(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】マイクロキャピラリーアレイを使用したスクリーニングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20250212BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
G01N33/543 525C
C12N15/09 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022117381
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2019551509の分割
【原出願日】2017-12-11
【審査請求日】2022-08-19
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519210859
【氏名又は名称】エクセラ・バイオサイエンシーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XCELLA BIOSCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・アール・コクラン
(72)【発明者】
【氏名】ボブ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー・ケイレブ・アルフォード
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-281595(JP,A)
【文献】国際公開第2016/077249(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/134370(WO,A1)
【文献】特表2015-516985(JP,A)
【文献】特開2014-012731(JP,A)
【文献】特表2012-511920(JP,A)
【文献】特開2008-200037(JP,A)
【文献】特開2010-112955(JP,A)
【文献】Bob Chen,High-throughput analysis and protein engineering using microcapillary arrays,nature chemical biology,2015年12月07日,Vol.12,Page.76-81
【文献】Gerald M. Cherf,Applications of yeast surface display for protein engineering,Methods Mol Biol.,2015年,Vol.1319,Page.155-175
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
G01N 35/00 - 37/00
C12N 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法であって、
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質を発現する細胞発現系、細胞の表面に固定化された標的分子、およびレポーターエレメントを含み、前記変異体タンパク質が特定の親和性で前記マイクロキャピラリー内で細胞の表面に固定化された前記標的分子と会合し、ここで前記細胞発現系が動物系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系であ
る、マイクロキャピラリーアレイを提供するステップと、
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの細胞の表面に固定化された前記標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの目的のマイクロキャピラリーを同定するステップと、および
目的のマイクロキャピラリーの少なくとも1つにレーザーをパルス発振することによって目的のサンプルを単離するステップであって、ここでレーザーは目的のマイクロキャピラリーの少なくとも1つの壁
とサンプルとの間
の界面に
向けられ、
ここで、前記複数のマイクロキャピラリーの内部容積が、前記レーザーの電磁放射線の透過を抑制することができるビーズ、または前記レーザーの電磁放射線の透過を抑制することができる微粒子を含まない、単離するステップ、
を含む、方法。
【請求項2】
前記変異体タンパク質はマイクロキャピラリー内でインサイチュで細胞の表面に固定化された前記標的分子と会合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞発現系は動物系である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記動物系は哺乳動物系である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞発現系は、真菌系である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞発現系は酵母系である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞発現系は細菌系である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞発現系は昆虫系である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞発現系は植物系である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、またはそれぞれの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記標的分子は天然タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記レポーターエレメントは標識抗体または他の結合分子であり、前記標識抗体または他の結合分子が前記変異体タンパク質のエピトープに局在する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記標識抗体または他の結合分子は蛍光標識抗体または他の結合分子である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記標識抗体は一次抗体または二次抗体である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記レポーターエレメントは細胞内で活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記レポーターエレメントは緑色蛍光タンパク質または変異体を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記シグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、前記変異体タンパク質の集団由来の1~5個の変異体タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも1,000,000、少なくとも3,000,000、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
各マイクロキャピラリーは、前記細胞発現系の生存率を改善するための薬剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記薬剤は増殖培地である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シグナルは光検出器によって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記シグナルは顕微鏡によって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記レーザーはダイオード励起Qスイッチレーザーである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月12日に出願された米国仮特許出願第62/433,210号の利益を主張するものであり、それらの全ては参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
タンパク質、核酸、炭水化物、および他の重要な生体分子の同定、特徴付け、およびリエンジニアリングを含む生物学的サンプルの分析は、サンプル数の拡大およびサンプルサイズの縮小から大きな恩恵を受けてきた。例えば、DNAマイクロアレイ等の生物学的材料の二次元マイクロアレイは、サンプルを処理して結果を検出するための多重アプローチを含むハイスループットスクリーニング方法の開発を可能にした。
【0003】
上記アプローチは、場合によっては、蛍光または他の対応する特異的かつ高感度の標識化アプローチを用いて目的の検体を同定する光検出技術とそれらを組み合わせることによって恩恵を受けてきた。
【0004】
そのような技術は、特定のサンプルについての分析情報、例えば、溶液中の特定の生体分子の存在および潜在的な量、または特定の核酸もしくはポリペプチドの配列を提供するが、それらは典型的には、目的のサンプルを不活性化させるかまたは別様に損傷することなく、アッセイによって同定された生物学的サンプルを回収することはできない。
【0005】
したがって、ハイスループット能力を有する改善されたマイクロスケールスクリーニングおよび分析の方法およびシステム、特にスクリーニングおよび分析において同定されたサンプルの回収を可能にする方法およびシステムを開発することが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、一態様において、以下のステップを含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供することによって、これらおよび他の必要性に対処する:
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合する、マイクロキャピラリーアレイを提供するステップ、ならびに
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの目的のマイクロキャピラリーを同定するステップ。
【0007】
いくつかの実施形態において、方法は、目的のマイクロキャピラリーの内容物を単離するステップをさらに含む。
【0008】
別の態様において、以下を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングするためのシステムが提供される:
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合する、アレイ。
【0009】
いくつかの実施形態において、システムは顕微鏡をさらに備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、システムは光源および検出器をさらに備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、システムは抽出デバイスをさらに備える。
【0012】
いくつかの実施形態において、システムは2段式サンプル回収要素をさらに備える。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下のステップを含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供する:
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合する、マイクロキャピラリーアレイを提供するステップ、ならびに
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの目的のマイクロキャピラリーを同定するステップ。
【0014】
いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は発現系によって発現される。
【0015】
いくつかの実施形態において、発現系は無細胞発現系である。
【0016】
いくつかの実施形態において、発現系は細胞発現系である。
【0017】
いくつかの実施形態において、細胞発現系は、動物系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である。
【0018】
いくつかの実施形態において、細胞発現系は酵母系である。
【0019】
いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質である。
【0020】
いくつかの実施形態において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、またはそれぞれの組み合わせである。
