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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/74 20180101AFI20250212BHJP
   F24F 1/022 20190101ALI20250212BHJP
   F24F 1/0358 20190101ALI20250212BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20250212BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F1/022
F24F1/0358
F24F11/61
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022017360
(22)【出願日】2022-02-07
(65)【公開番号】P2023114823
(43)【公開日】2023-08-18
【審査請求日】2024-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】金内 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】花島 翔大
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-126356(JP,A)
【文献】特開2021-014978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/74
F24F 1/022
F24F 1/0358
F24F 11/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
当該筐体内に収容され、前記筐体内へ空気を吸い込む送風ファンと、
前記筐体内に収容され、前記送風ファンで吸い込んだ空気と熱交換を行う熱交換器と、
前記筐体に形成され、当該熱交換器を洗浄する洗浄水の注水口と、
当該注水口に設置され、前記注水口の開放、及び閉止が切替可能な開閉切替手段と、
当該開閉切替手段により前記注水口が開放、又は閉止がされたことを検知する開閉検知手段と、
前記熱交換器の鉛直上方に配置され、前記注水口を介して注水された前記洗浄水を前記熱交換器に排出する排水孔を有する洗浄水受けと、
当該洗浄水受けの前記排水孔から落下し前記熱交換器を洗浄した後の前記洗浄水が流れ込むドレンタンクと、
当該ドレンタンクの水位を検知する水位センサと、
当該水位センサで検知された前記ドレンタンクの水位に基づき前記送風ファンの駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記開閉切替手段により前記注水口が開放又は閉止されたことを前記開閉検知手段で検知した後、前記水位センサで前記ドレンタンクの水位が上昇したことを検知したら、前記送風ファンを所定時間だけ駆動させることを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記水位センサで検知した前記ドレンタンクの水位上昇量が大きいほど、前記送風ファンを駆動させる前記所定時間が長くなるようにしたことを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記開閉切替手段は、前記筐体に対して引き出し可能に支持されて前記注水口を塞ぎ前記筐体から引き出されることで前記洗浄水を受ける注水部と、前記筐体から引き出されたときに前記洗浄水受けの少なくとも鉛直上方に位置し前記注水部が受ける前記洗浄水を前記洗浄水受けに排水する排水部と、を有する注水口蓋で構成され、
前記開閉検知手段は、前記注水口蓋が前記注水口から引き出されたことを検知する検知器で構成されたことを特徴とした請求項1又は2記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、低温の冷媒を蒸発器としての熱交換器へ通流させることで冷却し、送風ファンが駆動して熱交換器へ送風することで、熱交換器に結露水が付着し室内の除湿を行う除湿運転を実施するものにおいて、除湿運転が終了し低温の冷媒が熱交換器へ通流しない状態で送風ファンを所定時間だけ駆動させ、熱交換器を乾燥させる乾燥運転を実施するものがあり、熱交換器に水分が残ることでのカビや雑菌が発生することを未然に阻止していた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-334795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、熱交換器に付着した埃を除去することができない。
これに対し、ユーザが洗浄水を熱交換器へ注水して埃を除去する方法が考えられるが、熱交換器へ注水されたことを確実に検知した後、送風ファンを駆動させることで熱交換器を乾燥させる乾燥運転が実施されなければ、熱交換器でのカビや細菌の発生を阻止できないため、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、
当該筐体内に収容され、前記筐体内へ空気を吸い込む送風ファンと、
前記筐体内に収容され、前記送風ファンで吸い込んだ空気と熱交換を行う熱交換器と、
前記筐体に形成され、当該熱交換器を洗浄する洗浄水の注水口と、
当該注水口に設置され、前記注水口の開放、及び閉止が切替可能な開閉切替手段と、
当該開閉切替手段により前記注水口が開放、又は閉止がされたことを検知する開閉検知手段と、
前記熱交換器の鉛直上方に配置され、前記注水口を介して注水された前記洗浄水を前記熱交換器に排出する排水孔を有する洗浄水受けと、
当該洗浄水受けの前記排水孔から落下し前記熱交換器を洗浄した後の前記洗浄水が流れ込むドレンタンクと、
当該ドレンタンクの水位を検知する水位センサと、
