端部分と、第二端部分と、該第一端部分と該第二端部分との間に延在している管腔とを有する細長送達用拡張器であって、患者の血管系内にポジショニングされたガイドワイヤ上を進みそして第一血管と第二血管との間で該患者の血管系を通って延在するよう構成された、細長送達用拡張器と;
患者の心臓に循環支持を提供するため該患者の下行大動脈内にポジショニングされるよう構成された伸展可能部材、および
該伸展可能部材に接続可能な第一端部領域と、該細長送達用拡張器の該第二端部分に接続可能な第二端部領域とを有する駆動ライン
を含むポンプアセンブリと
を含む、血液ポンプアセンブリを患者体内に血管内植込みするためのシステム。
23.
細長送達用拡張器の第二端部分が
該細長送達用拡張器を駆動ラインの第二端部領域に解放可能式に接続するよう構成された駆動ライン接続要素と;
該駆動ライン接続要素に連結された除去可能部分と
を含み、
該除去可能部分を該細長送達用拡張器から除去する段階が、該駆動ライン接続要素を露出させる
実施例22に記載のシステム。
24.
除去可能部分が、イントロデューサシースを通って細長送達用拡張器を導くよう構成された、実施例23に記載のシステム。
25.
駆動ラインの第一端部領域が、細長送達用拡張器の第二端部分を解放可能式に係合するよう構成された細長送達用拡張器接続要素を含む、実施例22~24のいずれかに記載のシステム。
26.
駆動ラインが、内膜と、外膜と、該内膜と該外膜との間に配された耐キンク要素とを含む、実施例22~25のいずれかに記載のシステム。
27.
耐キンク要素がらせん巻きニチノールコイルである、実施例26に記載のシステム。
28.
外膜が生体適合性かつ抗血栓形成性の材料を含む、実施例26または27に記載のシステム。
29.
駆動ラインが約200 cm超の長さを有する、実施例22~28のいずれかに記載のシステム。
30.
駆動ラインが約4.2 mmまたはそれ未満の外径を有する、実施例22~29のいずれかに記載のシステム。
31.
伸展可能部材がバルーンである、実施例22~30のいずれかに記載のシステム。
32.
バルーンが約20 mL~60 mLの内部体積を有する、実施例31に記載のシステム。
33.
バルーンが、駆動ラインに接続可能な近位端部分と、該近位端部分から間隔が空けられた遠位端部分とを有し、該遠位端部分の少なくとも一部分が内向きにテーパーしている、実施例31または32に記載のシステム。
34.
近位端部分が、遠位端部分より大きい材料厚さを有する、実施例33に記載のシステム。
35.
伸展可能部材が生体適合性かつ抗血栓形成性の材料を含む、実施例22~34のいずれかに記載のシステム。
36.
伸展可能部材について折畳むか、ねじるか、またはさもなくば寸法を低減させるよう構成された漏斗アセンブリをさらに含む、実施例22~35のいずれかに記載のシステム。
37.
伸展可能部材について折畳むか、ねじるか、またはさもなくば寸法を低減させるよう構成された折畳み用チューブをさらに含む、実施例22~36のいずれかに記載のシステム。
38.
第一血管に止血シールを提供するよう構成された動脈インターフェースデバイスをさらに含む、実施例22~37のいずれかに記載のシステム。
39.
動脈インターフェースデバイスが、駆動ラインの一部分を受けるための、それゆえ延在している第一管腔を規定するシャフトを含み、
該シャフトの遠位端部分が第一血管内に置かれるよう構成されている、
実施例38に記載のシステム。
40.
シャフトの遠位端部分がテーパーしている、実施例39に記載のシステム。
41.
動脈インターフェースデバイスが、遠位端部分の近傍でシャフトに連結された膨張可能な係留要素を含む、実施例38または39に記載のシステム。
42.
駆動ラインが第一駆動ラインであり、
該第一駆動ラインに接続可能でありかつ該第一駆動ラインと皮膚インターフェースデバイスとの間で皮下に延在するよう構成された第二駆動ラインをさらに含む、
実施例23~41のいずれかに記載のシステム。
43.
