(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ベンチレーテッドタイプのディスクブレーキ用ブレーキバンド
(51)【国際特許分類】
F16D 65/12 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
F16D65/12 U
(21)【出願番号】P 2022507450
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2020056870
(87)【国際公開番号】W WO2021024073
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】102019000013929
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】キエズラ,エリザベッタ
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107882899(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0151167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンチレーテッドタイプのディスクブレーキ用ディスクのブレーキバンドであって、
前記ブレーキバンドは、前記ブレーキバンドの回転軸(X-X)に近い内径と、前記回転軸(X-X)から遠い外径との間で延び、前記回転軸(X-X)は軸方向を規定しており、
前記ブレーキバンドは、前記軸方向に直交する半径方向(R-R)と、前記軸方向および前記半径方向(R-R)に直交する周方向(C-C)と、前記軸方向および前記半径方向(R-R)に直交する接線方向(T-T)を規定し、
前記ブレーキバンドは、2つの対向するプレートを含み、
前記2つの対向するプレートは、直接または間接的に対向し、前記2つの対向するプレートの間に隙間を画定する内面を含み、
前記2つの対向するプレートは、前記軸方向に所定のプレート厚を有するプレート本体を有し、
前記2つの対向するプレートは、放熱と接続を兼ねた複数の接続要素によって互いに接合され、
前記複数の接続要素は、前記2つの対向するプレートの一方のプレートから反対側のプレートに向かって突出する柱、リブおよび/またはフィンとして形成されており、それにより、前記2つの対向するプレートを互いに接続するブリッジを形成し、
前記2つの対向するプレートのうちの前記一方のプレートが、前記一方のプレートから前記隙間内に突出するが前記反対側のプレートに達することのない少なくとも1つのリッジを備え、それにより前記隙間の局所的狭まりと、前記プレート本体の前記所定のプレート厚の局所的な増加を形成し、
前記少なくとも1つのリッジは、前記複数の接続要素から分離したままであり、
前記少なくとも1つのリッジの周囲の前記2つの対向するプレートの少なくとも1つのプレートの厚さは、前記所定のプレート厚に等しく、
前記少なくとも1つのリッジは、少なくとも2つのリッジブランチを形成して延在し、
前記少なくとも2つのリッジブランチは、前記複数の接続要素の少なくとも1つを跨いで配置されている、ブレーキバンド。
【請求項2】
前記少なくとも2つのリッジブランチの間の前記2つの対向するプレートの少なくとも1つのプレートの厚さは、前記所定のプレート厚に等しく、
前記2つの対向するプレートはそれぞれが内面と外面を有し、
前記外面は、ブレーキ面を形成する平坦で対向する環状部分を含み、
前記内面と前記外面との間の距離が前記所定のプレート厚を規定し、
前記ブレーキバンドは、
前記内面が平坦な面である、特徴(a)、
前記隙間の軸方幅が、前記少なくとも1つのリッジと、前記複数の接続要素のうちの隣接する接続要素との間で最大になる、特徴(b)、の少なくとも1つの特徴を有する、請求項1に記載のブレーキバンド。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリッジと前記少なくとも2つのリッジブランチは、前記軸方向と前記半径方向(R-R)を含む平面に関して対称な形状を有し、
前記ブレーキバンドは、
前記ブレーキバンドが、前記外径においてバンド外縁を有する、特徴(c)、
前記半径方向(R-R)および前記周方向(C-C)を含む平面上で見ると、前記少なくとも1つのリッジと前記少なくとも2つのリッジブランチが分岐リッジを形成し、前記分岐リッジは「V」字形で前記バンド外縁に面した凹みを形成する、特徴(d)、
前記半径方向(R-R)と前記周方向(C-C)を含む平面上で見ると、前記少なくとも1つのリッジと前記少なくとも2つのリッジブランチが分岐リッジを形成し、前記分岐リッジは三日月形である、特徴(e)、
前記少なくとも1つのリッジは、円柱状のリッジ中央本体を備え、前記リッジ中央本体から前記少なくとも2つのブランチが突出している、特徴(f)、の少なくとも1つの特徴、または特徴(c)-(f)の組み合わせを有する、請求項1に記載のブレーキバンド。
【請求項4】
前記ブレーキバンドは、少なくとも1つの更なるリッジを有し、
前記ブレーキバンドは、
前記少なくとも2つのブランチの少なくとも1つの延長部が、前記少なくとも1つの更なるリッジと交差する、特徴(g)、
前記ブレーキバンドは、前記複数の接続要素の側部に配置された少なくとも2つの更なるリッジを含む、特徴(h)、
前記少なくとも2つのブランチの延長部はそれぞれ、少なくとも1つの更なるリッジと交差する、特徴(i)、
前記半径方向(R-R)と前記周方向(C-C)を含む平面で見て、前記少なくとも1つの更なるリッジは液滴状である、特徴(j)、