【0021】
いくつかの実施形態において、標的分子は表面に固定化される。
【0022】
いくつかの実施形態において、表面は細胞の表面である。
【0023】
いくつかの実施形態において、標的分子は天然タンパク質である。
【0024】
いくつかの実施形態において、表面はビーズの表面である。
【0025】
いくつかの実施形態において、表面はマイクロキャピラリー壁の表面である。
【0026】
いくつかの実施形態において、表面は重力沈降によってマイクロキャピラリー中に沈殿するように構成される表面である。
【0027】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは標識抗体または他の結合分子である。
【0028】
いくつかの実施形態において、標識抗体または他の結合分子は蛍光標識抗体または他の結合分子である。
【0029】
いくつかの実施形態において、標識抗体は一次抗体または二次抗体である。
【0030】
いくつかの実施形態において、標識抗体または他の結合分子は酵素結合抗体または他の結合分子である。
【0031】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは細胞内で活性化され、標的分子は細胞の表面に固定化される。
【0032】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは緑色蛍光タンパク質または変異体を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、シグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである。
【0034】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団由来の0~5個の変異体タンパク質を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも1,000,000、少なくとも3,000,000、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを備える。
【0036】
いくつかの実施形態において、各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存率を改善するための薬剤をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、薬剤は、メチルセルロース、デキストランプルロニックF-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである。
【0038】
いくつかの実施形態において、薬剤は増殖培地である。
【0039】
いくつかの実施形態において、シグナルは光学検出器によって測定される。
【0040】
いくつかの実施形態において、シグナルは顕微鏡によって測定される。
【0041】
いくつかの実施形態において、目的のマイクロキャピラリーの内容物を単離するステップをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、目的のマイクロキャピラリーの内容物は、目的のマイクロキャピラリーをレーザーによりパルス発振することによって単離される。
【0043】
いくつかの実施形態において、レーザーはダイオード励起Qスイッチレーザーである。
【0044】
いくつかの実施形態において、レーザーは、マイクロキャピラリー壁とマイクロキャピラリーに含まれるサンプルとの水-ガラス界面に向けられる。
【0045】
いくつかの実施形態において、目的のマイクロキャピラリーの内容物は、2段式サンプル回収要素を使用して単離される。
【0046】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーは、電磁放射線の透過を抑制することができる微粒子、磁性微粒子、磁性ビーズ、または電磁放射線吸収材料を含まない。
【0047】
本発明はまた、以下を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングするためのシステムを提供する:
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合する、アレイ。
【0048】
いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は発現系によって発現される。
【0049】
いくつかの実施形態において、発現系は無細胞発現系である。
【0050】
いくつかの実施形態において、発現系は細胞発現系である。
【0051】
いくつかの実施形態において、細胞発現系は、動物系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である。
【0052】
いくつかの実施形態において、細胞発現系は酵母系である。
【0053】
いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質である。
【0054】
いくつかの実施形態において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、またはそれぞれの組み合わせである。
【0055】
いくつかの実施形態において、標的分子は表面に固定化される。
【0056】
いくつかの実施形態において、表面は細胞の表面である。
【0057】
いくつかの実施形態において、標的分子は天然タンパク質である。
【0058】
いくつかの実施形態において、表面はビーズの表面である。
【0059】
いくつかの実施形態において、表面はマイクロキャピラリー壁の表面である。
【0060】
いくつかの実施形態において、表面は重力沈降によってマイクロキャピラリー中に沈殿するように構成される表面である。
【0061】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは標識抗体または他の結合分子である。
【0062】
いくつかの実施形態において、標識抗体または他の結合分子は蛍光標識抗体または他の結合分子である。
【0063】
いくつかの実施形態において、標識抗体は一次抗体または二次抗体である。
【0064】
いくつかの実施形態において、標識抗体または他の結合分子は酵素結合抗体または他の結合分子である。
【0065】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは細胞内で活性化され、標的分子は細胞の表面に固定化される。
【0066】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは緑色蛍光タンパク質または変異体を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、シグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである。
【0068】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団由来の0~5個の変異体タンパク質を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも1,000,000、少なくとも3,000,000、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを備える。
【0070】
いくつかの実施形態において、各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存率を改善するための薬剤をさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、薬剤は、メチルセルロース、デキストランプルロニックF-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである。
【0072】
いくつかの実施形態において、薬剤は増殖培地である。
【0073】
いくつかの実施形態において、システムは光源および検出器をさらに備える。
【0074】
いくつかの実施形態において、システムは顕微鏡をさらに備える。
【0075】
いくつかの実施形態において、システムは抽出デバイスをさらに備える。
【0076】
いくつかの実施形態において、抽出デバイスはダイオード励起Qスイッチレーザーを備える。
【0077】
いくつかの実施形態において、システムは2段式サンプル回収要素をさらに備える。
【0078】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーは、電磁放射線の透過を抑制することができる微粒子、磁性微粒子、磁性ビーズ、または電磁放射線吸収材料を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1-A】例示的なマイクロキャピラリースクリーニングアッセイのステップを概略的に示す。各パネルの左側の図は、単一のマイクロキャピラリーの側面からの断面図である。各パネルの右側の図は、マイクロキャピラリーアレイの小部分の底面図である。各例における陰影は、蛍光等の電磁シグナルを示すことを意図している。
【
図2-A】哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニングを例示するマイクロキャピラリーアレイの小部分の底面図を示しており、明視野(
図2A)、LiveGreen(
図2B)、または蛍光抗マウス二次抗体(
図2C)のいずれかを用いて細胞が画像化される。
【
図3】4時間のインキュベーションにわたるA431標的細胞およびハイブリドーマ細胞の両方を含むマイクロキャピラリーの画像を示す。
【
図4-A】哺乳動物細胞に対する発現および非発現酵母細胞を強調するマイクロキャピラリーアレイの小区分の画像を示しており、明視野(
図4A)または蛍光抗体(
図4B)のいずれかを用いて細胞が画像化される。
【
図5-AB】6日間にわたるマイクロキャピラリーアレイにおける不死化ヒト細胞の増殖を示す。
【
図6-A】本開示のスクリーニング方法を実施するように設計された顕微鏡システムの異なる図である。
【
図7】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および哺乳動物細胞への結合の例示的な実施形態を示す。4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。
【
図8-A】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および2つ以上の哺乳動物細胞型への結合の例示的な実施形態を示す。8A)4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。8B)例示的なアッセイの実施形態からの潜在的な読み出しを提供する。
【
図9】実施例6に記載される例示的アッセイによって生成された例示的な蛍光および明視野データを示す。
【
図10】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および固体支持体(ビーズ等)上の固定化標的への結合の例示的な実施形態を示す。4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。
【
図11】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および機能的レポーター応答の例示的な実施形態を示す。4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。レポーターは、例えば、GFP、YFP、および/またはRFPを含む任意の検出可能なレポーター、ならびに本明細書に記載されるかまたは当該技術分野で既知の任意のフルオロフォアを含み得る。
【
図12-A】IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4配列の例を提供する。
【
図13-A】データはA)実施例7の滴定実験からのビーズの画像を提供する。B)シグナルの最適範囲を示すグラフは約1:500~1:5000であった(製造業者推奨の範囲のより低い範囲)。
【発明を実施するための形態】
【0080】
マイクロキャピラリーアレイは最近、例えば「マイクロキャピラリー単一細胞分析およびレーザー抽出」または「μSCALE」と呼ばれるアプローチにおいて、ハイスループット分析および多数の生物学的サンプルを用いたタンパク質工学のためのアプローチに用いられている。Chen et al.(2016)NatureChem.Biol.12:76-81;DOI:10.1038/NCHEMBIO.1978を参照のこと。このアプローチは、マイクロキャピラリーアレイ内の単一細胞の空間的分離に依存しており、したがって、マイクロキャピラリーアレイの各マイクロキャピラリー内の別々のサンプルのイメージング、細胞増殖、およびタンパク質発現の繰り返しを可能にする。したがって、この技術は、例えば、アレイ全体に分布した酵母、細菌、または他の適切な細胞から発現される数百万ものタンパク質変異体の分析において、マイクロキャピラリーアレイ内の数百万ものサンプルに対する大規模並列の定量的な生化学的測定および生物物理学的測定を可能にする。有利には、このアプローチは、多重サンプルの同時時間分解動態解析、および標的表現型特徴に基づくそれらの細胞の選別を可能にした。
