(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】車両の運転者を支援するための高度運転者支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250212BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20250212BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W50/14
B60W40/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022051488
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503113186
【氏名又は名称】ホンダ リサーチ インスティテュート ヨーロッパ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Honda Research Institute Europe GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト,ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】プファル,ティム
(72)【発明者】
【氏名】フラーデ,ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チョウ
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198769(WO,A1)
【文献】特開2008-117082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0174481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 50/14
B60W 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(11)の運転者を支援するための高度運転者支援システム(1)であって、
- 前記システムは、センサユニット(2)と、処理ユニット(3)と、表示ユニット(4)とを備え、
- 前記センサユニット(2)は、前記車両の環境を検知し、検知出力を前記処理ユニット(3)に供給するように構成され、
- 前記処理ユニット(3)は、前記検知出力に基づいて、前記環境の少なくとも1つの特徴物(12、13、14)を決定するように構成され、
- 前記処理ユニット(3)は、
- 前記特徴物に関する危険度を推定するために、前記車両(11)が現在時刻における前記車両(11)の現在の実際の位置とは異なる仮想位置(VP1、VP2、VP3)にあると仮定し、2つ以上の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)のそれぞれに対して危険度を推定するために、現在時刻での前記車両(11)の少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両(11)の前記2つ以上の仮想位置(VP1、VP2、VP3)の各仮想位置において、前記特徴物に関するそれぞれの危険度を推定することと、
- 前記2つ以上の危険度に基づいて、危険ゾーン(RZ)を形成することと
を行うことによって、前記現在時刻に対して前記特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を決定するように構成され、
- 前記表示ユニット(4)は、前記特徴物および前記特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を用いて、前記車両(11)の前記環境を表示するように構成され
、
前記特徴物が道路カーブ(13)である場合、
- 前記処理ユニット(3)は、前記現在時刻での前記車両(11)の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両(11)の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)の各仮想位置において、前記道路カーブ(13)の曲率によって引き起こされる横加速度を前記それぞれの危険度として推定するように構成され、
- 前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)は、前記道路カーブ(13)の異なる部分の実際位置に等しい、
高度運転者支援システム(1)。
【請求項2】
車両(11)の運転者を支援するための高度運転者支援システム(1)であって、
- 前記システムは、センサユニット(2)と、処理ユニット(3)と、表示ユニット(4)とを備え、
- 前記センサユニット(2)は、前記車両の環境を検知し、検知出力を前記処理ユニット(3)に供給するように構成され、
- 前記処理ユニット(3)は、前記検知出力に基づいて、前記環境の少なくとも1つの特徴物(12、13、14)を決定するように構成され、
- 前記処理ユニット(3)は、
- 前記特徴物に関する危険度を推定するために、前記車両(11)が現在時刻における前記車両(11)の現在の実際の位置とは異なる仮想位置(VP1、VP2、VP3)にあると仮定し、2つ以上の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)のそれぞれに対して危険度を推定するために、現在時刻での前記車両(11)の少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両(11)の前記2つ以上の仮想位置(VP1、VP2、VP3)の各仮想位置において、前記特徴物に関するそれぞれの危険度を推定することと、
- 前記2つ以上の危険度に基づいて、危険ゾーン(RZ)を形成することと
を行うことによって、前記現在時刻に対して前記特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を決定するように構成され、
- 前記表示ユニット(4)は、前記特徴物および前記特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を用いて、前記車両(11)の前記環境を表示するように構成され
、
前記特徴物が、少なくとも1つの交通規則を示す標識(14)、任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯、または道路の交差点である場合、
- 前記処理ユニット(3)は、前記現在時刻での前記車両(11)の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両(11)の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)の各仮想位置において、衝突の危険度を前記それぞれの危険度として推定するように構成され、
- 前記仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)は、少なくとも前記車両(11)と前記特徴物との間の区域に配置され、前記仮想位置の少なくとも1つ(VP1)は、前記特徴物(14)の実際位置、もしくは前記特徴物(14)の一部の実際位置に等しく、または
- 前記仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)は、少なくとも前記車両(11)と前記特徴物との間の区域に配置され、前記仮想位置の少なくとも1つ(VP1)は、前記特徴物(14)の前記実際位置に関連付けられた、もしくは前記特徴物(14)の一部の前記実際位置に関連付けられた位置に等しい、
高度運転者支援システム(1)。
【請求項3】
- 前記処理ユニット(3)は、
- 前記2つ以上の仮想位置(VP1、VP2、VP3)に対して前記2つ以上の危険度を推定するために、前記車両(11)の前記2つ以上の仮想位置(VP1、VP2、VP3)を備えるまたはそれに対応する、前記車両(11)の複数の仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うこと
によって、前記現在時刻に対して前記特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を決定するように構成され、
- 前記危険度推定プロセスの各反復において、前記複数の仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)のそれぞれの仮想位置で、前記特徴物に関するそれぞれの危険度が、前記現在時刻での前記車両(11)の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて推定され、
- 前記危険度推定プロセスは、反復の後に停止され、そこでは前記それぞれの危険度は、危険度閾値以下である、
請求項1に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項4】
- 前記処理ユニット(3)が、前記環境の2つ以上の特徴物を決定する場合、
- 前記処理ユニット(3)は、前記現在時刻に対して、前記2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を決定するように構成され、
前記表示ユニット(4)は、前記2つ以上の特徴物、および前記2つ以上の特徴物のうちの前記特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を用いて、前記車両(11)の前記環境を表示するように構成される、または
- 前記処理ユニット(3)は、前記現在時刻に対して、前記2つ以上の特徴物の各特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を決定するように構成され、
前記表示ユニット(4)は、前記2つ以上の特徴物、および前記2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を用いて、前記車両(11)の前記環境を表示するように構成される、
請求項1
から3のいずれかに記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項5】
前記特徴物は、
- 前記環境内に存在する障害物(12)、
- 前記環境内に存在する道路特性(13)、および
- 交通規則を示す標識(14)
の少なくとも1つを備えるまたはそれに対応する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項6】
- 前記障害物は、他車両(12)、人、および他の物理的対象物を備え、
- 前記道路特性は、道路カーブ(13)、道路の交差点、勾配閾値より大きな道路勾配、天候に影響される道路区域、および損傷した表面を有する道路区域を備え、ならびに
- 交通規則を示す前記標識は、交通標識(14)、道路上の地面マーキング(14)、および交通信号灯を備える、
請求項
5に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパラメータは、
- 前記車両の駆動方向、
- 前記車両の速度、
- 前記車両の加速度、
- 前記車両の加速時間、
- 前記車両の制動時間、
- 前記車両のサイズ、および
- 前記車両の形状
の少なくとも1つを備えるまたはそれに対応する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項8】
前記それぞれの危険度は、前記特徴物のタイプ、および任意選択で前記現在時刻での前記車両(11)の推定される運転経路に応じて、
- 前記特徴物が前記環境内に存在する障害物(12)、道路の交差点、または少なくとも1つの交通規則を示す標識(14)、任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯に対応する場合は、衝突、
- 前記特徴物が道路カーブ(13)、道路の交差点、勾配閾値より大きな道路勾配、天候に影響される道路区域、または損傷した表面を有する道路区域である場合は、車線逸脱、
- 前記特徴物が道路カーブ(13)または道路の交差点である場合は、横加速度、
- 前記特徴物が勾配閾値より大きな道路勾配である場合は、加速度、
- 前記特徴物が道路カーブ(13)、道路の交差点、勾配閾値より大きな道路勾配、天候に影響される道路区域、または損傷した表面を有する道路区域である場合は、前記車両(11)の制御損失、
- 前記特徴物が少なくとも1つの交通規則を示す標識(14)、任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯に対応する場合は、交通規則の違反、および/または
- 前記特徴物が損傷した表面を有する道路区域に対応する場合は、前記車両(11)の損傷
の危険度を備えるまたはそれに対応する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項9】