前記少なくとも1つの更なるリッジは、前記半径方向(R-R)に先細りとなった更なるリッジ先細り延長部を有する、特徴(k)、の少なくとも1つの特徴、または特徴(g)-(k)の組み合わせを有する、請求項1に記載のブレーキバンド。
【請求項5】
前記少なくとも1つの更なるリッジは、複数の更なるリッジであり、
前記ブレーキバンドは、
前記少なくとも1つの更なるリッジは、バンド外縁の近くに配置された複数の更なるリッジ(21)である、特徴(l)、
前記少なくとも1つの更なるリッジは、円周に沿って均等に分布する複数の更なるリッジである、特徴(m)、
前記少なくとも1つの更なるリッジは、前記複数の接続要素の間に配置された複数の更なるリッジである、特徴(n)、
前記少なくとも1つのリッジと前記少なくとも2つのリッジブランチは、それぞれが少なくとも2つのリッジブランチを有する複数のリッジである、特徴(o)、
前記少なくとも1つのリッジと前記少なくとも2つのリッジブランチは、円周に沿って均等に分布する複数のリッジである、特徴(p)、
前記少なくとも1つのリッジと前記少なくとも2つのリッジブランチは、少なくとも部分的に前記複数の接続要素の間に配置された複数のリッジである、特徴(q)、
前記内面に配置され、内側ランクまたは中間ランクの前記複数の接続要素と交差する、前記ブレーキバンドの前記回転軸(X-X)と同心の少なくとも1つの円周が、前記少なくとも1つのリッジと交差する、特徴(r)、
前記内面に配置され、外側ランクの前記複数の接続要素と交差する、前記ブレーキバンドの前記回転軸(X-X)と同心の少なくとも1つの円周が、前記少なくとも1つの更なるリッジと交差する、特徴(s)、
前記半径方向(R-R)および前記周方向(C-C)を含む平面上で見ると、前記少なくとも1つのリッジと前記少なくとも2つのリッジブランチは分岐リッジを形成し、前記分岐リッジは前記内面に接続された丸い外側リッジで前記内面から前記隙間内に突出する、特徴(t)、
前記半径方向(R-R)および前記周方向(C-C)を含む平面上で見て、前記少なくとも1つの更なるリッジは、前記内面に接続された丸い更なるリッジ外面を有し、前記内面から前記隙間に突出する、特徴(u)、の少なくとも1つの特徴、または特徴(l)-(u)の組み合わせを有する、請求項4に記載のブレーキバンド。
【請求項6】
前記複数の接続要素は、周方向に配置された少なくとも2つのランクにグループ化されており、
前記少なくとも2つのランクのうちの第1のランクは、前記内径(D1)の近くで前記半径方向(R-R)にまたは前記回転軸(X-X)に向かって内側に配置された内側ランクで、
前記少なくとも2つのランクのうちの第2のランクは、前記外径(D2)の近くで前記回転軸(X-X)からさらに半径方向に配置された外側ランクで、
前記ブレーキバンドはさらに、
少なくとも1つの第3のランクが、前記内側ランクと前記外側ランクの間で半径方向に配置されている、特徴(v)、
前記外側ランクの各接続要素は、3つのリッジまたはリッジの組み合わせと更なるリッジの組み合わせを、3つの側面で前記接続要素に面した各プレートに対して備えている、特徴(w)、
前記少なくとも1つのリッジは少なくとも複数のリッジであり、前記少なくとも複数のリッジはそれぞれが同じランクの前記接続要素の間に配置されている、特徴(x)、
前記少なくとも1つのリッジ又は前記少なくとも一つの更なるリッジは、前記2つの対向するプレートのうちの1つだけから前記隙間に突出する、特徴(y)、
前記少なくとも1つのリッジ又は前記少なくとも一つの更なるリッジは少なくとも2つのリッジで、前記少なくとも2つのリッジは前記2つの対向するプレートの両方から前記隙間に突出する、特徴(z)、
前記少なくとも1つのリッジ又は前記少なくとも一つの更なるリッジは少なくとも2つのリッジで、前記少なくとも2つのリッジは、前記2つの対向するプレートの両方から前記隙間に突出して互いに対向する、特徴(aa)、
前記少なくとも1つのリッジ又は前記少なくとも一つの更なるリッジは少なくとも2つのリッジで、前記少なくとも2つのリッジは、前記2つの対向するプレートの両方から前記隙間に突出し、少なくとも部分的に互いがオフセットしている、特徴(bb)、の少なくとも1つの特徴、または特徴(v)-(bb)の組み合わせを有する、請求項1に記載のブレーキバンド。
【請求項7】
前記複数の接続要素の少なくともいくつかは、前記隙間に沿った空気の流れに平行な平面上に、前記半径方向(R-R)に細長い形状部を有するフィンまたはリブであり、
前記ブレーキバンドは、
前記外径または前記外側ランクに近い前記接続要素が、前記隙間に沿った空気の流れに平行な平面上で前記半径方向(R-R)に細長い液滴状の断面を有する、特徴(cc)、
前記複数の接続要素の少なくとも2つは、前記隙間に沿った空気の流れに平行な平面上で、4つの側面によって結合された4つの頂点を有する菱形またはひし形の断面であって、前記側面は直線的形状である、特徴(dd)、
前記リッジの全てが、前記隙間の前記外径付近の円形部分に配置された、特徴(ee)、
前記リッジの全てが、前記複数の接続要素の前記外側ランクが存在する近傍の前記隙間の円形部分に配置されている、特徴(ff)、の少なくとも1つの特徴、または特徴(cc)-(ee)の組み合わせを有する、請求項6に記載のブレーキバンド。
【請求項8】
請求項1に記載のブレーキバンドを有するディスクブレーキディスク。
【請求項9】