【0081】
生物学的変異体の集団の定量的生化学的分析および生物物理学的分析のためのμSCALE法および装置の開発もまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開2016/0244749(A1)号に報告されている。しかしながら、μSCALEアプローチによる所望のマイクロキャピラリーの内容物の抽出は、各サンプル中に放射線吸収材料を含めること、およびパルスレーザーからの電磁放射線をこの材料に向けることを必要とし、したがって抽出方法を複雑にする。加えて、所望の結合活性を欠くマイクロキャビティから放出されるシグナルを最小限にするために、マイクロキャビティのアレイ中の生物学的変異体をスクリーニングする初期の方法は、整列したサンプルに微粒子を添加して、サンプル中およびサンプル外への電磁放射線の透過を一部または完全に阻害することに依存していた。米国特許出願公開第2014/0011690(A1)号を参照のこと。本開示のいくつかの態様において、スクリーニング方法はこれらの追加のサンプル成分または操作に依存せず、したがってスクリーニング技術を単純化し、その効率を向上させる。
【0082】
これらのアプローチの特定の用途において、また本明細書により詳細に開示されるように、標的分子は、粒子(例えば、磁性粒子)、細胞、またはマイクロキャピラリー壁の表面等の表面に固定化され得る。これらのアプローチにおける変異体タンパク質と標的分子との相互作用は、次いで、検出可能な抗体を利用する方法および標的細胞内で発生した検出可能なシグナルを測定する方法を含むいくつかの方法によって測定され得る。そのような方法は、標的分子、例えば細胞または他の表面上の標的分子に結合するタンパク質変異体を発見するためのハイスループットスクリーニングにおいて使用され得ることが理解されよう。
【0083】
スクリーニング方法
したがって、いくつかの態様において、本開示は、以下のステップを含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供する:
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合する、マイクロキャピラリーアレイを提供するステップ、ならびに
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの目的のマイクロキャピラリーを同定するステップ。
【0084】
これらの方法において、マイクロキャピラリーアレイは、好ましくは複数の長手方向に溶融されたキャピラリー、例えば溶融シリカキャピラリーを含むが、任意の他の適切な材料がアレイに用いられてもよい。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、PCT国際特許公開公報第WO2012/007537号および同第WO2014/008056号を参照されたい。そのようなアレイは、例えば、数百万個または数十億個のシリカキャピラリーを結束し、熱プロセスを通してそれらを溶融することによって製造することができるが、他の適切な製造方法も用いることができる。溶融プロセスは、例えば、i)張力下でシングルクラッドファイバに延伸されたキャピラリーシングルドローガラスを加熱するステップと、ii)結束、加熱、および延伸によってシングルドローガラスからキャピラリーマルチドローシングルキャピラリーを作製するステップと、iii)追加の結束、加熱、および延伸によってマルチドローシングルキャピラリーからキャピラリーマルチ-マルチドローマルチキャピラリーを作製するステップと、iv)押圧ブロックに積み重ねることによってマルチ-マルチドローマルチキャピラリーからドローガラスのブロックアセンブリーを作製するステップと、v)熱および圧力で処理することによってブロックアセンブリーからブロック押圧ブロックを作製するステップと、vi)正確な長さ(例えば1mm)でブロック押圧ブロックを切断することによってブロック形成ブロックを作製するステップを含んでもよい。
【0085】
いくつかの実施形態において、製造方法は、シリカキャピラリーをスライスし、それによって非常に高密度のガラスマイクロキャピラリーアレイを形成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイは約1ミリメートルの高さに切断されてもよいが、高さ10μm以下のアレイを含むさらに短いマイクロキャピラリーアレイも企図される。いくつかの実施形態において、10mm以上のアレイを含むさらに長いマイクロキャピラリーアレイが企図される。
【0086】
そのようなプロセスは、本方法における使用に適した非常に高密度のマイクロキャピラリーアレイを形成する。例示的なアレイにおいて、各マイクロキャピラリーは、約5μmの直径および約66%のオープンスペースを有する(すなわち、各マイクロキャピラリーの内腔を表す)。いくつかのアレイでは、開放しているアレイの割合は、約67%の開口面積を有するHamamatsuによって提供されるマイクロキャピラリーアレイのように、約50%~約90%の範囲、例えば約60~75%である。特定の一例において、直径5μmのマイクロキャピラリーおよび約66%のオープンスペースを有する10×10cmのアレイは、約3億3000万個のマイクロキャピラリーを有する。
【0087】
種々の実施形態において、アレイ中の各マイクロキャピラリーの内径は、約1μm~500μmの範囲である。いくつかのアレイにおいて、各マイクロキャピラリーは、約1μm~300μm、任意選択的に約1μm~100μm、さらに任意選択的に約1μm~75μm、さらに任意選択的に約1μm~50μm、さらに任意選択的に約5μm~50μmの範囲の内径を有することができる。
【0088】
いくつかのマイクロキャピラリーアレイにおいて、アレイの開口面積は開口面積(OA)の最大90%を占めるため、細孔直径が1μm~500μmの間で変動する場合、アレイ1cm当たりのマイクロキャピラリーの数は約460~1,100万個以上の間で変動する。いくつかのマイクロキャピラリーアレイにおいて、アレイの開口面積は開口面積の約67%を占めるため、孔径が1μm~500μmの間で変動する場合、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は約340~800,000個以上の間で変動する。
いくつかの実施形態において、孔径は1μm、5μm、10μm、50μm、100μm、250μm、350または500μmである。いくつかの実施形態において、孔径は5μm~500μmである。いくつかの実施形態において、孔径は10μm~450μmである。いくつかの実施形態において、孔径は50μm~500μmである。いくつかの実施形態において、孔径は100μm~500μmである。いくつかの実施形態において、孔径は250μm~500μmである。いくつかの実施形態において、孔径は350μm~500μmである。いくつかの実施形態において、孔径は100μm~450μmである。いくつかの実施形態において、孔径は250μm~450μmである。
いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約400、500、1000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、または800,000個である。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約500~800,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約1000~700,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約2000~600,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約10,000~800,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約10,000~700,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約50,000~800,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約50,000~700,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約100,000~700,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約100,000~600,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約100,000~500,000個の間で変動する。いくつかの実施形態において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約500,000~800,000個の間で変動する。
【0089】
特定の一実施形態において、マイクロキャピラリーアレイは、数十億個のシリカキャピラリーを結合し、次いで熱プロセスを通じてそれらを溶融することによって製造することができる。その後、スライス(0.5mm以上)を切り出して非常に高いアスペクト比のガラスマイクロキャピラリーアレイを形成する。アレイはまた、Hamamatsu Photonics K.K.(日本)、Incom、Inc.(マサチューセッツ州)、Photonis Technologies、S.A.S.(France)Inc.等から市販されている。いくつかの実施形態において、アレイのマイクロキャピラリーは、一端において、アレイに付着した固体基材で閉鎖されている。
【0090】
本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイは、アレイ内に任意の数のマイクロキャピラリーを含むことができる。いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも1,000,000、少なくとも3,000,000、少なくとも10,000,000個、またはさらにそれ以上のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの実施形態において、アレイは、少なくとも100,000、少なくとも200,000、少なくとも300,000、少なくとも400,000、少なくとも500,000、少なくとも600,000、少なくとも700,000、少なくとも800,000、少なくとも1,000,000、少なくとも1,500,000、少なくとも2,000,000、少なくとも2,500,000、または少なくとも3,000,000個以上のマイクロキャピラリーを含む。アレイ内のマイクロキャピラリーの数は、スクリーニングされる変異体タンパク質ライブラリーのサイズを考慮して選択されるのが好ましい。
【0091】
上記のように、本スクリーニング方法で使用されるマイクロキャピラリーアレイ中の各キャピラリーは、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質はスクリーニング方法に供される変異体タンパク質の集団の1つである。変異体タンパク質の集団は、マイクロキャピラリーアレイ内に適切に分布させることができる任意のタンパク質の集団であり得る。理想的には、各マイクロキャピラリーが少数の異なる変異体タンパク質、好ましくはマイクロキャピラリー当たり単一の異なる変異体タンパク質を含むように、変異体タンパク質の集団がマイクロキャピラリーアレイに分布している。重要なのは、集団内の少なくともいくつかのタンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合することができ、その結果、レポーターエレメントからのシグナルを測定することによって会合が検出できるように、変異体タンパク質の集団が固定化標的分子と組み合わせて選択されるということである。
【0092】