前記車両(11)の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)は、格子を形成する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項10】
前記処理ユニット(3)は、
- 前記特徴物のタイプに応じて、
- 前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)は、任意選択で少なくとも、前記現在時刻での前記車両と前記特徴物との間の区域に配置されるように、
- 前記仮想位置の少なくとも1つは、前記現在時刻での前記特徴物の実際位置または前記特徴物の一部の実際位置に等しくなるように、および/または
- 前記現在時刻において、前記仮想位置の少なくとも1つは、前記特徴物の前記実際位置に関連付けられた、または前記特徴物の一部の前記実際位置に関連付けられた位置に等しくなるように、
前記環境内の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)を配置するように構成される、請求項1から
9のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項11】
前記処理ユニット(3)は、前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)が経路に沿って配置されるように、前記環境内の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)を配置するように構成され、
- 前記経路は、前記現在時刻での前記車両(11)と前記特徴物との間の経路であり、
- 前記経路は、前記現在時刻での前記車両(11)の推定される運転経路であり、
- 前記経路は、前記特徴物が可動障害物である場合、前記特徴物の推定される運動経路であり、
- 前記経路は、前記現在時刻において、前記車両および/もしくは前記可動障害物が存在する、任意選択で移動している、道路に適合され、ならびに/または
- 前記経路は、前記特徴物に適合され、ならびに/または
- 前記経路は、地図データによって供給される、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項12】
- 前記危険ゾーン(RZ)が、異なる色、陰影、および/もしくはパターンの区分(S1、S2、S3、S4)に区分化されるように、ここで前記区分(S1、S2、S3、S4)は、連続した危険度の範囲に対応し、ならびに/または
- 前記危険ゾーン(RZ)が、前記特徴物および/もしくは前記現在時刻において前記特徴物が存在する道路に適合されるように、
- 前記危険ゾーン(RZ)の境界と前記現在時刻での前記車両(11)の実際位置(AP1)との間の距離に応じて、前記危険ゾーンの色、陰影、および/またはパターンを変化させることによって、
- 前記表示ユニット(4)は、前記特徴物の前記危険ゾーン(RZ)を表示するように構成される、
請求項1から
11のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項13】
- 前記処理ユニット(3)は、前記少なくとも1つの特徴物の前記2つ以上の危険度および/または前記危険ゾーンに基づいて、運転行動推奨、運転行動指示および/または警告を決定するように構成され、ならびに
- 前記表示ユニット(4)は、前記運転行動推奨、運転指示、および/または警告を表示するように構成される、
請求項1から
12のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項14】
前記表示ユニット(4)は、
- 前記車両の前記環境の2D鳥瞰図において、
- 前記車両の前記環境の仮想現実表示に含まれた一人称視点の視野において、
- 拡張現実表示を用いた一人称視点の視野において、ならびに/または
- 前記車両が走行する道路の2D平面上にそれらが投影されるように、およびそれらが前記道路の幾何形状によって制約されるように、
前記少なくとも1つの特徴物、および前記少なくとも1つの特徴物の前記危険ゾーンを表示するように構成され得る、請求項1から
13のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)。
【請求項15】
車両(11)であって、前記車両(11)の運転者を支援するための、請求項1から
14のいずれか一項に記載の高度運転者支援システム(1)を備えた車両(11)。
【請求項16】
車両の運転者を支援する方法であって、
- 前記車両の環境をセンサユニット(2)により検知(100)し、検知出力を供給することと、
- 前記検知出力に基づいて、前記環境の少なくとも1つの特徴物を処理ユニット(3)により決定(200)することと、
- 前記処理ユニット(3)により、前記特徴物に関する危険度を推定するために、前記車両(11)が現在時刻における前記車両(11)の現在の実際の位置とは異なる仮想位置(VP1、VP2、VP3)にあると仮定し、2つ以上の前記仮想位置のそれぞれに対して危険度を推定するために、現在時刻での前記車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両の前記2つ以上の仮想位置の各仮想位置において、前記特徴物に関するそれぞれの危険度を推定(300)すること、および
- 前記処理ユニット(3)により、前記2つ以上の危険度に基づいて、危険ゾーンを形成(400)すること
- を行うことによって、前記現在時刻に対して前記特徴物の前記危険ゾーンを前記処理ユニットにより、決定することと、
- 前記特徴物および前記特徴物の前記危険ゾーンを用いて、前記車両の前記環境を表示ユニット(4)により表示(500)することと
を含
み、
前記特徴物が道路カーブ(13)である場合、
- 前記処理ユニット(3)により、前記現在時刻での前記車両(11)の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両(11)の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)の各仮想位置において、前記道路カーブ(13)の曲率によって引き起こされる横加速度を前記それぞれの危険度として推定するように構成され、
- 前記仮想位置(VP1、VP2、VP3)は、前記道路カーブ(13)の異なる部分の実際位置に等しい、
車両の運転者を支援する方法。
【請求項17】
車両の運転者を支援する方法であって、
- 前記車両の環境をセンサユニット(2)により検知(100)し、検知出力を供給することと、
- 前記検知出力に基づいて、前記環境の少なくとも1つの特徴物を処理ユニット(3)により決定(200)することと、
- 前記処理ユニット(3)により、前記特徴物に関する危険度を推定するために、前記車両(11)が現在時刻における前記車両(11)の現在の実際の位置とは異なる仮想位置(VP1、VP2、VP3)にあると仮定し、2つ以上の前記仮想位置のそれぞれに対して危険度を推定するために、現在時刻での前記車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両の前記2つ以上の仮想位置の各仮想位置において、前記特徴物に関するそれぞれの危険度を推定(300)すること、および
- 前記処理ユニット(3)により、前記2つ以上の危険度に基づいて、危険ゾーンを形成(400)すること
- を行うことによって、前記現在時刻に対して前記特徴物の前記危険ゾーンを前記処理ユニットにより、決定することと、
- 前記特徴物および前記特徴物の前記危険ゾーンを用いて、前記車両の前記環境を表示ユニット(4)により表示(500)することと
を含み、
前記特徴物が、少なくとも1つの交通規則を示す標識(14)、任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯、または道路の交差点である場合、
- 前記処理ユニット(3)により、前記現在時刻での前記車両(11)の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記車両(11)の前記仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)の各仮想位置において、衝突の危険度を前記それぞれの危険度として推定するように構成され、
- 前記仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)は、少なくとも前記車両(11)と前記特徴物との間の区域に配置され、前記仮想位置の少なくとも1つ(VP1)は、前記特徴物(14)の実際位置、もしくは前記特徴物(14)の一部の実際位置に等しく、または
- 前記仮想位置(VP1、VP2、VP3、VP4)は、少なくとも前記車両(11)と前記特徴物との間の区域に配置され、前記仮想位置の少なくとも1つ(VP1)は、前記特徴物(14)の前記実際位置に関連付けられた、もしくは前記特徴物(14)の一部の前記実際位置に関連付けられた位置に等しい、
車両の運転者を支援する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者を支援するための高度運転者支援システム、そのような高度運転者支援システムを備えた車両、および車両の運転者を支援する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、車両の運転者を支援するための高度運転者支援システムの分野におけるものである。このような高度運転者支援システムは、車両を運転する(または用いる)とき、車両の環境内に存在する危険について運転者に知らせることによって、車両の運転者を支援し得る。例えば、高度運転者支援システムは、車両の環境内の、人などの障害物の場所が強調表示されるディスプレイを備えることができ、その結果運転者に障害物の存在について知らされ、従って、車両の運転を障害物に適合し得る。例えば、運転者は、障害物と衝突しないように、車両を減速させる、および/または車両の駆動方向を変更することによって、車両の運転を障害物に適合させ得る。
【0003】
高度運転者支援システムは、現在時刻に対して危険度を推定し得る。このために、高度運転者支援システムは通常、現在時刻での車両の位置における車両の環境を検出するためのセンサを備える。これは高度運転者支援システムが、車両の環境を評価すること、従って、現在時刻での車両の位置に対する環境の推定危険度を計算することを可能にする。例えば、このような推定危険度は、現在時刻での車両の位置に対する環境の障害物との衝突の推定危険度とすることができる。現在時刻での車両の位置の環境の検知結果に基づいて、現在時刻での車両の位置に対する環境の危険度を推定する(すなわち推定危険度を計算する)方法は、当技術分野でよく知られており、それらは本発明の着眼点ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の高度運転者支援システムは、人の心理を考慮しない、具体的には人が実生活において自分自身に関する危険をどのように知覚するかを考慮しないという欠点を有する。結果として、高度運転者支援システムによってもたらされる推定危険度についての情報は、運転者によって直感的に理解され得ず、これは危険を打ち消すまたは反応するための運転者の反応時間を増加させる。
【0005】
従って、上述の欠点を克服する改良型の高度運転者支援システムをもたらすことが本発明の目的である。具体的には、車両の将来の運転のために、現在時刻での環境内に存在する危険の推定を改良することを可能にする、車両の運転者を支援するための改良型の高度運転者支援システムをもたらすことが本発明の目的である。具体的には、特に人の心理に、特に人が実生活において自分自身に関する危険をどのように知覚するかに適合されることによって、車両の運転者を支援することに関して改良された、高度運転者支援システムをもたらすことが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の説明を読むことにより明らかになる、これらおよび他の目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を参照する。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、車両の運転者を支援するための高度運転者支援システムがもたらされる。システムは、センサユニットと、処理ユニットと、表示ユニットとを備える。センサユニットは、車両の環境を検知し、検知出力を処理ユニットに供給するように構成される。処理ユニットは、検知出力に基づいて、環境の少なくとも1つの特徴物を決定するように構成される。処理ユニットは、
- 2つ以上の仮想位置に対して2つ以上の危険度を推定するために、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の2つ以上の仮想位置の各仮想位置において、特徴物に関するそれぞれの危険度を推定することと、
- 2つ以上の危険度に基づいて、危険ゾーンを形成することと
