(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】積載装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02 20060101AFI20250212BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20250212BHJP
B65H 31/26 20060101ALN20250212BHJP
【FI】
H01S5/02
H01L21/68 E
B65H31/26
(21)【出願番号】P 2022084777
(22)【出願日】2022-05-24
【審査請求日】2024-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390027960
【氏名又は名称】株式会社ニッケ機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英夫
(72)【発明者】
【氏名】阿多 勝正
(72)【発明者】
【氏名】平里 和弘
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-077454(JP,A)
【文献】特開2012-227386(JP,A)
【文献】特開2011-134975(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0101039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載治具に、レーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に積載する積載装置であって、
前記積載治具は、前記レーザーダイオードバーの側面と前記スペーサーの側面とが当接する規制面と、前記規制面に直交し前記レーザーダイオードバーと前記スペーサーとがその上に積載される支持面とを有し、
前記規制面が水平面に対して傾斜して配置され、
前記規制面から突出および退避することが可能なガイドピンを備え、
前記ガイドピンは、前記積載治具に前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーが積載される際に前記規制面から退避し、前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーが積載された後に前記規制面から再び突出して、前記支持面上に積載されている全ての部材の厚さの総和である前記支持面からの高さ位置との間に所定の間隙を有して位置することを特徴とする積載装置。
【請求項2】
前記所定の間隙の大きさが、前記レーザーダイオードバーの幅の60%未満である、請求項1に記載の積載装置。
【請求項3】
前記ガイドピンは、前記所定の間隙よりも広い間隙が形成される位置で前記規制面から突出した後、前記所定の間隙となる位置まで移動する、請求項1に記載の積載装置。
【請求項4】
前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーを前記積載装置に移載する吸着コレットが、積載する前記レーザーダイオードバーの側面または前記スペーサーの側面を、前記ガイドピンよりも上方側の位置で前記規制面に近接させた後、前記ガイドピンが前記規制面から後退した後に、吸着している前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーを下方側へ移動させて積載する、請求項1に記載の積載装置。
【請求項5】
前記ガイドピンが前記所定の間隙を有する位置に突出した後、前記積載治具と前記ガイドピンとが、次に積載される前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーの厚み分前記規制面に沿って下方側に移動する、請求項1に記載の積載装置。
【請求項6】
前記規制面に、積載された前記レーザーダイオードバーおよび前記スペーサーの側面を吸着する吸着口をさらに有する、請求項1に記載の積載装置。
【請求項7】
積載された前記レーザーダイオードバーおよび前記スペーサーの前記規制面とは反対側の側面を支持可能な抑え部材をさらに有する、請求項1に記載の積載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、レーザーダイオードの製造課程における一形態としてのレーザーダイオードバーを複数本積載する積載装置に関し、特に、厚みが薄く脆性が高いレーザーダイオードバーを、側面を揃えてスペーサーと交互に積載する積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルーレイディスク、DVD、CDなどのディスク型記録媒体や光通信の普及に伴い、これらの記録媒体にデータを書き込んだり読み取ったりする際、また、光通信でのデータ送受信の際に用いられるレーザーダイオードの普及が進んでいる。
【0003】
レーザーダイオードは、pn接合部分に電流を注入して得られた光を発振させることで干渉性が高く強い光を照射させることができるが、レーザー発振させるために端面を劈開面である反射鏡面とするとともに、ウェハから切り出された際の断面にスパッタリング処理を行うことが必要となる。このスパッタリング処理は、製造効率を向上するために、個別に劈開してレーザーチップ化する前の棒状態のレーザーダイオードバーを、その側面を揃えて複数本重ねた状態で一括してスパッタリングするという手法で行われている。
【0004】
このため、複数本のレーザーダイオードバーを側面が揃った状態で積層させるためのバーホルダーと称される積載治具が用いられ、それぞれ別の場所に保管されているレーザーダイオードバーとスペーサーとを交互にバーホルダーに積載することが行われている。