本明細書で使用される「タンパク質」という用語は、全長タンパク質またはポリペプチド配列の両方、およびその断片を指す。そのような断片は、例えば、結合活性等の機能的活性を保持する断片を含み得る。用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本開示を通して互換的に使用され、ペプチド結合を介して共有結合したアミノ酸の鎖を含み、ポリペプチド中の各アミノ酸は「アミノ酸残基」と称され得る。用語「タンパク質」または「ポリペプチド」の使用は、いずれか特定の長さのポリペプチド、例えば、いずれか特定の数のアミノ酸残基に限定されるとみなされるべきではない。主題のタンパク質は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、硫酸化等を含む翻訳後修飾等の非ペプチド修飾、またはアルキル化、アセチル化、エステル化、PEG化等の他の化学修飾を有するタンパク質を含み得る。ポリペプチド配列内の非天然アミノ酸の包含またはアミノ酸残基間の非ペプチド結合等のさらなる修飾もまた、用語「タンパク質」または「ポリペプチド」の定義の範囲内で考慮されるべきである。
【0093】
変異体タンパク質の集団は、好ましくは、小さな変異を有するタンパク質の集団、例えば、各タンパク質がわずかに異なるアミノ酸配列を有するタンパク質の集団である。したがって、スクリーニングアッセイは、望ましい特性を有する変異体タンパク質配列を同定することができる。スクリーニングは顕微鏡規模で非常に大量に行うことができるため、膨大な数の変異体タンパク質を比較的短時間でアッセイすることができる。
【0094】
変異体タンパク質および/または変異体ポリペプチドは、分泌タンパク質を含み得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、分泌タンパク質は、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーに由来する。いくつかの実施形態において、分泌タンパク質は、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーに由来する。いくつかの実施形態において、分泌タンパク質は、哺乳動物細胞株由来の組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーに由来する。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、全長哺乳動物抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体ならびにそれらの変異体を含む全長哺乳動物抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは全長ヒト抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体を含む全長ヒト抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは全長マウス抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体を含む全長マウス抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは全長ラット抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体を含む全長ラット抗体を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは抗体断片(Fab)を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは一本鎖可変断片(scFv)を含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは天然タンパク質リガンドを含む。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、規定の標的タンパク質および/またはポリペプチドに対する天然タンパク質リガンドを含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団由来の0~5個の異なる変異体タンパク質を含む。特定の実施形態において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団由来の0~4、0~3、0~2、またはさらには0~1個の異なる変異体タンパク質を含む。変異体タンパク質の集団中の異なる変異体タンパク質は、それらのアミノ酸配列またはタンパク質の他の何らかの化学修飾に相違点があるかどうかにかかわらず、それらの分子構造が異なることを理解されたい。
【0096】
各マイクロキャピラリーは、特定の変異体タンパク質の起源および発現レベルに応じて、典型的には、同じ変異体タンパク質の多くの複数のコピーを含むことを理解されたい(下記参照)。いくつかの実施形態において、各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質がマイクロキャピラリーにどのように送達されるかまたはその中でどのように発現されるかに応じて、特定の変異体タンパク質の数千、数万、数十万、数百万、数十億個、またはさらにはそれ以上の分子を含む。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は、1、2、3、または4つ以上の標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は1つの標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は2つの標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は3つの標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は4つの標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は4つを超える標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態において、このアッセイは、代替として、標的タンパク質のマウスおよびヒト(または他の動物の組み合わせ)変異体の両方に結合する抗体をスクリーニングするために、すなわち「交差反応性」抗体を発見するために使用することができる。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、マウスおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、マウス標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、カニクイザルおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、カニクイザル標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。
【0097】
変異体タンパク質の集団は、典型的には、生物学的発現系、例えばインビトロ(すなわち無細胞)発現系またはインビボもしくは細胞発現系において遺伝子ライブラリーを用いて作製される。例示的な細胞発現系として、例えば、動物系(例えば、哺乳動物系)、真菌系(例えば、酵母系)、細菌系、昆虫系、または植物系が挙げられる。特定の実施形態において、発現系は哺乳動物系または酵母系である。発現系は、細胞性であれ無細胞性であれ、典型的には、変異体タンパク質の集団をコードする遺伝物質のライブラリーを含む。細胞発現系は、望ましい表現型を有する細胞、例えば、固定化標的分子と高い親和性で会合することができる変異体タンパク質等の特定の目的の変異体タンパク質を発現する細胞を成長および増殖させることができるという利点を提供し、したがって、細胞によって発現される目的のタンパク質の同定および特徴付けを単純化する。いくつかの実施形態において、生物学的発現系は哺乳動物細胞株を含む。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株は、CHO-K1、CHO-S、HEK293T、および/またはこれらの細胞型の任意の誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株はCHO-K1である。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株はCHO-Sである。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株はHEK293Tである。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株は、ヒト、マウス、および/またはラットのハイブリドーマ細胞株からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株はヒトハイブリドーマ細胞株である。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株はマウスハイブリドーマ細胞株である。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞株はラットハイブリドーマ細胞株である。
【0098】
大規模な変異体タンパク質の集団をコードする遺伝子ライブラリーは、生物工学の分野で周知である。そのようなライブラリーは、標的分子への高親和性結合、安定性、高発現、または特定の分光学的活性、例えば、蛍光もしくは酵素活性等の有利な特性を有するタンパク質を同定するための定向進化のプロセスに依存するシステムにおいてしばしば利用される。多くの場合、ライブラリーは、宿主発現系由来の配列との遺伝的融合、例えば、亜細胞局在化を指示するタンパク質の断片を含み、変異体融合タンパク質の発現集団は、変異体タンパク質集団の活性スクリーニングのために、標的断片によって細胞またはウイルス粒子の特定の位置に向けられる。当技術分野で周知のように、日常的な生物工学技術を使用して、多数の変異体タンパク質(例えば、106変異体、108変異体、1010変異体、1012変異体、またはさらにはそれ以上の変異体)を作製することができる。そのようなライブラリーは、抗体、抗体断片、一本鎖可変断片、または天然タンパク質リガンドを含む、本明細書に記載の変異体タンパク質のいずれかを含み得る。
【0099】
したがって、いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質、例えば、細胞発現系によって分泌される可溶性タンパク質である。例示的な可溶性変異体タンパク質として、抗体および抗体断片、ジスルフィド結合したペプチド足場等の代替タンパク質足場、細胞表面受容体タンパク質の細胞外ドメイン、例えばGタンパク質共役受容体リガンド等の受容体リガンド、他のペプチドホルモン、レクチン等が挙げられる。有利には、所望の結合活性を有する変異体タンパク質およびそれを発現した細胞は、アッセイを通して同じマイクロキャピラリー内に共局在するため、本方法において結合活性についてスクリーニングされる変異体タンパク質は、スクリーニングアッセイ後に同定されるためにそれらを発現する細胞またはウイルスに共有結合される必要がない。所望のマイクロキャピラリーの内容物の単離、それに続く所望の変異体タンパク質の発現に関与する細胞またはウイルスクローンの増殖は、それによってそのタンパク質の同定および特徴付けを可能にする。細胞またはウイルス粒子の表面上の分子へのタンパク質の融合によって目的の変異体タンパク質が提示されるスクリーニングアッセイとは異なり、本スクリーニング方法で同定される変異体タンパク質は、それらの同定後にまったく変更される必要がない。したがって、スクリーニングにおいて観察される変異体タンパク質の活性は、それらの後の用途におけるそれらのタンパク質の実際の活性を表す可能性がより高い。
【0100】
しかしながら、他の実施形態において、変異体タンパク質が膜結合性タンパク質、例えば、発現系において細胞またはウイルス粒子の表面と結合したままのタンパク質であることが望ましい場合がある。細胞結合性変異体タンパク質のスクリーニングは、変異体タンパク質およびその標的分子が生体組織内の2つの細胞間の相互作用を媒介する場合に望ましい可能性がある。また、細胞結合性変異体タンパク質に対してスクリーニングする能力は、例えば、Gタンパク質共役受容体またはイオンチャネル等の従来的に「新薬の開発につながらない」タンパク質標的との相互作用についてスクリーニングする際にも望ましい場合がある。
【0101】
変異体タンパク質に加えて、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、固定化標的分子も含む。固定化標的分子は、スクリーニングアッセイの変異体タンパク質に対する潜在的結合パートナーとして機能する。各マイクロキャピラリーが理想的にはわずかに異なる配列の変異体タンパク質を含む変異体タンパク質の集団とは異なり、固定化された標的分子は、理想的にはアレイの各マイクロキャピラリー中に同じ分子構造を有する。いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーへの変異体タンパク質の添加前には、変異体タンパク質と別の薬剤または分子(例えば標的分子)との間に結合または他の相互作用はない。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質と標的分子との相互作用は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティ内で起こる。