を行うことによって、現在時刻に対して特徴物の危険ゾーンを決定するように構成される。
表示ユニットは、特徴物および特徴物の危険ゾーンを用いて、車両の環境を表示するように構成される。
【0008】
言い換えれば、本発明の第1の態様によれば、処理ユニットは、車両は現在時刻での車両の実際位置ではなく、仮想位置に位置すると想定して、現在時刻に対して、および現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の環境内の検出された特徴物に関する理論的危険度を推定するように構成される。仮想位置は、実際位置とは異なる、車両の想定される位置に対応し、従って、理論的位置である。具体的には、2つ以上の仮想位置は互いに異なり、現在時刻での車両の実際位置とは異なる位置を備えるまたはそれに対応する。「検知する」および「検出する」という用語は、同義語として用いられ得る。
【0009】
車両の仮想位置に対して推定された特徴物に関する危険度は、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、および車両の実際位置が仮想位置に等しい時点での、車両の少なくとも1つのパラメータに基づかずに推定される。従って、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、現在時刻での特徴物に関する危険度を推定するために、現在時刻での車両の実際位置は用いられず、車両の仮想位置が用いられる。その仮想位置は、現在時刻での車両の理論的位置に対応する。
【0010】
従って、本発明の第1の態様によれば、現在時刻で、少なくとも1つの特徴物に関する危険度は、車両の仮想位置に対して推定され得る。すなわちそれは、現在時刻で車両は実際位置ではなく、少なくとも1つの特徴物に関する危険度を現在時刻で推定するための仮想位置であることが想定される。実際位置ではなく、仮想位置(想定される)が現在時刻で、少なくとも1つの特徴物に関する危険度を推定するために用いられるが、危険度の推定は、現在時刻で存在する車両の少なくとも1つのパラメータの値に基づく。現在時刻での危険度の推定のための本発明の第1の態様によれば、車両が実際に仮想位置にある時点で(すなわち車両の実際位置が、車両の想定される仮想位置に等しいときに)、存在するであろう車両の少なくとも1つのパラメータの値は用いられない。従って、第1の態様の高度運転者支援システムは、車両が実際に仮想位置にある時点で、存在するであろう車両の少なくとも1つのパラメータの値に基づいて、少なくとも1つの特徴物に関する危険度(車両の環境の)を、現在時刻で、車両の仮想位置に対して推定する他のシステムとは異なる。
【0011】
言い換えれば、第1の態様の高度運転者支援システムは、車両が現在時刻で仮想位置に存在する理論的なケースに対して、少なくとも1つの特徴物に関する危険度を推定することを可能にする。従って、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータは、その理論的なケースに対する危険度を推定するために用いられる。これと対照的に前述の他のシステムは単に、将来の時点、すなわち車両が仮想位置に実際に存在することになる時点に対して、少なくとも1つの特徴物に関する危険度を推定するように構成される。従って、他方のシステムは、将来の時点に対する危険度を推定するために、その将来の時点での車両の少なくとも1つのパラメータを用いる。
【0012】
従って、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、および車両の仮想位置に対して推定された、特徴物に関する推定危険度は、車両の実際位置が現在時刻での仮想位置に等しかった場合、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて推定されたであろう、特徴物に関する実際の危険度に対応する。従って、それぞれの危険度は理論的危険度であり、または2つ以上の危険度は理論的危険度である。
【0013】
2つ以上の推定危険度に基づいて危険ゾーンを形成し、特徴物および特徴物の危険ゾーンを用いて車両の環境を表示することによって、危険度空間または危険区域は、特徴物に関して視覚化される。この危険ゾーンは、車両が現在時刻でその中にあるべきではない、危ない区域を表し得る。「ゾーン」、「空間」、および「区域」という用語は同義語として用いられ得る。特徴物の危険ゾーンは、特徴物の個人(すなわち身体近傍)空間を表し得る。これは、各人はその人が侵入されることを望まない自身の個人空間を有するので、表示される車両の環境、表示される特徴物、および表示される特徴物の危険ゾーンに基づいて、運転者が、表示ユニットから、現在時刻での車両の危険状況を直感的に認識することを可能にする。従って、運転者に対して危険ゾーンの形で特徴物の個人空間を示すことによって、運転者は、特徴物の危険ゾーンの表示から特徴物に関する2つ以上の推定危険度についての情報を受け取り得るだけではない。運転者はまた、人の心理により人が直感的に関心をもつようになる、特徴物の個人空間を認識するようになる。すなわち、特徴物の危険ゾーンは、車両が侵入するべきではない区域について運転者に知らせる。
【0014】
第1の態様によるシステムの表示ユニットは、車両の環境の少なくとも1つの特徴物に関する危険度が将来の時点に対してのみ表示される他のシステムと異なる。すなわち、第1の態様によれば、表示ユニットは、少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを表示するように構成され、危険ゾーンは、それぞれの仮想位置に対して、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、それぞれが推定される2つ以上の危険度に基づいて、形成される。言い換えれば、第1の態様によれば、表示ユニットは、現在時刻に対する2つ以上の仮想位置に対する推定危険度を表示するように構成され得る。
【0015】
さらに、環境の関連において特徴物の危険ゾーンに関連して特徴物を表示することは、運転者が将来の運転をより良く計画することを可能にする。現在時刻において、運転者は、表示される特徴物の危険ゾーンに基づいて、現在時刻での車両の実際位置とは異なる、位置(仮想位置)における、現在時刻での特徴物に関する推定危険度を知覚し得る。これは、運転者が、現在時刻での車両の環境内の車両の危険状況を直感的に評価することを可能にする。
【0016】
加えて、特徴物の危険ゾーンおよび特徴物を表示することは、危険の原因または理由と一緒に危険ゾーンの危険度を表示することを可能にし、その結果運転者は、危険ゾーンの危険度に関して注意するための理由を直感的に理解し得る。
【0017】
具体的には、センサユニットは、現在時刻に対して車両の環境を検知するように構成され、表示ユニットは、現在時刻に対して特徴物および特徴物の危険ゾーンを用いて車両の環境を表示するように構成される。センサユニット、処理ユニット、および表示ユニットはそれぞれ、リアルタイムでそれぞれの機能を行うように構成され得る。すなわち、センサユニットは、連続して、車両の環境を検知または監視し、検知出力を処理ユニットに供給するように構成され得る。処理ユニットは、連続して、検知出力に基づいて、環境の少なくとも1つの特徴物を決定し、現在時刻に対して、少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを決定するように構成され得る。表示ユニットは、少なくとも1つの特徴物および少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを用いて、車両の環境を連続して表示するように構成され得る。
【0018】
任意選択で、処理ユニットは、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、現在時刻での車両の実際位置において、特徴物に関する実際の危険度を推定するように構成される。表示ユニットは、少なくとも1つの特徴物および少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンに加えて、特徴物に関する推定される実際の危険度を表示するように構成され得る。
【0019】
2つ以上の仮想位置は、現在時刻での車両の実際位置と比べて、特徴物に空間的により近くなり得る。仮想位置の少なくとも一部は、特徴物から異なる距離にあり得る。
【0020】
処理ユニットは、2つ以上の仮想位置の各仮想位置に対して推定された、それぞれの危険度に基づいて危険ゾーンを形成するように構成される。
【0021】
車両はまた、車両の運転者は高度運転者支援システムによって支援され得るので、自車両と呼ばれ得る。車両は、自動車、モータバイク、トラック、自転車(例えば電動自転車)、飛行機、ヘリコプタ、ボート、潜水艦など、地上、地面近く、または水中で運転者によって運転され得る、当技術分野で知られている任意の車両とすることができる。任意選択で、車両は、少なくとも地上車(地上で移動可能な)である。車両はまた、任意選択で水上車両(水中および任意選択で水面下で移動可能)および/または飛行体(空気中で移動可能、すなわち飛行できる)とすることができる。車両には、燃焼機関、電気モータ、ハイブリッドモータなどのモータが装備され得る。車両が飛行機または車両などの飛行体である場合、飛行体が地上または地面近くを移動されるとき(例えば地面近くを飛ぶヘリコプタ)、道路に関する以下の説明は関連があり得る。車両がボートなどの水上車両である場合、道路に関する以下の説明は、航路、水路など、水の経路に関して関連があり得る。
【0022】
センサユニットは、車両の環境を検知するための1つまたは複数のセンサを備え得るまたはそれに対応し得る。例えば、センサユニットは、少なくとも1つのカメラ、少なくとも1つのレーダセンサ、少なくとも1つのライダーセンサ、少なくとも1つの超音波センサ、少なくとも1つの赤外線センサ、ならびに/または少なくとも1つ存在および/または運動センサを備え得るまたはそれに対応し得る。追加としてまたは代替として、センサユニットは、環境を検知または監視するための当技術分野で知られている任意の他の1つまたは複数のセンサを備え得るまたはそれに対応し得る。
【0023】
高度運転者支援システムは、現在時刻での車両の実際の場所を決定するように構成された位置特定ユニットを備え得る。位置特定ユニットは、処理ユニットの一部とすることができる。位置特定ユニットは、任意選択のナビゲーションシステムの一部とすることができる。位置特定ユニットは、少なくとも1つのジャイロスコープおよび/または少なくとも1つの加速度計を備え得るまたはそれに対応し得る。追加としてまたは代替として、位置特定ユニットは、全地球的航法衛星システム(GNSS)、例えば全地球測位システム(GPS)、および/または移動体通信システム(例えばセルラネットワーク)などの無線通信を用いて、車両の実際位置を決定するように構成され得る。位置特定ユニットは、当技術分野で知られている任意の手段によって実施され得る。
【0024】
高度運転者支援システムは、ナビゲーション支援を車両の運転者にもたらすように構成されたナビゲーションシステムを備え得る。ナビゲーションシステムは、処理ユニットの一部とすることができる。ナビゲーションシステムは、当技術分野で知られている任意の手段によって実施され得る。表示ユニットは、ナビゲーションシステムによって推奨される推奨運転経路を表示するように構成され得る。高度運転者支援システムは、車両の環境に対する、特に現在時刻での車両の実際位置に対する、地図データをもたらすように構成された地図ユニットを備え得る。地図ユニットは、処理ユニットの一部とすることができる。地図ユニットは、地図データを、具体的には1つまたは複数のルックアップテーブルの形で、高度運転者支援システムのデータストレージに記憶するように構成されることができ、および/または地図データを外部から、例えば外部データベースから受信するように構成され得る。データストレージは、USBフラッシュドライバ(USBスティック)、外部ハードディスクドライバ、または光ディスク(例えばブルーレイディスク、DVD、CD)など、リムーバブルデータストレージを備え得るまたはそれに対応し得る。地図ユニットは、外部から地図データをワイヤレスに受信するように構成され得る。
【0025】