第二駆動ラインが、1つまたは複数のウィングをさらに含み;かつ、
該1つまたは複数のウィングが、1つまたは複数のアパーチャを有する、
実施例42に記載のシステム。
44.
第二駆動ラインが、
該第二駆動ラインが第一駆動ラインに接続された時に該第一駆動ラインにおける縦ひずみを低減するよう構成された吸収用の特徴
を含む、実施例42または43に記載のシステム。
45.
第二駆動ラインが、第一駆動ラインの外径に等しいかまたはそれより大きい内径を有する、実施例42~44のいずれかに記載のシステム。
46.
第一駆動ラインが、伸展可能部材に接続可能な第一端部領域を含む遠位セグメントと、第二駆動ラインに接続可能な第二端部領域を含む近位セグメントとを有し;
該近位セグメントの少なくとも一部分が、該第一駆動ラインが該第二駆動ラインに接続される前に除去されるよう構成された、
実施例42~45のいずれかに記載のシステム。
47.
血液ポンプアセンブリを患者体内に血管内植込みするための送達システムであって、
中を通って延在している管腔と、端部分とを有する細長管状要素;
該細長管状要素の該端部分にポジショニングされ、かつ、該細長管状要素を血液ポンプアセンブリ駆動ラインに解放可能式に確実固定するよう構成された接続要素;および
該細長管状要素の該端部分から縦方向に延在し、かつ、該接続要素を介して該細長管状要素の該端部分に解放可能式に連結された除去可能部分
を含み、
該細長管状部材と該除去可能部分とが、患者の血管系内にポジショニングされたガイドワイヤ上を共に進みそして第一血管と第二血管との間で該患者の血管系を通って延在するよう構成されている、送達システム。
48.
イントロデューサシースを通って細長管状要素を導くため、除去可能部分が、該細長管状要素から離れる方向にテーパーしている、実施例47に記載の送達システム。
49.
接続要素が第一接続要素であり、
除去可能部分が、該第一接続要素を解放可能式に係合するよう構成された第二接続要素を有する、
実施例47または48に記載の送達システム。
50.
第一接続要素と第二接続要素とが、共に連結された時に、約2 cm未満の組み合わせ長さを有する、実施例49に記載の送達システム。
51.
接続要素がねじ式接続要素である、実施例47~50のいずれかに記載の送達システム。
52.
接続要素が、管腔と流体連絡したアパーチャを含む、実施例47~51のいずれかに記載の送達システム。
53.
細長管状要素の少なくとも一部分に沿って延在している耐キンク要素をさらに含む、実施例47~52のいずれかに記載の送達システム。
54.
耐キンク要素が、少なくとも1つのらせん巻きワイヤを含む、実施例53に記載の送達システム。
55.
細長管状要素が約200 cm超の長さを有する、実施例47~54のいずれかに記載の送達システム。
56.
細長管状要素が約300 cmの長さを有する、実施例47~55のいずれかに記載の送達システム。
57.
細長管状要素が約4.2 mmまたはそれ未満の外径を有する、実施例47~56のいずれかに記載の送達システム。
58.
血管における開口部を通って延在している駆動ラインを有する植込みされた血液ポンプとともに使用するための動脈インターフェースデバイスであって、以下:
近位端部分と、遠位端部分と、該近位端部分と該遠位端部分との間に延在している管腔とを有するシャフトであって、該遠位端部分は遠位方向にテーパーしておりかつ該血管内に置かれるよう構成されており、該管腔は該駆動ラインの一部分を受けるよう構成されている、シャフトと;
該駆動ラインを該動脈インターフェースデバイスに確実固定するよう構成された締結機構と;
該動脈インターフェースデバイスを組織に確実固定するための、該遠位端部分の近傍における係留要素と
を含み、
該血管に止血シールを提供するよう構成されている、動脈インターフェースデバイス。
59.