【0005】
このように、レーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に積載するバーホルダーとして、レーザーダイオードバーとスペーサーとの側面が当接する第1の積載面を水平面に対して傾けて配置し、この第1の積載面にレーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に横並びの状態で積載する半導体製造装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術におけるバーホルダーは、レーザーダイオードバーとスペーサーとを、水平面に対して傾いた第1の積載面上に横並びに積載し、この第1の搭載面の傾斜角度を、積載されたレーザーダイオードバーやスペーサーが倒れることなく、かつ、自重によって整列可能な角度とすることで、レーザーダイオードバーの表面を傷付けることなく、スパッタリング処理を行う面を揃えた状態で積載配置することができる。
【0008】
しかし、近年、より高い周波数のレーザー光を利用して情報を高密度化する技術が進展するに伴って、使用されるレーザーダイオードの厚みが薄くなり、必然的にレーザーダイオードバーの厚みも従来よりも薄いものが主流となってきている。
【0009】
このような厚みが薄いレーザーダイオードバーは、製造過程の熱処理によって変形しやすくなり、長さ方向に湾曲した、いわゆる反りがある状態のものが散見されるようになる。長さ方向に湾曲したレーザーダイオードバーを水平面に対して傾斜した第1の積載面に横並びに積載すると、バーホルダーに載置された後に転倒してしまい正しく積載されない場合があった。
【0010】
そこで本願は、上記従来の課題を解決して、長さ方向に湾曲したレーザーダイオードバーがバーホルダーに載置された際に転倒することを防止して、スペーサーと交互に正しく積載させることができる積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願で開示する積載装置は、積載治具に、レーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に積載する積載装置であって、前記積載治具は、前記レーザーダイオードバーの側面と前記スペーサーの側面とが当接する規制面と、前記規制面に直交し前記レーザーダイオードバーと前記スペーサーとがその上に積載される支持面とを有し、前記規制面が水平面に対して傾斜して配置され、前記規制面から突出および退避することが可能なガイドピンを備え、前記ガイドピンは、前記積載治具に前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーが積載される際に前記規制面から退避し、前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーが積載された後に前記規制面から再び突出して、前記支持面上に積載されている全ての部材の厚さの総和である前記支持面からの高さ位置との間に所定の間隙を有して位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成により、本願で開示する積載装置は、積載治具にスペーサーとレーザーダイオードバーとが交互に積載される際に、ガイドピンによってレーザーダイオードバーやスペーサーが倒れることを防止できる。この結果、高周波数帯域に対応した厚みが薄いレーザーダイオードバーであっても、スペーサーと交互に確実に積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる積載装置の全体構成を説明するための概略平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態にかかる積載装置のバーホルダーの構成を説明するためのイメージ図である。
【
図3】
図3は、本実施形態にかかる積載装置のバーホルダーと吸着コレットのヘッドとガイドピンとの位置関係を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第1の状態を説明する側面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第2の状態を説明する側面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第3の状態を説明する側面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第4の状態を説明する側面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第5の状態を説明する側面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第6の状態を説明する側面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第7の状態を説明する側面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態にかかる積載装置のバーホルダーの第2の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の積載装置は、積載治具に、レーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に積載する積載装置であって、前記積載治具は、前記レーザーダイオードバーの側面と前記スペーサーの側面とが当接する規制面と、前記規制面に直交し前記レーザーダイオードバーと前記スペーサーとがその上に積載される支持面とを有し、前記規制面が水平面に対して傾斜して配置され、前記規制面から突出および退避することが可能なガイドピンを備え、前記ガイドピンは、前記積載治具に前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーが積載される際に前記規制面から退避し、前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーが積載された後に前記規制面から再び突出して、前記支持面上に積載されている全ての部材の厚さの総和である前記支持面からの高さ位置との間に所定の間隙を有して位置する。