【0102】
いくつかの実施形態において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、標的脂質、またはこれらの標的分子の2つ以上の組み合わせである。例えば、いくつかの実施形態において、標的分子は脂質修飾タンパク質またはグリコシル化タンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、標的分子は表面に固定化される。より具体的な実施形態において、標的分子は、標的細胞等の細胞の表面、ビーズの表面、マイクロキャピラリー壁の表面、または別の適切な表面に固定化される。他のより具体的な実施形態において、標的分子は天然タンパク質、例えば、細胞の表面に固定化された天然タンパク質である。さらに他のより具体的な実施形態において、標的分子は、重力沈降によってマイクロキャピラリー中に沈殿するように構成される表面に固定化される。いくつかの実施形態において、1、2、3、もしくは4つ、またはそれ以上の標的分子に結合する変異体を同定するために、1、2、3、もしくは4つ、またはそれ以上の標的分子が用いられる。いくつかの実施形態において、標的分子は、別々の異なるマイクロキャピラリーに別々に含まれる。いくつかの実施形態において、標的分子は、単一アレイ内の別々の異なるマイクロキャピラリーに別々に含まれる。いくつかの実施形態において、標的分子は、1つ以上のアレイ内の別々の異なるマイクロキャピラリーに別々に含まれる。いくつかの実施形態において、標的分子は単一マイクロキャピラリーに一緒に含まれる。いくつかの実施形態において、標的分子は単一アレイ内の単一マイクロキャピラリーに一緒に含まれる。いくつかの実施形態において、変異体が結合する1、2、3、もしくは4つ、またはそれ以上の標的分子は、化学修飾、二次翻訳後修飾、または配列同一性変異体(例えば、元の核酸またはアミノ酸標的配列に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有する変異体を含む)を含む、元の標的分子の誘導体または変異体である。
【0103】
前述のように、本開示の方法において、変異体タンパク質は、マイクロキャピラリー内で特定の親和性で固定化標的分子と会合する。重要なのは、会合がレポーターエレメントからのシグナルによって測定され得るように、そのような親和性は目的の変異体タンパク質に対して十分に強くなければいけないということである。当業者には十分に理解されるように、結合親和性は、典型的には解離定数(Kd)によって評価され、解離定数が低いほど親和性が高い。いくつかの実施形態において、目的の変異体タンパク質と固定化標的分子との会合は、ミリモルからマイクロモルの範囲の解離定数を示す。特定の実施形態において、会合は、マイクロモルから高ナノモル(すなわち、10-6M~10-8M)の解離定数を示す。より具体的な実施形態において、会合は、低ナノモルから高ピコモル(すなわち、10-8M~10-10M)の解離定数を示す。さらにより具体的な実施形態において、会合は、ピコモル範囲(すなわち、10-10M~10-12M)、またはさらに低い解離定数を示す。いくつかの実施形態において、第1の細胞は変異体タンパク質またはポリペプチドを発現および分泌し、第2の細胞は標的を含み、その結果、第1の細胞が第2の細胞に結合する。いくつかの実施形態において、第2の細胞は標的を発現する。いくつかの実施形態において、第2の細胞は標的で標識される。いくつかの実施形態において、第1の細胞はマイクロキャピラリー中の第2の細胞に結合する。いくつかの実施形態において、第1の細胞は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティ中の第2の細胞に結合する。
【0104】
変異体タンパク質および固定化標的分子に加えて、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、レポーターエレメントも含む。重要なのは、レポーターエレメントが変異体タンパク質と固定化標的分子との会合を示す測定可能なシグナルを提供し、したがって目的の変異体タンパク質を含むマイクロキャピラリーを特定する役割を果たすということである。
【0105】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは、変異体タンパク質の集団中の各変異体タンパク質に結合することができる標識抗体または他の分子である。より具体的には、レポーターエレメントは、蛍光標識抗体または他の結合分子である。
【0106】
いくつかの実施形態において、標識抗体は、標識一次抗体または標識二次抗体である。本開示の目的のために、一次抗体は、典型的には、目的の抗原に直接結合する抗体であると考えられ、二次抗体は、典型的には、一次抗体標識の目的で一次抗体上の定常領域に結合する抗体であると考えられる。したがって、二次抗体は、フルオロフォアもしくは他の検出可能な標識で頻繁に標識されるか、または検出可能なシグナルを発生させることができる酵素で標識される。それらは概して、異なる種に由来する一次抗体に特異的である。例えば、当業者には理解されるように、ヤギまたは他の動物種が、マウス、ニワトリ、ウサギ、またはその動物種由来の抗体以外のほぼあらゆる一次抗体に対する二次抗体を作製するために使用され得る。特定の実施形態において、標識抗体は蛍光抗体または酵素結合抗体である。
【0107】
本方法の実施形態のいくつかにおいて、例えば、
図1A~1Cに示されるスクリーニング方法において、変異体タンパク質はレポーターエレメントと標的分子、この例では標的細胞の表面上の標的分子との会合を媒介する。
図1Bに示すように、変異体タンパク質(ここでは「分泌タンパク質」と表される)が標的細胞上のその標的分子に対して十分な親和性を有する場合、変異体タンパク質は、マイクロキャピラリー溶液の条件下で標的細胞と会合する。レポーターエレメント(ここでは「蛍光検出抗体」と表される)は、理想的には、
図1Cに示すように、標的分子に対する変異体タンパク質の親和性に影響を及ぼさないエピトープで変異体タンパク質に結合する。
【0108】
当業者には理解されるように、蛍光抗体等の可溶性レポーターエレメントが本スクリーニング方法において使用される場合、マイクロキャピラリー内の溶液中に遊離したままの(すなわち、変異体タンパク質に結合していないか、または標的分子に結合していない変異タンパク質に結合している)任意の過剰なレポーターエレメントによって放出されるシグナルは、変異体タンパク質を介して標的分子と会合したレポーターエレメントのシグナルを圧倒するほど高くてはならない(例えば、
図1Cに示される会合していない蛍光検出抗体を参照)。しかしながら、そのようなバックグラウンドシグナルは、マイクロキャピラリー溶液内の標識抗体または他のレポーターエレメントの濃度を制限することによって最小限に抑えることができる。さらに、スクリーニング方法からのシグナルが蛍光顕微鏡を用いて測定される場合、標的分子の位置(例えば、標的細胞が沈降重力によってそこに沈殿した場合、マイクロキャピラリーの底部)を囲む比較的狭い被写界深度を撮像するように顕微鏡を構成することにより、標的分子と会合していないレポーターエレメントからのバックグラウンドシグナルを最小限に抑えることができる。
【0109】
他の実施形態において、レポーターエレメントは、例えば、変異体タンパク質と固定化標的分子、例えば、細胞の表面上の受容体または他の分子標的との会合等の結合事象に関連して検出可能なシグナルを発生させる細胞内レポーターエレメントである。これらの実施形態において、レポーターエレメントは、例えば細胞内シグナル伝達経路等の全細胞経路を含み得る。そのような経路は、経路の下流読み出しとして検出可能なシグナルを含むか、または含むように操作されるべきである。検出可能なシグナルが標的細胞の外表面に結合している
図1A~1Cに示されているアッセイとは対照的に、これらの実施形態における検出可能なシグナルは典型的には標的細胞の内部で発生するであろう。
【0110】
多くの細胞内シグナル伝達経路が、ハイスループットスクリーニングアッセイ、特に創薬スクリーニングにおける使用のために開発されており、本アッセイにおける使用に適合させることができる。例えば、Micheliniら(2010)Anal.Bioanal.Chem.398:227-38を参照のこと。特に、細胞表面上の標的分子との結合事象が測定可能なシグナル、特に蛍光シグナルの発生をもたらす任意の細胞アッセイを、本アッセイにおけるレポーターエレメントとして使用することができる。好ましくは、細胞はそれらの表面に目的の標的分子を発現するように操作することができ、その結果、標的分子への特定の変異体タンパク質の結合およびその結果としての細胞内シグナル伝達経路の活性化が、レポーターエレメントからの検出可能なシグナルの生成をもたらし、したがって、ポジティブヒットとしてのマイクロキャピラリーの同定を可能にする。緑色蛍光タンパク質(GFP)、または多種多様な変異体蛍光タンパク質のいずれかの発現は、そのような細胞アッセイにおける読み出しとしてしばしば使用され、本方法におけるレポーターエレメントのエンドポイントとして機能し得る。代替として、当業者には十分に理解されるように、シグナル伝達の読み出しは、ルシフェラーゼまたは生物発光シグナルを生成する他の関連酵素によって提供され得る。例えば、Kelkar et al.(2012)Curr.Opin.Pharmacol.12:592~600を参照のこと。レポーターエレメントはまた、RFP(赤色蛍光タンパク質)およびYFP(黄色蛍光タンパク質)、ならびにそれらの変異体も含み得る。細菌系および植物系由来の他の周知の酵素レポーターとして、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β-グルクロニダーゼ(GUS)等が挙げられ、これらは適切な発色基質を用いて本スクリーニングアッセイにおける使用に適合させることができる。ホタルルシフェラーゼおよびGFPを用いた転写レポーターは、転写因子の機能および制御を研究するために広く使用されてきた。それらは同様に、本スクリーニングアッセイにおける使用に適合させることができる。例示的な細胞内シグナル伝達系は市販されており、例えば、ルシフェラーゼまたはGFPのいずれかの読み出しによって利用可能な、QiagenのCignal(商標)Reporter Assayキット(例えば、www.sabiosciences.com/reporterassays.phpを参照)がある。そのようなシステムは、本スクリーニング方法で使用するために適切に再設計することができる。
【0111】
変異体タンパク質発現系は、特に発現系が細胞発現系である場合、変異体タンパク質の発現の前および/またはマイクロキャピラリーのアレイにアッセイ混合物を送達する前に、固定化標的分子およびレポーターエレメント(または固定化標的分子および/またはレポーターエレメントの作製に関与する細胞成分等の適切な成分)と組み合わせられ得ることを理解されたい。そのようなアプローチは、有利には、スクリーニングアッセイの全成分が典型的には静的形態で混合されてマイクロキャピラリーに装填される従来技術のマイクロキャピラリースクリーニングシステムと比較して、成分間の相互作用のタイミングにおける柔軟性および制御を可能にする。対照的に、本方法は、細胞成分の増殖、遺伝子成分の発現、またはその両方を可能にすることによって、結合アッセイの成分の一部または全部をマイクロキャピラリー内でインサイチュで作製することを可能にする。いくつかの実施形態において、アッセイプロセスの間に細胞の健康を維持するために細胞培養培地および/または成長剤が用いられる。いくつかの実施形態において、細胞の代謝的健康を促進する成分が含まれる。
【0112】