処理ユニットは、コントローラ、マイクロコントローラ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはそれらの任意の組み合わせを備え得るまたはそれに対応し得る。処理ユニットは、推定危険度、特に車両の2つ以上の仮想位置に対する2つ以上の推定危険度を計算するための、危険度フレームワークを備え得る。危険度フレームワークは、処理ユニットによって実行可能なソフトウェアに対応し得る。処理ユニットは、車両のそれぞれの仮想位置に対する推定危険度を計算するように構成された危険度エンジンを備え得る。処理ユニットは、経路に関する危険度推定を行うように構成された危険度マッパを備え得る。経路は、車両と特徴物との間の経路を備え得るまたはそれに対応することができ、現在時刻での車両の推定される運転経路、および/または特徴物が可動障害物である場合は、特徴物の推定される運動経路である。処理ユニットは、運転者の動作の意図を予測する、具体的には運転者の意図された運転行動を予測するように構成された状況分類器を備え得る。危険度エンジン、危険度マッパ、および状況分類器は、完全な危険度フレームワークを形成し得る。危険度エンジン、危険度マッパ、および状況分類器は、処理ユニットによって実行可能なソフトウェアに対応し得る。危険度フレームワーク、具体的には危険度エンジン、危険度マッパ、および状況分類器は、当技術分野で知られている任意の手段によって実施され得る。すなわち、処理ユニットは、当技術分野で知られている任意の手段により、処理ユニットに入力データとして供給される、車両の少なくとも1つのパラメータ、および車両の任意の位置に基づいて、危険度を推定するように構成され得る。本発明の第1の態様によれば、現在時刻での車両の位置として、車両の2つ以上の仮想位置が処理ユニットに入力される。
【0026】
表示ユニットは、1つまたは複数のディスプレイ(スクリーンとも呼ばれる)を備え得るまたはそれに対応し得る。追加としてまたは代替として、表示ユニットは、情報を表示するためのヘッドアップディスプレイ(すなわち透明ディスプレイ)を備え得るまたはそれに対応し得る。情報は、車両の環境、特徴物、特徴物の危険ゾーン、および/または特徴物についての追加の情報、ならびに/または環境の他の特性を備え得るまたはそれに対応し得る。表示ユニットは、地図データに基づいてナビゲーションを表示するように構成され得る。表示ユニットは、地図データに基づいて環境を表示するように構成され得る。表示ユニットは、車両の状態について、具体的には車両の少なくとも1つのパラメータについての情報を表示するように構成され得る。表示ユニットは、少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンに関する車両の実際位置に応じて、運転行動について運転者に指示する情報(例えば減速させる、ブレーキをかけるなどの指示)を表示するように構成され得る。
【0027】
表示ユニットは、車両の環境の2D鳥瞰図において、少なくとも1つの特徴物および少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを表示するように構成され得る。追加としてまたは代替として、表示ユニットは、車両の環境の仮想現実表示に含まれる一人称視点の視野において、少なくとも1つの特徴物および少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを表示するように構成され得る。追加としてまたは代替として、表示ユニットは、拡張現実表示を用いて、一人称視点の視野において、少なくとも1つの特徴物および少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを表示するように構成され得る。追加としてまたは代替として、表示ユニットは、少なくとも1つの特徴物および少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを、車両が走行する道路の2D平面上にそれらが投影されるように、およびそれらが道路の幾何形状によって制約される(例えば走行可能な区域のみで可視化される)ように、表示するように構成され得る。
【0028】
高度運転者支援システムは、マンマシンインターフェース(HMI)を備え得る。表示ユニットは、マンマシンインターフェースの一部となり得るまたはそれに対応し得る。マンマシンインターフェースは、少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンの危険度に基づいて、運転行動推奨または指示(例えば減速させる、ブレーキをかけるなど)および警告を出力するように構成され得る。加えてまたは代替として、マンマシンインターフェースは、現在時刻での車両の実際位置と、危険ゾーンの境界との間の距離に基づいて、運転行動推奨または指示および警告を出力するように構成され得る。マンマシンインターフェースは、視覚的出力、具体的には表示ユニットを用いて、音声出力(例えばスピーカを用いて)、および/または触覚出力(例えば、ハンドルに配置された振動要素などの、振動要素を用いて)を、もたらすように構成され得る。マンマシンインターフェースは、当技術分野で知られている任意の手段によって実施され得る。推奨および警告は、運転者の運転行動をサポートするためにマンマシンインターフェースによって運転者に通信され得る。
【0029】
処理ユニットが車両の環境の2つ以上の特徴物を決定する場合、1つの特徴物に関する上記の説明および以下の説明は、2つ以上の特徴物の各特徴物に対して、対応して有効である。
【0030】
任意選択で、処理ユニットは、2つ以上の仮想位置に対して2つ以上のそれぞれの危険度を推定するために、車両の2つ以上の仮想位置を備えるまたはそれに対応する車両の複数の仮想位置に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことによって、現在時刻に対して特徴物の危険ゾーンを決定するように構成される。危険度推定プロセスの各反復において、複数の仮想位置のそれぞれの仮想位置に対して、特徴物に関するそれぞれの危険度が、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて推定される。反復の後に危険度推定プロセスは停止され、そこではそれぞれの危険度は、危険度閾値以下である。
【0031】
危険度推定プロセスにおいて推定される2つ以上の危険度の数が、閾値より小さい場合、処理ユニットは、危険度推定プロセスを繰り返すように構成されることができ、繰り返される危険度推定プロセスで用いられる複数の仮想位置の、特徴物からの距離は、危険度推定プロセスで用いられる複数の仮想位置の、特徴物からの距離と比べて減少される。初期には、複数の仮想位置は、制約条件内で任意に選択され得る。このような制約条件は、仮想位置がその中に配置されることになる、特徴物の周りの区域とすることができる。
【0032】
危険度推定プロセスが最初の反復の後に停止する場合、処理ユニットは、危険度推定プロセスを繰り返すように構成されることができ、繰り返される危険度推定プロセスで用いられる複数の仮想位置の、特徴物からの距離は、危険度推定プロセスで用いられる複数の仮想位置の、特徴物からの距離と比べて減少される。
【0033】
危険度推定プロセスが最初の反復の後に停止する場合、処理ユニットは、危険度推定プロセスの最初の反復において用いられた仮想位置と比べて異なる仮想位置を、繰り返される危険度推定プロセスの最初の反復で用いて、危険度推定プロセスを繰り返すように構成され得る。
【0034】
処理ユニットは、特徴物に空間的に最も近い複数の仮想位置のうちの仮想位置から開始して、特徴物からの、複数の仮想位置の距離の順序で、車両の複数の仮想位置に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うように構成され得る。任意選択で、複数の仮想位置は、現在時刻での車両の実際位置と比べて、特徴物に空間的により近い。
【0035】
処理ユニットは、それぞれの危険度が危険度閾値以下である、反復の仮想位置を、特徴物の危険ゾーンの始まりまたは終わりを規定する限界位置として、記憶するように構成され得る。
【0036】
任意選択で、処理ユニットは、危険度推定プロセスがそれの後に停止される、危険度推定プロセスの最後の反復において推定される危険度を除いて、危険度推定プロセスによって推定されるすべての危険度を用い得る。すなわち、2つ以上の危険度は、危険度推定プロセスがそれの後に停止される、危険度推定プロセスの最後の反復において推定される危険度を除いて、危険度推定プロセスによって推定される危険度に対応し得る。
【0037】
処理ユニットが環境の2つ以上の特徴物を決定する場合、処理ユニットは、現在時刻に対して、2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを決定するように構成されることができ、表示ユニットは、2つ以上の特徴物、および2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを用いて、車両の環境を表示するように構成され得る。代替として、処理ユニットは、現在時刻に対して、2つ以上の特徴物の各特徴物の危険ゾーンを決定するように構成されることができ、表示ユニットは、2つ以上の特徴物、および2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを用いて、車両の環境を表示するように構成され得る。
【0038】
特徴物は、環境内に存在する障害物、環境内に存在する道路特性、および交通規則を示す標識の少なくとも1つを備え得るまたはそれに対応し得る。
【0039】
例えば、このような標識は、交通規則として、ある位置で停止すること、ある位置で別の車両に道を譲ること、または運転速度を速度制限まで制限することを示し得る。
【0040】
障害物は、他車両、人、および他の物理的対象物を備え得る。道路特性は、道路カーブ、道路の交差点、勾配閾値より大きな道路勾配、天候に影響される道路区域、および損傷した表面を有する道路区域を備え得る。交通規則を示す標識は、交通標識、道路上の地面マーキング、および交通信号灯を備え得る。
【0041】
少なくとも1つのパラメータは、車両の駆動方向、車両の速度、車両の加速度、車両の加速時間、車両の制動時間、車両のサイズ、および車両の形状の少なくとも1つを備え得るまたはそれに対応し得る。
【0042】
高度運転者支援システムは、車両の少なくとも1つのパラメータを検知し、車両の少なくとも1つのパラメータを処理ユニットに供給するように構成された1つまたは複数のセンサを備え得る。追加としてまたは代替として、処理ユニットは、車両の少なくとも1つのパラメータを外部から、例えば外部データベースから受信するように構成される。処理ユニットは、車両の少なくとも1つのパラメータを外部から、ワイヤレスに受信するように構成され得る。
【0043】
それぞれの危険度は、特徴物のタイプに応じて、時間ベースの危険度を備え得るまたはそれに対応し得る。時間ベースの危険度は、車間時間、衝突までの時間、ブレーキまでの時間、ブレーキ脅威数、操縦までの時間、および責任感知型安全論のうちの1つとすることができる。加えてまたは代替として、それぞれの危険度は、特徴物のタイプに応じて、確率的な危険度を備え得るまたはそれに対応し得る。確率的な危険度は、ガウス法によって推定される危険度、または生存率分析によって推定される危険度とすることができる。
【0044】
それぞれの危険度は、特徴物のタイプ、および任意選択で現在時刻での車両の推定される運転経路に応じて、
- 特徴物が環境内に存在する障害物、道路の交差点、または少なくとも1つの交通規則を示す標識(任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯)に対応する場合は、衝突の危険度
- 特徴物が道路カーブ、道路の交差点、勾配閾値より大きな道路勾配、天候に影響される道路区域、または損傷した表面を有する道路区域である場合は、車線逸脱の危険度、
- 特徴物が道路カーブまたは道路の交差点である場合は、横加速度の危険度、
- 特徴物が勾配閾値より大きな道路勾配である場合は、加速度の危険度、
- 特徴物が道路カーブ、道路の交差点、勾配閾値より大きな道路勾配、天候に影響される道路区域、または損傷した表面を有する道路区域である場合は、車両の制御損失の危険度、
- 特徴物が少なくとも1つの交通規則を示す標識(任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯)に対応する場合は、交通規則の違反の危険度、および/または
- 特徴物が損傷した表面を有する道路区域に対応する場合は、車両の損傷の危険度
を備え得るまたはそれに対応し得る。
【0045】
言い換えれば、2つ以上の危険度(車両の2つ以上の仮想位置で推定される)は、衝突の危険度、車線逸脱の危険度、横加速度の危険度、加速度の危険度、車両の制御損失の危険度、交通規則の違反の危険度、および/または車両の損傷の危険度を備え得るまたはそれに対応し得る。
【0046】
任意選択で、車両の仮想位置は格子を形成する。
【0047】
処理ユニットは、特徴物のタイプに応じて、環境内の仮想位置を配置するように構成され得る。加えてまたは代替として、処理ユニットは、仮想位置が、少なくとも、現在時刻での車両と特徴物との間の区域に配置されるように、環境内の仮想位置を配置するように構成され得る。加えてまたは代替として、処理ユニットは、仮想位置が、現在時刻での車両と特徴物との間の区域に配置されるように、環境内の仮想位置を配置するように構成され得る。加えてまたは代替として、処理ユニットは、仮想位置の少なくとも1つが、現在時刻での特徴物の実際位置または特徴物の一部の実際位置に等しくなるように、環境内の仮想位置を配置するように構成され得る。加えてまたは代替として、処理ユニットは、仮想位置の少なくとも1つが、現在時刻での特徴物の実際位置に関連付けられた、または特徴物の一部の実際位置に関連付けられた位置に等しくなるように、環境内の仮想位置を配置するように構成され得る。