【0015】
このようにすることで、本願で開示する積載装置は、ガイドピンによって、積載治具に積載されたレーザーダイオードバーやスペーサーが倒れてしまうことを効果的に防止することができ、厚みの薄いレーザーダイオードバーをスペーサーと交互に正しく積層することができる。なお、本明細書において「水平面」とは、鉛直方向(重力方向)に対して直交する面をいう。
【0016】
本開示の積載装置では、前記所定の間隙の大きさが、前記レーザーダイオードバーの幅の60%未満であることが好ましい。このようにすることで、積載されたレーザーダイオードバーが傾斜しても転倒してしまうことを防止することができる。
【0017】
また、前記ガイドピンは、前記所定の間隙よりも広い間隙が形成される位置で前記規制面から突出した後、前記所定の間隙となる位置まで移動することが好ましい。このようにすることで、ガイドピンを突出する動作が、積載されているレーザーダイオードバーやスペーサーに影響を与えることを防止できる。
【0018】
さらに、前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーを前記積載装置に移載する吸着コレットが、積載する前記レーザーダイオードバーの側面または前記スペーサーの側面を、前記ガイドピンよりも上方側の位置で前記規制面に近接させた後、前記ガイドピンが前記規制面から後退した後に、吸着している前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーを下方側へ移動させて積載することが好ましい。このようにすることで、次に積載されるレーザーダイオードバーやスペーサーが積載位置に運ばれる動きによって、レーザーダイオードバーやスペーサーが転倒する事態を回避できる。
【0019】
さらにまた、前記ガイドピンが前記所定の間隙を有する位置に突出した後、前記積載治具と前記ガイドピンとが、次に積載される前記レーザーダイオードバーまたは前記スペーサーの厚み分前記規制面に沿って下方側に移動することが好ましい。このようにすることで、レーザーダイオードバーやスペーサーを移載する吸着コレットの高さを変化させることなく、最後に積載されたレーザーダイオードバーやスペーサーと吸着コレットとの位置関係を常に同じとすることができる。
【0020】
また、前記規制面に、積載された前記レーザーダイオードバーおよび前記スペーサーの側面を吸着する吸着口をさらに有することが好ましい。このようにすることで、積載されたレーザーダイオードバーとスペーサーの側面を規制面に確実に密着させることができる。
【0021】
さらに、積載された前記レーザーダイオードバーおよび前記スペーサーの前記規制面とは反対側の側面を支持可能な抑え部材をさらに有することが好ましい。このようにすることで、積載されたレーザーダイオードバーとスペーサーとが崩れてしまうことを確実に防止することができる。
【0022】
以下、本願で開示する積載装置について、図面を参照して具体的な実施形態を説明する。
【0023】
(実施の形態)
図1は、本実施形態にかかる積載装置の全体構成を示す概略平面図である。
【0024】
図1に示す積載装置100は、複数本のレーザーダイオードバーを、間にスペーサーを介しながら、その側面を面一な状態で揃えて積載治具としてのバーホルダー(51、53)上に積層するものである。
【0025】
図1に示す積載装置100は、平面視円形の剥離ステージ10、第1搬送部20、中間ステージ30、第2搬送部40、中央ステージ50を有している。なお、本実施形態にかかる積載装置100は、剥離ステージ10から第2搬送部40までのひとまとまりの移載機構を、積載装置100の中央に位置するセンターステージ50を通る左右方向中心線に対してほぼ線対称に2組備えている。そして、図中右側の一つ目の移載機構によってレーザーダイオードバーが中央ステージ50へと移載され、図中右側の二つ目の移載機構によって、バーホルダー内でレーザーダイオードバーと交互に積層されるスペーサーが中央ステージ50へと移載される。
【0026】
本実施形態にかかる積載装置100において、レーザーダイオードバーを移載する一つ目の移載機構と、スペーサーを移載する二つ目移載機構とは、その構成は同じで移載する物質のみが異なる。このため、本明細書においては、スペーサーを移載する2つめの移載機構を構成する部材には、それぞれ剥離ステージ10’、第1搬送部20’、中間ステージ30’、第2搬送部40’と一つ目の移載機構の部材と同じ名称を付し、符号に「’」を付けて区別するが、各部材の詳細な説明は省略する。
【0027】
剥離ステージ10は平面視円形の部材であり、その上面に粘着部材と、粘着部材上に複数個が並べて配置されたレーザーダイオードバーとが搭載される。なお、剥離ステージ10の直径は、レーザーダイオードバーが作製されるガリウムヒ素基板の直径に対して少し径大に形成されていて、ガリウムヒ素基板を切り出して個別のレーザーダイオードバーに分割した状態のままガリウムヒ素基板とほぼ同径の粘着シートである粘着テープに搭載したものを、剥離ステージ上にそのまま載置することができるようになっている。
【0028】
なお、本実施形態にかかる積載装置では、ゲル状の特殊ポリマー材などからなるゲルパック上に配置されたレーザーダイオードバーを剥離し移載することが可能なように、略正方形のゲルパックが複数個配置できるように構成されたゲルパックトレイ11を剥離ステージ10上に適宜装着することができる。