当該水位センサで検知された前記ドレンタンクの水位に基づき前記送風ファンの駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記開閉切替手段により前記注水口が開放又は閉止されたことを前記開閉検知手段で検知した後、前記水位センサで前記ドレンタンクの水位が上昇したことを検知したら、前記送風ファンを所定時間だけ駆動させることを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記制御部は、前記水位センサで検知した前記ドレンタンクの水位上昇量が大きいほど、前記送風ファンを駆動させる前記所定時間が長くなるようにしたことを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記開閉切替手段は、前記筐体に対して引き出し可能に支持されて前記注水口を塞ぎ前記筐体から引き出されることで前記洗浄水を受ける注水部と、前記筐体から引き出されたときに前記洗浄水受けの少なくとも鉛直上方に位置し前記注水部が受ける前記洗浄水を前記洗浄水受けに排水する排水部と、を有する注水口蓋で構成され、
前記開閉検知手段は、前記注水口蓋が前記注水口から引き出されたことを検知する検知器で構成されたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、洗浄水による熱交換器の洗浄が確実に実施された後、乾燥運転を実施して熱交換器を乾燥させることができるので、熱交換器におけるカビや細菌の発生を未然に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における除湿機の外観斜視図。
図2】除湿機の前枠及び後枠を外した状態の左側面図。
図3】除湿機の分解斜視図。
図4】除湿機のドレンタンク周辺構造を説明する図
図5】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図6】洗浄水受けと、排水孔押えを示す分解斜視図。
図7】洗浄水受けを主に上方から示す斜視図。
図8図7のVIII-VIII線に沿う断面図。
図9】注水口蓋を主に上方から示す斜視図。
図10図9のX-X線に沿う断面図。
図11】洗浄レバーを前方から示す斜視図。
図12】後枠に配置された洗浄レバーを特に示す説明図。
図13】後枠を前方から示す斜視図。
図14】後枠の注水口を後方から示す斜視図。
図15】注水口と注水口蓋との関係を後方及び右方から示す断面図。
図16】注水口と注水口蓋との関係を前方及び左方から示す説明図。
図17】貯水部排水孔が閉じた状態を前方から示す断面図。
図18】貯水部排水孔が閉じた状態を左方から示す断面図。
図19】貯水部排水孔が開いた状態を前方から示す断面図。
図20】貯水部排水孔が開いた状態を左方から示す断面図。
図21】熱交換器の洗浄から乾燥運転停止までの制御内容を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機1に適用して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
【0012】
図2は、除湿機1の前枠11及び後枠12を外した状態の左側面図である。
【0013】
図3は、除湿機1の分解斜視図である。
【0014】
図4は、除湿機1のドレンタンク51周辺構造を説明する図である。
【0015】
図5は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0016】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。なお、鉛直方向は上下方向であり、水平方向は前後左右方向を含む面方向に含まれる方向である。
【0017】
除湿機1は、除湿機1の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、後枠化粧板13と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0018】
前枠11及び後枠12は、互いに組み合わされ、除湿機1の前後方向に面する筐体10をなす。
【0019】
後枠12は、吸込口21と、タンク挿入口22と、注水口23と、レバー支持口24と、を有する。吸込口21は、複数のスリット26を有し、外表面にフィルタ27及びフィルタケース28を有する。フィルタ27は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース28は、フィルタ27を吸込口21に固定する。タンク挿入口22は、吸込口21の下方に配置され、ここからドレンタンク51が挿入及び取り出される。注水口23及びレバー支持口24は、吸込口21の上方に配置される(詳細は後述)。後枠化粧板13は、後枠12の上方に取り付けられることで後枠12の視認させたくない部分を覆う目隠しとなる。
【0020】
上面板14は、組み合わされた前枠11及び後枠12の上方に配置され、上方に面する筐体10をなす。上面板14は、吹出口31と、操作部32と、LED表示部33と、を有する。吹出口31は、上面板14の上方を向く面に配置される。吹出口31は、乾燥空気の吹出方向を斜め上方から水平方向に制御可能なルーバユニット35を有する。ルーバユニット35は、ルーバ36と、ルーバ36を駆動するルーバモータ37と、を有する。
【0021】
操作部32及びLED表示部33は、上面から前方に斜め下方に傾斜する面に配置される。操作部32は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチなどを実現するタッチパネルである。LED表示部33は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0022】
ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12の下方に配置され、除湿機1の土台となる。
【0023】