係留要素が第一係留要素であり、
該第一係留要素が、動脈インターフェースデバイスを組織に確実固定するために非伸展状態から伸展状態まで移行するよう構成されたバルーンを含み、
動脈インターフェースデバイスが、以下:
シャフトの近位端部分から延在しかつ該係留要素と流体連絡しており、該バルーンを伸展状態にするため該バルーンに流体を送達するよう構成された第一サイドポートと;
該シャフトの該近位端部分から延在しかつ管腔と流体連絡しており、血管内に進めることができるガイドワイヤを受けるよう構成された第二サイドポートと;
該シャフトから側方外向きに延在している1つまたは複数のウィングであって、該動脈インターフェースデバイスを隣接組織に係留する縫合糸を受けるよう構成された複数の穴を有する、1つまたは複数のウィング
を含む、第二係留要素と
をさらに含む、実施例58に記載の動脈インターフェースデバイス。
60.
係留要素が、動脈インターフェースデバイスを組織に確実固定するために非伸展状態から伸展状態まで移行するよう構成された伸展可能部材である、実施例58に記載の動脈インターフェースデバイス。
61.
係留要素がバルーンである、実施例60に記載の動脈インターフェースデバイス。
62.
係留要素が1つまたは複数の伸展可能バーブである、実施例60に記載の動脈インターフェースデバイス。
63.
伸展可能部材の内部と流体連絡したサイドポートであって、該伸展可能部材を膨張させるために流体を受けるよう構成された、サイドポート
をさらに含む、実施例60または61に記載の動脈インターフェースデバイス。
64.
係留要素が接着要素を含む、実施例58~63のいずれかに記載の動脈インターフェースデバイス。
65.
係留要素が第一係留要素であり、
動脈インターフェースデバイスが、以下:
シャフトから側方外向きに延在している1つまたは複数のウィングであって、動脈インターフェースデバイスを隣接組織に係留する縫合糸を受けるよう構成された複数の穴を有する、1つまたは複数のウィング
を含む、第二係留要素
をさらに含む、実施例58~64のいずれかに記載の動脈インターフェースデバイス。
66.
シャフトの一部分が少なくとも部分的に可撓性である、実施例58~65のいずれかに記載の動脈インターフェースデバイス。
67.
遠位端部分が、1つまたは複数の撮像技法を通して可視化できるマーカーを含む、実施例58~66のいずれかに記載の動脈インターフェースデバイス。
68.
管腔と流体連絡したポートであって、血管内に進めることができるガイドワイヤを受けるよう構成された、ポート
をさらに含む、実施例58~67のいずれかに記載の動脈インターフェースデバイス。
69.
患者の血管系内に植込みされた血管内補助デバイスを除去するための方法であって、以下の段階を含む、方法:
ワイヤの遠位部分を、患者の血管系内にポジショニングされた駆動ラインを通り、そして駆動ラインの第一端部分に連結された伸展可能部材の内部体積内まで進める段階であって、遠位部分における係蹄要素が伸展可能部材の遠位端部分に隣接するまでワイヤが進められる、段階;
細長送達用拡張器を、取り付け用機構を介して、患者の血管系の外部にある駆動ラインの第二部分に取り付ける段階;
伸展可能部材から下流のアクセス部位において第二血管にアクセスする段階;
捕捉機構を、第二血管内に入れ、患者の血管系を通り、そして伸展可能部材に向かって進める段階;
伸展可能部材内にポジショニングされた係蹄要素を係合することによって、捕捉機構で伸展可能部材を把持する段階;
捕捉機構を介して伸展可能部材をアクセス部位に向かって引き、かつ/または、細長送達用拡張器を介して伸展可能部材をアクセスシースに向かって押す段階;および
第二血管におけるアクセス部位を介して伸展可能部材を患者の血管系から除去する段階。
70.
第一血管が鎖骨下動脈または腋窩動脈である、実施例69記載の方法。
71.
第二血管が大腿動脈である、実施例69または70記載の方法。
72.
第二血管にアクセスする段階が、第二血管内にシースを挿入することを含み;
伸展可能部材を患者の血管系から除去する段階が、伸展可能部材を少なくとも部分的にシース内まで進めること、および伸展可能部材を含有しているシースを第二血管から除去することを含む、
実施例69~71のいずれかに記載の方法。
73.