【0029】
第1搬送部20は、
図1中に示す矢印Aの範囲で図中左右方向に稼働する部材で、詳細の図示は省略する吸着ヘッド21と、剥離ステージ10上のレーザーダイオードバーの位置を確認するカメラ22とを備え、カメラ22の画像に基づいて、剥離、移載させるレーザーダイオードバーの位置と角度などの詳細情報を把握し、さらに、吸着ヘッド21の位置を確認しながら、吸着ヘッド21の先端部分(図示省略)が、正確に移載対象のレーザーダイオードバーを吸着できるように制御される。
【0030】
中間ステージ30は、剥離ステージ10が上面に配置された供給リング部12と、積載装置の中央に位置する中央ステージ50との間に配置されていて、第1搬送部20によって剥離ステージ10上から剥離されたレーザーダイオードバーの面方向の角度を変化させて、中央ステージ50上のバーホルダー(51、53)へと移載するための中継点としての機能を果たす。
【0031】
本実施形態にかかる積載装置100では、レーザーダイオードバーとスペーサーのスパッタリング処理が行われる側面が面一に揃った状態で収納されるように、バーホルダー(51、53)は、レーザーダイオードバーとスペーサーとの積層方向が鉛直軸に対して所定の角度傾斜した状態で中央ステージ上に配置されている。一方、剥離ステージ10は、その上面が水平、すなわち鉛直軸に対して直交するように維持されているため、剥離ステージ10の上面に配置された状態のレーザーダイオードバーの面方向は水平方向である。そこで、中間ステージ30において、レーザーダイオードバーの面方向の角度を、剥離ステージ上での水平方向からバーホルダー(51、53)の規制面51a(
図2参照)の傾斜角度に変化させている。
【0032】
具体的には、中間ステージ30は、ガイド機構31から延在した回転軸に取り付けられたバー搭載ステージ32と、この回転軸を回転させるアクチュエーター33、バー搭載ステージ32上に配置されたレーザーダイオードバーを監視するカメラ34を有している。
【0033】
まず、バー搭載ステージ32の上面が水平に維持されている状態で、第1搬送部20によって搬送されたレーザーダイオードバーがバー搭載ステージ32上に移載される。その後、アクチュエーター33によってバー搭載ステージ32の上面がバーホルダー(51、53)の傾斜角度と同じ傾斜角度になった状態で、第2搬送部である吸着コレット40によって、バー搭載ステージ32から中央ステージ50上のバーホルダー(51、53)にレーザーダイオードバーが移載される。
【0034】
なお、第2搬送部である吸着コレット40は、第1搬送部20と同様にレーザーダイオードバーを吸着する吸着ヘッド41(
図2参照)とレーザーダイオードバーの状態を確認する図示しないカメラとを備えている。
【0035】
本実施形態にかかる積載装置100では、中央ステージ50上に積載治具であるバーホルダーを2つ(51、53)備えている。このようにすることで、一方のバーホルダー51にレーザーダイオードバーとスペーサーとが積載された後、次のスパッタリング工程に向けてバーホルダー51を取り外して運び出す処理を行っている間に、レーザーダイオードバーとスペーサーとを他方のバーホルダー53に積載することができて効率が良い。このため、第2搬送部40と40’の可動範囲を示す矢印Bと矢印B’は、左右の中間ステージ30、30’から2つのバーホルダー51、53にレーザーダイオードバーとスペーサーとを移載できるように設定されている。
【0036】
また、バーホルダー51、53には、第2搬送部である吸着コレット40、40’の吸着ヘッド(41)でバーホルダー51、53に搬送されてきたレーザーダイオードバーとスペーサーとを、交互に、かつレーザーダイオードバーが転倒することなく積載できる積載機構が形成されている。バーホルダー51、53にレーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に積載する機構の詳細については、追って詳述する。
【0037】
上述したように、中間ステージ30のバー搭載ステージ32上でバーホルダー(51、53)の傾斜角度に合わせられたレーザーダイオードバーが、第2搬送部である吸着コレット40によって中央ステージ上のバーホルダー(51、53)に移載される。次に、第2の移載機構において、レーザーダイオードバーと同様に中間ステージ30’のスペーサー搭載ステージ32’上でバーホルダー(31、33)の傾斜角度に合わせられたスペーサーが、第2搬送部である吸着コレット40’によって中央ステージ上のバーホルダー(51、53)に移載される。これを交互に繰り返して、バーホルダー(51、53)に、レーザーダイオードバーとスペーサーとが、その側面を面一に規制された状態で交互に重ねて配置される。
【0038】
なお、上記は本実施形態にかかる積載装置100の構成のあくまでも一例であって、レーザーダイオードバーとスペーサーとを移載して交互にバーホルダー内に積載することができる限りにおいて、積載装置100の具体的な構成は様々な形態を採りうることは言うまでもない。
【0039】
特に、上述した積載装置100で採用されている、二つのバーホルダー51、53を備えた構成、また、バーホルダー51、53が配置されている中央ステージ50を中心に剥離ステージ10と中間ステージ30とを左右に対称に配置する構成については、製造効率を高めるための構成であり、本願で開示する積載装置における必須の構成ではない。
【0040】
次に、本実施形態にかかる積載装置100における、バーホルダー51、53上にレーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に積載する工程についての詳細を説明する。なお、上述したとおり、本実施形態における積載装置100の2つのバーホルダー51、53は同じ構成であるため、以下では、一つ目のバーホルダー51を例示して説明する。