請求項1に記載のブレーキバンドを含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキバンドおよびディスクブレーキ用ベンチレーテッドディスク、特に自動車分野での用途に限定されないが、前記ベンチレーテッドディスクを有する車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキにおけるブレーキキャリパは、一般に、軸方向(X-X)を規定する回転軸(A-A)を中心に回転するように適合されたブレーキディスクの周辺外縁を跨ぐように配置されている。ディスクブレーキでは半径方向(R-R)も定義され、この半径方向は前記軸方向(X-X)に実質的に直交し、前記軸方向(X-X)と前記半径方向(R-R)の両方に直交する円周方向(C-C)、さらに前記軸方向(X-X)と前記半径方向(R-R)の両方に局所的、よりよい時間的に直交する接線方向(T-T)である。
【0003】
周知のように、ディスクブレーキ用のディスクは、ディスクを車両のハブと関連付けるように適合されたベルを備え、そこから、キャリパのブレーキパッドと連動して作用するように意図された、ブレーキバンドと呼ばれる環状の部分が延びている。ベンチレーテッドタイプのディスクの場合、ブレーキバンドは、例えばピラーやフィンの形をした連結要素によって、それぞれ向かい合い、互いに連結された2枚のプレートによって作られる。2枚のプレートの外側面は、対向するブレーキ面を規定し、内側面は、ピラー(柱)またはフィンと共同で、ディスクを冷却するための通気路、すなわち、ディスク自体の回転運動中に遠心方向に従って空気が流れる通路を画定している。
【0004】
前記ブレーキバンドは、車両にブレーキ作用を及ぼすように適合されたディスクブレーキ用のキャリパと連動して作用することを意図しており、したがって、前記パッドによって、ブレーキ面と呼ばれる2つのプレートの対向する表面上に摩擦を及ぼす。
【0005】
ブレーキの作動中、ブレーキキャリパのパッドとブレーキバンドのブレーキ面との間の摩擦により、放出する必要のある熱量が増加することが知られている。
【0006】
発生した熱は、例えば、ブレーキバンドの変形、ブレーキ表面上の亀裂の形成、又はブレーキバンドを形成する材料の局所的な状態の変化など、いくつかの望ましくない現象の発生を実際に引き起こし、その結果、ブレーキバンド自体の劣化を招くことになる。
【0007】
特に、ブレーキ効率を高めた高性能自動車への適用では、廃棄すべきエネルギがかなり高く、ブレーキ作用によって発生する熱を廃棄する前述の必要性がさらに感じられる。
【0008】
前述のタイプのベンチレーテッドディスクは、特に、軸方向に互いに向かい合う2つのプレートによって形成される間隙を定義するいわゆる通気路の数および形状に関して、長年に亘って連続的に進化している。
【0009】
既知の通気性ディスクの中で、いわゆる「ピラー(柱)」ディスクは、熱放散、すなわち冷却の点で特に効率的であることが示されており、このディスクでは、通気路は、2つのプレートを横方向に連結する「ピラー」として定義される、の軸方向延長に対して、半径方向および円周方向の長さが制限されるかまたは実質的にほとんど変形しない、特定のピラー連結要素によって内部に制限されている。
【0010】
例えば、「ピラー」ベンチレーテッドディスクはEP 1 373 751 B1から知られており、このディスクでは、ピラーは、ディスクと同軸で異なる半径を有する3つの同心円周に沿って幾何学的に配置されて3つの「ランク」を形成し、二つのプレートに平行でそれらの中央の平面に沿った断面上で、ピラーは種々のタイプの断面(例えば、中間ランク及び内側ランクでは「菱形」断面のピン;外側ランクでは「液滴型」ピラー)を有している。
【0011】
「ピラー」構造を有する他のベンチレーテッドディスクは、例えばWO2004/102028及びUS5,542,503から公知である。
【0012】
既知のベンチレーテッドディスクは、いわゆる「フィン」または「タブ」ディスクを含み、このディスクでは、通気路は、例えば半径方向(R-R)に平行な方向に向けられた主方向に沿って細長い特定の接続要素、または螺旋によって内部に制限され、2枚のプレートを横方向に接続する。
【0013】
同様に、パッドによってディスクのブレーキ面に対して行われるブレーキ動作は、熱を発生させ、したがって、特に過酷な性能の場合には、ディスク自体を白熱させるまでのディスクの温度上昇をもたらすことが知られている。ブレーキ時にディスクの温度が上昇するため、ディスクが変形し、パッドとブレーキ面の接触が悪くなる。さらに、パッドの摩擦材は、一種のガラス化を起こし、ディスクの材料によって汚染される。
【0014】
また、ブレーキ面の環状中央部、すなわち、それぞれのプレートの外周面の環状中央部で最高温度に達することが判明している。ディスクの寿命の間、そのようなゾーンは、クラックが発生し易い。
【0015】
上述の欠点を回避するために、一方では、ブレーキ中およびブレーキ後にディスクが到達する温度を抑制するように、ブレーキによって発生する熱の分散の効率を高める必要性が、他方では、ブレーキバンドの中央部分の機械抵抗を高める必要性が、この分野では特に感じられる。
【0016】
WO2004/102028、WO2002064992、US7066306、US7267210、US2006/0243546、US2004/0124047、US6367599、US5542503及びUS4865167から複数の解決策が知られている。これらは様々な観点から満足できるものであるが、これらの公知の解決策は、ブレーキバンドの中央環状ゾーンにおける所望の機械的抵抗と、ブレーキ作用によって引き起こされる強い局所的な温度上昇を除去できる空気の流れを同じゾーンで最大化するという対照的な必要性との間で妥協することを許さないものであった。
【0017】
しかしながら、上述のタイプの通気性ディスクは、それ自体、上述の問題と同時に発生し、同時に解決されるべきさらなる問題、すなわち、ディスクブレーキ、特に通気性ディスクを備えたディスクブレーキに影響を及ぼす可能性のある問題に対する解決策を提供するものでないことに注目すべきである。