【0048】
任意選択で、処理ユニットは、仮想位置が経路に沿って配置されるように、環境内の仮想位置を配置するように構成される。経路は、現在時刻での車両と特徴物との間の経路とすることができる。加えてまたは代替として、経路は、現在時刻での車両の推定される運転経路とすることができる。加えてまたは代替として、経路は、特徴物が可動障害物である場合、特徴物の推定される将来の運動経路とすることができる。加えてまたは代替として、経路は、現在時刻で、車両および/または可動障害物がそこに存在する、任意選択でそこを移動する、道路に適合され得る。加えてまたは代替として、経路は特徴物に適合され得る。経路は、地図データによってもたらされ得る。
【0049】
推定される運転経路は、運転者の運転行動、および/またはナビゲーションが実行されるナビゲーションシステムに基づいて決定され得る(経路は、ナビゲーションシステムによって推奨される推奨運転経路に対応する)。「道路に適合される」という一節は、「進路および/または道路の形状に適合される」ことと理解され得る。
【0050】
表示ユニットは、危険ゾーンの境界と現在時刻での車両の実際位置との間の距離に応じて、危険ゾーンの色、陰影、および/またはパターンを変化させることによって、特徴物の危険ゾーンを表示するように構成され得る。加えてまたは代替として、表示ユニットは、危険ゾーンが、異なる色、陰影、および/またはパターンの区分に区分化されるように、特徴物の危険ゾーンを表示するように構成されることができ、区分は、連続した危険度の範囲に対応する。加えてまたは代替として、表示ユニットは、危険ゾーンは、特徴物および/または現在時刻において特徴物が存在する道路に適合されるように、特徴物の危険ゾーンを表示するように構成され得る。
【0051】
特徴物が道路カーブである場合、処理ユニットは、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の仮想位置の各仮想位置において、それぞれの危険度として、道路カーブの曲率によって引き起こされる横加速度を推定するように構成され得る。仮想位置は、道路カーブの異なる部分の実際位置に等しくすることができる。それぞれの危険度は、車線逸脱の危険度とすることができ、横加速度が大きいほど、車線逸脱の危険度は大きくなる。
【0052】
特徴物が、少なくとも1つの交通規則(任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯)、または道路の交差点を示す標識である場合、処理ユニットは、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の仮想位置の各仮想位置において、それぞれの危険度として、衝突の危険度を推定するように構成され得る。仮想位置は、少なくとも、車両と特徴物との間の区域に配置されることができ、仮想位置の少なくとも1つは、特徴物の実際位置または特徴物の一部の実際位置に等しくすることができる。これは、特徴物が道路または道路の交差点上の地面マーキング(少なくとも1つの交通規則を示す標識としての)であるときに当てはまり得る。代替として、仮想位置は、少なくとも車両と特徴物との間の区域に配置されることができ、仮想位置の少なくとも1つは、特徴物の実際位置に関連付けられた、または特徴物の一部の実際位置に関連付けられた位置に等しい。これは、特徴物が交通標識または交通信号灯(少なくとも1つの交通規則を示す標識)であるときに、当てはまり得る。
【0053】
処理ユニットは、少なくとも1つの特徴物の2つ以上の危険度および/または危険ゾーンに基づいて、運転行動推奨を決定するように構成され得る。加えてまたは代替として、処理ユニットは、少なくとも1つの特徴物の2つ以上の危険度および/または危険ゾーンに基づいて、運転行動指示を決定するように構成され得る。加えてまたは代替として、処理ユニットは、少なくとも1つの特徴物の2つ以上の危険度および/または危険ゾーンに基づいて、警告を決定するように構成され得る。表示ユニットは、運転行動推奨、運転行動指示、および/または警告を表示するように構成され得る。このために、高度運転者支援システムは、すでに上記で概説されたように、マンマシンインターフェース(HMI)を備え得る。表示ユニットは、マンマシンインターフェースの一部とするまたはそれに対応することができる。運転行動推奨、運転行動指示、警告、およびマンマシンインターフェースに関する上記の説明は、対応して有効である。
【0054】
すでに上記で概説されたように、表示ユニットは、少なくとも1つの特徴物および少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを、
- 車両の環境の2D鳥瞰図において、
- 車両の環境の仮想現実表示に含まれる一人称視点の視野において、
- 拡張現実表示を用いて、一人称視点の視野において、および/または
- 車両が走行する道路の2D平面上にそれらが投影されるように、およびそれらが道路の幾何形状によって制約されるように
表示するように構成され得る。
本発明の第1の態様による高度運転者支援システムを実現するために、上述の任意選択の特徴物のいくつかまたはすべては、互いに組み合わされ得る。
【0055】
本発明の第2の態様によれば、車両がもたらされ、車両は、上述のような、車両の運転者を支援するための、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムを備える。
【0056】
本発明の第1の態様による高度運転者支援システムに関する上記の説明は、本発明の第2の態様による車両に対しても有効である。
【0057】
本発明の第2の態様による車両は、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムと同じ利点を実現する。
【0058】
車両の高度運転者支援システムは、上述の本発明の第1の態様の高度運転者支援システムにより実施される。
【0059】
本発明の第3の態様によれば、車両の運転者を支援する方法がもたらされる。方法は、車両の環境を検知すること、検知出力を供給すること、および検知出力に基づいて、環境の少なくとも1つの特徴物を決定することを含み得る。方法は、2つ以上の仮想位置に対して2つ以上の危険度を推定するために、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の2つ以上の仮想位置の各仮想位置に対して、特徴物に関するそれぞれの危険度を推定することにより、および2つ以上の危険度に基づいて、危険ゾーンを形成することにより、現在時刻に対して特徴物の危険ゾーンを決定することをさらに含む。方法は、特徴物および特徴物の危険ゾーンを用いて、車両の環境を表示することをさらに含む。
【0060】
本発明の第1の態様による高度運転者支援システムに関する上記の説明は、本発明の第3の態様による方法に対しても有効である。
【0061】
任意選択で、方法は、2つ以上の仮想位置に対して2つ以上の危険度を推定するために、車両の2つ以上の仮想位置を備えるまたはそれに対応する車両の複数の仮想位置に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことによって、現在時刻に対して特徴物の危険ゾーンを決定することを含む。危険度推定プロセスの各反復において、複数の仮想位置のそれぞれの仮想位置で、特徴物に関するそれぞれの危険度が、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて推定される。反復の後に危険度推定プロセスは停止され、そこではそれぞれの危険度は、危険度閾値以下である。
【0062】
環境の2つ以上の特徴物が決定される場合、方法は、現在時刻に対して、2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを決定すること、および2つ以上の特徴物および2つ以上の特徴物のうちの特徴物の危険ゾーンを用いて、車両の環境を表示することを含み得る。代替として、方法は、現在時刻に対して、2つ以上の特徴物の各特徴物の危険ゾーンを決定すること、ならびに2つ以上の特徴物および2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを用いて、車両の環境を表示することを含み得る。
【0063】
方法は、特徴物のタイプに応じて、環境内の仮想位置を配置することを含み得る。加えてまたは代替として、方法は、仮想位置が、任意選択で少なくとも、現在時刻での車両と特徴物との間の区域に配置されるように、環境内の仮想位置を配置することを含み得る。加えてまたは代替として、方法は、仮想位置の少なくとも1つが、現在時刻での特徴物の実際位置または特徴物の一部の実際位置に等しくなるように、環境内の仮想位置を配置することを含み得る。加えてまたは代替として、方法は、仮想位置の少なくとも1つが、現在時刻での特徴物の実際位置に関連付けられた、または特徴物の一部の実際位置に関連付けられた位置に等しくなるように、環境内の仮想位置を配置することを含み得る。
【0064】
任意選択で、方法は、仮想位置が経路に沿って配置されるように、環境内の仮想位置を配置することを含み得る。経路は、現在時刻での車両と特徴物との間の経路とすることができる。加えてまたは代替として、経路は、現在時刻での車両の推定される運転経路とすることができる。加えてまたは代替として、経路は、特徴物が可動障害物である場合、特徴物の推定される運動経路とすることができる。加えてまたは代替として、経路は、現在時刻で、車両および/または可動障害物がそこに存在する、任意選択でそこを移動する、道路に適合される。加えてまたは代替として、経路は特徴物に適合され得る。
【0065】
方法は、危険ゾーンの境界と現在時刻での車両の実際位置との間の距離に応じて、危険ゾーンの色、陰影、および/またはパターンを変化させることによって、特徴物の危険ゾーンを表示することを含み得る。加えてまたは代替として、方法は、危険ゾーンが、異なる色、陰影、および/またはパターンの区分に区分化されるように、特徴物の危険ゾーンを表示することを含むことができ、区分は、連続した危険度の範囲に対応する。加えてまたは代替として、方法は、危険ゾーンは、特徴物および/または現在時刻において特徴物が存在する道路に適合されるように、特徴物の危険ゾーンを表示することを含み得る。
【0066】
特徴物が道路カーブである場合、方法は、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の仮想位置の各仮想位置に対して、それぞれの危険度として、道路カーブの曲率によって引き起こされる横加速度を推定することを含み得る。仮想位置は、道路カーブの異なる部分の実際位置に等しくすることができる。
【0067】
特徴物が、少なくとも1つの交通規則(任意選択で交通標識、道路上の地面マーキング、または交通信号灯)、または道路の交差点を示す標識である場合、方法は、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の仮想位置の各仮想位置において、それぞれの危険度として、衝突の危険度を推定することを含み得る。仮想位置は、少なくとも、車両と特徴物との間の区域に配置されることができ、仮想位置の少なくとも1つは、特徴物の実際位置または特徴物の一部の実際位置に等しくすることができる。代替として、仮想位置は、少なくとも車両と特徴物との間の区域に配置されることができ、仮想位置の少なくとも1つは、特徴物の実際位置に関連付けられた、または特徴物の一部の実際位置に関連付けられた位置に等しい。
【0068】
本発明の第3の態様による方法は、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムと同じ利点を実現する。
【0069】
本発明の第3の態様による方法を実現するために、上述の任意選択の特徴物のいくつかまたはすべてが互いに組み合わされ得る。
【0070】
本発明の第4の態様は、上述のように、本発明の第3の態様による方法を行うためのプログラムコードをもたらす。
【0071】
本発明の第5の態様は、プロセッサによって実施されたとき、上述のように、本発明の第3の態様による方法を行うためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラムをもたらす。
【0072】
本発明の第6の態様は、上述のように、本発明の第3の態様による方法を行うためのプログラムコードを記憶および実行するように構成された、メモリおよびプロセッサを備えたコンピュータをもたらす。
【0073】
第4の態様のプログラムコード、第5の態様によるコンピュータプログラム、および第6の態様によるコンピュータはそれぞれ、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムと同じ利点を実現する。
【0074】
以下では、添付の図を参照して本発明が例示的に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】本発明の第3の態様による方法の実施形態のフロー図を例示的に示す図である。