除湿機1は、筐体10に収容される主な内部部品として、ファンケース41と、シロッコファン42と、送風モータ43と、圧縮機45と、熱交換器46と、ドレンパン49と、ドレンタンク51と、制御部55と、を有する。
【0024】
ファンケース41は、ベース15上に配置され、主に送風ファンとしてのシロッコファン42、送風モータ43、及びドレンタンク51を支持したり位置決めしたりする。
【0025】
シロッコファン42は、送風モータ43の回転により回転し、吸込口21から空気を吸い込み、吹出口31から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン42及び送風モータ43は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース41に取り付けられている。
【0026】
圧縮機45は、ベース15上に固定されており、配管45a及び減圧装置45bを介して熱交換器46に接続される。
【0027】
熱交換器46は、吸込口21から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器46は、吸込口21に近い位置に配置される蒸発器46aと、蒸発器46aよりも前方に配置される凝縮器46bと、を有する。蒸発器46a及び凝縮器46bは、U字状の冷媒管47にフィン48が取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管47は、図2に示すように、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部47aと、上下方向に曲り2本の直線部47aをつなげる曲げ部47bと、を有し、この直線部47aと曲げ部47bとが冷媒管47の長さ方向に渡って連続して現われる。
【0028】
圧縮機45、配管45a、減圧装置45b及び熱交換器46は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機45、凝縮器46b、減圧装置45b、蒸発器46aを有する。冷媒は、蒸発器46aを流れる際に、蒸発器46aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器46bを流れる際に、凝縮器46bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口21から吸い込まれた空気は、フィルタ27で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器46aで冷却、除湿され、次いで凝縮器46bで加熱されて、低湿度の空気として吹出口31から排出される。
【0029】
ドレンパン49は、ファンケース41のシロッコファン42が配置される側と前後方向における反対側で、熱交換器46を下方で支持し、固定する。ドレンパン49は、熱交換器46の下方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。ドレンパン49は、排水口49aを有し、蒸発器46aで発生し落下するドレン水及び蒸発器46aを洗浄した洗浄水を受け、この排水口49aから排出する。
【0030】
ドレンタンク51は、ドレンパン49の排水口49aから排出される排水を貯留する。ドレンタンク51は、タンク挿入口22から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク51は、ファンケース41により形成されたタンク室41bに配置される。
【0031】
ドレンタンク51は、タンク蓋54を有する。タンク蓋54は、排水流入口54aを有しており、当該排水流入口54aを介してドレンパン49の排水口49aから滴下したドレン水等をドレンタンク51内に落下させて溜める。
【0032】
ドレンタンク51の側方には、水位上昇による静電容量値の変化によりドレンタンク51の水位を検知可能な金属板で構成された水位センサ62が設置されている。水位センサ62は、図示しない配線で制御部55と接続されており、検知したドレンタンク51の水位情報を制御部55へ送信する。水位センサ62から変化した静電容量値に基づいたドレンタンク51の水位情報を制御部55へ送ることで、制御部55がドレンタンク51内の水位に基づいて各部の動作を制御する。
【0033】
制御部55は、ケース56に支持されてファンケース41の左方に配置される。制御部55は、操作部32からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ37、送風モータ43や圧縮機45、LED表示部33などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。図4に示すように、制御部55は、記憶部57及びタイマ58を有する。記憶部57は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ58は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。また、制御部55は、後述する開閉検知手段としての検知器120により注水口23が開放、又は閉止されたことの検知結果に基づき各部の動作を制御する。
【0034】
制御部55は、温度センサ59及び湿度センサ60を有する。温度センサ59及び湿度センサ60は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を計測する。制御部55は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部61は、制御部55の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音を出力する。
【0035】
除湿機1は、筐体10に収容される内部部品として、洗浄水受け70と、排水孔押え80と、注水口蓋90と、洗浄レバー100と、をさらに有する。
【0036】
図6は、洗浄水受け70と、排水孔押え80を示す分解斜視図である。
【0037】