【0018】
周知のように、ブレーキの作動中、特にディスク及びブレーキバンドは、ディスク自体の様々な振動モードと相関する様々な周波数で、機械的に振動することがある。ディスクのそのような振動は、例えば、ブレーキステップで応力を受けるディスクに機械的に結合された物体の振動によって引き起こされる共振から、そのような物体の振動周波数がディスクの振動周波数と一致するか又は十分に近い場合に生じる可能性がある。
【0019】
上記の振動は、共振周波数が可聴範囲(例えば、2~9kHzの間、それに続く多かれ少なかれ鋭い口笛音)であるとき、可聴ノイズ、特に煩わしい口笛音のようなノイズを生じることもまた知られている。
【0020】
したがって、ディスクの振動周波数を励起されたものとは異なる値に「移動」させる装置を構成することによって、そのような口笛音を低減又は除去するための解決策を考案する必要性が生じる。
【0021】
前述の「ピラー」構造とは異なる構造を有するディスクについて、いくつかの解決策が知られている。
【0022】
例えば、IT 1 273 754は、発生する振動とそれに続く騒音を低減するために、2枚のプレートの間の隙間に向かって、特定の位置と質量で、プレートの内側に突出した突起を有するブレーキバンドを有している。
【0023】
煩わしい振動現象を低減するために適合された構造を有する他の通気性ディスクは、例えばUS 4 523 666から知られている。
【0024】
Knorr-Bremse GmbHの文献US3,983,973には、通気路を形成するために互いに離間された一対の摩擦板を含むブレーキディスクが示されている。ブレーキパッドブレーキガスケットによって、前記プレートに対してブレーキ力が加えられることがある。2枚の摩擦板は、複数のリブまたはフローガイドフィンによって相互に接続され、摩擦板間に通気路を形成している。摩擦板の互いに向かい合う面に形成された半径方向の溝には、帯状の防振材が配置されている。これらのインサートは、振動を減衰させ、摩擦板が作られる鉄材料、例えば鉛、青銅または銅のものよりも大きな膨張係数を有する金属要素によって形成されている。
【0025】
同様の解決策は、US2009/035598から知られている。
【0026】
振動を低減するために、スクークタイプの受動ダンパーをブレーキ装置に結合することは、文書US2012111692から知られている。
【0027】
解決手段US6131707、WO2016/020820、WO2017/153902、WO2017/153873、EP0318687、WO2011/058594、WO2006/105131、US2006/219500、US6145、636から既知である。US2010/122880, US6325185, US4523666, US5004078, SI23、474, GB2060796, DE102013210700, EP3、421833, WO2015/092671, GB2286438, DE10200405、6645, EP2192321, WO2008/078352、US3983973、DE202006017092、US2009/0000884、DE202015102580は、ブレーキ動作によって励起される振動を低減し、隙間内の通気性を高めるために、周方向に不均等に配置されたブレーキバンドのプレート間に接続部を提供するために。
【0028】
しかしながら、プレートの連結要素のこれらの分布は、ブレーキ動作の特定の状況下でブレーキバンドに集中する全く不要な応力を発生させることができる構造的な不均一性を作り出す。
【0029】
したがって、ブレーキステップにおいて、特に効率的な冷却性能と振動及び騒音の最小化特性の両方を同時に提供することができ、同時に、その完全性及び寿命を損なう可能性のあるブレーキバンドに集中した応力を引き起こすことを回避できる通気性ディスクの新しい構造に対するニーズが生じてくる。
【0030】
通気性ディスク及び関連するブレーキバンドの前述の公知例は、言及され、強く望まれる全ての必要性を十分に満たすことができるものではない。
【0031】
同じ出願人の文書EP 2 715 179 B1は、これらの問題を部分的に解決し、特に、バンドのプレート自体の平面自体の外側の振動をもたらすブレーキバンドの振動モードの周波数を低減しようとするものである。特に、この解決策では、連結要素の間に配置された、隙間に張り出すリッジを有している。
【0032】
多くの観点から満足できるものではあるが、この既知の解決策は問題を完全に解決するものではなく、特に、ブレーキバンドの隙間を区切る表面の形状を許容する解決策を見出す必要性がいかに感じられるかが強調されている。
【0033】
したがって、励起するとブレーキの性能にかなり悪影響を及ぼす「面外」タイプのブレーキバンドの振動モードを低減するために、その外縁付近でブレーキバンドの質量を増加させる必要性が依然として強く感じられている。
【0034】
同時に、例えば成形によってブレーキバンドを作ることを可能にするコアの製造工程を単純化するために、特にディスクの外縁付近で、リッジと連結要素との間の距離を保つ必要性が強く感じられるままである。ピラーの形状は、1つのピラーと他のピラーとの間の空間を幾何学的に表すコアによって達成されるので、コアのための砂が、隙間を形成するすべての空間を満たすことができるように最小断面を確保することが求められ、さらに、前記コアは、その取扱い及びブレーキバンドの溶融に十分であるコア自体の構造抵抗を与えることができる最小断面を有している。
【0035】
さらに、接続要素又は突起のない隙間の広い環状領域を回避し、したがって、ディスクの振動又は他のバランス外れの現象を発生させるようなブレーキバンド上の温度の不十分な分布を回避するという対照的な必要性が強く感じられている。