【
図2】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態のブロック図を例示的に示す図である。
【
図3】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態を用いる2つのシナリオを例示的に示す図である。
【
図4】異なる条件に対して、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態を用いるシナリオを例示的に示す図である。
【
図5】異なる条件に対して、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態を用いるシナリオを例示的に示す図である。
【
図6】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態を用いる2つのシナリオを例示的に示す図である。
【
図7】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態の表示ユニットによって表示され得る出力の例を示す図である。
【
図8】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態の表示ユニットによって表示され得る出力の例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態の表示ユニットによって表示され得る出力の例を示す図である。
【
図10】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態の表示ユニットによって表示され得る出力の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態の表示ユニットによって表示され得る出力の例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態の表示ユニットによって表示され得る出力の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、本発明の第3の態様による方法の実施形態のフロー図を例示的に示す。ステップ100で、車両の環境が検知されることができ、検知出力が供給され得る。ステップ100に続くステップ200で、検知出力に基づいて、環境の少なくとも1つの特徴物が決定され得る。ステップ200に続くステップ300で、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、車両の2つ以上の仮想位置の各仮想位置において、2つ以上の仮想位置に対して2つ以上の危険度を推定するために、特徴物に関するそれぞれの危険度が推定され得る。ステップ300に続くステップ400で、2つ以上の危険度に基づいて、特徴物の危険ゾーンが形成され得る。ステップ400に続くステップ500で、特徴物および特徴物の危険ゾーンを用いて車両の環境が表示され得る。ステップ300および400は、現在時刻に対して特徴物の危険ゾーンを決定することを可能にする。
【0077】
ステップ200で2つ以上の特徴物を決定する場合、ステップ300および400は、2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物に対して行われることができ、少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンを生成する。ステップ500で、車両の環境、2つ以上の特徴物、および2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンが表示され得る。代替として、ステップ300および400は、2つ以上の特徴物の各特徴物に対して行われ得る。この場合、ステップ500で、車両の環境、2つ以上の特徴物、および2つ以上の特徴物の少なくとも1つの特徴物の危険ゾーンが表示され得る。代替として、ステップ500で、車両の環境、2つ以上の特徴物、および2つ以上の特徴物の各特徴物の危険ゾーンが表示され得る。
【0078】
図1の方法についてのより詳しい説明のために、本発明の第3の態様による方法、および本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの上記の説明が参照される。
【0079】
図2は、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態のブロック図を例示的に示す。
【0080】
図2は、車両の運転者を支援するための高度運転者支援システム1を示す。
図2に示されるように、高度運転者支援システム1は、センサユニット2と、処理ユニット3と、表示ユニット4とを備え得る。センサユニット2は、車両の環境を検知するための1つまたは複数のセンサ2aを備え得るまたはそれに対応し得る。センサユニット2は、
図1の方法の方法ステップ100を行うように構成され得る。プロセッサユニット3は、
図1の方法のステップ200、300、および400を行うように構成され得る。表示ユニット4は、
図1の方法のステップ500を行うように構成され得る。
【0081】
図2の高度運転者支援システム1、具体的にはセンサユニット2、処理ユニット3、および表示ユニット4についてのより詳しい説明のために、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの上記の説明が参照される。具体的には、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムのセンサユニット、処理ユニット、および表示ユニットの上記の説明が参照される。
【0082】
図3、4、5、および6は、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態を用いるシナリオを例示的に示す。
【0083】
図3(a)は、本発明の実施形態による高度運転者支援システムによって支援される運転者によって運転される車両11(自車両)の前方を、他車両12が運転しているシナリオを示す。従って、高度運転者支援システムの処理ユニットは、センサユニット(車両11の環境を検知する)の検知出力に基づいて、車両11の環境の少なくとも1つの特徴物として、他車両12を決定するように構成される。
図3、4、5、および6で、参照符号「AP1」は現在時刻での車両11(すなわち自車両)の実際位置を示すために用いられ、
図3、4、および5で、参照符号「AP2」は現在時刻での他車両12の実際位置を示すために用いられる。
図3、4、および5のシナリオでは、車両11の環境内に存在する特徴物は、他車両12である。
図6(a)のシナリオでは、車両11の環境内に存在する特徴物は、道路カーブ13であり、
図6(b)のシナリオでは、車両11の環境内に存在する特徴物は、少なくとも1つの交通規則を示す標識14、具体的には地面マーキングおよび/または交通標識である。
【0084】
実際位置または仮想位置を示すための、車両11および他車両12の黒丸の位置は、例としてのみであり、
図3、4、5、および6に示されるものとは異なって配置され得る。例えば、車両11の実際位置または仮想位置を示す車両11の黒丸は、車両11の前端、後端の位置、または任意の他の位置とすることができる。
【0085】
図3(a)のシナリオに示されるように、車両11の3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対して、処理ユニットは、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、現在時刻での他車両12に関するそれぞれの危険度を推定し得る。仮想位置の数は例としてのみであり、従って、本発明を限定するものではない。数は、2つ以上の仮想位置とすることができる。車両の少なくとも1つのパラメータは、車両11の速度であると例示的に想定される。車両の少なくとも1つのパラメータは、本発明の第1の態様の高度運転者支援システムに関して上述されたように、1つまたは複数のパラメータを備え得るまたはそれに対応し得る。他車両に関するそれぞれの危険度は、他車両12との車両11の衝突の危険度として例示的に想定される。
【0086】
図3(a)に示されるように、車両11の仮想位置VP1、VP2、およびVP3は、車両11と他車両12との間の区域に配置され、それらは車両11の実際位置AP1と比べて、他車両12の実際位置AP2に空間的により近い。
図3(a)に示されるように、仮想位置VP1、VP2、およびVP3は、車両11と他車両12との間の経路(破線によって示される)に沿って配置され得る。任意選択で、経路は、現在時刻での車両11の推定される運転経路である。3つの仮想位置は、任意に、または順序付けられた形で、例えば仮想位置の間に等間隔で配置され得る。具体的には、仮想位置は格子を形成し得る。
【0087】
処理ユニットは、現在時刻に対する3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3で推定される3つの推定危険度に基づいて、他車両12の危険ゾーンRZを形成するように構成され得る(すなわち、3つの仮想部分VP1、VP2、およびVP3の各仮想位置において、3つの推定危険度のそれぞれの危険度が、現在時刻に対して推定される)。
【0088】
図3(a)に示されるように、他車両12の危険ゾーンRZを形成するための危険度の推定は、任意選択で、車両11の複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことによって行われ得る。危険度推定プロセスの各反復において、複数の仮想位置のそれぞれの仮想位置で、他車両12に関するそれぞれの危険度(例えば他車両12との車両11の衝突の危険度)が、現在時刻での車両11の少なくとも1つのパラメータ(例えば車両11の速度)に基づいて推定される。危険度推定プロセスは、それぞれの危険度が危険度閾値以下となる反復の後に停止される。
【0089】
図3(a)の場合、処理ユニットは、他車両12に空間的に最も近い仮想位置VP1から開始して、他車両12からの、複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4の距離の順序で、車両11の複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことが例示的に想定される。さらに、現在時刻に対して仮想位置VP3に対する他車両12に関する推定危険度が、危険度閾値に等しいことが例示的に想定される。従って、現在時刻に対して、他車両12に関する仮想位置VP3に対する危険度を推定した後、処理ユニットは、危険度推定プロセスを停止する。従って、仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対してのみ、他車両に関する危険度が現在時刻に対して推定されるが、仮想位置VP4に対しては、現在時刻に対する危険度は推定されない。このようにして、他車両12の危険ゾーンRZは、3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対して推定される、3つの推定危険度に基づいて形成される。仮想位置VP3は、他車両12の危険ゾーンRZの始まりまたは終わりを規定する限界位置CPとして記憶され得る。
【0090】
図4(a)に示されるように、高度運転者支援システムの表示ユニットは、他車両12の危険ゾーンRZが、異なる色、陰影、および/またはパターンの区分において区分化されるように、他車両12の危険ゾーンRZを表示するように構成されることができ、区分は、連続した危険度の範囲に対応する。他車両の危険ゾーンRZは、
図3(a)に示される車両11の3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対して推定される3つの危険度に基づいて形成されるので、他車両12の危険ゾーンRZは、3つの区分に区分化されることができ、3つの区分の境界は3つの推定危険度に対応する。
【0091】
他車両12と仮想位置VP1との間の危険ゾーンRZの区分(
図4(a)の最も高い密度で点が描かれた区分)は、現在時刻に対して仮想位置VP1に対して推定される危険度以上の危険度の範囲に対応する。推定危険度が衝突の危険度に対応する場合は、危険度の範囲は、他車両12との、他車両12の危険ゾーンRZの境界での100%の危険度と、現在時刻に対して仮想位置VP1に対して推定される衝突の危険度との間である。すなわち、車両11が、他車両12との危険ゾーンRZの境界に配置されるようになる場合、車両11と他車両12との間の衝突が生じるようになる。仮想位置VP1と仮想位置VP2との間の危険ゾーンRZの連続した区分(
図4(a)の2番目に高い密度で点が描かれた区分)は、現在時刻に対して仮想位置VP1に対して推定される危険度より小さく、現在時刻に対して仮想位置VP2に対して推定される危険度以上の危険度の範囲に対応する。仮想位置VP2と仮想位置VP3との間の危険ゾーンRZの連続した区分(