変異体タンパク質の濃度、固定化標的分子の濃度、およびレポーターエレメントの濃度を含む、マイクロキャピラリー内のスクリーニングアッセイの各成分の濃度は、最適な結果を得るために、アッセイにおいて所望の通りに調節することができることも理解されたい。特に、これらの成分間の所望のレベルの会合を達成するために、変異体タンパク質および/または固定化標的分子の濃度を調節することが望ましい場合がある。会合のレベルはまた、これらの成分間の特定の親和性にも依存し、より高い親和性は所与の濃度の成分に対してより高いレベルの会合をもたらし、より低い親和性は所与の濃度に対してより低いレベルの成分の会合をもたらす。当業者には理解されるように、レポーターエレメントの濃度も、最適レベルのシグナル出力を達成するために同様に調節され得る。いくつかの実施形態において、用いられるレポーターエレメントは、市販のものを含む二次抗体を含む。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:200~1:2000である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:300~1:2000である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:300~1:1500である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:400~1:1500である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:500~1:1500である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:200~1:1000である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:500~1:1000である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:1000~1:2000である。いくつかの実施形態において、希釈範囲は1:1500~1:2000である。いくつかの実施形態において、希釈は1:200、1:300、1:400、1:500、1:600、1:700、1:800、1:900、1:1000、1:1500、または1:2000である。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、AlexaFluor3、AlexaFluor5、AlexaFluor350、AlexaFluor405、AlexaFluor430、AlexaFluor488、AlexaFluor500、AlexaFluor514、AlexaFluor532、AlexaFluor546、AlexaFluor555、AlexaFluor568、AlexaFluor594、AlexaFluor610、AlexaFluor633、AlexaFluor647、AlexaFluor660、AlexaFluor680、AlexaFluor700、およびAlexaFluor750(Life Technologies,Inc.(USA)から入手可能なMolecular Probes AlexaFluor色素)を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7(GE Life SciencesまたはLumiprobesから入手可能)を含む、Cy色素を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、DyLight350、DyLight405、DyLight488、DyLight550、DyLight594、DyLight633、DyLight650、DyLight680、DyLight750およびDyLight800(Thermo Scientific(USA)から入手可能)を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、FluoProbes390、FluoProbes488、FluoProbes532、FluoProbes547H、FluoProbes594、FluoProbes647H、FluoProbes682、FluoProbes752およびFluoProbes782、AMCA、DEAC(7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸);7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン-3;7-ヒドロキシクマリン-3;MCA(7-メトキシクマリン-4-酢酸);7-メトキシクマリン-3;AMF(4’-(アミノメチル)フルオレセイン);5-DTAF(5-(4,6-ジクロロトリアジニル)アミノフルオレセイン);6-DTAF(6-(4,6-ジクロロトリアジニル)アミノフルオレセイン);6-FAM(6-カルボキシフルオレセイン)、5(6)-FAMカダベリン;5-FAMカダベリン;5(6)-FAMエチレンジアミン;5-FAMエチレンジアミン;5-FITC(FITC異性体I;フルオレセイン-5-イソチオシアネート);5-FITCカダベリン;フルオレセイン-5-マレイミド;5-IAF(5-ヨードアセトアミドフルオレセイン);6-JOE(6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン);5-CRl l0(5-カルボキシローダミン110);6-CRl l0(6-カルボキシローダミン110);5-CR6G(5-カルボキシローダミン6G);6-CR6G(6-カルボキシローダミン6G);5(6)-カルボキシローダミン6Gカダベリン;5(6)-カルボキシローダミン6Gエチレンジアミン;5-ROX(5-カルボキシ-X-ローダミン);6-ROX(6-カルボキシ-X-ローダミン);5-TAMRA(5-カルボキシテトラメチルローダミン);6-TAMRA(6-カルボキシテトラメチルローダミン);5-TAMRAカダベリン;6-TAMRAカダベリン;5-TAMRAエチレンジアミン;6-TAMRAエチレンジアミン;5-TMR C6マレイミド;6-TMR C6マレイミド;TR C2マレイミド;TRカダベリン;5-TRITC;G異性体(テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート);6-TRITC;R異性体(テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート);ダンシルカダベリン(5-ジメチルアミノナフタレン-l-(N-(5-アミノペンチル))スルホンアミド);EDANS C2マレイミド;フルオレサミン;NBD;およびピロメテン、ならびにそれらの誘導体を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、使用されるレポーターエレメントは、AlexaFluor633で標識されたロバ抗ヤギIgG二次抗体であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存率を改善するための単数または複数の薬剤をさらに含む。具体的には、単数または複数の薬剤は、例えばレーザーパルスによる、目的のマイクロキャピラリーの内容物を単離するステップの間の細胞損傷を防止するために含まれる(下記参照)。好ましい実施形態において、薬剤はメチルセルロース(例えば0.001~10重量%)、デキストラン(例えば0.5~10重量%)、プルロニックF-68(例えば0.01~10重量%)、ポリエチレングリコール(「PEG」)(例えば、0.01~10重量%)、ポリビニルアルコール(「PVA」)(例えば、0.01~10重量%)等である。代替として、または加えて、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、例えば、50%馴化増殖培地、25%標準増殖培地、または25%血清等の増殖添加剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、馴化増殖培地は24時間馴化される。いくつかの実施形態において、添加される薬剤は、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、セレン、インスリン様成長因子、もしくはこれらの薬剤の組み合わせ、または上記薬剤のいずれかの組み合わせである。
【0114】
本開示のスクリーニング方法は、少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの目的のマイクロキャピラリーを同定するさらなるステップを含む。いくつかの実施形態において、測定される信号は、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナル、位相差シグナル等である。したがって、測定ステップは、適切な検出器デバイス、例えば、電磁放射線または任意の他の適切なシグナルを検出することができるデバイスによって行うことができる。特定の実施形態において、測定ステップは、蛍光顕微鏡または上記のシグナルを検出するように構成される他の顕微鏡等の顕微鏡によって行われる。
【0115】
好ましい実施形態において、本スクリーニング方法で利用されるマイクロキャピラリーは、電磁放射線の透過を抑制することができる微粒子を含まないことを理解されたい。言い換えれば、マイクロキャピラリーは、マイクロキャピラリーアレイに入射する電磁放射線に対して、特にマイクロキャピラリーの縦軸に沿って完全に透明であることが好ましい。他の好ましい実施形態において、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーは、磁性微粒子またはビーズを含まない。さらに他の好ましい実施形態において、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーは、電磁放射線の透過を抑制することができる微粒子、磁性微粒子、または磁性ビーズを含まない。
【0116】
他の好ましい実施形態において、本スクリーニング方法で利用されるマイクロキャピラリーは電磁放射線吸収材料を含まない。しかしながら、スクリーニング方法において測定可能なシグナルを発生することに関与するレポーターエレメントの成分、例えば、蛍光抗体上のフルオロフォアは、本発明のこの態様の目的のために、電磁放射線吸収材料とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0117】
いくつかの実施形態において、本スクリーニング方法は、目的のマイクロキャピラリーの内容物を単離するステップをさらに含む。特定の実施形態において、目的のマイクロキャピラリーの内容物は、目的のマイクロキャピラリーをレーザーによりパルス発振することによって単離される。より具体的には、レーザーはダイオードレーザーまたはダイオード励起QスイッチNd:YLFレーザーであり得る。いくつかの実施形態において、レーザーは、マイクロキャピラリー壁とマイクロキャピラリーに含まれるサンプルとの間の水-ガラス界面に向けることができる。理論によって拘束されることを意図するものではないが、この界面でUVレーザーを発射することは、通常マイクロキャピラリー中にサンプルを保持するメニスカス/水の表面張力を破壊することができ、したがってサンプルを重力の力によってアレイから落下させることができると考えられる。他の実施形態において、目的のマイクロキャピラリーの内容物は、レーザー誘発の蒸気力による膨張によって単離される。いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーの内容物は、マイクロキャピラリー自体のガラスを破壊することによって単離される。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明のマイクロキャピラリースクリーニング方法は、マイクロキャピラリーへの成分の添加から数分以内に変異体タンパク質と標的分子との間で起こる反応および/または相互作用(結合相互作用を含む)のスクリーニングを可能にする。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、約1分~約10分以内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、約1時間~約6時間以内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの実施形態において、反応および/または相互作用は、約1時間、約2時間、約4時間、約6、約10時間、約12時間、約16時間、約24時間、約36時間、または約48時間以内に起こる。時間、分~約10分。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、マイクロキャピラリー内の細胞が生存し、かつ健康であるような期間内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、マイクロキャピラリー内の細胞が生存可能であるような期間内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの実施形態において、細胞は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティから取り出した後に増殖させることができる。いくつかの実施形態において、細胞は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティから取り出した後に生存可能である。いくつかの実施形態において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用はマイクロキャピラリー内で起こる。
【0119】
スクリーニングのためのシステム
本発明の別の態様によれば、以下を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングするためのシステムが提供される:
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合する、アレイ。これらのスクリーニングデバイスの構成要素は上記に詳細に記載されており、それらのいずれもスクリーニングのためのシステムに組み込むことができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、スクリーニングシステムは光源および検出器をさらに備える。光源および検出器は、スクリーニングシステムで使用される特定のレポーターエレメントに従って選択される。例えば、レポーターエレメントが蛍光シグナルを発生する場合、光源は蛍光プローブを励起するために適切な波長の励起光を供給する。同様に、検出器は、蛍光プローブによって放出される光の波長に感応するように選択される。当業者には理解されるように、光源および検出器は、例えば、蛍光顕微鏡等の顕微鏡の構成要素であり得るか、またはそれらは別々のデバイスであり得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、スクリーニングシステムは、抽出デバイス、例えば、ダイオードレーザー、ダイオード励起Qスイッチレーザー、または目的のマイクロキャピラリーの内容物を単離するための他の適切な構成要素をさらに備える。
【0122】
本方法に従って変異体タンパク質の集団をスクリーニングするための例示的な顕微鏡を
図6A~6Eの図面に示す。
図6Aは、顕微鏡を上から見た斜視図であり、アレイ保持ステージおよびサンプル回収ステージの両方を示している。
図6Bはデバイスの正面図を示す。
図6Cは右側からの図を示す。デバイスの右側の拡大図が
図6Dに提供されており、アレイ保持ステージとサンプル回収ステージとの関係を詳細に示している。
図6Eは、本スクリーニングシステムでの使用に適した多段式サンプル回収顕微鏡の種々の構成要素の分解図を提供する。
【0123】
本発明の範囲またはそのいずれの実施形態からも逸脱することなく、本明細書に記載の方法および用途に対して他の適切な改変および適合をなし得ることが、関連技術分野の当業者には容易に明らかであろう。本発明を詳細に説明してきたが、本発明を制限することを意図するものではなく、例示のみを目的とする以下の実施例を参照することによって、本発明はより明確に理解されるであろう。いくつかの実施形態において、上記方法の項で開示された任意の態様もまた本発明のシステムに容易に適用可能である。本発明のシステムは、本明細書に記載される方法のいずれかとともに用いることができる。
【0124】
例示的な実施形態
本出願は、以下のステップを含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供する:
複数のマイクロキャピラリーを備え、各マイクロキャピラリーが変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合する、マイクロキャピラリーアレイを提供するステップ、ならびに
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの目的のマイクロキャピラリーを同定するステップ。
【0125】
いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は発現系によって発現される。
【0126】
いくつかの実施形態において、発現系は無細胞発現系である。
【0127】
いくつかの実施形態において、発現系は細胞発現系である。
【0128】
いくつかの実施形態において、細胞発現系は、動物系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である。
【0129】
いくつかの実施形態において、細胞発現系は酵母系である。
【0130】
いくつかの実施形態において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質である。
【0131】
いくつかの実施形態において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、またはそれぞれの組み合わせである。
【0132】
いくつかの実施形態において、標的分子は表面に固定化される。
【0133】
いくつかの実施形態において、表面は細胞の表面である。
【0134】
いくつかの実施形態において、標的分子は天然タンパク質である。
【0135】
いくつかの実施形態において、表面はビーズの表面である。
【0136】
いくつかの実施形態において、表面はマイクロキャピラリー壁の表面である。
【0137】
いくつかの実施形態において、表面は重力沈降によってマイクロキャピラリー中に沈殿するように構成される表面である。
【0138】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは標識抗体または他の結合分子である。
【0139】
いくつかの実施形態において、標識抗体または他の結合分子は蛍光標識抗体または他の結合分子である。
【0140】
いくつかの実施形態において、標識抗体は一次抗体または二次抗体である。
【0141】
いくつかの実施形態において、標識抗体または他の結合分子は酵素結合抗体または他の結合分子である。
【0142】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは細胞内で活性化され、標的分子は細胞の表面に固定化される。
【0143】
いくつかの実施形態において、レポーターエレメントは緑色蛍光タンパク質または変異体を含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、シグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである。
【0145】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団由来の0~5個の変異体タンパク質を含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも1,000,000、少なくとも3,000,000、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを備える。
【0147】
いくつかの実施形態において、各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存率を改善するための薬剤をさらに含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、薬剤は、メチルセルロース、デキストランプルロニックF-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである。
【0149】
いくつかの実施形態において、薬剤は増殖培地である。
【0150】
いくつかの実施形態において、シグナルは光学検出器によって測定される。
【0151】
いくつかの実施形態において、シグナルは顕微鏡によって測定される。
【0152】
いくつかの実施形態において、方法は、目的のマイクロキャピラリーの内容物を単離するステップをさらに含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、目的のマイクロキャピラリーの内容物は、目的のマイクロキャピラリーをレーザーによりパルス発振することによって単離される。
【実施例】
【0154】
実施例1.分泌されたEGFR結合タンパク質のスクリーニング
図1A-
図1Cは、固定化標的分子としての細胞表面タンパク質(例えば、上皮成長因子受容体(「EGFR」))と会合することができる可溶性タンパク質、この場合は固定化標的タンパク質の例示的なスクリーニング方法を示す。
図1A(左側のパネル)は、その表面にEGFRを発現する標的細胞を示す。また、変異体タンパク質の集団を発現する「ライブラリー発現細胞」、およびマイクロキャピラリー溶液中の多数の「蛍光検出抗体」も示される。マイクロキャピラリーアレイの底面図が右側のパネルに示される。
【0155】
このスクリーニングアッセイによる各マイクロキャピラリーの構成要素:
1.目的の変異体タンパク質を分泌する細胞(「ライブラリー発現細胞」)。目的の変異体タンパク質は、変異体タンパク質の集団、すなわちタンパク質ライブラリーのメンバーであることが好ましい。
2.「標的細胞」の表面に固定化された標的タンパク質。この例では、標的タンパク質は天然の細胞表面受容体(すなわちEGFR)である。しかしながら、代替として、標的タンパク質は、ビーズ表面またはマイクロキャピラリー自体の表面等の別の表面に固定化されてもよい。
3.レポーターエレメント
a.この例では、レポーターエレメントは、分泌タンパク質に特異的な蛍光標識抗体(すなわち「蛍光検出抗体」)に対応する。抗体は、分泌タンパク質上のエピトープに特異的に局在するが、理想的には標的細胞上の標的タンパク質への分泌タンパク質の結合を妨害しない。
b.代替として、レポーターエレメントは、標的タンパク質を発現する細胞内のシグナル伝達経路であってもよい。分泌された変異体タンパク質が細胞表面上の標的タンパク質に結合し、標的細胞内のシグナル伝達経路を活性化する場合、結合相互作用は細胞内で蛍光シグナルを発生するであろう(図示せず)。
4.反応バッファー
a.ライブラリー発現細胞または標的細胞のための培地であり得る(例えば、そのような培地は、例えば、ThermoFIshcerから市販されているものを含むハイブリドーマ培地であり得る;thermofisher.com/order/catalog/product/11279023;CD Hybridoma Mediumのワールドワイドウェブを参照のこと)。
b.哺乳動物のイメージング溶液であり得る(例えば、そのようなイメージング溶液は、pH7.4のHEPESで緩衝された光学的に透明な生理溶液であり得る)。
【0156】
方法の説明
ステップ1:全ての構成要素をマイクロキャピラリーに添加する(
図1A参照)。
【0157】
ステップ2:特異的な「分泌タンパク質」がライブラリー発現細胞によってマイクロキャピラリーに発現される。標的タンパク質に結合することができる分泌タンパク質変異体は、示されるように標的細胞表面に局在している(
図1B参照)。
【0158】
ステップ3:結合した分泌タンパク質変異体と会合した蛍光検出抗体が、特定のマイクロキャピラリー中の標的細胞と会合して観察される(
図1C参照)。
【0159】
詳細な説明とサンプルデータ:
この方法を実証するために、ヒト癌細胞上のEGFRに結合するように設計されたタンパク質を発現する酵母ベクターライブラリーを作製した。このライブラリーにおいて、いくつかの酵母変異体はタンパク質を発現することができたが、他の変異体はタンパク質を発現することができなかった。酵母細胞、癌細胞、および発現タンパク質に対する蛍光抗体をマイクロキャピラリーに添加した。18時間後、マイクロキャピラリーアレイを画像化した。スクリーニングのさらなる詳細および結果は、後述の実施例3に提供される。
【0160】
実施例2.哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニング
一般的な背景
タンパク質または他の標的分子間の結合相互作用をスクリーニングするための現在の方法は、典型的には「ディスプレイ」法、例えばファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、哺乳動物ディスプレイ、またはウイルスディスプレイの使用に依存している。ディスプレイ法において、タンパク質変異体をコードする遺伝子のライブラリーが細胞またはファージの表面に発現される。タンパク質変異体は、標的に結合することができるタンパク質変異体を同定するために、可溶性型の標的分子とともにインキュベートされる。ライブラリーは、パンニングまたは蛍光活性化細胞選別(「FACS」)によってスクリーニングすることができる。そのようなアッセイは、2つの主な制約を有する:1)人工タンパク質は典型的にはディスプレイプラットフォームにつながれる、および2)通常、可溶性形態の標的分子が存在することが有利である。したがって、多くの標的分子に結合する変異体タンパク質、特にGタンパク質共役受容体および他のそのような受容体等の膜タンパク質のための信頼できるアッセイを開発することは困難であり得る。
【0161】
哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニング
標的分子に特異的に結合する抗体変異体を同定するために、標的分子として高レベルのEGFRを発現した癌細胞株にハイブリドーマ(抗体変異体を分泌する)を添加した。分泌された抗体に特異的な標識抗体を次に添加した。
材料:
細胞:
マウスハイブリドーマ
A431標的細胞(高レベルのEGFRを発現するヒト癌細胞株)
検出抗体:
Alexa488(フルオロフォア)で標識された抗マウス二次抗体
細胞培養用培地
DMEM-10%ウシ胎仔血清