【0041】
また、以下の説明で使用する図面は、レーザーダイオードバーとスペーサーとがどのように積載されるかをわかりやすく説明するものであるため、レーザーダイオードバーやスペーサーをはじめとする各部材の大きさは、必ずしも現実の大きさをそのまま反映させたものではない。
【0042】
図2は、本実施形態にかかる積載装置のバーホルダーの構成を説明するためのイメージ図である。
【0043】
なお、以下の説明において、レーザーダイオードバーとスペーサーとの積載方向、すなわち、規制面51aに沿って積み上げられていく方向(図中A方向)を適宜上方と、また、支持面51b側の方向(図中B方向)を下方とそれぞれ称する場合がある。
【0044】
図2に示すように、本実施形態にかかる積載装置のバーホルダー51は、水平面Hに対して所定の角度α傾斜した規制面51aと、この規制面51aに直交して、すなわち、水平面Hに対して(90°-α)°傾斜するようにして形成され、レーザーダイオードバー60とスペーサー71、72が積載される支持面51bとを有している。
【0045】
ここで、規制面51aの傾斜角度αとしては、15°~45°であることが好ましい。傾斜角度αが15゜より小さい場合には、湾曲した、すなわち、反りがあるレーザーダイオードバー60が倒れやすくなり、傾斜角度αが45°より大きい場合にはレーザーダイオードバーとスペーサーとの積層体が規制面51aとは反対の側に崩れる崩壊が生じやすくなってしまう。なお、傾斜角度αは、積載されるレーザーダイオードバー60の形状(長さ、幅、厚さ)や積載枚数に応じて、適宜最適に設定されることが好ましい。
【0046】
本実施形態にかかる積載装置では、バーホルダー51の支持面51b上に、まず、厚みが厚い厚スペーサー72が積載され、この厚スペーサー72の上面に第1のレーザーダイオードバー60が積載される。次にこの第1のレーザーダイオードバー60の上に第1のスペーサー71が積層され、以下、第2のレーザーダイオードバー60、第2のスペーサー71、第3のレーザーダイオードバー60、第3のスペーサー71の順に、レーザーダイオードバー60とスペーサー71とが交互に積載されていく。
【0047】
なお、ここでバーホルダー51に積載されるレーザーダイオードバー60は、一例として幅(W:
図3参照)が150μm、長さ(L:
図3参照)が20mm、厚さ(図示は省略)が100μmである。また、スペーサー71は、一般的にはシリコン等によって形成され、一例として幅Wが140μm、長さLが22mm、厚さ100μm、厚スペーサー72は、一例として幅Wが1500μm、長さLが30mm、厚さが150μmである。
【0048】
このように、支持面51b上に最初に厚スペーサー72を積載することで、レーザーダイオードバー60とスペーサー71との積層体が厚スペーサー72上に形成されることになるため、積載終了後にレーザーダイオードバー60とスペーサー71との積層体を次のスパッタ処理を行う工程に移動させる際の取り扱いが容易になる。
【0049】
図2は、支持面51b上の一番上に積載されているスペーサー71の上に、レーザーダイオードバー60を積載する状態を示している。中間ステージ30上でその主面方向が水平面に対して(90°-α)°傾斜されたダイオードバー60が、第2搬送部である吸着コレット40のヘッド41に吸着されて、最後に積載されたスペーサー71に重なる積載位置に運ばれてきている状態を示している。
【0050】
このとき、最も上に積載されているスペーサー71の上面側にガイドピン55が、規制面51aからレーザーダイオードバー60とスペーサー71、72の積載される位置に向かって突出して配置されている。
【0051】
なお、本明細書において、ガイドピン55が規制面51aから突出するとは、ガイドピン55の少なくとも一部が規制面51aから突き出して、レーザーダイオードバー60とスペーサー71が積載される領域に位置する状態をいう。また、ガイドピン55が退避するとは、ガイドピン55の先端部分が規制面51aよりも後方側(
図2における後方側、すなわち、規制面51aを基準面と考えた場合には下方側)に位置して、レーザーダイオードバー60とスペーサー71が積載される領域に位置しない状態となることをいう。
【0052】
ここで、ガイドピン55の突出位置は、支持面51b上に積載されている全ての部材(具体的に
図2の場合は、厚スペーサー72が1枚、レーザーダイオードバー60が13枚、スペーサー71が13枚の計27の部材)の厚さの総和である支持面51bからの高さ位置Hと、ガイドピン55の下面、すなわちバーホルダー51の支持面51bに対向する側の面との間に所定の間隙(一例として50μm)が形成される位置となっていて、ガイドピン55と最も上に積載されているスペーサー71とは接触していない。
【0053】
なお、上記した支持面51bからの高さ位置Hは、支持面51b上に積載されている全ての部材の厚さの総和であるから、積載されている全ての部材に反りなどの変形がない場合における最後に積載された部材の上面の位置に相当するものである。
【0054】
また、上記の所定の間隙は、積載されるレーザーダイオードバー60に反りが生じていても規制面51aに転倒してしまわない大きさとすることが好ましく、レーザーダイオードバー60の幅Wの60%未満とすることが好ましい。発明者らが確認したところ、積載されたレーザーダイオードバー60に反りがあった場合に、積載面51bと平行な面から規制面51aの側に約30°以上傾くと、レーザーダイオードバー60が規制面51a側へと転倒してしまうおそれが高いことがわかった。また、傾いてガイドピン55にもたれかかった状態のレーザーダイオードバー60を、その上に載置される次のスペーサー71を積載する動作によって押し戻すことができる範囲を考慮すると、最後に積載されたスペーサー71とガイドピン55との間隙の大きさは、レーザーダイオードバーの幅Wの60%未満とすることが好ましいことが確認できた。