図4(a)の最も低い密度で点が描かれた区分)は、現在時刻に対して仮想位置VP2に対して推定される危険度より小さく、現在時刻に対して仮想位置VP3に対して推定される危険度以上の危険度の範囲に対応する。
【0092】
従って、
図3(a)および4(a)に示されるように、他車両12の危険ゾーンRZは、他車両12の個人空間に対応する。車両11がその危険ゾーンRZに侵入しない限り、他車両12に関する危険度(例えば他車両12との車両11の衝突の危険度)は、現在時刻での仮想位置VP3に対して推定される危険度より小さく、従って、危険度閾値より小さい。車両12の危険ゾーンRZ(表示ユニットに表示されたとき)は、仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対する他車両12に関する理論的危険度を視覚化することによって、車両11の運転者が、他車両12に関する車両11の危険状況を直感的に評価することを可能にする。仮想位置VP1、VP2、およびVP3は、現在時刻での車両11の実際位置AP1とは異なり、具体的には現在時刻での車両11の実際位置AP1と比べて、他車両12に空間的により近い。
【0093】
図4(b)、(c)、および(d)に示されるように、追加としてまたは代替として、高度運転者支援システムの表示ユニットは、危険ゾーンRZの境界と、現在時刻での車両11の実際位置との間の距離に応じて、危険ゾーンの色、陰影、および/またはパターンを変化させることによって、他車両12の危険ゾーンRZを表示するように構成され得る。境界は、
図4(b)、(c)、および(d)において限界位置CPによって示される。
図4(b)において、車両11は、他車両12の危険ゾーンRZの境界から空間的に最も離れている。
図4(c)において、車両11は、
図4(b)と比べて危険ゾーンRZの境界に空間的により近いが、依然として境界とは交差しない。
図4(d)において、車両11は、危険ゾーンRZの境界と交差する。車両11が他車両12に空間的により近いほど、他車両12に関する危険度(例えば衝突の危険度)はより大きくなる。従って、
図4(d)の危険ゾーンRZは警告色、例えば赤色に色付けされ得る。
図4(c)の危険ゾーンは意識向上色、例えばオレンジ色または黄色に色付けされ得る。
図4(b)の危険ゾーンRZは、他車両12に関する車両11の低い危険度状態(安全状態)を示す色、例えば緑色に色付けされ得る。
図4で、危険ゾーンRZの区分または危険ゾーン自体の異なる色、陰影、および/またはパターンは、異なる密度で点が描かれた区域によって示される。
【0094】
高度運転者支援システムの表示ユニットは、
図4(a)の実施形態、および
図4(b)、(c)、および(d)の実施形態による危険ゾーンを、交互に表示するように構成され得る。追加としてまたは代替として、運転者は、
図3(a)のシナリオに対して表示ユニットによって危険ゾーンRZの表示のタイプを選択し得る。
【0095】
図3(b)は、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態を用いる、他のシナリオを例示的に示す。
図3(b)のシナリオにおいて、高度運転者支援システムによって支援される運転者によって運転される車両11(自車両)、および他車両12は、例えば道路の交差点で、車両11の運転経路と他車両12の運転経路とが、互いに垂直に交差するように走行する。
図3(a)および4(a)、(b)、(c)、および(d)に関する上記の説明は、
図3(b)のシナリオを説明するために同様に有効である。
【0096】
車両11の5つの仮想位置VP1、VP2、VP3、VP4、およびVP5での
図3(b)のシナリオによれば、現在時刻に対する他車両12に関する危険度は、現在時刻での車両11の少なくとも1つのパラメータに基づいて、高度運転者支援システムの処理ユニットによって推定される。仮想位置VP1、VP2、VP3、VP4、およびVP5は、経路に沿って配置されることができ、経路は、他車両12の推定される運動経路である。仮想位置VP1、VP2、VP3、VP4、およびVP5に基づいて、処理ユニットは、他車両12の危険ゾーンRZを形成し得る。
【0097】
図5(a)、(b)、および(c)に示されるように、高度運転者支援システムの表示ユニットは、危険ゾーンRZの境界と、現在時刻での車両11の実際位置との間の距離に応じて、危険ゾーンの色、陰影、および/またはパターンを変化させることによって、他車両12の危険ゾーンRZを表示するように構成され得る。
図5(a)において、車両11は、他車両12の危険ゾーンRZの境界から空間的に最も離れている。
図5(b)において、車両11は、
図5(a)と比べて危険ゾーンRZの境界に空間的により近い。
図5(c)において、車両11は、
図5(a)および(b)と比べて、危険ゾーンRZの境界に空間的により近い。
図4(b)、(c)、および(d)に関する上記の説明は、
図5(a)、(b)、および(c)のシナリオを説明するために、特に他車両12の危険ゾーンRZの異なる色付けを説明するために同様に有効である。
【0098】
図6(a)は、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態を用いる、他のシナリオを例示的に示す。
図6(a)のシナリオにおいて、高度運転者支援システムによって支援される運転者によって運転される車両11(自車両)は、前方に道路カーブ13を有する道路に沿って走行する。従って、高度運転者支援システムの処理ユニットは、センサユニット(車両11の環境を検知する)の検知出力に基づいて、道路カーブ13を、車両11の環境の少なくとも1つの特徴物として決定するように構成される。
【0099】
図6(a)のシナリオに示されるように、車両11の3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対して、処理ユニットは、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、現在時刻での道路カーブ13に関するそれぞれの危険度を推定し得る。仮想位置の数は例としてのみであり、従って、本発明を限定するものではない。数は、2つ以上の仮想位置とすることができる。車両の少なくとも1つのパラメータは、現在時刻での車両11の速度であると例示的に想定される。車両の少なくとも1つのパラメータは、本発明の第1の態様の高度運転者支援システムに関して上述されたように、1つまたは複数のパラメータを備え得るまたはそれに対応し得る。他車両に関するそれぞれの危険度は、車両11の横加速度の危険度、および/または車両11の車線逸脱の危険度として例示的に想定される。
【0100】
図6(a)に示されるように、車両11の仮想位置VP1、VP2、およびVP3は、仮想位置VP1、VP2、およびVP3が、それぞれ道路カーブ13の一部の実際位置に等しいように、車両11の環境内に配置される。
図3(a)に示されるように、仮想位置VP1、VP2、およびVP3は、道路カーブ13に適合された経路に沿って配置され得る。任意選択で、経路は、現在時刻での車両11の推定される運転経路である。3つの仮想位置は、任意に、または順序付けられた形で、例えば仮想位置の間に等間隔で配置され得る。具体的には、仮想位置は格子を形成し得る。
【0101】
処理ユニットは、現在時刻に対する3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3で推定される3つの推定危険度に基づいて、道路カーブ13の危険ゾーンRZを形成するように構成され得る(すなわち、3つの仮想部分VP1、VP2、およびVP3の各仮想位置において、3つの推定危険度のそれぞれの危険度が、現在時刻に対して推定される)。
【0102】
図6(a)に示されるように、道路カーブ13の危険ゾーンRZを形成するための危険度の推定は、任意選択で、車両11の複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことによって行われ得る。危険度推定プロセスの各反復において、複数の仮想位置のそれぞれの仮想位置で、道路カーブ13に関するそれぞれの危険度(例えば車両11の横加速度の危険度および/または車線逸脱の危険度)が、現在時刻での車両11の少なくとも1つのパラメータ(例えば車両11の速度)に基づいて推定される。危険度推定プロセスは、それぞれの危険度が危険度閾値以下となる反復の後に停止される。
図6(a)の場合、処理ユニットは、車両11の実際位置AP1から空間的に最も離れた仮想位置VP1から開始して、車両11の実際位置AP1からの、複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4の距離の順序で、車両11の複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことが例示的に想定される。さらに、現在時刻に対して仮想位置VP3に対する道路カーブ13に関する推定危険度が、危険度閾値に等しいことが例示的に想定される。従って、現在時刻に対して、道路カーブ13に関する仮想位置VP3に対する危険度を推定した後、処理ユニットは、危険度推定プロセスを停止する。従って、仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対してのみ、道路カーブ13に関する危険度が現在時刻に対して推定されるが、仮想位置VP4に対しては、現在時刻に対する危険度は推定されない。このようにして、道路カーブ13の危険ゾーンRZは、3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対して推定される、3つの推定危険度に基づいて形成される。
【0103】
図6(a)に示されるように、高度運転者支援システムの表示ユニットは、危険ゾーンRZが、異なる色、陰影、および/またはパターンの区分において区分化されるように、道路カーブの危険ゾーンRZを表示するように構成されることができ、区分は、連続した危険度の範囲に対応する。他車両の危険ゾーンRZは、車両11の3つの仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対して推定される3つの危険度に基づいて形成されるので、危険ゾーンRZは、3つの区分に区分化されることができる。仮想位置VP2を備える危険ゾーンRZの区分(
図6(a)の最も高い密度で点が描かれた区分)は、現在時刻に対して仮想位置VP2に対して推定される危険度を備える高い危険度の範囲に対応する。左および右の連続した区分は、現在時刻に対して仮想位置VP1に対して推定される危険度(右側の区分を参照)、または現在時刻に対して仮想位置VP3に対して推定される危険度(左側の区分を参照)を備える、より低い危険度の範囲に対応する。より低い危険度の範囲は、より高い危険度の範囲の危険度より小さな危険度を備える。
【0104】
例えば、推定危険度が横加速度(運動の方向に対して横方向または横向きの加速度)の危険度の場合、これは道路カーブ13の曲率によって引き起こされ、最も大きな曲率の位置で推定される推定危険度は、最も小さな曲率の位置で推定される推定危険度と比べて大きくなる。仮想位置VP2では、道路カーブ13の曲率は、仮想位置VP1およびVP3での道路カーブ13の曲率より大きい。従って、仮想位置VP2に対して推定される横加速度の危険度は、仮想位置VP1およびVP3に対して推定される横加速度の危険度より大きい。仮想位置VP1での道路カーブ13の曲率は、仮想位置VP3での道路カーブ13の曲率より大きいことが例示的に想定される。従って、仮想位置VP1に対して推定される横加速度の危険度は、仮想位置VP3に対して推定される横加速度の危険度より大きい。
【0105】
図6(a)によれば、危険ゾーンRZは道路カーブ13に、従って、道路の進路および形状に適合される。危険ゾーンRZは、異なって配置されることができ、従って、異なって表示され得る。
【0106】
従って、
図6(a)に示されるように、道路カーブ13の危険ゾーンRZは、道路カーブ13の個人空間に対応する。車両11がその危険ゾーンに侵入しない限り、道路カーブ13に関する危険度(例えば道路カーブの曲率によって引き起こされる横加速度の危険度)は、現在時刻での仮想位置VP3に対して推定される危険度より小さく、従って、危険度閾値より小さい。道路カーブ13の危険ゾーンRZ(表示ユニットに表示されたとき)は、仮想位置VP1、VP2、およびVP3に対する道路カーブ13に関する理論的危険度を視覚化することによって、車両11の運転者が、道路カーブ13に関する車両11の危険状況を直感的に評価することを可能にする。仮想位置VP1、VP2、およびVP3は、現在時刻での車両11の実際位置AP1とは異なる。
【0107】
図6(b)は、本発明の実施形態による高度運転者支援システムによって支援される運転者によって運転される車両11の前方に、少なくとも1つの交通規則を示す標識14、例えば道路上の地面マーキングおよび/または交通標識があるシナリオを示す。さらなる説明のために、少なくとも1つの交通規則を示す標識14は、交通標識14であることが例示的に想定される。これはこの説明に対して限定するものではなく、従って、この説明は、少なくとも1つの交通規則を示す任意の他の標識に対しても有効である。従って、高度運転者支援システムの処理ユニットは、センサユニット(車両11の環境を検知する)の検知出力に基づいて、車両11の環境の少なくとも1つの特徴物として、交通標識14を決定するように構成される。