図7は、洗浄水受け70を主に上方から示す斜視図である。
【0038】
図8は、図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【0039】
図2に示すように、洗浄水受け70は、熱交換器46の鉛直上方であって、ファンケース41の後方に配置される。洗浄水受け70は、熱交換器46を洗浄する洗浄水を溜め、溜められた洗浄水を排水する機能、及び熱交換器46を支持する機能を有する。洗浄水受け70は、貯水部71と、オーバーフロー部74と、支持片76と、熱交押え79と、を有する。
【0040】
貯水部71は、上方に開口した洗浄水の貯水空間である。貯水部71は、少なくとも蒸発器46aの上方に配置される。貯水部71は、熱交換器46の左右方向長さ部分の略全域にわたって配置されているのが好ましい。貯水部71は、例えば熱交換器46の洗浄に必要な所定量の水(例えば200ml)の洗浄水を少なくとも貯水可能な容量を有する。貯水部71は、左右外表面に、一対のばね止め部72を有する。貯水部71は、後壁71aと、前壁71bと、左右壁71dと、を有する。前壁71bは、後壁71a及び左右壁71dよりも低くなっている。これにより、貯水部71の容量を超えた洗浄水が注水された場合には、前壁71bから溢れるようになっている。
【0041】
貯水部71は、底面71cに貯水部排水孔73(排水孔)を有する。貯水部排水孔73は、貯水部71の左右方向長さの略全域、すなわち熱交換器46の左右方向の長さの略全域にわたって配置されるのが好ましい、スリット状の孔である。また、貯水部排水孔73は、冷媒管47の直線部47aの延びる方向に沿って配置されている。図6の例においては、貯水部排水孔73は、左右方向に二分割されている。貯水部排水孔73は、洗浄水を下方の熱交換器46側に排水する。具体的には、貯水部排水孔73は、吸込口21に近く埃が溜まりやすく、制御部55や送風モータ43などの電気部品に遠い、蒸発器46aの上方に配置され、排水された洗浄水を蒸発器46aの冷媒管47及びフィン48上に到達させる位置に形成される。
【0042】
オーバーフロー部74は、貯水部71の前方であって、凝縮器46bの上方に配置される。オーバーフロー部74は、貯水部71の前壁71bの上方で貯水部71と空間的につながっている。オーバーフロー部74は、貯水部71の貯水容量を超えて注がれ、前壁71bから溢れた洗浄水を受け止める。オーバーフロー部74は、下方にオーバーフロー部排水孔75を有する。オーバーフロー部74は、洗浄水が蒸発器46a側に導かれるように、洗浄水の流路及びオーバーフロー部排水孔75を有している。すなわち、オーバーフロー部74は、凝縮器46bの上方に位置しつつも、洗浄水は後方の蒸発器46a側に排出する。
【0043】
支持片76は、オーバーフロー部74の前方右端から前方に延びる片状部分である。支持片76は、支持孔77を有し、支持孔77を介してファンケース41の対応する位置に配置される爪41a(図2)に掛かり合う。これにより、洗浄水受け70は、ファンケース41に支持される。
【0044】
熱交押え79は、洗浄水受け70の左右端部から下方に向って形成される、上下方向に沿う面方向を有する板状部材である。熱交押え79は、図2に示すように、熱交換器46の上方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。また、熱交押え79は、同様に熱交換器46を支持するドレンパン49と対になることで、熱交換器46を上下方向にも支持する。
【0045】
排水孔押え80は、貯水部71の貯水部排水孔73を閉じたり開いたりするために、洗浄水受け70に対して支持される、左右方向に延びる略枠状部材である。排水孔押え80は、シール部81と、腕部83と、レバー接続部87と、を有する。
【0046】
シール部81は、排水孔押え80の左右方向に延びる下端部分であり、貯水部排水孔73の左右方向長さに対応する左右方向長さを有する。シール部81は、シール部材82を有し、貯水部排水孔73が閉じた状態の時には、貯水部71に貯水された洗浄水が漏れないように貯水部排水孔73を確実に塞ぐ。
【0047】
腕部83は、排水孔押え80の左右端部に配置され、上下方向に面する一対の水平面を有する。腕部83は、一対のばね孔84を有する。一対のばね孔84は、一対の排水孔押えばね85の一端を支持する。一対の排水孔押えばね85の他端は、洗浄水受け70の一対のばね止め部72に支持される。これにより、一対の排水孔押えばね85は、上下方向に復元力を有することで、排水孔押え80を洗浄水受け70に支持する。排水孔押え80は、無負荷時においては下方に引っ張られて、シール部81が貯水部排水孔73を閉じ、復元力に抗して上方に引っ張られると、シール部81が貯水部排水孔73を開く。
【0048】
レバー接続部87は、洗浄レバー100と掛かり合い、洗浄レバー100の左右方向の作動を排水孔押え80を作動させるための力に変換する部分である。レバー接続部87は、レバー開口88を有し、レバー開口88に挿入される洗浄レバー100と掛かり合う。
レバー接続部87は、洗浄レバー100の左右方向の移動を、排水孔押え80の上下方向の移動に変換可能な形状を有する。具体的には、レバー開口88の上辺88aが右から左に向って下方に傾斜しており、洗浄レバー100が左方に移動すると、排水孔押え80は上方に移動し、洗浄レバー100が右方に移動すると、排水孔押え80は下方に移動する。
【0049】
図9は、注水口蓋90を主に上方から示す斜視図である。
【0050】
図10は、図9のX-X線に沿う断面図である。
【0051】
開閉切替手段としての注水口蓋90は、通常時は注水口23を塞ぎ、洗浄時には筐体10の外部から洗浄水受け70に洗浄水を注ぐための機能を有する。注水口蓋90は、引き出し形状を有し、後枠12の注水口23に対して前後方向にスライドされる。注水口蓋90は、注水部91と、排水部96と、を有する。
【0052】