【0055】
なお、支持面51b上に積載されている全ての部材の厚さの総和である支持面51bからの高さ位置Hと、ガイドピン55の下面との間の所定の間隙の最小値は、10μmとすることが好ましい。 本実施形態にかかる積載装置のバーホルダー51では、規制面51aの中央部分にレーザーダイオードバー60とスペーサー71との積載方向に延在する凹部51cが形成されていて、レーザーダイオードバー60を吸着する吸着コレットのヘッド41がレーザーダイオードバー60の幅を超えて突出している場合でも、吸着コレット40のヘッド41の先端部分が規制面51aに接触しないようになっている。また、凹部51cを挟んだ両側部分の規制面51aには、上下方向に延在するスリット状の一対の吸着口51dが形成されていて、吸着コレットのヘッド40からはずれて積載された状態のレーザーダイオードバー60とスペーサー71の側面を、規制面51aに密着させることができるようになっている。
【0056】
図3は、本実施形態にかかるバーホルダーにおける、バーホルダーと吸着コレットのヘッドとガイドピンとの位置関係を示す図であり、
図2に示す状態を、
図2に示す矢印Cの方向から見た図である。
【0057】
図3に示すように、吸着コレットのヘッド41は中央部に対して両側部分がより突出して形成され、レーザーダイオードバー60を吸着する吸着口42が両側の突出部分に形成されている。このようにすることで、 レーザーダイオードバー60を吸着する吸着口42が間隔を隔てて配置されることになり、幅W方向に対して長さL方向が長いレーザーダイオードバー60を安定して吸着、保持することができる。
【0058】
また、
図3に示すように、ガイドピン55を吸着コレットのヘッド41の中央の位置、すなわち、両側の突出部分の間に位置させることで、吸着コレットのヘッド41とガイドピン55とが互いに干渉することを防止している。
【0059】
図3では、ガイドピン55の先端位置が積載されるレーザーダイオードバー60の規制面51aとは異なる側の側面位置と一致しているが、本実施形態にかかる積載装置において突出した状態のガイドピン55の先端位置は、レーザーダイオードバー60の側面位置に一致するものには限られない。突出した状態のガイドピン55の先端位置は、積載されるレーザーダイオードバー60やスペーサー71の転倒を防止することができる範囲で、レーザーダイオードバー60やスペーサー71の幅Wの半分以上の位置まで突出していればよく、吸着コレットのヘッド41との干渉が生じない範囲で積載されるレーザーダイオードバー60やスペーサー71の幅Wを超えた状態となっても問題はない。
【0060】
なお、上記
図2、
図3として示す図では、最後に積載されたスペーサー71にレーザーダイオードバー60を積載する状態を示したが、レーザーダイオードバー60上にスペーサー71を積載する場合も同様である。詳細な図示は省略するが、この場合には、第2の移載機構において、中間ステージ30’のスペーサー搭載ステージ32’上でバーホルダー(31、33)の傾斜角度に合わせられたスペーサーが、第2搬送部40’である吸着コレットによって中央ステージ上のバーホルダー51に移載される。このとき、ガイドピン55は、最後に積載されたレーザーダイオードバー60の上面と所定の間隙を介して規制面51aから突出した状態となっている。
【0061】
なお、上述のようにスペーサー71は、シリコンやステンレスなどの金属材料によって形成されているため、作成時に熱処理工程を経るレーザーダイオードバー60のような反りが生じることは少ないが、本実施形態に示す積載装置では、レーザーダイオードバー60と同様にスペーサー71に反りがある場合でも、その転倒を防止することができる。
【0062】
次に、
図4から
図10を用いて、本実施形態にかかる積載装置において、バーホルダー上にレーザーダイオードバーとスペーサーとを交互に積載する際の、バーホルダーと吸着コレットのヘッド部とガイドピンとの動作について説明する。
【0063】
図4は、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第1の状態を示している。
【0064】
図4に示すように、この状態では、最後に積載されたスペーサー71の上面側に、所定の間隙を有してガイドピン55が突出している。吸着コレットのヘッド41は、吸着口42によってレーザーダイオードバー60を吸着した状態で、
図4中に矢印aとして示す方向に移動してくる。このとき、吸着コレットのヘッド41は、吸着しているレーザーダイオードバー60がガイドピン55の上面よりもさらに上方に位置するように移動して、吸着しているレーザーダイオードバー60の側面が、バーホルダー51の規制面51aに当接する位置のごくわずか手前の位置となるまで移動する。
【0065】
図5は、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第2の状態を示している。
【0066】
図5に示すように、吸着コレットのヘッド41は、次に搭載するレーザーダイオードバー60の側面がバーホルダー51の規制面51aに極めて近接した状態で、規制面51aに沿って下方側に移動する(図中矢印b)。このとき、ガイドピン55は、最後に積載されたスペーサー71の上面側に所定の間隙を有した当初の位置で突出した状態のままとなっている。
【0067】
図6は、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第3の状態を示している。
【0068】
図6に示したように、吸着されているレーザーダイオードバー60がガイドピン55に接近すると、ガイドピン55はレーザーダイオードバー60に接触しないように規制面51aより突出した状態からバーホルダー51の内部に退避して(図中矢印c)、その先端部が規制面51aから突出していない状態となる。