【0108】
図6(b)のシナリオに示されるように、車両11の4つの仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対して、処理ユニットは、現在時刻での車両の少なくとも1つのパラメータに基づいて、現在時刻での交通標識14に関するそれぞれの危険度を推定し得る。仮想位置の数は例としてのみであり、従って、本発明を限定するものではない。数は、2つ以上の仮想位置とすることができる。車両の少なくとも1つのパラメータは、現在時刻での車両11の速度であると例示的に想定される。車両の少なくとも1つのパラメータは、本発明の第1の態様の高度運転者支援システムに関して上述されたように、1つまたは複数のパラメータを備え得るまたはそれに対応し得る。他車両に関するそれぞれの危険度は、交通規則(交通標識によって示される)の違反の危険度として例示的に想定される。
【0109】
図6(b)に示されるように、車両11の仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4は、少なくとも、車両11と交通標識14との間の区域に配置され、仮想位置のうちの仮想位置VP1は、交通標識14の実際位置に関連付けられた位置に等しい。仮想位置は、車両11の実際位置AP1と比べて、交通標識14の実際位置に空間的により近い。
図6(b)に示されるように、仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4は、車両11と交通標識の実際位置に関連付けられ位置との間の経路(破線によって示される)に沿って配置され得る。任意選択で、経路は、現在時刻での車両11の推定される運転経路である。4つの仮想位置は、任意に、または順序付けられた形で、例えば仮想位置の間に等間隔で配置され得る。具体的には、仮想位置は格子を形成し得る。
【0110】
処理ユニットは、現在時刻に対する4つの仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4で推定される4つの推定危険度に基づいて、交通標識14の危険ゾーンRZを形成するように構成され得る(すなわち、4つの仮想部分VP1、VP2、VP3、およびVP4の各仮想位置において、4つの推定危険度のそれぞれの危険度が、現在時刻に対して推定される)。
【0111】
図6(b)に示されるように、道路標識14の危険ゾーンRZを形成するための危険度の推定は、任意選択で、車両11の複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、VP4、およびVP5に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことによって行われ得る。危険度推定プロセスの各反復において、複数の仮想位置のそれぞれの仮想位置で、交通標識14に関するそれぞれの危険度(例えば交通標識14によって示される交通規則の違反の危険度)が、現在時刻での車両11の少なくとも1つのパラメータ(例えば車両11の速度)に基づいて推定される。危険度推定プロセスは、それぞれの危険度が危険度閾値以下となる反復の後に停止される。
【0112】
図6(b)の場合、処理ユニットは、交通標識14に空間的に最も近い仮想位置VP1から開始して、交通標識14からの、複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、VP4、およびVP5の距離の順序で、車両11の複数の仮想位置VP1、VP2、VP3、VP4、およびVP5に対して、危険度推定プロセスを反復的に行うことが例示的に想定される。さらに、現在時刻に対して仮想位置VP4に対する交通標識14に関する推定危険度が、危険度閾値に等しいことが例示的に想定される。従って、現在時刻に対して、交通標識14に関する仮想位置VP4に対する危険度を推定した後、処理ユニットは、危険度推定プロセスを停止する。従って、仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対してのみ、交通標識14に関する危険度が現在時刻に対して推定されるが、仮想位置VP5に対しては、現在時刻に対する危険度は推定されない。このようにして、交通標識14の危険ゾーンRZは、4つの仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対して推定される、4つの推定危険度に基づいて形成される。仮想位置VP4は、交通標識14の危険ゾーンRZの始まりまたは終わりを規定する限界位置CPとして記憶され得る。
【0113】
図6(b)に示されるように、高度運転者支援システムの表示ユニットは、危険ゾーンRZが、異なる色、陰影、および/またはパターンの区分において区分化されるように、交通標識14の危険ゾーンRZを表示するように構成されることができ、区分は、連続した危険度の範囲に対応する。危険ゾーンRZは3つの区分に区分化されることができ、3つの区分の境界は、車両11の4つの仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対して推定される、4つの推定危険度に対応する。仮想位置VP1と仮想位置VP2との間の危険ゾーンRZの区分(
図6(b)の最も高い密度で点が描かれた区分)は、現在時刻に対して仮想位置VP1に対して推定される危険度以下、および現在時刻に対して仮想位置VP2に対して推定される危険度より大きな危険度の範囲に対応する。仮想位置VP2と仮想位置VP3との間の危険ゾーンRZの連続した区分(
図6(b)の2番目に高い密度で点が描かれた区分)は、現在時刻に対して仮想位置VP2に対して推定される危険度以下で、現在時刻に対して仮想位置VP3に対して推定される危険度より大きな危険度の範囲に対応する。仮想位置VP3と仮想位置VP4との間の危険ゾーンRZの連続した区分(
図6(b)の最も低い密度で点が描かれた区分)は、現在時刻に対して仮想位置VP3に対して推定される危険度以下で、現在時刻に対して仮想位置VP4に対して推定される危険度より大きな危険度の範囲に対応する。
【0114】
従って、
図6(b)に示されるように、交通標識14の危険ゾーンRZは、交通標識14の個人空間に対応する。交通標識14の危険ゾーンRZ(表示ユニットに表示されたとき)は、仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4に対する交通標識14に関する理論的危険度を視覚化することによって、車両11の運転者が、交通標識14に関する車両11の危険状況を直感的に評価することを可能にする。仮想位置VP1、VP2、VP3、およびVP4は、現在時刻での車両11の実際位置AP1とは異なり、具体的には現在時刻での車両11の実際位置AP1と比べて、交通標識14に空間的により近い。
【0115】
本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの説明は、
図3、4、5、および6の実施形態に対して、同様に有効である。
【0116】
図7~12は、本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの実施形態の表示ユニットによって表示され得る出力の例を示す。
【0117】
図7~12において、本発明の実施形態による高度運転者支援システムによって支援される運転者によって運転される車両(自車両)は、参照符号「11」に関連付けられる。車両11の環境内に存在する特徴物の危険ゾーンは、参照符号「RZ」に関連付けられる。
図7、8、および9に示される危険ゾーンRZの異なる区分は、参照符号「S1」、「S2」、「S3」、および「S4」に関連付けられる。
図7、8、9、10、および11において、高度運転者支援システムの処理ユニットによって決定される、車両11の環境の1つまたは2つの特徴物は、1つの他車両12(
図7、10、および11を参照)、または2つの他車両12および15(
図8および9を参照)に対応する。
図10において処理ユニットによって決定される車両11の環境の追加の特徴物は、少なくとも1つの交通規則を示す標識14に対応する。
図11において処理ユニットによって決定される車両11の環境の追加の特徴物は、道路の交差点14に対応する。
図12において処理ユニットによって決定される車両11の環境の特徴物は、道路カーブ13に対応する。
【0118】
図7に例示的に示されるように、表示ユニットは、車両11(自車両)の前方を走行している、他車両12の危険ゾーンRZを表示することができ、危険ゾーンRZは、高度運転者支援システムの処理ユニットによって生成されている。
図7に示されるように、他車両12の危険ゾーンRZは、他車両12を含み得る。従って、他車両12に関する危険度は、車両11と他車両12との間の区域内だけでなく、他車両12の側部および/または前方にも配置される、車両11の1つまたは複数の仮想位置において推定され得る。さらに、
図7に示されるように、表示ユニットは、運転行動について運転者に指示する(例えば減速させる、ブレーキをかけるなどの指示)情報INFを表示するように構成され得る。指示は、他車両12の危険ゾーンRZに関する車両11の実際位置に依存することができ、具体的には車両11の実際位置と、他車両12の危険ゾーンRZの境界との間の距離に依存し得る。例えば、矢印INFは、車両11の運転者に減速するように示すことができ、矢印INFの色および/またはサイズは、異なる減速の大きさを示し得る。
【0119】
図8は実質的に
図7に対応し、車両11の左側を走行している追加の車両15が、高度運転者支援システムの処理ユニットによって、車両11の環境のさらなる特徴物として決定される。従って、処理ユニットはまた、追加の車両15に対する危険ゾーンRZを生成し、表示ユニットは、それぞれの危険ゾーンRZを用いて他車両12と、それぞれの危険ゾーンRZを用いて追加の車両15とを表示する。
【0120】
図9は実質的に
図8に対応し、
図9の現在時刻において、追加の車両15(
図8に示される)はもはや表示されず、追加の車両15危険ゾーンRZの一部のみが表示される。これは、
図9の現在時刻において追加の車両15は、車両11の走行により車両11の左側にはもはや存在しないためであり得る。
図9に示されるように、表示ユニットは追加として、車両11の推定される運転経路EPを表示し得る。
【0121】
図10は、車両11(自車両)が道路の交差点へ走行するシナリオを例示的に示す。高度運転者支援システムの処理ユニットは、車両11の右側から道路の交差点へ走行している他車両12を、車両11の環境内に存在する特徴物として決定する。車両11の駆動方向と、他車両12の駆動方向とは、互いに垂直に交差する。プロセッサユニットはさらに、少なくとも1つの交通規則を示す標識14、例えば道路上の地面マーキングおよび/または交通標識を、車両11の環境内に存在するさらなる特徴物として決定する。各特徴物、すなわち他車両12と、少なくとも1つの交通規則を示す標識14とに対して、処理ユニットは、危険ゾーンRZを決定し得る。
図10に示されるように、表示ユニットは、他車両12の危険ゾーンRZと、少なくとも1つの交通規則を示す標識14の危険ゾーンとを表示し得る。表示ユニットは、標識14のタイプなど、さらなる情報INFを表示し得る。
図10において、標識14は、運転者に対して、道路の交差点で別の車両に道を譲るように要求する例示的な交通標識である。
【0122】
図11は
図10に対応し、処理ユニットが、少なくとも1つの交通規則を示す標識に関する危険ゾーンを生成する代わりに、道路の交差点14に関する危険ゾーンRZを生成するという点で、
図11は
図10と異なる。従って、
図11によれば、表示ユニットは、他車両12の危険ゾーンに加えて、道路の交差点14の危険ゾーンRZを表示する。
【0123】
図12は、車両11(自車両)が、車両11の前方に道路カーブ13を備える道路上を走行するシナリオを例示的に示す。処理ユニットは、道路カーブ13を、車両11の環境内に存在する特徴物として決定し得る。さらに、処理ユニットは、道路カーブ13の危険ゾーンRZを決定することができ、表示ユニットは、道路カーブ13の危険ゾーンRZを表示し得る。表示ユニットは、さらなる情報INFを表示し得る。このさらなる情報は、例えば、道路カーブに関する危険度、例えば道路カーブ13の曲率によって引き起こされる横加速度の危険度が最も大きい、道路カーブ13の危険ゾーンRZ内の位置を示し得る。
図12に示されるように、表示ユニットは追加として、車両11の推定される運転経路EPを表示し得る。
【0124】
図3(a)および4の説明は、
図7、8、および9の実施形態に対して有効となり得る。
図3(b)、5、および6(b)の説明は、
図10および11の実施形態に対して有効となり得る。
図6(a)の説明は、
図12の実施形態に対して有効となり得る。
【0125】
本発明の第1の態様による高度運転者支援システムの説明は、
図7~12の実施形態に対して、同様に有効である。