DMEM-10%ウマ血清
【0162】
細胞株の増殖および調製
マウスハイブリドーマ細胞を完全培地(10%ウマ血清を含むダルベッコの改変イーグル培地)中で培養した。ハイブリドーマ細胞をPBSAで2回洗浄し、完全培地に600細胞/μLで懸濁した。A431細胞を完全培地(10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地)中で培養した。A431細胞をPBSAで2回洗浄し、LiveGreen蛍光シグナルで染色した。次いで、A431細胞を、ハイブリドーマを含む完全培地に1800細胞/μLの最終濃度で懸濁した。
【0163】
アッセイの設定
2つの細胞型を混合した後、検出抗体を反応混合物に添加した:1:100希釈の二次(抗マウスAlexa488)。次いで、この反応混合物をエタノールで滅菌したコロナ処理マイクロキャピラリーアレイ(直径40μm、厚さ1mm)にロードした。蒸発の防止に役立つように、1%重量/容量のアガロースの2mmの厚板をアレイ上に置いた。各時間後、サンプルを蛍光顕微鏡および明視野顕微鏡下で画像化した。
【0164】
サンプルデータ:
図2A~2Cは、全ての細胞(
図2A、明視野シグナル)、A431標的細胞(
図2B、LiveGreenシグナル)、または蛍光抗マウス二次抗体で標識された細胞(
図2C、Ab-a555シグナル)のいずれかを示すマイクロキャピラリーアレイの小区分の画像を示す。EGFRに特異的な抗体を発現するハイブリドーマ細胞を含むマイクロキャピラリーは、各画像において2本の矢印で示されている。
【0165】
図3は、4時間のインキュベーションにわたるA431標的細胞とハイブリドーマ細胞の両方を含むマイクロキャピラリーの画像を示しており、A431標的細胞に対する抗体結合シグナルは、EGFRに特異的なマウス抗体が産生されるにつれて、アッセイの時間経過の間に増加した(中央欄)。A431標的細胞のLiveGreen染色は同じ期間にわたって低下した(右欄)。
【0166】
実施例3.哺乳動物細胞に対する酵母ライブラリースクリーニング
最良の分泌酵母プラスミドベクターを決定するために、癌細胞表面上のEGFRに結合するように設計された足場タンパク質を発現する酵母ベクターライブラリーを作製した。このライブラリーは、種々の可溶性発現レベルの足場タンパク質を有する酵母細胞を含んでいた。記載されたアッセイを使用して、所望の足場タンパク質を高発現するプラスミドベクターを回収するために変異体発現ライブラリーをスクリーニングした。この実験において、分泌された足場はc-Mycタグを有し、これは蛍光標識抗体で標識することができる。
材料:
細胞:
足場タンパク質の酵母分泌ライブラリー
A431細胞(高レベルのEGFRを発現するヒト癌細胞株)
検出抗体:
ニワトリ抗c-Myc
Alexa488で標識された抗ニワトリ二次抗体
細胞培養用培地:
DMEM-10%FBS
SD-CAA最小酵母培地
反応バッファー:
SD-CAA最小酵母培地
【0167】
方法:
細胞株の増殖および調製
酵母ライブラリーをSD-CAA最小酵母培地(20gのブドウ糖、6.7gのDifco酵母窒素塩基、5gのBactoカザミノ酸、5.4gのNa2HPO4、8.56gのNaH2PO4H2O、脱イオン化H2Oに溶解して1リットルの体積とした)で増殖させた。増殖後、酵母細胞をPBSA(リン酸緩衝食塩水+1mg/ml BSA)で2回洗浄し、SD-CAAに2,400細胞/μLの最終濃度で懸濁した。
【0168】
A431細胞を完全培地(10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地)中で培養した。A431細胞をPBSAで2回洗浄し、酵母細胞を含む、SD-CAAに最終濃度600細胞/μLで懸濁した。
【0169】
アッセイの設定
2つの細胞型を混合した後、2つの抗体を反応混合物に添加した:1:250希釈の未標識一次抗体(ニワトリ抗c-Myc)および1:200希釈の標識二次抗体(抗ニワトリAlexa488)。次いで、この反応混合物をエタノールで滅菌したコロナ処理マイクロキャピラリーアレイ(直径40μm、厚さ1mm)にロードした。蒸発の防止に役立つように、1%重量/容量のアガロースの2mmの厚板をアレイ上に置いた。18時間増殖させた後、サンプルを蛍光顕微鏡および明視野顕微鏡下で画像化した。
【0170】
マイクロキャピラリーアレイ抽出
TritonUVレーザーを使用して所望のキャピラリーの内容物を抽出した。レーザーは18±2msで動作し(n=5回の測定)、約100μJの総エネルギーで2.5kHzの一連のパルスを送達する。マイクロキャピラリーの内容物をガラス製カバーガラス上に抽出し、次いでそれを酵母増殖培地(液体培地または寒天プレート)に入れて抽出した細胞を増殖させた。
【0171】
サンプルデータ:
図4Aおよび
図4Bは、明視野イメージング(
図4A)および蛍光イメージング(
図4B)を使用して、発現細胞および非発現細胞を有するマイクロキャピラリーを特定するマイクロキャピラリーアレイの小区分の画像を示す図である。
【0172】
実施例4.マイクロキャピラリーアレイにおける培養ヒト細胞の増殖
図5A~5Gは、マイクロキャピラリーのアレイ内の6日間にわたる増殖培地中でのK562細胞(ヒト不死化骨髄性白血病細胞株)の増殖を示す。アレイの同じ部分の明視野画像を24時間ごとに撮影した。
図5A:0日目、
図5B:1日目、
図5C:2日目、
図5D:3日目、
図5E:4日目、
図5F:5日目、および
図5G:6日目。各画像に40μmのスケールバーが示されている。
【0173】
実施例5.哺乳動物レポーター細胞に対するハイブリドーマスクリーニング
特定のシグナル伝達経路を活性化する抗体変異体を同定するために、異なる抗体変異体を分泌するハイブリドーマをレポーター細胞とともにマイクロキャピラリーアレイに添加した。例えば、レポーター細胞は、Qiagenから入手することができる(http://www.sabiosciences.com/reporter_assay_product/HTML/CCS-013L.htmlを参照)。
タンパク質変異体がレポーター細胞に結合してシグナル伝達経路を活性化すると、レポーター細胞が蛍光タンパク質を発現する。活性化された細胞のシグナル蛍光は、望ましいタンパク質変異体を含むマイクロキャピラリーにおいて観察され、それらのマイクロキャピラリーの内容物を単離するために用いられる。
【0174】
実施例6.複数標的結合のサンプルデータ
研究目的:
標的タンパク質に特異的に結合するが類似の構造のタンパク質には結合しないハイブリドーマ分泌抗体を同定する。例えば、
図9を参照のこと。この方法は、抗体ライブラリーのスクリーニングを可能にし、かつそれを継続的に可能にする。
【0175】
材料:
ハイブリドーマライブラリー
【0176】
標的タンパク質は癌細胞型上に提示される。例えば、
図9を参照のこと。
【0177】
標的タンパク質類似体はビーズ上に固定化される。例えば、
図9を参照のこと。
プロトコル:
1.表面に標的タンパク質Aを提示した細胞を培養した。
2.製造上の指示に従って、タンパク質Dynabeads Biotin Binderを標的タンパク質Bで標識した。
3.ラットハイブリドーマライブラリーを培養した。
4.マイクロキャピラリー当たり平均1個のハイブリドーマ、標的タンパク質A細胞の約2個の細胞、および標的タンパク質Bで覆われた約10個のビーズが存在するように、細胞、ビーズ、およびハイブリドーマを希釈した。
5.調製した細胞サンプルに抗ラット二次抗体(レポーターエレメント)を添加した。
6.サンプルをアレイにロードした。
7.イメージングの1時間前にインキュベートした。
8.細胞を標的タンパク質Aと結合するが標的タンパク質Bとビーズを結合しない細胞を回収した。
【0178】
サンプル結果:
適切に染色された細胞を有するが、染色されたビーズを有しなかったマイクロキャピラリーを同定した。マイクロキャピラリー内で染色された細胞の存在および染色されたビーズの非存在は、標的タンパク質には結合するが標的タンパク質類似体には結合しない抗体の存在を示した。
【0179】
いくつかの実施形態において、この実施例において試験されたアッセイは、代替として、標的タンパク質のマウスおよびヒト(または他の動物の組み合わせ)変異体の両方に結合する抗体をスクリーニングするために、すなわち「交差反応性」抗体の発見に使用されるよう適合させることができる。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、マウスおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、マウス標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、カニクイザルおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、カニクイザル標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。
【0180】
実施例7.最適なシグナル出力のためのレポーターエレメントの滴定
頻繁に使用されるレポーターエレメントは蛍光標識された二次抗体である。このアッセイ形式では、アッセイの開始時に二次抗体が添加され、経時的に、この抗体は標的タンパク質に結合した分泌抗体(変異体タンパク質)に結合した。
【0181】
重要な検討事項は、使用される二次抗体の量であった。二次抗体が多すぎると、バックグラウンドノイズが高すぎることになる。使用する二次抗体が少なすぎると、シグナルが低すぎることになる。この実験では、ビーズを一次抗体で標識し、次いで種々のレベルの二次抗体で滴定して、最適なシグナル対ノイズ比を決定した。
【0182】
使用したレポーターエレメントは、Alexa Fluor633で標識したロバ抗ヤギIgG二次抗体であった。
【0183】
製造業者推奨の使用範囲:1:200~1:2000希釈の範囲。
【0184】
試験した希釈系列は、1:100、1:200、1:500、1:1000、1:2000、1:5000であった。実験からのビーズの画像を
図13に示す。
【0185】
本明細書において言及される全ての特許、特許公報、および他の公開された参考文献は、各々が参照により本明細書中に個々にかつ具体的に組み入れられているかのように、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0186】
具体例を提供してきたが、上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。前述の実施形態の特徴のいずれか1つ以上は、本発明の任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と任意の様式で組み合わせることができる。さらに、本明細書を検討すると、本発明の多くの変形例が当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、それらの全範囲の均等物とともに、添付の特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。
【0187】
上記の実施例は、当業者に本発明の組成物、システム、および方法の実施形態をどのように作製および使用するかについての完全な開示および説明を与えるために提供されており、そして本発明者らが自分たちの発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。当業者に明らかである本発明を実施するための上記の様式の修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本明細書中で言及されている全ての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者の技術水準を示している。本開示において引用された全ての参考文献は、あたかも各参考文献が参照によりその全体が個別に組み込まれているのと同程度に参照により組み込まれる。
【0188】
全ての見出しおよびセクションの指定は、明確さおよび参照目的のためだけに使用されているにすぎず、決して限定的であるとみなされるべきではない。例えば、当業者は、本明細書に記載の本発明の趣旨および範囲に従って、必要に応じて異なる見出しおよびセクションからの種々の態様を組み合わせることの有用性を認識するであろう。
【0189】
本明細書に引用された全ての参考文献は、あたかも各個々の刊行物または特許または特許出願が全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同程度にそれらの全体が全ての目的のために本明細書に参照により組み込まれる。
【0190】
当業者には明らかなように、本出願の趣旨および範囲から逸脱することなく、本出願の多くの修正および変形をなすことができる。本明細書に記載された特定の実施形態および実施例は例としてのみ提供され、特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。