【0069】
ガイドピン55が退避すると、さらに吸着コレットのヘッド41が下降して(図中矢印d)、スペーサー71上にレーザーダイオードバー60を積載する位置に移動する。
【0070】
このように、積載されるレーザーダイオードバー60がスペーサー71に十分接近したタイミングでガイドピン55が規制面51aから退避することで、最も上に積載されているスペーサー71が規制面51a上に倒れてしまう事態を防止することができる。
【0071】
また、ガイドピン55が退避したときには、次に積載されるレーザーダイオードバー60が十分にスペーサー71に近づいているため、スペーサー71の転倒をレーザーダイオードバー60によって防止することができ、レーザーダイオードバー60をスペーサー71上に積載する動作に伴って、倒れかけたスペーサー71を元に戻すことができるとともにその上面に正しくレーザーダイオードバー60を積載することができる。
【0072】
図7は、バーホルダーに、レーザーダイオードバーが積載される工程の第4の状態を示している。
【0073】
図7に示すように、規制面51a内に退避したガイドピン55は、規制面51aに沿って上方へと移動し(図中矢印e)、吸着コレットのヘッド41よりも上方に位置する状態で再び規制面51aから突出する(図中矢印f)。
【0074】
また、ガイドピン55が規制面51aに沿って上方へと移動したタイミングで、吸着コレットのヘッド41は吸着しているレーザーダイオードバー60を開放してスペーサー71の上面に積載する。このとき、規制面51aに形成されたスリット状の吸着口51dに吸着されてレーザーダイオードバー60の側面が規制面51aに当接し、積載された他のレーザーダイオードバー60やスペーサー71と側面が面一な状態が形成される。
【0075】
図8は、バーホルダー51に、レーザーダイオードバー60が積載される工程の第5の状態を示している。
【0076】
図8に示すように、吸着コレットのヘッド41よりも上方側で規制面51aから突出したガイドピン55は規制面55aに沿って下降して(図中矢印g)、最も上に積載されているレーザーダイオードバー60の上面に接近し、レーザーダイオードバー60の上面との間に、
図4に示した第1の状態における間隙と同じ大きさの所定の間隙を介した位置で停止する。
【0077】
図9は、バーホルダー51に、レーザーダイオードバー60が積載される工程の第6の状態を示している。
【0078】
図9に示すように、ガイドピン55が、最後に積載されたレーザーダイオードバー60の上面から所定の間隙を介した位置で規制面51aから突出した状態で、吸着コレットのヘッド41が規制面51aに沿って上方側に移動し(図中矢印h)、その後、吸着コレットのヘッド41がバーホルダー51から遠ざかる(図中矢印i)。
【0079】
図10は、バーホルダー51に、レーザーダイオードバー60が積載される工程の第7の状態を示している。
【0080】
吸着コレットのヘッド41がバーホルダー51から離れると、バーホルダー51は、ガイドピン55とともに規制面51aに沿って下方側(図中黒矢印j)に所定量(D)移動する。この所定量Cは、最後に積載されたレーザーダイオードバー60、または、スペーサー71の厚み分であり、このように最後に積載された部材の厚みの分下方側へと移動することで、支持面51b上に積載されている全ての部材の厚みの総和である支持面51bからの高さ位置Hが積載されている部材の数にかかわらずに同じ高さとなる。この結果、次に積載するスペーサー71またはレーザーダイオードバー60を移載する吸着コレットのヘッド41の位置を変化させなくても、最後に積載された部材と吸着コレットのヘッド40との位置関係を同じ状態に維持することができる。
【0081】
以上、
図4から
図10を用いて示した積載動作を繰り返して、最後のレーザーダイオードバー60が積載されると、本実施形態にかかる積載装置100による積載工程が終了する。
【0082】
なお、最後に積載されたレーザーダイオードバー60の上に、支持面51b上に最初に配置された厚みが大きな厚スペーサー72を再び積載することで、レーザーダイオードバー60とスペーサー71との積層体を上下方向から厚スペーサー72で保護する形になる。このように厚スペーサー71を上下に配置することで、バーホルダー51の上下方向両端部分の蒸着が安定しない傾向があるスパッタリング工程で、レーザーダイオードバー60の側面のスパッタリング処理が正しく行われなくなるという不具合を回避することができる。 さらに、レーザーダイオードバー60とスペーサー71との積層体の中間部分にも厚スペーサー72を配置することができ、積層体の途中に厚スペーサー72を存在させることによって積層体全体の補強効果を発揮させることができる。
【0083】
図11は、本実施形態にかかる積載装置におけるバーホルダーの変形例を説明するための模式図である。
【0084】
図11は、
図3と同様に、バーホルダー51の支持面51b上にレーザーダイオードバー60を積載している状態を規制面51aの上側(
図2における矢印C方向)から見た図である。変形例としての
図11では、積載されているレーザーダイオードバー60およびスペーサー71の規制面51a側とは反対側の側面に、抑え部材80が配置されている点が
図3に示した構成と異なっている。。
【0085】
抑え部材80は、積載されるレーザーダイオードバー60やスペーサー71、72の側面に十分近接しているが当接はしない位置に配置されていて、積載されたレーザーダイオードバー60とスペーサー71、72が規制面51aとは反対の側に崩れてしまうことを防止することができる。なお、