注水部91は、それぞれ上下方向に延びる後壁91a、左右壁91b、前壁91c及び底面91dで形成され、上方が開口した空間を形成する。後壁91aの後方を向く面は、後枠12と面一となり除湿機1の外部に露出する。後壁91aは、後方に延びる取っ手92を有する。取っ手92は、注水口蓋90が筐体10から引き出される際にユーザに使用される。前壁91cは、格子状に形成されて開口部分を有し、注水部91に注がれた洗浄水をこの開口部分から排水する。前壁91cは、後壁91a及び左右壁91bよりも高さが低い。左右壁91bは、前壁91cよりも前方まで延びる。左右壁91bは、外側を向く面に、上下方向に延びる抜け止めリブ93をそれぞれ有する。
【0053】
排水部96は、前壁91cの前方に配置され、水はね防止壁97と、下方開口98と、を有する。水はね防止壁97は、前壁91cの上端から注水部91の底面91dと略同一面上まで、前方に向って下方に傾斜した壁状部分である。下方開口98は、水はね防止壁97の下端97aと、底面91dの前端99と、下端97a及び前端99の左右端をつなぐ左右壁91bと、で形成される。下方開口98は、注水口蓋90が後枠12に対して引き出され、注水可能状態にある場合に、洗浄水受け70の貯水部71の略上方に位置している。
【0054】
図11は、洗浄レバー100を前方から示す斜視図である。
【0055】
図12は、後枠12に配置された洗浄レバー100を特に示す説明図である。
【0056】
洗浄レバー100(指示入力部)は、ユーザより排水孔押え80を開く指示を受け付ける機能を有する。洗浄レバー100は、後枠12のレバー支持口24に対して左右方向にスライドする。洗浄レバー100は、薄板部101と、指掛凹部102と、伝達部103と、ばね支持部105と、を有する。
【0057】
薄板部101は、後枠12の背面12a(前方を向く面)に略平行に面して配置される板状部材である。指掛凹部102は、薄板部101の左右方向略中央部に形成され、前方に略四角形状に凹んだ部分である。指掛凹部102は、ユーザより洗浄レバー100を左方に移動する際にユーザの指がかけられる。伝達部103は、薄板部101に対して略垂直に前方に向って突出した、断面略台形の筒状部分である。伝達部103は、前後方向視において指掛凹部102と重なる位置に配置される。伝達部103は、略上方を向く上面103aが右から左に向って下方に傾斜している。伝達部103はこの上面103aに、複数(図10においては3本)の接触リブ104を有する。接触リブ104は、伝達部103が貫通する排水孔押え80のレバー開口88の上辺88aとの接触面積を減らす目的で形成される。
【0058】
ばね支持部105は、薄板部101の右端側から前方に立ち上がった小片であり、ばね孔106を有する。ばね孔106は、レバーばね107の一端を支持する。レバーばね107の他端は、後枠12のばね止め部123に支持される。これにより、レバーばね107は、左右方向に復元力を有することで、洗浄レバー100を後枠12に支持する。洗浄レバー100は、無負荷時においては右方に引っ張られ、指掛凹部102から左方に力を受けることにより復元力に抗して左方にスライドする。
【0059】
次に、後枠12の注水口23及びレバー支持口24について説明する。
【0060】
図13は、後枠12を前方から示す斜視図である。
【0061】
図14は、後枠12の注水口23を後方から示す斜視図である。
【0062】
図15は、注水口23と注水口蓋90との関係を後方及び右方から示す断面図である。
【0063】
図16は、注水口23と注水口蓋90との関係を前方及び左方から示す説明図である。
【0064】
注水口23は、注水開口111と、一対の案内レール113と、一対の蓋押え片115と、弾性爪部116と、保護壁118と、を有する。
【0065】
注水開口111は、後枠12に形成された開口であり、注水口蓋90の後壁91aの寸法に対応する。一対の案内レール113は、注水開口111の左右縁111aから前方に延びた断面略コ字状部材である。案内レール113は、注水口蓋90の底面91dの左右辺94と溝部分で嵌り合うことで、注水口蓋90の位置決めをし、また前後方向のスライドを案内する。
【0066】
一対の蓋押え片115は、一対の案内レール113の上方であって、注水開口111の左右縁111aから前方に延びた弾性小片である。一対の蓋押え片115は、注水口蓋90の左右壁91bの抜け止めリブ93に対応する位置に前端が配置され、抜け止めリブ93と前後方向において掛かり合うことにより注水口蓋90が意図せず後方にスライドされないように支持する。また、一対の蓋押え片115は、注水口蓋90がユーザにより後方に引き出された場合には、左右方向にたわんで逃げ、抜け止めリブ93との掛かり合いを解除する。
【0067】
弾性爪部116は、注水開口111の上縁111bから前方に延び、曲げ部116aを経て後方に延びる、断面略U字状の弾性薄板部材である。弾性爪部116は、このU字の内部空間により、注水開口111から注がれた水が筐体10内部に浸入しないように防ぐ機能を有する。弾性爪部116は、先端に抜け止め爪117を有する。抜け止め爪117は、図14に示すように、注水口蓋90が所要量後方に引き出された際に、前壁91cの上端に引っ掛かることにより、注水口蓋90が所要量以上引き出されないように抜け止めとして機能する。
【0068】
保護壁118は、注水開口111の上縁111bから前方に延びた、断面略L字状部材である。保護壁118は、注水開口111の空間を左右方向に仕切る。図16に示すように、この保護壁118の左方にはマイクロスイッチで構成された開閉検知手段としての検知器120が配置され、保護壁118は注水口23から注水される洗浄水から検知器120を保護する。検知器120は、注水口蓋90の挿入時には左壁91bと接触してON状態に切り替わり、注水口蓋90の引き出し時には左壁91bと非接触となりOFF状態に切り替わることで、注水口蓋90の開閉を検知する。検知器120のON/OFF状態は、制御部55に送信される。なお、検知器120は、注水口蓋90の挿入時にOFF状態、注水口蓋90の引き出し時にON状態に切り替わるよう配置されてもよい。