【0036】
したがって、本発明の基礎となる問題は、公知技術を参照して述べた欠点を回避しつつ、前述のニーズを満たすような構造的および機能的特徴を有するディスクブレーキ用のブレーキバンドおよびディスクを考案することである。
【発明の概要】
【0037】
本発明の目的は、これらの振動波とそれに続く口笛音が発生する傾向が低減されたブレーキ装置を提供することである。
【0038】
これらおよび他の目的および利点は、請求項1によるブレーキバンドで、また請求項9によるディスクブレーキディスクで、さらに請求項10による車両で達成される。
【0039】
特定の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0040】
この解決策の分析から、提案された解決策が、先行技術の解決策に関して、いかに優れたブレーキ快適性を達成することを可能にし、したがって、振動の低減、特に、口笛音に起因する振動の不在を可能にするかが、浮かび上がった。
【0041】
さらに、提案された解決策は、非常に高い、ある実施形態ではさらに改善された、ディスク冷却効率を維持し、例えば、効率は、ブレーキバンドの隙間を流れる空気の流れの増加した乱流、すなわち、プレート(複数可)内の、接続要素の間に配置され、周方向に延びる隆起の特定の形状によって引き起こされる乱流によって強く改善されている。
【0042】
さらに、提案された解決策は、興奮するとブレーキの性能にかなり悪影響を及ぼす「面外」タイプのブレーキバンドの振動方法を低減するために、その外縁付近に配置されたブレーキバンドの質量を増加させることを可能にするものである。
【0043】
再びさらに、提案された解決策により、特にディスクの外周縁の近くで、リッジと連結要素との間に距離を確保することができ、したがって製造工程を簡略化することができる。例えば、確保すべき最小距離は、ブレーキバンドが作られる鋳造コアの便利な実現性のために、接続要素とリッジとの間で検出された(5mmから7mmまで可変、典型的には6mm):接続要素の幾何学的形状は、幾何学的に一つの接続要素と他との間の空間を表すコアによって達成されるので、鋳物砂が全ての空間を埋めることができるように最小断面を確保し、またコア自体の構造抵抗を保証するために必要である。
【0044】
再びさらに、提案された解決策により、連結要素またはリッジのない隙間の広い環状領域を回避することが可能であり、したがって、ディスクの振動または別のバランス外れの現象を発生させるようなブレーキバンド上の温度の不十分な分布を回避することが可能である。
【0045】
[0048]. 再びさらに、提案された解決策により、通気路を閉塞したり狭めたりすることを避けながら、外縁付近の質量を増加させることができ、同時に、亀裂の形成及び伝播を制限するためにバンドを構造的に強化することも可能である。
【0046】
再びさらに、提案された解決策により、高温によるブレーキに対する抵抗の増加が確保されてもよい。
【0047】
再びさらに、提案された解決策によれば、熱交換のために利用可能な表面をさらに増加させることができるリッジが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
装置、ディスクブレーキ、および車両のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照した、その好ましい非限定的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0049】
【
図1】
図1は、本発明によるブレーキバンドの軸方向図である。
【
図2】
図2は、
図1のブレーキバンドの平面図であり、間隙を流れる流体の中央流面に沿って断面した図である。
【
図3】
図3は、
図2のブレーキバンドの断面の拡大詳細図である。
【
図5】
図5は、
図1におけるブレーキバンドの、軸方向および半径方向を含む平面に沿った断面を示し、この図において、さらなる隆起の形状が強調されている。
【
図6】
図6は、
図1のブレーキバンドの、軸方向及び半径方向を含む平面に沿った断面を示し、その中で、リッジの形状が強調表示されている。
【
図7】
図7は、
図1のブレーキバンドの軸方向および部分断面図である。
【
図8】
図8は、本発明によるブレーキバンドを構成するブレーキディスクの、軸方向および半径方向を含む平面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
一般的な実施形態によれば、ベンチレーテッドタイプのディスクブレーキ2用ディスクのブレーキバンド1が提供される。
【0051】
前記ブレーキバンド1は、ブレーキバンド1の回転軸X-Xに近い内径D1と、前記回転軸X-Xから遠い外径D2との間で延びている。前記回転軸は、軸方向X-Xを規定する。
【0052】
前記ブレーキバンド1は、前記軸方向X-Xに実質的に直交する径方向R-Rと、前記軸方向X-X及び前記径方向R-Rに直交する周方向C-Cとを画定している。
【0053】
前記ブレーキバンド1は、互いに向かい合う2枚のプレート3、4を有する。
【0054】
前記プレート3、4は、直接または間接的に相互に向かい合い、前記ブレーキバンド1のための換気ダクトを画定する間隙7を画定する内面5、6を有する。
【0055】
前記プレート3、4は、外面8、9を有する。
【0056】
前記外側表面8、9は、ブレーキ面10、11を形成する平坦で相互に対向する円周方向部分からなる。言い換えれば、外面8、9の一部は、ブレーキキャリパに受容されたブレーキパッドと協働して、ブレーキバンド1に対して挟まれたときにブレーキ作用を発揮し、外面8、9のうちパッドによってブラッシングされるかまたは巻き込まれる部分は、ブレーキ面10、11を画定する。