第二血管にアクセスする段階が、第二血管内にシースを挿入することを含み;
伸展可能部材を患者の血管系から除去する段階が、シースを通って伸展可能部材を進めることを含み、伸展可能部材の除去後にシースが第二血管内に留まる
実施例69~72のいずれかに記載の方法。
74.
係蹄要素が、ワイヤの遠位端領域にポジショニングされたボールまたはフックを含む、実施例69~73のいずれかに記載の方法。
75.
伸展可能部材を患者の血管系から除去する段階の後、細長送達用拡張器の遠位部分はアクセス部位を通って延在し、細長拡張器の中間部分は患者の血管系の一部分を通って延在し、かつ細長送達用拡張器の近位部分は第一血管から出て延在する、実施例69~74のいずれかに記載の方法。
76.
駆動ラインと伸展可能部材とを細長送達用拡張器の遠位部分から取り外す段階;
置換用の駆動ラインを細長送達用拡張器の遠位端部分に除去可能式に取り付ける段階であって、置換用の駆動ラインが置換用の伸展可能部材に確実固定される、段階;および
細長送達用拡張器の遠位部分を第一血管に向かって引くことによって、置換用の駆動ラインと置換用の伸展可能部材とを患者の血管系内に引き入れる段階
をさらに含む、実施例75記載の方法。
【0097】
結論
以上に詳しく述べた本技術の諸態様の説明は、網羅的であること、または以上に開示したとおりの形態に本技術を限定することを意図していない。本技術の具体的態様および実施例を例証の目的で以上に説明したが、当業者に認識されるであろうように、本技術の範囲内においてさまざまな等価の改変が可能である。例えば、諸段階が所与の順序で提示されているが、代替的態様において異なる順序で諸段階が行われてもよい。本明細書に説明するさまざまな態様はまた、組み合わせられてさらなる態様を提供してもよい。
【0098】
文脈が別段のことを明白に求めるのでない限り、本明細書の説明および実施例全体を通して、「含む(comprise)」および「含んでいる(comprising)」などの語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包含的な意味、すなわち「~を含むが、それに限定されるわけではない」という意味に解釈されるべきである。本明細書において用いる「接続される」、「連結される」、またはその異形は、2つまたはそれ以上の要素間の、直接的または間接的のいずれかの、任意の接続または連結を意味する;要素間の連結または接続は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせであってもよい。加えて、「本明細書において」、「上述の」、「後述の」、および同様の趣旨の語は、本出願において用いられる時、本出願の全体を指すのであり、本出願の特定の部分を指すのではない。文脈が許す場合、上述の詳細な説明における単数形または複数形を用いた語は、それぞれ、その複数形または単数形もまた含む可能性がある。本明細書において用いる、「Aおよび(ならびに)/もしくは(または)B」などにおける「および(ならびに)/もしくは(または)」という句は、Aのみ、Bのみ、ならびに、AおよびBを指す。具体的態様が例証の目的で本明細書に説明されていること、しかし本技術から逸脱することなくさまざまな改変が行われうることもまた、認識されるであろう。さらに、本技術のいくつかの態様に関連する利点が、それら態様の文脈において説明されているが、他の態様もまたそうした利点を呈する可能性があり、本技術の範囲内に入るために必ずしもすべての態様がそうした利点を呈する必要はない。したがって、本開示および関連技術は、本明細書に明示的に提示または説明されない他の態様も包含しうる。
【0099】
値の範囲が提供される場合は、文脈に別段の明示がない限りその下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間にある各中間値もまた具体的に開示されるものと理解される。言明された範囲内の任意の言明値または中間値と、その言明範囲内の他の任意の言明値または中間値との間の各小範囲も、本開示内に包含される。これら小範囲の上限および下限は、独立に、その範囲内に含まれてもまたは除外されてもよく、上限および下限のいずれかもしくは両方が小範囲に含まれるかまたはいずれも含まれない各範囲もまた本開示内に包含され、具体的に除外される限界値が言明範囲内にある場合はその対象となる。言明範囲が1つまたは両方の限界値を含む場合は、含まれるこれら限界値のいずれかまたは両方を除外した範囲もまた本開示に含まれる。