図11に示すように、一対の抑え部材80を積載されるレーザーダイオードバー60やスペーサー71の長さ方向の両方の端部に位置させることで、抑え部材80が吸着コレットの動作や、レーザーダイオードバーの幅よりも突出する形態の場合のガイドピン55の動作と干渉することを防止できる。また、一対の抑え部材80の間から、レーザーダイオードバー60とスペーサー71とが積載される様子を観察することができるという利点もある。
【0086】
以上説明したように、本実施形態で説明した積載装置では、積載治具であるバーホルダーの規制面から突出、退避する動作が可能なガイドピンを備え、レーザーダイオードバーやスペーサーが積載されるとき以外は、最も上側に積載されているレーザーダイオードバーやスペーサーの上側にガイドピンが位置することで、積載されるレーザーダイオードバーやスペーサーが規制面側に転倒する事態を防止することができる。
【0087】
特に、積載時に最後に積載されたレーザーダイオードバーまたはスペーサーの上面である支持面からの高さ位置とガイドピンとの間に所定の間隙を有することで、ガイドピンの突出、退避動作に起因してレーザーダイオードバーやスペーサーが転倒する事態を回避できるため、高周波数のレーザー光を照射可能なレーザーを形成する厚さの薄いレーザーダイオードバーであっても、確実にスペーサーとの交互積載を実現することができる。
【0088】
ガイドピンの突出位置を、支持面上に積載されている全ての部材の厚さの総和である高さ位置を基準とすることで、支持面上に最初に積載される厚スペーサー(この場合は高さ位置=0)から、1番目のレーザーダイオードバー(高さ位置=厚スペーサーの厚さ)、1番目のスペーサー(高さ位置=厚スペーサーとレーザーダイオードバーの厚さの和)、と順次高さ位置の数値が積載状態に応じて変化するため、最後に積載されたレーザーダイオードバー、または、スペーサーに対して同様の転倒防止効果を発揮できる。
【0089】
上記実施例において、
図7、
図8を用いて説明したように、ガイドピンを最後に積載される部材の上方から下降させて所定の突出位置に移動させるようにすることで、積載されたレーザーダイオードバーやスペーサーに比較的大きな反りが生じている場合でもその反りを抑える効果が発揮されることが期待できる。もちろん、レーザーダイオードバーの形状、製造工程の条件その他積載前の各種条件によって、レーザーダイオードバーやスペーサーに大きな反りが生じていない場合は、支持面からの高さ位置に直接ガイドピンを突出させる構成とすることも可能である。
【0090】
なお、ガイドピンの突出動作と退避動作が、積載されたレーザーダイオードバーやスペーサーの転倒の起因とならないようにするという観点からは、ガイドピンの厚さは大きくないことが好ましく、一例として30μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0091】
また、上記実施形態では、ガイドピンを幅と厚さがほぼ均一な直方体形状の物として例示したが、積載されているレーザーダイオードバーやスペーサーの転倒を防止可能なものである限り、ガイドピンの形状に制約はない。また、ガイドピンが、積載されるレーザーダイオードバーやスペーサーの長さ方向の略中央部分に配置された一本の形態を例示したが、規制面側に倒れようとするレーザーダイオードバーやスペーサーの転倒を防止できる形態であればガイドピンの配置位置やその本数にも制約はない。
【0092】
さらに、上記実施形態では、レーザーダイオードバーを積載する吸着コレットのヘッドの形状として、先端が二つに分離したものを例示したが、ガイドピンとの干渉が生じない範囲で、吸着コレットのヘッドとして各種の形状のものを採用することができる。また、レーザーダイオードバーを積載する吸着コレットのヘッドとスペーサーを積載する吸着コレットのヘッドの形状とは、同じでも、異なっていても問題は無い。さらに、スペーサーを積載する吸着コレットによって厚スペーサーを積載するようにすることができ、この場合、厚スペーサーの形状や重量等を考慮して、吸着コレットのヘッドにスペーサーと厚スペーサーとをそれぞれ吸着する吸着口を設けることができる。
【0093】
また、上記実施形態に示した積載治具であるバーホルダーでは、規制面にスリット状の吸着口が形成されている例を示したが、例えば、規制面の傾斜角度などの諸条件から、積載されるレーザーダイオードバーとスペーサーの側面が面一に揃いやすい場合には、スリット状の吸着口が不要な場合も想定できることは言うまでもない。
【0094】
さらに、上記実施形態では、吸着コレットが退避した後に積載治具であるバーホルダーとガイドピンとが所定量(C)だけ下方側に移動する例を示したが、バーホルダーとガイドピントの高さは変化させずに吸着コレットの高さを変化させても良いことも明らかである。
【0095】
なお、積載治具であるバーホルダーやガイドピンは、表面が平坦、清浄でありかつ一定以上の剛性を有する材質であることが必要であるため、ステンレス・鉄系などの金属材料を用いて良好に形成することができる。
【0096】
また、図示や詳細な説明は省略するが、積載治具であるバーホルダーに積載されたレーザーダイオードバーとスペーサーとの積層体全体を保持できるクランプ機構等を備えておくことにより、積載工程が終了後にレーザーダイオードバーとスペーサーとの積層体を次のスパッタリング工程などの表面処理工程に容易に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本願で開示する積載装置は、積載治具上でのレーザーダイオードバーとスペーサーとの転倒を防止して、特に、厚さの薄いレーザーダイオードバーであっても良好に積載することができる積載装置として有用である。
【符号の説明】
【0098】
41 吸着コレットのヘッド
51 バーホルダー(積載治具)
51a 規制面
51b 支持面
55 ガイドピン
60 レーザーダイオードバー
71 スペーサー
100 積載装置