【0057】
前記プレート3、4は、軸方向X-Xに延びて板厚14、15を有するプレート本体12、13を有する。すなわち、軸方向で評価すると、各プレート3、4は、プレート3、4のプレート本体12の軸方向における厚みによって与えられるプレート厚み14、15を示す。
【0058】
前記プレート3、4は、プレート3、4の放熱要素または連結要素16、17、18によって互いに接合されている。
【0059】
前記接続要素16、17、18は、プレート3、4を接続する橋の形でプレートから反対側のプレートに向かって突出するピラーおよび/またはリブの形状である。
【0060】
プレート3、4の少なくとも1つは、反対側のプレート4、3に達することなく当該プレート3、4から前記隙間7内に突出する少なくとも1つのリッジ(隆起部)20、21を含んでいる。
【0061】
前記リッジ20、21は、前記隙間7の少なくとも1つの局所的な狭窄を形成する。言い換えれば、前記隙間7を走行し、前記リッジ20、21に到達すると、隙間7の幅の軸方向X-Xにおける断面の縮小に遭遇する。
【0062】
前記リッジ20、21は、前記プレート本体1213の少なくとも1つの増肉を形成し、したがって、前記プレート厚さ14、15の局所的な増加を生じさせる。すなわち、板状体の軸方向X-Xにおける厚さを考慮すると、厚さ14、15は、前記リッジ20、21において増加する。
【0063】
一般的な実施形態によれば、ベンチレーテッドタイプのディスクブレーキ用ディスク2のブレーキバンド1は、ブレーキバンド1の回転軸X-Xに近い内径D1と、前記回転軸X-Xから遠い外径D2との間を延び、前記回転軸は軸方向X-Xを画定する。
【0064】
前記ブレーキバンド1は、前記軸方向X-Xに実質的に直交する径方向R-Rと、前記軸方向X-X及び前記径方向R-Rに直交する周方向C-Cと、前記軸方向X-X及び前記径方向R-Rに直交する接線方向T-Tとを画定していることを特徴とする。
【0065】
前記ブレーキバンド1は、互いに対向する2枚のプレート3、4を有する。
【0066】
前記プレート3、4は、直接または間接的に向かい合い、隙間7を区画する内面5、6からなる。
【0067】
前記プレート3、4は、軸方向X-Xに所定の長さを有するプレート本体12、13または所定のプレート厚さ14、15を有する。
【0068】
前記プレート3、4は、放熱・接続要素16、17、18(接続要素とも称する)により互いに接合されている。
【0069】
前記接続要素16、17、18は、プレートから反対側のプレートに向かって突出するピラーおよび/またはリブおよび/またはフィンとして形成されており、プレート3、4を互いに接続するブリッジを形成している。
【0070】
プレート3、4の少なくとも1つは、反対側のプレート4、3に達することなく前記プレート3、4から前記隙間7に突出する少なくとも1つのリッジ20、21を含み、それによって前記隙間7の少なくとも1つの局所的な狭まりとプレート本体12、13の厚みを形成し、それによって前記プレート厚14、15の局所的な増加を形成していることを特徴とする。
【0071】
前記少なくとも1つのリッジ20、21は、各接続要素16、17、18から分離したままであり、前記少なくとも1つのリッジ20、21に関する少なくとも1つのプレート3、4の厚さは、前記所定のプレート厚14、15と実質的に等しい。
【0072】
有利には、前記少なくとも1つのリッジ20は、少なくとも2つの別個のリッジブランチ31、32を形成して延びている。
【0073】
一実施形態によれば、前記少なくとも2つのリッジブランチ31、32の間の前記少なくとも1つのプレート3、4の厚さは、前記所定のプレート厚14、15に実質的に等しい。
【0074】
一実施形態によれば、前記内面5,6は平坦な面である。
【0075】
一実施形態によれば、前記プレート3、4、は、外側面8、9を備える。前記外側面8、9は、ブレーキ面10、11を形成する平坦で対向する環状部分からなる。前記内面5、6と前記ブレーキ面10、11との間の距離は、前記所定のプレート厚さ14、15を規定する。
【0076】
一実施形態によれば、前記隙間7の最大軸方向幅又は軸方向延長は、前記少なくとも1つのリッジ20、21と各隣接する連結要素との間で到達する。
【0077】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20及びその少なくとも2つの別個のリッジ分岐31、32は、軸方向X-X及び半径方向R-Rを含む平面に関して対称的な形状を有する。
【0078】
一実施形態によれば、前記ブレーキバンド1は、前記バンド外径D2においてバンド外縁35を有する。半径方向R-Rと周方向C-Cとを含む平面上で見ると、前記少なくとも1つのリッジ20とその少なくとも2つの別の分岐31、32は分岐リッジ3、4を形成し、前記分岐リッジ3、4は「V」字形であり、ディスクの外縁に面した凹みを形成している。
【0079】
一実施形態によれば、半径方向R-R及び周方向C-Cからなる平面上で見て、前記少なくとも1つのリッジ20及びその少なくとも2つの別個の分岐31、32は、分岐リッジ3、4を形成し、前記分岐リッジ3、4は三日月形である。
【0080】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20は、前記少なくとも2つの別個のリッジブランチ31、32が突出するシリンダー状のリッジ中央体36を構成している。
【0081】
一実施形態によれば、前記少なくとも2つのリッジブランチ31、32の延長部は、少なくとも1つの連結要素16を跨いで配置されている。
【0082】
一実施形態によれば、前記ブレーキバンド1は、少なくとも1つのさらなるリッジ21を備える。