【0069】
図12及び図13に示すように、レバー支持口24は、洗浄レバー100を後枠12に対して左右方向にスライド可能に保持する。レバー支持口24は、支持開口121と、一対の案内レール122と、ばね止め部123(図12)と、を有する。
【0070】
支持開口121は、洗浄レバー100の指掛凹部102及び薄板部101の一部を後枠12から露出し、ユーザによる指掛凹部102を介したスライド操作を可能にする。
【0071】
一対の案内レール122は、後枠12の背面12aであって、支持開口121の上下縁121aの上方及び下方に、上下縁121aと平行に配置される。一対の案内レール122は、洗浄レバー100の薄板部101の上下辺101a(図11図12)と溝部分で嵌り合うことで、洗浄レバー100の位置決めをし、また左右方向のスライドを案内する。
【0072】
ばね止め部123は、後枠12の背面12aであって、支持開口121の右縁121bの右方に配置される。ばね止め部123は、上述したとおり、レバーばね107の他端を支持する。
【0073】
次に、除湿機1における熱交換器46の洗浄処理について、具体的に説明する。
【0074】
図17は、貯水部排水孔73が閉じた状態を前方から示す断面図である。
【0075】
図18は、貯水部排水孔73が閉じた状態を左方から示す断面図である。
【0076】
図19は、貯水部排水孔73が開いた状態を前方から示す断面図である。
【0077】
図20は、貯水部排水孔73が開いた状態を左方から示す断面図である。
【0078】
除湿機1が一定時間運転され、熱交換器46が洗浄を要するタイミングを迎えると、ユーザにより洗浄処理が開始される。
【0079】
洗浄処理は、まず注水口蓋90がユーザにより引き出され、所定量の水が洗浄水として注水部91に注水される。このとき、水が勢いよく注がれると、底面91dや左右壁91bで水が跳ねてしまうおそれがある。しかし、U字状の注水口23の弾性爪部116が、筐体10内部から注水部91を隔離し、筐体10内部への水の浸入を防ぐ。また、保護壁118が検知器120を注水部91から隔離することにより、検知器120に水が付着することを防ぐ。
【0080】
洗浄水は、前壁91cの格子で形成される開口部分から排水される。このとき、格子状の前壁91cは、異物が流れ落ちることや、ユーザの指が内部に侵入することを防止する。洗浄水は、排水部96の下方開口98から下方に落下する。落下した洗浄水は、洗浄水受け70の貯水部71に貯留される。このとき、注水口23から貯水部71の容量以上の水が注水されるおそれもある。これに対しては、オーバーフロー部74が前壁71bから溢れた水を受け止め、オーバーフロー部排水孔75から洗浄対象である蒸発器46a側に導くことができ、水が意図しない筐体10内部に侵入することが防止される。
【0081】
所定量の水が注水され、注水口蓋90が閉じられると、ユーザより排水孔抑え80を開く指示を受け付ける。具体的には、ユーザにより、指掛凹部102を介して洗浄レバー100が左方にスライドされることにより、伝達部103が左方に移動し、レバー開口88を介して接続されているレバー接続部87に力を伝達する。レバー接続部87は、上述の通り洗浄レバー100の左右方向の移動を上下方向の移動に変換する。これにより、排水孔押え80は上昇する。
【0082】
排水孔押え80が上昇すると、貯水部排水孔73が開放され、貯水部71に貯水された洗浄水が排水される。洗浄水は、蒸発器46aの上方から下方に流れ落ちることにより、蒸発器46aに付着した埃を取り除く。流れ落ちた洗浄水と埃は、ドレンパン49に到達し、蒸発器46aから落下するドレン水同様、ドレンタンク51に排出される。
【0083】
このとき、貯水部71に所定量の洗浄水が溜められた後に排水されるため、例えば注水口23から注水されるままに溜められることなく熱交換器46に導かれる場合に比べて、洗浄水は勢いよく排水される。これにより、蒸発器46aの埃は除去されやすくなっている。
【0084】
貯水部71の水が全て排水されると、洗浄レバー100はユーザの操作から解放され、レバーばね107の復元力により自動的に右方にスライドし自動的に通常位置に戻る。同時に、排水孔押え80も排水孔押えばね85の復元力により自動的に下方に移動し通常位置に戻り、貯水部排水孔73が閉じられる。
【0085】
このような除湿機1は、熱交換器46に蓄積した埃を、洗浄水により洗い流すことによ
り取り除くことができるため、例えば、単に送風して乾燥させることにより埃の湿気を取
り除く場合に比べて、除湿機1は埃そのものを取り除くことができるため、衛生面に優れ
ている。
【0086】
次に、除湿機1における洗浄処理及びその後の乾燥運転について、図21のフローチャートに基づいて説明する。
【0087】
まず、ユーザにより操作部32にある運転モードのスイッチが押され、圧縮機45、及び送風モータ43が所定の回転数で駆動しているとき、制御部55は、ユーザにより注水口蓋90が注水口23から引き出され検知器120がOFF状態に切り替わったか判断し(ステップS101)、検知器120がOFF状態だと判断したら、圧縮機45、及び送風モータ43の駆動を停止させて運転停止状態にすると共に、水位センサ62で検知したドレンタンク51の水位を確認し、記憶部57で記憶する(ステップS102)。制御部55は、ステップS101で注水口蓋90が注水口23から引き出されておらず検知器120がOFF状態に切り替わっていないと判断したら、ステップS101の判断を繰り返す。
【0088】
ユーザにより注水口蓋90から注水され洗浄レバー100が操作されたことで排水孔押え80が上昇し、洗浄水受け70内に溜まった洗浄水が蒸発器46aへ落下するタイミングでシロッコファン42が駆動していると、洗浄水が吹出口31方向へ案内されて吹き出し、除湿機1周辺が濡れる虞がある。ユーザにより注水口蓋90が注水口23から引き出されたタイミングで除湿機1を運転停止状態にすることで、洗浄水が吹出口31から吹き出すことを未然に阻止する。
【0089】