【0083】
一実施形態によれば、前記少なくとも2つの枝31、32の少なくとも1つの延長線は、前記少なくとも1つのさらなるリッジ21と交差する。
【0084】
一実施形態によれば、前記ブレーキバンド1は、連結要素16の側面に配置された少なくとも2つのさらなるリッジ21を備える。
【0085】
一実施形態によれば、前記少なくとも2つの枝31、32の各延長は、少なくとも1つのさらなるリッジ21と交差している。
【0086】
一実施形態によれば、半径方向R-R及び周方向C-Cからなる平面上で見て、前記少なくとも1つの更なるリッジ21は、液滴形状である。
【0087】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのさらなるリッジ21は、好ましくは前記回転軸X-Xに向けられた、半径方向R-Rに先細りのさらなるリッジ先細り延長部37を有している。
【0088】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのさらなるリッジ21は、複数のさらなるリッジ21である。
【0089】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの更なるリッジ21は、バンド外縁35の近くに配置された複数の更なるリッジ21である。
【0090】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの更なるリッジ21は、円周に沿って均等に配置された複数の更なるリッジ21である。
【0091】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの更なるリッジ21は、複数の接続要素16の間に配置された複数の更なるリッジ21である。
【0092】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20及びその少なくとも2つの別個のリッジブランチ31、32は、それぞれがそれぞれの少なくとも2つの別個のリッジブランチ31、32を有する、複数のリッジ20である。
【0093】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20とその少なくとも2つの別個のリッジブランチ31、32は、円周に沿って均等に分布する複数のリッジ20である。
【0094】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20及びその少なくとも2つの別個のリッジブランチ31、32は、接続要素17の間に少なくとも部分的に配置された複数のリッジ20である。
【0095】
一実施形態によれば、前記内面5、6に配置され、内側または中間ランクの前記連結要素17と交差する、ブレーキバンド1の回転軸X-Xと同心の少なくとも1つの円周も、前記少なくとも1つのリッジ20と交差している。
【0096】
一実施形態によれば、前記内面5、6上に配置され、外側ランクの前記連結要素16と交差する、ブレーキバンド1の回転軸X-Xと同心の少なくとも1つの円周は、前記少なくとも1つのさらなるリッジ21とも交差する。
【0097】
一実施形態によれば、半径方向R-Rおよび周方向C-Cからなる平面上で見て、前記少なくとも1つのリッジ20およびその少なくとも2つの別個の分岐31、32は分岐リッジ3、4を形成し、前記分岐リッジ3、4は前記内面5または6に接続された丸いリッジ外面38を有し、そこから隙間7に突出している。
【0098】
一実施形態によれば、半径方向R-R及び周方向C-Cを含む平面上で見て、前記少なくとも1つのさらなるリッジ21は、前記内面5又は6に接続された丸みを帯びたさらなるリッジ外面39を有し、そこから隙間7内へ突出している。
【0099】
一実施形態によれば、前記接続要素16、17、18は、周方向に配置された少なくとも2つの列又はランク23,24,25にグループ化されている。前記ランク23のうちの第1のものは、前記内径D1付近で半径方向または前記軸X-Xに向かって内部に配置されている。前記ランク24の第2は、前記外径D2の近傍で前記軸X-Xからさらに半径方向に配置されている。
【0100】
一実施形態によれば、前記ランク24の少なくとも1/3は、前記第1の内側列23と前記第2の外側列24との間に放射状に配置されている。
【0101】
一実施形態によれば、前記ランク24の前記第2の連結要素16は、3つの側面でそれに面する各プレートに対して3つのリッジ20、21を有する。
【0102】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20又は21は、少なくとも複数のリッジであり、各複数の前記リッジ20又は21は、同じランク23、24の接続要素16又は17の間に配置されている。
【0103】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20又は21は、前記プレート3、4の一方のみから前記隙間7内に突出している。
【0104】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20又は21は、少なくとも2つのリッジ20又は21であり、前記少なくとも2つのリッジ20又は21は、前記プレート3、4の両方から前記隙間7内に突出している。
【0105】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20又は21は、少なくとも2つのリッジ20又は21であり、前記少なくとも2つのリッジ20又は21は、両方の前記プレート3、4から前記隙間7に突出し、互いに向かい合う。
【0106】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのリッジ20又は21は、少なくとも2つのリッジ20又は21であり、前記少なくとも2つのリッジ20又は21は、両方の前記プレート3、4から前記隙間7内に突出し、相互に、少なくとも部分的に、オフセットされている。
【0107】
一実施形態によれば、前記連結要素16、17、18の少なくとも一部は、隙間7に沿った空気の流れに実質的に平行な平面上で、例えば半径方向R-Rに細長い形状部を有するフィンまたはリブである。
【0108】
一実施形態によれば、バンド外径D2または外ランク24に近い前記接続要素16は、隙間7に沿った空気の流れに実質的に平行な平面上で半径方向R-Rに細長い液滴形状の断面を有している。
【0109】
一実施形態によれば、前記連結要素17、18の少なくとも2つは、隙間7に沿った空気の流れに実質的に平行な平面上に、4つの頂点28が4つの側面29によって結合された菱形またはひし形の断面27を有し、前記断面を区切る前記側面は実質的に直線的な形状である。
【0110】
一実施形態によれば、前記リッジ20、21の全てが、前記隙間7の前記バンド外径D2付近の円形部分に配置されている。
【0111】
一実施形態によれば、前記リッジ20、21の全てのリッジは、接続要素16の外側ランク24が存在する近傍の前記隙間7の円形部分に配置される。
【0112】
本発明は、同様に、上述したいずれか1つの実施形態によるブレーキバンド1を構成するディスクブレーキディスク2にも関する。
【0113】
本発明は、同様に、上述した実施形態のいずれか1つに係るブレーキバンド1を具備する車両に関するものである。
【0114】
当業者は、上述した実施形態に対していくつかの変更および適応を行うことができ、偶発的かつ特定のニーズを満たすために、機能的に同等な他の要素に置き換えることができるが、しかしながら、以下の請求項の範囲から逸脱することはない。
【0115】
互いに近接して配置されたリッジ20、21の集合体は、周方向に配置されるリッジ20、21のグループを形成し、したがって、ブレーキバンドの外径D2付近に集中した周方向の不連続性を有し、リッジの集合体の不均一分布を作り出すことができる分布、すなわち、共鳴するように配置されると、迷惑音または口笛音が生じるブレーキバンド1の振動モードの存在を避けるように適合された分布を形成する。
【0116】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0117】
一実施形態によれば、ブレーキバンド1は、415mmの外径D2と、295mmの内径と、33mmの厚さとを有する。
【0118】
隙間7、すなわち通気路は、軸方向X-Xに評価される高さが12.6mmである。
【0119】
2つのプレート3、4は、3つの同心円状の列またはランク23,24,25にわたって配置された列の形態の接続要素16、17、18によって互いに接続されており、前記接続要素16、17、18は千鳥配列に従って配置されている。
【0120】
外側ランク24の連結要素は、隙間7を移動する平均的な流れ面上で評価される液滴形状を有し、半径方向R-Rに従って向けられ、回転軸X-Xに面するテーパ状の延長部を有する。
【0121】
中間ランク25及び内側ランク23の連結要素17,18は、隙間7を移動する平均フロー平面上で評価される菱形形状を有する。
【0122】
各ランクは47個の連結要素16または17または18を有する。
【0123】
外側ランク23には、各接続要素16の間にさらなるリッジ21が存在する。前記更なるリッジ21は、半径方向R-Rと周方向C-Cを含む平面上で液滴形状を有し、半径方向R-Rに従って向けられ、回転軸X-Xに面するテーパ状の延在部を有する。
【0124】
リッジ20は、各接続要素17の間の中間ランク25に存在する。前記さらなるリッジ20は、半径方向R-Rおよび周方向C-Cを含む平面上で、分岐形状3、4、すなわち、第1および第2のリッジブランチ31、32が互いに別々に突出する円筒形の中心本体を有している。
【0125】
前記リッジ20は、軸線方向への長さが3.4mmである。リッジ20の基部は4mmの半径を有する。リッジ20の形状の全体の高さは9.7mmであり、枝を含む全体の幅は13.5mmである。
【0126】
リッジ20の外面38は、平坦な内面5または6に半径2mmで接合されている。
【0127】
(ヤング率112000MPa、ポアソン比0.263、密度7.113kg/dmの材料を用いて)20~10,000Hzの周波数範囲で行ったモード解析では、同じ出願人のEP 2 715 179 B1に記載された解と比較して以下の注目すべき値が示された。
【0128】
【符号の説明】
【0129】
1:ブレーキバンド
2: ディスク ブレーキディスク
3: プレート
4: プレート
5: 内面
6: 内面
7: 隙間
8: 外面
9: 外周面
10:ブレーキ面
11: ブレーキ面
12: プレート本体
13: プレート本体
14: 板厚
15: 板厚
16: 連結要素
17: コネクティングエレメント
18: コネクティングエレメント
20: リッジ
21:リッジ
23:ランク
24:ランク
25:ランク
26:ピラー
27: フィンまたはリブ
28: 4つの頂点を持つひし形または菱形
29:ひし形の側面
31: 第1稜線枝
32: 第2尾根枝
33: ベル
3、4: 枝分かれしたリッジ
35: バンド外縁
36: リッジ中央部
37: 更なるリッジのテーパーエクステンション
38: リッジ外面
39: 更なるリッジ外面
A-A: ブレーキバンドまたはブレーキディスクの回転軸
X-X: 回転軸または軸方向
R-R: ラジアル方向
C-C:接線方向
D1: バンド内径
D2:バンド外径