なお、前記ステップS101の判断時に運転停止状態であり、圧縮機45、及び送風モータ43が駆動していなければ、運転停止状態を維持する。
【0090】
制御部55は、前記ステップS102の処理を実施したら、ユーザにより注水口蓋90が注水口23へ挿し込まれ、検知器120がON状態に切り替わったか判断し(ステップS103)、検知器120がON状態に切り替わったと判断したら、タイマ58で経過時間のタイマカウントを開始し、タイマ58でのタイマカウントにより検知器120がON状態に切り替わってから所定の待機時間(例えば、3分)経過したか判断する(ステップS104)。制御部55は、前記ステップS103で検知器120がON状態に切り替わっていないと判断したら、前記ステップS103の判断を繰り返す。制御部55は、前記ステップS104で検知器120がON状態に切り替わってから3分経過していないと判断したら、前記ステップS104の判断を繰り返す。
【0091】
制御部55は、前記ステップS104で検知器120がON状態に切り替わってから3分経過したと判断したら、水位センサ62で検知されたドレンタンク51の水位を前記ステップS102で検知し記憶部57で記憶した水位と比較して、水位が上昇したか判断する(ステップS105)。制御部55は、前記ステップS105でドレンタンク51の水位が上昇していると判断したら、洗浄水による蒸発器46aの洗浄があったと推定して次のステップへ進み、水位上昇がないと判断したら洗浄水による蒸発器46aの洗浄はされていないと推定して制御を終了する。
【0092】
ドレンタンク51の水位について、注水口蓋90が注水口23から引き出されたときの水位と比較し、水位が上昇していればユーザの注水により蒸発器46aの洗浄がなされ、ドレンタンク51内に蒸発器46a洗浄後の洗浄水が流れ込んだと判断でき、水位が上昇していなければ、ユーザが誤って注水口蓋90を注水口23から開閉したものであり、蒸発器46aの洗浄はなされていないと判断できる。ドレンタンク51の水位上昇有無により、洗浄水による蒸発器46aの洗浄が実施されたかを確実に判断し、蒸発器46aの洗浄がなされていない場合は制御を終了するので、ステップS106以降に実施する乾燥運転が無駄になされることを未然に阻止することができる。
【0093】
制御部55は、前記ステップS105でドレンタンク51の水位が上昇していると判断したら、ドレンタンク51の水位上昇量が所定の基準値より大きいか判断する(ステップS106)。制御部55は、前記ステップS106で水位上昇量が所定の基準値より大きいと判断したら、乾燥運転時間の所定時間を長時間(例えば、30分)に設定しタイマ58でのカウントを開始した上で送風モータ43を駆動させ、シロッコファン42を所定の回転数(例えば最低回転数)で駆動させる乾燥運転を開始する(ステップS107)。制御部55は、水位上昇量が所定の基準値以下だと判断したら、乾燥運転時間の所定時間を短時間(例えば、20分)に設定しタイマ58でのカウントを開始した上で送風モータ43を駆動させ、シロッコファン42を所定の回転数(例えば最低回転数)で駆動させる乾燥運転を開始する(ステップS108)。
【0094】
前記ステップS107、又は前記ステップS108の処理を実施したら、制御部55は、タイマ58でのカウント値が前記ステップS107、又は前記ステップS108で設定した乾燥運転時間が経過したか判断する(ステップS109)。制御部55は、前記ステップS109で乾燥運転時間が経過したと判断したら、シロッコファン42を駆動停止させて乾燥運転を停止させ制御を終了し(ステップS110)、乾燥運転時間が経過していないと判断したら、前記ステップS109の判断を繰り返す。
【0095】
蒸発器46aの洗浄動作時、ユーザが注水口蓋90から注水する洗浄水量にはバラツキがあることから、洗浄水受け70から落下した洗浄水による蒸発器46aの濡れ具合に差が生じる。注水された洗浄水量に応じてドレンタンク51の水位上昇量が変化するので、ドレンタンク51の水位上昇量に基づき洗浄水の注水量が推定できる。ドレンタンク51の水位上昇量が所定の基準値より大きい場合、所定の基準値以下の場合と比較して洗浄水が多く注水され、蒸発器46aの濡れ具合が大きいと推定できる。
【0096】
前記ステップS106でドレンタンク51の水位上昇量が所定の基準値よりも大きく、蒸発器46aの濡れ具合が大きいと推定される場合、ドレンタンク51の水位上昇量が所定の基準値以下のときと比較し、蒸発器46aの乾燥運転時間が長くなるよう設定したので、洗浄水による洗浄後の蒸発器46aの乾燥不足によるカビ発生等を未然に阻止することができる。また、前記ステップS106でドレンタンク51の水位上昇量が所定の基準値以下で、蒸発器46aの濡れ具合が小さいと推定される場合、蒸発器46aの乾燥運転時間が短くなるよう設定したので、蒸発器46aが乾燥しているにも関わらず乾燥運転が長時間継続されることを未然に阻止することができる。
【0097】
なお、本実施形態では前記ステップS106でドレンタンク51の水位上昇量を所定の基準値と比較し、乾燥運転時間を30分、又は20分といった固定値に設定する内容で説明したが、これに限られない。例えば、ドレンタンク51の水位上昇量に比例して長くなる乾燥運転時間を変動値で設定してもよい。これにより、ユーザによる洗浄水の注水量が多いほど乾燥運転時間が長くなるように設定されるので、蒸発器46aの乾燥不足による蒸発器46aでのカビや細菌発生を未然に阻止すると共に、蒸発器46aが乾燥しているにも関わらず乾燥運転が長時間継続されることを未然に阻止することができる。
【0098】
また、乾燥運転時、送風モータ43は設定可能な最低回転数で駆動する。洗浄水による洗浄を実施した後、蒸発器46aにはドレンパン49に落下しない少量の水滴が存在する可能性がある。乾燥運転時、送風モータ43を高回転数で駆動させシロッコファン42による送風量を大きくすると、蒸発器46aに付着した水が吹出口31側へ案内され、吹出口31から水が吹き出す虞がある。乾燥運転時、送風モータ43を設定可能な最低回転数で駆動させることで、吹出口31から水が吹き出すことを阻止しつつ、蒸発器46aを乾燥させることができる。
【0099】
次に、本発明の効果を説明する。
【0100】
制御部55は、開閉切替手段としての注水口蓋90により注水口23が開放又は閉止されたことを開閉検知手段としての検知器120で検知した後、水位センサ62でドレンタンク51の水位が上昇したことを検知したら、シロッコファン42を所定時間だけ駆動させる。注水口蓋90の開閉を検知器120で検知することで、ユーザにより洗浄水が注水されたと推定できるが、誤って注水口蓋90を開閉した可能性がある。検知器120による注水口蓋90の開閉検知後、ドレンタンク51の水位上昇が検知されたらユーザによる洗浄水の注水がされたと判断し、シロッコファン42を所定時間駆動させ熱交換器46を乾燥させる乾燥運転を実施する。ユーザにより洗浄水が確実に注水された場合にのみ乾燥運転が実施されるので、熱交換器46に水分が残ることでのカビや細菌の発生を未然に阻止できると共に、洗浄水の注水がされていないにも関わらず乾燥運転が実施されることを未然に阻止することができる。
【0101】
また、制御部55は、注水口蓋90により注水口23が開放又は閉止されたことを検知器120で検知した後、水位センサ62で検知したドレンタンク51の水位上昇量が大きいほど、シロッコファン42を駆動させる所定時間が長くなるようにする。洗浄水による熱交換器46の濡れ具合は、注水された洗浄水量に比例して大きくなる。ユーザにより注水された洗浄水量をドレンタンク51の水位上昇量に基づいて推定し、水位上昇量が大きければ多量の洗浄水が注水され熱交換器46の濡れ具合が大きいと判断して、シロッコファン42を駆動させる乾燥運転時間が長くなるよう設定する。乾燥運転により熱交換器46を確実に乾燥させることができ、熱交換器46に水分が残ることでのカビや細菌の発生を未然に阻止することができる。
【0102】
また、開閉切替手段は、筐体10に対して引き出し可能に支持されて注水口23を塞ぎ筐体10から引き出されることで洗浄水を受ける注水部91と、筐体10から引き出されたときに洗浄水受け70の少なくとも鉛直上方に位置し注水部91が受ける洗浄水を洗浄水受け70に排水する排水部96と、を有する注水口蓋90で構成され、開閉検知手段は、注水口蓋90が注水口23から引き出されたことを検知する検知器120で構成された。ユーザによる洗浄水の注水が簡易に実施可能であると共に、注水口23から洗浄水を注水する可能性があるかを簡易な構成で検知することができる。
【0103】
なお、本実施形態では注水口23から引き出し可能に設置された注水口蓋90を開閉切替手段として説明したが、これに限られない。例えば他の開閉切替手段として、注水口23に開閉可能なシャッターを設置した構成であってもよく、熱交換器46の洗浄を実施するとき、ユーザが当該シャッターを開放して洗浄水受け70へノズル付ボトル等を使って洗浄水を注水する方法でもよい。この場合、前記シャッターの開閉をマイクロスイッチ等の検知器120で検知可能な構成にした上で、制御部55は、検知器120で前記シャッターの開放を検知した後、水位センサ62でドレンタンク51の水位上昇を検知したと判断したら、シロッコファン42を駆動させ乾燥運転を開始することで、蒸発器46aを洗浄して埃を洗い流すことができると共に、蒸発器46aに水分が残ることでカビや細菌が発生することを未然に阻止できる。
【0104】
また、本実施形態では注水口蓋90の引き出し有無を検知するマイクロスイッチを検知器120とし、当該検知器120により洗浄水の注水有無を注水判断手段で判断する内容で説明したが、これに限られない。例えば他の検知器として、筐体10内に洗浄水受け70における水の存在有無が検知可能な光学式のセンサを適用してもよい。当該光学式のセンサにより洗浄水受け70に存在した水が無くなったことを検知した後、水位センサ62でドレンタンク51の水位上昇を検知したと判断したら、シロッコファン42を駆動させ乾燥運転を開始することで、蒸発器46aを洗浄して埃を洗い流すことができると共に、蒸発器46aに水分が残ることでカビや細菌が発生することを未然に阻止できる。
【0105】
また、本実施形態では静電容量値の変化で水位を検知する水位センサ62を用いて水位検知する内容で説明したが、これに限られない。例えば、ドレンタンク51内にマグネットを有し水に浮くフロートを収納し、水位に応じたマグネットの磁界を検知してドレンタンク51内の水位を検知する近接センサを上下方向に複数設けたものを水位センサ62として適用した内容であってもよい。ユーザにより注水口23から洗浄水が注水されたとき、ドレンタンク51の水位上昇が検知可能な構成であれば、本発明における水位センサの範疇に入る。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0107】
例えば、本発明に係る空気調和機は、除湿機1以外にも空調機、加湿機、乾燥機などの、吸い込んだ空気に含まれる埃の洗浄が必要な熱交換器を有する他の機器にも適用することができる。
【0108】
貯水部排水孔73は、左右方向に延びるスリット状である例を説明したが、洗浄水を熱交換器46の上方から排水できれば、二以上に分割されたスリットや、複数の円や楕円、多角形の小穴でもよい。
【0109】
洗浄レバー100を介したユーザの手動操作によりで排水孔押え80が上昇し、貯水部排水孔73が開放される例を説明したが、排水孔押え80がユーザの操作又は自動的に、電気的な機構により開閉されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 除湿機
10 筐体
23 注水口
42 シロッコファン(送風ファン)
43 送風モータ
46 熱交換器
46a 蒸発器
46b 凝縮器
55 制御部
70 洗浄水受け
73 貯水部排水孔
90 注水口蓋(開閉切替手段)
91 注水部
96 排水部
120 検知器(開閉検知手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21